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特開2024-156360ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部
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  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図1
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図2
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図3
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  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図8
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図9
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図10
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図11
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図12
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図13
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図14
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図15
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図16
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図17
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図18
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図19
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図20
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図21
  • 特開-ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部 図22
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156360
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部
(51)【国際特許分類】
   B64U 70/97 20230101AFI20241029BHJP
   B64U 20/87 20230101ALI20241029BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20241029BHJP
   B64U 101/64 20230101ALN20241029BHJP
【FI】
B64U70/97
B64U20/87
B65G1/00 501F
B64U101:64
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070759
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】521501761
【氏名又は名称】VFR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100080953
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 克郎
(72)【発明者】
【氏名】黛 卓司
(72)【発明者】
【氏名】金子 哲也
(72)【発明者】
【氏名】柴田 翔平
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022BB01
3F022CC03
3F022HH05
3F022MM05
3F022NN01
(57)【要約】
【課題】従来の設備における種々の問題を解決しうる新規な構成のドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部を提供する。
【解決手段】ドローン100が着陸可能な着陸台204を有する着陸ポートであって、着陸台204に着陸したドローン100の下方に荷役用のローダー300が出入り可能な可変性の荷役スペース230を形成するドローン着陸ポート200である。着陸台の一部が、いずれかの方向に移動する可動部材210で構成されていてもよい。可動部材210は、複数の部材で構成されていてもよい。複数の可動部材は、水平方向に並べられた複数の板状部材を含んでいてもよい。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンが着陸可能な着陸台を有する着陸ポートであって、前記着陸台に着陸した前記ドローンの下方に荷役用のローダーが出入り可能な可変性の荷役スペースを形成する、ドローン着陸ポート。
【請求項2】
前記着陸台の一部が、いずれかの方向に移動する可動部材で構成されている、請求項1に記載のドローン着陸ポート。
【請求項3】
前記可動部材は、複数の部材で構成されている、請求項2に記載のドローン着陸ポート。
【請求項4】
前記複数の可動部材は、水平方向に並べられた複数の板状部材を含む、請求項3に記載のドローン着陸ポート。
【請求項5】
前記複数の可動部材のいずれかを選択的に移動させることが可能に構成されている、請求項3に記載のドローン着陸ポート。
【請求項6】
前記可動部材が昇降可能に構成されている、請求項5に記載のドローン着陸ポート。
【請求項7】
前記複数の可動部材のうち、前記着陸台に着陸した前記ドローンが着地していない可動部材を選択的に下降させることが可能に構成されている、請求項6に記載のドローン着陸ポート。
【請求項8】
前記板状部材が水平方向に移動可能に構成されている、請求項4に記載のドローン着陸ポート。
【請求項9】
前記複数の板状部材のうち、前記着陸台に着陸した前記ドローンが着地している板状部材を水平方向に移動させる、請求項8に記載のドローン着陸ポート。
【請求項10】
前記着陸台は、2台以上の前記ドローンが着陸可能なスペースを有する大きさに形成されている、請求項4に記載のドローン着陸ポート。
【請求項11】
前記着陸台と、前記ローダーが通行する通行領域との間に仕切り部材が設けられている、請求項3に記載のドローン着陸ポート。
【請求項12】
搬送可能な大きさに分割可能である、請求項3に記載のドローン着陸ポート。
【請求項13】
前記板状部材の摺動抵抗が、人力によりまたは前記ローダーで押すことにより移動可能な大きさに設定されている、請求項9に記載のドローン着陸ポート。
【請求項14】
前記可動部材は、前記ドローンの保守等に用いられる他の設備あるいはその近傍まで移動可能に設けられている、請求項3に記載のドローン着陸ポート。
【請求項15】
前記可動部材を移動させるアクチュエータと、前記ドローンの位置を検出するセンサと、該センサにより検出された情報に基づき前記アクチュエータを制御するコントローラと、を備え、前記ドローンの着陸中に該ドローンの位置に合わせて前記可動部材を移動させる、請求項3に記載のドローン着陸ポート。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のドローン着陸ポートで利用可能な荷役用のローダーであって、
荷物を載置するための荷台を有する、ローダー。
【請求項17】
前記荷台を昇降させる荷台昇降機構と、前記荷台を水平方向に移動させる荷台移動機構と、前記荷台を当該ローダーの前後方向と幅方向のそれぞれに移動させる機構と、前記荷台を所定の軸を中心に回転させる荷台回転機構と、を備える、請求項16に記載のローダー。
【請求項18】
前記ドローンに対する前記荷台の位置、または前記ドローンによって搬送された荷物に対する前記荷台の位置を調整する位置調整装置を備える、請求項16または17に記載のローダー。
【請求項19】
前記位置調整装置は、撮像装置により撮像された画像あるいはセンサ装置からの信号に基づき調整するように構成されている、請求項18に記載のローダー。
【請求項20】
前記画像を映し出すモニター装置と、前記ドローンに搭載された前記撮像装置から画像データを受信する受信装置と、該受信装置が受信した画像データを処理してモニター装置に映し出し、かつ、前記位置調整装置を自動制御する制御装置と、を備える、請求項19に記載のローダー。
【請求項21】
UGV(無人地上車両)あるいはAGV(無人搬送車)である、請求項20に記載のローダー。
【請求項22】
請求項1から15のいずれか一項に記載のドローン着陸ポートで利用可能なドローン。
【請求項23】
請求項22に記載のドローンに設置可能な、荷物を搭載するための荷物格納部。
【請求項24】
ボディと、プロペラと、脚部と、前記ボディの下部に配置された荷物格納部と、を備えたドローンであって、
前記脚部をドローン着陸ポートの着陸台に着陸または地面に接地させた着陸姿勢のとき、前記荷物格納部の下方に、荷役用のローダーが出入り可能な荷役スペースを形成する、ドローン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンを用いて荷物を輸送すること(ドローン物流)が計画され、そのための技術が提案され、さらには実際に設備を使って運用が試みられる等している(例えば特許文献1,2参照)。このようなドローンを用いた物流には、ドローン自体の他、荷物の受け渡しをする際にドローンを離着陸させるためのドローンポートと呼ばれる地上設備が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6924297号公報
【特許文献2】特開2021-46110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ドローンポートの現状の態様、さらには将来的に期待される態様などに照らすと、従来のドローンポートや当該ドローンポートを利用した物流には下記のごとき問題がある。
・荷物のマテリアルハンドリング(いわゆるマテハン)の精度や効率を向上させるための重要な要素のひとつはドローンの着陸精度を高めることである。ところが、実際、気象状況が変化する屋外での使用状況下におけるドローンの着陸精度を高めることは簡単ではない。ドローンの自律制御の装置を高精度化すれば着陸精度を高めることはできるかもしれないが、すべてのドローンの自律制御装置を高精度化しようとすれば費用がかかりすぎてコストパフォーマンスが低下しかねない。
・ドローンの着陸精度に実用上の限界があるのであれば、そのぶん、マテリアルハンドリングの精度や効率を向上させることにも自ずと限界が生じうる。
・従来のごとく、ポート1つにドローン1台が着陸して荷物の受け渡しを行う方式においては、ポート1つに対し、ドローンの位置決め機構と、荷物を下から受け渡す機構の両方が必要となることから、設備の規模が大きくなればなるほどコスト高となりやすい。
【0005】
そこで、本発明は、従来の設備における種々の問題を解決しうる新規な構成のドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決すべく本発明者は種々の検討を行った。従来の設備のごとく、ポート1つにドローン1台が着陸して荷物の受け渡しを行う方式だと、上記したようにドローンの着陸精度、マテリアルハンドリングの精度や効率、コスト改善といった面での改良が難しく、将来、ロジスティクスに改革がもたされたりその需要が飛躍的に増加したりしたような場合、このままの設備で十分に対応することが困難であることは明白である。こういった問題点に着目し、従来の設備におけるそもそもの構造や特徴について検討を重ねた本発明者は、新たな知見を得るに至った。
【0007】
このような知見に基づく本発明の一態様は、ドローンが着陸可能な着陸台を有する着陸ポートであって、着陸台に着陸したドローンの下方に荷役用のローダーが出入り可能な可変性の荷役スペースを形成する、ドローン着陸ポートである。
【0008】
かかるドローン着陸ポートによれば、従来の設備におけるような問題を以下のごとく解決することが可能である。
・ドローンの着陸位置がずれたとしても可変性である荷役スペースをドローンの位置に応じて柔軟に変えることができる。こうすることにより、ドローンの着陸精度(の不足分)を地上側の設備で補うことが可能となる。
・ドローンの着陸精度(の不足分)を地上側の設備で補うことにより、マテリアルハンドリングの精度や効率を向上させることが可能となる。
・可変性の荷役スペースを形成することができるドローン着陸ポートにおいては、その特質を活かし、複数台のドローンが離発着可能なエリア(ピット)をまとめて運用することで、荷物の受け渡しやマテリアルハンドリングに必要な機構を共用化した構成とすることができる。こうした場合には、設備の規模を大きくしたとしても、従来の設備に比べればコストを抑えやすくなる。
【0009】
上記のごときドローン着陸ポートにおいて、着陸台の一部が、いずれかの方向に移動する可動部材で構成されていてもよい。
【0010】
上記のごときドローン着陸ポートにおいて、可動部材は、複数の部材で構成されていてもよい。
【0011】
上記のごときドローン着陸ポートにおいて、複数の可動部材は、水平方向に並べられた複数の板状部材を含んでいてもよい。
【0012】
上記のごときドローン着陸ポートは、複数の可動部材のいずれかを選択的に移動させることが可能に構成されていてもよい。
【0013】
上記のごときドローン着陸ポートにおいて、可動部材が昇降可能に構成されていてもよい。
【0014】
上記のごときドローン着陸ポートは、複数の可動部材のうち、着陸台に着陸したドローンが着地していない可動部材を選択的に下降させることが可能に構成されていてもよい。
【0015】
上記のごときドローン着陸ポートにおいて、板状部材が水平方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0016】
上記のごときドローン着陸ポートにおいて、複数の板状部材のうち、着陸台に着陸したドローンが着地している板状部材を水平方向に移動させてもよい。
【0017】
上記のごときドローン着陸ポートにおいて、着陸台は、2台以上のドローンが着陸可能なスペースを有する大きさに形成されていてもよい。
【0018】
上記のごときドローン着陸ポートにおいて、着陸台と、ローダーが通行する通行領域との間に仕切り部材が設けられていてもよい。
【0019】
上記のごときドローン着陸ポートにおいて、搬送可能な大きさに分割可能であってもよい。
【0020】
上記のごときドローン着陸ポートにおいて、板状部材の摺動抵抗が、人力によりまたはローダーで押すことにより移動可能な大きさに設定されていてもよい。
【0021】
上記のごときドローン着陸ポートにおいて、可動部材は、ドローンの保守等に用いられる他の設備あるいはその近傍まで移動可能に設けられていてもよい。
【0022】
上記のごときドローン着陸ポートは、可動部材を移動させるアクチュエータと、ドローンの位置を検出するセンサと、該センサにより検出された情報に基づきアクチュエータを制御するコントローラと、を備え、ドローンの着陸中に該ドローンの位置に合わせて可動部材を移動させるものであってもよい。
【0023】
本発明の一態様であるローダーは、上記のごときドローン着陸ポートで利用可能な荷役用のローダーであって、荷物を載置するための荷台を有する、ローダーである。
【0024】
上記のごときローダーは、荷台を昇降させる荷台昇降機構と、荷台を水平方向に移動させる荷台移動機構と、荷台を当該ローダーの前後方向と幅方向のそれぞれに移動させる機構と、荷台を所定の軸を中心に回転させる荷台回転機構と、を備えていてもよい。
【0025】
上記のごときローダーは、ドローンに対する荷台の位置、またはドローンによって搬送された荷物に対する荷台の位置を調整する位置調整装置を備えていてもよい。
【0026】
上記のごときローダーにおいて、位置調整装置は、撮像装置により撮像された画像あるいはセンサ装置からの信号に基づき調整するように構成されていてもよい。
【0027】
上記のごときローダーは、画像を映し出すモニター装置と、ドローンに搭載された撮像装置から画像データを受信する受信装置と、該受信装置が受信した画像データを処理してモニター装置に映し出し、かつ、位置調整装置を自動制御する制御装置と、を備えていてもよい。
【0028】
上記のごときローダーは、UGV(無人地上車両)あるいはAGV(無人搬送車)であってもよい。
【0029】
本発明の別の一態様は、上記のごときドローン着陸ポートで利用可能なドローンである。
【0030】
本発明のさらに別の一態様は、上記のごときドローンに設置可能な、荷物を搭載するための荷物格納部である。
【0031】
本発明のさらに別の一態様は、ボディと、プロペラと、脚部と、ボディの下部に配置された荷物格納部と、を備えたドローンであって、
脚部をドローン着陸ポートの着陸台に着陸または地面に接地させた着陸姿勢のとき、荷物格納部の下方に、荷役用のローダーが出入り可能な荷役スペースを形成する、ドローンである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、従来の設備における種々の問題を解決しうる新規な構成のドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】ドローンの構成の概略を示す図である。
図2】荷物が地上の設備とドローン着陸ポートとの間で搬送される旨を説明する図である。
図3】ドローンの下方での荷物の位置決めについて説明する図である。
図4】ドローンの下方で荷物を昇降させる様子を説明する図である。
図5】着陸後のドローン自体を移動させて位置決めする様子を説明する図である。
図6】ドローンの別の構成例を示す図である。
図7】台車ローダーの通行領域や仕切り部材が設けられたドローン着陸ポートを示す斜視図である。
図8】ドローン着陸ポートの一例を示す斜視図である。
図9】着陸台にドローンが着陸した状態のドローン着陸ポートを示す斜視図である。
図10】ドローンが載った可動コームをドローンごと水平方向に移動させた様子を示す斜視図である。
図11】ドローンが載った可動コームよりも内側の可動コームを下降させた様子を示す斜視図である。
図12】可動コームに上フランジ部が設けられたドローン着陸ポートを示す斜視図である。
図13】一部の可動コームを下降させてドローンの一部を隠した状態を示す斜視図である。
図14図13に示す状態から内側の可動コームを下降させ、ドローンの下方に荷役スペースを形成した状態を示す斜視図である。
図15】可動コームを昇降させるための移動機構の例として、パンタグラフやボールねじを利用したものを示す図である。
図16】引っ掛け棒などを用いた移動機構の例を示す図である。
図17】(A)レールやリニアガイドを用いた移動機構の例と、(B)その動作後の状態を示す図である。
図18】台車ローダーで所定の可動コームを押し込む様子を示す平面図である。
図19】鉛直方向に長い可動ロッドで構成された可動部材の一例を示す平面図である。
図20】可動ロッドを昇降させるための移動機構の一例を示す図である。
図21】台車ローダーなどの構成例を説明する図である。
図22】台車ローダーにおける荷台の位置調整について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しつつ本開示に係るドローン着陸ポートと該ポートで利用可能な台車ローダー、およびドローンとその荷物格納部の好適な実施形態を詳細に説明する(図1等参照)。
【0035】
[ドローン]
本実施形態のドローン100は、ボディ102、プロペラ104、スキッド106、キャッチャー(荷物格納部)108、下方撮影用カメラ(撮像装置)110を備えており(図1図5図21等参照)、後述するドローン着陸ポート200で利用可能なドローンとして構成されている。
【0036】
ボディ102は、当該ドローン100の本体部である。プロペラ104はボディ102に複数たとえば4つ取り付けられていて、当該ドローン100が飛行するためのローターとして機能する。スキッド106は、ドローン100が着陸する際接地し、ボディ102等を支える脚部として機能する(図1等参照)。
【0037】
キャッチャー108は、荷物400を搭載するための荷物格納部として機能する部分であり、ボディ102の例えば下部に配置されている(図1等参照)。キャッチャー108は、たとえば、対向して配置され、下端部を開いたり閉じたりする鉤状ないしフック状の部材からなる。キャッチャー108自体、ボディ102に設置ないしは着脱可能な部材として構成されていてもよい。
【0038】
キャッチャー108に格納される前の荷物400は、例えば荷物集配センターの受け渡し窓口500といった地上の設備からドローン着陸ポート200へと、台車ローダー300によって地上で搬送される(図2参照)。このとき、本実施形態では、荷物400の位置を詳細に位置決めするように台車ローダー300を移動させるのではなく、ある程度おおまかに位置決めするにとどめ、その後、追って説明する位置調整装置320を利用して荷台310の位置調整をすることによって荷物400の位置を詳細に位置決めする(図3参照)。その後、荷台310を上昇させ、キャッチャー108に荷物400を収納する(図4参照)。
【0039】
下方撮影用カメラ110は、ドローン100の下方を撮影することができる撮像装置とてボディ102に設けられている(図21等参照)。
【0040】
[ドローン着陸ポートの構成]
ドローン着陸ポート200は、荷物の受け渡しをする際にドローン100を離着陸させるための地上設備を構成するもので、ドローン100が着陸可能な着陸台204を有していて、当該着陸台204に着陸したドローン100の下方に荷役用の台車ローダー300が出入り可能な可変性の荷役スペース230を形成する(図7図20参照)。
【0041】
本実施形態のドローン着陸ポート200は、着陸台204の少なくとも一部が、いずれかの方向に移動する可動部材210によって構成されており、当該可動部材210を移動させることによって、ドローン着陸ポート200の態様によっては、着陸後のドローン100を移動させることが可能となっている。可動部材210は種々の形態をとりえる。一例として、水平方向に並べられた複数の板状部材で構成された可動部材210について以下に説明する。
【0042】
<可動部材の第1の形態>
可動部材210を構成する複数の板状部材は、例えば、横向きに立設された状態(厚さ方向が水平方向を向くように立てて配置された状態)で水平方向に積層するように並べられた複数の部材(本明細書では「可動コーム」と呼び、図中では符号212で示す)で構成される(図7図9参照)。これら複数の可動コーム212は、それぞれが同じ高さに配置されることで、その上面にドローン100の着陸台204となる面一な面を構成する(図8等参照)。これら複数の可動コーム212は、互いに接するように密に配置されていてもよいが、本実施形態ではぞれぞれの間に隙間ができるように所定の間隔をあけて配置し(図8等参照)、一部の可動コーム212を移動させる際に隣の可動コーム212に摺接することなく移動できるようにしている。この隙間がドローン100のスキッド106の接地面よりも小さければ、着陸台204を形成するうえで問題はない。また、可動コーム212はドローン100の大きさに加えて着陸精度を見込んだ余裕のある長さであり、この余裕長さは後述するドローン100の着陸時に、着陸位置ずれの吸収に貢献する。
【0043】
可動コーム212は動くことができるものであり、複数が並べられた可動コーム212のうちのいずれか所定のものを選択的に移動させることができるようになっている。可動コーム212の移動方向は、水平方向であってもよいし、上下方向であってもよい(図10図11等参照)。例えば、ドローン100のスキッド106が載った可動コーム212をドローン100ごと水平方向に移動させることで、移動後のドローン100の下方に荷役用の台車ローダー300が出入り可能な可変性の(つまりは、状況に応じて位置や形を変えることができる)荷役スペース230を形成することができる(図10参照)。あるいは、特に図示はしていないが、ドローン100のスキッド106が載った可動コーム212よりも内側に位置する可動コーム212を、台車ローダー300が出入りする側とは反対の側(後方)へ水平に移動させることで、ドローン100の下方に台車ローダー300が出入り可能な可変性の荷役スペース230を形成することができる。また、着陸台204に着陸したドローン100が載っていない可動コーム212のうち、スキッド106が接している可動コーム212のさらに内側に位置する可動コーム212を下降させることで、ドローン100の下方に台車ローダー300が出入り可能な可変性の荷役スペース230を形成することができる(図11参照)。このように、可動コーム212を複数並べ、いずれかの可動コーム212を選択的に移動させることができる着陸台204を構成した本実施形態のドローン着陸ポート200においては、ドローン100の着地位置が目的とする位置からずれてしまっても、ドローン100自体を動かすのではなく、ドローン着陸ポート200の所定の可動コーム212を稼動させることで、可変性を有する荷役スペース230の位置や形、大きさをドローン100の位置に応じて柔軟に変えることができる。こうすることで、このドローン着陸ポート200においては、移動体の着陸位置のずれをいわば設備側で吸収することが可能となっている。ちなみに、可動コーム212が水平移動するタイプのドローン着陸ポート200は地下部分のスペースが確保し難い場所への適用に向き(図10参照)、可動コーム212が昇降するタイプのドローン着陸ポート200は狭い土地などへの適用に向く(図11参照)。
【0044】
<可動部材の第2の形態>
可動部材210を構成する複数の板状部材は、横向きに立設された状態(厚さ方向が水平方向を向くように立てて配置された状態)で水平方向に積層するように並べられた可動コーム(縦の板状部材)212と、可動コーム212に設けられた上フランジ部(横の板状部材)214からなる(図12図14参照)。上フランジ部214は、可動コーム212の上縁部に設けられたいわば横板であり、面一な水平面を形成するように横向きに設けられている。可動コーム212に対し、上フランジ部214は、「T」形となるように両側に突出して設けられてもよいし(図12図14参照)、「Γ」形となるように片側に突出して設けられてもよい。上フランジ部214を設ければ、可動コーム212の数を減らしても着陸台204として必要な領域を確保することが可能である。
【0045】
なお、可動コーム212の一部または全部を昇降させることで、一部または全部の着陸台204の高さを変えることができる。また、ドローン100が載っている可動コーム212さらにはその内側の可動コーム212を下降させれば、着陸状態のドローン100も下降して一部または全部が隠れた状態となる(図13参照)。こうすることで、他のドローン100が発着するときの邪魔にならないようにすることができる。また、この状態から、ドローン100が載っている可動コーム212の内側の可動コーム212のみを下降させれば、ドローン100の下方に荷役スペースを形成することができる(図14参照)。
【0046】
上述した第1、第2の形態における可動コーム212を水平方向あるいは鉛直方向へ移動させるための移動機構の例を以下に説明する。まず、可動コーム212を昇降させるための移動機構250の例としては、パンタグラフ251を利用したものやボールねじ252を利用したものを挙げることができる(図15参照)。パンタグラフ251やボールねじ252を昇降させたい可動コーム212の真下に移動させるためのスライド機構(例えば、ガイドレールを備えたもの)が併設されていてもよい。
【0047】
また、可動コーム212を昇降させるための移動機構250の別の例として、昇降対象ではない可動コーム212に左右から引っ掛け棒254を延ばしてくし刺し状とし、支持台256を下げた時にこれらの可動コーム212は宙づり状態となり、引っ掛け棒254が通っていない所定の可動コーム212のみが下降するようにしたのを挙げることができる(図16参照)。
【0048】
可動コーム212を水平方向に移動させるための移動機構250の例としては、リニアガイド261やリニアガイド262を用い、可動コーム212を押し出すようしてX軸またはY軸に沿って移動させるようにしたものを挙げることができる(図17参照)。リニアガイド261の先端部には把持機構263があり、これらリニアガイド261と把持機構263とで押し込みアクチュエータ266が構成されている。また、可動コーム212の底部には図示していないレールあるいは溝あるいはローラーや車輪などが存在しており、直動する構造を構成している。可動コーム212をリニアガイド261に設置された押し込みアクチュエータ266で把持し、リニアガイド261及び押し込みアクチュエータ266の動作により可動コーム212を水平方向に移動させる。リニアガイド261とリニアガイド262は直交するように構成されており、リニアガイド261に設置された押し込みアクチュエータ266はリニアガイド262で移動させることができるため、押し込みアクチュエータ266の位置は選択的に変更可能とすることができる。これにより、任意の可動コーム212を水平方向に移動させることができる。
【0049】
また、上述した第1、第2の形態におけるドローン着陸ポート200は、さらに、アクチュエータ280、センサ282、コントローラ284を備えている(図17等参照)。アクチュエータ280は、可動コーム212を移動させるための動力源である。センサ282は、ドローン100の位置を検出するためのもので、カメラ、赤外線センサ、可動コーム212のそれぞれに設けられた圧力センサなどで構成される。コントローラ284は、センサ282により検出された情報に基づきアクチュエータ280を制御する。このような構成のドローン着陸ポート200においては、たとえば、ドローン100の接地前の着陸プロセス中に該ドローン100の位置に合わせて可動コーム212を移動させる、といった制御をすることも可能である。
【0050】
また、可動コーム212を水平方向に移動させる別の例としては、台車ローダー300で所定の可動コーム212を押し込むというものを挙げることができる(図18参照)。この場合における可動コーム212の摺動抵抗は、人力によりまたは台車ローダー300で押すことにより移動可能な大きさに設定されているとよい。例示すれば、摺動抵抗は2kgf(約20N)以下とすることが望ましく、1kgf(約10N)以下とすることがさらに望ましい。また、ドローン100のスキッド106が載った可動コーム212を移動させずその場に留めるためのロック装置264が併設されていてもよい。また、台車ローダー300と可動コーム212の間にクッションのような緩衝材265を介在させてもよい(図18参照)。
【0051】
<可動部材の第3の形態>
可動部材210は、鉛直方向に長い長尺部材(以下、可動ロッドともいう)218で構成されている。本形態では、複数の可動ロッド218がX軸およびY軸に沿って格子状に配置され、その上面にドローン100の着陸台204となる面一な面が構成されるようにしている(図19参照)。可動ロッド218の横断面形状はとくに限定されるものではなく、矩形でも円形でもよいし、その他の形状でもよい。また、特に図示してはいないが、可動ロッド218の上端に、上フランジ部(横の板状部材)が設けられていてもよい。
【0052】
複数設けられた可動ロッド218は、いずれか所定のものを選択的に昇降させることができるようになっている(図19参照)。可動ロッド218を昇降させるための移動機構250の一例としては、X軸リニアガイド271と、Y軸リニアガイド272と、Z軸ボールねじ273とを組み合わせ、直交する3方向への移動を可能としたものを挙げることができる(図20参照)。このような移動機構250によれば、X軸リニアガイド271とY軸リニアガイド272を使い、Z軸ボールねじ273を昇降させたい可動ロッド218の真下に移動させることが可能となる(図19図20参照)。
【0053】
このような第3の形態におけるドローン着陸ポート200は、さらに、アクチュエータ280、センサ282、コントローラ284を備えている(図20参照)。
【0054】
<可動部材の第4の形態>
可動部材210は、ドローン100の保守等に用いられる他の設備あるいはその近傍まで移動可能に設けられているとよい。特に図示してはいないが、このような可動部材210によれば、ドローン100の保守等をする場合、可動部材210に載せたまま設備あるいはその近傍まで移動させることができる。他の設備の具体例としては、充電するための設備、点検やメンテナンスをするための設備、駐機しておくための設備、さらには当該ドローン着陸ポート200を持つ拠点内外への輸送用設備・車両などが挙げられる。
【0055】
[ドローン着陸ポートの別の例(1)]
ドローン着陸ポート200の別の例(変形例)を説明する(図7参照)。
【0056】
図7に示すドローン着陸ポート200は、着陸台204の面積を広げることにより、複数のドローン100が同時に着陸した状態となりうるエリア(本明細書では、ドローンピット202という場合がある)を有している(図7参照)。また、このように着陸台204の面積を広げた1組のドローン着陸ポート200を対向して配置することで、その間に台車ローダー300さらには作業者が通ることができる通行領域240が設けられている。さらに、この通行領域と着陸台204との間に隔壁となる仕切り部材242が設けられている。仕切り部材242はドローン100の離着陸時などにおける安全対策や風除けとして機能しうる。透明ないし半透明のアクリル板などを仕切り部材242として用いれば、当該仕切り部材242越しにドローン100を直接あるいはモニターなどを使って間接的に視認することができるようになる。なお、複数の着陸台204を配置する場合、これら着陸台204を隙間がないように連続的に配置してもよいし、これら着陸台204の間にスペースを設けて間欠的に配置してもよい。後者の場合には、隣り合う着陸台204の間に仕切り部材242を設けてもよい。
【0057】
[ドローン着陸ポートの別の例(2)]
ドローン着陸ポート200は、搬送可能な大きさに分割可能であってもよい。分割することで、人力で搬送したり、フォークリフトといった運搬車両を利用して搬送したりすることが可能となり、例えば現場での展開や、拠点でのドローン着陸ポート200の増設、レイアウト変更などを行うことが容易となる。
【0058】
[台車ローダーの構成]
本発明の一態様である台車ローダー300は、上述したドローン着陸ポート200で利用可能な荷役用のローダーであり、荷物集配センターの受け渡し窓口500といった地上の設備(図2参照)とドローン着陸ポート200との間を走行し、荷物を運搬する(図8図14等参照)。台車ローダー300としては、無人地上車両:UGV(Unmanned Ground Vehicle)や、無人搬送車:AGV(Automated [Automatic] Guided Vehicle))など、あるいはこれらをベースにしたローダーを用いてもよいし、作業者の人力(たとえば押す力など)によって動く文字通りの台車を用いてもよい。以下では、本実施形態の台車ローダー300の構成のうち、本願に特有な部分を中心に説明する。本実施形態の台車ローダー300は、荷物を載置するための荷台310のほか、位置調整装置320、モニター装置360、受信装置370、制御装置380などを備えている(図21図22参照)。
【0059】
位置調整装置320は、ドローン100で運ばれた荷物400を台車ローダー300で受け取る際、あるいは当該台車ローダー300で運搬した荷物400をドローン100に搭載する際、荷台310の位置を調整する装置である(図21図22参照)。ここでいう位置調整には、荷台310の向き(角度)を調整することも含まれる。本実施形態では、位置調整装置320は、荷台昇降機構330、荷台移動機構340、荷台回転機構350を含む。
【0060】
荷台昇降機構330は、鉛直方向(Z方向)に荷台310を移動させる(昇降させる)ための機構である。荷台昇降機構330は、たとえば、伸縮動作をするパンタグラフ(図示省略)やアクチュエータ(図示省略)などで構成される。作業者が操作できるようにするための回転ハンドル332が設けられていてもよい(図21参照)。
【0061】
荷台移動機構340は、荷台310を左右方向(X方向)あるいは前後方向(Y方向)へ水平に移動させるための機構である。特に図示してはいないが、荷台移動機構340は、たとえばボールねじ、あるいはレールやリニアガイドを備えたスライド装置、さらにはアクチュエータなどで構成することができる。
【0062】
荷台回転機構350は、荷台310が所定の鉛直軸を中心に回転させるための機構である。特に図示してはいないが、荷台回転機構350は、荷台310の鉛直な支持軸を回転させるための歯車や軸受、さらにはアクチュエータなどで構成することができる。荷台回転機構350により、荷台の向き(角度)θを微調整することが可能である(図22参照)。
【0063】
モニター装置360は、撮像装置によって撮像された画像を映し出すための装置である(図21参照)。この場合における撮像装置は、台車ローダー300に搭載されている場合もあるし、ドローン100に搭載されている場合もある。本実施形態では、ドローン100に設置されている下方撮影用カメラ110を撮像装置とし、当該下方撮影用カメラ110が撮像した画像のデータを受信装置370で受信し、制御装置380で処理し、このモニター装置360に映し出している(図21参照)。なお、本実施形態では上記のごとく下方撮影用カメラ110を図示しつつ説明したが、これは適用可能なセンサ装置の一例にすぎない。このほか、センサ装置としては、変位センサや近接センサ、赤外線センサなどが挙げられ、それらセンサ装置でドローン100の相対的な位置のずれを把握し、変位情報を制御装置に送るなどすることができる。
【0064】
制御装置380は、受信装置370が受信した画像データを処理してモニター装置360に映し出す。また、本実施形態の制御装置380は、位置調整装置320を自動制御する。位置調整装置320の自動制御とは、たとえば、画像データを処理した結果に基づき、キャッチャー108に対する荷物400の相対位置が所定の適正範囲内に収まるよう、荷台昇降機構330、荷台移動機構340、荷台回転機構350を使って荷台310の位置調整を実施することが該当する。
【0065】
なお、上述のモニター装置360あるいは制御装置380として、タブレットPC390といった小型のコンピューターを利用してもよい(図21参照)。この場合、タブレットPC390の画面から手動入力することで、荷台昇降機構330、荷台移動機構340、荷台回転機構350を適宜動作させ、荷台310の位置調整ができるようにしてもよい(図21図22参照)。
【0066】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、ドローン100は、スキッド106をドローン着陸ポート200の着陸台204に着陸または地面に接地させた着陸姿勢のとき、キャッチャー(荷物格納部)108の下方に、台車ローダー300が出入り可能な荷役スペースを形成するものであってもよい(図6参照)。
【0067】
ここまで説明した本実施形態のドローン100、ドローン着陸ポート200および台車ローダー300によれば、従来の設備におけるような問題を以下のごとく解決することが可能となる。
(A)ドローン100の着陸位置がずれたとしても可変性である荷役スペース230をドローン100の位置に応じて柔軟に変えることができる。このため、ドローン100の着陸精度の不足分を地上側の設備(ドローン着陸ポート200)で補うことが可能である。
(B)実際、現状のドローンの着陸精度は良くて±数cm程度、通常は±1m程度にすぎず、着陸したドローンの位置を調整する必要がある場合、ドローンのスキッド(脚)をつかんで移動させ、荷物の昇降台との位置ずれを直すといった対応が採られているのが実状である(図5参照)。この点、本実施形態の設備や装置においては、ドローン100の着陸精度の不足分を地上側の設備で補うことにより、マテリアルハンドリングの精度や効率を向上させることが可能である。
(C)可変性の荷役スペース230を形成することができるドローン着陸ポート200においては、複数台のドローン100が離発着可能なエリア(ドローンピット202)をまとめて運用することで、荷物400の受け渡しやマテリアルハンドリングに必要な機構を共用化した構成とすることができる。こうした場合には、設備の規模を大きくしたとしても、従来の設備に比べればコストを抑えやすくなる。
【0068】
(D)ドローン100を用いた物流には、ドローン100、キャッチャー108、ドローン着陸ポート200間の連携が必要になる。また、ドローン着陸ポート200にはドローン100との荷物400の受け渡しのために少なくとも4つの機構(すなわち、X方向に水平移動させる機構、Y方向に水平移動させる機構、Z方向に昇降させる機構、鉛直軸を中心に角度θ回転させる機構)が必要である。この点、既存のドローンポートでは機構の共用化が難しく、効率性、費用対効果などの問題がある。これに対し、これらの機構を台車ローダー300に集約し、荷物400の受け渡しのための機構を共用化した本実施形態の設備や装置には設備投資額抑制効果があり、このような問題にも対応することができる。
(E)既存のドローンポートでは上記のごとき機構の共用化が難しく、ドローン運用数を増やすにはポートの数を増やすしかないというのが実状である。このため、既存のドローンポートにおいては大規模化によるメリットが乏しい。また、荷物受け渡し時以外は動かない機構が多く、設備稼働率が低い。こういった点から、物流量増加に対応しようとしても投資額が嵩みがちであり、大規模化に向かない。これに対し、機構を共用化した本実施形態の設備や装置によれば、大規模化によるメリットが得られやすいし、複数のドローンが離発着可能なドローンピット202をまとめて運用し、稼働率を高めることができる。
(F)既存のドローンポートにおいては、充電、夜間駐機、メンテナンスといった作業等の間、ドローンポートが占有されてしまう場合がある。また、ポート1基にドローン着陸場所を複数設けることは困難である。また、安全確保のために着陸場所は間隔をあける必要がある。こういった点から、結局、ドローン1台につき1基ずつポートを増設する必要がある。これらに対し、複数のドローン100が同時に着陸ないしは待機できるドローンピット202を備えた本実施形態の設備や装置によれば、こういった問題を根本的に解決しうる。
(G)上述したとおり、台車ローダー300としては、無人地上車両(UGV)や無人搬送車(AGV)を用いることができるが、それに代えて作業者の人力によって動く台車を用いれば、当然ながら設備投資に必要なコストを下げることができるし、需要が少ないところでも導入しやすいものとすることができる。また、将来の需要増や技術革新に合わせて台車ローダー300を無人地上車両(UGV)や無人搬送車(AGV)を利用したものに置き換えることが可能であるし、不要になった台車ローダー300を閑散拠点に回すといった使い方をすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、ドローン着陸ポートと該ポートで利用可能なローダー、およびドローンとその荷物格納部に適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0070】
100…ドローン
102…ボディ
104…プロペラ(ローター)
106…スキッド(脚部)
108…(ドローンに搭載された)キャッチャー(荷物格納部)
110…下方撮影用カメラ(センサ装置)
200…ドローン着陸ポート
202…ドローンピット
204…着陸台
210…可動部材
212…可動コーム(縦の板状部材)
214…上フランジ部(横の板状部材)
218…可動ロッド(長尺部材)
230…荷役スペース
240…(ローダーの)通行領域
242…仕切り部材
250…移動機構
251…パンタグラフ
252…ボールねじ
254…引っ掛け棒
256…支持台
261…リニアガイド
262…リニアガイド
263…把持機構
264…ロック装置
265…緩衝材
266…押し込みアクチュエータ
271…X軸リニアガイド
272…Y軸リニアガイド
273…Z軸ボールねじ
280…アクチュエータ
282…センサ
284…コントローラ
300…台車ローダー(ローダー)
310…荷台
320…位置調整装置
330…荷台昇降機構
332…回転ハンドル
340…荷台移動機構
350…荷台回転機構
360…モニター装置
370…受信装置
380…制御装置
390…タブレットPC
400…荷物
500…受け渡し窓口(地上の設備)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図18
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図22