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  • 特開-泡吐出器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156521
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】泡吐出器
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/16 20060101AFI20241029BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20241029BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20241029BHJP
   B05B 11/00 20230101ALN20241029BHJP
   B05B 11/10 20230101ALN20241029BHJP
【FI】
B05B1/16
B65D47/34 110
B05B1/02 101
B05B11/00 101B
B05B11/00 101G
B05B11/10 101B
B05B11/10 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071055
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 舞
【テーマコード(参考)】
3E084
4F033
【Fターム(参考)】
3E084AB01
3E084BA02
3E084CB02
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084KA20
3E084KB05
3E084LC01
3E084LC10
3E084LD22
4F033BA02
4F033BA03
4F033CA13
4F033DA04
4F033EA01
4F033LA06
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】切り替えにより異なる形状の泡を容易に吐出することができる、新たな泡吐出器を提供する。
【解決手段】本開示の泡吐出器100は、容器本体Cの口部に装着されるベースキャップ1と、ベースキャップ1により容器本体Cの口部に垂下保持され内容液と空気とを吸引、加圧、圧送するポンプ2と、ポンプ2から圧送された内容液及び空気を発泡させる発泡部材12と、発泡した内容液及び空気を内部通路14fを通して外部へ吐出させるノズルヘッド20とを備える泡吐出器100であって、ノズルヘッド20は、発泡部材12の下流側から径方向外側に放射状に延びる複数のノズル流路N1~N4と、複数のノズル流路N1~N4の各先端部に設けられた複数の吐出孔14e1~14e4と、複数のノズル流路N1~N4のうち、内容液及び空気が通過可能なノズル流路を選択する選択部(ノズル選択部材16)とを有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着されるベースキャップと、該ベースキャップにより容器本体の口部に垂下保持され内容液と空気とを吸引、加圧、圧送するポンプと、
該ポンプから圧送された内容液及び空気を発泡させる発泡部材と、
発泡した内容液及び空気を内部通路を通して外部へ吐出させるノズルヘッドと
を備える泡吐出器であって、
前記ノズルヘッドは、
前記発泡部材の下流側から径方向外側に放射状に延びる複数のノズル流路と、
前記複数のノズル流路の各先端部に設けられた複数の吐出孔と、
前記複数のノズル流路のうち、内容液及び空気が通過可能なノズル流路を選択する選択部と
を有する、泡吐出器。
【請求項2】
前記複数の吐出孔は、各吐出孔ごとに形状、大きさ、数量、又は配置間隔の少なくともいずれかが異なる、請求項1に記載の泡吐出器。
【請求項3】
前記ノズルヘッドは、前記複数の吐出孔を有するノズル下プレートと、
前記ノズル下プレートの上方に設けられ、前記ノズル下プレートと共に前記複数のノズル流路を形成するノズル上プレートと、
前記複数のノズル流路のうちの一のノズル流路のみを開放し、他のノズル流路を閉塞する遮蔽板を有し、前記ノズル下プレート及び前記ノズル上プレートに対して中心軸線周りに回動するノズル選択部材と
を有する、請求項1又は2に記載の泡吐出器。
【請求項4】
前記ノズル上プレートにおける前記複数の吐出孔の各吐出孔の上方には、前記各吐出孔の形状に対応した吐出孔識別表示が設けられている、請求項3に記載の泡吐出器。
【請求項5】
前記ノズル選択部材には、開放されている前記一のノズル流路に対応する前記吐出孔識別表示を指し示す、吐出孔選択表示が設けられている、請求項4に記載の泡吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内容液と空気との混合物を泡状に吐出させる泡吐出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔料等を充填した容器では、内容液の泡立て動作を省略して簡便な使用を図る観点から、容器内の内容液を直接泡状にして吐出することができる泡吐出器を装備したものが多用されている。
【0003】
かかる泡吐出器は、容器の口部に保持されるベースキャップに、内容液を吸引、加圧、圧送を行うピストンと、空気の吸引、加圧、圧送を行うエアーピストンをそれぞれ同心に配置した単一のシリンダーが取り付けられている。そして、ノズルヘッドを押圧して各ポンプ内のピストンを駆動させることで、内容液と空気をそれぞれ各シリンダー内に吸引するとともに加圧、圧送し、ポンプの出側における合流空間にて内容液と空気を相互に混合させつつメッシュ等の発泡部材を通過させることによって、内容液を泡状にして吐出させる仕組みになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、泡吐出器の内部通路の先端部に複数の泡吐出筒を設けることで、各吐出筒から吐出される泡が所定の形状を描くように構成された泡吐出器も提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015- 67354号公報
【特許文献2】特開2020- 33064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2に示す泡吐出器では、単一の内部通路を通り複数の泡吐出筒から吐出される泡が所定の形状を描くように構成されているものの、他の吐出経路は設けていないため、異なる形状の泡を描くことはできず、この点において改善の余地があった。
【0007】
本開示は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、切り替えにより異なる形状の泡を容易に吐出することができる、新たな泡吐出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本開示の泡吐出器は、
[1]
容器本体の口部に装着されるベースキャップと、該ベースキャップにより容器本体の口部に垂下保持され内容液と空気とを吸引、加圧、圧送するポンプと、
該ポンプから圧送された内容液及び空気を発泡させる発泡部材と、
発泡した内容液及び空気を内部通路を通して外部へ吐出させるノズルヘッドと
を備える泡吐出器であって、
前記ノズルヘッドは、
前記発泡部材の下流側から径方向外側に放射状に延びる複数のノズル流路と、
前記複数のノズル流路の各先端部に設けられた複数の吐出孔と、
前記複数のノズル流路のうち、内容液及び空気が通過可能なノズル流路を選択する選択部と
を有することを特徴とする。
【0009】
また、本開示の泡吐出器は、
[2]
上記[1]に記載の構成において、前記複数の吐出孔は、各吐出孔ごとに形状、大きさ、数量、又は配置間隔の少なくともいずれかが異なることが好ましい。
【0010】
また、本開示の泡吐出器は、
[3]
上記[1]又は[2]に記載の構成において、前記ノズルヘッドは、前記複数の吐出孔を有するノズル下プレートと、前記ノズル下プレートの上方に設けられ、前記ノズル下プレートと共に前記複数のノズル流路を形成するノズル上プレートと、前記複数のノズル流路のうちの一のノズル流路のみを開放し、他のノズル流路を閉塞する遮蔽板を有し、前記ノズル下プレート及び前記ノズル上プレートに対して中心軸線周りに回動するノズル選択部材とを有することが好ましい。
【0011】
また、本開示の泡吐出器は、
[4]
上記[3]に記載の構成において、前記ノズル上プレートにおける前記複数の吐出孔の各吐出孔の上方には、前記各吐出孔の形状に対応した吐出孔識別表示が設けられていることが好ましい。
【0012】
また、本開示の泡吐出器は、
[5]
上記[4]に記載の構成において、前記ノズル選択部材には、開放されている前記一のノズル流路に対応する前記吐出孔識別表示を指し示す、吐出孔選択表示が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、切り替えにより異なる形状の泡を容易に吐出することができる、新たな泡吐出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示に従う泡吐出器の一実施形態を、容器本体の口部に装着した状態で示す正面一部断面図である。
図2図1におけるノズル下プレートの底板の底面図である。
図3図1におけるノズル上プレート及びノズル選択部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面(図1から図3)を参照して、本開示である泡吐出器100の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本開示に従う泡吐出器100の一実施形態を、容器本体Cの口部に装着した状態で示す正面一部断面図である。本実施形態において、泡吐出器100は、容器本体Cの口部に装着されるベースキャップ1と、ベースキャップ1により容器本体Cの口部に垂下保持され収容空間S内の内容液と外部からの空気とをそれぞれ個別に吸引、加圧、圧送するポンプ2と、ポンプ2から圧送された内容液及び空気を発泡させる発泡部材12と、発泡した内容液及び空気の混合物を内部通路14fを通して外部へ吐出させるノズルヘッド20とを備えている。
【0016】
なお、本明細書、特許請求の範囲、及び図面においては、上下方向は、図1に示すように泡吐出器100を容器本体Cに装着し正立姿勢とした状態における上方、下方を意味するものとする。また、径方向外側とは、図1における泡吐出器100の中心軸線Oを通り中心軸線Oに垂直な直線に沿って中心軸線Oから離れる方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って中心軸線Oに向かう方向を意味するものとする。また、周方向とは、中心軸線O周りに回転する方向である。また、上流側とは、ポンプ2のシリンダー4の下部に嵌合保持された吸引パイプP側であり、下流側とは、泡が吐出されるノズルヘッド20側を指すものとする。
【0017】
図1において、符号1は、容器本体Cの口部に装着されるベースキャップである。ベースキャップ1は、天面壁1aの外縁部より垂下される外壁1bを有しており、外壁1bの内側に設けた雌ねじ部を容器本体Cの口部に設けた雄ねじ部にねじ係合させることで着脱自在に装着されている。なお、ベースキャップ1を容器本体Cに装着するには、アンダーカット係合等、他の既知の構成を用いることも可能である。また、天面壁1aの中央には上方へ向けて起立する中空頸部1cを設けている。なお、中空頸部1c内側には、天面壁1aを貫いて容器の内側に通じる貫通孔が形成されている。
【0018】
符号2は、ベースキャップ1によって容器本体Cの口部に垂下保持され内容液と空気とをそれぞれ個別に吸引、加圧、圧送するポンプである。ポンプ2は、容器本体Cの口部に垂下保持されるシリンダー4と、シリンダー4の内部から上方に向けて立設され上方付勢された中空ステム7とを備え、中空ステム7の押下によってシリンダー4の嵌合筒4dに嵌合保持される吸引パイプPから収容空間S内の内容液をシリンダー4内に吸い上げ、加圧してノズルヘッド20に向けて上方に圧送する。なお、ポンプ2には、公知のポンプ機構を使用可能であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0019】
中空ステム7の内側には、図1に示すように、シリンダー4内が負圧に転じた際にノズルヘッド20内の内容液の逆流を抑制するボール弁Bと、ボール弁Bの下流側において内容液と空気とを合流させる合流空間Gとが設けられている。また、中空ステム7の上端部における外周面が、後述するノズル下プレート14の底壁14aから垂下する内部筒状壁14dの内側に嵌合し固定されている。
【0020】
そして、図1に示すように中空ステム7の上方には、混合した内容液及び空気を、その内側に設けた発泡部材12(メッシュリング)により発泡させて内部通路14f及び後述するノズル流路N1~N4を通して外部へ吐出させるノズルヘッド20が設けられている。本実施形態のノズルヘッド20は、内部筒状壁14dの内側にジェットリング13を介して発泡部材12を保持するようにしている。
【0021】
本実施形態の発泡部材12は、リング状となる本体部の一端部にメッシュ12aが取り付けられたものである。また、本実施形態では総計2個の発泡部材12を、それぞれのメッシュ12aが外側を向くように(メッシュ12aを設けていない側が合わせ目となるように)してジェットリング13に取り付けている。
【0022】
ノズルヘッド20は、図1に示すように、4つの吐出孔14e1~14e4を有するノズル下プレート14と、ノズル下プレート14の上方に設けられ、ノズル下プレート14と共に4つのノズル流路N1~N4を形成するノズル上プレート15と、4つのノズル流路N1~N4のうちの一のノズル流路のみを開放し、他のノズル流路を閉塞する遮蔽板16c2を有し、ノズル下プレート14及びノズル上プレート15に対して中心軸線O周りに回動するノズル選択部材16とを有している。
【0023】
ノズル下プレート14は、図1に示すように、内部筒状壁14dの上端部から略水平方向に延びる底壁14aと、底壁14aの上面に立設されノズル流路N1~N4の側面を区画形成する区画壁14bと、各ノズル流路N1~N4の径方向外端部において底壁14aに設けられた吐出孔14e1~14e4と、内部筒状壁14dの径方向外側において底壁14aから垂下するヘッドリング14cとを備えている。
【0024】
ノズル下プレート14は、図2に示すように底面視において略円形状を備えている。本実施形態において、ノズル流路N1~N4は、発泡部材12の下流側における内部筒状壁14dの上端部から径方向外側に放射状に延びている(図1及び図2参照)。ノズル流路N1~N4は、ノズル下プレート14の底壁14aと、底壁14aの上面に立設された区画壁14bと、後述するノズル上プレート15の天壁15aとによって区画形成されている。ノズル流路N1~N4は、隣接するノズル流路と周方向に90度の間隔をあけて4箇所に設けられており、各ノズル流路N1~N4の径方向外側端(先端部)における底壁14aには、それぞれ吐出孔14e1~14e4が設けられている。
【0025】
各吐出孔14e1~14e4は、図2に示すように、それぞれが吐出対象物上に別個の所定の形状の泡を描くように、形状、大きさ、数量、又は配置間隔の少なくともいずれかが異なるように構成されている。より具体的には、図2に示すように、吐出孔14e1は、他の吐出孔14e2及び14e3とは吐出孔の形状が異なっている。また、吐出孔14e1は、他の吐出孔14e4とは、吐出孔の大きさ及び配置間隔が異なるように設けられている。
【0026】
区画壁14bは、図1及び図2に示すように、内部通路14fの上端部の中央開口14f1から径方向外側の4方向に向けて放射状に延びると共に、径方向外側端の各吐出孔14e1~14e4の周りを略円弧形状で囲むように設けられている。この構成によって、内部通路14fから後述するノズル選択部材16によって選択されたノズル流路N1~N4のいずれかを通って径方向外側方向に泡を運び、選択された吐出孔14e1~14e4のいずれかの周りに発砲された内容液を速やかに供給することができる。
【0027】
なお、ノズル流路N1~N4及び吐出孔14e1~14e4は、4つに限定されるものではなく、2つ以上の任意の数だけ設けることができる。また、ノズル流路N1~N4及び吐出孔14e1~14e4は、必ずしも周方向に等間隔で設ける必要は無く、例えば2つのノズル流路及び吐出孔を周方向に60度だけ間隔を空けて設けてもよい。このような構成によって、吐出孔を切り替えても泡が吐出される方向が大きく変化しないため、使い勝手が良い場合がある。
【0028】
ノズル上プレート15は、図2に示すように平面視において略円形状を備えている。またノズル上プレート15は、図1に示すように、水平方向に延在し上述のノズル流路N1~N4の上壁を区画形成する天壁15aと、天壁15aの径方向外側端から下方に垂下する周壁15bと、天壁15aにおける径方向内側端に立設された摺動筒15cと、区画壁14bと天壁15aとの隙間をシールするシール壁15dとを備えている。周壁15bは、図1に示すように、区画壁14bにおける吐出孔14e1~14e4を囲む部分にアンダーカット係合する。シール壁15dは、図1に示すように天壁15aから垂下するとともに平面視でノズル流路N1~N4に沿って設けられている。シール壁15dは、図1に示すように区画壁14bと天壁15aとの隙間をノズル流路の内側からシールしている。
【0029】
ノズル上プレート15の摺動筒15cは、天壁15aの径方向内側端に立設され、後述するノズル選択部材16の回動軸16cを内側に嵌合させる。後述するようにノズル選択部材16の遮蔽板16c2が内部通路14fから4つのノズル流路N1~N4のうちの3つのノズル流路内への内容液の進入を阻止するように構成されている。従って、ノズル選択部材16の回動軸16cを摺動筒15c内で回動させることによって、ノズル選択部材16の遮蔽板16c2が内容液の流れを阻止するノズル流路N1~N4を切り替えることができる。
【0030】
各吐出孔14e1~14e4の上方におけるノズル上プレート15の天壁15aの上面には、図3に示すように各吐出孔14e1~14e4の形状に対応した吐出孔識別表示15e1~15e4が設けられている。例えば、図2における吐出孔14e2は星型形状を有する吐出孔であり、吐出孔14e2から吐出された泡は、星型となって対象物上に吐出される。その吐出孔14e2の上方における天壁15aの上面には、吐出孔14e2から吐出される泡の形状に対応した吐出孔識別表示15e2が設けられている。吐出孔識別表示15e2は、例えば吐出孔14e2から吐出される泡の形状に対応した星型形状を有する天壁15aの凹部又は凸部であってもよい。吐出孔識別表示15e2は、星型形状を有する又は星型形状が描かれたラベル等が天壁15aの上面に固定されたものであってもよい。他の吐出孔14e1,14e3,14e4についても同様である。
【0031】
ノズル選択部材16は、最上部において略水平方向に延び円形形状を有する頂壁16aと、頂壁16aの径方向中央部から垂下する回動軸16cと、頂壁16aの径方向外側端から垂下する側壁16bとを備えている。また、回動軸16cの下端部は、周方向の一部に切り欠き部16c1を有する遮蔽板16c2を構成している。より具体的には、遮蔽板16c2は、図1に示す状態において、中央開口14f1を通過した内容液のノズル流路N2,N3,N4への進入を妨げる。一方で、回動軸16cの下端部における周方向の1箇所には切り欠き部16c1が設けられており、中央開口14f1を通過した内容液のノズル流路N1への進入を許容する。この構成によって、ノズル選択部材16の切り欠き部16c1が存在する周方向位置のノズル流路のみが内部通路14fと連通するため、利用者は、吐出させたいノズル流路(吐出孔)の周方向位置に切り欠き部16c1の周方向位置を合わせることで4つの吐出孔14e1~14e4から任意の一の吐出孔を選択して内容液を泡状に吐出させることができる。
【0032】
本実施形態では、ノズル選択部材16の頂壁16aには、図3に示すように、切り欠き部16c1の周方向位置を指し示す吐出孔選択表示16eが設けられている。この吐出孔選択表示16eを設けることによって、利用者は、切り欠き部16c1の周方向位置、すなわち泡状の内容液が進入するノズル流路及び吐出される吐出孔の周方向位置を認識することができる。
【0033】
この吐出孔選択表示16eは、図3に示すように吐出される吐出孔の周方向位置を指し示す矢印等であってもよく、例えば頂壁16aの上面に設けた矢印形状の凹部又は凸部であってもよい。また、吐出孔選択表示16eは、矢印形状を有する、又は矢印形状が描かれたラベル等を頂壁16aに固定したものであってもよい。吐出孔選択表示16eは、矢印形状以外の形状を有する表示であってもよい。
【0034】
なお、ベースキャップ1の天面壁1aとヘッドリング14cとの間には、図1に二点鎖線で示すように、ノズルヘッド20の不用意な押し下げを阻止するストッパー19を設けてもよい。ストッパー19は、例えば平面視で略C字状をなすものであり、中空頸部1cの側方から着脱自在に装着することができる。
【0035】
このように構成される泡吐出器100において、利用者は、まずノズル選択部材16を中心軸線O周りに回動させて、吐出孔選択表示16eが吐出させたい吐出孔14e1~14e4に対応する吐出孔識別表示15e1~15e4のいずれかを指し示すように周方向の位置合わせを行う。なお、例えばノズル選択部材16の回動軸16cの外周面とノズル上プレート15の摺動筒15cの一方に設けた凸部が他方に設けた凹部に係合するなどの手段によって、切り欠き部16c1が吐出孔14e1~14e4のいずれかの周方向位置に正確に位置合わせされるように構成することが好ましい。
【0036】
次に利用者は、ストッパー19を取り外してノズルヘッド20を押し込むと、ノズルヘッド20に固定された中空ステム7が押下げられて、ポンプ2のシリンダー4内に蓄えられた内容液及び空気が個別に圧縮されて合流空間Gに向かって流れる。
【0037】
そして、合流空間Gにて気液混合状態となった内容液は、発泡部材12を通って泡状となり、ノズルヘッド20の内部通路14fを通って上昇し、切り欠き部16c1を通過してノズル流路N1~N4のいずれか、並びに吐出孔14e1~14e4のいずれかから外部へ吐出される。
【0038】
ノズルヘッド20を押し切った後、押し込みにかかる力を取り除くと、スプリングの反発力で中空ステム7は初期姿勢へと復帰する。
【0039】
この復帰過程において、ポンプ2のシリンダー4内は負圧となり、吸引パイプPから容器本体C内の内容液が吸引されるとともに、シリンダー4内に外部の空気も取り込まれる。
【0040】
このようにしてノズルヘッド20の押し込みと初期姿勢への復帰を繰り返し行うことで、容器本体Cの収容空間S内の内容液を泡状にして連続的に吐出させることができる。
【0041】
以上述べたように、本実施形態は、容器本体Cの口部に装着されるベースキャップ1と、ベースキャップ1により容器本体Cの口部に垂下保持され内容液と空気とを吸引、加圧、圧送するポンプ2と、ポンプ2から圧送された内容液及び空気を発泡させる発泡部材12と、発泡した内容液及び空気を内部通路14fを通して外部へ吐出させるノズルヘッド20とを備える泡吐出器100であって、ノズルヘッド20は、発泡部材12の下流側から径方向外側に放射状に延びる複数のノズル流路N1~N4と、複数のノズル流路N1~N4の各先端部に設けられた複数の吐出孔14e1~14e4と、複数のノズル流路N1~N4のうち、内容液及び空気が通過可能なノズル流路を選択する選択部(ノズル選択部材16)とを有するように構成した。このような構成の採用によって、ノズルヘッド20に設けた選択部(ノズル選択部材16)の操作によって、複数の吐出孔14e1~14e4から泡状の内容液を吐出させる吐出孔を選択することができる。従って、切り替えにより異なる形状の泡を容易に吐出することができる、新たな泡吐出器を提供することができる。
【0042】
また本実施形態では、複数の吐出孔14e1~14e4は、各吐出孔ごとに形状、大きさ、数量、又は配置間隔の少なくともいずれかが異なるように構成した。このような構成の採用によって、設けたノズル流路N1~N4の数だけ異なる態様で泡状の内容液を外部に吐出することができる。
【0043】
また本実施形態では、ノズルヘッド20は、複数の吐出孔14e1~14e4を有するノズル下プレート14と、ノズル下プレート14の上方に設けられ、ノズル下プレート14と共に複数のノズル流路N1~N4を形成するノズル上プレート15と、複数のノズル流路N1~N4のうちの一のノズル流路のみを開放し、他のノズル流路を閉塞する遮蔽板16c2を有し、ノズル下プレート14及びノズル上プレート15に対して中心軸線O周りに回動するノズル選択部材16とを有するように構成した。このような構成の採用によって、ノズル選択部材16を中心軸線O周りに回転させるという簡便な操作により泡状の内容液を吐出する吐出孔14e1~14e4を容易に切り替えることができる。
【0044】
また本実施形態では、ノズル上プレート15における複数の吐出孔14e1~14e4の各吐出孔の上方には、各吐出孔の形状に対応した吐出孔識別表示15e1~15e4が設けられるように構成した。このような構成の採用によって、利用者は、吐出孔識別表示15e1~15e4から、直下に設けられている吐出孔14e1~14e4の形状を容易に認識することができる。
【0045】
また本実施形態では、ノズル選択部材16には、開放されている一のノズル流路N1~N4に対応する吐出孔識別表示15e1~15e4を指し示す、吐出孔選択表示16eが設けられるように構成した。このような構成の採用によって、利用者は、ノズルヘッド20を押下することによりどの形状の吐出孔14e1~14e4から泡状の内容液が吐出されるのかを、吐出孔選択表示16eが指し示す吐出孔識別表示15e1~15e4により容易に認識することができる。
【0046】
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0047】
例えば、本実施形態では、吐出孔14e1~14e4をノズル下プレート14の底壁14aに設けて泡状の内容液が下方に向けて吐出されるように構成したが、この態様には限定されない。泡状の内容液が例えば吐出孔14e1~14e4から略水平方向に吐出されるように構成してもよい。
【0048】
また、本実施形態では、ノズルヘッド20がノズル下プレート14、ノズル上プレート15及びノズル選択部材16の3部材から構成されるようにしたが、この態様には限定されない。ノズル下プレート14とノズル上プレート15の機能を1部材で実現したり、3部材以上で構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本開示によれば、切り替えにより異なる形状の泡を容易に吐出することができる、新たな泡吐出器100を提供することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ベースキャップ
1a 天面壁
1b 外壁
1c 中空頸部
1e リブ
2 ポンプ
4 シリンダー
4d 嵌合筒
7 中空ステム
12 発泡部材
12a メッシュ
13 ジェットリング
14 ノズル下プレート
14a 底壁
14b 区画壁
14c ヘッドリング
14d 内部筒状壁
14e1,14e2,14e3,14e4 吐出孔
14f 内部通路
14f1 中央開口
15 ノズル上プレート
15a 天壁
15b 周壁
15c 摺動筒
15d シール壁
15e1,15e2,15e3,15e4 吐出孔識別表示
16 ノズル選択部材
16a 頂壁
16b 側壁
16c 回動軸
16c1 切り欠き部
16c2 遮蔽板
16e 吐出孔選択表示
19 ストッパー
20 ノズルヘッド
100 泡吐出器
B ボール弁
C 容器本体
G 合流空間
N1,N2,N3,N4 ノズル流路
O 中心軸線
P 吸引パイプ
S 収容空間
図1
図2
図3