(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156416
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】給湯機
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20241029BHJP
F24H 15/14 20220101ALI20241029BHJP
F24H 15/265 20220101ALI20241029BHJP
F24H 15/246 20220101ALI20241029BHJP
F24H 15/281 20220101ALI20241029BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20241029BHJP
F24H 15/45 20220101ALI20241029BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20241029BHJP
F24H 15/335 20220101ALI20241029BHJP
【FI】
F24H15/196 301L
F24H15/196 301X
F24H15/14
F24H15/265
F24H15/246
F24H15/281
F24H15/395
F24H15/45 101
A47K3/00 K
A47K3/00 E
F24H15/335
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070857
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 友香
【テーマコード(参考)】
3L024
【Fターム(参考)】
3L024CC03
3L024CC06
3L024DD03
3L024DD27
3L024DD29
3L024DD35
3L024EE02
3L024FF02
3L024FF11
3L024FF18
3L024GG12
3L024GG42
3L024HH38
(57)【要約】
【課題】人が動いて浴槽内の浴槽水の水位が安定しない場合でも、ふろ循環回路内の洗浄動作を早く開始させることができる給湯機を提供する。
【解決手段】浴槽50内の浴槽水の水位を検出する水位センサ59と、浴室内の人の動きを検出する人感センサ75と、浴槽50内から浴槽水を取り出して浴槽50内に戻すふろ循環回路51と、ふろ循環回路51に浴槽水を循環させるふろ循環ポンプ52と、ふろ循環回路51を洗浄する循環用微細気泡発生装置54及び注水用微細気泡発生装置55と、あらかじめ設定された、洗浄動作を開始させる基準範囲を外れた水位低下が水位センサ59により検出された場合であっても、人感センサ75により人の動きが検出された場合には、循環用微細気泡発生装置54、注水用微細気泡発生装置55及びふろ循環ポンプ52を動作させて洗浄動作を開始させる制御部70と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内の浴槽水の水位を検出する水位検出手段と、
浴室内の人の動きを検出する人体動作検出手段と、
前記浴槽内から前記浴槽水を取り出して前記浴槽内に戻すふろ循環回路と、
前記ふろ循環回路に前記浴槽水を循環させるポンプと、
前記ふろ循環回路を洗浄する洗浄手段と、
あらかじめ設定された、洗浄動作を開始させる基準範囲を外れた水位低下が前記水位検出手段により検出された場合であっても、前記人体動作検出手段により人の動きが検出された場合には、前記洗浄手段及び前記ポンプを動作させて前記洗浄動作を開始させる制御手段と、を備える、給湯機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記浴槽内の前記浴槽水の水位及び湯温を保つためのふろ自動運転の実行中には、前記洗浄動作の開始を禁止する、
請求項1に記載の給湯機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記水位検出手段により検出された水位が、あらかじめ設定された、洗浄開始水位以上の場合には、前記洗浄動作の開始を禁止する、
請求項1に記載の給湯機。
【請求項4】
前記洗浄動作の開始の判定に、前記人体動作検出手段を使用するか否かを使用者に入力させる入力手段を備える、請求項1に記載の給湯機。
【請求項5】
前記制御手段は、前記水位低下が検出された時点よりも、あらかじめ設定された基準時間前から、前記人体動作検出手段により人の動作が連続して検出された場合に、前記洗浄動作の開始させる、請求項1に記載の給湯機。
【請求項6】
前記基準時間を使用者に入力させる入力手段を備える、請求項5に記載の給湯機。
【請求項7】
あらかじめ設定された、前記洗浄動作を開始させる前記基準範囲を外れた水位低下が前記水位検出手段により検出され、前記人体動作検出手段により人の動きが検出された場合に、使用者に前記洗浄動作の開始を報知する報知手段を備える、
請求項1に記載の給湯機。
【請求項8】
あらかじめ設定された、前記洗浄動作を開始させる前記基準範囲を外れた水位低下が前記水位検出手段により検出され、前記人体動作検出手段により人の動きが検出された場合に、前記洗浄動作の開始の可否を使用者に入力させる入力手段を備え、
前記制御手段は、前記入力手段に前記洗浄動作の開始が可の旨の入力があった場合に、前記洗浄動作を開始させる、請求項1に記載の給湯機。
【請求項9】
前記洗浄動作の停止指示を使用者に入力させる入力手段を備え、
前記制御手段は、前記入力手段に前記停止指示が入力された場合に、前記洗浄動作を停止させる、請求項1に記載の給湯機。
【請求項10】
前記基準範囲を使用者に入力させる入力手段を備える、請求項1に記載の給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽に貯留された湯水(以下、「浴槽水」として説明する)の追いだき機能がある給湯機は、貯湯タンク内に貯留された高温水を貯湯タンクの上部から下部に循環させる熱源用循環回路、浴槽水を循環させるふろ循環回路、及び追いだき用熱交換器を備えている。このような給湯機では、浴槽水中の皮脂又は角質等の汚れがふろ循環回路又は追いだき用熱交換器の内面に付着し、熱交換効率の低下又は配管の詰りによる浴槽水の循環不良などを引き起こすことがあるため、入浴後にふろ循環回路内を洗浄する機能を設けている。
【0003】
特許文献1には、入浴人数と湯温に応じて浴槽内に溶出した皮脂量を推定し、浴槽の排水を検知した場合に、配管洗浄運転を実行する給湯システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された給湯システムにおいては、入浴後に人が浴槽内に居ながら、排水をしつつ、浴槽壁面をスポンジ等で掃除したり、シャワーをかけながら浴槽内を掃除するような場合を想定すると、水位低下が遅くなったり、水位低下の検知に変動が生じることがあり、単純に浴槽の排水を検知しただけでは洗浄運転が実施できない。特に、浴槽水を利用して配管の循環洗浄を行う給湯機において、入浴中における浴槽からの出浴で洗浄が動作しないように水位低下に基準を設けて区別している場合、排水検知が遅れてふろ循環回路内の洗浄動作の開始が遅くなり、ふろ循環回路内の洗浄が十分に行われないという問題がある。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、人が動いて浴槽内の浴槽水の水位が安定しない場合でも、ふろ循環回路内の洗浄動作を早く開始させることができる給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の給湯機は、浴槽内の浴槽水の水位を検出する水位検出手段と、浴室内の人の動きを検出する人体動作検出手段と、浴槽内から浴槽水を取り出して浴槽内に戻すふろ循環回路と、ふろ循環回路に浴槽水を循環させるポンプと、ふろ循環回路を洗浄する洗浄手段と、あらかじめ設定された、洗浄動作を開始させる基準範囲を外れた水位低下が水位検出手段により検出された場合であっても、人体動作検出手段により人の動きが検出された場合には、洗浄手段及びポンプを動作させて洗浄動作を開始させる制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の給湯機によれば、人が動いて浴槽内の浴槽水の水位が安定しない場合でも、ふろ循環回路内の洗浄動作を早く開始させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1の貯湯式給湯機の構成を説明する図である。
【
図2】実施の形態1の貯湯式給湯機に用いられるリモコンの構成を説明する図である。
【
図3】実施の形態1の貯湯式給湯機に用いられる制御部の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。なお、以下の説明において、「水」、「湯」、「温水」、「湯水」等の記載は、原則として、液体の水を意味し、冷水から熱湯までもが含まれうるものとする。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の貯湯式給湯機の構成を説明する図である。
図1に示されるように、貯湯式給湯機100は、貯湯タンクユニット1と、ヒートポンプサイクルを利用するように構成されたヒートポンプユニット60とを備えている。貯湯タンクユニット1と、ヒートポンプユニット60とは、ヒートポンプ入口配管41とヒートポンプ出口配管42とによって接続されている。また、貯湯タンクユニット1には、制御部70が内蔵されている。制御部70は、例えば、少なくとも一つのメモリと少なくとも一つのプロセッサとを有するマイクロコンピュータを備えている。制御部70には、貯湯式給湯機100の運転状態を表示するとともに、貯湯式給湯機100の運転動作指令又は設定値などの変更操作をするリモコン71が接続される。貯湯タンクユニット1及びヒートポンプユニット60が備える各種の弁類、ポンプ類等の作動は、これらと電気的に接続された制御部70により制御される。以下、貯湯式給湯機100の各構成要素について説明する。
【0012】
ヒートポンプユニット60は、貯湯タンクユニット1から導かれた低温水を加熱して沸き上げるための加熱手段として機能する。ヒートポンプユニット60は、圧縮機61、沸き上げ用熱交換器62、膨張弁63、空気熱交換器64を冷媒循環配管65にて環状に接続し、冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)を構成している。沸き上げ用熱交換器62は、ヒートポンプサイクルを構成する冷媒循環配管65を流れる冷媒と貯湯タンクユニット1から導かれた低温水との間で熱交換を行うためのものである。
【0013】
また、ヒートポンプ出口側サーミスタ66は、沸き上げ用熱交換器62で加熱した高温水の温度を検知するための温度センサであり、ヒートポンプ出口配管42に設けられている。ヒートポンプユニット60で高温水を得るためには、ヒートポンプサイクルは、冷媒として二酸化炭素を用い、臨界圧を越える圧力で運転することが好ましい。
【0014】
一方、貯湯タンクユニット1には、以下の各種部品、配管などが内蔵されている。貯湯タンク10は、湯水を貯留するためのものである。貯湯タンク10の下部には、市水を供給するための給水配管2が接続されている。貯湯タンク10の上部には、後述する第2のタンク上部配管44から分岐して、貯湯タンク10に貯留された湯水を貯湯式給湯機100の外部へ供給するための給湯配管3が接続されている。給湯配管3は、貯湯タンク10に貯留された湯水を貯湯式給湯機100の外部へ供給しうるように設けられる。なお、貯湯タンク10には、ヒートポンプユニット60を用いて加熱された高温水を貯湯タンク10の上部から流入させるとともに、給水配管2を介して低温水を貯湯タンク10の下部から流入させることにより、貯湯タンク10内の上部と下部で温度差が生じるように湯水が貯留される。また、貯湯タンク10の表面には、貯湯タンク10内の湯水の温度分布を検知するための複数の残湯サーミスタ11、12が、高さを変えて取り付けられている。残湯サーミスタ11、12は、貯留水温度検出部として機能する。制御部70は、残湯サーミスタ11、12により取得された温度分布に基づいて、貯湯タンク10内の残湯量を把握し、ヒートポンプユニット60による貯湯タンク10内の湯水の沸き上げ運転の開始及び停止などを制御する。
【0015】
また、貯湯タンクユニット1には、熱源ポンプ21及び利用側熱交換器22が内蔵されている。熱源ポンプ21は、貯湯タンクユニット1内の後述する各種配管に湯水を循環させるためのポンプである。利用側熱交換器22は、貯湯タンク10又はヒートポンプユニット60から供給される高温水を利用して、2次側の加熱対象水(具体的には、浴槽循環水又は暖房用循環水など)を加熱するための熱交換器である。なお、実施の形態1では、利用側熱交換器22の2次側の構成として、浴槽50内の湯水を循環させるふろ循環回路51を例に挙げて説明する。利用側熱交換器22は、ふろ循環回路51の途中に設置されている。
【0016】
また、ふろ循環回路51は、浴槽50から流出する浴槽水を利用側熱交換器22に流すふろ戻り配管56と、利用側熱交換器22から流出する浴槽水を浴槽50に流すふろ往き配管57とを有している。ふろ循環回路51には、ふろ循環ポンプ52と、浴槽出口側サーミスタ53と、フロースイッチ58と、水位センサ59と、循環用微細気泡発生装置54と、が設けられる。
【0017】
ふろ循環ポンプ52は、ふろ戻り配管56に設けられ、ふろ循環回路51(すなわち、ふろ戻り配管56とふろ往き配管57)に浴槽水を循環させる。
【0018】
浴槽出口側サーミスタ53は、ふろ戻り配管56において、ふろ循環ポンプ52よりも浴槽50の側に設けられ、浴槽50から流出した浴槽水の温度を検出する。
【0019】
フロースイッチ58は、ふろ戻り配管56において、ふろ循環ポンプ52よりも利用側熱交換器22の側に設けられ、ふろ戻り配管56を流れる浴槽水の流量が所定以上となった場合にスイッチONとなることにより浴槽水が流れていることを検出する。
【0020】
水位センサ59は、ふろ戻り配管56において、ふろ循環ポンプ52とフロースイッチ58との間に設けられ、ふろ循環回路51内の圧力を検知することにより浴槽50内の浴槽水の水位(すなわち、水面の高さ)を検出する。水位センサ59は、浴槽50内の浴槽水の水位を検出する水位検出手段として機能する。
【0021】
循環用微細気泡発生装置54は、ふろ戻り配管56において、フロースイッチ58よりも利用側熱交換器22の側に設けられ、浴槽水の循環時に、ふろ戻り配管56内に微細気泡を導入して、ふろ循環回路51内を洗浄する洗浄手段として機能する。
【0022】
注水用微細気泡発生装置55は、貯湯タンク10の上部とふろ循環回路51の途中(具体的には、ふろ戻り配管56における、フロースイッチ58と循環用微細気泡発生装置54との間)とを接続し、途中にふろ給湯用電磁弁34を有する配管に設けられ、浴槽50への注水時に、ふろ戻り配管56内に微細気泡を導入して、ふろ循環回路51内を洗浄する洗浄手段として機能する。
【0023】
循環用微細気泡発生装置54及び注水用微細気泡発生装置55には、微細気泡を発生させるための公知の構造を採用することができる。循環用微細気泡発生装置54及び注水用微細気泡発生装置55は、例えばエジェクタ構造のものであり、空気を取り込むことにより、ふろ循環回路51内を流れる浴槽水中に洗浄効果のある微細気泡を発生させることができる。ふろ循環回路51内に導入された微細気泡は、ふろ循環回路51及び利用側熱交換器22の内面に付着した、皮脂、角質、髪の毛、石鹸かす等の汚れを吸着し、ふろ循環回路51及び利用側熱交換器22の内面からこれらの汚れを脱離させることができる。ふろ循環回路51及び利用側熱交換器22の内面に付着していた汚れは、微細気泡とともに浴槽50内に流れ、浴槽50内の残り湯とともに、浴槽50内から排出される。このようにして、循環用微細気泡発生装置54及び注水用微細気泡発生装置55によりふろ循環回路51内が洗浄される。
【0024】
ふろ循環回路51の自動洗浄運転は、ふろ循環回路51内を循環する浴槽水に、循環用微細気泡発生装置54から微細気泡を導入することにより、ふろ循環回路51を構成する配管を洗浄する循環洗浄運転と、ふろ循環回路51内に供給される水に、注水用微細気泡発生装置55から微細気泡を導入することにより、ふろ循環回路51を構成する配管を洗浄する注水洗浄運転と、を組み合わせて実行される。
【0025】
次に、貯湯タンクユニット1が備える弁類及び配管類について説明する。貯湯タンクユニット1は、第1の三方弁31、第2の三方弁32、四方弁33、ふろ給湯用電磁弁34を有している。第1の三方弁31と第2の三方弁32は、湯水が流入する2つの入口(aポート、bポート)と、湯水が流出する1つの出口(cポート)とを有する流路切替手段であり、aポートとbポートのどちらか一方から湯水が流入するように湯水の経路を切り替え可能に構成されている。四方弁33は、湯水が流入する2つの入口(bポート、cポート)と、湯水が流出する2つの出口(aポート、dポート)とを有する流路切替手段であり、3つの経路、すなわち、a-b経路、b-d経路、c-d経路の間で流路形態を切り替え可能に構成されている。ふろ給湯用電磁弁34は、浴槽50に湯水を供給する際に開状態にされる。
【0026】
また、貯湯タンクユニット1は、タンク下部配管40と、上記したヒートポンプ入口配管41と、上記したヒートポンプ出口配管42と、第1のタンク上部配管43と、第2のタンク上部配管44と、タンク戻し配管45と、利用側熱交換器22の1次側(すなわち、熱源側)入口配管46と、利用側熱交換器22の1次側出口配管47と、バイパス配管48と、上部戻し配管49と、を有している。
【0027】
タンク下部配管40は、貯湯タンク10の第1下部と第2の三方弁32のaポートとを接続する流路である。ヒートポンプ入口配管41は、第2の三方弁32のcポートとヒートポンプユニット60の入口側とを接続する流路であり、ヒートポンプ出口配管42は、ヒートポンプユニット60の出口側と四方弁33のcポートとを接続する流路である。第1のタンク上部配管43は、貯湯タンク10の中央部から上部の間に設けられた取り出し口(第2上部)と第1の三方弁31のaポートとを接続する流路である。第2のタンク上部配管44は、貯湯タンク10の第1上部と第1の三方弁31のbポートとを接続する流路である。タンク戻し配管45は、四方弁33のaポートと貯湯タンク10の中央部から下部の間に設けられた戻し口(第2下部)とを接続する流路である。利用側熱交換器22の1次側入口配管46は、第1の三方弁31のcポートと利用側熱交換器22の1次側入口とを接続する流路である。利用側熱交換器22の1次側出口配管47は、利用側熱交換器22の1次側出口と第2の三方弁32のbポートとを接続する流路である。バイパス配管48は、ヒートポンプ入口配管41における熱源ポンプ21とヒートポンプユニット60の入り口側との間から分岐し、四方弁33のbポートに接続される流路である。上部戻し配管49は、第2のタンク上部配管44における貯湯タンク10の第1上部と第1の三方弁31のbポートとの間から分岐し、四方弁33のdポートに接続される流路である。
【0028】
図2は、実施の形態1の貯湯式給湯機に用いられるリモコンの構成を説明する図である。リモコン71は、情報を表示する表示部72と、情報又は指令の入力に用いられる操作部73と、情報を音声で出力する音声出力部74とを有している。リモコン71は、制御部70と、有線又は無線により接続され、制御部70の入出力装置として機能する。また、リモコン71は、浴室に備え付けられ、浴室内の人体の動作を検出する人感センサ75を有し、有線又は無線によって、各センサの情報を制御部70に伝達する。人感センサ75は、浴室内の人の動きを検出する人体動作検出手段として機能する。
【0029】
制御部70は、水位センサ59、人感センサ75等の検知結果に基づいて、ふろ給湯用電磁弁34、ふろ循環ポンプ52、循環用微細気泡発生装置54、注水用微細気泡発生装置55の動作を制御する。
【0030】
次に、実施の形態1の貯湯式給湯機のふろ循環回路51内の自動洗浄開始動作について、
図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態1の貯湯式給湯機の制御部の動作について説明するフローチャートである。
【0031】
ステップS1において、制御部70は、浴槽50内への湯はりが完了してから、人感センサ75による人の動きの検出を開始し、処理をステップS2に進める。このとき、単位時間(例えば連続で動作していると判断できる2秒)前後で人感センサ75のセンサ値に変化があれば人が動いていると判断して、動作時間をカウントアップし、人感センサ75のセンサ値に大きく変化がなければ人が動いていないと判断して、動作時間をクリアする。
【0032】
ステップS2において、制御部70は、浴槽50内への湯はりの完了後、ふろ自動運転が終了しているかを判定する。ふろ自動運転は、浴槽50内の浴槽水の水位及び湯温を保つための運転である。制御部70は、ふろ自動運転が終了していると判定した場合(すなわち、ステップS2においてYesの場合)には、処理をステップS3に進め、ふろ自動運転が終了していると判定しない場合(すなわち、ステップS2においてNоの場合)には、ステップS2の処理を繰り返す。ふろ自動運転が終了していれば、入浴が終了していると考えられ、ふろ自動運転が終了していなければ、入浴が終了しておらず、入浴が続くと考えられる。
【0033】
ステップS3において、制御部70は、水位センサ59によって検出された浴槽50内の浴槽水の水位を取得して、単位時間当たりの水位低下量を算出して、処理をステップS4に進める。この時、洗浄を開始してよい水位を洗浄開始水位としてあらかじめ定めておき、制御部70は、水位センサ59によって検出された水位が、洗浄開始水位以上の場合には、処理をステップS4に進めずに、洗浄開始水位未満の場合にのみ、処理をステップS4に進めてもよい。これにより、洗浄開始して良いかどうかの判断の精度を上げることができる。なお、洗浄開始水位は、確実に浴槽50内の浴槽水の量が減ったと考えられる水位が望ましく、例えば、湯はり完了時の水位より3cm下がった水位である。
【0034】
ステップS4において、制御部70は、水位低下が有るか否かを判定する。制御部70は、水位低下が有ると判定した場合には、処理をステップS5に進め、水位低下が有ると判定しない場合には、処理をステップS3に戻す。制御部70は、ステップS3において算出した単位時間当たりの水位低下量が、あらかじめ設定された基準値より大きい場合には、水位低下有りと判定する。あるいは、制御部70は、ステップS3において洗浄開始水位未満となった場合に水位低下有りと判定してもよい。
【0035】
ステップS5において、制御部70は、ステップS3において取得した単位時間当たりの水位低下量が、基準範囲内に入っているか否かを確認する。制御部70は、水位低下量が、基準範囲内に入っていると判定した場合(すなわち、ステップS5においてYesの場合)には、排水があったと判断して、処理をステップS6に進める。ステップS6において、制御部70は、自動洗浄を開始させ、処理を終了させる。
【0036】
一方、ステップS5において、制御部70は、水位低下量が、基準範囲内に入っていると判定しない場合(すなわち、ステップS5においてNоの場合)には、処理をステップS7に進める。ここで、基準範囲は、浴槽栓からの少量の水漏れ又は浴槽水のかき出し等による単位時間当たりの水位低下量が少ない場合と、人の出浴等による水位低下量が多い場合とを除いた範囲に設定される。この基準範囲は、リモコン71を用いて、使用者が任意に変更可能にしてもよい。これにより、使用者は、様々な浴槽あるいは排水口の大きさに対応した基準範囲を設定することができる。
【0037】
浴槽水のかき出しあるいは通常の浴槽50からの出浴であれば、この後も入浴が考えられるため洗浄動作を開始すべきでないが、浴槽50内の掃除をしている場合には、この後に入浴をしないと考えられるため、循環洗浄の時間を十分に確保するために洗浄動作を開始するべきである。このため、ステップS5において、制御部70は、水位低下量が、基準範囲内に入っていないと判定した場合には、人が掃除をしているかどうかを判定するため、処理をステップS7に進める。
【0038】
ステップS7において、制御部70は、人感センサ75によって、人の動きの有無を判定する。具体的には、制御部70は、ステップS4において、水位低下有りと判定した時点よりも、あらかじめ設定された基準時間前から、人感センサ75により人の動作が所定時間連続して検出された場合に人の動きの有りと判定する。所定時間は、例えば、人が浴槽50内で掃除を行っていると考えられる10秒である。制御部70は、人感センサ75によって、所定時間連続して人の動きが検出されたと判定した場合には、人が浴槽50内で掃除を行っていると判断して、処理をステップS6に進める。一方、制御部70は、人感センサ75によって、所定時間連続して人の動きが検出されたと判定しない場合には、人が浴槽50内で掃除を行っていないと判断して、再度水位低下を確認するために処理をステップS3に戻す。上記した基準時間と所定時間とは、リモコン71を利用して使用者が任意に設定できるようにしてもよい。これにより、使用者に合わせた使い方ができる。
【0039】
ステップS6において、制御部70は、自動洗浄を開始させ、処理を終了させる。具体的には、制御部70は、循環用微細気泡発生装置54、注水用微細気泡発生装置55、及びふろ循環ポンプ52を動作させて洗浄動作を開始させる。制御部70が、ふろ循環ポンプ52を動作させることにより、浴槽50内の浴槽水が、ふろ循環回路51に流入し、ふろ戻り配管56とふろ往き配管57を流れた浴槽水が、浴槽50内に戻る。このように、浴槽水が、ふろ循環回路51内を循環している状態において、制御部70は、循環用微細気泡発生装置54を動作させて、ふろ循環回路51内を循環する浴槽水に微細気泡を導入することにより、ふろ循環回路51内が洗浄される。また、制御部70は、注水時に、注水用微細気泡発生装置55を動作させて、ふろ循環回路51内を流れる水に微細気泡を導入することにより、ふろ循環回路51内が洗浄される。このようにして、自動洗浄が実施される。
【0040】
以上のように、実施の形態1の貯湯式給湯機100によれば、制御部70は、水位センサ59により、あらかじめ設定された、洗浄動作を開始させる基準範囲を外れた水位低下が検出された場合であっても、人感センサ75により人の動きが検出された場合には、循環用微細気泡発生装置54、注水用微細気泡発生装置55、及びふろ循環ポンプ52を動作させて洗浄動作を開始させるので、人が動いて浴槽50内の浴槽水の水位が安定しない場合でも、ふろ循環回路51内の洗浄動作を早く開始させることができる。
【0041】
また、実施の形態1の貯湯式給湯機100によれば、制御部70は、浴槽50内の浴槽水の水位及び湯温を保つためのふろ自動運転の実行中には、洗浄動作の開始を禁止するので、入浴が終了していない状態で洗浄動作が開始されるのを防ぐことができる。
【0042】
また、実施の形態1の貯湯式給湯機100によれば、制御部70は、水位センサ59により検出された水位が、あらかじめ設定された、洗浄開始水位以上の場合には、洗浄動作の開始を禁止するので、洗浄開始して良いかどうかの判断の精度を上げることができる。
【0043】
また、貯湯式給湯機100は、洗浄動作の開始の判定に、人感センサ75を使用するか否かを使用者に入力させる入力手段を備えてもよい。入力手段は、例えば、リモコン71の操作部73である。使用者によって操作部73に人感センサ75を使用しない旨が入力された場合には、ステップS7において、制御部70は、人の動きが検出されない場合と同様に、処理をステップS3に戻す。これにより、使用者は、人感センサ75の使用の有無を選択することができる。
【0044】
また、実施の形態1の貯湯式給湯機100によれば、制御部70は、水位低下が検出された時点よりも、あらかじめ設定された基準時間前から、人感センサ75により人の動作が連続して検出された場合に、洗浄動作を開始させるので、ふろ循環回路51内の洗浄動作をさらに早く開始させることができる。
【0045】
また、貯湯式給湯機100は、ステップS7の判定に用いられる基準時間を使用者に入力させる入力手段を備えてもよい。入力手段は、例えば、リモコン71の操作部73である。これにより、使用者に合わせた使い方ができる。
【0046】
また、貯湯式給湯機100は、ステップS7において、人感センサ75により人の動きが検出された場合に、使用者に洗浄動作の開始を報知する報知手段を備えてもよい。報知手段は、例えば、リモコン71の表示部72又は音声出力部74である。これにより、使用者に洗浄動作の開始を知らせることができる。
【0047】
また、貯湯式給湯機100は、ステップS7において、人感センサ75により人の動きが検出された場合に、ステップS6の自動洗浄を開始させる前に、洗浄動作の開始の可否を使用者に入力させる入力手段を備えてもよい。入力手段は、例えば、リモコン71の操作部73である。使用者によって操作部73に洗浄動作の開始が可の旨の入力があった場合に、ステップS6において、制御部70は、洗浄動作を開始させる。これにより、使用者に洗浄動作の開始の可否を選択させることができる。
【0048】
また、貯湯式給湯機100は、ステップS6の自動洗浄開始後に、洗浄動作の停止指示を使用者に入力させる入力手段を備えてもよい。入力手段は、例えば、リモコン71の操作部73である。操作部73に洗浄動作の停止指示が入力された場合には、制御部70は、ステップS6で開始した洗浄動作を停止させる。これにより、使用者が、洗浄動作を行うことが適切ではないと判断した場合などにおいて、洗浄動作を停止させることができる。
【0049】
また、貯湯式給湯機100は、ステップS5の判定に用いられる基準範囲を使用者に入力させる入力手段を備えてもよい。入力手段は、例えば、リモコン71の操作部73である。これにより、使用者は、例えば、浴槽50の大きさ又は排水口の大きさに対応した基準範囲を設定することができる。
【0050】
また、上記した実施の形態1では、循環回路51内を洗浄する方法として、循環用微細気泡発生装置54と注水用微細気泡発生装置55を用いる方法を説明したが、洗浄する方法はこれに限られず、微細気泡を発生させる以外の方法を用いて洗浄を行ってもよい。また、注水用微細気泡発生装置55を備えず、循環用微細気泡発生装置54のみによって、循環回路51内を洗浄させてもよい。
【0051】
以下に、本開示に含まれ得る態様の例について、付記として明記する。
(付記1)
浴槽内の浴槽水の水位を検出する水位検出手段と、
浴室内の人の動きを検出する人体動作検出手段と、
前記浴槽内から前記浴槽水を取り出して前記浴槽内に戻すふろ循環回路と、
前記ふろ循環回路に前記浴槽水を循環させるポンプと、
前記ふろ循環回路を洗浄する洗浄手段と、
あらかじめ設定された、洗浄動作を開始させる基準範囲を外れた水位低下が前記水位検出手段により検出された場合であっても、前記人体動作検出手段により人の動きが検出された場合には、前記洗浄手段及び前記ポンプを動作させて前記洗浄動作を開始させる制御手段と、を備える、給湯機。
(付記2)
前記制御手段は、前記浴槽内の前記浴槽水の水位及び湯温を保つためのふろ自動運転の実行中には、前記洗浄動作の開始を禁止する、
付記1に記載の給湯機。
(付記3)
前記制御手段は、前記水位検出手段により検出された水位が、あらかじめ設定された、洗浄開始水位以上の場合には、前記洗浄動作の開始を禁止する、
付記1又は付記2に記載の給湯機。
(付記4)
前記洗浄動作の開始の判定に、前記人体動作検出手段を使用するか否かを使用者に入力させる入力手段を備える、付記1から付記3のいずれか一項に記載の給湯機。
(付記5)
前記制御手段は、前記水位低下が検出された時点よりも、あらかじめ設定された基準時間前から、前記人体動作検出手段により人の動作が連続して検出された場合に、前記洗浄動作の開始させる、付記1から付記4のいずれか一項に記載の給湯機。
(付記6)
前記基準時間を使用者に入力させる入力手段を備える、付記5に記載の給湯機。
(付記7)
あらかじめ設定された、前記洗浄動作を開始させる前記基準範囲を外れた水位低下が前記水位検出手段により検出され、前記人体動作検出手段により人の動きが検出された場合に、使用者に前記洗浄動作の開始を報知する報知手段を備える、
付記1から付記6のいずれか一項に記載の給湯機。
(付記8)
あらかじめ設定された、前記洗浄動作を開始させる前記基準範囲を外れた水位低下が前記水位検出手段により検出され、前記人体動作検出手段により人の動きが検出された場合に、前記洗浄動作の開始の可否を使用者に入力させる入力手段を備え、
前記制御手段は、前記入力手段に前記洗浄動作の開始が可の旨の入力があった場合に、前記洗浄動作を開始させる、付記1から付記7のいずれか一項に記載の給湯機。
(付記9)
前記洗浄動作の停止指示を使用者に入力させる入力手段を備え、
前記制御手段は、前記入力手段に前記停止指示が入力された場合に、前記洗浄動作を停止させる、付記1から付記8のいずれか一項に記載の給湯機。
(付記10)
前記基準範囲を使用者に入力させる入力手段を備える、付記1から付記9のいずれか一項に記載の給湯機。
【符号の説明】
【0052】
1 貯湯タンクユニット、 2 給水配管、 3 給湯配管、 10 貯湯タンク、 21 熱源ポンプ、 22 利用側熱交換器、31 第1の三方弁、 32 第2の三方弁、 33 四方弁、 34 ふろ給湯用電磁弁 40 タンク下部配管、 41 ヒートポンプ入口配管、42 ヒートポンプ出口配管、 43 第1のタンク上部配管、 44 第2のタンク上部配管、 45 タンク戻し配管、 46 1次側入口配管、 47 1次側出口配管、 48 バイパス配管、 49 上部戻し配管(上部戻し流路)、 50 浴槽、 51 ふろ循環回路、 52 ふろ循環ポンプ、 53 浴槽出口側サーミスタ、 54 循環用微細気泡発生装置、55 注水用微細気泡発生装置、 56 ふろ戻り配管、 57 ふろ往き配管、 58 フロースイッチ、 59 水位センサ、 60 ヒートポンプユニット、 61 圧縮機、 62 沸き上げ用熱交換器、 63 膨張弁、 64 空気熱交換器、 66 ヒートポンプ出口側サーミスタ、 70 制御部、 71 リモコン、 72 表示部、 73 操作部、 74 音声出力部、 75 人感センサ、 100 貯湯式給湯機。