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  • 特開-コードスキャナ 図1
  • 特開-コードスキャナ 図2
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  • 特開-コードスキャナ 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156372
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】コードスキャナ
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20241029BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G06K7/10 436
G06K7/10 372
G07G1/00 311E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070776
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近田 健二
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142CA12
3E142GA02
3E142GA03
(57)【要約】
【課題】 コードスキャナによって読み取られた情報を無線で外部へ送信する送信部の動作の特性を変化させないための技術を提供する。
【解決手段】 コードスキャナは、前記コードスキャナによって読み取られた情報を無線で外部へ送信する送信部と、前記送信部を支持する筐体と、を備え、前記筐体は、ユーザが把持する把持部と、前記把持部の先端から、前記把持部が延びる方向と交差しつつ前記把持部から遠のく方向へ張り出している壁部と、前記把持部と前記壁部の間で前記壁部が張り出している側へ露出している読取口と、を含み、前記送信部は、前記壁部に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードスキャナであって、
前記コードスキャナによって読み取られた情報を無線で外部へ送信する送信部と、
前記送信部を支持する筐体と、
を備え、
前記筐体は、
ユーザが把持する把持部と、
前記把持部の先端から、前記把持部が延びる方向と交差しつつ前記把持部から遠のく方向へ張り出している壁部と、
前記把持部と前記壁部の間で前記壁部が張り出している側へ露出している読取口と、
を含み、
前記送信部は、前記壁部に配置されている、コードスキャナ。
【請求項2】
前記壁部の幅は、前記把持部から離れるほど広がっている、請求項1に記載のコードスキャナ。
【請求項3】
前記送信部は、前記壁部の先端と前記把持部の前記先端の間に配置されている、請求項1に記載のコードスキャナ。
【請求項4】
前記壁部は、前記壁部の幅方向において一対の側縁を含み、
前記送信部は、前記一対の側縁の間に配置されている、請求項1に記載のコードスキャナ。
【請求項5】
前記送信部は、前記壁部の外側の表面に配置されている、請求項1に記載のコードスキャナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、情報コードから情報を読み取るコードスキャナに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バーコードから情報を読み取る手持型のスキャナ(いわゆるコードスキャナ)が開示されている。コードスキャナの筐体は、ユーザが把持する把持部と、把持部の先端から把持部が延びる方向と交差しつつ把持部から遠のく方向へ張り出している壁部と、を有する。壁部の先端には、読取口が形成されており、コードスキャナは、読取口を通して光源からバーコードへ光を照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-182446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、情報コードは、バーコードだけでなく、2次元コードも存在する。ユーザは、慣れ親しんだコードスキャナを利用して、2次元コードを読み取ることを求める。
【0005】
また、近年、読取部によって読み取られた情報を外部へ無線で送信することも求められる。例えば、タブレット端末、スマートフォン等の汎用性の高い携帯端末へ情報を無線で送信することにより、コードスキャンと携帯端末との連携機能を付加することができる。このような連携機能では、情報の安定的な送信が求められる。仮に、情報の送信が不安定となると、必要な情報が携帯端末へ送信されない可能性がある。この場合、情報コードの読み直しとなり、ユーザが煩わしく感じ得る。
【0006】
上記したように、コードスキャナは、ユーザによって把持される。ユーザがコードスキャナを把持した場合に、情報を無線で送信する送信部がユーザの手で覆われると、送信部の動作の特性(例えば電波の特性)が変化する。送信部の動作の特性が変化すると、情報の安定的な送信が実現しない可能性がある。
【0007】
本明細書では、コードスキャナによって読み取られた情報を無線で外部へ送信する送信部の動作の特性を変化させないための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示するコードスキャナは、前記コードスキャナによって読み取られた情報を無線で外部へ送信する送信部と、前記送信部を支持する筐体と、を備え、前記筐体は、ユーザが把持する把持部と、前記把持部の先端から、前記把持部が延びる方向と交差しつつ前記把持部から遠のく方向へ張り出している壁部と、前記把持部と前記壁部の間で前記壁部が張り出している側へ露出している読取口と、を含み、前記送信部は、前記壁部に配置されている。
【0009】
上記の構成によれば、読取口が、壁部の先端ではなく、把持部と壁部の間で露出する。これにより、読取口の視野が広がり、バーコードだけでなく、2次元コードの読取にも対応することができる。また、読取口は、コードスキャナの特徴的な形状である壁部が張り出している側へ露出している。これにより、ユーザは、慣れ親しんだ従来のコードスキャナと同じ操作方法で、本明細書で開示するコードスキャナを利用することができる。また、ユーザは、把持部を把持する。この場合、送信部が配置されている壁部は、ユーザの手に覆われない。ユーザの手によって送信部の動作の特性が変化することを防止することができる。特に、慣れ親しんだ従来のコードスキャナから引き継いだ壁部を送信部の配置場所として有効に活用することができる。
【0010】
前記壁部の幅は、前記把持部から離れるほど広がっていてもよい。
【0011】
壁部の幅が把持部から離れるほど広がっていると、ユーザは、壁部を把持し難いと感じ得る。ユーザが壁部を把持することを防止して、ユーザの手によって送信部の特性が変化することを防止することができる。
【0012】
前記送信部は、前記壁部の先端と前記把持部の前記先端の間に配置されていてもよい。
【0013】
情報コードは、例えば、商品に表示される。ユーザは、壁部の先端を商品へ向ける。上記の構成によれば、送信部を商品から離すことができる。送信部の電波が、壁部の先端の近くに位置する商品によって遮られることを防止することができる。
【0014】
前記壁部は、前記壁部の幅方向において一対の側縁を含み、前記送信部は、前記一対の側縁の間に配置されていてもよい。
【0015】
例えば、ユーザは、把持部を把持しつつ、壁部の側縁に指を置くことが想定される。例えば、送信部を壁部の側縁に配置すると、ユーザの指によって送信部が覆われる可能性がある。上記の構成によれば、側縁に置かれた指から送信部を遠ざけることができる。ユーザの指によって送信部の特性が変化することを防止することができる。
【0016】
前記送信部は、前記壁部の外側の表面に配置されていてもよい。
【0017】
ユーザは、読取口を商品へ向ける。送信部が読取口に近いと、送信部の電波が商品によって遮られる可能性がある。上記の構成によれば、送信部を読取口から離すことができる。送信部の電波が、読取口に近い商品によって遮られることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】システム構成を示す図である。
図2】コードスキャナの平面図である。
図3】第1実施例に係るコードスキャナの断面図である。
図4】第2実施例に係るコードスキャナの断面図である。
図5】第3実施例に係るコードスキャナの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施例)
(コードスキャナ2の構成;図1図2図3
コードスキャナ2は、情報コード(例えば、バーコード、2次元コード)から情報を読み取るための装置である。コードスキャナ2は、例えば、店頭、倉庫等で利用される。コードスキャナ2によって読み取られた情報は、外部の装置100、例えば、POS端末、スマートフォン、PC等に送信される。
【0020】
コードスキャナ2は、筐体10と、アンテナ22と、読取部30と、電源ケーブル40と、操作部42と、を備える。アンテナ22と読取部30は、筐体10の内側で筐体10に支持されている。電源ケーブル40は、コードスキャナ2に電力を供給する。電源ケーブル40は、商用電源に接続されている。なお、変形例では、電源ケーブル40は、外部の装置(例えば100)に接続されており、外部の装置が、コードスキャナ2に電力を供給してもよい。
【0021】
操作部42は、コードスキャナ2への指示を受けるための部位である。操作部42は、例えば、情報コードの読取を開始する指示を受けるトリガボタンである。
【0022】
筐体10は、把持部12と、壁部14と、読取口16と、を含む。把持部12は、ユーザが把持する部位であり、ユーザが把持し易い棒形状を有する。把持部12の裏側には、操作部42が配置されている。図1図2に示すように、把持部12の表側には、操作部が何ら配置されていない。さらに、筐体10の表面のいずれの箇所にも、ディスプレイが存在していない。本実施例のコードスキャナ2は、ディスプレイを備えない簡易的なデバイスである。なお、変形例では、コードスキャナ2は、ディスプレイだけでなく、操作部42も備えなくてもよい。
【0023】
壁部14は、把持部12の棒形状における先端から、当該棒形状が延びる方向と交差しつつ把持部12から遠のく方向へ張り出している。図2に示すように、壁部14の幅は、把持部12から離れるほど広がっている。読取口16は、壁部14と把持部12の間から、壁部14の先端14b、即ち、紙面下側へ向かって露出している。読取口16は、光が透過する素材で形成されている。
【0024】
アンテナ22は、所定の通信方式に従った電波を送受信する。なお、変形例では、コードスキャナ2は、双方向の通信が可能なアンテナ22に代えて、信号を外部へ送信する一方向の通信が可能なモジュールを備えていてもよい。所定の通信方式は、例えば、Bluetooth(登録商標)である。コードスキャナ2は、アンテナ22を介して、コードスキャナ2によって読み取られた情報を外部の装置100に送信する。
【0025】
図3に示すように、読取部30は、照明32と、イメージセンサ34と、を備える。照明32は、読取対象の情報コードを照らす光源である。イメージセンサ34は、情報コードを撮像する。読取部30は、読取口16と対面している。ユーザは、情報コードから情報を読み取るために、壁部14の先端14bを情報コードに近づける。これにより、情報コードが読取口16と対面し、情報コードからの反射光が読取口16を通過して読取部30に入射する。読取部30は、情報コードからの反射光を利用して、情報コードを含む画像を撮像する。
【0026】
読取部30は、筐体10に収容されている基板20に接続されている。基板20は、読取部30を制御する。また、基板20は、読取部30によって撮像された画像内の情報コードをデコードして、情報コードから情報を取得する。
【0027】
基板20には、さらに、アンテナ22が接続されている。基板20は、情報コードから取得した情報をアンテナ22に送信する。これにより、アンテナ22は、情報コードから取得した情報を外部の装置100に送信する。
【0028】
本実施例では、読取口16が、壁部14の先端14bではなく、把持部12と壁部14の間で露出する。これにより、読取口16の視野が広がり、バーコードだけでなく、2次元コードの読取にも対応することができる。また、把持部12と壁部14を有する形状は、ユーザが慣れ親しんだ従来のコードスキャナの形状である。本実施例の読取口16は、ユーザが慣れ親しんだ形状である壁部が張り出している側へ露出している。これにより、ユーザは、慣れ親しんだ従来のコードスキャナと同じ操作方法で、本実施例のコードスキャナ2を利用することができる。
【0029】
また、ユーザは、把持部12を把持する。特に、ディスプレイを備えない簡易的なコードスキャナ2では、ユーザは、把持部12を長時間に亘って把持する。仮に、把持部12にアンテナ22を配置すると、アンテナ22がユーザの手200によって長時間に亘って覆われる。これに対して、本実施例では、アンテナ22は、ユーザの手200に覆われない壁部14に配置される。これにより、ユーザの手200によってアンテナ22の動作の特性が変化することを防止することができる。特に、慣れ親しんだ従来のコードスキャナから引き継いだ壁部14をアンテナ22の配置場所として有効に活用することができる。
【0030】
また、壁部14の幅が把持部12から離れるほど広がっていると、ユーザは、壁部14を把持し難いと感じ得る。ユーザが壁部14を把持することを防止して、手200によってアンテナ22の特性が変化することを防止することができる。なお、変形例では、壁部14の幅は、一定であってもよい。
【0031】
また、図1に示すように、壁部14は、壁部14の幅方向において一対の側縁14aを含む。アンテナ22は、一対の側縁14aの間に配置されている。別言すれば、アンテナ22は、側縁14aから離間されている。図1に示すように、ユーザの手200の一部の指が壁部14の側縁14aに置かれることが想定される。仮に、アンテナ22を壁部14の側縁14aに配置すると、ユーザの指によってアンテナ22が覆われる可能性がある。本実施例の構成によれば、側縁14aに置かれた指からアンテナ22を遠ざけることができる。ユーザの指によってアンテナ22の特性が変化することを防止することができる。なお、変形例では、アンテナ22を側縁14aに配置してもよい。
【0032】
また、図1及び図3に示すように、アンテナ22は、壁部14の先端14bから、把持部12の先端、即ち、壁部14と把持部12の接続箇所までの範囲内に配置されている。ユーザは、壁部14の先端14bを情報コードが表示されている商品へ向ける。アンテナ22が先端14bに近いと、アンテナ22の電波が商品によって遮られる可能性がある。特に、商品が、水分を多く含む飲料用品等である場合には、電波が水分によって遮られる。本実施例の構成によれば、アンテナ22を商品から離すことができる。アンテナ22の電波が、壁部14の先端14bに近い商品によって遮られることを防止することができる。なお、変形例では、アンテナ22を先端14bに配置してもよい。
【0033】
また、図3に示すように、アンテナ22は、壁部14の外側の表面14cに配置されている。アンテナ22を壁部14の内側の表面14dではなく、壁部14の外側の表面14cに配置することにより、アンテナ22を読取口16から離すことができる。アンテナ22の電波が、読取口16に近い商品によって遮られることを防止することができる。なお、変形例では、アンテナ22を内側の表面14dに配置してもよい。
【0034】
(対応関係)
コードスキャナ2、アンテナ22が、それぞれ、「コードスキャナ」、「アンテナ」の一例である。筐体10、把持部12、壁部14、読取口16が、それぞれ、「筐体」、「把持部」、「壁部」、「読取口」の一例である。側縁14aが、「側縁」の一例である。
【0035】
(第2実施例)
(コードスキャナ4の構成;図4
本実施例のコードスキャナ4は、電源ケーブル40に代えて、コネクタ52と電池54とを備える。電池54は、コネクタ52に接続された電源によって充電される。電池54は、例えば、リチウムイオン電池である。コードスキャナ4は、電池54の電力で駆動する。なお、変形例では、コードスキャナ4は、コネクタ52を備えなくてもよい。本変形例では、電池54は、コードスキャナ4から着脱可能であってもよい。また、他の変形例では、電池54は、乾電池であってもよい。
【0036】
従来のコードスキャナは、外部の装置100にケーブルで接続されており、当該ケーブルが、電力の送信と外部の装置100との通信を兼用する。一方、近年、ケーブルを有しないコードスキャナが求められている。本実施例では、ケーブルに代わる電力源として、電池54を採用する。また、本実施例では、ケーブルに代わる通信手段として、アンテナ22を採用する。本実施例は、ケーブルを有しないコードスキャナ4において、アンテナ22の配置を工夫して、ユーザの手によってアンテナ22の特性が変化することを防止することを目的とする。
【0037】
(参考例)
(コードスキャナ6の構成;図5
参考例のコードスキャナ6は、筐体60の形状が異なる点、及び、読取部70の構成が異なる点、を除いて、第1実施例と同様である。
【0038】
本参考例の読取部70は、ビーム光源72と、受光センサ74と、を備える。読取部70は、ビーム光源72によって照射されるビームを情報コードに沿って走査する。受光センサ74は、情報コードによって反射した反射光を受光する。
【0039】
筐体60は、把持部62と、壁部64と、を含む。把持部62の形状は、第1実施例の把持部12と同様である。壁部64は、第1実施例の壁部14と同様に、把持部62の先端から張り出している。壁部64の内側には、ビーム光源72から照射されるビームと、反射光と、が通過する空間が設けられている。ユーザは、壁部64の先端64bを情報コードに対面させることにより、情報コードから情報を読み取る。本参考例では、壁部64の先端64bが、読取口であり、先端64bは、光が透過する素材で形成されている。
【0040】
本参考例では、アンテナ22は、壁部64の外側の表面64cに配置されている。アンテナ22は、壁部64の先端64bと把持部62の先端の間、かつ、壁部64の幅方向における一対の側縁の間に配置されている。アンテナ22が壁部64に配置されているので、ユーザが把持部62を把持しても、アンテナ22は手200に覆われない。ユーザの手によってアンテナ22の特性が変化することを防止することができる。
【0041】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0042】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0043】
2、4、6 :コードスキャナ
10 :筐体
12 :把持部
14 :壁部
14a :側縁
14b :先端
14c、14d :表面
16 :読取口
20 :基板
22 :アンテナ
30 :読取部
32 :照明
34 :イメージセンサ
40 :電源ケーブル
42 :操作部
52 :コネクタ
54 :電池
60 :筐体
62 :把持部
64 :壁部
64b :先端
64c :表面
70 :読取部
72 :ビーム光源
74 :受光センサ
100 :外部の装置
200 :手
図1
図2
図3
図4
図5