(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156451
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
F16H 61/36 20060101AFI20241029BHJP
B60K 20/00 20060101ALI20241029BHJP
B60K 20/02 20060101ALI20241029BHJP
B60K 20/04 20060101ALI20241029BHJP
B60K 26/02 20060101ALI20241029BHJP
A01B 33/08 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
F16H61/36
B60K20/00 F
B60K20/02 H
B60K20/04 Z
B60K26/02
A01B33/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070928
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田仲 亮介
(72)【発明者】
【氏名】楠 みゆう
(72)【発明者】
【氏名】野上 広宣
(72)【発明者】
【氏名】松尾 恒輝
(72)【発明者】
【氏名】西岡 祐
【テーマコード(参考)】
2B033
3D037
3D040
3J067
【Fターム(参考)】
2B033AA03
2B033CA02
2B033CA21
3D037EA03
3D037EA06
3D037EB02
3D037EB03
3D037EB04
3D037EB12
3D037EC05
3D040AA01
3D040AA03
3D040AA22
3D040AA28
3D040AB04
3D040AC01
3D040AC29
3D040AC50
3D040AD02
3D040AD12
3J067AA12
3J067AB07
3J067AC42
3J067BA04
3J067BB04
3J067DA13
3J067DA72
3J067FB61
3J067GA14
(57)【要約】
【課題】走行用の変速装置を備えた作業車において、変速装置及びエンジンのアクセル部の操作性を向上させる。
【解決手段】変速操作具14がアクセル操作具36よりも高速側に操作されると、アクセル操作具36に優先して変速操作具14の操作を第1ワイヤ31から第3ワイヤ33に伝達して、第3ワイヤ33によりアクセル部42を高速側に操作し、且つ、アクセル操作具36が変速操作具14よりも高速側に操作されると、変速操作具14に優先してアクセル操作具36の操作を第2ワイヤ32から第3ワイヤ33に伝達して、第3ワイヤ33によりアクセル部42を高速側に操作するワイヤ連係部34が備えられている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、走行装置と、前記エンジンの動力を変速して前記走行装置に伝達する変速装置と、人為的に操作可能で前記変速装置を操作可能な変速操作具と、人為的に操作可能なアクセル操作具とが備えられ、
前記変速操作具に接続された第1ワイヤと、
前記アクセル操作具に接続された第2ワイヤと、
前記エンジンのアクセル部に接続された第3ワイヤと、
前記変速操作具が前記アクセル操作具よりも高速側に操作されると、前記アクセル操作具に優先して前記変速操作具の操作を前記第1ワイヤから前記第3ワイヤに伝達して、前記第3ワイヤにより前記アクセル部を高速側に操作し、且つ、前記アクセル操作具が前記変速操作具よりも高速側に操作されると、前記変速操作具に優先して前記アクセル操作具の操作を前記第2ワイヤから前記第3ワイヤに伝達して、前記第3ワイヤにより前記アクセル部を高速側に操作するワイヤ連係部とが備えられている作業車。
【請求項2】
前記変速操作具は、変速ペダルであり、
前記変速ペダルを停止位置に付勢する付勢部材が備えられている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記変速装置は、前記エンジンの動力を前進側及び後進側に変速して前記走行装置に伝達可能であり、
前記変速ペダルは、前後に揺動操作可能で、前記変速装置を前進側及び後進側に操作可能であり、
前記停止位置は、前記変速ペダルの前進側の操作と後進側の操作との間の中立位置である請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
前記アクセル操作具は、アクセルレバーであり、
前記アクセルレバーを任意の操作位置に保持可能な保持部材が備えられている請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの動力を変速して走行装置に伝達する変速装置を備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、作業車の一例であるトラクタにおいて、変速装置の一例として、静油圧式の無段変速装置を装備したものが開示されている。変速操作具と無段変速装置とが機械的に接続されており、変速操作具が高速側に操作されることにより、無段変速装置が高速側に操作される。
【0003】
トラクタでは、アクセルレバーが備えられ、アクセルレバーとエンジンのアクセル部とがワイヤ等により機械的に接続されて、アクセルレバーが操作されることにより、エンジンのアクセル部が操作されるように構成されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において作業者は、変速操作具を操作することに加えて、アクセルレバーを操作することがあるので、操作性の面で改善の余地がある。
本発明は、走行用の変速装置を備えた作業車において、変速装置及びエンジンのアクセル部の操作性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業車は、エンジンと、走行装置と、前記エンジンの動力を変速して前記走行装置に伝達する変速装置と、人為的に操作可能で前記変速装置を操作可能な変速操作具と、人為的に操作可能なアクセル操作具とが備えられ、前記変速操作具に接続された第1ワイヤと、前記アクセル操作具に接続された第2ワイヤと、前記エンジンのアクセル部に接続された第3ワイヤと、前記変速操作具が前記アクセル操作具よりも高速側に操作されると、前記アクセル操作具に優先して前記変速操作具の操作を前記第1ワイヤから前記第3ワイヤに伝達して、前記第3ワイヤにより前記アクセル部を高速側に操作し、且つ、前記アクセル操作具が前記変速操作具よりも高速側に操作されると、前記変速操作具に優先して前記アクセル操作具の操作を前記第2ワイヤから前記第3ワイヤに伝達して、前記第3ワイヤにより前記アクセル部を高速側に操作するワイヤ連係部とが備えられている。
【0007】
本発明によると、変速操作具及びアクセル操作具と、エンジンのアクセル部とが、第1ワイヤ、第2ワイヤ、第3ワイヤ及びワイヤ連係部を介して接続されている。
例えば、変速操作具がアクセル操作具よりも低速側に操作されていると、第2ワイヤ、ワイヤ連係部及び第3ワイヤにより、エンジンのアクセル部は、アクセル操作具の操作位置に対応する位置に操作される。変速装置は、変速操作具の操作位置に対応する位置に操作される。
これにより、アクセル操作具よりも低速側の領域において、エンジンのアクセル部がアクセル操作具の操作位置に対応する位置に操作されながら、変速操作具により変速装置が操作される状態が得られる。
【0008】
前述の状態において、変速操作具がアクセル操作具よりも高速側に操作されると、変速装置が高速側に操作されることに加えて、第1ワイヤ、ワイヤ連係部及び第3ワイヤにより、エンジンのアクセル部は、変速操作具の操作位置に対応する位置に操作されるのであり、アクセル操作具の操作位置に対応する位置よりも高速側に操作される。
次に変速操作具がアクセル操作具よりも低速側に操作されると、変速装置が低速側に操作されることに加えて、エンジンのアクセル部が、低速側に操作されて、アクセル操作具の操作位置に対応する位置に操作される状態に戻る。
【0009】
例えば、アクセル操作具が変速操作具よりも低速側に操作されていると、第1ワイヤ、ワイヤ連係部及び第3ワイヤにより、エンジンのアクセル部は、変速操作具の操作位置に対応する位置に操作されるのであり、変速装置は、変速操作具の操作位置に対応する位置に操作される。
これにより、アクセル操作具よりも高速側の領域において、変速操作具により変速装置及びエンジンのアクセル部が操作される状態が得られる。
【0010】
前述の状態において、アクセル操作具が変速操作具よりも高速側に操作されると、変速装置が変速操作具の操作位置に対応する位置に残されながら、第2ワイヤ、ワイヤ連係部及び第3ワイヤにより、エンジンのアクセル部は、アクセル操作具の操作位置に対応する位置に操作されるのであり、変速操作具の操作位置に対応する位置よりも高速側に操作される。
次にアクセル操作具が変速操作具よりも低速側に操作されると、エンジンのアクセル部が、低速側に操作されて、変速操作具の操作位置に対応する位置に戻り、変速操作具により変速装置及びエンジンのアクセル部が操作される状態に戻る。
【0011】
以上のように、本発明によると、アクセル操作具よりも低速側の領域で、エンジンのアクセル部がアクセル操作具の操作位置に対応する位置に操作されながら、変速操作具により変速装置が操作される点、並びに、アクセル操作具よりも高速側の領域で、変速操作具により変速装置及びエンジンのアクセル部の両方が操作される点により、作業車における変速装置及びエンジンのアクセル部の操作性を向上させることができる。
【0012】
本発明によると、前述の2状態を機械的な構成によって得る場合、第1ワイヤ、第2ワイヤ、第3ワイヤ及びワイヤ連係部により得ることができるので、構造の簡素化を図ることができる。
【0013】
本発明において、前記変速操作具は、変速ペダルであり、前記変速ペダルを停止位置に付勢する付勢部材が備えられていると好適である。
【0014】
例えば、エンジンのアクセル部がアクセル操作具の操作位置に対応する位置に操作された状態において、一時的に高速走行する場合等のように、作業者が変速ペダルをアクセル操作具よりも高速側に操作して、変速ペダルにより変速装置及びエンジンのアクセル部が操作される状態になったとする。
【0015】
本発明によると、前述の状態の後に作業者が変速ペダルから足を離すと、付勢部材により変速ペダルが低速側(停止位置)に操作されるのであり、エンジンのアクセル部がアクセル操作具の操作位置に対応する位置に操作される状態に素早く戻る。これにより、作業車における変速装置及びエンジンのアクセル部の操作性の向上の面で有利である。
【0016】
本発明において、前記変速装置は、前記エンジンの動力を前進側及び後進側に変速して前記走行装置に伝達可能であり、前記変速ペダルは、前後に揺動操作可能で、前記変速装置を前進側及び後進側に操作可能であり、前記停止位置は、前記変速ペダルの前進側の操作と後進側の操作との間の中立位置であると好適である。
【0017】
本発明によると、変速装置が前進側及び後進側に操作可能であり、作業者が変速ペダルを前進側及び後進側に操作することにより、変速装置を前進の高速側及び後進の高速側に操作することができる。
【0018】
本発明によると、作業者が変速ペダルを前進側に操作してアクセル操作具よりも高速側に操作すれば、変速ペダルにより変速装置の前進側の操作及びエンジンのアクセル部の操作が行われる。作業者が変速ペダルを後進側に操作してアクセル操作具よりも高速側に操作すれば、変速ペダルにより変速装置の後進側の操作及びエンジンのアクセル部の操作が行われる。
【0019】
これにより、変速ペダルが前進側に操作されても後進側に操作されても(変速装置が前進の高速側に操作されても後進の高速側に操作されても)、エンジンのアクセル部が操作されるので、作業車における変速装置及びエンジンのアクセル部の操作性の向上の面で有利である。
【0020】
本発明によると、作業者が変速ペダルを前進側に操作した状態及び後進側に操作した状態から変速ペダルから足を離すと、付勢部材により変速ペダルが低速側(中立位置)に操作されるのであり、エンジンのアクセル部がアクセル操作具の操作位置に対応する位置に操作される状態に素早く戻る。これにより、作業車における変速装置及びエンジンのアクセル部の操作性の向上の面で有利である。
【0021】
本発明において、前記アクセル操作具は、アクセルレバーであり、前記アクセルレバーを任意の操作位置に保持可能な保持部材が備えられていると好適である。
【0022】
本発明によると、例えば、エンジンのアクセル部がアクセルレバーの操作位置に対応する位置に操作された状態において、アクセルレバーよりも低速側の領域で、作業者が変速操作具により変速装置を操作する場合、作業者がアクセルレバーから手を離しても、アクセルレバーは操作位置に保持される。これにより、作業者にとって、変速操作具による変速装置の操作が行い易くなるので、作業車における変速装置及びエンジンのアクセル部の操作性の向上の面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図7】アクセルレバーの下部の付近の右側面図である。
【
図8】アクセルレバーの下部の付近の横断平面図である。
【
図9】第1ワイヤ、第2ワイヤ、第3ワイヤ及びワイヤ連係部、エンジンのアクセル部の配置を示す右側面図である。
【
図10】変速ペダル及びアクセルレバーとエンジンのアクセル部とが、第1ワイヤ、第2ワイヤ、第3ワイヤ及びワイヤ連係部により連係された状態を示す概略図である。
【
図11】変速ペダル及びアクセルレバーとエンジンのアクセル部とが、第1ワイヤ、第2ワイヤ、第3ワイヤ及びワイヤ連係部により連係された状態を示す概略図である。
【
図12】変速ペダル及びアクセルレバーとエンジンのアクセル部とが、第1ワイヤ、第2ワイヤ、第3ワイヤ及びワイヤ連係部により連係された状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1~
図12に作業車の一例であるトラクタが示されており、
図1~
図12において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0025】
(トラクタの全体構成)
図1及び
図2に示すように、右及び左の機体フレーム3が前後方向に沿って配置され、エンジン4及びクラッチハウジング5が機体フレーム3の前部に連結され、ミッションケース6が機体フレーム3の後部に連結されている。
【0026】
エンジン4及びクラッチハウジング5を覆うボンネット7が設けられている。前フレーム8がエンジン4に連結されており、右及び左の前輪1(走行装置に相当)が前フレーム8に設けられている。右及び左の後輪2(走行装置に相当)がミッションケース6の後部に設けられている。
【0027】
フロア9が機体フレーム3に設けられており、運転座席10がミッションケース6の後部の上部に設けられている。前輪1を操向操作する操縦ハンドル11が、運転座席10の前方に設けられている。ロプスフレーム12が、ミッションケース6の後部に連結され、ミッションケース6から上方に向けて延出されている。
【0028】
(走行系の伝動構成)
図1に示すように、静油圧式の無段変速装置13(変速装置に相当)が、ミッションケース6の前部に連結されている。エンジン4の動力が、クラッチハウジング5の内部のクラッチ(図示せず)から伝動軸(図示せず)を介して、無段変速装置13に伝達される。無段変速装置13は、エンジン4の動力を前進側F1及び後進側R1に無段階に変速可能である。
【0029】
無段変速装置13により変速された動力が、ミッションケース6の内部の副変速装置(図示せず)及び後輪デフ装置(図示せず)を介して、後輪2に伝達される。副変速装置と後輪デフ装置との間から分岐した動力が、ミッションケース6の内部の前輪変速装置(図示せず)から、伝動軸(図示せず)及び前輪デフ装置(図示せず)を介して、前輪1に伝達される。
【0030】
前輪変速装置は、前輪1及び後輪2が同じ速度で駆動される標準状態と、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される増速状態に操作可能である。
操縦ハンドル11により、前輪1が直進位置から右及び左の設定角度の範囲内に操作されていると、前輪変速装置は標準状態に操作されている。操縦ハンドル11により前輪1が右及び左の設定角度を越えて右(左)に操向操作されると、前輪変速装置は増速状態に操作される。
【0031】
(走行系の伝動構成における請求項との対応)
以上の構成により、エンジン4と、走行装置(前輪1及び後輪2)と、エンジン4の動力を変速して走行装置(前輪1及び後輪2)に伝達する変速装置(無段変速装置13)とが備えられている。エンジン4の動力を前進側F1及び後進側R1に変速して走行装置(前輪1及び後輪2)に伝達する変速装置(無段変速装置13)が備えられている。
【0032】
(無段変速装置を操作する変速ペダルの構成)
図1及び
図2に示すように、変速ペダル14(変速操作具に相当)が、フロア9の右部に設けられている。以下の説明のように、変速ペダル14と無段変速装置13のトラニオン軸13a(操作軸に相当)とが接続されており、変速ペダル14により無段変速装置13のトラニオン軸13aが操作される。
【0033】
図3及び
図4に示すように、ブラケット15が右の機体フレーム3に連結されて、支点軸15aがブラケット15に連結されている。操作部材16が、左右方向に沿った軸芯P1周りに揺動可能に、ブラケット15の支点軸15aに取り付けられており、変速ペダル14が操作部材16の上部に連結されている。
【0034】
支点軸26が、右の機体フレーム3に連結されている。連係アーム17及び連係アーム18が、互いに連結されて、左右方向に沿った軸芯P2周りに一体で揺動可能に、支点軸26に取り付けられている。連係ロッド19が、操作部材16と連係アーム17とに亘って接続されている。
【0035】
第1部材21が無段変速装置13のトラニオン軸13aに取り付けられており、接続部材20が、連係アーム18の下部と第1部材21とに亘って接続されている。ショックアブソーバ25が、第1部材21の下部と右の機体フレーム3とに亘って接続されて、ブラケット15と支点軸26との間に前後方向に沿って配置されている。
【0036】
図3及び
図4に示す状態は、変速ペダル14が中立位置N(停止位置に相当)に操作された状態である。
作業者が変速ペダル14の前部を下方に踏み操作して、変速ペダル14が中立位置Nから前進側F1に操作されると、連係ロッド19を介して、連係アーム17,18が
図3の時計方向に揺動し、接続部材20を介して、第1部材21が
図3の時計方向に揺動して、無段変速装置13が前進の高速側に操作される。
【0037】
作業者が変速ペダル14の後部を下方に踏み操作して、変速ペダル14が中立位置Nから後進側R1に操作されると、連係ロッド19を介して、連係アーム17,18が
図3の反時計方向に揺動し、接続部材20を介して、第1部材21が
図3の反時計方向に揺動して、無段変速装置13が後進の高速側に操作される。この場合、変速ペダル14の前進側F1及び後進側R1への急激な操作が、ショックアブソーバ25により抑えられる。
【0038】
(無段変速装置を操作する変速ペダルにおける請求項との対応)
以上の構成により、人為的に操作可能で変速装置(無段変速装置13)を操作可能な変速操作具(変速ペダル14)が備えられている。
人為的に操作可能で、変速装置(無段変速装置13)を前進側F1及び後進側R1に操作可能な変速操作具(変速ペダル14)が備えられている。
【0039】
変速操作具は、変速ペダル14である。変速操作具は、前後に揺動操作可能な変速ペダル14である。変速ペダル14は、前後に揺動操作可能で、変速装置(無段変速装置13)を前進側F1及び後進側R1に操作可能である。
【0040】
(操作取り出し機構の構成)―1
図3及び
図4に示すように、操作取り出し機構27が、無段変速装置13のトラニオン軸13aに設けられている。操作取り出し機構27は、前述の第1部材21と、第2部材22と、バネ23(付勢部材に相当)及びバネ24(付勢部材に相当)とを有している。
【0041】
図3,4,5に示すように、第1部材21は、前述のように無段変速装置13のトラニオン軸13aに取り付けられており、側面視で凹部状のカム部21aが第1部材21の上部の後部に形成されている。
【0042】
第2部材22は、支点部22aと、上部分22bと、下部分22cとを有している。円柱状の支点部材48が、ミッションケース6の前部の右横部に連結されている。支点部22aは、円筒状に形成されており、左右方向に沿った軸芯P3周りに回転可能に、支点部材48に取り付けられている。
【0043】
第2部材22において、上部分22bは支点部22aの上部に連結されており、自由回転可能なローラー22dが上部分22bに設けられ、アーム22fが上部分22bから前方に向けて延出されている。
【0044】
第2部材22において、下部分22cは支点部22aの下部に連結されている。凸部22eが下部分22cの上部の後部に設けられ、凸部22gが下部分22cの下部に設けられている。支点部22a、上部分22b及び下部分22cは、一体で軸芯P3周りに揺動する。
【0045】
バネ23が、第2部材22(上部分22b)のアーム22fとミッションケース6の下部とに亘って接続されている。バネ24が第2部材22の下部分22cとミッションケース6の上部とに亘って接続されている。
【0046】
バネ23,24は、自由長さよりも少し引き延ばされた状態で接続されており、付勢力を発生している。バネ23,24により、第2部材22が
図3及び
図5の時計方向に付勢されており、第2部材22のローラー22dが第1部材21のカム部21aに押圧されている。
【0047】
(操作取り出し機構の構成)―2
図3,4,5に示すように、切換レバー28が、左右方向に沿った軸芯P4周りに揺動可能に、ミッションケース6の前部の右横部に取り付けられている。アーム28aが、切換レバー28に連結されて、軸芯P4の位置から下方に向けて延出されている。
【0048】
連係アーム29が、左右方向に沿った軸芯P5(揺動支点に相当)周りに揺動可能に、切換レバー28のアーム28aの下部に取り付けられている。バネ30が、連係アーム29の後部とミッションケース6の右横部の下部とに亘って接続されており、バネ30により連係アーム29が
図3及び
図5の反時計方向に付勢されている。
【0049】
第1ワイヤ31が設けられており、第1ワイヤ31のインナー31aが連係アーム29の後部に接続されている。第1ワイヤ31は、後述するように、変速ペダル14の前進側F1及び後進側R1への操作をエンジン4のアクセル部42に伝達する。連係アーム29における軸芯P5から後部までの長さB1が、連係アーム29における軸芯P5から前部までの長さB2よりも長いものに設定されている。
【0050】
図3,4,5に示す状態は、切換レバー28が連係位置A1に操作された状態である。この状態において、切換レバー28のアーム28a及び連係アーム29が、操作取り出し機構27の第2部材22に接近して、連係アーム29の前部が操作取り出し機構27(第2部材22)の凸部22eの下方に入り込む。
【0051】
図6に示すように、切換レバー28が解除位置A2に操作されると、切換レバー28のアーム28a及び連係アーム29が、操作取り出し機構27の第2部材22から後方に離れて、連係アーム29の前部が操作取り出し機構27(第2部材22)の凸部22eから後方に離れる。
【0052】
(操作取り出し機構の作動状態)―1
図3,4,5に示す状態は、変速ペダル14が中立位置Nに操作された状態であり、操作取り出し機構27において、第2部材22のローラー22dが第1部材21のカム部21aの中央に位置した状態である。
【0053】
図3,4,5に示す状態において、バネ23,24は自由長さよりも少し引き延ばされて付勢力を発生している。バネ23,24により、第2部材22のローラー22dが第1部材21のカム部21aに押圧されることによって、変速ペダル14及び無段変速装置13は中立位置Nに保持される。
【0054】
リミットスイッチ型式の中立検出センサー35が、ミッションケース6の右横部の下部に取り付けられている。変速ペダル14及び無段変速装置13が中立位置Nに操作されると、操作取り出し機構27(第2部材22)の凸部22gが中立検出センサー35に接触する。これにより、操作取り出し機構27(第2部材22)が中立位置Nに操作されたことが、中立検出センサー35によって検出される。
【0055】
変速ペダル14が中立位置Nから前進側F1に操作されると、前述のように、無段変速装置13が前進の高速側に操作される。操作取り出し機構27において、第1部材21が
図3及び
図5の時計方向に揺動することにより、第1部材21のカム部21aの下部により第2部材22のローラー22dが
図3及び
図5の左方に押し出され、第2部材22が
図3及び
図5の反時計方向に揺動する。
【0056】
変速ペダル14が中立位置Nから後進側R1に操作されると、前述のように、無段変速装置13が後進の高速側に操作される。操作取り出し機構27において、第1部材21が
図3及び
図5の反時計方向に揺動することにより、第1部材21のカム部21aの上部により第2部材22のローラー22dが
図3及び
図5の左方に押し出され、第2部材22が
図3及び
図5の反時計方向に揺動する。
【0057】
これにより、変速ペダル14が中立位置Nから前進側F1に操作されても、変速ペダル14が中立位置Nから後進側R1に操作されても、第2部材22は
図3及び
図5の反時計方向に揺動する。操作取り出し機構27において、バネ23,24が引き延ばされて、第2部材22により変速ペダル14及び無段変速装置13を中立位置Nに戻す付勢力が大きくなる。
【0058】
作業者が変速ペダル14の前部(後部)の踏み操作を止めると、操作取り出し機構27において、バネ23,24及び第2部材22により、変速ペダル14及び無段変速装置13が中立位置Nに戻される。
【0059】
(操作取り出し機構の作動状態)―2
図3及び
図5に示すように、切換レバー28が連係位置A1に操作されると、連係アーム29の前部が操作取り出し機構27(第2部材22)の凸部22eの下方に入り込む。
【0060】
切換レバー28が連係位置A1に操作された状態において、前述のように、変速ペダル14が中立位置Nから前進側F1及び後進側R1に操作されると、操作取り出し機構27の第2部材22が
図3及び
図5の反時計方向に揺動して、操作取り出し機構27(第2部材22)の凸部22eにより、連係アーム29の前部が下方に向けて押し操作される。
【0061】
連係アーム29の前部が下方に向けて押し操作されることによって、連係アーム29が
図3及び
図5の時計方向に揺動操作され、連係アーム29により第1ワイヤ31のインナー31aが操作取り出し機構27に向けて引き操作される。
【0062】
連係アーム29における軸芯P5から後部までの長さB1が、連係アーム29における軸芯P5から前部までの長さB2よりも長いことにより、操作取り出し機構27の第2部材22の揺動が連係アーム29により増幅される。これにより、連係アーム29による第1ワイヤ31のインナー31aの引き操作量が、操作取り出し機構27(第2部材22)の凸部22eの揺動量よりも大きくなる。
【0063】
この場合、変速ペダル14が中立位置Nから前進最高速位置FMに操作された際の操作取り出し機構27(第2部材22)の凸部22eの揺動量と、変速ペダル14が中立位置Nから後進最高速位置RMに操作された際の操作取り出し機構27(第2部材22)の凸部22eの揺動量とが、同じになるように設定されている。
【0064】
これにより、変速ペダル14が前進最高速位置FMに操作されても、変速ペダル14が後進最高速位置RMに操作されても、連係アーム29による第1ワイヤ31のインナー31aの引き操作量は同じである。
【0065】
作業者が変速ペダル14の前部(後部)の踏み操作を止めて、操作取り出し機構27の第2部材22が
図3及び
図5に示す状態に戻ると、バネ30により連係アーム29は
図3及び
図5に示す状態に戻る。
【0066】
(操作取り出し機構の作動状態)―3
図6に示すように、切換レバー28が解除位置A2に操作されると、連係アーム29の前部が操作取り出し機構27(第2部材22)の凸部22eから後方に離れる。
【0067】
切換レバー28が解除位置A2に操作された状態において、前述のように、変速ペダル14が中立位置Nから前進側F1及び後進側R1に操作されて、操作取り出し機構27の第2部材22が
図6の反時計方向に揺動しても、操作取り出し機構27(第2部材22)の凸部22eにより、連係アーム29の前部は下方に向けて押し操作されことはない。
これにより、連係アーム29はバネ30により
図6に示す状態を維持するのであり、第1ワイヤ31が操作取り出し機構27に向けて引き操作されることはない。
【0068】
(操作取り出し機構における請求項との対応)
以上の構成により、変速操作具(変速ペダル14)の前進側F1への操作及び変速操作具(変速ペダル14)の後進側R1への操作を取り出す操作取り出し機構27が備えられている。
【0069】
変速ペダル14を停止位置(中立位置N)に付勢する付勢部材(バネ23,24)が備えられている。停止位置は、変速ペダル14の前進側F1の操作と後進側R1の操作との間の中立位置Nである。
【0070】
操作取り出し機構27は、変速ペダル14の前進側F1及び後進側R1への操作により一方側及び他方側に揺動する第1部材21と、第1部材21に形成されたカム部21aに接触する第2部材22と、第2部材22をカム部21aに押圧されるように付勢することにより第1部材21を変速ペダル14の中立位置Nに付勢する付勢部材(バネ23,24)とを有している。
【0071】
第1部材21は、変速装置(無段変速装置13)の操作軸(トラニオン軸13a)に取り付けられている。
変速ペダル14と第1部材21とに亘って接続された接続部材20が備えられている。
変速ペダル14が操作されると、接続部材20及び第1部材21を介して、操作軸(トラニオン軸13a)が操作される。
【0072】
揺動支点(軸芯P5)周りに揺動可能な連係アーム29が備えられている。
連係アーム29は、第2部材22の操作が連係アーム29の一方側の部分(前部)に伝達されることにより、揺動支点(軸芯P5)周りに揺動する。連係アーム29における揺動支点(軸芯P5)から他方側の部分(後部)までの長さB1が、連係アーム29における揺動支点(軸芯P5)から一方側の部分(前部)までの長さB2よりも、長いものに設定されている。
【0073】
(アクセルレバーの構成)
図1及び
図2に示すように、アクセルレバー36(アクセル操作具に相当)が、操縦ハンドル11の右の横方に設けられている。
図7,8,9に示すように、ハンドルポスト37が、機体フレーム3に連結されて上方に向けて延出されており、ハンドルポスト37の上部に操縦ハンドル11が設けられている。
【0074】
アクセルレバー36は、長い丸棒材がアングル状に折り曲げられて構成されている。アクセルレバー36の中間部及び下部が、上下方向に沿った軸芯P6周りに回転可能に、ハンドルポスト37に取り付けられている。
図1及び
図2に示すように、アクセルレバー36の上部が、アクセルレバー36の中間部から右の横方に向けて延出されており、アクセルレバー36の上部に持ち手部36aが取り付けられている。
【0075】
図7,8,9に示すように、平板状のブラケット38(保持部材に相当)がハンドルポスト37の右横部に連結されており、アクセルレバー36の下部が、軸芯P6周りに回転可能に、ブラケット38の開口部(図示せず)に挿入されている。
【0076】
平板状の操作板39(保持部材に相当)が、アクセルレバー36と一体で回転するように、アクセルレバー36の下部に連結されている。第2ワイヤ32が設けられており、操作板39に連結されたアーム39aに、第2ワイヤ32のインナー32aが接続されている。第2ワイヤ32は、後述するように、アクセルレバー36の操作をエンジン4のアクセル部42に伝達する。
【0077】
(アクセルレバーの操作状態)
図2,7,8,9に示す状態は、アクセルレバー36が最低速位置L1に操作された状態である。この状態において、操作板39の端部39bがハンドルポスト37の右横部に当たるので、アクセルレバー36(持ち手部36a)は、最低速位置L1を越えて前方(
図2及び
図8の反時計方向)に操作されない。
【0078】
アクセルレバー36(持ち手部36a)が後方(
図2及び
図8の時計方向)に操作されると、操作板39により第2ワイヤ32がアクセルレバー36に向けて引き操作される。操作板39の端部39cがハンドルポスト37の右横部に当たる位置が、アクセルレバー36の最高速位置H1である。アクセルレバー36(持ち手部36a)は、最高速位置H1を越えて後方(
図2及び
図8の時計方向)に操作されない。
【0079】
図7,8,9に示すように、摩擦板40(保持部材に相当)が、操作板39とブラケット38との間に設けられている。バネ41(保持部材に相当)が、アクセルレバー36の下端部とブラケット38との間に設けられている。バネ41によりアクセルレバー36が下方に向けて付勢されており、摩擦板40と操作板39とブラケット38とが互いに押圧されている。
【0080】
摩擦板40、操作板39及びブラケット38の摩擦作用により、アクセルレバー36は最低速位置L1と最高速位置H1との間の任意の操作位置に保持される。作業者は、アクセルレバー36の持ち手部36aを持ち、摩擦板40、操作板39及びブラケット38の摩擦作用に抗して、アクセルレバー36を操作する。
【0081】
(アクセルレバーにおける請求項との対応)
以上の構成により、アクセル操作具は、アクセルレバー36である。
アクセルレバー36を任意の操作位置に保持可能な保持部材(ブラケット38、操作板39、摩擦板40及びバネ41)が備えられている。
【0082】
(変速ペダル及びアクセルレバーとエンジンのアクセル部との連係の概要)
図9に示すように、アーチ状のフレーム43が、クラッチハウジング5に連結されており、ボンネット7(
図1及び
図2参照)と、燃料タンク44とが、フレーム43に取り付けられている。ワイヤ連係部34(連係機構に相当)が、フレーム43の右横部に連結されたブラケット(図示せず)に取り付けられており、前述の第2ワイヤ32がワイヤ連係部34に接続されている。
【0083】
前述の第1ワイヤ31(
図3~
図6参照)(連係機構に相当)が、フロア9の下方を右の機体フレーム3に沿って前方に向けて延出され、フロア9の前部から上方に向けて延出されて、ワイヤ連係部34に接続されている。
【0084】
アクセル部42がエンジン4の右部に設けられており、アクセル部42を操作する操作アーム42aが、左右方向に沿った軸芯P7周りに揺動可能にアクセル部42に設けられている。第3ワイヤ33(連係機構に相当)が、ワイヤ連係部34とアクセル部42の操作アーム42aとに亘って接続されている。第1ワイヤ31が、第2ワイヤ32及び第3ワイヤ33よりも長いものとなっており、第2ワイヤ32が第3ワイヤ33よりも少し長いものとなっている。
【0085】
(ワイヤ連係部の構成)―1
図10に示すように、ワイヤ連係部34は、パイプ状の本体部45と、本体部45の内部に設けられた連係部材46とを有している。連係部材46は、本体部45の内部において、最低速位置L3と最高速位置H3とに亘って移動可能である。
【0086】
第3ワイヤ33のインナー33aの一方の端部が、アクセル部42の操作アーム42aに接続されている。第3ワイヤ33のインナー33aの他方の端部が、ワイヤ連係部34の本体部45の前部から内部に挿入されて、ワイヤ連係部34の連係部材46に接続されている。アクセル部42の操作アーム42aは、アクセル部42に内装されるバネ47により、最低速位置L2に付勢されている。
【0087】
アクセル部42の操作アーム42aの最低速位置L2と、ワイヤ連係部34(本体部45)の最低速位置L3とが一致している。アクセル部42の操作アーム42aの最高速位置H2と、ワイヤ連係部34(本体部45)の最高速位置H3とが一致している。
前述の状態が得られるように、アクセル部42の操作アーム42aの長さが設定されている。
【0088】
ワイヤ連係部34において、連係部材46が最低速位置L3と最高速位置H3とに亘って操作されることにより、連係部材46及びバネ47により、アクセル部42の操作アーム42aが最低速位置L2と最高速位置H2とに亘って操作される。
【0089】
(ワイヤ連係部の構成)―2
図10に示すように、第1ワイヤ31のインナー31a及び第2ワイヤ32のインナー32aが、ワイヤ連係部34の本体部45の後部から内部に挿入されている。連係部材46に、貫通孔46a,46bが開口されている。
【0090】
第1ワイヤ31のインナー31aが連係部材46の貫通孔46aに挿入され、第1ワイヤ31のインナー31aの端部に受け部31bが取り付けられている。第2ワイヤ32のインナー32aが連係部材46の貫通孔46bに挿入され、第2ワイヤ32のインナー32aの端部に受け部32bが取り付けられている。第1ワイヤ31及び第2ワイヤ32のインナー31a,32aは、連係部材46の貫通孔46a,46bの内部を移動可能である。
【0091】
変速ペダル14(無段変速装置13)が中立位置Nに操作されると、第1ワイヤ31の受け部31bは、ワイヤ連係部34(本体部45)の最低速位置L3に位置する。変速ペダル14(無段変速装置13)が前進最高速位置FM及び後進最高速位置RMに操作されると、第1ワイヤ31の受け部31bは、ワイヤ連係部34(本体部45)の最高速位置H3に位置する。
【0092】
前述の状態が得られるように、
図3及び
図5に示す連係アーム29における軸芯P5から後部までの長さB1と、連係アーム29における軸芯P5から前部までの長さB2とにおいて、長さB1と長さB2との比が設定されている。
【0093】
アクセルレバー36が最低速位置L1に操作されると、第2ワイヤ32の受け部32bは、ワイヤ連係部34(本体部45)の最低速位置L3に位置する。アクセルレバー36が最高速位置H1に操作されると、第2ワイヤ32の受け部32bは、ワイヤ連係部34(本体部45)の最高速位置H3に位置する。
前述の状態が得られるように、アクセルレバー36において、
図8に示す操作板39のアーム39aの長さが設定されている。
【0094】
(変速ペダル及びアクセルレバーとエンジンのアクセル部との連係状態)―1
図10に示す状態は、変速ペダル14(無段変速装置13)が中立位置Nに操作され、アクセルレバー36が最低速位置L1と最高速位置H1との間の任意の中間位置に操作された状態である。
【0095】
図10に示す状態において、第1ワイヤ31の受け部31bは、変速ペダル14によりワイヤ連係部34(本体部45)の最低速位置L3に操作されている。ワイヤ連係部34において、連係部材46は、第2ワイヤ32によりアクセルレバー36の操作位置に対応する位置に操作されている。
【0096】
アクセル部42の操作アーム42aは、第3ワイヤ33により連係部材46の操作位置に対応する位置に操作されるのであり、第2ワイヤ32及び第3ワイヤ33によりアクセルレバー36の操作位置に対応する位置に操作される。
【0097】
アクセルレバー36は、
図7及び
図8に示す摩擦板40、操作板39及びブラケット38の摩擦作用により操作位置に保持されるのであり、アクセル部42の操作アーム42aは、第2ワイヤ32及び第3ワイヤ33により、バネ47に抗してアクセルレバー36の操作位置に対応する位置に保持される。
【0098】
図10に示す状態において、変速ペダル14(無段変速装置13)が中立位置Nから前進側F1(後進側R1)に操作されると、第1ワイヤ31のインナー31aが、変速ペダル14に向けて引き操作されて、第1ワイヤ31の受け部31bは、ワイヤ連係部34(本体部45)の最低速位置L3から連係部材46に向けて操作される。
【0099】
この場合、第1ワイヤ31の受け部31bが、ワイヤ連係部34(本体部45)の最低速位置L3と第2ワイヤ32の受け部32bの位置との間で操作されるものであれば、変速ペダル14(無段変速装置13)が操作されても、アクセル部42の操作アーム42aは、第2ワイヤ32及び第3ワイヤ33によりアクセルレバー36の操作位置に対応する位置に保持される。
【0100】
以上の状態が、アクセルレバー36が変速ペダル14よりも高速側に操作された状態である。この状態では、エンジン4の回転数がアクセルレバー36の操作位置に対応する回転数に維持されながら、変速ペダル14により無段変速装置13の操作が行われる。
【0101】
(変速ペダル及びアクセルレバーとエンジンのアクセル部との連係状態)―2
図10に示す状態から、変速ペダル14(無段変速装置13)が前進側F1(後進側R1)に大きく操作されて、第1ワイヤ31の受け部31bが、第2ワイヤ32の受け部32bの位置を越えて、ワイヤ連係部34(本体部45)の最高速位置H3に向けて操作されたとする。
【0102】
前述の状態になると、
図11に示すように、第1ワイヤ31の受け部31bによって、連係部材46は、ワイヤ連係部34(本体部45)の最高速位置H3の側に操作されるのであり、第1ワイヤ31により変速ペダル14(無段変速装置13)の操作位置に対応する位置に操作される。
【0103】
これにより、アクセル部42の操作アーム42aは、第3ワイヤ33により連係部材46の操作位置に対応する位置に操作されるのであり、第1ワイヤ31及び第3ワイヤ33により変速ペダル14(無段変速装置13)の操作位置に対応する位置に操作される。
【0104】
変速ペダル14(無段変速装置13)が前進最高速位置FM(後進最高速位置RM)に操作されると、第1ワイヤ31の受け部31bは、ワイヤ連係部34(本体部45)の最高速位置H3に操作され、アクセル部42の操作アーム42aは、最高速位置H2に操作される。アクセルレバー36は、
図7及び
図8に示す摩擦板40、操作板39及びブラケット38の摩擦作用により操作位置に保持される。
【0105】
図11に示す状態から、変速ペダル14(無段変速装置13)が中立位置Nに向けて操作され、第1ワイヤ31の受け部31bが、第2ワイヤ32の受け部32bの位置を越えて、ワイヤ連係部34(本体部45)の最低速位置L3に向けて操作されたとする。
【0106】
前述の状態になると、
図10に示すように、連係部材46及びアクセル部42の操作アーム42aは、第2ワイヤ32及び第3ワイヤ33によりアクセルレバー36の操作位置に対応する位置に保持される状態に戻る。
【0107】
以上の状態が、変速ペダル14がアクセルレバー36よりも高速側に操作された状態である。この状態では、変速ペダル14により、無段変速装置13及びエンジン4の回転数が操作される。
【0108】
(変速ペダル及びアクセルレバーとエンジンのアクセル部との連係状態)―3
図12に示す状態は、変速ペダル14(無段変速装置13)が中立位置Nから前進側F1(後進側R1)に操作されて、アクセルレバー36が最低速位置L1に操作された状態である。第2ワイヤ32の受け部32bは、アクセルレバー36によりワイヤ連係部34(本体部45)の最低速位置L3に操作されている。
【0109】
図12に示す状態において、変速ペダル14(無段変速装置13)が中立位置Nと前進最高速位置FM(後進最高速位置RM)とに亘って操作されると、連係部材46は、第1ワイヤ31によりワイヤ連係部34(本体部45)の最低速位置L3と最高速位置H3とに亘って操作されるのであり、変速ペダル14(無段変速装置13)の操作位置に対応する位置に操作される。
【0110】
これにより、アクセル部42の操作アーム42aは、第3ワイヤ33により連係部材46の操作位置に対応する位置に操作されるのであり、第1ワイヤ31及び第3ワイヤ33により最低速位置L2と最高速位置H2とに亘って、変速ペダル14(無段変速装置13)の操作位置に対応する位置に操作される。
【0111】
以上の状態が、変速ペダル14がアクセルレバー36よりも高速側に操作された状態である。この状態では、変速ペダル14により、無段変速装置13及びエンジン4の回転数が操作される。
【0112】
(変速ペダル及びアクセルレバーとエンジンのアクセル部との連係状態)―4
図12に示す状態において、アクセルレバー36が最低速位置L1から最高速位置H1に向けて操作されて、第2ワイヤ32の受け部32bが第1ワイヤ31の受け部31bの位置に達し、アクセルレバー36がさらに最高速位置H1に向けて操作されたとする。
【0113】
前述の状態になると、第2ワイヤ32の受け部32bによって、連係部材46は、
図12に示す位置からワイヤ連係部34(本体部45)の最高速位置H3に向けて操作されるのであり、第2ワイヤ32によりアクセルレバー36の操作位置に対応する位置に操作される。アクセル部42の操作アーム42aは、第3ワイヤ33により連係部材46の操作位置に対応する位置に操作されるのであり、
図12に示す位置から高速側に操作される。
【0114】
次にアクセルレバー36が最低速位置L1に向けて操作されて、第2ワイヤ32の受け部32bが、第1ワイヤ31の受け部31bの位置を越えて、ワイヤ連係部34(本体部45)の最低速位置L3に向けて操作されたとする。
【0115】
前述の状態になると、
図12に示すように、連係部材46及びアクセル部42の操作アーム42aは、第1ワイヤ31及び第3ワイヤ33により変速ペダル14の操作位置に対応する位置に操作される状態に戻る。
【0116】
以上の状態が、アクセルレバー36が変速ペダル14よりも高速側に操作された状態である。この状態では、無段変速装置13が変速ペダル14の操作位置に対応する位置に操作されながら、エンジン4の回転数が操作される。
【0117】
(変速ペダル及びアクセルレバーとエンジンのアクセル部とにおける請求項との対応)
以上の構成により、操作取り出し機構27によって取り出された変速操作具(変速ペダル14)の前進側F1への操作をエンジン4のアクセル部42に伝達して、アクセル部42を高速側に操作し、且つ、操作取り出し機構27によって取り出された変速操作具(変速ペダル14)の後進側R1への操作をアクセル部42に伝達して、アクセル部42を高速側に操作する連係機構(第1ワイヤ31、第3ワイヤ33及びワイヤ連係部34)が備えられている。
【0118】
連係機構(第1ワイヤ31、第3ワイヤ33及びワイヤ連係部34)は、変速ペダル14が前進側F1及び後進側R1に操作されると、カム部21aによる第2部材22の操作をアクセル部42に伝達して、アクセル部42を高速側に操作する。
【0119】
連係機構(第1ワイヤ31、第3ワイヤ33及びワイヤ連係部34)は、連係アーム29の他方側の部分の動作をアクセル部42に伝達して、アクセル部42を高速側に操作する。
【0120】
変速操作具(変速ペダル14)に接続された第1ワイヤ31と、アクセル操作具(アクセルレバー36)に接続された第2ワイヤ32と、エンジン4のアクセル部42に接続された第3ワイヤ33とが備えられている。
【0121】
変速操作具(変速ペダル14)がアクセル操作具(アクセルレバー36)よりも高速側に操作されると、アクセル操作具(アクセルレバー36)に優先して変速操作具(変速ペダル14)の操作を第1ワイヤ31から第3ワイヤ33に伝達して、第3ワイヤ33によりアクセル部42を高速側に操作し、且つ、アクセル操作具(アクセルレバー36)が変速操作具(変速ペダル14)よりも高速側に操作されると、変速操作具(変速ペダル14)に優先してアクセル操作具(アクセルレバー36)の操作を第2ワイヤ32から第3ワイヤ33に伝達して、第3ワイヤ33によりアクセル部42を高速側に操作するワイヤ連係部34が備えられている。
【0122】
(発明の実施の第1別形態)
アクセルレバー36に代えて、アクセルペダル(図示せず)をアクセル操作具として備えてもよい。この場合、バネ(図示せず)により、アクセルペダルが低速側に付勢されるように構成すればよい。
【0123】
(発明の実施の第2別形態)
変速ペダル14に代えて、前進側F1及び後進側R1に操作可能な変速レバー(図示せず)を、変速操作具として備えてもよい。この場合、摩擦作用により変速レバーを任意の操作位置に保持可能な保持部材を備えればよい。
【0124】
(発明の実施の第3別形態)
変速操作具(無段変速装置13)が前進最高速位置FMに操作されると、アクセル部42の操作アーム42aが最高速位置H2に操作されるように構成されるのに対して、変速操作具(無段変速装置13)が後進最高速位置RMに操作されると、アクセル部42の操作アーム42aが、最高速位置H2よりも少し低速側の位置に操作されるように構成してもよい。
【0125】
(発明の実施の第4別形態)
前進側F1及び後進側R1に操作可能な無段変速装置13に代えて、例えばベルト無段変速型式のように、前進側F1だけに変速可能な無段変速装置(図示せず)を変速装置として備えてもよい。この場合、無段変速装置とは別に、前後進切換装置を備えればよい。
【0126】
(発明の実施の第5別形態)
変速ペダル14が中立位置Nから前進最高速位置FM(後進最高速位置RM)に操作された際の操作取り出し機構27(第2部材22)の凸部22eの揺動量と、ワイヤ連係部34(本体部45)の最低速位置L3と最高速位置H3との間隔との関係により、以下の説明のように構成してもよい。
【0127】
連係アーム29における軸芯P5から後部までの長さB1と、連係アーム29における軸芯P5から前部までの長さB2とを、同じ長さに設定してもよく、長さB2を長さB1よりも長いものに設定してもよい。
【0128】
(発明の実施の第6形態)
前進側F1及び後進側R1に操作可能な無段変速装置13に代えて、ギヤ変速型式の有段変速の変速装置(図示せず)を備えてもよい。
後輪2に代えて、クローラ式の走行装置を備えてもよい。前輪1及び後輪2に代えて、クローラ式の走行装置を備えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、エンジン4だけを備えた作業車ばかりではなく、エンジン4とモータ(図示せず)及びバッテリ(図示せず)とを備えたハイブリッド型式の作業車にも適用できる。
【符号の説明】
【0130】
1 前輪(走行装置)
2 後輪(走行装置)
4 エンジン
13 無段変速装置(変速装置)
14 変速ペダル(変速操作具)
23 バネ(付勢部材)
24 バネ(付勢部材)
31 第1ワイヤ
32 第2ワイヤ
33 第3ワイヤ
34 ワイヤ連係部
36 アクセルレバー(アクセル操作具)
38 ブラケット(保持部材)
39 操作板(保持部材)
40 摩擦板(保持部材)
41 バネ(保持部材)
42 アクセル部
F1 前進側
R1 後進側
N 中立位置(停止位置)