(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156428
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】検査治具および試験装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20241029BHJP
G01R 1/067 20060101ALI20241029BHJP
G01R 1/06 20060101ALI20241029BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20241029BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R1/067 C
G01R1/06 D
G01R1/073 D
G01R31/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070879
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅井 俊太
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
2G132
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AG03
2G003AG10
2G003AG12
2G003AG16
2G011AA15
2G011AA21
2G011AB01
2G011AB04
2G011AB08
2G011AC02
2G011AC14
2G011AE02
2G011AF04
2G132AB01
2G132AB03
2G132AE04
2G132AF02
2G132AF06
2G132AL03
(57)【要約】
【課題】プローブと半導体装置との間における接触不良の発生を抑制可能な検査治具および試験装置を提供する。
【解決手段】検査治具100は、半導体装置40の検査に用いられる検査治具であって、プローブ10と、保持部品20と、案内部品33とを有している。半導体装置40は、電極41を有している。プローブ10は、先端部12と、弾性変形部11とを有している。弾性変形部11は、先端部12に作用する荷重により弾性曲げ変形する。保持部品20は、プローブ10を保持している。案内部品33は、プローブ10が電極41を押圧する際に電極41から先端部12に加わる反力を利用して、電極41から離れる方向に沿って保持部品20を移動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を有する半導体装置の検査に用いられる検査治具であって、
先端部と、前記先端部に作用する荷重により弾性曲げ変形する弾性変形部と、を有するプローブと、
前記プローブを保持している保持部品と、
前記プローブが前記電極を押圧する際に前記電極から前記先端部に加わる反力を利用して、前記電極から離れる方向に沿って前記保持部品を移動させる案内部品と、を備える、検査治具。
【請求項2】
弾性体と、
係合部が設けられている位置決め部品と、
前記案内部品、前記位置決め部品および前記弾性体の各々を支持している筐体と、を備え、
前記保持部品において、前記係合部に対応する被係合部が設けられており、
前記弾性体は、前記係合部と前記被係合部とが係合するように、前記保持部品を前記位置決め部品に押し付ける、請求項1に記載の検査治具。
【請求項3】
前記電極は、前記先端部と接触する接触面を有し、
前記プローブが前記電極に押し付けられる方向を押し付け方向とした場合、
前記接触面は、前記押し付け方向に垂直な方向に沿って延びており、
前記案内部品が前記保持部品を移動させる方向は、前記接触面に対して前記押し付け方向と反対の方向に傾斜している、請求項1または請求項2に記載の検査治具。
【請求項4】
前記電極は、前記先端部と接触する接触面を有し、
前記接触面は、前記案内部品が前記保持部品を移動させる方向と反対の方向に向かうにつれて前記接触面の高さが高くなるように傾斜している、請求項1または請求項2に記載の検査治具。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の検査治具と、
前記検査治具を介して前記半導体装置に電気を印加する試験回路と、を備える、試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査治具および試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、半導体装置の欠陥および異物などに起因して生じる不良を出荷前に検出するため、半導体装置の電気的特性の検査およびバーンイン試験が実施される。
【0003】
半導体装置の電気的特性の検査において、導電性を有するプローブが半導体装置の電極に接触する。プローブを介して端子に電気が印加されることによって、適正な電圧または適正な電流が半導体装置に印加されるか否かが確認される。バーンイン試験においては、予め決められた時間の間、端子に電圧または電流を印加し続けることによって、半導体装置の性能の劣化または半導体装置の破壊が生じるか否かが確認される。
【0004】
プローブの一例として、特開2014-074674号公報(特許文献1)には、本体部と、コンタクト部とを備えているプローブが記載されている。コンタクト部は、本体部から延在している。コンタクト部は、弾性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されているプローブによれば、コンタクト部が半導体装置の電極に押圧される際に、コンタクト部は弾性変形する。コンタクト部の変形によって、コンタクト部が電極上を滑ることがある。この結果、プローブと半導体装置との間において、接触不良が生じることがある。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、プローブと半導体装置との間における接触不良の発生を抑制可能な検査治具および試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る検査治具は、半導体装置の検査に用いられる検査治具であって、プローブと、保持部品と、案内部品とを備えている。半導体装置は、電極を有している。プローブは、先端部と、弾性変形部とを有している。弾性変形部は、先端部に作用する荷重により弾性曲げ変形する。保持部品は、プローブを保持している。案内部品は、プローブが電極を押圧する際に電極から先端部に加わる反力を利用して、電極から離れる方向に沿って保持部品を移動させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る検査治具によれば、プローブが電極を押圧する際に、先端部が電極上を滑る代わりに、電極から離れる方向に沿って保持部品およびプローブが移動するため、先端部が電極上を滑ることを抑制できる。これによって、プローブと半導体装置との間における接触不良の発生を抑制可能な検査治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る試験装置の構成を示す一部断面模式図である。
【
図2】実施の形態1に係る試験装置の構成を示す模式図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿う断面模式図である。
【
図4】実施の形態1に係る検査治具の構成を示す平面模式図である。
【
図5】実施の形態1に係るプローブの構成を示す正面模式図である。
【
図6】実施の形態1に係る保持部品およびプローブの構成を示す第1斜視模式図である。
【
図7】実施の形態1に係る保持部品およびプローブの構成を示す第2斜視模式図である。
【
図8】プローブが変形する様子を示す模式図である。
【
図9】プローブの変形によってプローブの先端が移動する量について説明する模式図である。
【
図10】半導体装置をステージに配置する工程を示す正面模式図である。
【
図11】プローブを半導体装置の電極に接触させる工程を示す一部断面模式図である。
【
図12】プローブを半導体装置の電極に押し付ける工程を示す一部断面模式図である。
【
図13】実施の形態2に係る検査治具の構成を示す一部断面模式図である。
【
図14】実施の形態3に係る検査治具の構成を示す一部断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0012】
実施の形態1.
<試験装置の構成>
まず、
図1から
図4を用いて、実施の形態1に係る試験装置200の構成について説明する。
図1および
図2に示されるように、試験装置200は、検査治具100と、試験回路50と、配線51と、ステージ42とを有している。検査治具100は、半導体装置40と電気的に接続する。試験回路50は、検査治具100を介して半導体装置40に電圧および電流を印加する。配線51は、試験回路50と検査治具100とを電気的に接続している。ステージ42は、半導体装置40を支持する。ステージ42は、検査治具100から離間している。検査治具100からステージ42に向かう方向は、第1方向101とされる。試験装置200は、半導体装置40の電気的特性を検査する。試験装置200は、たとえば半導体装置40にバーンイン試験を実施する。半導体装置40は、たとえば本体部40bと、電極41とを有している。
【0013】
試験回路50は、電源52と、計測回路53と、制御回路54と、端子59と、を有している。電源52は、検査治具100を介して、半導体装置40に電圧および電流を印加する。計測回路53は、半導体装置40に印加される電圧および電流を測定する。制御回路54は、電源52および計測回路53の各々を制御する。具体的には、制御回路54は、電源52に信号を出力することによって、電源52が半導体装置40に印加する電流の大きさ、電源52が半導体装置40に印加する電圧の大きさ、電源52が半導体装置40に電圧および電流を印加する時間、および電源52が半導体装置40に電圧および電流を印加する周期の各々を制御する。制御回路54は、計測回路53に信号を出力することによって、半導体装置40に印加される電圧および電流を測定するタイミングを制御する。
【0014】
図1から
図4に示されるように、検査治具100は、プローブ10と、第1保持部品20aと、第2保持部品20bと、案内部品33と、位置決め部品39と、弾性体32と、筐体30とを主に有している。検査治具100は、半導体装置40の検査に用いられる。
【0015】
プローブ10は、電極41に接触する。第1保持部品20aおよび第2保持部品20bの各々は、プローブ10を保持している。案内部品33は、第1保持部品20aおよび第2保持部品20bの各々の移動方向を制限する。位置決め部品39は、保持部品20を位置決めする。弾性体32は、第1保持部品20aおよび第2保持部品20bの各々を位置決め部品39に押し付ける。筐体30は、案内部品33、位置決め部品39および弾性体32の各々を支持している。
【0016】
図1に示されるように、第1保持部品20aと第2保持部品20bとは、第1方向101に垂直な方向に沿って並んでいる。第1保持部品20aと第2保持部品20bとが並ぶ方向は、第2方向102とされる。第1方向101および第2方向102の各々に垂直な方向は第3方向103とされる。
【0017】
第1保持部品20aと第2保持部品20bとは、互いに離間している。第1保持部品20aと第2保持部品20bとの間に位置し且つ第2方向102に垂直な仮想面を、中心面Aとする。第1保持部品20aと第2保持部品20bとは、互いに、中心面Aに対して実質的に面対称に設けられていてもよい。第1保持部品20aの形状は、第2保持部品20bの形状と実質的に同じである。以下、第1保持部品20aと第2保持部品20bとを合わせて、単に保持部品20とも称する。検査治具100は、2つの保持部品20を有している。検査治具100の形状は、中心面Aに対して実質的に面対称であってもよい。2つの保持部品20の各々は、樹脂などの電気絶縁性の材料によって構成されている。
【0018】
図1、
図3および
図4に示されるように、2つの保持部品20の各々は、ベース部22と、第1凸部25と、第2凸部26とを有している。第1凸部25は、ベース部22に連なっている。第1凸部25は、ベース部22から第3方向103に沿って凸状である。第1凸部25の形状は、たとえば直方体状である。第1凸部25は、たとえば第1方向101および第3方向103の各々に垂直な方向に沿って延びている。第1凸部25の延びる方向は、第2方向102とされる。第1凸部25は、筐体30から離間している。
【0019】
第2凸部26は、ベース部22に連なっている。第2凸部26は、ベース部22に対して第1凸部25の反対側に設けられている。別の観点から言えば、ベース部22は、第1凸部25と第2凸部26との間に設けられている。第2凸部26は、第3方向103と反対の方向に沿って凸状である。第2凸部26の形状は、たとえば直方体状である。第2凸部26は、たとえば第2方向102に沿って延びている。第2凸部26は、筐体30から離間している。なお、説明の便宜のため、
図3において、弾性体32は図示されていない。
【0020】
図1に示されるように、プローブ10は、先端部12と、配線接続部13とを有している。プローブ10は、銅および銅合金などの金属材料によって構成されている。先端部12は、保持部品20から中心面Aに向かう方向に突出している。先端部12の延びる方向は、保持部品20から中心面Aに向かう方向に対して第1方向101に傾斜している。先端部12は、電極41に接触する。
【0021】
配線接続部13は、第1方向101と反対の方向に沿って、保持部品20から突出している。配線接続部13は、先端部12と電気的に接続されている。配線接続部13は、配線51と電気的に接続されている。別の観点から言えば、配線51によって、プローブ10は、試験回路50と電気的に接続されている。配線接続部13は、配線51と嵌合されていてもよい。別の観点から言えば、配線接続部13の形状は、配線51の端子に嵌合可能な形状であってもよい。配線接続部13は、たとえばはんだ(図示せず)によって、配線51と接合されていてもよい。プローブ10の詳細な構成は後述する。
【0022】
図3および
図4に示されるように、検査治具100は、複数のプローブ10を有している。複数のプローブ10は、保持部品20によって積層状に配置されている。複数のプローブ10は、第3方向103に沿って並んでいる。複数のプローブ10の各々は、保持部品20によって互いに電気的に絶縁されている。複数のプローブ10の各々は、保持部品20によって互いに隔てられている。複数のプローブ10の各々は、配線51(
図1参照)と接続されている。たとえば、複数のプローブ10の各々の配線接続部13に配線51が嵌合されている。検査治具100は、たとえば複数の配線51を有している。複数の配線51の数は、たとえば複数のプローブ10の数と同じである。
【0023】
案内部品33は、たとえば複数の第1ローラ61と、複数の第2ローラ62とを有している。複数の第1ローラ61の各々は、筐体30に取り付けられている。複数の第1ローラ61の各々は、保持部品20に対して第1方向101に設けられている。複数の第1ローラ61の各々は、保持部品20を支持している。具体的には、たとえば第1凸部25および第2凸部26の各々は、複数の第1ローラ61に支持されている。複数の第1ローラ61の各々は自転可能である。複数の第1ローラ61は、たとえば軸(図示せず)と、ベアリング(図示せず)とによって構成されている。
【0024】
複数の第2ローラ62の各々は、筐体30に取り付けられている。複数の第2ローラ62の各々は、保持部品20に対して第1方向101と反対の方向に設けられている。複数の第2ローラ62の各々は、保持部品20と接触している。具体的には、たとえば第1凸部25および第2凸部26の各々は、複数の第2ローラ62と接触している。第1凸部25および第2凸部26の各々は、複数の第1ローラ61と複数の第2ローラ62とに挟まれている。複数の第2ローラ62の各々は自転可能である。複数の第2ローラ62は、たとえば軸(図示せず)と、ベアリング(図示せず)とによって構成されている。保持部品20は、案内部品33によって移動可能に支持されている。保持部品20は、たとえば第2方向102に沿って移動可能である。
【0025】
図1および
図4に示されるように、位置決め部品39は、2つの保持部品20の間に設けられている。位置決め部品39は、筐体30に連なっている。位置決め部品39は、中心面Aと交差している。位置決め部品39の形状は、中心面Aに対して実質的に面対称であってもよい。位置決め部品39は、中間部36と、2つの位置決めピン34とを有している。
【0026】
中間部36は、2つの位置決め面35を有している。2つの位置決め面35の各々は、保持部品20に接する。2つの位置決め面35の各々は、互いに中心面Aに対して実質的に面対称に設けられている。2つの位置決め面35の各々は、たとえば第2方向102に垂直な方向に沿って拡がっている。保持部品20は、位置決め面35に押し当てられる。2つの位置決め面35の各々において、位置決めピン34が設けられている。位置決めピン34の形状は、中間部36から保持部品20に向かう方向に凸状である。なお、説明の便宜のため、
図4において、位置決め部品39の一部は図示されていない。
【0027】
弾性体32は、保持部品20に対して位置決め部品39の反対側に設けられている。別の観点から言えば、保持部品20は、弾性体32と位置決め部品39との間に設けられている。弾性体32は、保持部品20と筐体30との間に設けられている。弾性体32は、保持部品20および筐体30の各々に接触している。弾性体32は、たとえば第2方向102に沿って伸縮可能である。弾性体32は、たとえば圧縮コイルばねである。
【0028】
図1、
図3および
図4に示されるように、筐体30は、保持部品20、案内部品33、弾性体32および位置決め部品39の各々を取り囲んでいる。筐体30は、樹脂などの電気絶縁性の材料によって構成されている。筐体30の形状は、たとえば環状である。筐体30の形状は、中心面Aに対して実質的に面対称であってもよい。
【0029】
ステージ42は、載置面43を有している。載置面43は、第1方向101に垂直な方向に沿って拡がっている。ステージ42は、電極支持部42aを有している。電極支持部42aは、載置面43に設けられている。電極支持部42aは、載置面43から第1方向101と反対の方向に凸状である。
【0030】
試験装置200は、搬送機構(図示せず)を有している。ステージ42は、搬送機構によって移動可能である。ステージ42は、半導体装置40をステージ42へ搭載する第1位置、半導体装置40を検査する第2位置およびステージ42から半導体装置40を排出する第3位置の各々に移動可能である。
【0031】
第1位置、第2位置および第3位置の各々は、たとえば第1方向101に垂直な面上に位置している。ステージ42は、第2位置にから、検査治具100が半導体装置40へ押し込まれる第4位置および検査治具100から半導体装置40が解放される第5位置の各々へ移動可能である。第5位置は、第4位置に対して第1方向101にある。第2位置は、たとえば第5位置に対して第1方向101にある。
【0032】
次に、
図5を用いてプローブ10の構成について説明する。
図5は、第3方向103に見たプローブ10の構成を示している。
図5において、第3方向103に見た保持部品20の外形が破線を用いて示されている。
【0033】
図5に示されるように、プローブ10は、被支持部15と、弾性変形部11を有している。被支持部15は、配線接続部13に連なっている。被支持部15は、配線接続部13に対して第1方向101に設けられている。被支持部15は、保持部品20に取り囲まれている。被支持部15は、保持部品20に支持されている。
【0034】
弾性変形部11は、被支持部15および先端部12の各々に連なっている。弾性変形部11の一部は、保持部品20に取り囲まれている。弾性変形部11は、弾性曲げ変形可能である。弾性変形部11は、曲線部16と直線部17とを有している。
【0035】
曲線部16は、被支持部15に連なっている。曲線部16の少なくとも一部は、保持部品20から離間している。第2方向102に見て、曲線部16の形状は、たとえば円弧状である。
【0036】
直線部17は、曲線部16に連なっている。直線部17は、被支持部15から離間している。直線部17は、保持部品20から離間している。直線部17は、被支持部15に対して第1方向101に設けられている。直線部17は、第2方向102に沿って延びている。第2方向102における直線部17の長さ、第1方向101における直線部17の幅の各々は、検査治具100から半導体装置40へ加えられる荷重に基づいて設定される。
【0037】
先端部12は、被支持部15から離間している。先端部12は、先端19を有している。先端19は、半導体装置40の電極41(
図1参照)と接触する部分である。先端19は、たとえば先端部12の角である。先端19において、先端部12は丸みを帯びていてもよい。先端19における先端部12の形状は、電極41の材質および電極41の表面処理などに基づいて設定される。
【0038】
プローブ10は、カンチレバー方式のプローブである。プローブ10の形状は板状である。プローブ10は導電性を有している。プローブ10において、メッキなどの表面処理が施されていてもよい。
【0039】
次に、
図6および
図7を用いて、保持部品20およびプローブ10の構成について説明する。
図6において、保持部品20を構成する部品とプローブ10とが分解された状態における各部品の構成が示されている。
図7において、保持部品20を構成する部品とプローブ10とが組み立てられた状態における各部品の構成が示されている。
【0040】
図6および
図7に示されるように、保持部品20は、プローブ支持部21と、ベース部22とを有している。プローブ支持部21は、複数のプローブ10の各々を支持している。プローブ支持部21は、プローブ10の被支持部15(
図5参照)に接触している。プローブ支持部21において、複数の溝部21aが設けられている。複数の溝部21aの各々は、第2方向102に沿って延びている。複数の溝部21aの各々に、プローブ10が配置されている。
【0041】
プローブ支持部21において、第1取り付け孔21bが設けられている。第1取り付け孔21bは、第1方向101に沿って延びている。第1取り付け孔21bは、プローブ支持部21を貫通している。
【0042】
ベース部22は、支持面22aを有している。支持面22aは、プローブ支持部21を支持している。支持面22aにおいて、第2取り付け孔21cが設けられている。第2取り付け孔21cは、第1方向101に沿って延びている。第2取り付け孔21cは、ベース部22を貫通している。第1取り付け孔21bと第2取り付け孔21cとに、たとえば棒(図示せず)が差し込まれることによって、プローブ支持部21とベース部22とは、互いに固定されている。
【0043】
ベース部22において、穴22cが設けられている。穴22cは、第2方向102と反対の方向に向かって開口している。穴22cは、位置決めピン34に対応している。位置決めピン34(
図1参照)は、穴22cと係合する。穴22cは、被係合部である。位置決めピン34(
図1参照)は、係合部である。弾性体32は、位置決めピン34と穴22cとが係合するように、保持部品20を位置決め部品39に押し付ける(
図1参照)。
【0044】
<プローブの変形>
次に、
図8および
図9を用いて、プローブ10の変形について説明する。
図8に示されるように、プローブ10の先端19に荷重Pが加えられた場合、プローブ10は変形する。荷重Pの方向は、第1方向101と反対の方向である。先端19に荷重Pが加えられることによって、弾性変形部11は、弾性曲げ変形する。具体的には、曲線部16と直線部17の各々が第1方向101と反対の方向にたわむ。
【0045】
被支持部15が移動しないように被支持部15が固定されている場合、弾性変形部11の変形によって、先端19が移動する。具体的には、第3方向103に見て、先端19は、回転中心14を中心とする円95に沿って移動する。第2方向102において、弾性変形部11の弾性曲げ変形によって、先端19が移動する距離は、移動距離ΔLとされる。別の観点から言えば、弾性変形部11の弾性曲げ変形によって、第2方向102における被支持部15と先端19との間の距離が移動距離ΔLだけ長くなる。
【0046】
図9を用いてプローブ10の弾性曲げ変形による先端19の移動距離について説明する。
図9において、プローブ10の先端部12および弾性変形部11の一部(
図8参照)が2点鎖線を用いて示されている。
図9に示されるように、プローブ10が弾性曲げ変形する前において、第2方向102における回転中心14と先端19との間の距離は第1水平距離L1とされる。第1方向101における回転中心14から先端19までの距離は、第1高さD1とされる。回転中心14と先端19との間の距離Eは、(L1
2+D1
2)
1/2である。
【0047】
第1方向101において、プローブ10の変形によって先端19が移動した距離を押し込み量stとする。プローブ10が弾性曲げ変形した後において、第1方向101における回転中心14から先端19までの距離は、第2高さD2とされる。第2高さD2は、第1高さD1から押し込み量stを差し引いた長さ(D1-st)である。プローブ10の変形の前後において、回転中心14と先端19との間の距離Eが一定であると仮定すると、プローブ10が押し込み量stだけ押し込まれた後において、第2方向102における回転中心14と先端19との間の距離(第2水平距離L2)は、数式1によって求められる。
【0048】
L2=(L12+2・D1・st-st2)1/2 ・・・(数式1)
移動距離ΔLは、第2水平距離L2から第1水平距離L1を差し引いた値である。具体的には、移動距離ΔLは、数式2によって求められる。また、数式2を変形することによって、数式3が得られる。数式3に示されるように、押し込み量stが第1高さD1以下である場合、押し込み量stが大きくなるにつれて、移動距離ΔLは大きくなる。
【0049】
ΔL=(L12+2・D1・st-st2)1/2-L1 ・・・(数式2)
ΔL=(-(st-D1)2+L12-D12)1/2-L1 ・・・(数式3)
先端部12に、直線部17の延びる方向(第2方向102)に沿う力が加えられた場合、先端部12が直線部17の延びる方向に沿って移動するように、弾性変形部11は変形する。具体的には、直線部17の延びる方向における直線部17の長さが短くなるように直線部17が変形しつつ、直線部17から曲線部16に向かう方向に沿って、曲線部16がたわむ。
【0050】
<半導体装置の検査方法>
次に、
図10から
図12を用いて試験装置200を用いた半導体装置40の検査方法について説明する。
【0051】
図10に示されるように、まず、ステージ42に半導体装置40が配置される。載置面43において、ステージ42は、本体部40bに接触する。電極支持部42aは、電極41に接触する。
【0052】
半導体装置40の本体部40bの内部において、半導体チップ(図示せず)が基板(図示せず)に実装されている。電極41は、ワイヤボンドなどによって、半導体チップに接合されている。電極41の一部、半導体チップおよび基板は、たとえばモールド樹脂によって封止されている。電極41は、本体部40bから突出している。
【0053】
電極41は、平坦部41aと、傾斜部41bとを有している。平坦部41aは、本体部40bに連なっている。平坦部41aは、第2方向102に沿って延在している。傾斜部41bは、平坦部41aに連なっている。傾斜部41bは、本体部40bから離間している。傾斜部41bは、第1方向101に垂直な方向に対して傾斜している。具体的には、傾斜部41bは、平坦部41aから離間するにつれて、傾斜部41bの高さが低くなるように傾斜している。
【0054】
電極支持部42aは、本体部40bと電極41との間に位置する。電極支持部42aは、本体部40bと電極41との間に挟まれてもよい。これによって、半導体装置40が位置決めされる。
【0055】
次に、
図11に示されるように、プローブ10と電極41とが接触する。具体的には、先端19において、先端部12が、たとえば平坦部41a(
図10参照)に接触する。先端19と接触する平坦部41aの面は、接触面40aとされる。別の観点から言えば、接触面40aの延びる方向は、先端19が電極41に接触しつつ移動する場合における先端19の移動方向である。接触面40aは、たとえば第1方向101に垂直な方向に沿って延びている。
【0056】
図12に示されるように、第1方向101に沿って、検査治具100が半導体装置40に押し付けられる。具体的には、プローブ10が電極41に押し付けられる。プローブ10が電極41に押し付けられる方向(押し付け方向)は、たとえば第1方向101である。先端部12は、先端部12から電極41へ向かう方向に沿う押し付け荷重P1を電極41に加える。押し付け荷重P1の方向は第1方向101である。先端部12が電極41に押し付けられることによって、接触面40aに形成されている絶縁性の酸化膜(図示せず)が破壊される。電極支持部42aは、電極41を支持する。このため、プローブ10の荷重によって電極41が変形することを抑制できる。
【0057】
電極41から先端部12に反力P2が加えられる。反力P2の方向は、接触面40aに実質的に垂直な方向である。具体的には、反力P2の方向は、先端19と接触面40aとが接触している点における接触面40aの接平面に実質的に垂直な方向である。反力P2の方向は、たとえば第2方向102である。反力P2によって、弾性変形部11が弾性曲げ変形する。第2方向102における被支持部15と先端19との間の距離が長くなるように、弾性変形部11は変形する(
図8および
図9参照)。先端19と電極41との間に摩擦力(図示せず)が生じる。このため、弾性変形部11の変形によって、先端19が移動する代わりに、保持部品20が移動する。別の観点から言えば、反力P2を利用して、案内部品33が、電極41から離れる方向に沿って保持部品20を移動させる。案内部品33が保持部品20を移動させる方向は、たとえば第2方向102である。これによって、プローブ10は、先端19と電極41との間における摩擦力によって先端19が電極41上に留まりつつ、保持部品20によって第2方向102に引っ張られる。保持部品20は、位置決め部品39から離間する。
【0058】
保持部品20が移動する際に、複数の第1ローラ61および複数の第2ローラ62の各々は回転する。これによって、保持部品20と案内部品33との間に生じる摩擦力を低減できる。配線51(
図1参照)は、保持部品20に追従するようにたわむ。弾性体32は、第2方向102に沿って縮む。
【0059】
次に、半導体装置40の電気的特性が検査される。制御回路54は、電源52に信号を出力することによって、配線51およびプローブ10を介して、電極41に電圧および電流を印加する。制御回路54は、計測回路53に信号を出力することによって、半導体装置40に印加されている電圧および電流を測定する。
【0060】
試験回路50は、測定された電圧値および電流値の各々に基づいて、半導体装置40が良品であるか否かを判定する。具体的には、測定された電圧値および電流値の各々が、予め決められた範囲内に入っているか否かを判断する。以上によって、半導体装置40の検査が実施される。
【0061】
検査治具100は、第1方向101と反対の方向に沿って移動する。先端部12が電極41から離間する。弾性体32の弾性力によって、保持部品20は、第2方向102と反対の方向に沿って移動する。位置決め面35において、保持部品20は、筐体30に接触する。これによって、保持部品20は、自動的に初期位置に復帰できる。
【0062】
次に、実施の形態1に係る検査治具100および試験装置200の作用効果について説明する。
【0063】
半導体装置40の検査において、導電性を有するプローブが用いられる。具体的には、たとえばカンチレバー方式のプローブが用いられる。弾性変形部としてばねを用いる場合と比較すると、カンチレバー方式のプローブは、プローブの構成を簡易にすることができる。このため、カンチレバー方式のプローブは、比較的小型の半導体装置40に大電流を印加する検査において用いられる場合がある。
【0064】
半導体装置40の検査において、カンチレバー方式のプローブは、半導体装置40からの反力によって弾性変形する。これによって、プローブの形状およびプローブの取り付け位置のばらつきによって、プローブと半導体装置40との間の接触不良が生じることを抑制する。
【0065】
特に、半導体装置40の検査に複数のプローブが用いられる場合、複数のプローブの各々の平行度のばらつき、取り付け精度のばらつきおよび寸法のばらつきに起因して、複数のプローブの各々の先端の位置にばらつきが生じることがある。半導体装置40の検査において、プローブの押し込み量を、プローブが弾性変形可能な範囲内に設定することによって、複数のプローブの各々の先端の位置のばらつきを小さくできる。これによって、複数のプローブの各々が半導体装置40に適切に接触できる。
【0066】
しかしながら、プローブの変形によって、プローブの先端が半導体装置40の接触面の上を滑ることがある。半導体装置40へプローブを押し付ける荷重が大きくなるにつれて、プローブの先端の移動量は大きくなる。
【0067】
プローブの先端の移動量が過度に大きい場合、プローブの先端が、接触可能な電極41の部分から外れるおそれがある。具体的には、たとえばプローブが半導体装置40の本体部40bに接触することがある。この結果、プローブが本体部40bに乗り上げることによって、プローブと電極41との間において接触不良が発生する。一方で、押し込み量を過度に小さくすることによってプローブの先端部の移動量を小さくする場合、プローブを電極41へ押し付ける荷重が過度に小さくなる。この結果、プローブと電極41との間において接触不良が発生する。
【0068】
実施の形態1に係る検査治具100は、プローブ10と、保持部品20と、案内部品33とを有している。保持部品20は、プローブ10を保持している。案内部品33は、プローブ10が電極41を押圧する際に、電極41から先端部12に加わる反力P2を利用して、電極41から離れる方向に沿って保持部品20を移動させる。このため、プローブ10が半導体装置40に押し付けられる際に、先端部12が移動する代わりに保持部品20が移動することができる。これによって、先端部12が電極41上を滑ることを抑制できる。結果として、プローブ10と半導体装置40との間における接触不良の発生を抑制できる。
【0069】
半導体装置40に長時間通電する通電試験を行う場合、プローブ10が発熱することがある。この場合、プローブ10が熱膨張することによって、被支持部15と先端19との間の距離が長くなる。従って、先端部12が移動することによって、プローブ10と半導体装置40との間において接触不良が発生することがある。この場合、プローブ10と半導体装置40との間の接触抵抗が増大することによって、プローブ10が過度に発熱する。結果としてプローブ10の寿命が短くなる。実施の形態1に係る検査治具100によれば、通電試験の際にプローブ10が熱膨張した場合において、先端部12が移動する代わりに保持部品20が移動することができる。これによって、プローブ10と半導体装置40との間における接触不良の発生を抑制できる。
【0070】
実施の形態1に係る検査治具100は、弾性体32と、位置決め部品39とを有している。位置決め部品39において、係合部が設けられている。保持部品20において、被係合部が設けられている。弾性体32は、係合部と被係合部とが係合するように、保持部品20を位置決め部品39に押し付ける。このため、保持部品20の位置決めがされる。これによって、電極41に対するプローブ10の位置がずれることを抑制できる。
【0071】
<実施の形態1の変形例>
上記において、実施の形態1に係る検査治具100の構成について説明したが、本開示に係る検査治具100の構成は、上記の構成に限定されない。具体的には、複数のプローブ10の各々は、試験回路50の1つの端子59に電気的に接続されてもよい。導電性部材(図示せず)によって、複数のプローブ10の各々は、互いに電気的に接続されていてもよい。案内部品33は、レールによって構成されていてもよい。保持部品20は、レール上を摺動してもよい。
【0072】
半導体装置40の構成は上記の構成に限定されない。本体部40bは、半導体ウェハであってもよい。電極41は、半導体ウェハ上に形成されていてもよい。半導体装置40は、半導体チップであってもよい。半導体装置40は、半完成品であってもよい。具体的には、半導体装置40は、基板に半導体チップが搭載されており、且つモールド樹脂によって封止されていなくてもよい。電極41は、塑性加工によって曲げられた部分を有していてもよい。当該部分の曲げ方向および曲率は特に限定されない。
【0073】
実施の形態2.
次に、
図13を用いて、実施の形態2に係る検査治具100の構成について説明する。実施の形態2に係る検査治具100は、主に、案内部品33が保持部品20を移動させる方向が第2方向102に対して傾斜している点において、実施の形態1に係る検査治具100の構成と異なっており、その他の点については、実施の形態1に係る検査治具100の構成と実質的に同一である。以下、実施の形態1に係る検査治具100の構成と異なる点を中心に説明する。
【0074】
図13に示されるように、保持部品20は、第1方向101に垂直な方向に対して傾斜していてもよい。具体的には、保持部品20の第1凸部25および第2凸部26の各々(
図3参照)は、第4方向104に沿って延びている。第4方向104は、第2方向102に対して第1方向101と反対の方向に傾斜している。別の観点から言えば、第4方向104は、接触面40aに対して第1方向101と反対の方向に傾斜している。第2方向102に対する第4方向104の角度は、傾斜角θとされる。
【0075】
保持部品20は、第4方向104に沿って移動可能である。別の観点から言えば、案内部品33は、第4方向104に沿って保持部品20を移動させる。位置決め面35は、第4方向104に垂直な方向に沿って拡がっている。位置決めピン34は、第4方向104に沿って凸状である。弾性体32は、第4方向104に沿って伸縮可能である。弾性変形部11(
図5参照)は、第4方向104に沿って延びている。
【0076】
実施の形態2に係る検査治具100によれば、案内部品33は、第4方向104に沿って保持部品20を移動させる。第4方向104は、接触面40aに対して第1方向101と反対の方向に傾斜している。このため、保持部品20の移動方向が第1方向101に垂直な方向(第2方向102)である場合と比較して、反力P2における保持部品20の移動方向の成分が大きくなる。これによって、反力P2を保持部品20の移動に利用することができる。このため、保持部品20が移動しやすくなる。結果として、先端部12の移動を抑制できる。
【0077】
反力P2における保持部品20の移動方向の成分は、弾性変形部11の直線部17(
図5参照)の延びる方向(第4方向104)に沿う力として、先端部12に作用する。このため、先端部12が直線部17の延びる方向に沿って移動するように、弾性変形部11は変形する。以下、当該変形を直線部17の延びる方向に沿う変形と称する。直線部17の延びる方向に沿う変形によって先端部12に加わる荷重の方向は、直線部17の延びる方向に沿う方向である。一方で、弾性変形部11の弾性曲げ変形によって先端部12に加わる荷重の方向は、円95(
図8参照)に沿って先端19が移動する方向に沿う方向である。このため、第2方向102において、直線部17の延びる方向に沿う変形によって先端部12に加わる荷重と、弾性変形部11の弾性曲げ変形によって先端部12に加わる荷重とは互いに打ち消し合う。これによって、先端部12の移動を抑制できる。
【0078】
なお、実施の形態2に係る検査治具100において、傾斜角θは、直線部17の延びる方向に沿う変形に対する弾性変形部11のばね定数に合わせて設定される。当該ばね定数が大きくなるにつれて、直線部17の延びる方向に沿う変形によって生じる荷重が大きくなる。このため、当該ばね定数が大きくなるにつれて、傾斜角θは小さく設定される。これによって、弾性変形部11の弾性曲げ変形によって先端部12に生じる荷重の大きさと、直線部17の延びる方向に沿う変形によって生じる荷重の大きさとの差を小さくすることができる。
【0079】
実施の形態3.
次に、
図14を用いて、実施の形態3に係る検査治具100の構成について説明する。実施の形態3に係る検査治具100は、主に、プローブ10の先端部12が電極41の傾斜部41bに接触する点において、実施の形態1に係る検査治具100の構成と異なっており、その他の点については、実施の形態1に係る検査治具100の構成と実質的に同一である。以下、実施の形態1に係る検査治具100の構成と異なる点を中心に説明する。
【0080】
図14に示されるように、先端19において、先端部12は、傾斜部41bに接触する。傾斜部41bは、接触面40aを構成する。接触面40aは、第1方向101に垂直な方向に対して傾斜している。具体的には、接触面40aは、第2方向102と反対の方向に向かうにつれて、接触面40aの高さが高くなるように傾斜している。別の観点から言えば、先端19に対して第2方向102と反対の方向に位置している接触面40aの高さは、先端19に対して第2方向102に位置している接触面40aの高さよりも高い。反力P2の方向は、第1方向101と反対の方向に対して第2方向102に傾斜する。
【0081】
第1方向101に垂直な方向に対する接触面40aの傾斜角は、プローブ10の弾性変形部11のばね定数に基づいて設定される。ばね定数が大きくなるにつれて、接触面40aの傾斜角は、小さく設定される。
【0082】
実施の形態3に係る検査治具100によれば、接触面40aは、第2方向102と反対の方向に向かうにつれて、接触面40aの高さが高くなるように傾斜している。このため、プローブ10が電極41から受ける反力P2は、第1方向101と反対の方向に対して、第2方向102に傾斜している。これによって、接触面40aが第1方向101に垂直である場合と比較して、反力P2における第2方向102の成分が大きくなる。このため、反力P2の一部は、保持部品20の移動に利用される。これによって、保持部品20が移動しやすくなる。結果として、先端部12の移動を抑制できる。
【0083】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0084】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
電極を有する半導体装置の検査に用いられる検査治具であって、
先端部と、前記先端部に作用する荷重により弾性曲げ変形する弾性変形部と、を有するプローブと、
前記プローブを保持している保持部品と、
前記プローブが前記電極を押圧する際に前記電極から前記先端部に加わる反力を利用して、前記電極から離れる方向に沿って前記保持部品を移動させる案内部品と、を備える、検査治具。
(付記2)
弾性体と、
係合部が設けられている位置決め部品と、
前記案内部品、前記位置決め部品および前記弾性体の各々を支持している筐体と、を備え、
前記保持部品において、前記係合部に対応する被係合部が設けられており、
前記弾性体は、前記係合部と前記被係合部とが係合するように、前記保持部品を前記位置決め部品に押し付ける、付記1に記載の検査治具。
(付記3)
前記電極は、前記先端部と接触する接触面を有し、
前記プローブが前記電極に押し付けられる方向を押し付け方向とした場合、
前記接触面は、前記押し付け方向に垂直な方向に沿って延びており、
前記案内部品が前記保持部品を移動させる方向は、前記接触面に対して前記押し付け方向と反対の方向に傾斜している、付記1または付記2に記載の検査治具。
(付記4)
前記電極は、前記先端部と接触する接触面を有し、
前記接触面は、前記案内部品が前記保持部品を移動させる方向と反対の方向に向かうにつれて前記接触面の高さが高くなるように傾斜している、付記1または付記2に記載の検査治具。
(付記5)
付記1から付記4のいずれか1項に記載の検査治具と、
前記検査治具を介して前記半導体装置に電気を印加する試験回路と、を備える、試験装置。
【符号の説明】
【0085】
10 プローブ、11 弾性変形部、12 先端部、13 配線接続部、14 回転中心、15 被支持部、16 曲線部、17 直線部、19 先端、20 保持部品、20a 第1保持部品、20b 第2保持部品、21 プローブ支持部、21a 溝部、21b 第1取り付け孔、21c 第2取り付け孔、22 ベース部、22a 支持面、22c 穴、25 第1凸部、26 第2凸部、30 筐体、32 弾性体、33 案内部品、34 位置決めピン、35 位置決め面、36 中間部、39 位置決め部品、40 半導体装置、40a 接触面、40b 本体部、41 電極、41a 平坦部、41b 傾斜部、42 ステージ、42a 電極支持部、43 載置面、50 試験回路、51 配線、52 電源、53 計測回路、54 制御回路、59 端子、61 第1ローラ、62 第2ローラ、95 円、100 検査治具、101 第1方向、102 第2方向、103 第3方向、104 第4方向、200 試験装置、A 中心面、D1 第1高さ、D2 第2高さ、E 距離、L1 第1水平距離、L2 第2水平距離、P 荷重、P1 押し付け荷重、P2 反力、st 押し込み量、θ 傾斜角。