(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156347
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20241029BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20241029BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20241029BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20241029BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20241029BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20241029BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20241029BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/02 Z
G02B7/08 B
G03B30/00
G03B5/00 J
H04N23/50
H04N23/57
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070728
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠田 洋平
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AJ04
2H044AJ06
2H044BE02
2H044BE07
2H044BE10
2H044DA01
2H044DA03
2H044DB02
2H044DE06
2K005CA02
2K005CA23
2K005CA40
2K005CA43
2K005CA45
2K005CA53
5C122DA14
5C122EA06
5C122FD01
5C122GE05
5C122GE11
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】レンズを保持する部材をスムーズに移動させること。
【解決手段】光学素子駆動装置は、光学素子を保持可能な保持部と、支持部材を介して、保持部を移動可能に支持する固定部と、保持部及び固定部の一方に配置される第1マグネットと、他方に配置される第1コイルと、を有し、保持部を駆動する駆動部と、第1マグネットに対向して他方に配置され、保持部を支持部材に付勢する磁性部材と、保持部に対して当接及び離間し、当接時に保持部を支持部材に押圧し、離間時に押圧を解除する接離部と、駆動部の駆動時に、保持部から離間するよう接離部を操作する操作部と、を備える。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を保持可能な保持部と、
支持部材を介して、前記保持部を移動可能に支持する固定部と、
前記保持部及び前記固定部の一方に配置される第1マグネットと、他方に配置される第1コイルと、を有し、前記保持部を駆動する駆動部と、
前記第1マグネットに対向して前記他方に配置され、前記保持部を前記支持部材に付勢する磁性部材と、
前記保持部に対して当接及び離間し、当接時に前記保持部を前記支持部材に押圧し、離間時に押圧を解除する接離部と、
前記駆動部の駆動時に、前記保持部から離間するよう前記接離部を操作する操作部と、
を備える、光学素子駆動装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記接離部及び前記固定部の一方に配置される第2マグネットと、他方に配置される第2コイルと、を有する、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項3】
前記接離部は、弾性部材を有し、前記当接時に、前記弾性部材の弾性力により前記保持部を前記支持部材に押圧する、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項4】
前記接離部は、バネ部材を有し、前記当接時に、前記バネ部材の弾性力により前記保持部を前記支持部材に押圧する、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項5】
前記第1コイル及び前記第2コイルに対する通電を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記駆動部を駆動する場合、前記第2コイルへの通電を行って、前記押圧を解除する方向に前記接離部を移動させた後、前記第1コイルへの通電を行う、
請求項2に記載の光学素子駆動装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の光学素子駆動装置と、
前記光学素子を用いて被写体像を撮像する撮像部と、
を備える、
カメラモジュール。
【請求項7】
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
請求項6に記載のカメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、
を備える、
カメラ搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子を駆動する光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スマートフォンやドローン等のカメラ搭載装置には、カメラモジュールが搭載されている。このようなカメラモジュールには、光学素子を駆動する光学素子駆動装置が使用されている。なお、ドローンとは、遠隔操作又は自動制御により飛行させることができる無人航空機であり、マルチコプターと呼ばれるものもある。
【0003】
光学素子駆動装置は、オートフォーカス機能(以下「AF機能」と称する、AF:Auto Focus)等を有している。光学素子駆動装置は、AF機能により、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行っている。
【0004】
このようなAF機能を有する光学素子駆動装置として、例えば、特許文献1には、レンズを有するレンズバレルをハウジング内に収容し、レンズバレルを光軸方向に駆動する駆動部を備えたレンズ駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示すレンズ駆動装置においては、レンズバレルを光軸方向に移動可能に支持するガイドボール(支持部材)が、ハウジングとレンズバレルとの間に配置されている。ガイドボールは、レンズバレルに固定された駆動部を構成するマグネットとハウジングに固定されたヨークとの間の磁力により、ハウジングとレンズバレルとの間に保持されている。
【0007】
近年、カメラモジュールの高画質化のため、そのイメージセンサーが大口径化する傾向があり、これに伴い、レンズのサイズも大口径化する傾向がある。レンズのサイズが大口径化すると、レンズバレルを保持する保持力を大きく必要があり、そのため、レンズバレルを保持するマグネット自体の磁力を大きくする必要がある。
【0008】
マグネット自体の磁力が大きくなると、ヨークとの間の磁力も大きくなる。そのため、ハウジング及びレンズバレルをガイドボールに付勢する付勢力が大きくなり、ガイドボールとの摩擦力が大きくなって、レンズバレルの移動を阻害する可能性がある。
【0009】
本発明の目的は、レンズを保持する部材をスムーズに移動可能な光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光学素子駆動装置は、
光学素子を保持可能な保持部と、
支持部材を介して、前記保持部を移動可能に支持する固定部と、
前記保持部及び前記固定部の一方に配置される第1マグネットと、他方に配置される第1コイルと、を有し、前記保持部を駆動する駆動部と、
前記第1マグネットに対向して前記他方に配置され、前記保持部を前記支持部材に付勢する磁性部材と、
前記保持部に対して当接及び離間し、当接時に前記保持部を前記支持部材に押圧し、離間時に押圧を解除する接離部と、
前記駆動部の駆動時に、前記保持部から離間するよう前記接離部を操作する操作部と、
を備える。
【0011】
本発明に係るカメラモジュールは、
前記光学素子駆動装置と、
前記光学素子を用いて被写体像を撮像する撮像部と、
を備える。
【0012】
本発明に係るカメラ搭載装置は、
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
前記カメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、
を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レンズを保持する部材をスムーズに移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】本発明の実施の形態に係るカメラモジュールを搭載するスマートフォンを示す正面図である。
【
図2】カメラモジュール及び撮像部を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示したカメラモジュールの光学素子駆動装置が有する光学素子駆動装置本体の斜視図である。
【
図4】
図3に示した光学素子駆動装置本体を分解した分解斜視図である。
【
図5A】
図3に示した光学素子駆動装置本体の平面図であって、非駆動時の状態を示す図である。
【
図5B】
図3に示した光学素子駆動装置本体の平面図であって、駆動時の状態を示す図である。
【
図6】
図3に示した光学素子駆動装置本体の変形例(変形例1)を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示した光学素子駆動装置本体の平面図であって、非駆動時の状態を示す図である。
【
図8A】車載用カメラモジュールを搭載するカメラ搭載装置としての自動車を示す正面図である。
【
図8B】
図8Aに示す自動車を斜め後方側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
[スマートフォン]
図1A及び
図1Bは、本実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置の一例)を示す図である。
図1AはスマートフォンMの正面図であり、
図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0017】
スマートフォンMは、2つの背面カメラOC1、OC2からなるデュアルカメラを有する。本実施の形態では、背面カメラOC1、OC2に、カメラモジュールAが適用されている。
【0018】
カメラモジュールAは、AF機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うことができる。なお、カメラモジュールAは、振れ補正機能(以下「OIS機能」と称する;OIS:Optical Image Stabilization)を備えていてもよい。OIS機能により、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して、像ぶれのない画像を撮影することができる。
【0019】
[カメラモジュール]
図2は、カメラモジュールA及び撮像部5を示す斜視図である。
図3は、
図2に示したカメラモジュールAの光学素子駆動装置1が有する光学素子駆動装置本体4の斜視図である。
図4は、
図3に示した光学素子駆動装置本体4を分解した分解斜視図である。
図2~
図4に示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。また、後述する図においても、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。ここでは、説明の便宜上、後述する付勢力Faの方向をX方向とする(
図5A及び
図5Bを参照)。また、
図3においては、コイルを示すため、後述する基板部80の基板81(
図4を参照)の図示を省略している。
【0020】
カメラモジュールAは、例えば、スマートフォンMで撮影が行われる場合、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が、
図2に示すレンズ部2の光軸OAの光軸方向であり、
図2において、図中上側(+Z側)が光軸方向の受光側、下側(-Z側)が光軸方向の結像側である。また、以降において、Z軸に直交するX方向及びY方向を「光軸直交方向」と称し、XY面を「光軸直交面」と称する。また、光軸に直交する方向を「径方向」と称する。
【0021】
なお、以降では、光軸OAを用いて説明を行うが、光軸OAの光軸方向は、光学素子の種類に応じて、光路方向、焦点方向(焦点を調整する方向)と言い換えてもよい。ここで、後述するカバー3の開口部301、後述する保持部10の開口部11、あるいは、後述する固定部20の開口部21によって形成される光の通り道が光路であり、この光路の延びる方向(各開口部の貫通方向)が光路方向である。
【0022】
図2に示すように、カメラモジュールAは、AF機能を実現する光学素子駆動装置1、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2及びレンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部5等を備える。すなわち、光学素子駆動装置1は、光学素子としてレンズ部2を駆動する、いわゆる、レンズ駆動装置である。
【0023】
[カバー]
光学素子駆動装置1において、光学素子駆動装置本体4は、外側をカバー3で覆われている。カバー3は、Z方向から見た平面視で略矩形状の有蓋四角筒状体である。本実施の形態では、カバー3は、平面視で略正方形状を有している。カバー3は、上面に略円形の開口部301を有する。レンズ部2は、光学素子駆動装置本体4の保持部10の開口部11に収容され、カバー3の開口部301から外部に臨み、Z方向における移動に伴い、カバー3の開口面よりも受光側に突出するように構成されている。カバー3の内壁は、例えば、光学素子駆動装置本体4の固定部20に、接着等により固定され、光学素子駆動装置本体4を収容する。
【0024】
カバー3は、光学素子駆動装置1の外部やカバー3の内部からの電磁波を遮断する部材、例えば、磁性体からなるシールド部材を有している。
【0025】
[撮像部]
撮像部5は、光学素子駆動装置1の結像側に配置される。撮像部5は、例えば、イメージセンサー基板501、イメージセンサー基板501に実装される撮像素子502及び制御部503を有する。撮像素子502は、例えば、CCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成され、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する。
【0026】
制御部503は、例えば、制御ICで構成され、光学素子駆動装置1の駆動制御を行う。光学素子駆動装置1は、イメージセンサー基板501に搭載され、機械的かつ電気的に接続される。制御部503は、イメージセンサー基板501に設けられてもよいし、カメラモジュールAが搭載されるカメラ搭載機器(本実施の形態では、スマートフォンM)に設けられてもよい。
【0027】
なお、
図2では、位置が固定されたイメージセンサー基板501に対し、レンズ部2を光学素子駆動装置1でZ方向に駆動することで、被写体像を撮像素子502に結像しているが、例えば、撮像素子502をZ方向に駆動してもよい。この場合、レンズ部2をカバー3に固定し、光学素子である撮像素子502を光学素子駆動装置1でZ方向に駆動することで、被写体像を撮像素子502に結像すればよい。
【0028】
[光学素子駆動装置本体]
光学素子駆動装置本体4は、光学素子であるレンズ部2をZ方向に駆動する光学素子駆動装置1の本体部分である。なお、以降では、説明の便宜上、光学素子駆動装置1がレンズ部2を駆動することを前提に説明を行うが、上述したように、光学素子駆動装置1が撮像素子502を駆動してもよい。
【0029】
光学素子駆動装置本体4は、
図3、
図4に示すように、保持部10、固定部20、支持部30、駆動部40、付勢部50、接離部60、操作部70、基板部80等を有する。
【0030】
光学素子駆動装置本体4の保持部10、固定部20、支持部30、駆動部40、付勢部50、接離部60、操作部70、基板部80について、
図2、
図3と共に、
図5A、
図5Bも参照して、以下に説明を行う。
図5Aは、
図3に示した光学素子駆動装置本体4の平面図であって、非駆動時の状態を示す図である。
図5Bは、
図3に示した光学素子駆動装置本体4の平面図であって、駆動時の状態を示す図である。
【0031】
[保持部]
保持部10は、中央部に開口部11が形成された枠部12を有し、開口部11は、
図2に示したレンズ部2を内側に保持可能に構成されている。例えば、開口部11は、その内周面に取付溝等を形成することにより、レンズ部2を内周面に保持可能に構成されている。このように、保持部10は、レンズ部2の外周を囲んでレンズ部2を保持する。
【0032】
枠部12の外周側は、一例として、互いに平行な一対の第1外面13a、一対の第1外面13aに挟まれる枠部本体部分から外側に延在する一対の第2外面13b、接離部60に当接されて押圧される第3外面13c等を有する。ここでは、一対の第1外面13a及び一対の第2外面13bは、X軸に直交する面である。
【0033】
上述した一対の第2外面13bのそれぞれに、Z方向に沿って延在する溝部14が設けられている。溝部14は、Z方向に沿って延在する後述の支持部材31に対応して設けられ、溝部14と支持部材31とにより、支持部30を構成する。溝部14は、ここでは、三角形断面の溝に形成されており、シャフト部材からなる支持部材31に対して、Z方向に摺動可能に接触するよう構成されている。保持部10は、支持部30により、Z方向に移動可能に支持されている。
【0034】
また、上述した一対の第1外面13aのそれぞれに、駆動部40を構成するマグネット41が設けられている。保持部10は、マグネット41と後述のコイル42とを有する駆動部40により、Z方向に移動可能に構成されている。
【0035】
なお、開口部11は、円筒形状のレンズ部2に対応して、円筒形状に形成されているが、レンズ部2の形状に対応して、適宜な形状に変更可能である。
【0036】
また、光学素子駆動装置1が撮像素子502を駆動する場合、保持部10に開口部11はなくてもよく、つまり、保持部10は枠部でなくてもよく、その場合、例えば、保持部10の上面(受光側の面)に撮像素子502を保持するようにすればよい。
【0037】
[固定部]
固定部20は、撮像部5への光路となる開口部21が中央部に形成されたベース部22を有する。ベース部22は、ここでは、一例として、XY平面に沿う板部材であり、その中央部に開口部21を有する。
【0038】
固定部20は、ベース部22の上面(受光側の面)に、一例として、ベース部22から立設し、互いに平行な一対の第1立設部23と、ベース部22から立設し、上述した第2外面13bに対向する対向面24aを有する一対の第2立設部24と、を有する。
【0039】
一対の第1立設部23は、Z方向に立設し、Y方向に延在し、開口部23aを有する枠部材である。開口部23aには、後述するコイル42が配置される。
【0040】
コイル42が通電され、通電された電流とマグネット41の磁界との相互作用により、駆動部40は、固定部20に対して、保持部10をZ方向に移動する。保持部10は、駆動部40に駆動される可動部として機能し、固定部20は、保持部10に対する固定部として機能する。
【0041】
一対の第2立設部24は、Z方向に立設し、角部22aを挟むベース部22の辺22c、22dに沿って延在する部材である。第2立設部24は、それぞれ、第2外面13bに対向する対向面24aを有し、対向面24aは、第2外面13bと同様に、Y方向に延在する。対向面24aには、溝部24bがZ方向に沿って形成されており、溝部24bに沿うように、支持部材31が配置されている。
【0042】
ベース部22には、Z方向に沿って延在する円柱状の支持部材31が立設されており、支持部材31は、溝部24bに沿うように配置されている。固定部20は、支持部30を構成する支持部材31により、溝部14を介して、保持部10をZ方向に移動可能に支持する。
【0043】
また、第2立設部24は、それぞれ、接離部60が取り付けられる取付面24cを有する。取付面24cは、後述するように、第3外面13cに対して、接離部60が当接及び離間可能に接離部60を支持する。
【0044】
図3~
図5Bに示す第1立設部23の形状は一例である。第1立設部23は、第1外面13aに配置されたマグネット41に対向して、コイル42を配置できれば、その形状は適宜に変更可能である。同様に、第2立設部24の形状も一例である。第2立設部24は、支持部材31を配置でき、接離部60を支持できれば、その形状は適宜に変更可能である。
【0045】
[支持部]
光学素子駆動装置本体4は、複数の支持部30を有する。ここでは、光学素子駆動装置本体4は、一例として、2つの支持部30を有している。支持部30は、例えば、
図5A及び
図5Bに示すように、平面視で、保持部10と固定部20との間の異なる2箇所の位置であって、付勢力Faの方向に対して、線対称の位置にそれぞれ配置される。支持部30は、
図4も参照して説明すると、互いに対向する保持部10の第2外面13bと固定部20の対向面24aとの間にそれぞれ配置される。
【0046】
支持部30は、一例として、上述した保持部10の溝部14と支持部材31とを有する。溝部14は、上述したように、支持部材31に対して、Z方向に摺動可能に接触するよう、保持部10の第2外面13bに配置されている。支持部材31は、例えば、シャフト部材であり、上述したように、ベース部22に立設され、溝部24bに沿うように配置されて、固定部20側に固定されている。このような構成により、固定部20は、支持部30を介して、保持部10をZ方向に移動可能に支持する。
【0047】
本実施の形態においては、後述するように、マグネット41とヨーク51とを有する付勢部50において、マグネット41がヨーク51を磁気吸引することにより、溝部14を支持部材31側に付勢するようにしている。つまり、付勢部50は、磁力により、X方向の付勢力Faを保持部10に付与して、保持部10を支持部材31に付勢している。これにより、支持部30は、謂わば、片持ち梁支持構造のように、保持部10を保持する。
【0048】
このように、支持部30は、Z方向に沿って延在する溝部14と支持部材31とを有し、付勢部50により、溝部14を支持部材31側に付勢する。そのため、保持部10の傾き(チルト)を抑制することができ、保持部10の駆動時に、保持部10の安定した動作が可能となる。
【0049】
なお、ここでは、支持部30は、一例として、保持部10が溝部14を有し、固定部20が支持部材31を有する構成であるが、保持部10が支持部材31を有し、固定部20が溝部14を有する構成でもよい。
【0050】
また、支持部材31は、溝部14が摺動可能に接触する構成であれば、他の部材、例えば、ボール部材でもよい。また、固定部20の対向面24aから突出すると共に、Z方向に延在する突出部を設け、当該突出部に溝部14が摺動可能に接触する構成でもよい。
【0051】
また、溝部14は、支持部材31に摺動可能に接触できれば、半円形断面の溝に限らず、V字断面やU字断面等の溝でもよい。
【0052】
[駆動部]
駆動部40は、固定部20に対して、保持部10をZ方向に駆動するアクチュエーターである。光学素子駆動装置本体4は、少なくとも1つの駆動部40を有する。ここでは、光学素子駆動装置本体4は、一例として、2つの駆動部40を有している。駆動部40は、例えば、
図5A及び
図5Bに示すように、互いに対向する角部22a、22bの近傍にそれぞれ配置される。
【0053】
駆動部40は、保持部10に取り付けられたマグネット41(本発明における第1マグネット)と固定部20側に取り付けられたコイル42(本発明における第1コイル)とを有する。このような構成を有する駆動部40は、ムービングマグネット方式のボイスコイルモーター(VCM:Voice Coil Motor)として機能する。
【0054】
マグネット41は、上述したように、保持部10の第1外面13aにそれぞれ設けられている。
【0055】
コイル42は、後述の基板部80(基板81)の内側となる面に取り付けられる。基板部80を固定部20の第1立設部23及び第2立設部24の外周側に配置することにより、コイル42は、第1立設部23の開口部23aにそれぞれ配置される。保持部10が固定部20の内側に収容されると、マグネット41とコイル42とが、X方向において、互いに対向するように離間して配置される。
【0056】
コイル42は、X方向に沿う方向を巻回軸として巻回された巻線から構成される。マグネット41は、コイル42を径方向に横切る磁界が形成されるように、例えば、+Z方向側がS極、-Z方向側がN極になるように、着磁される。
【0057】
コイル42へ電力が供給されていないとき(非通電時)には、保持部10は、後述する付勢部50の磁力(マグネット41がヨーク51を磁気吸引する磁力)による付勢力Faと、後述する接離部による押圧力Fbにより、固定部20に保持されている(自己保持)。
【0058】
図示省略した配線により、コイル42へ電力が供給されると(通電時)、コイル42に流れる電流とマグネット41の磁界との相互作用により、コイル42にローレンツ力が生じる。
【0059】
ローレンツ力の方向は、マグネット41による磁界の方向とコイル42に流れる電流の方向に直交する方向となるZ方向である。コイル42は固定部20側に固定されているので、マグネット41に反力が働き、この反力がVCMの駆動力となる。コイル42に流れる電流の向きや大きさを制御すると、マグネット41を有する保持部10が光軸方向受光側又は光軸方向結像側に移動し、ピント合わせが行われることになる。
【0060】
図示は省略しているが、後述する基板部80には、固定部20に対する保持部10のZ方向の位置を検出するZ位置検出部が設けられている。光学素子駆動装置1は、Z位置検出部で検出されたZ方向の位置に基づいて、コイル42に流れる電流の向きや大きさを制御する。Z位置検出部としては、例えば、位置の検出用のマグネット及び当該マグネットによる磁界を検出するホールセンサー等が用いられる。
【0061】
光学素子駆動装置1は、上述した支持部30及び駆動部40により、保持部10と共にレンズ部2をZ方向に駆動することができ、これにより、AF機能を実現する。
【0062】
なお、ここでは、保持部10は、2つの駆動部40により、Z方向に移動可能に構成されているが、1つ又は3つ以上の複数の駆動部40により、Z方向に移動可能に構成されてもよい。
【0063】
[付勢部]
付勢部50は、固定部20側に設けた支持部材31に対して、保持部10を付勢する。光学素子駆動装置本体4は、少なくとも1つの付勢部50を有する。ここでは、光学素子駆動装置本体4は、一例として、1つの付勢部50を有している。付勢部50は、例えば、
図5A及び
図5Bに示すように、角部22aの近傍に配置される。
【0064】
付勢部50は、一例として、保持部10の角部22a側のマグネット41と、固定部20側に取り付けられ、磁性材料からなるヨーク51(本発明における磁性部材)とを有する。角部22a側のマグネット41は、駆動部40及び付勢部50において兼用されている。
【0065】
ヨーク51は、後述の基板部80(基板81)の外側となる面に取り付けられる。基板部80を固定部20の第1立設部23及び第2立設部24の外周側に配置することにより、ヨーク51は、第1立設部23の開口部23aの外側に配置される。保持部10が固定部20の内側に収容されると、マグネット41とヨーク51とが、X方向において、互いに対向するように離間して配置される。
【0066】
このような構成により、ヨーク51はマグネット41の磁力により磁気吸引され、その結果、マグネット41が配置された保持部10は、ヨーク51が配置された固定部20の支持部材31側に付勢される。つまり、付勢部50は、磁力により、X方向の付勢力Faを保持部10に付与して、保持部10の溝部14を支持部材31に付勢している。
【0067】
このように、付勢部50により、溝部14を支持部材31側に付勢するので、保持部10の傾き(チルト)を抑制することができる。コイル42へ電力が供給されていないとき(非通電時)には、保持部10は、付勢部50の磁力による付勢力Faにより、自己保持することになる。
【0068】
なお、ここでは、保持部10側にマグネット41を設け、固定部20側にコイル42を設けているが、配置を逆にして、保持部10側にコイル42を設け、固定部20側にマグネット41を設けてもよい。この場合、ヨーク51は、保持部10側に配置される。
【0069】
また、ここでは、駆動部40のマグネット41を利用してヨーク51を磁気吸引しているが、ヨーク51を磁気吸引するためのマグネットを別途設けてもよい。その場合、保持部10において、当該マグネットをマグネット41と異なる位置に配置し、この位置に対応して、ヨーク51を配置すればよい。
【0070】
また、ここでは、磁性部材として、ヨークを例示しているが、マグネット41に磁気吸引される部材であれば、ヨークに限らない。
【0071】
[接離部]
接離部60は、保持部10に対して当接及び離間可能に構成されている。光学素子駆動装置本体4は、少なくとも1つの接離部60を有する。ここでは、光学素子駆動装置本体4は、一例として、2つの接離部60を有している。接離部60は、例えば、
図5A及び
図5Bに示すように、角部22bを挟むベース部22の辺22e、22fに沿って、それぞれ配置されている。
【0072】
接離部60は、一例として、
図4に示すように、弾性変形可能な弾性部61と、保持部10の第3外面13cに当接する当接部62と、を有する。
【0073】
弾性部61は、弾性変形可能な板状の弾性部材であり、例えば、弾性変形可能な樹脂材料からなり、一端が取付面24cに取り付けられ、他端が当接部62と接続されている。つまり、弾性部61は、取付面24cを支点に、当接部62を移動可能に支持している(片持ち梁構造)。但し、接離部60及び取付面24cは、後述するコイル72に通電していないとき(非通電時)においては、当接部62が第3外面13cに当接し、弾性部61の弾性力により、所定の押圧力Fbで第3外面13cを押圧するよう構成されている。
【0074】
当接部62が第3外面13cを押圧する押圧力Fbとしては、付勢部50による付勢力Faと同じ方向の力の成分を含むよう、接離部60及び取付面24cを構成する。また、
図5Aに示すように、2つの当接部62でそれぞれ第3外面13cを押圧する場合、押圧力Fbとしては、2つの当接部62で保持部10を挟み込む方向の力の成分を含むよう、接離部60及び取付面24cを構成する。接離部60及び取付面24cを、このように構成することにより、当接部62の当接時において、高い保持力で、保持部10を保持可能となる。
【0075】
当接部62は、マグネット71を有する。当接部62は、コイル72の非通電時においては、弾性部61の弾性力により、第3外面13cに当接し、第3外面13cを押圧する。一方、当接部62は、コイル72の通電時においては、コイル72による磁力によりマグネット71が磁気吸引されることにより、上記の押圧を解除する方向に、第3外面13cから離間される。
【0076】
接離部60において、コイル72の非通電時、つまり、当接部62の第3外面13cへの当接時は、弾性部61の弾性力により、所定の押圧力Fbで第3外面13cを押圧する。一方、コイル72の通電時、つまり、当接部62の第3外面13cからの離間時は、第3外面13cへの押圧を解除する。
【0077】
接離部60は、弾性変形可能な弾性部61を用いて、当接部62が保持部10(第3外面13c)に当接し、当接部62が保持部10(第3外面13c)から離間するよう構成されればよい。そのため、接離部60、特に、弾性部61の構成は、上述した構成に限らず、適宜に変更可能であり、構成の自由度が高くなり、様々な構成に変更可能である。また、弾性部61及び当接部62を、弾性力を有する樹脂材料で構成する場合、弾性部61及び当接部62を一体で形成することができ、弾性力を利用可能であると共に、部品点数を抑制することがきる。
【0078】
そして、上述した押圧及び押圧解除は、後述するように、操作部70のコイル72への通電を制御することにより行われる。
【0079】
なお、ここでは、2つの接離部60を線対称に配置しているが、付勢部50による付勢力Faに更に力を付与できれば、接離部60の個数や配置は、適宜に変更可能である。
【0080】
また、ここでは、接離部60にマグネット71を設け、固定部20側(基板部80)にコイル72を設けているが、配置を逆にして、接離部60にコイル72を設け、固定部20側(基板部80)にマグネット71を設けてもよい。
【0081】
[操作部]
操作部70は、接離部60に対応して設けられ、保持部10の第3外面13cから離間するよう接離部60の当接部62を操作する。
【0082】
操作部70は、上述したように、接離部60の当接部62に設けたマグネット71(本発明における第2マグネット)と、固定部20側に取り付けられたコイル72(本発明における第2コイル)と、を有する。
【0083】
コイル72は、後述の基板部80(基板81)の内側となる面に取り付けられる。基板部80を固定部20の第1立設部23及び第2立設部24の外周側に配置することにより、コイル72は、マグネット71と互いに対向するように配置される。
【0084】
上述した接離部60による押圧及び押圧解除は、操作部70のコイル72への通電を制御することにより行われる。
【0085】
具体的には、駆動部40の非駆動時には、コイル72への通電を行わず、これにより、保持部10は、付勢部50による付勢力Faに加えて、接離部60による押圧力Fbにより、支持部材31へ押しつけられて、固定部20に保持されることになる。
【0086】
一方、駆動部40の駆動時には、コイル72への通電を行い、これにより、保持部10は、付勢部50による付勢力Faにより、支持部材31へ押しつけられることになる。付勢部50による付勢力Faにより、駆動部40の駆動時において、保持部10の傾きを抑制しつつ、保持部10を駆動することができる。
【0087】
カメラモジュールAの高画質化のため、イメージセンサー基板501のイメージセンサーが大口径化すると、レンズ部2のサイズも大口径化する。レンズ部2のサイズが大口径化すると、レンズ部2を保持する保持力を大きく必要があり、レンズ部2を保持するマグネット41自体の磁力を大きくする必要がある。
【0088】
マグネット41自体の磁力が大きくなると、ヨーク51との間の磁力も大きくなるため、溝部14を支持部材31に付勢する付勢力Faが大きくなり、支持部材31と溝部14との摩擦力が大きくなって、保持部10(レンズ部2)の移動を阻害する可能性がある。
【0089】
そのため、本実施の形態では、駆動部40の非駆動時には、保持部10を支持部材31に押圧し、駆動部40の駆動時には、当該押圧を解除する方向に離間する接離部60を備える。
【0090】
駆動部40の非駆動時には、接離部60で保持部10を支持部材31に押圧するので、付勢部50による付勢力Faに加えて、接離部60による押圧力Fbにより、保持部10を支持部材31へ押しつけることになる。これにより、高い保持力で保持部10を固定部20に保持することになる。
【0091】
一方、駆動部40の駆動時には、押圧を解除する方向に接離部60を保持部10から離間させるので、付勢部50による付勢力Faにより、保持部10を支持部材31へ押しつけることになる。これにより、駆動部40の駆動時において、保持部10の傾きを抑制することができる。そして、支持部材31と溝部14との摩擦力も小さくなり、保持部10(レンズ部2)をスムーズに移動させることができる。
【0092】
また、操作部70は、マグネット71を有する当接部62を、弾性部61の弾性力に抗して移動できればよく、大きな光学素子を保持可能な保持部10を移動させる訳ではないので、マグネット71及びコイル72の大きさを抑制可能である。
【0093】
このように、本実施の形態では、駆動部40の非駆動時には、付勢部50及び接離部60により、高い保持力で保持部10を固定部20に保持することができる。加えて、駆動部40の駆動時には、付勢部50により、保持部10の傾きを抑制しつつ、保持部10をスムーズに移動させることができる。
【0094】
[基板部]
基板部80は、2つのコイル42、2つのコイル72に電力を供給する。基板部80は、コイル42、72、ヨーク51、基板81を有する。基板81には、コイル42、72に電力を供給する配線(図示省略)が形成されている。また、図示は省略するが、基板部80は、上述したように、固定部20に対する保持部10のZ方向の位置を検出するZ位置検出部(例えば、ホールセンサー等)を有している。
【0095】
基板部80の基板81において、固定部20に取り付けるときに内側となる面に、コイル42、コイル72が取り付けられる。
【0096】
また、基板部80の基板81において、固定部20に取り付けるときに外側となる面に、ヨーク51が取り付けられる。ヨーク51は、角部22a側のコイル42に対して、基板81を挟んで対向するように配置されている。
【0097】
このようにして、コイル42、コイル72、ヨーク51を配置した基板部80は、コイル42が第1立設部23の開口部23aに配置されるよう、コイル72がマグネット71に対向するよう、第1立設部23及び第2立設部24の外周に取り付けられる。
【0098】
このように、1つの基板81上にコイル42、コイル72、ヨーク51を配置して、基板部80を第1立設部23及び第2立設部24の外周に取り付けることにより、固定部20の所望の位置にコイル42、コイル72、ヨーク51を配置することができる。これにより、基板部80の固定部20への組み立てが容易になると共に、コイル42、コイル72、ヨーク51の配置も容易になり、レイアウト性を高めることができる。
【0099】
基板部80には、例えば、制御部503(
図2を参照)の制御により、電力が供給され、これにより、コイル42やコイル72に対する通電が制御されて、保持部10がZ方向に移動される。
【0100】
具体的には、制御部503は、駆動部40の非駆動時においては、コイル42やコイル72に対する通電は行わない。この状態においては、マグネット41がヨーク51を磁気吸引する付勢部50の磁力による付勢力Faと、接離部60による押圧力Fbにより、高い保持力で、保持部10が固定部20に保持される(自己保持)。
【0101】
そして、制御部503は、保持部10をZ方向に移動させるときには、まず、コイル72に対する通電を行って、押圧を解除する方向に接離部60を保持部10から離間させる。これにより、保持部10が固定部20に保持される保持力を、コイル72への通電前よりも低減する。
【0102】
そして、制御部503は、保持力を低減した状態のままで、コイル42に対する通電を行って、保持部10をZ方向に移動させる。このとき、保持力を低減した状態のままであるので、支持部材31と溝部14との摩擦力も小さくなり、レンズ部2をスムーズに移動させることができる。
【0103】
なお、ここでは、制御部503がコイル42やコイル72に対する通電を制御する例を説明したが、基板81に、別途、制御部を設け、当該制御部がコイル42やコイル72に対する通電を制御してもよい。
【0104】
[変形例1]
図6は、
図3に示した光学素子駆動装置本体4の変形例を示す斜視図である。
図7は、
図6に示した光学素子駆動装置本体4の平面図であって、非駆動時の状態を示す図である。なお、
図6においては、コイルを示すため、基板部80の基板81の図示を省略している。
【0105】
上記実施の形態において、接離部60は、弾性部61として、弾性力を有する樹脂材料を用いており、また、接離部60は、謂わば、片持ち梁支持構造であったが、保持部10に対して、当接及び離間可能な構成であれば、このような構造に限ることはない。
【0106】
例えば、本変形例では、
図6及び
図7に示すように、接離部60に代えて、当接部62と弾性部66とを有する接離部65を備える。
【0107】
当接部62は、その内部に有するマグネット71を含めて、上記実施の形態と同等の構成であるので、同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0108】
弾性部66は、弾性変形可能なバネ部材である。弾性部66は、一例として、弾性変形可能な樹脂材料や金属材料等からなる板バネである。弾性部66は、符号は省略するが、当接部62が取り付けられ、当接部62を支持する支持面と、第1立設部25側及び第2立設部26側にそれぞれ取り付けられる取付面と、支持面の両端と取付面との間をそれぞれ接続し、弾性変形する接続面とを有する。
【0109】
弾性部66は、一端側の取付面が第1立設部25側に取り付けられ、他端側の取付面が第2立設部26側に取り付けられて、第1立設部25及び第2立設部26から支持される両端支持梁構造となっている。
【0110】
第1立設部25は、上記実施の形態における第1立設部23と略同等の構成であるが、弾性部66の一端の取付面を支持するため、辺22e、22fに沿って延在する支持面25aを有する。支持面25aの内側に弾性部66の一端の取付面が取り付けられる。
【0111】
第2立設部26も、上記実施の形態における第2立設部24と略同等の構成であるが、取付面24cに代えて、弾性部66の他端の取付面を支持するため、辺22e、22fに沿って延在する支持面26aを有する。支持面26aの内側に弾性部66の他端の取付面が取り付けられる。
【0112】
また、保持部10の第3外面13cには、当接部62が当接する部分に凹部13dが形成されており、当接部62は凹部13dに当接して、保持部10を保持することになる。
【0113】
以上述べた構成により、接離部65は、接離部60と同様に、保持部10に対して当接及び離間可能である。つまり、接離部65、第1立設部25及び第2立設部26は、コイル72の非通電時においては、当接部62が凹部13dに当接し、弾性部66の弾性力により、所定の押圧力Fbで凹部13dを押圧するよう構成されている。そして、当接部62は、コイル72の通電時においては、コイル72による磁力によりマグネット71が磁気吸引されることにより、凹部13dから離間され、上記の押圧を解除する。
【0114】
このように、本変形例でも、駆動部40の非駆動時には、付勢部50及び接離部65により、高い保持力で保持部10を固定部20に保持することができる。加えて、駆動部40の駆動時には、付勢部50により、保持部10の傾きを抑制しつつ、保持部10をスムーズに移動させることができる。
【0115】
また、接離部65は、弾性変形可能な弾性部66を用いて、当接部62が保持部10(凹部13d)に当接し、当接部62が保持部10(凹部13d)から離間するよう構成されればよい。そのため、接離部65、特に、弾性部66の構成は、上述した構成に限らず、適宜に変更可能であり、構成の自由度が高くなり、様々な構成に変更可能である。
【0116】
[他の実施の形態]
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0117】
例えば、上記実施の形態では、スマートフォンMを例に挙げて説明したが、本発明は、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部とを有するカメラ搭載装置に適用できる。カメラ搭載装置は、情報機器及び輸送機器を含む。情報機器は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)等を含む。また、輸送機器は、例えば、自動車やドローン等を含む。
【0118】
図8A、
図8Bは、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。
図8Aは自動車Vの正面図であり、
図8Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、上記実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。
図8A、
図8Bに示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば、前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0119】
また、上記実施の形態では、光学素子としてレンズ部2を駆動する光学素子駆動装置1について説明したが、駆動対象となる光学素子は、ミラーやプリズム等のレンズ以外の光学素子であっても、撮像素子502のような光学素子でもよい。この場合、保持部10の開口部11は、取り付ける光学素子の形状に応じて、形状を変更したり、場合によっては、無くしたりしてもよい。
【0120】
また、上記実施の形態では、光学素子駆動装置1はAF機能を有しているが、AF機能だけでなく、ズーム機能等、レンズ部2をZ方向に移動させる機能を有するものでもよい。
【0121】
また、上記実施の形態では、AF機能を有する光学素子駆動装置1を例にとって説明したが、光学素子駆動装置1は、OIS機能を備えていてもよい。OIS機能を備える場合、光学素子駆動装置1は、OIS支持部を介して、固定部20をX方向及びY方向に移動可能に支持する基部、基部に対して、固定部20をX方向及びY方向に駆動するOIS駆動部を備えることになる。この場合、固定部20と基部との間に配置されるOIS支持部に対して、上述した付勢部50、接離部60及び操作部70と同様の構成の付勢部、接離部及び操作部を設け、OIS支持部に対する保持力も、上述したように変更するようにしてもよい。
【0122】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は、本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明に係る光学素子駆動装置及びカメラモジュールは、例えば、スマートフォン、携帯電話機、デジタルカメラ、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、車載カメラ、ドローン等のカメラ搭載装置に搭載して、有用なものである。
【符号の説明】
【0124】
1 光学素子駆動装置
2 レンズ部
3 カバー
4 光学素子駆動装置本体
5 撮像部
10 保持部
11 開口部
12 枠部
13a 第1外面
13b 第2外面
13c 第3外面
14 溝部
20 固定部
21 開口部
22 ベース部
23 第1立設部
24 第2立設部
30 支持部
31 支持部材
40 駆動部
41 マグネット
42 コイル
50 付勢部
51 ヨーク
60、65 接離部
61、66 弾性部
62 当接部
70 操作部
71 マグネット
72 コイル
80 基板部
81 基板
301 開口部
501 イメージセンサー基板
502 撮像素子
503 制御部