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特開2024-156443情報入力システムおよび情報入力方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156443
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】情報入力システムおよび情報入力方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/023 20060101AFI20241029BHJP
   G06F 3/04886 20220101ALI20241029BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G06F3/023 460
G06F3/04886
G06F3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070910
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】391022614
【氏名又は名称】学校法人幾徳学園
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】五百蔵 重典
【テーマコード(参考)】
5B020
5E555
【Fターム(参考)】
5B020AA03
5B020FF11
5B020GG04
5E555AA13
5E555BA04
5E555BB04
5E555BC19
5E555CA13
5E555CA22
5E555CB14
5E555CB16
5E555CB18
5E555CB65
5E555CC19
5E555DA21
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 ボタンを押下する回数を減らし、操作を簡単にすることができるシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】 情報を入力するシステムは、第1の符号を入力するためのボタン21と、第2の符号を入力するためのボタン23と、第1の符号と第2の符号を交互に入力するためのボタン22とを含む。システムは、押下されたボタン21~23の組み合わせにより情報を入力し、ボタン21、23は、指示部が重畳されたことにより押下され、ボタン22は、指示部をボタン21またはボタン23上からボタン22上へ直接移動させる操作を行うことにより押下される。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を入力するシステムであって、
第1の符号を入力するための第1のボタンと、
第2の符号を入力するための第2のボタンと、
前記第1の符号と前記第2の符号を交互に入力するための第3のボタンと
を含み、
押下された前記第1~第3のボタンの組み合わせにより情報を入力し、
前記第1および第2のボタンは、指示部が重畳されたことにより押下され、
前記第3のボタンは、前記指示部を前記第1または第2のボタン上から前記第3のボタン上へ直接移動させる操作を行うことにより押下される、情報入力システム。
【請求項2】
前記第1~第3のボタンを表示し、前記第1~第3のボタンのうちの1つの押下を受け付ける表示手段を含む、請求項1に記載の情報入力システム。
【請求項3】
前記指示部は、ユーザの指であり、
前記第3のボタンは、前記第1または前記第2のボタンから前記第3のボタンへなでる動作を行うことにより押下される、請求項2に記載の情報入力システム。
【請求項4】
ユーザの視線を検知する検知手段を含み、
前記視線に対応する前記表示手段上の位置に表示される図形を前記指示部とし、前記指示部が前記第1~第3のボタンのうちの1つと重畳した場合に、前記指示部が重畳したボタンが押下される、請求項2に記載の情報入力システム。
【請求項5】
前記第1または第2の符号に対応した音を出力する音出力手段と、
前記第3のボタンが押下された場合、前記音出力手段に対し、該第3のボタンが押下される直前に入力された前記第1または第2の符号とは異なる符号に対応した音を出力するように指示する処理手段と
を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の情報入力システム。
【請求項6】
前記第1または第2の符号に対応した音を出力する音出力手段と、
前記第3のボタンが押下されたことに応答してフラグを立て、前記音出力手段が前記第3のボタンが押下される直前に入力された前記第1または第2の符号に対応した音を出力した後、前記フラグを降ろし、前記音出力手段に対し、出力した前記第1または第2の符号とは異なる符号に対応した音を出力するように指示する処理手段と
を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の情報入力システム。
【請求項7】
前記情報は、前記第1の符号もしくは前記第2の符号またはその両方から構成されるモールス符号により表現される文字である、請求項2~4のいずれか1項に記載の情報入力システム。
【請求項8】
入力する前記文字として、アルファベットとカナを切り替えるための切替ボタンをさらに備える、請求項7に記載の情報入力システム。
【請求項9】
第1の符号を入力するための第1のボタンと、第2の符号を入力するための第2のボタンと、前記第1の符号と前記第2の符号を交互に入力するための第3のボタンとを含む、情報入力システムにおいて情報を入力する方法であって、
前記第1~第3のボタンの少なくとも1つを押下するステップと、
押下された前記第1~第3のボタンの組み合わせにより情報を入力するステップと
を含み、
前記第1および第2のボタンは、指示部が重畳されたことにより押下され、
前記第3のボタンは、前記指示部を前記第1または第2のボタン上から前記第3のボタン上へ直接移動させる操作を行うことにより押下される、情報入力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を入力するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報を入力するシステムとして、モールス符号により情報を入力するシステムや方法が知られている。モールス符号は、短い符号(短点)と、短点3つ分の長さを有する長い符号(長点)を組み合わせて、アルファベット、数字、記号等を表現するものである。
【0003】
このようなシステム等としては、タッチパネル等の押下対象の押下時間の差異に応じて複数の種類の情報を入力し得るシステムや、タッチパネル上に短点の入力と長点の入力を実現する2つのボタンを利用して情報を入力するシステム等が知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-206955号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】CHRIS WELCH, “Google’s Gboard keyboard now lets you communicate through Morse code on both Android(登録商標) and iOS”, 2018年7月12日, The Verge, [令和23年3月13日検索], インターネット, <URL:https://www.theverage.com/2018/7/11/17561958/google-gboard-morse-code-communication-feature>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来の技術では、短点と長点とを入力する場合、ボタンを1回ずつ押下しなければならず、操作が簡単ではないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明の発明者は、鋭意検討の結果、短点と長点を交互に入力するためのボタンを追加し、3つのボタンの組み合わせを利用し、押下した他のボタンから追加したボタンへなでる動作を行うことで、ボタンの押下回数を減らし、操作を簡単にすることができることを見出した。上記課題は、本発明の情報入力システムおよび情報入力方法を提供することにより解決される。
【0008】
本発明によれば、情報を入力するシステムであって、
第1の符号を入力するための第1のボタンと、
第2の符号を入力するための第2のボタンと、
第1の符号と第2の符号を交互に入力するための第3のボタンと
を含み、
押下された第1~第3のボタンの組み合わせにより情報を入力し、
第1および第2のボタンは、指示部が重畳されたことにより押下され、
第3のボタンは、指示部を第1または第2のボタン上から第3のボタン上へ直接移動させる操作を行うことにより押下される、情報入力システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ボタンを押下する回数を減らし、操作を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来の情報を入力する機器の一例として、エレクトリックキーヤーの構成例を示した図。
図2】エレクトリックキーヤーによる情報の入力について説明する図。
図3】本実施形態に係る情報入力システムの第1の構成例を示した図。
図4】タッチパネル上の各ボタンの配置および入力操作について説明する図。
図5】タッチパネル上の画面の一例を示した図。
図6】文字の入力例を示した図。
図7】各文字のモールス符号と各文字のボタンの押下回数を示した図。
図8】予約フラグを使用した入力操作の一例を示したフローチャート。
図9】予約フラグを用いない入力操作の一例を示したフローチャート。
図10】各機器に対して3つのボタンを配置する位置の一例を示した図。
図11】本実施形態に係る情報入力システムの第2の構成例を示した図。
図12】視線のよる文字入力について説明する図。
図13】静電容量式のタッチセンサを備えるシート状物の一例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
【0012】
はじめに、従来の情報を入力するデバイスおよび方法について簡単に説明しておく。図1は、従来の情報を入力するデバイスの一例として、エレクトリックキーヤーの構成例を示した図である。エレクトリックキーヤー10は、左右に接点11、12を有する2つのパドル13、14を有する。
【0013】
2つのパドル13、14のうち、向かって左側のパドル13を中央位置へ向けて(中央方向)に倒すことで、離れた接点11、16同士が電気的に接続されて、短点の入力を実現する。また、向かって右側のパドル14を中央方向に倒すことで、同様に、離れた接点12、16同士が電気的に接続されて、長点の入力を実現する。エレクトリックキーヤー10は、短点と長点を自動的に送信するため、電子回路を備える。
【0014】
パドル13、14は、それぞれ、倒してすぐに離すことで、スプリング15によって倒す前の位置に戻り、1つの短点および長点を入力することができる。パドル13、14は、それぞれ、倒したままにすると、複数の短点および複数の長点を連続して入力することができる。
【0015】
エレクトリックキーヤー10は、入力された短点に対応する音として短音を出力し、入力された長点に対応する音として長音を出力するスピーカー等の音出力手段を備えることができる。このように音によって入力されたことを確認することができるが、これに限られるものではなく、ランプ等の点灯装置を使用し、短点に対応する短時間の点灯、長点に対応する長時間の点灯により入力を確認できるものであってもよい。
【0016】
図2を参照して、エレクトリックキーヤー10による情報の入力について説明する。エレクトリックキーヤー10は、パドル13、14の操作により短点および長点の入力を受け付ける。受け付けた短点および長点は、モールス符号を構成する。モールス符号は、短点と長点の組み合わせにより、アルファベット、数字、記号等の文字を表現する。各点の間は、短点と同じ長さの時間無音となる。文字を区切るには、短点の3倍の時間無音とする。文と文との間は、短点の7倍の時間無音とする。
【0017】
図2は、エレクトリックキーヤー10による文字の入力例を示した図である。図2は、出力信号とともに、短点を入力するパドル13と長点を入力するパドル14を倒し、離すタイミングを示す。
【0018】
図2(a)は、パドル13を倒したままにして3つの短点を入力し、3つ目の短点を入力したところでパドル13を離して短点の入力を終了し、パドル14を倒し、直ぐにパドル14を離して1つの長点を入力している。短点を「・」で表し、長点を「-」で表すと、出力信号は「・・・-」であり、これは、アルファベットの文字「V」を表す。
【0019】
このようにパドル13を倒した状態を維持すると、複数の短点を連続して入力することができ、同様に、パドル14を倒した状態を維持すると、複数の長点を連続して入力することができる。
【0020】
短点と長点とを交互に入力する場合、パドル13、14を交互に倒して、短点と長点を1つずつ入力してもよいが、両方のパドル13、14を同時に倒すスクイズ操作(つまむ操作)を行うことで、1回の操作で短点と長点とを交互に入力することができる。スクイズ操作を継続する(つまんだままの状態にする)と、短点と長点を交互に連続して複数入力することができる。
【0021】
短点を入力するパドル13を先に倒し、パドル13を倒した状態のまま、長点を入力するパドル14を後から倒すことで、スクイズ操作を行うことができ、この場合、先に短点が入力され、次に長点が入力されることになる。このスクイズ操作を継続すると、短点、長点、短点、長点、・・・が繰り返し入力される。
【0022】
パドル14を先に倒し、パドル14を倒したまま、パドル13を後から倒すことで、スクイズ操作を行うことができ、この場合、先に長点が入力され、次に短点が入力されることになる。このスクイズ操作を継続すると、長点、短点、長点、短点、・・・が繰り返し入力される。
【0023】
図2(b)は、先にパドル14を倒し、パドル14を倒したままにして、後からパドル13を倒し、パドル13を倒したままにして、長点、短点、長点を入力したところでパドル13、14を同時に離す。最後の長点が入力されている間にパドル13、14を同時に離すことで、長点に加えて、次の短点まで入力することができる。したがって、出力信号は「-・-・」であり、これは、文字「C」を表す。
【0024】
なお、1つのパドルに対して倒して離す操作を1回の操作とすると、文字「C」は、スクイズ操作を行わない通常動作では、パドル14を倒して離し、パドル13を倒して離し、パドル14を倒して離し、パドル13を倒して離すという4回の操作が必要となる。一方、スクイズ操作を行うことで、パドル14を倒し、続いてパドル13を倒し、長点、短点、長点が入力された段階で、パドル13、14を同時に離すという2回の操作で、同じ文字の入力が可能となる。
【0025】
ところで、エレクトリックキーヤー10のパドル13、14を、2つの物理的なボタンに代えることで、マウスやゲーム機等の2つ以上の物理的なボタンを備えるデバイスで同様の入力動作を実現することができる。
【0026】
スマートフォンやタブレット端末等のタッチパネルを備えるデバイスは、上記の非特許文献1に記載のように、タッチパネル上に2つのボタンを設けることで、エレクトリックキーヤー10と同様の操作を実現することができる。しかしながら、物理的なボタンではないため、2つのボタンの同時押しを認識することができない。したがって、2つのボタンを設けただけでは、エレクトリックキーヤー10と同様の情報入力を実現することはできない。
【0027】
また、エレクトリックキーヤー10では、2つのパドル13、14を同時に倒すスクイズ操作があり、スクイズ操作を行うためには、2本の指が必要である。2つのパドル13、14に代えて、2つのボタンを用いる場合でも、2つのボタンを同時に押下するため、2本の指が必要である。したがって、指1本だけで操作して容易に情報入力を行うことはできない。
【0028】
そこで、本実施形態に係る情報入力システムでは、短点と長点を交互に入力するためのボタンを1つ追加し、3つのボタンを使用する。3つのボタンは、短点を入力するための短点ボタン、長点を入力するための長点ボタン、短点と長点を交互に入力するための中ボタンである。短点ボタンまたは長点ボタンから中ボタンへなでる動作を行う、すなわち短点ボタンまたは長点ボタンから指を画面に接触させたまま滑らせて中ボタンへ移動させることで、指1本でスクイズ操作と同様な操作が可能となる。これにより、タッチパネルを備えるデバイスにおいても、エレクトリックキーヤー10と同様の情報入力を実現することができる。
【0029】
以下、3つのボタンを使用するものとして説明するが、より高速に入力を行うためには4つ以上のボタンを使用することも可能である。
【0030】
図3は、本実施形態に係る情報入力システムの第1の構成例を示した図である。情報処理システムは、例えばタッチパネルを備えるデバイスで、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ、デジタルカメラ、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)複合機等とされ、タッチパネル20上に3つのボタン21~23を備える。
【0031】
情報処理システムは、CPU(Central Processing Unit)24、ROM(Read Only Memory)25、RAM(Random Access Memory)26、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)27、近距離通信回路28、音入出力I/F29、マイク30、スピーカー31、加速度・方位センサ32、GPS(Global Positioning System)受信部33、遠距離通信回路34、バス35を備える。なお、これは一例であり、近距離通信回路28、音入出力I/F29、マイク30、スピーカー31、加速度・方位センサ32、GPS受信部33は、必要に応じて設けることができる。
【0032】
CPU24は、情報入力システム全体の動作を制御する。ROM25は、CPU24の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM26は、CPU24に対して作業領域を提供する。EEPROM27は、CPU24の制御に従って、入力された符号に対応した音を出力させ、モールス符号を生成し、文字に変換する等の処理を実現するためのプログラムや各種データ等を記憶する。CPU24は、EEPROM27に記憶されたプログラムを実行し、処理手段として機能する。
【0033】
近距離通信回路28は、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の通信回路である。タッチパネル20は、利用者がディスプレイを押下することで、情報入力システムを操作する表示手段の1つである。
【0034】
音入出力I/F29は、CPU24の制御に従って、マイク30およびスピーカー31との間で音信号の入出力を処理する回路である。マイク30は、音を電気信号に変換する回路を備える。スピーカー31は、音出力手段の1つであり、電気信号を物理振動に変換して音を生成する回路を備える。なお、音出力手段は、音信号の出力を処理する音入出力I/F29と、スピーカー31とを組み合わせたものであってもよい。
【0035】
加速度・方位センサ32は、地磁気を検知する電子磁気コンパス、ジャイロセンサ、加速度センサ等の各種センサである。GPS受信部33は、GPS衛星からGPS信号を受信する。
【0036】
遠距離通信回路34は、通信ネットワークを介して、他の機器と通信する回路である。バス35は、CPU24等の各種構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0037】
利用者は、タッチパネル20上に隣り合うように並べて配置される3つのボタン21~23を押下することにより短点、長点の入力を行う。入力された短点、長点は、その組み合わせに対応する文字に変換され、表示される。
【0038】
文字の入力は、通常のキーボードを使用すれば容易に行うことができるが、スマートウォッチ等のように画面が小さい機器では、キーボードの各ボタンが非常に小さくなり、文字入力が難しくなる。このため、3つのボタン21~23を使用した文字入力は、このような画面が小さい機器に対して有用である。なお、文字入力が可能となることで、相手から送信されたメッセージに対し、より細かい応答が可能となる。
【0039】
図4は、タッチパネル20上の各ボタン21~23の配置および入力操作について説明する図である。各ボタン21~23は、隣り合うように並べて配置される。図4(a)に示すように中央には、同時押しのボタン(中ボタン)22が配置され、その左側には、短点を入力するボタン(短点ボタン)21、その右側には、長点を入力するボタン(長点ボタン)23がそれぞれ配置される。なお、各ボタン21~23は、隣り合うように並べて配置されることに限定されるものではなく、一定の間隔を開けて配置されていてもよい。また、各ボタン21~23は、図4に示すように横一列に並んだものに限定されるものではなく、例えば、短点ボタン21と長点ボタン23が横並びとし、中ボタン22がそれらの上側もしくは下側に配置されるものであってもよい。
【0040】
短点は、図4(a)に示すように、短点ボタン21を軽く叩くようにして短時間だけ画面に触れる操作(タップ)することにより入力する。すなわち、ボタンの押下を指示する指示部の一例としてユーザの指を、短点ボタン21上に短時間だけ重畳させることにより、短点ボタン21を押下する。
【0041】
長点も、同様に、長点ボタン23をタップすることにより入力することができる。すなわち、ユーザの指を、長点ボタン23上に短時間だけ重畳させることにより、長点ボタン23を押下する。
【0042】
短点を連続して複数入力するには、ユーザの指を短点ボタン21上に重畳させる時間を長くし、短点ボタン21を押下し続ける。長点を連続して複数入力するには、ユーザの指を長点ボタン23上に重畳させる時間を長くし、長点ボタン23を押下し続ける。
【0043】
短点を先にして、短点と長点を交互に入力するには、図4(b)に示すように、先に短点ボタン21を押下し、画面上の短点ボタン21から中ボタン22へ指を滑らせ、指を中ボタン22へ直接移動させる。これにより、1回の押下とボタンを左右になでる動作の1ストロークで文字入力が可能となる。同様にして、長点を先にして、長点と短点を交互に入力するには、先に長点ボタン23を押下し、画面上の長点ボタン23から中ボタン22へ指を滑らせ、指を中ボタン22へ直接移動させる。なお、中ボタン22を押下し続けることにより、短点と長点を交互に連続して複数入力することができる。
【0044】
図5は、タッチパネル20上の画面について説明する図である。タッチパネル20上の画面には、ボタン21~23のほか、文字の種類を切り替える切替ボタン36を備えることができる。切替ボタン36は、例えばアルファベットとカナを切り替えることができる。ここでは、アルファベットとカナの切り替えについて説明しているが、これに限られるものではなく、漢字等の他の文字の種類に切り替えてもよい。
【0045】
モールス符号「・-」は、アルファベットでは「A」であり、カナでは「イ」である。モールス符号「-・・・」は、アルファベットでは「B」であり、カナでは「ハ」である。また、モールス符号「-・-・」は、アルファベットでは「C」であり、カナでは「ニ」である。同じモールス符号でも、切替ボタン36によりアルファベット入力とカナ入力とを切り替え、それぞれの入力方式で入力することができる。
【0046】
図6は、文字の入力例を示した図である。図6(a)は、カナ文字の一例である「か」の入力例を示し、図6(b)は、「ろ」の入力例を示す。「か」は、モールス符号で「・-・・」であり、「ろ」は、モールス符号で「・-・-」である。
【0047】
「・-・・」のうち「・-」はスクイズ操作と同様な効果を有する操作で入力し、続く「・・」は短点の連続で入力することができる。したがって、具体的な操作は、ボタン21~23をそれぞれ(1)~(3)で示すと、(1)を触り、指を滑らせて(2)を触り、さらに指を滑らせて(1)を触り、最後の音が鳴ったところで指を離す。
【0048】
「・-・-」は「・-」の繰り返しになるので、(1)を触り、指を滑らせて(2)を触り、最後の1つ前の音が鳴ったところで、指を離す。最後の1つ前の音が鳴ったとは、繰り返される2回目の「・-」のうち最後の「-」の1つ前の「・」の音が鳴ったことを意味する。
【0049】
図7は、各文字のモールス符号と、通常動作とスクイズ動作においてボタンを押下して離した(行ってすぐ戻る)回数を1回とし、その回数を各文字について示した図である。
【0050】
図7(a)は、各文字に対応するモールス符号を示した図であり、図7(b)が、各文字の押下回数を示した図である。入力された符号の組み合わせは、モールス符号を構成し、図7(a)に示すテーブルを使用して文字に変換される。
【0051】
アルファベットでは、図7(b)に示すように、通常動作で平均3.15回押下する必要があるが、スクイズ動作ではいずれのアルファベットに対しても押下回数が減り、平均1.81回となり、ボタンを押下する回数を減らすことができていることが分かる。したがって、通常動作では、短点、長点の入力でボタンを頻繁に押下することになるが、スクイズ動作でボタンの同時押しとその同時押しの時間を上手く使うことで、ボタンを押下する回数を減らすことができる。
【0052】
図8は、予約フラグを使用した入力操作の一例を示したフローチャートである。予約フラグは、スクイズ動作を実現するために次の点を予約するためのフラグである。ステップ100から入力操作を開始し、ステップ101で、短点ボタン21が押下されているかを判断する。短点ボタン21が押下されている場合、ステップ102へ進み、短点に対応する音として短音を鳴らす。
【0053】
スクイズ操作がある場合、短音が鳴っている間に割り込みが発生し、短点ボタン21から中ボタン22へ指を滑らせて中ボタン22が押下される。中ボタン22の押下に伴って、予約フラグが立てられる。
【0054】
ステップ103で、短音が鳴り終わったかを判断する。なお、短音が鳴り終わるまで、ステップ103の動作を繰り返し、短音が鳴り終わったところで、ステップ104へ進み、予約フラグが立っているかを判断する。予約フラグが立っていない場合、ステップ101へ戻り、予約フラグが立っている場合、ステップ105へ進み、予約フラグを降ろし、ステップ107へ進む。
【0055】
ステップ101で短点ボタン21が押下されていない場合、ステップ106へ進み、長点ボタン23が押下されているかを判断する。長点ボタン23が押下されている場合、ステップ107へ進み、長点ボタン23が押下されていない場合、ステップ111へ進み、入力操作を終了する。
【0056】
ステップ107では、長点に対応する音として長音を鳴らす。スクイズ操作がある場合、長音が鳴っている間に割り込みが発生し、長点ボタン23から中ボタン22へ指を滑らせて中ボタン22が押下される。中ボタン22の押下に伴って、予約フラグが立てられる。
【0057】
ステップ108で、長音が鳴り終わったかを判断する。なお、長音が鳴り終わるまで、ステップ108の動作を繰り返し、長音が鳴り終わったところで、ステップ109へ進み、予約フラグが立っているかを判断する。予約フラグが立っていない場合、ステップ101へ戻り、予約フラグが立っている場合、ステップ110へ進み、予約フラグを降ろし、ステップ102へ進む。
【0058】
なお、上記のステップ101、103、104、106、108、109の判断する処理は、処理手段として機能するCPU24により実行され、また、予約フラグを立てる処理およびステップ105、110の予約フラグを降ろす処理も、処理手段として機能するCPU24により実行される。ここでは、処理手段により各判断、フラグを立て、降ろす処理の全てを実行しているが、これに限定されるものではなく、各処理につき、個別に判断手段やフラグ手段等を設けてもよい。このことは、次の図9に示す処理でも同様である。
【0059】
図9は、予約フラグを使用しない入力操作の一例を示したフローチャートである。ステップ200から入力操作を開始し、ステップ201で、短点ボタン21が押下されているかを判断する。短点ボタン21が押下されている場合、ステップ202へ進み、短音を鳴らす。
【0060】
ステップ203で、短音が鳴り終わったかを判断する。なお、短音が鳴り終わるまで、ステップ203の動作を繰り返し、短音が鳴り終わったところで、ステップ204へ進み、中ボタン22が押下されているかを判断する。中ボタン22が押下されていない場合、ステップ201へ戻り、中ボタン22が押下されている場合、ステップ206へ進む。
【0061】
ステップ201で短点ボタン21が押下されていない場合、ステップ205へ進み、長点ボタン23が押下されているかを判断する。長点ボタン23が押下されている場合、ステップ206へ進み、長点ボタン23が押下されていない場合、ステップ209へ進み、入力操作を終了する。
【0062】
ステップ206では、長音を鳴らす。ステップ207で、長音が鳴り終わったかを判断する。なお、長音が鳴り終わるまで、ステップ207の動作を繰り返し、長音が鳴り終わったところで、ステップ208へ進み、中ボタン22が押下されているかを判断する。中ボタン22が押下されていない場合、ステップ201へ戻り、中ボタン22が押下されている場合、ステップ202へ進む。
【0063】
情報入力システムは、タッチパネルを備える小型のデバイスに適用することができる。小型のデバイスとしては、スマートウォッチやスマートフォン等を挙げることができ、3つのボタン21~23は、スマートウォッチやスマートフォン等の画面に表示することができる。
【0064】
図10は、各デバイスに対して3つのボタン21~23を配置する位置の一例を示した図である。3つのボタン21~23は、スマートフォンやスマートウォッチ40の画面41上に設けることができるが、これに限定されるものではなく、スマートウォッチ40のバンド部分42、眼鏡43のつる(テンプル部)44、イヤホン45の耳掛け部46、ヘッドセット47の耳掛け部48、車のハンドル49等に設けることができる。
【0065】
3つのボタン21~23がタッチパネルを備える画面上に表示される場合、文字を入力することができるが、眼鏡43、イヤホン45、ヘッドセット47、車のハンドル49等に設ける場合、上記の部位にタッチパネルを設け、タッチパネルにボタン21~23を設けてもよいし、3つのボタンを有する静電容量式タッチセンサを取り付けたものであってもよい。
【0066】
情報入力システムは、文字入力のほか、コマンド入力にも使用することができる。コマンド入力としては、オーディオのスタートやストップ、カーナビの目的の入力、着信への応答もしくは拒否等が挙げられる。これらは一例であるので、他の命令であってもよい。
【0067】
これまで1本の指で3つのボタン21~23を押下し、文字を入力することについて説明してきたが、例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者は、全身の筋肉が萎縮し、力が入らないことから、指のみを動かすことはできても、ボタン21~23が配置されている箇所まで腕を持ち上げ、手を左右に振ることは難しい。
【0068】
そこで、身体の一部に入力スイッチを取り付けて文字入力を行うことができる。ALS患者は、比較的最後まで指を動かすことができ、瞬きもできることから、指やまぶた等に入力スイッチを取り付ければ、文字入力を行うことができる。しかしながら、指のみ、もしくは瞬きのみでは、スクイズ操作に必要な左右の動きを実現することができない。
【0069】
そこで、左右の動きも可能にする、視線を使用し、視線により文字入力を行うように構成する。
【0070】
図11は、本実施形態に係る情報入力システムの第2の構成例を示した図である。情報処理システムは、図3に示した構成と同様、CPU24、ROM25、RAM26、EEPROM27、近距離通信回路28、音入出力I/F29、マイク30、スピーカー31、加速度・方位センサ32、GPS受信部33、遠距離通信回路34、バス35を備える。近距離通信回路28、加速度・方位センサ32、GPS受信部33は、必要に応じて設けることができる。
【0071】
図11に示す例では、視線を検知するための検知手段としてカメラ37を備える。カメラ37は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを搭載したカメラであってもよいし、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを搭載したカメラであってもよい。カメラ37は、例えば、図10の眼鏡43のレンズ部分の内側から、眼鏡43を装着したユーザの目を撮影するように複数設けてもよいし、PC等に取り付けてもよいし、PC等が備えるカメラを使用してもよい。
【0072】
カメラ37により視線を検知する方法は、アイトラッキングと呼ばれる、どこを見ているかを、頭部に対する眼球の動きを計測し、追跡するアイトラッキングと呼ばれる方法を採用することができる。アイトラッキングは、よく知られた技術であるため、ここでは詳述しない。
【0073】
図12は、視線による文字入力について説明する図である。ディスプレイ50の画面上に「1」、「2」、「3」を付した3つのボタン51~53を有し、視線に対応する画面上の位置に、指示部の一例として任意の図形が配置される。図12では、その図形の一例としてマウスカーソル54が示されている。ユーザの視線に対応する画面上の位置に配置される図形は、マウスカーソル54に限定されるものではなく、いかなる図形であってもよい。
【0074】
例えば、「1」を付したボタン51は、短点ボタンであり、「2」を付したボタン52は、中ボタンであり、「3」を付したボタン53は、長点ボタンである。マウスカーソル54が1つのボタンに重畳されたとき、そのボタンが押下されたものとみなされる。したがって、押下したいボタン上に視線を移動させ、マウスカーソル54を重畳させることで、そのボタンを押下することができる。
【0075】
スクイズ操作も視線を使用して実施することができる。すなわち、ボタン51にマウスカーソル54を重畳させ、ボタン51からボタン52へ指でなでるかのように直接視線を移動させ、ボタン52にマウスカーソル54を重畳させることで、スクイズ操作を実現することができる。
【0076】
上記では、ボタン51を短点ボタンとし、ボタン53を長点ボタンとし、時間的な長さを変えて区別し、その区別を短音と長音とで確認できるようにしているが、入力しやすくするためには、時間的な長さを同一とし、その区別を音の高さを変えて高音と低音とで行ってもよい。
【0077】
スクイズ動作では、長点、短点、長点の途中で入力を終了しても、長点と短点を一組として入力するため、その長点の次の短点まで入力される。視線による入力において各点の時間的な長さを全て同一にした場合、通常の通り、次の第2点まで入力されるようにしてもよいし、通常とは異なり、第1の点の入力で終了するようにしてもよい。そこで、設定において、次の第2の点まで入力するか否かを選択できるように構成することができる。
【0078】
これまでタッチパネル20上にボタン21~23を備えるものとして説明したが、タッチパネル20を備えていないデバイスであっても、図13に示すような、静電容量式の3つのタッチセンサ55~57を備えるシート状物58を貼り付け、そのデバイスと電気的に接続することで、情報を入力できるようにしてもよい。また、ボタンを3つ以上備えるデバイスでは、そのデバイスが備えるボタンを3つ使用し、同様にして情報を入力することができる。
【0079】
以上のように、本発明によれば、従来のエレクトリックキーヤー等の情報入力システムに比較して、ボタンの押下回数が減り、操作を簡単にすることができる。また、情報入力システムは、モールス符号を利用したシステムであることから、モールス符号の学習にもなる。
【0080】
モールス符号を学習することは、音の振動の長さや光のパターンでの出力を認識することができるようになり、情報の受信方法の拡大につなげることができる。
【0081】
これまで本発明の情報入力システムおよび情報入力方法について上述した実施形態をもって詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0082】
10…エレクトリックキーヤー
11、12、16…接点
13、14…パドル
15…スプリング
20…タッチパネル
21~23…ボタン
24…CPU
25…ROM
26…RAM
27…EEPROM
28…近距離通信回路
29…音入出力I/F
30…マイク
31…スピーカー
32…加速度・方位センサ
33…GPS受信部
34…遠距離通信回路
35…バス
36…切替ボタン
37…カメラ
40…スマートウォッチ
41…バンド部分
42…眼鏡
43…テンプル部
44…イヤホン
45…耳掛け部
46…ヘッドセット
47…耳掛け部
48…ハンドル
50…ディスプレイ
51~53…ボタン
54…マウスカーソル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13