(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156445
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】水性組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/39 20060101AFI20241029BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20241029BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20241029BHJP
A61K 8/45 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A61K8/39
A61K8/73
A61K8/92
A61K8/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070913
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲田 綾
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC302
4C083AC421
4C083AC422
4C083AD211
4C083AD212
4C083BB11
4C083CC02
4C083DD01
4C083DD27
4C083EE03
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】水性組成物において油性成分を安定に透明に可溶化した、使用感に優れる水性組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】アルキルグリコシド、ラウリン酸ポリグリセリル、及び油性成分を水性組成物に含有させる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルグリコシド、ラウリン酸ポリグリセリル、及び油性成分を含有する、水性組成物。
【請求項2】
前記ラウリン酸ポリグリセリルの含有量が組成物全体に対して0.1~5質量%である、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項3】
前記ラウリン酸ポリグリセリルが、ラウリン酸ポリグリセリル-10である、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項4】
前記アルキルグリコシドが下記一般式(1)で表されるアルキルグリコシドである、請求項1に記載の水性組成物。
【化1】
(式中、Nは2~7の整数を表し、Rは独立して水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、nは1~4の整数を表す。)
【請求項5】
前記アルキルグリコシドの含有量が、組成物全体に対して0.01~10質量%である、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項6】
前記アルキルグリコシドの含有量と、前記ラウリン酸ポリグリセリルの含有量との質量比が、50:1~1:50である、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項7】
前記油性成分の含有量が、組成物全体に対して0.001~5質量%である、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項8】
前記アルキルグリコシドと前記ラウリン酸ポリグリセリルとの合計含有量と、前記油性成分の含有量との質量比が、100:1~1:1である、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項9】
さらに、2価アルコールを含有する、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項10】
さらに、エタノールを含有する、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項11】
皮膚外用剤である、請求項1~10のいずれか一項に記載の水性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧水等の水性化粧料は、肌に浸透し保湿感を付与するために汎用されている。水性化粧料に親油性成分を配合することは一般的になされており、通常は親油性成分は水性媒体に可溶化されている。そのような水性化粧料は、親油性成分と親水性成分とを同時に投与できることや、美観に優れるため、透明であることがより好まれている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水性化粧料に配合される種々の油性成分のうち、特に、精油、油性香料、シリコーン油等は、多くの鉱物油やエステル油等に比べ、可溶化しにくいとされている。
通常、油性成分の可溶化には界面活性剤が用いられ、例えばラウリン酸ポリグリセリル-10等の脂肪酸ポリグリセリルが一般的に用いられる一つである。しかしながら、脂肪酸ポリグリセリル単独で油性成分を可溶化するためには、油性成分に対して多くの量が必要となる。また、界面活性剤の含有量が大きいと、組成物を肌に塗布した際にべとつきが生じ使用感が損なわれる場合がある。
かかる状況を鑑みて、本発明は、水性組成物において油性成分を安定に透明に可溶化した、使用感に優れる水性組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、アルキルグリコシドとラウリン酸ポリグリセリルとを組み合わせることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]アルキルグリコシド、ラウリン酸ポリグリセリル、及び油性成分を含有する、水性組成物。
[2]前記ラウリン酸ポリグリセリルの含有量が組成物全体に対して0.1~5質量%である、[1]に記載の水性組成物。
[3]前記ラウリン酸ポリグリセリルが、ラウリン酸ポリグリセリル-10である、[1]又は[2]に記載の水性組成物。
[4]前記アルキルグリコシドが下記一般式(1)で表されるアルキルグリコシドである、[1]~[3]のいずれかに記載の水性組成物。
【0007】
【化1】
(式中、Nは2~7の整数を表し、Rは独立して水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、nは1~4の整数を表す。)
【0008】
[5]前記アルキルグリコシドの含有量が、組成物全体に対して0.01~10質量%である、[1]~[4]のいずれかに記載の水性組成物。
[6]前記アルキルグリコシドの含有量と、前記ラウリン酸ポリグリセリルの含有量との質量比が、50:1~1:50である、[1]~[5]のいずれかに記載の水性組成物。[7]前記油性成分の含有量が、組成物全体に対して0.001~5質量%である、[1]~[6]のいずれかに記載の水性組成物。
[8]前記アルキルグリコシドと前記ラウリン酸ポリグリセリルとの合計含有量と、前記油性成分の含有量との質量比が、100:1~1:1である、[1]~[7]のいずれかに記載の水性組成物。
[9]さらに、2価アルコールを含有する、[1]~[8]のいずれかに記載の水性組成物。
[10]さらに、エタノールを含有する、[1]~[9]のいずれかに記載の水性組成物。
[11]皮膚外用剤である、[1]~[10]のいずれかに記載の水性組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、油性成分を水性組成物に安定に透明可溶化することができる。また、本発明の組成物は使用感に優れる。そのため、本発明の組成物は化粧料などの皮膚外用剤に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の水性組成物は、アルキルグリコシド、ラウリン酸ポリグリセリル、及び油性成分を含有する。
【0011】
本発明の水性組成物が必須に含有するアルキルグリコシドは、脂肪族アルコールが糖とグリコシド結合によって結合したものであり、炭化水素鎖と糖残基を有する化合物である。
アルキルグリコシドを構成する炭化水素鎖は、直鎖状または分岐状のいずれであってもよく、飽和または不飽和のいずれであってもよいが、好ましくは直鎖状または分岐状の飽和炭化水素が挙げられる。また、当該炭化水素鎖の炭素数については、特に制限されないが、例えば8~35が好ましく、10~22がより好ましく、12~20がさらに好ましく、12~16が特に好ましい。
【0012】
アルキルグリコシドを構成する糖残基は、単糖、オリゴ糖、または多糖のいずれであってもよい。糖の縮合度(すなわち、糖残基を構成する単糖の数)としては、例えば、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、2~3がさらに好ましい。糖残基として、具体的には、グルコース、ガラクトース、キシロース、マンノース、リキソース、アラビノー
ス、およびフルクトース等の単糖;マルトース、キシロビオース、イソマルトース、セロビオース、ラクトース、ゲンチオビース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、セロトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、イソマルトテトラオース、イソマルトペンタオース、イソマルトヘキサオース、およびイソマルトヘプタース等のオリゴ糖または多糖等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは単糖、2糖、または3糖である。より好ましくは、グルコース、ガラクトース、マルトース、マルトトリオースが挙げられる
【0013】
本発明におけるアルキルグリコシドとしては、下記一般式(1)で表されるアルキルグリコシドがより好ましい。
【0014】
【0015】
一般式(1)において、Nは2~7の整数を表す。Rは独立して水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表し、好ましくはメチル基を表す。nは1~4の整数を表し、好ましくは2又は3を表し、より好ましくは2を表す。すなわち、一般式(1)で表されるアルキルグリコシドは、オリゴ糖の末端の糖の1位の水酸基と脂肪族アルコールとが結合(縮合)した構造を有する。
なお、かかる脂肪族アルコールは、好ましくは炭素数12~20の、より好ましくは炭素数12~16の、さらに好ましくは炭素数15の、分岐を有していてもよい脂肪族アルコールである。
【0016】
一般式(1)で表されるアルキルグリコシドにおける糖残基は、親水部である。
糖残基としては、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、及びマルトヘプタオースが挙げられ、マルトース及びマルトトリオースがより好ましい。
【0017】
一般式(1)において、脂肪鎖は本発明に係るアルキルグリコシドにおける疎水部である。
脂肪鎖の部分は、分岐鎖があってもなくてもよいが、好ましくは分岐鎖を有する。すなわち、一般式(1)においてRは、独立して水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表すが、好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0018】
本発明に係るアルキルグリコシドとしては、下記一般式(2)で表される化合物がより好ましい。
【0019】
【0020】
一般式(2)において、Nは2~7の整数を表す。nは1~4の整数を表し、より好ましくは2又は3であり、さらに好ましくは2である。
一般式(2)に包含される化合物としては、例えば、Mal2Far(マルトースとヘキサヒドロファルネソールのグリコシド体)、Mal3Far(マルトトリオースとヘキサヒドロファルネソールのグリコシド体)、Mal3Phyt(マルトトリオースとヘキサヒドロフィトールのグリコシド体)などが挙げられるが、特に限定されない。
【0021】
本発明に係るアルキルグリコシドは、例えば、臭化糖を用いるグリコシル化法、フッ化糖を用いるグリコシル化法、トリクロロアセトイミデートを用いるグリコシル化法、アセチル化糖を用いるグリコシル化法等、種々の周知の方法により取得することができ、より具体的には特許3882067号、特許4817435号、特許5207420号、特開2013-129660号公報、特開2012-17318号公報等に記載の合成工程が挙げられる。
【0022】
本発明の水性組成物におけるアルキルグリコシドの含有量は、組成物全体に対して好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.03~5質量%、さらに好ましくは0.05~2質量%である。
かかる範囲で用いることにより、油性成分を安定に可溶化しやすくなる。また、組成物を肌に塗布した際に、べたつきが生じにくく、使用感が好ましくなりやすい。
【0023】
本発明の水性組成物が含有するラウリン酸ポリグリセリルにおいて、グリセリンの付加数は、特に限定されないが、4~12が好ましく、8~12がより好ましく、10がさらに好ましい。具体的には、ラウリン酸ポリグリセリル-10を特に好ましく用いることができる。
【0024】
本発明の水性組成物におけるラウリン酸ポリグリセリルの含有量は、組成物全体に対して総量で好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.3~4質量%、さらに好ましくは0.5~3質量%である。
かかる範囲で用いることにより、油性成分を安定に可溶化しやすくなる。また、組成物を肌に塗布した際に、べたつきが生じにくく、使用感が好ましくなりやすい。
【0025】
本発明の水性組成物におけるアルキルグリコシドの含有量と、ラウリン酸ポリグリセリルの含有量との質量比は、好ましくは50:1~1:50、より好ましくは20:1~1:20、さらに好ましくは10:1~1:10である。
かかる範囲で用いることにより、油性成分を安定に可溶化しやすくなる。特に、界面活性剤、とりわけラウリン酸ポリグリセリルを大量に用いずとも油性成分を可溶化することができる。
【0026】
本発明の水性組成物が必須に含有する油性成分は、いわゆる油剤や油溶性成分等を指し、具体的には25~65℃の水に懸濁して1時間静置した後に水と相分離する成分を指す
。
油性成分としては、特に限定されないが、好ましくは精油、油性香料、シリコーン油が挙げられる。
【0027】
精油とは、植物に含まれる水に不溶~難溶性の有機化合物の混合物であり、一般に揮発性の有機化合物を含み、原料に応じて芳香性を有する。本発明に用いる精油は、常法により製造したもの、市販のものを使用できる。
なお、本発明における精油の採取部位は特に限定されず、花、枝、葉、根、実、蕾等が挙げられるが、全草を用いることもできる。
また、本発明における精油の抽出方法は特に限定されず、水蒸気蒸留法、溶媒抽出法、圧搾法、吸着・吸収法、浸出法、植物を傷付け滲出する液を回収する方法等が挙げられるが、水蒸気蒸留法が好ましい。
【0028】
油性香料とは、油溶性を示す香料であり、合成、天然を問わず、使用できる。また、常法により製造したもの、市販のものを使用できる。
【0029】
精油および油性香料として、限定されないが、例えば、アセチルセドレン、アミルシンナムアルデヒド、アリルアミルグリコレート、β-イオノン、イソイースーパー、イソブチルキノリン、イリス油、イロン、インドール、イランイラン油、ウンデカナール、ウンデセナール、γ-ウンデカラクトン、エストラゴール、オイゲノール、オークモス、オポポナックスレジノイド、オレンジ油、オイゲノール、オーランチオール、ガラクソリッド、カルバクロール、L-カルボン、カンファー、キャノン、キャロットシード油、クローブ油、ケイヒ酸メチル、ゲラニオール、ゲラニルニトリル、酢酸イソボルニル、酢酸ゲラニル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸スチラリル、酢酸セドリル、酢酸テレピネル、酢酸p-t-ブチルシクロヘキシル、酢酸ベチベリル、酢酸ベンジル、酢酸リナリル、サリチル酸イソペンチル、サリチル酸ベンジル、サンダルウッド油、サンタロール、シクラメンアルデヒド、シクロペンタデカノリド、ジヒドロジャスモン酸メチル、ジヒドロミルセノール、ジャスミンアブソリュート、ジャスミンラクトン、cis-ジャスモン、シトラール、シトロネノール、シトロネラール、シナモンバーク油、1,8-シネオール、シンナムアルデヒド、スチラックスレジノイド、セダーウッド油、セドレン、セドロール、セロリシード油、タイム油、ダマスコン、ダマセノン、チモール、チュベローズアブソリュート、デカナール、デカラクトン、テルピネオール、γ-テルピネン、トリプラール、ネロール、ノナナール、2,6-ノナジエノール、ノナラクトン、パチョリアルコール、バニラアブソリュート、バニリン、バジル油、パチョリ油、ヒドロキシシトロネラール、α-ピネン、ピペリトン、フェネチルアルコール、フェニルアセトアルデヒド、プチグレン油、ヘキシルシンナムアルデヒド、cis-3-ヘキセノール、ペルーバルサム、ベチバー油、ベチベロール、ペパーミント油、ペパー油、ヘリオトロピン、ベルガモット油、ベンジルベンゾエート、ボルネオール、ミルレジノイド、ムスクケトン、メチルノニルアセトアルデヒド、γ-メチルヨノン、メントール、L-メントール、L-メントン、ユーカリ油、β-ヨノン、ライム油、ラベンダー油、D-リモネン、リナロール、リラール、リリアール、レモン油、ローズアブソリュート、ローズオキシド、ローズ油、ローズマリー油等が例示できる。
【0030】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、シクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、カプリリルメチコン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマ
ー等が挙げられる。
【0031】
また、精油、油性香料、シリコーン油以外の油性成分として他の油剤が挙げられ、具体的には極性油、天然油、炭化水素油等が挙げられる。
【0032】
極性油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、オクチルメトキシシンナメート等が挙げられる。
【0033】
天然油としては、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、ヒマワリ油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。
【0034】
炭化水素油としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、スクワラン、水添ポリ(C6-12)オレフィン、水添ポリイソブテン等が挙げられる。
【0035】
本発明の水性組成物には、油性成分を一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
本発明の水性組成物における油性成分の含有量は、単独または組み合わせた合計量として、組成物全体に対して、好ましくは0.001~5質量%であり、より好ましくは0.01~1質量%、さらに好ましくは0.1~0.5質量%である。可溶化安定性の観点から5質量%以下が好ましく、組成物における効果の観点から0.001質量%以上が好ましい。
本発明の水性組成物におけるアルキルグリコシドとラウリン酸ポリグリセリルとの合計含有量と、前記油性成分の含有量との質量比が、好ましくは100:1~1:1、より好ましくは50:1~2:1、さらに好ましくは25:1~4:1である。
かかる範囲で用いることにより、油性成分を安定に可溶化しやすくなる。とりわけ、本発明における界面活性剤の組み合わせを用いることにより、組成物に配合する油性成分の量に対して界面活性剤の総量を小さくしても、安定に可溶化できることは有用である。
【0037】
本発明の水性組成物は、さらに、2価アルコールを含有することが好ましい。2価アルコールとしては、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソペンチルグリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、プロピレングリコール
、ジプロピレングリコール、プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等を挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
これらの2価アルコールを含有することで、水性組成物の使用感が好ましくなりやすい。
本発明の水性組成物における2価アルコールの総含有量は、組成物全体に対して、好ましくは0.01~20質量%であり、より好ましくは0.1~15質量%、さらに好ましくは1~10質量%である。
【0038】
本発明の水性組成物は、さらに、エタノールを含有することが好ましい。エタノールを用いることにより、界面活性剤を水性組成物における水性媒体になじみやすくすることができる。
本発明の水性組成物におけるエタノールの総含有量は、組成物全体に対して、好ましくは0.01~20質量%であり、より好ましくは0.1~15質量%、さらに好ましくは1~10質量%である。
【0039】
本発明の水性組成物は、常法により製造することができる。すなわち、混合順序は特に限定されず、含有成分を任意の順番、方法で混合し、可溶化して得ることができる。
【0040】
本発明の水性組成物は、通常水を主な媒体とする。具体的には、組成物全体の好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上含有する。
本発明の水性組成物は、配合成分が水に可溶化している、いわゆる可溶化形態であるため、通常は透明である。ただし、疎水性粉体等を含有する場合は、静置時においてそれらが沈殿して、媒体部分が透明である状態であってもよい。
なお、本明細書において透明とは、目視で定性的にオリや濁りが生じていないことを確認することにより判断することもできるし、定量的には25℃において分光光度計で測定した可視光透過率(波長600nm、光路長1cm)が、コントロールの蒸留水を100とした場合に、70~100の範囲であることでもよい。
【0041】
本発明の水性組成物は、皮膚外用剤の態様とすることが好適であり、具体的には化粧料、医薬部外品、医薬品の態様に好適である。
【0042】
本発明の水性組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の成分を任意に配合することができる。
かかる任意成分としては、化粧料等の皮膚外用剤に通常用いられるものであればよく、例えば、他のアルコール、エーテル、粉体、保湿剤、アルキルグリコシド及びラウリン酸ポリグリセリル以外の界面活性剤、金属イオン封鎖剤、パール剤、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、ビタミン類、酸化防止剤、防腐剤、水溶性高分子、各種有効成分等が挙げられる。
【0043】
他のアルコールとしては、例えば、トリメチロールプロパン等の3価のアルコール;ペンタエリスリトール等の4価のアルコール;キシリトール等の5価のアルコール;トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール重合体;デンプン分解糖還元アルコール等の糖アルコール;ポリグリセリン;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、
エチレングリコールイソプロピルエーテル等のアルコールアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等のアルコールアルキルエーテル類;
キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等のグリセリンモノアルキルエーテル類;
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のアルコール重合体;
グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、等が挙げられる。
【0044】
エーテルとしては、上記アルコールに該当するものの他、
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0045】
粉体としては、球状、針状、板状等その形状は特に限定されず、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、アルミナ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリ(メタ)アクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末等);金属石鹸(例えば、ミ
リスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム);無機白色顔料
(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッド雲母、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッド雲母、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッ
パーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられる。
【0046】
保湿剤としては、例えば、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0047】
アルキルグリコシド及びラウリン酸ポリグリセリル以外の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、並びにアルキルグリコシド及びラウリン酸ポリグリセリル以外の非イオン性界面活性剤(他の非イオン性界面活性剤)が挙げられる。
【0048】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POEアルキルエーテルカルボン酸;POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0049】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-
3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベ
ンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POEアルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0050】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0051】
他の 非イオン性界面活性剤としては、ポリエーテル変性シリコーン類(例えば、ポリエチレングリコール-10ジメチコン、ポリエチレングリコール-12ジメチコン等);ポリグリセリン変性シリコーン類(例えば、ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等);ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリル、(モノステアリン酸/リンゴ酸)グリセリル等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等);グリセリンアルキルエーテル等の非親水性非イオン性界面活性剤が挙げられる。また、ラウリン酸ポリグリセリル以外のポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル等);POEソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等);POEグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEモノオレエート等);POE脂肪酸エステル類(例えば、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POEアルキルエーテル類(例えば、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等);POEアルキルフェニルエーテル類(例えば、POEノニルフェニルエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック(登録商標)等);POE・POPアルキルエーテル類(例えば、POE・POPセチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等);テトラ POE・テトラP
OPエチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等);POEミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POEソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POEプロピレングリコール脂肪酸エステル;POEアルキルアミン;POE脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルグルコシド;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等の親水性非イオン性界面活性剤も挙げられる。
【0052】
ただし、本発明の水性化粧料は、アルキルグリコシド及びラウリン酸ポリグリセリル以
外の、他の界面活性剤を実質的に含有しないことが好ましい。なお、ここで実質的に含有しないとは、その含有量が化粧料全体の好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下であることをいう。
【0053】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0054】
パール剤としては、例えば、ジステアリン酸グリコール、チタンマイカ等が挙げられる。
【0055】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム) 、アシ
ルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0056】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0057】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0058】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
なお、本発明の水性組成物のpHは特に限定されず、通常の化粧料等の皮膚外用剤におけるpHの範囲、具体的には弱酸性~中性の範囲が好ましく、より具体的にはpH5~7程度が好ましい。
【0059】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体
、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0060】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール、ピロ亜硫酸塩、没食子酸エステル、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0061】
防腐剤としては、例えば、パラベン類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0062】
水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、カラギーナン、デンプン(コ
メ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例え
ば、デキストラン、プルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等の天然の水溶性高分子、
デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);、
ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等の合成の水溶性高分子が挙げられる。
【0063】
各種有効成分としては、例えば、消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【実施例0064】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0065】
<試験例>
表1に記載の処方成分を混合し水性組成物を調製した。
得られた各水性組成物について、組成物の溶解状態を熟練の評価者がそれぞれ評価した。結果を表1に合わせて示す。
【0066】
【0067】
<透明性>
製造直後の組成物を目視で観察して、透明性について以下の基準で評価した。
◎:透明状態である
〇:ほぼ透明状態である
△:わずかな濁りまたは分離を認める
×:濁りまたは分離を認める
【0068】
<オリ>
製造後0℃24時間経過後の組成物を目視で観察して、オリの有無について以下の基準で評価した。
〇:オリを認めない
×:オリを認める
【0069】
<べたつき>
組成物を頬に塗布した時に、べたつき(不快な粘着感)を感じるかについて、熟練の評価者が以下の基準で官能評価した。
◎:べたつきを全く感じない
〇:べたつきをほとんど感じない
△:べたつきを感じる
×:べたつきを強く感じる
本発明により、油性成分が安定に透明可溶化して配合された、使用感に優れる水性組成物が提供される。かかる組成物は化粧料等の皮膚外用剤に好適であり、優れた機能性と心地よい外観を求める消費者のニーズに応えるものであり産業上非常に有用である。