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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156424
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】縁石保護材
(51)【国際特許分類】
   E01C 9/08 20060101AFI20241029BHJP
   E01C 11/22 20060101ALN20241029BHJP
【FI】
E01C9/08 Z
E01C11/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070869
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】591000506
【氏名又は名称】早川ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今出 陣
(72)【発明者】
【氏名】立花 亘
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AC05
2D051AC09
2D051AG03
2D051AG11
2D051AH02
2D051AH05
2D051DA13
2D051DB06
2D051DB15
2D051DC02
2D051DC09
(57)【要約】
【課題】敷地の高さがL形側溝ブロックの立ち上がり部の上面と同程度の高さであっても固定可能な縁石保護材を提供する。
【解決手段】縁石保護材1は、L形側溝ブロック210の立ち上がり部212の上面212cに沿って敷地300に達するまで延びる上側カバー部2と、上側カバー部2における道路100側の端部から下方へ突出し、立ち上がり部212における道路100側に位置する側面212aを覆う側方カバー部3と、上側カバー部2における敷地300側の部分に設けられ、敷地300に固定具10によって機械固定される機械固定部4とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路側から敷地側へ向かって下降傾斜するように形成された傾斜部と当該傾斜部の敷地側の端部から上方へ突出する立ち上がり部とを有するL形側溝ブロックで構成された縁石を保護する縁石保護材であって、
前記立ち上がり部の上面に沿って敷地に達するまで延びる上側カバー部と、
前記上側カバー部における道路側の端部から下方へ突出し、前記立ち上がり部における道路側に位置する側面を覆う側方カバー部と、
前記上側カバー部における敷地側の部分に設けられ、敷地に固定具によって機械固定される機械固定部とを備えている、縁石保護材。
【請求項2】
請求項1に記載の縁石保護材において、
前記機械固定部は、敷地に差し込まれる前記固定具よって当該敷地に固定される部分である、縁石保護材。
【請求項3】
請求項2に記載の縁石保護材において、
前記機械固定部は、上方に開放する固定溝部と、当該固定溝部の底部を上下方向に貫通するとともに前記固定具が差し込まれる貫通孔とを有しており、
前記固定溝部は、前記固定具が有する頭部を収容可能に形成されている、縁石保護材。
【請求項4】
請求項3に記載の縁石保護材において、
前記固定溝部の深さは、前記固定具が有する頭部の高さ方向の寸法以上に設定されている、縁石保護材。
【請求項5】
請求項3に記載の縁石保護材において、
前記上側カバー部の上面における前記固定溝部よりも敷地内側部分は、当該上側カバー部の端部に近づくほど下に位置するように下降傾斜した傾斜面で構成されている、縁石保護材。
【請求項6】
請求項5に記載の縁石保護材において、
前記傾斜面には、複数の凹部または凸部が互いに間隔をあけて形成されている、縁石保護材。
【請求項7】
請求項1に記載の縁石保護材において、
前記上側カバー部には、平面視で前記立ち上がり部の敷地側の端部と重複する部分に、上方に開放して前記縁石の延長方向に延びるとともに前記上側カバー部の屈曲変形の起点となる屈曲変形用溝部が形成されている、縁石保護材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路の縁石を保護する縁石保護材に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、道路の端には、当該道路に隣接する敷地との境界を画定するための縁石が設けられている。縁石を構成している縁石ブロックには様々な形状のものがあるが、例えばL形側溝ブロックと呼ばれるコンクリート製の部材が知られている。L形側溝ブロックは、隣接する敷地側へ向かって下降傾斜するように形成された傾斜部と、傾斜部の敷地側の端部から上方へ立ち上がる立ち上がり部とを有しており、傾斜部と立ち上がり部とによって雨水等が流通可能な側溝が形成されている。
【0003】
このL形側溝ブロックの立ち上がり部に隣接した敷地で例えば建設工事等が行われる場合がある。この場合、工事車両等が道路からL形側溝ブロック上を通って敷地へ入ったり、敷地からL形側溝ブロック上を通って道路へ出たりすることが頻繁に行われる。この工事車両の通行によりL形側溝ブロックが傷むおそれがあるので、例えば特許文献1に開示されているような縁石マットをL形側溝ブロック上に設置し、L形側溝ブロックを保護することが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-123938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の縁石マットは、L形側溝ブロックで形成される側溝内に配置される主段差解消部と、敷地内に配置される副段差解消部と、主段差解消部から副段差解消部まで延びるとともにL形側溝ブロックの立ち上がり部の上面に配置される上面カバー部とを有する一体構造となっている。このうち、敷地内に配置される副段差解消部は、下へ突出する形状となっており、この副段差解消部と主段差解消部との間にL形側溝ブロックの立ち上がり部をはめ込むことにより、特許文献1の縁石マットをL形側溝ブロックに固定可能にしている。
【0006】
したがって、特許文献1の縁石マットは、敷地の高さがL形側溝ブロックの立ち上がり部の上面の高さよりも低いことが設置の条件となる。しかしながら、現場によっては、敷地の高さがL形側溝ブロックの立ち上がり部の上面と同じ高さの場合があり得る。このような現場では、特許文献1の縁石マットの副段差解消部が正規の設定位置から上がった状態になるので、L形側溝ブロックの立ち上がり部を副段差解消部と主段差解消部との間にはめ込むことができず、車両の通過時等に縁石マットが動きやすくなる。
【0007】
このことを回避するためには、敷地の高さをL形側溝ブロックの立ち上がり部の上面よりも低くする必要があるが、敷地の高さを低くするという作業は簡単な作業ではなく、現地で非常に手間がかかる。また、敷地の高さを低くする際に金属製のスコップ等を使用すると、縁石ブロックをスコップで傷つけてしまう可能性もあるので、敷地の高さを低くする作業はできるだけ行いたくないという事情もある。
【0008】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、敷地の高さがL形側溝ブロックの立ち上がり部の上面と同程度の高さであっても固定可能な縁石保護材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、道路側から敷地側へ向かって下降傾斜するように形成された傾斜部と当該傾斜部の敷地側の端部から上方へ突出する立ち上がり部とを有するL形側溝ブロックで構成された縁石を保護するための縁石保護材を前提とすることができる。
【0010】
前記縁石保護材は、前記L形側溝ブロックの前記立ち上がり部の上面に沿って敷地に達するまで延びる上側カバー部と、前記上側カバー部における道路側の端部から下方へ突出し、前記立ち上がり部における道路側に位置する側面を覆う側方カバー部と、前記上側カバー部における敷地側の部分に設けられ、敷地に固定具によって機械固定される機械固定部とを備えている。
【0011】
この構成によれば、縁石保護材の機械固定部を敷地に対して固定具を用いて機械固定することで、縁石保護材がL形側溝ブロックに対して動かないように設置される。敷地への機械固定であることから、従来例のL形側溝ブロックの立ち上がり部にはめ込んで固定する構造のように、敷地が立ち上がり部の上面よりも低くないと固定できないといった敷地高さに関する制約がなく、敷地の高さが立ち上がり部の上面と同じであっても、また敷地の高さが立ち上がり部の上面より多少低くても縁石保護材の敷地への固定が可能になる。
【0012】
また、縁石保護材の上側カバー部がL形側溝ブロックの立ち上がり部の上面を覆い、また側方カバー部が立ち上がり部の側面を覆うように配置されるので、L形側溝ブロックの保護効果が十分に得られる。
【0013】
前記固定具は、敷地に差し込まれるアンカー部材等であってもよい。この場合、前記機械固定部は、敷地に差し込まれる前記固定具よって当該敷地に固定される部分とすることができる。
【0014】
前記機械固定部は、上方に開放する固定溝部と、当該固定溝部の底部を上下方向に貫通するとともに前記固定具が差し込まれる貫通孔とを有していてもよい。この場合、前記固定溝部は、前記固定具が有する頭部を収容可能に形成することができる。すなわち、アンカー部材等を固定具として用いる場合、その固定具は敷地に差し込む際に打撃される頭部を有する構造となっていることがある。この頭部が固定溝部に収容されることで、車両や作業者の通行時の邪魔にならないようにすることができる。
【0015】
また、前記固定溝部の深さは、前記固定具が有する頭部の高さ方向の寸法以上に設定されていてもよい。これにより、固定具の頭部が上側カバー部の上面から突出しなくなるので、通行時における作業者の安全性を高めることができる。
【0016】
前記上側カバー部の上面における前記固定溝部よりも敷地内側部分は、当該上側カバー部の端部に近づくほど下に位置するように下降傾斜していてもよい。すなわち、固定具の頭部の収容が可能な深さを有する固定溝部を形成するためには、上側カバー部の厚みを固定具の頭部の高さ寸法よりも厚くする必要があり、その分、上側カバー部の上面が敷地の上面から離れて大きな段差ができてしまうおそれがある。これに対し、本態様では、上側カバー部の上面を下降傾斜させることで、上側カバー部の端部と敷地の上面との間に大きな段差が形成されないようにすることができる。
【0017】
前記傾斜面には、複数の凹部または凸部が互いに間隔をあけて形成されていてもよい。凹部または凸部の形成により、傾斜面が滑り難い形状になるので、作業者等が傾斜面上で足を滑らせてしまうのを抑制できる。
【0018】
前記上側カバー部には、平面視で前記立ち上がり部の敷地側の端部と重複する部分に、上方に開放して前記縁石の延長方向に延びるとともに前記上側カバー部の屈曲変形の起点となる屈曲変形用溝部が形成されていてもよい。すなわち、敷地の上面が立ち上がり部の上面よりも低い場合には、屈曲変形用溝部が開く方向に上側カバー部を屈曲変形させることで、上側カバー部を立ち上がり部の上面に接触させながら、敷地の上面にも接触させることができ、上側カバー部を設置状態で安定させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、L形側溝ブロックに隣接する敷地に対して固定具によって機械固定される機械固定部を備えているので、敷地の高さがL形側溝ブロックの立ち上がり部の上面と同程度の高さであっても縁石保護材を固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る縁石保護材の使用状態を示す断面図である。
図2】縁石保護材が設置される前の道路、縁石及び敷地の関係を示す断面図である。
図3】縁石保護材を長さ方向一方から見た側面図である。
図4A】固定具の正面図である。
図4B図4AのY矢視図図である。
図5】敷地が立ち上がり部の上面よりも低い場合に縁石保護材を使用した場合を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る縁石保護材1の使用状態を示す断面図である。この実施形態の説明では、縁石保護材1を説明する前に、図2に基づいて縁石保護材1が設置される前の道路100、縁石200及び敷地300について説明する。道路100は、自動車が通行可能な車道であってもよいし、歩行者が通行可能な歩道であってもよい。道路100は、アスファルト舗装されていてもよいし、コンクリート製であってもよい。敷地300は、例えば各種建築物が建築される土地や造成工事等が行われる土地である。敷地300は整地されていてもよいし、不整地であってもよい。敷地300にはアスファルト舗装やコンクリートの打設等が行われていないので、敷地300の少なくとも表層部分は砂や土等で構成されていて、後述する固定具10の打ち込みが可能になっている。この実施形態では、道路100の上面(路面)よりも敷地300の上面の方が高くなっている。
【0023】
縁石200は、道路100と敷地300との境界を画定するためのものであり、道路100の端に沿って当該道路100の延びる方向に設けられている。縁石200の延長方向は道路100の延びる方向と一致している。縁石200は、道路100の端を規定するためのものであるとも言えるし、敷地300の端を規定するものとも言える。縁石200を設けることで、敷地300から土砂の流出を抑制できる。
【0024】
縁石200は、複数のL形側溝ブロック210で構成されている。L形側溝ブロック210は、道路100の端に沿って当該道路100の延びる方向に設置されている。各L形側溝ブロック210は、道路100側から敷地300側へ向かって下降傾斜するように形成された傾斜部211と、傾斜部211の敷地300側の端部から上方へ突出する立ち上がり部212とを有している。傾斜部211の上面211aと、立ち上がり部212における道路100側に位置する側面212aとにより、縁石200の延長方向に延びる側溝220が形成される。
【0025】
傾斜部211の道路100側の端部が道路100と隣接するように配置される。また、立ち上がり部212の敷地300側の側面212bが敷地300と隣接するように配置される。さらに、図2に示す例では、立ち上がり部212の上面212cは、敷地300の上面と略同じ高さとなっている。尚、立ち上がり部212の上面212cと敷地300の上面とは厳密に同じ高さでなくてもよく、本実施形態に係る縁石保護材1は、例えば数mm程度の高さの差が生じていても適用できる。また、詳細は後述するが、図5に示すように、立ち上がり部212の上面212cと敷地300の上面との高さの差が数cm程度生じていても、本実施形態に係る縁石保護材1を適用できる。
【0026】
L形側溝ブロック210として、例えば、JIS A 5361 2016「プレキャストコンクリート製品」で規定される部材、JIS A 5371 2016「プレキャスト無筋コンクリート製品」で規定される部材等を用いることができる。L形側溝ブロック210は、鉄筋を有していてもよいし、無筋であってもよい。寸法を例示すると、L形側溝ブロック210をJIS規格の無筋コンクリート製品とする場合、立ち上がり部212の上面212cの幅Wは100mmとなり、また、立ち上がり部212の側面212aの高さ寸法H1は100mmとなり、さらに、立ち上がり部212の側面212bの高さ寸法H2は175mmとなる。
【0027】
L形側溝ブロック210をJIS規格の鉄筋コンクリート製品とする場合、立ち上がり部212の上面212cの幅Wは100mm、150mm、180mmのいずれかとなり、また、立ち上がり部212の側面212aの高さ寸法H1は100mmとなり、さらに、立ち上がり部212の側面212bの高さ寸法H2は155mmとなる。
【0028】
すなわち、施工現場では基本的にJIS規格のL形側溝ブロック210が使用されるので、上述した各寸法に対応した複数の大きさの縁石保護材1を予め用意しておき、現場で使用されているL形側溝ブロック210に対応した縁石保護材1を当該現場で使用すればよい。尚、寸法W、寸法H1、寸法H2は、参考として記載しているだけであり、本発明の適用範囲を限定するものではなく、上記寸法以外の寸法のL形側溝ブロック210を保護する場合にも本実施形態に係る縁石保護材1を適用できる。
【0029】
図1に示すように、縁石保護材1はL形側溝ブロック210の主に立ち上がり部212を保護するための部材であり、固定具10によって敷地300に固定されて使用される。具体的には、縁石保護材1は、上側カバー部2と、側方カバー部3と、機械固定部4とを備えており、上側カバー部2、側方カバー部3及び機械固定部4は一体成形されている。縁石保護材1は、例えばゴムやエラストマー、樹脂等で構成されており、弾性変形する材料で構成されているのが好ましい。
【0030】
この実施形態では、縁石保護材1の長さ方向を縁石200の延長方向と定義し、縁石保護材1の幅方向を平面視で縁石200の延長方向と直交する方向と定義するが、この定義は説明の便宜を図るためであり、縁石保護材1の方向を限定するものではない。縁石保護材1の成形方法は特に限定されるものではないが、例えば押出成形法、開閉する金型を用いた型成形法等を挙げることができる。
【0031】
上側カバー部2は、L形側溝ブロック210の立ち上がり部212の上面212cに沿って縁石200の延長方向に延びるとともに、敷地300に達するまで延びる板状をなしている。上側カバー部2における道路100側の端部は、立ち上がり部212の上面212cにおける道路100側の端部から突出するように形成されている。
【0032】
側方カバー部3は、上側カバー部2における道路100側の端部から下方へ突出し、縁石200の延長方向に延びるように形成されている。側方カバー部3が上側カバー部2における道路100側の端部から下方へ突出しているので、側方カバー部3は立ち上がり部212の側面212aを覆うように配置される。側方カバー部3の下端部は、立ち上がり部212の側面212aの上下方向中央部よりも上に位置しており、このため、側方カバー部3は立ち上がり部212の側面212aの上側部分のみ覆うように配置される。尚、側方カバー部3の下端部は、立ち上がり部212の側面212aの上下方向中央部に位置していてもよいし、立ち上がり部212の側面212aの上下方向中央部よりも下に位置していてもよい。このように、側方カバー部3の上下方向の寸法Aは、立ち上がり部212の側面212aの寸法H1以下となるように設定されていればよい。
【0033】
側方カバー部3の内面3aは、立ち上がり部212の側面212aに沿って延びるように形成されている。このため、縁石保護材1を設置した状態で、側方カバー部3の内面3aが立ち上がり部212の側面212aに接触するように配置される。側方カバー部3の内面3aが立ち上がり部212の側面212aに接触することで、側方カバー部3が立ち上がり部212に係止された状態になり、縁石保護材1がL形側溝ブロック210に対して敷地300側へ相対的に移動するのが抑制される。つまり、側方カバー部3は立ち上がり部212に係止する係止部でもある。
【0034】
上側カバー部2の下面2aは、道路100側の端部から敷地300側の端部まで平坦に延びる平坦面で構成されている。この上側カバー部2の下面2aが立ち上がり部212の上面212cに接触するように配置される面である。従って、上側カバー部2の下面2aを例えば接触面と呼ぶこともできる。尚、図示しないが、上側カバー部2の下面2aに凹部や凸部等を形成してもよい。
【0035】
機械固定部4は、上側カバー部2における敷地300側の部分、即ち設置状態で敷地300を覆う部分に設けられており、敷地300に対して敷地300に差し込まれる固定具10(図1に示す)によって機械固定される部分である。機械固定とは、例えば敷地300に打ち込み可能なアンカー部材、釘、爪状の部材等の機械的な要素部品によって固定することであり、その形状や大きさ等は特に限定されるものではない。また、1つの縁石保護材1を1つの固定具10で固定してもよいし、複数の固定具10で固定してもよい。複数の固定具10で固定する場合、複数の固定具10を縁石保護材1の長さ方向に互いに間隔をあけて配置してもよいし、縁石保護材1の幅方向に互いに間隔をあけて配置してもよい。
【0036】
機械固定部4は、固定溝部4aと、固定部具10が差し込まれる貫通孔4bとを有している。固定溝部4aは、上方に開放されるとともに、縁石保護材1の長さ方向に延びている。固定溝部4aの長さ方向両端部は、それぞれ縁石保護材1の長さ方向の両端面で開口している。よって、固定溝部4aは、縁石保護材1を長さ方向に貫通するように形成されている。
【0037】
固定溝部4aの道路100側に位置する内壁面4cと、敷地300側に位置する内壁面4dとは互いに平行である。固定溝部4aの底壁面4eは、上側カバー部2の下面2aと平行である。よって、固定溝部4aの長さ方向に直交する方向の断面形状は略矩形状になる。
【0038】
固定溝部4aは、固定具10が有する頭部10bを収容可能に形成されている。すなわち、図4A及び図4Bに示すように、固定具10は、例えば高強度な金属製の丸棒材で構成されており、上下方向に延びる本体部10aと、本体部10aの上端部に一体に設けられた頭部10bとを有している。本体部10aの下端部には、先鋭部10cが設けられており、この先鋭部10cにより、敷地300に差し込む際に要する力を軽減している。頭部10bは、本体部10aと交差する方向、具体的には水平方向に延びている。
【0039】
固定溝部4aの幅寸法B(図3に示す)は、固定具10の頭部10bの外寸C(図4Bに示す)よりも長く設定されている。固定溝部4aの深さ寸法は、固定具10の頭部10bの高さ方向の寸法D(図4Aに示す)以上に設定されている。これにより、固定具10の頭部10bを固定溝部4aに収容することが可能になる。尚、固定溝部4aの深さ寸法は、固定具10の頭部10bの高さ方向の寸法Dよりも数mm~10mm程度短くてもよい。この場合、固定具10の頭部10bが固定溝部4aから数mm~10mm程度突出することになるが、この程度の突出量であれば、実使用上、特に問題とはならない。寸法Dは、例えば10mm~20mmとすることができる。
【0040】
貫通孔4bは、固定溝部4aの底部を上下方向に貫通している。貫通孔4bの径は、固定具10の本体部10aの径よりも大きく、かつ、頭部10bの長さ方向(図4Aの左右方向)の寸法よりも小さく設定されている。これにより、頭部10bが貫通孔4bから抜けなくなる。また、貫通孔4bの形状は、例えば円形とすることができるが、これに限られるものではなく、矩形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。
【0041】
貫通孔4bの上端は、固定溝部4aの底面4eに開口しており、よって、貫通孔4bと固定溝部4aとが連通することになる。また、貫通孔4bの下端は、上側カバー部2の下面2aに開口している。
【0042】
固定具10は、汎用のアンカー部材等で構成されていてもよい。固定具10の長さや径は任意に設定することができる。固定具10の径に合わせて貫通孔4bの径を設定すればよく、このとき、貫通孔4bの方を若干大きくしておくことで、固定具10を貫通孔4bに容易に差し込むことができる。また、この実施形態では、図4Aに示すように、固定具10の頭部10bの形状を水平方向に長い形状としているが、これに限らず、図示しないが、平面視で本体部10aよりも大径に形成された円形状、多角形状の頭部であってもよく、貫通孔4bから抜けないような大きさ乃至形状の頭部であればよい。
【0043】
上側カバー部2の上面における固定溝部4aよりも敷地300内側部分は、上側カバー部2の敷地300内側の端部に近づくほど下に位置するように下降傾斜した傾斜面2bで構成されている。傾斜面2bには、滑り止め用の複数の凹部2cが互いに間隔をあけて形成されている。複数の凹部2cが互いに離れている方向は、傾斜面2bが傾斜して延びる方向であり、よって複数の凹部2cが傾斜面2b上の高さの異なる部分に形成されることになる。各凹部2cは、縁石保護材1の長さ方向に延びる凹条部で構成されている。各凹部2cの深さは特に限定されるものではなく、例えば作業者が傾斜面2bを踏んだときに滑り止めとして作用する程度の深さであればよい。尚、図示しないが、凹部2cの代わりに、または凹部2cに加えて、傾斜面2bに複数の凸部を形成してもよい。凸部は、突起であってもよいし、突条部であってもよい。
【0044】
上側カバー部2には、当該上側カバー部2の屈曲変形の起点となる屈曲変形用溝部5が形成されている。屈曲変形用溝部5は、平面視で立ち上がり部212の敷地300側の端部と重複する部分に形成されており、上方に開放して縁石200の延長方向に延びている。屈曲変形用溝部5の長さ方向両端部は、固定溝部4aと同様に、それぞれ縁石保護材1の長さ方向の両端面で開口している。よって、屈曲変形用溝部5は、縁石保護材1を長さ方向に貫通するように形成されている。
【0045】
屈曲変形用溝部5と固定溝部4aとは互いに平行である。また、屈曲変形用溝部5の幅は固定溝部4aの幅よりも狭く設定されており、具体的には固定具10が屈曲変形用溝部5には入らないようになっている。また、屈曲変形用溝部5は、上へ行くほど道路100に接近するように側面視で傾斜している。
【0046】
図5は、立ち上がり部212の上面212cと敷地300の上面との高さの差が数cm程度生じている場合に縁石保護材1を使用した状態を示している。敷地300の上面が低くなっている分、立ち上がり部212と敷地300との間に段差ができるが、屈曲変形用溝部5を上側カバー部2に形成しているので、上側カバー部2における屈曲変形用溝部5よりも敷地300側を下へ押圧すると、屈曲変形用溝部5が開く方向に上側カバー部2を屈曲変形させることができる。これにより、上側カバー部2を立ち上がり部212の上面212cに接触させながら、敷地300の上面にも接触させることができるように上側カバー部2が屈曲した状態になる。よって、上側カバー部2を設置状態でぐらつかないように安定させることができる。尚、屈曲変形用溝部5は必要に応じて形成すればよく、省略してもよい。また、屈曲変形用溝部5を複数形成してもよい。
【0047】
(縁石保護材1の設置要領)
次に、上記のように構成された縁石保護材1の設置要領について説明する。図2に示すようなL形側溝ブロック210が道路100と敷地300との境界に設置された後、縁石保護材1をL形側溝ブロック210の上に置く。具体的には、縁石保護材1の上側カバー部2の下面2aがL形側溝ブロック210の立ち上がり部212の上面212cに接触するように、かつ、側方カバー部3が立ち上がり部212の側面212aを覆うように、縁石保護材1を配置する。
【0048】
縁石保護材1を配置した後、固定具10の本体部10aを、機械固定部4の固定溝部4aの上方から当該固定溝部4aを介して貫通孔4bに差し込んだ後、敷地300に差し込んで行く。固定具10を敷地300に差し込む際には、例えばハンマー等の工具によって固定具10の頭部10bを叩けばよい。固定具10の本体部10aが敷地300に差し込まれると、縁石保護材1が敷地300に固定されるので、L形側溝ブロック210に対する相対的な移動が阻止される。固定具10が敷地300に完全に差し込まれると、頭部10bが固定溝部4aに収容される。
【0049】
縁石保護材1と併用して、L形側溝ブロック210の傾斜部211の上面211aを覆うスロープ(図示せず)を設置することができる。スロープを設置することで、道路100との間の段差を解消することが可能になる。スロープも縁石保護材1と同様な材料で構成されている。スロープと縁石保護材1とが別部材で構成されているので、例えばスロープが破損した場合には、縁石保護材1を残してスロープのみ交換すればよい。また、縁石保護材1が破損した場合には、スロープを残して縁石保護材1のみ交換すればよい。つまり、スロープと縁石保護材1とを別部材とすることで、破損した部分のみ交換すればよく、経済的である。
【0050】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、縁石保護材1の機械固定部4を敷地300に対して固定具10を用いて機械固定することができる。縁石保護材1がL形側溝ブロック210に対して動かないように設置されると、縁石保護材1の上側カバー部2がL形側溝ブロック210の立ち上がり部212の上面212cを覆い、また側方カバー部3が立ち上がり部212の側面212aを覆うように配置されるので、L形側溝ブロック210を保護できる。
【0051】
縁石保護材1が敷地300に対して機械固定されているので、従来例のL形側溝ブロック210の立ち上がり部212にはめ込んで固定する構造のように、敷地300が立ち上がり部210の上面212cよりも低くないと固定できないといった敷地高さに関する制約がなく、図1に示すように敷地300の高さが立ち上がり部212の上面212cと同じであっても、また図5に示すように敷地300の高さが立ち上がり部212の上面212cより低くても縁石保護材1の固定が可能になる。
【0052】
また、固定具10の頭部10bが固定溝部4aに収容されるようになっているので、車両や作業者の通行時に頭部10bが邪魔にならないようにすることができる。また、上側カバー部2に傾斜面2bを形成しているので、上側カバー部2の厚みを固定具10の頭部10bの高さ寸法よりも厚くしても、上側カバー部2の端部と敷地300の上面との間に大きな段差が形成されないようにすることができる。
【0053】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明したように、本発明に係る縁石保護材は、道路の縁石を構成しているL形側溝ブロックを保護する場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 縁石保護材
2 上側カバー部
2a 傾斜面
2c 凹部
3 側方カバー部
4 機械固定部
4a 固定溝部
4b 貫通孔
5 屈曲変形用溝部
10 固定具
10b 頭部
100 道路
210 L形側溝ブロック
211 傾斜部
212 立ち上がり部
300 敷地
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5