(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156573
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】後処理装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/26 20060101AFI20241029BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B65H31/26
B65H37/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071157
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】花本 勝彦
【テーマコード(参考)】
3F054
3F108
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AB01
3F054BG03
3F054BG11
3F054BH03
3F054BJ11
3F054CA34
3F054DA01
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA32
(57)【要約】
【課題】 後処理装置のコスト増加を抑制しつつ、円滑にプリントシートの整合を行う後処理装置および画像形成装置を得る。
【解決手段】 この後処理装置には、後処理の対象となるプリントシートが載置される処理トレイ3と、処理トレイ3上のプリントシートの端部が当接するストッパーガイド2と、プリントシートを搬送する中間ローラー1とが設けられており、整合機構11は、中間ローラー1によって搬送されてきたプリントシートを処理トレイ3上に移動させて整合させる。また、ガイド機構12は、整合機構11によって移動されるプリントシートをストッパーガイド2に向けてガイドする。そして、モーター21が整合機構11を駆動し、伝達機構13は、モーター21の駆動力を遅延させてガイド機構12に伝達する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後処理の対象となるプリントシートが載置される処理トレイと、
前記処理トレイ上の前記プリントシートの端部が当接するストッパーガイドと、
前記プリントシートを搬送する中間ローラーと、
前記中間ローラーによって搬送されてきた前記プリントシートを前記処理トレイ上に移動させて整合させる整合機構と、
前記整合機構によって移動される前記プリントシートを前記ストッパーガイドに向けてガイドするガイド機構と、
前記整合機構の駆動装置と、
前記駆動装置の駆動力を遅延させて前記ガイド機構に伝達する伝達機構と、
を備えることを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記整合機構は、整合コロを備えたホルダーと、前記ホルダーに接触して前記駆動装置の駆動力で回転して揺動させる第1ローラーとを備え、
前記ガイド機構は、前記プリントシートの端部に当接するシート当接部材と、前記シート当接部材に接触して前記伝達機構によって伝達された駆動力で回転して前記シート当接部材を揺動させる第2ローラーとを備え、
前記伝達機構は、前記第1ローラーの回転角より前記第2ローラーの回転角を小さくさせる減速ローラーを備えること、
を特徴とする請求項1記載の後処理装置。
【請求項3】
前記第1ローラーおよび前記減速ローラーに接触し前記第1ローラーの回転力を前記減速ローラーに伝達する第3ローラーと、
前記第3ローラーを前記減速ローラーに押し当てる伸縮可能な第1弾性部材と、
前記第2ローラーを前記減速ローラーに押し当てる伸縮可能な第2弾性部材とをさらに備え、
前記減速ローラーは、着脱可能であること、
を特徴とする請求項2記載の後処理装置。
【請求項4】
前記駆動装置を制御するコントローラーをさらに備え、
前記コントローラーは、前記処理トレイに載置されているプリントシートの枚数に応じて、前記第1ローラーによる前記ホルダーの揺動角を調整すること、
を特徴とする請求項2記載の後処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の後処理装置を備え、
プリント後のプリントシートを前記後処理装置へ供給すること、
を特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある後処理装置は、プリントエンジンによるプリント後のプリントシートを処理トレイへ搬送し、処理トレイに載置されたプリントシートに対して所定の後処理を実行している(例えば特許文献1参照)。その後処理装置は、処理トレイ上のシートの整合(積載された複数のシートの端部が一致するように整列させること)を行う整合部材を備えており、整合部材が装着されたホルダーを揺動機構で揺動させ、処理トレイへのプリントシートの搬送時には、整合部材をプリントシートに接触しない位置に退避させている。また、後処理装置では、処理トレイが傾斜しており、処理トレイ上のプリントシートが整列するように、プリントシートの端部が当接するストッパーガイドが処理トレイ部の下端部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような後処理装置において、上述のような整合機構に加えて、整合部材によってストッパーガイドの方向へプリントシートを移動させる際に、プリントシートの後端(ストッパーガイドに当接すべき端部)を、円滑にストッパーガイドに当接させるようにガイドするガイド機構を設けることが考えられる。
【0005】
その場合、整合機構によってプリントシートがストッパーガイドの方向へ移動を開始した後にガイド機構でプリントシートの後端をガイドするため、整合機構に対してガイド機構を遅延させて動作させる必要がある。したがって、整合機構およびガイド機構は、それぞれ個別的にモーターなどの駆動装置で動作させることが考えられるが、その場合、複数の駆動装置が必要となり、後処理装置のコストが増加してしまう。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、後処理装置のコスト増加を抑制しつつ、円滑にプリントシートの整合を行う後処理装置および画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る後処理装置は、後処理の対象となるプリントシートが載置される処理トレイと、前記処理トレイ上の前記プリントシートの端部が当接するストッパーガイドと、前記プリントシートを搬送する中間ローラーと、前記中間ローラーによって搬送されてきた前記プリントシートを前記処理トレイ上に移動させて整合させる整合機構と、前記整合機構によって移動される前記プリントシートを前記ストッパーガイドに向けてガイドするガイド機構と、前記整合機構の駆動装置と、前記駆動装置の駆動力を遅延させて前記ガイド機構に伝達する伝達機構とを備える。
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、上述の後処理装置を備えており、プリント後のプリントシートを前記後処理装置へ供給する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、後処理装置のコスト増加を抑制しつつ、円滑にプリントシートの整合を行う後処理装置および画像形成装置が得られる。
【0010】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る後処理装置の構成を示す側面図である。
【
図2】
図2は、
図1における減速ローラー9の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す後処理装置の退避動作を説明する側面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す後処理装置の整合動作を説明する側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態2に係る後処理装置の構成を示す側面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2に係る後処理装置における減速ローラーの交換について説明する図である(1/3)。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る後処理装置における減速ローラーの交換について説明する図である(2/3)。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係る後処理装置における減速ローラーの交換について説明する図である(3/3)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
実施の形態1.
【0014】
図1は、本発明の実施の形態1に係る後処理装置の構成を示す側面図である。
図1に示す後処理装置は、単体の装置でもよいし、複合機などの画像形成装置に内蔵されていてもよく、プリントエンジンによるプリント後のプリントシートを供給され、そのプリントシートに対して所定の後処理(ステープル処理など)を実行する。
【0015】
図1に示すように、実施の形態1に係る後処理装置は、中間ローラー1、ストッパーガイド2、処理トレイ3、ホルダー4、駆動ローラー5、シート当接部材6、従動ローラー7、従動ローラー8、減速ローラー9、モーター21、およびコントローラー22を備える。
【0016】
中間ローラー1は、後処理の対象となるプリントシートを処理トレイ3の上方へ搬送する。中間ローラー1は、図示せぬモーターなどによって駆動される。
【0017】
ストッパーガイド2は、処理トレイ3の一端側に配置され、処理トレイ3上のプリントシートの端部が当接する。
【0018】
処理トレイ3は、傾斜した板状の部材であって、搬送されてきたプリントシートが載置される。処理トレイ3に載置されているプリントシートに対して後処理(ステープル処理など)が実行される。
【0019】
ホルダー4は、その一端側の軸4aを中心にして揺動可能な部材であって、他端側に、プリントシートに接触する整合コロ4bを備えている。駆動ローラー5は、ホルダー4の一端側の円形状の外周面5cに接触しており、モーター21の駆動力によって回転する。駆動ローラー5が回転することで、ホルダー4が揺動する。
【0020】
ホルダー4および駆動ローラー5は、中間ローラー1によって搬送されてきたプリントシートを処理トレイ3上に移動させて整合させる整合機構11として機能する。
【0021】
シート当接部材6は、その一端側の軸6aを中心にして揺動可能な部材であって、他端側において、整合機構11により移動されてきたプリントシートの端部に当接する部材である。従動ローラー7は、シート当接部材6の一端側の円形状の外周面6bに接触して後述の伝達機構13によって伝達された駆動力で回転してシート当接部材6を揺動させる。
【0022】
シート当接部材6および従動ローラー7は、整合機構11によって移動されるプリントシートをストッパーガイド2に向けてガイドするガイド機構12として機能する。
【0023】
従動ローラー8は、駆動ローラー5および減速ローラー9に接触し駆動ローラーの回転力を減速ローラー9に伝達するローラーである。
【0024】
図2は、
図1における減速ローラー9の一例を示す斜視図である。減速ローラー9は、中心孔9aに挿通された軸を中心にして回転可能なローラーであって、駆動ローラー5の回転角より従動ローラー7の回転角を小さくさせる2段ローラーであり、
図2に示すように、大径の第1段ローラー部分9bに従動ローラー8が接触しており、小径の第2段ローラー部分9cに従動ローラー7が接触している。
【0025】
従動ローラー8および減速ローラー9は、モーター21の駆動力を遅延させてガイド機構12に伝達する伝達機構13として機能する。つまり、伝達機構13によって、モーター21の回転角に対して、シート当接部材6の揺動角はホルダー4の揺動角より小さくなり遅く動作する。
【0026】
モーター21は、整合機構11の駆動装置である。コントローラー22は、モーター21を制御することで、整合機構11およびガイド機構12を動作させる。
【0027】
また、コントローラー22は、中間ローラー1で搬送されてきたプリントシートの枚数(つまり、処理トレイ3に載置されているプリントシートの枚数)をカウントし、処理トレイ3に載置されているプリントシートの枚数に応じて、駆動ローラー5によるホルダー4の揺動角を調整する。処理トレイ3に載置されているプリントシートの枚数が多くなるほど、処理トレイ3に載置されているプリントシートの束の厚みが増すため、駆動ローラー5によるホルダー4の揺動角が小さくされ、ホルダー4の揺動後の整合コロ4bと処理トレイ3との間の間隔が広くなる。
【0028】
次に、実施の形態1に係る後処理装置の動作について説明する。
図3は、
図1に示す後処理装置の退避動作を説明する側面図である。
図4は、
図1に示す後処理装置の整合動作を説明する側面図である。
【0029】
前段の搬送装置(図示せず)からプリント後のプリントシートが中間ローラー1に搬送されてくる前に、まず、例えば
図3に示すように、コントローラー22は、モーター21を制御して、整合機構11およびガイド機構12を動作させて、ホルダー4およびシート当接部材6を退避させて、搬送されてくるプリントシート101にホルダー4およびシート当接部材6が接触しないようにする。
【0030】
その後、プリントシート101が中間ローラー1から離脱すると、コントローラー22は、モーター21を制御して、整合機構11およびガイド機構12を動作させて、例えば
図4に示すように、ホルダー4を揺動させて整合コロ4bをプリントシート101に当接させてストッパーガイド2の方向に移動させるとともに、整合コロ4bに対して遅延してシート当接部材6をプリントシート101に当接させて、プリントシート101に当接させてストッパーガイド2へ向けてガイドする。そして、処理トレイ3は垂直方向に対して傾斜しているため、プリントシート101はストッパーガイド2に当接し積載されていく。
【0031】
以上のように、上記実施の形態1に係る後処理装置には、後処理の対象となるプリントシートが載置される処理トレイ3と、処理トレイ3上のプリントシートの端部が当接するストッパーガイド2と、プリントシートを搬送する中間ローラー1とが設けられており、整合機構11は、中間ローラー1によって搬送されてきたプリントシートを処理トレイ3上に移動させて整合させる。また、ガイド機構12は、整合機構11によって移動されるプリントシートをストッパーガイド2に向けてガイドする。そして、モーター21が整合機構11を駆動し、伝達機構13は、モーター21の駆動力を遅延させてガイド機構12に伝達する。
【0032】
これにより、整合機構11の駆動装置(モーター21)の駆動力が、伝達機構13によって、遅延動作するガイド機構12に伝達されるため、ガイド機構12のための駆動装置を追加する必要がなく、後処理装置のコスト増加を抑制しつつ円滑にプリントシートの整合が行われる。
【0033】
実施の形態2.
【0034】
図5は、本発明の実施の形態2に係る後処理装置の構成を示す側面図である。
図6~
図8は、実施の形態2に係る後処理装置における減速ローラーの交換について説明する図である。
図5に示すように、実施の形態2に係る後処理装置は、支持部材31,33、および弾性部材32,34をさらに備える。
【0035】
支持部材31は、その一端が揺動可能に駆動ローラー5の軸に接続され、その他端が従動ローラー8の回転軸に接続されており、従動ローラー8を回転可能に支持している。弾性部材32は、バネなどの伸縮可能な部材であって、支持部材31を減速ローラー9の方向に付勢して、従動ローラー8を減速ローラー9に押し当てている。なお、減速ローラー9の交換時には、オペレーターなどが手作業で減速ローラー9の方向とは逆方向に弾性部材32を伸縮させて(ここでは縮めて)、従動ローラー8を減速ローラー9から離間させる。
【0036】
支持部材33は、その一端が揺動可能に軸6aに接続され、その他端が従動ローラー7の回転軸に接続されており、従動ローラー7を回転可能に支持している。弾性部材34は、バネなどの伸縮可能な部材であって、支持部材33を減速ローラー9の方向に付勢して、従動ローラー7を減速ローラー9に押し当てている。なお、減速ローラー9の交換時には、オペレーターなどが手作業で減速ローラー9の方向とは逆方向に弾性部材34を伸縮させて(ここでは縮めて)、従動ローラー7を減速ローラー9から離間させる。
【0037】
さらに、実施の形態2では、減速ローラー9が中心軸に対して着脱可能となっており、別の減速ローラー(例えば減速ローラー9とは減速比の異なる減速ローラー)に交換可能となっている。
【0038】
減速ローラー9が使用されている状態では、例えば
図5に示すように、弾性部材32,34による弾性回復力で、従動ローラー7,8が減速ローラー9に押し当てられており、従動ローラー8の回転力が減速ローラー9を介して従動ローラー7に伝達される。
【0039】
オペレーターなどが手作業で減速ローラー9の方向とは逆方向に弾性部材32,34を伸縮させて、例えば
図6に示すように従動ローラー7,8を減速ローラー9から離間させて、減速ローラー9を取り外す。その後、例えば
図7に示すように、オペレーターなどが手作業で別の減速ローラー41を取り付けて、手作業による弾性部材32,34の伸縮を解除する。これにより、例えば
図8に示すように、弾性部材32,34による弾性回復力で、従動ローラー7,8が減速ローラー41に押し当てられ、従動ローラー8の回転力が減速ローラー41を介して従動ローラー7に伝達される。
【0040】
ここで、減速ローラー41は、中心孔41aに挿通された軸を中心にして回転可能なローラーであって、駆動ローラー5の回転角より従動ローラー7の回転角を小さくさせる2段ローラーであり、
図2に示すように、大径の第1段ローラー部分41bに従動ローラー8が接触し、小径の第2段ローラー部分41cに従動ローラー7が接触する。ここで、第1段ローラー部分41bの直径は、第1段ローラー部分9bの直径と同一であり、第2段ローラー部分41cの直径は、第2段ローラー部分9cの直径より小さい。
【0041】
なお、実施の形態2に係る後処理装置のその他の構成および動作については実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0042】
以上のように、上記実施の形態2によれば、簡単な作業で減速ローラーの交換が可能であり、ホルダー4の動作に対するシート当接部材6の動作遅延の調整が簡単に行える。
【0043】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、例えば、画像形成装置の後処理装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 中間ローラー
2 ストッパーガイド
3 処理トレイ
4 ホルダー
4b 整合コロ
5 駆動ローラー(第1ローラーの一例)
6 シート当接部材
7 従動ローラー(第2ローラーの一例)
8 従動ローラー(第3ローラーの一例)
9,41 減速ローラー
11 整合機構
12 ガイド機構
13 伝達機構
21 モーター(駆動装置の一例)
22 コントローラー
32 弾性部材(第1弾性部材の一例)
34 弾性部材(第2弾性部材の一例)