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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156496
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
A63F5/04 650
A63F5/04 602D
A63F5/04 631
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071006
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 桂士
【テーマコード(参考)】
2C182
2C518
【Fターム(参考)】
2C182CB05
2C518AC03
2C518AC12
2C518CA03
2C518DA06
2C518EA09
2C518EA12
2C518EB02
2C518EB07
2C518EC15
2C518EC17
2C518EC27
(57)【要約】
【課題】 遊技者の技量を問わずに遊技を楽しめる遊技機を提供する。
【解決手段】 遊技機は、所定契機における停止操作手段への操作態様に基づいて、特別遊技状態の有利度合いが変化するように制御可能な有利度合い制御手段と、所定契機において特別遊技状態の有利度合いを高めることが可能な停止操作手段への操作態様である特定操作態様を示唆する特定報知を実行可能な報知手段と、遊技者が操作不能であって、係員によって操作可能な設定操作手段への操作によって変更可能な設定値を記憶可能な設定値記憶手段と、を備え、有利度合い制御手段は、特定操作態様を設定値によって異なるように制御可能とし、報知手段は、通常遊技状態における複数の契機で特定報知を実行可能であり、複数の契機において実行される特定報知は、いずれも停止操作手段への操作態様にかかわらず実行可能な構成としてある。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の識別情報を変動表示可能な変動表示手段と、前記変動表示手段の変動表示を停止させるために操作可能な停止操作手段と、通常遊技状態及び前記通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態を制御可能な遊技状態制御手段と、を有する遊技機において、
所定契機における前記停止操作手段への操作態様に基づいて、前記特別遊技状態の有利度合いが変化するように制御可能な有利度合い制御手段と、
前記所定契機において前記特別遊技状態の有利度合いを高めることが可能な前記停止操作手段への操作態様である特定操作態様を示唆する特定報知を実行可能な報知手段と、
遊技者が操作不能であって、係員によって操作可能な設定操作手段への操作によって変更可能な設定値を記憶可能な設定値記憶手段と、
を備え、
前記有利度合い制御手段は、
前記特定操作態様を前記設定値によって異なるように制御可能とし、
前記報知手段は、
前記通常遊技状態における複数の契機で前記特定報知を実行可能であり、
前記複数の契機において実行される前記特定報知は、いずれも前記停止操作手段への操作態様にかかわらず実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記有利度合い制御手段は、
前記設定値記憶手段に記憶される設定値が特定設定値である場合、前記所定契機において前記特別遊技状態の有利度合いを高めることが、他の設定値よりも容易となるように制御可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記報知手段は、
前記通常遊技状態において、リプレイ役が入賞した場合の少なくとも一部で前記特定報知を実行可能である
ことを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記報知手段は、
前記通常遊技状態において、前記変動表示手段が変動を開始するときの少なくとも一部で前記特定報知を実行可能である
ことを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記操作態様には、前記停止操作手段への操作順が含まれる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項6】
前記停止操作手段は、
前記遊技機における一側寄りに設けられる第1停止操作手段と、前記遊技機における他側寄りに設けられる第2停止操作手段と、を含み、
前記報知手段は、
前記遊技機における一側寄りに設けられる第1報知手段と、前記遊技機における他側寄りに設けられる第2報知手段と、を含むとともに、
前記特定操作態様が前記第1停止操作手段から停止操作を行うことに対応する場合には、前記第1報知手段によって前記特定報知を実行可能とし、
前記特定操作態様が前記第2停止操作手段から停止操作を行うことに対応する場合には、前記第2報知手段によって前記特定報知を実行可能とする
ことを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、所謂ビタ押しの成功により遊技者に有利な特典を付与する遊技機が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-000270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の遊技機には、改良すべき余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、本発明の遊技機は、複数の識別情報を変動表示可能な変動表示手段と、前記変動表示手段の変動表示を停止させるために操作可能な停止操作手段と、通常遊技状態及び前記通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態を制御可能な遊技状態制御手段と、を有する遊技機において、所定契機における前記停止操作手段への操作態様に基づいて、前記特別遊技状態の有利度合いが変化するように制御可能な有利度合い制御手段と、前記所定契機において前記特別遊技状態の有利度合いを高めることが可能な前記停止操作手段への操作態様である特定操作態様を示唆する特定報知を実行可能な報知手段と、遊技者が操作不能であって、係員によって操作可能な設定操作手段への操作によって変更可能な設定値を記憶可能な設定値記憶手段と、を備え、前記有利度合い制御手段は、前記特定操作態様を前記設定値によって異なるように制御可能とし、前記報知手段は、前記通常遊技状態における複数の契機で前記特定報知を実行可能であり、前記複数の契機において実行される前記特定報知は、いずれも前記停止操作手段への操作態様にかかわらず実行可能な構成としてある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】遊技機の外観を示す正面図である。
図2】遊技機の内部構成を示す斜視図である。
図3】遊技機の制御構成を示すブロック図である。
図4】遊技機のリール配列を示す図である。
図5】遊技機の表示窓における有効ラインを示す図である。
図6】当選役と当選役に対応する図柄組み合わせ、及び特典を示す図である。
図7】チャンス役の操作態様、及び設定値ごとの発生率を示す図である。
図8】遊技状態の状態遷移図である。
図9】ボーナス確定演出の設定差を説明する図である。
図10】ボーナス確定演出選択テーブル(共通テーブル)を示す図である。
図11】ボーナス終了演出の設定差を説明する図である。
図12】通常状態時の滞在ゲーム数の設定差を説明する図である。
図13】当選確定演出までの前兆演出の設定差を説明する図である。
図14】小役連荘時の設定差を説明する図である。
図15】リール始動音A~Cの設定差を説明する図である。
図16】リール始動音の遅れと当選役の組み合わせの設定差を説明する図である。
図17】メダル投入音A~Cの設定差を説明する図である。
図18】特定演出時に用いるスピーカの設定差を説明する図である。
図19】特定演出時のランプ光量の設定差を説明する図である。
図20】リールフラッシュの点灯態様の設定差を説明する図である。
図21】確定演出時の設定差を説明する図である。
図22】モード抽選テーブルを示す図である。
図23】モード別仕様を示す図である。
図24】疑似ボーナス抽選テーブルを示す図である。
図25】Pt抽選テーブルを示す図である。
図26】第1通常AT抽選テーブルを示す図である。
図27】第2通常AT抽選テーブルを示す図である。
図28】特化ゲーム数抽選テーブルを示す図である。
図29】3択チャレンジ演出例を示す図である。
図30】3択チャレンジで上乗せされるゲーム数を示す図である。
図31】第3通常AT抽選テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本発明における遊技機の好ましい実施形態について説明する。
なお、遊技機は、遊技場等に設置されるものであり、様々な種類があるが、本実施形態の一例として、スロットマシン1に適用した場合について説明する。
【0008】
[スロットマシン]
スロットマシン1は、図1図3に示すように、正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉できるように覆う前扉1aとで構成される遊技機である。
前扉1aの上部には、例えば、液晶表示器から構成され、遊技に応じた表示による演出や情報表示を行い、報知手段の一例として機能する表示器8を備えている。
表示器8が表示する情報には、停止ボタン5の操作順(以下、押し順(操作態様)ともいう)に関する情報や所望の図柄を狙って好適なタイミングで停止ボタン5を停止操作(以下、目押し(操作態様)ともいう)する情報等が含まれる。
表示器8の左右には、左スピーカ9a(第1報知手段)、右スピーカ9b(第2報知手段)により構成され、音声を出力するスピーカ9(報知手段)や、左ランプ11a(第1報知手段)、右ランプ11b(第2報知手段)により構成され、光による演出を行うランプ11が内蔵されている。
【0009】
前扉1aの中央部には、後方を視認可能な表示窓6が形成されており、この表示窓6を透して、変動表示手段の一例として機能するリール41に表された図柄を視認できる。
表示窓6の左側には、告知ランプ19と有利区間ランプ13を備えている。
告知ランプ19は、内部抽選の結果、ボーナス役に当選したことを遊技者に報知(告知)するものであり、ボーナス役に当選すると、内部に設けられたLED(発光素子)が発光し、この発光によってパネル上の文字や絵柄が透光表示される。
有利区間ランプ13は、遊技者に有利な有利区間であることを報知する。
表示窓6の下方には、前側に突出する段部が形成されており、この段部の上面には、メダルを投入するメダル投入口2と、ゲームの開始に際して遊技者が押下することにより掛け数を設定するベットボタン2aと、遊技者の押下により表示器8における演出等に変化を与える演出ボタン2dを備えている。
段部の前面には、遊技者がゲームを開始する際に操作するスタートレバー3と、リール41を停止させる際に遊技者が押下し、左停止ボタン5a(第1停止操作手段)、中停止ボタン5b、右停止ボタン5c(第2停止操作手段)により構成される停止ボタン5(停止操作手段)を備えている。
表示窓6の左下方には、遊技者に有利な有利区間であることを報知する有利区間ランプ13を備えている。
前扉1aの下部には、メダルが払い出されるメダル払出口7bを備えている。
また、前扉1aの中央部と下部には、所定の絵柄や文字が印刷等により施されたパネルを後方から照射する発光手段(例えば、LED)等を有する下パネル18を備えている。
【0010】
筐体1bの上部には、遊技を統括的に制御する主制御部10と、この主制御部10の制御下で遊技の演出等に関する制御を行う副制御部20を備えている。
主制御部10は、各種演算処理等を行うCPUと、制御プログラムや制御データ等が格納されたROMと、各種データを一時記憶する記憶領域やCPUの作業領域等を備えたRAM等の記憶手段を備えている。
主制御部10には、ベットボタン2a、メダルセレクタ2b、スタートレバー3、停止ボタン5が接続され、各機器に内蔵されたセンサからの各種信号を受信できるように構成されている。
また、主制御部10は、抽選手段の一例として機能することで、遊技の開始処理や、乱数発生器からの乱数をサンプリングする処理等を行い、このサンプリングされた乱数に基づき役の内部抽選処理を行う。
副制御部20には、演出ボタン2d、表示器8、スピーカ9、ランプ11、ナビランプ12、告知ランプ19が接続され、各機器に対して各種信号を送信できるように構成されている。
副制御部20は、主制御部10から受信する制御情報に基づき、これらを制御する。
筐体1bの中央部には、リール41を回転駆動させるドラムユニット4を備えている。
ドラムユニット4は、水平方向に並設されるリール41a、リール41b、リール41cを備え、これらリール41a~41cがステッピングモータ(不図示)の駆動によりそれぞれ回転可能に構成されている。
各リール41a~41cの外周面には、複数の図柄が表され、リール41の停止状態において、各リール41a~41cについて、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が表示窓6を透して視認可能となっている。
筐体1bの下部には、メダルの払い出しを行うメダル払出装置7やメダルを貯留するホッパー7aを備え、このメダル払出装置7から払い出されたメダルはメダル払出口7bを介して遊技者に払い出される。
このように構成されるスロットマシン1は、主制御部10が以下のようなゲームを制御する。
【0011】
まず、遊技者によりメダル投入口2からメダルが投入されると、メダルがメダルセレクタ2bにより検出され、検出信号が主制御部10に入力される。
また、ベットボタン2aが操作された場合は、操作信号が主制御部10に入力される。
主制御部10は、これらの信号の入力の有無からゲーム可能なメダル数を監視するとともに、スタートレバー3の操作を監視する。
そして、主制御部10は、ゲーム開始可能なメダル数となったときに、スタートレバー3が操作されると、ドラムユニット4を駆動して、各リール41a~41cを回転させる制御を行う。
これにより、各リール41a~41cに表されている図柄が変動表示される。
【0012】
このとき、主制御部10は、スタートレバー3の操作とともに抽選対象となる「ハズレ」を含む複数の役の中から、1ゲームごとに内部抽選処理を行う。
内部抽選処理では、複数の役の中からゲームが行われるたびに当選役を所定の当選確率に基づいて抽選により決定する。
【0013】
主制御部10は、各ゲームの実行時に所定の乱数の抽出に基づき上述した各役の抽選を行う。
スロットマシン1は、遊技者にとっての有利度を複数段階に設定変更可能な確率設定装置(設定操作手段)を備えている。
確率設定装置は、遊技者にとっての有利度合いを複数段階で変更可能にする。
主制御部10は、有利度合い制御手段として機能することにより、確率設定装置における設定操作に基づき、特別遊技状態(例えば、AT状態)に移行する確率(当選確率)の異なる複数の確率値のうちの何れか1つの確率値に設定する処理を行う。
確率設定装置で設定され、設定値情報として記憶手段(設定値記憶手段)に記憶された設定値は、内部抽選において、設定1が最も低い有利度で、大きい数字ほど有利度が高くなり、設定6が最も高い有利度となっている。
本実施形態では、遊技者にとっての有利度を低い方から設定1、設定2、設定3、設定6の4段階に設定変更される場合を説明する。
なお、設定1~設定3においては、主制御部10は、遊技者にとっての有利度を差がないように制御しても良い。
【0014】
各リール41a~41cは、各リール41a~41cの周面には、識別情報となる複数(例えば、21個)の図柄として、例えば、「ベル」、「スイカ」、「チェリー」、「リプレイ」、「赤7」、「青7」等がそれぞれ表されており、停止状態から徐々に回転速度を上げた後、一定の速度で回転する定常回転に達する(図4参照)。
このような定常回転に達すると、各リール41a~41cに対応して設けられた各停止ボタン5a~5cを押下できる状態となり、各停止ボタン5a~5cを停止操作すると、その操作タイミングと内部抽選処理の抽選結果により許容される図柄の組み合わせで停止するように、各リール41a~41cが停止制御される。
【0015】
例えば、最初に左停止ボタン5aが停止操作された場合には、左リール41aが停止し、2番目に中停止ボタン5bが停止操作された場合には、中リール41bが停止し、3番目に右停止ボタン5cが停止操作された場合には、右リール41cが停止する。
なお、以下の説明では、最初に停止したリール41の停止操作を第1停止操作といい、第1停止操作の次に停止したリール41の停止操作を第2停止操作といい、第2停止操作の次に停止したリール41の停止操作を第3停止操作という。
【0016】
表示窓6を介して視認される各リール41a~41cの図柄の組み合わせには、図5に示すように、複数の有効ラインが設定されている。
有効ラインは、3つ水平に並んだ中段、上段、下段の有効ライン1、有効ライン2、有効ライン3と、斜めにクロスする2つの有効ライン4、有効ライン5の計5ラインが設けられている。
【0017】
主制御部10における各リール41a~41cの停止制御では、この有効ラインに沿って当選役に応じた図柄の組み合わせが停止するように制御する。
例えば、内部抽選で役が当選した場合に、有効ライン上に当選役の図柄組み合わせが停止するように停止ボタン5を停止操作すると、この操作タイミングに基づいて、回転している各リール41a~41cが停止制御される。
具体的には、操作タイミングからリール41の回転をさらに進めることができるスベリコマ数(例えば、0~4図柄)の範囲内に、当選役に対応する図柄があるか否かを判定し、スベリコマ数の範囲内に当選役に対応する図柄がある場合には、その図柄を有効ライン上に引き込むように引き込み制御が行われる。
【0018】
そして、主制御部10は、各リール41a、41b、41cに停止表示される図柄やその組み合わせを判定し、当選役の図柄組み合わせが有効ライン上に揃ったとき、入賞したとして、メダル払出装置7に対して所定数のメダルを払い出す制御を行い、メダルをメダル払出口7bから払い出す。
【0019】
この他、主制御部10は、所定の遊技タイミング(例えば、スタートレバー3や停止ボタン5等の操作)で、所定の信号や情報を副制御部20に出力する。
例えば、主制御部10は、各停止ボタン5a~5cが停止操作された場合には、停止ボタン5の押し順や操作タイミング等の情報を副制御部20に出力する。
このため、主制御部10は、停止ボタン5の操作により各リール41a~41cが停止された場合、何れのリール41がどの順番、どのタイミングで停止したのかという情報を、上段・中段・下段の図柄等を識別可能な情報とともに副制御部20に出力する。
【0020】
次に、図6を参照しながら、表示窓6の有効ラインに沿って停止される当選役とその当選役に対応する図柄の組み合わせ、及び特典について説明する。
当選役には、大別するとメダルが付与される「小役」、メダルを投入することなく遊技が可能となる「リプレイ役」、ボーナス状態に移行する「ボーナス役」等がある。
小役には、例えば、ベル役、スイカ役、及びチェリー役等があり、纏めて「レア役」ともいう。
なお、以下の対応する図柄の組み合わせは、「左リール41a・中リール41b・右リール41c」の順として、説明する。
【0021】
ベル役には、対応する図柄の組み合わせがそれぞれ異なる押し順ベル役と共通ベル役が設けられている。
押し順ベル役には、例えば、3つの停止ボタン(左停止ボタン5a、中停止ボタン5b、右停止ボタン5c)についての6通りある押し順に対して、それぞれ1通りの押し順によって停止ボタン5が操作されることで、対応する図柄の組み合わせ(例えば、「ベル・ベル・リプレイ」)が有効ライン上に表示される小役で、6通りの押し順ベル1~6役が設けられている。
【0022】
例えば、押し順ベル1役に当選した場合、遊技者が左停止ボタン5a→中停止ボタン5b→右停止ボタン5cの押し順で各停止ボタン5a~5cを操作することで、「ベル・ベル・リプレイ」等の図柄の組み合わせが揃うように制御される。
【0023】
このような押し順ベル1~6役は、他の5通りの押し順によって各停止ボタン5a~5cが操作されると、対応する図柄の組み合わせ(「ベル・ベル・リプレイ」)が停止されず、「ベル・リプレイ・ベル」等の他の図柄の組み合わせ(「ベルこぼし目」という)が停止する。
なお、押し順ベル役は、6通りに限らず、3通りの押し順ベル1~3役等でもよく、さらには、第1停止図柄(赤7、青7)も組み合わせに加えて、12通り以上になるようにしても良い。
【0024】
共通ベル役は、停止ボタン5の押し順に関係なく、対応する図柄の組み合わせ「ベル・ベル・ベル」等が停止する小役であり、スイカ役は、対応する図柄の組み合わせを、「スイカ・スイカ・スイカ」等とする小役である。
【0025】
チェリー役には、弱チェリー役、及び強チェリー役があり、何れも左リール41aの有効ライン上にチェリー図柄が停止する。
弱チェリー役は、有効ライン上に「チェリー・チェリー・ベル」等の図柄の組み合わせが停止し、強チェリー役は、有効ライン上に「チェリー・チェリー・チェリー」等の図柄の組み合わせが停止する小役である。
【0026】
リプレイ役は、対応する図柄の組み合わせを「リプレイ・リプレイ・リプレイ」等とし、このリプレイ役が入賞すれば、次回のゲームにおいてメダルを投入することなく遊技できる状態となる。
【0027】
ボーナス役は、有効ライン上に「赤7・赤7・赤7(ビッグボーナス(以下、BBという))」、「赤7・赤7・BAR(レギュラーボーナス(以下、RBという))」等の対応する図柄の組み合わせが停止しない限り、当選した権利を持ち越すことが可能な役になっている。
ボーナス役は、ボーナス当選の成立状態が維持されるボーナス持越し状態でのみ、入賞させることができ、入賞すると、メダルの払い出しの上限値が規定されたボーナス状態に移行する。
ボーナス状態中は、所定の小役に対応する図柄組み合わせが連続して揃うように内部抽選処理が行われるため、多くのメダルを獲得できる。
このため、ボーナス状態中は、連続的な小役の入賞が期待できない通常状態より遊技者にとって有利な遊技状態になる。
以上、説明したような図柄の組み合わせに基づいて、小役、リプレイ役、ボーナス役の当選がそれぞれ判定され、判定の結果、対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に停止したときに入賞が成立して、各入賞の成立に応じた特典が付与される。
【0028】
[チャンス役を構成する役]
さらに、本実施形態におけるスロットマシン1は、チャンス役を備えている。
図7(a)は、チャンス役の操作態様、図7(b)は、チャンス役の設定値ごとの発生率をそれぞれ示す図である。
チャンス役は、例えば、第1リプレイ役、第2リプレイ役、第3リプレイ役、特殊リプレイ役等の複数の役によって構成される。
スロットマシン1は、このチャンス役の当選を契機として、後述する3択チャレンジ演出が実行される。
3択チャレンジ演出では、チャンス役ごとに予め決定された第1停止操作の押し順(特定操作態様)通りに遊技者が停止ボタン5を操作した場合に、有効ライン上に「青7・青7・青7(以下、単に青7という)」等の対応する図柄の組み合わせが揃いやすいように制御される。
【0029】
以下、図7(a)、(b)を参照しながら、チャンス役について説明する。
チャンス役は、図7(a)に示すように、チャンス役ごとに青7が有効ライン上に揃いやすい第1停止操作の押し順が異なるように設定される。
第1リプレイ役は、左リール41aを第1停止操作(第1の操作態様)とすれば、青7が有効ライン上に揃いやすいように制御される。
第2リプレイ役は、中リール41bを第1停止操作(第2の操作態様)とすれば、青7が有効ライン上に揃いやすいように制御される。
第3リプレイ役は、右リール41cを第1停止操作(第3の操作態様)とすれば、青7が有効ライン上に揃いやすいように制御される。
特殊リプレイ役は、何れのリール41を第1停止操作としても、青7が有効ライン上に揃いやすいように制御される。
このため、特殊リプレイ役は、チャンス役の中で最も青7が揃いやすいように制御されるため、遊技者に最も有利なチャンス役といえる。
【0030】
また、チャンス役は、図7(b)に示すように、確率設定装置における設定された設定値に応じて、チャンス役の発生率が異なるように設定される。
例えば、第1リプレイ役は、設定1の設定時に50%の確率で発生し、設定2、又は設定3の設定時に24.5%の確率で発生し、設定6の設定時に1%の確率で発生する。
つまり、第1リプレイ役は、設定1の設定時に多く発生するように制御される。
他のチャンス役も同様に、第2リプレイ役は、設定2の設定時に多く発生し、第3リプレイ役は、設定3の設定時に多く発生し、特殊リプレイ役は、設定6(特定設定値)の設定時に多く発生するように制御される。
【0031】
そして、遊技者には、青7が揃うたびに、特典が付与(例えば、AT状態のゲーム数の上乗せ)されるため、第1停止操作の押し順の偏り(特定報知)に合わせて、遊技することで有利に進められるゲーム性になっている。
つまり、スロットマシン1に設定されている設定値を見抜き、その設定値に合わせた停止ボタン5の操作(第1停止操作)ができるか否かによって、遊技を有利に進められるか否かが左右される。
なお、チャンス役を目押し役として機能させても良く、この場合、遊技者の目押しの成功によって対応する図柄の組み合わせが有効ライン上に停止するように制御される。
例えば、第1リプレイ役は、赤7(赤7・赤7・赤7)等が停止するように目押しさせ、第2リプレイ役は、青7(青7・青7・青7)等が停止するように目押しさせ、第3リプレイ役は、緑7(緑7・緑7・緑7)等が停止するように目押しさせ、特殊リプレイ役は、赤7、青7、緑7の何れかが停止するように目押しさせる。
そのため、チャンス役を目押し役と機能させれば、停止ボタン5を停止操作するタイミングに基づいて、有効ライン上に停止するか否かが決定されるため、遊技者の技量に大きく影響することになり、遊技者の技術介入要素を取り入れることができる。
また、押し順と目押しの両方を組み合わせてチャンス役として機能させても良い。
【0032】
[遊技状態の遷移]
次に、主制御部10により制御される遊技状態の遷移について説明する。
本実施形態におけるスロットマシン1は、上述した構成に加えて、以下に示すような遊技状態と、この遊技状態に基づくゲーム性を備えている。
主制御部10は、遊技状態制御手段の一例として機能することにより、各遊技状態を制御する。
【0033】
本実施形態のスロットマシン1の遊技は、図8に示すように、通常状態と、疑似ボーナス(以下、疑似ボともいう)状態と、AT状態との複数の遊技状態において実行される。
主制御部10は、所定の移行条件が成立することに基づいて、一の遊技状態から他の遊技状態へと移行するように制御するとともに、移行処理に伴って発生する抽選処理等を制御する。
また、遊技状態は、通常区間と、この通常区間よりも遊技者に有利な有利区間に区分される。
主制御部10は、以下に示す移行条件が成立することに基づいて、それぞれの区間を移行するように制御する。
【0034】
通常区間は、「押し順ベル役」の当選時に「押し順ベル」を入賞させるための押し順の報知されない区間である。
通常区間から有利区間への移行は、内部抽選処理において、例えば、「ハズレ」を除く全役(以下、有利区間移行役という)に当選した場合に移行する。
「ハズレ」の場合には、通常区間を維持し、一方、有利区間移行役に当選した場合には、通常区間から有利区間へ移行するようになっている。
従って、通常状態の一部(設定値の設定変更後、AT状態の終了後等)においてのみ、通常区間に滞在し、それ以外は、基本的に有利区間に滞在することになる。
そのため、通常状態においても、通常区間と有利区間の双方に滞在する場合があるが、通常区間の滞在期間は極めて短く、有利区間に滞在していることがほとんどである。
なお、通常区間における遊技状態は、他の遊技状態(例えば、通常区間中に移行したボーナス状態等)を加える構成としても良い。
また、「ハズレ」以外の役に当選した場合に、有利区間に移行するため、ほとんど有利区間に滞在する構成になっているが、有利区間への移行役の種別をさらに限定する等して、有利区間に滞在する割合を減らす構成としても良い。
【0035】
一方、有利区間は、「押し順ベル役」当選時に「押し順ベル」を入賞させるための押し順が報知される区間であり、ボーナス持越し状態、ボーナス状態、疑似ボーナス状態、AT状態は、この有利区間に区分けされる。
また、有利区間は、AT状態が終了したとき、又は有利区間に移行後、以下に示す条件(a)、(b)のうち少なくとも1つが成立したときに終了する。
<有利区間の終了条件>
(a)有利区間での遊技回数が特定回数(例えば、4000ゲーム)に到達したこと
(b)有利区間での獲得枚数(差枚数)が特定枚数(例えば、2400枚)に到達したこと
なお、有利区間の終了条件は、遊技回数は、無限(上限ゲーム数無し)であっても良く、獲得枚数は、特定枚数を超えたことを条件としても良い。
【0036】
ここで、(a)、(b)に示す有利区間の終了条件について説明する。
主制御部10は、有利区間中に行われるゲーム数と、有利区間中に獲得するメダルの獲得枚数とをそれぞれカウントする有利区間カウンタを有しており、これらをカウントする。
具体的には、有利区間カウンタには、有利区間への移行を契機に、有利区間中に行われるゲーム数の特定回数と、有利区間中に獲得する獲得枚数の特定枚数とがそれぞれセットされる。
有利区間カウンタは、ゲームが行われる(ゲームの開始操作を受け付ける)たびに、又は遊技者がメダルを獲得するたびに、カウントされる。
そして、(a)、(b)の条件のうち何れかが成立した場合には、有利区間には滞在することはできず、通常区間に移行するとともに、有利区間カウンタで管理される遊技回数や獲得枚数は、「0」にリセットされる。
つまり、有利区間は、通常区間から移行し、再度、通常区間に移行するまで継続して滞在できる区間となっており、主制御部10は、計数手段として機能することにより、有利区間中に遊技が行われた遊技回数と、遊技者が獲得した獲得枚数とをそれぞれカウントする。
なお、この有利区間中の遊技回数の特定回数は、適宜任意のゲーム数に変更しても良く、さらに、有利区間中の獲得枚数の特定枚数も、適宜任意の枚数に変更しても良い。
【0037】
[通常状態]
通常状態(通常遊技状態)は、所定の初期化スイッチ等の操作を伴う電源投入時に滞在する遊技状態であり、遊技を続けることで、遊技者の手持ちのメダルが漸次減少するため、遊技者にとって不利な遊技状態である。
一方、AT状態(特別遊技状態)は、AT状態に制御され、遊技を続けることで、メダルが増加しやすく、遊技者にとって有利な遊技状態である。
このため、遊技者は、通常状態からAT状態への移行を目指し、また、AT状態に長く滞在することを目指して遊技を行うことになる。
【0038】
[設定示唆演出]
ここで、設定示唆演出について説明する。
本実施形態のスロットマシン1は、知識介入要素を遊技に取り入れている。
具体的には、遊技場の管理者が設定した設定値を示唆する複数の演出(以下、設定示唆演出(特定報知)ともいう)を備えており、遊技者は、その複数の設定示唆演出で示唆される内容に基づき、設定値を推測するための設定情報として蓄積できる。
そのため、設定値ごとに異なる設定示唆演出で示唆される内容を多く知っていれば、その分、スロットマシン1に設定されている設定値を推測しやすい構成になっている。
そして、遊技者は、推測した設定値が当たっていれば、上述したチャンス役の当選時に、推測される設定値に対応する第1停止操作の押し順で操作を行うことで、AT状態時のゲーム数の上乗せ等の特典を多く獲得できる。
【0039】
本実施形態のスロットマシン1では、各種演出によって、停止ボタン5への操作態様に関わらず実行可能な設定示唆演出を行っている。
以下、遊技に伴う複数の契機で実行される設定示唆演出について、図9図21を参照しながら、具体的に説明する。
なお、図9図11図21図20は除く)における(a)は設定1が設定されたスロットマシン1、(b)は設定2が設定されたスロットマシン1、(c)は設定3が設定されたスロットマシン1をそれぞれ各設定示唆演出の種別を説明しやすいように模式的に示した図である。
【0040】
[表示による設定示唆演出]
まず、表示(表示器8)による設定示唆演出について説明する。
表示器8は、表示する演出内容や演出構成を変化させることで設定値の示唆を行うことができるため、確率設定装置の設定値を示唆可能な報知手段として機能する。
表示器8を用いる設定示唆は、以下の(1)~(5)に示す演出により実行される。
(1)ボーナス確定演出の設定差
(2)ボーナス終了演出の設定差
(3)通常状態時の滞在ゲーム数の設定差
(4)当選確定演出までの前兆演出の設定差
(5)小役連荘時の設定差
【0041】
(1)ボーナス確定演出の設定差
図9は、ボーナス確定演出の設定差を説明する図であり、図10は、ボーナス確定演出の選択テーブル(共通テーブル)を示す図である。
図9に示すように、ボーナス確定時に実行されるボーナス確定演出の種別として、「男性キャラ演出」、「女性キャラ演出」、「敵キャラ演出」の異なった3種類が設けられている。
主制御部10は、スロットマシン1に設定された設定値の違いを、ボーナス確定演出により遊技者に対して識別できるように表示器8に表示する。
【0042】
「男性キャラ演出」は、男性画像が登場する演出態様である。
「男性キャラ演出」は、例えば、設定値が「1」のときは、50%の確率で発生し、設定値が「2」、又は「3」のときは、25%の確率で発生する。
つまり、ボーナス確定時の「男性キャラ演出」は、設定値が「1」のときに高確率で発生する演出である。
【0043】
「女性キャラ演出」は、女性画像が登場する演出態様である。
「女性キャラ演出」は、例えば、設定値が「2」のときは、50%の確率で発生し、設定値が「1」、又は「3」のときは、25%の確率で発生する。
つまり、ボーナス確定時の「女性キャラ演出」は、設定値が「2」のときに高確率で発生する演出である。
【0044】
「敵キャラ演出」は、敵画像が登場する演出態様である。
「敵キャラ演出」は、例えば、設定値が「3」のときは、50%の確率で発生し、設定値が「1」、又は「2」のときは、25%の確率で発生する。
つまり、ボーナス確定時の「敵キャラ演出」は、設定値が「3」のときに高確率で発生する演出である。
【0045】
また、設定値が「6」のときは、33.3%の確率で「男性キャラ演出」、又は「女性キャラ演出」が発生し、33.4%の確率で「敵キャラ演出」が発生するため、何れのボーナス確定演出もほぼ同じ確率で発生する。
このような設定示唆演出により、遊技者は、スロットマシン1に設定されている設定値を推測できるため、設定値を知りたいという遊技者のニーズに応えることができる。
【0046】
なお、以下の設定示唆演出の説明では、各設定示唆演出時の選択テーブルの説明を省略するが、「高確率で(多く)発生する演出」とは、上述したボーナス確定演出の選択テーブルのように、他の演出と比較して相対的に高い確率が設定される演出を意味している。
そのため、特に指定がないときは、ボーナス確定演出の選択テーブルを共通テーブルとして設定する。
【0047】
(2)ボーナス終了演出の設定差
図11は、ボーナス終了演出の設定差を説明する図である。
ボーナス終了演出では、BB、又はRBの連荘(例えば、3連荘(3連チャン))後に、上述したボーナス確定演出と同じような演出画像が表示器8に表示される。
ボーナス終了演出では、例えば、BB、又はRBの3連荘後に実行されるボーナス終了時(例えば、BBは、200枚を超える払出し、RBは、100枚を超える払出しでそれぞれ終了)に表示器8により実行される終了演出の種別として、「男性キャラ演出」、「女性キャラ演出」、「敵キャラ演出」の異なった3種類が設けられている。
これらの演出では、例えば、同一のアニメや映画のキャラクタ等が登場し、ボーナス確定時から始まるボーナス時に実行される演出全体として一連の物語性のある演出内容が表示される。
主制御部10は、スロットマシン1に設定された設定値の違いを、ボーナス終了演出により遊技者に対して識別できるように表示する。
【0048】
例えば、「男性キャラ演出」は、設定値が「1」のときに高確率で発生する演出であり、「女性キャラ演出」は、設定値が「2」のときに高確率で発生する演出であり、「敵キャラ演出」は、設定値が「3」のときに高確率で発生する演出である。
また、設定値が「6」のときは、何れのボーナス終了演出もほぼ同じ確率で発生する。
従って、ボーナス終了演出では、ボーナス当選の連荘履歴に関係して設定示唆演出を行っている。
【0049】
(3)通常状態時の滞在ゲーム数の設定差
図12は、通常状態時の滞在ゲーム数の設定差を説明する図である。
通常状態では、複数のステージが存在し、そのステージごとで滞在ゲーム数が変化する。
複数のステージは、表示器8の表示内容(例えば、背景画像)を変化させることで、遊技者が設定値を推測できる構成になっている。
通常状態時のステージの種別として、昼画像を使用する「昼背景のステージ」、夕方画像を使用する「夕方背景のステージ」、夜画像を使用する「夜背景のステージ」の時間帯の異なる背景画像の3種類が設けられている。
このような時間帯の異なる背景画像を用いた演出は、主制御部10からの制御情報に基づく副制御部20の制御により実行される。
主制御部10は、スロットマシン1に設定された設定値の違いを、ステージの滞在ゲーム数により遊技者に対して識別できるように表示する。
【0050】
例えば、「昼背景のステージ」は、設定値が「1」のときに、滞在ゲーム数が多く発生する演出であり、「夕方背景のステージ」は、設定値が「2」のときに、滞在ゲーム数が多く発生する演出であり、「夜背景のステージ」は、設定値が「3」のときに、滞在ゲーム数が多く発生する演出である。
また、設定値が「6」のときは、何れのステージもほぼ同じ確率で滞在ゲーム数が発生する。
従って、設定されている設定値に対応するステージの滞在ゲーム数>設定されている設定値以外に対応するステージの滞在ゲーム数の関係性を有している。
なお、背景のステージの態様は一例であり、「昼」、「夕方」、「夜」の時間帯の背景画像に変えて、「松」、「竹」、「梅」のグレード等の背景画像を用いた演出でも良く、背景画像がステージに関連付けてあれば、任意の背景画像を採用できる。
【0051】
(4)当選確定演出までの前兆演出の設定差
図13は、当選確定演出までの前兆演出の設定差を説明する図である。
本実施形態では、AT状態等への移行抽選に当選した場合に、直ぐにAT状態等へ移行せず、遊技者に対して、AT状態等への移行に対する期待感を高めるための前兆演出を所定ゲーム数実行した後に、AT状態等へ移行する構成になっている。
前兆演出は、各遊技状態等へ移行する前に、遊技者に対して期待感を高めるために実行され、例えば、表示器8において主人公キャラクタ等が登場する動画で実行される演出である。
当選確定演出までの前兆演出のゲーム数の種別として、「7ゲーム」を超える前兆演出、「5ゲーム」を超える前兆演出、「3ゲーム」を超える前兆演出の3種類が設けられている。
主制御部10は、スロットマシン1に設定された設定値の違いを、前兆演出のゲーム数により遊技者に対して識別できるように表示する。
【0052】
例えば、「7ゲーム」を超える前兆演出は、設定値が「1」のときに高確率で発生する演出であり、「5ゲーム」を超える前兆演出は、設定値が「2」のときに高確率で発生する演出であり、「3ゲーム」を超える前兆演出は、設定値が「3」のときに高確率で発生する演出である。
また、設定値が「6」のときは、何れのゲーム数を超える前兆演出もほぼ同じ確率で発生する。
そのため、連続して「7ゲーム」の前兆演出が実行されたときは、遊技者に対し設定1が設定されているのではないかといった印象を与えることになる。
【0053】
(5)小役連荘時の設定差
図14は、小役連荘時の設定差を説明する図である。
特定の小役(例えば、ベル役)が3連荘以上すると、その連荘した小役に対応する期待度に応じた演出画像が表示器8に表示される。
ベル役連荘後の期待度の演出の種別として、「ベル役の期待度が相対的に低い演出」、「ベル役の期待度が相対的に中程度の演出」、「ベル役の期待度が相対的に高い演出」の異なった3種類が設けられている。
「ベル役の期待度が相対的に低い演出」とは、「ベル狙え」等のベル役当選の強いパターンがやや発生する演出がされ、「ベル役の期待度が相対的に中程度の演出」とは、「ベル示唆」等のベル役当選の強いパターンが設定1より発生する演出がされ、「ベル役の期待度が相対的に高い演出」とは、「ベル確定」等のベル役当選の強いパターンが設定2より発生する演出がされる。
主制御部10は、スロットマシン1に設定された設定値の違いを、連荘した小役に対応する期待度により遊技者に対して識別できるように表示する。
【0054】
例えば、「ベル役の期待度が相対的に低い演出」は、設定値が「1」のときに高確率で発生する演出であり、「ベル役の期待度が相対的に中程度の演出」は、設定値が「2」のときに高確率で発生する演出であり、「ベル役の期待度が相対的に高い演出」は、設定値が「3」のときに高確率で発生する演出である。
また、設定値が「6」のときは、何れのベル役の期待度の演出もほぼ同じ確率で発生する。
従って、特定の小役連荘時の演出では、小役連荘時の期待度に関係して設定示唆演出を行っている。
【0055】
[音による設定示唆演出]
次に、音(スピーカ9)による設定示唆演出について説明する。
スピーカ9は、音色や音の出力タイミングを変化させることで設定値の示唆を行うことができるため、表示器8と同様、確率設定装置の設定値を示唆可能な報知手段として機能する。
スピーカ9を用いる設定示唆は、以下の(6)~(9)に示す演出により実行される。
(6)リール始動音A~Cの設定差
(7)リール始動音の遅れと当選役の組み合わせの設定差
(8)メダル投入音A~Cの設定差
(9)特定演出時に用いるスピーカの設定差
【0056】
(6)リール始動音A~Cの設定差
図15は、リール始動音A~Cの設定差を説明する図である。
リール41の始動音A~Cは、通常時とは異なる始動音であり、スピーカ9から出力される効果音による演出である。
遊技者がスタートレバー3を操作すると、各リール41の回転を開始する際、スピーカ9から始動音が発生するため、遊技者は、ゲームの開始を認識できる。
始動音の種別として、始動音A、始動音B、始動音Cの音色や音程の異なる3種類が設けられている。
主制御部10は、スロットマシン1に設定された設定値の違いを、始動音の違いにより遊技者に対して識別できるように出力する。
【0057】
始動音A~Cは、大当りの当選等で発せられる祝福メロディのように大音響の音が連続して流されるものと異なり、例えば、通常状態時の内部当選時のみに、ゲームを行っている遊技者以外には、殆ど意識されない音となっている。
遊技者は、リール41の回転と同時に常に同じ音が出力される始動音が、異なる音になるので、短い音であっても認識できる。
これにより、始動音A~Cが音程や音色を変更して短い音で出力されるだけなので、周囲の人が気付くことは殆ど不可能で、始動音による設定値の示唆情報を知っている遊技者のみ気付かせることができる。
【0058】
例えば、「始動音A」による演出は、設定値が「1」のときに高確率で発生し、「始動音B」による演出は、設定値が「2」のときに高確率で発生し、「始動音C」による演出は、設定値が「3」のときに高確率で発生する。
また、設定値が「6」のときは、何れの始動音A~Cもほぼ同じ確率で発生する。
遊技者は、表示器8による設定差に加え、リール始動音A~Cの設定差を知っていれば、ゲーム中、常に表示器8と始動音A~Cに注意を傾けることになるで、より遊技に集中して楽しむことができる。
【0059】
(7)リール始動音の遅れと当選役の組み合わせの設定差
図16は、リール始動音の遅れと当選役の組み合わせの設定差を説明する図である。
一般に、リール41の回転の開始を知らせるリール始動音は、リール41の回転始動と同時に出力されるが、リール41の回転の開始から一定時間遅らせて始動音を出力する始動音を遅れさせる演出(以下、始動音の遅れ演出という)を行う構成としている。
【0060】
ここで、リール41の回転の開始から一定時間の始動音の遅れとしては、遊技者が遅れを把握できる限りどのような時間に設定しても良いが、本実施形態では、約100ms~500msの範囲、より好ましくは約190ms前後の時間に設定してある。
一般に、スロットマシン1は、回転を開始してから定常回転に達するまで一定時間(スローアップ期間)がかかり、このスローアップの時間は、通常、約100ms~500ms程度となっており、本実施形態のスロットマシン1のスローアップの時間は、約190msとなっている。
そして、このスローアップ期間内は、遊技者が停止ボタン5の停止操作等を行えない。
このため、本実施形態では、リール41の回転の開始から一定時間の始動音の遅れをスロットマシン1のスローアップの時間と同様に設定し、遊技者がスローアップ終了後直ちに遊技を行えるようにしてある。
【0061】
また、リール始動音の遅れと当選役の組み合わせの種別として、「始動音の遅れ演出」と同時に「ベル役」の当選、始動音の遅れ演出」と同時に「リプレイ役」の当選、「始動音の遅れ演出」と同時に「ハズレ」の当選の3種類が設けられている。
主制御部10は、スロットマシン1に設定された設定値の違いを、始動音の出力タイミングと当選役とを組み合わせることにより遊技者に対して識別できるように出力する。
【0062】
例えば、「始動音の遅れ演出」と同時に「ベル役」の当選は、設定値が「1」のときに高確率で発生し、「始動音の遅れ演出」と同時に「リプレイ役」の当選は、設定値が「2」のときに高確率で発生し、「始動音の遅れ演出」と同時に「ハズレ」の当選は、設定値が「3」のときに高確率で発生する。
また、設定値が「6」のときは、「始動音の遅れ演出」と同時に何れの役の組み合わせもほぼ同じ確率で発生する。
このように、始動音の遅れ演出と同時に、当選役を関係付けているので、設定示唆演出がワンパターンとなることを防ぐことができる。
【0063】
(8)メダル投入音A~Cの設定差
図17は、メダル投入音A~Cの設定差を説明する図である。
メダルの投入音A~Cは、通常時とは異なる投入音であり、スピーカ9から出力される効果音による演出である。
遊技者がメダル投入口2にメダルを投入すると、スピーカ9からメダル投入におけるメダル投入音が発生する。
投入音の種別として、投入音A、投入音B、投入音Cの音色や音程の異なる3種類が設けられている。
主制御部10は、スロットマシン1に設定された設定値の違いを、投入音の違いにより遊技者に対して識別できるように出力する。
【0064】
投入音A~Cは、例えば、通常状態時の内部当選時のみに、音色や音程を投入音ごとに変更して出力され、メダル投入口2にメダルを1枚投入したときに1回メダル投入音が出力され、メダルを3枚投入したときに3回メダル投入音が出力される。
また、投入音A~Cは、ゲームを行っている遊技者以外には、殆ど意識されない音となっている。
遊技者は、メダルの投入と同時に常に同じ音が出力される投入音が、異なる音になるので、短い音であっても認識できる。
これにより、投入音A~Cが音程や音色を変更して短い音で出力されるだけなので、周囲の人が気付かれず、投入音による設定値の示唆情報を知っている遊技者のみ気付かせることができる。
【0065】
例えば、「投入音A」による演出は、設定値が「1」のときに高確率で発生し、「投入音B」による演出は、設定値が「2」のときに高確率で発生し、「投入音C」による演出は、設定値が「3」のときに高確率で発生する。
また、設定値が「6」のときは、何れの投入音A~Cもほぼ同じ確率で発生する。
なお、メダル投入口2へのメダルの投入時に出力される投入音A~Cにより設定値の示唆を行う一例について説明したが、掛け数を設定するベットボタン2aの押下時に、投入音A~Cと同じような投入音ごとに異なる音をスピーカ9から出力して、設定値の示唆を行っても良い。
【0066】
(9)特定演出時に用いるスピーカの設定差
図18は、特定演出時に用いるスピーカ9の設定差を説明する図である。
特定演出では、左右のスピーカ9の音量バランスが変更されて、ゲームの進行に応じたBGM、楽曲等が出力される。
ここでの特定演出とは、例えば、疑似ボーナス中、又はAT状態中等の通常状態時と異なる遊技状態時に、遊技者の期待感を高めるために複数のゲームに亘って行われる演出のことである。
特定演出時に用いるスピーカ9の種別として、「左スピーカ9a」のみ用いる特定演出(「左スピーカ9a」の音量が「右スピーカ9b」の音量より大きい特定演出も含む)、「右スピーカ9b」のみ用いる特定演出(「右スピーカ9b」の音量が「左スピーカ9a」の音量より大きい特定演出を含む)、「左スピーカ9a」と「右スピーカ9b」の両方を用いる特定演出(「左スピーカ9a」と「右スピーカ9b」の音量が等しい特定演出も含む)の3種類が設けられている。
主制御部10は、スロットマシン1に設定された設定値の違いを、特定演出時の左右のスピーカ9の音量バランスの変更により遊技者に対して識別できるようにBGM、楽曲等を出力する。
【0067】
例えば、「左スピーカ9a」のみ用いる特定演出は、設定値が「1」のときに高確率で発生し、「右スピーカ9b」のみ用いる特定演出、設定値が「2」のときに高確率で発生し、「左スピーカ9a」と「右スピーカ9b」の両方を用いる特定演出は、設定値が「3」のときに高確率で発生する。
また、設定値が「6」のときは、何れの特定演出時の左右のスピーカ9の音量バランスの変更もほぼ同じ確率で発生する。
そのため、「左スピーカ9a」のみ用いる特定演出が実行されたときは、遊技者に対し設定1が設定されているのではないかといった印象を与えることになる。
【0068】
なお、特定演出(例えば、疑似ボーナス中)では、左右のスピーカ9の音量バランスの変更に加え/代えて、特定の割合(例えば、80%)で通常のBGM、楽曲等をスピーカ9から出力し、残りの割合(例えば、20%)の中で、スロットマシン1に設定された設定値に応じてそれぞれ異なる4種類のBGM、楽曲等をスピーカ9から出力することで設定示唆演出をしても良い。
この場合、例えば、「楽曲A」による演出は、設定値が「1」のときに高確率で発生し、「楽曲B」による演出は、設定値が「2」のときに高確率で発生し、「楽曲C」による演出は、設定値が「3」のときに高確率で発生し、「楽曲D」による演出は、設定値が「6」のときに高確率で発生する。
これにより、特定演出の設定示唆演出に変化を与え、遊技の興趣を向上できる。
【0069】
[光や操作による設定示唆演出]
最後に、光や操作(ランプ11、演出ボタン2d等)による設定示唆演出について説明する。
ランプ11等は、光量、発光タイミングを変化させ、演出ボタン2d等は、使用頻度を変化させることで設定値の示唆を行うことができるため、確率設定装置の設定値を示唆可能な報知手段として機能する。
ランプ11等を用いる設定示唆は、以下の(10)、(11)に示す演出により実行される。
(10)特定演出時に用いるランプ11光量の設定差
(11)確定演出時の設定差
【0070】
(10)特定演出時に用いるランプ11光量の設定差
図19は、特定演出時に用いるランプ11光量の設定差を説明する図である。
特定演出(例えば、疑似ボーナス中、又はAT状態中)では、左右のランプ11の光量バランスが変更されて出力される。
特定演出時のランプ11光量の種別として、「左ランプ11a」のみ用いる特定演出(「左ランプ11a」の光量が「右ランプ11b」の光量より多い(明るい)特定演出も含む)、「右ランプ11b」のみ用いる特定演出(「右ランプ11b」の光量が「左ランプ11a」の光量より多い(明るい)特定演出も含む)、「左ランプ11a」と「右ランプ11b」の光量が少ない(暗い)特定演出の3種類が設けられている。
主制御部10は、スロットマシン1に設定された設定値の違いを、特定演出時の左右のランプ11の光量バランスの変更により遊技者に対して識別できるように出力する。
【0071】
例えば、「左ランプ11a」のみ用いる特定演出は、設定値が「1」のときに高確率で発生し、「右ランプ11b」のみ用いる特定演出は、設定値が「2」のときに高確率で発生し、「左ランプ11a」と「右ランプ11b」の両方を用いる特定演出は、設定値が「3」のときに高確率で発生する。
また、設定値が「6」のときは、何れの特定演出時の左右のランプ11の光量バランスの変更もほぼ同じ確率で発生する。
【0072】
なお、左右のランプ11の光量バランスの変更に加え/代えて、特定の割合(例えば、90%)で通常のリールフラッシュの点灯態様とし、残りの割合(例えば、10%)の中で、通常とは異なるリールフラッシュの点灯態様とすることで、設定示唆演出を行っても良い。
主制御部10は、スロットマシン1に設定された設定値の違いを、リールフラッシュの点灯態様により遊技者に対して識別できるように表示する。
【0073】
この場合、例えば、通常状態時の特定の役(例えば、リプレイ役)の当選時に、何れのリール41も同時に点灯する通常のリールフラッシュの点灯態様(図20(a))とは異なり、設定値が「奇数(設定「1」、又は「3」)」のときに、左リール41a→中リール41b→右リール41cのように左から右に流れるリールフラッシュの点灯態様(図20(b))を高確率で発生させ、設定値が「偶数(設定「2」、又は「6」)」のときに、右リール41c→中リール41b→左リール41aのように右から左に流れるリールフラッシュの点灯態様(図20(c))を高確率で発生させる。
これにより、ランプ11を用いる設定示唆演出に変化を与えるとともに、リールフラッシュの点灯演出に面白み、期待感を持たせることができる。
【0074】
(11)確定演出時の設定差
図21は、確定演出時の設定差を説明する図である。
確定演出(例えば、ボーナス確定演出、AT確定演出、上乗せ確定演出(3択チャレンジ演出含む))は、ボーナス当選、AT状態への移行、上乗せ等が確定したことを示唆、又は報知する演出である。
確定演出の種別として、「演出ボタン2d」を用いた確定演出、「下パネル18」を消灯する確定演出、「告知ランプ19」を点灯する確定演出の3種類が設けられている。
主制御部10は、スロットマシン1に設定された設定値の違いを、確定演出により遊技者に対して識別できるように表示する。
【0075】
例えば、「演出ボタン2d」を用いる確定演出は、設定値が「1」のときに高確率で発生する演出であり、「下パネル18」を消灯する確定演出は、設定値が「2」のときに高確率で発生する演出であり、「告知ランプ19」を点灯する確定演出は、設定値が「3」のときに高確率で発生する演出である。
また、設定値が「6」のときは、何れの確定演出もほぼ同じ確率で発生する。
【0076】
このように、表示器8のよる設定示唆演出に限定されず、スピーカ9、ランプ11、操作ボタン2d等を用いることで、複合的な設定示唆演出を実施できる。
そして、単独の設定示唆演出では、設定値の推測が難しい場合であっても、複数の設定示唆演出のうち、知っている設定示唆演出から読み取れる設定差を蓄積することにより、設定値の推測が比較的容易となる。
つまり、本実施形態のスロットマシン1は、複数の設定示唆演出から読み取れる設定差の情報を多く知っている遊技者が有利に遊技を進行できる知識介入要素を取り入れているため、遊技に手慣れた熟練者のみならず、初心者にも楽しませることができる。
【0077】
次に、モードについて説明する。
本実施形態におけるスロットマシン1は、「モードA」、「モードB」、「モードC」、「モードD」の計4つのモードが設けられている。
そして、主制御部10は、この4つの各モードで仕様が異なるように制御する。
【0078】
以下、図22、及び図23を参照しながら、モード抽選処理、及び各モードの仕様について説明する。
まず、モード抽選処理について説明する。
モード抽選処理は、通常状態で、通常区間に滞在中に行われる内部抽選処理において有利区間移行役の当選を契機として行われ、仕様がそれぞれ異なるモードのうち、何れのモードに移行させるかを決定する。
【0079】
図22は、モードの抽選処理に用いる抽選テーブルを示している。
モード抽選は、有利区間移行役に当選したときに取得するモードの移行抽選用の乱数の判定により行われ、この有利区間移行役が通常区間中において当選した場合に、モード抽選処理が行われる。
モード抽選テーブルは、当たり値が、設定されるモードと、スロットマシン1に設定された設定値ごとで対応付けて規定される。
モード抽選は、レア役かレア役以外かで参照する抽選テーブルが異なっており、レア役に当選した方が、遊技者に有利なモード(モードB、モードD)に移行する確率が高くなっており、有利なモードに移行した場合には、遊技者が期待を高められるようなゲーム構成になっている。
このとき、主制御部10は、非AT状態において、複数のモードのうち、何れかのモードに制御可能なモード制御手段として機能する。
なお、モード抽選テーブルでは、設定値ごとに当選確率が異なる4つのモードを設けているが、3つ以下としても良く、さらには、5つ以上としても良く、適宜変更できる。
また、設定値の変更等の制御は、主制御部10で行われるが、主制御部10から副制御部20への設定値に関する情報の送信により、副制御部20が設定値に応じたモードの管理を行うモード制御手段として、機能する構成としても良い。
【0080】
次に、モード抽選処理で決定された各モードの仕様について説明する。
各モードの仕様は、図23に示すように、モードごとに疑似ボ天井当選回数、疑似ボ当選率、AT天井ゲーム数、AT中獲得数期待値がそれぞれ異なるように規定される。
疑似ボ天井当選回数は、1回の有利区間中、つまり有利区間移行後に制御されるモードにおいて、AT状態に移行するまでに必要な疑似ボ当選回数を示している。
疑似ボ当選率は、通常状態中の疑似ボーナス状態への移行抽選の当選確率を示している。
AT天井ゲーム数は、通常状態、及び疑似ボーナス状態において、AT状態に移行するまでに必要なゲーム数を示している。
AT中獲得数期待値は、AT状態中に、獲得できるメダル数の期待値を示している。
本実施形態では、モードごとに疑似ボ天井当選回数やAT天井ゲーム数が異なるが、疑似ボ天井当選回数やAT天井ゲーム数の少ない方が、有利な遊技状態に早く移行でき、メダルを多く獲得できる機会が増えるため、遊技者にとっては、疑似ボ天井当選回数やAT天井ゲーム数がなるべく小さい値の方が好ましいことになる。
例えば、「モードC」よりも「モードD」の方が、少ない疑似ボ天井当選回数やAT天井ゲーム数が設定されるため、「モードC」よりも「モードD」の方が、メダルを多く獲得できる可能性が増えるため、遊技者にとって有利な構成になっている。
【0081】
従って、通常状態からAT状態への遷移は複数あるが、基本的な遷移としては、以下の3つの条件のうち何れかを満たすことである。
・ゲーム数がAT天井ゲーム数に到達したこと(図8の矢印(a))。
・疑似ボーナス状態への移行抽選で当選した回数が疑似ボ天井当選回数に到達したこと(疑似ボーナス状態に移行した後、AT状態に移行)。
・通常状態から疑似ボーナス状態に移行し、その後疑似ボーナス状態中にAT抽選(以下、通常AT抽選ともいう)で当選したこと。
【0082】
このため、AT天井ゲーム数に到達した場合には、通常状態から直接AT状態に移行することになるが、特に、疑似ボーナス状態中にAT状態への移行抽選に当選し易いため、遊技者は、通常状態に滞在中、まず疑似ボーナス状態に移行することを期待して遊技を行うことになる。
なお、疑似ボーナス状態への移行抽選で当選した回数が疑似ボ天井当選回数に到達した場合も、疑似ボーナス状態に移行することなく、通常状態から直接AT状態に移行するようにしても良い。
以下、特に説明がない場合には、各遊技状態から他の遊技状態への移行に係る移行抽選においても、基本的に有利区間中に実行されることになる。
【0083】
[疑似ボーナス状態]
疑似ボーナス状態は、AT状態と同様に押し順ベル1~6役が当選したときに必ずナビ(以下、全ナビともいう)演出が行われる。
そのため、遊技者は、疑似ボーナス状態に移行すれば、押し順に関する情報がより多く提供されるため、メダルを多く獲得できる期待感を持って遊技を行うことになる。
主制御部10は、通常状態において、内部抽選処理の抽選結果としてレア役の当選を契機に疑似ボーナス状態への移行抽選処理を行う。
図24は、疑似ボーナス状態への移行抽選処理に用いる抽選テーブルを示している。
疑似ボーナス抽選は、モードごとに異なる抽選テーブルが用いられ、レア役ごとに割り振られる乱数値の個数が異なっており、当たり値(当選)、及びハズレ値(ハズレ)が、レア役ごとに対応付けて規定される。
【0084】
具体的には、疑似ボーナス抽選では、通常状態時において、レア役の当選を契機として疑似ボーナス状態へ移行するか否かを決定する。
疑似ボーナス抽選は、モード抽選処理によって決定されたモードに応じて、参照する抽選テーブルが異なっており、モードA、BとモードC、Dに区分けして、当たり値の当選確率が異なるように制御される。
疑似ボーナス抽選の当選確率は、モードA、BよりもモードC、Dの方が当選し易い。
主制御部10は、疑似ボーナス抽選で当選した場合に、遊技状態を通常状態から疑似ボーナス状態に移行するように制御する(図8の矢印(b))。
なお、疑似ボーナス状態への移行抽選の移行役はレア役以外でもよく、例えば、ベル役等の当選を契機に所定の確率で疑似ボーナス状態への移行抽選に当選するようにしても良い。
【0085】
また、疑似ボーナス状態は、ゲーム数により管理される有限の遊技状態であり、予め設定された規定ゲーム数(例えば、20ゲーム)を、消化するまで継続する。
このとき、表示器8には、味方キャラと敵キャラが対戦するバトルゲームが表示される。
バトルゲームは、疑似ボーナス状態で行われる演出であり、1ゲームごとに獲得するポイント数を抽選するPt(ポイント)抽選処理が行われ、獲得するポイント数によって、敵キャラがダメージを受ける演出が表示器8に表示される。
例えば、規定ゲーム数を20ゲームとした場合、1~15ゲームまでは、味方キャラが敵キャラ(雑魚キャラ)とバトルを繰り広げて、ボスキャラが待ち構えるステージに近づいて行く演出が行われ、16~20ゲームでは、ボスキャラが登場し、味方キャラがそのボスキャラとバトルする連続演出が行われる。
さらに、20ゲーム目には、AT状態への移行抽選(通常AT抽選)が継続して行われ、AT状態に移行する場合には、味方キャラがボスキャラに勝利する演出が行われ、AT状態に移行しない場合には、味方キャラがボスキャラに敗北する演出が行われる。
【0086】
次に、図25図27を参照しながら、疑似ボーナス状態中に行われる抽選処理に用いる抽選テーブルについて説明する。
図25は、全モード共通のPt抽選テーブルを示しており、疑似ボーナス状態では、リプレイ役と小役の当選を契機に、獲得するポイントの抽選処理が行われ、その抽選結果に基づいて、AT状態の移行抽選が行われる。
具体的には、リプレイ役と小役の当選役に応じて、獲得するポイントの当選確率が異なっており、その獲得したポイント数によって当選確率の異なるAT抽選が行われる。
Pt抽選は、リプレイ役、ベル役、弱チェリー役、スイカ役、強チェリー役の何れかに当選したときに取得するPt抽選用の乱数の判定により行われ、これらのリプレイ役と小役に当選すれば必ず何れかのポイントが獲得できるように規定される。
このPt抽選は、抽選結果(1Pt、10Pt、20Pt、30Pt、100Pt)ごとに割り振られる乱数値の個数が異なるように、当たり値が、当選役と、抽選結果ごとに対応付けて規定される。
例えば、リプレイ役に当選したときは、「100Pt」を獲得することはないが、強チェリー役に当選したときは、256個中64個(約25%の確率)で「100Pt」を獲得できる。
このようにPt抽選では、小役の中でも、強チェリー役に当選したときが高いポイントを獲得できる可能性があるため、遊技者は、強チェリー役に当選した場合は、当選に対する期待を高められるようになっている。
【0087】
図26は、疑似ボーナス状態の終了時に参照する通常AT抽選テーブル(以下、第1通常AT抽選テーブルという)を示している。
第1通常AT抽選テーブルは、疑似ボーナス状態の終了後に、移行先を決定するための抽選テーブルであり、バトルゲームの20ゲーム間で獲得したポイントの累積値に基づいて、抽選結果が変動する。
第1通常AT抽選テーブルにおいて、「ハズレ」は、AT状態の非当選を示しているため、抽選結果が「ハズレ」の場合には、疑似ボーナス状態の終了後、通常状態に移行する(図8の矢印(c))。
一方、「通常AT」は、AT状態の当選を示しているため、抽選結果が「通常AT」の場合には、疑似ボーナス状態の終了後、AT状態に移行し、例えば、「通常AT10G」は、AT状態に移行したときの通常ATにおけるゲーム数(以下、通常ATゲーム数ともいう)が10ゲームであることを示している(図8の矢印(d))。
【0088】
また、第1通常AT抽選テーブルは、疑似ボーナス状態への移行抽選で当選した回数が疑似ボ天井当選回数に到達した疑似ボーナス状態か否かで、参照する抽選テーブルが異なっており、疑似ボーナス状態の当選回数が天井に未到達時の疑似ボーナス状態と、疑似ボーナス状態の当選回数が天井に到達時の疑似ボーナス状態に区分けして、当たり値の当選確率が異なるように制御される。
例えば、疑似ボ天井当選回数到達時の疑似ボーナス状態では、当然ながら「ハズレ」が無く、必ずAT状態に移行でき、かつ、疑似ボ天井当選回数未到達時に比べて通常ATにおける通常ATゲーム数も多く獲得できる可能性が高くなっている。
【0089】
図27は、ゲーム数が天井ゲーム数に到達した際に参照し、通常ATゲーム数を決定する通常AT抽選テーブル(以下、第2通常AT抽選テーブルという)を示している。
この第2通常AT抽選テーブルは、移行する通常ATにおける通常ATゲーム数を決定するためのテーブルである。
この第2通常AT抽選テーブルは、当たり値が、付与される通常ATゲーム数と、滞在するモードごとに対応付けて規定される。
本実施形態では、通常状態だけでなく疑似ボーナス状態中においても継続してゲーム数をカウントしているため、疑似ボーナス状態中にゲーム数がAT天井ゲーム数に到達することもあり得る。
そのため、疑似ボーナス状態中にAT天井ゲーム数に到達した場合は、即座に通常AT(AT状態)に移行することは無く、疑似ボーナス状態の最終ゲームに行われる第1通常AT抽選が終了するまで通常ATへの移行を待機する構成になっている(図8の矢印(d))。
従って、疑似ボーナス状態中に、AT天井ゲーム数に到達した場合には、第1通常AT抽選によって獲得した通常ATゲーム数が、第2通常AT抽選によって獲得した通常ATゲーム数に加算されることになる。
そのため、第1通常AT抽選、及び第2通常AT抽選で獲得できる通常ATにおける最大通常ATゲーム数がともに30ゲームであるため、遊技者は、最大60ゲームの通常ATゲーム数を獲得できる。
【0090】
[AT状態]
次に、AT状態について説明する。
ATは、アシストタイムの略称であり、押し順ベル役当選時の所定契機に、例えば、各停止ボタン5a~5cの押し順が報知され、押し順ベル役等の入賞を遊技者にアシストする遊技状態である。
AT状態は、主制御部10によってゲーム数により管理され、表示器8に表示されるとともに、ゲームが消化されるごとに「1」減算される。
【0091】
押し順の報知例として、押し順ベル1役に当選したときは、表示器8、スピーカ9、及びナビランプ12等を介して、押し順が報知される。
このときの押し順ベル1役の報知は、表示器8では、停止ボタン5に対応する押し順を特定できるように数字「1(左)→2(中央)→3(右)」が表示される。
スピーカ9では、「左」、「中」、「右」の順でそれぞれの音声が出力される。
ナビランプ12を用いる場合は、「12a→12b→12c」の順でナビランプ12が点灯される。
従って、表示器8以外のスピーカ9、ナビランプ12等でも報知手段として機能できるが、本実施形態では、報知手段として、表示器8を用いることを一例として説明する。
AT状態は、通常、所定の遊技回数に亘って継続して行われ、報知することが決定されると、3つの停止ボタン(左停止ボタン5a、中停止ボタン5b、右停止ボタン5c)の押し順が報知(以下、ナビ演出という)されるため、遊技者が初心者でもメダルを獲得しやすい状態といえる。
このように、主制御部10は、「押し順ベル」が停止するように、又は「ベルこぼし目」が停止しないようにアシストするという特典を遊技者に付与する。
【0092】
本実施形態のAT状態は、ナビ率が異なる通常ATと特化ゾーンの2種類のAT状態から構成されている。
具体的には、AT状態は、押し順ベル役の当選時に行われ、ナビ演出を行うか否かを決定するナビ抽選の当選確率(以下、ナビ率という)を異ならせている。
例えば、通常ATでは、ナビ率が30%(以下、一部ナビともいう)であるため、押し順ベル役当選時に30%の確率でナビ演出が行われ、特化ゾーンでは、ナビ率が100%(以下、全ナビともいう)であるため、押し順ベル役当選時に必ずナビ演出が行われる。
従って、ナビ率は、特化ゾーン>通常ATの関係性を有しているため、遊技者の有利度からすると、特化ゾーン>通常ATの関係性を有している。
このため、遊技者は、AT状態において、特化ゾーンのときが、最も多くのメダルを獲得できる構成になっている。
【0093】
また、スロットマシン1には、遊技者が獲得する獲得枚数(純増枚数)を制限するための機能としてリミッタ機能の他に、スロットマシン1の電源が投入されてから遮断されるまでに遊技者側が実際に獲得する獲得枚数を制限するコンプリート機能(打ち止め機能)も備えている。
例えば、スロットマシン1の電源が投入されてから遮断されるまでの獲得枚数(MY)が所定数(コンプリート値である+19000枚)に達した場合に、その後のゲームが不能となる遊技停止状態に制御される。
つまり、遊技者は、遊技場の営業中、獲得枚数が制限される。
また、遊技店の営業中に、1回の有利区間中における差枚数が極めて小さい値(投入数が極めて多く、且つ、払出枚数が極めて少ない場合)で、リミッタ機能が作動するまでに極めて多数のメダルを遊技者が獲得可能な状態でも、リミッタ機能が作動するまでにコンプリート機能が先に作動するため、差枚数が極めて小さい値となっていた場合でも、遊技店の不利益が極めて大きくなることを防止する。
【0094】
通常ATは、通常状態、又は疑似ボーナス状態から移行するとともに、押し順ベル1~6役が当選したときに一部ナビ演出が行われる。
通常ATでは、図28に示す特化ゲーム数抽選テーブルを用いて、特化ゾーンにおける上乗せするゲーム数を決定する。
【0095】
以下、通常AT中に行われるゲーム数(以下、特化ゲーム数ともいう)の抽選処理について説明する。
図28は、特化ゾーンにおける特化ゲーム数の抽選処理に用いるモードごとの特化ゲーム数抽選テーブルである。
通常ATでは、通常状態、及び疑似ボーナス状態移行時に滞在していたモードがそのまま引き継がれ、移行時に滞在していたモードに応じて、参照する抽選テーブルが異なっており、モードA、BとモードC、Dに区分けして、当たり値の当選確率が異なるように制御される。
この特化ゲーム数抽選は、通常ATに滞在中、毎ゲームで行われ、この抽選で決定された特化ゲーム数(抽選結果)が、毎ゲームで上乗せ(加算)される。
【0096】
具体的には、特化ゲーム数抽選は、主制御部10により、通常AT中において、ベル入賞(ナビ実行含む)、弱チェリー役、スイカ役、強チェリー役、その他に当選したときに取得するゲーム数抽選用の乱数の判定により行われる。
特化ゲーム数抽選テーブルにおけるベル入賞(ナビ実行含む)とは、ベル役が入賞すること、及びナビ演出が行われることの少なくとも何れか一方を満たすことであり、ナビ演出時に「ベルこぼし目」が停止した場合でもベル役が入賞したものとして特化ゲーム数抽選が行われる。
また、特化ゲーム数抽選テーブルにおけるその他とは、ベル役、及びレア役以外の役のことで「ベルこぼし目」も含まれる。
特化ゲーム数抽選は、抽選結果(5ゲーム、10ゲーム、30ゲーム、50ゲーム、100ゲーム)ごとに割り振られる乱数値の個数が異なるように、当たり値が、当選役と、抽選結果ごとに対応付けて規定される。
特化ゲーム数抽選テーブルでは、ベル役やレア役以外の役でも特化ゲーム数を獲得できるが、モードに関わらず、5ゲームや10ゲームと少ない特化ゲーム数が付与され、一方、ベル役やレア役では、5ゲームが付与されないよう制御される。
【0097】
[3択チャレンジ演出]
また、通常AT中(AT状態)には、上述した何れかのチャンス役に当選すると、3択チャレンジ演出が実行される。
図29は、3択チャレンジで表示器8に表示される3択チャレンジ演出画面の一例を示している。
3択チャレンジ演出は、通常AT中にチャンス役の当選を契機に、遊技者に停止ボタン5の押し順(操作態様)を予想させ、正解の押し順で停止ボタン5を停止操作できれば、特典が付与される演出である。
つまり、遊技者は、スロットマシン1に設定されている設定値に対応したチャンス役ごとに予め決定された第1停止操作(左リール41a、中リール41b、右リール41cの3択の何れか)の押し順の偏りに合わせて、停止ボタン5を操作できれば、特典が付与される。
【0098】
通常AT中は、例えば、押し順ベル役が当選したことに基づいて、「中」→「左」→「右」の押し順での停止操作を促すナビ演出が表示される(図29(a))。
また、通常AT中は、チャンス役の当選を契機として、通常演出のゲーム開始時に、図29(b)に示すような演出画面(以下、「???」ナビという)が表示器8にカットイン表示される。
このため、主制御部10は、通常AT中、内部抽選処理により、チャンス役が当選した場合には、3択チャレンジ演出を表示器8に表示するように制御する。
【0099】
「???」ナビの表示後、遊技者が、当選したチャンス役に対応する第1停止操作の押し順通りに停止ボタン5を操作すると、青7等の対応する図柄の組み合わせが揃いやすいように制御される。
一方、当選したチャンス役に対応する第1停止操作の押し順通りに遊技者が停止ボタン5を操作しない場合には、青7等の対応する図柄の組み合わせが揃いにくいように制御される。
【0100】
そして、遊技者が青7等の対応する図柄組み合わせを有効ライン上に停止でき、第1停止操作の択当てに成功した場合には、択当てに成功したことを示す演出が行われる。(図29(c)参照)。
一方、遊技者が青7等の対応する図柄組み合わせを有効ライン上に停止できず、第1停止操作の択当てに失敗した場合には、択当てに失敗したことを示す演出が行われる(図29(d)参照)。
その後、3択チャレンジ演出は終了し、通常演出が継続される。
このように、3択チャレンジ演出は、1ゲーム内で完結するように行われる。
【0101】
3択チャレンジで上乗せされるゲーム数は、図30に示すように、何れのチャンス役においても、一律に決定されており、例えば、択当てに成功した場合には、「10G」が上乗せされ、択当てに失敗した場合には、上乗せされない。
このように、3択チャレンジで上乗せされるゲーム数は、表示器8に表示されるものの、何れのチャンス役も同一のゲーム数が上乗せされる構成になっている。
これは、何れのチャンス役も同一のゲーム数が上乗せされる構成にすることで、上乗せ数によって、スロットマシン1に設定されている設定値を認識させないためである。
【0102】
また、上乗せされるゲーム数は、加算されて、加算値が主制御部10のRAM等の記憶手段に設けられたカウンタによって記憶される。
従って、特化ゲーム数抽選で通常ATの最終ゲームまでに上乗せされたゲーム数に、3択チャレンジの成功によって通常ATの最終ゲームまでに上乗せされたゲーム数を加算したゲーム数が特化ゾーン中の特化ゲーム数になる。
つまり、遊技者は、第1停止操作の択当てを連続で成功させることで、多くのゲーム数(特化ゲーム数)の上乗せを期待できる。
そして、主制御部10は、特化ゾーン抽選で決定された通常ATゲーム数を消化した後、AT状態を通常ATから特化ゾーンに移行するように制御する(図8の矢印(e))。
なお、3択チャレンジにおける特典としてゲーム数が上乗せされる一例に説明したが、これ以外にもアイテム、ポイント等、他の特典でも良い。
【0103】
特化ゾーンは、通常ATから移行し、押し順ベル1~6役が当選したときに全ナビ演出が行われる。
このため、遊技者は、特化ゾーンに移行すれば、押し順に関する情報がより多く提供されるため、メダルを多く獲得できる期待感を持って遊技を行うことになる。
この特化ゾーンは、通常ATで決定された特化ゲーム数を消化するまで継続し、特化ゾーン終了時には、再び通常ATにおける通常ATゲーム数を決定する抽選処理が行われる。
【0104】
図31は、特化ゲーム数を消化した際に参照する通常AT抽選テーブル(以下、第3通常AT抽選テーブルという)を示す図である。
第3通常AT抽選テーブルは、再び特化ゾーンから移行する通常ATにおける通常ATゲーム数を決定するためのテーブルである。
第3通常AT抽選は、滞在するモードに基づいて、通常ATゲーム数の抽選用の乱数の判定により行われる。
第3通常AT抽選テーブルは、当たり値が、付与される通常ATゲーム数と、滞在するモードごとに対応付けて規定される。
従って、特化ゾーン終了後は、再び第3通常AT抽選で決定されたゲーム数に対応する通常ATに移行することになり(図8の矢印(f))、通常AT→特化ゾーン→通常AT・・・という流れで、有利区間の終了条件が成立するまでAT状態は継続する(図8の矢印(g))。
【0105】
以上のように、本実施形態における遊技機によれば、正解すると有利に働く押し順ベル役、又は目押し役の発生頻度を設定値ごとに異ならせるとともに、複数の設定示唆演出を行う。
これにより、遊技者の技量問わず、設定示唆演出の設定値ごとの差異を熟知していれば有利に遊技を進められ楽しむことができる。
このような構成により、遊技の多様性を高めるとともに、複数の設定示唆演出に注目させることができるため、遊技の興趣を向上できる。
【0106】
一方、従来の遊技機では、特許文献1に開示されているように、本発明のように設定判別によって遊技者が有利に遊技を進められる構成でないため、自らの技量に自信のない遊技者からは敬遠されることになり、遊技機の稼働が伸び悩むことがあった。
本発明の遊技機によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部を解決できる。
【0107】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明における遊技機は上述した実施形態にのみに限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。
(1)メダル等の現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてゲームを行う、所謂スマート遊技機(登録商標)にも適用できる。
(2)上述した各種抽選テーブルにおける当選値やその当選値の区分け等は、一例であり、他の当選値やその当選値の区分けを用いることもできる。
さらには、遊技機に設定される設定値ごとに各種抽選テーブルにおける当選値やその当選値の区分けを変更することもできる。
(3)モードの移行は、獲得した特典(例えば、ポイント)に基づいて、移行するモードを決定しても良く、例えば、獲得しているポイントが多い場合には、モードAに移行し易くし、獲得しているポイントが少ない場合には、モードCに移行し易くする等が一例として挙げられる。
(4)AT状態は、主制御部10にゲーム数によって管理される例について説明したが、これに限られず、小役の当選数(例えば、押し順ベルの当選数)、小役の入賞数(例えば、押し順ベルの入賞数)、遊技者が投入したメダルの投入枚数、遊技者に払い出されるメダルの払出枚数、投入枚数と払い出された払出枚数の差である差枚数等、その他の数値等に基づき、AT状態を管理するようにしても良い。
(5)スロットマシン1は、有利区間中に点灯する有利区間ランプ13を設けた例について説明したが、これに限られず、有利区間ランプ13を設けなくても良く、有利区間ランプ13を設けた場合は、有利区間ランプ13を点灯させなくても良い。
有利区間ランプ13を設けない場合は、遊技者がAT状態中であることを把握できるように、有利区間ランプ13に代えて、主制御部10で制御するATランプ等、別途設けることが好ましい。
(6)3択チャレンジ演出では、択当てに成功すれば、特化ゾーンにおける特化ゲーム数が上乗せ(例えば、10G)される例について説明したが、通常ATにおける通常ATゲーム数に上乗せされる構成としても良く、さらには、特化ゾーンにおける特化ゲーム数と通常ATにおける通常ATゲーム数の両方に上乗せされる構成としても良い。
(7)3択チャレンジ演出では、「成功」、又は「失敗」の何れの操作でも青7等の対応する図柄が揃いやすいように制御するとともに、上乗せの結果等も通常AT(AT状態)終了時等に纏めて報知することで、「???」ナビに「成功」したか否かによって設定判別をできない構成としても良い。
これにより「???」ナビのときに「成功」したか分かりにくくなり、また、レア役による後乗せ等と区別がつかないようにできる。
ただし、複数回の「???」ナビで同じ操作態様が選択され、かつ、その通常ATでレア役に入賞できない場合には、設定値の推測が比較的容易になってしまうが、通常のベル役やリプレイ役でも低い確率で上乗せが後乗せされる構成にすれば、これを防止できる。
(8)遊技機は、BB、RB等のボーナスの入賞によってメダルを獲得するAタイプ等でも良い。
(9)遊技機は、遊技者にとっての有利度を低い方から設定1、設定2、設定3、設定6の4段階に設定変更可能な確率設定装置を備える構成について説明したが、設定値は、設定6を設けず3段階でも良く、さらに他の設定値を加え5段階以上としても良い。
(10)遊技者による操作に伴いスピーカ9から出力される音情報として、メダル投入時に出力するメダル投入音、スタートレバー3の操作時に出力するリール41の始動音等を一例として説明したが、この他にもメダル払出時に出力するメダル払出音、停止ボタン5の操作時に出力するリール41の停止音等でも設定示唆演出を行っても良い。
【符号の説明】
【0108】
1 スロットマシン(遊技機)
5 停止ボタン(停止操作手段)
8 表示器(報知手段)
9 スピーカ(報知手段)
10 主制御部(遊技状態制御手段、有利度合い制御手段、設定値記憶手段、抽選手段)
12 ナビランプ(報知手段)
20 副制御部
41 リール(変動表示手段)
図1
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