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特開2024-156517多軸ヒンジ装置、並びにこの多軸ヒンジ装置を用いた電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156517
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】多軸ヒンジ装置、並びにこの多軸ヒンジ装置を用いた電子機器
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/04 20060101AFI20241029BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20241029BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
F16C11/04 F
G06F1/16 312F
H05K5/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071047
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】森田 竜介
【テーマコード(参考)】
3J105
4E360
【Fターム(参考)】
3J105AA05
3J105AB02
3J105AB16
3J105AB17
3J105AB24
3J105AC07
3J105AC10
3J105BB03
3J105DA06
3J105DA15
3J105DA41
4E360AA02
4E360GA60
4E360GB43
4E360GC20
(57)【要約】
【課題】 電子機器の携帯性を高める為に、フレキシブルディスプレイシートの屈曲部における曲げ部分の曲率半径を小さくすると、内折り状態及び外折り状態の確実な保持が難しくなる。
【解決手段】 一対の筐体の両表面に跨ってフレキシブルディスプレイシートを取り付けてなる電子機器に用いられ、前記一対の筐体を開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置であって、前記一対の筐体の間に挟まれ、前記一対の筐体を各々揺動可能に支持するベースフレームと、前記一対の筐体の少なくともいずれか一方と前記ベースフレームとを複数の関節部を介して接続するロック機構で構成され、前記複数の関節部の少なくともひとつに動作負荷を発生させる事で前記一対の筐体の開成状態および閉成状態を保持する。
【選択図】 図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の筐体の両表面に跨ってフレキシブルディスプレイシートを取り付けてなる電子機器に用いられ、前記一対の筐体を開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置であって、前記一対の筐体の間に挟まれ、前記一対の筐体を各々揺動可能に支持するベースフレームと、前記一対の筐体の少なくともいずれか一方と前記ベースフレームとを複数の関節部と摺動部を介して接続するロック機構で構成され、前記複数の関節部の少なくともひとつに動作負荷を発生させる事で、前記一対の筐体の開成状態および閉成状態を保持する事を特徴とする多軸ヒンジ装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記ベースフレームに設けられた保持部と、前記保持部に対して第1関節回りに揺動可能に支持されたロックアームと、前記ロックアームに対して第2関節回りに揺動可能に支持されたロックジョイントと、前記ロックジョイントに対して摺動可能に支持されたロックブラケットと、前記第1関節回りに第1の動作負荷を発生させる第1負荷発生部と、前記第2関節回りに第2の動作負荷を発生させる第2負荷発生部で構成され、前記ロックブラケットは前記一対の筐体の各々と接続される一対の取付プレートの少なくともいずれか一方に取りつけられる事を特徴とする請求項1記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記第1関節の揺動範囲よりも前記第2関節の揺動範囲を小さくする揺動規制部を有する事を特徴とする請求項2記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記一対の筐体が、前記フレキシブルディスプレイシートを展開状態から外折り状態に移行する範囲では前記第2関節は前記揺動規制部により揺動規制する事を特徴とする請求項3記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項5】
前記第2の動作負荷は、前記第1の動作負荷よりも大きく設定される事を特徴とする請求項2記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項6】
前記第2の動作負荷は、前記一対の筐体が、前記フレキシブルディスプレイシートを展開状態から内折り状態に移行する範囲では前記第1の動作負荷よりも大きく設定される事を特徴とする請求項5記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項7】
前記ロック機構は、前記保持部に対して異なる方向に延びる一対の前記ロックアームと、一対の前記ロックアームのそれぞれに設けられた一対の前記ロックジョイントおよび一対の前記ロックブラケットと、一対の前記ロックアームの互いの揺動を同期させるロック同期部で構成され、一対の前記ロックブラケットのそれぞれが前記一対の取付プレートに接続される事を特徴とする請求項2記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項8】
前記第1負荷発生部は、前記第1関節に同軸に設けられ、前記ロックアームに対して揺動規制された第1カムと、前記第1カムと対向し、前記保持部に対して揺動規制された固定カムと、前記第1カムと前記固定カムを付勢する第1弾性部材で構成される事を特徴とする請求項2記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項9】
前記第1カムと前記固定カムは、前記第1弾性部材の付勢力により互いのカム斜面にて当接し、互いのカム山と谷では当接していない事を特徴とする請求項8記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項10】
前記第2負荷発生部は、前記第2関節に同軸に設けられ、前記ロックアームに対して揺動規制された第2カムと、前記第2カムと対向し、前記ロックジョイントに対して揺動規制された第3カムと、前記第2カムと前記第3カムを付勢する第2弾性部材で構成される事を特徴とする請求項2記載の多軸ヒンジ装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に各記載の多軸ヒンジ装置を用いた事を特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の筐体の両表面に跨って、例えば有機EL製のフレキシブルディスプレイシートを取り付けて成る、携帯電話機、電子手帳、PDA、ネットブック、さらにはノートパソコンなどの各種の電子機器に用いて好適な多軸ヒンジ装置、並びにこの多軸ヒンジ装置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一対の筐体の両表面に跨って1枚の有機EL製のフレキシブルディスプレイシートを取り付けて成る携帯電話機等の電子機器が開発され、世の中に出回りつつある。このような電子機器のフレキシブルディスプレイシートを内折り状態、展開状態、外折り状態の3状態に屈曲させる電子機器が下記特許文献1において知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-161009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術文献に記載される電子機器の携帯性を高める為に、フレキシブルディスプレイシートの屈曲部における曲率半径を小さくすると、内折り状態及び外折り状態の確実な保持が難しくなる。
そこで本発明では、フレキシブルディスプレイシートの屈曲部における曲率半径を小さくすると共に、内折り状態、外折り状態の確実な保持を行う構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為に、請求項1に記載の発明は、一対の筐体の両表面に跨ってフレキシブルディスプレイシートを取り付けてなる電子機器に用いられ、前記一対の筐体を開閉可能に連結する多軸ヒンジ装置であって、前記一対の筐体の間に挟まれ、前記一対の筐体を各々揺動可能に支持するベースフレームと、前記一対の筐体の少なくともいずれか一方と前記ベースフレームとを複数の関節部と摺動部を介して接続するロック機構で構成され、前記複数の関節部の少なくともひとつに動作負荷を発生させる事で、前記一対の筐体の開成状態および閉成状態を保持する事を特徴とする。
【0006】
次に請求項2記載の発明は、前記ロック機構は、前記ベースフレームに設けられた保持部と、前記保持部に対して第1関節回りに揺動可能に支持されたロックアームと、前記ロックアームに対して第2関節回りに揺動可能に支持されたロックジョイントと、前記ロックジョイントに対して摺動可能に支持されたロックブラケットと、前記第1関節回りに第1の動作負荷を発生させる第1負荷発生部と、前記第2関節回りに第2の動作負荷を発生させる第2負荷発生部で構成され、前記ロックブラケットは前記一対の筐体の各々と接続される一対の取付プレートの少なくともいずれか一方に取りつけられる事を特徴とする。
【0007】
次に請求項3記載の発明は、前記ロック機構は、前記第1関節の揺動範囲よりも前記第2関節の揺動範囲を小さくする揺動規制部を有する事を特徴とする。
【0008】
次に請求項4記載の発明は、前記ロック機構は、前記一対の筐体が、前記フレキシブルディスプレイシートを展開状態から外折り状態に移行する範囲では前記第2関節を前記揺動規制部により揺動規制する事を特徴とする。
【0009】
次に請求項5記載の発明は、前記第2の動作負荷は前記第1の動作負荷よりも大きく設定される事を特徴とする。
【0010】
次に請求項6記載の発明は、前記第2の動作負荷は、前記一対の筐体が、前記フレキシブルディスプレイシートを展開状態から内折り状態に移行する範囲では前記第1の動作負荷よりも大きく設定される事を特徴とする。
【0011】
次に請求項7記載の発明は、前記ロック機構は、前記保持部に対して異なる方向に延びる一対の前記ロックアームと、一対の前記ロックアームのそれぞれに設けられた一対の前記ロックジョイントおよび一対の前記ロックブラケットと、前記一対のロックアームの互いの揺動を同期させるロック同期部で構成され、一対の前記ロックブラケットのそれぞれが前記一対の取付プレートに接続される事を特徴とする。
【0012】
次に請求項8記載の発明は、前記第1負荷発生部は、前記第1関節に同軸に設けられ、前記ロックアームに対して揺動規制された第1カムと、前記第1カムと対向し、前記保持部に対して揺動規制された固定カムと、前記第1カムと前記固定カムを付勢する第1弾性部材で構成される事を特徴とする。
【0013】
次に請求項9記載の発明は、前記第1カムと前記固定カムは前記第1弾性部材の付勢力により互いのカム斜面にて当接し、互いのカム山と谷では当接していない事を特徴とする。
【0014】
次に請求項10記載の発明は、前記第2負荷発生部は前記第2関節に同軸に設けられ、前記ロックアームに対して揺動規制された第2カムと、前記第2カムと対向し、前記ロックジョイントに対して揺動規制された第3カムと、前記第2カムと前記第3カムを付勢する第2弾性部材で構成される事を特徴とする。
【0015】
次に請求項11記載の発明は、電子機器に請求項1乃至10のいずれか1項に各記載の多軸ヒンジ装置を用いた事を特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の様に構成すると、フレキシブルディスプレイシートを内折り状態、展開状態、外折り状態の3状態にコンパクトに保持することが出来る。
【0017】
請求項2の様に構成すると、少ない部品でロック機構を構成することができる。
【0018】
請求項3の様に構成すると、フレキシブルディスプレイシートを内折り状態、展開状態、外折り状態の3状態した時にフレキシブルディスプレイシートの破損を防ぐことが出来る。
【0019】
請求項4の様に構成すると、フレキシブルディスプレイシートを内折り状態、展開状態、外折り状態の3状態した時にフレキシブルディスプレイシートの破損を防ぐことが出来る。
【0020】
請求項5の様に構成すると、一対の筐体の開閉品位を向上させることが出来る。
【0021】
請求項6の様に構成すると、一対の筐体の開閉品位を向上させることが出来る。
【0022】
請求項7の様に構成すると、一対の筐体の開閉品位を向上させることが出来る。
【0023】
請求項8の様に構成すると、少ない部品点数でロック機構を構成することが出来る。
【0024】
請求項9の様に構成すると、一対の筐体における内折り状態、展開状態、外折り状態の保持ガタをなくすことが出来る。
【0025】
請求項10の様に構成すると、少ない部品点数でロック機構を構成することが出来る。
【0026】
請求項11の様に構成すると、電子機器をコンパクト化すると共に内折り状態、展開状態、外折り状態に確実に保持することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る多軸ヒンジ装置を用いたフレキシブルディスプレイシートを有する電子機器を示し、(a)はフレキシブルディスプレイシートが内折り状態の時における筐体斜視図、(b)はフレキシブルディスプレイシートが展開状態の時における筐体斜視図、(c)はフレキシブルディスプレイシートが外折り状態の時における筐体斜視図である。
図2】フレキシブルディスプレイシートが展開状態の時における筐体と多軸ヒンジ装置の配置を示す平面図である。
図3】取付プレート、ベースフレーム、カバー及びロウワーカバーの斜視図である。
図4】多軸ヒンジ装置におけるロック機構の斜視図を示し、(a)は上面から見た斜視図、(b)は裏面から見た斜視図である。
図5】多軸ヒンジ装置におけるロック機構の全体像を示す図であり、(a)はロック機構の分解斜視図、(b)は組み立てたロック機構の平面図である。
図6】ロック機構における保持部を説明する拡大分解斜視図である。
図7】ロック機構における第1関節部を説明する図であり、(a)は図5(a)における第1関節部の拡大分解斜視図、(b)は図5(b)におけるC-C断面図である。
図8】ロック機構における第2関節部を説明する図であり、(a)は図5(a)における第2関節部の拡大分解斜視図、(b)は図5(b)におけるD-D断面図である。
図9】ロック機構におけるロック同期部を説明する図であり、(a)は図5(a)におけるロック同期部の拡大分解斜視図、(b)は図5(b)におけるE-E断面図である。
図10】ロック機構におけるロックブラケット部を説明する図であり、(a)は図5(a)におけるロックブラケット部の拡大分解斜視図、(b)は図5(b)におけるF-F断面図である。
図11】多軸ヒンジ装置におけるロック機構の斜視図であり、(a)はフレキシブルディスプレイシートを内折り状態に保持する姿勢の斜視図、(b)はフレキシブルディスプレイシートを外折り状態に保持する姿勢の斜視図である。
図12】フレキシブルディスプレイシートを展開状態から外折り状態、及び、内折り状態に移行させる時におけるロック機構の第1、第2関節部説明図である。
図13】多軸ヒンジ機構におけるロック機構の関節部を説明する図であり、(a)はロック機構を上面から見た斜視図、(b)はフレキシブルディスプレイシートが内折り状態の時における関節部のカム位相、(c)はフレキシブルディスプレイシートが展開状態の時における関節部のカム位相、(d)はフレキシブルディスプレイシートが外折り状態の時における関節部のカム位相を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明に係る多軸ヒンジ装置、並びにこの多軸ヒンジ装置を用いた電子機器の実施の形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【実施例0029】
図1は本発明に係る多軸ヒンジ装置を用いた電子機器の一例としての携帯電話機A(スマートフォン)を概略的に示している。
【0030】
図1(a)は一対の筐体1の互いのなす角度が略0度となる、フレキシブルディスプレイシート4が内折り(以下、内折り状態)における携帯電話機Aの斜視図である。ここで携帯電話機Aの外装は、一対の筐体1と背面カバー2に分けられ、背面カバー2は一対のロウワーカバー21、カバー22、スライドブラケット23、ベースブラケット24で構成される。又、スイッチ3はフレキシブルディスプレイシート4の表示を起動する為に設けられている。後述するが、一対の筐体1は取付プレート(図1では見えない)と接続されている。そして、一対の取り付けプレートは、ベースフレーム6に設けられる多軸ヒンジ装置B(図1では見えない)によりベースフレーム6に対して揺動可能に支持されている。
図1(b)は一対の筐体1の互いのなす角度を略180度に開いてフレキシブルディスプレイシート4を展開(以下、展開状態)した時における携帯電話機Aの斜視図である。また、一対の筐体1の互いのなす角度を360度にすると図1(c)となる。図1(c)ではフレキシブルディスプレイシート4は外折り(以下、外折り状態)となり、携帯電話機Aのコンパクト性を保ちながらユーザーはフレキシブルディスプレイシート4に表示される情報を受け取ることが出来る。
【0031】
図2はフレキシブルディスプレイシート4が展開状態の時における、多軸ヒンジ装置Bおよび一対の筐体1を図示した平面図であり、多軸ヒンジ装置Bを図示する為にフレキシブルディスプレイシート4等を省いている。
多軸ヒンジ装置Bはヒンジ機構7、ロック機構8、筐体スライド機構9、カバースライド機構10、同期機構11、フレキシブルディスプレイシートガイド機構12、カバーガイド機構13で構成される。尚、ヒンジ機構7、ロック機構8、筐体スライド機構9、カバースライド機構10、同期機構11は図3に示すベースフレーム6に取り付けられており、フレキシブルディスプレイシートガイド機構12、カバーガイド機構13は取付プレート5に設けられている。
【0032】
ヒンジ機構7とベースフレーム6はベースフレーム6の取付孔6cで螺合され固定されている。そしてヒンジ同期部71から延出するヒンジアーム72の取付孔72aが図3に示す一対の取付プレート5に設けられた取付ネジ孔5aと螺合している。その為、一対の取付プレート5はヒンジアーム72の揺動軸1aにおける矢印1b周りに揺動可能に支持される。ヒンジ機構7はベースフレーム6上に設けられている為に、一対の取付プレート5はベースフレーム6に対して揺動可能に支持される事になる。尚、ヒンジアーム72の揺動軸1aは一対の筐体1を内折り状態、展開状態、外折り状態の3状態を最適に実現する為にヒンジ同期部71内でスウィング移動する構造になっている。
【0033】
ロック機構8とベースフレーム6はベースフレーム6の取付孔6eで螺合されている。そしてロック同期部A81の第1関節部A82から延出するロックアーム84は第2関節部A83、ロックジョイント85、ロックブラケット86を介して一対の取付プレート5と接続されている。ロック機構8は一対の取付プレート5を内折り状態、展開状態、及び外折り状態で保持する為に設けられており各関節部には動作負荷を発生させる負荷発生部を設けている。尚、第1、第2の関節部の様に関節部を複数設けてベースフレーム6と取付プレート5を接続する事で、ヒンジ機構7との重複嵌合が生じない構成となっている。ロック機構8の詳細については後述する。
【0034】
筐体スライド機構9とベースフレーム6はベースフレーム6の取付孔6d、6eで螺合されている。ここで取付孔6eは前述したロック機構8と共締めとなっている。筐体スライド機構9は外折り状態から内折り状態への移行に応じて一対の筐体1を矢印1c方向に押し出す。これにより、外折り状態から内折り状態になるにつれて生じるフレキシブルディスプレイシート4の弛みを取る機構である。筐体スライド機構9は一対の取付プレート5の揺動を拾うスライドアーム部91、スライドアーム部91で拾った取付プレート5の動きの方向を変換するテンション変換部92、テンション変換部92の動きを一対の筐体1に伝えるテンションブラケット93で構成され、テンションブラケット93の取付孔93aが一対の筐体1に設けられた取付ネジ孔(不図示)と螺合している。その為、一対の筐体1は取付プレート5の揺動状態に応じて適度なテンションを受ける。
【0035】
カバースライド機構10は図3に示すカバー22を常に矢印1c方向に引っ張る事で外折り状態になるにつれて生じるカバー22の弛みを取る機構であり、図3におけるカバー22の耳部22aと螺合するカバー付勢部102をコイルバネ等のテンション弾性部101で矢印1c方向に付勢する構成になっている。
【0036】
同期機構11とベースフレーム6はベースフレーム6の取付孔6bと螺合されている。同期機構11は一対の同期シャフト111、及び、同期シャフト111を回転軸とし互いに噛合する一対の同期ギア112を有し、一対の取付プレート5の回転同期を行う為に設けられている。
【0037】
フレキシブルディスプレイシートガイド機構12は、長孔121に嵌め込まれたフレキシブルディスプレイシートガイドピン122がフレキシブルディスプレイシート4に裏打ちされる保護シートに接着される事でフレキシブルディスプレイシート4を矢印1c方向、及び、その逆方向のみに動く様にガイドしている。
【0038】
カバーガイド機構13は長孔131に嵌め込まれたカバーガイドピン132がカバー22のガイド孔22bと嵌め合う事でカバー22を矢印1c方向およびその逆のみに動く様にガイドしている。
【0039】
図3において、カバー22は取付孔22cとベースフレーム6の取付ネジ孔6aにより螺合されてベースフレーム6に取り付けられる。又、ロウワーカバー21は取付孔21aと取付プレート5の取付ネジ孔5bにより螺合されて取付プレート5に取り付けられる。更にフック21b、21cは図2に示したスライドブラケット23と係合されている。
【0040】
多軸ヒンジ装置Bはこれら複数の機構で構成されており、各々異なる役割を担っている。本発明ではそれら役割の中でも内折り状態、展開状態、外折り状態の確実な保持を行うロック機構について詳細を説明してゆく。
【0041】
図4は本発明のロック機構8の斜視図であり、図4(a)は上面から見た斜視図、図4(b)は裏面から見た斜視図である。ロック機構8は前述した様にロック同期部A81、第1関節軸82aを有する第1関節部A82、第2関節軸83aを有する第2関節部A83、ロックアーム84、ロックジョイント85、ロックブラケット86およびそれらをベースフレーム6に支持する保持部A80で構成されている。そして第1関節部A82には動作負荷を発生させる第1動作負荷発生部87(構成部品は図5に記載。)、第2関節部A83には動作負荷を発生させる第2動作負荷発生部88(構成部品は図5に記載。)が設けられている。
【0042】
図5は本発明のロック機構8を説明する図であり、図5(a)はロック機構8の全体分解斜視図、図5(b)は組み立てたロック機構8の平面図である。
図5(a)及び(b)を基にしてロック機構8を構成する保持部A80、第1関節部A82、第2関節部A83、ロック同期部A81、ロックブラケット部A86の説明を行う。
【0043】
図6図5(a)における保持部A80の拡大分解斜視図である。図6において、メインロックフレーム89とセンターロックフレーム810は取付ネジ810dがセンターロックフレーム810の取付け孔810cを貫通してメインロックフレーム89の裏面に螺合される事で取付けられる。又、サイドロックフレーム811とメインロックフレーム89は補強軸89jと軸孔89f、811bで補強及び位置決めされると共に取付ネジ89iが取付け孔89eを貫通して取付ネジ孔811cと螺合される事で取付けられる。メインロックフレーム89に設けられた取付ネジ孔89bにベースフレーム6の取付孔6eを貫通する取付ネジ89gが螺合される事でベースフレーム6にメインロックフレーム89は固定される。メインロックフレーム89とセンターロックフレーム810とサイドロックフレーム811でロック機構8の保持部A80を構成している。
【0044】
図7(a)は図5(a)における一対の第1関節部A82を拡大した斜視図である。図7(a)において、第1関節シャフト82bは、センターロックフレーム810の軸受孔810aを貫通し、その軸両端部はメインロックフレーム89の軸受孔89a及びサイドロックフレーム811の軸受孔811aで支持されている。又、第1関節シャフト82bは、コイルスプリング等で形成された第1弾性部材87aの空芯部および固定カム87bの貫通孔87c、及び、ロックアーム84の第1関節孔84dを貫通している。これにより、ロックアーム84は保持部A80に対して第1関節軸82a周りを揺動可能に支持される。第1関節シャフト82b、第1弾性部材87a、ロックアーム84の第1カム84b、及び、固定カム87bで第1関節部A82を構成している。
【0045】
図8(a)は図5(a)における一対の第2関節部A83の一方を拡大した斜視図である。図8(a)において、第2関節シャフト83bはロックアーム84の貫通孔84eおよびロックジョイント85の第2関節孔85aを貫通し、その両端部はロックナット88gの取付ネジ孔88hと螺合している。又、第2関節シャフト83bはロックアーム84とロックナット88gの間において皿バネ等で形成された第2弾性部材88aの貫通孔88b、第3カム88cの貫通孔88d、及び、ワッシャ88eの貫通孔88fを貫通している。これにより、ロックジョイント85はロックアーム84に対して第2関節軸83a周りを揺動可能に支持される。第2関節シャフト83b、ロックアーム84の第2カム84c、第2弾性部材88a、第3カム88c、ワッシャ88e、ロックナット88gで第2関節部A83を構成している。
【0046】
第1関節部A82において、固定カム87bの固定カム面87dとロックアーム84における第1カム84bのカム面は互いに向き合っており、第1弾性部材87aにより固定カム87bと第1カム84bは対向方向に付勢されている。図7(b)は図5(b)におけるC-C断面図であり、固定カム87bを切る断面により固定カム面87dが断面で表れている。固定カム87bは二本の第1関節シャフト82bが共に貫通している為に第1関節シャフト82b周りには回転規制されている。ここで、固定カム87bは第1関節シャフト82b上を軸方向に摺動可能になっている。その為にロックアーム84に所定のトルクを与えると、固定カム87bのカム斜面は、噛み合っている第1カム84bのカム斜面に押されて第1関節シャフト82b上を摺動する。この摺動力が第1弾性部材87aの付勢力に優ると、固定カム87bと第1カム84bのカム面の噛み合いが抜けてロックアーム84は保持部A80に対して第1関節軸82a周りに大きく揺動可能になる。本発明ではカム面の噛み合いが抜けるトルクを第1脱出トルクと定義する。この様に第1関節部A82に第1脱出トルクを与える機構を第1動作負荷発生部87と呼び、第1関節部A82の中でも第1カム84b、固定カム87b及び第1弾性部材87aで第1動作負荷発生部87を構成している。
【0047】
第2関節部A83においてロックアーム84の第2カム84cにおけるカム面と第3カム88cは互いに向き合っており、第2弾性部材88aにより第2カム84cと第3カム88cは対向方向に付勢されている。図8(b)は図5(b)におけるD-D断面図であり、図8(b)に示す様に第2関節シャフト83bは断面が円形ではなく例えば一部がカットされた異形状断面となっている。その為に、同じ断面形状であるロックジョイント85の第2関節孔85aに挿入される事で、ロックジョイント85は第2関節シャフト83bに対して回転規制されている。第3カム88cの貫通孔88dも同様に異形状断面の為に第3カム88cは第2関節シャフト83bに対して回転規制されている。ここで、第3カム88cは第2関節シャフト83b上を軸方向に摺動可能になっている。これにより、ロックジョイント85に所定のトルクを与えると、第3カム88cのカム斜面は、噛み合っている第2カム84cのカム斜面に押されて第2関節シャフト83b上を摺動する。この摺動力が第2弾性部材88aの付勢力に優ると、第3カム88cと第2カム84cのカム面の噛み合いが抜けて、ロックジョイント85はロックアーム84に対して第2関節軸83a周りに大きく揺動可能になる。本発明ではこのカム面の噛み合いが抜けるトルクを第2脱出トルクと定義する。この様に第2関節部A83に第2脱出トルクを与える機構を第2動作負荷発生部88と呼び、第2関節部A83の中でも第2カム84c、第3カム88c及び第2弾性部材88aで第2動作負荷発生部88を構成している。
【0048】
図9(a)は図5(a)におけるロック同期部A81を拡大した斜視図である。図9(a)において、同期ギアフレーム81cとメインロックフレーム89は図5(a)に示す様に取付ネジ89hがメインロックフレーム89の取付孔89dを貫通し、同期ギアフレーム81cの取付ネジ孔81eと螺合する事で取付けられる。同期ギア81aはその両端部の同期ギア軸81bが同期ギアフレーム81cの軸受孔81d及びセンターロックフレーム810の軸受孔810bで支持されている。図9(b)は図5(b)におけるE-E断面図であり、互いに噛合している一対の同期ギア81aはロックアーム84に設けられた一対のアームギア84aのそれぞれとも噛合している。その為一方のロックアーム84を動かすとギア連動して他方のロックアーム84も同期して揺動する。同期ギア81a、同期ギアフレーム81cおよびアームギア84aでロック同期部A81を構成している。
【0049】
図10(a)は図5(a)におけるロックブラケット部A86を拡大した斜視図である。図10(a)において、ロックブラケット86のスライドピン取付孔86bにはスライドピン86cが圧入されている。スライドピン86cはロックジョイント85のスライド孔85bに挿入されており、ロックブラケット86はロックジョイント85に対して矢印86e方向に摺動可能に支持されている。ロックブラケット86には取付プレート5の位置決め孔5dと位置決めされる位置決め軸86dおよび取付プレート5の取付ネジ孔5cと螺合される為の取付孔86aが設けられている。これによりロックブラケット86は取付プレート5に固定される構造になっているが、この実施例に限られず、ロックブラケット86を筐体1に直接固定してもよい。ロックアーム84には回転規制部84f、84gが設けられている。図10(b)は図5(b)におけるF-F断面図であり、ロックジョイント85の回転規制受面85cとロックアーム84の回転規制部84f、84gのいずれかが揺動時に当接する事でロックジョイント85はロックアーム84に対して所定の範囲θのみ揺動可能に回転規制されている。
【0050】
ここでロック機構8に第1、第2関節部の様に関節部を複数設けている理由を説明する。本発明の多軸ヒンジ装置Bを有する電子機器はフレキシブルディスプレイシート4を内折り状態、展開状態、外折り状態の3状態にすることが出来る。フレキシブルディスプレイシート4及びそれを支持する部材は厚みがある為に上記3状態を実現する為には折り畳みの為の揺動軸を複数設けるか、或は図2で説明したヒンジ機構7の様に揺動軸1aをスウィング移動させる構成が必要となる。この様に揺動軸を複数用意するか、或いは、揺動軸をスウィング移動させる時にはロック機構8もその関節を複数用意し、且つ、ロックジョイント85に対してロックブラケット86を摺動可能にする事でヒンジ機構7の動作との干渉を防ぐ必要がある。その為にロック機構8には複数の関節部を設けている。
【0051】
図11(a)は電子機器が内折り状態の時におけるロック機構8の斜視図であり、図11(b)は外折り状態の時におけるロック機構8の斜視図である。図11(a)および図11(b)において固定カム87bと第1カム84bの山と谷の位相について説明する。第1関節部A82では4カ所で固定カム87bと第1カム84bが噛み合っているが図11(a)、図11(b)に示す様にカム当接面87eと87fでカム位相が異なっている。カム当接面87eでは固定カム87bと第1カム84bの山同士が乗り上げて噛み合いが外れており、カム当接面87fでは固定カム87bと第1カム84bのカム斜面同士が当接して噛み合っている。それに対して図4の展開状態における斜視図ではカム当接面87e、87fともカム斜面同士が当接して噛み合っている。その為に展開状態における第1関節部A82の保持力は内折り状態、外折り状態の保持力よりも強く設定される。これにより展開状態においては電子機器の安定した操作が行え、内折り状態、外折り状態から展開状態への開閉は円滑に行うことが出来る。
【0052】
図12は電子機器を展開状態から外折り状態、内折り状態に移行させる時におけるロック機構8のロックアーム84とロックブラケット86の関係を説明する図である。図12において、ロックアーム84を保持部A80であるメインロックフレーム89に対して矢印88i方向に回転させて取付プレート5を外折り状態とする時は、ロックブラケット86とロックアーム84の相対的な角度変化はない。何故ならば、図10(b)を用いて説明した様に、この方向の回転ではロックジョイント85に設けられている回転規制受面85cがロックアーム84に設けられている回転規制部84fと当接してロックジョイント85とロックアーム84は回転規制されている為である。その為ロックジョイント85及びロックブラケット86はロックアーム84と一体になって第1関節部A82の第1関節軸82aを中心に回転する。
【0053】
ロックアーム84をメインロックフレーム89に対して矢印88j方向に回転させて取付プレート5を内折り状態とする時には第2関節部A83はロックブラケット86の角度に追従して回転する。何故ならば、ロックブラケット86は取付プレート5に締結されている為にロックブラケット86の角度は取付プレート5の角度と等しくなる為である。又、図10(b)を用いて説明した様に矢印88jの方向においてはロックジョイント85とロックアーム84は角度θの範囲内では回転規制を受けない為にロックブラケット86とロックアーム84の間の角度は取付プレート5の姿勢に追従して変化する。
【0054】
第2関節部A83に設けられた第2動作負荷発生部88の第2脱出トルクは第1関節部A82に設けられた第1動作負荷発生部87の第1脱出トルクよりも大きく設定している。その為に、ロックアーム84を対して矢印88j方向に回転させる時に第2関節部A83のみ先に回転する事はない。そして、ロックアーム84を矢印88j方向に回転させるときの回転トルクが第1脱出トルク以下、即ち、第1関節部A82及び第2関節部A83のカム面の噛み合いが共に抜けない範囲においては第1関節部A82及び第2関節部A83は取付プレート5の角度に各々追従して回転する。この様な第1、第2関節部A82、A83の連携した角度変化はフレキシブルディスプレイシート4を破損させる事なく電子機器を内折り回転動作させる為に必要な動作である。
【0055】
図12に示す様に取付プレート5が内折り状態ではロックアーム84は垂直から角度θ開いた状態で回転規制され、これにより内折り時にフレキシブルディスプレイシート4が収納される空間を確保する。そして、ロックブラケット86がロックアーム84に対してθ回転したところでロックジョイント85に設けられている回転規制受面85cがロックアーム84に設けられている回転規制部84gと当接して、ロックジョイント85とロックアーム84は回転規制される。これによりロックブラケット86は垂直状態となる。この様にロックアーム84の閉じ角度を規制する事でフレキシブルディスプレイシート4の収納空間を確保し、ロックブラケット86を回転させる事で一対の取付プレート5及び取付プレート5に接続される一対の筐体1を平行状態にする。
【0056】
図12で説明した様に第1関節部A82、第2関節部A83共に回転規制部を設け、第2関節部A83の揺動範囲は第1関節部A82の揺動範囲よりも狭くした。又、第1動作負荷発生部87の第1脱出トルクよりも第2動作負荷発生部88の第2脱出トルクを大きく設定した。これらは多軸ヒンジ装置Bを有する電子機器の内折り状態、展開状態、外折り状態への移行を高品位に操作する為の本発明の特徴である。
【0057】
図13は内折り状態、展開状態、外折り状態におけるカム当接面87fの位相関係を説明する図であり、図13(a)はロック機構8を上面から見た斜視図、図13(b)は内折り状態におけるカム当接面87fの固定カム87bと第1カム84bの関係、図13(c)は展開状態におけるカム当接面87fの固定カム87bと第1カム84bの関係、図13(d)は外折り状態におけるカム当接面87fの固定カム87bと第1カム84bの関係を示している。ここで図13(c)と図13(d)のカム位相は同じであり、図13(b)のカム位相は図13(c)、図13(d)とは異なる。しかし、いずれの場合でもカム当接面87fの固定カム87bと第1カム84bは共にカム両隣の斜面に当接して挟まれ、カムの山と谷では隙間がある。この様に、カムが両隣の斜面で当接してくさび状に挟まれる噛み合わせでは互いのカム間のガタを無くすことができる。その為、カム当接面87fに関しては内折り状態、展開状態、外折り状態をガタなく確実に保持できる。尚、前述した様にカム当接面87eに関しては展開状態のみくさび状に噛み合っているので展開状態の保持力が内折り状態及び外折り状態よりも強くなっている。
【0058】
以上説明した様に本発明の多軸ヒンジ機構においては、筐体1或いは取付プレート5とベースフレーム6とを複数の関節部である第1関節部A82と第2関節部A83を介して接続するロック機構8を設け、複数の関節部に動作負荷を発生させる事で一対の筐体1の内折り状態、展開状態、外折り状態を確実に保持する事が出来た。
【0059】
尚、本実施例においてロック機構8は一対の取付プレート5の両者に設けられているが、いずれか一方に設けることでも良い。又、ロック機構8は図2で説明した各種機構を組み合わせた多軸ヒンジ装置での使用に限られず、様々なヒンジ装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の多軸ヒンジ装置Bは、以上のように構成したので、コンパクト化を図りつつ一対の筐体1の内折り状態、展開状態、外折り状態を確実に保持することが出来た。
【0061】
本発明は、一対の筐体に跨らせてフレキシブルディスプレイシートが掛け渡される構成の折り畳み式の電子機器、例えば携帯電話機、電子手帳、PDA、ネットブック、映像ディスプレイ装置、携帯用ゲーム機、ノートパソコンなどに用いて好適な多軸ヒンジ装置、並びにこの多軸ヒンジ装置を用いた折り畳み式の電子機器として好適に用いられるものである。本発明に係る多軸ヒンジ装置は、携帯電話機だけに用いられるものではなく、上記したように、表面に1枚のフレキシブルディスプレイシートを取り付けた一対の筐体を互いに開閉可能に連結する構成の折り畳み式の電子機器において広く用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 筐体
2 背面カバー
3 スイッチ
4 フレキシブルディスプレイシート
5 取付プレート
6 ベースフレーム
7 ヒンジ機構
8 ロック機構
9 筐体スライド機構
10 カバースライド機構
11 同期機構
12 フレキシブルディスプレイシートガイド機構
13 カバーガイド機構
82a 第1関節軸
83a 第2関節軸
84 ロックアーム
84a アームギア
84b 第1カム
84c 第2カム
84f 回転規制部
84g 回転規制部
85 ロックジョイント
85c 回転規制受面
86 ロックブラケット
86c スライドピン
87 第1負荷発生部
87a 第1弾性部材
87b 固定カム
88 第2負荷発生部
88a 第2弾性部材
88c 第3カム
89 メインロックフレーム
810 センターロックフレーム
811 サイドロックフレーム
A 携帯電話機
B 多軸ヒンジ装置
A80 保持部
A81 ロック同期部
A82 第1関節部
A83 第2関節部
A86 ロックブラケット部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13