(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156403
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】送風装置及び掃除機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/44 20060101AFI20241029BHJP
F04D 25/06 20060101ALI20241029BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20241029BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20241029BHJP
A47L 9/00 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
F04D29/44 S
F04D25/06
F04D29/58 P
H02K7/14 A
A47L9/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070835
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 真佑
【テーマコード(参考)】
3B006
3H130
5H607
【Fターム(参考)】
3B006FA01
3B006FA02
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB47
3H130AC21
3H130BA33G
3H130CA07
3H130DD05Z
3H130DF01Z
3H130EA06A
3H130EA06G
3H130EA06J
3H130EB02A
3H130EB02G
3H130EB02J
3H130EC14C
3H130ED04A
3H130ED04G
3H130ED04J
5H607AA02
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC01
5H607DD03
5H607FF04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】効率よく冷却される送風装置を用いることで長期間にわたり安定した吸引力を発揮できる掃除機を提供する。
【解決手段】送風装置は、ロータと、ステータと、ロータに固定されるインペラと、インペラで発生した気流を整流するディフューザと、を有する。ディフューザは、内筒部と、外筒部と、内筒部と外筒部との隙間に配置される複数の静翼部と、を有する。内筒部は、径方向内面と径方向外面とを連通する連通部を有する。前記中心軸を含む断面で前記連通部を切断した断面形状において、前記連通部の上辺が前記中心軸と直交する又は径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延び、前記連通部の下辺が前記中心軸と直交する又は径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延びる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる中心軸を中心に回転するロータと、
前記ロータと径方向に対向するステータと、
前記ロータに固定されるインペラと、
前記インペラの下方に配置されて前記インペラで発生した気流を整流するディフューザと、を有し、
前記ディフューザは、
内筒部と、
前記内筒部と径方向に隙間を介して配置される外筒部と、
前記内筒部と前記外筒部との隙間に周方向に間隔をあけて配置される複数の静翼と、を有し、
前記内筒部は、径方向の内外を連通する連通部を有し、
前記中心軸を含む断面で前記連通部を切断した断面形状において、前記連通部の上辺が前記中心軸と直交する又は径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延び、前記連通部の下辺が前記中心軸と直交する又は径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延びる送風装置。
【請求項2】
前記上辺及び前記下辺が、径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延びる請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記上辺は径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延び、前記下辺は前記中心軸と直交する方向に延びる請求項1に記載の送風装置。
【請求項4】
前記下辺は径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延び、前記上辺は前記中心軸と直交する方向に延びる請求項1に記載の送風装置。
【請求項5】
前記上辺及び前記下辺はともに前記中心軸と直交する方向に延びる請求項1に記載の送風装置。
【請求項6】
前記連通部の径方向内方の開口面積は径方向外方の開口面積よりも大きい請求項1に記載の送風装置。
【請求項7】
前記連通部の径方向内方の開口の少なくとも一部は、前記ステータ上端よりも上に位置する請求項1に記載の送風装置。
【請求項8】
前記連通部は、周方向の全周に渡って連続して形成される請求項1に記載の送風装置。
【請求項9】
前記ディフューザは、複数の前記連通部を有し、
複数の前記連通部は、周方向に並んで配置される請求項1に記載の送風装置。
【請求項10】
前記ディフューザは、第1ディフューザ部と、前記第1ディフューザ部の前記中心軸に沿う方向の下方に配置される第2ディフューザ部とに分割可能であり、
前記連通部は、前記第1ディフューザ部の第1内筒部と前記第2ディフューザ部の第2内筒部との隙間である請求項1に記載の送風装置。
【請求項11】
前記静翼は、
前記第1ディフューザ部に配置される複数の第1静翼部と、
前記第2ディフューザ部に配置される複数の第2静翼部と、を有し、
前記連通部の少なくとも一部は、前記第1静翼部と前記第2静翼部との間に配置される請求項10に記載の送風装置。
【請求項12】
前記第2静翼部は、前記第1静翼部よりも多い請求項11に記載の送風装置。
【請求項13】
前記連通部は、前記内筒部を径方向に貫通する貫通孔である請求項1に記載の送風装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載の送風装置を有する、掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置及び送風装置を有する掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動送風機は、モータと、モータの外方を覆うカバーと、モータとインペラとの間に配置されるディフューザとを有する。そして、ディフューザを気流が流れるときに、ディフューザの内部と吐出口との圧力差によって、カバーとディフューザとの隙間から気流を流し、モータを冷却する。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許2021-0153904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータのさらなる冷却効率の向上の要求が高まっている。
【0005】
本発明は、ロータおよびステータを効率よく冷却できる送風装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、効率よく冷却される送風装置を用いることで長期間にわたり安定した吸引力を発揮できる掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な送風装置は、上下に延びる中心軸を中心に回転するロータと、前記ロータと径方向に対向するステータと、前記ロータに固定されるインペラと、前記インペラの下方に配置されて前記インペラで発生した気流を整流するディフューザと、を有する。前記ディフューザは、内筒部と、前記内筒部と径方向に隙間を介して配置される外筒部と、前記内筒部と前記外筒部との隙間に周方向に間隔をあけて配置される複数の静翼と、を有する。前記内筒部は、径方向の内外を連通する連通部を有する。前記中心軸を含む断面で前記連通部を切断した断面形状において、前記連通部の上辺が前記中心軸と直交する又は径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延び、前記連通部の下辺が前記中心軸と直交する又は径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延びる。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明の送風装置によれば、ロータおよびステータの効率的な冷却が可能である。
【0009】
例示的な本発明の掃除機によれば、長期間にわたり安定した吸引力の発揮が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態にかかる掃除機の斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る送風装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す送風装置の中心軸を含む切断面の断面図である。
【
図4】
図4は、モータの上方から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、モータの下方から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、ディフューザの外筒部を省略した斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すディフューザの周方向展開図である。
【
図8】
図8は、ディフューザの内筒部と外筒部との接続部分を拡大した断面図である。
【
図9】
図9は、ディフューザの連通部の周囲を拡大した拡大断面図である。
【
図10】
図10は、外筒部を省略したディフューザの周方向展開図である。
【
図12】
図12は、第1変形例のディフューザの連通部を示す拡大断面図である。
【
図13】
図13は、第2変形例のディフューザの連通部を示す拡大断面図である。
【
図14】
図14は、第3変形例のディフューザの連通部を示す拡大断面図である。
【
図15】
図15は、外筒部を省略した第4変形例のディフューザを周方向に展開した拡大展開図である。
【
図16】
図16は、外筒部を省略した第5変形例のディフューザを周方向に展開した拡大展開図である。
【
図17】
図17は、外筒部を省略した第6変形例のディフューザを周方向に展開した拡大展開図である。
【
図18】
図18は、
図17に示すディフューザの内筒部と外筒部との接続部分を拡大した断面図である。
【
図19】
図19は、外筒部を省略した第7変形例のディフューザを周方向に展開した拡大展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書では、送風装置Aにおいて、送風装置Aの中心軸Cxと平行な方向を「軸方向」、送風装置Aの中心軸Cxに直交する方向を「径方向」、送風装置Aの中心軸Cxを中心とする円弧に沿う方向を「周方向」とそれぞれ称する。また、一部の断面図において、径方向の内方をIs及び外方をOsと示す。
【0012】
また、本明細書では、送風装置Aにおいて、軸方向を上下方向とし、インペラ20に対してインペラカバー30の吸気部32側を上として、各部の形状や位置関係を説明する。上下方向は単に説明のために用いられる名称であって、送風装置Aの使用状態における位置関係及び方向を限定しない。また、「上流」及び「下流」はインペラ20を回転させた際に発生する空気の流れ方向の上流及び下流をそれぞれ示す。
【0013】
さらに、送風装置Aにおいて、インペラ20は中心軸Cxを中心に周方向に回転する。本明細書では、インペラ20の回転方向において、回転する先を「回転方向前方」、回転する手前を「回転方向後方」とする。換言すると、インペラ20上のある点を基準としたとき、その点が所定時間経過後に到達する側を回転方向前方とし、すでに通過した側を回転方向後方とする。
【0014】
また本明細書では、掃除機100において、
図1の床面F(被清掃面)に近づく方向を「下方」とするとともに床面Fから離れる方向を「上方」として、各部の形状や位置関係を説明する。なお、これらの方向は単に説明のための用いられる名称であって、掃除機100使用状態における位置関係及び方向を限定しない。また、「上流」及び「下流」は送風装置Aを駆動させた際に吸気部103から吸い込まれた空気の流通方向の上流及び下流をそれぞれ示す。
【0015】
<掃除機の全体構成>
本発明の例示的な実施形態の掃除機について以下説明する。
図1は、本実施形態にかかる掃除機の斜視図である。掃除機100は所謂スティック型の電気掃除機であり、下面及び上面にそれぞれ吸気部103及び排気部104を開口する筐体102を有する。掃除機100は、送風装置A及びバッテリー(不図示)を有する。すなわち、掃除機100は、送風装置Aを有する。掃除機100の送風装置Aは、バッテリーから供給される電力によって駆動される。なお、掃除機100は、所謂、ロボット型、キャニスター型またはハンディ型の電気掃除機でもよい。また、掃除機100は、電源コードを有し、居室の壁面等に設けられたコンセントに接続することで電力が供給される構成であってもよい。
【0016】
筐体102内には吸気部103と排気部104とを連結する空気通路(不図示)が形成される。空気通路内には上流側から下流側に向かって集塵部(不図示)、フィルタ(不図示)及び送風装置Aが順に配置される。空気通路内を流通する空気に含まれる塵埃等のゴミはフィルタにより遮蔽され、容器状に形成される集塵部内に集塵される。集塵部及びフィルタは筐体102に対して着脱可能に構成される。
【0017】
筐体102の上部には把持部105及び操作部106が設けられる。使用者は把持部105を把持して掃除機100を移動させることができる。操作部106は複数のボタン106aを有し、ボタン106aの操作によって掃除機100の動作設定を行う。例えば、ボタン106aの操作により、送風装置Aの駆動開始、駆動停止、及び回転数の変更等が指示される。吸気部103には筒状の吸引管107が接続される。吸引管107の上流側端部(図中、下端部)には吸引ノズル110が吸引管107に対して着脱可能に取り付けられる。掃除機100に搭載される送風装置Aにおいて、送風装置Aのロータ12とステータ13とは、気流によって冷却される。ロータ12及びステータ13が冷却されることで、送風装置Aが長期間にわたって安定して動作できる。
【0018】
<送風装置A>
次に送風装置Aの詳細について図面を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係る送風装置の斜視図である。
図3は、
図2に示す送風装置の中心軸Cxを含む切断面の断面図である。
図4は、モータ10の上方から見た斜視図である。
図5は、モータ10の下方から見た斜視図である。
図6は、ディフューザ40の外筒部42を省略した斜視図である。
図7は、
図6に示すディフューザ40の周方向展開図である。
図8は、ディフューザ40の内筒部41と外筒部42との接続部分を拡大した断面図である。
図9は、ディフューザ40の連通部47の周囲を拡大した拡大断面図である。
【0019】
送風装置Aは、モータ10と、インペラ20と、ディフューザ40と、モータハウジング50と、回路基板60と、を有する。
【0020】
<モータ10>
図3に示すように、インペラ20の下方にはモータハウジング50に収納されるモータ10が配置される。モータ10は、いわゆる、インナーロータ型のDCブラシレスモータである。
図3、
図4、
図5等に示すように、モータ10は、シャフト11と、ロータ12と、ステータ13と、を有する。
【0021】
<シャフト11>
図4、
図5に示すように、シャフト11は、円柱状である。シャフト11は、ロータ12に固定される。つまり、シャフト11は、ロータ12の一部とすることができる。シャフト11は、中心軸Cxに沿って配置される。シャフト11は、上軸受531及び下軸受532を介して、モータハウジング50に回転可能に支持される(
図3参照)。
【0022】
図3に示すように、上軸受531及び下軸受532は、ここでは、玉軸受である。そして、上軸受531及び下軸受532の内輪がシャフト11に固定される。内輪とシャフト11との固定は、接着や、圧入等の手段が採用される。上軸受531の外輪はモータハウジング50の後述する第1ハウジング部51の後述する内環状部511に固定される。また、下軸受532の外輪はモータハウジング50の後述する第2ハウジング部52のベース部521の後述する貫通孔522に固定される。なお、上軸受531及び下軸受532は、玉軸受に限定されない。
【0023】
<ロータ12>
ロータ12は、シャフト11と共に中心軸Cxを中心に回転する。すなわち、ロータ12は、上下に延びる中心軸Cxを中心に回転する。
図3に示すように、ロータ12は、マグネット121と、ストッパ122と、を有する。マグネット121はシャフト11の外周面に固定される。なお、複数個のマグネット121を周方向に配列してもよいし、単一の環状のマグネット121を用いてもよい。いずれの構成においても、径方向の外面の磁極がN、S交互に配置される。また、マグネット121は、磁性体粉を配合した樹脂を環状に成形し、着磁した構成であってもよい。シャフト11のマグネット121の軸方向の両端に、ストッパ122が固定されている。
【0024】
シャフト11にストッパ122を固定することで、マグネット121の軸方向の移動を抑制できる。ストッパ122のシャフト11への固定方法は圧入を挙げることができるが、これに限定されず、ストッパ122をシャフト11に強固に固定できる固定方法を広く採用することができる。
【0025】
<ステータ13>
図3に示すように、ステータ13は、ロータ12と径方向に対向する。さらに説明すると、ステータ13はロータ12の径方向外方に配置される。モータ10は、インナーロータ型のブラシレスモータである。ステータ13は、ステータコア131と、インシュレータ132と、コイル133と、を有する。ステータコア131は電磁鋼板を軸方向(
図3において、上下方向)に積層した積層体である。なお、ステータコア131は、電磁鋼板を積層した積層体に限定されず、例えば、紛体の焼成、鋳造等、単一の部材であってもよい。
【0026】
ステータコア131は、環状のコアバック134と複数のティース135とを有する。複数のティース135はコアバック134の内周面からロータ12のマグネット121に向かって径方向内方に延びて形成される。インシュレータ132はステータコア131に取り付けられ、インシュレータ132を介して各ティース135にそれぞれ導線を巻くことで、コイル133が構成される。
【0027】
なお、モータ10は、ブラシレスモータである。ブラシレスモータは、供給タイミングが異なる3系統(以下、3相とする)に分けられた電流によって駆動される。複数個のコイル133に決められたタイミングで電流を供給することで、コイル133とロータ12のマグネットとが引き合う又は反発することで、ロータ12が回転する。モータ10は、例えば、毎分10万回転以上の回転数で回転可能な高回転型のモータである。
【0028】
通常、モータ10は、コイル133の個数が少ない方が高速回転に有利である。そして、モータ10は、3相の電流で制御される3相モータである。そのため、モータ10において、コイル133及びコイル133が配置されるティース135の個数は3個である。3個のティース135は、周方向に等間隔で配置される。これにより、ロータ12の回転が円滑になる。
【0029】
インシュレータ132はコアバック134の上面及び下面の両方と接触する。そして、インシュレータ132のコアバック134の上面及び下面と接触する部分には、凹部136が形成されており、上方及び下方の凹部136それぞれには第1ハウジング部51の上柱状部513及び第2ハウジング部52の下柱状部523が嵌る。これにより、第1ハウジング部51及び第2ハウジング部52によって、ステータ13の周方向の移動が抑制される。
【0030】
インシュレータ132には、導電性を有するバスバー14が取り付けられており、バスバー14は、回路基板60に接続している。また、バスバー14は、コイル133の導線と接続している。コイル133には、バスバー14を介して回路基板60から電力が供給される。
【0031】
<インペラ20>
図3に示すように、インペラ20は、ロータ12に固定されたシャフト11に固定される。すなわち、インペラ20は、ロータに固定される。インペラ20は、ハブ21と、複数のブレード22と、インペラブッシュ23と、を有する。インペラ20は、樹脂で形成される。なお、インペラ20は、アルミニウム合金等の金属材料で形成されてもよい。
【0032】
<ハブ21>
ハブ21は、軸方向から見て円形であり、径方向中心側が外側に比べて上方に突出した円錐台状である。ハブ21は、中央に貫通する貫通孔211を有する。貫通孔211には、インペラブッシュ23を介してシャフト11が挿入される。インペラブッシュ23は、ハブ21とシャフト11とによって挟まれ、ハブ21とシャフト11とを固定する。つまり、インペラブッシュ23によって、インペラ20とシャフト11とが固定される。
【0033】
<ブレード22>
複数のブレード22は、ハブ21の上面210に周方向に並んで配置される。本実施形態において、複数のブレード22は、ハブ21の上面210に中心軸Cxを中心として、周方向に等間隔に並んで配置される。複数のブレード22は、ハブ21と単一の部材として形成される。なお、ブレード22とハブ21とは、別部材として形成し、接着、圧入、溶接等の固定方法で固定して構成してもよい。また、ブレード22とハブ21との固定方法は、これらに限定されず、ブレード22とハブ21とを強固に固定できる固定方法を広く採用できる。
【0034】
インペラ20は、モータ10の回転によって中心軸Cxを中心に回転する。インペラ20が回転することで、ブレード22が中心軸Cxを中心に回転し、気流が発生する。気流の詳細については後述する。
【0035】
<インペラカバー30>
図2、
図3に示すように、インペラカバー30は、インペラ20の径方向外方に配置される。インペラカバー30は、壁部31と、吸気部32と、を有する。壁部31は、インペラ20の径方向外方を囲む。壁部31とインペラ20のブレード22との間には両社の接触を回避する隙間が形成される。
【0036】
また、インペラ20が回転するとき、インペラカバー30の内部の空気は、ブレード22に押される。ブレード22は、ねじれた面を有しており、ブレード22は空気を径方向外方及び軸方向下方に押す。インペラカバー30の壁部31は、軸方向の下方側に向かうにつれて径方向外方に拡がる内面形状を有する。そのため、ブレード22によって径方向外方に押された空気は、壁部31の内面に沿って軸方向下方に流れる。
【0037】
このように、インペラカバー30は、インペラ20の回転によって発生する気流のガイドとしての役割を果たす。インペラカバー30の壁部31とブレード22との隙間が大きいと、隙間から空気が漏れ、気流を発生させる効率が良くない。そのため、インペラ20のブレード22とインペラカバー30の壁部31との隙間は、接触を抑制しつつ、空気の漏れが少なくなる範囲であることが好ましい。
【0038】
インペラカバー30の軸方向下方には、ディフューザ40が配置される。つまり、インペラ20によって発生する気流(以下、主気流Sとする)は、インペラカバー30からディフューザ40の送風路48に流れ込む。また、インペラカバー30の上端部には、上下に貫通した吸気部32を有する。インペラ20が回転し、インペラカバー30の空気が流れると、インペラカバー30の内部の気圧(静圧)が外部よりも低くなる。インペラカバー30の内外の気圧差によって、吸気部32から空気が取り込まれる。
【0039】
<ディフューザ40>
図3等に示すように、ディフューザ40は、インペラ20の下方に配置されてインペラ20で発生した気流Sを整流する。
図3、
図6~
図9等に示すように、ディフューザ40は、内筒部41と、外筒部42と、天板部43と、静翼44とを有する。
【0040】
<天板部43>
図3、
図6に示すとおり、天板部43は、中心軸Cxと直交する方向に拡がる板状である。天板部43は、インペラ20の軸方向下方に配置される。天板部43の上部には、径方向下方に凹む凹部431が形成されている。そして、凹部431には、インペラ20の下端部の一部が挿入されており、インペラ20の下端部は凹部431の内部で回転する。このとき、インペラ20のハブ21の外面と天板部43の外面とは隙間が空いているが、近接して配置される。そのため、インペラ20の回転で発生した気流は、ハブ21の外面に沿って流れ、ディフューザ40に流れ込む。
【0041】
天板部43の径方向の中央には軸方向に貫通した貫通孔432を有し、貫通孔432には、モータハウジング50の第1ハウジング部51の内環状部511が固定される。これにより、ディフューザ40とモータハウジング50とが固定される。なお、内環状部511の貫通孔432への固定方法は圧入を挙げることができるが、これに限定されず、溶接、溶着、接着等、ディフューザ40とモータハウジング50とを強固に固定できる固定方法を広く採用することができる。
【0042】
また、天板部43は、第1ハウジング部51の後述する連結部514にねじ等の固定具にて固定される。天板部43と連結部514との固定方法は、ねじ止めに限定されず、天板部43と連結部514とを強固に固定できる固定方法を広く採用することができる。
【0043】
<内筒部41>
内筒部41は、天板部43の径方向外縁から軸方向下方に向かって延びる円筒状である。内筒部41の径方向内方には、シャフト11及びシャフト11を支持する上軸受531の外輪を保持する内環状部511が配置される。なお、本実施形態の送風装置Aでは、ロータ12及びステータ13の上部の一部が内筒部41の内方に配置される。
【0044】
<外筒部42>
外筒部42は、内筒部41の径方向外方に配置される。さらに説明すると、外筒部42は内筒部41と径方向に隙間を介して配置される。外筒部42は円筒状であり中心線が内筒部41の中心線とともに中心軸Cxと重なる。つまり、ディフューザ40において、内筒部41と外筒部42とは、同軸の円筒形状であり、径方向に重なって配置される。送風装置Aにおいて、インペラ20の回転で発生する主気流Sは、内筒部41と外筒部42との間の隙間に流入する。つまり、ディフューザ40において、内筒部41と外筒部42との間の隙間が、送風路48である。
【0045】
<静翼44>
図3、
図6~
図8等に示すように、静翼44は、内筒部41と外筒部42と間に配置される。つまり、静翼44は、送風路48に配置される。ディフューザ40は、複数の静翼44を有し、複数の静翼44は、周方向に並んで配置される。すなわち、複数の静翼44は、内筒部41と外筒部42との隙間に周方向に間隔をあけて配置される。
【0046】
静翼44は、内筒部41の外面及び外筒部42の内面と接触している。静翼44は、少なくとも内筒部41の外面と接続していればよく、外筒部42との間に隙間が形成されていてもよい。静翼44と外筒部42との隙間は、隙間を介して気流が漏れても主気流Sの流れが乱れない程度の隙間であることが好ましい。なお、静翼44は、少なくとも内筒部41と単一の部材で形成されてもよいし、別の部材で形成されて、接着、溶着等の固定方法で固定してもよい。
【0047】
静翼44は、径方向に見たとき、軸方向に対して傾斜して配置される。送風路48を流れる主気流Sは、静翼44の表面に沿って流れる。このとき、主気流Sは、周方向の速度成分を軸方向下方に向かう方向に変換されて、整流される。静翼44が送風路48に配置されていることで、送風路48に流れる主気流Sの流れを整流して、送風効率を高める。
【0048】
ディフューザ40は、第1ディフューザ部45と、第2ディフューザ部46とに分割可能である。第2ディフューザ部46は、第1ディフューザ部45よりも軸方向下方に配置される。すなわち、ディフューザ40は、第1ディフューザ部45と、第1ディフューザ部45の中心軸Cxに沿う方向の下方に配置される第2ディフューザ部46とに分割可能である。
【0049】
第1ディフューザ部45は、第1内筒部411と、第1外筒部421と、第1静翼部441と、を有する。また、第2ディフューザ部46は、第2内筒部412と、第2外筒部422と、第2静翼部442とを有する。つまり、内筒部41は、第1内筒部411と、第2内筒部412とに分割可能であり、外筒部42は、第1外筒部421と、第2外筒部422とに分割可能である。静翼44は、第1ディフューザ部45に配置される複数の第1静翼部441と、第2ディフューザ部46に配置される複数の第2静翼部442と、を有する。
【0050】
第1内筒部411と第2内筒部412との間には詳細を後述する連通部47が形成される。そして、連通部47の少なくとも一部は、軸方向において第1静翼部441と第2静翼部442との間に配置される。このように構成することで、連通部47を簡単に構成することができる。
【0051】
モータ10はコイル133に電流が流れることで動作する。コイル133に電流が流れることで、コイル133は発熱する。コイル133の熱は、ディフューザ40の内筒部41に伝達する。内筒部41は、内筒部41の熱が静翼44に伝導する。主気流Sが静翼44に沿って流れることで、主気流Sは静翼44から熱を奪う。このように、主気流Sによって、ロータ12及びステータ13の熱が外部に放出される。
【0052】
図6に示すように、第2静翼部442は、第1静翼部441よりも枚数が多い。高温になりやすいロータ12及びステータ13に近い第2ディフューザ部46の第2内筒部412に接続する第2静翼部442の枚数を第1静翼部441よりも多くすることで、第2静翼部442での熱交換効率を高めることができる。なお、
図10に示すように、第1静翼部441と第2静翼部442とが同数であってもよい。
図10は、外筒部42を省略したディフューザ40の周方向展開図である。なお、
図10のディフューザ40において、第1静翼部441の軸方向の下端と、第2静翼部442の軸方向の上端が周方向に近接しているが、周方向にずれていてもよい。
【0053】
第1ディフューザ部45と第2ディフューザ部46とを組み合わせたとき、第1内筒部411と第2内筒部412との間に隙間が形成される。この内筒部41の隙間が、連通部47である。すなわち、内筒部41は、径方向の内外を連通する連通部47を有する。さらに説明すると、連通部47は、第1ディフューザ部45の第1内筒部411と第2ディフューザ部46の第2内筒部412との隙間である。
【0054】
さらに説明すると、連通部47は、内筒部41の周方向の全周に渡って形成される。連通部47は、上面471及び下面472を有し、上面471と下面472とは、軸方向に対向する。連通部47は、内筒部41の径方向の内外を貫通しており、内筒部41の径方向内方から径方向外方に気流を流すことができる。これにより、連通部47を大きく形成することができるため、ディフューザ40の内筒部41の内方から外方に流れる気流の流量を増やすことができる。
【0055】
連通部47の上面471(第1内筒部411の下面)は、径方向外方Osに向かうにつれて、軸方向下方に拡がる形状を有する。連通部47の下面472(第2内筒部412之上面)は、径方向外方Osに向かうにつれて、軸方向下方に拡がる形状を有する。
図9に示すように、中心軸Cxを含む断面で連通部47を切断した断面形状における上辺4711及び下面4721は、中心軸Cxに対して傾斜している。すなわち、中心軸Cxを含む断面で連通部47を切断した断面形状において、上辺4711及び下辺4721がともに径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延びる。なお、本実施形態のディフューザ40では、断面形状における上辺4711及び下辺4721は直線状であるが、これに限定されず、少なくとも一方が曲線状であってもよい。
【0056】
そして、上面471及び下面472の中心軸Cxに対する傾斜角度は、
図9に示すように異なっている。すなわち、連通部47の径方向内方の開口面積は径方向外方の開口面積よりも大きい。
【0057】
このように構成することで、連通部47の径方向外方Osでの気流の流速を高めることができ、インペラ20による気流に合流しやすい。これにより、連通部47を流れる気流S12の流量を増やし、ロータ12及びステータ13の冷却効果をさらに高めることができ、送風装置Aが長期間にわたり安定して動作できる。
【0058】
なお、上面471及び下面472の中心軸Cxに対する面に対する傾斜角度は、
図11に示すように同じであってもよい。
図11は、連通部47の他の例を示す拡大断面図である。
【0059】
また、後述するように、中心軸Cxを含む断面で連通部47を切断した断面形状において、上辺4711及び下辺4721の一方または両方が中心軸Cxと直交してもよい。すなわち、中心軸Cxを含む断面で連通部47を切断した断面形状において、連通部47の上辺4711が中心軸Cxと直交する又は径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延び、連通部47の下辺4721が中心軸Cxと直交する又は径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延びる。
【0060】
また、連通部47の径方向内方Isの開口のすくなくとも一部は、ステータ13上端よりも上に位置する。このように連通部47を配置することで、ロータ12及びステータ13の上方の空間から外部に気流S12を流すことができる。これにより、ロータ12及びステータ13の上方の空間の静圧を下げることができ、隙間71からロータ12及びステータ13の内部に流入する気流S1の流量を増やすことができる。その結果、ロータ12及びステータ13の冷却効率をさらに高めることができ、送風装置Aが長期間にわたり安定して動作できる。
【0061】
<モータハウジング50>
モータハウジング50は、例えば、金属で形成される。モータハウジング50は、モータ10のステータ13を保持する。
図3、
図4、
図5等に示すように、モータハウジング50は、第1ハウジング部51と、第2ハウジング部52とを有する。第1ハウジング部51は、第2ハウジング部52の軸方向上方に配置される。第1ハウジング部51と第2ハウジング部52とは、ねじ等の締結具で締結される。なお、第1ハウジング部51と第2ハウジング部52との締結方法は、ねじに限定されず、強固に締結できる締結方法を広く採用することができる。
【0062】
<第1ハウジング部51>
図4に示すように、第1ハウジング部51は、モータ10の軸方向上部を支持する。第1ハウジング部51は、内環状部511と、外環状部512と、上柱状部513と、連結部514と、を有する。内環状部511は、中心軸Cxを中心とする環状である。内環状部511は、軸方向に延びる。シャフト11のロータ12よりも軸方向上方の部分が、内環状部511の内方を貫通する。シャフト11は内環状部511に上軸受531を介して回転可能に支持される。第1ハウジング部51は、ステータ13の上方に位置する。
【0063】
外環状部512は、中心軸Cxを中心とする環状であり、軸方向に延びる。外環状部512は、ディフューザ40の内筒部41の内方に配置される。なお、外環状部512の外周面は、ディフューザ40の内筒部41の内面と接触してもよい。外環状部512とディフューザ40の内筒部41とが接触することで、ディフューザ40がモータハウジング50に固定されてもよい。なお、本実施形態の送風装置Aにおいて、外環状部512は、第2内筒部412と接触しており、外環状部512の上端部は、第1内筒部411よりも下方に配置される。このように構成することで、連通部47が外環状部512によって塞がれる部分を減らすことができる。
【0064】
連結部514は、径方向に延び、内環状部511と外環状部512とを連結する。つまり、連結部514によって、内環状部511と外環状部512とが径方向に一定の間隔をあけて配置される。なお、ディフューザ40の天板部43が連結部514にねじ等の締結具で固定されてもよい。このように、締結具を用いることで、ディフューザ40をモータハウジング50に確実かつ強固に固定することができる。また、ねじ止めする構成であるため、ディフューザ40とモータハウジング50とが周方向に適切な位置に配置される。
【0065】
第1ハウジング部51は、3つの上柱状部513を有する。3つの上柱状部513は、外環状部512の外面に配置され、外環状部512の軸方向下面よりも下方に延びる。なお、第1ハウジング部51は、外環状部512と単一の材料で形成される構成としているが、これに限定されない。上柱状部513を外環状部512と別部材として形成し、外環状部512に取り付け、固定するようにしてもよい。上柱状部513を外環状部512に接着、溶接等によって固定するようにしてもよい。上柱状部513と外環状部512とが強固に連結される構成を広く採用することができる。
【0066】
<第2ハウジング部52>
図3~
図5に示すように、第2ハウジング部52は、モータ10の軸方向下側を支持する。第2ハウジング部52は、ベース部521と、貫通孔522と、下柱状部523と、スリーブ524とを有する。第2ハウジング部52は、ステータ23の下側に位置する。
【0067】
ベース部521は、中心軸Cxと直交する方向に拡がる板状であり、中心軸Cx方向に見て三角形状である(
図5参照)。貫通孔522は、ベース部521の中心に形成されて軸方向に貫通する。シャフト11のロータ12よりも軸方向下方の部分が貫通する。貫通孔522の内部には、スリーブ524が固定される。スリーブ524は、筒状でありスリーブ524の外周面が貫通孔522の内周面に接触して配置される。
【0068】
スリーブ524の内周面には、シャフト11を回転可能に支持される下軸受532が固定される。つまり、シャフト11は、下軸受532及びスリーブ524を介してベース部521に回転可能に支持される。なお、スリーブ524の貫通孔522への固定方法は、圧入を挙げることができるが、これに限定されず、接着、溶接等、スリーブ524を貫通孔522に強固に固定できる固定方法を広く採用することができる。
【0069】
モータハウジング50の第1ハウジング部51の上柱状部513はモータ10のステータ13のインシュレータ132の上側に形成される凹部136に嵌る。また、第2ハウジング部52の下柱状部523は、インシュレータ132の下側に形成される凹部136に嵌る。そして、第1ハウジング部51の上柱状部513及び第2ハウジング部52の下柱状部523と、を締結部で締結して、モータ10のステータ13がモータハウジング50に保持される。上柱状部513及び下柱状部523がステータコア131を上下から挟むことで保持している。
【0070】
図5に示すように、第2ハウジング部52のベース部521が軸方向から見て三角形状であるため、軸方向から見たとき、ベース部521とステータコア131との間に径方向に隙間71が形成される。モータ10の内部には、内外の圧力差によって隙間71から気流S1がモータ10の内部に流入する。気流S1は、モータ10の内部を下方から上方に向かって流れる。
【0071】
また、
図3に示すように、ディフューザ40の内筒部41の下端部及び第1ハウジング部51の外環状部512の下端部とステータ13とは、軸方向に隙間72を開けて配置される。モータ10の内部を下方から上方に流れた気流S1の多くが隙間72から外部に流れる。このように、モータ10の内部を気流S1が流れることで、モータ10が冷却される。また、連通部47からも気流が外部に流れるため、気流S1の流量は多くなる。気流S1によるモータ10の冷却の詳細については後述する。
【0072】
<回路基板60>
図3に示すとおり、ステータ13の軸方向下方には、回路基板60が配置される。回路基板60は、例えば、コイル133に電力を供給するドライバ回路(不図示)が実装されている。回路基板60とコイル133とは、バスバー14で接続されている。バスバー14は、導電性を有する材料で形成されており、インシュレータ132に固定されている。
【0073】
回路基板60には、ドライバ回路以外の回路、例えば、ロータ12の位置を検出する位置検出素子(不図示)が実装される場合もある。回路基板60は、モータハウジング50の第2ハウジング部52にねじ等の固定具で固定される。なお、回路基板60の第2ハウジング部52に固定する固定方法は、ねじに限定されず、回路基板60を第2ハウジング部52に強固に固定できる固定方法を広く採用することができる。
【0074】
送風装置Aは以上示した構成を有する。
【0075】
<送風装置Aの動作>
送風装置Aでは、電力供給によりモータ10が駆動されることで、インペラカバー30の内部でインペラ20が回転する。インペラカバー30の内部の空気は、回転するインペラ20により径方向外方及び軸方向下方に向かって加速される。インペラ20によって加速された空気はインペラカバー30の壁部31の内面に沿って下方に向かって流れ、インペラカバー30の下端部より下方に吹き出される。インペラカバー30の下端部から吹き出された主気流Sは、送風路48に流入する。
【0076】
インペラ20の回転によって発生した主気流Sがインペラカバー30の内部から流出することで、インペラカバー30の内部の気圧(静圧)が低下する。そのため、インペラカバー30の吸気部32から空気が取り込まれる。このように、インペラ20が回転することで、吸気部32から空気を取り込みつつ、主気流Sが下端部より下方に吹き出される。なお、主気流Sは、インペラカバー30の壁部31の内面に沿って、周方向及び軸方向下方に向かって、つまり、旋回して軸方向下方に流れる。
【0077】
インペラカバー30の下端部は、ディフューザ40の上端部と連結している。これにより、インペラカバー30の下端部から吹き出された主気流Sは、ディフューザ40の内筒部41と外筒部42との間の送風路48に流入する。
【0078】
ディフューザ40の送風路48内を流れる主気流Sは、静翼44によって整流される。つまり、静翼44によって主気流Sの周方向の成分(旋回成分)が軸方向に変換され、主気流Sの送風効率が高められる。そして、主気流Sは、送風路48の下端部481よりディフューザ40の外部に吹き出される。
【0079】
ここで、モータ10内部、送風路48の静圧について説明する。同一流線上において、動圧と静翼とを加算した全圧は、一定である。そのため、送風路48に主気流Sが流れているとき、送風路48の内部の静圧Ps1は、送風装置Aの外部の圧力(静圧)よりも低い。
【0080】
そして、送風路48の下端部481の近傍では、流路が広くなるため主気流Sの流速が低下する。これにより、主気流Sの動圧が低くなり静圧Ps2は、送風路48内の静圧Ps1よりも高い。また、モータ10の内部の静圧Ps3は、送風路48の静圧Ps1及び送風路48の下端部481の近傍の静圧Ps2に比べて高くなる。
【0081】
図3に示すように、送風装置Aにおいて隙間72は、送風路48の下端部481の近傍に配置される。これにより、隙間72では、径方向内外の圧力差(Ps3-Ps2)により径方向内方Isから径方向外方Osに気流S11が流れる。また、連通部47において、径方向内方Isは、モータ10の内部の静圧とほぼ同じ静圧Ps2であり、送風路48の静圧Ps1よりも高い。そのため、連通部47では、径方向内方Isから径方向外方Osに向かう気流S12が発生する。
【0082】
また、送風装置Aにおいて、モータ10及びディフューザ40の径方向内方Isから径方向外方Osに気流が流れる。これにより、モータ10及びディフューザ40の内部の静圧Ps3は、外部の静圧に比べて低くなる。その結果、ベース部521とステータコア131との間の隙間71からモータ10の内部に気流S1が流れる。
【0083】
本実施形態の送風装置Aでは、隙間72以外にも、ディフューザ40の内筒部41の連通部47から外部に気流S12が吹き出されることで、隙間72のみを有する構成に比べて、より多くの気流S1がロータ12及びステータ13の内部に取り込まれる。これにより、ロータ12及びステータ13の冷却効率を高めることができる。
【0084】
本実施形態の送風装置Aにおいて、主気流Sが送風路48を流れることで、モータ10の下部からモータ10の内部に流入する気流S1が発生し、モータ10を内部から冷却する。そして、連通部47にディフューザ40の径方向内方Isから径方向外方Osに気流S12が流れることで、ロータ12及びステータ13の内部に流れる気流S1の流量を増やすことができ、モータ10の冷却効率が高くなる。これにより、送風装置Aが長期間にわたり安定して動作することができる。
【0085】
また、連通部47は上面471及び下面472が、径方向外方Osに向かうにつれて、軸方向下方に向かって拡がる。これにより、連通部47を流れる気流S12は、軸方向下方に向かう成分を含む。そのため、連通部47の径方向外方Osの端部から送風路48に気流S1が流れ込むとき、主気流Sに合流しやすい。つまり、気流S12が主気流Sの流れを邪魔しにくい。これにより、ロータ12及びステータ13を効果的に冷却することができ、送風装置Aが長期間にわたり安定して動作することができる。
【0086】
<第1変形例>
図12は、第1変形例のディフューザ40aの連通部47aを示す拡大断面図である。
図12に示すディフューザ40aは、連通部47が、径方向外方Osに向かうにつれて軸方向下方に拡がる上面471aと、中心軸Cxと直交する方向に拡がる下面472aと、を有する。すなわち、中心軸Cxを含む断面で切断した連通部47aにおいて、上辺4711aは径方向外方Osに向かうにつれて下方に向かって延び、下辺4721aは中心軸Cxと直交する方向に延びる。
【0087】
このような構成とすることで、連通部47aを流れる気流S12は、軸方向下方に向かう速度成分を有するが、軸方向上方に向かう速度成分を有しない。これにより、気流S12が主気流Sに合流するときに、主気流Sの乱れを抑制できる。そのため、モータ10の内部に多くの気流を流すことができ、モータ10の冷却効率を高めることができ、送風装置Aが長期間にわたり安定して動作することができる。また、第2ディフューザ部46に設けられる第2内筒部412の上面を中心軸Cxと直交する構成とするため、製造が容易である。
【0088】
<第2変形例>
図13は、第2変形例のディフューザ40bの連通部47bを示す拡大断面図である。
図13に示すディフューザ40bは、連通部47bが、中心軸Cxと直交する方向に拡がる上面471bと、径方向外方Osに向かうにつれて軸方向下方に拡がる下面472bと、を有する。すなわち、中心軸Cxを含む断面で切断した連通部47bにおいて、下辺4721bは径方向外方Osに向かうにつれて下方に向かって延び、上辺4711bは中心軸Cxと直交する方向に延びる。
【0089】
このような構成とすることで、連通部47bを流れる気流S12は、軸方向下方に向かう速度成分を有するが、上方に向かう速度成分を有しない。これにより、気流S12が主気流Sに合流するときに、主気流Sの乱れを抑制できる。そのため、モータ10の内部に多くの気流を流すことができ、モータ10の冷却効率を高めることができ、送風装置Aが長期間にわたり安定して動作することができる。また、第1ディフューザ部45に設けられる第1内筒部411の下面を中心軸Cxと直交する構成とするため、製造が容易である。
【0090】
<第3変形例>
図14は、第3変形例のディフューザ40cの連通部47cを示す拡大断面図である。
図14に示すディフューザ40cは、連通部47cが、中心軸Cxと直交する方向に拡がる上面471cと、中心軸Cxと直交する方向に拡がる下面472cと、を有する。すなわち、中心軸Cxを含む断面で連通部47cを切断した断面形状において、上辺4711c及び下辺4721cはともに中心軸Cxと直交する方向に延びる。
【0091】
このような構成とすることで、連通部47cを流れる気流S12は、上方に向かう速度成分を有しない。これにより、気流S12が主気流Sに合流するときに、主気流Sが乱れにくい。そのため、ロータ12及びステータ13の内部に多くの気流を流すことができる。これにより、ロータ12及びステータ13の冷却効率を高めることができ、送風装置Aが長期間にわたり安定して動作することができる。また、第1ディフューザ部45に設けられる第1内筒部411cの下面及び第2ディフューザ部46に設けられる第2内筒部412cの上面を中心軸Cxと直交する構成とするため、製造が容易である。
【0092】
<第4変形例>
図15は、外筒部を省略した第4変形例のディフューザ40dを周方向に展開した拡大展開図である。
図15に示すディフューザ40dは、複数の連通部47dを有し、複数の連通部47dが周方向に並んで配置される。
図15に示すとおり、第2内筒部412dの上面には、軸方向に凹む凹部413dが形成されている。
【0093】
そして、凹部413dが形成されている部分では、第1内筒部411dの下面と第2内筒部412dの上面との間に隙間が形成される。この隙間が連通部47dとなる。このように、連通部47dが周方向に並んで配置される構成であることで、第1内筒部411dと第2内筒部412dとが直接接触する部分が形成される。
【0094】
そのため、ディフューザ40dの内筒部41dの剛性を高めることができる。また、第1内筒部411dと第2内筒部412dとが接触する部分と径方向に隣り合う部分に、モータハウジング50の第1ハウジング部51の一部を配置することで、気流S12の流量の低下を抑制することができる。そのため、モータ10の内部に多くの気流を流すことができ、モータ10の冷却効率を高めることができる。これにより、送風装置Aが長期間安定して動作することができる。
【0095】
<第5変形例>
図16は、外筒部を省略した第5変形例のディフューザ40eを周方向に展開した拡大展開図である。
図16に示すディフューザ40eのように、複数の連通部47eを有し、複数の連通部47eが周方向に並んで配置される構成であってもよい。
図16に示す連通部47eは、第1内筒部411eに形成される連通部47e1と、第2内筒部412eに形成される連通部47e2を有する。
【0096】
連通部47e1は、第1内筒部411eの径方向の内外を貫通する貫通孔であり、連通部47e2は、第2内筒部412eの径方向の内外を貫通する貫通孔である。このような構成とすることで、ディフューザ40eの組み立て精度にかかわらず、一定の流路面積を有する連通部47eを確保することができる。そのため、気流S12の流量を安定して確保して、ロータ12及びステータ13の内部に多くの気流を流すことができ、ロータ12及びステータ13の冷却効率を高めることができ、送風装置Aが長期間にわたって安定して動作できる。
【0097】
なお、連通部47eは、径方向に見たとき、第1内筒部411eに形成される連通部47e1と同様の周方向に延びた形状であってもよいし、第2内筒部412eに形成される連通部47e2と同様の円筒状であってもよい。また、連通部47eの気流S12の流れ方向と直交する面の断面形状は、円に限定されず、楕円、多角形等であってもよい。
【0098】
<第6変形例>
図17は、外筒部を省略した第6変形例のディフューザ40fを周方向に展開した拡大展開図である。
図18は、
図17に示すディフューザ40fの内筒部41fと外筒部42fとの接続部分を拡大した断面図である。
図17、
図18に示すディフューザ40fは、軸方向に上下に分離しない形状である。軸方向に一体的に形成された内筒部41fの外面に接続する静翼44fを有する。
【0099】
そして、ディフューザ40fにおいて、連通部47fは、内筒部41fの軸方向の中央部に周方向に形成された溝状である。つまり、内筒部41fの軸方向の上部及び下部は、静翼44fを介して一体的に形成されている。このような構成とすることで、内筒部41f及び外筒部42fがそれぞれ一体成型体であるため、ディフューザ40fの剛性を高めることができる。
【0100】
<第7変形例>
図19は、外筒部を省略した第7変形例のディフューザ40gを周方向に展開した拡大展開図である。
図19に示すディフューザ40gは、連通部47gの構成が連通部47fと異なる以外、
図17、
図18に示すディフューザ40fと同じ構成を有する。そのため、ディフューザ40gのディフューザ40fと実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0101】
図19に示すように、ディフューザ40gは、複数個の連通部47gを有し、連通部47gが周方向に並んで配置される。連通部47gは、内筒部41gの径方向の内外を繋ぐ貫通孔である。このような構成とすることで、一定の流路面積を有する連通部47gを確保することができる。気流S12の流量を安定して確保することができるため、モータ10の内部に多くの気流を流すことができ、モータ10の冷却効率を高めることができる。なお、連通部47gの気流S12の流れ方向と直交する面の断面形状は、長尺状に限定されず、楕円、多角形等であってもよい。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
【0103】
<まとめ>
本発明は、以下の構成を有する。
【0104】
(1) 送風装置であって、
上下に延びる中心軸を中心に回転するロータと、
前記ロータと径方向に対向するステータと、
前記ロータに固定されるインペラと、
前記インペラの下方に配置されて前記インペラで発生した気流を整流するディフューザと、を有し、
前記ディフューザは、
内筒部と、
前記内筒部と径方向に隙間を介して配置される外筒部と、
前記内筒部と前記外筒部との隙間に周方向に間隔をあけて配置される複数の静翼と、を有し、
前記内筒部は、径方向の内外を連通する連通部を有し、
前記中心軸を含む断面で前記連通部を切断した断面形状において、前記連通部の上辺が前記中心軸と直交する又は径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延び、前記連通部の下辺が前記中心軸と直交する又は径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延びる。
【0105】
(2) 前記上辺及び前記下辺が、径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延びる(1)記載の送風装置。
【0106】
(3) 前記上辺は径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延び、前記下辺は前記中心軸と直交する方向に延びる(1)に記載の送風装置。
【0107】
(4) 前記下辺は径方向外方に向かうにつれて下方に向かって延び、前記上辺は前記中心軸と直交する方向に延びる(1)に記載の送風装置。
【0108】
(5) 前記上辺及び前記下辺はともに前記中心軸と直交する方向に延びる(1)に記載の送風装置。
【0109】
(6) 前記連通部の径方向内方の開口面積は径方向外方の開口面積よりも大きい(1)から(3)のいずれかに記載の送風装置。
【0110】
(7) 前記連通部の径方向内方の開口の少なくとも一部は、前記ステータ上端よりも上に位置する(1)から(6)のいずれかに記載の送風装置。
【0111】
(8) 前記連通部は、周方向の全周に渡って連続して形成される(1)から(7)のいずれかに記載の送風装置。
【0112】
(9) 前記ディフューザは、複数の前記連通部を有し、複数の前記連通部は、周方向に並んで配置される(1)から(7)のいずれかに記載の送風装置。
【0113】
(10) 前記連通部は、前記内筒部を径方向に貫通する貫通孔である請求項(1)から(9)のいずれかに記載の送風装置。
【0114】
(11) 前記ディフューザは、第1ディフューザ部と、前記第1ディフューザ部の前記中心軸に沿う方向の下方に配置される第2ディフューザ部とに分割可能であり、
前記連通部は、前記第1ディフューザ部の第1内筒部と前記第2ディフューザ部の第2内筒部との隙間である(1)から(10)のいずれかに記載の送風装置。
【0115】
(12) 前記静翼は、
前記第1ディフューザ部に配置される複数の第1静翼部と、
前記第2ディフューザ部に配置される複数の第2静翼部と、を有し、
前記連通部の少なくとも一部は、前記第1静翼部と前記第2静翼部との間に配置される(11)に記載の送風装置。
【0116】
(13) 前記第2静翼部は、前記第1静翼部よりも多い(12)に記載の送風装置。
【0117】
(14) (1)から(13)のいずれかに記載の送風装置を有する、掃除機。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によると、送風装置及びそれを有する掃除機に利用することができる。
【符号の説明】
【0119】
100 掃除機
102 筐体
103 吸気部
104 排気部
105 把持部
106 操作部
106a ボタン
107 吸引管
110 吸引ノズル
A 送風装置
10 モータ
11 シャフト
12 ロータ
121 マグネット
122 ストッパ
13 ステータ
131 ステータコア
132 インシュレータ
133 コイル
134 コアバック
135 ティース
136 凹部
14 バスバー
20 インペラ
21 ハブ
210 上面
211 貫通孔
22 ブレード
23 インペラブッシュ
30 インペラカバー
31 壁部
32 吸気部
32 開口部
40、40a、40b、40c、40d、40e、40f、40g ディフューザ
41、41d、41f、41g 内筒部
411、411e 第1内筒部
412、412e 第2内筒部
413d 凹部
42、42f 外筒部
421 第1外筒部
422 第2外筒部
43 天板部
431 凹部
432 貫通孔
44 静翼
441 第1静翼部
442 第2静翼部
45 第1ディフューザ部
46 第2ディフューザ部
47、47a、47b、47c、47d、47e、47f、47g 連通部
471、471a、471b、471c 上面
472、472a、472b、472c 下面
48 送風路
481 下端部
50 モータハウジング
51 第1ハウジング部
511 内環状部
512 外環状部
513 上柱状部
514 連結部
52 第2ハウジング部
521 ベース部
522 貫通孔
523 下柱状部
524 スリーブ
531 上軸受
532 下軸受
60 回路基板
71 隙間
72 隙間