(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156400
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ICカード及びICカードの制御方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20241029BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20241029BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20241029BHJP
【FI】
G06K19/07 180
G06K19/077 108
G06K19/07 090
G06K19/07 230
G06F21/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070826
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】中村 充志
(57)【要約】 (修正有)
【課題】指紋の読み取りエラーがユーザのタッチの仕方に起因するものであるか否かを把握することができる。
【解決手段】ICカード1は、メイン処理を実行する際に指紋認証処理を行う制御部を含むICチップと、指紋センサと、報知素子であるLEDと、を備える。制御部は、前記メイン処理を実行する際に、指紋センサが取得した指紋データと、登録された指紋を表す登録データとを用いて指紋認証処理を行い、指紋認証処理の結果に基づいて、前記指紋データと前記登録データとが一致する度合いが少なくとも3つのレベルのうちいずれであるかを表す照合結果に対応する情報を報知素子から出力させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン処理を実行する際に指紋認証処理を行う制御部を含む回路チップと、
指紋センサと、
報知素子とを備え、
前記制御部は、前記メイン処理を実行する際に、前記指紋センサから取得された指紋データと、登録された指紋を表す登録データとを用いて指紋認証処理を行い、前記指紋認証処理の結果に基づいて、前記指紋データと前記登録データとが一致する度合いが少なくとも3つのレベルのうちいずれであるかを表す照合結果に対応する情報を前記報知素子から出力させる
ようにしたICカード。
【請求項2】
前記制御部は、前記メイン処理が終了した後に、前記指紋認証処理での照合結果に対応する情報を前記報知素子から出力させる請求項1に記載のICカード。
【請求項3】
前記報知素子は、発光素子である請求項1に記載のICカード。
【請求項4】
前記制御部は、前記一致する度合いに応じて異なる色で前記発光素子を発光させるようにした請求項3に記載のICカード。
【請求項5】
前記制御部は、前記一致する度合いに応じて異なる点滅パターンによって前記発光素子を発光させるようにした請求項3に記載のICカード。
【請求項6】
前記発光素子の数は複数であり、
前記制御部は、前記一致する度合いに応じた個数の発光素子を点灯させるようにした請求項3に記載のICカード。
【請求項7】
メイン処理を実行する際に指紋認証処理を行うICカードにより実行される制御方法であって、
前記メイン処理を実行する際に、指紋センサから取得された指紋データと、登録された指紋を表す登録データとを用いて指紋認証処理をし、
前記指紋認証処理の結果に基づいて、前記指紋データと前記登録データとが一致する度合いが少なくとも3つのレベルのうちいずれであるかを表す照合結果に対応する情報を報知素子から出力する
ICカードの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード及びICカードの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカード、デビットカード、キャッシュカード等として、ICカードが広く普及している。また、セキュリティ機能を向上させ、偽造や不正読み取り等を防止するために、指紋認証を行うことができるICカードが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
指紋認証付きICカードは、PIN(Personal Identification Number)の流出等によるカードの不正利用が防止でき、セキュリティの向上が図れる。ところが、指紋認証付きICカードでは、正規のユーザであるにもかかわらず、何度も照合に失敗し、スムーズな認証が行えないことがある。認証が不成立となる要因は多種考えられるが、その一つとして、ユーザのタッチの仕方に問題があることが考えられる。例えば、ユーザが指紋センサにタッチする際に、ユーザの指が指紋センサ上の読み取り可能な領域からずれた位置にタッチされていると、正しく認証が行えない。また、ユーザの指の向きが本来の向きと異なっていたり、ユーザが指を立てて指紋センサにタッチしたりしていると、指の接触面積が狭いため、指紋センサで指紋データが十分に取得できず、正しく認証が行えない。
【0005】
ユーザのタッチの仕方に問題がある場合には、ユーザが指紋センサへのタッチの仕方を把握することで、認証結果を改善できる。しかしながら、従来では、カード使用時にユーザに知らされる結果は、認証の成功/失敗のみであり、認証が失敗したときに、ユーザのタッチの仕方に問題があるかどうかの情報はユーザに知らされない。
【0006】
上述の課題を鑑み、本発明は、指紋の読み取りエラーがユーザのタッチの仕方に起因するものであるか否かを把握することができるICカード及びICカードの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、メイン処理を実行する際に指紋認証処理を行う制御部を含む回路チップと、指紋センサと、報知素子とを備え、前記制御部は、前記メイン処理を実行する際に、前記指紋センサから取得された指紋データと、登録された指紋を表す登録データとを用いて指紋認証処理を行い、前記指紋認証処理の結果に基づいて、前記指紋データと前記登録データとが一致する度合いが少なくとも3つのレベルのうちいずれであるかを表す照合結果に対応する情報を前記報知素子から出力させるICカードである。
【0008】
また、本発明の一態様は、メイン処理を実行する際に指紋認証処理を行うICカードにより実行される制御方法であって、前記メイン処理を実行する際に、指紋センサから取得された指紋データと、登録された指紋を表す登録データとを用いて指紋認証処理をし、前記指紋認証処理の結果に基づいて、前記指紋データと前記登録データとが一致する度合いが少なくとも3つのレベルのうちいずれであるかを表す照合結果に対応する情報を報知素子から出力するICカードの制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、指紋の読み取りエラーがユーザのタッチの仕方に起因するものであるか否かを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態にかかるICカードの概要を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態にかかるICカードの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかるICカードを使用するときの説明図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかるICカードでの処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態にかかるICカードを使用するときの処理を示すシーケンス図である。
【
図6】本発明にかかるICカードの他の一態様の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかるIC(Integrated Circuit)カード1の概要を示す図である。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施形態にかかるICカード1は、カード基盤10上に、集積回路チップ20と、指紋センサ30と、LED40(Light Emitting Diode)と、コイルアンテナ50とを実装して構成される。
【0013】
集積回路チップ20は、CPU(Central Processing Unit)や、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の記憶素子からなる半導体電子部品を集積回路化したものである。
【0014】
指紋センサ30は、ユーザの指紋データを取得する。指紋センサ30としては、静電容量式、光学式、超音波式等があるが、どのような方式のものであっても良い。
【0015】
LED40は、指紋認証での照合結果に対応する情報を報知素子から出力させる報知素子である。本実施形態では、LED40は、照合率に対応する発光色で発光する。
【0016】
コイルアンテナ50は、データの入出力を行うとともに、電磁誘導により電力を生成する。
【0017】
図2は、本発明の実施形態にかかるICカード1の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、集積回路チップ20は、制御部201と記憶部202とが含まれる。なお、集積回路チップ20は、さらに、暗号処理のためのコプロセッサを含んでいても良い。
【0018】
制御部201は、プログラムに基づいて、各種の処理を実行する。本実施形態では、制御部201は、メイン処理アプレット211と、指紋認証アプレット212とを含む。メイン処理アプレット211は、使用目的に応じた処理、例えばクレジットカード、デビットカード、キャッシュカードであれば、金融決済処理を行う。このようなメイン処理アプレット211と、指紋認証アプレット212は、記憶部202に記憶されており、制御部201が、これらのアプレットを読み出して実行する。
指紋認証アプレット212は、ユーザの指紋データを取得し、取得した指紋データから正規のユーザであるか否かを判定する処理を行う。
【0019】
記憶部202は、各種のデータやプログラムを記憶する。また、記憶部202には、ユーザが予め登録した指紋データが記憶されている。また、記憶部202には、指紋認証での照合率とLED40の発光色とを対応付けた発光色設定テーブル221が記憶されている。
【0020】
電力供給部70は、電磁誘導によりコイルアンテナ50により生成された電力を、ICカード1内の各部(集積回路チップ20、指紋センサ30、LED40)に供給する。
【0021】
図3は、本発明の実施形態にかかるICカード1を使用するときの説明図である。
図3に示すように、ICカード1を使用する際には、ユーザは、ICカード1をリーダライタ2に近接させる。リーダライタ2は、ICカード1の読取り/書込みを行う端末である。
【0022】
ICカード1をリーダライタ2に近接させると、ICカード1とリーダライタ2との間で、コイルアンテナ50を介して、非接触でデータ通信が行われる。これとともに、
図2に示したように、ICカード1をリーダライタ2に近接させることで、電磁誘導による起電力がコイルアンテナ50から生成される。生成された電力は、電力供給部70から、ICカード1の各部(集積回路チップ20、指紋センサ30、LED40)に供給される。
【0023】
図3に示すように、ICカード1を使用する際には、指紋認証を行うために、ユーザは、指紋センサ30にユーザの指3をタッチする。ユーザが指紋センサ30にタッチすると、指紋センサ30により、ユーザの指紋データが取得される。そして、指紋センサ30から取得されたユーザの指紋データと、予め記憶部202に記憶されている指紋データ(登録データ)とが照合される。
【0024】
ここで、指紋センサ30から取得されたユーザの指紋データと、記憶部202に記憶されている指紋データ(登録データ)とを照合した結果、指紋データが一致していれば、認証が成功(指紋データが一致していることを表す判定結果を出力)し、メイン処理が実行される。これに対して、指紋センサ30から取得されたユーザの指紋データと、記憶部202に記憶されている指紋データとが一致していないと判定されると、認証に失敗(指紋データが一致していないことを表す判定結果を出力)し、メイン処理は停止される。
例えば、メイン処理が金融決済処理であれば、指紋データが一致していると判定されると、決済処理が実行され、指紋データが一致していないと判定されると、決済処理は停止される。指紋データは各人固有のものであるから、ICカード1を使用しているユーザが正規のユーザであれば、認証処理において指紋データが一致すると判定され、正規のユーザでなければ、認証処理において指紋データが一致しないと判定される。
【0025】
しかしながら、ICカード1を使用しているユーザが正規のユーザである場合であっても、認証処理において一致しないと判定されることがある。例えば、ユーザの指3が指紋センサ30の読み取り可能な領域からずれていたり、ユーザが指3を立てて指紋センサ30にタッチしている場合には、指紋データとして取得できる面積が少なくなるため、指紋データを十分に取得することができず、一致しないと判定される場合がある。また、指3の向きが本来の向き(認証処理をするための予め決められた向き)と異なっている場合は、一致しないと判定される場合がある。
【0026】
そこで、本実施形態では、指紋センサ30から取得されたユーザの指紋データと、記憶部202に記憶されている指紋データとの照合率に応じて、LED40を点灯させるようにしている。
例えば、制御部201は、メイン処理を実行する際に、指紋センサ30から取得された指紋データと、記憶部202に予め登録された指紋を表す登録データとを用いて指紋認証処理を行い、指紋認証処理の結果に基づいて、指紋データと登録データとが一致する度合いが少なくとも3つのレベルのうちいずれであるかを表す照合結果に対応する情報を報知素子(例えばLED40)から出力させる。一致する度合いが3つのレベルである場合には、例えば、指紋データと登録データとが一致することを表すレベルと、一致しないこととを表すレベルと、指紋データと登録データとが一致する度合いが、どの程度であるかに応じたレベルとの3つであってもよい。
また、少なくとも3つのレベルは、指紋データと登録データとが一致する割合であってもよい。例えば、指紋認証処理によって、一致する割合が0%から100%までのいずれであるかの照合率が得られると、その照合率に応じて少なくとも3つのレベルのどれであるかを出力するようにしてもよい。
【0027】
ここで、ユーザのタッチの仕方が良い場合(タッチ領域に収まるようにタッチできた場合、指をあまり立てずにタッチ領域にタッチすることでタッチ面積を広くすることができた場合、タッチする向きが正しい向きである場合等)には、一致する度合いが高くなり、ユーザのタッチの仕方が良くない場合(タッチ領域からずれた位置にタッチしている場合、指を立ててタッチしたためにタッチ領域にタッチする面積が狭くなった場合、タッチする向きが正しくない場合等)には、一致する度合いが低くなる。そのため、一致する度合いに応じて3つのレベルのどれであるかを出力することができるため、ユーザは、指紋認証を行った結果として、指紋データがどの程度まで一致したかを把握することができるため、指紋センサ30へのタッチの仕方が適切であったか、適切ではなかったかを把握することができ、また、指紋データと登録データが一致していたとしても、一致の度合いが高い状態であったか低い状態であったかを把握したり、指紋データと登録データが一致してなかったとしても、一致すると判定できる度合いの目前まで到達できていたか、一致すると判定できる度合いから大きく離れた状態であったか等を把握することができる。これにより、正規のユーザであるにもかかわらず指紋認証の結果が一致しなかったとしても、一致しなかった原因が、タッチの仕方に起因するものであるか否かを把握することができ、タッチの仕方に起因する場合には、タッチの仕方を工夫するようになり、これによりタッチの仕方を学習することができる。
【0028】
なお、ここでは、少なくとも3つのレベルであればよいため、5つのレベルであってもよい。また、一致する割合「○%」等を出力するようにしてもよく、この場合、0%から100%までの101レベルのうちいずれであるかを出力することができる。
【0029】
つまり、指紋認証を行う際に、指紋センサ30から取得されたユーザの指紋データと、記憶部202に記憶されている指紋データとの照合率(一致する割合)が算出される。照合率は、ユーザの指紋センサ30へのタッチの仕方に応じて変化する。例えば、ユーザが指3の腹を指紋センサ30の位置に正しくタッチしていれば、広い面積で指紋データが取得できるので、照合率は高くなる。これに対して、ユーザが指3を立てて指紋センサ30にタッチしている場合には、指先だけの面積でしか指紋データが取得できないので、照合率は低くなる。
【0030】
照合率が算出されると、記憶部202の発光色設定テーブル221に基づいた色で、LED40が点灯される。つまり、発光色設定テーブル221には、照合率と発光色とを対応付けて、例えば照合率が低い場合には赤色の点灯色、照合率が高い場合には緑色の点灯色となるように、照合率の高さとLED40の点灯色が対応付けされて、予め記憶されている。これにより、制御部201は、照合率に応じた点灯色を発光色設定テーブル221から読み出ることで、指紋認証の結果、照合率が低い場合、LED40を赤色で点灯させ、照合率が高い場合には、LED40を緑色で点灯させる。このように、制御部201は、指紋データと登録データとの一致する度合いに応じて、異なる色でLED40を発光させる。
ユーザは、LED40の発光色から、指紋センサ30へのタッチの状態を認識できる。例えば、ユーザは、LED40が赤色に点灯する場合には、LED40が緑色で点灯するように、指紋センサ30へのタッチの仕方を学習していくことで、認証結果を改善することができる。
【0031】
図4は、本発明の実施形態にかかるICカード1での処理を示すフローチャートである。
【0032】
(ステップS1) 制御部201は、指紋センサ30から取得されたユーザの指紋データと、記憶部202に記憶されている指紋データとを比較して、指紋照合処理を実行し、処理をステップS2に進める。
【0033】
(ステップS2)制御部201は、指紋照合処理の実行結果から、指紋照合率を取得して、処理をステップS3に進める。
【0034】
(ステップS3)制御部201は、照合率が予め設定されている閾値を超えているか否かを判定する。制御部201は、照合率が閾値を超えていれば(ステップS3:Yes)、処理をステップS4に進める。また、制御部201は、照合率が非常に低く、閾値を超えていないと判定すると(ステップS3:No)、処理を終了する。
【0035】
(ステップS4)制御部201は、発光色設定テーブル221を参照し、照合率に応じた発光色を決定して、処理をステップS5に進める。発光色設定テーブル221には、例えば照合率が低い場合には赤色の点灯色、照合率が高い場合には緑色の点灯色となるように、照合率に応じた発光色が記憶されている。
【0036】
(ステップS5)制御部201は、ステップS4で決定した発光色で、LED40を点灯させる。
【0037】
(ステップS6)制御部201は、一定時間経過後、LED40を消灯させて、処理を終了する。
【0038】
なお、上述の例では、ステップS3で、制御部201は、照合率が非常に低く、閾値を超えていないと判定すると、LED40を点灯させずに、処理を終了しているが、照合率が非常に低い場合には、LED40を特別な色で表示させたり、LED40を点滅させたりして、ユーザに照合率が非常に低いことを知らせるようにしても良い。
【0039】
図5は、本発明の実施形態にかかるICカード1を使用するときの処理を示すシーケンス図である。
【0040】
図2に示したように、集積回路チップ20の制御部201は、メイン処理アプレット211と指紋認証アプレット212とを備える。メイン処理アプレット211は、使用目的に応じたメイン処理を行うプログラムである。指紋認証アプレット212は、指紋認証を行うプログラムである。
【0041】
(ステップS101)メイン処理アプレット211は、メイン処理を実行すると、本人確認のために、指紋認証アプレット212に指紋認証を要求する。
【0042】
(ステップS102)指紋認証アプレット212は、指紋センサ30に指紋データを要求する。指紋センサ30は、指紋センサ30上にタッチした指の指紋データを取得する。
【0043】
(ステップS103)指紋認証アプレット212は、指紋センサ30で指紋データが取得されるまで待機しており、指紋センサ30がタッチされた指の指紋データを取得すると、取得した指紋データを指紋認証アプレット212に返す。
【0044】
(ステップS104)指紋認証アプレット212は、指紋センサ30から送られてきた指紋データと、記憶部202に記憶されている指紋データとを比較して指紋データの照合を行い、照合結果をメイン処理アプレット211に返す。
【0045】
(ステップS105)メイン処理アプレット211は、認証結果に応じた色で、LED40を点灯させる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、指紋データの照合率に応じて、LED40が点灯される。これにより、ユーザは、その結果から指紋センサ30へのタッチの仕方を学習することができ、認証結果を改善することができる。
【0047】
また、本実施形態では、メイン処理を終了した後に、照合率に応じてLED40が点灯される。例えば、メイン処理が金融決済処理であれば、指紋認証による金融決済処理が終了した後に、照合率に応じてLED40を点灯する処理が行われる。したがって、既存のメイン処理の処理手順を変更する必要はなく、メイン処理を妨げずに、照合率に応じてLED40を点灯させる処理を実行できる。
【0048】
また、本実施形態では、メイン処理を終了した後に、LED40の点灯処理が実行される。これにより、金融決済処理等のメイン処理を実行中に、電力不足になることが回避できる。すなわち、本実施形態では、コイルアンテナ50の電磁誘導により生成した電力でICカード1を作動させている。このため、LED40の点灯により、電力が不足することが考えられる。そこで、本実施形態では、金融決済処理等のメイン処理を実施した後に、指紋認証の照合結果に応じた色でLED40を点灯させている。このため、メイン処理の期間では、LED40を点灯させるための電力が消費されることがなく、メイン処理を安定して行える。
【0049】
なお、上述の実施形態では、照合率に応じた色でLEDを点灯させているが、制御部201は、指紋データと登録データとが一致する度合いに応じて異なる点滅パターンによってLEDを点滅させても良い。点滅パターンは、一致する度合いに応じた点滅間隔で点滅するものであってもよいし、予め決められた時間(例えば1秒間)内に点灯する回数が定められたものであってもよい。
【0050】
また、上述の実施形態では、ICカードに1つのLEDを実装しているが、ICカードに複数のLEDを実装するようにしても良い。例えば、ICカードにRGBの3つのLEDを実装し、照合率に応じて、RGBの3つのLEDを点灯させることが考えられる。
【0051】
また、例えば、ICカードに複数のLEDを実装し、照合率に応じた数の個数だけ、LEDを点灯させるようにしても良い。例えば、一致する度合いが高いほど、点灯するLEDの数を多くし、一致する度合いが低いほど、点灯するLEDの数を少なくするようにしてもよい。
【0052】
また、上述の実施形態では、照合率をLEDで表示させるようにしているが、ICカードに液晶表示部(ディスプレイ)を実装し、このディスプレイに照合率を表す数字、文字、図形、模様等のうち少なくともいずれかによって表示させても良い。
【0053】
また、上述の実施形態では、照合率をLEDで表示させるようにしているが、ICカードに振動素子、ブザー、スピーカ、圧電素子等のうち少なくともいずれか1つを実装し、照合率に応じた内容を表す振動や音で出力しても良い。その他、各種の人間の感覚(視力、聴覚、嗅覚、および触覚)によって認識可能な出力をする出力デバイスを用いて、照合率に応じた情報をユーザに知らせるようにしても良い。
【0054】
図6は、本発明にかかるICカードの他の一態様の概要を示す図である。
図6に示すように、ICカード101は、メイン処理を実行する際に指紋認証処理を行う制御部122を含む回路チップ120と、指紋センサ130と、報知素子140とを備える。制御部122は、メイン処理を実行する際に、指紋センサ130から取得された指紋データを用いて指紋認証処理を行い、指紋認証での照合結果に対応する情報を報知素子140から出力させる。
【0055】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1… カード、2…リーダライタ、10…カード基盤、20…集積回路チップ、30…指紋センサ、40…LED、50…コイルアンテナ、201…制御部、202…記憶部、211…メイン処理アプレット、212…指紋認証アプレット、221…発光色設定テーブル