(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156459
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ガラスコーティング床材のメンテナンス方法、及び剥離剤
(51)【国際特許分類】
E04F 15/12 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
E04F15/12 L
E04F15/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070938
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000115083
【氏名又は名称】ユシロ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】川口 哲史
(72)【発明者】
【氏名】立花(奥山) 椰英子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一之
(72)【発明者】
【氏名】平佐 哲也
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA29
2E220AA51
2E220AC05
2E220BB04
2E220EA02
2E220FA05
2E220GB11
2E220GB28X
2E220GB32X
2E220GB37X
(57)【要約】
【課題】床材に悪影響を及ぼすことなく、簡便にガラスコーティング床材をメンテナンスできるメンテナンス方法や、このメンテナンス方法に好適に使用できる剥離剤を提供すること。
【解決手段】床材上に、樹脂を含有する第1のベースコート、及びシロキサン結合を有する成分を含有する第1のガラスコートがこの順番で積層されたガラスコーティング床材のメンテナンス方法であって、第1のガラスコートを分解できる剥離剤を使用して、第1のベースコートを残しつつ、第1のガラスコートを溶解除去するガラスコート除去工程を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床材上に、樹脂を含有する第1のベースコート、及びシロキサン結合を有する成分を含有する第1のガラスコートがこの順番で積層されたガラスコーティング床材のメンテナンス方法であって、
前記第1のガラスコートを分解できる剥離剤を使用して、前記第1のベースコートを残しつつ、前記第1のガラスコートを溶解除去するガラスコート除去工程を含む、
ガラスコーティング床材のメンテナンス方法。
【請求項2】
前記第1のベースコートが含有している樹脂が、ウレタン結合を有する樹脂、又はアクリル樹脂を架橋剤で架橋した架橋アクリル樹脂である、
請求項1に記載のガラスコーティング床材のメンテナンス方法。
【請求項3】
前記ガラスコート除去工程の後に、前記第1のベースコート上に、シロキサン結合を有する成分を含有する第2のガラスコートを形成するガラスコート形成工程を含む、
請求項1又は2に記載のガラスコーティング床材のメンテナンス方法。
【請求項4】
前記ガラスコート形成工程の前に、前記第1のベースコート上に、樹脂を含有する第2のベースコートを形成するベースコート形成工程を含む、
請求項3に記載のガラスコーティング床材のメンテナンス方法。
【請求項5】
前記第2のベースコートは、前記剥離剤で溶解除去できる、
請求項4に記載のガラスコーティング床材のメンテナンス方法。
【請求項6】
床材上に、樹脂を含有するベースコート、及びシロキサン結合を有する成分を含有するガラスコートがこの順番で積層されたガラスコーティング床材に対して使用する剥離剤であって、
前記剥離剤は、アルカリ金属の水酸化物、界面活性剤及び水を含有しており、
前記剥離剤の総質量に対する前記アルカリ金属の水酸化物の質量が4質量%以上であり、
前記剥離剤の総質量に対する前記界面活性剤の質量が0.01質量%以上であり、
(i)前記剥離剤は、有機溶剤を含有していないか、又は(ii)前記剥離剤の総質量に対する有機溶剤の質量が6質量%以下である、
剥離剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスコーティング床材のメンテナンス方法、及び剥離剤に関する。
【背景技術】
【0002】
商業施設等の床材に対しては、美観の維持、及び床材表面の保護を目的とした表面コーティング処理が広くなされている。表面コーティング処理としては、床材上にコーティング剤を塗工してコーティング被膜を形成する方法等が知られている。コーティング被膜を得るためのコーティング剤については種々の検討がなされており、例えば、特許文献1には、床材の美観、及び床材の耐久性を良好なものとできる床用コーティング剤として、シランカップリング剤、又はアルコキシシランを含む床用コーティング剤が提案されている。特許文献1に提案がされているようなコーティング剤を塗工して得られるコーティング被膜は、シロキサン結合を有する成分を含有している。このようなシロキサン結合を有する成分を含有するコーティング被膜は、ガラスコート、ガラス被膜、トップコート等と称されている(以下、ガラスコートという)。通常、ガラスコートを形成する場合にあっては、床材上に、樹脂を含有するベース剤を塗工してベースコートを形成し、この上に、ガラスコートを形成することが広く行われている。ベースコートは、床材とガラスコートとの密着性の向上や、床材の表面に存在している凹凸を埋めて床材表面の平滑性を向上させる役割を果たす。床材、ベースコート、及びガラスコートがこの順番で積層されたものは、ガラスコーティングされた床材(以下、ガラスコーティング床材という)等と称されている。
【0003】
ガラスコートの劣化、ガラスコートに生ずる傷等によるガラスコーティング床材の美観の低下や、耐久性の低下を改善するべく、ガラスコーティング床材に対しては、定期的なメンテナンス作業が行われている。メンテナンス作業では、床材から、ベースコート、及びガラスコートの双方を除去する除去作業や、除去作業後の床材に対して、ベースコート、及びガラスコートを、この順で新たに形成する再生作業が行われる。従来、このような除去作業では、ポリッシャー等を使用して、ガラスコート、及びベースコートを削り取っている。しかしながら、床材表面を傷つけずに、ガラスコート、及びベースコートのみを完全に削り取ることは、非常に困難であるとともに、床材表面が傷ついた場合には、床材表面の修復作業が必要となり、作業時間の増大や、作業コストが高くなる等の問題が生ずる。また、床材の表面は、大小様々な凹凸を有しており、ベースコートや、ガラスコートを形成したときに、その一部分は、床材の凹部の内部空間を埋めるように存在している。この場合、床材を傷つけることなく、床材の凹部の内部空間に存在しているベースコートや、ガラスコートを削り取ることは困難である。
【0004】
このような状況下、特許文献2には、ガラスコートを形成するためのコーティング組成物として、アルキルオキシシラン、アルキルポリシリケート、有機ポリマー、有機溶剤、及びアルカリ可溶性樹脂を含むトップコート組成物が提案されている。特許文献2に提案がされているトップコート組成物によれば、このトップコート組成物を使用して形成したトップコート(ガラスコート)を、剥離剤によって、樹脂ワックスからなるベースコートとともに容易に除去できるとされている。しかしながら、特許文献2に提案がされているような、ベースコートと、トップコートの双方を除去する方法では、再生作業において、改めてベースコートから形成する必要があり、再生作業における作業時間の増大や、コスト高につながる。特に、ベースコートは、その上に形成されているガラスコートによって保護されており、多くの場合、ベースコート自体に劣化や、傷等は生じておらず、そのまま問題なく使用できる。また、剥離剤は、通常、有機溶剤を含有しており、ベースコートを除去したときに、剥離剤が含有している有機溶剤によって床材自身がダメージを受けてしまう場合もある。さらに、商業施設の床材では、床材上に、店舗案内等のシールが貼られ、この上に、ベースコート、ガラスコートを形成しているものも多く、剥離剤でベースコートを除去した場合には、剥離剤によってシールがダメージを受けてしまうといった問題も生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-48991号公報
【特許文献2】特開2011-236706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、床材に悪影響を及ぼすことなく、簡便にガラスコーティング床材をメンテナンスできるメンテナンス方法や、このメンテナンス方法に好適に使用できる剥離剤の提供を主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施の形態に係るガラスコーティング床材のメンテナンス方法は、床材上に、樹脂を含有する第1のベースコート、及びシロキサン結合を有する成分を含有する第1のガラスコートがこの順番で積層されたガラスコーティング床材のメンテナンス方法であって、前記第1のガラスコートを分解できる剥離剤を使用して、前記第1のベースコートを残しつつ、前記第1のガラスコートを溶解除去するガラスコート除去工程を含む。
上記のメンテナンス方法において、前記第1のベースコートが含有している樹脂を、ウレタン結合を有する樹脂、又はアクリル樹脂を架橋剤で架橋した架橋アクリル樹脂としてもよい。
上記のメンテナンス方法において、前記ガラスコート除去工程の後に、前記第1のベースコート上に、シロキサン結合を有する成分を含有する第2のガラスコートを形成するガラスコート形成工程を行ってもよい。
上記のメンテナンス方法において、前記ガラスコート形成工程の前に、前記第1のベースコート上に、樹脂を含有する第2のベースコートを形成するベースコート形成工程を行ってもよい。
上記のメンテナンス方法において、前記第2のベースコートとして、前記剥離剤で溶解除去できるものを形成してもよい。
【0008】
本開示の実施の形態に係る剥離剤は、床材上に、樹脂を含有するベースコート、及びシロキサン結合を有する成分を含有するガラスコートがこの順番で積層されたガラスコーティング床材に対して使用する剥離剤であって、前記剥離剤は、アルカリ金属の水酸化物、界面活性剤及び水を含有しており、前記剥離剤の総質量に対する前記アルカリ金属の水酸化物の質量が4質量%以上であり、前記剥離剤の総質量に対する前記界面活性剤の質量が0.01質量%以上であり、(i)前記剥離剤は、有機溶剤を含有していないか、又は(ii)前記剥離剤の総質量に対する有機溶剤の質量が6質量%以下である。
【0009】
上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るガラスコーティング床材のメンテナンス方法によれば、床材に悪影響を及ぼすことなく、簡便にガラスコーティング床材をメンテナンスできる。また、本発明に係る剥離剤によれば、床材に悪影響を及ぼすことなく、簡便にガラスコーティング床材をメンテナンスできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るガラスコーティング床材のメンテナンス方法の一例を示す工程図である。
【
図2】本実施形態に係るガラスコーティング床材のメンテナンス方法の一例を示す工程図である。
【
図3】本実施形態に係るガラスコーティング床材のメンテナンス方法の一例を示す工程図である。
【
図4】本実施形態に係るガラスコーティング床材のメンテナンス方法の一例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
<<ガラスコーティング床材のメンテナンス方法>>
以下、本開示の実施の形態に係るガラスコーティング床材のメンテナンス方法(以下、一実施形態のメンテナンス方法という)について説明する。
図1~
図4は、本実施形態に係るガラスコーティング床材のメンテナンス方法の一例を示す工程図である。一実施形態のメンテナンス方法は、床材1上に、樹脂を含有する第1のベースコート2A、シロキサン結合を有する成分を含有する第1のガラスコート3Aがこの順番で積層されたガラスコーティング床材10のメンテナンス方法であり、除去工程を含む。一実施形態のメンテナンス方法によれば、床材1に悪影響を及ぼすことなく、簡便にガラスコーティング床材10をメンテナンスできる。
【0014】
<除去工程>
除去工程は、第1のガラスコート3Aを分解できる剥離剤5を使用して、第1のベースコートを残しつつ、第1のガラスコート3Aを溶解除去する工程である。
【0015】
(ガラスコーティング床材)
一実施形態のメンテナンス方法に適用されるガラスコーティング床材10は、以下の(i)~(iii)の条件を満たすものであればよい。(i)床材1、第1のベースコート2A、第1のガラスコート3Aがこの順番で積層された積層体であり、(ii)第1のベースコートは樹脂を含有しており、(iii)第1のガラスコート3Aはシロキサン結合を有する成分を含有している。はじめに、この条件を満たすガラスコーティング床材10について一例を挙げて説明する。
【0016】
(床材)
一実施形態のメンテナンス方法は、第1のベースコート2Aを残しつつ、第1のガラスコート3Aを溶解除去するものであり、第1のガラスコート3Aの除去中、及び第1のガラスコート3Aの除去後においても床材1の表面は第1のベースコート2Aで保護されている。つまり、一実施形態のメンテナンス方法では、剥離剤5と床材1との接触を抑制できる。一実施形態のメンテナンス方法は、いかなる床材1を備えたガラスコーティング床材10に対しても、床材1に悪影響を及ぼすことなく、第1のガラスコート3Aの除去が可能である。例えば、剥離剤5によってダメージを受けるような床材1を備えたガラスコーティング床材10に対しても、床材1に悪影響を及ぼすことなく、第1のガラスコート3Aの除去が可能となる。床材1としては、プラスチック系床材、石質系床材、木質系床材等を例示できる。プラスチック系床材としては、ビニル系床材、ゴム系床材、オレフィン系床材、塗床等を例示できる。石質系床材としては、大理石、御影石、テラゾー、陶磁器系床材、セラミック等を例示できる。木質系床材としては、フローリング、コルクタイル等を例示できる。
【0017】
(第1のベースコート)
ガラスコーティング床材10は、床材1上に位置する第1のベースコート2Aを備えている。第1のベースコート2Aは樹脂を含有している。樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、及びアクリルウレタン等を例示できる。樹脂を架橋剤で架橋した架橋樹脂でもよい。これらの樹脂を含有する第1のベースコート2Aの中でも、ウレタン結合を有する樹脂を含有する第1のベースコート2Aや、アクリル樹脂を架橋剤で架橋した架橋アクリル樹脂を含有する第1のベースコート2Aは、他の樹脂を含有するベースコートと比較して、後述する剥離剤5に対する耐久性が極めて良好である。一実施形態のメンテナンス方法は、ウレタン結合を有する樹脂、及び架橋アクリル樹脂の何れか一方、又は双方を含有する第1のベースコート2Aを備えたガラスコーティング床材10に対して、特に好適である。一例としての第1のベースコート2Aは、ウレタン結合を有する樹脂、及び架橋アクリル樹脂の何れか一方、又は双方を、第1のベースコート2Aの総質量に対して60質量%以上含有している。第1のベースコート2Aは、樹脂とともに、樹脂以外の成分や、各種の機能性成分を含有するものでもよい。機能性成分としては、界面活性剤、防腐剤、消泡剤、除菌剤、染料、及び香料等を例示できる。
【0018】
(第1のガラスコート)
ガラスコーティング床材10は、第1のベースコート2A上に位置する第1のガラスコート3Aを備えている。第1のガラスコート3Aはシロキサン結合を有する成分を含有している。一例としての第1のガラスコート3Aは、アルコキシシラン、シリカ、界面活性剤、触媒、及び水を含有するコーティング剤を使用して形成されたものである。一例としての第1のガラスコート3Aは、従来公知のシロキサン系のコーティング剤を使用して形成されたものである。
【0019】
(剥離剤)
剥離剤5としては、シロキサン結合を有する成分を含有する第1のガラスコート3Aを分解して溶解でき、その一方で、樹脂を含有する第1のベースコート2Aを溶解できないものを使用すればよい。以下、一実施形態のメンテナンス方法に使用できる剥離剤5について、一例を挙げて具体的に説明する。
【0020】
本願明細書において、「第1のガラスコートを溶解除去できる」とは、剥離剤500mlを入れたビーカーに、ガラスコート片15gを入れ、60分後にガラスコート片の存在を目視で確認できないことを意味する。
また、本願明細書において、「第1のベースコートを残しつつ」とは、剥離剤500mlを入れたビーカーに、ベースコート片15gを入れたときに、60分後のベースコート片の質量減少率が10%以下であることを意味する。
【0021】
一実施形態のメンテナンス方法に使用できる好ましい形態の剥離剤5は、アルカリ金属の水酸化物、界面活性剤及び水を含有している。この形態の剥離剤5によれば、アルカリ金属の水酸化物によって、第1のガラスコート3Aのシロキサン結合を切断でき、これにより、ガラスコートを分解できる。また、界面活性剤によって、ガラスコーティング床材10の表面(第1のガラスコート3A)への剥離剤5の濡れ性を向上できる。以下、アルカリ金属の水酸化物、界面活性剤及び水を含有する剥離剤5について説明する。
【0022】
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウム等を例示できる。剥離剤5の総質量に対するアルカリ金属の水酸化物の質量は4質量%以上が好ましい。この形態の剥離剤5によれば、第1のガラスコート3Aの溶解性をより良好にできる。アルカリ金属の水酸化物の質量は、毒物及び劇物取締法(以下、毒劇法という)の規定を順守した量とすることが好ましい。具体的には、アルカリ金属の水酸化物として、水酸化ナトリウムや、水酸化カリウムを使用する場合、個々の量は、剥離剤5の総質量に対して5質量%以下であることが好ましい。また、剥離剤5の総質量に対するアルカリ金属の水酸化物の質量を5質量%よりも多くする場合には、アルカリ金属の水酸化物を複数組合せて、個々の質量が、剥離剤5の総質量に対して5質量%以下となるように調整することが好ましい。また、取扱い上の観点から、アルカリ金属の水酸化物の総質量は、剥離剤5の総質量に対して30質量%以下が好ましい。
【0023】
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、及びアニオン系界面活性剤を例示できる。中でも、ノニオン系界面活性剤は、アルカリ金属の水酸化物を含有する剥離剤5において良好な濡れ性を実現でき好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオキブロック共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステル等を例示できる。アニオン系界面活性剤としては、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、及びアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等を例示できる。
【0024】
剥離剤5の総質量に対する界面活性剤の質量は0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。また、一実施形態のメンテナンス方法において養生材7を使用する場合、剥離剤5の総質量に対する界面活性剤の質量は0.01質量%以上2質量%以下が好ましい。このような剥離剤5を使用することで、除去工程において剥離剤5が養生材7の外側に漏れ出ることを十分に抑制できる。具体的には、剥離剤5が養生材7の表面から漏れ出ることや、剥離剤5がガラスコーティング床材10と養生材7の間に浸透することを十分に抑制できる。
【0025】
第1のガラスコート3Aと剥離剤5の接触角は59°以下が好ましい。換言すれば、第1のガラスコート3Aとの接触角を59°以下とできる剥離剤5を使用することが好ましい。このような剥離剤5を使用することで、第1のガラスコート3Aに対する剥離剤5の濡れ性を十分なものとできる。また、一実施形態のメンテナンス方法において養生材7を使用する場合、第1のガラスコート3Aとの接触角を35°以上59°以下とできる剥離剤5を使用することが好ましい。このような剥離剤5を使用することで、除去工程において剥離剤5が養生材7の外側に漏れ出すことを十分に抑制できる。
【0026】
本願明細書でいう接触角は、メンテナンス対象であるガラスコーティング床材10の表面(第1のガラスコート3Aの表面)に、使用する剥離剤5を2μL滴下し、着滴してから30秒後に自動接触角計(CA-V型 協和界面科学(株))で測定した接触角を意味する。
【0027】
剥離剤5のpHは13より大きいことが好ましく、13.5以上がより好ましく、13.9以上がさらに好ましく、14が特に好ましい。このような剥離剤5は、シロキサン結合を有する成分を含有している第1のガラスコート3Aの溶解性をより良好にできる。
【0028】
ガラスコーティング床材10の第1のベースコート2Aは、樹脂を含有している。第1のベースコート2Aに使用される従来公知の樹脂は、有機溶剤に対する耐久性が低いことから、第1のベースコート2Aのダメージを抑えるためには、第1のベースコート2Aと有機溶剤との接触を抑えることが必要となる。そこで、好ましい形態の剥離剤5は、(i)有機溶剤を含有していないか、又は(ii)有機溶剤を含有している場合であっても、その含有量が剥離剤5の総質量に対して6質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。有機溶剤を含有していない、又は有機溶剤の量を抑えた剥離剤5を使用することで、樹脂を含有する第1のベースコート2Aがダメージを受けることを抑制でき、結果、剥離剤5を使用して、第1のベースコート2Aを残しつつ、第1のガラスコート3Aを溶解除去できる。有機溶剤としては、エタノール、ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノメチルエーテル等を例示できる。
【0029】
剥離剤5に、各種の機能を付与するための機能性成分を含有せしめてもよい。一例としての剥離剤5は、着色剤を含有している。着色剤としては、各種の染料や、各種の顔料等を例示できる。染料としては、ERIONYL RED A-3BN-01(ハンツマン・ジャパン株式会社)等を例示できる。顔料としては、アゾ系顔料(セイカファースト ジスアゾオレンジPO-13(大日精化工業(株)))等を例示できる。一例としての剥離剤5は、剥離剤5の総質量に対して着色剤を0.001質量%以上3質量%以下で含有している。着色剤を含有する剥離剤5を使用することで、ガラスコーティング床材10上に、剥離剤5が存在しているか、つまりは、メンテナンス中であるか否かを目視で容易に確認できる。
【0030】
一実施形態のメンテナンス方法では、除去工程において、第1のガラスコート3Aを溶解除去するにあたり、ガラスコーティング床材10に剥離剤5を接触させる(
図1(A)、
図2(B)参照)。ガラスコーティング床材10に剥離剤5を接触させる方法に限定はなく、例えば、ガラスコーティング床材10の表面に剥離剤5を塗工する方法等を例示できる。塗工の方法としては、スプレー塗工、モップ等を用いた塗工、及びローラー等を用いた塗工等を例示できる。剥離剤5の塗工量に限定はなく、第1のガラスコート3Aの厚み等に応じて適宜決定すればよい。一例としての塗工量は1m
2当たり250mL以上である。
【0031】
一実施形態のメンテナンス方法では、ガラスコーティング床材10に剥離剤5を塗工等によって接触させた後、第1のガラスコート3Aの分解が完了するまで、ガラスコーティング床材10に剥離剤5を接触させておく。接触時間は、ガラスコーティングの厚み等に応じて適宜決定すればよい。一例としての接触時間は40分以上である。
【0032】
一実施形態のメンテナンス方法において、ガラスコーティング床材10の一部のエリア(第1エリアという)の除去を行う場合には、第1エリアと他の一部のエリア(第2エリアという)とを養生材7で隔て(
図2(A)参照)、次いで、第1エリアに剥離剤5を接触させてもよい(
図2(B)参照)。養生材7を使用することで、目的とする箇所(第1エリア)の第1のガラスコート3Aを溶解除去できる。養生材7としては、剥離剤5によってダメージを受けないものを使用すればよい。養生材7としては、貼着タイプの養生材7を例示できる。貼着タイプの養生材7としては、養生テープ、ビニルテープ、布テープ付きマスカーテープ、及びガムテープ等を例示できる。
【0033】
除去工程では所定の接触時間が経過したのちに、剥離剤5を除去する(
図1(B)、
図2(C)、
図3(B)、
図4(B)参照)。剥離剤5の除去により除去工程は完了となる。剥離剤5の除去方法としては、自動床洗浄機や真空掃除機(ウェット型)による剥離液を吸引して除去する方法、及びフロアスクイジーでかき集めて除去する方法等を例示できる。剥離剤5を除去した後に、第1のベースコート2Aの表面を水洗いや、水拭きしてもよい。
【0034】
<<ガラスコート形成工程>>
一実施形態のメンテナンス方法は、ガラスコート形成工程を含んでもよい。ガラスコート形成工程は、除去工程の後に、第1のベースコート2Aの上に、シロキサン結合を有する成分を含有する第2のガラスコート3Bを形成する工程である。
図3、
図4は、一実施形態のガラスコーティング床材10のメンテナンス方法の一例を示す工程図であり、除去工程、及びガラスコート形成工程を含んでいる。図示する形態では、除去工程(
図3(A)、(B)、
図4(A)、(B)参照)の後に行うガラスコート形成工程において、第1のベースコート2A上に、シロキサン結合を有する成分を含有する第2のガラスコート3Bを形成している(
図3(C)、
図4(D)参照)。
【0035】
ガラスコート形成工程を含む一実施形態のメンテナンス方法では、除去工程で除去した第1のガラスコート3Aにかえて、第2のガラスコート3Bを形成することで、ガラスコーティング床材10を再生できる。
図3(C)、
図4(D)は、再生されたガラスコーティング床材10を示している。
【0036】
第2のガラスコート3Bは、第2のガラスコート用コーティング剤を、第1のベースコート2A上に直接的に、又は後述する第2のベースコート2B等を介して間接的に塗工して形成できる。第2のガラスコート用コーティング剤としては、シロキサン系のガラスコーティング剤として従来公知のものを適宜選択して使用できる。一例としてのコーティング剤は、アルコキシシラン、シリカ、界面活性剤、触媒、及び水を含有している。
【0037】
第2のガラスコートの厚みに限定はないが、2μm以上50μm以下が好ましい。第2のガラスコート3Bの厚みを好ましい厚みとすることで、ガラスコーティング床材10の耐久性を十分なものとでき、且つ、第2のガラスコート3Bのひび割れ等を抑制できる。
【0038】
<<ベースコート形成工程>>
一実施形態のメンテナンス方法は、ベースコート形成工程を含んでもよい(
図4(C)参照)。ベースコート形成工程は、ガラスコート形成工程の前に、第1のベースコート2A上に、第2のベースコート2Bを形成する工程である。第2のベースコート2Bは、第2のベースコート2B用コーティング剤を、第1のベースコート2A上に塗工して形成できる。
【0039】
一実施形態のメンテナンス方法は、除去工程、及びベースコート形成工程を含む。
一実施形態のメンテナンス方法は、除去工程、ベースコート形成工程、及びガラスコート形成工程を含む。
【0040】
第2のベースコート2Bは、第1のベースコート2Aと同じでもよく、異なるものでもよい。一例としてのベースコートは、上記ガラスコーティング床材10のベースコートで説明した成分等を含有している。一例としての第2のベースコート2Bは、ウレタン結合を有する樹脂、及び架橋アクリル樹脂の何れか一方、又は双方を含有している。
【0041】
他の一例としての第2のベースコート2Bは、上述した剥離剤5によって溶解できる成分を含有している。他の一例としての第2のベースコート2Bは、アルカリ可溶性の成分を含有している。アルカリ可溶性の成分としては、アクリル酸共重合物、アクリル酸-スチレン共重合物、及びスチレン-マレイン酸共重合物等を例示できる。この形態の第2のベースコート2Bは、ガラスコート形成工程を含む一実施形態のメンテナンス方法が完了した後のガラスコーティング床材10、具体的には、床材1、第1のベースコート2A、第2のベースコート2B、第2のガラスコート3Bがこの順番で積層されたガラスコーティング床材10をメンテンナンスするときに、上記の剥離剤5を使用して、第2のガラスコート3Bとともに、第2のベースコート2Bを除去でき、ガラスコートの除去、及び再生作業を繰り返し行うたびに、ベースコートが積層されていくことを抑制できる。
【0042】
第2のベースコート2Bの厚みに限定はない。一例としての第2のベースコート2Bの厚みは、第1のベースコート2Aの厚みよりも小さい。
【0043】
以上、一実施形態のメンテナンス方法について、メンテナンス対象であるガラスコーティング床材10が、床材1、第1のベースコート2A、第1のガラスコート3Aのみからなるガラスコーティング床材である場合を中心に説明したが、この構造に限定されるものではない。例えば、ガラスコーティング床材10は、複数のベースコートを備えていてもよい。この場合、複数のベースコートのうちの少なくとも1つが、第1のベースコート2Aであればよい。同様に、ガラスコーティング床材10は、第1のガラスコート3Aを含む複数のガラスコートを備えていてもよい。床材1と第1のベースコート2Aは接していなくてもよい。第1のベースコート2Aと第1のガラスコート3Aは接していなくてもよい。
【0044】
<<剥離剤>>
本開示の実施形態に係る剥離剤5(以下、一実施形態の剥離剤5という)は、床材1上に、樹脂を含有する第1のベースコート2A、及びシロキサン結合を有する成分を含有する第1のガラスコート3Aがこの順番で積層されたガラスコーティング床材10に対して使用する剥離剤5であって、剥離剤5は、アルカリ金属の水酸化物、界面活性剤及び水を含有しており、剥離剤5の総質量に対するアルカリ金属の水酸化物の質量が4質量%以上であり、剥離剤5の総質量に対する界面活性剤の質量が0.01質量%以上であり、(i)剥離剤5は、有機溶剤を含有していないか、又は(ii)剥離剤5の総質量に対する有機溶剤の質量が6質量%以下である。
【0045】
一実施形態の剥離剤5によれば、床材1に悪影響を及ぼすことなく、簡便に、床材1、樹脂を含有する第1のベースコート2A、シロキサン結合を有する第1のガラスコート3Aがこの順番で積層されたガラスコーティング床材10をメンテナンスできる。一実施形態の剥離剤5は、一実施形態のメンテナンス方法で説明したものを適宜選択して使用できる。剥離剤5の使用対象であるガラスコーティング床材10についても同様である。
【実施例0046】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中の「部」は質量部である。
【0047】
(ガラスコーティング床材(1)の作製)
厚みが3mmの塩化ビニル製の床材上に厚みが7μmのベースコートを形成し、次いで、ベースコート上に厚みが16μmのガラスコートを形成し、床材、樹脂を含有するベースコート、シロキサン結合を有する成分を含有するガラスコートがこの順番で積層されたガラスコーティング床材を作製した。ベースコートの樹脂成分はウレタン樹脂である。ガラスコートは、アルコキシシラン、シリカ、界面活性剤、触媒、及び水を含有するコーティング剤を使用して形成した。
【0048】
(ガラスコーティング床材(2)~(7)の作製)
ガラスコーティング床材(1)におけるベースコートを、下記の樹脂成分を含有するベースコートに変更して、厚みが7μmのベースコートを形成した以外は、ガラスコーティング床材(1)と同様にして、ガラスコーティング床材(2)~(7)を作製した。なお、ガラスコーティング床材(1)~(7)のベースコートにおいて、ベースコートの総質量に対する樹脂成分の総質量(合計質量)は、いずれも60質量%以上である。
【0049】
ガラスコーティング床材(2)・・・ウレタン樹脂:アクリル樹脂=50:50
ガラスコーティング床材(3)・・・ウレタン樹脂:アクリル樹脂=25:75
ガラスコーティング床材(4)・・・ウレタン樹脂:アクリル樹脂=21:79
ガラスコーティング床材(5)・・・ウレタン樹脂:アクリル樹脂=17:83
ガラスコーティング床材(6)・・・架橋アクリル樹脂(アクリル樹脂:架橋剤=98:2)
ガラスコーティング床材(7)・・・架橋アクリル樹脂(アクリル樹脂:架橋剤=97:3)
【0050】
(ガラスコーティング床材前駆体(1)~(7)の作製)
上記で作製したガラスコーティング床材(1)~(7)の作製において、それぞれガラスコートを形成しないものをガラスコート床材前駆体(1)~(7)とした。
【0051】
(剥離剤の作製)
下表1に示す組成の剥離剤(剥離剤No.1~No.12)を作製した。表中の数値の単位は質量部である。
【0052】
【0053】
表1における各成分は、以下のものを使用した。
・水酸化ナトリウム(苛性ソーダ(粒状) AGC(株))
・水酸化カリウム(フレーク苛性カリ 東亞合成(株))
・水酸化リチウム(水酸化リチウム一水和物(和光特級) 富士フイルム和光純薬(株))
・オルソケイ酸ナトリウム(粒状オルソ 日本化学工業(株))
・エタノール(SS-K-75 信和アルコール産業(株))
・アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム(ペレックス SS-L花王(株))
【0054】
下表2に示す組成の剥離剤(剥離剤No.21~No.31)を作製した。表中の数値の単位は質量部である。
【0055】
【0056】
表2における各成分は、以下のものを使用した。
・水酸化ナトリウム(苛性ソーダ(粒状) AGC(株))
・水酸化カリウム(フレーク苛性カリ 東亞合成(株))
・オルソケイ酸ナトリウム(粒状オルソ 日本化学工業(株))
・メタケイ酸ナトリウム・9水塩(メタ珪酸ソーダ(9水塩)日本化学工業(株))
・炭酸ナトリウム(ソーダ灰(ライト) (株)トクヤマ)
・モノイソプロパノールアミン(モノイソプロパノールアミン ダウ・ケミカル日本(株))
・リモネン(D-リモネン ヤスハラケミカル(株))
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル(ハイソルブDE 東邦化学工業(株))
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカービトール(登録商標)ソルベント ダウ・ケミカル日本(株))
・プロピレングリコールモノエチルエーテル(PE-P KHネオケム(株))
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダワノール(登録商標)DPM グリコールエーテル ダウ・ケミカル日本(株))
・ベンジルアルコール(ベンジルアルコール 楠本化成(株))
・エタノール(SS-K-75 信和アルコール産業(株))
・3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(ソルフィット (株)クラレ)
・アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム(ペレックス SS-L花王(株))
・ポリオキシアルキレンデシルエーテル(ノイゲン XL-80 第一工業製薬(株))
・テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(日局塩化ベンザルコニウム 日油(株))
・エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(Trilon(登録商標)BX Powder BASF(株)
・ニトリロ3酢酸三ナトリウム(ニトリロ三酢酸ナトリウム一水和物 富士フイルム和光純薬(株))
・クエン酸(クエン酸(結晶)S 磐田化学工業(株))
【0057】
(ガラスコートの除去性評価)
上記で作製したガラスコーティング床材と、剥離剤を、下表3の通り組み合わせ、ガラスコーティング床材上に、剥離剤を1m2当たり500mLの塗布量で塗工し、60分後、剥離剤を紙ウエスで拭き取り、その後、水道の流水で水洗いした。水洗い後のガラスコーティング床材の状態を、目視と赤外吸収スペクトル測定で確認し、下記評価基準で、ガラスコートの除去性を評価した。評価結果を表3に併せて示す。なお、実施例21のみ40分後に剥離剤を紙ウエスで拭き取った。
【0058】
「評価基準」
A・・・赤外吸収スペクトルでガラスコートの吸収帯がなく、目視で90%以上のガラスコートを剥離できた。
NG(1)・・・赤外吸収スペクトルでガラスコートの吸収帯があるが、目視で10%以上90%未満のガラスコートを剥離できた。
NG(2)・・・赤外吸収スペクトルでガラスコートの吸収帯があるが、目視で10%未満のガラスコートを剥離できた、又はガラスコートを全く剥離できなかった。
【0059】
(ベースコートへの影響性評価)
上記で作製したガラスコーティング床材前駆体と、剥離剤を、下表3の通り組み合わせ、ガラスコーティング床材前駆体上に、直径3cmのろ紙を敷き、剥離剤0.5mLを染み込ませて1時間静置した。1時間後、剥離剤を紙ウエスで拭き取り、その後、水道の流水で水洗いした。水洗い後に、剥離剤を接触させた部分のガラスコーティング床材前駆体の状態を、目視と赤外吸収スペクトル測定で確認し、下記評価基準で、ベースコートへの影響性を評価した。評価結果を表3に併せて示す。
【0060】
「評価基準」
A・・・赤外吸収スペクトルでベースコートの吸収帯が確認でき、目視でもベースコートの変化なし。
B・・・赤外吸収スペクトルでベースコートの吸収帯が確認でき、目視での変化が認められるが、ベースコートは残っている。
NG・・・赤外吸収スペクトルでベースコートの吸収帯が確認できない、又はベースコートの一部、又は全部が除去された。
【0061】
(濡れ性評価)
上記で作製したガラスコーティング床材と、剥離剤を、下表3の通り組み合わせ、45cm×45cmにカットしたガラスコーティング床材の表面(ガラスコートの表面)に、剥離剤を滴下し、1m2当たり500mLの塗布量となるように塗布用ラーグで均一に塗り広げた。塗り広げて5分後の状態を目視で確認し、下記評価基準に基づいて濡れ性評価を行った。評価結果を表3に併せて示す。なお、45cm×45cmの全面が濡れている状態を100%としている。
【0062】
「評価基準」
A・・・90%以上の領域に均一塗工できている。
B・・・50%以上90%未満の領域に塗工できている。
NG・・・剥離剤をはじいて塗工できない、又は50%未満の領域に塗工できている。
【0063】
(養生材の耐久性評価)
上記で作製したガラスコーティング床材と、剥離剤を、下表3の通り組み合わせ養生材の耐久性評価を行った。耐久性評価は、10cm×5cmにカットしたガラスコーティング床材の表面(ガラスコートの表面)に、ビニルテープNo.21((株)ニトムズ)を5cmの長さ貼り付け、ローラーを使用して接着面の空気を除き、養生材付きガラスコーティング床材を作製した。500mLビーカーに剥離剤500mLを注ぎ、このビーカーに養生材付きガラスコーティング床材を浸漬させ、60分後のビニルテープの状態を目視で確認し、下記評価基準で評価した。評価結果を表3に併せて示す。
【0064】
「評価基準」
A・・・ビニルテープがガラスコーティング床材の全面に貼り付いている。
NG・・・ビニルテープの一部がガラスコーティング床材から浮いている、又はビニルテープがガラスコーティング床材から剥がれている。
【0065】
(接触角の測定)
上記で作製したガラスコーティング床材と、剥離剤を、下表3の通り組み合わせ、ガラスコーティング床材の表面(ガラスコートの表面)に、剥離剤を2μL滴下し、着滴してから30秒後に自動接触角計(CA-V型 協和界面科学(株))を用いて、接触角の測定を各3回行った。測定結果を表3に併せて示す。表中の接触角は3回の測定の平均値である。
【0066】