(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015656
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】気体物理量検出装置及び気体物理量検出方法
(51)【国際特許分類】
G01L 11/00 20060101AFI20240130BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20240130BHJP
G01N 25/18 20060101ALI20240130BHJP
G01L 21/14 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G01L11/00 T
G01J1/02 C
G01N25/18 D
G01L21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117874
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】390024729
【氏名又は名称】SEMITEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101834
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 順一
(72)【発明者】
【氏名】小池 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】日改 邦充
【テーマコード(参考)】
2F055
2G040
2G065
【Fターム(参考)】
2F055AA39
2F055BB08
2F055BB20
2F055CC43
2F055CC59
2F055EE39
2F055FF49
2F055GG49
2G040AB09
2G040BA23
2G040CA02
2G040DA03
2G040DA12
2G040EA02
2G040EC01
2G040GA05
2G040HA08
2G065AA04
2G065AB02
2G065BA11
2G065BA36
2G065CA21
(57)【要約】
【課題】温度測定に広く用いられているサーモパイルを真空度等の物理量の測定に用い、性能の向上を図ることができる気体物理量検出装置及び気体物理量検出方法を提供する。
【解決手段】気体物理量検出装置は、空洞部13を有する基板11と、前記基板11に形成されたメンブレン部14と、前記メンブレン部14上に配設された複数の温接点部15及び冷接点部16を有する熱電対列とを備えるサーモパイル1と、前記サーモパイル1の熱電対列に電力を供給し、前記サーモパイル1を自己加熱させる電力供給部3と、を備え、前記サーモパイル1は雰囲気の熱伝導率に応じて熱損失量の変化を検出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞部を有する基板と、前記基板に形成されたメンブレン部と、前記メンブレン部上に配設された複数の温接点部及び冷接点部を有する熱電対列とを備えるサーモパイルと、
前記サーモパイルの熱電対列に電力を供給し、前記サーモパイルを自己加熱させる電力供給部と、を備え、
前記サーモパイルは雰囲気の熱伝導率に応じて熱損失量の変化を検出することを特徴とする気体物理量検出装置。
【請求項2】
前記電力供給部は、定電流源であることを特徴とする請求項1に記載の気体物理量検出装置。
【請求項3】
前記サーモパイルは、MEMS技術によって作製されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の気体物理量検出装置。
【請求項4】
前記サーモパイルは、キャップで覆われていて、前記キャップには横向きの開口部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の気体物理量検出装置。
【請求項5】
前記キャップは金属製であることを特徴とする請求項4に記載の気体物理量検出装置。
【請求項6】
さらに温度補償用のサーミスタが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の気体物理量検出装置。
【請求項7】
前記サーモパイルにおける温接点部と冷接点部とは、60対以上形成されていることを特徴とする請求項 1又は請求項2に記載の気体物理量検出装置。
【請求項8】
空洞部を有する基板と、前記基板に形成されたメンブレン部と、前記メンブレン部上に配設された複数の温接点部及び冷接点部を有する熱電対列とを備えるサーモパイルと、 前記サーモパイルの熱電対列に電力を供給し、前記サーモパイルを自己加熱させる電力供給部とを備え、
前記電力供給部から前記サーモパイルに電力を供給し、サーモパイルを自己加熱するステップと、
サーモパイルの温度変化を起電力の変化として検出するステップと、
前記起電力の変化により被測定雰囲気の圧力を測定結果として出力するステップと、
を具備することを特徴とする気体物理量検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体物理量検出装置及び気体物理量検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、薄膜形成プロセス等の生産設備において、真空環境を適正な状態に制御して製品の品質を管理及び向上させるため、真空中での圧力測定に熱伝導真空計が用いられている。また、建造物用や医薬品運搬バック用等の真空断熱材の圧力測定においても熱伝導真空計が用いられる。
【0003】
この熱伝導の圧力依存を利用した全圧計としてピラニ真空計や熱電対真空計がある。ピラニ真空計は、通電加熱した白金やタングステンのフィラメントにおける気体の熱伝導による温度変化を、その電気抵抗の変化として検知することにより、圧力を測定する真空計である。熱電対真空計は、ピラニ真空計と同様にフィラメントを通電加熱し、気体によって生じるフィラメントの温度変化を熱電対で測定し、圧力を求める真空計である。
【0004】
これら真空計は、構造が簡単な反面、安定性や精度が期待できず、また、時間的な応答性が悪いという問題を有している。さらに、フィラメント等の加熱素子を要するため部品点数が増加するという問題もある。
【0005】
ところで、熱型赤外線検出素子の1つであり、ゼーベック効果によって生じる熱起電力を利用したサーモパイルがある。サーモパイルは、ジュール赤外線の入射エネルギー量に比例した熱起電力を発生するもので、常温で動作し、波長に依存しない分光感度特性を有し、入射エネルギー量に応じた電圧出力が得られ、また、低価格で長寿命であることから温度測定に広く用いられている。
【0006】
一方、熱電対自体に電流を流し、熱による自己加熱よりヒータとしても動作させて、この熱電対を取り巻く気体や液体の流量、流速、真空度及び濃度等の物理量を計測するためのカンチレバ方式の温度計測装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭48-51675号公報
【特許文献2】特開昭49-54078号公報
【特許文献3】特開2015―227880号公報
【特許文献4】特許第5076235号公報
【特許文献5】特許第4888861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の提案にみられる熱電対をカンチレバに設けるカンチレバ方式やマイクロエアブリッジ方式では、熱電対数を多くできない欠点があり、熱電対の合成抵抗が小さいためある程度の感度を得るには電流が大きくなる傾向となり、この結果から消費電力が大きくなる問題等がある。このように性能面で満足できるものではなく、従来に比し一層の性能の向上が期待されている。
【0009】
本発明の実施形態は、赤外線を用いた温度測定に広く用いられているサーモパイルを赤外線の影響を極力受けないようにした真空度等の物理量の測定に用い、性能の向上を図ることができる気体物理量検出装置及び気体物理量検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態による気体物理量検出装置は、空洞部を有する基板と、前記基板に形成されたメンブレン部と、前記メンブレン部上に配設された複数の温接点部及び冷接点部を有する熱電対列とを備えるサーモパイルと、前記サーモパイルの熱電対列に電力を供給し、前記サーモパイルを自己加熱させる電力供給部と、を備え、前記サーモパイルは雰囲気の熱伝導率に応じて熱損失量の変化を検出することを特徴とする。
【0011】
本実施形態の気体物理量検出装置は、気体の真空度等の気圧や風速及び熱伝導式のガスセンサにおけるガス濃度を検出する場合に適用することができる。格別被測定雰囲気の物理量が限定されるものではない。
【0012】
また、本発明の実施形態による気体物理量検出方法は、空洞部を有する基板と、前記基板に形成されたメンブレン部と、前記メンブレン部上に配設された複数の温接点部及び冷接点部を有する熱電対列とを備えるサーモパイルと、前記サーモパイルの熱電対列に電力を供給し、前記サーモパイルを自己加熱させる電力供給部とを備え、前記電力供給部から前記サーモパイルに電力を供給し、サーモパイルを自己加熱するステップと、サーモパイルの温度変化を起電力の変化として検出するステップと、前記起電力の変化により被測定雰囲気の圧力を測定結果として出力するステップと、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施形態によれば、サーモパイルを真空度等の物理量の測定に用い、性能の向上を図ることができる気体物理量検出装置及び気体物理量検出方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る気体物理量検出センサを示す斜視図である。
【
図2】同気体物理量検出センサにおいてキャップを取り外して示す斜視図である。
【
図3】同気体物理量検出センサを示す断面図である。
【
図4】同気体物理量検出センサにおけるサーモパイルの一部を切欠いて示す斜視図である。
【
図5】同気体物理量検出センサにおけるサーモパイルを説明するための模式的説明図である。
【
図6】
図4中、X-X線に沿う模式的断面図である。
【
図7】同気体物理量検出センサの概略の結線状態を示す結線図である。
【
図8】同気体物理量検出センサの動作を示すフローチャートである。
【
図9】気圧物理量検出装置における気圧と出力電圧との関係を示すグラフである。
【
図10】同印加電圧と温度との関係を示す表である。
【
図11】同本実施形態と比較例との特性の対比を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る気体物理量検出装置及び気体物理量検出方法について
図1乃至
図7を参照して説明する。
図1は、気体物理量検出センサの斜視図であり、
図2は、気体物理量検出センサにおいてキャップを取り外して示す斜視図であり、
図3は、気体物理量検出センサの断面を示している。
図4は、サーモパイルの一部を切欠いて示す斜視図であり、
図5は、サーモパイルを説明するための模式的説明図であり、
図6は、
図4中、X-X線に沿う模式的断面図であり、
図7は、気体物理量検出センサの概略の結線図である。また、
図8は、気体物理量検出センサの動作を示すフローチートである。なお、各図では、各部材を認識可能な大きさとするために、説明上、各部材の縮尺を適宜変更している。また、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
本実施形態の気体物理量検出装置は気圧物理量検出センサを備え、気圧物理量検出センサはメンブレン構造のサーモパイルを用い、雰囲気の熱伝導率が圧力によって変化することを利用して、雰囲気の圧力を検出する熱伝導式の気圧検出センサである。サーモパイルを自己加熱させて雰囲気の熱伝導率に応じて熱損失量の変化を検出し、この温度変化を熱起電力の変化として検出する。
図1及び
図2に示すように気体物理量検出センサとしての気圧検出センサ10は、サーモパイル1と、このサーモパイル1を覆うパッケージ2とを備えている。
【0017】
図2及び
図4に示すようにサーモパイル1は、略正方形状をなしていて一辺が1mm以下の長さ寸法であり、基板11の一面に二酸化ケイ素又は窒化ケイ素等の絶縁膜12が設けられ、基板11の裏面側から異方性エッチングによって空洞部13が形成されている。基板11はシリコン材料から形成されている。
【0018】
空洞部13上には絶縁膜12からなるメンブレン部14が形成されている。また、メンブレン部14上には異種金属からなる熱電対の温接点部15が配置され、メンブレン部14周辺のヒートシンク部17には冷接点部16が配置されていて、これら熱電対は複数個直列に接続された熱電対列を形成している。また熱電対列の温接点部15には赤外線吸収体18が載置されている。また、ヒートシンク部17には熱電対列の引出線が接続される電極パッド19が形成されている。このような温接点部15と冷接点部16とは、60対以上形成するのが好ましく、本実施形態では、例えば96対の温接点部15と冷接点部16が形成されている。
【0019】
従来の提案にみられる熱電対をカンチレバに設けるカンチレバ方式やマイクロエアブリッジ方式では、熱電対数を多くできない欠点があり、熱電対の合成抵抗が小さいためある程度の感度を得るには電流が大きくなる傾向となり、この結果から消費電力が大きくなる問題等がある。本実施形態では、例えば96対の温接点部15と冷接点部16が形成されていることによりその合成抵抗値は約65kΩとなるので動作時の電流値は極めて小さくなりその結果から消費電力が1.5mWとなる。従来方式は抵抗値が20Ωで消費電力は10mWである。
【0020】
次に、
図5において各熱電素子の接続状態を模式的な説明図を参照して説明する。絶縁膜12上、すなわち、メンブレン部14上にn型多結晶シリコン層20a及びアルミニウム等の金属薄膜層20bがメンブレン部14の中央部を中心として放射状に形成されている。n型多結晶シリコン層20aの温接点部15は、金属薄膜層20bにより隣接するn型多結晶シリコン層20aの冷接点部16と順次接続されている。このようにn型多結晶シリコン層20aの温接点部15が、金属薄膜層20bによって、隣接するn型多結晶シリコン層20aの冷接点部16に順次連続して接続され、熱電素子が金属薄膜層20bで直列接続されて熱電素子列を形成している。これらの最終端は、
図2及び
図4に示すように電極パッド19に接続される。
【0021】
図6に示すようにメンブレン部14上には、絶縁膜12を介してn型多結晶シリコン層20a及び金属薄膜層20bが積層されて形成されている。また、メンブレン部14上の中央部には赤外線吸収体18が形成されている。赤外線吸収体18は膜状であり、ポリイミド系樹脂、ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂及び合成ゴム等が用いられる。このようなサーモパイル1は、半導体加工プロセスを用いるMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術によってシリコン半導体材料からMEMS構造により作製することができる。
【0022】
続いて、
図1乃至
図3に示すようにパッケージ2は、サーモパイル1を収容し覆う外囲器であり、熱伝導性を有する金属製の略円筒状をなすキャップ21と、同様に金属製の略円盤状をなすステム22とを備えている。
【0023】
具体的にはキャップ21は、遮蔽部21aと側壁部21bとを備えている。遮蔽部21aは、サーモパイル1の受光部である赤外線吸収体18と対向していて、サーモパイル1への赤外線の入射、つまり、受光を遮蔽して阻止する機能を有している。また、側壁部21bには開口部23が形成されている。開口部23はキャップ21における内外の雰囲気の状態を同じにする機能を有している。開口部23はキャップ21の内外を貫通し連通する円形状の貫通孔である。キャップ21の大きさは、例えば、軸方向の長さ寸法が4mm~6mmであり、径寸法がφ5mm~φ7mmである。なお、開口部23は径寸法がφ0.5mm~φ1.5mm、好ましくはφ1mmの寸法に形成されていて、側壁部21bに対して横向きに形成されている。詳しくは、開口部23は軸方向の中央部よりサーモパイル1側寄りでサーモパイル1と同様な高さ位置に、軸方向と交差する方向、好ましくは直交する方向に形成されている。これにより外光の影響を少なくすることができる。
【0024】
また、ステム22上には、検出精度の向上のため温度補償用のサーミスタCtが実装されている。さらに、ステム22には、4本のリード端子24が上下に貫通して取付けられており、このリード端子24とサーモパイル1の電極パッド19及び温度補償用のサーミスタCtとが接続されている。これによって、サーモパイル1及び温度補償用のサーミスタCtへの駆動電源の供給や検出信号の送出がなされるようになっている。
【0025】
次に、
図7を参照して気体物理量検出装置における気圧検出センサ10(サーモパイル1)の結線状態について説明する。なお、温度補償用のサーミスタCtは省略している。サーモパイル1には電力供給部3が直列に接続され、これらの中間に出力端子が接続されていて、この出力端子の起電力を出力電圧Voutとして検出できるようになっている。
【0026】
電力供給部3は、定電流源であり、気圧検出センサ10におけるサーモパイル1の熱電対列に通電して定電流を流し、サーモパイル1に電力を供給して自己加熱させる機能を有している。この自己加熱により、従来のようにフィラメント等の加熱素子を用いることなく、気圧検出センサ10として気圧の検出を行うことができる。
【0027】
続いて、
図8を参照して気圧検出センサ10の動作の概略について説明する。気圧検出センサ10は被測定雰囲気中に配置されている。気圧検出センサ10を起動すると(ステップS1)、電力供給部3から気圧検出センサ10のサーモパイル1に電力が供給され、サーモパイル1は自己加熱される(ステップ2)。この自己加熱されたサーモパイル1は被測定雰囲気の熱伝導率によって熱放散の状態が変化、つまり、熱損失量が変化する(ステップ3)。このサーモパイル1の温度変化を起電力の変化として出力電圧Voutを検出する(ステップ4)。出力電圧Voutは、図示しないマイクロコンピュータ等の制御処理手段に入力され、演算処理されて検出出力として被測定雰囲気の圧力が出力され測定結果として出力される(ステップ5)。
【0028】
以上のような気圧検出センサ10の構成によれば、サーモパイル1は側壁部21bに開口部23が形成されたキャップ21に覆われているので、サーモパイル1はキャップ21の外部の雰囲気の状態と同じ状態に置かれる。また、この場合、サーモパイル1はキャップ21によって保護されるとともにキャップ21の遮蔽部21aによってサーモパイル1への赤外線の入射が遮蔽されるので外乱の影響を抑制することができ、検出精度の向上を図ることができる。したがって、キャップ21は、サーモパイル1を保護しつつ、雰囲気の流通は許容するが、サーモパイル1への赤外線の入射を遮蔽する機能を有している。
【0029】
なお、サーモパイル1を気圧の検出に用いる場合には、赤外線吸収体18は必須の構成要素ではないが、赤赤外線吸収体18の存在によりサーモパイル1への汚れの付着を防止することができ信号の変動が少なくなる効果が期待できる。
また、本実施形態のサーモパイル1はメンブレン構造である。既述のカンチレバ方式に対しメンブレン構造は主として以下の利点を有する。
【0030】
すなわち、メンブレン部14は平坦状であり全周が基板11に支持されていて、このメンブレン部14上にサーモパイル1が形成されている。このためメンブレン部14は機械的にも熱的にも安定性を有し、出力の安定性の確保が期待できる。加えて、メンブレン部14上に多数の熱電対を形成できるので応答速度が速くなる傾向となる。
次に
図9乃至
図11を参照して気体物理量検出装置における気圧検出センサ10の出力特性について説明する。
[気圧と電圧]
【0031】
図9は、被測定雰囲気中の気圧と出力電圧との関係を示しており、気圧を変化させた場合の出力電圧の変化を測定している。図中、横軸は気圧(Pa)を示し、縦軸は電圧(v)を示している。
【0032】
定電流源から1mA、0.6mA、0.3mA及び0.15mAと各電流を流して定電流駆動を行い測定した。測定結果から、気圧が高くなるに従い出力電圧が低下することが分かる。これにより定電流駆動を行うことにより気圧の変化を検出できることが確認できる。
[印加電圧と温度]
【0033】
図10(a)は、サーモパイル1に一定の電流を流したときの印加電圧及び消費電力を示しており、
図10(b)は、サーモパイル1に一定の電流を流して電圧印加したときと電圧印加前のサーモパイル1の温度をサーモカメラで測定したデータを示している。これにより少ない消費電力で温度上昇の変化が測定できることが分かる。
[本実施形態と比較例]
【0034】
図11は、本実施形態と比較例との特性の対比を示している。比較例は先行技術文献の特許文献4に示されている特性である。雰囲気の気圧を大気圧から10Paに変化させた場合を示している。
【0035】
この対比から本実施形態の気体物理量検出装置によれば、性能の向上を図ることができる。具体的には、時定数が速く、消費電力が小さく、及び感度が良好で小さい温度上昇で検出が可能となる。
【0036】
なお、本実施形態の気体物理量検出装置は、気圧の測定に適用される場合に限らない。例えば、ガス濃度を検出する熱伝導式のガスセンサや微風速及び風量等の風のセンシングにも適用可能である。
【0037】
本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1・・・・・サーモパイル
2・・・・・パッケージ
3・・・・・電力供給部
10・・・・気圧検出センサ
11・・・・基板
12・・・・絶縁膜
13・・・・空洞部
14・・・・メンブレン部
15・・・・温接点部
16・・・・冷接点部
17・・・・ヒートシンク部
18・・・・赤外線吸収体
19・・・・電極パッド
21・・・・キャップ
21a・・・遮蔽部
21b・・・側壁部
23・・・・開口部
24・・・・リード端子