(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156463
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】半導体装置及び電力変換装置とその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20241029BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20241029BHJP
G01N 27/22 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L21/60 301A
G01N27/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070943
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】海老池 勇史
【テーマコード(参考)】
2G060
5F044
【Fターム(参考)】
2G060AA01
2G060AB02
2G060AE19
2G060AF10
2G060AG11
2G060BA09
2G060JA02
2G060KA04
5F044AA12
5F044EE04
5F044EE06
5F044EE07
(57)【要約】
【課題】 従来よりも小型の半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体装置は、半導体素子と、半導体素子の上側に設けられた物理量検出膜と、物理量検出膜の上側に設けられた上部電極と、上部電極に設けられるとともに、上部電極を挟んで物理量検出膜に対向する位置に設けられる信号ワイヤと、を備えるものである。よって、従来よりも小型の半導体装置を得ることができる。
また、半導体装置の製造方法は、物理量検出膜を形成し、上部電極及び物理量検出膜が一体化した個片を成型する工程と、個片を、物理量検出膜と半導体素子の表面電極とが接するように取り付ける工程と、を含む。よって、従来よりも小型の半導体装置を得ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子の上側に設けられた物理量検出膜と、
前記物理量検出膜の上側に設けられた上部電極と、
前記上部電極に設けられるとともに、前記上部電極を挟んで前記物理量検出膜に対向する位置に設けられる信号ワイヤと、を備える
半導体装置。
【請求項2】
前記半導体素子の厚み方向における前記上部電極の厚みが、前記厚み方向における前記物理量検出膜の厚みより大きい
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記上部電極は、前記厚み方向に貫通する貫通穴を有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記上部電極の上側のうち、前記信号ワイヤが設けられる位置とは異なる位置に、水分侵入用ワイヤが設けられる
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体素子の上面に前記物理量検出膜及び前記上部電極が複数設けられることを特徴とする
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
上部電極に物理量検出膜を形成し、前記上部電極及び前記物理量検出膜が一体化した個片を成型する工程と、
前記個片を、前記物理量検出膜と半導体素子の表面電極とが接するように取り付ける工程と、を含む
半導体装置の製造方法。
【請求項7】
半導体素子の表面電極の上面に物理量検出膜を形成する工程と、
前記物理量検出膜の上面に上部電極を形成する工程と、
前記上部電極を挟んで前記物理量検出膜に対向する位置において、前記上部電極の上面に信号ワイヤを接合する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記上部電極に前記信号ワイヤを接合する前記工程において、
前記上部電極と前記信号ワイヤは、超音波接合により接合する
請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記上部電極の上面のうち前記信号ワイヤが設けられる位置とは異なる位置に水分侵入用ワイヤを接合する工程をさらに有する
請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置を有し、入力される電力を変換して出力する主変換回路と、
前記主変換回路を制御する制御信号を前記主変換回路に出力する制御回路と、
を備えた電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物理量を検出する構成を備えた半導体装置及び電力変換装置とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、感湿膜の上面は平坦であり、この上面に、平板状の上部電極が形成され、上部電極は、感湿膜を介して下部電極に対向する位置に形成された湿度検出装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、上部電極をパッドに接続するための配線が第2配線層により形成されているため、上部電極の配線を引き回すことになり、半導体装置の小型化が困難であるという課題があった。
【0005】
本開示は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、従来よりも小型の半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置は、半導体素子と、半導体素子の上側に設けられた物理量検出膜と、物理量検出膜の上側に設けられた上部電極と、上部電極に設けられるとともに、上部電極を挟んで物理量検出膜に対向する位置に設けられる信号ワイヤと、を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る半導体装置によれば、従来よりも小型の半導体装置を得ることができる。また、本開示に係る電力変換装置によれば、従来よりも小型の電力変換装置を得ることができる。また、本開示に係る半導体装置の製造方法によれば、従来よりも小型の半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。
【
図2】本開示の実施の形態1に係る半導体装置の平面図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。
【
図4】本開示の実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。
【
図5】本開示の実施の形態1に係る半導体装置の平面図である。
【
図6】本開示の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図7】本開示の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図8】本開示の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図9】本開示の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図10】本開示の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図11】本開示の実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図12】本開示の実施の形態1に係る上部電極の変形例を示す平面図である。
【
図13】本開示の実施の形態2に係る半導体装置の断面図である。
【
図14】本開示の実施の形態3に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図15】本開示の実施の形態3に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図16】本開示の実施の形態3に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図17】本開示の実施の形態3に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図18】本開示の実施の形態3に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【
図19】本開示の実施の形態4に係る電力変換装置を適用した電力変換システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面は模式的に示したものであり、異なる図面にそれぞれ示されているサイズ及び位置の相互関係は、必ずしも記載されたものに限定されず、適宜変更され得る。また、以下の説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称及び機能も同一又は同様のものとする。よって、それらについての詳細な説明を省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1における半導体装置101について、
図1から
図12を用いて説明する。
図1は実施の形態1に係る半導体装置101の断面図である。なお、
図1は、半導体装置101の一部分を示している。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態に係る半導体装置101は、回路基板10と、半導体素子20と、物理量検出膜としての感湿膜31と、上部電極32と、主配線ワイヤ33と、信号ワイヤ34と、はんだ35と、封止樹脂36と、を含む。
【0012】
回路基板10は、銅11と、セラミック基板12と、銅13と、を含む。セラミック基板12の下面に銅11が設けられる。セラミック基板12の上面に銅13が設けられる。回路基板10の上面に、はんだ35が設けられる。
【0013】
半導体素子20は、はんだ35の上面に設けられる。半導体素子20は、はんだ35を介して回路基板10の銅13と電気的に接続される。
【0014】
上面とは回路基板10を基準として、半導体素子20等の構成が設けられている側の面を示す。上面とは異なる面、すなわち、上面の反対側を下面とする。また、回路基板10及び半導体素子20が設けられる方向、すなわち、上面と下面を貫く方向を、厚み方向とする。以降の説明も同様である。
【0015】
半導体素子20は、裏面電極21と、半導体基板22と、ゲート電極23と、ゲート酸化膜24と、表面電極25と、を含む。裏面電極21は、半導体基板22の下面に設けられる。裏面電極21は、はんだ35を介して回路基板10の銅13と電気的に接続される。
【0016】
裏面電極21は、例えば、Al、Al合金、Ti、Ti合金、Ni、Ni合金、Au、Ag、又はAg合金で形成される。また、裏面電極21は、例えば、Al又はAl合金、Ti又はTi合金、Ni又はNi合金、及び、Au、Ag又はAg合金が半導体基板22の下面に半導体基板22側から順に積層され、積層膜を構成することで形成される。
【0017】
ゲート電極23は、半導体基板22の上面に設けられる。すなわち、ゲート電極23は、半導体基板22に対して、裏面電極21とは反対側に設けられる。ゲート酸化膜24は、ゲート電極23を覆うように設けられる。ゲート電極23は、半導体素子20を駆動する。表面電極25は、半導体基板22、ゲート電極23、及びゲート酸化膜24の上面に設けられる。
【0018】
半導体素子20は、例えば、ダイオード、バイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、又はMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などを用いることができる。
図1は、半導体素子20として、IGBTを用いた場合を例示している。
【0019】
半導体基板22は、Pコレクタ層26と、Nバッファ層27と、Nドリフト層28と、N+層29と、P+層30と、を含む。Nバッファ層27は、Nドリフト層28の下面に設けられる。Pコレクタ層26は、Nバッファ層27の下面に設けられる。
【0020】
図1に示す断面において、N+層29は、Nドリフト層28の上部に、例えば2つ設けられる。P+層30は、N+層29の周囲にそれぞれ設けられる。なお、N+層29は2つであることに限られない。
【0021】
半導体基板22には、例えば、Si基板又はSiC基板などを用いる。半導体基板22は、半導体素子20がIGBT、ダイオード、又はMOSFETである場合、n型半導体である。
【0022】
表面電極25は、ゲート酸化膜24、N+層29、チャネルとなるP+層30と接している。表面電極25は、例えば、Al,Al合金、Cu、又はCu合金で形成される。
【0023】
半導体装置101は、物理量検出部としての湿度検出部40を含む。湿度検出部40は、表面電極25と、感湿膜31と、上部電極32と、信号ワイヤ34と、を含む。また、湿度検出部40のうち、感湿膜31、上部電極32、及び信号ワイヤ34を湿度検出部の上部41とする。
【0024】
感湿膜31は、表面電極25の上面に設けられる。感湿膜31は、水分を含むことにより誘電率が変化する材質で形成される。感湿膜31は、例えば、ポリイミド及びフェノール樹脂などに代表される高分子系の有機物で形成される。感湿膜31は、水分子を吸着する性質のあるシリカゲル、若しくはボロン又はリンを含有したシリコン酸化膜などで形成されてもよい。
【0025】
表面電極25と上部電極32との間に電圧を印加することで、感湿膜31の静電容量を測定し、湿度を測定する。感湿膜31の厚みは、薄いほうが静電容量の値が大きい。すなわち、ノイズの影響を受けにくいため、湿度を測定しやすい。
【0026】
一方で、感湿膜31が極端に薄い場合は、感湿膜31の厚みを均一にするために、表面電極25のうち、感湿膜31が接する面を高い精度で平坦にする必要がある。すなわち、表面電極25のうち、感湿膜31が接する面を高い精度で平坦にするために、表面電極25の製造方法又は表面電極25より下側の構成を変更する必要がある。
【0027】
また、感湿膜31が極端に薄い場合は、感湿膜31を貫通するようなピンホールの発生を抑制することが困難である。
【0028】
したがって、感湿膜31の厚みは薄いことが望ましいが、静電容量を大きくすることと、感湿膜31の厚みを均一にすることから、感湿膜31の適切な厚みを設定する。感湿膜31の厚みは、数百ナノメートルから数ミクロン程度であることが望ましい。感湿膜31の厚みは、数百ナノメートルから数ミクロン程度であることで、静電容量を大きくし、かつ、感湿膜31の厚みを均一にすることができる。さらに望ましくは、感湿膜31の厚みは、0.8μmであるとよい。
【0029】
回路基板10と平行な方向における、感湿膜31の大きさは、数百ミクロンから数ミリメートルのスケールであることが望ましい。回路基板10と平行な方向における、感湿膜31の大きさが、数百ミクロンから数ミリメートルのスケールであることで、感湿膜31の静電容量を大きくすることができる。さらに望ましくは、回路基板10と平行な方向における、感湿膜31の大きさは、3mm×1.8mmであるとよい。
【0030】
また、回路基板10と平行な方向における、感湿膜31の大きさが、数百ミクロンから数ミリメートルのスケールであることで、上部電極32を介して感湿膜31の上面に設けられる信号ワイヤ34を接続できる範囲が大きくなり、信号ワイヤ34の配線自由度が向上する。
【0031】
なお、回路基板10と平行な方向における、感湿膜31の大きさは、任意に選択できる。感湿膜31は、表面電極25の上面に存在すればよい。また、感湿膜31は、例えば、表面電極25の上面の一部に存在すればよい。
【0032】
上部電極32は、感湿膜31の上面に設けられる。上部電極32は、信号ワイヤ34と電気的に接続される。上部電極32は、導電性の金属膜である。上部電極32は、例えば、Al、Al合金、Ni、Ni合金、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、又はAuの単層膜、若しくは、Al、Al合金、Ni、Ni合金、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、及びAuのうちいくつかで形成される積層膜である。
【0033】
上部電極32の厚さ方向の大きさは、数百ナノメートルから数ミクロン以上であることが望ましい。上部電極32の厚さ方向の大きさが、数百ナノメートルから数ミクロン以上であることで、信号ワイヤ34を接合することが容易である。さらに望ましくは、上部電極32の厚みは、1μmであるとよい。
【0034】
上部電極32の厚さ方向の大きさは、感湿膜31の厚さ方向の大きさよりも、大きいことが望ましい。上部電極32の厚さ方向の大きさが、感湿膜31の厚さ方向の大きさよりも、大きいことにより、信号ワイヤ34を上部電極32に確実に取り付けることができる。信号ワイヤ34を上部電極32に取り付ける場合には、例えば、超音波接合を用いることができる。
【0035】
上部電極32の大きさ、すなわち、厚み方向に垂直な方向の面積は、感湿膜31の大きさ以下である。
図1に示す例では、上部電極32の下面の面積は、感湿膜31の上面の面積より小さい。
【0036】
上部電極32の大きさが、感湿膜31より大きい場合は、上部電極32と表面電極25との間の領域において、感湿膜31が存在しない領域で導通してしまう可能性がある。また、上部電極32の大きさが、感湿膜31の大きさと同じ場合は、上部電極32と表面電極25とが感湿膜31が存在しない領域で導通してしまうことを避けるために、感湿膜31の上に、上部電極32を精度よく真上に設ける必要がある。よって、高い制作精度が必要となる。したがって、上部電極32の大きさは、感湿膜31の大きさより小さいことが望ましい。
【0037】
主配線ワイヤ33は、表面電極25の上面に設けられる。主配線ワイヤ33は、表面電極25と電気的に接続される。
【0038】
信号ワイヤ34は、上部電極32の上面に設けられる。信号ワイヤ34は、上部電極32を挟んで感湿膜31に対向する位置に設けられる。
【0039】
信号ワイヤ34は、例えば、Al、Al合金、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、又はAuで形成される。信号ワイヤ34の直径は、数十ミクロンから数百ミクロンであることが望ましい。さらに望ましくは、信号ワイヤ34の直径は、200μmであるとよい。信号ワイヤ34の直径は、信号ワイヤ34と上部電極32との接合性の観点、及び容量測定時の信号ワイヤ34の電気抵抗などに起因する測定精度の観点から、任意に選択することができる。
【0040】
信号ワイヤ34の材質及び直径は、後述するゲート駆動用ワイヤ37の材質及び直径と同じであることが望ましい。信号ワイヤ34の材質及び直径が、ゲート駆動用ワイヤ37の材質及び直径と同じであることで、信号ワイヤ34を上部電極32に付ける、又はゲート駆動用ワイヤ37をゲート電極23に付ける等の組立が容易となる。なお、信号ワイヤ34の材質及び直径は、ゲート駆動用ワイヤ37の材質及び直径と異なっていてもよい。
【0041】
図2は実施の形態1に係る半導体装置101の平面図である。半導体装置101のうち、一部を示している。なお、
図1は、
図2のA-A’断面に対応する。
【0042】
図2に示すように、感湿膜31の上面に設けられる上部電極32の面積は、感湿膜31の大きさ以下である。信号ワイヤ34は、上部電極32の上面に設けられる。
【0043】
ゲート電極23は、一部が表面電極25から露出している。ゲート駆動用ワイヤ37は、ゲート電極23の上面に設けられる。
【0044】
主配線ワイヤ33は、表面電極25の上面に複数設けられる。
図2に示す例では、主配線ワイヤ33は、33本設けられる。なお、主配線ワイヤ33の本数は33本あることに限られない。
【0045】
半導体基板22は、電圧保持部39を含む。電圧保持部39は、半導体基板22のうち、表面電極25が設けられていない部分である。電圧保持部39は、半導体基板22の上面において、表面電極25の周囲に設けられる。電圧保持部39には、Pの注入層が設けられている。また、電圧保持部39には、表面電極25とは異なる電極が設けられてもよい。
【0046】
図3は実施の形態1に係る半導体装置101の断面図である。
図3では、半導体装置101のうち、一部を示している。また、
図3は、
図2のB-B’断面に対応する。また、
図3において、封止樹脂36、半導体基板22の内部の構成、回路基板10、及びはんだ35等は省略している。
【0047】
ゲート電極23及びゲート電極23を覆うゲート酸化膜24は、表面電極25に覆われて設けられるが、表面電極25から一部露出して設けられる。ゲート電極23は、ゲート酸化膜24から露出している部分を有しており、ゲート電極23がゲート酸化膜24から露出している部分において、ゲート駆動用ワイヤ37導体38を介して電気的に接続される。また、表面電極25は主配線ワイヤ33と電気的に接続されている。表面電極25とゲート電極23とはゲート酸化膜24によって電気的に絶縁されている。
【0048】
図4は実施の形態1に係る半導体装置101の断面図である。
図4は、
図2のC-C’断面に対応する。また、半導体基板22の内部の構成は省略している。なお、
図1、2、及び3は、
図4に示す半導体基板22が存在する領域Dを示している。
【0049】
主配線ワイヤ33の端部のうち、表面電極25と接続されていない側の端部は、銅14を介して、端子42と電気的に接続されている。
図4には図示していないが、信号ワイヤ34の端部のうち、上部電極32と接合されていない側の端部は、端子43と電気的に接続されている。又は、信号ワイヤ34の端部のうち、上部電極32と接合されていない側の端部は、容量測定回路を組み込んだ信号処理用半導体素子の信号パッドと接続されている。
【0050】
半導体装置101は、側面をケース44で覆われている。なお、ケース44は設けられなくてもよい。
【0051】
封止樹脂36は、
図4に示すように、回路基板10、半導体素子20、主配線ワイヤ33、信号ワイヤ34、及びはんだ35を一体的に封止する。
【0052】
回路基板10、電気信号を取り出す端子42、及び端子43は、一部が封止樹脂36から露出している。回路基板10は、特に銅11が封止樹脂36から露出している。また、回路基板10のセラミック基板12は、封止樹脂36から露出していてもよいし、露出していなくてもよい。回路基板10は、封止樹脂36から一部露出し、絶縁性の放熱部材として機能する。
【0053】
封止樹脂36は、例えば、エポキシ樹脂又はシリコーンゲルである。エポキシ樹脂及びシリコーンゲルは、金属などと比べ、透湿性及び水分バリア性が低い。よって、高湿環境下では、水分子が封止樹脂36を透過していき、封止樹脂36の外部から半導体素子20にまで到達する可能性がある。
【0054】
また、封止樹脂36から一部が露出している回路基板10、端子42、及び端子43は、半導体装置101の外部と接することになる。よって、水分が、回路基板10、端子42、及び端子43と封止樹脂36との界面から半導体装置101内に容易に侵入する可能性がある。
【0055】
予め複数の既知の湿度環境で、表面電極25と上部電極32との間に電圧を印加し、感湿膜31の静電容量を測定することにより、感湿膜31の膜中水分量又は湿度と静電容量との相関を測定しておく。予め感湿膜31の膜中水分量又は湿度と静電容量との相関を測定しておくことにより、表面電極25と上部電極32との間の静電容量値から、水分量又は湿度を推定することができる。
【0056】
図5は実施の形態1に係る半導体装置101の平面図である。
図5では、半導体装置101のうち、一部を示している。
【0057】
図5に示すように、感湿膜31、上部電極32、及び信号ワイヤ34、すなわち、湿度検出部の上部41は、表面電極25の上面に複数設けられてもよい。
【0058】
また、表面電極25の上面に、湿度検出部の上部41を複数個配置する場合、感湿膜31の種類は1種類であることに限られない。例えば、低湿度領域において感度がよい感湿膜31が設けられる湿度検出部の上部41と、高湿度領域において感度がよい感湿膜31又は結露水を検出する感湿膜31が設けられる湿度検出部の上部41とを、組み合わせて表面電極25の上面に配置してもよい。
【0059】
半導体素子20に侵入する水分のうち、表面電極25と封止樹脂36との界面から侵入する水分の割合が多い場合、周辺の湿度の上昇が比較的早いと考えられる、表面電極25の外周部と、周辺の湿度の上昇が比較的遅いと考えられる、表面電極25の中心部と、にそれぞれ感度の異なる感湿膜31を設けることで、表面電極25の外周部及び中心部のそれぞれの湿度検出値から、水分浸透速度を算出することもできる。
【0060】
本実施の形態に係る半導体装置101の製造方法について説明する。特に、湿度検出部40の製造方法について説明する。なお、ダイオード、バイポーラトランジスタ、MOSFET、及びIGBT等を形成する方法は、従来から用いられる方法を用いることができる。また、表面電極25も、従来から用いられる方法で形成することができる。
【0061】
図6は、実施の形態1に係る半導体装置101の製造方法を示す図である。まず、
図6に示すように、半導体基板22の中に、N+層29及びP+層30を形成する。次に、半導体基板22の上面に、ゲート電極23及びゲート酸化膜24を形成する。さらに、半導体基板22及びゲート酸化膜24の上面に表面電極25を形成する。表面電極25は、例えば、スパッタ法又は真空蒸着法によって形成される。
【0062】
N+層29、P+層30、ゲート電極23、ゲート酸化膜24、及び表面電極25を形成することで、電力用のダイオード、バイポーラトランジスタ、MOSFET、及びIGBT等に代表される縦型パワー半導体素子20の表面側構造物を形成する。
【0063】
図7は、実施の形態1に係る半導体装置101の製造方法を示す図である。
図7に示すように、表面電極25の上面に感湿膜31を成膜する。表面電極25上に感湿膜31を成膜、形成する際、感湿膜31が感光性の性質を有する場合は、直接露光現像により所望のパターンを形成する。感湿膜31が非感光性である場合は、感湿膜31を半導体素子20上全面に塗布した後、レジストマスクをパターニングしてエッチングにより感湿膜31を所望のパターンに形成すればよい。
【0064】
また、感湿膜31が樹脂系の材料で形成される場合は、スクリーン印刷法又はインクジェット法により、直接感湿膜31のパターンを形成することも可能である。パターン形成が完了した後、溶剤成分を感湿膜31から抜くために、100℃から500℃程度の温度で熱処理する。
【0065】
図8は、実施の形態1に係る半導体装置101の製造方法を示す図である。
図8に示すように、感湿膜31の上面に上部電極32を形成する。上部電極32は、例えば、スパッタ法又は真空蒸着法によって形成される。
【0066】
感湿膜31の上面に上部電極32を形成する際、レジストマスクを使用してエッチングによりパターニングしてもよいし、パターニングしたレジストマスク上に成膜してレジストマスクをリフトオフすることでパターニングしてもよい。又は、予めパターニングされたメタルマスクを用意し、スパッタ法や真空蒸着法により、メタルマスク越しにパターンを成膜してもよい。
【0067】
図9は、実施の形態1に係る半導体装置101の製造方法を示す図である。
図9に示すように、表面電極25が設けられるNドリフト層28の上面とは反対側の面である下面を、Nドリフト層28が所望の厚みとなるまで研削し、Nバッファ層27及びPコレクタ層26を形成する。研削方法としては、砥石によって物理的に削る場合、酸によって化学的に削る場合、及び物理的に削る方法と化学的に削る方法とを組み合わせる場合がある。
【0068】
次に、半導体基板22の下面に裏面電極21を形成する。すなわち、Pコレクタ層26の下面に裏面電極21を形成する。裏面電極21を形成する前には、半導体基板22の表面に形成されている自然酸化膜や異物等を除去するために、半導体基板22は、フッ酸処理、アンモニア過水処理、塩酸過水処理、硫酸過水処理、又はスパッタエッチング処理される。裏面電極21は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、又はめっき法によって形成される。
【0069】
図10は、実施の形態1に係る半導体装置101の製造方法を示す図である。
図10に示すように、ダイシングなどにより個片化した半導体素子20と回路基板10とを、はんだ35を用いて接合する。
【0070】
例えば、回路基板10にペーストはんだを塗布し、ペーストはんだの上に半導体素子20を配置し、その後加熱又は冷却することで、半導体素子20と回路基板10とを接合する。若しくは、予め加熱した回路基板10の上にはんだ35を配置し、溶融させた後、溶融した状態のはんだ35上に半導体素子20を配置し、冷却することで、半導体素子20と回路基板10とを接合する。
【0071】
若しくは、加熱された回路基板10上に溶融したはんだ35を塗布した後、半導体素子20を配置して、半導体素子20と回路基板10とを接合する。なお、はんだ35は、Snを主成分として形成される。また、はんだ35は、Ag、Cu、Bi、Sb、Ni、Pb、又はPなどを含む。
【0072】
図11は、実施の形態1に係る半導体装置101の製造方法を示す図である。
図11に示すように、主配線ワイヤ33と表面電極25とを、超音波接合で接合する。主配線ワイヤ33は、表面電極25の上面に設けられる。次に、信号ワイヤ34と上部電極32とを超音波接合で接合する。信号ワイヤ34は、上部電極32の上面に設けられる。
【0073】
信号ワイヤ34の太さ及び材質が、ゲート駆動用ワイヤ37の太さ及び材質と同じである場合は、ゲート駆動用ワイヤ37をゲート電極23にワイヤボンディングするのと同時に、信号ワイヤ34を上部電極32にワイヤボンディングしてもよい。
【0074】
また、ゲート駆動用ワイヤ37に比べて、信号ワイヤ34の方が細い場合は、ゲート駆動用ワイヤ37を先に接合してから、信号ワイヤ34をワイヤボンディングするのが望ましい。ゲート駆動用ワイヤ37を先に接合してから、信号ワイヤ34をワイヤボンディングすることで、ゲート駆動用ワイヤ37を超音波接合するときに、信号ワイヤ34が破断する可能性を低減できる。
【0075】
また、ワイヤの太さ及び材質により、信号ワイヤ34に比べて、ゲート駆動用ワイヤ37の方が破断しやすい場合は、信号ワイヤ34を先に接合してから、ゲート駆動用ワイヤ37をワイヤボンディングすることが望ましい。信号ワイヤ34を先に接合してから、ゲート駆動用ワイヤ37をワイヤボンディングすることで、信号ワイヤ34を超音波接合するときに、ゲート駆動用ワイヤ37が破断する可能性を低減できる。
【0076】
本実施の形態において、上部電極32は、感湿膜31に比べて、厚み方向における大きさが大きいため、信号ワイヤ34直下の防振性が向上する。信号ワイヤ34直下の防振性が向上することで、信号ワイヤ34を上部電極32に超音波接合するときの、超音波の振動が、上部電極32の下側、すなわち、感湿膜31側に逃げることが抑制される。超音波の振動が、感湿膜31側に逃げることが抑制されることで、超音波接合の強度が安定する。また、超音波の振動が、感湿膜31側に逃げることが抑制されることで、感湿膜31が損傷することを防ぐことができる。
【0077】
また、上部電極32が、感湿膜31よりも厚いため、上部電極32は、超音波接合時の超音波振動により、感湿膜31が破れたり破断したりすることを防止するためのクッションの役割を果たす。
【0078】
超音波接合は、ボールボンディングでもよいし、ウェッジボンディングでもよい。なお、主配線ワイヤ33を表面電極25に接合する方法は、超音波接合に限られない。はんだ又は金属材料含有のペースト材を接合材として使用して、主配線ワイヤ33と表面電極25と接合しても良い。
【0079】
最後に、封止樹脂36で全体を封止する。箱状のケースにゲルやポッティング樹脂を注入する方法、又は金型を使ってトランスファーモールドする方法など、従来から用いられている半導体パッケージを作る方法を採用することができる。
【0080】
半導体装置101に湿度検出部40を設けることで、半導体装置101の動作中に、電圧保持部39に発生している高電界領域において起こる、封止樹脂36中の水分又は湿度を起因とした、導通、放電、又はマイグレーションなどによる動作不良が起きる前に、湿度が高い状態を検出することが可能となる。
【0081】
動作不良を引き起こす可能性が高くなった場合、半導体装置101の動作を止める、半導体装置101を発熱させることにより水分を蒸発させる、外部に情報を発信するなどの特別な動作を実施し、不具合を抑制できる。
【0082】
厚み方向における上部電極32の大きさが、厚み方向における感湿膜31の大きさよりも大きいことで、感湿膜31の直上の上部電極32に信号ワイヤ34を接合することが容易となる。すなわち、上部電極32を挟んで感湿膜31に対向する位置に、信号ワイヤ34を設けることが容易となる。
【0083】
上部電極32を挟んで感湿膜31に対向する位置に、信号ワイヤ34を設けることで、上部電極32を引き回す必要がなくなるため、上部電極32を引き回すスペースが不要となる。上部電極32を引き回すスペースが不要となることで、半導体素子20の大きさを小さくすることができる。よって、半導体素子20を含む半導体装置101の大きさを、従来よりも小さくすることができる。すなわち、従来よりも小型の半導体装置101を提供することができる。
【0084】
また、信号ワイヤ34が上部電極32から電気信号を得るので、上部電極32を複雑な構造にする必要がないため、コストを削減できる。
【0085】
なお、物理量検出膜の例として、湿度を検出する感湿膜31について説明したが、物理量検出膜は、湿度以外の物理量を検出するものでもよい。また、物理量検出部の例として、湿度を検出する湿度検出部40について説明したが、物理量検出部は、湿度以外の物理量を検出するものでもよい。
【0086】
実施の形態1の変形例について説明する。
図12は、実施の形態1に係る上部電極32の変形例を示す平面図である。
【0087】
上部電極32は、信号ワイヤ34の接続を妨げなければ、任意のパターンを有することができる。
図12に示すように、上部電極32は、例えば、厚み方向に貫通する貫通穴45を有してもよい。上部電極32が貫通穴45を有することで、貫通穴を通って感湿膜31に水分が到達しやすくなる。すなわち、上部電極32が貫通穴45を有することで、信号ワイヤ34が接続される接続領域(ボンディングエリア)46周辺の感湿膜31に水分が到達しやすくなる。感湿膜31に水分が到達しやすくなることで、湿度検出部40が、湿度を検出しやすくなる。すなわち、感湿膜31の感度を向上させることができる。
【0088】
貫通穴45の断面は、例えば、矩形又は円形である。なお、貫通穴45の断面形状は、矩形又は円形であることに限られない。また、信号ワイヤ34を接続できる程度に接続領域46が確保されていれば、貫通穴45は上部電極32の任意の位置に設けられていてもよい。また、湿度を測定するための上部電極32の面積を確保するために、貫通穴45は上部電極32上で互いに離れて設けられることが望ましい。
【0089】
実施の形態2.
実施の形態2における半導体装置101について
図13を用いて説明する。実施の形態1と同様の構成については説明を省略する。また、
図13において
図1から
図12と同一の符号は同一又は相当部分を示す。
【0090】
図13は、実施の形態2に係る半導体装置102の断面図である。なお、
図13は、半導体装置102の一部分のみを示している。また、
図13において、封止樹脂は記載を省略している。本実施の形態に係る半導体装置102は、
図13に示すように、上部電極32の上面に水分侵入用ワイヤ47が設けられている点が、実施の形態1の半導体装置101と異なる。以下、実施の形態1の半導体装置101と異なる点を中心に説明する。
【0091】
半導体装置102は、水分侵入用ワイヤ47を含む。
図13に示すように、水分侵入用ワイヤ47は、上部電極32の上面に設けられる。また、水分侵入用ワイヤ47は、上部電極32の上側のうち、信号ワイヤ34が設けられる位置とは異なる位置に設けられる。水分侵入用ワイヤ47は、上部電極32と超音波接合によって接合される。また、水分侵入用ワイヤ47はU字形状であり、両端部において上部電極32と接合されている。
【0092】
水分侵入用ワイヤ47の太さ及び材質は、信号ワイヤ34の太さ及び材質と同じであることが望ましい。水分侵入用ワイヤ47の太さ及び材質が、信号ワイヤ34の太さ及び材質と同じであることで、水分侵入用ワイヤ47を、信号ワイヤ34と同時に接合することができる。なお、水分侵入用ワイヤ47の太さ及び材質は、信号ワイヤ34又はゲート駆動用ワイヤ37の候補となった太さ及び材質のものであってもよい。
【0093】
封止樹脂36から浸透する水分よりも、封止樹脂36と各部材との界面を伝って侵入する水分のほうが多い場合、湿度検出部40に到達する水分量よりも、電圧保持部39に到達する水分量のほうが大きくなるため、湿度検出部40で湿度が高い状態を検出するよりも早く動作不良を起こす可能性がある。
【0094】
上部電極32の上面に、水分侵入用ワイヤ47を設けることで、水分侵入用ワイヤ47を伝って、水分が電圧保持部39よりも優先的に湿度検出部40に到達する。水分が電圧保持部39よりも優先的に湿度検出部40に到達することによって、湿度検出部40において、実施の形態1に係る半導体装置101よりも早く湿度を検出することができる。
【0095】
水分侵入用ワイヤ47の上部電極32の厚み方向における大きさが、半導体素子20の上面に設けられる封止樹脂36の厚み方向における大きさよりも小さい場合、すなわち、水分侵入用ワイヤ47が封止樹脂36から露出していない場合は、湿度検出部40を用いた湿度測定時のノイズを抑制することができる。
【0096】
一方、水分侵入用ワイヤ47の厚み方向における大きさが、半導体素子20の上面に設けられる封止樹脂36の厚み方向における大きさよりも大きい場合、すなわち、水分侵入用ワイヤ47が封止樹脂36から一部露出している場合は、水分侵入用ワイヤ47が封止樹脂36から露出している部分から、優先的に水分が侵入するため、湿度検出部40において、さらに早く湿度を検出することができる。
【0097】
水分侵入用ワイヤ47から侵入する水分量が過剰である場合は、水分侵入用ワイヤ47から侵入する水分が原因で動作不良を引き起こす可能性があるため、水分侵入用ワイヤ47の厚み方向における大きさは、適当な大きさに調整される。
【0098】
半導体装置102の製造方法について説明する。半導体装置102は、実施の形態1に係る半導体装置101と同様に、
図6から
図10に示すように、上部電極32まで形成される。次に、上部電極32に水分侵入用ワイヤ47を超音波接合する。主配線ワイヤ33、信号ワイヤ34、ゲート駆動用ワイヤ37、及び封止樹脂36等の製造方法は、実施の形態1に係る半導体装置101と同様である。
【0099】
実施の形態3.
実施の形態3における半導体装置103について
図14から
図18を用いて説明する。実施の形態1と同様の構成については説明を省略する。また、
図14から
図18において
図1から
図13と同一の符号は同一又は相当部分を示す。
【0100】
本実施の形態に係る半導体装置103は、上部電極32の下面の面積と感湿膜31の上面の面積とが等しい点が、実施の形態1の半導体装置101と異なる。以下、実施の形態1の半導体装置101と異なる点を中心に説明する。
【0101】
上部電極32の大きさ、すなわち、厚み方向に垂直な方向の面積は、感湿膜31の大きさと等しい。
【0102】
本実施の形態に係る半導体装置103の製造方法について説明する。
図14は、実施の形態3に係る半導体装置103の製造方法を示す図である。本実施の形態に係る半導体装置103の製造方法は、感湿膜31と上部電極32とを予め別工程で形成しておく点が、実施の形態1に係る半導体装置101の製造方法と異なる。以下、実施の形態1の半導体装置101と異なる点を中心に説明する。
【0103】
図14に示すように、実施の形態1と同様に、回路基板10、半導体素子20、及びはんだ35を形成する。
【0104】
図15は、実施の形態3に係る半導体装置103に用いる上部電極32及び感湿膜31の製造方法を示す図である。
図15に示すように、上部電極32を構成する金属箔上に感湿膜31を塗布して乾燥させることで、上部電極32と感湿膜31とを一体化させる。なお、感湿膜31を塗布して乾燥させる際に、感湿膜31は完全に乾燥させ切らず、溶媒を蒸発させる程度に乾燥させる。
【0105】
図16は、実施の形態3に係る半導体装置103の製造方法を示す図である。
図16に示すように、上部電極32と感湿膜31とを一体化させたものを、シャー切断又は金型を使ってプレス切断して所望のサイズに個片化する。上部電極32と感湿膜31とを一体化させて所望のサイズに個片化したものを、湿度検出部の個片48とする。すなわち、上部電極32に感湿膜31を形成し、上部電極32及び感湿膜31が一体化した湿度検出部の個片48を成型する。
【0106】
図17は、実施の形態3に係る半導体装置103の製造方法を示す図である。
図17に示すように、予め別工程で作成しておいた上部電極32と感湿膜31とを一体化させた湿度検出部の個片48を、表面電極25に接合する。適切な圧力を印加して、湿度検出部の個片48を表面電極25に密着させる。
【0107】
湿度検出部の個片48を表面電極25に密着させる際に、熱を加えてもよい。また、湿度検出部の個片48を表面電極25に密着させる際に、湿度検出部の個片48又は表面電極25に熱を加えることで、湿度検出部の個片48と表面電極25との密着力を向上させることができる。
【0108】
また、湿度検出部の個片48を表面電極25に密着させる際に、湿度検出部の個片48又は表面電極25に熱を加えることで、湿度検出部の個片48と表面電極25との隙間を埋めることができる。
【0109】
なお、湿度検出部の個片48又は表面電極25に熱を加える工程は、湿度検出部の個片48を表面電極25に密着させる工程とは別に設けられてもよい。
【0110】
また、湿度検出部の個片48を表面電極25に密着させる際に、
図5に示すように、湿度検出部の上部41を複数設けてもよい。すなわち、表面電極25の上面に、湿度検出部の個片48を複数設けてもよい。
【0111】
また、複数設けられる湿度検出部の個片48に含まれる感湿膜31の材質を、それぞれ別にしてもよい。例えば、低湿度領域における感度が高い感湿膜31と、高湿度領域における感度が高い感湿膜31の2種類を組み合わせて、半導体装置103の内部に配置してもよい。低湿度領域における感度が高い感湿膜31を用いることによって、不具合の前兆を検出することが容易となる。
【0112】
湿度検出部の個片48を複数設けられることで、湿度検出部の個片48が設けられるそれぞれの場所において湿度を検出できるため、不具合の発生場所ごとに、外部に発信する情報を変えて制御方法を変えることができる。
【0113】
図18は、実施の形態3に係る半導体装置103の製造方法を示す図である。
図18に示すように、実施の形態1に係る半導体装置101と同様に、主配線ワイヤ33及び信号ワイヤ34を表面電極25に、ゲート駆動用ワイヤ37をゲート電極23に超音波接合し、封止樹脂36で封止する。
【0114】
主配線ワイヤ33及び信号ワイヤ34を表面電極25に、ゲート駆動用ワイヤ37をゲート電極23に超音波接合する直前に、湿度検出部の個片48を表面電極25に接合する。すなわち、感湿膜31を表面電極25に接合する前に、感湿膜31と上部電極32とを一体化して湿度検出部の個片48を形成する。すなわち、湿度検出部の個片48を形成した後で、感湿膜31と表面電極25とを接合する。
【0115】
湿度検出部の個片48を形成した後で、感湿膜31と表面電極25とを接合することで、必要に応じて湿度検出部の個片48の有無、すなわち、湿度検出部の上部41の有無を容易に選択できる。また、湿度感度が異なる湿度検出部の上部41を、半導体装置103の内部に形成することが容易になる。
【0116】
また、感湿膜31を表面電極25に接合する前に、予め別工程で湿度検出部の個片48を形成することで、表面電極25の上面の凹凸の有無にかかわらず、感湿膜31を薄く形成することができる。感湿膜31を、表面電極25に対して薄く形成することで、上部電極32を挟んで感湿膜31に対向する位置に信号ワイヤ34を接合することが容易となり、上部電極32の配線を引き回す必要がなくなるため、半導体装置103を従来よりも小型化することができる。
【0117】
実施の形態4.
本実施の形態は、上述した実施の形態1から3にかかる半導体装置を電力変換装置に適用したものである。本開示は特定の電力変換装置に限定されるものではないが、以下、実施の形態4として、三相のインバータに本開示を適用した場合について説明する。
【0118】
図19は、本実施の形態にかかる電力変換装置を適用した電力変換システムの構成を示すブロック図である。
【0119】
図19に示す電力変換システムは、電源1000、電力変換装置2000、負荷3000から構成される。電源1000は、直流電源であり、電力変換装置2000に直流電力を供給する。電源1000は種々のもので構成することが可能であり、例えば、直流系統、太陽電池、蓄電池で構成することができるし、交流系統に接続された整流回路やAC/DCコンバータで構成することとしてもよい。また、電源1000を、直流系統から出力される直流電力を所定の電力に変換するDC/DCコンバータによって構成することとしてもよい。
【0120】
電力変換装置2000は、電源1000と負荷3000の間に接続された三相のインバータであり、電源1000から供給された直流電力を交流電力に変換し、負荷3000に交流電力を供給する。電力変換装置2000は、
図19に示すように、電源1000から入力される直流電力を交流電力に変換して出力する主変換回路2001と、主変換回路2001を制御する制御信号を主変換回路2001に出力する制御回路2003とを備えている。
【0121】
負荷3000は、電力変換装置2000から供給された交流電力によって駆動される三相の電動機である。なお、負荷3000は特定の用途に限られるものではなく、各種電気機器に搭載された電動機であり、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車、鉄道車両、エレベーター、若しくは、空調機器向けの電動機として用いられる。
【0122】
以下、電力変換装置2000の詳細を説明する。主変換回路2001は、スイッチング素子と還流ダイオードを備えており(図示せず)、スイッチング素子がスイッチングすることによって、電源1000から供給される直流電力を交流電力に変換し、負荷3000に供給する。主変換回路2001の具体的な回路構成は種々のものがあるが、本実施の形態にかかる主変換回路2001は2レベルの三相フルブリッジ回路であり、6つのスイッチング素子とそれぞれのスイッチング素子に逆並列された6つの還流ダイオードから構成することができる。主変換回路2001の各スイッチング素子および各還流ダイオードの少なくともいずれかは、上述した実施の形態1から3のいずれかの半導体装置に相当する半導体装置2002が有するスイッチング素子又は還流ダイオードである。6つのスイッチング素子は2つのスイッチング素子ごとに直列接続され上下アームを構成し、各上下アームはフルブリッジ回路の各相(U相、V相、W相)を構成する。そして、各上下アームの出力端子、すなわち主変換回路2001の3つの出力端子は、負荷3000に接続される。
【0123】
また、主変換回路2001は、各スイッチング素子を駆動する駆動回路(図示なし)を備えているが、駆動回路は半導体装置2002に内蔵されていてもよいし、半導体装置2002とは別に駆動回路を備える構成であってもよい。駆動回路は、主変換回路2001のスイッチング素子を駆動する駆動信号を生成し、主変換回路2001のスイッチング素子の制御電極に供給する。具体的には、後述する制御回路2003からの制御信号に従い、スイッチング素子をオン状態にする駆動信号とスイッチング素子をオフ状態にする駆動信号とを各スイッチング素子の制御電極に出力する。スイッチング素子をオン状態に維持する場合、駆動信号はスイッチング素子の閾値電圧以上の電圧信号(オン信号)であり、スイッチング素子をオフ状態に維持する場合、駆動信号はスイッチング素子の閾値電圧以下の電圧信号(オフ信号)となる。
【0124】
制御回路2003は、負荷3000に所望の電力が供給されるよう主変換回路2001のスイッチング素子を制御する。具体的には、負荷3000に供給すべき電力に基づいて主変換回路2001の各スイッチング素子がオン状態となるべき時間(オン時間)を算出する。例えば、出力すべき電圧に応じてスイッチング素子のオン時間を変調するPWM制御によって主変換回路2001を制御することができる。そして、各時点においてオン状態となるべきスイッチング素子にはオン信号を、オフ状態となるべきスイッチング素子にはオフ信号が出力されるよう、主変換回路2001が備える駆動回路に制御指令(制御信号)を出力する。駆動回路は、この制御信号に従い、各スイッチング素子の制御電極にオン信号又はオフ信号を駆動信号として出力する。
【0125】
本実施の形態に係る電力変換装置では、主変換回路2001を構成する半導体装置2002として実施の形態1から3にかかる半導体装置を適用するため、電力変換装置の小型化を実現することができる。
【0126】
本実施の形態では、2レベルの三相インバータに本開示を適用する例を説明したが、本開示は、これに限られるものではなく、種々の電力変換装置に適用することができる。本実施の形態では、2レベルの電力変換装置としたが3レベルやマルチレベルの電力変換装置であっても構わないし、単相負荷に電力を供給する場合には単相のインバータに本開示を適用しても構わない。また、直流負荷等に電力を供給する場合にはDC/DCコンバータやAC/DCコンバータに本開示を適用することも可能である。
【0127】
また、本開示を適用した電力変換装置は、上述した負荷が電動機の場合に限定されるものではなく、例えば、放電加工機やレーザー加工機、又は誘導加熱調理器や非接触給電システムの電源装置として用いることもでき、さらには太陽光発電システムや蓄電システム等のパワーコンディショナーとして用いることも可能である。
【0128】
なお、本明細書で説明した上記の各実施の形態では、各構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係又は実施の条件等について記載している場合があるが、これらは全ての局面において例示であって、各実施の形態が記載されたものに限られることはない。よって、例示されていない無数の変形例が、各実施の形態の範囲内において想定される。例えば、任意の構成要素を変形する場合、追加する場合又は省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれる。
【0129】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0130】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0131】
(付記1)
半導体素子と、
前記半導体素子の上側に設けられた物理量検出膜と、
前記物理量検出膜の上側に設けられた上部電極と、
前記上部電極に設けられるとともに、前記上部電極を挟んで前記物理量検出膜に対向する位置に設けられる信号ワイヤと、を備える
半導体装置。
(付記2)
前記半導体素子の厚み方向における前記上部電極の厚みが、前記厚み方向における前記物理量検出膜の厚みより大きい
付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記上部電極は、前記厚み方向に貫通する貫通穴を有する
付記1又は2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記上部電極の上側のうち、前記信号ワイヤが設けられる位置とは異なる位置に、水分侵入用ワイヤが設けられる
付記1から3のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記5)
前記半導体素子の上面に前記物理量検出膜及び前記上部電極が複数設けられることを特徴とする
付記1から4のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記6)
上部電極に物理量検出膜を形成し、前記上部電極及び前記物理量検出膜が一体化した個片を成型する工程と、
前記個片を、前記物理量検出膜と半導体素子の表面電極とが接するように取り付ける工程と、を含む
半導体装置の製造方法。
(付記7)
半導体素子の表面電極の上面に物理量検出膜を形成する工程と、
前記物理量検出膜の上面に上部電極を形成する工程と、
前記上部電極を挟んで前記物理量検出膜に対向する位置において、前記上部電極の上面に信号ワイヤを接合する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
(付記8)
前記上部電極に前記信号ワイヤを接合する前記工程において、
前記上部電極と前記信号ワイヤは、超音波接合により接合する
付記7に記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)
前記上部電極の上面のうち前記信号ワイヤが設けられる位置とは異なる位置に水分侵入用ワイヤを接合する工程をさらに有する
請求項7又は8に記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)
付記1から5のいずれか1項に記載の半導体装置を有し、入力される電力を変換して出力する主変換回路と、
前記主変換回路を制御する制御信号を前記主変換回路に出力する制御回路と、
を備えた電力変換装置。
【符号の説明】
【0132】
10 回路基板、20 半導体素子、21 裏面電極、22 半導体基板、25 表面電極、31 感湿膜、32 上部電極、33 主配線ワイヤ、34 信号ワイヤ、36 封止樹脂、37 ゲート駆動用ワイヤ、40 湿度検出部、41 湿度検出部の上部、45 貫通穴、47 水分侵入用ワイヤ、48 湿度検出部の個片、101、102、103、2002 半導体装置、1000 電源、2000 電力変換装置、2001 主変換回路、2003 制御回路、3000 負荷