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特開2024-156352導体保護具、導体保護具を有する端子、および導体保護具を有する端子付き被覆導体
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  • 特開-導体保護具、導体保護具を有する端子、および導体保護具を有する端子付き被覆導体 図1
  • 特開-導体保護具、導体保護具を有する端子、および導体保護具を有する端子付き被覆導体 図2
  • 特開-導体保護具、導体保護具を有する端子、および導体保護具を有する端子付き被覆導体 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156352
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】導体保護具、導体保護具を有する端子、および導体保護具を有する端子付き被覆導体
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/70 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
H01R4/70 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070737
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000238049
【氏名又は名称】冨士電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茂木 淑豪
(72)【発明者】
【氏名】小路 はるか
(57)【要約】
【課題】シュリンクバック現象が発生しても導体が露出することを抑制することができる導体保護具を提供すること。
【解決手段】被覆部(1)から露出し、端子(3)に接続される導体(2)を覆うための導体保護具(40)であって、前記端子(3)と前記導体(2)との接続部(3b)を保持するための第1保持部(40a)と、前記被覆部(1)を保持するための第2保持部(40b)と、前記第1保持部(40a)と前記第2保持部(40b)との間に配置された伸長可能な伸長部(40c)と、を有することを特徴とする、導体保護具(40)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆部から露出し、端子に接続される導体を覆うための導体保護具であって、
前記端子と前記導体との接続部を保持するための第1保持部と、
前記被覆部を保持するための第2保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部との間に配置された伸長可能な伸長部と、
を有することを特徴とする、導体保護具。
【請求項2】
請求項1に記載の導体保護具であって、
前記第1保持部の内周は、前記第2保持部の内周と略同じか、または短いことを特徴とする、導体保護具。
【請求項3】
請求項1に記載の導体保護具であって、
前記伸長部は蛇腹形状を含むことを特徴とする、導体保護具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の導体保護具を有することを特徴とする、端子。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の導体保護具を有することを特徴とする、端子付き被覆導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体保護具、当該導体保護具を有する端子、および当該導体保護具を有する端子付き被覆導体に関する。
【背景技術】
【0002】
被覆部で被覆された導体(例えば電線の導体)を電気機器などに接続させる場合、端子を用いることがある。具体的には、被覆部から露出させた導体の端部に端子を接続させ、この端子を電気機器などに取り付けることで、導体と、電気機器とを導通させることができる。
ここで、端子に接続される露出した導体を保護するための部材が知られている。たとえば、特許文献1は、接続端子が装着された被覆電線の端末部を筒状部材で覆うことで保護する電線端末構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-110100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1の上図は、被覆部1から露出し、端子3に接続された導体2が従来の導体保護具4で保護されている状態を示す。
ここで、端子3に接続された被覆導体を長期間使用すると、被覆部1を構成する材料の性質や、被覆部1が置かれている環境の影響などによって、被覆部1が収縮してしまうシュリンクバック現象が発生することがある。シュリンクバック現象が発生すると、図1の下図に示されるように、収縮した被覆部1に導体保護具4が追従するように移動して、導体2が露出してしまうことがある。露出した導体2は、ほこりや大気中の水分等の影響を受け、火災を招く他、さび付く等して劣化した場合、短絡を招く等の原因となる。
【0005】
本発明の目的は、シュリンクバック現象が発生しても導体が露出することを抑制することができる導体保護具、当該導体保護具を有する端子、および当該導体保護具を有する端子付き被覆導体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
被覆部から露出し、端子に接続される導体を覆うための導体保護具であって、
前記端子と前記導体との接続部を保持するための第1保持部と、
前記被覆部を保持するための第2保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部との間に配置された伸長可能な伸長部と、
を有することを特徴とする、導体保護具が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、
上記の導体保護具を有することを特徴とする、端子が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、
上記の導体保護具を有することを特徴とする、端子付き被覆導体が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シュリンクバック現象が発生しても導体が露出することを抑制することができる導体保護具、当該導体保護具を有する端子、および当該導体保護具を有する端子付き被覆導体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、従来の導体保護具を含む端子付き被覆導体を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る導体保護具を含む端子付き被覆導体を示す模式図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る導体保護具を含む端子付き被覆導体を示す透過模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0012】
[端子付き被覆導体]
図2は、本発明の実施の形態に係る端子付き被覆導体10を側面からみた模式図である。図3は、端子付き被覆導体10を側面からみた透過模式図である。図2および図3に示されるように、端子付き被覆導体10では、被覆部1から露出し、端子3に接続された導体2は、本発明の実施の形態に係る導体保護具40で保護されている。被覆導体は、被覆部1によって被覆された導体2であり、例えば電線やケーブルなどである。
【0013】
図2および図3の上図はシュリンクバック現象が発生する前の端子付き被覆導体10の状態を示し、下図はシュリンクバック現象が発生した後の状態を示している。端子付き被覆導体10においては、導体保護具40は、長手方向に伸長することができる伸長部40cを有している。これにより、シュリンクバック現象が発生して被覆部1が収縮してしまっても、伸長部40cが伸長することで導体2の外部への露出が抑制される。
【0014】
被覆部1は、導体2を被覆するものであればよい。被覆部1の例には、絶縁体、シース、絶縁体およびシースを組み合わせたもの等が含まれる。被覆部1を構成する材料は、例えば樹脂である。より具体的には、被覆部1は、例えば樹脂成形品であり、押し出し成形により形成されている。
一方、導体2は、導電性を有するものであればよく、例えば銅線である。
【0015】
端子3は、導体2の端部と、例えば電気機器などとの間に置かれ、両者の導通を媒介するためのものである。端子3の例には、圧着端子、圧縮端子などが含まれる。
本実施の形態において、端子3は、電気機器などの導通対象物との接続部である第1接続部3aと、導体2との接続部である第2接続部3bとを有する。
第1接続部3aの例には、ネジ止めできる構造が含まれ、具体的には、リング状になっている丸形(R形)の接続部、リング状になっていない開放形(Y形)の接続部などが含まれる。
第2接続部3bは、導体2と接続できれば特に制限されない。第2接続部3bの例には、圧力によって導体2と接続する構造が含まれる。具体的には、圧着または圧縮によって導体2と接続する構造、カシメ部などが含まれる。
【0016】
(導体保護具)
図2に示されるように、本実施の形態において、導体保護具40は、第1保持部40a、第2保持部40b、伸長部40cを有する筒状の部材である。導体保護具40は、導体2を保護するために絶縁性を有することが好ましい。導体保護具40の材料の例には、ポリ塩化ビニル(PVC)やシリコーンなどの樹脂が含まれる。
導体保護具40は、独立した部材であり、導体2を端子3に接続する際に導体2を保護するために取り付けられてもよい。また、予め端子3に取り付けられて、導体保護具40を有する端子3としてもよい。また、予め端子付き被覆導体10に取り付けられ、導体保護具40を有する端子付き被覆導体10としてもよい。
以下、導体保護具40の各構成要素について説明する。
【0017】
第1保持部40aは、導体2と端子3との接続部である第2接続部3bを保持する。第1保持部40aは、シュリンクバック現象が発生したときに、第2接続部3bから外れることがない程度の力で第2接続部3bを保持できるように構成されていることが好ましい。第1保持部40aは、第2接続部3bにフィットして摩擦力によって第2接続部3bを保持してもよいし、溶着(熱融着)によって第2接続部3bを保持してもよいし、接着によって第2接続部3bを保持してもよい。本実施の形態において、第1保持部40aの内周は、第2接続部3bの外周と略同じであり、第2保持部40bの内周とも略同じか、または短い。
【0018】
第2保持部40bは、導体2を被覆する被覆部1を保持する。第2保持部40bは、シュリンクバック現象が発生したときに、被覆部1から外れることがない程度の力で被覆部1を保持できることが好ましい。第2保持部40bは、被覆部1にフィットして摩擦力によって被覆部1を保持してもよいし、溶着(例えば熱融着)によって被覆部1を保持してもよいし、接着によって被覆部1を保持してもよい。
【0019】
伸長部40cは、第1保持部40aと第2保持部40bとの間に配置された、伸長可能な部分である。伸長部40cは、絶縁性を保持しながら、シュリンクバック現象に伴って、被覆部1の長手方向に伸長するように構成されていることが好ましい。伸長部40cの例には、蛇腹形状を含む構成や、伸長部40cが第1保持部40aおよび第2保持部40bとは厚さが異なる構成、伸長できるような厚さになっている部分を含む構成などが含まれる。本実施の形態において、伸長部40cは蛇腹形状を含む構成である。
【0020】
(効果)
本発明の実施の形態に係る導体保護具40は、シュリンクバック現象に伴って伸長することができる伸長部40cを有する。そのため、シュリンクバック現象が発生しても導体2が露出することを抑制でき、導体2を保護し続けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の実施の形態に係る導体保護具40は、シュリンクバック現象が発生するような被覆部に被覆された導体2を保護するのに有用である。
【符号の説明】
【0022】
1 被覆部
2 導体
3 端子
3a 第1接続部
3b 第2接続部
4、40 導体保護具
10 端子付き被覆導体
40a 第1保持部
40b 第2保持部
40c 伸長部
図1
図2
図3