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特開2024-156426切断システム、切断方法、及び電子部品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156426
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】切断システム、切断方法、及び電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/00 20060101AFI20241029BHJP
   B26D 5/34 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H05K3/00 L
H05K3/00 X
B26D5/34 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070871
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000110859
【氏名又は名称】キヤノンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100148987
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 教弘
【テーマコード(参考)】
3C024
【Fターム(参考)】
3C024FF01
3C024FF04
(57)【要約】
【課題】切断機の精度悪化を抑制することができ、長期にわたって精度良い切断が可能な切断システム、切断方法、及び電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】線状にワークを切断する切断システムである。ワークを切断する前に、ワークの画像や前後工程の測定データなどからワークを切断すべき仮想切断線を設定し、仮想切断線により囲まれた仮想個片を形成する仮想切断線設定手段と、仮想切断線に沿って、ワークを切断して個片を形成する切断機と、夫々の個片の情報を記憶する個片記憶手段と、個片記憶手段にて記憶された個片の情報を、切断する前のワーク位置における仮想個片の情報と対比する対比手段と、対比手段にて対比された個片の情報と、その個片のワーク位置における仮想個片の情報とのずれ量を計測する計測手段とを備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状にワークを切断する切断システムにおいて、
ワークを切断する前に、ワークの画像や前後工程の測定データなどからワークを切断すべき仮想切断線を設定し、仮想切断線により囲まれた仮想個片を形成する仮想切断線設定手段と、
前記仮想切断線に沿って、ワークを切断して個片を形成する切断機と、
夫々の個片の情報を記憶する個片記憶手段と、
前記個片記憶手段にて記憶された個片の情報を、切断する前のワーク位置における仮想個片の情報と対比する対比手段と、
前記対比手段にて対比された個片の情報と、その個片のワーク位置における仮想個片の情報とのずれ量を計測する計測手段とを備えたことを特徴とする切断システム。
【請求項2】
前記計測手段により計測されたずれ量分、切断位置を補正するように切断機の制御を行う補正手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の切断システム。
【請求項3】
前記ずれ量が、設定された許容範囲外である場合に前記補正手段が切断機の補正を行うことを特徴とする請求項2に記載の切断システム。
【請求項4】
前記ワークは、前記個片毎に位置座標測定ポイントとなるパターンマークを有し、前記仮想切断線設定手段は、前記パターンマークに基づいて仮想切断線を設定することを特徴とする請求項1に記載の切断システム。
【請求項5】
前記仮想切断線設定手段は、夫々の個片において、前記パターンマークから前記個片端部までの長さ寸法が同一となるように前記仮想切断線を設定することを特徴とする請求項1に記載の切断システム。
【請求項6】
前記個片の情報は、個片の長さ寸法であることを特徴とする請求項1に記載の切断システム。
【請求項7】
前記個片の情報は、個片の画像であることを特徴とする請求項1に記載の切断システム。
【請求項8】
線状にワークを切断する切断方法において、
ワークを切断する前に、ワークの画像や前後工程の測定データなどからワークを切断すべき仮想切断線を設定し、仮想切断線により囲まれた仮想個片を形成し、
前記仮想切断線に沿って、切断機にてワークを切断して個片を形成し、
夫々の個片の情報を記憶し、
記憶された個片の情報を、切断する前のワーク位置の仮想個片の情報と対比し、
対比された個片の情報と、その個片のワーク位置の仮想個片の情報とのずれ量を計測することを特徴とする切断方法。
【請求項9】
前記ずれ量の許容範囲を設定し、計測したずれ量が許容範囲外である場合に、前記切断機の補正を行うことを特徴とする請求項8に記載の切断方法。
【請求項10】
複数の電子回路基板が繋がった集合基板を切断機にて切断して個片を形成する電子部品の製造方法において、
ワークを切断する前に、ワークの画像からワークを切断すべき仮想切断線を設定し、仮想切断線により囲まれた仮想個片を形成し、
前記仮想切断線に沿って、ワークを切断して個片を形成し、
夫々の個片の情報を記憶し、
記憶された個片の情報を、切断する前のワーク位置の仮想個片の情報と対比し、 対比された個片の情報と、その個片のワーク位置の仮想個片の情報とのずれ量を計測し、
前記ずれ量の許容範囲を設定し、
前記ずれ量が、前記許容範囲内とされた切断機にて集合基板を切断して個片を形成することを特徴とする電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断システム、切断方法、及び電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、複数の電子回路基板101が1枚に繋がった集合基板102を、切断刃によって複数の電子回路基板に分割する基板切断装置がある(特許文献1)。特許文献1に記載の基板の切断方法は、切断前に切断線103を決定し、その切断線103に沿って集合基板102の切断を行うものである。集合基板102には、その端部に沿ってアライメントマーク104を有しており、このアライメントマーク104をカメラで読み取ることで、切断の両端部を決定することができる。そしてアライメントマーク104にて結ばれた線を切断線として、切断位置や切断線の角度を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-267970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように切断線に沿ってワークを切断すると、寸法ズレが生じることがある。その原因として、図7に示すように、ワークの伸縮によるパターンズレや分割露光による電子回路基板の姿勢のズレ等のワークが要因である場合と、切断ブレードの摩耗やメカ的なズレ等の設備が要因である場合とのいずれかが考えられる。しかしながら、切断前に設定した切断線と実際の切断線とのズレの原因が何に起因するものであるか明らかでないため、精度悪化を改善することが困難である。
【0005】
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、切断機の精度悪化を改善することができ、長期にわたって精度良い切断が可能な切断システム、切断方法、及び電子部品の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の切断システムは、線状にワークを切断する切断システムにおいて、ワークを切断する前に、ワークの画像や前後工程の測定データなどからワークを切断すべき仮想切断線を設定し、仮想切断線により囲まれた仮想個片を形成する仮想切断線設定手段と、前記仮想切断線に沿って、ワークを切断して個片を形成する切断機と、夫々の個片の情報を記憶する個片記憶手段と、前記個片記憶手段にて記憶された個片の情報を、切断する前のワーク位置における仮想個片の情報と対比する対比手段と、前記対比手段にて対比された個片の情報と、その個片のワーク位置における仮想個片の情報とのずれ量を計測する計測手段とを備えたものである。
【0007】
本発明の切断システムによれば、ワークに仮想切断線を設定し、実際に切断された切断線が、切断前に設定した仮想切断線とずれている場合に、その原因が切断機側のものであることが特定できる。その場合、切断機を補正すればよく、切断を繰り返す中で生じる経時変化による切断位置の精度悪化を抑制することができる。また、切断機側の経時変化の傾向が分かるため、そのズレ量を切断機にフィードバックすることで、切断品質の向上が望める。
【発明の効果】
【0008】
本発明の切断システム、切断方法、及び電子部品の製造方法は、切断機の精度悪化を抑制することができ、長期にわたって精度良い切断が可能なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の切断システムを示すブロック図である。
図2】本発明の切断システムにより切断される基板の平面図である。
図3】前記図2の基板の画像を示す図である。
図4】前記図2の基板を切断して形成された個片の平面図である。
図5】仮想切断線を設定した基板の画像及び個片の夫々の画像を示す図である。
図6】本発明の切断方法の手順を示すフローチャート図である。
図7】従来の切断方法により、基板に切断線を設定した画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図1図6に基づいて説明する。
【0011】
本発明の切断システムは、切断を繰り返す中で生じる経時変化による切断位置のずれ量を、切断機にフィードバックするものである。切断システムは、図1に示すように、仮想切断線設定手段1と、切断機2と、個片記憶手段3と、対比手段4と、計測手段5と、補正手段6とを備える。切断機2は、コンピュータ50にて制御される。
【0012】
切断機2は、図2に示すようなワークである基板10を線状に切断して個片20(図4参照)を形成するものである。本実施形態における基板10は、複数の電子回路基板11が1枚に繋がった集合基板である。基板10には、その位置を認識するための4つのアライメントマーク13が設けられており、本実施形態における基板10のアライメントマーク13a、13b、13c、13dは、コーナー部に夫々設けられている。また、電子回路基板11にも、夫々2つずつパターンマーク14が設けられており、本実施形態における電子回路基板11のパターンマーク14a、14bは、対角線上に設けられている。パターンマーク14a、14bは、夫々の回路基板11の同じ位置に設けられている。
【0013】
切断機2は、基板10を吸着保持するテーブルと、テーブルに吸着保持された基板10を切断して複数の個片20に分割する切断手段と、基板10の位置を認識する位置認識手段と、基板10を供給する基板供給装置と、基板10を切断して得た個片を回収して搬送する個片搬送装置と、基板供給装置からテーブルへ基板10を搬入すると共にテーブルから個片搬送装置へ個片を搬出する移載手段(いずれも図示省略)とを備える。切断手段は、スピンドルに取り付けられ高速回転可能なブレードを有する。
【0014】
コンピュータ50は、基本的には、入力機能を備えた入力手段51と、出力機能を備えた出力手段52と、記憶機能を備えた記憶手段53と、演算機能を備えた演算手段54と、制御機能を備えた制御手段55にて構成される。入力機能は、外部からの情報を、コンピュータに読み取るためのものであって、読み込まれたデータやプログラムは、コンピュータシステムに適した形式の信号に変換される。出力機能は、演算結果や保存されているデータなどを外部に表示するものである。記憶手段は、プログラムやデータ、処理結果などを記憶して保存するものである。演算機能は、データをプログラムの命令に随って、計算や比較して処理するものである。制御機能は、プログラムの命令を解読し、各手段に指示を出すものであり、この制御機能はコンピュータの全手段の統括をする。
【0015】
入力手段には、キーボード、マウス、タブレット、マイク、ジョイスティック、スキャナ、キャプチャーボード等がある。また、出力手段には、モニタ、スピーカー、プリンタ等がある。記憶手段には、メモリ、ハードディスク、CD・CD-R,PD・MO等がある。演算手段には、CPU等があり、制御手段には、CPUやマザーボード等がある。
【0016】
前記制御手段55は、前記した仮想切断線設定手段1と、個片記憶手段3と、対比手段4と、計測手段5と、補正手段6を備える。
【0017】
仮想切断線設定手段1は、ワークである基板10を切断する前に、ワークを切断すべき仮想切断線を設定するものである。切断を行う前の工程として、ユーザは、予め入力手段51にて切断後の個片のサイズを登録する。また、図示省略の認識装置にて、図3に示すような基板の画像15が取得されている。これらの情報が記憶手段53に記憶されている。これらの情報に基づいて、仮想切断線設定手段1は、画像上、夫々の電子回路基板16において、例えばパターンマーク17a、17bから切断端部までの長さ寸法(X1、X2、Y1、Y2)がそれぞれ同一となるように、仮想切断線18を設定する。これにより、電子回路基板16の数だけ仮想切断線18にて囲まれた仮想個片19が形成される。そして、記憶手段53は、基板10を切断する前に、図3に示すような基板及び仮想切断線18(仮想個片19)の画像、仮想個片19の情報(寸法情報)を記憶する。
【0018】
仮想切断線18が設定されると、切断機2は基板10の切断を行う。これにより、図4に示すように、電子回路基板11の個数分の個片20a、20b、20c、20d・・・が形成される。個片記憶手段3は、夫々の個片20a、20b、20c、20d・・・の情報を記憶するものであり、本実施形態における個片の情報とは、個片の寸法及び画像21a、21b、21c、21d・・・(図5参照)である。この場合、個片記憶手段3は、記憶した個片の情報が、基板において、どの位置に相当するものであるのか(例えば、個片20aは図3における基板のAの位置、個片20bは図3における基板のBの位置、・・・)、位置情報とともに記憶する。
【0019】
対比手段4は、個片記憶手段3にて記憶された個片20a、20b、20c、20d・・・の情報(寸法及び画像)を、切断する前の基板位置の仮想個片19の情報と対比するものである。例えば、図5に示すように、個片20aの寸法を、仮想個片19aの寸法と対比するとともに、個片20aの画像21aを、仮想個片19aと重ね合わせて対比する。同様に、個片20bについても、寸法を仮想個片19bの寸法と対比するとともに、個片20bの画像21bを、仮想個片19bと重ね合わせて対比する。このようにして全ての個片20について、その寸法及び画像を、仮想個片19の寸法及び画像と対比する。
【0020】
計測手段5は、対比手段4にて対比された個片の情報と、その個片の基板位置における仮想個片19の情報とのずれ量を計測するものである。すなわち、計測手段5は、個片20aの寸法と、仮想個片19aの寸法のずれ量を計測するとともに、画像において、個片の端部が仮想個片19aの端部とどの程度ずれているか画像比較することによりずれ量を計測する。これを、個片20b、20c、20d・・・と行えば、実際の切断線と、仮想切断線18とがどの程度ずれているかがわかる。
【0021】
補正手段6は、計測手段5により計測されたずれ量分、切断位置を補正するように切断機2の制御を行うものである。すなわち、ずれ量が許容範囲外であり、ずれ量が許容されない(つまり、そのまま継続して切断できない)ほど大きい場合、切断機2に問題があるとして、切断機2を補正(メンテナンス)する必要がある。切断機2の制御の補正は、例えば、仮想切断線18からずれた寸法だけオフセットして切断手段の切断位置を制御したり、また、ユーザによる補正方法としては、ブレードを交換する等がある。さらにメンテナンスのタイミングとメンテナンス方法として次のような場合がある。例えば、経時変化による装置部品取り付け位置悪化(温度による反り・取付のゆるみによる位置の変化)による精度悪化として、切断ブレード回転モータの発熱によるシャフトの歪み、アライメントカメラ取付ブラケットの緩み、ブレード交換後のブレード取付ミスによるブレードの蛇行、ブレード交換時のドレス不足によるブレード偏心などがある。また、基板反り・収縮がある場合は、基板吸着の調整や前工程の確認をしたり、露光パターンズレがある場合は、前工程を確認する。さらには、ブレードの摩耗(切断溝が細くなる)がある場合は、ブレードを交換する。
【0022】
前記のような切断システムを用いて、図2に示すような複数の電子回路基板11が1枚に繋がった基板10の切断方法を、図5のフローチャートを用いて説明する。切断を行う前の工程として、ユーザは、予め入力手段51にて切断後の個片のサイズを登録する。また、アライメントマーク13a、13、b、13c、13dに基づいて基板10が位置決めされると、図示省略の認識装置にて基板の画像15(図3参照)が取得され、これらの情報が記憶手段53に記憶される。仮想切断線設定手段1は、仮想切断線18を設定する(ステップS1)。これにより、電子回路基板11の数だけ仮想切断線18にて囲まれた仮想個片19が形成される。記憶手段53は、基板及び仮想切断線18(仮想個片19)が設定された画像15と、夫々の仮想個片19の情報(寸法情報)を記憶する。
【0023】
基板10は切断機2に搬送され、切断機2は仮想切断線18に沿って基板10を切断するように位置制御される。又は切断機2のステージ上で基板10を切断前に計測する。これにより、図4に示すように、電子回路基板11の数だけ複数の個片20a、20b、20c、20d・・・が形成される(ステップS2)。
【0024】
個片記憶手段3は、夫々の個片20a、20b、20c、20d・・・の情報を記憶する(ステップS3)。すなわち、個片記憶手段3は、個片ごとに個片の画像21a、21b、21c、21d・・・(図5参照)を記憶するとともに、夫々の個片寸法を記憶する。この場合、記憶した個片20a、20b、20c、20d・・・の情報は、基板10における位置情報とともに記憶される。
【0025】
対比手段4は、個片記憶手段3にて記憶された個片20a、20b、20c、20d・・・の情報(寸法及び画像)を、切断する前の基板位置における仮想個片19の情報(寸法及び画像)と対比する(ステップS4)。
【0026】
計測手段5は、対比手段4にて対比された個片20a、20b、20c、20d・・・の情報と、その個片の基板位置における仮想個片19の情報とのずれ量を計測する(ステップS5)。すなわち、計測手段5は、夫々の個片20について、寸法と、仮想個片19の寸法のずれ量を計測するとともに、画像において、個片の端部が仮想個片19の端部とどの程度ずれているか画像比較することによりずれ量を計測する。
【0027】
ユーザは、前記ずれ量が、許容範囲内(つまり、そのまま継続して切断できる範囲内)であるか否かを検討する(ステップS6)。この場合、ユーザにより、ずれ量の許容範囲が予め設定されるとともに、そのずれ量が設定した許容範囲内であるか否かを自動的に判定する判定手段を備えていてもよい。許容範囲内であれば、そのまま切断を計測し、許容範囲外であり、ずれ量が許容されない(つまり、そのまま継続して切断できない)ほど大きい場合、補正手段6は、仮想切断線18からずれた寸法だけオフセットして切断手段の切断位置を制御する(ステップS7)。また、切断手段(例えばブレード)を交換する等、ユーザによりメカ的なメンテナンスを行ってもよい。
【0028】
本発明の切断システム及び切断方法は、基板10に仮想切断線18を設定し、実際に切断された切断線が、切断前に設定した仮想切断線18とずれている場合に、その原因が切断機側のものであることが特定できる。その場合、切断機2を補正すればよく、切断を繰り返す中で生じる経時変化による切断位置の精度悪化を抑制することができ、長期にわたって精度良い切断が可能なものとなる。また、切断機側の経時変化の傾向が分かるため、そのズレ量を切断機にフィードバックすることで、切断品質の向上が望める。
【0029】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、個片の情報として、実施形態では個片の画像及び個片寸法としたが、個片寸法のみとしてもよい。すなわち、画像比較を行わずに、長さの計測のみで切断のずれを計測するものであってもよい。また、個片の情報は、個片の画像のみとして、長さ寸法の比較を行わずに画像比較のみで切断のずれを計測するものであってもよい。本発明における「個片寸法」とは、個片の辺の長さであってもよいし、対角線の長さ、任意の位置における長さ等とすることができ、個片のいずれの位置の長さ寸法であってもよい。
【0030】
アライメントマークやパターンマークは図示された位置、個数、形状に限られず、ワークや個片の位置を認識できるものであれば、どのようなものであってもよい。ワークは、種々の電子部品、電子部品以外のものに適用可能であり、その形状も図示されたものに限られない。個片の数も任意の数とすることができる。
【0031】
対比手段は、全ての個片において仮想個片と対比を行ってもよいし、任意の個片を選択して、選択された個片のみ対比を行ってもよい。補正手段は省略してもよく、ユーザが切断線の座標設定を行ったり、スピンドルの交換等、機械的なメンテナンスを行ったりすることによってずれを補正してもよい。
【0032】
実施形態では、夫々の個片において、前記パターンマークから前記個片端部までの長さ寸法が同一となるように前記仮想切断線を設定したが、必ずしも同一である必要はない。仮想切断線の設定方法として、例えば、夫々の個片における前記パターンマークから個片端部までの長さ寸法を比較したときに差が最小となるように、最小二乗法の近似曲線(近似直線)を引いて切断ラインを求める等してもよい。このように、基板のバラツキに対し最も最適な切断方法(位置寸法・外形寸法)を採用することができる。
【0033】
1 仮想切断線設定手段
2 切断機
3 個片記憶手段
4 対比手段
5 計測手段
6 補正手段
10 基板
18 仮想切断線
19 仮想個片
20 個片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7