IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浜松ホトニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図1
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図2
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図3
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図4
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図5
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図6
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図7
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図8
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図9
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図10
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図11
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図12
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図13
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図14
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図15
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図16
  • 特開-干渉観察装置及び干渉観察方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156476
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】干渉観察装置及び干渉観察方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 9/02002 20220101AFI20241029BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20241029BHJP
   G02B 21/18 20060101ALI20241029BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G01B9/02002
G02B21/36
G02B21/18
G02B21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070971
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】山内 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 那津輝
【テーマコード(参考)】
2F064
2H052
【Fターム(参考)】
2F064BB05
2F064CC01
2F064FF06
2F064GG22
2F064GG44
2F064HH08
2H052AA04
2H052AB06
2H052AB24
2H052AB26
2H052AC14
2H052AC27
2H052AD09
2H052AF14
2H052AF25
(57)【要約】
【課題】観察面に関する情報を精度よく取得する。
【解決手段】干渉観察装置1は、光を出力する光源2と、参照ミラー15を有し、光源2から出力された光を第1光L1及び第2光L2に分割し、観察対象物8で反射された第1光L1と参照ミラー15で反射された第2光L2との干渉光L3を出力する干渉光学系3と、干渉光L3を検出する撮像素子4と、撮像素子4の検出結果に基づいて干渉画像を取得する処理部5と、を備える。干渉光学系3は、第2光L2の光路の焦点条件を変化させるピエゾ素子19を有する。処理部5は、第1光L1の焦点を観察対象物8の観察面Rに合わせた状態で第2光L2の光路の焦点条件を変化させた場合の複数の干渉画像に基づいて、観察面Rに関する観察面情報と観察面R以外の非観察面に関する非観察面情報とを分離する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出力する光源と、
参照ミラーを有し、前記光源から出力された光を第1光及び第2光に分割し、観察対象物で反射された前記第1光と前記参照ミラーで反射された前記第2光との干渉光を出力する干渉光学系と、
前記干渉光を検出する撮像素子と、
前記撮像素子の検出結果に基づいて干渉画像を取得する処理部と、を備え、
前記干渉光学系は、前記第2光の光路の焦点条件を変化させる機構を有し、
前記処理部は、
前記第1光の焦点を前記観察対象物の観察面に合わせた状態で前記第2光の光路の焦点条件を変化させた場合の複数の前記干渉画像に基づいて、前記観察面に関する観察面情報と前記観察面以外の非観察面に関する非観察面情報とを分離する、干渉観察装置。
【請求項2】
前記処理部は、
前記参照ミラーを第1位置に位置させた場合の第1干渉画像と、前記光源から出力する光の半波長以上の距離前記参照ミラーを前記第2光の光路に沿って前記第1位置から移動させた場合の第2干渉画像と、に基づいて、前記観察面情報と前記非観察面情報とを分離する、請求項1に記載の干渉観察装置。
【請求項3】
前記干渉光学系は、前記第2光を前記参照ミラーへ導光し且つ移動可能な参照対物レンズを有し、
前記処理部は、
前記参照対物レンズを第1位置に位置させた場合の第1干渉画像と、前記光源から出力する光の半波長以上の距離前記参照対物レンズを前記第2光の光路に沿って前記第1位置から移動させた場合の第2干渉画像と、に基づいて、前記観察面情報と前記非観察面情報とを分離する、請求項1に記載の干渉観察装置。
【請求項4】
前記光源は、第1波長の光を出力する第1光源、及び、前記第1波長とは異なる第2波長の光を出力する第2光源を有し、
前記干渉光学系は、前記第2光の光路上に配置された分散媒質を有し、
前記処理部は、
前記第1光源から光を出力した場合の第1干渉画像と、前記第2光源から光を出力した場合の第2干渉画像と、に基づいて、前記観察面情報と前記非観察面情報とを分離する、請求項1に記載の干渉観察装置。
【請求項5】
前記観察対象物は、デバイス部と、前記デバイス部の表面に空気層を介して設けられたキャップ部と、を含み、
前記干渉光学系は、前記観察対象物に対して前記キャップ部側から前記第1光を入射させ、
前記観察面は、前記デバイス部の前記表面であり、
前記非観察面は、前記キャップ部の表面及び裏面である、請求項1に記載の干渉観察装置。
【請求項6】
前記観察対象物は、デバイス部と、前記デバイス部の表面に設けられた膜部と、を含み、
前記干渉光学系は、前記観察対象物に対して前記膜部側から前記第1光を入射させ、
前記観察面は、前記デバイス部の前記表面又は裏面であり、
前記非観察面は、前記膜部の表面及び裏面である、請求項1に記載の干渉観察装置。
【請求項7】
前記観察対象物は、第1デバイス部と、前記第1デバイス部の表面に設けられた第2デバイス部と、を含み、
前記干渉光学系は、前記観察対象物に対して前記第2デバイス部側から前記第1光を入射させ、
前記観察面は、前記第1デバイス部の前記表面又は裏面であり、
前記非観察面は、前記第2デバイス部の表面及び裏面である、請求項1に記載の干渉観察装置。
【請求項8】
前記観察対象物は、デバイス部を含み、
前記干渉光学系は、前記観察対象物に対して前記デバイス部の表面側から前記第1光を入射させ、
前記観察面は、前記デバイス部の裏面であり、
前記非観察面は、前記デバイス部の前記表面である、請求項1に記載の干渉観察装置。
【請求項9】
前記観察面は、前記観察対象物が有する界面であり、
前記非観察面は、前記撮像素子の検出面と前記観察対象物との間の光学素子の表面である、請求項1に記載の干渉観察装置。
【請求項10】
前記観察面は、前記観察対象物が有する界面であり、
前記非観察面は、前記撮像素子の検出面と離間して実装された前記撮像素子の保護板の表面である、請求項9に記載の干渉観察装置。
【請求項11】
前記干渉画像における複数の異物の位置と複数の前記異物それぞれのデフォーカス度とを示す表、及び、前記干渉画像におけるデフォーカス度の分布を示す画像の少なくとも何れかを表示する表示部を備える、請求項1に記載の干渉観察装置。
【請求項12】
前記干渉画像における複数の異物の位置と複数の前記異物それぞれのデフォーカス度とを示す表、及び、前記干渉画像におけるデフォーカス度の分布を示す画像の少なくとも何れかを記憶する記憶部を備える、請求項1に記載の干渉観察装置。
【請求項13】
光源から光を出力する光出力ステップと、
前記光源から出力した光を第1光及び第2光に分割し、観察対象物で反射された前記第1光と参照ミラーで反射された前記第2光との干渉光を出力する干渉光出力ステップと、
前記干渉光を撮像素子で検出する干渉光検出ステップと、
前記撮像素子の検出結果に基づいて干渉画像を取得する処理ステップと、を備え、
前記処理ステップでは、
前記第1光の焦点を前記観察対象物の観察面に合わせた状態で前記第2光の光路の焦点条件を変化させた場合の複数の前記干渉画像に基づいて、前記観察面に関する観察面情報と前記観察面以外の非観察面に関する非観察面情報とを分離する、干渉観察方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉観察装置及び干渉観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、光源と、光源から出力された光を分岐して第1分岐光及び第2分岐光とし、第1分岐光を観察対象物で反射させ、第1分岐光と第2分岐光(参照光)とを合波して当該合波光を出力する干渉光学系と、合波光を受光して検出信号を出力する受光部と、検出信号に基づいて干渉画像を取得する画像取得部と、を備えた干渉観察装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2016-121250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した干渉観察装置では、観察対象物における一の界面を観察面として観察する場合、例えば他の界面に研削痕等が存在すると、取得する干渉画像に当該研削痕等の影響が及ぶ可能性がある。この場合、観察面に関する情報を精度よく取得できないおそれがある。
【0005】
本発明は、観察面に関する情報を精度よく取得することができる干渉観察装置及び干渉観察方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の干渉観察装置は、[1]「光を出力する光源と、参照ミラーを有し、前記光源から出力された光を第1光及び第2光に分割し、観察対象物で反射された前記第1光と前記参照ミラーで反射された前記第2光との干渉光を出力する干渉光学系と、前記干渉光を検出する撮像素子と、前記撮像素子の検出結果に基づいて干渉画像を取得する処理部と、を備え、前記干渉光学系は、前記第2光の光路の焦点条件を変化させる機構を有し、前記処理部は、前記第1光の焦点を前記観察対象物の観察面に合わせた状態で前記第2光の光路の焦点条件を変化させた場合の複数の前記干渉画像に基づいて、前記観察面に関する観察面情報と前記観察面以外の非観察面に関する非観察面情報とを分離する、干渉観察装置」である。
【0007】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、第1光の焦点を観察対象物の観察面に合わせた状態で第2光の光路の焦点条件を変化させた際、取得される複数の干渉画像においては、観察面に係る成分の受ける変調量と比べて、観察面以外の非観察面に係る成分の受ける変調量が有意に大きいという知見を得た。そこで、本発明の干渉観察装置では、このようにして取得した複数の干渉画像に基づいて、観察面に関する情報(以下、「観察面情報」ともいう)と非観察面に関する情報(以下、「非観察面情報」ともいう)とを分離する。これにより、干渉画像から非観察面情報を排して観察面情報を選択的に得ることができ、観察面情報を精度よく取得することが可能となる。
【0008】
本発明の干渉観察装置は、[2]「前記処理部は、前記参照ミラーを第1位置に位置させた場合の第1干渉画像と、前記光源から出力する光の半波長以上の距離前記参照ミラーを前記第2光の光路に沿って前記第1位置から移動させた場合の第2干渉画像と、に基づいて、前記観察面情報と前記非観察面情報とを分離する、[1]に記載の干渉観察装置」であってもよい。この場合、参照ミラーを第2光の光路に沿って移動させることで、干渉画像の観察面情報と非観察面情報とを分離することができる。
【0009】
本発明の干渉観察装置は、[3]「前記干渉光学系は、前記第2光を前記参照ミラーへ導光し且つ移動可能な参照対物レンズを有し、前記処理部は、前記参照対物レンズを第1位置に位置させた場合の第1干渉画像と、前記光源から出力する光の半波長以上の距離前記参照対物レンズを前記第2光の光路に沿って前記第1位置から移動させた場合の第2干渉画像と、に基づいて、前記観察面情報と前記非観察面情報とを分離する、[1]に記載の干渉観察装置」であってもよい。この場合、参照対物レンズを第2光の光路に沿って移動させることで、干渉画像の観察面情報と非観察面情報とを分離することができる。
【0010】
本発明の干渉観察装置は、[4]「前記光源は、第1波長の光を出力する第1光源、及び、前記第1波長とは異なる第2波長の光を出力する第2光源を有し、前記干渉光学系は、前記第2光の光路上に配置された分散媒質を有し、前記処理部は、前記第1光源から光を出力した場合の第1干渉画像と、前記第2光源から光を出力した場合の第2干渉画像と、に基づいて、前記観察面情報と前記非観察面情報とを分離する、[1]に記載の干渉観察装置」であってもよい。この場合、2種類の波長の光を利用して観察面情報と非観察面情報とを分離することができる。
【0011】
本発明の干渉観察装置は、[5]「前記観察対象物は、デバイス部と、前記デバイス部の表面に空気層を介して設けられたキャップ部と、を含み、前記干渉光学系は、前記観察対象物に対して前記キャップ部側から前記第1光を入射させ、前記観察面は、前記デバイス部の前記表面であり、前記非観察面は、前記キャップ部の表面及び裏面である、[1]~[4]の何れかに記載の干渉観察装置」であってもよい。この場合、デバイス部の表面に関する観察面情報を、キャップ部の表面及び裏面の影響を抑えて精度よく取得することが可能となる。
【0012】
本発明の干渉観察装置は、[6]「前記観察対象物は、デバイス部と、前記デバイス部の表面に設けられた膜部と、を含み、前記干渉光学系は、前記観察対象物に対して前記膜部側から前記第1光を入射させ、前記観察面は、前記デバイス部の前記表面又は裏面であり、前記非観察面は、前記膜部の表面及び裏面である、[1]~[4]の何れかに記載の干渉観察装置」であってもよい。この場合、デバイス部の表面又は裏面に関する観察面情報を、膜部の表面及び裏面の影響を抑えて精度よく取得することが可能となる。
【0013】
本発明の干渉観察装置は、[7]「前記観察対象物は、第1デバイス部と、前記第1デバイス部の表面に設けられた第2デバイス部と、を含み、前記干渉光学系は、前記観察対象物に対して前記第2デバイス部側から前記第1光を入射させ、前記観察面は、前記第1デバイス部の前記表面又は裏面であり、前記非観察面は、前記第2デバイス部の表面及び裏面である、[1]~[4]の何れかに記載の干渉観察装置」であってもよい。この場合、第1デバイス部の表面又は裏面に関する観察面情報を、第2デバイス部の表面及び裏面の影響を抑えて精度よく取得することが可能となる。
【0014】
本発明の干渉観察装置は、[8]「前記観察対象物は、デバイス部を含み、前記干渉光学系は、前記観察対象物に対して前記デバイス部の表面側から前記第1光を入射させ、前記観察面は、前記デバイス部の裏面であり、前記非観察面は、前記デバイス部の前記表面である、[1]~[4]の何れかに記載の干渉観察装置」であってもよい。この場合、デバイス部の裏面に関する観察面情報を、デバイス部の表面の影響を抑えて精度よく取得することが可能となる。
【0015】
本発明の干渉観察装置は、[9]「前記観察面は、前記観察対象物が有する界面であり、前記非観察面は、前記撮像素子の検出面と前記観察対象物との間の光学素子の表面である、[1]~[4]の何れかに記載の干渉観察装置」であってもよい。この場合、観察対象物が有する界面に関する観察面情報を、撮像素子と観察対象物との間の光学素子の表面の影響を抑えて精度よく取得することが可能となる。
【0016】
本発明の干渉観察装置は、[10]「前記観察面は、前記観察対象物が有する界面であり、前記非観察面は、前記撮像素子の検出面と離間して実装された前記撮像素子の保護板の表面である、請求項9に記載の干渉観察装置」であってもよい。この場合、観察対象物が有する界面に関する観察面情報を、撮像素子の保護板の表面の影響を抑えて精度よく取得することが可能となる。
【0017】
本発明の干渉観察装置は、[11]「前記干渉画像における複数の異物の位置と複数の前記異物それぞれのデフォーカス度とを示す表、及び、前記干渉画像におけるデフォーカス度の分布を示す画像の少なくとも何れかを表示する表示部を備える、[1]~[10]の何れかに記載の干渉観察装置」であってもよい。この場合、表示部が表示した表及び画像の少なくとも何れかにより、観察面の異物と非観察面の異物とを容易に区別して把握することが可能となる。
【0018】
本発明の干渉観察装置は、[12]「前記干渉画像における複数の異物の位置と複数の前記異物それぞれのデフォーカス度とを示す表、及び、前記干渉画像におけるデフォーカス度の分布を示す画像の少なくとも何れかを記憶する記憶部を備える、[1]~[11]の何れかに記載の干渉観察装置」であってもよい。この場合、記憶部に記憶した表及び画像の少なくとも何れかを利用することにより、観察面の異物と非観察面の異物とを容易に区別して把握することが可能となる。
【0019】
本発明の干渉観察方法は、[13]「光源から光を出力する光出力ステップと、前記光源から出力した光を第1光及び第2光に分割し、観察対象物で反射された前記第1光と参照ミラーで反射された前記第2光との干渉光を出力する干渉光出力ステップと、前記干渉光を撮像素子で検出する干渉光検出ステップと、前記撮像素子の検出結果に基づいて干渉画像を取得する処理ステップと、を備え、前記処理ステップでは、前記第1光の焦点を前記観察対象物の観察面に合わせた状態で前記第2光の光路の焦点条件を変化させた場合の複数の前記干渉画像に基づいて、前記観察面に関する観察面情報と前記観察面以外の非観察面に関する非観察面情報とを分離する、干渉観察方法」である。
【0020】
この干渉観察方法においても、干渉画像から非観察面情報を排して観察面情報を選択的に得ることができ、観察面情報を精度よく取得することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、観察面に関する情報を精度よく取得することができる干渉観察装置及び干渉観察方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、第1実施形態に係る干渉観察装置を示す構成図である。
図2図2は、図1の干渉観察装置の動作例を示すフローチャートである。
図3図3(a)は、第1位相画像の例を示す写真図である。図3(b)は、第2位相画像の例を示す写真図である。
図4図4(a)は、参照ミラーの動作例を示すタイミングチャートである。図4(b)は、参照ミラーの他の動作例を示すタイミングチャートである。
図5図5(a)は、輝点抽出位相画像の例を示す写真図である。図5(b)は、輝点位置画像の例を示す写真図である。
図6図6(a)は、差分位相画像の例を示す写真図である。図6(b)は、デフォーカス指標画像の例を示す写真図である。
図7図7(a)は、インフォーカス位相画像の例を示す写真図である。図7(b)は、アウトオブフォーカス位相画像の例を示す写真図である。
図8図8は、デフォーカス指標テーブルを示す図である。
図9図9は、第2実施形態に係る干渉観察装置を示す構成図である。
図10図10は、第1光源及び第2光源が出力する光のスペクトル特性を示すグラフである。
図11図11は、第3実施形態に係る干渉観察装置を示す構成図である。
図12図12は、図11の干渉観察装置の動作例を示すフローチャートである。
図13図13(a)は、第1位相画像の例を示す写真図である。図13(b)は、第2位相画像の例を示す写真図である。
図14図14(a)は、差分位相画像の例を示す写真図である。図14(b)は、図13(a)の写真図を二値化した図である。
図15図15は、図11の干渉観察装置における撮像装置の視野を説明する図である。
図16図16(a)は、変形例に係る観察対象物を説明する断面図である。図16(b)は、変形例に係る観察対象物を説明する断面図である。
図17図16は、変形例に係る観察対象物を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0024】
<第1実施形態>
[干渉観察装置の構成]
図1に示されるように、第1実施形態に係る干渉観察装置1は、光源2と、干渉光学系3と、撮像素子4と、処理部5と、ステージSと、を備えている。干渉観察装置1は、ステージS上に配置された観察対象物8を光の干渉を用いて観察するための干渉顕微鏡である。観察対象物8は、例えば半導体デバイスであるが、金属、ガラス、樹脂、液晶、高分子化合物等により形成された他の工業サンプルであってもよい。観察対象物8は、細胞又は細胞塊等の生体サンプルであってもよい。以下、図1に示されるように、X方向と、X方向に垂直なY方向と、X方向及びY方向の双方に垂直なZ方向と、を設定して説明する。
【0025】
干渉観察装置1は、観察対象物8の表面(外表面)を観察する表面観察に加え、観察対象物8の内部を観察する内部観察を行うことができるように構成されている。内部観察では、観察対象物8内に位置する観察面Rが観察される。この例では、観察対象物8は、キャップ付きの半導体デバイス(いわゆるキャップ付きデバイス)であり、第1層81と、第2層82と、第3層83と、を有している。
【0026】
第1層81は、半導体、ガラス及び樹脂の少なくとも何れかで形成される層であり、キャップ部を構成する。第2層82は、空気層であり、エアギャップともされる。第3層83は、半導体層であり、ウエハ上に機能素子のパターンが形成されたデバイス部を構成する。ここでの第3層83は、パターン付きチップである。第1層81~第3層83は、第3層83、第2層82、第1層81の順に配置(積層)されており、観察対象物8は、第3層83がステージSに接触するようにステージS上に配置されている。第1層81は、第3層83の表面に、第2層82を介して設けられている。観察面Rは、第1層81、第2層82、第3層83の間の界面の何れかに設定される。ここでは、観察面Rは、第2層82と第3層83との間の界面に設定されている。観察面Rは、第3層83の表面である。第1層81の表面(干渉光学系3側の面)及び裏面(ステージS側の面)は、鏡面研磨面及び研削面であってもよい。光源2から出力される光として、第1層81を透過する波長の光を用いることで、第1層81を介して観察面Rを観察することができる。
【0027】
光源2は、インコヒーレントな光を出力する。光源2は、例えばハロゲンランプ等のランプ系光源、LED(Light emitting diode)光源、SLD(Superluminescent diode)光源、ASE(Amplified spontaneous emission)光源等である。
【0028】
干渉光学系3は、この例ではリニック干渉型に構成されている。干渉光学系3は、レンズ11と、ビームスプリッタ12と、対物レンズ13と、参照対物レンズ14と、参照ミラー15と、を有している。干渉光学系3は、光源2と共に筐体H内に配置されており、光学モジュールMを構成している。光学モジュールMは、所定のアクチュエータ16によりZ方向に沿って移動可能となっている。Z方向は、対物レンズ13の光軸に平行な方向であり、後述する第1光L1が観察対象物8に入射する方向と平行な方向である。
【0029】
レンズ11は、光源2から出力された光をコリメートする。ビームスプリッタ12は、例えば光学面12aを有するプリズムであり、レンズ11によりコリメートされた光を光学面12aにおいて第1光L1及び第2光L2に分割する。ビームスプリッタ12は、第1光L1を対物レンズ13へ出力し、第2光L2を参照対物レンズ14へ出力する。また、光学面12aには、観察対象物8の観察面Rで反射された第1光L1が対物レンズ13を介して入射すると共に、参照ミラー15で反射された第2光L2が参照対物レンズ14を介して入射する。これらの第1光L1及び第2光L2は、光学面12aにおいて合波されて干渉光L3となる。干渉光学系3は、干渉光L3を撮像素子4へ出力する。
【0030】
対物レンズ13は、ビームスプリッタ12から出力された第1光L1をステージS上に配置された観察対象物8に集光する。また、対物レンズ13には、観察対象物8の観察面Rで反射された第1光L1が入射する。対物レンズ13は、入射した第1光L1をビームスプリッタ12へ出力する。
【0031】
参照対物レンズ14は、ビームスプリッタ12から出力された第2光L2を参照ミラー15へ導光し、参照ミラー15上に集光する。また、参照対物レンズ14は、参照ミラー15で反射された第2光L2をビームスプリッタ12へ出力する。参照ミラー15は、参照対物レンズ14から出力された第2光L2を参照対物レンズ14へ戻るように反射させる。
【0032】
光学モジュールMの筐体H内には、参照対物レンズ14を移動させるためのステッピングモータ17と、参照ミラー15を移動させるためのステッピングモータ18及びピエゾ素子19と、が更に配置されている。ステッピングモータ17は、Z方向に垂直な第2光L2の光軸方向(例えばX方向)に沿って参照対物レンズ14を移動させる。ステッピングモータ18及びピエゾ素子19は、第2光L2の光軸方向に沿って参照ミラー15を移動させる。
【0033】
ステッピングモータ17,18の応答時間は10msecよりも大きく、ピエゾ素子19の応答時間は1msecよりも小さい。すなわち、ピエゾ素子19の応答時間はステッピングモータ17,18の応答時間よりも短い。ステッピングモータ17,18のストローク(最小移動距離)は数mmであり、ピエゾ素子19のストロークは10μm程度である。すなわち、ピエゾ素子19のストロークはステッピングモータ17,18のストロークよりも小さい。ステッピングモータ17,18の寿命駆動回数は100万回よりも少なく、ピエゾ素子19の寿命駆動回数は100億回よりも多い。すなわち、ピエゾ素子19の寿命駆動回数はステッピングモータ17,18の寿命駆動回数よりも多い。
【0034】
撮像素子4は、例えば、CCDエリアイメージセンサ、CMOSエリアイメージセンサ等のイメージセンサ(カメラ)である。撮像素子4は、干渉光学系3(ビームスプリッタ12)から出力された干渉光L3を検出(撮像)する。撮像素子4と干渉光学系3との間には、レンズ41及び鏡筒42が配置されている。レンズ41は、干渉光学系3から出力された干渉光L3を撮像素子4の撮像面に結像させる。レンズ41は、鏡筒42内に収容されている。鏡筒42は、例えば円筒状に形成されており、撮像面を囲むように撮像素子4に固定されている。
【0035】
処理部5は、光源2、干渉光学系3、撮像素子4及びステージSを含む干渉観察装置1の各部と通信可能に接続されており、撮像素子4における干渉光L3の検出結果に基づいて干渉画像を取得する。干渉画像は、例えば位相画像、振幅画像、複素数画像、後述する各種の画像、及び、これらの何れかに相当する画像を含む。
【0036】
処理部5は、例えば、プロセッサ(CPU)、記憶媒体であるRAM及びROMを含むコンピュータCによって構成されている。コンピュータCは、各種の情報を記憶する記憶領域(記憶部)51と、各種の情報の入力を受け付ける入力部52と、各種の情報を表示する表示部53と、を有している。入力部52は、例えばユーザの操作入力を受け付けるデバイスであり、例えばマウス、キーボード等である。表示部53は、例えば画像を表示するディスプレイである。入力部52及び表示部53は、例えばタッチパネルにより共通に構成されてもよく、この場合、GUI(Graphical User Interface)により構成されていてもよい。また、この例では処理部5、記憶領域51、入力部52及び表示部53が1つの装置により構成されているが、それらの少なくともいずれかは別のデバイスにより構成されてもよく、例えば携帯端末等により構成されてもよい。
【0037】
ステージSは、観察対象物8を配置するためのステージであり、第1光L1が観察対象物8に入射するZ方向と垂直なXY平面に沿って移動可能となっている。これにより、干渉観察装置1では、ステージSをXY平面に沿って移動させながら、すなわち観察対象物8の観察位置を変化させながら、観察対象物8の観察面Rの観察を行う(干渉画像を取得する)ことが可能となっている。
【0038】
このような干渉観察装置1では、まず、光源2からインコヒーレントな光を出力する(光出力ステップ)。当該光をレンズ11によりコリメートし、ビームスプリッタ12により第1光L1及び第2光L2に分割する。第1光L1は、対物レンズ13により観察対象物8に集光し、観察対象物8の界面で反射し、対物レンズ13を経てビームスプリッタ12に入力される。第2光L2は、参照対物レンズ14により参照ミラー15に集光し、該参照ミラー15で反射し、参照対物レンズ14を経てビームスプリッタ12に入力される。ビームスプリッタ12は、入力された第1光L1及び第2光L2を合波して、干渉光を出力する(干渉光出力ステップ)。出力された干渉光を撮像素子4により検出する(干渉光検出ステップ)。撮像素子4の検出結果に基づいて、処理部5により干渉画像を取得する(処理ステップ)。
【0039】
また、干渉観察装置1では、撮像素子4が4枚の干渉画像を取得するための撮像を行い、取得された4枚の干渉画像に基づいて処理部5が1枚の干渉画像を構築(取得)する。ピエゾ素子19は、4枚の干渉画像の撮像タイミングに合わせて細かく参照ミラー15を移動させる。これにより、4枚の干渉画像の間において第1光L1と第2光L2との間の光路長差が異ならせる。4枚の干渉画像を取得するための参照ミラー15の移動量は、光源2から出力する光の波長λよりも小さい。この例では、4枚の干渉画像の間における第2光L2の光路長差(位相シフト間隔)は、λ/4となっている。光路長の変化幅がλ/4になるように参照ミラー15を細かく動かす場合、第2光L2の光路(以下、「参照光路」ともいう)を第2光L2(以下、「参照光」ともいう)が往復することに留意すると、参照ミラー15の実際の移動量ステップはλ/8となり、例えばλ=532nmの場合、この値は66.5nmである。干渉画像の取得方法は、上述した例の方法に限られず、公知の種々の方法であってもよい。
【0040】
本実施形態において、処理部5は、第1光L1の焦点を観察対象物8の観察面Rに合わせた状態で第2光L2の光路の焦点条件を変化させた場合の複数の干渉画像に基づいて、観察面Rに関する観察面情報と観察面R以外の非観察面に関する非観察面情報とを分離する。換言すると、処理ステップでは、第1光L1の焦点を観察面Rに合わせた状態で第2光L2の光路の焦点条件を変化させた場合の複数の干渉画像に基づいて、観察面情報と非観察面情報とを分離する。ここでの処理部5は、ピエゾ素子19を制御して参照ミラー15を第2光L2の光路に沿って移動させ、これにより、第2光L2の光路の焦点条件を変化させる制御部を含む。ピエゾ素子19及び当該ピエゾ素子19により参照ミラー15が第2光L2の光路に沿って移動可能な機構が、第2光L2の光路の焦点変化させる機構を構成する。
【0041】
処理部5は、参照ミラー15を第1位置に位置させた場合の第1位相画像(第1干渉画像)と、光源2から出力する光の半波長λ/2以上の距離、参照ミラー15を第2光L2の光路に沿って第1位置から移動させた場合の第1位相画像(第2干渉画像)と、に基づいて、観察面情報と非観察面情報とを分離する(詳細は後述)。
【0042】
[干渉観察装置の動作例]
次に、図2を参照しつつ、干渉観察装置1による干渉観察方法を説明する。以下の一例では、観察対象物8の内部の観察面Rを観察(キャップ越し観察)する。干渉光学系3は、観察対象物8に対して第1層81側から第1光L1を入射させる。観察面Rは、第3層83の表面である。非観察面は、第1層81の表面及び裏面である。
【0043】
まず、処理部5は、アクチュエータ16を制御し、対物レンズ13をZ方向に沿って移動させ、対物レンズ13の焦点(フォーカス位置)が観察面Rに合うように観察対象物8に対する対物レンズ13の位置を調整する。具体的には、対物レンズ13及びレンズ41による光学的な結像により、観察面Rと撮像素子4の受光面とが光学的に共役関係となるように、対物レンズ13の位置を調整する。処理部5は、ピエゾ素子19を制御し、参照ミラー15を前位置に移動させる。前位置は、例えば参照対物レンズ14に近い第1位置である。撮像素子4は、4枚の干渉画像を撮像して取得する。処理部5は、取得された4枚の干渉画像に基づいて、位相画像として図3(a)に示される1枚の第1位相画像K1を構築(取得)する(ステップS1)。
【0044】
取得された4枚の干渉画像を順にImg1,Img2,Img3,Img4としたとき、位相画像Φは下式(F1)によって計算することができる。
Φ=Atan2((Img1-Img3)/
(Img4-Img2))…(F1)
また、ここで示した位相画像の計算式以外にも、1枚もしくは複数枚の干渉画像から位相画像を計算するアルゴリズムは多くの種類のものが広く公知であり、本実施形態の手法に適用することができる。なお、ここで得られた位相画像Φには、背景の歪みが残存している場合があるが、位相画像の背景歪みは多項式近似等により補正可能である。
また、4枚の干渉画像に含まれる位相成分と振幅成分との両方の情報を保持した画像として、画素値を複素数とする複素振幅画像Eを計算した上で以後の処理に用いてもよい。複素振幅画像Eは下式(F2)によって計算することができる。
E=(Img4-Img2)+i(Img1-Img3)…(F2)
ただし、iは複素単位である。
【0045】
続いて、処理部5は、ピエゾ素子19を制御し、参照ミラー15を前位置から後位置へ例えば4μm移動させる。これにより、第2光L2の光路の焦点条件を変化させる。後位置は、例えば前位置よりも参照対物レンズ14から遠い第2位置である。撮像素子4は、4枚の干渉画像を撮像して取得する。処理部5は、取得された4枚の干渉画像に基づいて、位相画像として図3(b)に示される1枚の第2位相画像K2を構築(取得)する(ステップS2)。
【0046】
図4(a)及び図4(b)は、参照ミラー15の動作の様子を示すタイミングチャートである。参照ミラー15を前位置に位置させて4枚の干渉画像を撮像した後に、参照ミラー15を後位置に位置させて4枚の干渉画像を撮像する場合のタイミングチャートを図4(a)に示す。それぞれの位置での4枚の干渉画像の撮像時には、参照ミラー15は前述のλ/8のステップ幅で微動しているが、この微動量は、前位置と後位置との間の移動量、例えば4μmと比べて大幅に小さな値であり、4枚の連続する干渉画像を撮像する間の参照光路側の焦点条件の変化は無視できる。
【0047】
また、参照ミラー15を前位置に位置させた状態での干渉画像の撮像と参照ミラー15を後位置に位置させた状態での干渉画像の撮像との時間的な順序は、前者が先であってもよいし、後者が先であってもよい。参照ミラー15を後位置に位置させて干渉画像を撮像した後に、参照ミラー15を前位置に位置させて干渉画像を撮像する場合のタイミングチャートを図4(b)に示す。
【0048】
参照ミラー15の前位置と後位置とを切り替えるための参照ミラー15の移動機構として、ピエゾ素子19を用いる代わりにステッピングモータ18を用いてもよい。その場合でも、例えば図4(a)に示すようなタイミングチャートでの参照ミラー15の位置制御が可能である。ただし、ピエゾ素子19とステッピングモータ18とでは、ピエゾ素子19の方が往復回数に対して長寿命であるため、装置の寿命の観点からはピエゾ素子19を用いて参照ミラー15の前位置と後位置とを切り替える方が好ましい。
【0049】
続いて、処理部5は、第1位相画像K1及び第2位相画像K2から、図5(a)に示される輝点抽出位相画像K3を取得する(ステップS3)。輝点抽出位相画像K3は、第1位相画像K1及び第2位相画像K2の平均画像に、公知手法である閾値処理を行って閾値以上の輝点のみを抽出してなる位相画像である。図5(a)では、濃さが輝度に対応し、横軸及び縦軸はそれぞれX座標及びY座標の位置に対応する(図6(a)~図7(b)において同様)。なお、第1位相画像K1及び第2位相画像K2の平均画像を用いて輝点抽出を行う代わりに、第1位相画像K1及び第2位相画像K2の何れか一方を用いてもよい。
【0050】
続いて、処理部5は、輝点抽出位相画像K3の輝点エリアを抽出し、図5(b)に示される輝点位置画像I1を取得する(ステップS4)。輝点位置画像I1は、輝点抽出位相画像K3の輝点エリアを示す画像である。輝点位置画像I1は、輝点抽出位相画像K3に対して閾値処理を行って二値化した上で、公知手法であるラベリング処理を行って、輝点抽出位相画像K3の輝点エリアを抽出してなる画像である。図5(b)では、横軸及び縦軸はそれぞれX座標及びY座標の位置に対応する。
【0051】
続いて、処理部5は、第1位相画像K1及び第2位相画像K2の差分をとり、図6(a)に示される差分位相画像K4を取得する(ステップS5)。ステップS5では、差分位相画像K4をΔΦ(x,y)とし、第1位相画像K1をΦ1(x,y)とし、第2位相画像K2をΦ2(x,y)とした場合、ΔΦ(x,y)=Abs(Φ2(x,y)-Φ1(x,y))で表される。
【0052】
続いて、処理部5は、差分位相画像K4のデフォーカス度の分布を算出し、当該デフォーカス度を表す画像として、図6(b)に示されるデフォーカス指標画像I2を取得する(ステップS6)。ステップS6では、輝点位置画像I1で示される各輝点エリアについて、次の処理を実施する。まず、第1位相画像K1の輝点エリア内の平均輝度Qaを求める。第2位相画像K2の輝点エリア内の平均輝度Qbを求める。下式(1)を計算し、差分の指標としてデフォーカス度を得る。すなわち、輝度の変動量を平均値で割った変動係数を求める。このような処理を差分位相画像K4の視野内の輝点エリア全てについて行い、その結果を差分位相画像K4における各々の輝点エリアのデフォーカス度とする。デフォーカス度は、デフォーカス量の指標であり、画像がぼやける度合いに対応する。
デフォーカス度=Abs(Qa-Qb)/(0.5×(Qa+Qb)) …(1)
【0053】
なお、参照ミラー15を前位置に移動させて撮像素子4で撮像した位相画像をΦ1(x,y)、参照ミラー15を後位置に移動させて撮像素子4で撮像した位相画像をΦ2(x,y)とした場合、上式(1)は、下式(2)に書き換えることができる。
デフォーカス度=Abs(Φ(x,y)の輝点エリア内平均値)
/(Φave(x,y)の輝点エリア内平均値) …(2)
ただし、
ΔΦ(x,y)=Φ2(x,y)-Φ1(x,y)、
Φave=0.5×(Φ2(x,y)+Φ1(x,y)
【0054】
続いて、処理部5は、輝点抽出位相画像K3を元にデフォーカス指標画像I2を参照し、輝点抽出位相画像K3におけるデフォーカス度が所定値未満の成分に対応するインフォーカス位相画像K10(図7(a)参照)と、輝点抽出位相画像K3のデフォーカス度が所定値以上の成分に対応するアウトオブフォーカス位相画像K20(図7(b)参照)と、を分離して取得する(ステップS7)。
【0055】
インフォーカス位相画像K10は、観察面情報である。インフォーカス位相画像K10は、第1光L1の焦点深度内の情報である。インフォーカス位相画像K10は、輝点抽出位相画像K3の観察面Rに係る成分のみを現す画像に対応する。例えばインフォーカス位相画像K10は、輝点抽出位相画像K3においてデフォーカス度が所定値未満のエリアを、デフォーカス指標画像I2を参照して抜き出してなる画像である。アウトオブフォーカス位相画像K20は、非観察面情報である。アウトオブフォーカス位相画像K20は、第1光L1の焦点深度外の情報である。アウトオブフォーカス位相画像K20は、輝点抽出位相画像K3の非観察面に係る成分のみを現す画像に対応する。例えばアウトオブフォーカス位相画像K20は、輝点抽出位相画像K3においてデフォーカス度が所定値以上のエリアを、デフォーカス指標画像I2を参照して抜き出してなる画像である。所定値は、予め設定された値であり、特に限定されず、ユーザの入力により変更可能な値であってもよい。所定値は、例えば0.05である。
【0056】
[作用及び効果]
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、第1光L1の焦点を観察対象物8の観察面Rに合わせた状態で第2光L2の光路の焦点条件を変化させた際、取得される複数の干渉画像においては、観察面Rに係る成分の受ける変調量と比べて、観察面R以外の非観察面に係る成分の受ける変調量が有意に大きいという知見を得た。そこで、干渉観察装置1及び干渉観察方法では、このようにして取得された複数の干渉画像に基づいて、インフォーカス位相画像K10とアウトオブフォーカス位相画像K20とを分離する。これにより、例えば非観察面の切削痕、汚れ、ゴミ等を映すアウトオブフォーカス位相画像K20を輝点抽出位相画像K3から排して、インフォーカス位相画像K10を選択的に得ることができるため、インフォーカス位相画像K10を精度よく取得することが可能となる。観察対象物8から撮像素子4までの光学系には一切変化を加えずに(光学モジュールM又は観察対象物8の上下移動を行わずに)非観察面情報を除去し、観察面情報だけを得ることが可能となる。
【0057】
干渉観察装置1及び干渉観察方法は、参照ミラー15を前位置に位置させた場合の第1位相画像K1と、半波長λ/2以上の距離だけ参照ミラー15を移動させて後位置に位置させた場合の第2位相画像K2と、に基づいて、インフォーカス位相画像K10とアウトオブフォーカス位相画像K20とを分離する、この場合、参照ミラー15を第2光L2の光路に沿って移動させることで、インフォーカス位相画像K10とアウトオブフォーカス位相画像K20とを分離することができる。
【0058】
干渉観察装置1及び干渉観察方では、観察面Rは第3層83の表面であり、非観察面は第1層81の表面及び裏面である。この場合、デバイス部である第3層83の表面に関するインフォーカス位相画像K10を、キャップ部である第1層81の表面及び裏面の影響を抑えて精度よく取得することが可能となる。
【0059】
[干渉観察装置の他の構成]
記憶領域51は、取得した各画像、すなわち、第1位相画像K1、第2位相画像K2、輝点抽出位相画像K3、差分位相画像K4、インフォーカス位相画像K10、アウトオブフォーカス位相画像K20、輝点位置画像I1及びデフォーカス指標画像I2の少なくとも何れかを記憶する。この場合、記憶領域51に記憶した各画像を利用することにより、観察面Rの異物と非観察面の異物とを容易に区別して把握することが可能となる。
【0060】
表示部53は、取得した各画像、すなわち、第1位相画像K1、第2位相画像K2、輝点抽出位相画像K3、差分位相画像K4、インフォーカス位相画像K10、アウトオブフォーカス位相画像K20、輝点位置画像I1及びデフォーカス指標画像I2の少なくとも何れかを表示する。この場合、表示部53に表示した各画像により、観察面Rの異物と非観察面の異物とを容易に区別して把握することが可能となる。
【0061】
処理部5は、輝点抽出位相画像K3及び輝点位置画像I1に基づいて、図8に示されるデフォーカス指標テーブルTbを生成する。デフォーカス指標テーブルTbは、輝点抽出位相画像K3における複数の異物の位置と複数の異物それぞれのデフォーカス度とを示す表である。デフォーカス指標テーブルTbの「面積」は、輝点抽出位相画像K3における各異物に対応する輝点エリアの面積である。デフォーカス指標テーブルTbの「体積」は、輝点抽出位相画像K3における各異物に対応する各輝点エリアに含まれるピクセルの位相値を、エリア全体にわたって積分した値である。例えば、2×2ピクセルで位相値が3[ラジアン]の輝点エリアの「体積」は、2×2×3=12[ラジアン・ピクセル^2]となる。単位は、[ラジアン・μm^2]に変換してもよいし、異物の厚さと位相値との比例関係を用いて[μm^3]に変換してもよい。
【0062】
記憶領域51は、デフォーカス指標テーブルTbを記憶する。この場合、記憶領域51に記憶したデフォーカス指標テーブルTbを利用することで、観察面Rの異物と非観察面の異物とを容易に区別して把握することが可能となる。表示部53は、デフォーカス指標テーブルTbを表示する。この場合、表示部53に表示したデフォーカス指標テーブルTbにより、観察面Rの異物と非観察面の異物とを容易に区別して把握することが可能となる。
【0063】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点を説明し、重複する説明は省略する。
【0064】
図9に示されるように、第2実施形態に係る干渉観察装置101が上記第1実施形態と異なる点は、第2光L2の光路の焦点条件を変化させるために、参照ミラー15を移動させることに代えて、互いに異なる二波長の光を利用した点である。干渉観察装置101は、光源2が第1光源2X及び第2光源2Yを有し、第2光L2の光路上に分散媒質116を更に備えた点で、上記第1実施形態と異なる。
【0065】
第1光源2Xは、第1波長λ1の光を出力する。第2光源2Yは、第1波長λ1よりも大きい第2波長λ2の光を出力する。図10に示されるように、第1光源2Xからの光は、第1波長λ1のときにスペクトル強度がピークとなるスペクトル特性Sxを有し、第2光源2Yからの光は、第2波長λ2のときにスペクトル強度がピークとなるスペクトル特性Syを有する。第1光源2X及び第2光源2Yは、概単色光を出力する。第1光源2X及び第2光源2Yは、それのうちの何れか一方から光を選択的に出力し、当該光をダイクロイックミラー112を介して干渉光学系3に入力する。
【0066】
分散媒質116は、第2光L2の光路上におけるビームスプリッタ12と参照ミラー15との間、具体的には、第2光L2の光路上における参照対物レンズ14と参照ミラー15との間に配置されている。分散媒質116は、第1光源2X及び第2光源2Yの何れか一方からの光の波長に依存して、第2光L2の焦点位置を変化させる。
【0067】
干渉観察装置101において、上記ステップS1では、第1光源2Xから光を出力させて且つ第2光源2Yから光を出力させずに、第1位相画像K1を取得する。上記ステップS2では、参照ミラー15の位置を変えずに(移動させずに)、第2光源2Yから光を出力させて且つ第1光源2Xから光を出力させずに、第2位相画像K2を取得する。このように、干渉観察装置101では、参照対物レンズ14又は参照ミラー15を移動させずに、光を出力する光源2を第1光源2Xと第2光源2Yとので切り替えるだけで、インフォーカス位相画像K10とアウトオブフォーカス位相画像K20とを分離して取得することが可能となる。
【0068】
以上、干渉観察装置101においても、インフォーカス位相画像K10を精度よく取得することができる。また、干渉観察装置101は、2種類の波長の光を利用してインフォーカス位相画像K10とアウトオブフォーカス位相画像K20とを分離することができる。なお、異物の光学厚さOTと位相Φとの関係が、OT=λΦ/2πとなるため、波長の違いによる見かけの位相の違い分は、波長の逆数のファクターによって正規化しておいてもよい。本実施形態において、第1及び第2光源2X,2Yと分散媒質116とが、第2光L2の光路の焦点変化させる機構を構成する。
【0069】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点を説明し、重複する説明は省略する。
【0070】
図11に示されるように、第3実施形態に係る干渉観察装置201が上記第1実施形態と異なる点は、単板のウエハ等を観察対象物208とし、観察対象物208の表面(入射面)を観察面Rとし、撮像素子4の検出面4Dと離間して実装された保護板43の表面(観察対象物208側の面)4Rを非観察面とした場合において、以下の処理を処理部5にて実施する点である。保護板43は、工業計測にて通常使用される撮像素子4において、光検出を行う検出面4Dの前面に実装されるものである。保護板43は、透明な素材により形成されている。保護板43は、異物(ゴミ又は汚れ等)が検出面4Dに付着するのを防ぐために設けられている。検出面4Dと保護板43との間の距離は、通常、1mm~5mm程度離間するように設計される。撮像された干渉画像において、保護板43の表面4Rに付着した異物は僅かにデフォーカスしたものとして映り込むが、当該異物は依然として定量的な画像解析の妨げとなる。
【0071】
まず、図12に示されるように、処理部5は、ピエゾ素子19を制御することにより、参照ミラー15を前位置に移動させる。撮像素子4が、4枚の干渉画像を撮像して取得する。処理部5が、取得された4枚の干渉画像に基づいて、図13(a)に示される1枚の第1位相画像K11を構築(取得)する(ステップS11)。
【0072】
続いて、処理部5は、ピエゾ素子19を制御することにより、参照ミラー15を前位置から後位置へ例えば3μm移動させる。これにより、第2光L2の光路の焦点条件を変化させる。撮像素子4は、4枚の干渉画像を撮像して取得する。処理部5は、取得された4枚の干渉画像に基づいて、図13(b)に示される1枚の第2位相画像K12を構築(取得)する(ステップS12)。
【0073】
続いて、処理部5は、第1位相画像K11及び第2位相画像K12の差分をとり、差分位相画像を取得する(ステップS13)。処理部5は、差分位相画像において輝度が閾値以上のピクセルを抽出する(ステップS14)。これにより、当該ピクセルが抽出された元の差分位相画像をインフォーカス位相画像とし、抽出したピクセルに対応する差分位相画像をアウトオブフォーカス位相画像とする。つまり、インフォーカス位相画像とアウトオブフォーカス位相画像とを互いに分離して取得する(ステップS15)。
【0074】
なお、上記ステップS13の後、処理部5は、取得した差分位相画像についてコントラストを強調することにより、図14(a)に示される差分位相画像K13を取得してもよい。処理部5は、差分位相画像K13について二値化処理を施すことにより、図14(b)に示される差分位相画像K14を取得してもよい。これにより、保護板43の表面4R上のゴミ等の異物を明確化したアウトオブフォーカス位相画像として、差分位相画像K14を分離することが可能となる。
【0075】
以上、干渉観察装置201においても、インフォーカス位相画像を精度よく取得することができる。また、干渉観察装置201は、観察対象物208のインフォーカス位相画像を、撮像素子4の保護板43の表面4Rの影響を抑えて精度よく取得することが可能となる。
【0076】
ちなみに、本実施形態では、撮像素子4の保護板43の表面4R上の異物に関するアウトオブフォーカス位相画像を、次のように利用してもよい。すなわち、ステージSをXY平面に沿って移動させながら観察対象物208を撮影し、複数の位相画像を取得する。取得した複数の位相画像それぞれにおいて、アウトオブフォーカス位相画像を差し引くことでキャリブレーションする。具体的には、キャリブレーションでは、差分位相画像K14における異物(保護板43の表面4R上の異物)とオーバーラップしているものについては、異物としてカウントしない。例えば図15に示されるように、ある視野V2の位相画像において保護板43の表面4R上の異物Qと重なっている箇所については、当該箇所が保護板43の表面4R上の異物Qと重ならない他の視野V1又は視野V3での位相画像を採用する。
【0077】
また、撮像素子4の保護板43の表面4R上の異物を検出することと同様に、撮像素子4の検出面4Dと対物レンズ13との間にある光学素子の表面(任意の面)における異物を検出してもよい。当該光学素子の表面としては、ビームスプリッタ12の表面或いは鏡筒42内のレンズ41の表面であってもよい。これらの場合も、参照ミラー15の前位置で取得した位相画像と後位置で取得した位相画像との差分を指標として、インフォーカス位相画像とアウトオブフォーカス位相画像とを分離することができる。
【0078】
<変形例>
上記実施形態では、参照ミラー15を移動させることにより第2光L2の光路の焦点条件を変化させたが、これに代えてもしくは加えて、参照対物レンズ14を移動させることにより第2光L2の光路の焦点条件を変化させてもよい。この場合、処理部5が、ステッピングモータ17を制御して参照対物レンズ14を前位置に移動させた状態で、撮像素子4が取得した複数の干渉画像に基づき第1位相画像を構築してもよい。処理部5が、ステッピングモータ17を制御して参照対物レンズ14を後位置に移動させた状態で、撮像素子4が取得した複数の干渉画像に基づき第2位相画像を構築してもよい。そして、処理部5が、第1位相画像と第2位相画像とに基づいて、観察面情報と非観察面情報とを分離してもよい。なお、この場合、ステッピングモータ17及び当該ステッピングモータ17により参照対物レンズ14が第2光L2の光路に沿って移動可能な機構が、第2光L2の光路の焦点変化させる機構を構成する。
【0079】
上記実施形態では、観察対象物8,208に代えて、種々の物体を観察対象物として用いてもよい。例えば観察対象物として、図16(a)に示される観察対象物308を用いてもよい。観察対象物308は、いわゆる膜付きウエハである。観察対象物308は、パターン付きチップを構成するデバイス部310と、デバイス部310の表面に設けられた膜部311と、を含む。干渉光学系3は、観察対象物308に対して膜部311側から第1光L1を入射させる。観察面Rは、デバイス部310の表面310aであり、非観察面は、膜部311の表面311a及び裏面311bである。
【0080】
この場合、デバイス部310の表面310aに関するインフォーカス位相画像を、膜部311の表面311a及び裏面311bの影響を抑えて精度よく取得することが可能となる。なお、観察面Rは、デバイス部310の裏面310bであってもよい。
【0081】
また例えば観察対象物として、図16(b)に示される観察対象物408を用いてもよい。観察対象物408は、いわゆる貼り合わせウエハである。観察対象物408は、第1デバイス部410と、第1デバイス部410の表面に設けられた第2デバイス部411と、を含む。干渉光学系3は、観察対象物408に対して第2デバイス部411側から第1光L1を入射させる。観察面Rは、第1デバイス部410の表面410aである。非観察面は、第2デバイス部411の表面411a及び裏面411bである。
【0082】
この場合、第1デバイス部410の表面410aに関するインフォーカス位相画像を、第2デバイス部411の表面411a及び裏面411bの影響を抑えて精度よく取得することが可能となる。なお、観察面Rは、第1デバイス部410の裏面410bであってもよい。
【0083】
また例えば観察対象物として、図17に示される観察対象物508を用いてもよい。観察対象物508は、いわゆる単板のウエハである。観察対象物508は、板状のデバイス部510を含む。干渉光学系3は、観察対象物508に対してデバイス部510の表面510a側から第1光L1を入射させる。観察面Rは、デバイス部510の裏面510bであり、非観察面は、デバイス部510の表面510aである。この場合、デバイス部510の裏面510bに関するインフォーカス位相画像を、デバイス部510の表面510aの影響を抑えて精度よく取得することが可能となる。
【0084】
上記実施形態では、アクチュエータ16によって対物レンズ13をZ方向に沿って移動させて対物レンズ13と観察対象物8との間の相対位置を調整したが、これに代えて又は加えて、ステージSをZ方向に沿って移動させて当該相対位置を調整してもよい。この場合、ステージSは、XY方向に加えてZ方向にも移動可能に構成される。この場合、アクチュエータ16は省略されてもよい。ステージSは、第1光L1が観察対象物8に入射する方向と交差する方向に沿って移動可能であればよく、例えばXY平面に対して傾斜した方向に移動可能であってもよい。参照対物レンズ14及び参照ミラー15を駆動させるアクチュエータは、ステッピングモータ17,18に限られず、サーボモータ等の他のアクチュエータであってもよい。
【0085】
上記実施形態では、干渉光学系3がリニック干渉型に構成されていたが、干渉光学系3は、マイケルソン干渉型又はミラウ干渉型に構成されてもよい。参照対物レンズ14は省略されてもよい。上記実施形態では、第1位相画像K1,K11及び第2位相画像K2,K12の取得方法は、上述した方法に限られず、公知の種々の方法が用いられてもよい。上記実施形態では、第1位相画像K1,K11及び第2位相画像K2,K12の構築に用いられる干渉画像の数は特に限定されず、1又は複数であってもよい。上記実施形態では、観察面Rと非観察面との距離は限定されないが。例えば対物レンズ13の焦点深度の長さ以上が望ましい。
【0086】
上記実施形態では、観察面情報はインフォーカス位相画像に限定されず、観察面に関する他の情報であってもよい。上記実施形態では、非観察面情報はアウトオブフォーカス位相画像に限定されず、非観察面に関する他の情報であってもよい。
【0087】
上記実施形態及び上記変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。また、上述した実施形態及び変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1,101,201…干渉観察装置、2…光源、2X…第1光源(焦点条件を変化させる機構)、2Y…第2光源(焦点条件を変化させる機構)、3…干渉光学系、4…撮像素子、4R…保護板の表面、5…処理部、8,208,308,408,508…観察対象物、14…参照対物レンズ、15…参照ミラー、17…ステッピングモータ(焦点条件を変化させる機構)18…ステッピングモータ(焦点条件を変化させる機構)、19…ピエゾ素子(焦点条件を変化させる機構)、43…保護板、51…記憶領域(記憶部)、53…表示部、81…第1層(キャップ部)、82…第2層(空気層)、83…第3層(デバイス部)、116…分散媒質(焦点条件を変化させる機構)、310…デバイス部、311…膜部、410…第1デバイス部、411…第2デバイス部、510…デバイス部、I2…デフォーカス指標画像、L1…第1光、L2…第2光、L3…干渉光、K1,K11…第1位相画像(第1干渉画像)、K2,K12…第2位相画像(第2干渉画像)、K10…インフォーカス位相画像、K20…アウトオブフォーカス位相画像、R…観察面、Tb…デフォーカス指標テーブル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17