(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156582
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】トリチウム水濃縮装置
(51)【国際特許分類】
B01D 59/02 20060101AFI20241029BHJP
B01F 23/45 20220101ALI20241029BHJP
B01F 25/4314 20220101ALI20241029BHJP
B01F 35/90 20220101ALI20241029BHJP
【FI】
B01D59/02
B01F23/45
B01F25/4314
B01F35/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023079691
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】509346357
【氏名又は名称】島 安治
(72)【発明者】
【氏名】島 安治
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AB37
4G035AC09
4G035AE13
4G035AE15
4G037CA04
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】原子力施設で放射能原子を浄化した後の排水に含まれるトリチウム水を分離すること。
【解決手段】スタティックミキサーを挿入した金属管に通水し、外側を冷却して散在している分子を氷結させること。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽水中に含まれるトリチウム水を、氷点が軽水の0℃より高い2.1℃に冷却して分離濃縮することを特徴とする装置。
【請求項2】
前項のために、金属円筒に均一混合させるためのスタティックミキサーを取り付けて通水し、円筒の外側に2.1℃の冷却水を流して円筒の内壁にトリチウム水を凍結させることを特徴とする装置。
【請求項3】
前項の円筒内壁に凍結させたトリチウム水を、円筒外側に5℃以上の軽水を流して溶解させ回収することを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
原子力発電関連施設ではトリチウム水が発生する。
【背景技術】
【0002】
生産技術の基本の水処理には多様な治具が創られて居る。円筒菅内で混合するスタティックミキサーもその一つである。
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】スタティックミキサー総合カタログ(ノリタケカンパニーリミテド)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常浄化処理では分離採取できない超微量のトリチウム水分子を分離する。スタティックミキサーの優れた性能を活用し、管内通過液を均一に冷やして、散逸して居るトリチウム水分子を凍らせ、菅壁に凍結させること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
金属管にスタティックミキサーを挿入し、外側を2.1℃に冷やす。
菅壁に凍結したトリチウム水分子を、外側を加熱して溶解させる。
【発明の効果】
【0006】
軽水に散在して居るトリチウム水分子が菅壁に凍結して濃縮される。
重水分子の数は軽水分子の1万分の1、トリチウム水分子は原発汚染水でも更に極端に少ない。
菅壁に凍結したトリチウム水分子は、逆に加熱すると溶融して回収できる。
トリチウム原子の記号をT、重水素原子の記号をDとすると、各分子の氷結温度は、TTOは4.45℃、THOは2.23℃、DDOは3.8℃、DHOは1.9℃である。トリチウム水は殆どがTHOである。処理水通過菅の冷却と加熱は必要だが、複雑な電気系は不要である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】スタティックミキサーのエレメント、スタティックミキサー挿入菅内の流れと温度分布の説明。
【
図2】スタティックミキサーを挿入された鋼管が9本セットで組み込まれたタンク保管水濃縮装置。
【発明を実施するための形態】
【実施例0008】
▲1▼
図1の捩じれ板片であるスタティックミキサーを、金属管に挿入して菅の外側を冷やす。
▲2▼
図2がその装置である。福島第一原発のタンク保管水を濃縮する。
▲3▼濃縮装置の説明:直方体の前面の正方形面から濃縮菅に入水し、2m先の反対面から出水する。
・内部には、スタティックミキサーが挿入された直径30cm×長さ2mのステンレス製直管9本が組み込まれている。
・ステンレス製直管の外側には、初めに2.1℃の冷却水が流され、5℃以上の水道水が流されて氷結トリチウム水が回収される。
・濃縮装置全体は、断熱保温材で覆われている。
・タンク保管水を凍結濃縮後、菅壁から融解して流れ落ちるように、装置底を約30度傾けて設置される。
・直方体の前面底近くから冷却水を入水し、後面の上から出水する。
・同様に、融解水を直方体前面底近くから入水し、後面上部から出水する。
▲4▼処理量の算定:処理水は2m長さ直管を内部旋回して2分で通過する。
・15cm×15cm×3.14×200cm=141,300cm
3~141L
からトリチウム水を除くために、5台装置を1年間稼働すれば良い。
・濃縮トリチウム水は、15グラム弱である。
▲5▼トリチウム濃縮水は、放射能無害化の為に別途利用される。