(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156357
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ガスメータ
(51)【国際特許分類】
G01F 3/22 20060101AFI20241029BHJP
G01F 1/66 20220101ALI20241029BHJP
【FI】
G01F3/22 Z
G01F1/66 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070752
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】桑原 大河
【テーマコード(参考)】
2F030
2F035
【Fターム(参考)】
2F030CA03
2F030CC13
2F030CF01
2F030CF09
2F030CF15
2F035DA04
2F035DA09
2F035DA14
(57)【要約】
【課題】複数本の計測流路のいずれかに対して流量センサが設置される構成において、部品点数の増加を抑制することができるガスメータを提供する。
【解決手段】ガス流入口からガス流出口に至るガス流路と、ガス流路内に並列に設置されると共に、それぞれに対して超音波センサを設置するための開口が形成された複数本の計測流路と、複数本の計測流路のいずれかに対して設置された超音波センサと、複数本の計測流路を保持するケースと、を備え、ケースは、複数本の計測流路のうち、超音波センサが設置されない計測流路の開口を塞ぐ閉塞部31gを有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流入口からガス流出口に至るガス流路と、
前記ガス流路内に並列に設置されると共に、それぞれに対して流量センサを設置するための開口が形成された複数本の計測流路と、
前記複数本の計測流路のいずれかに対して設置された流量センサと、
前記複数本の計測流路を保持するケースと、を備え、
前記ケースは、前記複数本の計測流路のうち、前記流量センサが設置されない計測流路の開口を塞ぐ閉塞部を有する
ことを特徴とするガスメータ。
【請求項2】
前記ケースが前記複数本の計測流路を保持する保持部と前記複数本の計測流路との間に設けられた第1パッキンと、
前記ガス流路と前記ケースとの間に設けられた第2パッキンと、をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載のガスメータ。
【請求項3】
前記流量センサにより計測された流量に基づいて、前記複数本の計測流路内を流れた流量を求める演算部をさらに備え、
前記演算部は、前記複数本の計測流路の本数に対する、前記流量センサが設けられた計測流路の本数の割合に基づいて、前記複数本の計測流路内を流れた流量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のガスメータ。
【請求項4】
前記複数本の計測流路内それぞれに対して設けられた分流板をさらに備える
ことを特徴とする請求項3に記載のガスメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス流入口からガス流出口に至るガス流路がU字状に形成されたガスメータが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。これらのガスメータでは、ガス流量を計測するために、U字形状のガス流路内に、流量センサが取り付けられた略筒状の計測用の流路(以下計測流路という)を設けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-186430号公報
【特許文献2】特開2021-117215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1,2に記載のガスメータは家庭用のものであることからガス流路内に計測流路を1本のみ設置している。これに対して、例えば大型業務用等のガスメータでは、家庭用のガスメータと同様に1本の計測流路を設置しただけでは、要求される流量を流すことに支障がある。
【0005】
そこで、本件発明者は、大型業務用等のガスメータにおいて、大流量を支障なく流せるよう、上記計測流路をガスメータ内に複数本並列に設置することを検討している。
【0006】
さらに、本件発明者は、計測流路を複数本設置する場合、複数本の計測流路のそれぞれで流量を計測せず、例えば1本の計測流路で流量を計測し計測値を複数倍すること等によって全体の流量を計測することを検討している。これにより、流量センサの設置数を削減できるためである。
【0007】
しかし、上記のように構成したガスメータにおいて、通常の計測流路は、流量センサを取り付けるために開口が形成されていることから、流量計測を行わない計測流路については開口を塞ぐ必要がある。しかし、この開口を塞ぐための専用部品を用いることは部品点数増加の観点から好ましいとはいえない。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、複数本の計測流路のいずれかに対して流量センサが設置される構成において、部品点数の増加を抑制することができるガスメータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るガスメータは、ガス流入口からガス流出口に至るガス流路と、前記ガス流路内に並列に設置されると共に、それぞれに対して流量センサを設置するための開口が形成された複数本の計測流路と、前記複数本の計測流路のいずれかに対して設置された流量センサと、前記複数本の計測流路を保持するケースと、を備え、前記ケースは、前記複数本の計測流路のうち、前記流量センサが設置されない計測流路の開口を塞ぐ閉塞部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数本の計測流路のいずれかに対して流量センサが設置される構成において、部品点数の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るガスメータを示す正面図である。
【
図4】
図3に示した流量計ユニットを示す上面図である。
【
図5】
図4に示した流路構成部品の一部を示す分解斜視図である。
【
図6】
図4に示した第1部品の詳細を示す第1の斜視図である。
【
図7】
図4に示した第1部品の詳細を示す第2の斜視図である。
【
図9】
図4に示した第2部品の詳細を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、実施形態は本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るガスメータを示す正面図である。
図1に示すように、ガスメータ1は、正面視で略矩形状の箱型のボディ10を備える。このガスメータ1は、ボディ10の上面に、上流側のガス管(不図示)が接続されるガス流入口11と、下流側のガス管(不図示)が接続されるガス流出口12とが設けられている。ガス流入口11は、正面から見てガスメータ1の左寄りに設けられ、ガス流出口12は、正面から見てガスメータ1の右寄りに設けられている。
【0014】
また、ガスメータ1は、ボディ10の正面に、表示部13と、復帰ボタン14とが設けられている。表示部13は、ボディ10の正面の中央上寄りに設けられ、復帰ボタン14は、正面から見て表示部13の左側に設けられている。復帰ボタン14は、後述の遮断弁16(
図3参照)が閉じた時に遮断弁16を開くためのボタンである。
【0015】
図2は、
図1に示すガスメータ1の側面図である。
図1及び
図2に示すように、ボディ10は、上部ボディ10Aと、底部カバー10Bとを備える。上部ボディ10Aと底部カバー10Bとは相互に締結される。また、上部ボディ10Aの一方側(正面から見た場合の左側)の側面には、後述の遮断弁16を覆うカバー10Cが取り付けられている。
【0016】
図3は、
図2のA-A断面図である。
図3に示すように、ガスメータ1のボディ10内には、ガス流入口11からガス流出口12に至る略U字状のガス流路15が形成されている。ガス流路15は、ガス流入口11から略上下方向に延びる流入側流路15Aと、ガス流出口12から略上下方向に延びる流出側流路15Bと、流入側流路15Aの下流端と流出側流路15Bの上流端とを接続する水平流路15Cとにより構成されている。
【0017】
また、
図3に示すように、ガスメータ1は、遮断弁16と流量計ユニットFUとを備える。遮断弁16は、流入側流路15Aに設けられており、異常時に流入側流路15Aを遮断してガス流路15へのガスの流入を阻止する遮断動作を実行する。この遮断弁16の遮断動作は、復帰ボタン14(
図1参照)の操作により解除される。
【0018】
流量計ユニットFUは、ガス流路15を流れるガスの流量を計測するためのものであって、流出側流路15Bに設けられている。この流量計ユニットFUは、流路構成部品20と、ケース30とを備え、流路構成部品20がケース30によって保持された状態で流出側流路15Bに設けられている。
【0019】
図4は、
図3に示した流量計ユニットFUを示す上面図である。
図4においては、ガス流出口12(
図3参照)側から流量計ユニットFUを視認した状態を上面図として示している。
図4に示すように、流路構成部品20は、複数本の計測流路21,22と、計測ユニット23とを備えている。
【0020】
複数本の計測流路21,22は、ケース30によって保持されることによって、流出側流路15B(
図3参照)内において並列に設置されるものである。複数本の計測流路21,22は、全て同一形状のものによって構成されており、ガスメータ1は部品点数(種類)の増加を抑える構成とされている。
【0021】
図5は、
図4に示した流路構成部品20の一部を示す分解斜視図である。
図5に示すように、複数本の計測流路21,22のうち、特定の計測流路21には計測ユニット23が取り付けられる。なお、
図4にも示すように、他の計測流路22には計測ユニット23が取り付けられないこととなる。
【0022】
計測ユニット23は、外カバー23aと、超音波センサ(流量センサ:
図3参照)USと、制御基板(演算部:
図3及び
図4参照)23bとを備えている。外カバー23aは、底面が略四角形状となるお椀構造(ボウル構造)の部材であって、お椀開放側が計測流路21側となるように配置されるものである。超音波センサUSは、
図3に示すように、上流側と下流側とに対となって設けられるものであり、計測流路21に形成された開口21a(
図5参照)を通じて、計測流路21内に超音波信号を送信するものである。また、超音波センサUSは、対となる相手側から発信された超音波信号を受信するものである。制御基板23bは、超音波信号の送信制御、及び、一方の超音波センサUSによる超音波信号の送信から他方の超音波センサUSでの受信までの伝搬時間の算出処理等を行うものである。この制御基板23bは、一方の超音波センサUSから他方の超音波センサUSへの超音信号波の伝播時間と、他方の超音波センサUSから一方の超音波センサUSへの超音波信号の伝播時間との差に基づいて、計測流路21内のガスの流量を算出することができる。
【0023】
さらに、計測ユニット23は、計測流路21側に延びる突起部23dを備えている。また、計測流路21は、
図5に示すように、計測流路21の長手方向と直交する方向に張り出す係合部21bを備えている。係合部21bには、計測ユニット23の突起部23dが嵌り込む孔部21cが形成されている。このため、計測ユニット23の突起部23dを計測流路21の孔部21cに嵌め込むことで、両者を一体とすることができる。
【0024】
また、
図5に示すように、流路構成部品20は、複数枚の分流板24を備えている。複数枚の分流板24は、超音波信号の送受信を阻害しない向きで互いに平行配置されるものである。この分流板24によって、計測流路21内を流れるガスが整流されることとなる。
【0025】
再度
図4を参照する。
図4に示すように、複数本の計測流路21,22のうち計測ユニット23が取り付けられたものは、1本のみとなっている(計測流路21のみとなっている)。このため、制御基板23bは、計測流路21,22の全体の本数(3本)に対する、計測ユニット23が設けられる計測流路21の本数(1本)との割合に基づいて、複数本の計測流路21,22を流れるガスの流量を求める。例えば、
図4に示す例において制御基板23bは、超音波信号の伝播時間に基づいて特定の計測流路21のガス流量を算出し、算出した流量を上記割合に基づいて3倍にすることで、複数本の計測流路21,22を流れるガス流量を算出する。
【0026】
ここで、上記したように、本実施形態においては特定の計測流路21のみに計測ユニット23が設けられている。このため、分流板24(
図5参照)は特定の計測流路21のみに設けることが考えられる。しかし、特定の計測流路21のみに分流板24を設け、他の計測流路22に分流板24を設けない場合、複数本の計測流路21,22のガスの流れに隔たりが生じ易くなる。このため、割合に基づいて複数本の計測流路21,22を流れるガスの流量を求める場合の正確性が低下する可能性がある。よって、分流板24については特定の計測流路21のみならず他の計測流路22にも設けることが好ましい。この場合、特定の計測流路21と同じ形状の分流板24を同じ枚数だけ設けることが好ましい。
【0027】
上記のような流路構成部品20は、ケース30によって保持される。ケース30は、第1部品31と、第2部品32とによって構成されている。
図6及び
図7は、
図4に示した第1部品31の詳細を示す斜視図である。
図6及び
図7に示すように、第1部品31は、天板31a、底板31b、背板31c及び側板31dを備えて構成されている。
【0028】
天板31a及び底板31bは、計測流路21,22(
図4参照)を保持するための複数(計測流路21,22の本数を同じ数)の凹部(保持部)31eが形成された板材である。天板31aは、ケース30(
図4参照)を流出側流路15B(
図3参照)に設置した状態において上側となる板材であって、底板31bは、ケース30を流出側流路15Bに設置した状態において下側となる板材である。
【0029】
再度
図5を参照する。
図5に示すように、計測流路21,22は、上流側及び下部側のそれぞれに周状のリブによって挟まれる周状の溝部21d,22dを有している。
図8は、
図3の一部拡大図である。
図8に示すように、計測流路21の周状の溝部21dには、ゴム製等の第1パッキンP1が設けられる。この第1パッキンP1は、計測流路21が天板31a及び底板31b(
図8において図示せず)の凹部31e(
図6参照)に嵌った状態において天板31a及び底板31bに当接するようにされている。すなわち、凹部31eは、第1パッキンP1を介して計測流路21を保持する保持部として機能し、凹部31eに接触するように第1パッキンP1が設けられることで、凹部31eと計測流路21との隙間からガスが流れてしまう事態を抑制している。なお、
図8においては特定の計測流路21に設けられた第1パッキンP1等のみを示しているが、他の計測流路22についても同様に第1パッキンP1が周状の溝部22dに設けられる。
【0030】
再度
図6及び
図7を参照する。背板31cは、天板31a及び底板31bを支持する後方側の板材である。この背板31cは、
図3に示すようにケース30が流出側流路15Bに設置された状態において、正面視して右側に位置する。この背板31cは、
図7に示すように、前方へ奥まるようにして形成された段部31fが形成されている。
【0031】
ここで、本実施形態において他の計測流路22には、計測ユニット23が設けられていない。このため、他の計測流路22は開口22a(
図5参照)を計測ユニット23によって塞ぐことができない。そこで、
図6に示すように、第1部品31は、段部31fの前面側に閉塞部31gを備えている。閉塞部31gは、計測流路22の開口22aの形状に合致する凸部であって、他の計測流路22が凹部31eに嵌った状態において開口22aを塞ぐ形状とされている。この閉塞部31gによって計測ユニット23が設けられていない他の計測流路22についても開口22aが塞がれることとなる。なお、本実施形態において閉塞部31gは開口22aに完全に合致することを想定しているが、特にこれに限らず、閉塞部31gは開口22aに対して多少の隙間があり、この隙間をパッキンやグリス等のシール部材によって埋める構成であってもよい。
【0032】
さらに、他の計測流路22には計測ユニット23が設けられないことから、係合部22bの孔部22cに計測ユニット23の突起部23dが嵌り込むこともない。このため、本実施形態において第1部品31は、閉塞部31gの周辺に突起部31hを有し、この突起部31hが他の計測流路22の孔部22cに嵌り込む構造となっている。これにより、計測ユニット23の取付用の部位を利用してケース30の第1部品31に他の計測流路22を取り付けることができる。なお、孔部22cに突起部31hを嵌め込んだ後には、突起部31hを熱で溶融させたり、接着剤を塗布したりすることが好ましい。これにより、開口22aを閉塞部31gによって強固に塞ぐことができるためである。
【0033】
加えて、段部31fは、前面側に圧入凹部31iを備えている。この圧入凹部31iには、特定の計測流路21の一部が嵌り込む構造となっている。この圧入凹部31iによって、特定の計測流路21が位置決め等されることとなる。
【0034】
側板31dは、天板31a、底板31b及び背板31cを両側方から支持する板材である。側板31dは、略U字形状に形成されている。この側板31dは、天板31a及び底板31bとの接続部において突起部31jが形成されている。この突起部31jは、ケース30の第2部品32に対して隙間嵌めされる部位である。
【0035】
図9は、
図4に示した第2部品32の詳細を示す斜視図である。
図9に示す第2部品32は、流路構成部品20(
図4参照)が組み付けられた第1部品31(
図4参照)に対して取り付けられる板材である。第2部品32は、所定の箇所に穴部32aが形成されている。この穴部32aは、第1部品31の突起部31j(
図7参照)が嵌め込まれる部位である。すなわち、第1部品31の突起部31jと第2部品32の穴部32aとの隙間嵌めによって第1部品31と第2部品32とが組み付けられることとなる。
【0036】
また、第2部品32は、中央に開口部32bが形成されている。この開口部32bは、第1部品31と第2部品32とが組み付けられた状態において、計測ユニット23の一部を露出させる部位である。開口部32bから計測ユニット23(
図5参照)を露出させることで、ケース30(
図3参照)を小型化させるようにしている。
【0037】
さらに、
図6及び
図7に示すように、第1部品31は、背板31c及び側板31dのうち天板31a側の端部に切欠き部31kが形成されている。この切欠き部31kは、背板31c及び側板31dのそれぞれの角部が切り取られるようにして形成された部位である。また、
図9に示すように、第2部品32は、一端側(第1部品31との組付時において天板31a側)の端部にも切欠き部32cが形成されている。これらの切欠き部31k,32cは、
図8に示す第2パッキンP2が設けられる部位となる。ケース30が流出側流路15B(
図3参照)に設けられた状態において、第2パッキンP2は、ケース30と流出側流路15Bとの間に位置し、これらの隙間からガスが流れてしまう事態を抑制している。
【0038】
なお、第1部品31の背板31c及び側板31dのうち切欠き部31kと反対側の端部31lは、
図3に示すように、底部カバー10Bに載置される部位となる。この部位が底部カバー10Bに載置することで、ケース30の下方への脱落が防止されている。
【0039】
次に、本実施形態に係るガスメータ1の組立方法の概略を説明する。まず、作業者は、複数本の計測流路21,22を用意する。これら計測流路21,22は全て同一形状のものであることが好ましい。次いで、作業者は、複数本の計測流路21,22に対して分流板24及び第1パッキンP1を取り付ける。そして、作業者は、特定の計測流路21に対して計測ユニット23を取り付ける。
【0040】
次に、他の計測流路22を第1部品31の凹部31eに対して嵌め込む。このとき、第1部品31の突起部31hを他の計測流路22の孔部22cに挿入し、突起部31hを熱溶融等させる。これにより、他の計測流路22の開口22aを閉塞部31gで強固に塞ぐことができる。また、計測ユニット23が取り付けられた特定の計測流路21についても凹部31eに嵌め込む。この際、特定の計測流路21の一部は圧入凹部31iに嵌り込む。
【0041】
次に、第1部品31の突起部31jを第2部品32の穴部32aに対して隙間嵌めして、第1部品31と第2部品32とを組み付ける。これにより、流路構成部品20がケース30に保持される。
【0042】
その後、ガスメータ1の他の部品(例えば表示部13等)を上部ボディ10A内に組み付けると共に、配線接続等も行う。さらに、流路構成部品20が保持されたケース30を流出側流路15Bに収納する。その後、上部ボディ10Aに対して底部カバー10Bを取り付ける。
【0043】
このようにして、本実施形態に係るガスメータ1によれば、複数本の計測流路21,22を保持するケース30を備え、そのケース30に計測流路22の開口22aを防ぐ閉塞部31gが形成されている。このため、複数の計測流路21,22を一体に保持するための部品を使って計測流路22の開口22aを塞ぐことができ、複数本の計測流路21,22のいずれかに対して超音波センサUSが設置される構成において、他の計測流路22の開口22aを塞ぐ専用部品を用いることなく、部品点数の増加を抑制することができる。
【0044】
また、ケース30が複数本の計測流路21,22を保持する凹部31eに接触して設けられた第1パッキンP1と、ガス流路15とケース30との間に設けられた第2パッキンP2と、をさらに備える。このため、ケース30と計測流路21,22との隙間、及び、ガス流路15とケース30との隙間からガスが流れ難くなり、適切な流量計測を行い易くすることができる。
【0045】
また、制御基板23bは、複数本の計測流路21,22の本数に対する、超音波センサUSが設けられた計測流路21の本数の割合に基づいて、流量を算出する。このため、例えば同一形状の3本の計測流路21,22の1本にしか超音波センサUSが設けられていない場合には、この割合を利用して超音波センサUSによる計測値を3倍することで全体の流量を算出することができる。
【0046】
また、複数本の計測流路21,22内それぞれに対して設けられた分流板24をさらに備える。ここで、一般的には超音波センサUSが設けられる計測流路21のみに分流板24を設けてガスを整流すればよいかのように思える。しかし、超音波センサUSが設けられていない計測流路22についても分流板24を設けて整流することで、複数本の計測流路21,22内それぞれを流れるガス流量に隔たりが生じ難くなる。この結果、割合に基づいて全体の流量を算出する際に正確性を向上させることができる。
【0047】
また、ケース30は計測ユニット23の一部をケース30に露出させる開口部32bを有するため、ケース30自体が大型化し難くなり、ガス流路15にケース30を収納し易くすることができる。
【0048】
また、複数本の計測流路21,22は同一形状であると共に、特定の計測流路21は係合部21bを介して計測ユニット23が取り付けられ、他の計測流路22は、計測ユニット23を取り付けるための係合部22bを利用して、ケース30に対して取り付けられため、他の計測流路22に新たな構成を付加することなく、他の計測流路22をより強固にケース30に保持することができる。
【0049】
さらに、特定の計測流路21は、ケース30の圧入凹部31iに一部が嵌り込むため、圧入凹部31iによって位置決めされると共に、特定の計測流路21をより強固にケース30に保持することができる。
【0050】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。
【0051】
例えば、上記実施形態において複数本の計測流路21,22は3本であるが、2本又は4本以上であってもよい。さらに、計測ユニット23は1本の計測流路21のみに取り付けられているが、これに限らず、複数本の計測流路21,22の一部であれば2本以上に取り付けられていてもよい。計測ユニット23が2本以上の計測流路21,22に取り付けられる場合、制御基板23bは、例えば2つ以上の計測ユニット23にて計測された流量の平均値や中央値から上記割合に基づいて、全体の流量を算出するようにしてもよい。加えて、制御基板23bは、例えば2つ以上の計測ユニット23にて計測を行う場合、いずれか1つの計測ユニット23で所定流量範囲を超える明らかな異常値が計測されるとき、異常値を計測した計測ユニット23での計測値を加味することなく、全体の流量を算出するようにしてもよい。この場合、異常値を計測した計測ユニット23が取り付ける特定の計測流路21を、他の計測流路22であるとした割合を用いて、全体の流量を算出することが好ましい。
【0052】
さらに、本実施形態においてケース30は2部品からなるが、特に2部品に限らず1部品又は3部品以上で構成されていてもよい。
【0053】
また、本実施形態において流量計ユニットFUは、流出側流路15Bに設けられているが、特にこれに限らず、水平流路15Cに設けられていてもよいし、流入側流路15Aに設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 :ガスメータ
11 :ガス流入口
12 :ガス流出口
15 :ガス流路
21,22 :計測流路
21a,22a :開口
23 :計測ユニット
23b :制御基板(演算部)
24 :分流板
30 :ケース
31e :凹部(保持部)
31g :閉塞部
FU :流量計ユニット
P1 :第1パッキン
P2 :第2パッキン
US :超音波センサ(流量センサ)