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  • 特開-接続装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156432
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】接続装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/313 20210101AFI20241029BHJP
   A61B 5/308 20210101ALI20241029BHJP
【FI】
A61B5/313
A61B5/308
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070887
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩平
(72)【発明者】
【氏名】永岡 正浩
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信宏
(72)【発明者】
【氏名】豊田 悟史
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127AA04
4C127KK07
(57)【要約】
【課題】CMAPの計測時における利便性をより高めることができる接続装置を提供する。
【解決手段】接続装置は、横隔膜への刺激に対する複合筋活動電位の計測用の第1ケーブルが挿入される第1ポートと、前記複合筋活動電位以外の計測用の第2ケーブルが挿入される第2ポートと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横隔膜への刺激に対する複合筋活動電位の計測用の第1ケーブルが挿入される第1ポートと、
前記複合筋活動電位以外の計測用の第2ケーブルが挿入される第2ポートと、を備える、接続装置。
【請求項2】
前記接続装置は、さらに、
前記接続装置の内部において、前記第1ポートに電気的に接続された抵抗器を備える、請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記第2ケーブルは、被検者の心内心電図の計測に用いられ、
前記接続装置の内部において、前記第2ポートには抵抗器が設けられていない、請求項1または請求項2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記接続装置のうち、前記第1ポートが設けられている面には、前記第1ポートが前記複合筋活動電位の計測用であることが表示されている、請求項1または請求項2に記載の接続装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接続装置に関するものである。
【0002】
被検者に対するアブレーションが行われる際の合併症として、横隔膜神経障害が生じてしまうことがあり、これを予防するために、複合筋活動電位(CMAP(compound motor action potential))を計測することが有効であることが知られている。特許文献1には、人または動物の横隔膜の機能を評価するため、横隔膜に電気的または磁気的な刺激を与え、刺激に対する横隔膜の応答状況を測定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2022-500147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、CMAPの計測時においては、例えば、被検者の体表に電極を貼り、当該電極に接続されたケーブルを、接続装置に設けられたポートに挿入する。接続装置は、CMAPの計測結果を処理する生体情報処理装置に接続されており、電極を用いて得られた計測結果は、ケーブルおよび接続装置を介して生体情報処理装置へ送信される。
【0005】
従来、CMAPの計測用のケーブルは、心内心電図など、他の生体情報の計測に用いられるポートと同一のポートに接続されていた。しかしながら、この場合、作業者が、生体情報処理装置において、接続装置から送信される計測結果がCMAPの計測結果であるのか、または他の生体情報の計測結果であるのかを設定する必要があり、より利便性の高い技術が望まれている。
【0006】
本開示は、CMAPの計測時における利便性をより高めることができる接続装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る接続装置は、
横隔膜への刺激に対する複合筋活動電位の計測用の第1ケーブルが挿入される第1ポートと、
前記複合筋活動電位以外の計測用の第2ケーブルが挿入される第2ポートと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、CMAPの計測時における利便性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の一態様に係る生体情報処理システムの構成を示す図である。
図2図2は、従来から用いられている接続装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、図2に示す接続装置を用いて、被検者に対するCMAPの計測および除細動器の使用が行われる状況を示す図である。
図4図4は、本開示の一態様に係る接続装置の構成の一例を示す図である。
図5図5は、図4に示す接続装置を用いて、被検者に対するCMAPの計測および除細動器の使用が行われる状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る接続装置の実施形態の一例を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
[生体情報処理システムの構成]
図1は、本開示の一態様に係る生体情報処理システム100の構成を示す図である。生体情報処理システム100は、生体情報処理装置10と、診断用刺激装置11と、アンプ12と、接続装置13と、アブレータ14とを備える。作業者は、生体情報処理システム100を用いることにより、被検者Xに対するアブレーション、被検者Xの心内心電図の計測、および被検者XのCMAPの計測を行うことができる。
【0012】
(アブレーション)
作業者は、被検者Xに対するアブレーションを行う際、焼灼用カテーテル16を被検者Xの心臓内に挿入する。そして、作業者は、アブレータ14を操作することにより、焼灼用カテーテル16を介して、被検者Xの不整脈の元となる異常な部分等に高周波電流を流すなどによって、当該部分の焼灼を行う。
【0013】
(心内心電図の計測)
また、作業者は、例えば、アブレーションと並行して、焼灼用カテーテル16を用いて被検者Xの心内心電図の計測を行う。より詳細には、被検者Xの心臓内に挿入される焼灼用カテーテル16には、先端に複数の電極が取り付けられている。焼灼用カテーテル16は、これら複数の電極により得られた心臓の各部位の電気信号を、接続装置13を介してアンプ12へ送信する。
【0014】
アンプ12は、焼灼用カテーテル16からの電気信号を増幅して、生体情報処理装置10へ送信する。生体情報処理装置10は、焼灼用カテーテル16から送信された複数の電気信号に基づいて、被検者Xの心臓の各部位の状態を記録する。なお、作業者は、焼灼用カテーテル16とは別のカテーテルを用いて、被検者Xの心内心電図の計測を行ってもよい。
【0015】
(CMAPの計測)
また、作業者は、アブレーションの合併症として被検者Xに生じる可能性のある横隔膜神経障害を予防するために、当該被検者Xの複合筋活動電位(CMAP(compound motor action potential))を監視する。具体的には、作業者は、刺激用カテーテル15を被検者Xの体内に挿入し、診断用刺激装置11を操作することにより、アンプ12経由で被検者Xの横隔膜神経に対して1または複数回、電気的な刺激を与える。
【0016】
被検者Xの体表には、CMAP計測用電極17が貼り付けられている。被検者Xの横隔膜神経を電気的に刺激した場合、CMAP計測用電極17を介して、刺激に対する横隔膜神経の応答、すなわちCMAPを示す信号が、接続装置13を介してアンプ12へ送信される。アンプ12は、CMAP計測用電極17からの電気信号を増幅して、生体情報処理装置10へ送信する。
【0017】
生体情報処理装置10は、CMAP計測用電極17から送信された信号に基づいて、被検者XのCMAPの時系列変化を示すCMAP波形を生成する。そして、生体情報処理装置10は、生成したCMAP波形をモニタ等の画面に表示させる。また、生体情報処理装置10は、CMAPの計測結果を解析する。
【0018】
例えば、生体情報処理装置10は、被検者Xの横隔膜神経に与えられる刺激ごとに、CMAP波形の形の最小値と最大値との差を算出する。そして、生体情報処理装置10は、所定の基準値に対する当該差の割合を算出し、算出した割合が閾値以下である場合、アブレーションの停止を促す通知等を画面に表示させるなどの警告処理を行う。
【0019】
[課題の説明]
ここで、従来から用いられている接続装置513について説明する。図2は、従来から用いられている接続装置513の構成の一例を示す図である。従来の接続装置513には、複数のポート530が設けられている。これら複数のポート530には、図1に示すような、CMAP計測用電極17に接続されたケーブル(第1ケーブル)171、刺激用カテーテル15に接続されたケーブル(第2ケーブル)151、および焼灼用カテーテル16に接続されたケーブル(第2ケーブル)161が挿入される。
【0020】
このように、複数種類のケーブルが同一の接続装置513に接続されるため、作業者は、生体情報処理装置10において、接続装置513からアンプ12を経由して送信される計測結果がCMAPの計測結果であるのか、または心内心電図などの他の生体情報の計測結果であるのかを事前に設定する必要があり手間を要する。
【0021】
また、接続装置513のポート530は、刺激用カテーテル15による横隔膜神経への刺激入力にも利用されるため、ポート530と内部回路534(図3参照)との間に抵抗を設けることができない。
【0022】
しかしながら、被検者XのCMAPを計測している状態において、被検者Xに対して除細動器20を使用する場合がある。図3は、図2に示す接続装置513を用いて、被検者Xに対するCMAPの計測および除細動器20の使用が行われる状況を示す図である。図3に示すように、接続装置513ではポート530と内部回路534との間には、上記のように抵抗が設けられていないため、除細動器20から被検者Xの体内への電流がCMAP計測用のケーブル171を経由して接続装置513側に流れてしまうおそれがある。
【0023】
このため、除細動器20からの電流が接続装置513に流れない程度の電気的対策が必要である。例えば、CMAP計測用電極17を接続装置513に接続する際には外付けの抵抗器を設けるなどの電気的対策が行われており、作業者の手間をさらに要する。これに対して、本開示に係る接続装置13は、以下のように構成されている。
【0024】
[本開示の接続装置の構成]
図4は、本開示の一態様に係る接続装置13の構成の一例を示す図である。接続装置13は、CMAPの計測に用いられるケーブル171が挿入される第1ポート131と、CMAP以外の計測に用いられるケーブルが挿入される第2ポート132とを備える。図4において矢印Aで示す領域に含まれる複数のポートが第1ポート131であり、矢印Bで示す領域に含まれる複数のポートが第2ポート132である。
【0025】
接続装置13のうち、第1ポート131が設けられている面には、第1ポート131がCMAP計測用であることが表示されている。例えば、図4に示すように、複数の第1ポート131の近くに「CMAP」の文字が表示されている。
【0026】
作業者は、被検者Xに対してアブレーションを行い、当該被検者Xの心内心電図を計測する際は、焼灼用カテーテル16のケーブル161を第2ポート132に挿入する。
【0027】
また、作業者は、当該被検者XのCMAPを計測する際は、刺激用カテーテル15のケーブル151を第2ポート132に挿入し、CMAP計測用電極17のケーブル171を第1ポート131に挿入する。このとき、上記のように、接続装置13の面において第1ポート131がCMAP計測専用のポートであることが表示されているため、作業者において、ケーブル171の挿入先が分かりやすい。
【0028】
図5は、図4に示す接続装置13を用いて、被検者Xに対するCMAPの計測および除細動器20の使用が行われる状況を示す図である。図5に示すように、接続装置13では、各第1ポート131と内部回路134との間に電気的に接続された抵抗器133が設けられている。抵抗器133における抵抗の大きさは、一般的な人の体表の抵抗の大きさよりも大きく、例えば100kΩである。
【0029】
このように、第1ポート131の内部に抵抗器133が設けられていることにより、CMAPを計測する際、電気的対策を確認する必要がなく、ケーブル171を第1ポート131に挿入すればよいため、利便性をさらに向上させることができる。
【0030】
また、第1ポート131の内部に抵抗器133が設けられていることにより、第1ポート131にケーブル171が挿入されている状況において、被検者Xに対して除細動器20を使用する場合には、除細動器20からの電流がケーブル171を経由して接続装置13側へ流れることを防ぐことができる。この結果、除細動器20からの電流を被検者Xの体内により確実に流すことができる。
【0031】
また、接続装置13の内部において、図4に示す第2ポート132には抵抗器133が設けられていない。このため、第2ポート132を利用することで、心内心電図の計測や、CMAP計測時における横隔膜神経への刺激入力において接続装置13を用いることができる。
【0032】
上記のように、本開示の一態様に係る接続装置13は、CMAPの計測用のケーブル171が挿入される第1ポート131と、CMAP以外の計測用のケーブル151,161が挿入される第2ポート132とを備える。このように、第2ポート132とは別に、CMAPの計測に専用の第1ポート131が設けられる構成により、作業者が、CMAPの計測結果を処理する生体情報処理装置10において、接続装置13から送信される計測結果がCMAPの計測結果であるのか、または他の生体情報の計測結果であるのかを設定する必要がなく、作業者の利便性を向上させることができる。
【0033】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本願の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではない。本実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本願の技術的範囲は、特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0034】
10:生体情報処理装置、11:診断用刺激装置、12:アンプ、13,513:接続装置、14:アブレータ、15:刺激用カテーテル、16:焼灼用カテーテル、17:CMAP計測用電極、20:除細動器、100:生体情報処理システム、131:第1ポート、132:第2ポート、133:抵抗器、134,534:内部回路、151,161,171 ケーブル、530:ポート
図1
図2
図3
図4
図5