(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156408
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20241029BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20241029BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20241029BHJP
F24F 120/14 20180101ALN20241029BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20241029BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F11/77
F24F110:10
F24F120:14
F24F110:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070845
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 友寛
(72)【発明者】
【氏名】野田 佳佑
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD02
3L056BE02
3L056BE03
3L056BF01
3L260AA02
3L260AB15
3L260BA12
3L260CA03
3L260CA12
3L260CA32
3L260CB63
3L260EA07
3L260FA07
3L260FA13
3L260FC03
3L260HA06
(57)【要約】
【課題】室内温度に適応した換気を行うことで、不快感を軽減して快適性を向上させた換気装置を提供する。
【解決手段】
室内を換気する換気風量を切換え可能な排気用送風機2と、室内に入室した人を検知する人検知手段8と、室内温度を検知する室内温度検知手段9と、室内温度の高温側に第一温度しきい値と低温側に第二温度しきい値を設定し、人検知手段8が室内に人を検知した場合において、室内温度が第一温度しきい値以下かつ第二温度しきい値以上のときは、第一換気風量に設定して排気用送風機2を運転し、室内温度が第一温度しきい値より高いときは、第一換気風量より大きい第二換気風量に設定して排気用送風機2を運転し、室内温度が第二温度しきい値より低いときは、第一換気風量より小さい第三換気風量に設定して排気用送風機2を運転するように制御する制御部7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内を換気する換気風量を切換え可能な排気用送風機と、
前記室内に入室した人を検知する人検知手段と、
室内温度を検知する室内温度検知手段と、
前記室内温度の高温側に第一温度しきい値および前記室内温度の低温側に第二温度しきい値が設定され、
前記人検知手段が前記室内に前記人を検知した場合において、
前記室内温度が前記第一温度しきい値以下かつ前記第二温度しきい値以上のときは、第一換気風量に設定して前記排気用送風機を運転し、
前記室内温度が前記第一温度しきい値より高いときは、前記第一換気風量より大きい第二換気風量に設定して前記排気用送風機を運転し、
前記室内温度が前記第二温度しきい値より低いときは、前記第一換気風量より小さい第三換気風量に設定して前記排気用送風機を運転するように制御する制御部と、
を備えた換気装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記室内から前記人が退出することで、前記検知手段によって前記人が検出されない場合は、前記排気用送風機を前記第二換気風量で運転する残置運転を既定時間行う、
請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記既定時間は、前記人による前記室内の在室時間に応じて変更される、
請求項2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記第二換気風量または前記第三換気風量を選択する選択手段を設け、
前記制御部は、前記残置運転中に、前記人検知手段が前記室内に人を検知した場合は、前記残置運転を終了し、
前記室内温度が前記第二温度しきい値より低い場合において、
前記選択手段で前記第二換気風量が選択されたときは、前記第二換気風量で前記排気用送風機を運転し、
前記選択手段で前記第三換気風量が選択されたときは、前記第三換気風量で前記排気用送風機を運転する、
請求項2に記載の換気装置。
【請求項5】
室外温度を検知する室外温度検知手段を設け、
前記人検知手段が前記室内に前記人を検知しない場合において、
前記制御部は、前記室内温度と前記室外温度との差分の絶対値を算出し、前記絶対値が予め定められた既定値より小さい場合は、前記排気用送風機の運転を停止し、前記絶対値が前記既定値以上の場合は、前記室外温度と前記室内温度とを比較し、
前記室外温度が前記室内温度より高い場合は、さらに前記室内温度と前記第二温度しきい値とを比較し、前記室内温度が前記第二温度しきい値より低い場合は、前記第二換気風量で前記排気用送風機を運転し、前記室内温度が前記第二温度しきい値以上の場合は、前記排気用送風機の運転を停止し、
前記室外温度が前記室内温度以下の場合は、さらに前記室内温度と前記第一温度しきい値とを比較し、前記室内温度が前記第一温度しきい値より高い場合は、前記第二換気風量で前記排気用送風機を運転し、前記室内温度が前記第一温度しきい値以下の場合は、前記排気用送風機の運転を停止する、
請求項1に記載の換気装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記換気風量を切換える複数のノッチを有し、前記第一換気風量、前記第二換気風量および前記第三換気風量による前記排気用送風機の運転は、前記複数のノッチの切換えにより行われる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内を換気する換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トイレなどの室内に人検知用の赤外線センサと室温を検出する温度センサを有して、室内に人を検知した場合は弱ノッチで換気を行う、また室温が所定温度以下の場合は換気を停止する自動運転換気扇が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の自動運転換気扇は、室内に人を検知した場合は、弱ノッチで換気を行う、あるいは換気を停止する。しかしながら、特許文献1に記載の自動運転換気扇は、例えば、夏場などで室内が高温になるような環境下においては、室内の熱が十分に排出されずに高温状態が維持されることがある。そのため、人が室内で不快感を生じるという問題があった。
【0005】
本開示は、上記の課題を解決するものであり、室内温度に適応した換気を行うことで、不快感を軽減して快適性を向上させた換気装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る換気装置は、室内を換気する換気風量を切換え可能な排気用送風機と、室内に入室した人を検知する人検知手段と、室内温度を検知する室内温度検知手段と、室内温度の高温側に第一温度しきい値および室内温度の低温側に第二温度しきい値が設定され、人検知手段が室内に人を検知した場合において、室内温度が第一温度しきい値以下かつ第二温度しきい値のときは、第一換気風量に設定して排気用送風機を運転し、室内温度が第一温度しきい値より高いときは、第一換気風量より大きい第二換気風量に設定して排気用送風機を運転し、室内温度が第二温度しきい値より低いときは、第一換気風量より小さい第三換気風量に設定して排気用送風機を運転するように制御する制御部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る換気装置は、室内温度に適応した換気を行うことで、不快感を軽減して快適性を向上させた換気装置を得られる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る換気装置の構成図である。
【
図2】実施の形態1に係る換気装置の制御フローチャートである。
【
図3】実施の形態2に係る換気装置の構成図である。
【
図4】実施の形態2に係る換気装置の制御フローチャートである。
【
図5】実施の形態3に係る換気装置の構成図である。
【
図6】実施の形態3に係る換気装置の制御フローチャートである。
【
図7】実施の形態3に係る換気装置の制御フローチャートであり、
図6に示す制御フローチャートのステップS300の詳細を示す制御フローチャートである。
【
図8】実施の形態1から3に係る換気装置の制御部のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る換気装置1の構成図である。換気装置1は、排気用送風機2、給気口3、排気口4、排気用ダクト5、制御部7、人検知手段8、室内温度検知手段9およびハウジング15を備えている。
【0011】
換気装置1は、屋外と室内との間に設けられ、室内の空気を室外に排出することで、室内を換気する。室内は、例えば、トイレなどの特定の空間である。給気口3は、室内に対向して設けられ、室内の空気をハウジング15に取り込む。排気用送風機2は、中空のハウジング15内に設けられ、給気口3から取り込まれた空気を、ハウジング15に設けられた排気口4に送り出す。ハウジング15内には、給気口3から排気用送風機2を経て排気口4にいたる排気路6が形成される。排気用ダクト5は、排気口4と屋外との間を接続しており、排気口4から排出された空気を、屋外に排出する。なお排気口4から、直接、屋外に空気が排出される場合は、排気用ダクト5は不要である。これにより、室内の空気は、矢印RA(Return Air)に示すように、室内からハウジング15内の排気路6に取り込まれ、排気用送風機2の排気口4から排気用ダクト5を通じて、矢印EA(Exhaust Air)に示すように、屋外に排出される。
【0012】
人検知手段8は、室内の人の有無を検知する。人検知手段8は、例えば、人感センサであり、詳しくは、赤外線センサである。なお人検知手段8は、室内の人の有無を検知可能なセンサであれば用いることができる。人検知手段8は、給気口3の近くのハウジング15に取り付けられている。ただし、人検知手段8の取付場所は、ハウジング15に限定されない。人検知手段8は、室内の人の有無に応じた信号を出力する。
【0013】
室内温度検知手段9は、室内温度を検知する。室内温度検知手段9は、例えば、温度センサであり、詳しくは、サーミスタである。なお室内温度検知手段9は、室内温度を検知可能なセンサであれば用いることができる。室内温度検知手段9は、給気口3の近くのハウジング15に取り付けられている。ただし、室内温度検知手段9の取付場所は、ハウジング15に限定されない。室内温度検知手段9は、室内温度に応じた信号を出力する。
【0014】
制御部7は、人検知手段8および室内温度検知手段9から出力された信号を受けて、排気用送風機2のノッチを切換える。制御部7は、排気用送風機2のノッチを切換えるための複数の温度しきい値を記憶している。制御部7は、人検知手段8および室内温度検知手段9から入力された信号ならびに記憶されている複数の温度しきい値に対応して、予め設定されているノッチで運転する信号を排気用送風機2に出力する。排気用送風機2は、制御部7から出力された信号に応じたノッチで運転することで、換気風量を切換える。なお、排気用送風機2の運転を制御するための信号の送受信は、有線または無線による通信手段を利用することができる。また、制御部7に記憶させる複数の温度しきい値は、制御部7に予め記憶させておいてもよく、例えば、換気装置1に不図示の設定スイッチを設けて、任意に設定できるようにしてもよい。
【0015】
図2は、実施の形態1に係る換気装置1の制御フローチャートである。
図2では、一例として、排気用送風機2は、強ノッチ、中ノッチおよび弱ノッチの3つのノッチに、ノッチの停止を加えた4つの運転モードを有している。中ノッチは、換気風量が強ノッチと弱ノッチの間にある運転モードであり、換気風量の基準となる基準ノッチである。基準ノッチである中ノッチで排気用送風機2を運転したときの換気風量を第一換気風量と称する。強ノッチは、中ノッチより換気風量が大きい運転モードである。すなわち、強ノッチで排気用送風機2を運転したときの換気風量(第二換気風量と称す)は、第一換気風量より大きい。強ノッチは、例えば、排気用送風機2で設定される最大ノッチであり、強ノッチで排気用送風機2を運転したときの換気風量が、排気用送風機2の換気風量における最大の換気風量になる。弱ノッチは、中ノッチより換気風量が小さい運転モードである。すなわち、弱ノッチで排気用送風機2を運転したときの換気風量(第三換気風量と称す)は、第一換気風量より小さい。弱ノッチは、例えば、排気用送風機2で設定される最小ノッチであり、弱ノッチで排気用送風機2を運転したときの換気風量が排気用送風機2の換気風量における最小の換気風量になる。またノッチの停止は、排気用送風機2の運転を停止する。すなわち、ノッチの停止は、室内の換気を行わない運転モードである。換気風量は、室内の空気を室外に排出する風量であり、換気風量が大きいほど、単位時間当たりの室内の換気量が大きくなる。
【0016】
また、排気用送風機2のノッチを切換えるための温度しきい値として、室内の高温側と低温側のそれぞれにおいて温度しきい値が設定される。高温側の温度しきい値を第一温度しきい値、低温側の温度しきい値を第二温度しきい値と称する。第一温度しきい値および第二温度しきい値は、室内温度が、第一温度しきい値を超えてさらに高温側に、および第二温度しきい値を超えてさらに低温側にそれぞれ超えると、多くの人が不快に感じる温度として設定される。第一温度しきい値は、例えば、28℃~30℃であり、室内に風の流れがほしいと、多くの人が感じる温度である。また第二の温度しきい値は、例えば、13℃~15℃であり、室内に風の流れがあると、多くの人が寒く感じる温度である。この第一温度しきい値および第二温度しきい値と、人検知手段8および室内温度検知手段9の検知結果に基づいて、排気用送風機2のノッチが切換えられ、室内が換気される。
【0017】
ステップS1において、換気装置1の電源をONにする。これにより換気装置1の換気風量制御が開始される。換気装置1の電源ONは、例えば、不図示の電源スイッチを入れることで実行される。換気装置1の電源ONは、不図示のセンサの信号を受けて実行されてもよい。なおステップS1において、排気用送風機2は、基準ノッチである中ノッチで運転を開始する。
【0018】
ステップS2において、制御部7は、第一温度しきい値、第二温度しきい値および残置運転タイマ時間を設定し、ステップS3に進む。
【0019】
ステップS3において、制御部7は、人検知手段8からの信号に基づいて、室内の人の有無を検知する。制御部7は、人を検知した場合(ステップS3でYesの時)、すなわち室内に人がいる場合は、ステップS5に処理を進める。制御部7は、人を検知しない場合(ステップS3でNoの時)、すなわち室内に人がいない場合は、ステップS4に処理を進める。
【0020】
ステップS4において、制御部7は、排気用送風機2のノッチを停止、すなわち排気用送風機2の運転を停止する。制御部7は、排気用送風機2のノッチを停止にしたのち、ステップS3に戻るように処理を進める。
【0021】
一方、ステップS5において、制御部7は、室内温度検知手段9が検知した室内温度と高温側の温度しきい値である第一温度しきい値とを比較する。制御部7は、室内温度が第一温度しきい値より高い場合(ステップS5でYesの時)は、ステップS6に処理を進める。制御部7は、室内温度が第一温度しきい値以下の場合(ステップS5でNoの時)は、ステップS7に処理を進める。
【0022】
ステップS6において、制御部7は、室内温度が人に不快感を与える程度の高温であると判断して、排気用送風機2を中ノッチから強ノッチに切換えて運転する。このように強ノッチで室内の換気を行うことで、室内の高温の空気が屋外に速やかに排出されるため、室内温度を速やかに低下させることができる。これにより、室内にいる人は、高温による不快感を軽減できるので、快適性が向上する。制御部7は、ステップS6の処理の後、ステップS10に処理を進める。
【0023】
ステップS7において、制御部7は、室内温度検知手段9が検知した室内温度と低温側の温度しきい値である第二温度しきい値を比較する。制御部7は、室内温度が第二温度しきい値より低い場合(ステップS7でYesの時)は、ステップS8に処理を進める。制御部7は、室内温度が第二温度しきい値以上の場合(ステップS7でNoの時)は、ステップS9に処理を進める。
【0024】
ステップS8において、制御部7は、室内温度が人に不快感を与える程度の低温であると判断して、排気用送風機2を中ノッチから弱ノッチに切換えて運転する。このように弱ノッチで室内の換気を行うことで、最低限の換気風量を確保しつつ、人に与える冷風感を低減できるので、快適性が向上する。制御部7は、ステップS8の処理の後、ステップS10に処理を進める。
【0025】
一方、ステップS9において、制御部7は、室内温度が第一温度しきい値と第二温度しきい値の間にあり、室内温度が人に対して適温であると判断して、排気用送風機2の運転を中ノッチとする。このように中ノッチで室内の換気を行うことで、室内が適温として維持されるので快適性が維持される。制御部7は、ステップS9の処理の後、ステップS10に処理を進める。
【0026】
ステップS10において、制御部7は、人検知手段8からの信号に基づいて、室内の人の有無を検知する。制御部7は、人を検知した場合(ステップS10でYesの時)、すなわち室内に継続して人が居ると判断した場合は、ステップS5に処理を戻す。このように、制御部7は、人検知手段8が室内の人を検知している間は、ステップS5からステップS10を繰り返すことで、室内温度に適応したノッチの制御を行う。制御部7は、人を検知しない場合(ステップS10でNoの時)、すなわち室内の人が退出して、人検知手段8により室内の人が検知されない場合は、ステップS11に処理を進める。
【0027】
次に、室内の人が退出した後には、室内に臭気が残る問題がある。特に、夏場などは、室内温度が高くなり臭気が強くなる場合がある。そのため快適性の向上には、室内の臭気の除去も必要となる。室内から人が退出したステップS11以降では、臭気の速やかな除去を行う。
【0028】
ステップS11において、制御部7は、室内を使用した人が残した臭気を屋外に速やかに排出するため、排気用送風機2を強ノッチで運転する。このように強ノッチで室内の換気を行うことで、室内の臭気を伴う空気が屋外に速やかに排出される。しかしながら、臭気の除去には時間を要する。そのため、室内の換気を一定時間行う残置運転が必要である。制御部7は、この残置運転を行うため、ステップS11の処理の後、ステップS12に処理を進める。
【0029】
ステップS12において、制御部7は、残置運転をスタートさせる。具体的には、制御部7は、排気用送風機2は強ノッチで運転し、残置運転タイマをスタートさせる。制御部7は、ステップS12の処理の後、ステップS13に処理を進める。
【0030】
ステップS13において、制御部7は、残置運転タイマ、詳しくは、残置運転タイマのカウント時間と、ステップS2で設定した残置運転タイマ時間(既定時間と称する)を比較する。制御部7は、残置運転タイマのカウント時間が既定時間に達していない場合(ステップS13でYesの時)は、残置運転による臭気の除去が完了していないと判断して、ステップS14に処理を進める。
【0031】
ステップS14において、制御部7は、人検知手段8からの信号に基づいて、室内の人の有無を検知する。制御部7は、人を検知しない場合(ステップS14でNoの時)、すなわち室内に人が入室していない場合は、ステップS13に処理を戻して、残置運転を継続して、臭気の除去を行う。制御部7は、人を検知した場合(ステップS14でYesの時)、すなわち室内に人が入って来ていると判断した場合は、ステップS15に処理を進める。
【0032】
ステップS15において、制御部7は、残置運転タイマ、詳しくは、残置運転タイマのカウント時間をリセットして、排気用送風機2による残置運転を終了する。制御部7は、ステップS15の処理の後、ステップS5に処理を戻して、人を検知した際のステップS5からステップS10の処理を行う。このように、制御部7は、残置運転中に室内に人が検知された場合は、快適性を優先した制御を行う。
【0033】
一方、ステップS13において、制御部7は、残置運転タイマ、詳しくは残置運転タイマのカウント時間が既定時間に達した場合(ステップS13でNoの時)は、残置運転による臭気の除去が完了したと判断して、ステップS16に処理を進める。
【0034】
ステップS16において、制御部7は、残置運転タイマ、詳しくは、残置運転タイマのカウント時間をリセットして、排気用送風機2による残置運転を終了する。制御部7は、ステップS16の処理の後、ステップS3に処理を戻す。
【0035】
以上のように、実施の形態1に係る換気装置1は、高温側と低温側の温度しきい値をそれぞれ設けて、室内に人がいるときは、室内温度とそれぞれの温度しきい値とを比較して、室内の人に対して室内温度による不快感を与えないように排気用送風機2のノッチを制御して、室内の換気を行う。したがって、室内温度に適応した換気を行うことができる。よって、快適性を向上させた換気装置1を得ることができる。
【0036】
また、室内の人が退出した後の残置運転時は、排気用送風機2の運転を強ノッチにして室内の換気を行うので、速やかに臭気の除去を行うことができる。よって、快適性を向上させた換気装置1を得ることができる。
【0037】
さらに、残置運転時に室内に人が入ってきた場合は、残置運転前の制御、すなわち室内の人に対して室内温度による不快感を与えないように、ノッチを制御して、室内の換気を行う。したがって、室内温度に適応した換気を行うことができる。よって、快適性を向上させた換気装置1を得ることができる。
【0038】
なお、実施の形態1では、排気用送風機2の運転を弱ノッチ、中ノッチおよび強ノッチの3ノッチとし、また、温度しきい値を高温側および低温側の2つの温度しきい値として説明したが、ノッチの数および温度しきい値の数は、特に制限されることは無く、任意に増やすことが可能である。例えば、排気用送風機2の運転を、風量が強い順に特強ノッチ、強ノッチ、中ノッチおよび弱ノッチの4ノッチとし、人を検知している時は、排気用送風機2が有するファンの騒音を考慮して、強ノッチ、中ノッチおよび弱ノッチの3ノッチで使用し、残置運転中は、速やかに換気を行うために特強ノッチとしても良い。また、人を検知しない場合の処理であるステップS4においては、排気用送風機2の運転ノッチを停止としたが、弱ノッチとして換気を継続してもよい。
【0039】
また、実施の形態1では、既定時間を一定の時間として説明したが、既定時間を複数設けて、室内の人の使用時間(ステップS3で人の検知が有となった時からステップS10で人の検知が無しとなるまでの間、室内に人が在室した時間)に応じて、複数の既定時間の中から一つの既定時間が選択されるようにしてもよい。具体的には、室内の人の使用時間が短ければ、短い既定時間が選択され、室内の人の使用時間が長ければ、長い既定時間が選択されるようにする。例えば、既定時間として5分、10分および30分を設定しておき、室内の人の使用時間が2分以内であれば、既定時間として5分が選択され、室内の人の使用時間が2分を超えてから10分以内であれば、既定時間として10分が選択され、室内の人の使用時間が10分を超えるようであれば、既定時間として30分が選択されるようにする。このようにすることで、室内の臭気の除去に必要とする時間を超えて残置運転が行われることがなくなるので、残置運転中の消費電力を削減することができる。
【0040】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2に係る換気装置21の構成図である。実施の形態2の換気装置21は、臭気の除去または冷風感の低減を選択可能な選択手段10を有している点、選択手段10の選択結果に応じた出力が制御部22に入力される点で、実施の形態1の換気装置1と相違する。制御部22は、実施の形態1の制御部7の機能に加えて、選択手段10の選択結果に応じて、排気用送風機2のノッチの切換えを行う。それ以外の構成は、換気装置1が備える構成と同一または同等である。以下では、換気装置21が有する選択手段10および制御部22について詳細に説明し、換気装置1と同一または同等の構成については、換気装置1の
図1と同じ符号を付し、ここでの説明を省略する。
【0041】
選択手段10は、残置運転中に人が入室した場合に、室内の臭気の除去を優先するか、あるいは冷風感の低減を優先するかを入室した人が選択できるようにして、その選択結果を制御部22に出力するものである。
【0042】
制御部22は、選択手段10の選択結果に応じて、臭気除去を優先する場合は、残置運転時と同様に、排気用送風機2を強ノッチで運転する。例えば、排気用送風機2が設定可能な最大ノッチにして、最大の換気風量で室内の換気を行う。一方、冷風感の低減を優先する場合は、排気用送風機2を弱ノッチで運転する。例えば、排気用送風機2が設定可能な最小ノッチにして、最小の換気風量で室内の換気を行う。この弱ノッチの選択は、例えば、室温が低い時に行うと、室内の温度低下を抑制するので、室内の人の不快感を軽減することに寄与する。
【0043】
なお、選択手段10は、例えば、スイッチであるが、臭気の除去の優先または冷風感の低減の優先の少なくともいずれか一方が選択可能であればよい。また、選択手段10から制御部22に選択結果の信号の送信は、有線または無線通信を用いることができる。また、実施の形態2では、選択手段10を室内に設けたものを示しているが、室内ではなく、例えば、換気装置21に設けても良い。
【0044】
図4は、実施の形態2に係る換気装置21の制御フローチャートである。
図4において、実施の形態1の説明に用いた
図2に示す制御フローチャートと相違する処理は、ステップS117からステップS122に示す処理である。ステップS117からステップS122に示す処理において、
図1に示す制御フローチャートと相違する点は、残置運転において、残置運転フラグがセットされる点(
図4のステップS121)、および残置運転中に人が検知された場合において、室内温度が第二温度しきい値より低い場合に、セットされた残置運転フラグと選択手段10の設定状態に基づいて排気用送風機2のノッチを切換える点(
図4のステップS117~ステップS120)にある。その他の処理については、
図2の制御フローチャートに示す処理と同じであるため、
図1と同じステップ番号を付して、ここでの説明を省略する。以下では、
図2に示す制御フローチャートと相違するステップS117からステップS122の処理を中心に説明する。実施の形態2は、残置運転中およびその後の処理となるため、まず残置運転時の処理から説明する。
【0045】
ステップS10において、制御部22は、人検知手段8からの信号に基づいて、室内の人の有無を検知し、室内の人が退出して、室内に人がいないと判断した場合は、ステップS11に処理を進めて、残置運転を開始する。ステップS11において、制御部7は、排気用送風機2を強ノッチで運転する。ステップS11の処理の後、ステップS121に処理を進める。
【0046】
ステップS121において、制御部22は、残置運転を開始したことを記憶するため残置運転フラグをセットする。また制御部22は、残置運転タイマをスタートさせる。ステップS121の処理の後、ステップS13に処理を進める。
【0047】
ステップS13において、制御部22は、残置運転タイマ、詳しくは、残置運転タイマのカウント時間と、ステップS2で設定した既定時間を比較する。制御部22は、残置運転タイマのカウント時間が既定時間に達していない場合(ステップS13でYesの時)は、残置運転による臭気の除去が完了していないと判断して、ステップS14に処理を進める。
【0048】
ステップS14において、制御部22は、人検知手段8からの信号に基づいて、室内の人の有無を検知する。制御部22は、人を検知しない場合(ステップS14でNoの時)、すなわち室内に人が入室していない場合は、ステップS13に処理を戻して、残置運転を継続して、臭気の除去を行う。制御部22は、人を検知した場合(ステップS14でYesの時)、すなわち室内に人が入室したと判断した場合は、ステップS15に処理を進める。
【0049】
ステップS15において、制御部22は、残置運転フラグをセットした状態で、残置運転タイマをリセットし、排気用送風機2による残置運転を終了する。制御部22は、ステップS15の処理の後、ステップS5に処理を戻す。
【0050】
一方、ステップS13において、制御部22は、残置運転タイマが既定時間に達した場合(ステップS13でNoの時)は、残置運転による臭気の除去が完了したと判断して、ステップS122に処理を進める。
【0051】
ステップS122において、制御部22は、残置運転タイマおよび残置運転フラグをリセットして、排気用送風機2による残置運転を終了する。制御部22は、ステップS122の処理の後、ステップS3に処理を戻す。
【0052】
ステップS15の処理の後に戻したステップS5において、制御部22は、室内温度検知手段9が検知した室内温度と高温側の温度しきい値である第一温度しきい値を比較する。制御部22は、室内温度が第一温度しきい値より高い場合(ステップS5でYesの時)は、ステップS6に処理を進める。ステップS6の処理は、実施の形態1で説明したステップS6の処理と同じであるので、ここでの説明を省略する。制御部22は、室内温度が第一温度しきい値以下の場合(ステップS5でNoの時)は、ステップS7に処理を進める。
【0053】
ステップS7において、制御部22は、室内温度検知手段9が検知した室内温度と低温側の温度しきい値である第二温度しきい値を比較する。制御部22は、室内温度が第二温度しきい値より低い場合(ステップS7でYesの時)は、ステップS117に処理を進める。制御部22は、室内温度が第二温度しきい値以上の場合(ステップS7でNoの時)は、ステップS9に処理を進める。ステップS9の処理は、実施の形態1で説明したステップS9の処理と同じであるので、ここでの説明を省略する。制御部22は、ステップS9の処理の後、ステップS10に処理を進める。
【0054】
ステップS117において、制御部22は、残置運転フラグがセットされているか否かを確認する。制御部22は、残置運転フラグがセットされていない場合(ステップS117でNoの時)は、ステップS120に処理を進める。
【0055】
ステップS120において、制御部22は、室内温度が人に不快感を与える程度の低温であると判断して、排気用送風機2を中ノッチから弱ノッチに切換えて運転する。このように弱ノッチで室内の換気を行うことで、最低限の換気風量を確保しつつ、人に与える冷風感を軽減できるので、快適性が向上する。制御部22は、ステップS120の処理の後、ステップS10に処理を進める。
【0056】
一方、ステップS117において、制御部22は、残置運転フラグがセットされている場合(ステップS117でYesの時)は、ステップS118に処理を進める。
【0057】
ステップS118において、制御部22は、選択手段10の選択状態を確認する。制御部22は、選択手段10において、臭気の除去の優先が選択されている場合(ステップS118でYesの時)は、ステップS119に処理を進める。制御部22は、選択手段10において、冷風感の低減が選択されている場合(ステップS118でNoの時)は、ステップS120に処理を進める。
【0058】
ステップS119において、制御部22は、室内の臭気の除去を優先するため、排気用送風機2を残置運転時と同じ強ノッチにして運転する。これにより、室内にいる人は、臭気による不快感を速やかに軽減できるので快適性が向上する。制御部7は、ステップS6の処理の後、ステップS10に処理を進める。なおステップS120の処理については、上記した通りであり、ここでの説明は省略する。制御部22は、ステップS119およびステップS120の処理の後、ステップS10に処理を進める。
【0059】
実施の形態1では、残置運転中に人が検知され、かつ室内温度が第二の温度しきい値より低い時は、室内の臭気の除去が不足の場合でも、排気用送風機2を弱ノッチにして運転した。そのため、室内の人に対して、臭気により不快感を与える可能性があった。これに対し、実施の形態2における換気装置21は、臭気の除去の優先を選択可能にすることで、排気用送風機2を強ノッチで運転させることが可能である。そのため、臭気の除去を優先したい人に対して、臭気による不快感を軽減することができる。よって、実施の形態1よりさらに快適性を向上させた換気装置21を得ることができる。
【0060】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3に係る換気装置31の構成図である。実施の形態3の換気装置31は、室外温度を検知する室外温度検知手段11を有している点、室外温度検知手段11から出力された信号が制御部32に入力される点で、実施の形態2の換気装置21と相違する。以下では、換気装置31が有する室外温度検知手段11および制御部32について詳細に説明し、換気装置21と同一または同等の構成については、換気装置21の
図3と同じ符号を付し、ここでの説明を省略する。
【0061】
室外温度検知手段11は、換気装置31が動作している場合に、室内に空気を供給できる場所に設置される。室外温度検知手段11は、例えば、住宅であればリビングなど、事務所であれば事務室などに設置される。室外温度検知手段11は、室内温度検知手段9と同様に、温度が検知できるものであればよい。室内温度検知手段9は、例えば、温度センサであり、詳しくは、サーミスタである。室外温度検知手段11は、室外の温度に応じた信号を出力する。また、室外温度検知手段11からの信号の送信は、有線または無線通信を用いることができる。
【0062】
制御部32は、実施の形態2の制御部22の機能に加えて、人検知手段8によって人が検知されておらず、かつ残置運転を行っていない場合(
図6におけるステップS3に該当)に、室外温度検知手段11が検知した室外温度に応じて、室内温度と室外温度との温度差が小さくなるように、排気用送風機2のノッチの切換えを行う。これにより、換気装置31は、人が室内に入室した際に感じる、室内温度と室外温度との温度差による不快感あるいは室内が低温または高温であることによる不快感を軽減して、快適性の向上に寄与する。
【0063】
図6は、実施の形態3に係る換気装置31の制御フローチャートである。
図7は、実施の形態3に係る換気装置31の制御フローチャートであり、
図6に示す制御フローチャートのステップS300の詳細を示す制御フローチャートである。
図6および
図7において、実施の形態2の
図4に示す制御フローチャートと相違する処理は、ステップS300であり、詳しくは、ステップS301~ステップS309に示す処理である。ステップS301~ステップS309に示す処理において、
図4に示す制御フローチャートと相違する点は、室内温度と室外温度との温度差が、予め定められた値である既定値より大きい場合に、室内温度と室外温度、室内温度と第二温度しきい値、および室内温度と第一温度しきい値をそれぞれ比較して、室内温度と室外温度との温度差が小さくなるように、排気用送風機2のノッチの切換えを行う点にある。その他の処理については、
図4に示す制御フローチャートに示す処理と同じであるため、
図4と同じステップ番号を付して、ここでの説明を省略する。以下では、
図4に示す制御フローチャートと相違するステップS300(具体的には、ステップS301~ステップS309)の処理を中心に説明する。
【0064】
ステップS3において、制御部32は、人検知手段8によって人が検知されなかった場合(ステップS3でNoの時)、すなわち室内に人がいない場合に、ステップS300に処理を進める。ステップS3でNoの時とは、人検知手段8によって人が検知されておらず、かつ残置運転を行っていない場合である。ステップS300は、
図7に示すように、ステップS301からステップS309から構成されている。
【0065】
ステップS301において、制御部32は、室内温度検知手段9が検知した室内温度と室外温度検知手段11が検知した室外温度の差分を算出し、その差分の絶対値と予め制御部32に記憶されている既定値との比較を行う。既定値は、例えば、3~5℃である。制御部32は、室内温度と室外温度の差分の絶対値が既定値より小さい場合(ステップS301でYesの時)は、ステップS309に処理を進める。制御部32は、室内温度と室外温度の差分の絶対値が既定値以上の場合(ステップS301でNoの時)は、ステップS302に処理を進める。
【0066】
ステップS309に処理が進む場合には、室内温度と室外温度の差が小さいため、室外の空気を室内に取り込んで、室内温度と室外温度との温度差を小さくする必要はない、すなわち、制御部32は、温度差による不快感を軽減する必要はないと判断し、排気用送風機2のノッチを停止、すなわち排気用送風機2の運転を停止する。制御部32は、ステップS309の処理の後、ステップS3に処理を戻す。
【0067】
ステップS302において、制御部32は、室内温度検知手段9が検知した室内温度と室外温度検知手段11が検知した室外温度を比較する。制御部32は、室外温度が室内温度より高い場合(ステップS302でYesの時)は、ステップS303に処理を進める。制御部32は、室外温度が室内温度以下の場合(ステップS302でNoの時)は、ステップS306に処理を進める。
【0068】
ステップS303において、制御部32は、室内温度検知手段9が検知した室内温度と低温側の温度しきい値である第二温度しきい値を比較する。制御部32は、室内温度が第二温度しきい値より低い場合(ステップS303でYesの時)は、ステップS304に処理を進める。制御部32は、室内温度が第二温度しきい値以上の場合(ステップS303でNoの時)は、ステップS305に処理を進める。
【0069】
ステップS304において、制御部32は、排気用送風機2を中ノッチから強ノッチに切換えて運転する。このように強ノッチで室内の換気を行うことで、例えば、冬場にリビングなどの室外側が暖房機器により比較的高温状態であり、トイレなどの室内側が低温状態となっている場合に、室外側の高温の空気が室内側に供給されるので、室内の温度を上げることができる。これにより、室内に人がいない間に、室内温度と室外温度との温度差を小さくすることができる。そのため、人が室内に入室した際に感じる室内外の温度差、または室内が低温であることによる不快感を軽減し、快適性の向上に寄与する。制御部32は、ステップS304の処理の後、ステップS3に処理を戻す。
【0070】
ステップS305において、制御部32は、室内温度を上げる必要がないと判断して、排気用送風機2のノッチを停止する。制御部32は、ステップS305の処理の後、ステップS3に処理を戻す。
【0071】
一方、ステップS302において、制御部32は、室外温度が室内温度以下の場合(ステップS302でNoの時)は、ステップS306に処理を進める。
【0072】
ステップS306において、制御部32は、室内温度検知手段9が検知した室内温度と高温側の温度しきい値である第一温度しきい値を比較する。制御部32は、室内温度が第一温度しきい値より高い場合(ステップS306でYesの時)は、ステップS307に処理を進める。制御部32は、室内温度が第一温度しきい値以下の場合(ステップS306でNoの時)は、ステップS308に処理を進める。
【0073】
ステップS307において、制御部32は、排気用送風機2を中ノッチから強ノッチに切換えて運転する。このように強ノッチで室内の換気を行うことで、例えば、夏場にリビングなどの室外側が冷房機器により比較的低温状態である一方、トイレなどの室内側が高温状態となっている場合に、室外側の低温の空気が室内側に供給されるので、室内温度を下げることができる。そのため、室内に人がいない間に、室内温度と室外温度との温度差を小さくすることができる。そのため、人が室内に入室した際に感じる室内外の温度差または室内が高温であることによる不快感を軽減し、快適性の向上に寄与する。制御部32は、ステップS307の処理の後、ステップS3に処理を戻す。
【0074】
ステップS308において、制御部32は、室内温度を下げる必要がないと判断して、排気用送風機2のノッチを停止する。制御部32は、ステップS308の処理の後、ステップS3に処理を戻す。
【0075】
以上でステップS300の処理を終了する。なお、制御部32に記憶される室内温度と室外温度の温度差である既定値は、予め制御部32に記憶させておいてもよく、不図示の設定手段を用いて、人が設定してもよい。
【0076】
以上のように、実施の形態3に係る換気装置31は、室内に人がおらず、かつ残置運転を行っていない場合に、室内温度と室外温度との温度差が小さくなるように、排気用送風機2のノッチを切換えて運転する。そのため、人が室内に入室した際に感じる、室内温度と室外温度との温度差による不快感、あるいは室内が低温または高温であることによる不快感を軽減できる。よって快適性を向上させた換気装置31を得ることができる。
【0077】
また実施の形態3に係る換気装置31は、実施の形態1、2の換気装置1、21と同様に、室内に人がいる場合は、室内の人に対して温度による不快感を与えないように排気用送風機2のノッチを切換え、室内の人が退出したあとは、排気用送風機2を強ノッチで運転して室内の換気を行うので、速やかに臭気の除去を行うことができる。よって、快適性を向上させた換気装置31を得ることができる。
【0078】
なお、実施の形態3に係る換気装置31は、実施の形態2に係る換気装置21に基づいて説明したが、実施の形態1の換気装置1にも適用することができる。また実施の形態3に係る換気装置31は、実施の形態1の換気装置1および実施の形態2の換気装置21で示した効果も得ることができる。
【0079】
また、実施の形態1で示したように、実施の形態2、3においても、排気用送風機2を運転するノッチの数および温度しきい値の数は、特に制限されることは無く、任意に増やすことが可能である。
【0080】
さらに、実施の形態1で示したように、実施の形態2、3においても、残置運転時における残置運転タイマ時間を、室内の人の使用時間に応じて変化させてもよい。また人が室内の使用時間に対する残置運転タイマ時間を設定できるようにしても良い。
【0081】
また、実施の形態1から3では、排気用送風機2のノッチの切換えにより換気風量を変更したものを示したが、排気口4または排気用ダクト5に、例えば、ルーバーまたは可変絞りのような流量調整手段を設けて換気風量を段階的ではなく連続的に変更してもよい。
【0082】
次に、実施の形態1から3に係る換気装置1、21および31が備える制御部7、22および32のハードウェア構成について説明する。
図8は、制御部7、22および32のハードウェア構成例を示す図である。
図8には、プログラムを実行するハードウェアを用いることによって制御部7、22および32の機能が実現される場合におけるハードウェア構成を示している。
【0083】
制御部7、22および32は、各種処理を実行するプロセッサ91と、メインメモリであるメモリ92と、情報を記憶する記憶装置93とを有する。プロセッサ91には、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)といった演算手段を用いることができる。また、メモリ92には、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった不揮発性または揮発性の半導体メモリを用いることができる。記憶装置93には、換気風量決定処理を実行、すなわち適切な運転モード制御指令を実行するためのプログラムが格納されている。プロセッサ91は、記憶装置93に格納されているプログラムをメモリ92に読み出して実行する。プロセッサ91が記憶装置93に格納されているプログラムをメモリ92に読み出して実行することにより、制御部7、22および32の機能が実現される。
【0084】
以上の実施の形態に示した構成は、内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0085】
以下に、本開示に含まれ得る態様の例について、付記として明記する。
(付記1)
室内を換気する換気風量を切換え可能な排気用送風機と、
前記室内に入室した人を検知する人検知手段と、
室内温度を検知する室内温度検知手段と、
前記室内温度の高温側に第一温度しきい値および前記室内温度の低温側に第二温度しきい値が設定され、
前記人検知手段が前記室内に前記人を検知した場合において、
前記室内温度が前記第一温度しきい値以下かつ前記第二温度しきい値以上のときは、第一換気風量に設定して前記排気用送風機を運転し、
前記室内温度が前記第一温度しきい値より高いときは、前記第一換気風量より大きい第二換気風量に設定して前記排気用送風機を運転し、
前記室内温度が前記第二温度しきい値より低いときは、前記第一換気風量より小さい第三換気風量に設定して前記排気用送風機を運転するように制御する制御部と、
を備えた換気装置。
(付記2)
前記制御部は、前記室内から前記人が退出することで、前記検知手段によって前記人が検出されない場合は、前記排気用送風機を前記第二換気風量で運転する残置運転を既定時間行う、
付記1に記載の換気装置。
(付記3)
前記既定時間は、前記人による前記室内の在室時間に応じて変更される、
付記2に記載の換気装置。
(付記4)
前記第二換気風量または前記第三換気風量を選択する選択手段を設け、
前記制御部は、前記残置運転中に、前記人検知手段が前記室内に人を検知した場合は、前記残置運転を終了し、
前記室内温度が第二温度しきい値温度より低い場合において、
前記選択手段で前記第二換気風量が選択されたときは、前記第二換気風量で前記排気用送風機を運転し、
前記選択手段で前記第三換気風量が選択されたときは、前記第三換気風量で前記排気用送風機を運転する、
付記2に記載の換気装置。
(付記5)
室外温度を検知する室外温度検知手段を設け、
前記人検知手段が前記室内に前記人を検知しない場合において、
前記制御部は、前記室内温度と前記室外温度との差分の絶対値を算出し、前記絶対値が予め定められた既定値より小さい場合は、前記排気用送風機の運転を停止し、前記絶対値が前記既定値以上の場合は、前記室外温度と前記室内温度とを比較し、
前記室外温度が前記室内温度より高い場合は、さらに前記室内温度と前記第二温度しきい値とを比較し、前記室内温度が前記第二温度しきい値より低い場合は、前記第二換気風量で前記排気用送風機を運転し、前記室内温度が前記第二温度しきい値以上の場合は、前記排気用送風機の運転を停止し、
前記室外温度が前記室内温度以下の場合は、さらに前記室内温度と前記第一温度しきい値とを比較し、前記室内温度が前記第一温度しきい値より高い場合は、前記第二換気風量で前記排気用送風機を運転し、前記室内温度が前記第一温度しきい値以下の場合は、前記排気用送風機の運転を停止する、
付記1または4に記載の換気装置。
(付記6)
前記制御部は、前記換気風量を切換える複数のノッチを有し、前記第一換気風量、前記第二換気風量および前記第三換気風量による前記排気用送風機の運転は、前記複数のノッチの切換えにより行われる、
付記1から5のいずれか1つに記載の換気装置。
【符号の説明】
【0086】
1 換気装置、2 排気用送風機、3 給気口、4 排気口、5 排気用ダクト、6 排気路、7 制御部、8 人検知手段、9 室内温度検知手段、10 選択手段、11 室外温度検知手段、14 排気口、15 ハウジング、21 換気装置、22 制御部、31 換気装置、32 制御部、91 プロセッサ、92 メモリ、93 記憶装置。