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特開2024-156547車両制御装置、車両制御方法及び車両制御用コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156547
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法及び車両制御用コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071112
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】森 寛幸
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】完了されなかった車線変更制御を適切なタイミングで再提案することが可能な車両制御装置を提供する。
【解決手段】車両制御装置は、自車両10が走行する車線を変更する車線変更制御の提案が受け付けられなかった場合、あるいは、車線変更制御が受け付けられた後に車線変更制御の実行が中止された場合において、車線変更制御を再提案するための再提案条件が満たされるか否か判定する再提案判定部33と、再提案条件が満たされた場合、自車両10に設けられた通知機器5を介して自車両10のドライバに車線変更制御の実行を再提案する再提案部34とを有する。そして再提案判定部33は、車線変更制御を開始するための開始条件が満たされると予測される場合に再提案条件が満たされたと判定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行する車線を変更する車線変更制御の提案が受け付けられなかった場合、あるいは、前記車線変更制御が受け付けられた後に前記車線変更制御の実行が中止された場合において、前記車線変更制御を再提案するための再提案条件が満たされるか否か判定する再提案判定部と、
前記再提案条件が満たされた場合、前記自車両に設けられた通知機器を介して前記自車両のドライバに前記車線変更制御の実行を再提案する再提案部と、
を有し、
前記再提案判定部は、前記車線変更制御を開始するための開始条件が満たされると予測される場合に前記再提案条件が満たされたと判定する、車両制御装置。
【請求項2】
前記再提案判定部はドライバによる所定の動作の実行後に前記開始条件が満たされると予測される場合に再提案条件が満たされたと判定する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記再提案判定部は実行が中止された前記車線変更制御が提案された理由に応じて前記再提案を通知する回数または期間を変更する、請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
ドライバが前記自車両に設けられた操作機器を介して前記再提案を承認する操作を実行すると、前記車線変更制御の実行を開始する車両制御部をさらに有し、
前記再提案を承認する操作は、前記車線変更制御をドライバが指示する操作よりも簡単な操作である、請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項5】
自車両が走行する車線を変更する車線変更制御の提案が受け付けられなかった場合、あるいは、前記車線変更制御が受け付けられた後に前記車線変更制御の実行が中止された場合において、前記車線変更制御を再提案するための再提案条件が満たされるか否か判定し、
前記再提案条件が満たされた場合、前記自車両に設けられた通知機器を介して前記自車両のドライバに前記車線変更制御の実行を再提案する、
ことを含み、
前記再提案条件が満たされるか否かの判定は前記車線変更制御を開始するための開始条件が満たされると予測される場合に前記再提案条件が満たされたと判定することを含む、
車両制御方法。
【請求項6】
自車両が走行する車線を変更する車線変更制御の提案が受け付けられなかった場合、あるいは、前記車線変更制御が受け付けられた後に前記車線変更制御の実行が中止された場合において、前記車線変更制御を再提案するための再提案条件が満たされるか否か判定し、
前記再提案条件が満たされた場合、前記自車両に設けられた通知機器を介して前記自車両のドライバに前記車線変更制御の実行を再提案する、
ことを前記自車両に搭載されたプロセッサに実行させ、
前記再提案条件が満たされるか否かの判定は前記車線変更制御を開始するための開始条件が満たされると予測される場合に前記再提案条件が満たされたと判定することを含む、
車両制御用コンピュータプログラム。
【請求項7】
自車両が走行する車線を変更する車線変更制御の提案が受け付けられなかった場合、あるいは、前記車線変更制御が受け付けられた後に前記車線変更制御の実行が中止された場合において、前記車線変更制御を開始するための開始条件が満たされるか否か判定する再提案判定部と、
前記開始条件が満たされた場合、前記自車両に設けられた通知機器を介して前記自車両のドライバに前記車線変更制御の実行を再提案する再提案部と、
ドライバが前記自車両に設けられた操作機器を介して前記再提案を承認する操作を実行すると、前記車線変更制御の実行を開始する車両制御部と、
を有し、
前記再提案を承認する操作は、前記車線変更制御をドライバが指示する操作よりも簡単な操作である、車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御用の方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車線変更制御を自動で実行する技術が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-52658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両周囲の状況によっては、車線変更の提案が受け付けられず、あるいは、車線変更制御の実行中にその制御が中止されることがある。車両周囲の状況は刻々と変化するため、車線変更制御を再度実行するための提案を適切なタイミングで行えることが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、完了されなかった車線変更制御を適切なタイミングで再提案することが可能な車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態によれば、車両制御装置が提供される。この車両制御装置は、自車両が走行する車線を変更する車線変更制御の提案が受け付けられなかった場合、あるいは、車線変更制御が受け付けられた後に車線変更制御の実行が中止された場合において、車線変更制御を再提案するための再提案条件が満たされるか否か判定する再提案判定部と、再提案条件が満たされた場合、自車両に設けられた通知機器を介して自車両のドライバに車線変更制御の実行を再提案する再提案部とを有する。そして再提案判定部は、車線変更制御を開始するための開始条件が満たされると予測される場合に再提案条件が満たされたと判定する。
【0007】
なお、再提案判定部は、ドライバによる所定の動作の実行後に開始条件が満たされると予測される場合に再提案条件が満たされたと判定することが好ましい。
【0008】
また、再提案判定部は、実行が中止された車線変更制御が提案された理由に応じて再提案を通知する回数または期間を変更することが好ましい。
【0009】
また、この車両制御装置は、ドライバが自車両に設けられた操作機器を介して再提案を承認する操作を実行すると、車線変更制御の実行を開始する車両制御部をさらに有することが好ましい。そして再提案を承認する操作は、車線変更制御をドライバが指示する操作よりも簡単な操作であることが好ましい。
【0010】
他の実施形態によれば、車両制御方法が提供される。この車両制御方法は、自車両が走行する車線を変更する車線変更制御の提案が受け付けられなかった場合、あるいは、車線変更制御が受け付けられた後に車線変更制御の実行が中止された場合において、車線変更制御を再提案するための再提案条件が満たされるか否か判定し、再提案条件が満たされた場合、自車両に設けられた通知機器を介して自車両のドライバに車線変更制御の実行を再提案する、ことを含む。そして再提案条件が満たされるか否かの判定は、車線変更制御を開始するための開始条件が満たされると予測される場合に再提案条件が満たされたと判定することを含む。
【0011】
さらに他の実施形態によれば、車両制御用コンピュータプログラムが提供される。この車両制御用コンピュータプログラムは、自車両が走行する車線を変更する車線変更制御の提案が受け付けられなかった場合、あるいは、車線変更制御が受け付けられた後に車線変更制御の実行が中止された場合において、車線変更制御を再提案するための再提案条件が満たされるか否か判定し、再提案条件が満たされた場合、自車両に設けられた通知機器を介して自車両のドライバに車線変更制御の実行を再提案する、ことを自車両に搭載されたプロセッサに実行させるための命令を含む。そして再提案条件が満たされるか否かの判定は、車線変更制御を開始するための開始条件が満たされると予測される場合に再提案条件が満たされたと判定することを含む。
【0012】
さらに他の実施形態によれば、車両制御装置が提供される。この車両制御装置は、自車両が走行する車線を変更する車線変更制御の提案が受け付けられなかった場合、あるいは、車線変更制御が受け付けられた後に車線変更制御の実行が中止された場合において、車線変更制御を開始するための開始条件が満たされるか否か判定する再提案判定部と、開始条件が満たされた場合、自車両に設けられた通知機器を介して自車両のドライバに車線変更制御の実行を再提案する再提案部と、ドライバが自車両に設けられた操作機器を介して再提案を承認する操作を実行すると、車線変更制御の実行を開始する車両制御部と、
を有する。そして再提案を承認する操作は、車線変更制御をドライバが指示する操作よりも簡単な操作である。
【発明の効果】
【0013】
本開示による車両制御装置は、完了されなかった車線変更制御を適切なタイミングで再提案することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】車両制御装置が実装される車両制御システムの概略構成図である。
図2】電子制御装置のハードウェア構成図である。
図3】電子制御装置のプロセッサの機能ブロック図である。
図4】車線変更制御の再提案が実施される一例を示す説明図である。
図5】車両制御処理の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照しつつ、車両制御装置及び車両制御装置上で実行される車両制御方法ならびに車両制御用コンピュータプログラムについて説明する。この車両制御装置は、一旦提案され、かつ、完了されなかった車線変更制御について、車線変更制御を開始するための開始条件が満たされると予測される場合に再提案する。なお、以下では、車線変更制御をLC制御と呼ぶことがある。同様に、車線変更制御の提案及び再提案を、それぞれ、LC提案あるいはLC再提案と呼ぶことがある。
【0016】
図1は、車両制御装置が実装される車両制御システムの概略構成図である。本実施形態では、自車両の一例である車両10に搭載され、かつ、車両10を制御する車両制御システム1は、少なくとも一つの車外センサ2と、少なくとも一つの車内センサ3と、操作機器4と、通知機器5と、車両制御装置の一例である電子制御装置(ECU)6とを有する。車両制御システム1は、衛星測位装置(図示せず)、ナビゲーション装置(図示せず)、無線通信端末(図示せず)、及び、自動運転制御に利用されるいわゆる高精度地図を記憶するストレージ装置(図示せず)の少なくとも何れかをさらに有していてもよい。
【0017】
車外センサ2は、車両10の周囲の所定の検知範囲の状況を検知するためのセンサであり、例えば、カメラ、または、レーダあるいはLiDARといった測距センサである。なお、車両10には、検知範囲あるいは種類の異なる複数の車外センサが設けられてもよい。そして車外センサ2は、所定の周期ごとに車両10の周囲の状況を表すセンサ信号を生成し、生成したセンサ信号をECU6へ出力する。
【0018】
車内センサ3は、車両10のドライバの行動を検知するためのセンサであり、例えば、ドライバを撮影するように車室内に設置されたドライバモニタカメラ、あるいは、ステアリングに設けられるタッチセンサである。なお、車両10には、種類の異なる複数の車内センサが設けられてもよい。そして車内センサ3は、ドライバの行動を表す車内センサ信号を生成し、生成した車内センサ信号をECU6へ出力する。
【0019】
操作機器4は、LC制御に関連するドライバの操作を受け付けるための機器であり、例えば、ウインカーレバーまたはステアリングに設けられる1以上の操作ボタン、ウインカーレバーそのもの、あるいはマイクロホンである。そして操作機器4は、ドライバが実行した操作を表す操作信号あるいは音声信号をECU6へ出力する。
【0020】
通知機器5は、車両10の車室内に設けられ、ドライバに対して、音声、光、文字表示あるいは画像表示にて所定の通知を行う機器である。そのために、通知機器5は、例えば、スピーカ、光源あるいは表示装置の少なくとも何れかを有する。通知機器5は、ドライバへのLC提案またはLC再提案といった所定の通知を表す通知信号をECU6から受け取ると、スピーカからの音声出力、光源の発光または点滅、あるいは、表示装置によるアイコンまたはメッセージの表示により、ドライバへその通知を実行する。
【0021】
図2は、ECU6のハードウェア構成図である。ECU6は、通信インターフェース21と、メモリ22と、プロセッサ23とを有する。これらは、それぞれ、別個の回路として構成されてもよく、あるいは、一つの集積回路として一体的に構成されてもよい。そしてECU6は、LC制御を含む自動運転制御または運転支援に関する処理を実行する。
【0022】
通信インターフェース21は、ECU6を車内ネットワークに接続するためのインターフェース回路を有する。通信インターフェース21は、車外センサ2、車内センサ3または操作機器4から受け取った各種の信号をプロセッサ23へわたす。また、通信インターフェース21は、プロセッサ23から受け取った通知信号を、通知機器5へ出力する。
【0023】
メモリ22は、記憶部の一例であり、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。そしてメモリ22は、プロセッサ23により実行される車両制御処理において使用される各種のデータを記憶する。さらに、メモリ22は、車両制御処理の途中で生成される各種のデータを一時的に記憶する。
【0024】
プロセッサ23は、1個または複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ23は、論理演算ユニット、数値演算ユニットあるいはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。
【0025】
図3は、プロセッサ23の機能ブロック図である。プロセッサ23は、提案判定部31と、車両制御部32と、再提案判定部33と、再提案部34とを有する。プロセッサ23が有するこれらの各部は、例えば、プロセッサ23上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、プロセッサ23が有するこれらの各部は、プロセッサ23に設けられる、専用の演算回路であってもよい。
【0026】
提案判定部31は、ドライバに対してLC提案を行うか否か判定する。例えば、提案判定部31は、操作機器4に対して左右何れかの目標車線への車線変更に相当する所定の操作をドライバが行うと、LC提案を行うと判定する。所定の操作は、例えば、ウインカーレバーを、所定期間にわたって所定量だけ押し下げる操作あるいは所定量だけ押し上げる操作とすることができるが、この操作に限定されない。
【0027】
また、提案判定部31は、車両10の周辺状況に基づいて、LC提案を行うか否かを判定してもよい。例えば、車両10の現在位置から所定距離先までの区間内に分岐点が存在し、かつ、車両10が走行中の車線(以下、自車線と呼ぶ)と、その分岐点にて目的地へ向かう車線とが異なる方向へ向かう場合、提案判定部31は、目的地へ向かう車線を目標車線とするLC提案を行うと判定する。また、車両10の現在位置から所定距離先までの区間内において自車線が隣接車線と合流することで消失する場合も、提案判定部31は、合流先の隣接車線を目標車線とするLC提案を行うと判定する。
【0028】
この場合、提案判定部31は、高精度地図を参照して、衛星測位装置(図示せず)により測位された車両10の位置を含む車線を自車線と判定する。提案判定部31は、衛星測位装置により測位された車両10の位置の代わりに、車外センサ2により得られたセンサ信号に基づいて検出される、車両10の位置を利用してもよい。この場合、提案判定部31は、車線区画線、縁石あるいは道路標識といった所定の地物を検出するように予め学習された識別器にセンサ信号を入力することで、そのセンサ信号に表された地物を検出する。そのような識別器として、コンボリューショナルニューラルネットワーク、AdaBoostあるいはサポートベクトルマシンといった機械学習手法に基づく識別器が用いられる。提案判定部31は、車外センサ2の取り付け位置及び向き、センサ信号上での検出された地物の位置、及び、仮定した車両10の位置及び進行方向に基づいて、検出された地物を高精度地図上に投影して、その地物と対応する地物間の距離の二乗和といった一致度合いを算出する。そして提案判定部31は、仮定される車両10の位置及び進行方向を変更しながら投影及び一致度合いの算出を繰り返し、一致度合いが最良となったときに仮定された車両10の位置を、実際の車両10の位置とすればよい。
【0029】
提案判定部31は、ナビゲーション装置による走行予定ルート及び高精度地図を参照して、所定距離先までの区間に分岐点が存在するか否か、及び、分岐点において、自車線と目的地へ向かう車線とが異なる方向へ向かうか否かを判定すればよい。同様に、提案判定部31は、高精度地図を参照することで、自車線が消失するか否かを判定すればよい。
【0030】
さらに、車両10の前方を走行する先行車両の速度が、車両10に対して設定された目標速度よりも所定速度以上遅く、かつ、隣接車線に車両10が進入するスペースがある場合、提案判定部31は、LC提案を行うと判定してもよい。この場合、提案判定部31は、車両10の周囲を走行する周辺車両を検出するように予め学習された識別器に、時系列に得られる複数のセンサ信号のそれぞれを入力して各センサ信号から周辺車両を検出する。そのような識別器は、地物の検出に利用される識別器と同様の識別器とすることができる。そして提案判定部31は、各センサ信号から検出された個々の周辺車両に対してKLTトラッキングといった所定のトラッキング手法を適用して、個々の周辺車両を追跡する。さらに、提案判定部31は、追跡中の個々の周辺車両と車両10間の距離の時間変化に基づいて車両10に対する個々の周辺車両の相対速度を推定する。車外センサ2が測距センサであれば、提案判定部31は、センサ信号である測距信号上で検出された周辺車両が表された方位について測定された距離をその周辺車両までの距離とすればよい。また、車外センサ2がカメラであれば、センサ信号である画像上での周辺車両が表された領域の下端は、周辺車両が路面に接している位置を表していると推定される。そこで提案判定部31は、周辺車両が表された領域の下端に対応するカメラからの方位とカメラの設置高さとに基づいて周辺車両までの距離を推定すればよい。提案判定部31は、個々の周辺車両について、その周辺車両の相対速度と車速センサ(図示せず)により測定される車両10の速度とに基づいて、その周辺車両の速度を推定すればよい。
【0031】
提案判定部31は、検出された周辺車両のうち、車両10の直進方向を中心とする所定の角度範囲内に位置する周辺車両を先行車両として特定する。あるいは、提案判定部31は、センサ信号から検出された車線区画線のうち、車両10の左右それぞれに対応する領域において車両10に最も近い二つの車線区画線のそれぞれを、自車線を区画する車線区画線とする。そして提案判定部31は、検出された周辺車両のうち、自車線を区画するそれらの車線区画線で挟まれた領域内に位置する周辺車両を先行車両として特定してもよい。さらに、提案判定部31は、検出された周辺車両のうち、自車線を区画する車線区画線を挟んで隣接する領域に位置する周辺車両を、隣接車線を走行する周辺車両として特定すればよい。提案判定部31は、特定した先行車両について上記のように速度を推定すればよい。また、提案判定部31は、隣接車線を走行する周辺車両への方位及び距離に基づいて、隣接車線に車両10が進入するスペースがあるか否かを判定すればよい。
【0032】
提案判定部31は、ドライバの操作をトリガとしてLC提案を行う場合、車両制御部32に対してLC提案が行われたことを通知する。また、提案判定部31は、車両10の周辺状況に基づいてLC提案を行うと判定した場合、通知機器5を介して、LC提案を通知する。例えば、提案判定部31は、通知機器5が有する表示装置に、LC提案されたことを示すメッセージまたはアイコンを表示させる。あるいは、提案判定部31は、通知機器5が有するスピーカに、LC提案されたことを表す音声信号を出力させる。そして提案判定部31は、LC提案の通知後の所定期間内にドライバによる操作機器4を介した承認操作が行われると、車両制御部32に対してLC提案が行われたことを通知する。なお、この承認操作は、ドライバによるLC提案の操作と同じとすることができる。
【0033】
車両制御部32は、LC提案が行われるとLC提案を受け付けるか否か判定する。そして車両制御部32は、LC提案を受け付けるかLC再提案が承認された場合、LC制御を実行する。
【0034】
車両制御部32は、LC提案が行われるとLC制御の開始条件が満たされたか否か判定する。そしてLC提案の通知から一定期間内に開始条件が満たされないと、LC提案を受け付けない。なお、開始条件は、車両10の状況及びドライバの行動が以下の中止条件(i)~(vi)の何れにも該当しないことである。なお、これらの中止条件は一例であり、他の中止条件が含まれてもよく、あるいは、これらの中止条件のいくつかは省略されてもよい。
【0035】
(i)目標車線において、車両10を基準とする所定範囲内を走行中の周辺車両、または、渋滞などで停車または徐行中の周辺車両が存在する場合。この場合、車両制御部32は、提案判定部31による周辺車両に関する処理と同様の処理を実行することで、目標車線における所定範囲内に周辺車両が存在するか否かを判定すればよい。さらに、車両制御部32は、車両10よりも前方に位置する、目標車線上の周辺車両の推定速度が渋滞判定閾値以下であれば、その周辺車両は停車または徐行していると判定すればよい。
【0036】
(ii)車線区画線あるいは自車線が検出できないか、検出精度が所定の基準以下である場合、あるいは、車両10が走行中の道路の状況が、LC制御を保証できない状況である場合。例えば、道路の曲率または車線幅が、LC制御を安全実行することが保証される範囲から外れる場合。この場合、車両制御部32は、センサ信号に対して、上述した車線区画線検出及び自車線検出に関する処理を実行する。そしてセンサ信号から車線区画線が検出されない場合、あるいは、自車線の検出に失敗した場合、車両制御部32は、中止条件(ii)が満たされたと判定する。また、車線区画線の検出に用いられる識別器が出力した、車線区画線の信頼度が所定の閾値以下である場合、車両制御部32は、検出精度が所定の基準以下であるとして、中止条件(ii)が満たされたと判定する。さらに、車両制御部32は、高精度地図を参照することで道路の曲率及び車線幅をもとめればよい。あるいは、車両制御部32は、センサ信号から検出された車線区画線に基づいて道路の曲率及び車線幅をもとめてもよい。そして車両制御部32は、曲率が曲率閾値以上であるか、車線幅が幅閾値未満である場合、中止条件(ii)が満たされたと判定すればよい。
【0037】
(iii)車両10の状態がLC制御を行える状態にない場合。例えば、車両10の速度、前後方向または横方向の加速度が、LC制御を安全実行することが保証される保証範囲から外れる場合。この場合、車両制御部32は、車速センサあるいは加速度センサといった、車両10の所定の挙動を検知するセンサにより測定された速度あるいは加速度が保証範囲に含まれるか否か判定することで、中止条件(iii)が満たされるか否かを判定すればよい。
【0038】
(iv)LC制御より優先度の高い制御が行われていた場合。LC制御よりも優先度が高い制御は、例えば、Vehicle Stability Control(VSC)、Anti-lock Breake System(ABS)、またはTraction Control System(TRC)といった安全確保に関する制御である。
【0039】
(v)車両10が車線変更禁止区間を走行中、あるいは車線変更禁止区間へ進入することが想定される場合。この場合、車両制御部32は、衛星測位装置により測位された車両10の現在位置、車両10の進行方向及び高精度地図を参照して、車両10が車線変更禁止区間を走行しているか、所定距離以内に車線変更禁止区間が存在するかを判定すればよい。あるいは、車外センサ2により得られたセンサ信号から工事用の設置物が検出された場合、車両制御部32は、車両10が車線変更禁止区間を走行していると判定してもよい。あるいはまた、無線通信端末を介して受信した交通情報で示される車線規制区間に車両10の現在位置が含まれるか、車両10の現在位置から車線規制区間までの距離が所定距離以下であれば、車両制御部32は、中止条件(v)が満たされると判定してもよい。
【0040】
(vi)LC制御の実行のためにドライバに課される動作をドライバが実行していない場合。その動作は、例えば、ステアリング保持あるいは周辺監視とすることができる。この場合、車内センサ信号に基づいて中止条件(vi)が満たされるか否かが判定される。例えば、ドライバに課される動作がステアリングの保持である場合、車内センサ3の一例であるタッチセンサからECU6が保持検知信号を受信していなければ、車両制御部32は、ドライバがステアリングを保持しておらず、中止条件(vi)が満たされたと判定する。また、ドライバに課される動作が周辺監視である場合、車両制御部32は、車内センサ3の他の一例であるドライバモニタカメラにより得られたドライバ画像に基づいてドライバが周辺監視を行っているか否かを判定すればよい。この場合、車両制御部32は、顔の複数の特徴点を検出するように予め学習された識別器にドライバ画像を入力することで各特徴点を検出する。さらに、車両制御部32は、各特徴点を、顔の3次元形状を表す3次元顔モデルにフィッティングする。車両制御部32は、各特徴点が3次元顔モデルに最もフィッティングする際の3次元顔モデルの顔の向きを、ドライバの顔の向きとする。そして車両制御部32は、ドライバの顔の向きが車両10の進行方向を含む所定の角度範囲から外れている継続期間が所定の時間閾値以上になると、ドライバは周辺監視をしておらず、中止条件(vi)が満たされたと判定する。
【0041】
車両制御部32は、LC提案を受け付けるかLC再提案が承認されると、LC制御の実行を開始する。LC制御を開始すると、車両制御部32は、目標車線へ移動するための走行予定軌跡を設定し、設定した走行予定軌跡に沿って走行するように操舵角を決定し、決定した操舵角となるよう、車両10のステアリングを制御する。その際、車両制御部32は、自車線検出に関して説明したように車両10の位置を検出する。車両制御部32は、検出した車両10の位置が走行予定経路に近づくように車両10の操舵角を決定すればよい。そして車両10が目標車線に移動すると、車両制御部32はLC制御を終了する。
【0042】
また、LC制御の開始後、かつ、LC制御の終了前に、上記の(i)~(vi)の何れかの中止条件が満たされた場合、車両制御部32は、LC制御の実行を中止する。また、LC再提案の承認後に、実際には開始条件が満たされずに所定時間を経過したときも、車両制御部32は、LC制御の実行を中止する。その際、車両制御部32は、目標車線から自車線へ戻る方向へ車両10が向くように車両10のステアリングを制御してもよい。
【0043】
LC提案を受け付けなかった場合、あるいは、LC制御の実行が中止された場合、車両制御部32は、その旨を再提案判定部33へ通知する。
【0044】
再提案判定部33は、LC提案が受け付けられず、あるいは、LC制御の実行が中止された場合(以下、まとめてLC制御が未完了の場合と呼ぶことがある)において、LC再提案を行うための再提案条件が満たされるか否か判定する。
【0045】
再提案条件は、ドライバによる所定の動作の実行後に、上記の開始条件が満たされると予測されること、すなわち、全ての中止条件が解消すると予測されることである。
【0046】
ドライバによる所定の動作は、中止条件(vi)に関連するドライバに課される動作、すなわち、ステアリング保持または周辺監視とすることができる。したがって、中止条件(vi)に関して説明したように、タッチセンサから保持検知信号をECU6が受信すると、再提案判定部33は、ドライバが所定の動作を行ったと判定する。あるいは、ドライバ画像に基づいて検出されたドライバの顔の向きが所定の角度範囲内となる継続期間が所定時間以上になると、再提案判定部33は、ドライバが所定の動作を行ったと判定してもよい。
【0047】
ドライバの所定の動作が検出されると、再提案判定部33は、LC制御を開始するための開始条件が満たされることが予測されるか否か判定する。すなわち、再提案判定部33は、中止条件(i)~(v)を満たすか否かを判定するための処理と同様の処理を実行して、所定時間経過後までに各中止条件が解消することが予測されれば、開始条件が満たされたと判定する。開始条件が満たされれば、再提案判定部33は、LC再提案を行うと判定する。
【0048】
例えば、中止条件(i)によりLC制御が未完了の場合、再提案判定部33は、目標車線を走行する周辺車両と車両10との相対速度及び相対位置に基づいて所定時間経過後のその周辺車両と車両10との相対位置を予測する。そして予測された相対位置が、所定範囲から外れていれば、再提案判定部33は、中止条件(i)は解消すると判定する。また、再提案判定部33は、車両10よりも前方を走行する個々の周辺車両の推定速度の直近の所定期間における変化に基づいて所定時間後の個々の周辺車両の速度を予測する。そして所定時間後における各周辺車両の予測速度の平均値が所定の速度閾値よりも速ければ、再提案判定部33は、所定時間後に渋滞の解消を予測し、中止条件(i)は解消すると判定してもよい。あるいはまた、車両10に搭載された無線通信端末を介して受信した交通情報で示される渋滞の先頭地点と、車両10の現在位置及び車速に基づいて、車両10が所定時間以内にその先頭地点に到達すると予測される場合、再提案判定部33は、中止条件(i)は解消すると判定してもよい。
【0049】
また、中止条件(iii)によりLC制御が未完了の場合、再提案判定部33は、直近の所定期間における車両10の速度または加速度の遷移に対して所定の外挿処理を実行することで所定時間経過後の速度または加速度を予測する。そして所定時間経過後における速度または加速度が保証範囲に含まれる場合、再提案判定部33は、中止条件(iii)は解消すると判定する。さらに、中止条件(v)によりLC制御が未完了の場合、再提案判定部33は、車両10の現在位置及び現在の車速と、車線変更禁止区間の終端位置とに基づいて、車両10が車線変更禁止区間を通り抜けるまでに要する時間を予測する。そして予測した時間が所定時間よりも短ければ、再提案判定部33は、中止条件(v)は解消すると判定する。
【0050】
再提案判定部33は、LC提案が受け付けられずにタイムアウトしてから、あるいはLC制御の実行が中止されてから所定の再提案期間内に再提案条件が満たされると、その旨を再提案部34へ通知する。一方、再提案期間内に再提案条件が満たされなければ、再提案判定部33は、LC再提案をしないと判定する。また、再提案期間の経過前でも、車両10の制御が手動運転制御に切り替わり、あるいは、車両10が停車すると、再提案判定部33は、LC再提案をしないと判定する。なお、再提案判定部33は、再提案期間内であれば、LC再提案の回数が上限回数に達するまでLC再提案を繰り返してもよい。
【0051】
再提案部34は、再提案条件が満たされると、通知機器5を介してドライバにLC再提案を通知する。その際、再提案部34は、提案判定部31がLC提案を通知するときと同様に、通知機器5が有する表示装置に、LC再提案されたことを示すメッセージまたはアイコンを表示させる。あるいは、再提案部34は、通知機器5が有するスピーカに、LC再提案されたことを表す音声信号を出力させる。なお、再提案部34は、LC再提案時における通知機器5による通知の表現を、最初のLC提案の通知の表現から変更してもよい。
【0052】
再提案部34は、LC再提案の通知後に、ドライバが操作機器4を介してその再提案を承認する操作を実行すると、LC再提案が承認されたことを車両制御部32へ通知する。一方、LC再提案から所定期間が経過してもドライバが承認操作を行わない場合、プロセッサ23は、LC制御を再実行しない。なお、LC再提案を承認する操作は、LC制御をドライバが提案する操作よりも簡単な操作とすることができる。例えば、LC再提案を承認する操作は、ウインカーレバーまたはステアリングに設けられた所定のボタンの押下、あるいは、承認を示す発声とすることができる。承認を示す発声によりLC再提案が承認される場合、再提案部34は、マイクロホンを介して取得したドライバの声を含む音声信号に対してGMM-HMMといった所定の音声認識手法を適用する。そして再提案部34は、その音声信号から承認に相当するキーワード(例えば、「はい」、あるいは「実行」など)を検出すると、LC再提案を承認する操作が行われたと判定すればよい。このように、再提案を承認する操作を簡単な操作とすることで、ドライバの煩わしさがより軽減される。
【0053】
図4は、LC再提案が実施される一例を示す説明図である。図4において、横軸は時間を表す。また、シーン401~406は、時刻t1~t6での車両10の周囲の状況を表す。
【0054】
時刻t1において、シーン401に示されるように、ドライバにより操作機器4を介してLC提案のための操作が行われる。時刻t2において、シーン402に示されるように、車両10を基準とする所定範囲Rに目標車線410を走行する周辺車両420が含まれておらず、また他の中止条件にも該当しないためLC制御が開始される。そしてシーン403に示されるように、車両10が目標車線410へ向けて移動開始した後、時刻t3において、周辺車両420が所定範囲Rに進入したことでLC制御が中止される。
【0055】
その後、時刻t4にて、シーン404に示されるように、所定の動作としてのステアリング保持をドライバが実行する。そして時刻t5にて、シーン405に示されるように、所定時間内に各中止条件が解消されることが予測され、すなわち、再提案条件が満たされる。したがって、通知機器5を介してLC再提案がドライバに通知される。シーン406に示されるように、時刻t6において、LC再提案に対してドライバが操作機器4を介して承認操作を実行することで、直ちにLC制御が実行される。
【0056】
図5は、LC提案がなされるとプロセッサ23により実行される車両制御処理の動作フローチャートである。車両制御部32は、LC提案を受け付けるか否か判定する(ステップS101)。上述したように、LC提案がなされてから所定時間が経過するまでに開始条件が満たされると、LC提案が受け付けられる。そしてLC提案が受け付けられると(ステップS101-Yes)、車両制御部32は、LC制御の実行を開始する(ステップS102)。
【0057】
車両制御部32は、LC制御の実行中において何れかの中止条件に該当するか否か判定する(ステップS103)。いずれの中止条件にも該当しなければ(ステップS103-No)、車両制御部32は、LC制御の完了までその実行を継続する(ステップS104)。
【0058】
ステップS101においてLC提案が受け付けられなかった場合(ステップS101-No)、あるいは、何れかの中止条件に該当すると(ステップS103-Yes)、車両制御部32は、LC制御の実行を中止する(ステップS105)。その後、再提案判定部33は、ドライバが所定の動作を行ったか否か判定する(ステップS106)。
【0059】
ドライバが所定の動作を行ったことが検出されると(ステップS106-Yes)、再提案判定部33は、再提案条件が満たされること、すなわち、全ての中止条件が解消することが予測されるか否か判定する(ステップS107)。再提案条件が満たされると(ステップS107-Yes)、再提案部34は、通知機器5を介してLC再提案を通知する(ステップS108)。そして再提案部34は、ドライバによる承認操作が行われたか否か判定する(ステップS109)。操作機器4を介して承認操作が行われると(ステップS109-Yes)、プロセッサ23は、ステップS102以降の処理を繰り返す。
【0060】
一方、再提案期間内にドライバが所定の動作を行わないか(ステップS106-No)、再提案期間内に再提案条件が満たされなければ(ステップS107-No)、プロセッサ23は、LC制御を再提案せずに車両制御処理を終了する。また、LC再提案から所定期間が経過しても承認操作が行われない場合(ステップS109-No)も、プロセッサ23は、LC制御を再実行せずに車両制御処理を終了する。
【0061】
以上に説明してきたように、この車両制御装置は、完了されなかった車線変更制御について、開始条件が満たされると予測されると再提案するため、その制御を直ちに実行可能な適切なタイミングで再提案することができる。そのため、この車両制御装置は、車線変更制御を完遂できる可能性を向上できるとともに、ドライバの煩わしさを軽減できる。
【0062】
変形例によれば、再提案判定部33は、ドライバによる所定の動作の実行の有無にかかわらず、開始条件が満たされると予測される場合に再提案条件が満たされると判定してもよい。この場合、図5のフローチャートのステップS106の処理は省略されてもよい。
【0063】
他の変形例によれば、再提案判定部33は、LC提案が受け付けられず、あるいは、LC提案が受け付けられた後にLC制御の実行が中止された場合において 、上記の開始条件が満たされるか否か判定してもよい。そして再提案部34は、開始条件が満たされた場合に、通知機器5を介してLC再提案を実行してもよい。この場合、LC再提案を承認する操作は、上記の実施形態において述べたようにLC制御をドライバが指示する操作よりも簡単な操作であることが好ましい。これにより、ドライバの煩わしさが軽減される。
【0064】
さらに他の変形例によれば、最初のLC提案の理由に応じて、LC再提案する上限回数または再提案期間が変更されてもよい。例えば、自車線が目的地へ向かわない、または消失することがLC提案の理由である場合、車線変更の実施は必須となる。そこで、最初のLC提案の理由が必須の車線変更に基づくものであれば、再提案判定部33は、再提案期間を相対的に長く設定し、または、上限回数を相対的に多く設定する。一方、先行車両の追い越し、またはドライバの指示がLC提案の理由である場合、車線変更の実施は必須でない。そこで、最初のLC提案の理由が必須でない車線変更に基づくものであれば、再提案判定部33は、再提案期間を相対的に短く設定し、または、上限回数を相対的に少なく設定する。これにより、LC再提案の繰り返しが適切に制御されるので、ドライバの煩わしさが抑制される。
【0065】
上記の実施形態または変形例による車両制御処理を実現するコンピュータプログラムは、コンピュータ読取可能な可搬性の記録媒体に記録された形で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 車両制御システム
10 車両
2 車外センサ
3 車内センサ
4 操作機器
5 通知機器
6 電子制御装置(ECU)
31 提案判定部
32 車両制御部
33 再提案判定部
34 再提案部
図1
図2
図3
図4
図5