(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156472
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】放射性廃棄物の処理容器および方法
(51)【国際特許分類】
G21F 9/36 20060101AFI20241029BHJP
G21F 5/06 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G21F9/36 501H
G21F9/36 501F
G21F9/36 501C
G21F5/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070964
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗須 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】打道 直孝
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 毅幸
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 展行
(72)【発明者】
【氏名】塚本 泰介
(72)【発明者】
【氏名】前田 一人
(57)【要約】
【課題】放射性廃棄物の処理容器および方法において、放射性廃棄物における乾燥作業の効率化を図る。
【解決手段】上開口部を有して下部が閉塞される筒形状をなす外筒と、上開口部を有して多孔筒形状をなすと共に外筒の内部に配置されることで外筒との間に第1ガス流路を形成する内筒と、多孔筒形状をなすと共に内筒の内部に配置されることで内部に第2ガス流路を形成する筒状部材と、外筒の上開口部および内筒の上開口部を閉塞する蓋と、外部と第1ガス流路に連通する第1連通部と、外部と第2ガス流路に連通する第2連通部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上開口部を有して下部が閉塞される筒形状をなす外筒と、
上開口部を有して多孔筒形状をなすと共に前記外筒の内部に配置されることで前記外筒との間に第1ガス流路を形成する内筒と、
多孔筒形状をなすと共に前記内筒の内部に配置されることで内部に第2ガス流路を形成する筒状部材と、
前記外筒の上開口部および前記内筒の上開口部を閉塞する蓋と、
外部と前記第1ガス流路を連通する第1連通部と、
外部と前記第2ガス流路を連通する第2連通部と、
を備える放射性廃棄物の処理容器。
【請求項2】
前記第1連通部および前記第2連通部は、前記外筒の底部または前記蓋に設けられる、
請求項1に記載の放射性廃棄物の処理容器。
【請求項3】
前記第2連通部は、外部から乾燥用ガスを前記第2ガス流路に供給するガス入口部であり、第1連通部は、前記第1ガス流路のガスを外部に排出するガス出口部である、
請求項1または請求項2に記載の放射性廃棄物の処理容器。
【請求項4】
前記外筒は、筒形状をなす外筒本体と、前記外筒本体の下部に設けられる底部と、前記外筒本体より小径の多孔筒形状をなすガイド筒とを有し、前記筒状部材は、前記ガイド筒の外側または内側に配置される、
請求項1に記載の放射性廃棄物の処理容器。
【請求項5】
前記内筒は、多孔筒形状をなす内筒本体と、前記内筒本体の下部に設けられる底部とを有し、前記筒状部材は、前記底部上に一体に設けられる、
請求項1に記載の放射性廃棄物の処理容器。
【請求項6】
前記外筒は、外面に加熱装置が配置される、
請求項1に記載の放射性廃棄物の処理容器。
【請求項7】
下部が閉塞される外筒の内部に多孔筒形状をなす内筒が配置され、前記内筒の内部に多孔筒形状をなす筒状部材が配置され、前記内筒の上開口部および前記外筒の上開口部が蓋により開閉可能な処理容器を用いた放射性廃棄物の処理方法であって、
前記内筒の上開口部から内部に放射性廃棄物を収容するステップと、
前記外筒の上開口部および前記内筒の上開口部を前記蓋により閉止するステップと、
前記筒状部材の内部の第2ガス流路に乾燥用ガスを供給するステップと、
前記外筒と前記内筒の間に設けられた第1ガス流路のガスを外部に排出するステップと、
を有する放射性廃棄物の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射性廃棄物の処理容器および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントにて、原子炉圧力容器の内部に配置された炉心燃料が溶融すると、原子炉格納容器の内部の構造物も溶融して固化し、放射性廃棄物としてのデブリとなる。そのため、デブリなどの放射性廃棄物を原子炉格納容器から回収して処理する必要がある。放射性廃棄物を処理する技術として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された技術は、放射性廃棄物をキャニスタに収容し、キャニスタの外部に配置されたヒータによりキャニスタを加熱することで、内部の放射性廃棄物を乾燥するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放射性廃棄物をキャニスタに収容し、外部からキャニスタを加熱して内部の放射性廃棄物を乾燥する場合、ヒータの熱がキャニスタの内部の放射性廃棄物に伝わりにくく、乾燥作業に長時間を要してしまうという課題がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、放射性廃棄物における乾燥作業の効率化を図る放射性廃棄物の処理容器および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の放射性廃棄物の処理容器は、上開口部を有して下部が閉塞される筒形状をなす外筒と、上開口部を有して多孔筒形状をなすと共に前記外筒の内部に配置されることで前記外筒との間に第1ガス流路を形成する内筒と、多孔筒形状をなすと共に前記内筒の内部に配置されることで内部に第2ガス流路を形成する筒状部材と、前記外筒の上開口部および前記内筒の上開口部を閉塞する蓋と、外部と前記第1ガス流路を連通する第1連通部と、外部と前記第2ガス流路を連通する第2連通部と、を備える。
【0007】
また、本開示の放射性廃棄物の処理方法は、下部が閉塞される外筒の内部に多孔筒形状をなす内筒が配置され、前記内筒の内部に多孔筒形状をなす筒状部材が配置され、前記内筒の上開口部および前記外筒の上開口部が蓋により開閉可能な処理容器を用いた放射性廃棄物の処理方法であって、前記内筒の上開口部から内部に放射性廃棄物を収容するステップと、前記外筒の上開口部および前記内筒の上開口部を前記蓋により閉止するステップと、前記筒状部材の内部の第2ガス流路に乾燥用ガスを供給するステップと、前記外筒と前記内筒の間に設けられた第1ガス流路のガスを外部に排出するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の放射性廃棄物の処理容器および方法によれば、放射性廃棄物における乾燥作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の放射性廃棄物の処理容器を表す概略図である。
【
図2】
図2は、放射性廃棄物の処理容器を表す分解図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の放射性廃棄物の処理方法を表すフローチャートである。
【
図4】
図4は、処理容器における乾燥作業を表す概略図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の放射性廃棄物の処理容器を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
<放射性廃棄物の処理容器>
図1は、第1実施形態の放射性廃棄物の処理容器を表す概略図、
図2は、放射性廃棄物の処理容器を表す分解図である。
【0012】
原子力発電プラントにて、原子炉容器の内部の炉心などが溶融すると、溶融した燃料などの溶融物が発生し、固化した溶融物(デブリ)は、放射性廃棄物として回収の対象となる。本実施形態の放射性廃棄物の処理容器および方法は、例えば、原子力発電プラントで発生した放射性廃棄物を回収して収容し、乾燥処理するものである。但し、放射性廃棄物は、デブリに限定されるものではなく、使用済燃料や廃炉により発生する構造物などであってもよい。
【0013】
図1および
図2に示すように、放射性廃棄物の処理容器10は、外筒11と、内筒12と、筒状部材13と、蓋14とを備える。
【0014】
外筒11は、円筒形状をなし、上部が開放されて底部が閉塞される。外筒11は、外筒本体21と、底部22と、上開口部23と、フランジ部24と、ガイド筒25とを有する。外筒本体21は、円筒形状をなすが、角筒形状であってもよい。底部22は、外筒本体21の形状に応じた円板形状をなし、外筒本体21の下部に一体に設けられる。上開口部23は、外筒本体21の上端部に設けられ、外筒本体21の内部と外部を流通する。フランジ部24は、リング形状をなし、外筒本体21の上端部の外側に一体に設けられる。ガイド筒25は、多孔の円筒形状をなし、外筒本体21の内部で底部22の中心に立設される。すなわち、ガイド筒25は、鉛直方向の長さが外筒本体21における鉛直方向の長さとほぼ同様であり、下端部が底部22に一体に連結される。この場合、ガイド筒25は、下端部が底部22により閉塞される。ガイド筒25は、板厚方向に貫通する多数の孔25aを有するパンチングメタルなどにより形成される。
【0015】
内筒12は、多孔の円筒形状をなし、上部が開放されて底部が閉塞される。内筒12は、内筒本体31と、底部32と、上開口部33とを有する。内筒本体31は、多孔の円筒形状をなすが、角筒形状であってもよい。つまり、内筒本体31は、メッシュ(金網など)の円筒形状をなす。底部32は、内筒本体31の形状に応じた円板形状をなし、内筒本体31の下部に一体に設けられる。上開口部33は、内筒本体31の上端部に設けられ、内筒本体31の内部と外部を流通する。なお、内筒本体31のメッシュの孔は、内筒12の内部に収容される放射性廃棄物の種類や大きさに応じて設定される。すなわち、メッシュは、内筒12の内部に収容される放射性廃棄物が通過できない大きさとすることが好ましい。
【0016】
筒状部材13は、上部および下部が開放された多孔の円筒形状をなす。具体的に、筒状部材13は、メッシュの円筒形状をなす。筒状部材13は、円筒形状に限らず、角筒形状であってもよい。筒状部材13は、内筒12の内部で、中心部に1つ配置される。但し、筒状部材13は、位置や数が限定されるものではなく、中心部ではない位置に複数設けてもよい。なお、筒状部材13のメッシュの孔は、内筒12の内部に収容される放射性廃棄物の種類や大きさに応じて設定される。すなわち、メッシュは、内筒12の内部に収容される放射性廃棄物が通過できない大きさとすることが好ましい。
【0017】
なお、本実施形態にて、筒状部材13は、内筒12と一体に設けられる。すなわち、筒状部材13は、内筒本体31の内部で底部32の中心に立設される。すなわち、筒状部材13は、鉛直方向の長さが内筒本体31における鉛直方向の長さとほぼ同様であり、下端部が底部32に一体に連結される。この場合、筒状部材13は、下端部が底部32により閉塞される。但し、筒状部材13は、内筒12と別体に設けられていてもよい。
【0018】
外筒11の内径は、内筒12の外径より大きい。外筒11の全長(軸方向長さ)は、内筒12の全長(軸方向長さ)とほぼ同様である。外筒11は、内部に内筒12が配置される。この場合、外筒11と内筒12は、両者の中心が一致するように配置される。そして、内筒12は、筒状部材13が外筒11のガイド筒25に嵌合することで、外筒11の内部に位置決め固定される。なお、外筒11および内筒12の強度を確保するため、外筒11と内筒12との間に連結部材を設けて連結してもよい。
【0019】
処理容器10は、外筒11における外筒本体21の内周面と、内筒12における内筒本体31の外周面との間に第1ガス流路41が設けられる。第1ガス流路41は、円筒形状をなす。また、処理容器10は、筒状部材13の内部に第2ガス流路42が設けられる。第2ガス流路42は、円柱形状をなす。
【0020】
蓋14は、円板形状をなす。蓋14は、外径が外筒11のフランジ部24の外径とほぼ同様である。蓋14は、外筒11の上部および内筒12の上部に配置され、複数のボルト15により外筒11および内筒12に固定される。蓋14は、外筒11および内筒12の上部に固定されることで、外筒11の上開口部23および内筒12の上開口部33を閉塞する。なお、蓋14は、複数のボルト15により外筒11および内筒12に対して着脱自在である。
【0021】
蓋14は、厚さ方向に貫通する第1連通部51と第2連通部52が設けられる。第1連通部51は、蓋14の外周部に配置され、第2連通部52は、蓋14の中央部に配置される。第1連通部51は、外筒11と内筒12の間の第1ガス流路41の上部に連通する。第2連通部52は、筒状部材13の内部の第2ガス流路42の上部に連通する。本実施形態にて、第1連通部51は、複数設けられ、第2連通部52は、1つ設けられるが、第1連通部51と第2連通部52の数は、限定されるものではなく、例えば、第2連通部52を複数設けてもよい。
【0022】
なお、図示しないが、蓋14は、上部に第1連通部51に対応するカプラが装着され、第2連通部52に対応するカプラが装着される。カプラは、それぞれ配管接続用カプラである。すなわち、カプラは、内部にバルブが設けられ、ばねの付勢力によりバルブが通路を閉止する方向に付勢支持される。そして、カプラに対して、配管のプラグが接続されることでバルブが開放される。
【0023】
本実施形態にて、第2連通部52は、第2ガス流路42に連通し、外部から乾燥用ガスを第2ガス流路42に供給するガス入口部として機能する。一方、第1連通部51は、第1ガス流路41に連通し、第1ガス流路41のガスを外部に排出するガス出口部として機能する。
【0024】
なお、第1連通部51を外部から乾燥用ガスを第1ガス流路41に供給するガス入口部として機能させ、第2連通部52を第2ガス流路42のガスを外部に排出するガス出口部として機能させてもよい。
【0025】
外筒11は、外周部に加熱装置61が設けられる。加熱装置61は、例えば、電気ヒータである。加熱装置61は、円筒形状をなし、外筒11の外周面に密着するように固定される。
【0026】
外筒11は、内部に内筒12が挿入されて位置決め固定される。このとき、内筒12は、筒状部材13が外筒11のガイド筒25の外側に配置される。加熱装置61は、外筒11の外側に配置されて固定される。蓋14は、外筒11および内筒12に対して着脱自在である。なお、筒状部材13を外筒11のガイド筒25の外側に配置したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、筒状部材13を内筒12とは別体に構成し、外筒11のガイド筒25の内側に配置してもよい。
【0027】
<放射性廃棄物の処理方法>
図3は、第1実施形態の放射性廃棄物の処理方法を表すフローチャート、
図4は、処理容器における乾燥作業を表す概略図である。
【0028】
図3および
図4に示すように、第1実施形態の放射性廃棄物の処理方法は、上述した処理容器10を用いた放射性廃棄物の処理方法であって、放射性廃棄物を乾燥して保管するものである。また、本実施形態の放射性廃棄物の処理方法は、図示しないマニピュレータを操作することで、作業者が遠隔操作により各種の処理を行うものである。
【0029】
ステップS11にて、処理容器10に放射性廃棄物100を収容する。この場合、処理容器10は、蓋14が取外された状態にあり、放射性廃棄物100を開放されている上開口部33から内筒12の内部に収容する。ステップS12にて、処理容器10に蓋14を取付けて上開口部33を閉止し、放射性廃棄物100を処理容器10の内部で密閉状態とする。
【0030】
ステップS13にて、処理容器10の蓋14に乾燥装置を構成する各種の配管を接続する。すなわち、ガス供給配管71は、基端部側に加熱装置72が設けられ、先端部側が複数に分岐され、各分岐管の先端部にプラグが連結される。ガス排出配管73は、フィルタ74と、送風機75が設けられ、基端部にプラグが連結される。作業者は、遠隔操作によりマニピュレータを作動し、ガス供給配管71を第2連通部52に接続し、ガス排出配管73を第1連通部51に接続する。
【0031】
ステップS14にて、放射性廃棄物100の乾燥作業を開始する。すなわち、送風機75を作動し、ガス排出配管73から第1連通部51を通して外筒11と内筒12の間の第1ガス流路41に負圧を作用させる。第1ガス流路41の負圧は、メッシュ状に形成された内筒本体31を通して内筒12に収容された放射性廃棄物100に作用する。そして、放射性廃棄物100に作用した負圧は、メッシュ状に形成された筒状部材13およびガイド筒25の孔25aを通して第2ガス流路42に作用し、第2連通部52を介してガス供給配管71に作用する。
【0032】
すると、加熱装置72により加熱された乾燥用ガス(加熱空気)がガス供給配管71、第2連通部52、第2ガス流路42、ガイド筒25の孔25a、メッシュ状に形成された筒状部材13を通って内筒12の内部に吸入され、放射性廃棄物100に供給される。加熱空気は、内筒12の内部を径方向の外側に移動することで、内筒12の内部にある放射性廃棄物100を加熱し、放射性廃棄物100に付着または含有する水分を蒸発させると共に、発生する水蒸気を内筒12の外部に掃気し、放射性廃棄物100を乾燥させる。また、加熱装置61は、輻射熱を用いて内筒12の内部に収容された放射性廃棄物100を加熱する。なお、乾燥用ガスは、加熱空気に限定されるものではなく、含有する水分量の少ない乾いた空気や不活性ガス(窒素など)であってもよい。
【0033】
そして、放射性廃棄物100を加熱した空気と放射性廃棄物100から蒸発した蒸発ガスは、メッシュ状に形成された内筒本体31を通って第1ガス流路41に流れ、第1連通部51からガス排出配管73に排出される。このとき、フィルタ74は、空気やガスに含まれる有害物質を吸着除去する。
【0034】
ステップS15にて、乾燥作業を開始してから予め設定された所定処理時間が経過したか否かを判定する。ここで、乾燥作業を開始してから所定処理時間が経過していないと判定(No)すると、乾燥作業を継続する。一方、乾燥作業を開始してから所定処理時間が経過したと判定(Yes)すると、乾燥作業を終了する。すなわち、送風機75の作動を停止し、蓋14からガス供給配管71とガス排出配管73を取外す。そして、ステップS17にて、処理容器10の蓋14を保管用蓋(図示略)に交換し、処理容器10により放射性廃棄物100を保管する。
【0035】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の放射性廃棄物の処理容器を表す概略図である。
【0036】
図5に示すように、放射性廃棄物の処理容器10Aは、外筒11と、内筒12と、筒状部材13と、蓋14とを備える。放射性廃棄物の処理容器10Aの基本的な構成は、第1実施形態の放射性廃棄物の処理容器10とほぼ同様である。
【0037】
処理容器10Aは、外筒11における外筒本体21と、内筒12における内筒本体31との間に第1ガス流路41が設けられる。また、処理容器10Aは、筒状部材13の内部に第2ガス流路42が設けられる。蓋14は、厚さ方向に貫通する第1連通部51が設けられる。第1連通部51は、蓋14の外周部に配置される。第1連通部51は、外筒11と内筒12の間の第1ガス流路41の上部に連通する。外筒11および内筒12は、底部22,32の厚さ方向に貫通する第2連通部52が設けられる。第2連通部52は、外筒11および内筒12の底部22,32の中央部に配置される。第2連通部52は、筒状部材13の内部の第2ガス流路42の上部に連通する。
【0038】
本実施形態にて、第2連通部52は、第2ガス流路42に連通し、外部から乾燥用ガスを第2ガス流路42に供給するガス入口部として機能する。一方、第1連通部51は、第1ガス流路41に連通し、第1ガス流路41のガスを外部に排出するガス出口部として機能する。そして、ガス供給配管71(
図4参照)は、第2連通部52に接続可能であり、ガス排出配管73(
図4参照)は、第1連通部51に接続可能である。
【0039】
なお、処理容器10Aによる放射性廃棄物の処理方法は、第1実施形態とほぼ同様であり、説明は省略する。
【0040】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る放射性廃棄物の処理容器は、上開口部23を有して下部が閉塞される筒形状をなす外筒11と、上開口部33を有して多孔筒形状をなすと共に外筒11の内部に配置されることで外筒11との間に第1ガス流路41を形成する内筒12と、多孔筒形状をなすと共に内筒12の内部に配置されることで内部に第2ガス流路42を形成する筒状部材13と、外筒11の上開口部23および内筒12の上開口部33を閉塞する蓋14と、外部と第1ガス流路41を連通する第1連通部51と、外部と第2ガス流路42を連通する第2連通部52とを備える。
【0041】
第1の態様に係る放射性廃棄物の処理容器によれば、外筒11の内部に多孔筒形状をなす内筒12を配置し、内筒12の内部に多孔筒形状をなす筒状部材13を配置し、外筒11と内筒12との間に第1ガス流路41を形成すると共に、筒状部材13の内部に第2ガス流路42を形成する。第1ガス流路41と第2ガス流路42の一方に乾燥用ガスを供給すると、乾燥用ガスは、内筒12と筒状部材13との間で径方向に流れ、放射性廃棄物100を加熱し、乾燥用ガスと放射性廃棄物100からの蒸気を第1ガス流路41と第2ガス流路42の他方から外部に排出することができ、放射性廃棄物100を効率良く乾燥することができる。その結果、放射性廃棄物100における乾燥作業の効率化を図ることができる。
【0042】
第2の態様に係る放射性廃棄物の処理容器は、第1の態様に係る放射性廃棄物の処理容器であって、さらに、第1連通部51および第2連通部52は、外筒11の底部22または蓋14に設けられる。これにより、第1連通部51や第2連通部52を外筒11の底部22に設けると、蓋14の簡素化を図ることができ、第1連通部51や第2連通部52を蓋14に設けると、外筒11の簡素化を図ることができる。
【0043】
第3の態様に係る放射性廃棄物の処理容器は、第1の態様または第2の態様に係る放射性廃棄物の処理容器であって、さらに、第2連通部52は、外部から乾燥用ガスを第2ガス流路42に供給するガス入口部であり、第1連通部51は、第1ガス流路41のガスを外部に排出するガス出口部である。これにより、第2ガス流路42に供給された乾燥用ガスを内筒12と筒状部材13との間で径方向に流すことができ、乾燥用ガスが流れる流路長さを短くして放射性廃棄物100を効率良く乾燥することができる。
【0044】
第4の態様に係る放射性廃棄物の処理容器は、第1の態様から第3の態様のいずれか一つに係る放射性廃棄物の処理容器であって、さらに、外筒11は、筒形状をなす外筒本体21と、外筒本体21の下部に設けられる底部22と、外筒本体21より小径の多孔筒形状をなすガイド筒25とを有し、筒状部材13は、ガイド筒25の外側(または内側)に配置される。これにより、筒状部材13がガイド筒25に支持されることとなり、筒状部材13の剛性を低下させて簡素化および低コスト化を図ることができる。
【0045】
第5の態様に係る放射性廃棄物の処理容器は、第1の態様から第4の態様のいずれか一つに係る放射性廃棄物の処理容器であって、さらに、内筒12は、多孔筒形状をなす内筒本体31と、内筒本体31の下部に設けられる底部32とを有し、筒状部材13は、底部32上に一体に設けられる。これにより、内筒12と筒状部材13とを一体に設けることとなり、外筒11に対する組付の簡素化を図ることができる。
【0046】
第6の態様に係る放射性廃棄物の処理容器は、第1の態様から第5の態様のいずれか一つに係る放射性廃棄物の処理容器であって、さらに、外筒11は、外面に加熱装置61が配置される。これにより、放射性廃棄物100を効果的に加熱することができる。
【0047】
第7の態様に係る放射性廃棄物の処理方法は、内筒12の上開口部33から内部に放射性廃棄物を収容するステップと、外筒11の上開口部23および内筒12の上開口部33を蓋14により閉止するステップと、筒状部材13の内部の第2ガス流路に乾燥用ガスを供給するステップと、外筒11と内筒12の間に設けられた第1ガス流路のガスを外部に排出するステップとを有する。
【0048】
第7の態様に係る放射性廃棄物の処理方法によれば、乾燥用ガスは、内筒12と筒状部材13との間で径方向に流れ、放射性廃棄物100を加熱すると共に発生した水蒸気を内筒12の外部に掃気することができ、放射性廃棄物100を効率良く乾燥することができる。その結果、放射性廃棄物100における乾燥作業の効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0049】
10,10A 放射性廃棄物の処理容器
11 外筒
12 内筒
13 筒状部材
14 蓋
15 ボルト
21 外筒本体
22 底部
23 上開口部
24 フランジ部
25 ガイド筒
31 内筒本体
32 底部
33 上開口部
41 第1ガス流路
42 第2ガス流路
51 第1連通部
52 第2連通部
61 加熱装置
71 ガス供給配管
72 加熱装置
73 ガス排出配管
74 フィルタ
75 送風機
100 放射性廃棄物