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特開2024-156509販売データ処理装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156509
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】販売データ処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/06 20060101AFI20241029BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G07G1/06 B
G07G1/12 361E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071031
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅志
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142AA03
3E142CA06
3E142DA01
3E142FA31
3E142JA01
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、値引きによる販促効果を高めることが可能な販売データ処理装置およびプログラムを提供することである。
【解決手段】実施形態の販売データ処理装置は、商品を特定する商品特定情報を取得する取得手段と、取得した商品特定情報に基づいて、値引対象商品の値引額を合計する合計手段と、合計した合計値引額を強調した、前記商品の販売に係る視覚的な取引情報を生成する生成手段と、生成した取引情報を出力する出力手段と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を特定する商品特定情報を取得する取得手段と、
取得した商品特定情報に基づいて、値引対象商品の値引額を合計する合計手段と、
合計した合計値引額を強調した、前記商品の販売に係る視覚的な取引情報を生成する生成手段と、
生成した取引情報を出力する出力手段と、
を有する販売データ処理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記取引情報として、前記合計値引額を含む印字情報を生成し、
前記出力手段は、前記印字情報を印字部に出力する、
請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項3】
前記取引情報は、前記印字情報に係るヘッダ情報を含み、
前記生成手段は、前記合計値引額を前記ヘッダ情報に近接させて印字することで強調する、
請求項2に記載の販売データ処理装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記合計値引額を強調文字で印字することで強調する、
請求項2または3に記載の販売データ処理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記取引情報として、前記合計値引額を含む電子レシート情報を生成し、
前記出力手段は、前記電子レシート情報を外部機器に出力する、
請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項6】
販売データ処理装置としてのコンピュータを、
商品を特定する商品特定情報を取得する取得手段と、
取得した商品特定情報に基づいて、値引対象商品の値引額を合計する合計手段と、
合計した合計値引額を強調した、前記商品の販売に係る視覚的な取引情報を生成する生成手段と、
生成した取引情報を出力する出力手段と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、販売データ処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗において、種々の販売促進(以降「販促」という)に係るプロモーションが実施されている。販促プロモーションは、商品の販売、再来店等の促進を主な目的として実施される。
【0003】
代表的な販促プロモーションとして、商品の値引きや割引き(以降代表して「値引き」という)があり、チラシ、POP等で値引きする商品を紹介するとともに、商品登録時の表示、レシート印字等で、値引きした商品の値引額を表示や印字している。また、プロモーション以外でも、例えば見切り商品の価格を値引くことがある。
【0004】
しかしながら、従来の値引きは商品単位での表示や表記であるとともに、各社が同様の値引きを行っているため、商品の値引きによる販促効果が低い場合がある。そのため、値引きをしたことで顧客に対して、来店意欲に繋げる等の販促効果を高めることが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、値引きによる販促効果を高めることが可能な販売データ処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の販売データ処理装置は、商品を特定する商品特定情報を取得する取得手段と、取得した商品特定情報に基づいて、値引対象商品の値引額を合計する合計手段と、合計した合計値引額を強調した、前記商品の販売に係る視覚的な取引情報を生成する生成手段と、生成した取引情報を出力する出力手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るPOSシステムを示す概略図である。
図2図2は、POS端末の外観をオペレータ側から見た斜視図である。
図3図3は、POS端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図4は、商品マスタの構成を示すメモリマップである。
図5図5は、会員値引部の構成を示すメモリマップである。
図6図6は、POS端末の機能構成を示す機能ブロック図である。
図7図7は、POS端末の制御処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、印字部が発行したレシートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。実施形態では、POS端末を販売データ処理装置の一例として説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、実施形態に係るPOS(Point of Sales)システムを示す概略図である。POSシステムは、店舗で販売する商品の販売処理および売上管理等を行うシステムであり、主に店舗内に設置される。POSシステムは、店舗内に設置された1台または複数台のPOS端末1と、店舗のバックヤードに設置された上位サーバであるサーバ2(外部機器)とを備える。POS端末1とサーバ2とは、LAN(Local Area Network)等の通信回線Lによって電気的に接続されている。そのため、POS端末1とサーバ2とは通信が可能であり、相互に情報を送受信することができる。
【0010】
POS端末1は、顧客との取引において、顧客が購入する商品の商品登録処理(商品販売に係る処理)および決済処理を実行する。POS端末1は、取引において販売される商品に付されたバーコード等のシンボルの画像を撮像して対応する商品を特定する商品コードを取得する。商品登録処理とは、POS端末1が、取得した商品コードに基づいて読み出した、当該商品の商品情報(商品名、価格等)に基づいて、当該商品の商品名や価格を表示するとともに、当該商品情報を商品情報部131(図3を参照)に記憶する処理をいう。なお、POS端末1は、商品に付されたシンボルの画像を光学的に読み取って、対応する商品コードを取得するようにしてもよい。
【0011】
POS端末1は、商品登録処理をする際に、当該商品に対して値引きや割引き(以降代表して「値引き」という)を行う場合、商品情報部131に記憶する当該商品に係る商品情報に値引額を含む。またPOS端末1は、値引きした値引額を値引合計部133に加算的に記憶する。
【0012】
ここで、POS端末1が実行する値引きについて説明する。値引きには、商品の価格を個別に値引く商品値引と合計金額に対する合計値引とがある。商品値引は、例えば、顧客に対して特売商品の価格を値引く特売値引、特定の時間帯において特定商品の価格を値引く時間帯値引、会員に対して商品の価格を値引く会員値引、メーカーが指定した商品の価格を値引くメーカー値引、クーポンを使用して特定の商品の価格を値引くクーポン値引、見切り品の価格を値引く見切値引、値引シールが貼付された商品の価格を値引くシール値引、等がある。また合計値引は、特定の商品の組み合わせが成立した場合や指定された個数商品を購入した場合に合計金額から値引くセット値引、合計金額が所定金額以上である場合に合計金額から値引く所定金額値引、会員に対して(あるいは会員のランクに応じて)合計金額から値引く会員合計値引、クーポンを使用して合計価格を値引くクーポン合計値引等があり、店舗の商品戦略に応じて店舗毎に適切な値引きが適用される。なお、上述の各値引きは一例であり、商品の価格を値引くその他の値引きは商品値引に含まれ、合計金額から値引くその他の値引きは合計値引に含まれる。
【0013】
また、決済処理とは、商品登録処理によって商品情報部131に記憶された商品情報に基づいて、当該取引に係る合計金額の表示、顧客から預かった預り金に基づいて釣銭を計算して表示する処理、釣銭の発行を釣銭機に指示する処理をいう。また、決済処理は、商品登録処理した商品情報や決済情報(合計金額、預り金額、釣銭額等)を印字したレシートを発行する処理を含む。商品情報には、商品値引に係る値引情報が含まれる。決済情報には、合計値引に係る値引情報が含まれる。なお、レシートに印字される情報を取引情報といい、商品情報および決済情報の他に、少なくともレシートヘッダの情報(ヘッダ情報)と合計値引額情報を含む。合計値引額は、一取引において値引処理(商品値引と合計値引)を行ったすべての値引額を合計した金額(合計値引額)である。ここで、ヘッダ情報は、例えばレシートであることを示す表記(例えば「御計算書」「レシート」「領収書」等の文字)、レシートを発行した店舗を特定するロゴ等、のいずれかまたは複数を含む表記であればよい。
【0014】
実施形態のPOS端末1は、合計値引額を強調してレシートに印字する。このように合計値引額情報を強調して印字することで、会員を含む顧客は、一取引において合計でいくら値引きされたかを容易に確認することができる。レシートには値引処理した対象(商品および合計金額)に対する値引額がそれぞれの対象に関連付けて印字されるが、加えて合計値引額を強調して印字することで、一取引に係る値引額が容易に分かるため、顧客に対して値引きによるお得感を与えることができ、店舗への再来店の動機付けとなることが期待でき、販促に寄与する。
【0015】
合計値引額のレシートへの強調印字とは、例えば店舗のレシートヘッダに近接させて合計値引額を印字する、例えば特殊記号(例えば「*」記号)で合計値引額を囲んで印字する、例えば合計値引額を強調文字(拡大文字や太文字)で印字する、等がある。カラーでレシート印字が可能な場合、合計値引額を他の印字と異なる目立つ色で強調印字してもよい。また、これらの強調印字を組み合わせることで更なる強調印字とすることができる。例えば、合計値引額を特殊記号で囲んでレシートヘッダ付近に印字させることで、合計値引額をより強調して印字することが可能となる。なお、合計値引額のレシートへの強調印字は、図8で後述する合計値引情報Rbを強調印字することでも達成される。
【0016】
合計値引額をどのようなスタイルで強調させるかは、予めプログラムしておくか、選択して設定するようにしてもよい。
【0017】
POS端末1は、決済処理した商品の商品情報や決済情報を、通信回線Lを介してサーバ2に送信する。なおPOS端末1は、合計値引額または取引情報をサーバ2に送信するようにしてもよい。
【0018】
サーバ2は、各POS端末1から受信した商品情報、決済情報等を、集中的に管理する。すなわち、サーバ2は、一店舗での売上管理等を行う。また、サーバ2は、最新の商品マスタ142(図3を参照)に係る情報を各POS端末1に送信する。
【0019】
図2は、実施形態にかかるPOS端末1を、オペレータ側から見た斜視図である。
【0020】
POS端末1は、本体4と金銭収納箱5とを有する。金銭収納箱5は、硬貨や紙幣の金銭を収納するドロワを有し、顧客から預かった金銭や商品券等の有価証券類、および顧客に手渡す釣銭等を収納している。
【0021】
本体4は、操作部21、オペレータ用表示部22、客用表示部23、印字部24、カード読取部25、コードリーダ27等を備えている。操作部21は数字を入力する置数キー等のキーを備えたキーボードである。オペレータ用表示部22は、液晶表示器等で構成され、POS端末1を操作するオペレータに商品情報、決済情報等を表示する。客用表示部23は、液晶表示器等で構成され、顧客に商品情報、決済情報等を表示する。
【0022】
印字部24は、本体4内に収納されたロール状のレシート用紙を引き出して、例えば熱転写型の印字ヘッドを備えたサーマルプリンタ等で商品情報、決済情報、レシートヘッダ情報、合計値引額情報等を印字し、レシートとして発行する。なお、レシートヘッダ情報は、POS端末1に予め記憶されている。カード読取部25は、顧客が提示したクレジットカード、ポイントカード等のカード(媒体)からカードを特定するカードIDを読み取る。コードリーダ27は、例えばハンディタイプの装置である。コードリーダ27は、例えば可視光線を使用して商品に付されたシンボルを撮像して読み取る。なお、コードリーダ27は、光学スキャナを用いてシンボルを読み取るようにしてもよい。またコードリーダ27は、会員カードに表記された、会員を特定する会員コードが含まれたシンボルを読み取る。
【0023】
ここからは、POS端末1のハードウェア構成について説明する。なお、以降の説明では、商品毎に値引額を設定し、商品の価格を値引く商品値引と、会員に対して合計額から値引く合計値引を、POS端末1が実行する値引きの一例として説明する。
【0024】
図3は、POS端末1のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、POS端末1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、メモリ部14等を備えている。CPU11はプロセッサの一例であり、制御主体となる。ROM12は各種プログラムを記憶する。RAM13はプログラムや各種データを展開する。メモリ部14は各種プログラムを記憶する。CPU11、ROM12、RAM13、メモリ部14は、互いにバス15を介して接続されている。CPU11とROM12とRAM13が、制御部100を構成する。すなわち、制御部100は、CPU11がROM12やメモリ部14に記憶されRAM13に展開された制御プログラムに従って動作することによって、後述するPOS端末1に係る制御処理を実行する。
【0025】
RAM13は、商品情報部131、会員情報部132、値引合計部133を備える。商品情報部131は、コードリーダ27で読み取ったシンボルから取得した商品コード(商品特定情報)に基づいて商品登録処理された商品の商品情報(商品名、商品の価格、商品値引きがある場合は値引きされた値引金額、等)を記憶する。
【0026】
会員情報部132は、コードリーダ27で読み取ったシンボルから取得した会員コード(会員を特定する会員特定情報)を記憶する。値引合計部133は、一取引において値引処理された値引額を加算した合計値引額情報を記憶する。すなわち値引合計部133は、一取引において商品値引された値引額の合計額と合計値引された値引額の合計額である合計値引額を記憶する。なお、一取引において商品値引は処理されたが合計値引がない場合(例えば顧客が会員でない場合)、商品値引の合計額が合計値引額である。
【0027】
メモリ部14は、電源を切っても記憶情報が保持されるHDD(Hard Disc Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成される。メモリ部14は、制御プログラム部141、商品マスタ142、会員値引部143を備える。制御プログラム部141は、POS端末1を制御するための制御プログラムを記憶する。商品マスタ142は、商品毎に当該商品に係る商品情報(商品名、単価、等)を記憶する。商品マスタ142については図4で後述する。会員値引部143は、会員のランクに応じて合計額から割引く割引率を会員ランク別に記憶する。会員値引部143については図5で後述する。
【0028】
また、制御部100は、バス15およびコントローラ16を介して、操作部21、オペレータ用表示部22、客用表示部23、印字部24、カード読取部25、コードリーダ27と接続している。コントローラ16は、制御部100からの指示を受けて、操作部21、オペレータ用表示部22、客用表示部23、印字部24、カード読取部25、コードリーダ27を制御する。以下では、説明の都合上、コントローラ16が行う制御を制御部100が行うとして説明する。
【0029】
操作部21はキーボードである。なお、キーボードは、オペレータ用表示部22、客用表示部23上に設けられたタッチキーであってもよい。操作部21は決済キー211を備える。決済キー211は、商品登録処理が終了して決済処理に移行する際に操作する。
【0030】
また、制御部100は、バス15を介して、通信部26と接続している。通信部26は、通信回線Lを介して、店内に設置された他のPOS端末1やサーバ2と電気的に接続している。
【0031】
続いて商品マスタ142について説明する。図4は、商品マスタ142の構成の一部を示すメモリマップである。商品マスタ142は、商品を特定する商品コード(商品特定情報)に対応付けて、当該商品の諸情報を記憶する。
【0032】
図4に示すように、商品マスタ142は、商品コード部1421、商品名部1422、価格部1423、値引額部1424を有する。商品コード部1421は、商品を特定する商品コードを商品別に記憶する。商品名部1422は、商品コード部1421に記憶された商品コードで特定される商品の商品名の情報を、当該商品コードに対応付けて記憶する。価格部1423は、商品コード部1421に記憶された商品コードで特定される商品の価格の情報を、当該商品コードに対応付けて記憶する。ここで、商品の価格は、店舗で当該商品を販売する場合の通常(値引きしない状態)の価格である。
【0033】
値引額部1424は、商品コード部1421に記憶された商品コードで特定される商品の値引額の情報を、当該商品コードに対応付けて記憶する。図4の例の場合、商品コード「000001」の商品(商品A)については値引額部1424に値引額の情報が記憶されていない。この場合、制御部100は、商品Aは値引きしない商品である(値引対象商品ではない)と判断する。また、商品コード「000002」の商品(商品B)、商品コード「000003」の商品(商品C)、商品コード「000004」の商品(商品D)については、値引額部1424に値引額の情報が記憶されている。この場合、制御部100は、商品B、商品C、商品Dは値引きを行う値引対象商品であると判断する。
【0034】
なお、実施形態では、値引額部1424に値引きする値引額を記憶しているが、商品毎に割引率を値引額部1424に記憶するようにしてもよい。この場合、制御部100は、価格部1423に記憶された商品の価格と値引額部1424に記憶された割引率とに基づいて、当該商品の値引額を算出する。
【0035】
次に、会員値引部143に基づいて会員向けの値引きについて説明する。会員は、会員登録した顧客を、所定期間(例えば1年間)における購入金額に応じてランク分けをする場合がある。ランクが高い会員(例えば購入金額が所定金額より多い会員)は店舗からより多くの特典を受けことがある。実施形態では、会員のランク別に合計金額から割引く割引率を設定している。図5は、会員のランク別に合計金額から割引く割引率を設定した会員値引部143の構成を示すメモリマップである。
【0036】
図5に示すように、会員値引部143は、ランク部1431と割引部1432を有する。ランク部1431は、会員のランクを記憶する。割引部1432は、会員のランク別の割引率を、ランクに対応付けて記憶する。図5の例の場合、会員ランク1(ランクが通常の会員)の会員は合計額から0.5%割り引く。また。会員ランク2(ランクが通常より高い会員)の会員は合計額から1%割り引く。制御部100は、会員が購入した合計額と当該会員のランクと割引部1432に記憶されている割引率と、に基づいて当該会員に対する値引額を算出する。なお、割引部1432は、会員のランク別に設定した値引額を記憶するようにしてもよい。
【0037】
ここからは、POS端末1の機能構成について説明する。図6は、POS端末1の機能構成を示す機能ブロック図である。制御部100は、ROM12やメモリ部14の制御プログラム部141に記憶された制御プログラムに従うことで、取得手段101、商品登録手段102、合計手段103、値引判断手段104、生成手段105、出力手段106として機能する。
【0038】
取得手段101は、商品を特定する商品コード(商品特定情報)を取得する。具体的には、取得手段101は、コードリーダ27が読み取った商品に付されたシンボルに基づいて商品コードを取得する。
【0039】
商品登録手段102は、取得手段101が取得した商品コードに基づいて、当該商品の商品登録処理を実行する。
【0040】
合計手段103は、取得手段101が取得した商品コードに基づいて、値引対象商品の値引額を合計する。具体的には、合計手段103は、は、取得手段101が取得した商品コードに基づいて商品マスタ142を検索し、当該商品コードに対応付けて値引額部1424に記憶されている値引額を、値引合計部133に加算する。なお、実施形態の場合、合計金額に対して図5に示す会員値引部143に基づいて会員向けの値引きが行われた場合、合計手段103は、この値引額を値引合計部133に加算する。
【0041】
値引判断手段104は、一取引において値引処理が行われたかを判断する。具体的には、値引判断手段104は、値引合計部133に合計値引額が記憶されているかに基づいて、一取引において値引処理が行われたかを判断する。値引合計部133に合計値引額が記憶されている場合、値引判断手段104は、一取引において値引処理が行われたと判断する。値引合計部133に合計値引額が記憶されていない場合、値引判断手段104は、一取引において値引処理が行われていないと判断する。
【0042】
生成手段105は、合計した合計値引額を強調した、前記商品の販売に係る視覚的な取引情報を生成する。具体的には、生成手段105は、合計した合計値引額を強調した、前記商品の販売に係る視覚的な取引情報である印字情報を生成する。なお、実施形態における生成手段105は、合計値引額を含んだ合計値引情報Rb(図8を参照)を強調印字することで、合計値引額を強調する。
【0043】
出力手段106は、生成した取引情報を出力する。具体的には、出力手段106は、生成した印字情報を印字部24に出力する。
【0044】
ここからは、POS端末1の制御について説明する。図7は、POS端末1の制御処理の流れを示すフローチャートである。図7に示すように、POS端末1の制御部100は、コードリーダ27が会員カードに印刷されたシンボルを読み取ったかを判断する(S11)。シンボルを読み取ったと判断した場合には(S11のYes)、制御部100は、読み取ったシンボルに含まれる会員コード(会員特定情報)に基づいて会員情報を取得して、当該会員情報を会員情報部132に記憶する。会員情報には当該会員のランクを示すランク情報が含まれている。制御部100は、取得した会員コードに基づいて例えば会員情報をサーバ2に問い合わせる。そして制御部100は、サーバ2から受信した会員情報を会員情報部132に記憶する。そして制御部100は、S11に戻る。
【0045】
また、会員カードに印刷されたシンボルの読み取りではないと判断した場合には(S11のNo)、制御部100は、コードリーダ27が商品に付されたシンボルを読み取ったかを判断する(S21)。シンボルを読み取ったと判断した場合には(S21のYes)、取得手段101は、読み取ったシンボルを解析して、当該商品を特定する商品コードを取得する(S22)。次に制御部100は、取得した商品コードに基づいて商品マスタ142を検索し、当該商品の商品情報(商品名、価格、値引額部1424に値引額が記憶されている場合は当該値引額、等)を取得する。そして商品登録手段102は、取得した商品情報に基づいて当該商品の商品登録処理を実行する(S23)。商品登録手段102は、値引額を取得した場合には、S23の商品登録処理において、当該商品の価格と値引額を関連付けて商品情報部131に記憶する。
【0046】
次に制御部100は、S22で商品コードを取得した商品が値引対象商品であるかを判断する(S24)。S23の処理において値引額部1424に値引額が記憶されていると判断した場合、制御部100は、S24において当該商品は値引対象商品であると判断する。S23の処理において値引額部1424に値引額が記憶されていないと判断した場合、制御部100は、S24において当該商品は値引対象商品ではないと判断する。商品コードを取得した商品が値引対象商品であると判断した場合には(S24のYes)、合計手段103は、取得した値引額を値引合計部133に加算する(S25)。そして制御部100は、S11に戻る。また商品コードを取得した商品が値引対象商品ではないと判断した場合には(S24のNo)、制御部100は、S11に戻る。
【0047】
また、コードリーダ27による商品に付されたシンボルの読み取りではないと判断した場合には(S21のNo)、制御部100は、決済キー211が操作されたかを判断する(S31)。決済キー211が操作されたと判断した場合には(S31のYes)、制御部100は、合計金額に対する会員の値引きがあるかを判断する(S32)。具体的には、制御部100は、会員情報部132に会員情報が記憶されているか否かに基づいて、合計金額に対する会員の合計値引きがあるかを判断する(S32)。会員情報部132に会員情報が記憶されている場合、制御部100は、合計金額に対する会員の合計値引きがあると判断する。会員情報部132に会員情報が記憶されていない場合、制御部100は、合計金額に対する会員の合計値引きはないと判断する。
【0048】
会員に対する合計値引があると判断した場合には(S32のYes)、合計手段103は、当該会員のランクに応じて当該会員に対する合計値引の値引額を算出して、値引合計部133に加算する(S33)。会員に対する合計値引はないと判断した場合には(S32のNo)、S33の処理は実行しない。
【0049】
次に値引判断手段104は、当該取引に係る値引処理の有無を判断する(S34)。値引処理が行われたと判断した場合には(S34のYes)、生成手段105は、当該取引に係る決済処理を実行し、商品情報部131に記憶されている商品情報値と、値引合計部133に記憶されている合計値引額に基づいて、少なくとも合計値引額を強調した取引情報(印字情報)を生成する(S35)。実施形態では、生成手段105は合計値引額を含む合計値引情報Rbを強調した印字情報を生成する(S35)。そして出力手段106は、生成した印字情報を印字部24に出力する(S37)。印字部24は出力された印字情報をレシート用紙に印字し、レシートを発行する。
【0050】
図8は、S37で出力した印字情報に基づいて印字部24が印字して発行したレシートの一例を示す図である。図8に示すように、レシートRには、レシートであることを示すレシートヘッダRa、合計値引額を含む合計値引情報Rb、商品情報Rc、決済情報Rdが印字される。
【0051】
レシートヘッダRaは、レシートRの最上部に印字される。レシートヘッダRaは、レシートであることを示す例えば「御計算書」の文字を含む情報であるため、大きな文字等の目立つ状態で印字される。レシートヘッダRaの直下には、レシートRを発行した日付Re、レシートを印字して発行したPOS端末1を示すレジ番号Rfが印字される。
【0052】
そして、日付Reとレジ番号Rfの直下には、値引合計部133に記憶されている合計値引額Rbaを含む合計値引情報Rbが印字される。実施形態では、「お買い上げ金額より¥396値引しました」等の、値引きしたことを示すメッセージと当該取引で値引きした合計値引額Rbaである「¥396」を含む計値引情報Rbが印字されている。
【0053】
ここで、合計値引額Rbaを含む合計値引情報Rbは、レシートヘッダRaに近接させて印字される。レシートヘッダRaは目立つ状態で印字されるため、レシートヘッダRaに近接して印字される合計値引額Rbaおよび合計値引情報Rbも目立つことから、合計値引額Rbaおよび合計値引情報Rbは強調されている。また、図8の例では、合計値引額Rbaおよび合計値引情報Rbを目立つ記号「*」で四角状に囲んで印字していることから、合計値引額Rbaおよび合計値引情報Rbは強調されている。さらに図8の例では、合計値引額Rbaおよび合計値引情報Rbが太文字で印字されることから、合計値引額Rbaおよび合計値引情報Rbは強調されている。
【0054】
また、合計値引額Rbaおよび合計値引情報Rbの直下には、当該取引で顧客(会員)が購入した商品の商品情報Rcが印字される。具体的には、購入した商品の商品コードと商品名と商品の価格が印字され、商品値引された商品の直下には当該商品の値引額が印字される。
【0055】
図8の例では、商品Aに対する商品コードと商品の価格(以降、これらを総称して「商品情報」という)Rcaが印字されている。商品Aについては商品値引がされていないため、値引額は印字されない。また、商品Bに対する商品情報Rcbが印字されている。商品Bは30円の値引きがされているため、商品情報の直下に当該商品の値引額Rccが印字されている。また、商品Cに対する商品情報Rcdが印字されている。商品Cは249円の値引きがされているため、商品情報の直下に当該商品の値引額Rceが印字されている。また、商品Dに対する商品情報Rcfが印字されている。商品Dは36円の値引きがされているため、商品情報の直下に当該商品の値引額Rcgが印字されている。このように、レシートRには、商品情報Rcとして、商品の商品情報と、値引きされた商品の値引額が関連付けて(対応付けて)印字される。
【0056】
また、レシートRには、決済情報Rdとして、購入した商品の価格の合計から個々の商品の値引額を減額した合計額Rda、当該顧客が会員であることによる合計値引の値引額Rdb、合計額Rdaから合計値引の値引額Rdbを減額した、当該会員が支払う支払額Rdcが印字される。
【0057】
図7の説明に戻る。次に制御部100は、商品登録処理した商品の商品情報と決済処理した決済情報を含む取引情報を、サーバ2に送信する(S38)。そして制御部100は、処理を終了する。
【0058】
なお、S34の処理で値引きはないと判断した場合には(S34のNo)、制御部100は、当該取引に係る決済処理を実行するとともに、商品情報部131に記憶されている商品情報に基づいて印字情報を生成する(S36)。S36の処理において、値引合計部133に合計値引額は記憶されていないため、合計値引額および合計値引情報は印字されない。
【0059】
このような実施形態のPOS端末1は、商品を特定する商品特定情報を取得する取得手段101と、取得した商品特定情報に基づいて、値引対象商品の値引額を合計する合計手段103と、合計した合計値引額を強調した、商品の販売に係る視覚的な取引情報印字情報を生成する生成手段105と、生成した取引情報を印字部24に出力する出力手段106と、を有する。このような構成を有する実施形態のPOS端末1は、顧客に対して合計値引額を強調して表示したレシートRを発行できるため、値引きによる販促効果を高めることが可能となる。
【0060】
以上、本発明の実施形態やその変形例を説明したが、この実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態やその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0061】
例えば、実施形態では、生成手段105は、取引情報として印字情報を生成するようにした。しかしながらこれに限らず、例えば生成手段105は、取引情報として、合計値引額を強調した電子レシート情報を生成するようにしてもよい。この場合、出力手段106は、生成した取引情報を、サーバ2または他の上位装置(外部機器)に出力する。また、この場合、生成手段105は、合計値引額を含む合計値引情報を強調した電子レシート情報を生成するようにしてもよい。
【0062】
また、実施形態では、会員に対して値引く合計値引を行い、合計値引の値引額を合計値引額に加算するようにした。しかしながらこれに限らず、合計値引を行うことは必須の要件ではない。また、合計値引を行う場合であっても、合計値引の値引額を合計値引額に加算することは必須の要件ではない。
【0063】
また、実施形態では、各商品における商品値引の値引額と、合計値引額の両方をレシートに印字するようにした。しかしながらこれに限らず、各商品における商品値引の値引額の印字は必須の要件ではない。
【0064】
また、実施形態では、生成手段105は合計値引額を含む合計値引情報Rbを強調した印字情報を生成した。しかしながらこれに限らず、生成手段105は、少なくとも合計値引額を強調した印字情報を生成すればよい。
【0065】
また、実施形態では、POS端末1を販売データ処理装置の一例として説明したが、販売データ処理装置は、POS端末1以外の装置(例えばECR)であってもよい。
【0066】
なお、実施形態のPOS端末1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0067】
また、実施形態のPOS端末1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、実施形態のPOS端末1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0068】
また、実施形態のPOS端末1で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 POS端末
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 メモリ部
21 操作部
22 オペレータ用表示部
23 客用表示部
24 印字部
100 制御部
101 取得手段
102 商品登録手段
103 合計手段
104 値引判断手段
105 生成手段
106 出力手段
131 商品情報部
132 会員情報部
133 値引合計部
142 商品マスタ
143 会員値引部
1421 商品コード部
1422 商品名部
1423 価格部
1424 値引額部
1431 ランク部
1432 割引部
R レシート
Ra レシートヘッダ
Rb 合計値引情報
Rba 合計値引額
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開平4-160597号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8