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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156482
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】シールド掘進機及び土砂採取方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/093 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
E21D9/093 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070983
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高見沢 計夫
(72)【発明者】
【氏名】志田 智之
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC04
2D054GA15
2D054GA93
(57)【要約】
【課題】チャンバ内から掘削土砂を容易に採取できるシールド掘進機及び土砂採取方法を提案する。
【解決手段】シールド掘進機1は、カッタヘッド2の後方に設けられる隔壁3を有する。隔壁3には、チャンバ4内の土砂6を採取する土砂取込口3aが設けられる。土砂取込口3aには、これを開放または遮断するバルブ10が備わる。バルブ10には土砂取り込み器20が接続されている。土砂取り込み器20は、バルブ10に対して着脱可能な土砂取込筒21と、土砂取込筒21内に摺動可能に配置されたピストン22とを有する。バルブ10を開放させることで土砂取込口3aから土砂取込筒21内に土砂6を進入させ、ピストン22を後退させることによって土砂取込筒21内に土砂が取り込まれる構成とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッタヘッドと、前記カッタヘッドの後方に設けられる隔壁とを有するシールド掘進機であって、
前記隔壁に設けられ、チャンバ内の土砂を採取するための土砂取込口と、
前記土砂取込口に設けられ、前記土砂取込口を開放または遮断するバルブと、
前記バルブに接続された土砂取り込み器と、を備え、
前記土砂取り込み器は、前記バルブに対して着脱可能に設けられた土砂取込筒と、前記土砂取込筒内に摺動可能に配置されたピストンと、を有しており、
前記バルブを開放させることにより、前記土砂取込口から前記土砂取込筒内に土砂を進入させ、前記ピストンを後退させることによって前記土砂取込筒内に土砂が取り込まれることを特徴とするシールド掘進機。
【請求項2】
前記土砂取込筒は直管であることを特徴とする請求項1に記載のシールド掘進機。
【請求項3】
前記土砂取り込み器は、
前記ピストンを駆動するための駆動機構と、
前記ピストンの摺動量を検出する検出手段と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシールド掘進機。
【請求項4】
前記バルブは、ナイフゲートバルブまたはスライドゲートバルブであることを特徴とする請求項1に記載のシールド掘進機。
【請求項5】
前記土砂取込筒は、ヒンジを介して前記バルブに取り付けられており、前記ヒンジによる回動によって前記バルブに対して着脱可能となっていることを特徴とする請求項1に記載のシールド掘進機。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシールド掘進機における土砂採取方法であって、
前記バルブを開放し、前記土砂取込筒に土砂を取り込む土砂取込工程と、
前記土砂取込工程により前記土砂取込筒に土砂を取り込んだ状態で、前記バルブを遮断するバルブ遮断工程と、
前記バルブを遮断した状態で、前記バルブから前記土砂取込筒を離脱し、前記土砂取込筒から土砂を回収する回収工程と、を備えていることを特徴とする土砂採取方法。
【請求項7】
前記土砂取込工程は、土砂の取り込み時に前記ピストンを後退させるピストン後退工程を備えることを特徴とする請求項6に記載の土砂採取方法。
【請求項8】
前記バルブ遮断工程は、前記バルブを遮断した状態で前記ピストンをさらに後退させる減圧工程を備えることを特徴とする請求項6に記載の土砂採取方法。
【請求項9】
前記土砂取込工程は、前記土砂取込口内に前記ピストンを予め進入させて待機させることを特徴とする請求項6に記載の土砂採取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド掘進機及び土砂採取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土砂を採取する技術に関連して特許文献1,2に開示されたものが知られている。特許文献1は、シールドトンネルの周辺地盤の土質試料を採取するための土質試料採取治具であり、グラウト孔が設けられたシールドトンネル周辺の地盤から、そのグラウト孔を利用して不攪乱の土質試料を採取するものである。
また、特許文献2は、シールド掘進機のチャンバから排出された含水土砂等を処理する含水土砂処理装置であり、含水土砂改質剤を含有する液体を、加圧された気体を介して含水土砂に添加することにより、チャンバから排出された含水土砂等を処理するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-29017号公報
【特許文献2】特開2022-1696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シールド掘進機によるシールド工法では、チャンバ内の掘削土砂の塑性流動化状況を適宜測定する必要がある。シールド工法の現場では、スクリューコンベアから排出された排出土を用いて土砂性状の適否を触手試験やスランプ試験、テーブルフロー試験、ベーンせん断試験、乾燥密度試験等を行うことにより判断している。このため、チャンバ内の土砂によるリアルタイムの情報を得ることができなかった。
本発明は、前記した課題を解決し、チャンバ内から掘削土砂を容易に採取できるシールド掘進機及び土砂採取方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明のシールド掘進機は、カッタヘッドと、前記カッタヘッドの後方に設けられる隔壁とを有する。シールド掘進機は、前記隔壁に設けられ、チャンバ内の土砂を採取するための土砂取込口と、前記土砂取込口に設けられ、前記土砂取込口を開放または遮断するバルブと、前記バルブに接続された土砂取り込み器と、を備える。前記土砂取り込み器は、前記バルブに対して着脱可能に設けられた土砂取込筒と、前記土砂取込筒内に摺動可能に配置されたピストンと、を有しており、前記バルブを開放させることにより、前記土砂取込口から前記土砂取込筒内に土砂を進入させ、前記ピストンを後退させることによって前記土砂取込筒内に土砂が取り込まれることを特徴とする。
本発明では、チャンバ内の土圧を利用して土砂取込筒内に土砂を取り込むことができるので、チャンバ内の土圧変動を抑制するとともに土砂取込筒内への土砂の噴出を抑制しながら土砂を採取できる。土砂取込筒内に採取した土砂は、土砂取込筒をバルブから離脱することにより容易に回収できる。
また、前記土砂取込筒は直管であることが好ましい。この構成では、土砂取込筒が分岐部分を有しないので、分岐部分をピストンが通過するときに生じるおそれのあるピストンシールの傷付きを防止できる。また、土砂取込筒が分岐部分を有しないので、ピストンのスムーズな摺動を実現できる。
また、前記土砂取り込み器は、前記ピストンを駆動するための駆動機構と、前記ピストンの摺動量を検出する検出手段と、を備えていることが好ましい。このような構成において、土砂取込筒内に土砂を取り込む際に駆動機構によりピストンを後退させると、土砂取込筒内の圧力変化を抑制できるので、土砂の取り込みをスムーズに行うことができる。
また、土砂を取り込んだ後にバルブを遮断した状態で駆動機構によりピストンをさらに後退させると、土砂取込筒内を減圧できる。これにより、バルブから土砂取込筒を離脱した際に生じるおそれのある土砂の噴発を未然に防止できる。
さらに、検出手段によりピストンの摺動量(移動量)を的確に捉えることができるので、必要な土砂を確実に回収できる。
また、前記バルブは、ナイフゲートバルブまたはスライドゲートバルブであることが好ましい。この構成によれば、土砂取込口と土砂取込筒との連通状態または遮断状態をバルブにより確実に維持できる。
また、前記土砂取込筒は、ヒンジを介して前記バルブに取り付けられており、前記ヒンジによる回動によって前記バルブに対して着脱可能に取り付けられていることが好ましい。このような構成において、バルブから土砂取込筒が離脱するように土砂取込筒を回動させると、バルブに接続されていた土砂取込筒の開口端部が開いた状態になる。したがって、土砂取込筒内に採取された土砂の回収が容易になる。また、土砂の回収後に、バルブに土砂取込筒が取着されるように土砂取込筒を回動させると、土砂取込筒の開口端部がバルブに接続されて閉じられた状態になる。したがって、バルブに対する土砂取込筒の取り付けも容易になる。
【0006】
前記課題を解決するための本発明の土砂採取方法は、前記バルブを開放し、前記土砂取込筒に土砂を取り込む土砂取込工程と、前記土砂取込工程により前記土砂取込筒に土砂を取り込んだ状態で、前記バルブを遮断するバルブ遮断工程と、前記バルブを遮断した状態で、前記バルブから前記土砂取込筒を離脱し、前記土砂取込筒から土砂を回収する回収工程と、を備えている。
本発明では、チャンバ内の土圧を利用して土砂取込筒内に土砂を取り込むことができるので、チャンバ内の土圧変動を抑制するとともに土砂取込筒内への土砂の噴出を抑制しながら土砂を採取できる。土砂取込筒内に採取した土砂は、土砂取込筒をバルブから離脱することにより容易に回収できる。
また、前記土砂取込工程は、土砂の取り込み時に前記ピストンを後退させるピストン後退工程を備えることが好ましい。土砂取り込み時にピストンを後退させると、土砂取込筒内の圧力変化を抑制できるので、土砂の取り込みをスムーズに行うことができる。
また、前記バルブ遮断工程は、前記バルブを遮断した状態で前記ピストンをさらに後退させる減圧工程を備えることが好ましい。土砂を取り込んだ後にバルブを遮断した状態でピストンをさらに後退させると、土砂取込筒内が減圧するので、バルブから土砂取込筒を離脱した際に生じるおそれのある土砂の噴発を未然に防止できる。
また、前記土砂取込工程は、前記土砂取込口内に前記ピストンを予め進入させて待機させることが好ましい。土砂取り込み時に土砂取込口内にピストンを待機させると、土砂取込筒内の圧力変化を抑制できるので、土砂の取り込みをスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシールド掘進機及び土砂採取方法によれば、測定現場に対する搬入作業及び搬出作業が行いやすく、機器の配置作業等を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るシールド掘進機の概要を示す側断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るシールド掘進機の土砂取込口にバルブを介して設けられた土砂取り込み器を示す拡大斜視図である。
図3A】本発明の第1実施形態に係るシールド掘進機の土砂取込口にバルブを介して設けられた土砂取り込み器を示す側断面図である。
図3B】本発明の第1実施形態に係るシールド掘進機の土砂取込口にピストンを待機させた状態を示す側断面図である。
図3C】本発明の第1実施形態に係るシールド掘進機において土砂取り込み時にバルブを開いた状態を示す側断面図である。
図4A】本発明の第1実施形態に係るシールド掘進機において土砂取り込み後にバルブを閉じて土砂取込筒内を減圧した際の様子を示す側断面図である。
図4B】本発明の第1実施形態に係るシールド掘進機においてバルブに対して土砂取込筒を開いた状態を示す側断面図である。
図5A】本発明の第2実施形態に係るシールド掘進機の土砂取込口にバルブを介して設けられた土砂取り込み器を示す側断面図である。
図5B】本発明の第2実施形態に係るシールド掘進機の土砂取込口にピストンを待機させた状態を示す側断面図である。
図5C】本発明の第2実施形態に係るシールド掘進機において土砂取り込み時にバルブを開いた状態を示す側断面図である。
図6A】本発明の第2実施形態に係るシールド掘進機において土砂取り込み後にバルブを閉じて土砂取込筒内を減圧した際の様子を示す側断面図である。
図6B】本発明の第2実施形態に係るシールド掘進機においてバルブに対して土砂取込筒を開いた状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のシールド掘進機及び土砂採取方法について適宜図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、シールド掘進機及び土砂採取方法について「前後」「左右」「上下」を言うときは図1図2等に示す方向を基準とするが、シールド掘進機の使用方法(設置方向)を限定する趣旨ではない。また、各実施形態では、泥土圧式シールド工法によるシールドトンネル工事において、土砂を採取する場合について説明する。各実施形態において、共通する部分には共通の符合を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係るシールド掘進機の概要を示す側断面図である。本実施形態のシールド掘進機1は、図1に示すように、前端に設けられたカッタヘッド(カッタースポーク)2とその後方に設けられた隔壁3とを備えており、カッタヘッド2と隔壁3との間にチャンバ4が形成されている。カッタヘッド2には、複数のカッタビット2aが固定されている。また、シールド掘進機1の内部には、チャンバ4内の掘削土である土砂6(泥土)を排出するためのスクリューコンベア5が設けられている。スクリューコンベア5は、隔壁3を貫通して、チャンバ4に接続されている。また、シールド掘進機1に推力を与えるシールドジャッキ8が設けられているとともに、カッタヘッド2に回転力を付与するモータ7が設けられている。
【0011】
泥土圧式シールド工法では、チャンバ4内において、カッタビット2aで掘削した土砂に加泥材を添加して練り混ぜることで、不透水性と塑性流動性を有する土砂6(泥土)を生成し、これをチャンバ4内に充満させる。この状態を維持しながらシールドジャッキ8の推力によりチャンバ4内の土砂6に土圧を発生させ、切羽Kの土圧と地下水圧に対抗し、シールド掘進機1の掘進量と排土量のバランスを図りながら掘進する。
シールド掘進機1の内部には、チャンバ4内の土砂6を取り込むことが可能な土砂取り込み器20が設けられている。
【0012】
隔壁3には、チャンバ4内の土砂6を採取するための土砂取込口3aが設けられている。土砂取込口3aは、隔壁3を貫通しており断面略円形状を呈している。土砂取込口3aには、バルブとしてナイフゲートバルブ10が設けられている。ナイフゲートバルブ10は、土砂取込口3aを開放または遮断する開閉弁である。
図2は土砂取込口3aにナイフゲートバルブ10を介して設けられた土砂取り込み器20を示す拡大斜視図である。図3Aは同じく側断面図、図3Bは同じくピストン22の待機位置を異ならせた側断面図、図3Cは土砂取り込み時にナイフゲートバルブ10を開いた状態を示す側断面図である。
図2に示すように、ナイフゲートバルブ10は、弁箱11と、弁箱11内に配置された弁体12と、弁体12に接続された図示しない弁ロッドを駆動する駆動部13とを備えている。弁体12は、先端部を鋭角形状とした板状体であり、弁箱11内の図示しない弁座に着座して土砂取込口3aに連通する通路を遮断する。弁体12は、図示しないグランドパッキン等によりシールされている。駆動部13は、図示しないエアー供給源から供給されるエアーにより駆動されるエアシリンダである。駆動部13は、制御装置28の制御により駆動される。なお、駆動部13は、エアシリンダに限られることはなく、例えば、電動シリンダ、油圧シリンダ、手動ハンドル等、各種の方式のものを採用することができる。また、ナイフゲートバルブ10に代えて、公知のスライドゲートバルブを用いてもよい。
【0013】
ナイフゲートバルブ10の弁箱11の後部には、図2に示すように、バルブ側フランジ部11a,取り込み器側フランジ部21aを介して土砂取り込み器20が接続されている。土砂取り込み器20は、両フランジ部11a,21aによりナイフゲートバルブ10に対して着脱可能である。なお、バルブ側フランジ部11aは、弁箱11の後部に一体的に設けられており、土砂取込口3aに連通する図示しない開口部を有している。
土砂取り込み器20は、土砂取込筒21と、ピストン22と、駆動機構としての油圧装置23とを備えている。土砂取込筒21は、内部に土砂6を取り込むシリンダとして機能する。土砂取込筒21は、図3Aに示すように、前端が開口し後端が閉じられた円筒状の直管である。土砂取込筒21の前端部には、取り込み器側フランジ部21aが設けられている。取り込み器側フランジ部21aは、バルブ側フランジ部11aに対応する形状に形成されており、ヒンジ25を介してバルブ側フランジ部11aに連結されている。このような連結により、土砂取込筒21は、ヒンジ25による回動によってナイフゲートバルブ10に対して着脱可能となっている。なお、取り込み器側フランジ部21aは、バルブ側フランジ部11aに対して図示しない締結ボルトの締付けにより液密の状態に固定される。なお、ヒンジ25による開閉方向は、上下方向の他、左右方向等、任意の方向とすることができる。土砂取込筒21には、ピストン22の摺動量(摺動位置)を検出する検出手段としてのストロークセンサ27が取り付けられている。ストロークセンサ27は、例えばマグネット式である。ストロークセンサ27による検出値は、後記する制御装置28に送出される。なお、検出手段としては、ストロークセンサ27に限られることはなく、油量式、インジケータ式、エンコーダ式等、種々の方式のものを採用できる。
【0014】
ピストン22は、土砂取込筒21内に摺動可能に配置されている。ピストン22は、内側が中空とされた有底円筒状(断面略コ字形状)である。なお、ピストン22は、有底円筒状のものに限られることはなく、例えば、円柱状としてもよい。ピストン22の外周面には、軸方向に間隔を空けて複数のシール部材24が外嵌されている。シール部材24は、土砂取込筒21の内周面とピストン22の外周面との間をシールしている。図3Cに示すように、土砂取込筒21内の後部側にピストン22が位置されている状態で、ピストン22の前側には、土砂取込筒21とピストン22により区画された土砂取り込み室22aが形成される。一方、ピストン22の中空部を含む後側には、油圧装置23からの油圧が作用する油圧室22bが形成される。土砂取り込み室22aには、土砂6を採取する際に土砂取込口3a及びナイフゲートバルブ10を通じて土砂6が取り込まれる。油圧室22bには、ピストン22を作動させるための作動油が充填されている。土砂取込筒21の底部には、図3Aに示すように、油圧装置23に通じるポート26が設けられている。以下では、土砂取込筒21内をピストン22が前方に向けて摺動する場合を「前進」、これとは反対側の後方に向けて摺動する場合を「後退」ということがある。
【0015】
油圧装置23は、ピストン22を油圧により駆動するための装置であり、油圧室22bへ作動油を吐出する機能及び油圧室22bから作動油を吸引する機能を備えている。油圧装置23により作動油が油圧室22bに吐出されると、作動油の圧力によりピストン22がナイフゲートバルブ10側に向けて摺動する。これとは逆に、油圧装置23により作動油が油圧室22bから吸引されると、油圧室22bが負圧となり、ピストン22が油圧装置23側に向けて摺動する。油圧装置23は、後記する制御装置28の制御により作動する。なお、ピストン22は、土砂採取時に取り込まれた土砂6の土圧を受けて油圧装置23側に向けて摺動するように構成されている。この場合、油圧室22bに充填されている作動油は、ポート26に接続された戻り流路26aを通じて作動油が貯溜される図示しない作動油タンク側に戻される。戻り流路26aの途中には、戻り流路26aを開閉する電磁弁26bが設けられている。電磁弁26bは、土砂6の土圧を受けてピストン22が油圧装置23側に向けて後退する際に開かれ、作動油タンク側に作動油が戻されることを許容する。また、電磁弁26bは、土砂6の土圧を受けてピストン22が所定位置まで後退したことをストロークセンサ27が検出した場合に、制御装置28の制御により閉じられる。電磁弁26bが閉じられると、戻り流路26aの作動液の流れが止められるため、ピストン22の後退が停止される。なお、ピストン22の後退が停止された状態で、土砂取り込み室22a内には、予め設定された量の土砂6が取り込まれるようになっている。
制御装置28は、ナイフゲートバルブ10の駆動部13の駆動制御、及びストロークセンサ27の検出値に基づいて油圧装置23の作動を制御する。制御装置28には、コントロールスイッチ29が接続されている。コントロールスイッチ29は、ナイフゲートバルブ10を開閉するための操作スイッチや、油圧装置23を作動させてピストン22を所定位置に摺動させるための操作スイッチ等が備わる。
【0016】
次に、本実施形態のシールド掘進機1による土砂採取方法について図3A図3C図4A図4Bを参照して説明する。なお、図3B図3C図4A図4Bでは、図3Aに示した油圧装置23、制御装置28及びコントロールスイッチ29の構成を省略している。
土砂採取方法は、土砂取込工程と、バルブ遮断工程と、回収工程とを備えている。
土砂取込工程は、土砂取り込み器20の土砂取込筒21に土砂6を取り込む工程である。バルブ遮断工程は、ナイフゲートバルブ10を遮断する工程であり、土砂取込工程により土砂取込筒21に土砂6を取り込んだ後に行われる。バルブ遮断工程は、減圧工程を備えている。減圧工程は、土砂取込筒21内(土砂取り込み室22a内)を減圧する工程であり、ナイフゲートバルブ10を遮断した後に行われる。回収工程は、ナイフゲートバルブ10を遮断した状態で、ナイフゲートバルブ10から土砂取込筒21を離脱し、土砂取込筒21から土砂6を回収する工程である。
【0017】
土砂取込工程では、図3Aに示すように、土砂取り込み器20がナイフゲートバルブ10を介して土砂取込口3aに接続された状態で、弁体12の側方の所定位置にピストン22が位置するように、ピストン22を前進させて位置調整する。図3Aでは、ピストン22の前端部がバルブ側フランジ部11aの内側に入り込む位置までピストン22を前進させている。この位置調整は、制御装置28に予め設定されたプログラム等に基づいて油圧装置23を作動させることにより自動的に行うことも可能である。
なお、土砂取込工程では、図3Bに示すように、土砂取込口3a内、例えば、隔壁3のチャンバ内面と略同じ位置にピストン22の前端部が位置するように、ピストン22を予め前進させて(進入させて)待機させてもよい。この場合、制御装置28の制御によりナイフゲートバルブ10の駆動部13が駆動されて弁体12が開かれ、油圧装置23により油圧室22b内へ作動油が吐出されてピストン22が土砂取込口3a内に摺動する。また、油圧装置23により、油圧室22b内の作動油が保持されて待機位置にピストン22が保持される。なお、油圧装置23によらずに、他の保持手段により待機位置にピストン22を保持するように構成してもよい。
土砂取込工程において、図3Aに示す状態から制御装置28の制御によりナイフゲートバルブ10の駆動部13が駆動され、弁体12が開かれると、チャンバ4内の土圧は、隔壁3よりも後方の気圧に比べて大きくなっているため、図3Cに示すように、チャンバ4内の土砂6が土砂取込口3aからナイフゲートバルブ10を通じてピストン22の前方に流入し、ピストン22を押圧して後退させる(ピストン後退工程)。つまり、本実施形態では、チャンバ4内の土圧と油圧室22bとの圧力差を利用して土砂取込筒21内に土砂6を取り込でいる。この場合、土砂6は、土砂取り込み室22aを徐々に広げながら土砂取込筒21内に取り込まれるため、土砂6の取り込み時にチャンバ4内の土圧の変化を抑制できる。なお、土砂6の取り込み時には、チャンバ4内の土圧を管理しながら行うことが好ましい。仮に、土砂6の取り込み時にチャンバ4内の土圧の変化が大きくなった場合には、チャンバ4内における許容範囲内の土圧の変化となるように図示しない加泥装置により加泥材を一時的に添加してチャンバ4内の土圧を調整することが好ましい。
【0018】
土砂6の取り込み時に、制御装置28は、ストロークセンサ27の検出値に基づいて、ピストン22の後退位置を検出する。制御装置28は、ピストン22が所定位置に後退したことを検出すると、戻り流路26aの電磁弁26bを閉じる制御を行う。これにより、戻り流路26aの作動液の通流が停止され、ピストン22の後退が停止される。所定位置にピストン22が停止することで、土砂取込筒21内(土砂取り込み室22a内)には、所定量の土砂6が取り込まれた状態になる。なお、所定位置は、適宜設定することができる。本実施形態では、図3Cにおいてピストン22が停止している位置、つまり、土砂取込筒21の底部21cから前方に間隔を空けた位置を所定位置としている。所定位置にピストン22が停止している状態で、ピストン22の後方には、ピストン22をさらに後退させることが可能なスペースSが形成されている。
なお、本実施形態では、土砂取込工程にピストン後退工程が含まれており、チャンバ4内の土圧と油圧室22bの圧力との差圧によりピストンを受動的に後退させたが、ピストン後退工程では、土砂6の取り込み時に油圧装置23を作動させて油圧室22bから作動油を吸引し、油圧室22b内を負圧状態にしてピストン22を能動的に後退させてもよい。このようなピストン22の後退は、制御装置28に予め設定されたプログラム等に基づいてナイフゲートバルブ10の開放に連動して行われるようにしてもよいし、コントロールスイッチ29の操作スイッチを手動操作することにより行ってもよい。
【0019】
バルブ遮断工程では、図4Aに示すように、ナイフゲートバルブ10の駆動部13が駆動され、弁体12が閉じられる。これにより、土砂取込筒21内(土砂取り込み室22a内)が密閉された状態になる。減圧工程では、弁体12が閉じられた状態で油圧装置23を作動させて油圧室22bから作動油を吸引し、油圧室22b内を負圧状態にしてピストン22を後退させる。ピストン22の後退は、土砂取込工程時にピストン22の後方に形成されたスペースS(図3C参照)を利用して行われる。このピストン22の後退により、土砂取り込み室22a内が減圧される。
【0020】
回収工程では、弁体12が閉じられた状態でバルブ側フランジ部11aと取り込み器側フランジ部21aとを結合していた図示しない締結ボルトを緩め、その後、図4Bに示すように、ナイフゲートバルブ10から土砂取込筒21(土砂取り込み器20)を離脱させる。離脱の際には、ナイフゲートバルブ10に対して土砂取込筒21をヒンジ25により回動させて土砂取込筒21の開口端部を上に向ける。この場合、図示しないチェーンブロックあるいは油圧機器、電動ウインチ等で土砂取込筒21を補助的に吊り下げることで、作業性が向上する。そして、開口端部を通じて土砂取込筒21内に採取された土砂6を回収する。
【0021】
以上説明した本実施形態のシールド掘進機1によれば、チャンバ4内の土圧を利用して土砂取込筒21内に土砂6(泥土)を取り込むことができるので、チャンバ4内の土圧変動を抑制するとともに土砂取込筒21内への土砂6の噴出を抑制しながら土砂6を採取できる。すなわち、土砂取込筒21内に採取した土砂6の性状を、チャンバ4内の土砂6の性状に近付けることができる。土砂取込筒21内に採取した土砂6は、土砂取込筒21をナイフゲートバルブ10からから離脱することにより容易に回収できる。また、土砂取込筒21内に進入する土砂6によりピストン22が後退して土砂取り込み室22aの容積が広がるので、スムーズな土砂6の取り込みを実現できる。
また、チャンバ4内の土砂6を隔壁3の土砂取込口3aを通じて直に採取できるので、触手試験やスランプ試験、テーブルフロー試験、ベーンせん断試験、乾燥密度試験等を速やかに行うことができ、したがって、加泥材濃度や添加量などの変更に係る対応も迅速に行うことができる。また、スクリューコンベア5から排出された土砂からチャンバ4内の土砂性状を把握するのではなく、チャンバ4内の土砂6を直接採取してチャンバ4内の土砂性状を把握できるため、切羽Kの安定や噴発防止あるいは土砂6の過取り込みを未然に防ぐことができ、地上部への影響を低減できる。
また、土砂取込筒21が直管であり分岐部分を有しないので、分岐部分をピストン22が通過するときに生じるおそれのあるピストン22のシール部材24の傷付きを防止できる。また、土砂取込筒21が分岐部分を有しないので、ピストン22のスムーズな摺動を実現できる。
【0022】
また、土砂取込筒21内に土砂6を取り込む際にピストン22が後退するため、土砂取込筒21内への土砂6の噴出を抑制しながら、土砂6の取り込みをスムーズに行うことができる。
また、土砂6を取り込んだ後にナイフゲートバルブ10を遮断した状態で油圧装置23によりピストン22をさらに後退させると、土砂取り込み室22a内(土砂取込筒21内)を減圧できる。これにより、ナイフゲートバルブ10から土砂取込筒21を離脱した際に生じるおそれのある土砂6の噴発を未然に防止できる。
さらに、ストロークセンサ27によりピストン22の摺動量(移動量)を的確に捉えることができるので、必要な土砂6を確実に回収できる。
また、バルブとしてナイフゲートバルブ10を用いているので、土砂取込口3aと土砂取込筒21との連通状態または遮断状態をナイフゲートバルブ10により確実に維持できる。
また、土砂取込筒21(土砂取り込み器20)は、ナイフゲートバルブ10に対してヒンジ25による回動によって着脱可能に取り付けられている。これにより、ナイフゲートバルブ10から土砂取込筒21が離脱するように土砂取込筒21を回動させると、ナイフゲートバルブ10に接続されていた土砂取込筒21の開口端部が開放された状態になる。したがって、土砂取込筒21内に採取された土砂6の回収が容易である。また、土砂6の回収後に、ナイフゲートバルブ10に土砂取込筒21が取着されるように土砂取込筒21を回動させると、土砂取込筒21の開口端部がナイフゲートバルブ10に接続されて閉じられた状態になる。したがって、ナイフゲートバルブ10に対する土砂取込筒21の取り付けが容易である。
【0023】
また、本実施形態の土砂採取方法によれば、チャンバ4内の土圧を利用して土砂取込筒21内に土砂6を採取できる。土砂取込筒21内に採取した土砂6は、土砂取込筒21をナイフゲートバルブ10から離脱することにより容易に回収できる。
また、土砂取り込み時にピストン22を後退させると、土砂取込筒21内への土砂6の噴出を抑制しながら土砂6の取り込みをスムーズに行うことができる。
また、土砂6を取り込んだ後にナイフゲートバルブ10を遮断した状態でピストン22をさらに後退させると、土砂取込筒21内が減圧するので、ナイフゲートバルブ10から土砂取込筒21を離脱した際に生じるおそれのある土砂6の噴発を未然に防止できる。
また、土砂取り込み時に土砂取込口3a内にピストン22を待機させると、土砂取込筒21内の圧力変化を抑制できるので、土砂6の取り込みをスムーズに行うことができる。
【0024】
(第2実施形態)
次に、図5A図5C図6A図6Bを参照して、第2実施形態のシールド掘進機及び土砂採取方法について説明する。本実形態が前記第1実施形態と異なるところは、ピストン22eの駆動機構として油圧シリンダ31を用いた点にある。
図5Aは本発明の第2実施形態に係るシールド掘進機1の土砂取込口3aにナイフゲートバルブ10を介して設けられた土砂取り込み器20Aを示す側断面図、図5Bは同じくピストン22eの待機位置を異ならせた側断面図、図5Cは同じく土砂取り込み時にナイフゲートバルブ10を開いた状態を示す側断面図である。図6Aは同じく土砂取り込み後にナイフゲートバルブ10を閉じて土砂取込筒21e内を減圧した際の様子を示す側断面図、図6Bは同じくナイフゲートバルブ10に対して土砂取込筒21eを開いた状態を示す側断面図である。
【0025】
土砂取り込み器20Aは、図5Aに示すように、土砂取込筒21eと、ピストン22eと、駆動機構としての油圧シリンダ31とを備えている。土砂取込筒21eは、前端及び後端が開口した円筒状の直管である。土砂取込筒21eの後端の開口縁部には、ピストン22eの摺動を規制する規制突部21gが形成されている。ピストン22eは、後退時に規制突部21gに当接する位置まで摺動可能である。ピストン22eの後部にはピストンロッド33が取り付けられている。ピストンロッド33の後端部は、土砂取込筒21eの後方に配置された駆動伝達部35に接続されている。
油圧シリンダ31は、直線運動を行う油圧アクチュエータであり、土砂取込筒21eを挟んで上下に一対配置されている。油圧シリンダ31は、図示しない油圧ポンプ等で発生した油圧を利用してロッド32を前後動させる。油圧ポンプは、制御装置28の制御により駆動されて油圧シリンダ31,31に作動油を送出する。油圧シリンダ31,31の各前端部は、隔壁3の外面に固定されている。一方、ロッド32,32の各後端部は、駆動伝達部35に接続されている。つまり、油圧シリンダ31,31によるロッド32,32の前後方向に駆動力が、駆動伝達部35及びピストンロッド33を介してピストン22eに伝達されるように構成されている。ロッド32,32が後方へ駆動されることで、ピストン22eが土砂取込筒21e内を後退する方向に摺動し、これとは反対側となる前方へロッド32,32が駆動されることで、ピストン22eが土砂取込筒21e内を前進する方向に摺動する。
【0026】
次に、本実施形態のシールド掘進機1による土砂採取方法について説明する。なお、図5B図5C図6A図6Bでは、図5Aに示した制御装置28及びコントロールスイッチ29の構成を省略している。
本実施形態の土砂採取方法は、第1実施形態と同様に、土砂取込工程と、バルブ遮断工程と、回収工程とを備えている。土砂取込工程は、ピストン後退工程を備えている。また、バルブ遮断工程は、減圧工程を備えている。各工程における概略の工程内容は、第1実施形態と略同様である。なお、第1実施形態では、土砂取込工程において、チャンバ4内と土砂取込筒21内(図3C参照、以下同じ)との圧力差を利用して土砂取込筒21内に土砂6を取り込む構成としたが、本実施形態では、油圧シリンダ31の作動によるピストン22eの後退で土砂取込筒21e内に土砂6を取り込むように構成している。
土砂取込工程では、図5Aに示すように、弁体12の側方にピストン22eが位置するように油圧シリンダ31を作動させて位置調整する。なお、本実施形態においても、制御装置28に予め設定されたプログラム等に基づいて油圧シリンダ31を作動させることにより位置調整を自動的に行うことが可能である。
土砂取込工程では、第1実施形態と同様に、制御装置28の制御によりナイフゲートバルブ10の駆動部13(図2参照、以下同じ)が駆動され、弁体12が開かれる。
なお、土砂取込工程では、図5Bに示すように、土砂取込口3a内、例えば、隔壁3のチャンバ内面と略同じ位置にピストン22eの前端部が位置するように、ピストン22eを予め前進させて(進入させて)待機させてもよい。この場合、制御装置28の制御によりナイフゲートバルブ10の駆動部13が駆動されて弁体12が開かれ、油圧シリンダ31が作動されてピストン22eが土砂取込口3a内に摺動する。また、油圧シリンダ31により待機位置にピストン22eが保持される。なお、油圧シリンダ31によらずに、他の保持手段により待機位置にピストン22eを保持するように構成してもよい。
【0027】
ピストン後退工程では、図5Cに示すように、油圧シリンダ31を作動させてピストン22eを後退させる。制御装置28は、ストロークセンサ27の検出値に基づいて、ピストン22eが所定位置に後退したこと検出し、油圧ポンプを停止させる。これにより、ピストン22eが所定位置に停止される。所定位置にピストン22eが停止することで、土砂取込筒21e内(土砂取り込み室22a内)には、所定量の土砂6が取り込まれた状態になる。また、所定位置にピストン22eが停止した状態で、ピストン22eの後方には、図5Cに示すように、ピストン22eをさらに後退させることが可能なスペースSが形成されている。
なお、ピストン22eを後退させて土砂取り込み室22aを徐々に広げながら土砂取込筒21e内に土砂6を取り込むため、土砂6の取り込み時にチャンバ4内の土圧の変化を抑制できる。また、土砂6の取り込み時にチャンバ4内の土圧の変化が大きくなった場合には、チャンバ4内における許容範囲内の土圧の変化となるように図示しない加泥装置により加泥材を一時的に添加してチャンバ4内の土圧を調整することが好ましい。
【0028】
バルブ遮断工程では、図6Aに示すように、ナイフゲートバルブ10の駆動部13が駆動され、弁体12が閉じられる。これにより、土砂取込筒21e内(土砂取り込み室22a内)が密閉された状態になる。減圧工程では、弁体12が閉じられた状態で油圧シリンダ31を作動させてピストン22eが規制突部21gに当接する位置まで後退させる。これにより、土砂取り込み室22a内が減圧される。
回収工程では、図6Bに示すように、第1実施形態と同様に、弁体12が閉じられた状態で図示しない締結ボルトを緩め、ナイフゲートバルブ10から土砂取込筒21e(土砂取り込み器20A)を離脱する。そして、開口端部を通じて土砂取込筒21e内に採取された土砂6を回収する。
【0029】
以上説明した本実施形態のシールド掘進機1及び土砂採取方法によれば、第1実施形態と略同様の作用効果が得られる。特に、土砂取り込み時にピストン22eを油圧シリンダ31の作動により後退させて、土砂取り込み室22aを徐々に広げるので、土砂取り込み室22a内への土砂6の噴出を抑制しながら土砂6の取り込みをスムーズに行うことができる。また、油圧シリンダ31によりピストン22eが後退するので、ピストン22eが後退する際の摺動速度を管理することにより、チャンバ4内の土圧の変化をより好適に抑制できる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、前記第1実施形態では、油圧装置23によりピストン22が駆動する構成としたが、これに限られることはなく、電動式や機械式、作動油以外の流体(気体や水)を用いた方式、手動式等、種々の方式のものを採用することができる。
また、前記第1,第2実施形態において、土砂取込筒21はナイフゲートバルブ10に対してヒンジ25により回動可能に設けたが、ヒンジ25は必ずしも設けなくてもよい。また、土砂取込筒21(土砂取り込み器20)は、ナイフゲートバルブ10に対して分離可能に設けてもよい。
また、前記第1,第2実施形態では、バルブとしてナイフゲートバルブ10またはスライドゲートバルブを挙げたが、これに限られることはなく、土砂6(泥土)の通流路を適切に開放または遮断できるものであれば、種々のバルブを採用できる。また、ナイフゲートバルブ10は、弁体12が上から下へ駆動されることで土砂取込口3aが遮断されるものを示したが、これに限られることはなく、弁体12が下から上へ駆動されることで土砂取込口3aが遮断されるものであってもよい。
また、前記第2実施形態では、土砂取込時に油圧シリンダ31の作動でピストン22eが後退するように構成したが、これに限られることはなく、第1実施形態と同様に、チャンバ4内と土砂取込筒21内との圧力差を利用して土砂取込筒21内に土砂6を取り込むように構成してもよい。また、油圧シリンダ31に代えて、電動式や機械式、作動油以外の流体(気体や水)を用いた方式、手動式等、種々の方式のものを採用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 シールド掘進機
2 カッタヘッド
3 隔壁
3a 土砂取込口
4 チャンバ
6 土砂
10 ナイフゲートバルブ(バルブ)
20 土砂取り込み器
21,21e 土砂取込筒
22,22e ピストン
23 油圧装置(駆動機構)
25 ヒンジ
27 ストロークセンサ(検出手段)
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B