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特開2024-156529硬化性組成物及びその硬化物、積層体
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  • 特開-硬化性組成物及びその硬化物、積層体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156529
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】硬化性組成物及びその硬化物、積層体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/67 20060101AFI20241029BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20241029BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241029BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
C08G18/67 050
C08G18/32 003
B32B27/00 E
B32B27/10
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071069
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】592019589
【氏名又は名称】ダイセル・オルネクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】酒井 勝壽
(72)【発明者】
【氏名】大下 徹
【テーマコード(参考)】
4F100
4J034
【Fターム(参考)】
4F100AK25A
4F100AK25D
4F100AK42B
4F100AK42E
4F100AK51A
4F100AK51D
4F100AT00B
4F100AT00E
4F100BA02
4F100BA05
4F100CC00D
4F100DG10C
4F100EH46A
4F100EH46D
4F100EJ423
4F100EJ543
4F100EJ82C
4F100GB07
4F100GB81
4F100JB12A
4F100JC00
4F100JL11
4F100YY00A
4J034CA04
4J034CC07
4J034CC26
4J034CC45
4J034CC52
4J034CC61
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF02
4J034DG02
4J034EA11
4J034EA12
4J034FB01
4J034FC01
4J034FC03
4J034FD01
4J034FE02
4J034HA01
4J034HA07
4J034HA18
4J034HB07
4J034HB08
4J034HB09
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034QB11
4J034RA07
(57)【要約】
【課題】化粧紙や化粧板への応用が可能な硬化性組成物であって、従来よりも少ない熱エネルギーで硬化可能な硬化性組成物及びその硬化物と、これらを1以上含む積層体の提供。
【解決手段】硬化性成分と、光重合開始剤とを含み、前記硬化性成分が、少なくとも2つのイソシアネート基を含むポリイソシアネート成分(A)と、少なくとも2つの水酸基を含むポリオール成分(B)とを含み、前記成分(A)及び前記成分(B)から選択される1以上の成分が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基をさらに含む、及び/又は少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリレート成分(C)をさらに含む、硬化性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性成分と、光重合開始剤とを含み、
前記硬化性成分が、
少なくとも2つのイソシアネート基を含むポリイソシアネート成分(A)と、
少なくとも2つの水酸基を含むポリオール成分(B)とを含み、
前記成分(A)及び前記成分(B)から選択される1以上の成分が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基をさらに含む、及び/又は少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリレート成分(C)をさらに含む、硬化性組成物。
【請求項2】
前記成分(A)及び前記成分(B)から選択される1以上の成分が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基をさらに含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記硬化性成分が前記成分(C)を含み、
前記成分(C)が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と、水酸基とを含む、水酸基含有(メタ)アクリレート(C2)を含む、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記成分(B)が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と、少なくとも2つの水酸基とを有する、(メタ)アクリロイル基含有ポリオール(B2)を含む、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記硬化性成分の総質量に対する、バイオマス由来成分の割合が10質量%以上である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記成分(B)の平均水酸基当量が30~5,000である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記硬化性成分のイソシアネートインデックス(平均イソシアネート基当量/平均水酸基当量)が0.01~2.0である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の硬化性組成物の硬化物。
【請求項9】
請求項1に記載の硬化性組成物、及び請求項8に記載の硬化物から選択される1以上を含む層を備える、積層体。
【請求項10】
樹脂含浸化粧紙、又は樹脂含浸化粧板である、請求項9に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物及びその硬化物、積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅建材や家具などの意匠性や耐久性を高めるために、樹脂含浸化粧板(以下、「化粧板」と記載する)が表面材として用いられている。化粧板は、熱硬化性樹脂であるメラミンを含浸させた樹脂含浸化粧紙(以下、「化粧紙」と記載する)を基材(木質基材や無機質機材など)と一体化させることで得られる。
【0003】
化粧紙の製造方法としては、例えば、(1)メラミン樹脂を充填した槽中に多孔質原紙等の含浸紙を浸漬させることにより、メラミン樹脂を紙に含浸させて化粧紙を得た後、該化粧紙を基材上面に重ねて低圧で熱圧成形する方法(低圧メラミン法)、(2)メラミン樹脂含浸化粧紙及びフェノール樹脂含浸化粧紙のみを積層して高圧で熱圧成形する方法(高圧メラミン法)が知られている。これらメラミン化粧板は上面硬度が高く、対汚染性、耐摩耗性、耐熱性、耐水性に優れ、傷が付きにくいこと等から、低圧メラミン法で得られた化粧板は家具材や内装材等に使用され、高圧メラミン法で得られた化粧板は、その厚みが薄いことから、家具やドアの面材、棚やカウンターの面材等に使用される。表面の平滑性や意匠性に優れる化粧板とする観点から、化粧紙を製造した後に、該化粧紙の表面に、さらにトップコート層を設けた化粧板も提案されている(例えば、特許文献1、2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-140629号公報
【特許文献2】特開2022-172800号公報
【特許文献3】特許第7212425号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで化粧板の製造においては、その製造過程で多量の熱エネルギーを消費するという問題がある。すなわち、上記したようなメラミン樹脂やフェノール樹脂等の石油由来樹脂を、含浸、乾燥、熱圧着(180℃)して化粧板を製造するため、製造プロセスにおける熱エネルギー消費量が膨大となる。そのため、従来の熱硬化性樹脂よりも、少ない熱エネルギーで化粧紙や化粧板を製造できる硬化性材料が求められている。また、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂は石油由来成分の割合が高いため、石油由来成分の少ない、環境に配慮した硬化性材料も求められている。係る課題に対して、例えば、特許文献3には、製造プロセスの電力消費を低減できる、化粧板の製造装置も提案されている。
【0006】
本開示の課題は、化粧紙や化粧板への応用が可能な硬化性組成物であって、従来よりも少ない熱エネルギーで硬化可能な硬化性組成物及びその硬化物と、これらを1以上含む積層体の提供とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは鋭意検討した結果、硬化性成分を、光硬化(紫外線硬化、電子線硬化等)及び熱硬化の併用が可能なデュアルキュア材料とし、かつ硬化性成分中の熱硬化性官能基及び光硬化性官能基の割合を制御することで、前述の課題を解決できることを見出した。さらに驚くべきことに、この硬化性材料は、従来よりも低い温度で硬化することができ、さらに化粧紙又は化粧板の含浸樹脂、トップコート層、及び基材との接着層の全てに応用できることも見出した。また、硬化性成分としてバイオマス由来の材料を選択しても、上記の効果を維持できるため、石油由来成分の割合の少ない、環境配慮型の硬化性材料とすることもできる。
【0008】
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1]硬化性成分と、光重合開始剤とを含み、
前記硬化性成分が、
少なくとも2つのイソシアネート基を含むポリイソシアネート成分(A)と、
少なくとも2つの水酸基を含むポリオール成分(B)とを含み、
前記成分(A)及び前記成分(B)から選択される1以上の成分が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基をさらに含む、及び/又は少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリレート成分(C)をさらに含む、硬化性組成物。
[2]前記成分(A)及び前記成分(B)から選択される1以上の成分が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基をさらに含む、[1]に記載の硬化性組成物。
[3]前記硬化性成分が前記成分(C)を含み、
前記成分(C)が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と、水酸基とを含む、水酸基含有(メタ)アクリレート(C2)を含む、[1]または[2]に記載の硬化性組成物。
[4]前記成分(B)が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と、少なくとも2つの水酸基とを有する、(メタ)アクリロイル基含有ポリオール(B2)を含む、[1]から[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[5]前記硬化性成分の総質量に対する、バイオマス由来成分の割合が10質量%以上である、[1]から[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6]前記成分(B)の平均水酸基当量が30~5,000である、[1]から[5]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[7]前記硬化性成分のイソシアネートインデックス(平均イソシアネート基当量/平均水酸基当量)が0.01~2.0である、[1]から[6]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[8][1]から[7]のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化物。
[9][1]から[7]のいずれかに記載の硬化性組成物、及び[8]に記載の硬化物から選択される1以上を含む層を備える、積層体。
[10]樹脂含浸化粧紙、又は樹脂含浸化粧板である、[9]に記載の積層体。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、従来よりも少ない熱エネルギーで硬化可能な硬化性組成物及びその硬化物と、これらを1以上含む積層体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第3の実施形態に係る積層体の一態様である化粧板の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態について詳細に説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の効果を阻害しない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。
各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
一実施形態について記載した特定の説明が他の実施形態についても当てはまる場合には、他の実施形態においてはその説明を省略している場合がある。本開示において数値範囲についての「X~Y」との表現は、「X以上Y以下」であることを意味している。
【0012】
[硬化性組成物]
本開示における第1の実施形態は、硬化性成分と、光重合開始剤とを含み、前記硬化性成分が、少なくとも2つのイソシアネート基を含むポリイソシアネート成分(A)と、少なくとも2つの水酸基を含むポリオール成分(B)とを含み、前記成分(A)及び前記成分(B)から選択される1以上の成分が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基をさらに含む、及び/又は少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリレート成分(C)をさらに含む、硬化性組成物に関する。第1の実施形態によれば、従来よりも少ない熱エネルギーで硬化可能な硬化性組成物を提供できる。
【0013】
<硬化性成分>
第1の実施形態に係る硬化性組成物は、少なくとも2つのイソシアネート基を含むポリイソシアネート成分(A)と、少なくとも2つの水酸基を含むポリオール成分(B)とを含み、前記成分(A)及び前記成分(B)から選択される1以上の成分が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基をさらに含む、及び/又は少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリレート成分(C)をさらに含む、硬化性成分を含む。
【0014】
(ポリイソシアネート成分(A))
硬化性成分は、少なくとも2つのイソシアネート基を含むポリイソシアネート成分(A)(以下、「成分(A)」と記載することもある)を含む。ここで、「ポリイソシアネート成分(A)」は、少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート(例えば、後述するポリイソシアネート(A1)及び/又は(メタ)アクリロイル基含有ポリイソシアネート(A2)等)を、成分(A)の総質量に対して10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上含有する。
【0015】
一実施形態において、成分(A)のイソシアネート基の数(以下、「イソシアネート基数(a)」と記載する)は、2~4であってもよく、2~3.5であってもよい。イソシアネート基数(a)が前記範囲内であれば、光硬化及び熱硬化のバランスを取りやすくなり、少ない熱エネルギーで硬化可能な硬化性組成物が得られやすくなる。なお、成分(A)が後述するポリイソシアネート(A1)及び(メタ)アクリロイル基含有ポリイソシアネート(A2)を含む場合、イソシアネート基数(a)は、ポリイソシアネート(A1)及び(A2)のイソシアネート基数の合計値である。
【0016】
なお、成分(A)のイソシアネート基数(a)は、以下の式(1)より算出できる。
イソシアネート基数(a)=(成分(A)の数平均分子量(Mn))×(成分(A)中のイソシアネート基濃度(質量%))/4202 ・・・(1)
式(1)において、成分(A)の数平均分子量(Mn)は、GPCを用いて、溶媒:THF、カラム温度:40℃、標準物質:ポリエチレンオキシドとして測定することができる。また、成分(A)中のイソシアネート基濃度は、例えば、IR(赤外分光法)や、以下の滴定法等により分析できる。
【0017】
・イソシアネート基濃度の測定
滴定法によるイソシアネート基濃度(質量%)の測定は、以下のように実施する。なお、測定は100mLのガラスフラスコを用いてスターラーで撹拌しながら実施する。
まず、以下のように、ブランク値を測定する。
15mLのTHFに、ジブチルアミンのTHF溶液(0.1N)15mLを加える。さらにブロモフェノールブルー(1質量%メタノール希釈液)を3滴加えて青色に着色させた後、規定度が0.1NであるHCl水溶液で滴定する。変色がみられた時点のHCl水溶液の滴定量をVb(mL)とする。
次に、実測イソシアネート基濃度を測定する。まず、サンプルをWs(g)秤量し、15mLのTHFに溶解させ、ジブチルアミンのTHF溶液(0.1N)を15mL加える。溶液化したことを確認した後、ブロモフェノールブルー(1質量%メタノール希釈液)を3滴加えて青色に着色させた後、規定度が0.1NであるHCl水溶液で滴定する。変色がみられた時点のHCl水溶液の滴定量をVs(mL)とする。
以下の式(2)より、サンプル中のイソシアネート基濃度を算出する。
イソシアネート基濃度(質量%)=[(Vb-Vs)×1.005×0.42]/Ws ・・・(2)
なお、成分(A)として市販品を用いる場合、前述のイソシアネート基濃度、及び数平均分子量はメーカー公称値を採用してもよい。
【0018】
一実施形態において、成分(A)中のイソシアネート基濃度は、5~30質量%であってもよく、10~30質量%であってもよく、15~30質量%であってもよく、20~30質量%であってもよい。また、成分(A)の数平均分子量(Mn)は、100~1,000であってもよく、150~1,000であってもよく、150~800であってもよく、450~700であってもよい。成分(A)の数平均分子量(Mn)及びイソシアネート基濃度が前記範囲内であれば、硬化性が良好となりやすい。
【0019】
一実施形態において、成分(A)の平均イソシアネート基当量は、80~1,000g/moLであってもよく、90~750g/moLであってもよく、100~500g/moLであってもよい。成分(A)の平均イソシアネート基当量が前記範囲内であれば、硬化性が良好となりやすい。なお、「平均イソシアネート基当量」(以下、「NCO当量」と記載することもある)は、JIS K 1603-1の規格に沿って測定した値を採用してもよく、以下の式(3)から算出した値を採用してもよい。
NCO当量=(イソシアネート基(NCO基)の分子量(42))/(イソシアネート基濃度(質量%))×100 ・・・(3)
【0020】
成分(A)は、少なくとも2つのイソシアネート基を有する、ポリイソシアネート単量体及びポリイソシアネート誘導体から選択される1以上のポリイソシアネート(A1)を含むことができる。
【0021】
(ポリイソシアネート(A1))
ポリイソシアネート(A1)(以下、「成分(A1)」と記載することもある)に含まれるポリイソシアネート単量体としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられる。
【0022】
・芳香族ポリイソシアネート
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4-、又は2,6-トリレンジイソシアネート、もしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m-、p-フェニレンジイソシアネート、もしくはその混合物)、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’-、2,4’-、又は2,2’-ジフェニルメタンジイソシネート、もしくはその混合物)(MDI)、4,4’-トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート等の2官能の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。成分(A)は、これら芳香族ポリイソシアネートを1種単独で含んでいてもよく、2種以上併用してもよい。
【0023】
・芳香脂肪族ポリイソシアネート
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3-、又は1,4-キシリレンジイソシアネート、もしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3-、又は1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、もしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン等の2官能の芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。成分(A)は、これら芳香脂肪族ポリイソシアネートを1種単独で含んでいてもよく、2種以上併用してもよい。
【0024】
・脂肪族ポリイソシアネート
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート)、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:ヘキサメチレンジイソシアネート)(HDI)、2,4,4-、又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等の2官能の脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。成分(A)は、これら脂肪族ポリイソシアネートを1種単独で含んでいてもよく、2種以上併用してもよい。
【0025】
・脂環族ポリイソシアネート
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート)、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート)(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート(別名:ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)(1,3-、又は1,4-水添キシリレンジイソシアネート、もしくはその混合物)(HXDI)、水添ジフェニルメタンジイソシネート(別名:ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート))(4,4’-、2,4’-、又は2,2’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)のトランス-トランス体、トランス-シス体、シス-シス体、もしくはその混合物)(H12MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート(各種異性体、もしくはその混合物)(NBDI)等の2官能の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。成分(A)は、これら脂環族ポリイソシアネートを1種単独で含んでいてもよく、2種以上併用してもよい。
【0026】
一実施形態において、成分(A1)は前述のポリイソシアネート単量体を、1種単独で含んでいてもよく、2種類以上併用することもできる。
【0027】
・ポリイソシアネート誘導体
ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、前述のポリイソシアネート単量体の多量体(例えば、2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体)、5量体、7量体等)、アロファネート変性体(例えば、前記ポリイソシアネート単量体と、公知の1価アルコール及び/又は公知の2価アルコールとの反応により生成するアロファネート変性体等)、ポリオール変性体(例えば、前記ポリイソシアネート単量体と公知の3価以上のアルコールとの反応により生成するポリオール変性体(アルコール付加体等)、ビウレット変性体(例えば、前記ポリイソシアネート単量体と、水やアミン類との反応により生成するビウレット変性体等)、ウレア変性体(例えば、前記ポリイソシアネート単量体とジアミンとの反応により生成するウレア変性体等)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、前記ポリイソシアネート単量体と炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオン等)、カルボジイミド変性体(例えば、前記ポリイソシアネート単量体の脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体等)、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体などが挙げられる。
【0028】
一実施形態において、成分(A1)は前述のポリイソシアネート誘導体を、1種単独で含んでいてもよく、2種類以上併用することもできる。イソシアネート基数(a)を2超に調整しやすい観点からは、成分(A1)は、ポリイソシアネート誘導体を含むことが好ましい。また、脂肪族ジイソシアネートの多量体を含んでいてもよい。
【0029】
成分(A)が成分(A1)を含む場合、前述のイソシアネート基濃度、数平均分子量(Mn)、NCO当量を有するポリイソシアネートを用いることが好ましい。
より好ましい実施形態においては、成分(A)は、イソシアネート基濃度が20~30質量%であり、NCO当量が100~200g/moLの成分(A1)を含むことができる。また、成分(A)の総質量に対する成分(A1)の割合は、10~100質量%が好ましく、50~100質量%がより好ましい。
【0030】
成分(A)は、さらに少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含むことができる。すなわち、成分(A)は、成分(A1)及び、少なくとも2つのイソシアネート基と、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含む、(メタ)アクリロイル基含有ポリイソシアネート(A2)から選択される1以上の成分を含むことができる。なお、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の両方を含み得る。
【0031】
((メタ)アクリロイル基含有ポリイソシアネート(A2))
(メタ)アクリロイル基含有ポリイソシアネート(A2)(以下、「成分(A2)」と記載することもある)中の(メタ)アクリロイル基数は、1~10であってもよく、2~8であってもよく、2~4であってもよい。また、成分(A2)中のイソシアネート基数は2以上であり、その上限は特に限定されない。一実施形態において、成分(A2)は、分子内に、少なくとも1つのウレタン結合と、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と、少なくとも2つのイソシアネート基とを有する、イソシアネート基含有ウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
【0032】
成分(A)が成分(A2)を含む場合、前述のイソシアネート基濃度、数平均分子量(Mn)、NCO当量を有する(メタ)アクリロイル基含有ポリイソシアネートを用いることが好ましい。より好ましい実施形態においては、成分(A)は、イソシアネート基濃度が10~15質量%であり、NCO当量が200超350以下g/moLの成分(A2)を含んでいてもよい。成分(A)の総質量に対する成分(A2)の割合は、0~90質量%であってもよく、0~50質量%であってもよい。一実施形態においては、成分(A)中の成分(A2)の割合は100質量%であってもよい。
【0033】
成分(A2)としては市販品を用いてもよく、例えば、ダイセル・オルネクス(株)製の、製品名「EBECRYL(登録商標)4141」、「EBECRYL 4250」、「EBECRYL 4510」等を採用できる。また、成分(A2)は1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
一実施形態において、硬化性組成物の熱硬化性が良好となりやすい観点からは、成分(A)は、成分(A1)を含むことが好ましい。
【0035】
環境配慮型の硬化性組成物が得られやすくなる観点からは、成分(A1)及び成分(A2)は、バイオマス由来の成分を含んでいてもよい。
【0036】
バイオマス由来の成分(A1)(以下、バイオマス由来の成分(A1)を、「成分(A11)」と記載する)としては、例えば、植物由来の原料から得られるポリイソシアネートが挙げられる。一実施形態において、成分(A11)としては、バイオマス度が40%以上のものが好ましく、50%以上のものがより好ましい。このようなバイオマス度を有する成分(A11)としては、例えば、植物由来の二価カルボン酸を酸アミド化して還元することで末端アミノ基に変換し、さらにホスゲンと反応させて、前記アミノ基をイソシアネート基に変換したもの等を用いることができる。好ましくは、炭素数5~18の脂肪族ポリイソシアネートを用いることができ、具体的には、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,7-ヘプタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート,ダイマー酸ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等の植物由来原料から得られる脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
一実施形態において、成分(A11)は、植物由来原料であるアミノ酸を原料として、前記アミノ酸中のアミノ基をイソシアネート基に変換して得られたものであってもよい。例えば、前記のバイオマス由来のペンタメチレンジイソシアネートは、リシンを原料として得られたものであってもよい。
【0038】
一実施形態において、成分(A11)は、前述の植物由来原料から得られる脂肪族ポリイソシアネートの多量体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、オキサジアジントリオン変性体、ポリオール変性体等の誘導体を含んでいてもよい。このうち、脂肪族ポリイソシアネートの多量体を含むことが好ましい。
【0039】
植物由来原料から得られる脂肪族ポリイソシアネートの多量体としては、例えば、ウレットジオン、ウレトイミン、カルボジイミド等の二量体、イソシアヌレート、イミノオキサジアンジオン等の三量体以上が挙げられ、イソシアヌレートを含むことがより好ましい。より好ましい実施形態においては、成分(A11)は、植物由来原料から得られる1,5-ペンタメチレンジイソシアネート及び/又はその誘導体(さらに好ましくはイソシアヌレート)を含むことができる。
【0040】
その他の好ましい実施形態において、成分(A11)としては、前述の植物由来原料から得られる脂肪族ポリイソシアネート及び/又はその誘導体であって、バイオマス度が50%以上であり、かつ前述の成分(A1)と同程度のイソシアネート基濃度、NCO当量を有するものを用いてもよい。このような成分(A11)としては市販品を用いることもでき、例えば、三井化学(株)製の、製品名「スタビオ(登録商標)D-370N」、「スタビオ D-376N」等を採用できる。
【0041】
成分(A)は前述の成分(A1)と同程度の割合で成分(A11)を含むことができる。
【0042】
また、成分(A2)も、バイオマス由来の成分(A2)(以下、バイオマス由来の成分(A2)を「成分(A21)」と記載する)を含むことができる。成分(A21)のバイオマス度は、任意の割合とすることができる。
【0043】
成分(A)は前述の成分(A2)と同程度の割合で成分(A21)を含むことができる。
【0044】
(ポリオール成分(B))
硬化性成分は、少なくとも2つの水酸基を含むポリオール成分(B)(以下、「成分(B)」と記載することもある)を含む。ここで、「ポリオール成分(B)」は、少なくとも2つの水酸基を有するポリオール(例えば、後述するポリオール(B1)及び/又は(メタ)アクリロイル基含有ポリオール(B2)等)を、成分(B)の総質量に対して10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上含有する。
【0045】
一実施形態において、成分(B)の水酸基の数(以下、「水酸基数(b)」と記載する)は、光硬化と熱硬化のバランスがより良好となりやすい観点からは、2以上4未満であってもよい。なお、成分(B)が後述するポリオール(B1)及び(メタ)アクリロイル基含有ポリオール(B2)を含む場合、水酸基数(b)は、ポリオール(B1)及び(B2)の水酸基数の合計値である。
【0046】
一実施形態において、成分(B)の水酸基価は、10~2,000KOHmg/gであってもよく、100~2,000KOHmg/gであってもよい。また、成分(B)の数平均分子量(Mn)は、30~10,000であってもよく、50~5,000であってもよく、90~1,600であってもよい。
また一実施形態において、成分(B)の平均水酸基当量は、30~5,000g/moLであってもよく、30~1,000g/moLであってもよく、30~600g/moLであってもよい。成分(B)の数平均分子量、水酸基価、及び/又は平均水酸基当量が前記範囲内であれば、硬化性が良好となりやすい。本明細書において、「水酸基価」は、JIS規格に記載の方法を採用できる。成分(B)の数平均分子量(Mn)は、GPCを用いて、溶媒:THF、カラム温度:40℃、標準物質:標準ポリスチレン、で測定することができる。また、「平均水酸基当量」(以下、「OH当量」と記載することもある)は、JIS規格に沿って測定した値を採用してもよく、以下の式(4)から算出した値を採用してもよい。
(KOHの分子量(56.1)×100)/(水酸基価(KOHmg/g))×100 ・・・(4)
【0047】
成分(B)は、分子内に少なくとも2つの水酸基を有する、公知乃至慣用のポリオール(B1)を含むことができる。
【0048】
(ポリオール(B1))
ポリオール(B1)(以下、「成分(B1)」と記載することもある)としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシ-C2-4アルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等)、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、ビスフェノールA及びそのアルキレンオキサイド付加体、ビスフェノールF及びそのアルキレンオキサイド付加体、水素化ビスフェノールA及びそのアルキレンオキサイド付加体、水素化ビスフェノールF及びそのアルキレンオキサイド付加体、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、イソソルバイド、キシレングリコール等のジオール;グリセリン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、D-ソルビトール、キシリトール、D-マンニトール、D-マンニット、ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、天然油ポリオール、シリコンポリオール、フッ素ポリオール、ポリオレフィンポリオール等の分子中に少なくとも3つの水酸基を有するポリオールが挙げられる。また、成分(B1)としては、前述のポリオールを開始剤として、アルキレンオキシドを付加して得られる、ポリオキシアルキレンポリオールであってもよい。成分(B1)は、これらを1種単独で、または2種以上併用できる。
【0049】
成分(B)が成分(B1)を含む場合、前述の水酸基価、数平均分子量(Mn)、OH当量を有するポリオールを用いることが好ましい。
より好ましい実施形態においては、成分(B)は、水酸基価が10~2,000KOHmg/gであり、OH当量が30~5,000g/moLの成分(B1)を含むことができる。また、成分(B)の総質量に対する成分(B1)の割合は、10~100質量%が好ましく、20~100質量%がより好ましく、50~100質量%がさらに好ましい。
【0050】
成分(B)は、さらに少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含むことができる。すなわち、成分(B)は、成分(B1)及び、少なくとも2つの水酸基と、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含む、(メタ)アクリロイル基含有ポリオール(B2)から選択される1以上の成分を含むことができる。
【0051】
((メタ)アクリロイル基含有ポリオール(B2))
(メタ)アクリロイル基含有ポリオール(以下、「成分(B2)」と記載することもある)中の(メタ)アクリロイル基数は、1~10であってもよく、2~8であってもよく、2~4であってもよい。また、成分(B2)中の水酸基数は、2~10であってもよく、2~8であってもよく、2~4であってもよい。一実施形態において、成分(B2)は、分子内に、少なくとも1つのウレタン結合と、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と、少なくとも2つの水酸基とを有する、水酸基含有ウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
【0052】
成分(B2)としては、例えば、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
成分(B)が成分(B2)を含む場合、前述の水酸基価、数平均分子量(Mn)、OH当量を有する(メタ)アクリロイル基含有ポリオールを用いることが好ましい。
より好ましい実施形態においては、成分(B)は、水酸基価が150~350KOHmg/gであり、OH当量が100~600g/moLの成分(B2)を1以上含むことができる。また、成分(B)の総質量に対する成分(B2)の割合は、10~100質量%の範囲で任意の値を採用できる。
【0054】
一実施形態において、光硬化と熱硬化のバランスを取りやすくなる観点からは、成分(B)は、成分(B2)を含むことが好ましい。
【0055】
環境配慮型の硬化性組成物が得られやすくなる観点からは、成分(B1)及び成分(B2)は、バイオマス由来の成分を含んでいてもよい。
【0056】
バイオマス由来の成分(B1)(以下、バイオマス由来の成分(B1)を「成分(B11)」と記載する)としては、例えば、植物由来の原料から得られるポリオール化合物であって、バイオマス度が20%以上のものが好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上のものがさらに好ましい。成分(B11)のバイオマス度は100%であってもよい。このようなポリオール化合物としては、例えば、イソソルバイド、植物油系のポリオール、植物原料グリセリン、バイオエチレングリコール、バイオ1,3-プロパングリコール、バイオブチレングリコール等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
植物油系ポリオールとしては、例えば、ひまし油系ポリオール、大豆油系ポリオール、パーム油系ポリオール、パーム核油系ポリオール、ヤシ油系ポリオール、カシュー油系ポリオール、オリーブ油系ポリオール、綿実油系ポリオール、サフラワー油系ポリオール、ごま油系ポリオール、ひまわり油系ポリオール、アマニ油系ポリオール等が挙げられる。植物油由来のポリオール類は、1分子中の水酸基の数が通常2~3である。
ひまし油系ポリオールとしては、ひまし油、ひまし油とポリオールとの反応物、ひまし油脂肪酸とポリオールとのエステル化反応物等を挙げることができる。ひまし油又はひまし油脂肪酸と反応させるポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロプレングリコールなどの2価のポリオール、あるいはグリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ソルビトール等の3価以上のポリオールなどを挙げることができる。
大豆油系ポリオールとしては、大豆油に由来するポリオール、例えば、大豆油とポリオールとの反応物、大豆油脂肪酸とポリオールとのエステル化反応物等が挙げられる。大豆油又は大豆油脂肪酸と反応させるポリオールとしては、上記ひまし油の場合と同様のものを用いることができる。パーム油系ポリオール、カシュー油系ポリオール等についても、大豆油系ポリオールの場合と同様である。
【0058】
成分(B)は前述の成分(B1)と同程度の割合で成分(B11)を含むことができる。
【0059】
一実施形態において、前述の成分(B2)としても、バイオマス由来の成分(B2)(以下、バイオマス由来の成分(B2)を「成分(B21)」と記載する)を含むことができる。
【0060】
成分(B21)としては、バイオマス度が10%以上のものが好ましく、20%以上のものがより好ましく、30%以上のものがさらに好ましい。一実施形態において、光硬化と熱硬化のバランスにより優れる硬化性組成物を得る観点からは、水酸基の数が2~4であり、(メタ)アクリロイル基の数が1~4の、ポリオール変性(メタ)アクリレートが好ましい。このようなポリオール変性(メタ)アクリレートとしては、ソルビトール変性(メタ)アクリレート(水酸基数:4、(メタ)アクリロイル基数:2)、エポキシ化大豆油変性(メタ)アクリレート(水酸基数:3.5、(メタ)アクリロイル基数:3.5)が特に好ましい。このようなポリオール変性(メタ)アクリレートとしては市販品を用いてもよく、例えば、東亜合成(株)製の、製品名「アロニックス(登録商標)M-926」、ダイセル・オルネクス(株)製の、製品名「EBECRYL 5848」等を採用できる。なお、上記の通り、成分(B)には、開環することで分子内に水酸基を生じる化合物も含まれる。
【0061】
((メタ)アクリレート成分(C))
本実施形態に係る硬化性組成物に含まれる硬化性成分は、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリレート成分(C)(以下、「成分(C)」と記載することもある)を含むことができる。ここで、「(メタ)アクリレート成分(C)」は、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(例えば、後述する、1官能以上の(メタ)アクリレート(C1)及び/又は水酸基含有(メタ)アクリレート(C2)等)を、成分(C)の総質量に対して10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上含有する。
【0062】
本実施形態に係る硬化性組成物は、イソシアネート基と、水酸基と、(メタ)アクリロイル基とを含む硬化性成分を含んでいる。このうち、(メタ)アクリロイル基は、成分(A)及び成分(B)から選択される1以上の成分に含まれていてもよく、成分(C)として別に配合されていてもよく、あるいはその両方であってもよい。このように、3つの異なる官能基を含むことにより、本実施形態に係る硬化性組成物を、光硬化及び熱硬化の併用が可能なデュアルキュア材料とすることができる。さらに、硬化性成分中のイソシアネート基、水酸基及び(メタ)アクリロイル基の数を任意に調整することにより、光硬化させた後の組成物を、従来よりも低い温度で熱硬化することができる。
【0063】
一実施形態において、成分(C)中の(メタ)アクリロイル基の数(以下、「(メタ)アクリロイル数(c)」と記載する)は1~20であってもよく、1~10であってもよく、1~6であってもよい。(メタ)アクリロイル基数(c)が前記範囲内であれば、光硬化及び熱硬化のバランスを取りやすくなり、製造時のエネルギー量が低下しやすくなる。なお、成分(C)が後述する1官能以上の(メタ)アクリレート(C1)及び水酸基含有(メタ)アクリレート(C2)含む場合、(メタ)アクリロイル数(c)は、(メタ)アクリレート(C1)及び(C2)の(メタ)アクリロイル数の合計値である。
【0064】
成分(C)は、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含む、1官能以上の(メタ)アクリレート(C1)(以下、「成分(C1)」と記載することもある)を含むことができる。
【0065】
(1官能以上の(メタ)アクリレート(C1))
成分(C1)における、1官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0066】
2官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化2-メチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0067】
3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、塗膜の強度の観点からは、2官能以上の(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、3官能(メタ)アクリレートや4官能(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。
【0068】
(水酸基含有(メタ)アクリレート(C2))
一実施形態において、成分(C)は、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と、水酸基とを含む、水酸基含有(メタ)アクリレート(C2)(以下、「成分(C2)」と記載することもある)を含むことができる。ここで、成分(C2)に含まれる水酸基数は0超2未満である。水酸基数が2以上の(メタ)アクリレートは、前述の成分(B2)に含まれる。
【0069】
一実施形態において、成分(C2)中の(メタ)アクリロイル基の数は特に限定されず、1~20であってもよく、1~10であってもよく、1~6であってもよい。
【0070】
(メタ)アクリロイル基と水酸基とを分子内に1つずつ含む成分(C2)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート類化合物が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0071】
2以上の(メタ)アクリロイル基と、0超1未満の水酸基とを含む成分(C2)としては、例えば、グリセリン変性(メタ)アクリレート(水酸基数:0.5、(メタ)アクリロイル基数:2.5)、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0072】
一実施形態において、熱硬化性を良好とする観点からは、成分(C)は、成分(C2)を含むことが好ましい。また、2以上の(メタ)アクリロイル基と0超1未満の水酸基とを含む水酸基含有(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。
【0073】
環境配慮型の硬化性組成物が得られやすくなる観点からは、成分(C2)は、バイオマス由来の成分を含んでいてもよい(以下、バイオマス由来の成分(C2)を「成分(C21)と記載する」。成分(C21)としては、前述の成分(B11)を原料として含んでいてもよい。また、成分(C21)のバイオマス度は、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。このような成分(C21)としては市販品を用いてもよく、例えば、東亜合成(株)製の、製品名「アロニックス M-920」(植物由来原料グリセリン変性(メタ)アクリレート)等を採用できる。
【0074】
(その他の成分)
一実施形態において、硬化性成分には、前述の成分(A)~(C)以外の成分(その他の成分)を含むことができる。その他の成分としては、例えば、成分(A)以外のイソシアネート成分、成分(B)以外の水酸基成分等が挙げられる。
【0075】
成分(A)以外のイソシアネート成分としては、例えば、分子内のイソシアネート基の数が0超2未満のイソシアネート単量体及び/又はイソシアネート誘導体;成分(A2)以外の(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート(分子内のイソシアネート基の数が0超2未満)等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0076】
成分(B)以外の水酸基成分としては、例えば、メタノール、エタノール等のモノオール等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0077】
一実施形態において、硬化性成分のイソシアネートインデックス(平均イソシアネート基当量/平均水酸基当量)は、0.01~2.0が好ましく、0.1~1.5がより好ましく、0.2~1.2がさらに好ましい。また、特に好ましい実施形態において、前記イソシアネートインデックスは1.0であってもよい。イソシアネートインデックスを前記範囲内とすることにより、光硬化と熱硬化のバランスにより優れる硬化性組成物となりやすい。なお、前記イソシアネートインデックスは、硬化性成分に含まれる全イソシアネート基及び全水酸基を元に算出される値を指す。硬化性成分が前述の成分(A)以外のイソシアネート成分、成分(B)及び成分(C2)以外の水酸基含有成分を含む場合、前述のイソシアネートインデックスを満たす範囲内でこれら成分を含むことが好ましい。
【0078】
一実施形態において、硬化性成分の総質量に対する、バイオマス由来成分の割合は、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。また、より環境に配慮した硬化性組成物とする観点からは、硬化性成分の総質量に占めるバイオマス成分の割合は100%であってもよい。
【0079】
<光重合開始剤>
第1の実施形態に係る硬化性組成物は、さらに光重合開始剤を含む。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノンベンジル、ベンジルジメチルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジメトキシアセトフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ジフェニルジサルファイト、オルトベンゾイル安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル(例えば、日本化薬(株)製、商品名「KAYACURE(登録商標) EPA」等)、2,4-ジエチルチオキサンソン(例えば、日本化薬(株)製、商品名「KAYACURE DETX」等)、2-メチル-1-[4-(メチル)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1(例えば、チバガイギ-(株)製、商品名「イルガキュア(登録商標) 907」等)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、IGM社製、商品名「Omn184」等)、2-ジメチルアミノ-2-(4-モルホリノ)ベンゾイル-1-フェニルプロパン等の2-アミノ-2-ベンゾイル-1-フェニルアルカン化合物、テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンジル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミノベンゼン誘導体、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾ-ル(例えば、保土谷化学(株)製、商品名「B-CIM」等)等のイミダゾール化合物、2,6-ビス(トリクロロメチル)-4-(4-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3,5-トリアジン等のハロメチル化トリアジン化合物、2-トリクロロメチル-5-(2-ベンゾフラン2-イル-エテニル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて、光増感剤を加えてもよい。
【0080】
硬化性組成物中の光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物の総質量に対して、0.5~12質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5~10質量%であり、さらに好ましくは0.5~8質量%である。光重合開始剤の含量が上記範囲であることにより、後述する紫外線等により、本実施形態に係る硬化性組成物を適度に硬化することができる。
【0081】
(その他の添加剤)
本実施形態に係る硬化性組成物には、硬化性成分、光重合開始剤以外の任意の成分(その他の添加剤)を含むことができる。その他の添加剤としては特に限定されず、光硬化性組成物及び/又は熱硬化性組成物に配合可能な、任意の添加剤を配合できる。例えば、光重合開始剤以外のラジカル重合開始剤、紫外線吸収剤、反応促進剤、光安定剤、表面調整剤等を配合してもよい。
【0082】
・紫外線吸収剤
紫外線吸収剤としては、公知乃至慣用のものを用いることができ、特に限定されないが、例えば、シアノアクリレート系、ジヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤が挙げられる。
【0083】
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、2-エチルヘキシル-2-シアノー3,3-ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノー3,3-ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、(2,4-ジヒドロキシフェニル)-フェニルメタノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ターシャリーブチル-4-メチルフェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノルキシ)エトキシ]フェノール、2-(4-((2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ)-2-ヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-((2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ)-2-ヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-((2-ヒドロキシ-3-(2’エチル)ヘキシル)オキシ)-2-ヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビスブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシ等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、[2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)フェニル]フェニルメタノンが挙げられる。なお、紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0084】
・光安定剤
光安定剤としては、公知乃至慣用のものを用いることができ、特に限定されないが、例えば、2,2,6,6-テトラアルキル-4-ピペリジルエステル(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルエステルなど)、4-アルコキシ-2,2,6,6-テトラアルキルピペリジン[例えば、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等の、4-(C1-10アルコキシ)-2,2,6,6-ピペリジン;4-フェノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等の、4-(C6-10アリールオキシ)-2,2,6,6-ピペリジン;4-ベンジルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等の、4-(C6-10アリール)-(C1-4アルキル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等]、ビス(2,2,6,6-テトラアルキル-4-ピペリジルオキシ)アルカン[例えば、1,2-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシ)エタン等のビ、ス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルオキシ)(C2-6アルカン)等]、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシレート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸テトラメチルエステルと1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及びβ,β,β’,β’-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジエタノールとの反応生成物等が挙げられる。なお、光安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0085】
・反応促進剤
反応促進剤としては、公知乃至慣用のものを使用でき、特に限定されないが、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩等);1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩等);ベンジルジメチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン等の第三級アミン;2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール;リン酸エステル;トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシ)ホスフィン等のホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラ(p-トリル)ボレート等のホスホニウム化合物;オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ、ステアリン酸亜鉛等の有機金属塩;アルミニウムアセチルアセトン錯体等の金属キレート等が挙げられる。なお、反応促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0086】
<硬化性組成物の製造方法>
第1の実施形態に係る硬化性組成物は、前述の硬化性成分と、光重合開始剤と、必要に応じて前述のその他の添加剤とを混合することにより製造できる。混合の手段としては、公知乃至慣用の手段、例えば、ディゾルバー、ホモジナイザー等の各種ミキサー、ニーダー、ロール、ビーズミル、自公転式攪拌装置等を使用できる。混合の際の温度、回転数等の条件は、特に限定されず、適宜設定可能である。
【0087】
第1の実施形態に係る硬化性組成物は、光硬化と熱硬化を併用することで、従来よりも少ない熱エネルギーで硬化することが可能である。このような硬化性組成物は、例えば、化粧板及び化粧紙用の、含浸樹脂、接着層用組成物、及びトップコート層用組成物として好適に用いることができる。なお、当然のことながら、硬化性組成物の用途はこれら化粧板及び化粧紙用に限定されない。
【0088】
[硬化物]
本開示における第2の実施形態は、第1の実施形態に係る硬化性組成物の硬化物である。第1の実施形態に係る硬化性組成物は、光照射及び加熱の併用によって、硬化物とすることができる。なお、第2の実施形態に係る硬化物には、前述の硬化性組成物に後述する紫外線や活性エネルギー線を照射して硬化反応を促進させたもの、光硬化の後に熱硬化して完全に硬化させたものの両方が含まれる。また、硬化性組成物に光照射や加熱を行って、流動性が無くなる程度まで硬化させた状態の「半硬化物」も、本実施形態の硬化物に含まれる。
【0089】
本実施形態に係る硬化物は、例えば、第1の実施形態に係る硬化性組成物を、基材等の対象物に塗工した後、光硬化及び/又は熱硬化を行って、硬化塗膜として得ることができる。
【0090】
硬化性組成物を塗工する方法としては特に限定されず、従来公知の方法を採用でき、例えば、コーティング法、キャスティング法等が挙げられる。
【0091】
(光硬化)
光硬化は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射して行うことが好ましい。
紫外線照射を行う際の光源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯等が用いられる。紫外線の照射時間は、光源の種類、光源と塗工面との距離、その他の条件等により、数秒間~数十秒間の間で任意に調整できる。
一方、電子線照射の場合は、例えば、50~1000KeVの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2~5Mradの照射量とすることが好ましい。通常、ランプ出力80~300W/cm程度の照射源が用いられる。
【0092】
(熱硬化)
光硬化の後、さらに熱硬化することが好ましい。熱硬化の際の温度としては、硬化性組成物を硬化できる程度の温度であれば特に限定されないが、製造時の熱エネルギーを少なくする観点からは、室温が好ましく、作業スピードの観点からは、加熱することが好ましい。
【0093】
硬化塗膜の厚さは特に限定されず、用途に応じて任意に調整できる。例えば、0.5~1,000μm、好ましくは2~500μmの範囲で調整してもよい。
【0094】
硬化性組成物を塗工する対象物(被塗工物)としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、塩化ビニル樹脂等のプラスチック製の物品、上記物品のプラスチック表面に金属蒸着を行ったもの、ガラス、木材、金属板、紙等の各種物品が挙げられる。塗工面に離型処理が施されていてもよい。
【0095】
[積層体]
本開示の第3の実施形態は、第1の実施形態に係る硬化性組成物及び第2の実施形態に係る硬化物から選択される1以上を含む層を備える、積層体である。このような積層体としては特に限定されないが、化粧紙、又は化粧板であることが好ましい。以下、積層体の一態様として、化粧紙及び化粧板の詳細について説明する。
【0096】
<化粧紙>
第3の実施形態に係る積層体が化粧紙である場合、該化粧紙は、多孔質原紙に第1の実施形態に係る硬化性組成物を含浸させたのち硬化させることで得られる。なお、化粧紙の表面には、意匠性を高めるための絵柄模様層や、平滑性を高めるためのトップコート層等が設けられていてもよい。すなわち、本実施形態に係る化粧紙は、本実施形態に係る硬化性組成物及び/又は硬化物を含む層を有する、多層体であってもよい。
【0097】
多孔質原紙としては、硬化性組成物の含浸が可能な吸水性の良い紙等の繊維質シート状体であれば良く、例えば薄葉紙、チタン紙、上質紙、晒又は未晒クラフト紙等が使用可能である。このうち、印刷適性と樹脂含浸適性の両方に優れる、チタン紙を採用することが好ましい。
【0098】
<化粧板>
上記で得られた化粧紙を、さらに基材に貼り付けることで、化粧板を得ることができる。
【0099】
図1は、本実施形態に係る硬化性組成物及び/又は硬化物を含浸樹脂として含む化粧紙10と、基材20とを含む化粧板100の一例を示す断面図である。図1の化粧板100における化粧紙10は、多孔質原紙1と、トップコート層2と、接着層3とを備えている。多孔質原紙1には、本実施形態に係る硬化性組成物及び/又は硬化物が含浸されている。また、図1の化粧紙10においては、トップコート層2及び接着層3も、本実施形態に係る硬化性組成物及び/又は硬化物で構成されている。このような化粧板100は、例えば、基材20の一方の表面に、本実施形態に係る硬化性組成物を任意の方法で塗工した後、多孔質原紙1を積層させて、該多孔質原紙1に硬化性組成物を含浸させる。これにより、多孔質原紙1の一方の面(基材20側の表面)に接着層3も積層させることができる。その後、さらに多孔質原紙1の他方の面上に、本実施形態に係る硬化性組成物を塗工して、トップコート層2を積層する。トップコート層2の表面を樹脂フィルム(PETフィルム等)で被覆した後、樹脂フィルム側から紫外線、又は活性エネルギー線を照射して、トップコート層2を硬化させる。その後、樹脂フィルムを剥離してさらに熱硬化することにより、含浸樹脂及び接着層3を硬化させる。これにより、化粧紙10と基材20とを一体化させて、化粧板100を得ることができる。
【0100】
基材20としては、板状基材が好ましく、例えば、無機質系基材、木質基材、有機質系基材等を採用できる。
無機質系基材としては、セメント板、火山性ガラス質複層板、ケイ酸カルシウム板、ケイ酸マグネシウム板、酸化マグネシウム板等が挙げられる。
木質基材としては、合板、インシュレーションボード、MDF(Medium Density Fiberboard:中密度繊維板)、ハードボード、パーティクルボード、配向性ストランドボード等が挙げられる。
有機質系基材としては、熱硬化性樹脂或いは熱可塑性樹脂などのプラスチック板が挙げられ、具体的には、例えばフェノール樹脂板、ポリカーボネート板、アクリル樹脂板、硬質塩化ビニル板、軟質塩化ビニル板、ポリプロピレン樹脂板、ポリスチレン樹脂板、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂板などが挙げられる。これらのうち、不燃性に優れる化粧板が得られやすく、かつ強度に優れる観点からは、無機質系基材が好ましい。
【0101】
基材20の厚みとしては特に限定されないが、基材の強度や取り扱いが容易な点からは、20μm~25mmが好ましい。
【0102】
上記の通り、本実施形態に係る硬化性組成物を含む化粧紙及び化粧板は、光硬化及び熱硬化を併用して含浸樹脂を硬化させることができるため、従来よりも少ない熱エネルギーで製造することができる。
【実施例0103】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0104】
[材料]
実施例及び比較例で用いた材料は以下のとおりである。また、各成分の詳細を表1に記載する。
<成分(A)>
・成分(A11-1):バイオマス由来1,5-ペンタメチレンジイソシアネート誘導体(三井化学(株)製、製品名「スタビオ D-370N」)。
・成分(A11-2):バイオマス由来1,5-ペンタメチレンジイソシアネート誘導体(三井化学(株)製、製品名「スタビオ D-376N」)。
・成分(A2-1):イソシアネート基含有アクリレート(ダイセル・オルネクス(株)製、製品名「EBECRYL 4141」)。
<成分(B)>
・成分(B11-1):植物原料グリセリン(阪本薬品工業(株)製、製品名「R-PG」)。
・成分(B21-1):ソルビトール変性アクリレート(東亜合成(株)製、製品名「アロニックス M-926」)。
・成分(B21-2):大豆油変性エポキシアクリレート(ダイセル・オルネクス(株)製、製品名「EBECRYL 5848」)。
<成分(C)>
・成分(C21-1):グリセリン変性アクリレート(東亜合成(株)製、製品名「アロニックス M-920」)。
<光重合開始剤>
・1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM社製、商品名「Omn184」)。
<反応促進剤>
・1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)。
【0105】
【表1】
【0106】
[実施例1~3及び比較例1~4]
上記材料を用いて、表2に示す組成及び含有割合で各成分を混合して、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物について、以下の条件で硬化性及び密着性評価を行った。結果を表2に示す。
【0107】
<硬化性及び密着性評価>
下地PETフィルム(厚み100μm)の表面に、硬化性組成物を100g/mで塗工した。その後、多孔質原紙(含浸チタン原紙、KJ特殊紙(株)製)を積層して、硬化性組成物を多孔質原紙に含浸させて、紙層を得た。紙層の上に、さらに硬化性組成物を100g/mで塗工した後、最表面を保護PETフィルム(厚み100μm)で被覆して、下地PETフィルム/接着層(硬化性組成物)/紙層/トップコート層(硬化性組成物)/保護PETフィルムの順に積層した、積層体を得た。
(光硬化評価)
得られた積層体の、保護PETフィルム側から紫外線を照射(光源:高圧水銀ランプ、照射条件:2kw、4m、2パス。積算光量:800mJ/cm)して、光硬化させた。その後、保護PETフィルムを剥離して、トップコート層の硬化性を以下の評価基準1に沿って評価した。また、紙層を剥離して、紙層の硬化性及び接着層の硬化性を評価基準2に沿って評価した。
(評価基準1)
A:トップコート層を指で触った際にタックがない。
B:トップコート層を指で触った際にタックがある。
(評価基準2)
A:下地PETフィルムと紙層が接着していた(紙層及び接着層が硬化していた)。
B:下地PETフィルムと紙層が接着していなかった(紙層及び接着層が硬化していなかった)。
(光硬化及び熱硬化評価)
得られた積層体を、上記と同じ条件で光硬化させたのち、80℃のオーブンに投入して、全ての層が硬化するまでの時間を測定した。熱硬化完了後、保護PETフィルムを剥離して、トップコート層の硬化性を前記評価基準1に沿って評価した。また、紙層を剥離して、紙層の硬化性及び接着層の硬化性を前記評価基準2に沿って評価した。さらに、光硬化及び熱硬化における硬化性を、以下の評価基準3に沿って評価した。
(評価基準3)
合格:トップコート層、紙層及び接着層の全てが硬化しており、かつ熱硬化に要する時間が30分間未満であった。
不合格:トップコート層、紙層、又は接着層のいずれかが硬化していなかった、又は全ての層が硬化したが、熱硬化に要する時間が30分間以上であった。
(密着性評価)
上記の光硬化及び熱硬化の後、紙層を下地PETフィルムから剥離する際の剥離性を5段階で評価した。「0評価」が未硬化の状態、「5評価」が最も密着している(剥離しづらい)として、紙層と下地PETフィルムの剥離性を、0、1、2、3、4、5で評価し、4以上を合格とした。
【0108】
【表2】
【0109】
表2に示す通り、第1の実施形態に係る硬化性組成物の構成を満たす実施例1~4は、光硬化及び熱硬化により、トップコート層、紙層、及び接着層の全てが硬化していた。さらに熱硬化に要する時間も30分間未満であった。一方、成分(B)を含まない比較例1~3の硬化性組成物は、光硬化によってトップコート層は硬化したものの、紙層及び接着層は、60分間以上加熱しても硬化しなかった。また、(メタ)アクリロイル基を含まない比較例4の硬化性組成物は、光硬化及び熱硬化により、紙層及び接着層は硬化したものの、トップコート層が硬化しなかった。比較例4の硬化性組成物を完全に硬化させるためには、熱プレス、又はより高温条件で熱硬化させる必要があると考えられる。
以上の結果より、第1の実施形態に係る硬化性組成物は、従来よりも少ない熱エネルギーで硬化可能であることが分かった。さらに、実施例1~4に示す通り、バイオマス由来の材料を採用することで、石油由来成分の少ない、環境に配慮した硬化性組成物とすることもできる。このような硬化性組成物及び/又は硬化物は、化粧紙、化粧板の含浸樹脂として好適に利用できる。また、接着層やトップコート層用の硬化性組成物としても好適に利用できる。
【符号の説明】
【0110】
1:多孔質原紙
2:トップコート層
3:接着層
10:化粧紙
20:基材
100:化粧板
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性成分と、光重合開始剤とを含み、
前記硬化性成分が、
少なくとも2つのイソシアネート基を含むポリイソシアネート成分(A)と、
少なくとも2つの水酸基を含むポリオール成分(B)とを含み、
前記成分(A)及び前記成分(B)から選択される1以上の成分が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基をさらに含む、及び/又は少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリレート成分(C)をさらに含
前記硬化性成分の総質量に対する、バイオマス由来成分の割合が10質量%以上である、硬化性組成物。
【請求項2】
前記成分(A)及び前記成分(B)から選択される1以上の成分が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基をさらに含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記硬化性成分が前記成分(C)を含み、
前記成分(C)が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と、水酸基とを含む、水酸基含有(メタ)アクリレート(C2)を含む、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記成分(B)が、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と、少なくとも2つの水酸基とを有する、(メタ)アクリロイル基含有ポリオール(B2)を含む、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記成分(B)の平均水酸基当量が30~5,000である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記硬化性成分のイソシアネートインデックス(平均イソシアネート基当量/平均水酸基当量)が0.01~2.0である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の硬化性組成物の硬化物。
【請求項8】
請求項1に記載の硬化性組成物、及び請求項に記載の硬化物から選択される1以上を含む層を備える、積層体。
【請求項9】
樹脂含浸化粧紙、又は樹脂含浸化粧板である、請求項に記載の積層体。