(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156353
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置、並びに該インクジョット記録装置を備えるデータ転送システム及びデータ転送方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241029BHJP
B41J 2/035 20060101ALI20241029BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20241029BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20241029BHJP
B41J 2/195 20060101ALI20241029BHJP
G16Y 40/35 20200101ALI20241029BHJP
【FI】
B41J2/01
B41J2/035
B41J2/175 301
B41J2/175 501
B41J2/165 201
B41J2/195
G16Y40/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070744
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山川 英樹
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB07
2C056EB12
2C056EB15
2C056EB20
2C056EB24
2C056EB30
2C056EB32
2C056EB35
2C056EB38
2C056EB39
2C056EB53
2C056EB59
2C056EC26
2C056FA05
2C056FA07
2C056JB15
2C056KB08
2C056KB16
2C056KB37
2C056KC02
2C057BD07
2C057DB02
2C057DD06
(57)【要約】
【課題】トラブル解決に資する内部データを容易に取得させて使い勝手を向上させる。
【解決手段】インクジェット記録装置Iは、加圧状態、帯電状態、偏向状態及び回収状態のうちの少なくとも1つを含む、インクジェット記録装置Iの稼動状態を示すパラメータ値201を取得する稼動状態取得部と、ユーザから2次元コード311の生成指令を受け付けるための受付画面300を表示する表示部103aと、表示部103aの受付画面300を介して生成指令を受け付けると、稼動状態取得部により取得されたパラメータ値201のうち、予め規定された種別のパラメータセット202を構成するパラメータ値201をエンコードして2次元コード311を生成するコード生成部101fと、を備え、表示部103aは、コード生成部101fにより生成された2次元コード311を表示可能に構成されている。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを蓄えるインクタンクと、
前記インクタンクから送出されるインクを加圧することで、粒子状のインクにして吐出する吐出機構と、
前記吐出機構により吐出される粒子状のインクを帯電させる帯電電極と、
前記帯電電極により帯電されたインクの飛翔方向を偏向させる偏向電極と、
前記偏向電極により非偏向とされたインクを回収するガターと、を備え、
前記偏向電極により偏向されたインクを印字対象物に着弾させることで印字を行うインクジェット記録装置であって、
前記吐出機構における加圧状態、前記帯電電極における帯電状態、前記偏向電極における偏向状態、及び、前記ガターにおける回収状態のうちの少なくとも1つを含む、前記インクジェット記録装置の稼動状態を示すパラメータ値を取得する稼動状態取得部と、
ユーザから2次元コードの生成指令を受け付けるための受付画面を表示する表示部と、
前記表示部の受付画面を介して前記生成指令を受け付けると、前記稼動状態取得部により取得されたパラメータ値のうち、予め規定された種別のパラメータセットを構成するパラメータ値をエンコードして2次元コードを生成するコード生成部と、を備え、
前記表示部は、前記コード生成部により生成された2次元コードを表示可能に構成されている
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、
前記コード生成部は、前記予め規定された種別のパラメータセットを構成するパラメータ値に加えて、インターネット上の所定サーバにアクセスするためのアクセス情報を併せてエンコードすることで2次元コードを生成する
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、
ユーザから複数の異なる前記生成指令を受け付けるための複数のオブジェクトの各々に、複数の異なる前記パラメータセットのうちのいずれか1つを対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記表示部は、前記受付画面に前記複数のオブジェクトを表示し、
前記コード生成部は、
前記受付画面を介して前記複数のオブジェクトのうちのいずれか1つの選択を受け付けることで、前記生成指令を受け付けるとともに、
前記生成指令を受け付けると、前記記憶部に記憶されかつ前記受付画面を介して選択された一のオブジェクトに対応付いた前記パラメータセットのパラメータ値をエンコードすることで、2次元コードを生成する
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、
前記インクジェット記録装置の稼動状態を示すパラメータ値を時系列に沿ってロギングしてログデータを生成するログデータ生成部を備え、
前記コード生成部は、前記予め規定された種別のパラメータセットを構成するパラメータ値に、前記ログデータ生成部により生成されたログデータを含める
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、
前記インクタンクに溶剤を供給する溶剤供給部を備え、
前記インクジェット記録装置の稼動状態は、前記溶剤供給部における供給状態をさらに含む
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載されたインクジェット記録装置において、
前記溶剤供給部は、
溶剤を収容する収容部材と、
前記収容部材及び前記インクタンクを接続し、前記収容部材から前記インクタンクに溶剤を供給するための供給経路と、
前記供給経路の途中に配置され、前記収容部材内の溶剤を前記インクタンクに送り込むポンプと、を備え、
前記溶剤供給部における供給状態は、前記収容部材における溶剤の残量と、前記ポンプの稼動状態と、を含む
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項7】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、
前記インクタンクに溶剤を供給する溶剤供給部と、
前記溶剤供給部から供給される溶剤により、前記吐出機構を洗浄する洗浄動作部と、を備え、
前記インクジェット記録装置の稼動状態は、前記溶剤供給部における供給状態と、前記洗浄動作部の洗浄履歴と、をさらに含む
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項8】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、
前記インクタンクに溶剤を供給する溶剤供給部と、
前記インクタンク内のインクの粘度を測定する粘度測定部と、を備え、
前記インクジェット記録装置の稼動状態は、前記粘度測定部により測定されるインクの粘度を含む
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項9】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、
前記インクタンク内のインクの温度を測定する温度測定部を備え、
前記インクジェット記録装置の稼動状態は、前記温度測定部により測定されるインクの温度を含む
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項10】
請求項1に記載されたインクジェット記録装置において、
前記コード生成部は、前記予め規定された種別のパラメータセットのデータ量に応じて、1つ又は複数の2次元コードを生成する
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載されたインクジェット記録装置と、
携帯通信端末と、
インターネットを介して前記携帯通信端末と接続されるサーバと、を備え、
前記稼動状態取得部によって取得される前記インクジェット記録装置の稼動状態を、前記携帯通信端末を介して前記サーバに転送するように構成されたデータ転送システムであって、
前記インクジェット記録装置の前記コード生成部は、前記予め規定された種別のパラメータセットを構成するパラメータ値に加えて、前記サーバにアクセスするためのアクセス情報を併せてエンコードすることで2次元コードを生成し、
前記携帯通信端末は、
前記インクジェット記録装置の前記表示部に表示され、かつ前記アクセス情報が併せてエンコードされた2次元コードを撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された2次元コードをデコードすることで、該2次元コードに対応した前記インクジェット記録装置の稼動状態を取得するデコード部と、
前記アクセス情報によって特定された前記サーバに対し、前記デコード部により取得された前記稼動状態をアップロードするアップロード部と、を備え、
前記サーバは、前記アップロード部によりアップロードされた前記稼動状態を保存する保存部を備える
ことを特徴とするデータ転送システム。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか1項に記載されたインクジェット記録装置と、
携帯通信端末と、
インターネットを介して前記携帯通信端末と接続されるサーバと、を用いることで、
前記稼動状態取得部によって取得される前記インクジェット記録装置の稼動状態を、前記携帯通信端末を介して前記サーバに転送するように構成されたデータ転送方法であって、
前記インクジェット記録装置の前記コード生成部が、前記予め規定された種別のパラメータセットを構成するパラメータ値に加えて、前記サーバにアクセスするためのアクセス情報を併せてエンコードすることで2次元コードを生成するステップと、
前記携帯通信端末が、前記インクジェット記録装置の前記表示部に表示され、かつ前記アクセス情報が併せてエンコードされた2次元コードを撮像するステップと、
前記携帯通信端末が、撮像された2次元コードをデコードすることで、該2次元コードに対応した前記インクジェット記録装置の稼動状態を取得するステップと、
前記携帯通信端末が、前記アクセス情報によって特定された前記サーバに対し、前記2次元コードをデコードすることで取得された前記稼動状態をアップロードするステップと、
前記サーバが、前記携帯通信端末によりアップロードされた前記稼動状態を保存するステップと、を備える
ことを特徴とするデータ転送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インクジェット記録装置、並びに該インクジョット記録装置を備えるデータ転送システム及びデータ転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の印字対象物に印字を行うためのインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ワークに印字を行っていないときであっても、装置内部にインク(インク液)を循環させる、いわゆるコンティニュアス式のインクジェット記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に記載されているようなインクジェット記録装置(以下、単に「装置」と記載)には、インクを加圧する吐出機構における圧力調整、インクを帯電させる帯電電極における帯電電圧の調整、インクの飛翔方向を偏向させる偏向電極における偏向電圧の調整、溶剤によるインクの粘度調整等、最適な印字を行うためには様々な調整が必要になる。
【0006】
それらの調整は、装置の使用環境(例えば、環境温度)、印字対象物の種類なども考慮して行う必要があるため、当該装置の使用に不慣れなユーザにとって容易なものではない。
【0007】
そのため、なんらかのトラブルにより所望の印字が実現されない場合、ユーザは、いわゆるサポートセンターに問い合わせをし、所望の印字を実現するための対処法を相談することが多かった。この場合、装置の現状及び過去の状態を示す内部データさえあれば、トラブル解決もスムースに行うことができる。しかし、そうした内部データを得るためには、装置のユーザに、複雑な操作を実行させる必要がある。ところが、前述のように、そもそも装置の使用に不慣れなユーザに、複雑な操作を実行させるのは容易ではない。
【0008】
そこで、近年、装置の内部データを得るためのユーザ利便性の向上を目的として、例えば、マクロプログラムが格納されたUSBメモリを装置に挿し込んだり、インターネット等の外部ネットワーク経由で装置にリモート接続したりすることも考えられている。この場合、ユーザに複雑な操作を実行させずとも、トラブル解決に資する情報が、装置から自動的に読み出されることになる。
【0009】
しかしながら、ユーザによっては、セキュリティの都合上、装置に対してUSBメモリ、外部ネットワーク等との直接接続が禁止されている場合がある。この場合、サポートセンターの担当者は、結局のところ、メール、電話等を用いてユーザに直接指示を出し、従来と同じように、ユーザに複雑な操作を実行させざるを得なかった。ユーザの手間を考えると、こうした現状は不都合である。
【0010】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、セキュリティを損なうことなく、トラブル解決に資する内部データを容易に取得させて使い勝手を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第1の態様は、インクを蓄えるインクタンクと、前記インクタンクから送出されるインクを加圧することで、粒子状のインクにして吐出する吐出機構と、前記吐出機構により吐出される粒子状のインクを帯電させる帯電電極と、前記帯電電極により帯電されたインクの飛翔方向を偏向させる偏向電極と、前記偏向電極により非偏向とされたインクを回収するガターと、を備え、前記偏向電極により偏向されたインクを印字対象物に着弾させることで印字を行うインクジェット記録装置に係る。
【0012】
そして、前記第1の態様によれば、前記インクジェット記録装置は、前記吐出機構における加圧状態、前記帯電電極における帯電状態、前記偏向電極における偏向状態、及び、前記ガターにおける回収状態のうちの少なくとも1つを含む、前記インクジェット記録装置の稼動状態を示すパラメータ値を取得する稼動状態取得部と、ユーザから2次元コードの生成指令を受け付けるための受付画面を表示する表示部と、前記表示部の受付画面を介して前記生成指令を受け付けると、前記稼動状態取得部により取得されたパラメータ値のうち、予め規定された種別のパラメータセットを構成するパラメータ値をエンコードして2次元コードを生成するコード生成部と、を備え、前記表示部は、前記コード生成部により生成された2次元コードを表示可能に構成されている。
【0013】
前記第1の態様によると、ユーザは、複雑な操作を実行せずとも、受付画面上で2次元コードの生成指令を行う(例えば、画面上のGUIを操作する)だけで、インクジェット記録装置の内部データを容易に取得することができる。
【0014】
また、インクジェット記録装置にUSBメモリ、外部ネットワーク等を直接接続せずとも、スマートフォン等によって2次元コードを撮像し、その撮像内容を、電子メール等を通じてサポートセンターに送るだけで、装置の内部データを伝達することができる。これにより、セキュリティを確保することと、使い勝手の向上とを両立させることができる。
【0015】
特に、全てのパラメータ値ではなく、「予め規定された種別のパラメータセット」のパラメータ値に絞ってエンコードするので、トラブル解決に資する内部データを簡単に取得することができ、使い勝手の向上に有利になる。
【0016】
また、本開示の第2の態様によれば、前記コード生成部は、前記予め規定された種別のパラメータセットを構成するパラメータ値に加えて、インターネット上の所定サーバにアクセスするためのアクセス情報を併せてエンコードすることで2次元コードを生成する、としてもよい。
【0017】
前記第2の態様によると、ユーザは、複雑な操作を実行せずとも、スマートフォン等の携帯通信端末を使って2次元コードを撮像及びデコードし、そのデコードによって取得されたアクセス情報(例えばURL)を使って所定サーバにアクセスすれば、そのサーバに上記内部データ(パラメータ値)を送信することができる。このことは、トラブル解決に資する内部データを容易に取得させて使い勝手を向上させる上で有効である。
【0018】
また、内部データの送信に際し、全てのパラメータ値ではなく、「予め規定された種別のパラメータセット」のパラメータ値に絞ってエンコードするので、そのパラメータ値の全データ量を、携帯通信端末での通信に使用されるURLのデータ量制限(例えば255文字)以下に収める上で有利になる。これにより、トラブル解決に資する内部データを、所定サーバへと容易に送ることができる。このことは、使い勝手の向上に資する。
【0019】
また、本開示の第3の態様によれば、前記インクジェット記録装置は、ユーザから複数の異なる前記生成指令を受け付けるための複数のオブジェクトの各々に、複数の異なる前記パラメータセットのうちのいずれか1つを対応付けて記憶する記憶部を備え、前記表示部は、前記受付画面に前記複数のオブジェクトを表示し、前記コード生成部は、前記受付画面を介して前記複数のオブジェクトのうちのいずれか1つの選択を受け付けることで、前記生成指令を受け付けるとともに、前記生成指令を受け付けると、前記記憶部に記憶されかつ前記受付画面を介して選択された一のオブジェクトに対応付いた前記パラメータセットのパラメータ値をエンコードすることで、2次元コードを生成する、としてもよい。
【0020】
前記第3の態様によると、例えば、想定されるトラブルの種別に応じてパラメータセットを事前に規定しておくことで、発生したトラブルの内容に応じて、より適切な(トラブル解決に役立つ)内部データを、より容易に取得することができるようになる。
【0021】
また、本開示の第4の態様によれば、前記インクジェット記録装置は、前記インクジェット記録装置の稼動状態を示すパラメータ値を時系列に沿ってロギングしてログデータを生成するログデータ生成部を備え、前記コード生成部は、前記予め規定された種別のパラメータセットを構成するパラメータ値に、前記ログデータ生成部により生成されたログデータを含める、としてもよい。
【0022】
前記第4の態様によると、パラメータ値にログデータを含めることで、そのパラメータ値の経時変化等を判断することが可能となり、ひいては、トラブル解決に有利になる。
【0023】
また、本開示の第5の態様によれば、前記インクジェット記録装置は、前記インクタンクに溶剤を供給する溶剤供給部を備え、前記インクジェット記録装置の稼動状態は、前記溶剤供給部における供給状態をさらに含む、としてもよい。
【0024】
前記第5の態様によると、稼動状態に前記供給状態を含めることで、インクジェット記録装置に特有のトラブルに対応することができるようになる。これにより、トラブル解決に有利になる。
【0025】
また、本開示の第6の態様によれば、前記溶剤供給部は、溶剤を収容する収容部材と、前記収容部材及び前記インクタンクを接続し、前記収容部材から前記インクタンクに溶剤を供給するための供給経路と、前記供給経路の途中に配置され、前記収容部材内の溶剤を前記インクタンクに送り込むポンプと、を備え、前記溶剤供給部における供給状態は、前記収容部材における溶剤の残量と、前記ポンプの稼動状態と、を含む、としてもよい。
【0026】
前記第6の態様によると、稼動状態に溶剤の残量とポンプの稼動状態とを含めることで、インクジェット記録装置に特有のトラブルに対応することができるようになる。これにより、トラブル解決に有利になる。
【0027】
また、本開示の第7の態様によれば、前記インクジェット記録装置は、前記インクタンクに溶剤を供給する溶剤供給部と、前記溶剤供給部から供給される溶剤により、前記吐出機構を洗浄する洗浄動作部と、を備え、前記インクジェット記録装置の稼動状態は、前記溶剤供給部における供給状態と、前記洗浄動作部の洗浄履歴と、をさらに含む、としてもよい。
【0028】
前記第7の態様によると、稼動状態に、溶剤の供給状態と、洗浄動作部の洗浄履歴と、を含めることで、インクジェット記録装置に特有のトラブルに対応することができるようになる。これにより、トラブル解決に有利になる。
【0029】
また、本開示の第8の態様によれば、前記インクジェット記録装置は、前記インクタンクに溶剤を供給する溶剤供給部と、前記インクタンク内のインクの粘度を測定する粘度測定部と、を備え、前記インクジェット記録装置の稼動状態は、前記粘度測定部により測定されるインクの粘度を含む、としてもよい。
【0030】
前記第8の態様によると、稼動状態に、インクタンク内のインクの粘度を含めることで、インクジェット記録装置に特有のトラブルに対応することができるようになる。これにより、トラブル解決に有利になる。
【0031】
また、本開示の第9の態様によれば、前記インクジェット記録装置は、前記インクタンク内のインクの温度を測定する温度測定部を備え、前記インクジェット記録装置の稼動状態は、前記温度測定部により測定されるインクの温度を含む、としてもよい。
【0032】
前記第9の態様によると、稼動状態に、インクタンク内のインクの温度を含めることで、インクジェット記録装置に特有のトラブルに対応することができるようになる。これにより、トラブル解決に有利になる。
【0033】
また、本開示の第10の態様によれば、前記コード生成部は、前記予め規定された種別のパラメータセットのデータ量に応じて、1つ又は複数の2次元コードを生成する、としてもよい。
【0034】
前記第10の態様によると、これにより、パラメータセットのデータ量が相対的に大きい場合であっても、2次元コードを滞りなく生成することができる。これにより、トラブル解決に資する内部データを容易に取得させ、ひいては装置の使い勝手を向上させる上で有利になる。
【0035】
また、本開示の第11の態様は、前記インクジェット記録装置と、携帯通信端末と、インターネットを介して前記携帯通信端末と接続されるサーバと、を備え、前記稼動状態取得部によって取得される前記インクジェット記録装置の稼動状態を、前記携帯通信端末を介して前記サーバに転送するように構成されたデータ転送システムに係る。
【0036】
そして、前記第11の態様によれば、前記データ転送システムにおいて、前記インクジェット記録装置の前記コード生成部は、前記予め規定された種別のパラメータセットを構成するパラメータ値に加えて、前記サーバにアクセスするためのアクセス情報を併せてエンコードすることで2次元コードを生成し、前記携帯通信端末は、前記インクジェット記録装置の前記表示部に表示され、かつ前記アクセス情報が併せてエンコードされた2次元コードを撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された2次元コードをデコードすることで、該2次元コードに対応した前記インクジェット記録装置の稼動状態を取得するデコード部と、前記アクセス情報によって特定された前記サーバに対し、前記デコード部により取得された前記稼動状態をアップロードするアップロード部と、を備え、前記サーバは、前記アップロード部によりアップロードされた前記稼動状態を保存する保存部を備える。
【0037】
前記第11の態様によると、セキュリティを損なうことなく、トラブル解決に資する内部データを、サーバに容易に取得させることができる。このことは、使い勝手の向上に有効である。
【0038】
また、本開示の第12の態様は、前記インクジェット記録装置と、携帯通信端末と、インターネットを介して前記携帯通信端末と接続されるサーバと、を用いることで、前記稼動状態取得部によって取得される前記インクジェット記録装置の稼動状態を、前記携帯通信端末を介して前記サーバに転送するように構成されたデータ転送方法に係る。
【0039】
そして、前記第12の態様によれば、前記データ転送方法は、前記インクジェット記録装置の前記コード生成部が、前記予め規定された種別のパラメータセットを構成するパラメータ値に加えて、前記サーバにアクセスするためのアクセス情報を併せてエンコードすることで2次元コードを生成するステップと、前記携帯通信端末が、前記インクジェット記録装置の前記表示部に表示され、かつ前記アクセス情報が併せてエンコードされた2次元コードを撮像するステップと、前記携帯通信端末が、撮像された2次元コードをデコードすることで、該2次元コードに対応した前記インクジェット記録装置の稼動状態を取得するステップと、前記携帯通信端末が、前記アクセス情報によって特定された前記サーバに対し、前記2次元コードをデコードすることで取得された前記稼動状態をアップロードするステップと、前記サーバが、前記携帯通信端末によりアップロードされた前記稼動状態を保存するステップと、を備える。
【0040】
前記第12の態様によると、セキュリティを損なうことなく、トラブル解決に資する内部データを、サーバに容易に取得させることができる。このことは、使い勝手の向上に有効である。
【発明の効果】
【0041】
以上説明したように、本開示によれば、セキュリティを損なうことなく、トラブル解決に資する内部データを容易に取得させて使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、インクジェット記録システムの全体構成を例示する図である。
【
図2】
図2は、インクジェット記録装置の概略構成を例示するブロック図である。
【
図3】
図3は、印字ヘッドの概略構成を例示する図である。
【
図4A】
図4Aは、2次元コードに係る処理の基本概念を説明するための図である。
【
図4B】
図4Bは、オブジェクトとパラメータセットとの対応関係を説明するための図である。
【
図5】
図5は、2次元コードに係る処理の具体例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、2次元コードに係る処理の別例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、立ち上げ処理に関する表示画面を例示する図である。
【
図8】
図8は、立ち上げ処理後の表示画面を例示する図である。
【
図9】
図9は、モード遷移ボタンのレイアウトを例示する図である。
【
図10】
図10は、複数のオブジェクトのレイアウトを例示する図である。
【
図11A】
図11Aは、各オブジェクトに対応付いたパラメータセットを例示する図である。
【
図11B】
図11Bは、各オブジェクトに対応付いたパラメータセットを例示する図である。
【
図12】
図12は、2次元コードの表示態様の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、2次元コードの表示態様の別例を示す図である。
【
図14】
図14は、データ転送システムの全体構成を例示する図である。
【
図15】
図15は、データ転送システムにおける携帯通信端末の概略構成を例示するブロック図である。
【
図16】
図16は、データ転送システムにおけるサーバの概略構成を例示するブロック図である。
【
図17】
図17は、データ転送システムにおいて携帯通信端末が行う処理を例示するフローチャートである。
【
図18】
図18は、データ転送システムにおいてサーバが行う処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。
【0044】
すなわち、本明細書では、インクジェット記録装置の一例として、産業用インクジェットプリンタについて説明するが、ここに開示する技術は、インクジェット記録装置及び産業用インクジェットプリンタという名称に関わらず、粒子状のインクを飛翔させてワーク等の印字対象物に着弾させるように構成された一般の機器に適用することができる。
【0045】
また、本明細書においては、インクジェット記録装置による印字について説明するが、ここでいう「印字」には、文字の印刷、図形のマーキング等、インクジェットを応用したあらゆる加工処理が含まれる。
【0046】
<全体構成>
図1はインクジェット記録システムSの全体構成を例示する図である。また、
図2はインクジェット記録装置Iの概略構成を例示する図であり、
図3はインクジェット記録装置Iにおける印字ヘッド1の概略構成を例示する図である。そして、
図4Aはインクジェット記録装置Iにおけるインク及び溶剤の経路を例示する図であり、
図4Bは、オブジェクト310とパラメータセット202との対応関係を説明するための図である。
図1に例示するインクジェット記録システムSは、例えば工場等の搬送ラインLに設置されており、その搬送ラインLを流れる各印字対象物Wに対し、順番に印字を施すように構成されている。なお、本開示の適用対象は、インクジェット記録システムSには限定されない。自動以外の方法を用いた印字システムに適用することができる。搬送ラインLは、例えばベルトコンベア等で構成することができる。
【0047】
なお、
図1に示すインクジェット記録システムS及びインクジェット記録装置Iは、後述のデータ転送システムTの構築に用いることもできる(
図14参照)。
【0048】
具体的に、インクジェット記録システムSは、粒子状のインク(インク粒)を印字対象物Wに着弾させることで印字を行うインクジェット記録装置Iと、インクジェット記録装置Iに接続されて印字ヘッド1の洗浄を行う洗浄載置部700と、をインクジェット記録装置Iに接続される操作用端末800及び外部機器900と、備えている。なお、操作用端末800及び外部機器900は、必須ではない。
【0049】
図1~
図3に例示するインクジェット記録装置Iは、インク粒をノズル11bから吐出するとともに、そのインク粒を印字対象物Wに着弾させる印字ヘッド1と、この印字ヘッド1に対し制御信号、インク及び溶剤を供給するコントローラ100と、を備えている。コントローラ100が印字ヘッド1に制御信号を供給することで、インク粒の軌跡を制御する。これにより、印字対象物W上でのインク粒の着弾位置が調整されて、所望の印字が実現されるようになっている。印字ヘッド1は、支持部材2等により所定の位置に固定される。
【0050】
インクジェット記録装置Iは、コンティニュアス式のインクジェット記録装置(Continuous Ink Jet printer:CIJ)である。すなわち、インクジェット記録装置Iは、インクの揮発に起因した詰まり(特に、ノズル11bの詰まり)等を防止するために、印字を実行していないときであっても、インクジェット記録装置Iが稼働状態であれば、インクジェット記録装置Iの内部を常にインクが循環している。コンティニュアス式を採用することで、インクによる詰まりを招くことなく、速乾性のインクを用いることができるようになる。
【0051】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置Iは、溶剤を印字ヘッド1へ送り出すことで、ノズル11b等、印字ヘッド1の各部を洗浄することができるようになっている。洗浄に用いられた溶剤は、必要に応じて回収されて、インクの濃度(粘度)を調整するために再利用することができる。
【0052】
インクの循環を実現するために、印字ヘッド1は、インク又は溶剤を吐出するノズル11bに加えて、そのノズル11bから吐出されたインク又は溶剤を回収するガター16を備えている(
図3参照)。コントローラ100から印字ヘッド1へ送り込まれたインク又は溶剤は、ノズル11bから吐出されてガター16によって回収される。そうして回収されたインク又は溶剤は、コントローラ100へ送り戻されて再利用される。こうした工程を繰り返し行うことで、インクを循環させることができる。
【0053】
一方、操作用端末800は、例えば中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)及び記憶装置を有しており、コントローラ100に接続されている。この操作用端末800は、印字設定を定めるとともに、印字に関連した情報をユーザに示すための端末として機能する。
【0054】
操作用端末800により設定される印字設定は、コントローラ100に出力されて、その記憶部102に記憶される。コントローラ100の記憶部102に加えて、又は、この記憶部102に代えて、操作用端末800が印字設定を記憶してもよい。
【0055】
なお、本実施形態に係る印字設定には、印字されるべき文字列等の内容と、その文字列の印字方向と、後述の印字トリガに係る情報と、のうちの1つ以上を含めてもよい。
【0056】
なお、操作用端末800は、例えばコントローラ100に組み込んで一体化することができる。この場合は「操作用端末」という呼称ではなく、コントロールユニット等の呼称が用いられることになる。
【0057】
外部機器900は、必要に応じてコントローラ100に接続される。
図1及び
図2に示す例では、外部機器900として、ワーク検出センサ901、搬送速度センサ902及びプログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller:PLC)903が設けられている。
【0058】
具体的に、ワーク検出センサ901は、搬送ラインLにおける印字対象物Wの有無を検出し、その検出結果を示す信号(検出信号)をコントローラ100へ出力する。ワーク検出センサ901から出力される検出信号は、印字を開始するためのトリガー(印字トリガ)として機能する。
【0059】
搬送速度センサ902は、例えばロータリエンコーダから構成されており、印字対象物Wの搬送速度を検出することができる。搬送速度センサ902は、その検出結果を示す信号(検出信号)をコントローラ100へ出力する。コントローラ100は、搬送速度センサ902から入力された検出信号に基づいて、印字ヘッド1からインク粒を吐出するタイミング等を制御する。
【0060】
またPLC903は、
図2に例示するように、コントローラ100と電気的に接続されている。PLC903は、予め定めたシーケンスに従ってインクジェット記録システムSを制御するために用いられる。
【0061】
インクジェット記録装置Iには、上述した機器や装置以外にも、操作および制御を行うための装置、その他の各種処理を行うためのコンピュータ、記憶装置、周辺機器等を接続することもできる。その場合の接続方式は、有線接続及び無線接続のどちらであってもよい。
【0062】
<コントローラ100>
コントローラ100は、印字ヘッド1を電気的に制御するとともに、印字用のインク、および、インクを希釈するための溶剤を印字ヘッド1へ供給することができるように構成されている。
【0063】
具体的に、本実施形態に係るコントローラ100は、電気的な制御に関連した構成要素として、前述の印字設定を記憶する記憶部102と、コントローラ100及び印字ヘッド1の各部を制御する制御部101と、ユーザによる操作を受け付けるとともに、ユーザへ情報を表示する操作表示部103と、を備えている。
【0064】
コントローラ100はまた、インク等の供給に関連した構成要素として、インク供給部104と、溶剤供給部105と、インクタンク106と、を備えている。これらの構成要素は、印字ヘッド1と直接的に又は間接的に流体接続されている。
【0065】
インク供給部104は、インクが収容されるインクカートリッジ41を着脱可能に受け入れるインクリザーバ42を有している。一方、溶剤供給部105は、溶剤が収容される溶剤カートリッジ51を着脱可能に受け入れる溶剤リザーバ52を有している。後述の吹出制御と関係するが、インクリザーバ42は、空の溶剤カートリッジ51を受け入れることもできる。
【0066】
また、インクタンク106は、インクリザーバ42に受け入れられたインクカートリッジ41からのインクと、溶剤リザーバ52に受け入れられた溶剤カートリッジ51からの溶剤と、を印字用インクとして蓄える。ここでいう「印字用インク」は、溶剤とインクとの混合物(例えば、溶剤によって濃度調整されたインク)を意味する。
【0067】
そして、印字ヘッド1は、インクタンク106からの印字用インクによって印字する。印字ヘッド1はまた、溶剤供給部105からインクタンク106を迂回して供給された溶剤によってノズル11b等を洗浄する。
【0068】
制御部101と、インク供給部104及び溶剤供給部105とは、別ユニットで構成されていてもよい。記憶部102も、インク供給部104及び溶剤供給部105とは、別ユニットで構成されていてもよい。操作表示部103も、インク供給部104及び溶剤供給部105とは、別ユニットで構成されていてもよい。これらの場合も、構成要素を合わせてコントローラ100とすることができる。
【0069】
また、インク供給部104とインクタンク106とを独立した構成要素とみなしたことは、便宜上の分類に過ぎない。インクの供給に関連しているという観点から、インクタンク106をインク供給部104の一要素とみなしてもよい。
【0070】
(記憶部102)
記憶部102は、後述の操作表示部103、又は、操作用端末800を介して設定された印字設定を記憶するとともに、外部からの制御信号に基づいて、記憶した印字設定を制御部101へと出力するように構成されている。
【0071】
具体的に、記憶部102は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)等を用いて構成されており、印字設定を示す情報を一時的又は継続的に記憶することができる。なお、操作用端末800をコントローラ100に組み込んだ場合には、操作用端末800が記憶部102を兼用してもよい。
【0072】
(制御部101)
制御部101は、記憶部102に記憶された印字設定に基づいて、少なくとも、コントローラ100におけるインク供給部104及び溶剤供給部105と、印字ヘッド1におけるノズル11b、帯電電極13及び偏向電極15と、を制御する。制御部101が各部を制御することにより、印字対象物Wへの印字が所定のタイミングで実施される。
【0073】
具体的に、制御部101は、例えばCPU、メモリ、入出力バス等を有しており、操作表示部103又は操作用端末800を介して入力された情報を示す信号と、記憶部102から読み込んだ印字設定を示す信号と、に基づいて制御信号を生成する。制御部101は、そうして生成した制御信号をコントローラ100及びインクジェット記録装置Iの各部へと出力することにより、印字対象物Wに対する印字を制御する。
【0074】
例えば制御部101は、印字対象物Wに印字するときには、記憶部102に記憶された印字対象物Wへの印字内容を読み込んで、その印字内容に基づいた制御信号を生成する。そして、制御部101は、その制御信号を帯電電極13へと出力することで、印字内容に対応した着弾位置を実現するようにインク粒の飛翔方向を設定する。
【0075】
-制御部101における他の機能的要素-
その他、本実施形態に係る制御部101は、ノズル洗浄制御部101a、ヘッド洗浄制御部101b、コード生成部101f、ログデータ生成部101g等を備えている。これらの要素の詳細は、後述する。
【0076】
(操作表示部103)
図1に示すように、操作表示部103は、ユーザに情報を表示する表示部103aと、ユーザによる操作を受け付ける操作部103bと、を備えている。操作表示部103は、例えばコントローラ100を構成する筐体等に設けることができるが、筐体とは別に構成し、筐体とは異なる箇所に設定するようにしてもよい。また、操作用端末800をコントローラ100に組み込んだ場合には、操作用端末800が操作表示部103を兼用してもよい。
【0077】
表示部103aは、インクジェット記録装置Iに関連した種々の情報を表示する。表示部103aは、例えば液晶表示パネルや有機EL表示パネル等で構成されており、制御部101からの制御信号を受けて表示態様を変化させる。表示部103aは、インクジェット記録システムSの各部を動作させるためのユーザインターフェースを表示したり、印字設定を定めるためのユーザインターフェースを表示したり、後述の2次元コード生成制御に関連した受付画面300を表示したりすることができる。
【0078】
操作部103bは、例えば、タッチ式操作パネルやボタン、スイッチ等によって構成されている。ユーザが操作部103bを操作すると、その操作入力に対応した情報(操作情報)が制御部101に入力され、制御部101はどのような操作が行われたかを検知することができる。例えば、操作部103bを操作することで、インクジェット記録装置Iの電源ON/OFF等を切替えたり、各種設定、情報の入力等を行ったりすることができる。
【0079】
この操作表示部103は、前述の操作用端末800と同様に、印字設定を設定することもできる。操作表示部103により設定される印字設定は、コントローラ100に出力されて、その記憶部102に記憶される。以下の記載では、ユーザが操作表示部103を操作するケースを前提に説明するが、操作表示部103の代わりに操作用端末800を用いることもできる。
【0080】
(インク供給部104)
インク供給部104は、そのインクカートリッジ41からのインクを、印字用インクとして印字ヘッド1のノズル11bに供給する。その際、インク供給部104からのインクは、インクタンク106を介して印字ヘッド1に供給される。
【0081】
具体的に、本実施形態に係るインク供給部104は、主たる構成要素として、前述のインクカートリッジ41及びインクリザーバ42と、インク供給管43と、を有している。インク供給管43は、インクカートリッジ41及び印字ヘッド1を流体的に接続している。インクタンク106は、インクカートリッジ41から印字ヘッド1に至るインク供給管43の途中に配置されている。
【0082】
このうち、インクカートリッジ41は、インクを収容する。インクリザーバ42は、このインクカートリッジ41を着脱可能に受け入れる。インクリザーバ42に対してインクカートリッジ41を付け替えることで、インクタンク106にインクを補充することができる。すなわち、本実施形態に係るインクジェット記録装置Iは、いわゆる「カートリッジ式」のインクジェットプリンタとして構成されている。
【0083】
インク供給管43は、印字ヘッド1に印字用インクを供給するための経路を構成している。インク供給管43によって構成される経路によって、印字ヘッド1とコントローラ100との間でインクを循環させることができる。
【0084】
また、インク供給管43には、複数の開閉弁と、複数のポンプと、が設けられている。このうち、各開閉弁は、それぞれ電磁弁によって構成されている。各開閉弁は、制御部101から出力された制御信号を受けて開閉し、インクの流れを制御することができる。一方、各ポンプは、制御部101から出力された制御信号を受けてインクを圧送し、開閉弁と同様に、インクの流れを制御することができる。なお、開閉弁のうちの少なくとも一部は、電磁弁の代わりに手動コックとしてもよい。
【0085】
(溶剤供給部105)
溶剤供給部105は、その溶剤カートリッジ51からの溶剤を、インクと同様にインクタンク106に供給したり、溶剤単体でノズル11bに供給したりする。前者の溶剤は、インクを濃度調整することで、そのインクと共に印字用インクを構成して印字ヘッド1に供給される。
【0086】
ここで、インクと共に印字用インクを構成する場合(つまり、印字ヘッド1に印字させる場合)、溶剤供給部105からの溶剤は、インクタンク106を介してノズル11bに導かれることになる。一方、溶剤単体で供給される場合(つまり、ノズル11bを洗浄する場合)、溶剤供給部105からの溶剤は、インクタンク106を介さずにノズル11bに導かれる。
【0087】
具体的に、本実施形態に係る溶剤供給部105は、主たる構成要素として、前述の溶剤カートリッジ51及び溶剤リザーバ52と、溶剤供給管53と、を有している。溶剤供給管53は、溶剤カートリッジ51及び印字ヘッド1と、溶剤カートリッジ51及びインクタンク106と、をそれぞれ流体的に接続している。
【0088】
このうち、溶剤カートリッジ51は、溶剤を収容する。溶剤リザーバ52は、この溶剤カートリッジ51を着脱可能に受け入れる。溶剤リザーバ52に対して溶剤カートリッジ51を付け替えることで、濃度調整用の溶剤と、洗浄用の溶剤とを補充することができる。すなわち、本実施形態に係るインクジェット記録装置Iは、溶剤についても「カートリッジ式」のインクジェットプリンタとして構成されている。溶剤カートリッジ51は、本実施形態における「収容部材」の例示である。なお、収容部材は、溶剤カートリッジ51には限定されない。いわゆるタンク式のインクジェットプリンタにおける「溶剤タンク」を、本開示に係る「収容部材」としてもよい。
【0089】
溶剤供給管53は、溶剤カートリッジ51からインクタンク106に溶剤を供給したり、インクタンク106の非介在下で、溶剤カートリッジ51から印字ヘッド1に溶剤を供給したりするための経路を構成している。それらの経路によって、インク及び溶剤から印字用インクを生成したり、印字ヘッド1を溶剤によって洗浄したりすることができる。溶剤供給管53は、本実施形態における「供給経路」の例示である。
【0090】
なお、インク供給管43及び溶剤供給管53という分類は、説明を簡潔にするためになされた便宜上の分類に過ぎない。インク供給管43及び溶剤供給管53は、相互に接続されていたり、一方が他方を兼ねていたりするため、実質的に不可分となっている。
【0091】
また、溶剤供給管53には、複数の開閉弁と、複数のポンプ131と、が設けられている(ポンプ131は、
図2にのみ図示)。このうち、各開閉弁は、それぞれ電磁弁によって構成されている。各開閉弁は、制御部101から出力された制御信号を受けて開閉し、溶剤の流れを制御することができる。一方、各ポンプ131は、制御部101から出力された制御信号を受けて溶剤を圧送し、電磁弁と同様に、溶剤の流れを制御することができる。なお、上述したように、電磁弁の代わりに手動コックを用いても構わない。
【0092】
特に、本実施形態に係る各ポンプ131は、供給経路としての溶剤供給管53の途中に配置されている。各ポンプ131は、前述のように溶剤の流れを制御することで、収容部材としての溶剤カートリッジ51内の溶剤を、インクタンク106に送り込む。
【0093】
(インクタンク106)
インクタンク106は、インクカートリッジ41からのインクと、溶剤カートリッジ51からの溶剤と、を蓄えるように構成されている。詳細には、このインクタンク106は、溶剤によって濃度(粘度)調整されたインク、すなわちインクと溶剤の混合物を収容する容器によって構成されている。
【0094】
インクタンク106からノズル11bへと供給された印字用インクは、印字時には印字対象物Wの表面に着弾する一方、非印字時にはガター16によって収集されてインクタンク106に送り戻される。これにより、印字用インクの循環が実現される。
【0095】
また、洗浄のためにノズル11bへと供給された溶剤についても、ガター16によって収集し、その後、例えば溶剤専用のコンディショニングタンク(不図示)を経てインクタンク106に送り込み、インクの濃度調整に再利用することができる。
【0096】
また、インクタンク106には、タンク内の液位(いわゆる液面レベル)を検出するための貯留センサ106aが設けられている。貯留センサ106aは、制御部101と電気的に接続されており、その検出信号をコントローラ100に入力する。貯留センサ106aは、電極式のレベルセンサによって構成してもよいし、フロート式のレベルセンサによって構成してもよいし、静電容量式のレベルセンサによって構成してもよい。
【0097】
(他の構成要素)
コントローラ100には,制御信号を送受するための電源配線と、インクを送受するためのチューブ(具体的には、インク供給管43を構成するチューブ)と、溶剤を送受するためのチューブ(具体的には、溶剤供給管53を構成するチューブ)と、が束になって被覆された接続ケーブル107が設けられている。この接続ケーブル107は可撓性を有しており、印字ヘッド1の上端部に接続されている(
図1を参照)。コントローラ100と印字ヘッド1は、この接続ケーブル107を介して電気的にかつ流体的に接続されている。
【0098】
<印字ヘッド1>
印字ヘッド1は、コントローラ100から供給される制御信号、インク及び溶剤に基づいて濃度調整されたインク(印字用インク)を、粒子状のインクにして吐出する。印字ヘッド1は、そうして吐出されたインクの飛翔方向を偏向せしめるとともに、偏向されたインクを印字対象物Wの表面に着弾させることで、その印字対象物Wに対し印字を実行することができる。その際の印字の詳細は、前述の印字設定に従う。印字ヘッド1は、印字設定に従って、印字対象物Wの各々に対して順次印字することができる。
【0099】
具体的に、本実施形態に係る印字ヘッド1は、
図3に示すように、インクタンク106から送出されるインクを加圧することで、粒子状のインクにして吐出する吐出機構11と、吐出機構11のノズル11bから吐出された粒子状の印字用インクを帯電させる帯電電極13と、帯電電極13により帯電された印字用インクの飛翔方向を偏向させる偏向電極15と、偏向電極15により非偏向とされた印字用インク、又は、ノズル11bから吐出された溶剤を回収するガター16と、洗浄ノズル19と、を備えている。本実施形態に係るインクジェット記録装置Iは、偏向電極15により偏向されたインクを印字対象物に着弾させることで印字を行う。
【0100】
その他、各種パラメータ値の取得に関連した要素として、印字ヘッド1は、印字用インクの帯電状態を監視する帯電検出センサ14と、インクがガター16に入っているか否かを検知するガターセンサ16bと、を備えている。
【0101】
印字ヘッド1は、吐出機構11、帯電電極13、帯電検出センサ14、偏向電極15、ガター16、ガターセンサ16b及び洗浄ノズル19を内部に収容し、かつ、インク粒の飛翔空間S1を区画する筐体10を備えている。この印字ヘッド1は、偏向電極15によって偏向されたインク粒を、飛翔空間S1を介して筐体10の外部に吐出することができる。
【0102】
印字ヘッド1の外形状をなす筐体10の下面には、偏向電極15により偏向されたインク粒を外部に吐出するための吐出口Aが開口している(
図3参照)。インク粒は、この吐出口Aから筐体10の下方へ向けて吐出されるようになっている。
【0103】
図1に示すように、印字時における印字ヘッド1は、例えば支持部材2によって支持されている。支持部材2によって支持された状態の印字ヘッド1は、その吐出口Aが印字対象物Wの印字面に対して上方向から対向するように配置される。この場所が、インクジェット記録装置Iにより印字を行う際の印字ヘッド1の設置場所の一例である。
【0104】
以下、印字ヘッド1をなす各部について、順番に説明をする。なお、以下の記載において「上下方向」とは、鉛直方向に沿った方向を指す。例えば、
図3の紙面上方が「上方向」に相当し、同図の地面下方が「下方向」に相当する。
【0105】
(吐出機構11)
図3に例示するように、吐出機構11は、筐体10の飛翔空間S1における上端付近に配置されている。この吐出機構11には、接続ケーブル107を介してインクタンク106から印字用インクが供給されるように構成されている。吐出機構11は、インクタンク106から送出された印字用インクを加圧することで、粒子状のインクにして吐出するように構成されている。
【0106】
具体的に、吐出機構11は、加圧器(加振部)11aと、ノズル11bと、を有している。このうち、加圧器11aは、インクタンク106等から供給されたインク液を加圧するように構成されている。なお、図示は省略したが、本実施形態に係る加圧器11aは接地されている。加圧器11aによって実現されたインクの圧力は、インク圧力センサ123によって検出可能である。
【0107】
ノズル11bは、加圧器11aの下端部に接続されており、その開口端(印字用インクの噴射口)を下方に向けた姿勢で配置されている。このノズル11bは、インクに上下振動を与える圧電素子(例えばピエゾ素子)を有しており、加圧器11aによって加圧されたインクに上下振動を与えた上で、これを吐出口から吐出する。この振動によって、ノズル11bから吐出されたインク液が、その吐出タイミングから所定時間後に粒子化されるようになっている。
【0108】
ここで、振動を付与されることなく(加振されずに)吐出機構11から吐出された印字用インクは、軸状のいわゆる“インク軸”となって流れる。一方、振動を付与された(加振された)上で吐出機構11から吐出された印字用インクは、そのノズル11bから吐出された直後に粒子化されて、いわゆる“インク粒”となる。ノズル11bから吐出された印字用インクは、ノズル11bから吐出された直後は軸状であるが、ノズル11bから離れるに従って粒子状になる。この粒子状になる位置をブレークポイントと呼ぶ。ノズル11bから吐出された印字用インク(インク粒)は、後述する帯電電極13を通過する。
【0109】
なお、印字ヘッド1を洗浄すべく供給された溶剤は、加圧器11aとノズル11bを順番に通過して、ノズル11bの先端部から吐出される。そうして吐出される溶剤は、軸状に流れて、帯電電極13を通過する。
【0110】
なお、ノズル11bが圧電素子を具備する場合、インクの粒子化は、その圧電素子に印加される電圧(以下、これを「ピエゾ電圧」ともいう)を通じて制御することができる。本実施形態では、コントローラ100が、ノズル11bの圧電素子に、制御可能なピエゾ電圧を印加するように構成されている。
【0111】
(帯電電極13)
図3に例示するように、帯電電極13は、伝導性を有する一対の金属板によって構成されており、ノズル11bの下方に配置されている。ここで、帯電電極13を構成する一対の金属板は、それぞれの長手方向を上下方向に沿わせた姿勢で、かつ互いに水平方向に向かい合うような姿勢で筐体10に固定されている。一対の金属板の間隔は、吐出機構11のノズル11bから吐出されたインクの粒径よりも大きく設定されており、ノズル11bから吐出された印字用インクが一対の金属板の間を通過することになる。なお、帯電電極13を構成する金属板は、一対である必要はない。
【0112】
本実施形態に係る帯電電極13には、少なくとも印字動作を実行するときに電位(正電位)が印加される。これにより、吐出機構11(特に加圧器11a)と帯電電極13との間に電位差を生じさせ、帯電電極13を通過するインク粒を帯電させることが可能となる。各インク粒を帯電させるために、本実施形態に係る帯電電極13は、ノズル11bから吐出された印字用インクが粒子化するブレークポイント付近に配置される。
【0113】
帯電電極13には、コントローラ100によって制御可能なパルス電位が印加される。ここで、帯電電極13に対して相対的に高い電圧を印加した場合は、それよりも低い電圧を印加した場合に比して、各インク粒の帯電量(負の電荷の大きさ)が大きくなる。各インク粒は、その帯電量が大きい場合には、それが小さい場合に比して、偏向電極15によって大きく偏向される。コントローラ100がパルス電位の大きさを調整することで、インク粒の偏向量を制御することができる。帯電電極13によって帯電されたインク粒は、帯電検出センサ14の側方を通過した偏向電極15へ至る。
【0114】
また、ノズル11bから吐出される溶剤は、帯電されることなく、帯電検出センサ14の側方を通過して偏向電極15へ至る。
【0115】
(帯電検出センサ14)
図3に例示するように、帯電検出センサ14は、帯電電極13の下方に配置されている。詳しくは、帯電検出センサ14は、帯電電極13を構成する金属板(
図3に示す例では、紙面右側の金属板)の下方において、インク粒が飛翔する際の軌跡と交わらないように配置されている。帯電検出センサ14をこのように配置することで、インク粒と帯電検出センサ14との衝突を避けることが可能となる。
【0116】
また、本実施形態に係る帯電検出センサ14は、筐体10の内部に設けた回路基板に接続されている。帯電検出センサ14は、その側方を通過するインク粒の帯電状態(特に、各インク粒の帯電量)を検出することができる。帯電検出センサ14による検出結果は、検出信号として制御部101に出力される。この検出信号に基づいて、制御部101は、各インク粒が適切に帯電しているか否かを判定することができる。
【0117】
帯電検出センサ14は、インクジェット記録装置Iの稼動状態を示すパラメータ値のうち、帯電電極13における帯電状態を示すパラメータ値(各インク粒の帯電量の値)を取得することができる。帯電検出センサ14は、本実施形態に係る「稼動状態取得部」の一例とみなすことができる。
【0118】
なお、本実施形態に係る帯電検出センサ14は、帯電電極13を介してインク粒を帯電させるタイミングを決定するために用いられるものである。具体的に、まず、前記ノズル11bに設けられた圧電素子に印加される信号(前述のピエゾ電圧)と同じ周波数であって、かつ、その信号とは“位相”がずれた複数種類のパルス電位を帯電電極13に印加することで、粒子化した印字用インクを帯電させる。制御部101は、帯電検出センサ14の検出信号に基づいて、位相の値を取得することができる。制御部101は、インク粒の帯電量が最大となるように、パルス電位の位相を制御する。以下、この位相を「インク帯電位相」ともいう。
【0119】
インク帯電位相の現在値は、インクジェット記録装置Iの稼動状態を示すパラメータ値のうち、帯電電極13における帯電状態を示すパラメータ値に分類することができる。帯電検出センサ14は、インク帯電位相の取得に用いることができるという点においても、本実施形態に係る「稼動状態取得部」の一例とみなすことができる。
【0120】
(偏向電極15)
図3に例示するように、偏向電極15は、伝導性を有する一対の金属板(いわゆる「対向電極」)によって構成されており、帯電電極13および帯電検出センサ14の下方に配置されている。ここで、一対の金属板は、それぞれの長手方向を略上下方向に沿わせた姿勢で、かつ互いに水平方向に向い合うような姿勢で筐体10に固定されている。帯電電極13を構成する一対の金属板の間を通過したインク粒は、偏向電極15を構成する一対の金属板の間を通過することになる。
【0121】
偏向電極15には、コントローラ100によって制御可能な電圧(以下、これを「偏向電圧ともいう」)が印加される。これにより、偏向電極15を構成する一対の金属板の間には、前記偏向電圧に応じた電位差が生じることになる。この電位差によって、インク粒の帯電量に応じて、そのインク粒の飛翔方向を偏向させることができる。インク粒の飛翔方向は、偏向電極15を構成する一対の金属板の並び方向に沿って偏向され得る。
【0122】
すなわち、帯電電極13および偏向電極15のそれぞれに印加される偏向電圧を介して、インク粒の飛翔方向を制御することができる。そうして飛翔方向が制御されるインク粒には、偏向電極15により偏向されたものと、偏向電極15により偏向されないもの(非偏向とされたもの)と、が含まれる。このうち、偏向電極15により偏向されたインク粒が印字対象物Wの印字に関与する。偏向電極15により偏向されたインク粒は、筐体10の下面に設けた吐出口Aから吐出されて、印字対象物Wに着弾する。
【0123】
一方、偏向電極15により非偏向とされたインク粒は、印字対象物Wの印字に関与しない。こうしたインク粒、または、そもそも粒子化されていない軸状の印字用インクは、
図3において鎖線で例示したように、ガター16の中に到達する。同様に、印字ヘッド1におけるノズル11b等の洗浄に用いられて偏向電極15を通過した溶剤もまた、ガター16の中に至る。
【0124】
(ガター16)
図3に例示するように,ガター16は、その開口16aを上方に向けた曲管によって構成されており、偏向電極15の下方に配置されている。本実施形態に係るガター16は、印字対象物Wの印字に関与しない印字用インクと、ノズル11bを通過した溶剤(具体的には、ノズル11bから吐出された溶剤)と、を回収することができる。
【0125】
詳しくは、本実施形態においては、ガター16の開口16aと、ノズル11bの開口端とが互いに向かい合うように配置されており、ガター16の開口16aの真上にノズル11bの開口端が位置している。このように配置することで、ノズル11bの開口端から鉛直方向に沿って流れた流体、飛翔した流体を、ガター16の開口16aから受け入れることが可能になる。
【0126】
ガター16には、電荷式やサーミスタ式のガターセンサ16bが設けられている(
図3参照)。ガターセンサ16bは、印字用インクがガター16に入っているか否かを検知し、印字用インクがガター16に入っていればインク軸の調整が完了していると判定し、印字用インクがガター16に入っていなければインク軸の調整が完了していないと判定することができるようになっている。ガターセンサ16bは、コントローラ100の制御部101に接続されており、制御部101に信号を出力するように構成されている。
【0127】
ガター16によって回収された印字用インクまたは溶剤は、インク供給管43、溶剤供給管53等を通じてコントローラ100に送り戻されて、インクタンク106に蓄えられるようになっている。
【0128】
ガターセンサ16bは、インクジェット記録装置Iの稼動状態を示すパラメータ値のうち、ガター16における回収状態を示すパラメータ値(インクがガター16に入っているか否かを示すパラメータ値)を取得することができる。ガターセンサ16bは、本実施形態に係る「稼動状態取得部」の一例とみなすことができる。
【0129】
(洗浄ノズル19)
図3に例示するように、洗浄ノズル19は、印字ヘッド1内に設けられている。洗浄ノズル19は、いわゆる溶剤噴射部として機能するものである。洗浄ノズル19は、印字ヘッド1における吐出機構11、帯電電極13、偏向電極15等に溶剤を噴射することによってそれらを洗浄するためのノズルであって、洗浄液としての溶剤を噴出することができる。
【0130】
<ピエゾ電圧センサ121>
図2に示すように、インクジェット記録装置Iは、前述したピエゾ電圧を検出するピエゾ電圧センサ121を備えている。ピエゾ電圧センサ121は、例えばコントローラ100に内蔵されたピエゾ電圧の発生源と、吐出機構11と、を結ぶ電気的な経路の途中に配置されている。ピエゾ電圧センサ121は、コントローラ100に内蔵されていてもよいし、印字ヘッド1に内蔵されていてもよい。
【0131】
ピエゾ電圧センサ121は、コントローラ100の制御部101と電気的に接続されており、その検出値(パラメータ値)に対応した電気信号を、制御部101に入力する。制御部101は、入力された電気信号に基づいて、ピエゾ電圧の値を取得する。
【0132】
ピエゾ電圧センサ121は、インクジェット記録装置Iの稼動状態を示すパラメータ値のうち、吐出機構11における加圧状態を示すパラメータ値(ピエゾ電圧の実測値)を取得することができる。ピエゾ電圧センサ121は、本実施形態に係る「稼動状態取得部」の一例とみなすことができる。
【0133】
<偏向電圧センサ122>
図2に示すように、インクジェット記録装置Iは、偏向電極15に印加される偏向電圧を検出する偏向電圧センサ122を備えている。偏向電圧センサ122は、例えばコントローラ100に内蔵された偏向電圧の発生源と、偏向電極15と、を結ぶ電気的な経路の途中に配置されている。偏向電圧センサ122は、コントローラ100に内蔵されていてもよいし、印字ヘッド1に内蔵されていてもよい。
【0134】
偏向電圧センサ122は、コントローラ100の制御部101と電気的に接続されており、その検出値(パラメータ値)に対応した電気信号を、制御部101に入力する。制御部101は、入力された電気信号に基づいて、偏向電圧の値を取得する。
【0135】
偏向電圧センサ122は、インクジェット記録装置Iの稼動状態を示すパラメータ値のうち、偏向電極15における偏向状態を示すパラメータ値(偏向電圧の実測値)を取得することができる。偏向電圧センサ15aは、本実施形態に係る「稼動状態取得部」の一例とみなすことができる。
【0136】
<インク圧力センサ123>
図2に示すように、インクジェット記録装置Iは、前述の吐出機構11によって加圧されたインク(印字用インク)の圧力を検出するインク圧力センサ123を備えている。インク圧力センサ123は、コントローラ100に内蔵されていてもよいし、印字ヘッド1に内蔵されていてもよい。インク圧力センサ123は、好ましくは印字ヘッド1に内蔵される。
【0137】
インク圧力センサ123は、コントローラ100の制御部101と電気的に接続されており、その検出値(パラメータ値)に対応した電気信号を、制御部101に入力する。制御部101は、入力された電気信号に基づいて、前記圧力(インク圧力)の値を取得する。
【0138】
インク圧力センサ123は、インクジェット記録装置Iの稼動状態を示すパラメータ値のうち、吐出機構11における加圧状態を示すパラメータ値(インク圧力の値)を取得することができる。インク圧力センサ123は、本実施形態に係る「稼動状態取得部」の一例とみなすことができる。
【0139】
<インク粘度センサ124>
図2に示すように、インクジェット記録装置Iは、インクタンク106内のインクの粘度を検出するインク粘度センサ124を備えている。インク粘度センサ124は、例えば、インク供給管43の途中に配置されている。つまり、このインク粘度センサ124は、インクタンク106内に設けずとも、インクタンク106内に通じるインク経路に配置すればよい。
【0140】
インク粘度センサ124は、インク供給管43を流れるインク又は印字用インクの流量を検出し、その流量に基づいて粘度(以下、「インク粘度」ともいう)を検出する。インク粘度センサ124は、その検出値(パラメータ値)に対応した電気信号を、制御部101に入力する。制御部101は、入力された電気信号に基づいて、前記粘度の値を取得する。
【0141】
インク粘度センサ124によって計測される粘度の値は、インクジェット記録装置Iの稼動状態を示すパラメータ値のうち、インクの加圧状態(特にインクの粘度状態)に分類することができる。インク粘度センサ124は、本実施形態に係る「粘度測定部」の一例であり、「稼働状態取得部」の一例でもある。
【0142】
なお、本実施形態では、インク流量を検出する原理からなるインク粘度センサ124を用いているが、本開示はこれに限られず、例えば、インクの充填と排出とを繰り返し、インク排出時の時間に基づき粘度を検出するインク粘度センサ124を用いても構わない。
【0143】
<インク温度センサ125>
図2に示すように、インクジェット記録装置Iは、インクタンク106内のインクの温度を検出するインク温度センサ125を備えている。インク温度センサ125は、例えば、インク供給管43の途中に配置されている。つまり、このインク温度センサ125は、インクタンク106内に設けずとも、インクタンク106内に通じるインク経路に配置すればよい。
【0144】
インク温度センサ125は、インク供給管43を流れるインク若しくは印字用インク、又は、インクタンク106内に貯留しているインク若しくは印字用インクの温度を検出する。インク温度センサ125は、その検出値(パラメータ値)に対応した電気信号を、制御部101に入力する。制御部101は、入力された電気信号に基づいて、前記温度の値を取得する。
【0145】
インク温度センサ125によって計測されるインクの温度は、インクジェット記録装置Iの稼動状態に含めることができる。インク温度センサ125は、本実施形態に係る「温度測定部」の一例であり、「稼働状態取得部」の一例でもある。
【0146】
<環境温度センサ126>
図2に示すように、インクジェット記録装置Iは、印字ヘッド1の雰囲気温度を検知する環境温度センサ126を備えている。環境温度センサ126は、コントローラ100の制御部101に接続されており、検知した温度に関する情報を制御部101に対して出力するように構成されている。環境温度センサ126は、コントローラ100に内蔵されていてもよいし、印字ヘッド1に内蔵されていてもよい。環境温度センサ126は、インクジェット記録装置Iの電源がオフにされていても温度検知を行い、検知結果を制御部101に出力する。制御部101は、インクジェット記録装置Iの電源がオフにされていても温度を記録することができるように構成されている。
【0147】
<洗浄載置部700>
図1に示すように、洗浄載置部700は、インクジェット記録装置Iにより印字を行う際の印字ヘッド1の設置場所とは異なる場所に配置されている。図示は省略するが、洗浄載置部700は、洗浄液を用いて印字ヘッド1を洗浄する際に印字ヘッド1が載置されるように構成されたものである。
【0148】
洗浄載置部700と印字ヘッド1とは、通信可能に接続されており、その接続形態は有線であってもよいし、無線であってもよい。また、印字ヘッド1と、コントローラ100とは通信可能に接続されており、その接続形態は有線であってもよいし、無線であってもよい。さらに、コントローラ100と洗浄載置部700とは通信可能に接続されており、その接続形態は有線であってもよいし、無線であってもよい。これらの接続形態の一例として、信号の送受信が可能な信号ラインを用いることができる。
【0149】
インクジェット記録装置Iにより印字を行う際の印字ヘッド1の設置場所が
図1に示すように規定されている場合、その設置場所から離れた場所に、洗浄載置部700が設置されている。洗浄載置部700は、コントローラ100から離して設置することができるが、コントローラ100と同じ場所に設置してもよい。洗浄載置部700は、印字ヘッド1が載置された状態で印字ヘッド1の洗浄を行うユニットであり、例えば、洗浄ステーション、洗浄ドック、洗浄載置装置、洗浄ユニット等と呼ぶこともできる。
【0150】
<制御部101の詳細>
図4Aは、2次元コード311に係る処理の基本概念を説明するための図である。
【0151】
以下、コントローラ100の説明に戻り、制御部101を構成する機能的ブロックを説明する。
図2に示すように、制御部101は、ノズル洗浄制御部101aと、ヘッド洗浄制御部101bと、ポンプ状態取得部101cと、溶剤残量取得部101dと、表示制御部101eと、コード生成部101fと、ログデータ生成部101gと、を備えている。
【0152】
これらの機能的要素のうち、ノズル洗浄制御部101a及びヘッド洗浄制御部101bは、インクジェット記録装置Iの立上処理、立下処理等に関連しているが、立上処理及び立下処理の非実行時に、ユーザの操作入力等に基づいて、ノズル洗浄制御部101a及びヘッド洗浄制御部101bを単独で機能させることもできる。
【0153】
立上処理とは、インクジェット記録装置Iへの電源投入時に、印字を開始する前(印字可能状態に遷移する前)に実行される処理をいう。また、立下処理とは、インクジェット記録装置Iの電源遮断時に、同装置の動作を停止する前(印字可能状態から遷移する前)に実行される処理をいう。なお、ここでいう「印字可能状態」とは、コントローラ100及び印字ヘッド1の内部をインクが循環し、印字対象物Wに印字を行う準備が整った状態をいう。
【0154】
詳しくは、本実施形態に係るインクジェット記録装置Iは、電源スイッチがONにされても、印字を直ちには開始しない。インクジェット記録装置Iは、印字を開始する前に所定の立上処理を実行する。この立上処理においては、溶剤を用いて印字ヘッド1を洗浄した後に、インクの吐出が開始される。立上処理の開始直後に吐出されるインクは、前述したインク軸を形成し、ガター16によって回収される。
【0155】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置Iは、電源スイッチがOFFにされようとしたときには、その動作を直ちには停止しない。インクジェット記録装置Iは、動作を停止する前に、ノズル洗浄などからなる所定の立下処理を実行する。この立下処理においては、ノズル11bから溶剤を吐出させて、これに残存したインクを洗浄および回収することができる。溶剤の吐出に伴ってノズル11bから排出されたインクは、立上処理におけるインク軸と同様に、ガター16によって回収される。
【0156】
なお、本実施形態における「電源スイッチ」には、物理的な押し釦に加えて、操作表示部103等に表示されるタッチ式操作パネルで構成されるスイッチ類も含む。そして、電源スイッチのOFF操作とは、押し釦等を物理的に押下する操作に加えて、操作用端末800、操作表示部103等を通じて指令されるシャットダウン操作も指す。電源スイッチのON操作についても同様である。
【0157】
(ノズル洗浄制御部101a)
ノズル洗浄制御部101aは、溶剤供給部105から供給される溶剤により、吐出機構11を洗浄するように構成されている。詳細は省略するが、ノズル洗浄制御部101aは、ノズル11bから溶剤を吐出させることで、吐出機構11に残存したインクを洗浄及び回収する。溶剤の吐出に伴ってノズル11bから排出されたインクは、ガター16によって回収される。ノズル洗浄制御部101aは、本実施形態における「洗浄動作部」の一例である。
【0158】
(ヘッド洗浄制御部101b)
ヘッド洗浄制御部101bは、溶剤供給部105から供給される溶剤により、印字ヘッド1の内部を洗浄するように構成されている。詳細は省略するが、ノズル洗浄制御部101aは、洗浄ノズル19から溶剤を吐出させることで、印字ヘッド1における吐出機構11、帯電電極13、偏向電極15等に外方から溶剤を噴射することによって、それらを洗浄する。洗浄ノズル19から吐出させた溶剤、及び、その溶剤に伴って帯電電極13等から流れ落ちたインクは、洗浄載置部700に取り付けられた回収容器によって回収される。
【0159】
(ポンプ状態取得部101c)
ポンプ状態取得部101cは、ポンプ131の稼動状態を取得する。具体的に、ポンプ状態取得部101cは、例えばタイマを用いて構成されており、ポンプ131の累積稼動時間を取得する。
【0160】
ポンプ状態取得部101cによって取得されるポンプ131の稼動状態は、インクジェット記録装置Iの稼動状態に含めることができ、溶剤供給部105における供給状態に分類することができる。
【0161】
(溶剤残量取得部101d)
溶剤残量取得部101dは、収容部材としての溶剤カートリッジ51における溶剤の残量を取得する。具体的に、溶剤残量取得部101dは、例えばタイマを用いて構成されている。溶剤残量取得部101dは、ポンプ131の稼動時間を計測し、その稼動時間に基づいて溶剤の残量を取得する。
【0162】
例えば、溶剤カートリッジ51から単位時間あたりに抜き取られる溶剤の量が既知の場合、ポンプ131の駆動時間を取得することによって、溶剤カートリッジ51内からどれくらいの溶剤が抜き取られたかを算出することができる(初期の溶剤量から、抜き取られた溶剤の量を減算することで、溶剤の残量も算出することができる)。或いは、溶剤カートリッジ51から1回あたりに抜き取られる溶剤の量が既知の場合、インクタンク106内に例えば液面レベル計を設けておき、この液面レベル計を用いてインクタンク106内の溶剤の増量回数を測定することによって、溶剤カートリッジ51から何回抜き取りが行われたかを算出する。そして、1回で抜き取られる溶剤の量に、抜取り回数を乗じることによって、溶剤カートリッジ51内からどれくらいの溶剤が抜き取られたかを算出することができる。
【0163】
溶剤残量取得部101dによって取得される溶剤の残量は、インクジェット記録装置Iの稼動状態に含めることができ、溶剤供給部105における供給状態に分類することができる。
【0164】
(表示制御部101e)
表示制御部101eは、表示部103aの表示態様を制御する。表示制御部101eからの制御信号を受けて、表示部103aは、
図4Aに示すような受付画面300を表示する(具体例については後述)。この受付画面300は、ユーザから2次元コード311の生成指令を受け付けるための画面である。
【0165】
図4Aに示すように、受付画面300には、2次元コード311の生成指令を付けるための1つ又は複数のオブジェクト310が表示される。例えば
図4Aには、3つのオブジェクト310(第1のオブジェクト310A、第2のオブジェクト310B及び第3のオブジェクト310C)が例示されている。これらのオブジェクト310は、いわゆるGUI(Graphical User Interface)として機能する。
【0166】
そして、表示部103aの受付画面300を介して2次元コード311の生成指令を受け付けると、コード生成部101fが、所定の2次元コード生成制御を実行する。
【0167】
なお、表示制御部101eによる制御対象は、操作用端末800の表示部等、コントローラ100以外の表示部を用いてもよい。
【0168】
(コード生成部101f)
コード生成部101fは、2次元コード生成制御を実行する。
図4Aに示すように、2次元コード生成制御とは、稼動状態取得部により取得されたパラメータ値201のうち、予め規定された種別のパラメータセット202を構成するパラメータ値をエンコードして2次元コード311を生成するものである。2次元コード311は、例えばQRコード(登録商標)としてもよい。
【0169】
ここで、「稼動状態取得部」は、インクジェット記録装置Iの稼動状態を示すパラメータ値201を取得するセンサ類をいう。さらに、そうしたセンサ類によるパラメータ値の取得対象、つまり、インクジェット記録装置Iの稼動状態は、
図4Aに例示するように、吐出機構11における加圧状態、帯電電極13における帯電状態、偏向電極15における偏向状態、及び、ガター16における回収状態のうちの少なくとも1つを含む。
【0170】
具体的に、本実施形態に係る稼動状態取得部は、ピエゾ電圧センサ121、インク圧力センサ123、帯電検出センサ14、偏向電圧センサ122、及び、ガターセンサ16bのうちの少なくとも1つによって構成されている。すなわち、加圧状態を示すパラメータ値201には、ピエゾ電圧及びインク圧力の値が含まれる。帯電状態を示すパラメータ値201には、各インク粒の帯電量の値と、インク帯電位相の値と、が含まれる。偏向状態を示すパラメータ値には、偏向電圧の実測値が含まれる。回収状態を示すパラメータ値201には、インクがガター16に入っているか否かを示すパラメータ値が含まれる。
【0171】
また、
図4Aに示すように、インクジェット記録装置Iの稼動状態には、溶剤供給部105における供給状態をさらに含めてもよい。溶剤供給部105における供給状態は、収容部材における溶剤の残量と、ポンプ131の稼動状態と、を含めてもよい。収容部材における溶剤の残量は、溶剤残量取得部101dによって取得された値としてもよい。ポンプ131の稼動状態は、ポンプ状態取得部101cによって取得されたポンプ131の累積稼動時間としてもよい。
【0172】
さらに、
図4Aに示すように、インクジェット記録装置Iの稼動状態は、溶剤供給部105における供給状態に加えて、洗浄動作部としてのノズル洗浄制御部101aの洗浄履歴をさらに含めてもよい。なお、ここでいう洗浄動作部は、ノズル洗浄制御部101aに加えて、又は、これに代えて、ヘッド洗浄制御部101bとしてもよい。洗浄履歴は、立上処理、立下処理の実行履歴、ノズル洗浄制御部101aによるノズル洗浄の実行履歴、及びヘッド洗浄制御部101bによるヘッド洗浄の実行履歴の少なくとも1つとしてもよい。
【0173】
また、
図4Aに示すように、広義での「稼動状態」として、インクジェット記録装置Iの稼動状態に、印字対象物Wの印字に用いられるインクの状態をさらに含めてもよい。インクの状態は、粘度測定部としてのインク粘度センサ124により測定されるインクの粘度としてもよい。インクの状態は、温度測定部としてのインク温度センサ125により測定されるインクの温度としてもよい。図示は省略するが、インクの状態は、貯留センサ106aによって検出されるインクタンク106内の液位(いわゆる液面レベル)としてもよい。インク粘度センサ124、インク温度センサ125及び貯留センサ106aは、それぞれ、稼動状態取得部の一例とみなすことができる。
【0174】
また、
図4Aに示すように、広義での「稼動状態」として、インクジェット記録装置Iの稼動状態に、印字方向、印字内容等の印字設定を含めてもよい。
【0175】
また、
図4Aに示すように、広義での「稼動状態」として、インクジェット記録装置Iの稼動状態に、当該装置の使用環境を含めてもよい。インクジェット記録装置Iの稼動状態は、環境温度センサ126により測定される雰囲気温度としてもよい。
【0176】
また、図示は省略するが、広義での「稼動状態」として、インクジェット記録装置Iの稼動状態に、当該装置のシリアルナンバーを含めてもよい。
【0177】
そして、コード生成部101fは、稼動状態取得部により取得されたパラメータ値201のうち、予め規定された種別のパラメータセット202を構成するパラメータ値201をエンコードして2次元コード311を生成する。
【0178】
つまり、コード生成部101fは、前述のように列挙された稼動状態に関するパラメータ値201の全てをまとめてエンコードするのではなく、
図4Aの破線201aに示すように、パラメータ値201の一部を抽出してエンコードするように構成されている。
【0179】
ここで、本実施形態に係るインクジェット記録装置Iは、パラメータセット202の種別を、ユーザに選択させるように構成されている。この選択は、コード生成部101f、表示部103a及び記憶部102によって実現されるようになっている。
【0180】
具体的に、例えば
図4Bに示すように、記憶部102は、ユーザから複数の異なる生成指令を受け付けるための複数のオブジェクト310の各々に、複数の異なるパラメータセット202のうちのいずれか1つを対応付けて記憶する。そして、表示部103aは、例えば表示制御部101eからの制御信号に基づいて、受付画面300(後述の第4画面300D)に複数のオブジェクト310を表示する。各オブジェクト310は、パラメータセット202を区別するための「識別子」として機能する。
【0181】
図4Bに示す例では、図中の両矢印に示すように、第1のオブジェクト310Aには、第1のパラメータセット202Aが対応付いている。第2のオブジェクト310Bには、第2のパラメータセット202Bが対応付いている。第3のオブジェクト310Cには、第3のパラメータセット202Cが対応付いている。nを自然数とすると、ここでいう「第nのパラメータセット」とは、n番目の種別のパラメータセット202に相当する。
【0182】
なお、一のオブジェクト310と一のパラメータセット202を対応付けることは必須ではなく、一のオブジェクト310に、二以上のパラメータセット202を対応付けてもよい。
【0183】
コード生成部101fは、受付画面300を介して複数のオブジェクト310のうちのいずれか1つの選択を受け付けることで生成指令を受け付ける。コード生成部101fは、生成指令を受け付けると、記憶部102に記憶されかつ受付画面300を介して選択された一のオブジェクト310に対応付いたパラメータセット202のパラメータ値201をエンコードすることで、2次元コード311を生成する。
【0184】
また、
図4Aに示すように、コード生成部101fは、予め規定された種別のパラメータセット202を構成するパラメータ値201に加えて、インターネット上の所定サーバ(例えば、
図14のサーバ3001)にアクセスするためのアクセス情報203を併せてエンコードすることで、2次元コード311を生成する。アクセス情報203は、いわゆるURL(Uniform Resource Locator)としてもよい。
【0185】
なお、コード生成部101fがエンコードするパラメータ値201は、直近又は現在の取得値には限定されない。コード生成部101fがエンコードするパラメータ値201は、過去の取得値(ログデータ)としてもよい。また、2次元コード311にアクセス情報203を組み込むことは、必須ではない。予め規定された種別のパラメータセット202を構成するパラメータ値201のみをエンコードすることで、2次元コード311を生成してもよい。
【0186】
そのために、本実施形態に係る制御部101は、インクジェット記録装置Iの稼動状態を示すパラメータ値201を時系列に沿ってロギングしてログデータを生成するログデータ生成部101gを備えている。コード生成部101fは、予め規定された種別のパラメータセット202を構成するパラメータ値201に、ログデータ生成部101gにより生成されたログデータ(
図4Aの“直近ログ”)を含める。
【0187】
そして、コード生成部101fによって2次元コード311が生成されると、表示制御部101eは、生成された2次元コード311を、表示部103aに表示させる。すなわち、本実施形態に係る表示部103aは、コード生成部により生成された2次元コード311を表示可能に構成されている。
【0188】
<2次元コード生成制御の具体例>
続いて、2次元コード生成制御の具体例について、図面を交えて説明する。
図5は、2次元コード311に係る処理(2次元コード生成制御)の具体例を示すフローチャートである。
図6は、2次元コード生成制御に係る処理の別例を示すフローチャートである。
【0189】
また、
図7は、立ち上げ処理に関する表示画面(第1画面300A)を例示する図である。
図8は、立ち上げ処理後の表示画面(第2画面300B)を例示する図である。
図9は、モード遷移ボタン308のレイアウトを例示する図である。
図10は、複数のオブジェクト310のレイアウトを例示する図である。
図11Aは、各オブジェクト310に対応付いたパラメータセット202を例示する図である。
図11Bは、各オブジェクト310に対応付いたパラメータセット202を例示する図である。
図11Cは、帯電量に係るパラメータ値201を例示する図である。
図12は、2次元コード311の表示態様の一例を示す図である。
図13は、2次元コード311の表示態様の別例を示す図である。
【0190】
まず、インクジェット記録装置Iに電源が投入されると、表示部103aは、例えば
図7に示すような受付画面300を表示する。この受付画面300は、立上処理の実行指令を受け付けるための第1画面300Aである。
【0191】
図7に示すように、表示部103aは、画面切替の実行指令を受け付ける第1のGUI301と、立上処理の実行指令を受け付ける第2のGUI302と、インクジェット記録装置Iにおける使用言語の切替指令を受け付ける第3のGUI303と、インクジェット記録装置Iが印字可能状態にはない(停止中である)ことを示す第1のメッセージ300aと、を第1画面300Aに表示する。
【0192】
第2のGUI302が、操作部103bを介して立上処理の実行指令を受け付けると、制御部101は、前述した立上処理を実行する(
図5のステップSA1)。立上処理が完了すると、印字ヘッド1及びコントローラ100の内部でインクが循環することになる(ステップSA2)。
【0193】
また、立上処理が完了すると、表示部103aは、その受付画面300を、
図7に示す第1画面300Aから、
図8に示す第2画面300Bに遷移させる。この第2画面300Bは、立上処理及び立下処理の実行指令を受け付けるための画面である。
【0194】
図8に示すように、表示部103aは、前述の第1及び第3のGUI301,303に加えて、立下処理の実行指令を受け付ける第4のGUI304と、インクジェット記録装置Iが印字可能状態であることを示す第2のメッセージ300bと、を第2画面300Bに表示する。
【0195】
ここで、インクジェット記録装置Iが印字可能状態にあるときに、第2画面300Bにおける第3のGUI303を操作すると、表示部103aは、その受付画面300を、
図8に第2画面300Bから、
図9に示す第3画面300Cに遷移させる。この第3画面300Cは、使用言語の切替指令を受け付けるための画面である。なお、第3画面300Cは、第2画面300Bに重畳表示することで実現したり、第2画面300Bの一部内容を変更することで実現したりしてもよい。
【0196】
図8に示すように、第3画面300Cには、第3画面300Cを閉じて第2画面300Bに戻すための第5のGUI305と、使用言語の選択を受け付けるための第6のGUI306と、インクジェット記録装置Iの使用地域の選択を受け付けるための第7のGUI307と、2Dコード生成制御を開始させるためのモード遷移ボタン308と、が表示されている。
【0197】
モード遷移ボタン308は、操作部103bを介して押下(例えばクリック操作)されるように構成されたGUIである。制御部101は、
図5のステップSA2から続くステップSA3において、モード遷移ボタン308が押下されたか否かを判定する。
【0198】
モード遷移ボタン308が押下されたと判定された場合(ステップSA3:YES)、制御部101は、その制御プロセスを、
図5のステップSA3からステップSA4に進める。一方、モード遷移ボタン308が押下されていないと判定された場合(ステップSA3:NO)、制御部101は、その制御プロセスを、ステップSA3からステップSA2に戻す。
【0199】
ステップSA4において、制御部101は、稼動状態取得部としてのセンサ類を介して、インクジェット記録装置Iの稼動状態を示すパラメータ値201を取得する。ここで、稼動状態を示すパラメータ値201の構成例は、
図4Aを用いて説明した通りである。また、制御部101は、特定のパラメータセット202を構成するパラメータ値201のみならず、全てのパラメータ値201を取得する。
【0200】
また、ステップSA4において、制御部101は、全てのパラメータ値201の現在の測定値(検出値)に加えて、直近の測定値(検出値)を取得する。直近の測定値(検出値)とは、ログデータ生成部101gによってロギングされたログデータを指す。このログデータは、例えば
図11Bの第2行目に示すように、対応するパラメータ値201と、その取得日時とを紐付けたもの(時系列に沿ってパラメータ値201を並べたデータテーブル)としてもよいし、
図11Cに示すように、直近に取得された複数のパラメータ値201に、統計処理を施すことで得られたもの(例えば、パラメータ値201のばらつきを示す分散値)としてもよい。
【0201】
ここでいう「現在」とは、モード遷移ボタン308が押下されたタイミングをいう。
【0202】
続くステップSA4において、表示部103aは、その受付画面300を、
図9に示す第3画面300Cから、
図10に示す第4画面300Dに遷移させる。この第4画面300Dは、
図4Aを用いて説明したパラメータセット202の選択操作を受け付けるとともに、選択されたパラメータセット202に対応した2次元コード311を表示するための画面である。
【0203】
図10に示すように、表示部103aは、2次元コード311の生成指令を付けるための1つ又は複数のオブジェクト310を第4画面300Dに表示する。図例では、第4画面300Dには5つのオブジェクト310が表示されている。
【0204】
以下、5つのオブジェクト310を、画面左側から順に、第1のオブジェクト310A、第2のオブジェクト310B、第3のオブジェクト310C、第4のオブジェクト310D、第5のオブジェクト310Eと呼称する。各オブジェクト310は、単に「ボタン」ともいう。
【0205】
これら5つのオブジェクト310は、
図4Aに模式的に示したオブジェクト310を、より具体的に例示したものに相当する。すなわち、記憶部102は、ユーザから複数の異なる生成指令を受け付けるための5つのオブジェクト310の各々に、5つの異なるパラメータセット202のうちのいずれか1つ(第1のパラメータセット202A~第5のパラメータセット202Eのうちの一)を対応付けて記憶している。
【0206】
図11Aは、第1のオブジェクト310Aに対応付いた第1のパラメータセット202Aと、第2のオブジェクト310Bに対応付いた第2のパラメータセット202Bと、第3のオブジェクト310Cに対応付いた第3のパラメータセット202Cと、を例示している。
図11Aの第1列目は、
図10に示すように第1のオブジェクト310A~第3のオブジェクト310Cの各々に付与された、各オブジェクト310を識別する番号(つまり、パラメータセット202の種別)を示す。例えば、
図11Aの第2行目は、第1のオブジェクト310A及び第1のパラメータセット202Aに関連した情報(第1のパラメータセット202Aの目的及び内訳)を示している。
【0207】
図11Bは、第4のオブジェクト310Dに対応付いた第4のパラメータセット202Dと、第5のオブジェクト310Eに対応付いた第5のパラメータセット202Eと、を例示している。
図11Bの第1列目は、
図10に示すように第4のオブジェクト310D~第5のオブジェクト310Eの各々に付与された、各オブジェクト310を識別する番号を示す。例えば、
図11Bの第2行目は、第4のオブジェクト310D及び第4のパラメータセット202Dに関連した情報(第4のパラメータセット202Dの目的及び内訳)を示している。
【0208】
第1のパラメータセット202Aは、インクジェット記録装置Iの内部状態に関連したパラメータセット202であって、印字品質だけでは判断し難い不具合要因(印字にトラブルが発生した要因)の特定に適したパラメータセット202である。第1のパラメータセット202Aは、比較的短期間のうちに発生した、インクジェット記録装置Iの内部状態の変化を突き止めるのに適している。
【0209】
具体的に、第1のパラメータセット202Aは、
図11Aに示すように、データ取得日時と、内部タンクレベルと、現在の稼働状態と、累積印字回数と、インク粒の帯電量(現在値)と、インク帯電位相(現在値)と、ピエゾ電圧(現在値)と、インク粘度(現在値)と、インク温度(現在値)と、インク圧力(現在値)と、インク粒の帯電量(直近ログ)と、インク帯電位相(直近ログ)と、ピエゾ電圧(直近ログ)と、インク粘度(直近ログ)と、インク温度(直近ログ)と、ガターセンサ測定結果(現在値)と、の組み合わせによって構成されている。
【0210】
第1のパラメータセット202Aには、データ取得日時、内部タンクレベル等、
図4Aを用いた説明では省略されたパラメータ値201も含まれている。
【0211】
ここで、データ取得日時は、パラメータ値201の取得日時である。内部タンクレベルは、貯留センサ106aの検出値である。現在の稼動状態とは、例えば、停止中、立上処理中、又は、印字可能状態であることを示すフラグである。
【0212】
帯電量、インク帯電位相、ピエゾ電圧、インク粘度、インク温度及びインク圧力については、
図4Aを用いて説明した通りである。その他、ガターセンサ測定結果とは、ガター16の回収状態を示すパラメータ値201である。
【0213】
また、ここでいう「直近ログ」とは、
図11Cに示す表の最下段に例示するように、直近のパラメータ値201(例えば、1秒ごとに測定された直近10回のパラメータ値)の分散を指す。
図11Cに示す例では、紙面縦方向に沿って時系列の順に並んだ直近10回のインク帯電位相の値と、それらのインク帯電位相に基づいて算出された分散の値とが、悪いときの値と、良いときの値と、のそれぞれで算出されるようになっている。
【0214】
なお、ここでいう「悪いとき」とは、「位相の分散値が大きいとき」に相当する。これは、インク劣化等で帯電量の絶対値が小さかったり、粒子化するときの粒切れの再現性が悪かったり、振動等の外乱等に起因して、帯電量が最大になる位相が安定しなかったりするときに相当する。インク帯電位相の分散が悪いときには、実際に吐出されるインク粒の帯電位相も安定しない。それらの事情が、印字乱れが生じる原因となる可能性がある。
【0215】
一方、ここでいう「良いとき」とは、「位相の分散値が小さいとき」に相当する。これは、帯電量が安定して測定出来ているとともに、そのS/N比も良く、粒子化の粒切れ再現性も良く、問題となる振動もなく、ノイズも少ないときに相当する。インク帯電位相の分散が良いときには、安定した印字が期待される。
【0216】
第2のパラメータセット202Bは、溶剤の減りが適正か否かの判断に適したパラメータセット202であって、溶剤の漏れ等、インクジェット記録装置Iの運用にミスがないか否かの特定に適したパラメータセット202である。
【0217】
具体的に、第2のパラメータセット202Bは、
図11Aに示すように、ヘッド洗浄(ヘッド洗浄制御部101bによる処理)、ノズル洗浄(ノズル洗浄制御部101aによる処理)、立上処理、立下処理、溶剤軸の調整、及び、溶剤カートリッジ51の交換がそれぞれ実行された日時(実行日時)と、その実行日時における溶剤の残量、及びポンプ131の累積稼動時間と、を対応付けた上で、時系列に沿ってロギングしたログデータ(洗浄履歴)である。溶剤カートリッジ51の交換に関しては、その交換が行われた日時ばかりでなく、交換後の溶剤カートリッジ51のシリアル番号もロギングされるようになっている。
【0218】
第3のパラメータセット202Cは、印字設定、印字対象物Wの搬送ライン等、各種設定が適正か否かの判断に適したパラメータセット202である。
【0219】
具体的に、第3のパラメータセット202Cは、
図11Aに示すように、印字されるべき文字列の印字方向を示す設定値と、搬送ラインLの搬送速度を示す設定値と、一つ一つの印字対象物Wに対する印字の開始タイミングを制御する印字トリガ(印字開始トリガ)の設定値と、各印字対象物Wに印字されるべき文字列の内容と、によって構成されている。
【0220】
第4のパラメータセット202Dは、インクジェット記録装置Iの不調が、当該装置Iの使用環境の厳しさに因るものか否かの判断に適したパラメータセット202である。
【0221】
具体的に、第4のパラメータセット202Dは、
図11Bに示すように、インク圧力と、インク粘度と、雰囲気温度(環境温度)と、各パラメータ値201の取得日時と、を対応付けた上で、時系列に沿ってロギングしたログデータである。
【0222】
第5のパラメータセット202Eは、インクジェット記録装置Iの運用状態に関連したパラメータセット202であって、当該装置Iの普段の運用状態の特定に適したパラメータセット202である。
【0223】
具体的に、第5のパラメータセット202Eは、
図11Bに示すように、インクジェット記録装置Iにメンテナンスを施したことを示す情報、及び、そのメンテナンスの詳細(例えば、ヘッド洗浄、ノズル洗浄、立上処理、立下処理、溶剤軸の調整、及び、インク軸の調整)を、そのメンテナンスが実行された日時と対応付けた上で、時系列に沿ってロギングしたログデータである。
【0224】
また、具体的に、第5のパラメータセット202Eは、メンテナンスに関するデータに加えて、インクジェット記録装置Iにエラーが生じたことを示す情報、及び、そのエラーの詳細(例えば、ノズル11bが詰まったことを示すエラー、及び、偏向電極15におけるリークエラー)を、そのエラーが発生した日時と対応付けた上で、時系列に沿ってロギングしたログデータである。
【0225】
図11Bに示すように、第5のパラメータセット202Eは、メンテナンスに関するログデータと、エラーに関するログデータと、を時系列に沿ってまとめたログデータである。
【0226】
その後、コード生成部101fは、受付画面300を介して複数のオブジェクト310のうちのいずれか1つの選択を受け付けることで、2次元コード311の生成指令を受け付ける。
【0227】
具体的に、ステップSA5から続くステップSA6において、コード生成部101fは、一のオブジェクト310が選択されたか否かを判定する。ここで、一のオブジェクト310が選択されたと判定された場合(ステップSA6:YES)、制御部101は、その制御プロセスを、
図5のステップSA6からステップSA7に進める。一方、一のオブジェクト310が選択されていないと判定された場合(ステップSA6:NO)、制御部101は、制御プロセスをステップSA6に留める。つまり、制御部101は、一のオブジェクト310が選択されるまで、ステップSA6の判定を繰り返す。
【0228】
続くステップSA7およびステップSA8に示すように、コード生成部101fは、生成指令を受け付けると、記憶部102に記憶されかつ受付画面300を介して選択された一のオブジェクト310に対応付いたパラメータセット202のパラメータ値201をエンコードすることで、2次元コード311を生成する。
【0229】
具体的に、ステップSA7において、コード生成部101fは、ステップSA6で選択された一のオブジェクト310に対応付いたパラメータセット202を決定する。それに続くステップSA8において、コード生成部101fは、ステップSA7で決定したパラメータセット202のパラメータ値201をエンコードして、2次元コード311を生成する。
【0230】
その際、コード生成部101fは、予め規定された種別のパラメータセット202のデータ量に応じて、1つ又は複数の2次元コード311を生成する。具体的に、コード生成部101fは、パラメータセット202のデータ量が少ない場合は1つの2次元コード311を生成し、パラメータセット202のデータ量が多くなるにしたがって、2つ以上の2次元コード311を生成するようになっている。
【0231】
さらに、コード生成部101fは、
図4Aを用いて前述したように、予め規定された種別のパラメータセット202を構成するパラメータ値201に加えて、インターネット上の所定サーバ(例えば、
図14のサーバ3001)にアクセスするためのアクセス情報203(例えばURL)を併せてエンコードすることで2次元コード311を生成する。
【0232】
その後、ステップSA8から続くステップSA9において、表示部103aが、コード生成部101fにより生成された2次元コード311を表示する。
【0233】
例えば
図12は、第1のオブジェクト310Aが選択された場合を例示している。この場合、コード生成部101fは、第1の種別のパラメータセット(第1のパラメータセット202A)のパラメータ値201を、アクセス情報203と併せてエンコードすることで、第1の2次元コード311Aを生成する。表示部103aは、そうして生成された第1の2次元コード311Aを、第4画面300D上に表示する。
【0234】
また、
図13は、第2のオブジェクト310Bが選択された場合を例示している。この場合、コード生成部101fは、第2の種別のパラメータセット(第2のパラメータセット202B)のパラメータ値201を、アクセス情報203と併せてエンコードすることで、第2の2次元コード311B,311Bを生成する。アクセス情報203によってアクセス可能となるサーバは、第1のオブジェクト310Aが選択された場合と同じにしてもよい。
【0235】
仮に、第2のパラメータセット202Bのデータ量が、第1のパラメータセット202Aのデータ量よりも、所定以上多いものとする。この場合、
図13に示すように、コード生成部101fは、2つ以上の2次元コード311を生成する。表示部103aは、生成された2つの2次元コード311を、両方とも第4画面300D上に表示する。
【0236】
<2次元コード生成制御の別例>
なお、
図5に示すフローは、一例に過ぎない。例えば、
図6に示すように変形してもよい。ここで、
図6のステップSB1~SB3は、それぞれ、
図5のステップSA1~SA3と実質的に同じである。また、
図6のステップSB4~SB5は、それぞれ、
図5のステップSA5~SA6と実施的に同じであり、
図6のステップSB7~SB9は、それぞれ、
図5のステップSA7~SA9と実施的に同じである。
【0237】
図6のステップSB6と、
図5のステップSA4との比較から分かるように、
図5と
図6の相違点は、パラメータ値201の取得タイミングに他ならない。
【0238】
つまり、
図6のステップSB6において、制御部101は、稼動状態取得部としてのセンサ類を介して、インクジェット記録装置Iの稼動状態を示すパラメータ値201を取得する。ここで、稼動状態を示すパラメータ値201の構成例は、
図5に係る説明と同様である。また、制御部101は、特定のパラメータセット202を構成するパラメータ値201のみならず、全てのパラメータ値201を取得する。
【0239】
また、ステップSB6において、制御部101は、全てのパラメータ値201の現在の測定値(検出値)に加えて、直近の測定値(検出値)を取得する。そして、ここでいう「現在」とは、
図5に係るフローのようにモード遷移ボタン308が押下されたタイミングではなく、直前のステップSB5において、一のオブジェクト310が選択されたタイミングをいう。
【0240】
なお、一部のパラメータ値201については、モード遷移ボタン308が押下されたタイミングで稼動状態取得部に取得させる一方、他のパラメータ値201については、一のオブジェクト310が選択されたタイミングで稼動状態取得部に取得させてもよい。
【0241】
<2次元コード生成制御の意義>
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザは、複雑な操作を実行せずとも、
図4A及び
図10等に示すように、受付画面300上で2次元コード311の生成指令を行う(例えば、画面上のGUIを操作する)だけで、インクジェット記録装置Iの内部データを容易に取得することができる。
【0242】
また、インクジェット記録装置IにUSBメモリ、外部ネットワーク等を直接接続せずとも、スマートフォン等によって2次元コード311を撮像し、その撮像内容を、電子メール等を通じてサポートセンターに送るだけで、インクジェット記録装置Iの内部データを伝達することができる。これにより、セキュリティを確保することと、使い勝手の向上とを両立させることができる。
【0243】
特に、全てのパラメータ値201ではなく、「予め規定された種別のパラメータセット202」のパラメータ値201に絞ってエンコードするので、トラブル解決に資する内部データを簡単に取得することができ、使い勝手の向上に有利になる。
【0244】
また、
図4A等に例示したように、本実施形態に係るインクジェット記録装置Iは、予め規定された種別のパラメータセット202を構成するパラメータ値201に加えて、インターネット上の所定サーバにアクセスするためのアクセス情報203を併せてエンコードする。これにより、ユーザは、複雑な操作を実行せずとも、スマートフォン等の携帯通信端末を使って2次元コード311を撮像及びデコードし、そのデコードによって取得されたアクセス情報203(例えばURL)を使って所定サーバにアクセスすれば、そのサーバに上記内部データ(パラメータ値201)を送信することができる。このことは、トラブル解決に資する内部データを容易に取得させて、インクジェット記録装置Iの使い勝手を向上させる上で有効である。
【0245】
また、内部データ(パラメータ値201)の送信に際し、全てのパラメータ値201ではなく、「予め規定された種別のパラメータセット202」のパラメータ値201に絞ってエンコードするので、そのパラメータ値201の全データ量を、携帯通信端末での通信に使用されるURLのデータ量制限(例えば255文字)以下に収める上で有利になる。これにより、トラブル解決に資する内部データを、所定サーバへと容易に送ることができる。このことは、使い勝手の向上に資する。
【0246】
また、
図4A、
図10、
図11A及び
図11B等に例示したように、本実施形態に係るインクジェット記録装置Iは、ユーザから複数の異なる生成指令を受け付けるための複数のオブジェクト310の各々に、複数の異なるパラメータセット202のうちのいずれか1つを対応付けて記憶する。これにより、例えば、想定されるトラブルの種別に応じてパラメータセット202を事前に規定しておくことで、発生したトラブルの内容に応じて、より適切な(トラブル解決に役立つ)内部データを、より容易に取得することができるようになる。
【0247】
また、
図4A、
図11A及び
図11B等に例示したように、パラメータ値201にログデータを含めることで、そのパラメータ値201の経時変化等を判断することが可能となる。これにより、トラブル解決に有利になる。
【0248】
また、
図4A、
図11A及び
図11B等に例示したように、稼動状態に溶剤の供給状態を含めることで、インクジェット記録装置Iに特有のトラブルに対応することができるようになる。これにより、トラブル解決に有利になる。
【0249】
また、
図4A、
図11A及び
図11B等に例示したように、稼動状態に溶剤の残量とポンプ131の稼動状態とを含めることで、インクジェット記録装置Iに特有のトラブルに対応することができるようになる。これにより、トラブル解決に有利になる。
【0250】
また、
図4A、
図11A及び
図11B等に例示したように、稼動状態に、溶剤の供給状態と、洗浄動作部の洗浄履歴と、を含めることで、インクジェット記録装置Iに特有のトラブルに対応することができるようになる。これにより、トラブル解決に有利になる。
【0251】
また、
図4A、
図11A及び
図11B等に例示したように、稼動状態に、インクタンク106内のインクの粘度を含めることで、インクジェット記録装置Iに特有のトラブルに対応することができるようになる。これにより、トラブル解決に有利になる。
【0252】
また、
図4A、
図11A及び
図11B等に例示したように、稼動状態に、インクタンク106内のインクの粘度を含めることで、インクジェット記録装置Iに特有のトラブルに対応することができるようになる。これにより、トラブル解決に有利になる。
【0253】
また、
図13に例示したように、パラメータセット202のデータ量に応じて、2つ以上の2次元コード311を生成するように構成したことで、データ量が相対的に大きい場合であっても、2次元コード311を滞りなく生成することができる。これにより、トラブル解決に資する内部データを容易に取得させ、ひいてはインクジェット記録装置Iの使い勝手を向上させる上で有利になる。
【0254】
<データ転送システムTへの適用例>
図14は、データ転送システムTの全体構成を例示する図である。
図15は、データ転送システムTにおける携帯通信端末1001の概略構成を例示するブロック図である。
図16は、データ転送システムTにおけるサーバ3001の概略構成を例示するブロック図である。
図17は、データ転送システムTにおいて携帯通信端末が行う処理を例示するフローチャートである。
図18は、データ転送システムTにおいてサーバ3001が行う処理を例示するフローチャートである。
【0255】
図14に示すように、データ転送システムTは、例えば、ユーザ側システム1000と、サポート側システム3000と、を備えている。両システム1000,3000は、モバイルキャリア2001と、ワイヤレスルータ2002と、インターネット2003と、を介して通信可能である。
【0256】
なお、データ転送システムTは、双方向の通信ではなく、インクジェット記録装置Iから、携帯通信端末1001を介してサポート側システム3000へと情報を伝える一方向の通信を実現するように、意図的に構成されている。
【0257】
ここで、ユーザ側システム1000は、
図1~
図13等に示したインクジェット記録装置Iと、携帯通信端末1001と、を備えている。サポート側システム3000は、インターネット2003を介して携帯通信端末1001と接続されるサーバ3001と、サポート端末3501と、を備えている。
【0258】
図14に例示するデータ転送システムTは、前述の稼動状態取得部によって取得されるインクジェット記録装置Iの稼動状態を、携帯通信端末1001を介してサーバ3001に転送するように構成されている。
【0259】
ここで、インクジェット記録装置Iのコード生成部101fは、
図4A等を用いて既に説明したように、予め規定された種別のパラメータセット202を構成するパラメータ値201に加えて、サーバ3001にアクセスするためのアクセス情報203を併せてエンコードすることで、2次元コード311を生成する。
【0260】
(携帯通信端末1001)
携帯通信端末1001は、例えば、スマートフォンである。この携帯通信端末1001は、
図15に示すように、第1アンテナ部1002と、第2アンテナ部1003と、記憶部1004と、操作表示部1005と、撮像部1006と、電源回路1007と、制御部1101と、を備えている。
【0261】
第1アンテナ部1002は、モバイルキャリア2001を介してインターネット2003に接続するためのアンテナである。第1アンテナ部1002は、ワイヤレスルータ2002を介してインターネット2003と通信するためのアンテナである。
【0262】
記憶部1004は、例えば不揮発性メモリである。操作表示部1005は、いわゆるタッチスクリーン(タッチパネルともいう)である。撮像部1006は、いわゆるカメラである。撮像部1006は、インクジェット記録装置Iの表示部103aに表示されかつアクセス情報203が併せてエンコードされた2次元コード311を撮像することができる。
【0263】
電源回路1007は、例えばリチウムイオン電池である。
【0264】
制御部1101は、CPU、揮発性メモリ及び入出力バスによって構成されている。制御部1101は、デコード部1101aと、アップロード部1101bと、ネットワーク制御部1101cと、を有している。
【0265】
デコード部1101aは、撮像部1006により撮像された2次元コード311をデコードすることで、該2次元コード311に対応したインクジェット記録装置Iの稼動状態と、アクセス情報203と、を取得する。デコード部1101aは、例えばURL形式の文字列を取得する。URL形式の文字列に、稼動状態を示すパラメータを含めておくことで、アクセス情報203及び稼動状態を同時に取得させることが可能となる。
【0266】
アップロード部1101bは、アクセス情報203によって特定されたサーバ3001に対し、デコード部1101aにより取得された稼動状態をアップロードする。
【0267】
ネットワーク制御部1101cは、第1アンテナ部1002又は第2アンテナ部1003を介したインターネット通信を制御する。
【0268】
(サーバ3001)
サーバ3001は、例えば
図16に示すように、ネットワークインターフェース3002と、保存部3003と、制御部3101と、を備えている。
【0269】
ネットワークインターフェース3002は、携帯通信端末1001及びサポート端末3501との間の情報通信を制御する。保存部3003は、例えば不揮発性メモリである。保存部3003は、携帯通信端末1001のアップロード部1101bによりアップロードされた稼動状態を保存する。この保存に際し、保存部3003は、インクジェット記録装置Iのシリアルナンバーを対応付けて保存してもよい。
【0270】
制御部3101は、CPU、揮発性メモリ及び入出力バスによって構成されている。制御部3101は、メールシステム3101aを有している。
【0271】
メールシステム3101aは、サポート端末3501との間でメール送受するためのシステムである。サポート端末3501は、例えば、いわゆるパーソナルコンピュータとしてもよい。
【0272】
(データ転送方法の具体例)
続いて、前記データ転送システムTによって実行されるデータ転送方法について、
図17及び
図18を参照して説明する。
【0273】
図示は省略するが、
図17のフローに先だって、インクジェット記録装置Iのコード生成部101fが、予め規定された種別のパラメータセット202を構成するパラメータ値201に加えて、サーバ3001にアクセスするためのアクセス情報203を併せてエンコードすることで2次元コード311を生成する(
図4A、
図5及び
図6等参照)。
【0274】
続いて、
図17のステップSC1において、携帯通信端末1001の制御部1101は、当該端末1001の撮像部1006が起動したか否かを判定する。この判定は、撮像部1006が起動するまで(ステップSC1の判定がYESになるまで)行われる。撮像部1006が起動すると、制御プロセスは、ステップSC2に進む。
【0275】
ステップSC2において、携帯通信端末1001が、インクジェット記録装置Iの表示部103aに表示され、かつアクセス情報203が併せてエンコードされた2次元コード311を撮像する(撮像処理)。
【0276】
続いて、ステップSC3において、携帯通信端末1001デコード部1101aが、ステップSC2で撮像された2次元コード311が認識されたか否か(デコード可能か否か)を判定する。この判定がNOの場合、制御プロセスはステップSC2に戻る。一方、ステップSC3の判定がYESの場合、制御プロセスはステップSC4に進む。
【0277】
続いて、ステップSC4において、携帯通信端末1001のデコード部1101aが、撮像された2次元コード311をデコードすることで、該2次元コード311に対応したインクジェット記録装置Iの稼動状態と、アクセス情報203と、を取得する。
【0278】
続いて、ステップSC5において、携帯通信端末1001のネットワーク制御部1101cが、その操作表示部1005上に、例えばURL形式のアクセス情報203を表示する。操作表示部1005は、所定の操作入力(ジャンプ操作)を受け付けることで、このアクセス情報203に対応したWEBサイトにジャンプさせることができる。
【0279】
続いて、ステップSC6において、携帯通信端末1001のネットワーク制御部1101cが、前記WEBサイトへのジャンプ操作を受け付けたか否かを判定する(ジャンプ操作受付?)。この判定がNOの場合、制御プロセスはステップSC5に戻る。一方、ステップSC6の判定がYESの場合、制御プロセスはステップSC7に進む。
【0280】
続いて、ステップSC7において、携帯通信端末1001のネットワーク制御部1101cが、WEBブラウザを通じて、操作表示部1005に、前記WEBサイトを表示させる。
【0281】
続いて、ステップSC8において、携帯通信端末1001のアップロード部1101bが、前記稼動状態のアップロードを指示する操作を受け付けたか否かを判定する(アップロード操作受付?)。この判定がNOの場合、制御プロセスはステップSC7に戻る。一方、ステップSC6の判定がYESの場合、制御プロセスはステップSC9に進む。
【0282】
続いて、ステップSC9において、携帯通信端末1001のアップロード部1101bが、アクセス情報203によって特定されたサーバ3001に対し、デコード部1101aが2次元コード311をデコードすることで取得された稼動状態をアップロードする。この工程が完了すると、携帯通信端末1001側の処理が全て完了する。
【0283】
一方、サーバ3001側では、
図18のステップSD1において、サーバ3001のネットワークインターフェース3002が、携帯通信端末1001からネットワーク接続されたか否かを判定する。この判定は、例えば、前記ステップSC6において携帯通信端末1001がジャンプ操作を受け付けたとき(前記WEBサイトを開くための指示を受け付けたとき)にYESとなる。この判定は、携帯通信端末1001からネットワーク接続されるまで(ステップSD1の判定がYESになるまで)行われる。携帯通信端末1001からネットワーク接続されると、制御プロセスは、ステップSD2に進む。
【0284】
続くステップSD2において、サーバ3001は、サポート端末3501には通知処理(携帯通信端末1001からネットワーク接続されたことを通知するための処理)を行う一方、ユーザの携帯通信端末1001には、前述のWEBサイトを表示させる。
【0285】
続くステップSD3において、サーバ3001は、携帯通信端末1001のアップロード部1101bから、前述の稼動状態がアップロードされたか否かを判定する。この判定がNOの場合、制御プロセスは、ステップSD1に戻る。一方、ステップSD3の判定がYESの場合、制御プロセスは、ステップSD4に進む。
【0286】
続くステップSD4において、サーバ3001の保存部3003が、携帯通信端末1001のアップロード部1101bによりアップロードされた稼動状態を、保存する。
【0287】
続くステップSD5において、サーバ3001は、サポート端末3501には、稼動状態を受信して保存したことを通知する(データ受信通知)。サーバ3001は、そのメールシステム3101aを通じて、ユーザの携帯通信端末1001に、稼動状態を保存したことを示す受付メールを送信する。
【0288】
(データ転送システムTの意義)
以上説明したように、ユーザは、複雑な操作を実行せずとも、
図14等に示すように、受付画面300上で2次元コード311の生成指令を行う(例えば、画面上のGUIを操作する)だけで、インクジェット記録装置Iの内部データを容易に取得することができる。
【0289】
また、インクジェット記録装置IにUSBメモリ、外部ネットワーク等を直接接続せずとも、スマートフォン等によって2次元コード311を撮像し、その撮像内容を、電子メール等を通じてサポートセンターに送るだけで、インクジェット記録装置Iの内部データを伝達することができる。これにより、セキュリティを確保することと、使い勝手の向上とを両立させることができる。
【0290】
特に、全てのパラメータ値ではなく、「予め規定された種別のパラメータセット」のパラメータ値に絞ってエンコードするので、トラブル解決に資する内部データを簡単に取得することができ、使い勝手の向上に有利になる。
【0291】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置Iは、予め規定された種別のパラメータセット202を構成するパラメータ値201に加えて、インターネット上の所定サーバにアクセスするためのアクセス情報203を併せてエンコードする。これにより、ユーザは、複雑な操作を実行せずとも、スマートフォン等の携帯通信端末1001を使って2次元コード311を撮像及びデコードし、そのデコードによって取得されたアクセス情報203(例えばURL)を使って所定サーバ3001にアクセスすれば、そのサーバ3001に上記内部データ(パラメータ値201)を送信することができる。このことは、トラブル解決に資する内部データを容易に取得させて、インクジェット記録装置Iの使い勝手を向上させる上で有効である。
【0292】
また、内部データ(パラメータ値201)の送信に際し、全てのパラメータ値201ではなく、「予め規定された種別のパラメータセット202」のパラメータ値201に絞ってエンコードするので、そのパラメータ値201の全データ量を、携帯通信端末1001での通信に使用されるURLのデータ量制限(例えば255文字)以下に収める上で有利になる。これにより、トラブル解決に資する内部データを、所定サーバ3001へと容易に送ることができる。このことは、使い勝手の向上に資する。
【0293】
このように、前記データ転送システムT及びデータ転送方法は、セキュリティを損なうことなく、トラブル解決に資する内部データを、サーバ3001に容易に取得させることができる。このことは、使い勝手の向上に有効である。
【符号の説明】
【0294】
1 印字ヘッド
11 吐出機構
13 帯電電極
15 偏向電極
15a 偏向電圧センサ(稼動状態取得部)
16 ガター
16b ガターセンサ(稼動状態取得部)
19 洗浄ノズル
51 溶剤カートリッジ(収容部材)
53 溶剤供給管
100 コントローラ
101 制御部
101a ノズル洗浄制御部(洗浄動作部)
101f コード生成部
101g ログデータ生成部
102 記憶部
103 操作表示部
103a 表示部
105 溶剤供給部
106 インクタンク
106a 貯留センサ(稼動状態取得部)
121 ピエゾ電圧センサ(稼動状態取得部)
122 偏向電圧センサ(稼動状態取得部)
123 インク圧力センサ(稼動状態取得部)
124 インク粘度センサ(稼動状態取得部,粘度測定部)
125 インク温度センサ(稼動状態取得部,温度測定部)
126 環境温度センサ(稼動状態取得部)
131 ポンプ
201 パラメータ値
202 パラメータセット
203 アクセス情報
300 受付画面
310 オブジェクト
311 2次元コード
1001 携帯通信端末
1006 撮像部
1101 制御部
1101a デコード部
1101b アップロード部
2003 インターネット
3001 サーバ
3003 保存部
I インクジェット記録装置
T データ転送システム