(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156473
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】マフラ
(51)【国際特許分類】
F01N 1/08 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
F01N1/08 H
F01N1/08 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070966
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古屋 智大
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004BA04
3G004CA11
3G004DA06
3G004GA06
(57)【要約】
【課題】マフラの振動を抑制するのが望ましい。
【解決手段】マフラは、軸線に沿って延びる筒状の側壁を有するシェルと、インレットパイプと、第1及び第2壁部を有するステーとを備える。第1壁部は、インレットパイプにより貫通される穴部を有し、側壁に接合される。第2壁部は、第1壁部の端部から延出し、当接部と、補強部とを有する。当接部は、側壁の内周面における領域であって、軸線と略直交すると共に内周面に沿った方向である周方向に延びる領域である当接領域に当接し、当接領域に接合される。補強部は、周方向に沿って当接部に設けられ、当接部を補強する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるよう構成されたマフラであって、
軸線に沿って延びる筒状の側壁と、前記側壁の両端を閉鎖するプレートとを有するシェルと、
前記側壁に設けられた排ガスの入口から、前記シェルの内部に突出するように設けられるインレットパイプと、
前記インレットパイプを支持するステーと、を備え、
前記ステーは、
前記インレットパイプにより貫通される穴部を有し、前記側壁に接合される板状の部位である第1壁部と、
前記第1壁部の端部から延出する板状の部位である第2壁部と、を備え、
前記第2壁部は、
前記側壁の内周面における領域であって、前記軸線と略直交すると共に前記内周面に沿った方向である周方向に延びる領域である当接領域に当接し、前記当接領域に接合される当接部と、
前記周方向に沿って前記当接部に設けられ、前記当接部を補強する補強部と、
を有するマフラ。
【請求項2】
請求項1に記載のマフラであって、
前記側壁における前記軸線に直交する断面は、長手方向に延びる形状であり、
前記側壁において、前記長手方向に沿って延びる部分を大R部とし、
前記当接領域は、前記大R部に設けられる
マフラ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のマフラであって、
前記補強部は、前記軸線の方向に対面する2つの壁状の部位を含む
マフラ。
【請求項4】
請求項3に記載のマフラであって、
前記補強部は、前記当接部における前記軸線の方向の両端から前記シェルの内部に向けて突出する壁状の部位である
マフラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マフラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、マフラのシェルの内部に、インレットパイプを支持する板状の部材であるステーを設ける技術が知られている。該シェルにおける筒状の側壁は、断面が長円状であり、該断面の短手方向に延びる部分である2つの小R部と、該断面の長手方向に延びる部分である2つの大R部とを備える。そして、インレットパイプは、小R部に設けられた穴部から斜め上方にシェルの内部へと突出し、ステーを貫通する。また、ステーの両端は、それぞれ、小R部と大R部とに接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のマフラによれば、ステーによりインレットパイプが保持されるため、インレットパイプの振動を抑制できる。しかし、インレットパイプから排出された排ガスがシェルに衝突するため、排ガスの脈動等によりシェルが振動する恐れがある。
【0005】
本開示の一態様では、マフラの振動を抑制するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両に搭載されるよう構成されたマフラであって、シェルと、インレットパイプと、ステーと、を備える。シェルは、軸線に沿って延びる筒状の側壁と、側壁の両端を閉鎖するプレートとを有する。インレットパイプは、側壁に設けられた排ガスの入口から、シェルの内部に突出するように設けられる。ステーは、インレットパイプを支持する。また、ステーは、第1壁部と、第2壁部と、を備える。第1壁部は、インレットパイプにより貫通される穴部を有し、側壁に接合される板状の部位である。第2壁部は、第1壁部の端部から延出する板状の部位である。また、第2壁部は、当接部と、補強部と、を有する。当接部は、側壁の内周面における領域であって、軸線と略直交すると共に内周面に沿った方向である周方向に延びる領域である当接領域に当接し、当接領域に接合される。補強部は、周方向に沿って当接部に設けられ、当接部を補強する。
【0007】
上記構成によれば、補強部により補強された当接部がシェルの側壁の内周面に当接しているため、側壁の剛性が向上する。したがって、マフラの振動を抑制できる。
本開示の一態様では、側壁における軸線に直交する断面は、長手方向に延びる形状であってもよい。側壁において、長手方向に沿って延びる部分を大R部としてもよい。当接領域は、大R部に設けられてもよい。
【0008】
上記構成によれば、補強部により補強された当接部がシェルの側壁における大R部の内周面に当接しているため、側壁の剛性を効果的に向上させることができる。したがって、より一層、マフラの振動を抑制できる。
【0009】
本開示の一態様では、補強部は、軸線の方向に対面する2つの壁状の部位を含んでもよい。
上記構成によれば、側壁の剛性を効果的に向上させることができる。したがって、より一層、マフラの振動を抑制できる。
【0010】
本開示の一態様では、補強部は、当接部における軸線の方向の両端からシェルの内部に向けて突出する壁状の部位であってもよい。
上記構成によれば、側壁の剛性を効果的に向上させることができる。したがって、より一層、マフラの振動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】第1実施形態のマフラの内部構造を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態のマフラの第2領域における軸線に直交する断面図である。
【
図5】第1実施形態のステーにおける第2壁部の伸長方向(換言すれば、周方向)に直交する断面図である。
【
図6】第1実施形態のマフラにおける振動モードの説明図である。
【
図8】第2実施形態のステーにおける第2壁部の伸長方向に直交する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0013】
[1.第1実施形態]
[(1)概要]
第1実施形態のマフラ1は、車両に搭載され、車両のエンジンからの排ガスの流路に設けられる(
図1~3参照)。マフラ1は、1本の上流側パイプ30と、2本の下流側パイプ31が接続されており、上流側パイプ30を通過した排ガスがマフラ1に流入すると共に、マフラ1を通過した排ガスは、各下流側パイプ31に流入する。無論、これに限らず、マフラ1には、1本の下流側パイプが接続されていても良い。マフラ1は、シェル10と、インレットパイプ14と、第1~第3セパレータ15と、2本の内部パイプ16と、ステー2とを備える。
【0014】
[(2)シェル]
シェル10は、軸線1Aに沿って延びる筒状の側壁11と、側壁11の両端の開口を閉鎖する2つのエンドプレート12とを備える(
図1~3参照)。
【0015】
側壁11における軸線1Aに直交する断面(以後、単に断面と記載)は、長手方向に延びる細長い形状(一例として、楕円形状)を有する。第1実施形態では、一例として、マフラ1は、断面における長手方向に直交する短手方向が上下方向と一致するように、車両に搭載される。無論、これに限らず、側壁11の断面は、例えば、長円状や長方形状であっても良い。また、マフラ1が車両に搭載される際の向きは、上述したものに限らず、マフラ1は、例えば、長手方向が上下方向と一致するように車両に搭載されても良い。
【0016】
以後、側壁11における長手方向に沿って広がる部分を、大R部11Aと記載し、短手方向に沿って広がる部分を、小R部11Bと記載する。換言すれば、大R部11Aは、側壁11の断面における曲率半径が大きい部分であり、小R部11Bは、該断面における曲率半径が小さい部分である。側壁11は、短手方向に対面する2つの大R部11Aと、長手方向に対面する2つの小R部11Bとを備える。
【0017】
そして、側壁11の小R部11Bにおける一方の大R部11Aに隣接する部分には、マフラ1の内部への排ガスの入口13が設けられている。一例として、入口13は、小R部11Bにおける下側の大R部11Aに隣接する位置に設けられており、斜め下方を向いている。また、側壁11における入口13の縁部には、入口13を囲み、且つ、外側に向かって突出する壁部13Aが設けられている。上流側パイプ30の端部は、入口13に接続される。
【0018】
一方、各エンドプレート12には、排ガスの出口が設けられており、各出口には、上述した下流側パイプ31の端部が接続される。
[(3)セパレータ及び内部パイプ]
セパレータ15は、マフラ1の内部空間を仕切る板状の部材であり、軸線1Aに直交するように設けられる(
図2、3参照)。第1実施形態では、一例として3つのセパレータ15が設けられており、マフラ1の内部空間は、これらのセパレータ15により第1~第4領域1B~1Eに分割される。
【0019】
各セパレータ15には、穴部15Aが設けられており、各領域1B~1Eの排ガスは、穴部15Aを通過して他の領域に移動する。無論、穴部15Aの数及び配置態様は、これに限られず、適宜定められ得る。
【0020】
また、マフラ1の内部空間には、軸線1A方向に延びた状態で、2つの内部パイプ16が配置されている。各内部パイプ16は、第1端が各エンドプレート12の出口に接続され、該出口を介して下流側パイプに接続されると共に、該出口から各セパレータ15を貫通するように延びる。また、各内部パイプ16の第2端は、それぞれ、各エンドプレート12に隣接する第1、第4領域1B、1Eに位置する。すなわち、第1領域1B及び第4領域1Eは、側壁11とエンドプレート12とセパレータ15とに囲まれた空間である。また、第2領域1C及び第3領域1Dは、側壁11と隣り合うセパレータ15とに囲まれた空間である。
【0021】
無論、セパレータ15の数や、内部パイプ16の数及び配置態様は、これに限らず、適宜定められ得る。また、マフラ1に、セパレータ15及び/又は内部パイプ16を設けない構成としても良い。また、内部パイプ16と下流側パイプ31とは、一本のパイプとして形成されていても良い。
【0022】
[(4)インレットパイプ]
シェル10の側壁11に設けられた排ガスの入口13は、第2領域1Cに対面するように設けられる(
図2、3参照)。そして、入口13に隣接する大R部11Aの反対側に位置する大R部11Aに向かって、第2領域1Cに突出するように、インレットパイプ14が設けられる。第1実施形態では、一例として、入口13は下側の大R部11Aに隣接して設けられているため、インレットパイプ14は、上側の大R部11Aに向かって斜め上方に突出する。
【0023】
インレットパイプ14は、一例として略円筒形状であり、直線状に延びる。また、インレットパイプ14の両端の開口は、インレットパイプ14の伸長方向に対し直交する向きに平面状に広がる。インレットパイプ14の第1端は、入口13の壁部13Aに接合されている。なお、本明細書における接合は、例えば溶接を含む様々な方法で実現され得る。一方、インレットパイプ14の第2端の開口は、第2領域1Cに位置し、インレットパイプ14を通過した排ガスを放出する出口14Aを形成する。
【0024】
[(5)ステー]
ステー2は、マフラ1の内部における第2領域1Cに配置され、インレットパイプ14を支持する(
図2~5参照)。ステー2は、1つの板状の母材を例えばプレス成形等により変形させることで製造される。ステー2は、略矩形の板状の部位である第1壁部20と、第1壁部20の端部から延出する板状の部位である第2壁部23とを備える。ステー2は、第1壁部20と第2壁部23との境界にてL字状に屈曲しており、第1及び第2壁部20、23は、軸線1Aの方向に広がる。
【0025】
第1壁部20は、短手方向に対し傾斜し、且つ、入口13に対面する。第1壁部20は、中央に位置する穴部21と、接合部22とを備える。
第1壁部20における穴部21を囲む縁部には、インレットパイプ14の出口14A側に向かって突出する部位である壁部21Aが設けられている。一例として、壁部21Aは、バーリング加工で形成されていてもよい。また、インレットパイプ14は、穴部21を貫通した状態で設けられ、摺動可能な状態で壁部21Aにより支持される。なお、壁部21Aは、入口13側に突出していても良い。
【0026】
接合部22は、第1壁部20における下側に位置する一辺をなす端部、換言すれば、第2壁部23の反対側の端部に設けられた細長い部位であり、軸線1Aに沿って延びる。接合部22は、第1壁部20の上記端部を屈曲することで形成される。接合部22は、下側の大R部11Aに対し、一例として溶接により接合されている。
【0027】
[(6)第2壁部]
ステー2における第2壁部23は、基部24と、延出部25と、補強部26とを備える(
図2~5参照)。
【0028】
基部24は、第1壁部20の上側に位置する一辺をなす端部から周方向に延出する。周方向とは、側壁11の断面における側壁11の内周面に沿った方向であり、軸線1Aに略直交する。基部24は、第1壁部20の上記端部から離れるに従い、その幅が狭くなる。基部24は、上面視すると略三角形となっている。無論、基部24は、略三角形に限られず、一例として四角形であってもよい。
【0029】
延出部25は、基部24における第1壁部20の反対側の端部における中央から周方向に延出する。より詳しくは、延出部25は、略三角形を形成する基部24の頂点の含む部分から延出する。言い換えると、延出部25は、基部24の端部のうち第1壁部20とは反対側の端部から延出する。延出部25は、幅が略一定である帯状の部位である。
【0030】
補強部26は、基部24及び延出部25の幅方向(換言すれば、軸線1Aの方向)の両端に設けられており、マフラ1の内部空間に向かって突出する壁状の部位であり、幅方向に対面する部位を有する(
図5参照)。補強部26は、基部24における第1壁部20の付近から、延出部25の先端まで、基部24及び延出部25に沿って(換言すれば、周方向に沿って)延びる。なお、補強部26は、基部24及び延出部25の幅方向の片側の端部にのみ設けられていてもよい。
【0031】
基部24及び延出部25は、その略全域が側壁11の内周面に当接する当接部を形成する。側壁11の内周面における当接部との当接領域は、周方向に延びる細長い領域となる。基部24及び延出部25は、一例として、幅方向の略中央に位置する複数の箇所が、スポット溶接により側壁11の内周面に接合される。無論、基部24及び延出部25が側壁11に接合される位置は、幅方向の略中央に限らず、適宜定められ得る。また、基部24及び延出部25は、スポット溶接以外の溶接により側壁11に接合されてもよいし、溶接以外の方法で接合されてもよい。
【0032】
より詳しくは、基部24における第1壁部20側の端部は、入口13側の小R部11Bにおける上側の大R部11Aの付近に位置し、延出部25の先端は、該大R部11Aにおける入口13が設けられていない小R部11Bの付近まで到達している。つまり、基部24及び延出部25との当接領域は、大R部11Aに設けられる。なお、該当接領域は、小R11Bに位置していてもよい。
【0033】
このため、基部24及び延出部25は、一例として、側壁11における1次~3次モードの固有振動の腹が生じる箇所に当接する(
図6参照)。なお、1次モードの固有振動の腹は、大R部11Aにおける周方向の略中央に形成される。また、2次モードの固有振動の腹は、大R部11Aを周方向に2等分することで形成された各領域における、周方向の略中央に形成される。また、また、3次モードの固有振動の腹は、大R部11Aを周方向に3等分することで形成された各領域における、周方向の略中央に形成される。
【0034】
無論、これに限らず、基部24における第1壁部20側の端部は、例えば、小R部11Bと大R部11Aとの境界に位置してもよいし、大R部11Aにおける小R部11Bの付近に位置してもよい。また、延出部25の先端は、例えば、上側の大R部11Aと入口13が設けられていない小R部11Bとの境界まで延びていてもよいし、さらに、該小R部11Bまで延びていてもよい。また、延出部25の先端は、例えば、上側の大R部11Aにおける長手方向の略中央(換言すれば、1次モードの固有振動の腹の位置)にあってもよいし、最も第1壁部20側に位置する2次モードの固有振動の腹の位置にあってもよいし、最も第1壁部20側に位置する3次モードの固有振動の腹の位置にあってもよい。
【0035】
[2.第2実施形態]
第2実施形態のマフラ1は、ステー2における第2壁部4の構成において、第1実施形態と相違する(
図7、8参照)。以下では、第2実施形態の第2壁部4における第1実施形態との相違点について説明する。
【0036】
第2壁部4は、板状の部位であり、基部40と、延出部41と、当接部42と、底部43と、補強部44とを備える。
基部40は、第1実施形態と同様、第1壁部20の上側の端部から周方向に延出し、上面視すると略三角形となっている。
【0037】
延出部41は、第1実施形態と同様、基部40における第1壁部20の反対側の端部における中央から周方向に延出し、幅が略一定である帯状の部位である。
当接部42は、基部40における第1壁部20との境界に沿って設けられると共に、基部40及び延出部41における幅方向の両端をなす各縁部に沿って設けられる。当接部42は、基部40における第1壁部20側の端部から、延出部41の先端まで延びる。
【0038】
底部43は、基部40及び延出部41における陥没した部位であり、当接部42の内側に位置する。底部43は、基部40から周方向に延びており、延出部41の先端に到達している。
【0039】
補強部44は、当接部42と底部43とを繋ぐ壁状の部位であり、第2壁部4における底部43が位置する部分の周方向に直交する断面が、側壁11の内周面から突出する凸状となるように、側壁11の内周面に対し傾斜する(
図8参照)。つまり、補強部44は、底部43における幅方向の両端に位置し、該幅方向に対面する2つの壁状の部位を有する。また、補強部44は、基部24における第1壁部20の付近から、延出部41の先端まで、周方向に沿って延びている。
【0040】
当接部42は、その略全域が側壁11の内周面に当接し、側壁11の内周面における当接部42との当接領域は、周方向に延びる細長い領域となる。当接部42は、溶接(一例として、スポット溶接)により側壁11の内周面に接合される。無論、これに限らず、例えば、底部43の片側に位置する当接部42における側壁11に溶接されてもよい。また、当接部42は、溶接以外の方法で側壁11に接合されてもよい。
【0041】
つまり、第2壁部4は、底部43及び補強部44と側壁11の内周面との間に隙間を形成した状態で、側壁11に接合されている。そして、延出部41の先端には、当接部42と、底部43と、補強部44とが位置しており、該先端にて、底部43及び補強部44と側壁11との間に開口が形成される。
【0042】
[3.第3実施形態]
第3実施形態のマフラ1は、ステー2における第2壁部4の構成、より詳しくは、第2壁部4に2つの底部43が設けられている点において、第2実施形態と相違する(
図9参照)。以下では、第3実施形態の第2壁部4における第2実施形態との相違点について説明する。
【0043】
第2壁部4は、矩形の板状の部位であり、第1壁部20の上側の端部から周方向に延出する。第2壁部4は、当接部42と、2つの底部43と、補強部44とを備える。
各底部43は、第2実施形態と同様、第2壁部4における陥没した部位であり、第2壁部4における第1壁部20との境界の付近から周方向に延びており、第2壁部4における第1壁部20の反対側の端部(換言すれば、先端)に到達している。また、2つの底部43は、第2壁部4の幅方向に並ぶ。
【0044】
当接部42は、第2壁部4における第1壁部20との境界に沿って設けられると共に、第2壁部4における幅方向の両端をなす各縁部に沿って、第2壁部4の先端に到達するように設けられる。また、当接部42は、2つの底部43の間に、第2壁部4の先端に到達するに設けられる。
【0045】
補強部44は、第2実施形態と同様にして当接部42と底部43とを繋ぎ、幅方向に対面する複数の壁状の部位を有する。
当接部42は、第2実施形態と同様、その略全域が側壁11の内周面に当接し、側壁11の内周面における当接部42との当接領域は、周方向に延びる細長い領域となる。また、当接部42は、第2実施形態と同様にして、側壁11の内周面に接合される。
【0046】
つまり、第2壁部4の2つの底部43及び補強部44と、側壁11の内周面との間には、隙間が形成されると共に、第2壁部4の先端では、2つの底部43及び補強部44と側壁11との間に、2つの開口が形成される。
【0047】
[4.第4実施形態]
第4実施形態のマフラ1は、ステー2における第2壁部4の構成において、第2実施形態と相違する(
図10参照)。以下では、第4実施形態の第2壁部4における、第2実施形態との相違点について説明する。
【0048】
第2壁部4は、板状の部位であり、第2実施形態と同様の基部40と、延出部41と、当接部42と、底部43と、補強部44とを備える。しかし、第2壁部4は、側壁11の内周面との間に吸音室4Aを形成するよう構成されており、延出部41の先端周辺の部分の構成が、第2実施形態と相違する。
【0049】
すなわち、底部43及び補強部44は、延出部41の先端まで到達しておらず、延出部41の先端は、当接部42により構成される。このため、側壁11の内周面における当接部42との当接領域は、周方向に延びる細長い領域となる。
【0050】
また、第2壁部4は、第2実施形態と同様、底部43及び補強部44と側壁11の内周面との間に隙間を形成した状態で側壁11に接合されるが、延出部41の先端は、当接部42及び補強部44により閉鎖される。これにより、該隙間がマフラ1の内部空間から隔離され、該隙間が吸音室4Aとして機能し得る。また、底部43には、当該底部43を貫通する複数の穴43Aが、周方向に並ぶように形成されている。穴43Aは、吸音室4Aの内部と外部とを連通する。
【0051】
また、吸音室4Aには、一例として、吸音材4Bが配置される。しかし、これに限らず、吸音室4Aに吸音材4Bを配置しない構成としてもよい。この場合、吸音室4Aでは、干渉や共鳴等により消音が促される。
【0052】
[5.第5実施形態]
第5実施形態のマフラ1は、ステー2における第2壁部4の構成において、第4実施形態と相違する(
図11参照)。以下では、第5実施形態の第2壁部4における第4実施形態との相違点について説明する。
【0053】
第2壁部4は、矩形の板状の部位であり、第1壁部20の上側の端部から周方向に延出する。第2壁部4は、当接部42と、底部43と、補強部44とを備える。
当接部42は、第2壁部4の縁部に沿って周回するように設けられる。つまり、当接部42は、第2壁部4における第1壁部20との境界に沿って設けられると共に、第2壁部4における第1壁部20の反対側の端部に沿って設けられる。また、当接部42は、第2壁部4における幅方向の両端をなす各縁部に沿って設けられる。このため、側壁11の内周面における当接部42との当接領域は、周方向に延びる細長い領域を形成する。
【0054】
底部43は、第2壁部4における陥没した矩形の部位であり、当接部42の内側に位置する。また、底部43には、当該底部43を貫通する複数の穴43Aが形成されている。
補強部44は、第3実施形態と同様にして、当接部42と底部43とを繋ぎ、幅方向に対面する複数の壁状の部位を有する。
【0055】
つまり、第5実施形態の第2壁部4は、第4実施形態と同様、側壁11の内周面との間に吸音室4Aを形成するよう構成されている。しかし、第5実施形態の第2壁部4は、底部43の形状が第4実施形態とは異なっており、第4実施形態よりも広い吸音室4Aを形成する。
【0056】
また、吸音室4Aには、一例として、吸音材4Bが配置される。しかし、これに限らず、吸音室4Aに吸音材4Bを配置しない構成としてもよい。
[6.効果]
(1)上記実施形態によれば、ステー2の第2壁部における基部24及び延出部25や当接部42は、補強部26、44により補強されているため、断面2次モーメントが向上し、変形し難くなる。そして、補強されたこれらの部位が、シェル10の側壁11の内周面に面接触しているため、側壁11の剛性が向上する。したがって、排ガスに脈動が生じている場合等であっても、マフラ1の振動を抑制でき、これにより、マフラ1における放射音の発生を抑制できる。
【0057】
(2)また、基部24及び延出部25や当接部42は、変形が生じ易い側壁11の大R部11Aに面接触している。このため、大R部11Aの変形を抑制でき、その結果、側壁11の剛性を効果的に向上させることができるため、より一層、マフラ1の振動を抑制できる。
【0058】
(3)また、周方向に延びる延出部25や当接部42が大R部11Aに面接触する構成であるため、これらの部位は、大R部11Aにおける複数の振動モードの腹に当接し得る。このため、大R部11Aと面接触する部分を過度に増やすこと無く、比較的簡素な構成で、側壁11における様々な振動モードを抑制できる。また、これにより、従来に比べ、マフラ1で生じる放射音の音圧レベルを低減できる。
【0059】
(4)また、補強部26、44は、幅方向(換言すれば、軸線1Aの方向)に対面する壁状の部位である。さらに、第1実施形態においては、補強部26は、基部24及び延出部25の幅方向の両端からシェル10の内部に向けて突出する。このため、当接部42や基部24及び延出部25における断面2次モーメントを好適に向上させることができ、その結果、側壁11の剛性を効果的に向上させることができる。したがって、より一層、マフラ1の振動を抑制できる。
【0060】
[7.他の実施形態]
(1)上記実施形態では、シェル10の側壁11の断面は細長い形状となっているが、これに限らず、該断面は、例えば、円形状や正多角形状であってもよい。
【0061】
(2)上記実施形態では、排ガスの入口13及びステー2は、マフラ1の内部空間における第2領域1Cに配置される。しかし、排ガスの入口13及びステー2は、第1、第3、又は第4領域1B、1D、1Eに配置されていても良い。
【0062】
(3)上記実施形態において、ステー2は、複数の部材を接合することで製造されてもよい。より詳しくは、ステー2は、例えば、第1壁部20を構成する部材と、第2壁部23、4を構成する部材とを接合することで製造されても良い。これにより、例えば、マフラ1の組立作業を容易化できる。
【0063】
(4)上記実施形態では、排ガスの入口13は、側壁11の小R部11Bにおける下側の大R部11Aに隣接する部分に位置する。しかし、これに限らず、入口13は、小R部11Bにおける短手方向の中央に設けられていても良い。また、入口13は、大R部11Aに設けられていても良い。
【0064】
(5)上記実施形態において、補強部は、延出部25や底部43における幅方向の両側に設けられる。しかし、これに限らず、補強部は、延出部25や底部43における幅方向の片側や、幅方向の中央に設けられてもよい。
【0065】
(6)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…マフラ、1A…軸線、10…シェル、11…側壁、11A…大R部、11B…小R部、12…エンドプレート、13…入口、14…インレットパイプ、15…セパレータ、16…内部パイプ、2…ステー、20…第1壁部、21…穴部、22…接合部、23…第2壁部、24…基部、25…延出部、26…補強部、30…上流パイプ、31…下流パイプ、4…第2壁部、4A…吸音室、4B…吸音材、40…基部、41…延出部、42…当接部、43…底部、43A…穴、44…補強部。