(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156539
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】EFEM
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071090
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】小倉 源五郎
(72)【発明者】
【氏名】河合 俊宏
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA37
5F131CA42
5F131DA32
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB62
5F131DB76
5F131GA14
5F131GA33
5F131HA02
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
5F131HA23
5F131HA28
5F131JA08
5F131JA14
5F131JA15
5F131JA27
(57)【要約】
【課題】EFEMにおいて、シンプルな構造で接続モジュールを位置調整可能にする。
【解決手段】EFEM1は、筐体2に設けられた搬送室21とロードロック室7とを接続するように構成された接続モジュール70を備える。筐体2は、ウェハWが通過可能な開口56bが形成された背面壁46を有する。接続モジュール70は、背面壁46に取り付けられた第1接続部材71と、ロードロック室7に取り付けられた第2接続部材72とを有する。前記第1接続部材71は、前後方向に延びた第1筒部74を有する。第2接続部材72は、前後方向に延びた第2筒部76を有する。第2筒部76は、前後方向において第1筒部74と少なくとも部分的に重なるように配置され、且つ、第1筒部74に沿って前後方向に位置調整されることが可能に構成されている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象品が搬送される搬送室が形成された筐体と、
前記搬送室と、前記処理対象品に所定の処理を施す処理装置に設けられた前室との間に設けられ、前記搬送室と前記前室とを接続するように構成された接続モジュールと、を備えるEFEMであって、
前記筐体は、前記処理対象品が通過可能な筐体側開口が形成された背面部材、を有し、
前記接続モジュールは、
前記筐体と前記前室とが並べられる奥行方向から見たときに、前記筐体側開口の周りに配置され、前記背面部材に取り付けられた第1接続部材と、
前記奥行方向から見たときに、前記処理対象品を通過させるように前記前室に設けられた前室側開口の周りに配置され、前記前室に取り付けられた第2接続部材と、を有し、
前記第1接続部材は、前記奥行方向に延びた第1筒部を有し、
前記第2接続部材は、
前記奥行方向に延び、前記奥行方向において前記第1筒部と少なくとも部分的に重なるように配置され、且つ、前記第1筒部に沿って前記奥行方向に位置調整されることが可能に構成された第2筒部を有することを特徴とするEFEM。
【請求項2】
前記第1接続部材は、
前記背面部材に取り付けられ、且つ、前記背面部材の延びる方向において前記背面部材に対して位置調整されることが可能に構成されたフランジ部を有することを特徴とする請求項1に記載のEFEM。
【請求項3】
前記背面部材は、
前記筐体に対して位置が固定された第1背面部材と、前記第1背面部材に取り付けられており且つ前記第1接続部材が取り付けられた第2背面部材とを有し、
前記第2背面部材は、
前記第1背面部材の延びる方向において前記第1背面部材に対して位置調整されることが可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のEFEM。
【請求項4】
前記第1接続部材及び前記第2接続部材のうち少なくとも一方は、前記第1筒部及び前記第2筒部の周方向において、4つ以上の連結可能な連結片に分割されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のEFEM。
【請求項5】
前記第1筒部と前記第2筒部とが直接接触していることを特徴とする請求項4に記載のEFEM。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EFEMに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機器フロントエンドモジュール(EFEM)と、電子デバイス処理システムに設けられたロードロックアセンブリ(以下、前室)とを接続するためのインターフェース(以下、接続モジュール)が開示されている。より具体的には、EFEMと前室は、所定の奥行方向に並べて配置されている。また、当該接続モジュールは、板状の取付部材と、蛇腹状の可撓性密封材とを含む。取付部材は、前室に連結されている。可撓性密封材は、取付部材に連結されており、取付部材の周りに配置されている。可撓性密封材は、EFEM内の開口部の周りを密封するように構成された密封フランジを含む。密封フランジは、枠状のクランプによってEFEMの外壁に固定されている。
【0003】
上記の接続モジュールにおいては、可撓性密封材によって、取付部材と密封フランジとの奥行方向における位置関係が調整されることが可能である。このため、設計誤差に起因してEFEMと前室との奥行方向における位置ずれが大きい場合でも、当該位置ずれがある程度許容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した接続モジュールは、取付部材の周りに可撓性密封材が設けられ、さらに可撓性密封材の密封フランジがクランプによってEFEMに固定されているという複雑且つ大がかりな構造となっている。このため、種々の問題が生じうる。例えば、取付部材が可撓性密封材にぶら下がるように設けられているため、前室を構成する部材によって取付部材を支持する必要が生じる。このため、取付部材の重量によって、前室を構成する部材への負荷が大きくなるので、前室を構成する部材にある程度以上の強度が必要となる。その結果、前室の設計の自由度を低下させてしまう。
【0006】
本発明の目的は、EFEMにおいて、シンプルな構造で接続モジュールを位置調整可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明のEFEMは、処理対象品が搬送される搬送室が形成された筐体と、前記搬送室と、前記処理対象品に所定の処理を施す処理装置に設けられた前室との間に設けられ、前記搬送室と前記前室とを接続するように構成された接続モジュールと、を備えるEFEMであって、前記筐体は、前記処理対象品が通過可能な筐体側開口が形成された背面部材、を有し、前記接続モジュールは、前記筐体と前記前室とが並べられる奥行方向から見たときに、前記筐体側開口の周りに配置され、前記背面部材に取り付けられた第1接続部材と、前記奥行方向から見たときに、前記処理対象品を通過させるように前記前室に設けられた前室側開口の周りに配置され、前記前室に取り付けられた第2接続部材と、を有し、前記第1接続部材は、前記奥行方向に延びた第1筒部を有し、前記第2接続部材は、前記奥行方向に延び、前記奥行方向において前記第1筒部と少なくとも部分的に重なるように配置され、且つ、前記第1筒部に沿って前記奥行方向に位置調整されることが可能に構成された第2筒部を有することを特徴とする。
【0008】
本発明では、第2筒部を第1筒部に沿って奥行方向に動かすだけで、奥行方向において第1接続部材と第2接続部材との相対位置を調整できる。つまり、接続モジュールを奥行方向に伸縮させることができる。したがって、EFEMにおいて、シンプルな構造で接続モジュールを位置調整できる。なお、本発明では、第2筒部は第1筒部に支持されるため、前室を構成する部材に対して第2接続部材の重量による負荷がかかることが効果的に抑制される。
【0009】
第2の発明のEFEMは、前記第1の発明において、前記第1接続部材は、前記背面部材に取り付けられ、且つ、前記背面部材の延びる方向において前記背面部材に対して位置調整されることが可能に構成されたフランジ部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明では、シンプルな構造で、背面部材の延びる方向においても接続モジュールの位置を調整できる。
【0011】
第3の発明のEFEMは、前記第1又は第2の発明において、前記背面部材は、前記筐体に対して位置が固定された第1背面部材と、前記第1背面部材に取り付けられており且つ前記第1接続部材が取り付けられた第2背面部材とを有し、前記第2背面部材は、前記第1背面部材の延びる方向において前記第1背面部材に対して位置調整されることが可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明では、第2背面部材の第1背面部材に対する位置調整を行うことによって、背面部材の設計誤差を吸収できる。
【0013】
第4の発明のEFEMは、前記第1又は第2の発明において、前記第1接続部材及び前記第2接続部材のうち少なくとも一方は、前記第1筒部及び前記第2筒部の周方向において、4つ以上の連結可能な連結片に分割されていることを特徴とする。
【0014】
第1筒部及び第2筒部の両方が全周に亘って連続的に形成されている場合、第1筒部と第2筒部とを奥行方向において少なくとも部分的に重ねるために、第1筒部及び第2筒部の一方を他方に挿通させる必要がある。このため、第1筒部及び第2筒部の一方の外周面と他方の内周面との隙間が非常に狭い場合等に、挿通の作業に手間取る等の問題が生じる。本発明では、第1接続部材及び第2接続部材の少なくともいずれかが周方向において4つ以上に分割されているので、分割されている部品をある程度自由に動かせる。これにより、第1筒部と第2筒部とを奥行方向において予め容易に重ね合わせることができる。
【0015】
第5の発明のEFEMは、前記第4の発明において、前記第1筒部と前記第2筒部とが直接接触していることを特徴とする。
【0016】
第1筒部と第2筒部との間に例えばパッキンが挟まれるように配置された構成では、EFEMにおいて高い密閉性を確保できる。一方で、筐体の内部が例えば大気で満たされるEFEMは、一般的に、密閉性が多少低くても問題無く稼働させることができる。本発明では、接続モジュールの第1筒部と第2筒部とを直接接触させることにより、第1筒部と第2筒部との間にパッキンを挟ませなくてもある程度の密閉性を確保できる。したがって、このようなEFEMにおいて部材コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係るEFEM及びその周辺の概略的な平面図である。
【
図6】(a)は、
図5のVI(a)-VI(a)線断面図であり、(b)は、(a)の一部の拡大図である。
【
図7】(a)は、接続モジュールの斜視図であり、(b)は、接続モジュールの正面図である。
【
図8】(a)、(b)は、接続モジュールの各部の正面図であり、(c)は、第2接続部材のVIII(c)- VIII(c)線断面図であり、(d)は、(c)と同様の断面図である。
【
図9】(a)、(b)は、背面壁を筐体に取り付ける手順を示す説明図である。
【
図10】(a)、(b)は、接続モジュールを背面壁に取り付ける手順を示す説明図である。
【
図11】(a)、(b)は、第2接続部材の位置調整方法を示す説明図である。
【
図12】(a)、(b)は、接続モジュールをロードロック室に取り付ける手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について説明する。説明の便宜上、
図1に示す方向を前後左右方向と定義する。すなわち、EFEM(Equipment Front End Module)1と処理装置6とが並べられている方向を前後方向(本発明の奥行方向)と定義する。前後方向において、EFEM1側を前側(搬送室側)と定義する。前後方向において、処理装置6側を後側(前室側)と定義する。前後方向と直交する、複数のロードポート4が並べられる方向を左右方向と定義する。また、前後方向及び左右方向の両方と直交する方向を上下方向と定義する。
【0019】
(EFEM及び周辺の概略構成)
EFEM1及びその周辺の概略構成について、
図1及び
図2を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係るEFEM1及びその周辺の概略的な平面図である。
図2は、EFEM1の電気的構成を示す図である。EFEM1は、筐体2と、搬送ロボット3と、複数のロードポート4と、制御装置5(
図2参照)とを備える。EFEM1の後側には、処理装置6が配置されている。処理装置6は、半導体基板であるウェハW(本発明の処理対象品)に所定の処理を施す装置である。所定の処理とは、例えば真空チャンバー内で行われる処理(スパッタリング、ドライエッチングなど)であっても良く、或いは他の処理であっても良い。EFEM1は、筐体2内に配置された搬送ロボット3によって、ロードポート4に載置されているFOUP(Front-Opening Unified Pod)100と処理装置6との間でウェハWの受渡しを行う。FOUP100は、複数のウェハWを上下方向に並べて収容可能な容器である。FOUP100の後端部(前後方向における筐体2側の端部)には蓋101が取り付けられている。FOUP100は、例えば不図示の搬送装置によって搬送される。搬送装置とロードポート4との間で、FOUP100の受渡しが行われる。
【0020】
筐体2は、複数のロードポート4と処理装置6とを接続するためのものである。
図1に示すように、筐体2の内部には、ウェハWが搬送される搬送室21が形成されている。搬送室21は、筐体2の外側の空間(以下、外部空間9)に対して概ね密閉されている。本実施形態では、EFEM1が稼動しているときの搬送室21は、例えば清浄な空気で満たされている。筐体2は、搬送室21を含む内部空間20内を空気が循環するように構成されている。搬送室21は、公知のゲートバルブ10及び後述の接続モジュール70を介して、処理装置6のロードロック室7(本発明の前室)と接続されている。ゲートバルブ10は、例えば、筐体2の後端部よりも後側に配置されている。ゲートバルブ10は、ロードロック室7に属する。本実施形態では、2つのゲートバルブ10が左右方向に並べて配置されている。ウェハWは、いずれかのゲートバルブ10を通って搬送室21とロードロック室7との間で搬送される。なお、ゲートバルブ10の数はこれに限られない。ゲートバルブ10の構成の詳細な説明は省略する。
【0021】
搬送ロボット3は、搬送室21内においてウェハWの搬送を行うように構成されている。搬送ロボット3は、例えば、基台部3a(
図3参照)と、アーム機構3b(
図3参照)と、ロボット制御部11(
図2参照)とを有する。基台部3aは、搬送室21内における位置が固定された部分である。アーム機構3bは、基台部3aに取り付けられ、ウェハWを保持して搬送するように構成されている。搬送ロボット3は、主に、FOUP100内のウェハWを取り出して処理装置6に渡す動作、及び処理装置6によって処理されたウェハWを受け取ってFOUP100に戻す動作を行う。
【0022】
複数のロードポート4(
図1参照)の各々は、FOUP100が載置されるように構成されている。複数のロードポート4は、左右方向に並べて配置されている。各ロードポート4の後端部は、筐体2の前側の隔壁(後述する前面壁42)に沿うように配置されている。ロードポート4は、FOUP100内のガスを別のガスに置換可能に構成されていても良い。ロードポート4の後端部には、ドア4aが設けられている。ドア4aは、不図示のドア開閉機構によって開閉される。ドア4aは、FOUP100の蓋101のロックを解除可能、且つ、蓋101を保持可能に構成されている。ロックが解除された蓋101をドア4aが保持している状態で、ドア移動機構がドア4aを開けることで、蓋101が開けられる。これにより、FOUP100内のウェハWが、搬送ロボット3によって取り出されることが可能になる。
【0023】
制御装置5(
図2参照)は、搬送ロボット3のロボット制御部11、ロードポート4の制御部(不図示)、処理装置6の制御部(不図示)と電気的に接続されており、これらの制御部との通信を行う。制御装置5は、例えば、筐体2内に設置された圧力計111等の計測機器と電気的に接続されている。制御装置5は、例えば供給バルブ112及び排出バルブ113と電気的に接続されている。供給バルブ112は、例えば外部空間9の空気を筐体2内に供給するための供給管(不図示)に設けられ、供給管を開閉可能に構成されている。排出バルブ113は、例えば筐体2内の空気を外部空間9に排出するための排出管(不図示)に設けられ、排出管を開閉可能に構成されている。制御装置5は、これらのバルブの開度を調節することにより、筐体2内の雰囲気(例えば内部空間20の気圧)を適宜調節する。内部空間20の気圧は、外部空間9の気圧よりもわずかに高い(すなわち、微陽圧である)と好ましい。
【0024】
処理装置6(
図1参照)は、例えば、ロードロック室7と、処理室8とを有する。ロードロック室7は、ウェハWを一時的に待機させるための部屋である。ロードロック室7内の気圧は、例えば、真空に近い気圧(搬送室21の気圧よりも非常に低い気圧)に維持される。ロードロック室7は、例えばゲートバルブ10を介して搬送室21と接続されている。処理室8は、例えば不図示のドアを介してロードロック室7と接続されている。処理室8では、不図示の処理機構によって、ウェハWに対して所定の処理が施される。
【0025】
(筐体の構成)
次に、筐体2の構成について、
図1、
図3~
図5を参照しつつ説明する。
図3は、筐体2の正面図である。
図4は、筐体2の背面図である。
図5は、
図4の一部の拡大図である。
図3においては、図面の煩雑化を抑制するため、後述する複数の壁のうち一部の図示を省略している。
図3及び
図4においては、図面の煩雑化を抑制するため、複数の壁のうち一部を二点鎖線で示している。
図4における左右方向は、
図3における左右方向と逆であることに留意されたい。
【0026】
筐体2は、全体として略直方体状である。
図1、
図3及び
図4に示すように、筐体2は、例えば、柱31~36と、梁37~41と、前面壁42~44と、背面壁45~48と、側壁49~50と、底板51と、天板52と、支持板53とを有する。柱31~36及び梁37~41は、筐体2の外枠(フレーム2F)を構成するための部材である。フレーム2Fに取り付けられた前面壁42~44、背面壁45~48、側壁49~50、底板51及び天板52によって、筐体2の内部空間20が外部空間9に対して概ね密閉されている。支持板53は、搬送室21と、後述する上部空間23(
図3及び
図4参照)とを上下方向において隔てている。これらの部材は、例えば、一般的な板金(圧延された厚さ6mm以下の金属板)で形成されている。或いは、これらの部材の少なくとも一部が、厚さ6mmよりも大きい厚板などで形成されていても良い。
【0027】
柱31~36は、上下方向に延びるように配置された部材である。
図1に示すように、柱31は、筐体2の左端部且つ前端部に配置されている。柱32は、筐体2の右端部且つ前端部に配置されている。柱33は、筐体2の右端部且つ後端部に配置されている。柱34は、筐体2の左端部且つ後端部に配置されている。柱31~34は、筐体2の上下方向における略全域に亘って延びている(
図3及び
図4参照)。
図1に示すように、柱35は、左右方向において柱31と柱32との間に配置され、且つ、筐体2の前端部に配置されている。柱36は、左右方向において柱33と柱34との間に配置され、且つ、筐体2の後端部に配置されている。柱35、36は、筐体2の下端部から上側の途中部まで延びている(
図3及び
図4参照)。
【0028】
梁37~40は、水平方向に延びるように配置された部材である。梁37は、左右方向に沿って延び、柱33及び柱36に固定されている(
図4参照)。梁37の左端部は、柱36の上下方向における途中部に取り付けられている。梁37の右端部は、柱33の上下方向における途中部に取り付けられている。
【0029】
梁38は、左右方向に沿って延び、柱31、32及び35に固定されている(
図3参照)。梁38の左端部は、柱31の上下方向における途中部に取り付けられている。梁38の右端部は、柱32の上下方向における途中部に取り付けられている。梁38の左右方向における途中部は、柱35の上端部に取り付けられている。梁39は、左右方向に沿って延び、柱33、34及び36に固定されている(
図3参照)。梁39の左端部は、柱34の上下方向における途中部に取り付けられている。梁39の右端部は、柱33の上下方向における途中部に取り付けられている。梁39の左右方向における途中部は、柱36の上端部に取り付けられている。
【0030】
梁40は、左右方向に沿って延び、柱31及び32に固定されている(
図3参照)。梁40の左端部は、柱31の上端部に取り付けられている。梁40の右端部は、柱32の上端部に取り付けられている。梁41は、左右方向に沿って延び、柱33及び34に固定されている(
図4参照)。梁41の左端部は、柱34の上端部に取り付けられている。梁41の右端部は、柱33の上端部に取り付けられている。
【0031】
前面壁42~44は、筐体2の前端部に配置されている。前面壁42(
図1参照。
図3においては図示省略)は、柱32、35、梁38及び底板51に囲まれて形成された開口を塞ぐための部材である。前面壁42は、ロードポートが固定される部材である。前面壁43(
図1及び
図3参照)は、柱31、35、梁38及び底板51に囲まれて形成された開口を塞ぐための部材である。前面壁44(
図1及び
図3参照)は、柱31、32、梁38及び40に囲まれて形成された開口を塞ぐための部材である。
【0032】
背面壁45~48は、筐体2の後端部に配置されている。背面壁45(
図1及び
図4参照)は、柱33、36、梁37及び底板51に囲まれて形成された開口を塞ぐための部材である。背面壁46(
図1、
図4及び
図5参照。本発明の背面部材)は、柱33、36、梁37及び39に囲まれて形成された開口を塞ぐための部材である。背面壁46は、上下方向及び左右方向に延びている。背面壁46のより詳細については後述する。背面壁47(
図1及び
図4参照)は、柱34、36、梁39及び底板51に囲まれて形成された開口を塞ぐための部材である。背面壁48(
図1及び
図4参照)は、柱33、34、梁39及び41に囲まれて形成された開口を塞ぐための部材である。
【0033】
側壁49は、筐体2の左端部に配置されている。側壁50は、筐体2の右端部に配置されている。底板51は、筐体2の底部に配置されている(
図3及び
図4参照)。天板52は、筐体2の天井部に配置されている(
図3及び
図4参照)。支持板53は、水平方向に延びている。支持板53は、例えば、梁38及び39のうち左右方向において柱32と柱35との間に配置された部分の上に設けられている。
【0034】
以上のようにして形成された筐体2の内部空間20は、例えば搬送室21と、機器設置室22と、上部空間23とを含む。搬送室21は、上述したように、搬送ロボット3がウェハWを搬送する空間である。機器設置室22は、例えば搬送室21の側方に隣接配置され、搬送室21とつながっている。機器設置室22には、公知のアライナ及び/又はウェハ反転装置などの機器(不図示)が設置されている。上部空間23は、例えば搬送室21及び機器設置室22の上側に配置されている。上部空間23は、支持板53によって、搬送室21及び機器設置室22と隔てられている。上部空間23に配置された支持板53の前後方向における中央部には、搬送室21及び機器設置室22と、上部空間23とを接続する開口(不図示)が形成されている。上部空間23には、例えば、公知の複数のファンフィルタユニット54が左右方向に並べて配置されている。複数のファンフィルタユニット54は、例えば支持板53の上に設置されている。各ファンフィルタユニット54は、上部空間23の空気を清浄化して搬送室21及び機器設置室22へ送るように構成されている。上部空間23には、例えば上述の供給管(不図示)を通って空気が供給される。
【0035】
ファンフィルタユニット54によって清浄化された空気は、上部空間23から下方へ送り出され、搬送室21及び機器設置室22において層流を形成して下方へ流れる(
図3の二点鎖線の矢印参照)。搬送室21及び機器設置室22の下端部まで到達した空気は、例えば上述の排出管(不図示)を通って排出される。
【0036】
EFEM1は、内部空間20内の空気の一部を循環可能に構成されていても良い。より具体的には、例えば、搬送室21及び機器設置室22内の空気を上部空間23に戻すための循環ダクト24(
図3参照)が設けられていても良い。搬送室21及び機器設置室22の下端部まで到達した空気の一部は、循環ダクト24を通って上昇し、上部空間23に戻っても良い。循環ダクト24の途中部には、搬送室21及び機器設置室22内の空気を上部空間23へ強制的に送るファン25が設けられていても良い。循環ダクト24の途中部には、循環ダクト24を開閉するバルブ26が設けられていても良い。バルブ26が開いているとき、内部空間20内の空気の一部が循環する。バルブ26が閉じているとき、内部空間20内の空気は循環しない。なお、本実施形態において、循環ダクト24は設けられていなくても良い。つまり、内部空間20内の空気は、専ら上述の供給管を通って供給され、排出管を通って排出されても良い。
【0037】
さらに、EFEM1は、2つの接続モジュール70(
図1、
図3及び
図4参照)を備える。接続モジュール70は、搬送室21及びロードロック室7の密閉性をある程度確保しつつ、搬送室21とロードロック室7とを接続するように構成されている。2つの接続モジュール70は、背面壁46に取り付けられている。
【0038】
(ロードロック室の前端部)
次に、ロードロック室7の前端部について、
図6(a)及び
図6(b)を参照しつつ説明する。
図6(a)は、
図5のVI(a)-VI(a)線断面図である。
図6(b)は、
図6(a)の一部の拡大図である。
【0039】
図6(a)に示すように、ロードロック室7の前端部は、例えば、フレーム部材61によって形成されている。フレーム部材61の前端には、例えばフランジ部材62が取り付けられている。フランジ部材62は、その内部の空間をウェハWが前後方向に通過可能に構成されている。フランジ部材62は、筒状の筒部63と、略平板状のフランジ部64とを有する。筒部63は前後方向に延びている。筒部63はフレーム部材61に固定されている。筒部63の内側の空間にはゲートバルブ10が収容されている。筒部63の内側の空間は、ゲートバルブ10を介してロードロック室7と接続されている。フランジ部64は、筒部63の前端部に形成されている。
図6(b)に示すように、フランジ部64には、前後方向に貫通した開口64aが形成されている。開口64aは、ウェハWが前後方向に通過可能な大きさを有する。フランジ部64の前端には、例えば枠状の介在部材65がボルト66によって固定されている。介在部材65には、前後方向に貫通した開口65a(本発明の前室側開口)が形成されている。開口65aは、ウェハWが前後方向に通過可能な大きさを有する。介在部材65は、フランジ部64と接続モジュール70の後端部とを連結させるための部材である。すなわち、接続モジュール70の後端部が介在部材65に固定される。より具体的には、介在部材65の前端には、後述する第2接続部材72の後端面75bと接触する前端面65bが形成されている。前端面65bには、後述のボルトB4が螺合されるねじ孔65cが形成されている。
【0040】
ここで、EFEM1を設置する際に、接続モジュール70をロードロック室7に対して容易に位置合わせするための手段が求められている。筐体2の設計誤差及びロードロック室7の設計誤差を吸収するために筐体2全体を位置調整するのでは、膨大な手間がかかるためである。このような手段の検討は従来から行われているが、さらなる取り扱い性の向上及び部材の軽量化等が求められる。そこで、本実施形態のEFEM1においては、シンプルな構造で接続モジュール70を位置調整可能にするため、筐体2及び接続モジュール70が以下の構成を有する。
【0041】
(筐体及び接続モジュールのより詳細な構成)
筐体2及び接続モジュール70のより詳細な構成について、
図5~
図8(d)を参照しつつ説明する。
図7(a)は、接続モジュール70の斜視図である。
図7(b)は、接続モジュール70の正面図である。
図8(a)は、後述する第1接続部材71の正面図である。
図8(b)は、後述する第2接続部材72の正面図である。
図8(b)において、第2接続部材72は4つに分割されている。
図8(c)は、第2接続部材のVIII(c)- VIII(c)線断面図である。
図8(d)は、
図8(c)と同様の断面図である。
【0042】
まず、筐体2のより詳細な構成について説明する。
図5に示すように、筐体2の背面壁46は、例えば、第1背面部材55と、2つの第2背面部材56とを有する。第1背面部材55は、例えば略長方形状の板部材である。第1背面部材55は、例えば複数の(本実施形態では8個の)ボルトB1によって、筐体2の外側から柱33、36、梁37及び39に固定されている。第1背面部材55の筐体2に対する位置(より厳密には、フレーム2Fに対する位置)は固定されている。第1背面部材55は、それぞれ前後方向に貫通した2つの開口55a(
図6(a)及び
図9(a)参照)を有する。各開口55aの周りには、後述のボルトB2をそれぞれ螺合させるための複数のねじ孔55b(
図9(a)参照)が形成されている。
【0043】
2つの第2背面部材56の各々は、例えば略長方形状の板部材である。
図5に示すように、各第2背面部材56は、複数のボルトB2によって、筐体2の外側から第1背面部材55に取り付けられている。より具体的には、第2背面部材56は、第1背面部材55の開口55aを塞ぐ大きさを有する。第2背面部材56の外縁の近傍には、ボルトB2を挿通させるための複数の挿通孔56a(
図5参照)が形成されている。各挿通孔56aは、ボルトB2のねじ部の外径(例えば4mmφ)よりも大きい内径(例えば14mmφ)を有する。これにより、第2背面部材56の第1背面部材55に対する上下方向及び左右方向の位置を調整できる。前後方向において、第2背面部材56と各ボルトB2の頭部との間には、例えばワッシャーW2が介在している。ワッシャーW2の外径は、例えば、挿通孔56aの内径よりも大きい。第2背面部材56には、前後方向に貫通する略長方形状の開口56b(
図5及び
図9(b)参照。本発明の筐体側開口)が形成されている。開口56bは、後述の第1接続部材71の第1筒部74を筐体2の内側から外側へ向かって通過させるための孔である。開口56bは、第1背面部材55の開口55aよりも小さい。開口56bの近傍には、後述のボルトB3をそれぞれ螺合させるための複数のねじ孔56c(
図5参照)が形成されている。
【0044】
次に、接続モジュール70のより詳細な構成について説明する。
図6(a)~
図8(d)に示すように、接続モジュール70は、第1接続部材71と、第2接続部材72とを有する。第1接続部材71は、例えば第2背面部材56に取り付けられている。第2接続部材72は、例えば介在部材65に取り付けられている。第1接続部材71と第2接続部材72は互いに接触している。第2接続部材72は、第1接続部材71に対して前後方向において位置調整可能に構成されている。
【0045】
第1接続部材71は、前後方向から見たときに略長方形状の部材である(
図7(a)~
図8(a)参照)。第1接続部材71は、例えば板金又は厚板で形成されている。第1接続部材71は、例えば複数のボルトB3(
図6(b)、
図7(b)参照)によって、第2背面部材56の開口56bの近傍部分にねじ止めされている。各ボルトB3は、ねじ孔56c(
図5、
図8(a)参照)に螺合されている。
図6(a)~
図8(a)に示すように、第1接続部材71は、略長方形の枠状の第1フランジ部73(本発明のフランジ部)と、略直方体の筒状の第1筒部74とを有する。
【0046】
図7(a)に示すように、第1フランジ部73は、第1接続部材71の後端部に設けられている。第1フランジ部73は、複数のボルトB3のねじ部をそれぞれ挿通させるための複数の挿通孔73aを有する。各挿通孔73aは、ボルトB3のねじ部の外径(例えば4mmφ)よりも大きい内径(例えば14mmφ)を有する。これにより、第1フランジ部73を第2背面部材56に対して上下方向及び左右方向に位置調整できる。前後方向において、第1フランジ部73と各ボルトB3の頭部との間には、例えばワッシャーW3(
図6(b)参照)が介在している。ワッシャーW3の外径は、例えば、挿通孔73aの内径よりも大きい。第1フランジ部73は、前後方向に貫通した略長方形状の開口73bを有する。開口73bの近傍(すなわち、第1フランジ部73の内縁の近傍)から後方に第1筒部74が突出している。
【0047】
第1筒部74は、略直方体の筒状の部分である。第1筒部74は、第1フランジ部73の内縁の近傍から後方へ延びている。第1筒部74には、内周面74a(本発明の周面。
図6(a)、
図6(b)及び
図8(a)参照)が形成されている。前後方向から見たときに、内周面74aの大きさは、開口73bの大きさと略同じである。内周面74aには、後述するように、第2接続部材72が接触している。内周面74aには、第1筒部74の厚み方向に延びる複数のねじ孔74b(
図6(a)参照)が形成されている。
【0048】
第2接続部材72は、前後方向から見たときに略長方形状の部材である(
図7(a)、
図7(b)参照)。第2接続部材72は、例えば板金又は厚板で形成されている。第2接続部材72は、例えば複数のボルトB4(
図6(b)、
図7(b)参照)によって、介在部材65にねじ止めされている。複数のボルトB4は、介在部材65に形成された複数のねじ孔65cに螺合されている。
図6(a)~
図7(b)に示すように、第2接続部材72は、略長方形の枠状の第2フランジ部75と、略直方体の筒状の第2筒部76とを有する。
【0049】
第2フランジ部75は、第2接続部材72の前端部に設けられている。第2フランジ部75は、複数のボルトB4(
図7(b)参照)のねじ部をそれぞれ挿通させるための複数の挿通孔75a(
図7(a)参照)を有する。各挿通孔75aは、例えば、ボルトB4のねじ部の外径(例えば4mmφ)よりもわずかに大きい内径を有する。第2フランジ部75の後端には、介在部材65の前端面65bと接触する後端面75bが形成されている(
図6(b)参照)。第2フランジ部75は、前後方向に貫通した略長方形状の開口77を有する。
【0050】
第2筒部76は、略直方体の筒状の部分である。第2筒部76は、第2フランジ部75の外縁の近傍から前方へ延びている。第2筒部76には、外周面76a(
図6(a)及び
図6(b)参照)が形成されている。外周面76aは、第1接続部材71の第1筒部74の内周面74aと略全周に亘って直接接触している。第2筒部76は、前後方向において第1筒部74と部分的に重なるように配置されている(
図6(a)及び
図6(b)参照)。
【0051】
前後方向から見たときに、第1筒部74及び第2筒部76が略全周に亘って延びる方向を、説明の便宜上、周方向と呼ぶ(方向に関する図示は省略する)。第2接続部材72は、第1筒部74及び第2筒部76の周方向において、4つの連結可能な部品に分割されている(
図7(a)及び
図8(b)参照)。当該4つの部品を、説明の便宜上、4つの連結片81(連結片82、83、84及び85)と呼ぶ。例えば、左上側に配置された連結片81が連結片82である。右上側に配置された連結片81が連結片83である。右下側に配置された連結片81が連結片84である。左下側に配置された連結片81が連結片85である。
【0052】
4つの連結片81の各々は、例えば、前後方向から見たときに略L字状の部品である(
図7(b)及び
図8(b)参照)。4つの連結片81の各々は、第2フランジ部75を構成するフランジ片81aと、第2筒部76を構成する筒片81bとを有する。つまり、連結片82、83、84及び85は、フランジ片82a、83a、84a及び85a、並びに筒片82b、83b、84b及び85bをそれぞれ有する。4つの連結片81の各々は、周方向において隣接する他の2つの連結片81と連結されている(
図7(b)参照)。これにより、4つのフランジ片81aによって第2フランジ部75が形成されている。また、4つの筒片81bによって第2筒部76が形成されている。
【0053】
図7(b)に示すように、フランジ片82a及び筒片82bの右端には、右端面82cが形成されている。フランジ片82a及び筒片82bの下端には、下端面82dが形成されている。フランジ片83a及び筒片83bの左端には、左端面83cが形成されている。フランジ片83a及び筒片83bの下端には、下端面83dが形成されている。フランジ片84a及び筒片84bの左端には、左端面84cが形成されている。フランジ片84a及び筒片84bの上端には、上端面84dが形成されている。フランジ片85a及び筒片85bの左端には、右端面85cが形成されている。フランジ片85a及び筒片85bの上端には、上端面85dが形成されている。右端面82cと左端面83cとが互いに対向する。下端面83dと上端面84dとが互いに対向する。左端面84cと右端面85cとが互いに対向する。上端面85dと下端面82dとが互いに対向する。
【0054】
第2筒部76の外周面76aが第1筒部74の内周面74aと略全周に亘って接触している状態で、右端面82cと左端面83cとの間にはわずかに隙間が形成されている。同様に、下端面83dと上端面84dとの間、左端面84cと右端面85cとの間、上端面85dと下端面82dとの間にもわずかに隙間が形成されている。
【0055】
4つの連結片81の各々は、他の連結片81と接続されるための接続部81eを有する。つまり、連結片82、83、84及び85は、接続部82e、83e、84e及び85eをそれぞれ有する(
図7(b)及び
図8(b)参照)。接続部81eは、例えば略板状の部分である。例えば、接続部82eは、フランジ片82a及び筒片82bの右端部から延び、右端面82cよりも右方へ突出するように設けられている。接続部82eは、左右方向において連結片83と部分的に重なるように配置されている。接続部83eは、フランジ片83a及び筒片83bの下端部から延び、下端面83dよりも下方へ突出するように設けられている。接続部83eは、上下方向において連結片84と部分的に重なるように配置されている。接続部84eは、フランジ片84a及び筒片84bの左端部から延び、左端面84cよりも左方へ突出するように設けられている。接続部84eは、左右方向において連結片85と部分的に重なるように配置されている。接続部85eは、フランジ片85a及び筒片85bの上端部から延び、上端面85dよりも上方へ突出するように設けられている。接続部85eは、上下方向において連結片82と部分的に重なるように配置されている。4つの接続部81eの各々は、例えばフランジ片81a及び筒片81bに沿うように伸びている(
図8(b)~
図8(d)参照)。
【0056】
ある連結片81と別の連結片81とを接続するための構成について、
図8(c)及び
図8(d)を参照しつつ説明する。
図8(c)及び
図8(d)においては、連結片82と連結片85とを接続するための部分が例示されている。例えば、連結片82の筒片82bには、筒片82bの厚み方向に延びた2つのねじ孔82fが形成されている。連結片85の接続部85eには、ねじ孔82fの延びる方向(以下、延在方向と呼ぶ)と略同じ方向に貫通する2つの位置調整孔85gが形成されている。各位置調整孔85gは、連結片82と連結片85とが隣接する方向(上下方向)に延びるように形成されている。2つのねじ孔82fは、連結片82と連結片85とが接続される際に、延在方向から見たときに2つの位置調整孔85gの内側にそれぞれ収まることが可能な位置に配置されている(
図8(d)参照)。各連結片81の他の部分も(方向を除いて)同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0057】
連結片82と連結片85は、後述するように、例えば各ねじ孔82fに螺合されたボルトB5(
図11(a)参照)によって連結される。より詳細には、接続部85eが筒片82bとボルトB5の頭部との間に挟持されることにより、連結片85が連結片82に固定される。なお、ねじ孔82f及び位置調整孔85gの数はこれに限られない。各連結片81の他の部分も(方向を除いて)同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0058】
また、接続モジュール70は、前後方向に伸縮可能な構造(いわゆるテレスコピック)を有する。すなわち、接続モジュール70は、前後方向において第2筒部76を第1筒部74に対して位置調整可能に構成されている。例えば
図8(c)及び
図8(d)に示すように、連結片81の筒片81bには、筒片81bの厚み方向に貫通し且つ前後方向に延びた複数の位置調整孔81hが形成されている(位置調整孔82h、85hを参照)。上述した複数のねじ孔74b(
図6(a)参照)の各々は、当該厚み方向から見たときに、複数の位置調整孔81hのいずれかの内側に収まるように配置されている。各ねじ孔74bには、対応する位置調整孔81hに挿通されたボルトB6(
図12(a)参照)が螺合されている。
【0059】
(EFEMの設置方法)
次に、上述した構成を有するEFEM1の設置方法について、
図9(a)~
図12(b)を参照しつつ説明する。
図9(a)及び
図9(b)は、背面壁46を筐体2に取り付ける手順を示す説明図である。
図10(a)及び
図10(b)は、接続モジュール70を背面壁46に取り付ける手順を示す説明図である。
図11(a)及び
図11(b)は、第2接続部材72の位置調整方法を示す説明図である。
図12(a)及び
図12(b)は、接続モジュール70をロードロック室7に取り付ける手順を示す説明図である。
図11(a)及び
図12(a)における方向は、例えば
図6(a)における方向と同じである。
図11(b)及び
図12(b)における方向は、例えば
図7(b)における方向と同じである。
【0060】
まず、EFEM1は、複数の部品に分けられた状態で、処理装置6が設置される(又は、既に設置された)工場へ運ばれる。複数の部品には背面壁46が含まれる。背面壁46は、2つの第2背面部材56が第1背面部材55に予め位置合わせされた状態で出荷される。より具体的には、まず第1背面部材55が柱33、36、梁37及び39にねじ止めされる(
図9(a)参照)。次に、2つの第2背面部材56が、第1背面部材55に対して位置合わせされた上で、第1背面部材55にねじ止めされる(
図9(b)参照)。
【0061】
その後、例えば工場内の所定のクリーンルームにおいて、処理装置6及び筐体2が設置される。処理装置6が設置された後で、筐体2が処理装置6に位置合わせされる。筐体2の設計誤差及び処理装置6の設計誤差に起因して、第2背面部材56と介在部材65(
図6(a)参照)との間に多少の位置ずれが生じていても良い。
【0062】
作業者は、筐体2の内部空間20(より具体的には、搬送室21)に入って、接続モジュール70を筐体2及びロードロック室7に取り付ける。すなわち、本実施形態においては、外部空間9において接続モジュール70の取付作業を行う必要はない。
【0063】
まず、作業者は、複数のボルトB3(
図10(a)参照)によって第1接続部材71を第2背面部材56にねじ止めする。その際、作業者は、複数のボルトB3で第1接続部材71を仮止めし、複数のボルトB3のねじ部を複数の挿通孔73aにそれぞれ遊嵌させる。この状態で、作業者は、第1接続部材71を上下方向及び左右方向において位置調整する。その後、作業者は、複数のボルトB3を本締めする。これにより、上下方向及び左右方向において、第1接続部材71と介在部材65(
図6(a)参照)との位置ずれを実質的に解消できる。すなわち、筐体2の設計誤差及び処理装置6の設計誤差を吸収できる。
【0064】
次に、作業者は、複数の連結片82~85を互いに連結させて、第2接続部材72を仮に組み立てる。より具体的には、作業者は、各連結片81の接続部81eを、対応する別の連結片81と上下方向又は左右方向において重ね合わせる(例えば
図8(d)、
図10(b)等参照)。作業者は、複数のボルトB5(
図11(a)参照)を用いて、各接続部81eを当該別の連結片81に仮止めする。この状態で、作業者は、右端面82cと左端面83cを互いに接触させる程度に近づける(
図10(b)参照)。同様に、作業者は、下端面83dと上端面84d、左端面84cと右端面85c、上端面85dと下端面82dを、互いに接触させる程度にそれぞれ近づける。これにより、第2接続部材72が仮に組み立てられた状態において、第2筒部76の外周面76aは、第1筒部74の内周面74aに接触しているときと比べて一回り小さい。このため、前後方向において第2接続部材72を第1筒部74の内部空間に容易に挿通できる。
【0065】
次に、作業者は、第1接続部材71の後側から第2接続部材72を第1筒部74の内部空間に挿通させる(
図10(b)及び
図11(a)参照)。作業者は、例えば第2フランジ部75の後端面75b(
図6(b)参照)が介在部材65の前端面65b(
図6(b)参照)に接触するまで第2接続部材72を後方へ移動させる。このとき、
図11(a)に示すように、第1筒部74の厚み方向から見たときに、第2接続部材72のねじ孔74bが位置調整孔81hの内側に収まる範囲内で、第2筒部76を前後方向に移動させることができる。このようにして、第2筒部76は、第1筒部74に沿って前後方向に位置調整されることが可能である。その後、作業者は、複数のボルトB4及びB6を所定のねじ孔にそれぞれ仮締めしても良い。
【0066】
次に、作業者は、第2筒部76の外周面76aを第1筒部74の内周面74aに接触させるように、各連結片81の筒片81bを前後方向から見たときに外側へ移動させる(
図11(b)参照)。次に、作業者は、複数のボルトB5(
図11(a)参照)を本締めして第2筒部76の組み立てを完了させる。また、作業者は、複数のボルトB6によって第2筒部76を第1筒部74に固定する(
図12(a)参照)。また、作業者は、複数のボルトB4(
図12(b)参照)によって第2フランジ部75をロードロック室7(より具体的には、介在部材65)に固定する。以上のようにして、接続モジュール70の組立、及び接続モジュール70の筐体2及びロードロック室7への取付が完了する。
【0067】
接続モジュール70は、主に第1接続部材71及び第2接続部材72で構成されている。第1接続部材71は第2背面部材56によって支持されている。また、第2接続部材72は第1接続部材71によって支持されている。したがって、接続モジュール70の重みによるロードロック室7への負荷は小さい。
【0068】
以上のように、第2筒部76を第1筒部74に沿って前後方向に動かすだけで、前後方向において第1接続部材71と第2接続部材72との相対位置を調整できる。つまり、接続モジュール70を前後方向に伸縮させることができる。したがって、EFEM1において、シンプルな構造で接続モジュール70を位置調整できる。なお、第2筒部76は第1筒部74に支持されるため、ロードロック室7を構成する部材に対して第2接続部材72の重量による負荷がかかることが効果的に抑制される。
【0069】
また、第1接続部材71は、背面壁46の第2背面部材56に対して位置調整されることが可能な第1フランジ部73を有する。これにより、シンプルな構造で、背面壁46の延びる方向においても接続モジュール70の位置を調整できる。
【0070】
また、第2背面部材56は、上下方向及び左右方向(すなわち、第1背面部材55の延びる方向)において、第1背面部材55に対して位置調整されることが可能である。したがって、第2背面部材56の第1背面部材55に対する位置調整を行うことによって、背面壁46の設計誤差を吸収できる。
【0071】
また、第2接続部材72が周方向において4つに分割されているので、分割されている部品をある程度自由に動かせる。これにより、第1筒部74と第2筒部76とを前後方向において予め容易に重ね合わせることができる。
【0072】
また、接続モジュール70の第1筒部74と第2筒部76とを直接接触させることにより、第1筒部74と第2筒部76との間にパッキン(不図示)を挟ませなくてもある程度の密閉性を確保できる。したがって、大気で満たされるEFEM1において部材コストを削減できる。
【0073】
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0074】
(1)前記実施形態において、第1接続部材71が第2背面部材56に取り付けられた後で、第2接続部材72が第1接続部材71に取り付けられるものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、以下のような手順で接続モジュール70が第2背面部材56に取り付けられても良い。作業者は、まず、第2接続部材72の複数の連結片81を複数のボルトB5によって互いに仮止めし、且つ、第2接続部材72を複数のボルトB6によって第1接続部材71に仮止めする。このように、第2接続部材72の第1接続部材71に対する位置を微調整することができる状態で、接続モジュール70が予め緩く組み立てられても良い。その後、作業者は、接続モジュール70全体を第2背面部材56に仮止めし、第1接続部材71及び第2接続部材72の位置調整を行う。最後に、作業者は、仮締めされていた各ボルトを本締めする。以上のようにして、接続モジュール70の取付作業を完了させても良い。
【0075】
(2)前記までの実施形態において、第2接続部材72が周方向において4つに分割されているものとした。しかしながら、これには限られない。第2接続部材72は、周方向において5つ以上の部品に分割されていても良い。
【0076】
(3)前記までの実施形態において、第2背面部材56が第1背面部材55に対して上下方向及び左右方向において位置調整可能であるものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、背面壁46全体がフレーム2Fに対して位置調整可能であっても良い。或いは、背面壁46はフレーム2Fに対して位置調整可能に構成されていなくても良い。
【0077】
(4)前記までの実施形態において、第1フランジ部73が背面壁46に対して上下方向及び左右方向において位置調整可能であるものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、第1フランジ部73は背面壁46に対して位置調整可能に構成されていなくても良い。
【0078】
(5)前記までの実施形態において、第1筒部74の内周面74aと第2筒部76の外周面76aとが接触しているものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、接続モジュール70は、第1筒部74の外周面と第2筒部76の内周面とが接触するように構成されていても良い。なお、この場合、第2筒部76が第1筒部74よりも外側に配置されるように構成される必要がある。このため、第2筒部76の取付作業は、例えば外部空間9において行われる必要がある。
【0079】
(6)前記までの実施形態において、第2接続部材72が周方向に分割されているものとした。それに加え、或いはその代わりに、第1接続部材71が分割されていても良い。
【0080】
或いは、第1接続部材71及び第2接続部材72のいずれもが、分割されていなくても良い。この場合、例えば第1筒部74の内側に第2筒部76を挿通させるためには、第1筒部74の内周面74aと第2筒部76の外周面76aとの隙間をやや大きくする必要が生じる。このような構成においては、内周面74aと外周面76aとの間に不図示のパッキンを設けることにより、部材コストが増大する代わりにEFEM1の高い密閉性を確保できる。この場合、EFEM1の内部空間20は、空気の代わりに例えば窒素などの不活性ガスで満たされていても良い。この場合、不活性ガスのコストを低減するため、上述した循環ダクト24が設けられていると好ましい。
【0081】
(7)前記までの実施形態において、第2筒部76は、前後方向において第1筒部74と部分的に重なっているものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、第1筒部74の前後方向における全体が、前後方向において第2筒部76の延びる範囲内に収まるように、第1筒部74及び第2筒部76が構成されていても良い。すなわち、前後方向において、第1筒部74及び第2筒部76の一方が他方に対して完全に重なっていても良い。
【0082】
(8)前記までの実施形態において、第1接続部材71及び第2接続部材72が他の部材にねじ止めされているものとした。しかしながら、これには限られない。第1接続部材71及び第2接続部材72の少なくとも一方が、例えば不図示のクランプによって他の部材に固定されていても良い。この場合、第1接続部材71及び第2接続部材72の当該少なくとも一方は、板金又は厚板に代えて、金属以外の材料からなる部材で形成されていても良い。
【0083】
(9)前記までの実施形態において、真空に近い気圧に維持されるロードロック室7が本発明の前室に相当するものとした。しかしながら、これには限られない。接続モジュール70は、例えば搬送室21の気圧と略同じ気圧に維持される部屋(不図示)に接続されても良い。この場合、当該部屋が本発明の前室に相当する。
【0084】
(10)前記までの実施形態において、搬送室21内でウェハWが搬送されるものとした。しかしながら、これには限られない。ウェハW以外の物体(処理対象物)が搬送室21内で搬送されても良い。
【符号の説明】
【0085】
1 EFEM
2 筐体
2F フレーム
6 処理装置
7 ロードロック室(前室)
46 背面壁(背面部材)
55 第1背面部材
56 第2背面部材
56b 開口(筐体側開口)
65a 開口(前室側開口)
70 接続モジュール
71 第1接続部材
72 第2接続部材
73 第1フランジ部(フランジ部)
74 第1筒部
76 第2筒部
81 連結片
W ウェハ(処理対象品)