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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156421
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ニーブラケット
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/045 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
B60R21/045 332
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070866
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川村 龍亮
(57)【要約】
【課題】屈曲に伴う下方への突出量を小さくできるニーブラケットを提供すること。
【解決手段】ニーブラケット20は、前後方向Xに延びる長板状の底壁21と、上方に向けて底壁21に立設されるとともに前後方向Xに延びる一対の側壁23と、一対の側壁23に沿って前後方向Xに延びるように底壁21に形成された長孔26と、を備える。車室の前後方向Xにおける長孔26の孔径Tは、車室の左右方向Yにおける長孔26の孔径Wよりも長い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内前方のインストルメントパネルの内側に配設される衝撃吸収用のニーブラケットであって、前端がインパネリインフォースに固定されるとともに後端がインストルメントパネルに対向するように前後方向に延びるニーブラケットであって、
前記前後方向に延びる長板状の底壁と、
上方に向けて前記底壁に立設されるとともに前記前後方向に延びる一対の側壁と、
前記一対の側壁に沿って前記前後方向に延びるように前記底壁に形成された長孔と、を備え、
前記車室の前後方向における前記長孔の孔径は、前記車室の左右方向における前記長孔の孔径よりも長いニーブラケット。
【請求項2】
前記長孔は、前記底壁の板厚方向の両面が平坦面となる部位に形成されている請求項1に記載のニーブラケット。
【請求項3】
前記底壁において、前記長孔の後端縁よりも後方には、前記底壁を下方から上方に向けて湾曲させる湾曲部が形成されている請求項1又は請求項2に記載のニーブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニーブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両における車室内の前方にはインストルメントパネルが設置されている。インストルメントパネルの内側には、例えば、特許文献1に開示されるように、前面からの衝撃から乗員を保護するためのニーブラケットが設置されている。
【0003】
特許文献1に開示のニーブラケットの前端は、インパネリインフォースに固定されている。ニーブラケットは、インパネリインフォースから後方に延びるとともに、ニーブラケットの後端は、インパネロアに対し離間している。ニーブラケットは、上側に開口した断面U状である。また、ニーブラケットは、後方部分に上方に向けて湾曲する湾曲部を備えるとともに、ニーブラケットの上下方向の高さは、前端から湾曲部に向けて小さくなっている。
【0004】
衝突時などに乗員の膝がインパネロアに衝突した場合、インパネロアがニーブラケットに衝突する。すると、湾曲部に応力が集中して、ニーブラケットの後方部分が折り畳まれるように屈曲する。このニーブラケットの屈曲により、衝撃がニーブラケットに吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-167043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ニーブラケットが屈曲すると、屈曲部は下方へ突出しやすい。屈曲部の下方への突出を許容するためには、その突出を許容させるための空間をニーブラケットの下方に確保しなければならない。しかし、屈曲部の下方への突出量が大きくなると、確保すべき空間が広くなってしまい好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するためのニーブラケットは、車室内前方のインストルメントパネルの内側に配設される衝撃吸収用のニーブラケットであって、前端がインパネリインフォースに固定されるとともに後端がインストルメントパネルに対向するように前後方向に延びるニーブラケットであって、前記前後方向に延びる長板状の底壁と、上方に向けて前記底壁に立設されるとともに前記前後方向に延びる一対の側壁と、前記一対の側壁に沿って前記前後方向に延びるように前記底壁に形成された長孔と、を備え、前記車室の前後方向における前記長孔の孔径は、前記車室の左右方向における前記長孔の孔径よりも長いことを要旨とする。
【0008】
これによれば、前面からの衝突時などに乗員の膝がインストルメントパネルに衝突した場合、ニーブラケットには、インストルメントパネルを介して、ニーブラケットの後端側から荷重が入力される。一対の側壁が前後方向への荷重に対抗することでニーブラケットは下方に向けて屈曲しようとするが、長孔の形成により、一対の側壁を左右方向へ容易に変形させることができる。このため、ニーブラケットは、下方へ突出するように屈曲しつつも、左右方向へ大きく変形する。例えば、長孔の形成されていない底壁を備えるニーブラケットと比べると、屈曲に伴う下方への突出量を小さくできる。
【0009】
ニーブラケットについて、前記長孔は、前記底壁の板厚方向の両面が平坦面となる部位に形成されていてもよい。
これによれば、例えば、長孔が、底壁の板厚方向の両面が湾曲面となる部位に形成されている場合と比べると、底壁を座屈しにくくできる。これにより、側壁は、左右方向へより変形しやすくなるため、ニーブラケットを左右方向へより一層容易に変形させることができる。
【0010】
ニーブラケットについて、前記底壁において、前記長孔の後端縁よりも後方には、前記底壁を下方から上方に向けて湾曲させる湾曲部が形成されていてもよい。
これによれば、湾曲部を起点としてニーブラケットの後部側を変形させることができる。この変形により、長孔を利用したニーブラケットの変形の前に、ニーブラケットを変形させて衝撃を吸収できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、屈曲に伴う下方への突出量を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、ニーブラケット及びその周辺部材の概略構成を示す図である。
図2図2は、ニーブラケットを示す斜視図である。
図3図3は、ニーブラケットを示す平面図である。
図4図4は、ニーブラケットの変形開始直後の状態を示す図である。
図5図5は、ニーブラケットの変形が進んだ状態を示す図である。
図6図6は、ニーブラケットの変形が進んだ状態を示す斜視図である。
図7図7は、側壁が変形した状態を示す平面図である。
図8図8は、側壁が変形した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、ニーブラケットを具体化した一実施形態を図1図8にしたがって説明する。
<全体構成>
図1に示すように、インストルメントパネル11は、車両における車室R内前方に配置されている。インパネリインフォース12は、インストルメントパネル11の前方に配置されている。また、図2に示すように、インパネリインフォース12は、左右方向Yに延びている。なお、左右方向Yは、車幅方向と一致する。インパネリインフォース12はパイプ状で強度の大きな部材である。ニーブラケット20は、インストルメントパネル11の内側に配設される衝撃吸収用の部材である。ニーブラケット20は、インパネリインフォース12に固定されている。ニーブラケット20は、前端がインパネリインフォース12に固定されるとともに後端がインストルメントパネル11に対向するように前後方向Xに延びている。
【0014】
図1に示すように、グラブボックス13は、インストルメントパネル11の下方に配置されている。グラブボックス13は、上方に開口する収容空間Sを画定する箱状である。グラブボックス13は、収容空間Sをインストルメントパネル11よりも後方にて車室R内に開閉させるために回動可能である。ニーブラケット20は、インストルメントパネル11の下方、かつグラブボックス13の上方に配置されている。
【0015】
<ニーブラケット>
図2及び図3に示すように、ニーブラケット20は、上方に開口する断面U状である。ニーブラケット20は、インパネリインフォース12から後下方に向かって延びている。ニーブラケット20は、底壁21と、一対の側壁23と、長孔26と、を備える。また、ニーブラケット20は、後端壁24と、固定片27とを備えていてもよい。
【0016】
<底壁>
底壁21は、前後方向Xに延びる長板状である。底壁21は、インパネリインフォース12から後下方に向かって延びるとともに、後部25では後上方に向かって延びる長板状である。底壁21の前端縁21aは、インパネリインフォース12側の端縁であるとともに、底壁21の後端縁21bは、前端縁21aと反対側の端縁である。底壁21は、板厚方向に互いに反対面となる第1面21cと第2面21dとを備える。
【0017】
ニーブラケット20は、前後方向Xの途中に第1変化点P1と第2変化点P2とを備える。第1変化点P1及び第2変化点P2は、左右方向Yへのニーブラケット20の寸法の変化点である。前後方向Xにおいて、第1変化点P1は第2変化点P2よりも前方に位置している。左右方向Yへの底壁21の寸法は、前端縁21aから第1変化点P1に至るまで一定である。ニーブラケット20は、前端縁21aから第1変化点P1に至るまでの部位に第1部位R1を備える。第1部位R1は、左右方向Yへの底壁21の寸法が一定の部位である。
【0018】
左右方向Yへの底壁21の寸法は、第1変化点P1から第2変化点P2に至るまで徐々に小さくなる。ニーブラケット20は、第1変化点P1から第2変化点P2に至るまでの部位に第2部位R2を備える。第2部位R2は、左右方向Yへの底壁21の寸法が、後方に向かって徐々に小さくなる部位である。第2部位R2では、底壁21は、左右方向Yの両側から寸法が徐々に小さくなる。
【0019】
左右方向Yへの底壁21の寸法は、第2変化点P2から後端縁21bに至るまで一定である。ニーブラケット20は、第2変化点P2から後端縁21bに至るまでの部位に第3部位R3を備える。
【0020】
底壁21は、第3部位R3に湾曲部22を備える。湾曲部22は、第3部位R3での底壁21において、後端縁21bよりも前端縁21a寄りの位置に設けられている。後下方に向けて延びていた底壁21は、湾曲部22にて後上方に延びる形状となる。
【0021】
底壁21の第1面21c及び第2面21dの各々は、前端縁21aから湾曲部22に至るまで平坦面状である。底壁21の第1面21c及び第2面21dの各々は、湾曲部22では円弧状に湾曲している。底壁21の第1面21c及び第2面21dの各々は、湾曲部22から後端縁21bに至るまで平坦面である。
【0022】
<側壁>
一対の側壁23の各々は、上方に向けて底壁21に立設されるとともに前後方向Xに延びる。後端壁24は、底壁21の後端縁21bに沿って左右方向Yに延びるとともに、一対の側壁23を後端にて連結している。後端壁24は、ニーブラケット20の後端である。ニーブラケット20の後端としての後端壁24は、インストルメントパネル11の下部に対向している。
【0023】
側壁23の上下方向への高さは、一対の側壁23同士で同じである。上下方向への側壁23の高さは、当該側壁23の前端で最も高く、湾曲部22に向けて徐々に低くなっている。そして、側壁23の高さは、湾曲部22で最も低くなっている。また、側壁23の高さは、湾曲部22から後端縁21bに向けて徐々に高くなった後、後端壁24に至るまで一定の高さとなっている。
【0024】
ニーブラケット20は、湾曲部22から後端壁24までの部分に後部25を備える。ニーブラケット20の後部25は、後端壁24においてインストルメントパネル11に対向している。したがって、インストルメントパネル11が前方に向けて移動した場合、インストルメントパネル11とニーブラケット20の後部25が接触する。
【0025】
一対の側壁23は、左右方向Yに対向するように立設されている。一対の側壁23の間隔は、第1部位R1では一定である。一対の側壁23の間隔は、第1変化点P1から第2変化点P2に向かって徐々に狭くなる。一対の側壁23の間隔は、第3部位R3では一定である。
【0026】
前後方向Xへの第3部位R3の寸法は、第1部位R1及び第2部位R2よりも長い。前後方向Xへの第2部位R2の寸法は、第1部位R1及び第3部位R3よりも短い。
ニーブラケット20の上下方向への強度は側壁23の高さ、及び左右方向Yへの底壁21の寸法によって決まる。上下方向への側壁23の高さは上記した通りである。このため、ニーブラケット20の上下方向への強度は、前端縁21aから第1変化点P1に向けて徐々に弱くなっている。また、ニーブラケット20の上下方向への強度は、第1変化点P1から第2変化点P2に向けてさらに弱くなっている。側壁23の高さ、及び左右方向Yへの底壁21の寸法を鑑みると、ニーブラケット20の上下方向への強度は、第1部位R1よりも第2部位R2の方が弱い。また、ニーブラケット20の上下方向への強度は、第3部位R3における湾曲部22において最も弱くなっている。ニーブラケット20の上下方向への強度は、後部25では前後方向Xにほぼ一定であるとともに、湾曲部22よりも大きくなっている。
【0027】
<長孔>
長孔26は、一対の側壁23に沿って前後方向Xに延びるように底壁21に形成されている。長孔26は、底壁21の板厚方向の両面、つまり第1面21c及び第2面21dが平坦面となる部位に形成されている。換言すると、長孔26は、底壁21において、板厚が一定の部位に形成されている。
【0028】
長孔26の長手方向は、前後方向Xに一致する。長孔26の前端縁26a及び後端縁26bの各々は、上方から見て円弧状である。長孔26の前端縁26aは、前後方向Xにおいて、底壁21の前端縁21aと湾曲部22との間での中央よりも前端縁21a寄りに位置している。長孔26の後端縁26bは、前後方向Xにおいて、湾曲部22の直近に位置している。したがって、湾曲部22は、底壁21において、長孔26の後端縁26bよりも後方に形成されている。
【0029】
長孔26は、底壁21における前端縁21aと湾曲部22との間に形成されている。また、長孔26は、一対の側壁23によって左右方向Yの両側から挟まれている。さらに、長孔26は、第1部位R1、第2部位R2、及び第3部位R3に亘って形成されている。長孔26は、側壁23の高さの最も低い部位に対し左右方向Yに並んで形成されている。
【0030】
左右方向Yへの長孔26の寸法である孔径Wは、前後方向Xへの長孔26の寸法である孔径Tよりも短い。言い換えると、車室Rの前後方向Xにおける長孔26の孔径Tは、車室Rの左右方向Yにおける長孔26の孔径Wよりも長い。よって、長孔26は、前後方向Xに長手が延びる長孔形状である。
【0031】
左右方向Yへの底壁21の寸法であって、長孔26と側壁23とで挟まれた部分の寸法は、第2部位R2において、第1変化点P1から第2変化点P2に向けて徐々に小さくなっている。また、左右方向Yへの底壁21の寸法であって、長孔26と側壁23とで挟まれた部分の寸法は、第1部位R1及び第2部位R2では一定である。
【0032】
長孔26において、左右方向Yに沿った、長孔26の中心を通過し、かつ前後方向Xに延びる仮想線を第1仮想線L1とする。長孔26は、第1仮想線L1を中心に線対称である。
【0033】
底壁21において、左右方向Yに沿った、底壁21の中心を通過し、かつ前後方向Xに延びる仮想線を第2仮想線L2とする。長孔26の第1仮想線L1は、底壁21の第2仮想線L2と一致している。ニーブラケット20は、第1仮想線L1及び第2仮想線L2を中心に線対称である。ニーブラケット20では、長孔26に沿って側壁23が延びている。よって、側壁23は、長孔26の形成された箇所を補強している。
【0034】
固定片27は、各側壁23に一体である。固定片27は、側壁23に対し直交するように折り曲げられているとともに、インパネリインフォース12の周面に沿う円弧状に湾曲している。固定片27は、底壁21の前端縁21aよりも前方に位置している。したがって、固定片27は、ニーブラケット20の前端である。固定片27は、インパネリインフォース12の外周面に溶接されている。これにより、ニーブラケット20は、インパネリインフォース12に固定されている。したがって、ニーブラケット20は、固定片27によってインパネリインフォース12に固定されるとともに、後端たる後端壁24がインストルメントパネル11に対向するように前後方向Xに延びている。
【0035】
<ニーブラケットの変形>
前面衝突時、図4に示すように、乗員の膝Hがインストルメントパネル11に衝突すると、インストルメントパネル11は前方へ押される。インストルメントパネル11を介して、ニーブラケット20の後端壁24側から荷重が入力される。
【0036】
すると、ニーブラケット20の湾曲部22の内側に応力が集中する。図5に示すように、ニーブラケット20は、湾曲部22を起点にして、後部25側を折り返して丸まるように変形する。
【0037】
インストルメントパネル11がさらに前方に移動すると、一対の側壁23は、前後方向Xへの荷重に対抗する。長孔26の形成によって、一対の側壁23の対抗力が低下しているため、図6図7、及び図8に示すように、荷重の入力によって、一対の側壁23の各々は、左右方向Yへ変形する。また、荷重の入力により、底壁21も下方へ突出するように屈曲する。その結果、荷重は、一対の側壁23及び底壁21によって支承される。すると、ニーブラケット20は、後端縁21bがニーブラケット20に巻き込まれるように屈曲する。このように、底壁21及び一対の側壁23を変形させることで、衝突によって発生するエネルギが吸収されるため、ニーブラケット20によって衝撃が吸収される。
【0038】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)長孔26の形成されていないニーブラケットと比べると、長孔26により、一対の側壁23を左右方向Yへ容易に変形させることができる。このため、ニーブラケット20は、下方へ屈曲しつつも、左右方向Yへ大きく変形できる。よって、長孔26の形成されていないニーブラケット20と比べると、屈曲に伴う下方へのニーブラケット20の突出量を小さくできる。その結果、ニーブラケット20の下方への屈曲を許容するための空間を小さくできる。したがって、長孔26の形成されていないニーブラケットを用いた場合に比べると、グラブボックス13を上方へ拡大できるため、グラブボックス13の収容空間Sの容量を増やすことができる。
【0039】
(2)長孔26は、底壁21の板厚方向の両面が平坦面となる部位に形成されている。例えば、長孔26が、底壁21の湾曲部22に形成されている場合と比べると、底壁21は座屈しにくい。これにより、側壁23は、底壁21よりも左右方向Yへより変形させやすくなるため、ニーブラケット20を左右方向Yへより一層容易に変形させることができる。
【0040】
(3)ニーブラケット20は、長孔26よりも後端縁21b側に湾曲部22を備える。このため、インストルメントパネル11を介して、ニーブラケット20の後部25側から荷重が入力されたとき、湾曲部22を起点としてニーブラケット20の後部25側を変形させることができる。この変形により、長孔26を利用した変形の前に、ニーブラケット20を変形させてエネルギを吸収できる。
【0041】
(4)第2部位R2では、左右方向Yへの底壁21の寸法が徐々に狭くなっている。このため、第2部位R2において、底壁21は容易に変形しやすい。このような第2部位R2に沿って長孔26が形成されているため、第2部位R2においてニーブラケット20を左右方向Yへ容易に変形させることができる。
【0042】
(5)長孔26の後端縁26bは、湾曲部22の直近に位置している。このため、湾曲部22からニーブラケット20が変形した後に続いて、長孔26を利用して、側壁23を左右方向Yへ容易に変形させることができる。
【0043】
(6)ニーブラケット20は、長孔26を中心にして線対称な形状である。このため、左右方向Yへの長孔26から側壁23までの距離は、長孔26を挟んだ左右方向Yの両側で同じである。よって、ニーブラケット20は、左右方向Yの片側への偏りを抑制して変形させることができる。
【0044】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○湾曲部22は、底壁21において長孔26の形成されている箇所に設けられていてもよい。
【0045】
○底壁21において、長孔26の形成された箇所は、第1面21c及び第2面21d共に平坦面でなくてもよい。
○側壁23は、底壁21の両長側縁よりも左右方向Yの中央寄りの位置から上方に向けて突出していてもよい。
【0046】
○長孔26の前端縁26a及び後端縁26bの各々は円弧状以外の形状でもよい。
○長孔26の左右方向Yへの孔径Wは、前後方向Xに一定でなくてもよい。
○長孔26は、底壁21における第2部位R2となる部位だけに形成されていたり、底壁21における第1部位R1となる部位だけに形成されていたりしてもよい。
【0047】
○ニーブラケット20の固定片27は無くてもよい。この場合、側壁23の前端を直接インパネリインフォース12に接合する。
○左右方向Yへの底壁21の寸法や、側壁23の上下方向への高さ等に応じて、長孔26の孔径Wは適宜変更可能である。
【0048】
○前後方向Xへの第1部位R1の寸法、及び前後方向Xへの第3部位R3の寸法は、適宜変更してもよい。例えば、前後方向Xへの第1部位R1の寸法が、前後方向Xへの第3部位R3の寸法より長くてもよい。又は、前後方向Xへの第1部位R1の寸法と、前後方向Xへの第3部位R3の寸法とは同じでもよい。
【符号の説明】
【0049】
R…車室、X…前後方向、Y…左右方向、11…インストルメントパネル、12…インパネリインフォース、20…ニーブラケット、21…底壁、22…湾曲部、23…側壁、26…長孔、26b…後端縁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8