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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015652
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/82 20060101AFI20240130BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H01L21/82 F
H01L27/04 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117867
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 栄介
(72)【発明者】
【氏名】河合 徹
【テーマコード(参考)】
5F038
5F064
【Fターム(参考)】
5F038AV15
5F038EZ12
5F038EZ14
5F038EZ17
5F038EZ20
5F064FF24
5F064FF27
5F064FF29
5F064FF30
5F064FF34
5F064FF45
5F064GG07
(57)【要約】
【課題】電気ヒューズの溶断性を向上させる。
【解決手段】ヒューズ本体FBとヒューズパッドFPとを備えた電気ヒューズEFSは、ポリシリコン膜PSFとコバルトシリサイド膜CSFとの積層構造である。ヒューズ本体FBには、第1厚さFT1を有する第1部FB1と、第2厚さFT2を有する第2部FB2とが形成されている。第1厚さFT1は、第2厚さFT2よりも薄い。第1部FB1におけるポリシリコン膜PSFの厚さPFT1が、第2部FB2におけるポリシリコン膜PSFの厚さPFT2よりも薄くなるように、ポリシリコン膜PSFが形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ヒューズを備えた半導体装置であって、
主面を有する半導体基板と、
前記主面上に形成され、幅を有し、かつ一方向に延在するヒューズ本体を含む前記電気ヒューズと、
を有し、
前記ヒューズ本体は、
第1融点を有する第1層と、
前記第1層に接するように積層され、前記第1融点よりも高い第2融点を有する第2層と、
を含み、
前記ヒューズ本体は、
前記電気ヒューズとして切断される部分である、第1厚さを有する第1部と、
前記第1部に接続された、第2厚さを有する第2部と、
を備え、
前記第1部の前記第1厚さは、前記第2部の前記第2厚さよりも薄く、
前記ヒューズ本体の前記第1部における前記第1層の厚さは、前記第2部における前記第1層の厚さよりも薄い、半導体装置。
【請求項2】
電気ヒューズを備えた半導体装置であって、
主面を有する半導体基板と、
前記主面上に形成され、幅を有し、かつ一方向に延在するヒューズ本体を含む前記電気ヒューズと、
を有し、
前記ヒューズ本体は、
第1融点を有する第1層と、
前記第1層に接するように積層され、前記第1融点よりも高い第2融点を有する第2層と、
を含み、
前記ヒューズ本体は、
前記電気ヒューズとして切断される部分である、第1厚さを有する第1部と、
前記第1部に接続された、第2厚さを有する第2部と、
を備え、
前記第1部の前記第1厚さは、前記第2部の前記第2厚さよりも厚く、
前記ヒューズ本体の前記第1部における前記第2層の厚さは、前記第2部における前記第2層の厚さよりも厚い、半導体装置。
【請求項3】
前記第1層は、ポリシリコン膜であり、
前記第2層は、金属シリサイド膜である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記金属シリサイド膜は、コバルトシリサイド膜を含む、請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
電気ヒューズを備えた半導体装置であって、
主面を有する半導体基板と、
前記主面上に形成され、幅を有し、かつ第1方向に延在するヒューズ本体を含む前記電気ヒューズと、
前記ヒューズ本体の上に、絶縁材を介在させて配置されたヒートシンクと、
を有し、
前記ヒューズ本体は、
第1融点を有する第1層と、
前記第1層と前記ヒートシンクとの間に、前記第1層に接するように積層され、前記第1融点よりも高い第2融点を有する第2層と、
を備えた、半導体装置。
【請求項6】
前記ヒートシンクは、前記第1方向と交差する第2方向に延在するように形成された、請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体基板の前記主面を覆うように形成されたコンタクト層間絶縁膜と、
前記コンタクト層間絶縁膜上に形成された第1配線層と、
を有し、
前記ヒートシンクは、前記コンタクト層間絶縁膜上に形成され、
前記絶縁材として、前記ヒートシンクと前記ヒューズ本体との間に前記コンタクト層間絶縁膜の部分が介在する、請求項5記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ヒートシンクは、前記第1配線層の下面に対応する前記コンタクト層間絶縁膜の上面の位置から、前記第1配線層の前記下面よりも前記半導体基板の前記主面に近い位置にわたり形成された、請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ヒートシンクは、前記第1配線層の上面に対応する位置から、前記第1配線層の下面に対応する前記コンタクト層間絶縁膜の上面にわたり形成された、請求項7記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体基板の前記主面を覆うように形成されたコンタクト層間絶縁膜と、
前記コンタクト層間絶縁膜上に形成された第1配線層と、
前記第1配線層を覆うように形成されたヴィア層間絶縁膜と、
前記ヴィア層間絶縁膜上に形成された第2配線層と、
を有し、
前記ヒートシンクは、前記第2配線層の下面に対応する前記ヴィア層間絶縁膜の上面の位置から、前記ヴィア層間絶縁膜と前記コンタクト層間絶縁膜との界面よりも前記半導体基板の前記主面に近い位置にわたり形成され、
前記絶縁材として、前記ヒートシンクと前記ヒューズ本体との間に前記コンタクト層間絶縁膜の部分が介在する、請求項5記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1層は、ポリシリコン膜であり、
前記第2層は、金属シリサイド膜である、請求項5記載の半導体装置。
【請求項12】
前記金属シリサイド膜は、コバルトシリサイド膜を含む、請求項11記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、たとえば、電気ヒューズを備えた半導体装置に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には、不良と判定された回路を半導体チップをモールドした後に救済するために、電気ヒューズを備えた半導体装置がある(特許文献1および特許文献2)。電気ヒューズに電流を流すことによって、電気ヒューズが切断される。
【0003】
電気ヒューズは、ポリシリコン膜と金属シリサイド膜との二層構造とされる。ポリシリコン膜の上に、金属シリサイド膜が形成されている。電流は、主として金属シリサイド膜を流れることによって、金属シリサイド膜の温度が融点にまで上昇する。その金属シリサイド膜の熱がポリシリコン膜に伝導することでポリシリコン膜の温度が上昇し、ポリシリコン膜が溶断されて、電気ヒューズが切断されることになる。
【0004】
金属シリサイド膜として、従来、タングステンシリサイド膜(WSi)またはチタンシリサイド膜(TiSi)が適用されていたが、半導体装置の微細化等に伴って、プロセス的に有利なコバルトシリサイド膜(CoSi)が適用されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-295673号公報
【特許文献2】特開2011-222691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タングステンシリサイド膜を適用した電気ヒューズの場合、シリコン(Si)の融点(1414℃)に対して、タングステン(W)の融点は約3422℃である。また、チタンシリサイド膜を適用した電気ヒューズの場合、シリコン(Si)の融点(1414℃)に対して、チタン(Ti)の融点は約1668℃である。
【0007】
一方、コバルトシリサイド膜を適用した電気ヒューズの場合、シリコン(Si)の融点(1414℃)に対して、コバルト(Co)の融点は約1495℃である。このため、コバルトの融点とシリコンの融点との温度差は、タングステンの融点とシリコンの融点との温度差およびチタンの融点とシリコンの融点との温度差よりも十分に小さい。
【0008】
このように、コバルトの融点とシリコンの融点との温度差が小さいことから、電流が主としてコバルトシリサイド膜を流れることによってコバルトシリサイド膜の温度が融点まで上昇した時点で、コバルトシリサイド膜の熱がシリコンに十分には伝導せず、シリコンの温度が融点にまで上昇しないことが想定される。その結果、電気ヒューズとして溶断させることができないおそれがある。
【0009】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付の図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施の形態に係る半導体装置は、電気ヒューズを備えた半導体装置であって、半導体基板と電気ヒューズとを有する。半導体基板は、主面を有する。電気ヒューズは、主面上に形成され、幅を有し、かつ一方向に延在するヒューズ本体を含む。ヒューズ本体は、第1層と第2層とを含む。第1層は、第1融点を有する。第2層は、第1層に接するように積層され、第1融点よりも高い第2融点を有する。ヒューズ本体は、第1厚さを有する第1部と、第2厚さを有する第2部とを有する。第1部は、電気ヒューズとして切断される部分である。第2部は、第1部に接続されている。第1部の第1厚さは、第2部の第2厚さよりも薄い。ヒューズ本体の第1部における第1層の厚さは、第2部における第1層の厚さよりも薄い。
【0011】
他の実施の形態に係る半導体装置は、電気ヒューズを備えた半導体装置であって、半導体基板と電気ヒューズとを有する。半導体基板は、主面を有する。電気ヒューズは、主面上に形成され、幅を有し、かつ一方向に延在するヒューズ本体を含む。ヒューズ本体は、第1層と第2層とを含む。第1層は、第1融点を有する。第2層は、第1層に接するように積層され、第1融点よりも高い第2融点を有する。ヒューズ本体は、第1厚さを有する第1部と、第2厚さを有する第2部とを備えている。第1部は、電気ヒューズとして切断される部分である。第2部は、第1部に接続されている。第1部の第1厚さは、第2部の第2厚さよりも厚い。ヒューズ本体の第1部における第2層の厚さは、第2部における第2層の厚さよりも厚い。
【0012】
さらに他の実施の形態に係る半導体装置は、電気ヒューズを備えた半導体装置であって、半導体基板と電気ヒューズとヒートシンクとを有する。半導体基板は、主面を有する。電気ヒューズは、主面上に形成され、幅を有し、かつ第1方向に延在するヒューズ本体を含む。ヒートシンクは、ヒューズ本体の上に絶縁材を介在させて配置されている。ヒューズ本体は、第1層と第2層とを備えている。第1層は、第1融点を有する。第2層は、第1層とヒートシンクとの間に、第1層に接するように積層され、第1融点よりも高い第2融点を有する。
【発明の効果】
【0013】
一実施の形態に係る半導体装置によれば、電気ヒューズの溶断性を向上させることができる。
【0014】
他の実施の形態に係る半導体装置によれば、電気ヒューズの溶断性を向上させることができる。
【0015】
さらに他の実施の形態に係る半導体装置によれば、電気ヒューズの溶断性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】各実施の形態に係る半導体装置における電気ヒューズの回路図である。
図2】実施の形態1に係る半導体装置における電気ヒューズの平面構造の一例を示す平面図である。
図3】実施の形態1において、図1に示される断面線III-IIIにおける断面図である。
図4】実施の形態1において、図1に示される断面線IV-IVにおける断面図である。
図5】比較例に係る電気ヒューズへの電流の印加時間と電気ヒューズの温度との関係および電流の印加時間と電気ヒューズを流れる電流との関係をそれぞれ示す図である。
図6】実施の形態1において、電気ヒューズへの電流の印加時間と電気ヒューズの温度との関係および電流の印加時間と電気ヒューズを流れる電流との関係をそれぞれ示す図である。
図7】実施の形態1において、電気ヒューズの作用効果を比較例とともに示す図である。
図8】実施の形態1において、変形例に係る半導体装置における電気ヒューズの構造の一例を示す断面図である。
図9】実施の形態2に係る半導体装置における電気ヒューズの平面構造の一例を示す平面図である。
図10】実施の形態2において、図9に示される断面線X-Xにおける断面図である。
図11】実施の形態2において、図9に示される断面線XI-XIにおける断面図である。
図12】実施の形態2において、電気ヒューズの作用効果を比較例とともに示す図である。
図13】実施の形態3の第1例に係る半導体装置における電気ヒューズの平面構造の一例を示す平面図である。
図14】実施の形態3において、図13に示される断面線XIV-XIVにおける断面図である。
図15】実施の形態3において、図13に示される断面線XV-XVにおける断面図である。
図16】実施の形態3の第2例に係る半導体装置における電気ヒューズの平面構造の一例を示す平面図である。
図17】実施の形態3において、図16に示される断面線XVII-XVIIにおける断面図である。
図18】実施の形態3において、図16に示される断面線XVIII-XVIIIにおける断面図である。
図19】実施の形態3の第3例に係る半導体装置における電気ヒューズの平面構造の一例を示す平面図である。
図20】実施の形態3において、図19に示される断面線XX-XXにおける断面図である。
図21】実施の形態3において、図19に示される断面線XXI-XXIにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
はじめに、各実施の形態に係る半導体装置における電気ヒューズを含むヒューズ回路の一例について説明する。図1に示すように、電気ヒューズ回路FSCには、電気ヒューズEFSとドライバトランジスタDTRとが電気的に接続されている。ドライバトランジスタDTRをオンすることによって、電流が電気ヒューズEFSを流れる(矢印参照)。以下、各実施の形態に係る電気ヒューズEFSの構造について、具体的に説明する。
【0018】
実施の形態1
実施の形態1に係る電気ヒューズの一例について説明する。図2図3および図4に示すように、電気ヒューズEFSは、ヒューズ本体FBとヒューズパッドFPとを備えている。ヒューズ本体FB(電気ヒューズEFS)は、ポリシリコン膜PSF(第1層)とコバルトシリサイド膜CSF(第2層)との積層構造であり、ポリシリコン膜PSFに接するようにコバルトシリサイド膜CSFが形成されている。コバルトシリサイド膜CSFの融点は、ポリシリコン膜PSFの融点よりも高い。
ヒューズ本体FBには、厚さFT1(第1厚さ)を有する第1部FB1と、厚さFT2(第2厚さ)を有する第2部FB2とが形成されている。厚さFT1は、厚さFT2よりも薄い。厚さFT1および厚さFT2のそれぞれは、ポリシリコン膜PSFの下面からコバルトシリサイド膜CSFの上面までの高さに相当する。すなわち、厚さFT1および厚さFT2のそれぞれは、ポリシリコン膜PSFの厚さとコバルトシリサイド膜CSFの厚さとを合わせた厚さである。
【0019】
この電気ヒューズEFSでは、第1部FB1におけるポリシリコン膜PSFの厚さPFT1が、第2部FB2におけるポリシリコン膜PSFの厚さPFT2よりも薄くなるように、ポリシリコン膜PSFが形成されている。ポリシリコン膜PSFの厚さPFT1は、ポリシリコン膜PSFの厚さPFT2の約5%~90%程度の厚さとされる。また、第1部FB1は、ヒューズ本体FBの長手方向の中心部を含む態様で、第1部FB1の長さLFB1が、ヒューズ本体FBの長さLFBの少なくとも5%の長さを有するように、形成されていることが望ましい。
【0020】
電気ヒューズEFSは、たとえば、ドライバトランジスタDTR(図1参照)のゲート電極を形成する工程において、ゲート電極と同時に形成される。半導体基板SUBの主面を覆うようにポリシリコン膜(図示せず)が形成された後、第1部FB1となる領域に位置するポリシリコン膜の部分にエッチング処理を行う。これによって、第1部FB1となる領域に位置するポリシリコン膜の厚さが、第2部FB2となる領域に位置するポリシリコン膜の厚さよりも薄くなる。
【0021】
次に、そのポリシリコン膜が電気ヒューズEFSの形状にパターニングされた後に、ポリシリコン膜を覆うようにコバルト膜(図示せず)が形成される。次に、コバルトとシリコンとを反応させてコバルトシリサイド膜を自己整合的に形成し、未反応のコバルト膜を除去することによって、電気ヒューズEFSが形成される。
【0022】
ポリシリコン膜PSFの厚さPFT1が、ポリシリコン膜PSFの厚さPFT2の5%よりも薄い場合には、ポリシリコン膜のエッチング処理の制御が難しくなる。一方、ポリシリコン膜PSFの厚さPFT1が、ポリシリコン膜PSFの厚さPFT2の90%よりも厚い場合には、ポリシリコン膜PSFを溶断させる効果が低くなる。
【0023】
上述した半導体装置SEDでは、電気ヒューズEFSのヒューズ本体FBにおける第1部FB1の厚さFT1が、第2部FB2の厚さFT2よりも薄いことで、ヒューズ本体FBをより確実に溶断させることができる。このことについて説明する。
【0024】
まず、金属シリサイド膜として、タングステンシリサイド膜(WSi)を適用した電気ヒューズの場合について説明する。図5に、電気ヒューズに電流を流し始めてからの時間に対する、タングステンシリサイド膜の温度変化のグラフGTWと、ポリシリコン膜の温度変化のグラフGTSとをそれぞれ示す。また、電気ヒューズに電流を流し始めてからの時間に対する、タングステンシリサイド膜を流れる電流の変化のグラフGCWと、ポリシリコン膜を流れる電流の変化のグラフGCSとをそれぞれ示す。
【0025】
電気ヒューズに電流を流し始めると、電流は、主としてタングステンシリサイド膜を流れる。図5に示すように、タングステンシリサイド膜に電流が流れることによって、エレクトロマイグレーションが起こり、タングステンシリサイド膜の温度が上昇する。エレクトロマイグレーションの進行とともに、タングステンシリサイド膜を流れる電流は徐々に減少する。タングステンシリサイド膜の温度が融点に到達した時点で、エレクトロマイグレーションによって、タングステンシリサイド膜は切断(溶断)されて、タングステンシリサイド膜を流れる電流はなくなる。
【0026】
ここで、タングステンシリサイド膜の融点(タングステンの融点:3422℃)は、ポリシリコン膜の融点(シリコンの融点:1414℃)よりも十分に高い。このため、タングステンシリサイド膜の温度が融点に到達した時点で、タングステンシリサイド膜の熱がポリシリコン膜に十分に供給されて、ポリシリコン膜の温度も融点に到達する。ポリシリコン膜の温度が融点に達することで、ポリシリコン膜が溶融し、ポリシリコン膜が揮発する。揮発する際に圧力が上昇し、電気ヒューズには空洞が形成されて、電気ヒューズが切断(溶断)される。なお、電気ヒューズが切断されるまでの間に、ポリシリコン膜には、ほぼ一定の電流が流れる。
【0027】
次に、金属シリサイド膜として、コバルトシリサイド膜(CoSi)を適用した電気ヒューズの場合について説明する。図6に、電気ヒューズに電流を流し始めてからの時間に対する、コバルトシリサイド膜の温度変化のグラフGTCと、ポリシリコン膜の温度変化のグラフGTSとをそれぞれ示す。また、電気ヒューズに電流を流し始めてからの時間に対する、コバルトシリサイド膜を流れる電流の変化のグラフGCCと、ポリシリコン膜を流れる電流の変化のグラフGCSとをそれぞれ示す。
【0028】
電気ヒューズに電流を流し始めると、電流は、主としてコバルトシリサイド膜を流れる。図6に示すように、コバルトシリサイド膜に電流が流れることによって、エレクトロマイグレーションが起こり、コバルトシリサイド膜の温度が上昇する。エレクトロマイグレーションの進行とともに、コバルトシリサイド膜を流れる電流は徐々に減少する。コバルトシリサイド膜の温度が融点に到達した時点で、エレクトロマイグレーションによって、コバルトシリサイド膜は切断(溶断)されて、コバルトシリサイド膜を流れる電流はなくなる。
【0029】
ここで、コバルトシリサイド膜の融点(コバルトの融点:1495℃)は、ポリシリコン膜の融点(シリコンの融点:1414℃)に近い。すなわち、コバルトシリサイド膜の融点とポリシリコン膜の融点との温度差が、タングステンシリサイド膜の場合に比べて小さい。このため、コバルトシリサイド膜の温度が融点に到達した時点で、コバルトシリサイド膜の熱がポリシリコン膜に十分には供給されておらず、ポリシリコン膜の温度は融点に到達していない。
【0030】
コバルトシリサイド膜の温度が融点に到達した時点で、エレクトロマイグレーションによって、コバルトシリサイド膜は切断(溶断)されて、コバルトシリサイド膜を流れる電流はなくなり、ポリシリコン膜に熱を供給することができなくなる。その結果、コバルトシリサイド膜を適用した電気ヒューズでは、電気ヒューズの切断(溶断)を確実に行うことができないおそれがある。
【0031】
本実施の形態1において、コバルトシリサイド膜CSFを適用した電気ヒューズEFSでは、ヒューズ本体FBは、第1部FB1の厚さFT1が、第2部FB2の厚さFT2よりも薄い構造を備えている。特に、第1部FB1におけるポリシリコン膜PSFの厚さPFT1が、第2部FB2におけるポリシリコン膜PSFの厚さPFT2よりも薄い。
【0032】
ここで、コバルトシリサイド膜CSFからポリシリコン膜PSFに熱が供給されることによって、ポリシリコン膜PSFに生じる温度分布について説明する。
【0033】
図7に、第1部FB1におけるポリシリコン膜PSFにおいて、コバルトシリサイド膜CSFに接触しているポリシリコン膜PSFの上面から、ポリシリコン膜PSFの下面までの温度分布(向かって右側)を示す。また、比較例として、ポリシリコン膜PSFの膜厚が一定の場合(厚さFT2のみ)のポリシリコン膜の温度分布(向かって左側)を併せて示す。
【0034】
図7に示すように、ポリシリコン膜PSFの温度は、上面から下面に向かって徐々に下がる傾向を示す。実施の形態1に係る電気ヒューズEFSでは、ポリシリコン膜PSFの膜厚が薄い分、上面における温度と下面における温度との温度差EDTは、比較例における対応する温度差RDTに比べて小さくなる。言い換えると、実施の形態1に係る電気ヒューズEFSでは、コバルトシリサイド膜CSFから熱が供給されるポリシリコン膜PSFの体積が、比較例における対応する体積に比べて小さくなる。
【0035】
これにより、電流を流し始めてからの時間に対するポリシリコン膜の温度変化の傾きが、比較例における傾きと比べて大きい。このため、コバルトシリサイド膜CSFの温度が融点に到達した時点で、コバルトシリサイド膜CSFの熱がポリシリコン膜PSFに十分に供給されて、ポリシリコン膜PSFの温度を融点に到達させることができる。その結果、コバルトシリサイド膜CSFを適用した電気ヒューズEFSを、より確実に切断(溶断)させることができる。
【0036】
(変形例)
図8に示すように、変形例に係る半導体装置SEDの電気ヒューズEFSでは、特に、第1部FB1の長さLFB1は、ヒューズ本体FBの長さLFBの半分(50%)以上の長さに設定されていてもよい。
【0037】
なお、上述した電気ヒューズEFSでは、厚さが薄い第1部FB1の長さLFB1が長くなると、電気ヒューズEFSの電気的抵抗が高くなるため、ドライバトランジスタを介して電気ヒューズEFSに流す電流を増加させる必要がある。電流を増加させるには、ドライバトランジスタのサイズを大きくする必要がある。半導体装置の小型化を図る観点から、ドライバトランジスタを大きく形成する必要がない条件となるように、第1部FB1の長さを設定する必要がある。
【0038】
実施の形態2
実施の形態2に係る電気ヒューズの一例について説明する。図9図10および図11に示すように、電気ヒューズEFSは、ヒューズ本体FBとヒューズパッドFPとを備えている。ヒューズ本体FBには、厚さFT1(第1厚さ)を有する第1部FB1と、厚さFT2(第2厚さ)を有する第2部FB2とが形成されている。厚さFT1は、厚さFT2よりも厚い。
【0039】
この電気ヒューズEFSでは、第1部FB1におけるコバルトシリサイド膜CSFの厚さCST1が、第2部FB2におけるコバルトシリサイド膜CSFの厚さCST2よりも厚くなるように、コバルトシリサイド膜CSFが形成されている。コバルトシリサイド膜CSFの厚さCST1は、コバルトシリサイド膜CSFの厚さCST2に対して、約1%~20%程度厚い厚さとされる。
【0040】
また、第1部FB1は、ヒューズ本体FBの長手方向の中心部を含む態様で、第1部FB1の長さLFB1が、ヒューズ本体FBの長さLFBの約5%~50%程度の長さを有するように、形成されていることが望ましい。なお、図2等に示される電気ヒューズEFSと実質的に同一部材については同一符号を付し、必要である場合を除きその説明を繰り返さないこととする。
【0041】
電気ヒューズEFSは、たとえば、ドライバトランジスタDTR(図1参照)のゲート電極を形成する工程と同時に形成される。半導体基板SUBの主面を覆うようにポリシリコン膜(図示せず)が形成された後、第1部FB1となる領域に位置するポリシリコン膜の部分に、n型の不純物が注入される。次に、そのポリシリコン膜が電気ヒューズEFSの形状にパターニングされた後に、ポリシリコン膜を覆うようにコバルト膜(図示せず)が形成される。
【0042】
次に、コバルトとシリコンとを反応させてコバルトシリサイド膜を自己整合的に形成する。このとき、n型の不純物が注入されたポリシリコン膜の部分を覆うコバルト膜では、n型の不純物が注入されていないポリシリコン膜の部分を覆うコバルト膜と比較して、コバルトシリサイド膜が、より厚く形成される。その後、未反応のコバルト膜を除去することによって、電気ヒューズEFSが形成される。
【0043】
上述した半導体装置SEDでは、電気ヒューズEFSのヒューズ本体FBにおけるコバルトシリサイド膜CSFの厚さCST1が、第2部FB2におけるコバルトシリサイド膜CSFの厚さCST2よりも厚いことで、ヒューズ本体FBをより確実に溶断させることができる。このことについて説明する。
【0044】
図12に、まず、実施の形態2に係る電気ヒューズEFSに電流を流すことによってコバルトシリサイド膜CSFから発生する熱が、ポリシリコン膜PSFに伝導する様子を模式的に表現したモデルEMLを示す。また、比較例に係る電気ヒューズEFSに電流を流すことによってコバルトシリサイド膜CSFから発生する熱が、ポリシリコン膜PSFに伝導する様子を模式的に表現したモデルHMLを示す。なお、矢印の太さは、放出される熱の大小を模式的に表したものである。
【0045】
さらに、実施の形態2に係る電気ヒューズの、電流の印加時間とヒューズ本体の温度との関係を、グラフCTEとグラフPTEとに示す。また、比較例に係る電気ヒューズの、電流印加時間とヒューズ本体の温度との関係を、グラフRCTEとグラフRPTEとに示す。グラフCTEは、電気ヒューズに電流を流し始めてからの時間に対する、コバルトシリサイド膜の温度変化を示すグラフである。グラフPTEは、電気ヒューズに電流を流し始めてからの時間に対する、ポリシリコン膜の温度変化を示すグラフである。
【0046】
まず、比較例に係る電気ヒューズEFSについて説明する。比較例に係る電気ヒューズEFSでは、モデルHMLに示すように、ヒューズ本体FBは、延在する方向にわたって一様な厚さを有する。このため、電流が主としてコバルトシリサイド膜CSFを流れることによって発生する熱は、ポリシリコン膜PSFに伝導する際には、延在方向に沿ってほぼ均一に伝導する。
【0047】
このとき、グラフRCTEに示されるように、電流を流し始めからの時間の経過とともに、コバルトシリサイド膜CSFの温度が上昇する。コバルトシリサイド膜CSFにおいて発生する熱がポリシリコン膜PSFに伝導することで、グラフRPTEに示されるように、ポリシリコン膜PSFの温度も上昇し始める。ここで、レファレンスの電気ヒューズEFSのコバルトシリサイド膜CSFの温度が融点MPCに達する時間を時間T1とし、その時間T1におけるポリシリコン膜PSFの温度を温度TRとする。この場合、コバルトシリサイド膜CSFの温度(融点)とポリシリコン膜PSFの温度TRとの温度差DRTは、融点MPC-温度TRとなる。
【0048】
次に、実施の形態2に係る電気ヒューズEFSについて説明する。実施の形態2に係る電気ヒューズEFSでは、モデルEMLに示すように、ヒューズ本体FBでは、第1部FB1におけるコバルトシリサイド膜CSFの厚さCST1が、第2部FB2におけるコバルトシリサイド膜CSFの厚さCST2よりも厚い。すなわち、第1部FB1に位置するコバルトシリサイド膜CSFの体積は、比較例の場合の第1部FB1に位置するコバルトシリサイド膜CSFの体積よりも大きくなる。
【0049】
このため、グラフCTEに示されるように、実施の形態2に係るコバルトシリサイド膜CSFでは、体積が増加する分、電流を流し始めからの時間の経過とともに、コバルトシリサイド膜CSFの温度が上昇する速さが遅くなり、融点に達するまでの時間(時間T2)は、比較例の場合の時間(時間T1)よりも長くなる。
【0050】
一方、ポリシリコン膜PSFでは、第1部FB1に位置するコバルトシリサイド膜CSFから発生する熱が、直下に位置するポリシリコン膜PSFへ供給される量が多少減少するものの、第1部FB1の近傍に位置する第2部FB2におけるコバルトシリサイド膜CSFから発生する熱が、第1部FB1に位置するポリシリコン膜PSFへ供給される量には変わりがない。
【0051】
このため、グラフPTEに示すように、実施の形態2に係るポリシリコン膜PSFでは、電流を流し始めからの時間の経過とともに、ポリシリコン膜PSFの温度が上昇する速さが多少遅くなるものの、コバルトシリサイド膜CSFの温度が融点に達するまでの時間が長くなる分、その間にポリシリコン膜PSFの温度が上昇することになる。
【0052】
これにより、コバルトシリサイド膜CSFの温度が融点に到達した時間におけるポリシリコン膜PSFの温度TEは、比較例の場合のポリシリコン膜PSFの温度TRよりも高くなる。その結果、コバルトシリサイド膜CSFの温度(融点)とポリシリコン膜PSFの温度TEとの温度差DT(融点MPC-温度TE)は、比較例の場合の温度差DRTよりも小さくなり、ポリシリコン膜PSFを溶断させやすくなる。
【0053】
このように、コバルトシリサイド膜CSFの温度が融点に達するまでの時間を、より長く確保することで、その間にポリシリコン膜PSFの温度を上昇させることができる。これによって、コバルトシリサイド膜CSFの温度(融点)とポリシリコン膜PSFの温度TEとの温度差DTが縮まって、ポリシリコン膜PSFが溶断しやすくなる。その結果、電気ヒューズEFSを、より確実に切断することができる。
【0054】
実施の形態3
(第1例)
実施の形態3に係る電気ヒューズの第1例について説明する。図13図14および図15に示すように、半導体基板SUBに形成された分離絶縁膜BIFの表面に、電気ヒューズEFSが配置されている。電気ヒューズEFSは、ヒューズ本体FBとヒューズパッドFPとを備えている。
【0055】
電気ヒューズEFSを覆うように、コンタクト層間絶縁膜CIFが形成されている。コンタクト層間絶縁膜CIFを貫通するコンタクトホールCPGH中に、コンタクトプラグCPGが形成されている。コンタクト層間絶縁膜CIF上に第1配線層M1が形成されている。第1配線層M1を覆うように、ヴィア層間絶縁膜VIFが形成されている。ヴィア層間絶縁膜VIF上に第2配線層M2が形成されている。第2配線層M2を覆うように、さらに層間絶縁膜等が形成されている。
【0056】
第2配線層M2の下面に対応するヴィア層間絶縁膜VIFの上面の位置から、ヴィア層間絶縁膜VIFとコンタクト層間絶縁膜CIFとの界面よりも半導体基板SUBに近い位置にわたって、ヒューズ本体FBの熱を吸収するヒートシンクHSBが、ヴィアVBとして形成されている。ヒートシンクHSBは、ヒューズ本体FBが延在する方向と交差する方向に延在するように形成されている。ヒューズ本体FBとヒートシンクHSBとの間には、厚さDCF分のコンタクト層間絶縁膜CIFが介在する。厚さDCFは、たとえば、0.05μm~2μm程度である。なお、図2等に示される電気ヒューズEFSと実質的に同一部材については同一符号を付し、必要である場合を除きその説明を繰り返さないこととする。
【0057】
上述した電気ヒューズEFSは、たとえば、ドライバトランジスタDTR(図1参照)のゲート電極を形成する工程と同時に形成される。電気ヒューズEFSが形成された後、電気ヒューズEFSを覆うように、たとえば、酸化シリコン膜等のコンタクト層間絶縁膜CIFが形成される。次に、コンタクト層間絶縁膜CIFにコンタクトホールCPGHが形成される。そのコンタクトホールCPGH内にコンタクトプラグCPGが形成される。次に、コンタクト層間絶縁膜CIF上に第1配線層M1が形成される。第1配線層M1は、コンタクトプラグCPGを介して電気ヒューズEFSにおけるヒューズパッドFPに電気的に接続される。
【0058】
次に、第1配線M1等を覆うように、たとえば、酸化シリコン膜等のヴィア層間絶縁膜VIFが形成される。次に、ヴィア層間絶縁膜VIFに開口部VHが形成される。このとき、ヒューズ本体FBの直上には、第1配線は形成されていない。このため、開口部VHを形成する際のオーバーエッチングによって、開口部VHは、ヴィア層間絶縁膜VIFを貫通してコンタクト層間絶縁膜CIF中に達するように形成される。
【0059】
ここで、開口部VHは、ヒートシンクHSBとヒューズ本体FBとの所定の距離DCFが確保される深さに達するように形成される。次に、その開口部VH内にヒートシンクHSBが形成される。次に、ヴィア層間絶縁膜VIF上に第2配線層M2が形成される。次に、その第2配線層M2を覆うように、さらに層間絶縁膜等が形成される。
【0060】
上述した電気ヒューズEFSでは、ヒューズ本体FBにおいて溶断される部分の直上に、ヒートシンクHSBが配置されている。ヒートシンクHSBは、主としてコバルトシリサイド膜CSFを電流が流れることによって発生する熱を吸収する機能を有する。このため、ヒューズ本体FBにおいて溶断される部分の熱がヒートシンクHSBに吸収されて、電流を流し始めてからの時間の経過とともに、溶断される部分に位置するコバルトシリサイド膜CSFの温度が上昇する速さが、ヒートシンクHSBが配置されていない場合に比べて遅くなり、融点に達するまでの時間がより長くなる。
【0061】
コバルトシリサイド膜CSFの温度が融点に達するまでの時間が、ヒートシンクHSBが配置されていない場合と比べて長くなることで、その間にポリシリコン膜PSFの温度を上昇させることができる。これにより、コバルトシリサイド膜CSFの温度(融点)とポリシリコン膜PSFの温度との温度差が縮まり、ポリシリコン膜PSFが溶断しやすくなる。その結果、電気ヒューズEFSを、より確実に切断することができる。
【0062】
(第2例)
実施の形態3に係る電気ヒューズの第2例について説明する。図16図17および図18に示すように、半導体基板SUBに形成された分離絶縁膜BIFの表面に、電気ヒューズEFSが配置されている。電気ヒューズEFSを覆うように、コンタクト層間絶縁膜CIFが形成されている。コンタクト層間絶縁膜CIFを貫通するコンタクトホールCPGH中にコンタクトプラグCPGが形成されている。コンタクト層間絶縁膜CIF上に第1配線層M1が形成されている。第1配線層M1を覆うように、ヴィア層間絶縁膜VIF等が形成されている。
【0063】
第1配線層M1の下面に対応するコンタクト層間絶縁膜CIFの上面の位置から、第1配線層M1の下面よりも半導体基板SUBに近い位置にわたって、ヒューズ本体FBの熱を吸収するヒートシンクHSBが、コンタクト部CBとして形成されている。ヒートシンクHSBは、ヒューズ本体FBが延在する方向と交差する方向に延在するように形成されている。ヒューズ本体FBとヒートシンクHSBとの間には、厚さDCF分のコンタクト層間絶縁膜CIFが介在する。厚さDCFは、たとえば、0.05μm~2μm程度である。なお、図2等に示される電気ヒューズEFSと実質的に同一部材については同一符号を付し、必要である場合を除きその説明を繰り返さないこととする。
【0064】
上述した電気ヒューズEFSは、たとえば、ドライバトランジスタDTR(図1参照)のゲート電極を形成する工程において、ゲート電極と同時に形成される。電気ヒューズEFSが形成された後、電気ヒューズEFSを覆うように、たとえば、酸化シリコン膜等のコンタクト層間絶縁膜CIFが形成される。次に、コンタクト層間絶縁膜CIFにコンタクトホールCPGHと開口部CHとが順次形成される。ここで、開口部CHは、ヒートシンクHSBとヒューズ本体FBとの所定の距離DCFが確保される深さに達するように形成される。
【0065】
次に、コンタクトホールCPGH内にコンタクトプラグCPGが形成される。また、開口部CH内に、ヒートシンクHSBが形成される。次に、コンタクト層間絶縁膜CIF上に第1配線層M1が形成される。第1配線層M1は、コンタクトプラグCPGを介して電気ヒューズEFSにおけるヒューズパッドFPに電気的に接続される。次に、第1配線層M1を覆うように、さらにヴィア層間絶縁膜VIF等が形成される。
【0066】
上述した電気ヒューズEFSでは、ヒューズ本体FBにおいて溶断される部分の直上に、ヒートシンクHSBが配置されている。ヒートシンクHSBは、主としてコバルトシリサイド膜CSFを電流が流れることによって発生する熱を吸収する機能を有する。このため、ヒューズ本体FBにおいて溶断される部分の熱がヒートシンクHSBに吸収されて、電流を流し始めてからの時間の経過とともに、溶断される部分に位置するコバルトシリサイド膜CSFの温度が上昇する速さが、ヒートシンクHSBが配置されていない場合に比べて遅くなり、融点に達するまでの時間がより長くなる。
【0067】
コバルトシリサイド膜CSFの温度が融点に達するまでの時間が、ヒートシンクHSBが配置されていない場合と比べて長くなることで、その間にポリシリコン膜PSFの温度を上昇させることができる。これにより、コバルトシリサイド膜CSFの温度(融点)とポリシリコン膜PSFの温度との温度差が縮まり、ポリシリコン膜PSFが溶断しやすくなる。その結果、電気ヒューズEFSを、より確実に切断することができる。
【0068】
(第3例)
実施の形態3に係る電気ヒューズの第3例について説明する。図19図20および図21に示すように、半導体基板SUBに形成された分離絶縁膜BIFの表面に、電気ヒューズEFSが配置されている。電気ヒューズEFSを覆うように、コンタクト層間絶縁膜CIFが形成されている。コンタクト層間絶縁膜CIFを貫通するコンタクトホールCPGH中に、コンタクトプラグCPGが形成されている。コンタクト層間絶縁膜CIF上に第1配線層M1が形成されている。
【0069】
さらに、コンタクト層間絶縁膜CIF上には、ヒューズ本体FBの熱を吸収するヒートシンクHSBが、第1配線層M1として形成されている。ヒートシンクHSBは、第1配線層M1の上面に対応する位置から、第1配線層M1の下面に対向するコンタクト層間絶縁膜CIFの上面にわたり形成されている。ヒートシンクHSBは、ヒューズ本体FBが延在する方向と交差する方向に延在するように形成されている。ヒューズ本体FBとヒートシンクHSBとの間には、厚さDCF分のコンタクト層間絶縁膜CIFが介在する。第1配線層M1およびヒートシンクHSBを覆うように、さらにヴィア層間絶縁膜VIF等が形成されている。なお、図2等に示される電気ヒューズEFSと実質的に同一部材については同一符号を付し、必要である場合を除きその説明を繰り返さないこととする。
【0070】
上述した電気ヒューズEFSは、たとえば、ドライバトランジスタDTR(図1参照)のゲート電極を形成する工程において、ゲート電極と同時に形成される。電気ヒューズEFSが形成された後、電気ヒューズEFSを覆うように、たとえば、シリコン酸化膜等のコンタクト層間絶縁膜CIFが形成される。ここで、コンタクト層間絶縁膜CIFは、後述するヒートシンクHSBとヒューズ本体FBとの所定の距離DCFが確保される厚さを有するように形成される。厚さDCFは、たとえば、0.05μm~2μm程度である。
【0071】
次に、コンタクト層間絶縁膜CIFにコンタクトホールCPGHが形成される。そのコンタクトホールCPGH内にコンタクトプラグCPGが形成される。次に、コンタクト層間絶縁膜CIF上に第1配線層M1とヒートシンクHSBとが形成される。次に、第1配線層M1およびヒートシンクHSBを覆うように、さらにヴィア層間絶縁膜VIF等が形成される。
【0072】
上述した電気ヒューズEFSでは、ヒューズ本体FBにおいて溶断される部分の直上に、ヒートシンクHSBが配置されている。ヒートシンクHSBは、主としてコバルトシリサイド膜CSFを電流が流れることによって発生する熱を吸収する機能を有する。このため、ヒューズ本体FBにおいて溶断される部分の熱がヒートシンクHSBに吸収されて、電流を流し始めてからの時間の経過とともに、溶断される部分に位置するコバルトシリサイド膜CSFの温度が上昇する速さが、ヒートシンクHSBが配置されていない場合に比べて遅くなり、融点に達するまでの時間がより長くなる。
【0073】
コバルトシリサイド膜CSFの温度が融点に達するまでの時間が、ヒートシンクHSBが配置されていない場合と比べて長くなることで、その間にポリシリコン膜PSFの温度を上昇させることができる。これにより、コバルトシリサイド膜CSFの温度(融点)とポリシリコン膜PSFの温度との温度差が縮まり、ポリシリコン膜PSFが溶断しやすくなる。その結果、電気ヒューズEFSを、より確実に切断することができる。
【0074】
なお、実施の形態3では、ヒートシンクHSBは、ヒューズ本体FBが延在する方向と交差する方向に延在するように形成されている場合について説明した。ヒートシンクHSBとしては、コンタクトプラグCPGと同様に、円柱状に形成されたヒートシンクHSBをヒューズ本体FBの直上に配置してもよい。
【0075】
また、各実施の形態では、電気ヒューズEFSの金属シリサイド膜として、コバルトシリサイド膜を例に挙げて説明したが、たとえば、ニッケルシリサイド膜、タングステンシリサイド膜またはチタンシリサイド膜にも適用することができる。また、第1層としてポリシリコン膜、第2層として金属シリサイド膜を例に挙げたが、第2層の融点が第1層の融点よりも高く、主として第2層を電流が流れることによって電気ヒューズを切断することができる材料であれば、ポリシリコン膜および金属シリサイド膜に限られない。
【0076】
各実施の形態において説明した電気ヒューズについては、必要に応じて種々組み合わせることが可能である。
【0077】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0078】
SED 半導体装置、FSC 電気ヒューズ回路、DTR ドライバトランジスタ、EFS 電気ヒューズ、FB ヒューズ本体、FB1 第1部、FB2 第2部、FP ヒューズパッド、PSF ポリシリコン膜、CSF コバルトシリサイド膜、SUB 半導体基板、BIF 分離絶縁膜、CIF コンタクト層間絶縁膜、VIF ヴィア層間絶縁膜、CPG コンタクトプラグ、CPGH コンタクトホール、CH 開口部、M1 第1配線層、MH 開口部、M2 第2配線層、VH 開口部、HSB ヒートシンク、VB ヴィア、CB コンタクト部、GTW グラフ、LFB、LFB1 長さ、FT1、FT2、PFT1、PFT2、CST1、CST2 厚さ、GTS、GCW、GCS、GTC、GCC グラフ、RDT、EDT 温度差、EML、HML モデル、CTE、PTE、RCTE、RPTE グラフ、TR、TE 温度、MPC 融点、DCF 厚さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21