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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156409
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】液体噴霧装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
A61L2/18
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070847
(22)【出願日】2023-04-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】506291313
【氏名又は名称】株式会社エーワン
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】福間 二郎
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA29
4C058BB07
4C058DD03
4C058DD05
4C058DD12
4C058EE26
4C058JJ06
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】 液だれ・液玉が発生しない消毒液噴霧装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 消毒液噴霧部40が手のひらに消毒液を噴射する。制御部60は、電磁弁135を閉じた状態でモータポンプ131を正回転する工程と、モータポンプ131を正回転させた状態で電磁弁135を開く工程と、電磁弁135を開いた状態で、モータポンプ131の回転を停止させる工程と、モータポンプ131の停止後に、電磁弁135を開いた状態でモータポンプ131の逆回転を開始する工程と、当該工程の後に、電磁弁135を閉じる工程と を実行する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクから液体をノズルに吸い上げる圧力を発生するポンプと、
前記液体を噴霧するノズルと、
前記ポンプとノズルの前記液体の流路にある弁と、
制御部と
を有し、
前記制御部は、
前記弁を閉じた状態で前記ポンプのモータを正回転する第1の工程と、
前記第1の工程で前記モータを正回転させた状態で前記弁を開く第2の工程と、
前記第2の工程で前記弁を開いた状態で、前記モータの回転を停止させる第3の工程と、
前記第3の工程で前記モータの停止後に、前記弁を開いた状態で前記モータの逆回転を開始する第4の工程と、
前記第4の工程の後に、前記弁を閉じる第5の工程と
を実行する
液体噴霧装置。
【請求項2】
前記ポンプの正回転を開始する第1のタイミングと、前記弁を閉状態から開状態にする第2のタイミングとの間の加圧時間は、
前記第2のタイミングと、前記ポンプの正回転を停止する第3のタイミングとの間の噴霧時間よりも、短い
請求項1に記載の液体噴霧装置。
【請求項3】
前記第3のタイミングと、前記ポンプの逆回転を介する第4のタイミングとの間の停止期間は、
前記加圧時間及び前記噴霧時間より短い
請求項1に記載の液体噴霧装置。
【請求項4】
前記第4のタイミングと、前記ポンプの逆回転を停止する第5のタイミングとの間の逆回転期間は、前記噴霧時間より短い
請求項1に記載の液体噴霧装置。
【請求項5】
前記ノズルは、吹き出し口から上向きに液体を噴霧し、
前記吹き出し口の下方に、前記ポンプ及び弁が位置している
請求項1に記載の液体噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴霧する消毒液噴霧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防疫や衛生上の観点から、施設・店舗などの建物の入口や入室前には、手の消毒とともに検温を行うことが多い。特許文献1には、手を挿入できる広さを有する収納部に、手を一度挿入する動作により、手を挿入したことを感知するセンサーが手を感知して手に送風して乾燥させるブロワーの作動と、消毒液を噴霧して消毒することをあわせて行えるような手消毒乾燥装置が開示される。
【0003】
また、特許文献2には、箱様筐体が、ユーザの手が消毒のために差し入れられる2つの開口部を持ち、手で接触することなく作動する噴霧ノズルによる消毒液自動噴霧機能を備える自動手洗装置が開示される。この自動手洗装置では、噴霧ノズルからの消毒液の噴射が正しい場所、すなわち、指先、指および手の平部分に正確に向けられ、開口部が卵型で縦長の楕円形であり、手を消毒中に正しい位置に促すよう実質的に均等に成形された凹部を含む構成になっている。
【0004】
特許文献3には、歩行者の手指に消毒液を供給する手指消毒器であって、上面と前面および後面とがそれぞれ開口して延在し、歩行者の手の通過を許容する雨樋状の本体部と、本体部の開口の近傍に設けられ、開口から本体部の消毒空間に侵入した手指を検出するセンサと、センサより歩行者の進行方向の前方側の本体部の側板部の内面に設けられ、センサの検出に応じて消毒液を噴射する噴射ノズルと、消毒液を噴射ノズルから噴射させるポンプと、を備える手指消毒器が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-031011号公報
【特許文献2】特表2012-501686号公報
【特許文献3】特開2020-025771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
建物や部屋に入ろうとする人に対して検温を行う場合、担当者が手持ちの温度測定器によって1人ずつ体温を測定したり、赤外線画像を取り込むことで人の体温を測定したりすることが行われる。また、手の消毒については、手動ポンプ式では手でポンプを作動させて消毒液を噴霧したり、電動ポンプ式では手をノズルの下にかざすことで消毒液を自動的に噴射したりすることが行われる。
【0007】
このような検温と手の消毒との両方を行う作業については、なるべく人員や時間をかけずに円滑に行うことが望まれる。
【0008】
また、1流体のポンプ構造では、ポンプのオン/オフだけで使用すると噴霧開始時・終了時にポンプの最大圧力が伝わらないため、液だれ・液玉が発生する。その部分をポンプと電磁弁を制御することで、噴霧開始時・終了時についても、心地よい微細ミストを提供することが望まれている。
また、手の消毒の分野以外においても、液だれ・液玉が発生しない液体噴射装置が求められている。
【0009】
本発明は、液だれ・液玉が発生しない液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の液体噴霧装置は、タンクから液体をノズルに吸い上げる圧力を発生するポンプと、前記液体を噴霧するノズルと、前記ポンプとノズルの前記液体の流路にある弁と、制御部とを有し、前記制御部は、前記弁を閉じた状態で前記ポンプを正回転する第1の工程と、前記第1の工程で前記モータを正回転させた状態で前記弁を開く第2の工程と、前記第2の工程で前記弁を開いた状態で、前記モータの回転を停止させる第3の工程と、前記第3の工程で前記モータの停止後に、前記弁を開いた状態で前記モータの逆回転を開始する第4の工程と、前記第4の工程の後に、前記弁を閉じる第5の工程とを実行する。
【0011】
好適には、前記ポンプの正回転を開始する第1のタイミングと、前記弁を閉状態から開状態にする第2のタイミングとの間の加圧時間は、前記第2のタイミングと、前記ポンプの正回転を停止する第3のタイミングとの間の噴霧時間よりも、短い。
【0012】
好適には、前記第3のタイミングと、前記ポンプの逆回転を介する第4のタイミングとの間の停止期間は、前記加圧時間及び前記噴霧時間より短い。
【0013】
好適には、前記第4のタイミングと、前記ポンプの逆回転を停止する第5のタイミングとの間の逆回転期間は、前記噴霧時間より短い。
【0014】
好適には、前記ノズルは、吹き出し口から上向きに液体を噴霧し、前記吹き出し口の下方に、前記ポンプ及び弁が位置している。
【0015】
好適には、天井部と当該天井部と対向する底部とを有し、手を挿入するための正面側開口部と当該正面側開口部の反対側で当該正面側開口部と対向して位置する背面側開口部とを備えた手挿入空間を形成する手挿入空間形成部と、前記手挿入空間内に配置された手との間の距離を検出する第1の手検知部と、前記第1の手検知部より前記背面側開口部側の前記手挿入空間内の手の位置を検知する第2の手検知部と、前記手挿入空間内の所定位置に配置された手の検温を行う検温部と、を有し、前記ノズルは、前記所定位置に配置された手の平に前記液体を噴射し、前記制御部は、前記第1の手検知部が手を検知したという第1の条件と、前記第2の手検知部が手検知した後に前記第1の手検知部が手検知したという手の検知順番ではないという第2の条件とを満たしたことを条件に、前記検温部で手の検温を行い、その後、前記液体噴霧部から前記液体を噴射する制御を行う。
【0016】
好適には、前記手挿入空間内の前記天井部と前記底部との間を高さ、前記正面側開口部と前記背面側開口部との間を奥行きとした場合に、前記制御部は、前記第1の手検知部からの検知信号を基に、前記手挿入空間内において、所定の奥行方向及び高さ方向の位置である前記所定位置に配置されたと判定したという第3の条件をさらに満たしたことを条件に、前記検温部で手の検温を行い、その後、前記液体噴霧部から前記液体を噴射する制御を行う。
【0017】
好適には、前記検温部は、前記手挿入空間内と前記正面側開口部側の前記手挿入空間の外側との双方を検温範囲とする。
【0018】
好適には、前記天井部の前記正面側開口部付近に設けられ、前記手挿入空間内と前記正面側開口部側の前記手挿入空間の外側との双方を検温範囲とする第1の前記検温部を有する。
【0019】
好適には、前記検温部は、マトリクス状に配置された複数の温度センサを備え、前記制御部は、前記検温部、前記第2の検温部及び前記第3の検温部の各々の前記複数の温度センサからの検温情報のうち予め決められた温度範囲を示す検温情報を抽出し、当該抽出した検温情報を基に前記手に係る人の体温が正常であるか否かを判断する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、液だれ・液玉が発生しない液体噴射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る消毒液噴霧装置を例示する斜視図である。
図2図2は、図1に示す消毒液噴霧装置を例示する背面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る消毒液噴霧装置の第1の手挿入空間の側面側の構成を説明するための図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る消毒液噴霧装置の検温部、消毒液噴霧部の配置説明するための図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る消毒液噴霧装置の第1の手検知部、第2の手検知部、検温部及び消毒液噴霧部の側面方向から見た位置を説明するための図である。
図6図6は、図5に示す消毒液噴霧部付近の構成を説明するための図である。
図7図7は、消毒液噴霧装置の背面構成で、背面蓋を開けた状態を説明するための図である。
図8図8は、消毒液噴霧部に消毒液を送り出す機構を説明するための図である。
図9図9は、消毒液噴霧部を含む噴射ユニットの機能ブロック図である。
図10図10は、図9に示す電磁弁の開閉と、ポンプのモータの回転との制御タイミングを説明するための図である。
図11図11は、消毒液噴霧装置の機能ブロック図である。
図12図12は、実施形態に係る消毒液噴霧装置の全体動作を例示するフローチャートである。
図13図13は、図12に示すステップS101の動作を説明するための図である。
図14図14は、本発明の第2実施形態に係る燃料噴射装置(液体噴霧装置)を適用したエンジンシステムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
<第1実施形態>
前述したように、1流体のポンプ構造では、ポンプのオン/オフだけで使用すると噴霧開始時・終了時にポンプの最大圧力が伝わらないため、液だれ・液玉が発生する。
本実施形態の消毒液噴霧装置は、その部分をポンプと電磁弁を制御することで、噴霧開始時・終了時についても、心地よい微細ミストを提供する。
【0023】
すなわち、本実施形態の消毒液噴霧装置は、噴霧トリガーオンで、電磁弁を閉じた状態でポンプを始動させ加圧する。
加圧された状態で電磁弁を開放させることで勢いよく噴霧が始まり開始時の液玉をなくす。
噴霧終了時にはポンプを逆回転させることでノズル内部の消毒液を引き戻すことによって噴霧を遮断し、液玉を発生させずに微細ミストを生成する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る消毒液噴霧装置1を例示する斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係る消毒液噴霧装置1を例示する背面図である。
図3は、本発明の実施形態に係る消毒液噴霧装置1の第1の手挿入空間10aの側面側の構成を説明するための図である。
【0025】
図4は、本発明の実施形態に係る消毒液噴霧装置1の手検知部20、第1の手検知部21、検温部31、消毒液噴霧部40の配置を説明するための図である。
図5は、本発明の実施形態に係る消毒液噴霧装置1の第1の手検知部21、第2の手検知部22、検温部31及び消毒液噴霧部40の側面方向から見た位置を説明するための図である。
【0026】
図6は、図5に示す消毒液噴霧部40付近の構成を説明するための図である。
図7は、消毒液噴霧装置1の背面構成で、背面蓋を開けた状態を説明するための図である。
図8は、消毒液噴霧部40に消毒液を送り出す機構を説明するための図である。
図9は、消毒液噴霧部40を含む噴射ユニット109の機能ブロック図である。
図10は、図9に示す電磁弁の開閉と、ポンプのモータの回転との制御タイミングを説明するための図である。
図11は、消毒液噴霧装置1の機能ブロック図である。
【0027】
本実施形態に係る消毒液噴霧装置1は、手挿入空間10a内の所定位置に手を挿入することで検温と消毒とを自動的に行う装置である。
消毒液噴霧装置1は、手Hを位置させる手挿入空間10aを形成する空間形成部10と、手Hを検知する第1の手検知部21及び第2の手検知部22と、手Hの甲の検温を行う検温部31と、手Hの平に消毒液を噴射する消毒液噴霧部40と、第1の発光部51及び第2の発光部52と、各部の動作を制御する制御部60とを備える。
【0028】
空間形成部10は、正面側に手を挿入可能な正面側開口部71を有している。正面側開口部71のサイズは空間形成部10の手挿入空間10aに手Hを挿入しても空間形成部10の内側に接触しない大きさである。正面側開口部71は、大人の手Hは挿入できても、子供の頭は挿入できないサイズや形状になっている。
また、空間形成部10の背面側には、正面側開口部71に対向して背面側開口部72が形成されている。このように、背面側開口部72を設けたことで、ユーザが手Hを正面側開口部71から手挿入空間10a内に入れるときの違和感を視覚的に軽減できる。
【0029】
本実施形態では、空間形成部10は正面側が緩やかに曲線を描く略直方体形状の空間になっている。
手挿入空間10aの底部82は、手Hの挿入方向(奥行き方向)の手前から奥に向けて底部が水平に対して僅かに下がる方向としてもよい。傾斜の角度は、水平に対して約5度以上、45度以下程度、好ましくは約12度である。これにより、空間形成部10の手挿入空間10aに手Hを自然に挿入できるようになる。また、空間形成部10内に噴射された消毒液が手挿入空間10a内に留まらず、傾斜の下方へ流れやすくなる。
【0030】
底部82には、手挿入空間10a内で手を位置させる目印となる手の形をした案内パターン83が形成されている。
【0031】
空間形成部10は、例えば下支柱2の上端に配置される。下支柱2は床に設置可能であって上下方向に延在する。下支柱2の表面側に広告等が表示可能である。
空間形成部10の上には、表面側に広告等が表示可能な上支柱3が設けられている。
【0032】
図3に示すように、手挿入空間10aの中央に対して背面側開口部72側の天井部81に、第1の手検知部21が設けられている。
第1の手検知部21は、手挿入空間10a内に配置された手との間の距離(高さ方向の距離)を検出するために用いられる。
第2の手検知部22は、背面から手が挿入されたか否かを検知するために用いられる。
【0033】
天井部81の第1の手検知部21より背面側開口部72側には第2の手検知部22が設けられている。第2の手検知部22は、手挿入空間10a内で第1の手検知部21より背面側開口部72側にある手を検知する。
【0034】
検温部31は、天井部81の正面側開口部71付近に設けられている。
検温部31は、手挿入空間10a内と正面側開口部71側の手挿入空間10aの外側との双方を検温範囲とする。
検温部31は、手挿入空間10a内の所定位置にある手Hの甲を検温する。
【0035】
検温部31は、案内パターン83の手首付近に対応する部分に対向して天井部81に設けられている。
【0036】
検温部31を、正面側開口部71付近に設けたことで、正面側開口部71から挿入された手Hを適切に検温できると共に、中央付近に設けられた噴射口40aとの距離を確保でき、検温部31に消毒液が吹き付けられることを抑制できる。また、検温部31により手首付近まで検温することができる。
【0037】
検温部31は、マトリクス状に配置された複数の温度センサを備えている。例えば、8×8の合計64個の温度センサをそれぞれ備えている。当該温度センサは、例えば、赤外線センサである。
【0038】
図1及び図4に示すように、手挿入空間10aの底部82には、消毒液噴霧部40の噴射口40aが設けられている。噴射口40aから消毒液が天井部81に向けて所定の角度範囲で噴射される。消毒液は手Hの平の広い範囲に吹き付けられる。
このとき、噴射口40aと手Hの平とが所定距離範囲内にあることで、手Hの平全体に消毒液が吹き付けられる。手Hが噴射口40aに近すぎると吹き付け範囲が狭くなる。本実施形態では、第1の手検知部21からの検知信号を基に、手Hと第1の手検知部21とが所定の距離範囲内にあるときに、手が所定位置にあるとして検温及び消毒液噴霧を行う。
【0039】
空間形成部10は、消毒液噴霧部40から噴射され消毒を行ったあとの余剰の消毒液が手挿入空間10aの外側へ排出される排出構造を有している。
噴射口40aは複数設けてもよい。
【0040】
以下、消毒液噴霧の機構及び機能について説明する。
図6に示すように、消毒液噴霧部40(40a)から消毒液が上方に向けて噴霧される。
図6に示すように、手挿入空間10aの正面側開口部71付近に、当該正面開口部付近71の底部82から上方に向けて所定の高さの領域を塞ぐ手挿入高さ規制部材302が着脱可能に固定されている。
手挿入高さ規制部材302は、透明又は半透明である。
【0041】
手挿入高さ規制部材302は、消毒液噴霧装置1を導入初期に正面側開口部71に装着する。これにより、ユーザが底部82に手の平を接触させてしまうことを回避できる。すなわち、ユーザが底部82から所定の高さの位置に手の平を位置させることを誘導し、消毒液噴霧部40からの消毒液を手の平全体に吹き付けることが可能になる。
また、消毒液噴霧装置1を導入してから一定期間が経過し、ユーザが底部82から手を離した状態で正面側開口部71に挿入することに慣れた後は、手挿入高さ規制部材302を取り外しても、ユーザは底部82から手を離して正面側開口部71に挿入するようになる。手挿入高さ規制部材302を取り外すことで優れた美観を発揮できる。
【0042】
図7に示すように、手挿入空間10aの底部82の下方には、噴霧ユニット109を格納する格納空間111が設けられている。
図8に示すように噴霧ユニット109は、モータポンプ131,ノズルである消毒液噴霧部40、電磁弁135を有する。
【0043】
図9に示すように、モータポンプ131は、タンク141から消毒液を消毒液噴霧部40に向かって吸い上げる圧力を発生する。
電磁弁135は、モータポンプ131と消毒液噴霧部40との間の消毒液の流路上に位置する。
【0044】
(消毒液噴霧装置1の消毒液吹き出し動作)
制御部60は、電磁弁135を閉じた状態でモータポンプ131を正回転する工程と、
モータポンプ131を正回転させた状態で電磁弁135を開く工程と、
電磁弁135を開いた状態で、モータポンプ131の回転を停止させる工程と、
モータポンプ131の停止後に、電磁弁135を開いた状態でモータポンプ131の逆回転を開始する工程と、
当該工程の後に、電磁弁135を閉じる工程と を実行する。
【0045】
上述した制御部60の制御は図9のタイミングチャートで示される。
図9に示すように、制御部60は、電磁弁135を閉じた状態でタイミングt1でモータポンプ131の正回転を開始する。
【0046】
モータポンプ131が加圧時間T1だけ正回転したタイミングt2に電磁弁135を閉状態から開状態に切り換える。加圧時間T1は、例えば、500msである。
これにより、モータポンプ131が発生した圧力によってタンク141から汲み上げられ一定以上の圧力で加圧されていた消毒液が電磁弁135を通って消毒液噴霧部40に流出され、消毒液噴霧部40から勢いよく噴射される。
【0047】
タイミングt2から噴霧時間T2経過したタイミングt3にモータポンプ131の回転を停止する。
モータポンプ131を停止時間T3だけ停止させたタイミングt4で、モータポンプ131を逆回転する。噴霧時間T2は、例えば、650ms又は750msである。また、停止時間T3は、例えば、50msである。
これにより、消毒液噴霧部40付近にある消毒液がタンク141に向けて引き込まれる。
【0048】
逆回転時間T4だけが逆回転させた後のタイミングt5で電磁弁135を開状態から閉状態に切り換える。逆回転時間T4は、例えば、50msである。
【0049】
上述したように、加圧時間T1を、噴霧時間T2より短くしたことで、複数の人の手が順に挿入可能な時間間隔を短くできる。また、噴霧時間T2を十分に確保でき、高い消毒機能を発揮できる。また、加圧時間T1を設けたことで、噴霧開始時にポンプの最大圧力を伝えることができる。
【0050】
停止時間T3を加圧時間T1及び噴霧時間T2より短くしたきことで、加圧から逆回転完了までの総時間を短くできる。また、停止時間T3を設けたことで、噴霧時間T2に噴霧された消毒液が吐き出された後に、手挿入空間10a内に吐き出された後に、不要な消毒液を戻すことができる。
【0051】
逆回転時間T4を噴霧時間T2より短くしたきことで、上記総時間を短くしても、高い消毒機能を発揮できる。
【0052】
上述したように、制御部60により、モータポンプ131及び電磁弁135を制御することで、消毒液の噴霧開始時・終了時にポンプの正逆回転の最大圧力を消毒液噴霧部40に伝えることができ、液だれ・液玉が発生ことを抑制し、噴霧開始時・終了時についても、心地よい微細ミストを提供する。
【0053】
すなわち、本実施形態の消毒液噴霧装置は、噴霧トリガーオンで、電磁弁を閉じた状態でポンプを始動させ加圧する。加圧された状態で電磁弁を開放させることで勢いよく噴霧が始まり開始時の液玉をなくすことができる。
噴霧終了時にはポンプを逆回転させることでノズル内部の消毒液を引き戻すことによって噴霧を遮断し、液玉を発生させずに微細ミストを生成することができる。
【0054】
以下、消毒液噴霧装置1の検温機能について説明する。
図1に示すように、消毒液噴霧装置1の天井部5には、第1の発光部51及び第2の発光部52が設けられている。
第1の発光部51は天井部5の背面側の縁部に設けられ、第2の発光部52は天井部5の正面側の縁部に設けられている。
【0055】
制御部60は、第1の手検知部21が手を検知したという第1の条件と、第2の手検知部22が手を検知した後に一定時間内に第1の手検知部21が手を検知していないという第2の条件と、手Hが手挿入空間10a内で第1の手検知部21と手Hとの距離が所定範囲内である第3の条件との全てを満たしたことを条件に、手Hが所定位置にあると判断する。
制御部60は、手Hが所定位置にあると判断した場合に、検温部31による手の検温を行い、その後、消毒液噴霧部40を制御して噴射口40aから消毒液を手Hの平に噴射する制御を行う。
【0056】
すなわち、制御部60が上記判断をすることで、背面側開口部72から手が挿入された場合には、手Hが所定の位置にはないと判断される。また、手Hと第1の手検知部21との距離が所定範囲内(噴射口40aから噴射された消毒液が手Hの平の全体に噴射される距離範囲)ないにあることを条件に消毒液を噴射するので、手の平全体を適切に消毒できる。
【0057】
制御部60は、検温部31の複数の温度センサからの検温情報を取得し、予め決められた温度範囲を示す検温情報を抽出し、当該抽出した検温情報を基に手に係る人の体温が正常であるか否かを判断する。
【0058】
制御部60は、上記第3の条件を満たした場合と、前記判断を行うために必要な前記検温情報を取得できた場合といずれかの場合に第4の条件を満たしたとして、第1の発光部51を第1の発光状態にする。
また、制御部60は、上記第4の条件を満たさない場合に、第1の発光部51を第2の発光状態にする。
【0059】
制御部60は、手に係る人の体温が予め決められた正常範囲内にある場合に、第2の発光部52を第3の発光状態にする。
制御部60は、手に係る人の体温が予め決められた正常範囲外にある場合に、第2の発光部52を第4の発光状態にする。
【0060】
ここで、本実施形態では手検知部および検温部を別体で設けているが、これらを一体型(1つのセンサによる共用や、1つのセンサモジュールによる共用)にしてもよい。これにより、手検知部と検温部とが一つの構成で済むことになる。
【0061】
空間形成部10内での消毒液噴霧部、検温部、手検出部の位置は適宜変更可能である。
【0062】
上支柱3には、消毒液を収容するタンクと、タンクから消毒液噴霧部40a,40bへ消毒液を供給するポンプとが設けられる。上支柱3の中にタンクおよびポンプが設けられることで、消毒液噴霧装置1の意匠性が高められる。
【0063】
例えば、制御部60は、第1の手検知部21及び第2の手検知部22から取得した検知視を基に手Hが所定位置にあると判断した後、検温部31で手Hの検温を行い、その後、ポンプ70に指示を与えてタンク80から消毒液噴霧部40へ消毒液を供給し、噴射口から消毒液を噴射する制御を行う。制御部60によって、手Hの検温を行った後に消毒液を噴射するようにタイミングを制御することで、消毒液の噴射による検温への影響が抑制される。
【0064】
報知部90は、例えば、「Bluetooth(ブルートゥース)(登録商標)等の無線通信機能を備え、消毒液噴霧装置1から離れた場所にいるスタッフの通信機器に無線による報知信号を送信する。当該通信機器は、スマートウォッチ等のウェアラブル端末やスマートフォン等の端末である。
無線通信機能を搭載した事により、近くで人間が監視をしなくてもスマートウォッチ等のバイブレーション機能で、体温が所定基準を超えた人がいたことを通知できる。これにより消毒液噴霧装置1の周囲で働く方が、モニタなどを見ずに、他の仕事をしながら監視ができる。
【0065】
なお、消毒液噴霧装置1の各種設定については、携帯端末などのアプリケーションソフトウェアによって行うようにしてもよい。例えば、アプリケーションソフトウェアで報知に関する一定条件(温度閾値)や報知の種類(発光色や音の種類など)、電源のON/OFFなどを行い、携帯端末の通信機能を用いて設定を制御部60に送るようにしてもよい。また、制御部60は、携帯端末に検温した値や消毒液の残量などの情報を携帯端末に送信し、アプリケーションソフトウェアで表示するようにしてもよい。アプリケーションソフトウェアに報知部90の機能を持たせてもよい。
【0066】
(消毒液噴霧装置の全体動作)
図12は、実施形態に係る消毒液噴霧装置の全体動作を例示するフローチャートである。
先ず、ステップS101に示すように、手Hが手挿入空間10a内の所定位置にあるか否かの判断を行う。当該ステップS101については、図13を用いて説明する。
【0067】
制御部60は、第1の手検知部21からの検知信号を基に、手を検知したか否かを判定し、検知したという第1の条件を満たしたと判断するとステップS202に進む(ステップS201)。
ステップS202において、制御部60は、第1の手検知部21及び第2の手検知部22からの検知信号を基に、第2の手検知部22が手を検知した後に一定時間内に第1の手検知部21が手を検知していないという第2の条件を満たしたか否かを判断し、満たしたと判断するとステップS203に進む。
【0068】
制御部60は、第1の手検知部21からの検知信号を基に、手Hが手挿入空間10a内で第1の手検知部21と手Hとの距離が所定範囲内である第3の条件を満たしたか否かを判断し、満たしたと判断すると(ステップS203)、手Hが所定位置にあると判断する(ステップS204)。
制御部60は、手Hが所定位置にあると判断した場合に、検温部31による手の検温を行う。
これにより、所定位置まで手Hが挿入されないと手検知部20による手Hの検知は行われない。これにより、不要な検温や消毒を行うことが回避される。
【0069】
手検知部20によって手Hを検知した場合、ステップS102に示すように、手Hの検温を行う。検温は、検温部31によって行われる。
【0070】
次に、ステップS103に示すように、制御部60は、手検温は、検温部31から取得した検温情報を基に、一定条件を満たすか否かの判断を行う。
【0071】
次に、ステップS104へ進む。ステップS104では、消毒液噴霧部40から手Hの平に向けて消毒液を噴射する。制御部60は、消毒液噴霧部40から消毒液を噴射している間、時間を計数する。
制御部60によって、手Hの検温を行った後に消毒液を噴射するようにタイミングを制御することで、消毒液の噴射による検温への影響が抑制される。消毒液の噴射を停止する。
ステップS104の動作は、図10を用いて前述した動作である。て
その後、ステップS105に示すように報知部90から報知(完了)を行う。
【0072】
次に、ステップS106に示すように、処理終了か否かの判断を行い、終了しない場合(ステップS106でNo)、ステップS101へ戻り、以降の処理を繰り返す。一方、終了する場合(ステップS106でYes)、処理を終了する。
【0073】
制御部60は、上述した動作の過程で、図7の条件に従って、第1の発光部51及び第2の発光部52の発光状態を制御する。
これにより、体温が高い人に対する対応を迅速に行うことができる。
第1の発光部51と第2の発光部52と配置を逆にしてもよし、他の位置に設けてもよい。
【0074】
このような消毒液噴霧装置1では、、手挿入空間10aに手Hを位置させることで、第1の手検知部21及び第2の手検知部22により、正面側開口部71から所定位置に手が位置したことを検出した後に、検温及び消毒動作を自動的に行う。当該所定位置は、手挿入空間10a内の奥行及び高さ方向で検温及び消毒液噴霧に予め適した位置に規定されている。そのため、検温を高精度に行えると共に、消毒液を手の平全体に吹き付けることができる。
【0075】
消毒液を噴射する際、手Hが手挿入空間10aに挿入されており、しかも手挿入空間10aが下支柱2及び上支柱3でカバーされるため、消毒液が空間形成部10の外側に漏れる(吹き出す)ことはない。したがって、消毒液が人の顔にかかることはない。
【0076】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態は、本発明の液体噴霧装置を消毒液噴霧装置に適用した場合を例示したが、第2実施形態ではエンジンに適用する場合を例示する。
図14は、本発明の第2実施形態に係る燃料噴射装置(液体噴霧装置)を適用したエンジンシステムの機能ブロック図である。
図14に示すように、モータポンプ231は、燃料タンク241から燃料(ガソリン等)を燃料噴霧部240に向かって吸い上げる圧力を発生する。
電磁弁235は、モータポンプ231と燃料噴霧部240との間の燃料の流路上に位置する。
【0077】
モータポンプ231からの燃料は、燃料噴霧部240からエンジン195内に供給される。
【0078】
モータポンプ231及び電磁弁235の動作は、図9及び図10を用いて第1実施形態で説明したモーターポンプ131及び電磁弁135の動作と同じである。
【0079】
なお、上記に本実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
上述した実施形態の空間形成部10及び手挿入空間10aの形状は特に限定されない。
また、消毒液噴霧部40を複数異なる位置に設けてもよい。また、検温部の数、及び構造も前述したものに特に限定されない。
また、各温度計は、直下上の位置、又は角度を持たせた箇所の検温を行う。
【0080】
上述した実施形態では、底部82の下方の格納空間111に噴霧ユニット109を収納する場合を例示したが、底部82の下方以外の場所に噴霧ユニット109を収納してもよい。
また、空間形成部10内の異なる位置に複数の噴霧ユニット109を設けてもよい。
また、図9に示す電磁弁135の数は複数でもよい。
また、本発明は、清掃用噴射装置に適用してもよい。
【0081】
また、上述した実施形態では、本発明の液体として、消毒液、燃料、洗浄液を例示したが、それ以外の液体を噴霧する場合も本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1…消毒液噴霧装置
2…下支柱
3…上支柱
5…天井部
10…空間形成部
10a…手挿入空間
21…第1の手検知部
22…第2の手検知部
31…検温部
40…消毒液噴霧部
40a…噴射口
51…第1の発光部
52…第2の発光部
60…制御部
71…正面側開口部
72…背面側開口部
81…天井部
82…底部
111…格納空間
121…扉
131…モータポンプ
135…電磁弁
141…タンク
302…手挿入高さ規制部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクから液体をノズルに吸い上げる圧力を発生するポンプと、
前記液体を噴霧するノズルと、
前記ポンプとノズルの前記液体の流路にある弁と、
制御部と
を有し、
前記制御部は、
前記弁を閉じた状態で前記ポンプのモータを正回転する第1の工程と、
前記第1の工程で前記モータを正回転させた状態で前記弁を開く第2の工程と、
前記第2の工程で前記弁を開いた状態で、前記モータの回転を停止させる第3の工程と、
前記第3の工程で前記モータの停止後に、前記弁を開いた状態で前記モータの逆回転を開始する第4の工程と、
前記第4の工程の後に、前記弁を閉じる第5の工程と
を実行する
液体噴霧装置。
【請求項2】
前記ポンプの正回転を開始する第1のタイミングと、前記弁を閉状態から開状態にする第2のタイミングとの間の加圧時間は、
前記第2のタイミングと、前記ポンプの正回転を停止する第3のタイミングとの間の噴霧時間よりも、短い
請求項1に記載の液体噴霧装置。
【請求項3】
前記第3のタイミングと、前記ポンプの逆回転を介する第4のタイミングとの間の停止期間は、
前記加圧時間及び前記噴霧時間より短い
請求項に記載の液体噴霧装置。
【請求項4】
前記第4のタイミングと、前記ポンプの逆回転を停止する第5のタイミングとの間の逆回転期間は、前記噴霧時間より短い
請求項に記載の液体噴霧装置。
【請求項5】
前記ノズルは、吹き出し口から上向きに液体を噴霧し、
前記吹き出し口の下方に、前記ポンプ及び弁が位置している
請求項1に記載の液体噴霧装置。

【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
上述した制御部60の制御は図10のタイミングチャートで示される。
10に示すように、制御部60は、電磁弁135を閉じた状態でタイミングt1でモータポンプ131の正回転を開始する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
停止時間T3を加圧時間T1及び噴霧時間T2より短くしたことで、加圧から逆回転完了までの総時間を短くできる。また、停止時間T3を設けたことで、噴霧時間T2に噴霧された消毒液が手挿入空間10a内に吐き出された後に、不要な消毒液を戻すことができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
逆回転時間T4を噴霧時間T2より短くしたことで、上記総時間を短くしても、高い消毒機能を発揮できる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
上述したように、制御部60により、モータポンプ131及び電磁弁135を制御することで、消毒液の噴霧開始時・終了時にポンプの正逆回転の最大圧力を消毒液噴霧部40に伝えることができ、液だれ・液玉が発生することを抑制し、噴霧開始時・終了時についても、心地よい微細ミストを提供する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正の内容】
図10