(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156537
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/46 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
A47L15/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071086
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 敏男
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082DB00
(57)【要約】
【課題】第1と第2の一対の泡検知電極6
1,6
2を備え、洗浄水に含まれる洗剤に起因して発生する泡が両泡検知電極に接触して、両泡検知電極間が泡を介して導通することにより泡を検知可能とした食器洗浄機であって、洗浄槽2の下部に開設された給気口27にファン5からの空気を導く送風ダクト4に両泡検知電極を設けるものにおいて、両泡検知電極間が洗浄水飛沫によって導通して発生する誤検知を抑制できるようにする。
【解決手段】第1泡検知電極6
1は、その電極部61が送風ダクト4の側壁41の内側に位置するように設けられる。一方、第2泡検知電極6
2は、その電極部61が送風ダクト4の側壁41の外側に当該側壁に沿うように設けられる。そして、当該側壁41に、第2泡検知電極6
2の電極部61に対向する部分に位置させて、貫通口42を開設する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を収納する洗浄槽と、洗浄槽内に設けられた洗浄ノズルと、洗浄槽内の洗浄水を洗浄ノズルに供給する洗浄ポンプと、第1と第2の一対の泡検知電極とを備え、各泡検知電極は、棒状の電極部と電極部の基端の端子部とを有し、洗浄水に含まれる洗剤に起因して発生する泡が第1と第2の両泡検知電極の電極部に接触して、両泡検知電極の電極部間が泡を介して導通することにより泡を検知可能とした食器洗浄機であって、
洗浄槽の側壁下部又は底壁に開設された給気口に送風ダクトを介して接続される、洗浄槽の外部に給気口よりも上方に位置させて配置された送風ファンを備え、送風ダクトに、給気口よりも上方に位置させて、第1と第2の両泡検知電極が設けられるものにおいて、
第1泡検知電極は、その電極部が送風ダクトの側壁の内側に位置するように設けられ、第2泡検知電極は、その電極部が送風ダクトの側壁の外側に当該側壁に沿うように設けられ、当該側壁に、第2泡検知電極の電極部に対向する部分に位置させて、貫通口が開設されていることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記第1泡検知電極の前記電極部と前記第2泡検知電極の前記電極部との一方の電極部は、他方の電極部に対し上下方向及び水平方向に位置をずらして配置されることを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
【請求項3】
前記送風ダクトの前記側壁の内面に、前記第1泡検知電極の前記電極部の周囲を囲うようにして、当該内面からの第1泡検知電極の電極部の突出長さ以下の長さで突出する筒部が突設されることを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
【請求項4】
前記送風ダクトの前記側壁の外面に、前記貫通口から溢れ出た泡を受け止めて、この泡が前記第2泡検知電極の前記電極部に触れ易くなるようにする泡受け止め部が設けられることを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
【請求項5】
前記送風ダクトの前記側壁の内面に、前記貫通口に隣接して、送風ダクトの内側から貫通口への洗浄水飛沫の飛散を抑制する飛沫ガード部が設けられることを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
【請求項6】
前記送風ダクトの前記側壁に、前記第1と第2の両泡検知電極の前記電極部よりも下方に位置させて、前記洗浄槽内の洗浄水の水位が所定水位を超えたときに洗浄水が溢れ出る溢水口が開設され、送風ダクト内に、前記送風ファンから送風される空気が第1と第2の両泡検知電極の設置部及び溢水口を迂回して流れるように案内する案内板部が設けられ、案内板部の下端部は、前記給気口の上縁よりも下方にのびていることを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄物を収納する洗浄槽と、洗浄槽内に設けられた洗浄ノズルと、洗浄槽内の洗浄水を洗浄ノズルに供給する洗浄ポンプとを備える食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の食器洗浄機において、発泡しやすい洗剤を用いると、多量に発生した泡が被洗浄物表面でクッションとなって作用し、洗浄ノズルから洗浄水を勢いよく噴射しても、被洗浄物に当たる洗浄水の勢いが弱められて汚れが落ち難くなったり、洗浄ポンプに多量の泡が吸引されて、洗浄ポンプからの洗浄水の吐出圧が低下するといった不具合を生ずる。
【0003】
そこで、従来、特許文献1により、洗浄槽の底部に連通する水位検知用のタンクに第1と第2の一対の泡検知電極を設けたものが知られている。各泡検知電極は、棒状の電極部と電極部の基端の端子部とを有している。そして、第1と第2の両泡検知電極の電極部をタンク内に突出させている。洗浄槽内で多量に泡が発生すると、タンク内に泡が浸入して上方まで泡が盛り上がり、両泡検知電極の電極部に泡が接触して、両泡検知電極の電極部間が泡を介して導通することにより泡の発生が検知される。然し、このものでは、タンク内に水蒸気が充満しやすいため、タンク内に突出する泡検知電極の電極部が腐食しやすくなる。そして、耐久性を確保するには、泡検知電極の電極部をSUS304等の耐食性の高い材料で形成することが必要になり、コストが高くなってしまう。
【0004】
ここで、食器洗浄機は、洗浄槽の側壁下部又は底壁に開設された給気口に送風ダクトを介して接続される、洗浄槽の外部に給気口よりも上方に位置させて配置された送風ファンを備えている。本願出願人は、この送風ダクトに着目し、上記不具合を解消するために、先に特願2021-140949により、送風ダクトに、給気口よりも上方に位置させて、第1と第2の両泡検知電極を、両泡検知電極の電極部が送風ダクト内に突出するように設けたものを提案している。
【0005】
このものでは、洗浄ノズルから洗浄水を噴射して被洗浄物を洗浄する洗浄工程または洗浄ノズルから洗浄水として水を噴射して被洗浄物をすすぐすすぎ工程以降に、送風ファンを駆動することにより、送風ダクト内の水蒸気を洗浄槽に戻すことができる。そのため、送風ダクト内の両泡検知電極の電極部の周辺に水蒸気が長時間滞留することがなく、電極部が腐食し難くなる。従って、両泡検知電極の電極部を耐食性の高い材料で形成しなくても耐食性を確保でき、コストダウンを図ることができる。
【0006】
然し、以下の不具合を生ずることが判明した。即ち、洗浄工程中やすすぎ工程中に送風ダクト内に侵入する洗浄水の飛沫が泡検知電極の電極部に付着することで、経年的に電極部の表面に炭酸カルシウム等が析出し、これに伴い電極部表面の親水性が増す。その結果、両泡検知電極の電極部間が洗浄水の飛沫によって導通し、誤検知しやすくなる虞がある。かかる不具合を解消するため、両泡検知電極の電極部間の距離を長くすることが考えられるが、これでは送風ダクトが大型化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、誤検知を抑制して、且つ、送風ダクトを大型化せずに済むようにした食器洗浄機を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、被洗浄物を収納する洗浄槽と、洗浄槽内に設けられた洗浄ノズルと、洗浄槽内の洗浄水を洗浄ノズルに供給する洗浄ポンプと、第1と第2の一対の泡検知電極とを備え、各泡検知電極は、棒状の電極部と電極部の基端の端子部とを有し、洗浄水に含まれる洗剤に起因して発生する泡が第1と第2の両泡検知電極の電極部に接触して、両泡検知電極の電極部間が泡を介して導通することにより泡を検知可能とした食器洗浄機であって、洗浄槽の側壁下部又は底壁に開設された給気口に送風ダクトを介して接続される、洗浄槽の外部に給気口よりも上方に位置させて配置された送風ファンを備え、送風ダクトに、給気口よりも上方に位置させて、第1と第2の両泡検知電極が設けられるものにおいて、第1泡検知電極は、その電極部が送風ダクトの側壁の内側に位置するように設けられ、第2泡検知電極は、その電極部が送風ダクトの側壁の外側に当該側壁に沿うように設けられ、当該側壁に、第2泡検知電極の電極部に対向する部分に位置させて、貫通口が開設されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、泡が給気口から送風ダクト内に侵入して、泡の上面レベルが第1と第2の両泡検知電極の電極部の配置高さ以上になると、第1泡検知電極の電極部に泡が触れると共に、貫通口から溢れ出た泡が第2泡検知電極の電極部に触れ、両泡検知電極の電極部間が泡を介して導通して、泡が検知される。そして、第2泡検知電極の電極部が送風ダクトの側壁外側に配置されるため、当該電極部には洗浄水飛沫が付着しにくくなる。従って、洗浄水飛沫による両泡検知電極の電極部間の導通を抑制して、誤検知を有効に防止できる。また、第1泡検知電極の電極部を送風ダクト内、第2泡検知電極の電極部を送風ダクト外に夫々配置することで、両泡検知電極の電極部間の距離を確保できるため、送風ダクトを大型化せずに済む。
【0011】
また、本発明においては、第1泡検知電極の電極部と第2泡検知電極の電極部との一方の電極部を、他方の電極部に対し上下方向及び水平方向に位置をずらして配置することが望ましい。これによれば、洗浄水飛沫による両泡検知電極の電極部間の導通を効果的に抑制することができる。
【0012】
更に、本発明においては、送風ダクトの側壁の内面に、第1泡検知電極の電極部の周囲を囲うようにして、当該内面からの第1泡検知電極の電極部の突出長さ以下の長さで突出する筒部を突設することが望ましい。これによれば、第1泡検知電極の電極部の先端以外の部分には洗浄水飛沫が付着しにくくなって、洗浄水飛沫による両泡検知電極の電極部間の導通をより効果的に抑制することができる。尚、送風ダクト内に侵入した泡の上面レベルが第1泡検知電極の電極部の配置高さに達したときは、当該電極部の先端に泡が確実に接触する。そのため、泡の検知性能が低下することはない。
【0013】
また、本発明においては、送風ダクトの側壁の外面に、貫通口から溢れ出た泡を受け止めて、この泡が第2泡検知電極の電極部に触れ易くなるようにする泡受け止め部を設けることが望ましい。これによれば、貫通口から溢れ出た泡が第2泡検知電極の電極部に触れる確実性が増して、泡の検知性能を向上させることができる。
【0014】
更に、本発明においては、送風ダクトの側壁の内面に、貫通口に隣接して、送風ダクトの内側から貫通口への洗浄水飛沫の飛散を抑制する飛沫ガード部を設けることが望ましい。これによれば、第2泡検知電極の電極部への洗浄水飛沫の付着抑制効果を向上させて、洗浄水飛沫による両泡検知電極の電極部間の導通を効果的に抑制することができる。
【0015】
また、本発明においては、送風ダクトの側壁に、第1と第2の両泡検知電極の電極部よりも下方に位置させて、洗浄槽内の洗浄水の水位が所定水位を超えたときに洗浄水が溢れ出る溢水口を開設し、送風ダクト内に、送風ファンから送風される空気が第1と第2の両泡検知電極の設置部及び溢水口を迂回して流れるように案内する案内板部を設け、案内板部の下端部を、給気口の上縁よりも下方にのばすことが望ましい。上記の如く溢水口を設ければ、洗浄槽への給水が適切に停止されずに、給気口から送風ダクト内に洗浄水が浸入しても、洗浄水は、溢水口からが溢れ出て両泡検知電極の電極部に触れることはなく、誤検知を防止することができる。また、上記の如く案内板部を設けることで、送風ファンから送風される空気が溢水口から抜け出てしまうことを抑制できる。更に、案内板部の下端部を給気口の上縁よりも下方にのばすことで、後述する如く洗浄水飛沫が第1と第2の両泡検知電極の設置部に飛散し難くなり、洗浄水飛沫による両泡検知電極の電極部間の導通を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態の食器洗浄機の切断側面図。
【
図2】実施形態の食器洗浄機に設けられる送風ダクトの外方から見た要部の斜視図。
【
図3】実施形態の食器洗浄機に設けられる送風ダクトの内方から見た要部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示す本発明の実施形態の食器洗浄機は、システムキッチンに組み込んで設置されるビルトイン式のものであり、前面が開放された機体1内に、前方に引出し自在に収納される洗浄槽2を備えている。洗浄槽2内には、機体1内に設けた図外の給水弁から給水ホースを介して水が供給される。洗浄槽2の前面には、機体1の前面を閉塞する前蓋21が取付けられている。また、機体1内の上部には、洗浄槽2の開放された上面を閉塞するシール蓋11が設けられている。
【0018】
洗浄槽2内には、食器等の被洗浄物Wを支持する下カゴ22と上カゴ23とが収納されると共に、これらカゴ22,23に向けて洗浄水を噴射する洗浄ノズル24が設けられている。洗浄ノズル24は、洗浄槽2の下部で水平方向にのび、長手方向中央部で鉛直軸線回りに旋回自在な下ノズル241と、下ノズル241の長手方向中央部に立設された上方にのびるセンターノズル242とを有している。下カゴ22の中央部には、これに載置する被洗浄物Wがセンターノズル242に干渉することを防止できるように、センターノズル242を囲うノズルガード枠221が立設されている。
【0019】
洗浄槽2の底壁下面には、底壁に凹設した洗浄水の溜り部25に連通する洗浄ポンプ3が設置されている。そして、洗浄ポンプ3を正転させたとき、洗浄槽2内の洗浄水が溜り部25と洗浄ポンプ3とを介して洗浄ノズル24に供給され、洗浄ポンプ3を逆転させたとき、洗浄水が洗浄槽2から排水されるようにしている。また、洗浄槽2内の底部には、洗浄槽2内に給水したときに水面下に沈むようにヒータ26が設けられている。
【0020】
食器洗浄機は、更に、洗浄槽2の後側側壁の下部に開設された給気口27に送風ダクト4を介して接続される、洗浄槽2の外部に給気口27よりも上方に位置させて配置された乾燥ファン5を備えている。送風ダクト4は、上下方向に長手であって、前面が開放されている。この送風ダクト4を、洗浄槽2の後側側壁の後面に、送風ダクト4の前面が後側側壁で閉塞されるように取付けることで、送風ダクト4と後側側壁との間に、給気口27に連通する通風路4aが画成される。乾燥ファン5は、送風ダクト4の上端部に接続した状態で、洗浄槽2の後側側壁の後面に取付けられている。
【0021】
食器洗浄機の運転スイッチをオンすると、先ず、洗浄槽2に給水され、この水に図外の洗剤供給手段から洗剤が混入されて洗浄水が生成される。そして、洗浄槽2内の水位が所定レベルに達したとき、給水を停止する。その後、洗浄水をヒータ26で加熱しつつ、洗浄ポンプ3を正転させて洗浄水を洗浄ノズル24から噴射させ、洗浄槽2内に収納された被洗浄物Wを洗浄する洗浄工程を所定時間行う。洗浄工程完了後は、洗浄ポンプ3を逆転させて、洗浄槽2内の洗浄水を排水する。次に、洗浄槽2に給水した後、洗浄ポンプ3を正転させて洗浄ノズル24から洗浄水として水を噴射させ、被洗浄物Wをすすぐすすぎ工程を所定時間行う。すすぎ工程完了後は、洗浄ポンプ3を逆転させて洗浄槽2内の水を排水し、次に、洗浄槽2内の空気をヒータ26で加温しつつ、乾燥ファン5を駆動して洗浄槽2内に空気を送風し、被洗浄物Wを送風された空気で乾燥させる乾燥工程を所定時間行う。
【0022】
ここで、発泡しやすい洗剤を使用すると、洗浄工程中に洗浄槽2内で多量の泡が発生する。そこで、送風ダクト4に、
図2、
図3にも示されているように、給気口27よりも上方に位置させて、第1と第2の一対の泡検知電極6
1,6
2を設けている。ここで、各泡検知電極6
1,6
2は、棒状の電極部61と電極部61の基端の端子部62とを有している。そして、第1泡検知電極6
1は、その電極部61が送風ダクト4の後側の側壁41の内側に位置するように、具体的には、側壁41から内方、即ち、前方に突出するように設けられている。一方、第2泡検知電極6
2は、その電極部61が送風ダクト4の側壁41の外側に当該側壁41に沿うように、具体的には、当該側壁41に沿って横方向に延在するように設けられている。
【0023】
また、送風ダクト4の側壁41には、第2泡検知電極62の電極部61に対向する部分に位置させて、貫通口42が開設されている。尚、側壁41の第1と第2の両泡検知電極61,62の設置部分は、取り外し可能な分離壁41aで構成されており、この分離壁41aに貫通口42が開設されている。第1と第2の各泡検知電極61,62の端子部62は、側壁41の外側の端子カバー63内に設置されている。また、側壁41の外面には、第1と第2の両泡検知電極61,62の設置部を上方及び横方向内方から囲うようにしてリブ43が突設されている。そして、洗浄槽2の出し入れに際し、洗浄槽2に接続される図示省略した給水ホースが両泡検知電極61,62の設置部に触れることをリブ43で防止できるようにしている。
【0024】
洗浄槽2内で多量の泡が発生すると、泡が給気口27を介して送風ダクト4内に浸入する。そして、送風ダクト4内の泡の上面レベルが第1と第2の両泡検知電極61,62の電極部61,61の配置高さ以上になると、第1泡検知電極61の電極部61に泡が触れると共に、貫通口42から溢れ出た泡が第2泡検知電極62の電極部61に触れ、両泡検知電極61,62の電極部61,61間が泡を介して導通して、泡が検知される。尚、泡の発生が検知されたときは、洗浄工程を中断すると共に、図外の報知手段よる異常報知を行い、更に、発生した泡を排出する消泡工程を実行する。
【0025】
ここで、すすぎ工程後の乾燥工程で、乾燥ファン5を駆動することにより、送風ダクト4内の水蒸気を洗浄槽2に戻すことができる。そのため、送風ダクト4内の第1泡検知電極61の電極部61の周辺に水蒸気が長時間滞留することがなく、また、送風ダクト4の外側の第2泡検知電極62の電極部61の周辺にも水蒸気が長時間滞留することがなく、両泡検知電極61,62の電極部61,61が腐食し難くなる。従って、両泡検知電極61,62の電極部61,61耐食性の高い材料で形成しなくても耐食性を確保でき、コストダウンを図ることができる。
【0026】
また、第2泡検知電極62の電極部61が送風ダクト4の側壁41外側に配置されるため、当該電極部61には洗浄水飛沫が付着しにくくなる。従って、洗浄水飛沫による第1と第2の両泡検知電極61,62の電極部61,61間の導通を抑制して、誤検知を有効に防止できる。更に、第1泡検知電極61の電極部61を送風ダクト4内、第2泡検知電極62の電極部61を送風ダクト4外に夫々配置することで、両泡検知電極61,62の電極部61,61間の距離を確保できるため、送風ダクト4を大型化せずに済む。
【0027】
また、本実施形態では、第1泡検知電極61の電極部61と第2泡検知電極62の電極部61との一方を他方に対し上下方向及び水平方向に位置をずらして配置している。具体的には、第2泡検知電極62の電極部61を、第1泡検知電極61の電極部61に対し、上方に、且つ、横方向外方に位置をずらして配置している。これにより、洗浄水飛沫による第1と第2の両泡検知電極61,62の電極部61,61間の導通を効果的に抑制することができる。
【0028】
更に、本実施形態では、送風ダクト4の後側の側壁41の内面に、第1泡検知電極61の電極部61の周囲を囲うようにして、当該内面からの第1泡検知電極61の電極部61の突出長さ以下の長さで突出する筒部44を突設している。これによれば、第1泡検知電極61の電極部61の先端以外の部分には洗浄水飛沫が付着しにくくなる。従って、洗浄水飛沫による第1と第2の両泡検知電極61,62の電極部61,61間の導通をより効果的に抑制することができる。尚、送風ダクト4内に侵入した泡の上面レベルが第1泡検知電極61の電極部61の配置高さに達したときは、当該電極部61の先端に泡が確実に接触する。そのため、泡の検知性能が低下することはない。
【0029】
また、本実施形態では、送風ダクト4の側壁41の外面、正確には分離壁41aの外面に、貫通口42から溢れ出た泡を受け止めて、この泡が第2泡検知電極62の電極部61に触れ易くなるようにする泡受け止め部45を設けている。これによれば、貫通口42から溢れ出た泡が第2泡検知電極62の電極部61に触れる確実性が増して、泡の検知性能を向上させることができる。
【0030】
尚、本実施形態において、泡受け止め部45は、貫通口42及び電極部61を囲う貫通口42より若干大きな筒状に形成されているが、貫通口42と同じ大きさの筒状、或いは、上方が開放されたU字状、更には、貫通口42の下縁に沿う平板状とすることも可能である。
【0031】
更に、本実施形態では、送風ダクト4の側壁41の内面に、貫通口42に隣接して、送風ダクト4の内側から貫通口42への洗浄水飛沫の飛散を抑制する飛沫ガード部46を設けている。これによれば、第2泡検知電極62の電極部61への洗浄水飛沫の付着抑制効果を向上させて、洗浄水飛沫による第1と第2の両泡検知電極61,62の電極部61,61の導通を効果的に抑制することができる。
【0032】
尚、本実施形態において、飛沫ガード部46は、貫通口42の下縁及び横方向内側の側縁に沿うL字状に形成されているが、貫通口42を囲う筒状、或いは、上方が開放されたU字状、更には、貫通口42の下縁のみに沿う平板状とすることも可能である。
【0033】
また、本実施形態では、送風ダクト4の側壁41に、第1と第2の両泡検知電極61,62の電極部61,61よりも下方に位置させて、洗浄槽2内の洗浄水の水位が、給水を停止する上記所定レベルよりも上方の所定水位を超えたときに、洗浄水が溢れ出る溢水口47を開設している。これによれば、洗浄槽2への給水が適切に停止されずに、給気口27から送風ダクト4内に洗浄水が浸入しても、洗浄水は、溢水口47からが溢れ出て電極部61に触れることはなく、誤検知を防止することができる。
【0034】
更に、送風ダクト4内に、乾燥ファン5から送風される空気が第1と第2の両泡検知電極61,62の設置部及び溢水口47を迂回して流れるように案内する案内板部48を設けている。具体的には、案内板部48は、送風ダクト4の側壁41の内面に、送風ダクト4の横方向外方の側端部の第2泡検知電極62の設置部より上方に位置する部分から第1泡検知電極61よりもある程度横方向内方に離れた部分に向けて斜め下方にのび、そこから溢水口47よりも横方向内方に位置する部分を通って下方にのびるように突設されている。このように案内板部48を設ければ、乾燥ファン5から送風される空気が溢水口47から抜け出てしまうことを抑制できる。
【0035】
また、案内板部48の下端部は、給気口27の上縁よりも下方にのびている。これによれば、第1と第2の両泡検知電極61,62の設置部及び溢水口47と案内板部48を挟んで反対側に位置する送風ダクト4内の部分に給気口27から侵入する洗浄水飛沫は両泡検知電極61,62の設置部に飛散し難くなる。そのため、洗浄水飛沫による両泡検知電極の電極部間の導通を効果的に抑制することができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記乾燥ファン5とは別の泡検知電極61,62の除湿専用の送風ファンとこの送風ファンからの空気を洗浄槽2内に導く上記送風ダクト4とは別の送風ダクトとを設けて、この送風ダクトに泡検知電極61,62を設けることも可能である。但し、上記実施形態の如く、乾燥ファン5からの空気を洗浄槽2内に導く送風ダクト4に泡検知電極61,62を設ければ、泡検知電極61,62の除湿専用の送風ファンや送風ダクトを設ける必要がなく、コストダウンを図る上で有利である。更に、被洗浄物を乾燥させる乾燥工程において、泡検知電極61,62が除湿されるため、泡検知電極61,62の除湿専用の工程も不要になり、効率的である。
【0037】
また、上記実施形態では、洗浄槽2の後側側壁の下部に給気口27を開設しているが、給気口27を洗浄槽2の底壁に開設することも可能である。更に、上記実施形態の食器洗浄機は、ビルトイン式のものであるが、洗浄槽の前面を開放面として、この前面を開閉する前面扉を設けた卓上式の食器洗浄機にも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0038】
2…洗浄槽、24…洗浄ノズル、27…給気口、3…洗浄ポンプ、4…送風ダクト、41…側壁、42…貫通口、44…筒部、45…泡受け止め部、46…飛沫ガード部、47…溢水口、48…案内板部、5…乾燥ファン(送風ファン)、61…第1泡検知電極、62…第2泡検知電極、61…電極部、62…端子部。