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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015655
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】昇降装置および作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/46 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
B60P1/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117873
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000215822
【氏名又は名称】帝国繊維株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】多田 洋一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】構造がシンプルでメンテナンス性に優れ、かつ、故障の少ない昇降装置およびそれを備えた作業車両を提供する。
【解決手段】昇降装置1は、昇降台2と、昇降台2を支持する支持部材3と、支持部材3を昇降自在にガイドするガイド部4と、昇降動力伝達機構9と、を備える。ガイド部4は、伸縮自在なスライドレール5と接地用ガイド部6とを含む。スライドレール5は、下部スライド部材51と、下部スライド部材51の下端部の位置を下降限界位置にする上部スライド部材53とを有する。上部スライド部材53の上端部は、荷箱の内部と荷箱の天井壁の上方との間を昇降自在に構成される。接地用ガイド部6は、支持部材3を昇降自在にガイドするように上部スライド部材53に取り付けられる。接地用ガイド部6は、支持部材3を荷箱の内部と地面Gとの間を昇降自在にガイドするように構成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬物が載置される昇降台と、前記昇降台を上下回動自在に支持する支持部材と、前記支持部材を昇降自在にガイドするガイド部と、前記支持部材に昇降用の駆動力を伝達する昇降動力伝達機構と、を備えた昇降装置であって、
前記ガイド部は、伸縮自在なスライドレールと接地用ガイド部とを含み、
前記スライドレールは、車両荷箱の下部に下端の位置が固定される下部スライド部材と、前記下部スライド部材の下端部の位置を下降限界位置にするとともに前記下部スライド部材に対して昇降自在な上部スライド部材と、を有し、
前記上部スライド部材の上端部は、前記車両荷箱の内部と前記車両荷箱の天井壁の上方との間を昇降自在に構成され、
前記接地用ガイド部は、前記上部スライド部材の上端部の位置を前記支持部材の上昇限界位置にするとともに前記支持部材を昇降自在にガイドするように前記上部スライド部材に取り付けられ、
前記接地用ガイド部は、前記支持部材を前記車両荷箱の内部と地面との間を昇降自在にガイドするように構成されている、
ことを特徴とする昇降装置。
【請求項2】
前記車両荷箱の前記天井壁の開口部に開閉自在に取り付けられる天井カバーを更に備え、
前記天井カバーは、前記上部スライド部材が前記開口部を通過して前記天井壁の上方に位置する場合、前記上部スライド部材に接触しない位置に開くように構成され、
前記天井カバーは、前記上部スライド部材が前記車両荷箱の内部に位置する場合、前記上部スライド部材の上方を覆って閉じるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記昇降動力伝達機構は、
前記スライドレールの伸縮方向に沿うように前記車両荷箱に固定されるシリンダチューブと前記シリンダチューブに対して昇降自在なシリンダロッドとを有する昇降シリンダと、
前記シリンダロッドの先端部に取付部材を介して取り付けられるとともに水平軸心まわりに回転自在な回転体と、
前記回転体に巻き掛けられ、一端部が前記支持部材に取り付けられるとともに他端部が前記車両荷箱の固定部に固定される巻き掛け伝動体と、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の昇降装置。
【請求項4】
前記回転体は、前記上部スライド部材が上昇限界位置まで上昇した場合に、前記開口部から前記天井壁の上方に突出する位置に移動されるように構成され、
前記取付部材には、前記天井壁の下面に当接させるための当接ローラが取り付けられ、
前記当接ローラは、前記上部スライド部材が上昇する際、前記上部スライド部材および前記回転体が前記天井壁に干渉する前に前記天井カバーに当接するとともに前記天井カバーを押し上げるように構成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の昇降装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の昇降装置を備えたことを特徴とする、作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両荷箱の天井壁の上面と地面との間で運搬物を積み降ろしすることが可能な昇降装置およびそれを備えた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災や水難事故等において救助活動を行うために、様々な防災用車両が考案されている。防災用車両の中には、梯子やボートを車両荷箱の天井壁の上面に載せて走行するものも存在する。車両荷箱の天井壁の上面と地面との間で梯子やボートを積み降ろしするのは、荷役省力化のための装置がなければ大変な作業である。そこで、車両荷箱の後部に、天井壁の上面と地面との間で昇降自在な昇降台を取り付け、この昇降台にボート等の運搬物を載置して昇降させることが考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、トラック荷物積載部後端の左右に位置するアウターコラムと、アウターコラムの中をスライドする中間コラムと、アウターコラムおよび中間コラムの中をスライドするスライダーと、スライダーに取り付けられたゲート板とを備えたトラック用ゲート板垂直昇降装置が開示されている。この特許文献1の昇降装置は、駆動源、アウターコラムおよび中間コラムを連結する第1紐状体と、アウターコラム、中間コラムおよびスライダーを連結する第2紐状体と、第1、第2紐状体を支持し、かつ、方向変換を行なう複数のホイールと、を有している。この構造は、アウターコラム、中間コラムおよびスライダーの3筒の組み合わせにより、必要なときにだけ支柱の高さを高くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-50877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の昇降装置は、アウターコラムの中に、中間コラム、スライダー、第1紐状体、第2紐状体、複数のホイール等、多くの部品が設けられていた。これにより、アウターコラムの中の状態が判別しにくく、メンテナンス性が悪いという問題点があった。また、特許文献1の昇降装置は、中間コラムおよびスライダーの位置を維持するために、第1紐状体および第2紐状体に常時張力がかかる構造になっていた。車両走行時には、第1紐状体、第2紐状体および複数のホイールに走行振動による負荷がかかっていた。これにより、第1紐状体、第2紐状体および複数のホイールに故障が生じやすいという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、その目的は、構造がシンプルでメンテナンス性に優れ、かつ、故障の少ない昇降装置およびそれを備えた作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために本明細書に開示する発明は、以下のように構成されている。すなわち、第1の発明は、運搬物が載置される昇降台と、前記昇降台を上下回動自在に支持する支持部材と、前記支持部材を昇降自在にガイドするガイド部と、前記支持部材に昇降用の駆動力を伝達する昇降動力伝達機構と、を備えた昇降装置であって、前記ガイド部は、伸縮自在なスライドレールと接地用ガイド部とを含み、前記スライドレールは、車両荷箱の下部に下端の位置が固定される下部スライド部材と、前記下部スライド部材の下端部の位置を下降限界位置にするとともに前記下部スライド部材に対して昇降自在な上部スライド部材と、を有し、前記上部スライド部材の上端部は、前記車両荷箱の内部と前記車両荷箱の天井壁の上方との間を昇降自在に構成され、前記接地用ガイド部は、前記上部スライド部材の上端部の位置を前記支持部材の上昇限界位置にするとともに前記支持部材を昇降自在にガイドするように前記上部スライド部材に取り付けられ、前記接地用ガイド部は、前記支持部材を前記車両荷箱の内部と地面との間を昇降自在にガイドするように構成されている、ことを特徴とする。
【0008】
第1の発明によれば、昇降台の支持部材を昇降自在にガイドするガイド部は、車両荷箱の下部よりも下方に動かないスライドレールと、接地用ガイド部とによって構成される。スライドレールの上部スライド部材および接地用ガイド部が、支持部材を車両荷箱の内部から車両荷箱の天井壁の上方までガイドする。また、ガイド部のうち接地用ガイド部のみが、支持部材を、車両荷箱の内部と地面との間を昇降自在にガイドする。これにより、支持部材は、地面から車両荷箱の天井壁の上方位置まで、ガイド部によってガイドされる。このガイド構造によれば、アウターコラムの中に多くの部品が設けられていた従来の昇降装置と比較して、支持部材およびガイド部の各部が露出するように構成できる。これにより、メンテナンス時に作業者が各部の状態を判別しやすいので、第1の発明の昇降装置は、メンテナンス性に優れる。
【0009】
また、車両走行時には、昇降台の基端部が車両荷箱の下部に位置するように昇降台を収納することにより、スライドレールは、最も収縮した状態を維持する。これにより、昇降動力伝達機構には、車両走行時に支持部材の重量が加わる一方で、スライドレールの重量が加わらないようにできる。これにより、車両走行時に中間コラムおよびスライダーの高さ位置を維持する必要があった従来の昇降装置と比較して、昇降動力伝達機構に加わる負荷を低減することができるので、故障が生じにくい昇降装置にできる。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、前記車両荷箱の前記天井壁の開口部に開閉自在に取り付けられる天井カバーを更に備え、前記天井カバーは、前記上部スライド部材が前記開口部を通過して前記天井壁の上方に位置する場合、前記上部スライド部材に接触しない位置に開くように構成され、前記天井カバーは、前記上部スライド部材が前記車両荷箱の内部に位置する場合、前記上部スライド部材の上方を覆って閉じるように構成されている、ことを特徴とする。
【0011】
第2の発明によれば、車両走行時には、天井カバーによって上部スライド部材の上方が覆われることにより、スライドレール、接地用ガイド部および支持部材が、風雨にさらされることを抑制できる。また、天井カバーは、上部スライド部材に接触しない位置に開くように構成されているので、天井カバーの開閉によって上部スライド部材を含むスライドレールが痛むこともない。これにより、第2の発明は、よりいっそう故障が生じにくい昇降装置にできる。
【0012】
第3の発明では、第2の発明において、前記昇降動力伝達機構は、前記スライドレールの伸縮方向に沿うように前記車両荷箱に固定されるシリンダチューブと前記シリンダチューブに対して昇降自在なシリンダロッドとを有する昇降シリンダと、前記シリンダロッドの先端部に取付部材を介して取り付けられるとともに水平軸心まわりに回転自在な回転体と、前記回転体に巻き掛けられ、一端部が前記支持部材に取り付けられるとともに他端部が前記車両荷箱の固定部に固定される巻き掛け伝動体と、を含む、ことを特徴とする。
【0013】
第3の発明によれば、シンプルな構成で支持部材を昇降させることができる。
【0014】
第4の発明では、第3の発明において、前記回転体は、前記上部スライド部材が上昇限界位置まで上昇した場合に、前記開口部から前記天井壁の上方に突出する位置に移動されるように構成され、前記取付部材には、前記天井壁の下面に当接させるための当接ローラが取り付けられ、前記当接ローラは、前記上部スライド部材が上昇する際、前記上部スライド部材および前記回転体が前記天井壁に干渉する前に前記天井カバーに当接するとともに前記天井カバーを押し上げるように構成されている、ことを特徴とする。
【0015】
第4の発明によれば、昇降シリンダを伸長させる駆動力が、取付部材および当接ローラを介して天井カバーに伝達される。これにより、天井カバーを開閉するためのアクチュエータを別途設ける必要がなくなるので、昇降装置の構造をシンプルにすることができる。また、当接ローラによって、天井カバーが上部スライド部材および回転体に当たることを防ぐことができるので、昇降動力伝達機構およびガイド部の故障が抑制される。
【0016】
第5の発明は、第1~第4のいずれか一つの発明の昇降装置を備えた作業車両である。
【0017】
第5の発明によれば、構造がシンプルでメンテナンス性に優れ、かつ、故障の少ない作業車両にできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る昇降装置および作業車両によれば、構造がシンプルでメンテナンス性に優れ、かつ、故障を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る昇降装置を備えた作業車両の側面図である。
図2】本実施形態の昇降装置の昇降台が接地位置と天井位置に昇降自在であることを示す作業車両の側面図である。
図3】本実施形態の昇降装置を備えた作業車両の平面図である。
図4】水平保持部材の動きを示す昇降装置の要部側面図である。
図5】回動シリンダの動きを示す昇降装置の要部側面図である。
図6】昇降台が荷箱床面位置にある状態を示す昇降装置の要部側面図である。
図7図6のE部領域拡大図である。
図8図7のF-F線断面図である。
図9】昇降台が接地位置にある状態を示す昇降装置の要部側面図である。
図10】回転体およびその周辺を示す昇降動力伝達機構の要部側面図である。
図11】昇降台が天井位置にある状態を示す昇降装置の要部側面図である。
図12図11のH部領域拡大図である。
図13】本実施形態の昇降装置の油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る昇降装置1を備えた作業車両100の側面図である。図2は、本実施形態の昇降装置1の昇降台2が接地位置と天井位置に昇降自在であることを示す作業車両100の側面図である。図3は、本実施形態の昇降装置1を備えた作業車両100の平面図である。
【0022】
作業車両100は、火災や水難事故等において救助活動を行うための防災用車両として使用される。作業車両100は、図1図3に示すように、車両前部にキャブ101を備えている。作業車両100は、キャブ101の後方に荷箱110を備えている。荷箱110の内部には、救助活動を行うための様々な資機材が搭載されている。また、荷箱110の内部には、救助隊員が座る座席スペースも設けられている。
【0023】
荷箱110の側面には、側面扉111が設けられている。荷箱110の後面には、両開き型の後部扉112が設けられている。これらの側面扉111および後部扉112は、救助隊員の出入りおよび資機材の出し入れのために使用される。荷箱110の天井壁113の前部には、エアコン115が設けられている。後部扉112は、図3に示すように、矢印B方向に回動自在な両開き式である。一方、荷箱110の天井壁113の上面のうち、エアコン115の位置より後方は、梯子201やボート202等、全長が長くて大型の運搬物を載置するスペースとなっている。
【0024】
荷箱110の後部には、図1図3に示すように、昇降装置1が設けられている。昇降装置1は、各種資機材だけでなく、梯子201およびボート202等、大きな運搬物も載置して昇降可能な昇降台2を備えている。昇降台2は、地面Gに接地させた接地位置、荷箱110の床面の高さ位置である荷箱床面位置、および、荷箱110の天井壁113の高さ位置である天井位置の3つの高さ位置に合わせることが可能である。また、昇降台2は、図1の起立状態と図2の水平状態の2つの状態をとることができる。昇降台2を起立状態にすれば、昇降台2は、荷箱110の中に完全に収納することができる。昇降台2を起立状態にすることにより、昇降台2を荷箱110の内部に収納した状態において、後部扉112は閉じることができる。
【0025】
図4は、水平保持部材26の動きを示す昇降装置1の要部側面図である。図5は、回動シリンダ7の動きを示す昇降装置1の要部側面図である。図6は、昇降台2が荷箱床面位置にある状態を示す昇降装置1の要部側面図である。
【0026】
図4図6に示すように、昇降装置1は、昇降台2を上下回動自在に支持する左右一対の支持部材3と、支持部材3を昇降自在にガイドする左右一対のガイド部4と、支持部材3に昇降用の駆動力を伝達する左右一対の昇降動力伝達機構9と、を備えている。ガイド部4、支持部材3、および、昇降動力伝達機構9は、荷箱110の後端部、かつ、荷箱110の内部の左右両側壁に設けられる。
【0027】
支持部材3は、概ね上下方向に直線状に延びる板状部材である。支持部材3の下端部には、昇降台2の基端部を回動自在に取り付けるための昇降台取付部31が、車両後方側に突出するように設けられている。また、支持部材3の下端部には、車両前方側に突出する伝動体取付部32が設けられている。また、支持部材3の上端部には、上端突出部33が、車両後方側に突出するように設けられている。支持部材3は、昇降台2の左右両端部(車幅方向両端部)を支持するように、左右一対設けられている。
【0028】
昇降台2は、図4に示すように、その基端部が支持部材3の支持部材取付部21に回動自在に取り付けられることにより、水平状態と起立状態の2つの状態をとることができる。昇降台2の先端部には、水平保持部材取付部22が設けられている。また、昇降台2の先端開口部24には、延長台部25が挿入されている。延長台部25は、図4の矢印D方向に引き出しと収納が可能となっている。延長台部25が先端開口部24から引き出された場合、昇降台2および延長台部25の上面が運搬物の載置面となる。運搬物の載置面の面積が拡大されるので、全長の長いボート202等も安定して載置することが可能となる。
【0029】
昇降台2と支持部材3とは、支持部材取付部21で連結されるだけでなく、水平保持部材26によっても相互に連結されている。水平保持部材26は、昇降台2の左右に一対設けられている。水平保持部材26は、昇降台2が水平状態のときに昇降台2の先端が水平状態から下方へ回動することを規制することによって、昇降台2の水平状態を保持する。水平保持部材26は、棒状の第1リンク部材26aおよび第2リンク部材26bを有している。第1リンク部材26aと第2リンク部材26bとは、中間連結部26cにおいて連結されている。第1リンク部材26aにおける中間連結部26cと反対側の端部は、支持部材3の上端突出部33に連結されている。第2リンク部材26bにおける中間連結部26cと反対側の端部は、昇降台2の水平保持部材取付部22に連結されている。
【0030】
昇降台の水平状態では、水平保持部材26は、一直線状、かつ、支持部材3の上端突出部33から昇降台2の水平保持部材取付部22に向かって下方に傾斜状となるように、配置される。水平保持部材26は、昇降台2が水平状態から上方回動するにしたがって、中間連結部26cを頂点として折り畳まれるようになっている。昇降台2の起立状態では、水平保持部材26の第1リンク部材26aと第2リンク部材26bとが、左右方向(車幅方向)から見て概ね重なる。昇降台2の起立状態では、第1リンク部材26aおよび第2リンク部材26bは、上下方向に延びるように配置される。
【0031】
昇降台2と支持部材3とは、図5に示すように、回動シリンダ7によっても相互に連結されている。回動シリンダ7は、昇降台2の左右に一対設けられている。回動シリンダ7は、支持部材3に対して昇降台2を上下方向に回動させるための駆動力を昇降台2に与える。回動シリンダ7の上端は、支持部材3の上端突出部33に取り付けられる。回動シリンダ7の下端は、支持部材取付部21と水平保持部材取付部22との間に位置する昇降台2の回動シリンダ取付部23に、取り付けられる。回動シリンダ7が伸縮すると、回動シリンダ7の下端は、図5の円Cに沿って移動する。本実施形態では、回動シリンダ7が最も収縮したときに昇降台2が起立状態となるように、回動シリンダ7の大きさが設定されている。
【0032】
図7は、図6のE部領域拡大図である。図8は、図7のF-F線断面図である。図6および図7に示すように、支持部材3を昇降自在にガイドするガイド部4は、伸縮自在なスライドレール5と、接地用ガイド部6とを含んでいる。スライドレール5は、荷箱110の取付柱114に固定される下部スライド部材51と、下部スライド部材51に対して昇降自在な中間スライド部材52と、下部スライド部材51および中間スライド部材52に対して昇降自在な上部スライド部材53と、を有している。下部スライド部材51および上部スライド部材53は、図8に示すように、断面I字型である。下部スライド部材51と上部スライド部材53とは、長い板状であってほぼ同じ形状をしている。
【0033】
中間スライド部材52は、断面H字型である。中間スライド部材52の長さは、下部スライド部材51および上部スライド部材53と同じ長さである。中間スライド部材52の裏面(荷箱110の内部側壁側の面)に形成された窪み部分には、下部スライド部材51が嵌め込まれる。また、中間スライド部材52の表側の面に形成された窪み部分には、上部スライド部材53が嵌め込まれる。中間スライド部材52と下部スライド部材51との間には、鋼球54が介在している。同様に、中間スライド部材52と上部スライド部材53との間には、鋼球54が介在している。
【0034】
図9は、昇降台2が接地位置にある状態を示す昇降装置1の要部側面図である。図11は、昇降台2が天井位置にある状態を示す昇降装置1の要部側面図である。図6および図9に示すように、昇降台2が荷箱床面位置または接地位置にある状態のとき、スライドレール5は最収縮状態となる。スライドレール5の最収縮状態では、下部スライド部材51、中間スライド部材52、および、上部スライド部材53は、左右方向(車幅方向)から見て下端から上端まで重なった状態になる。この状態では、下部スライド部材51に対する中間スライド部材52の下方への移動がスライドレール5内で規制されるように構成されている。また。中間スライド部材52に対する上部スライド部材53の下方への移動がスライドレール5内で規制されるように構成されている。すなわち、上部スライド部材53および中間スライド部材52は、下部スライド部材51の下端部の位置を下降限界位置にしている。
【0035】
一方、図11に示すように、昇降台2が天井位置にある状態のとき、スライドレール5は最伸長状態となる。スライドレール5の最伸長状態では、下部スライド部材51の上部と中間スライド部材52の下部とが重なった状態になるとともに、中間スライド部材52の上部と上部スライド部材53の下部とが重なった状態になる。この状態では、下部スライド部材51に対する中間スライド部材52の上方への移動がスライドレール5内で規制されるように構成されている。また、中間スライド部材52に対する上部スライド部材53の上方への移動がスライドレール5内で規制されるように構成されている。上記のように、スライドレール5が、最収縮状態と最伸長状態との間で伸縮する。これにより、スライドレール5の上部スライド部材53の上端部は、荷箱110の内部と荷箱110の天井壁113の上方との間を昇降自在に構成されている。
【0036】
接地用ガイド部6は、上部スライド部材53の上端部の位置を支持部材3の上昇限界位置にするとともに支持部材3を昇降自在にガイドするように、上部スライド部材53に取り付けられる。具体的には、接地用ガイド部6は、支持部材3に複数取り付けられるガイドローラ64と、上部スライド部材53に設けられるとともにガイドローラ64が嵌め込まれるガイド溝62と、を有している。
【0037】
ガイドローラ64は、図4に示すように、上下方向の直線上に複数並んで支持部材3に取り付けられている。ガイドローラ64は、支持部材3の上端部の位置と、下端部の位置と、上下中間地点から少し下方の位置の3か所に、2個ずつ取り付けられる。さらに、ガイドローラ64は、支持部材3の上下中間地点から少し下方の位置と、支持部材3の下端部との間に、1個取り付けられる。これらのガイドローラ64は、図8に示すように、上部スライド部材53と対向するように、支持部材3に取り付けられる。各ガイドローラ64の固定は、ローラ取付ねじ65およびスペーサ66を使用して行われる。
【0038】
ガイド溝62は、上部スライド部材53の下端から上端まで形成されている。ガイド溝62は、上下方向に直線状となっている。ガイド溝62は、直線状の板部材である第1ガイド溝部材61Aおよび第2ガイド溝部材61Bにより形成される。第1ガイド溝部材61Aと第2ガイド溝部材61Bとは、それぞれ、上部スライド部材53に固定される。第1ガイド溝部材61Aと第2ガイド溝部材61Bとの間には、ガイドローラ64の直径程度の幅のスリットが設けられる。このスリットがガイド溝62となる。
【0039】
第1ガイド溝部材61Aには、第1抜止プレート63Aが取り付けられる。第2ガイド溝部材61Bには、第2抜止プレート63Bが取り付けられる。第1抜止プレート63Aと第2抜止プレート63Bとの間には、抜止用スリットが形成される。抜止用スリットは、ガイド溝62に沿った直線状に形成される。ただし、抜止用スリットの幅は、ガイドローラ64の直径よりも少し小さい寸法に設定されている。これにより、ガイド溝62に嵌め込まれたガイドローラ64が、ガイド溝62から脱落することが防止される。
【0040】
ガイド溝62の上端は、図7に示すように、移動規制部材67によって塞がれている。移動規制部材67は長方形の板状である。移動規制部材67は、規制部材取付ねじ68によって、第1ガイド溝部材61Aおよび第2ガイド溝部材61Bの上端面に取り付けられている。支持部材3を上部スライド部材53(ガイド溝62)に対して上昇させていくと、支持部材3に取り付けられている複数のガイドローラ64のうち、最も上に位置するガイドローラ64が、移動規制部材67に当接する。支持部材3に取り付けられ最も上に位置するガイドローラ64が移動規制部材67に当接すると、支持部材3は、それ以上、上部スライド部材53に対して上昇できなくなる。
【0041】
ガイド溝62の下端は、上端と異なり、下方に開口している。そのため、図9に示すように、支持部材3を上部スライド部材53(ガイド溝62)に対して下降させていくと、支持部材3の複数のガイドローラ64のうち、下方に位置するガイドローラ64がガイド溝62から抜け出る。本実施形態では、ガイドローラ64は、支持部材3に合計7個取り付けられている。昇降台2が接地位置にある状態では、7個のガイドローラ64のうち、3個のガイドローラ64が、ガイド溝62から抜け出るように構成されている。この状態では、4個のガイドローラ64によって、支持部材3が前後方向に傾くことが規制されている。また、この状態では、上部スライド部材53(ガイド溝62)の下端部にガイドローラ64が配置されるように設定されている。そのため、支持部材3が前後方向に傾くことが効果的に規制されている。上記構成により、接地用ガイド部6は、支持部材3を荷箱110の内部と地面Gとの間を昇降自在にガイドするように構成されている。
【0042】
図10は、回転体93およびその周辺を示す昇降動力伝達機構9の要部側面図である。昇降動力伝達機構9は、図6および図10に示すように、昇降シリンダ91と、スプロケットから成る回転体93と、チェーンから成る巻き掛け伝動体94と、を含んでいる。昇降動力伝達機構9は、昇降台2の左右に一対設けられる。昇降シリンダ91は、スライドレール5の伸縮方向に沿うように荷箱110の内部側壁に固定されるシリンダチューブ91aと、シリンダチューブ91aに対して昇降自在なシリンダロッド91bとを有している。昇降シリンダ91は、スライドレール5よりも車両前方側に配置されている。
【0043】
スプロケットから成る回転体93は、シリンダロッド91bの先端部に、第1取付部材92を介して取り付けられている。第1取付部材92は、U字状の部材であって、回転体93の回転軸の両端部を支持している。第1取付部材92は、回転体93を、水平軸心まわり(車幅方向の軸心まわり)に回転自在に支持している。
【0044】
チェーンから成る巻き掛け伝動体94は、回転体93に巻き掛けられている。巻き掛け伝動体94の一端部は、支持部材3の伝動体取付部32に取り付けられる。また、巻き掛け伝動体94の他端部は、荷箱110の固定部97に固定される。固定部97は、シリンダチューブ91aの上端部の位置に設けられている。固定部97は、回転体93よりも車両前方側に位置している。伝動体取付部32は、回転体93よりも車両後方側に位置している。巻き掛け伝動体94は、固定部97から上方に延び、回転体93に巻き掛けられることによって折り返される。そして、巻き掛け伝動体94は、回転体93から下方に延びて伝動体取付部32に接続される。
【0045】
図1図3に示すように、荷箱110の天井壁113には、昇降動力伝達機構9の回転体93およびガイド部4と対向する位置に、長方形状の開口部113aが設けられている。昇降動力伝達機構9およびガイド部4は荷箱110に左右一対設けられているので、開口部113aは荷箱110の天井壁113に左右一対設けられている。各開口部113aには、天井カバー8が開口部113aを開閉自在に取り付けられている。天井カバー8は、昇降装置1の一部である。天井カバー8は、開口部113aの車両前方側の縁に図示省略のヒンジ部を有している。天井カバー8は、このヒンジ部を中心に上下方向に回動可能である(図2の矢印A方向)。
【0046】
図11に示すように、昇降台2が天井位置の場合、昇降シリンダ91は最大まで伸長する。この昇降台2の天井位置では、シリンダロッド91bの先端の回転体93は、荷箱110の内部から開口部113aを通過して天井壁113よりも上方の位置に達している。また、昇降台2の天井位置では、スライドレール5の上部スライド部材53の上端部は、荷箱110の内部から開口部113aを通過して天井壁113よりも上方の位置に達している。上部スライド部材53の上端の高さ位置は、回転体93の高さ位置よりも上方の位置にある。
【0047】
昇降台2の天井位置では、スライドレール5は、最大まで伸長する。つまり、下部スライド部材51に対して中間スライド部材52が上昇し、かつ、中間スライド部材52に対して上部スライド部材53が上昇する。スライドレール5自身には、伸縮動作のための機構が設けられていない。スライドレール5を伸長させるための駆動力には、昇降動力伝達機構9によって支持部材3に与えられた上昇力が使用される。
【0048】
図12は、図11のH部領域拡大図である。図11および図12に示すように、昇降動力伝達機構9の昇降シリンダ91が伸長すると、巻き掛け伝動体94が支持部材3の伝動体取付部32を引き上げる。これにより、支持部材3が上昇する。巻き掛け伝動体94により、支持部材3を上部スライド部材53(ガイド溝62)に対して上昇させていくと、支持部材3に取り付けられている複数のガイドローラ64のうち、最も上に位置するガイドローラ64が、移動規制部材67に当接する。そこからさらに巻き掛け伝動体94によって支持部材3を上昇させると、ガイドローラ64が移動規制部材67に係合した状態で、支持部材3が上部スライド部材53を上方に引き上げる。上部スライド部材53が上方に引き上げられると、スライドレール5の最収縮状態から、中間スライド部材52に対する上部スライド部材53の上昇限界位置まで、上部スライド部材53が上昇する。中間スライド部材52に対する上部スライド部材53の上昇限界位置から、さらに支持部材3を上昇させると、上部スライド部材53が中間スライド部材52を引き上げる。このような動作により、スライドレール5の伸長が行われる。
【0049】
昇降台2が天井位置の場合、上部スライド部材53の上端部は、天井壁113よりも上方の位置にある。昇降台2が天井位置の場合、支持部材3は上端から下端部近くまで、天井壁113よりも上方の位置にある。
【0050】
天井カバー8は、回転体93および上部スライド部材53が開口部113aを通過して天井壁113の上方に位置する場合、上部スライド部材53に接触しない位置に開くように構成されている。また、天井カバー8は、上部スライド部材53が荷箱110の内部に位置する場合、上部スライド部材53の上方を覆って閉じるように構成されている。本実施形態では、天井カバー8を開閉させるための専用のアクチュエータは設けられていない。天井カバー8の開閉には、昇降動力伝達機構9の昇降シリンダ91の駆動力が兼用される。
【0051】
具体的に説明する。回転体93は、上部スライド部材53が上昇限界位置まで上昇した場合に、開口部113aから天井壁113の上方に突出する位置に移動されるように構成されている。これが利用される。回転体93は、図2図10および図11に示すように、昇降シリンダ91のシリンダロッド91bの先端部に、第1取付部材92を介して取り付けられている。この第1取付部材92に板状の第2取付部材95が取り付けられる。第2取付部材95には、天井壁113の下面に当接させるための2個の当接ローラ96が取り付けられている。当接ローラ96は、上部スライド部材53が上昇する際、上部スライド部材53および回転体93が天井壁113に干渉する前に天井壁113に当接するとともに天井カバー8を押し上げるように構成されている。
【0052】
図13は、本実施形態の昇降装置1の油圧回路図である。図13に示すように、昇降装置1は、油圧ポンプ191と、油圧ポンプ191を駆動させる電動モータ192と、作動油タンク193と、油圧ポンプ191から供給される作動油によって駆動される一対の昇降シリンダ91および一対の回動シリンダ7と、昇降シリンダ91および回動シリンダ7の伸縮を制御するためのコントロールバルブユニット194と、を備えている。
【0053】
作動油タンク193とコントロールバルブユニット194との間には、主供給流路199aと主戻り流路199bとが接続されている。主供給流路199aの途中部には、油圧ポンプ191が配置されている。昇降シリンダ91とコントロールバルブユニット194との間には、昇降シリンダヘッド側流路199cと昇降シリンダロッド側流路199dとが接続されている。
【0054】
昇降シリンダヘッド側流路199cは、コントロールバルブユニット194から1つの流路で延びた後、分集流弁195を通じて2つの流路に分かれる。そして、昇降シリンダヘッド側流路199cは、昇降シリンダ91のシリンダヘッド室に接続されている。分集流弁195により、一対の昇降シリンダ91のシリンダヘッド室にバランスよく作動油が供給される。これにより、昇降シリンダ91を伸長させて昇降台2を上昇させる動作がスムーズになるように構成されている。また、昇降シリンダヘッド側流路199cにおいて、昇降シリンダ91と分集流弁195との間には、パイロットチェック弁198が設けられている。
【0055】
昇降シリンダロッド側流路199dは、一対の昇降シリンダ91のシリンダロッド室からそれぞれ伸びた流路が一つの流路に合流した後、コントロールバルブユニット194に接続される。昇降シリンダロッド側流路199dの途中部には、第1流量調整弁196が設けられている。この第1流量調整弁196により、昇降シリンダ91の収縮速度が調整される。すなわち、第1流量調整弁196は、昇降台2の下降速度を調整する。
【0056】
また、昇降シリンダロッド側流路199dにおいて、第1流量調整弁196とコントロールバルブユニット194との間からは、パイロット流路199gが分岐されている。パイロット流路199gは、パイロットチェック弁198に接続されている。パイロット流路199gおよびパイロットチェック弁198により、コントロールバルブユニット194が昇降シリンダ91の収縮動作に切り換え制御した場合のみ、パイロットチェック弁198が開かれる。これにより、パイロットチェック弁198は、意図しない昇降シリンダ91の収縮を抑制することができる。すなわち、パイロットチェック弁198は、意図しない昇降台2の下降を抑制することができる。
【0057】
また、回動シリンダ7とコントロールバルブユニット194との間には、回動シリンダヘッド側流路199eと回動シリンダロッド側流路199fとが接続されている。回動シリンダロッド側流路199fの途中部には、第2流量調整弁197が設けられている。この第2流量調整弁197により、回動シリンダ7の伸長速度が調整される。すなわち、第2流量調整弁197は、昇降台2の下方向への回動速度を調整する。
【0058】
以上のとおり、本実施形態に係る昇降装置1は、運搬物が載置される昇降台2と、昇降台2を上下回動自在に支持する支持部材3と、支持部材3を昇降自在にガイドするガイド部4と、支持部材3に昇降用の駆動力を伝達する昇降動力伝達機構9と、を備える。ガイド部4は、伸縮自在なスライドレール5と接地用ガイド部6とを含む。スライドレール5は、荷箱110の下部に下端の位置が固定される下部スライド部材51と、下部スライド部材51の下端部の位置を下降限界位置にするとともに下部スライド部材51に対して昇降自在な上部スライド部材53と、を有する。上部スライド部材53の上端部は、荷箱110の内部と荷箱110の天井壁113の上方との間を昇降自在に構成される。接地用ガイド部6は、上部スライド部材53の上端部の位置を支持部材3の上昇限界位置にするとともに支持部材3を昇降自在にガイドするように上部スライド部材53に取り付けられる。接地用ガイド部6は、支持部材3を荷箱110の内部と地面Gとの間を昇降自在にガイドするように構成されている。
【0059】
上記構成によれば、昇降台2の支持部材3を昇降自在にガイドするガイド部4は、荷箱110の下部よりも下方に動かないスライドレール5と、接地用ガイド部6とによって構成される。スライドレール5の上部スライド部材53および接地用ガイド部6が、支持部材3を荷箱110の内部から荷箱110の天井壁113の上方までガイドする。また、ガイド部4のうち接地用ガイド部6のみが、支持部材3を、荷箱110の内部と地面Gとの間を昇降自在にガイドする。これにより、支持部材3は、地面Gから荷箱110の天井壁113の上方位置まで、ガイド部4によってガイドされる。このガイド構造によれば、アウターコラムの中に多くの部品が設けられていた従来の昇降装置と比較して、支持部材3およびガイド部4の各部が荷箱110内から見て露出するように構成できる。これにより、メンテナンス時に作業者が各部の状態を判別しやすいので、昇降装置1は、メンテナンス性に優れる。
【0060】
また、車両走行時には、昇降台2の基端部が荷箱110の下部に位置するように昇降台2を収納することにより、スライドレール5は、最も収縮した状態を維持する。これにより、昇降動力伝達機構9には、車両走行時に支持部材3の重量が加わる一方で、スライドレール5の重量が加わらないようにできる。これにより、車両走行時に中間コラムおよびスライダーの高さ位置を維持する必要があった従来の昇降装置と比較して、昇降動力伝達機構9に加わる負荷を低減することができる。これにより、昇降装置1は、故障が生じにくい。
【0061】
また、本実施形態の昇降装置1は、荷箱110の天井壁113の開口部113aに開閉自在に取り付けられる天井カバー8を備えている。天井カバー8は、上部スライド部材53が開口部113aを通過して天井壁113の上方に位置する場合、上部スライド部材53に接触しない位置に開くように構成される。天井カバー8は、上部スライド部材53が荷箱110の内部に位置する場合、上部スライド部材53の上方を覆って閉じるように構成されている。
【0062】
上記構成によれば、車両走行時には、天井カバー8によって上部スライド部材53の上方が覆われることにより、スライドレール5、接地用ガイド部6および支持部材3が、風雨にさらされることを抑制できる。また、天井カバー8は、上部スライド部材53に接触しない位置に開くように構成されているので、天井カバー8の開閉によって上部スライド部材53を含むスライドレール5が痛むこともない。これにより、よりいっそう故障が生じにくい。
【0063】
また、本実施形態では、昇降動力伝達機構9は、スライドレール5の伸縮方向に沿うように荷箱110に固定されるシリンダチューブ91aとシリンダチューブ91aに対して昇降自在なシリンダロッド91bとを有する昇降シリンダ91と、シリンダロッド91bの先端部に第1取付部材92および第2取付部材95を介して取り付けられるとともに水平軸心まわりに回転自在な回転体93と、回転体93に巻き掛けられ、一端部が支持部材3に取り付けられるとともに他端部が荷箱110の固定部97に固定される巻き掛け伝動体94と、を含む。この構成によれば、シンプルな構成で支持部材3を昇降させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、回転体93は、上部スライド部材53が上昇限界位置まで上昇した場合に、開口部113aから天井壁113の上方に突出する位置に移動されるように構成される。第2取付部材95には、天井壁113の下面に当接させるための当接ローラ96が取り付けられる。当接ローラ96は、上部スライド部材53が上昇する際、上部スライド部材53および回転体93が天井壁113に干渉する前に天井カバー8に当接するとともに天井カバー8を押し上げるように構成されている。
【0065】
上記構成によれば、昇降シリンダ91を伸長させる駆動力が、第1取付部材92、第2取付部材95、および当接ローラ96を介して、天井カバー8に伝達される。これにより、天井カバー8を開閉するためのアクチュエータを別途設ける必要がなくなるので、昇降装置1の構造をシンプルにすることができる。また、当接ローラ96によって、天井カバー8が上部スライド部材53および回転体93に当たることを防ぐことができるので、昇降動力伝達機構9およびガイド部4の故障が抑制される。
【0066】
今回、開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、上述した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【0067】
例えば、上記実施形態では、巻き掛け伝動体94はチェーンから成るとともに、回転体93は、スプロケットから成っていた。本発明はこれに限られない。巻き掛け伝動体としてワイヤーを採用するとともに、回転体にシーブを採用してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、スライドレール5は、下部スライド部材51、中間スライド部材52、および、上部スライド部材53の合計3つの部材が相対的に昇降するように構成されていた。本発明はこれに限らない。例えば、スライドレールは、中間スライド部材を複数有していてもよい。また、スライドレールは、中間スライド部材が存在せずに、下部スライド部材と上部スライド部材のみ有していてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 昇降装置
2 昇降台
3 支持部材
4 ガイド部
5 スライドレール
6 接地用ガイド部
8 天井カバー
9 昇降動力伝達機構
51 下部スライド部材
52 中間スライド部材
53 上部スライド部材
62 ガイド溝
64 ガイドローラ
91 昇降シリンダ
91a シリンダチューブ
91b シリンダロッド
92 第1取付部材
93 回転体
94 巻き掛け伝動体
95 第2取付部材
96 当接ローラ
97 固定部
100 作業車両
110 荷箱
113 天井壁
113a 開口部
G 地面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13