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  • 特開-炭素繊維強化プラスチック板 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156587
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】炭素繊維強化プラスチック板
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/04 20060101AFI20241029BHJP
   C08L 61/10 20060101ALI20241029BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20241029BHJP
   C08K 7/06 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
C08J5/04 CEZ
C08L61/10
C08L77/00
C08K7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023080436
(22)【出願日】2023-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】511299953
【氏名又は名称】グラストップ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】509284820
【氏名又は名称】天満 基博
(71)【出願人】
【識別番号】522500549
【氏名又は名称】松吉 恭裕
(72)【発明者】
【氏名】天満 基博
(72)【発明者】
【氏名】松吉 恭裕
【テーマコード(参考)】
4F072
4J002
【Fターム(参考)】
4F072AA02
4F072AA07
4F072AB06
4F072AB10
4F072AB14
4F072AB33
4F072AD13
4F072AG03
4F072AH03
4F072AH23
4F072AH24
4F072AH49
4F072AJ04
4F072AJ11
4F072AK05
4F072AK14
4F072AL16
4J002CC03W
4J002CL03X
4J002DA016
4J002FA046
4J002FA04X
4J002FD016
4J002FD01X
4J002GM00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リサイクル炭素繊維の有効利用と金属代替材により生産コスト及び二酸化炭素排出量を削減するためのものであり、軽量かつ引張荷重強度が鋼材並みの強度を有する品質安定したCFRP板を提供する。
【解決手段】本発明は、炭素繊維40~60w%と、熱硬化性樹脂成分であるフェノール樹脂60~40w%と、定着材5から10w%と、から成り、該炭素繊維の繊維長が14mmから15mmであることを特徴とする炭素繊維強化プラスチック板である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維と熱硬化性樹脂成分であるフェノール樹脂と定着材としてのアラミド繊維から成り、該炭素繊維の繊維長が14mmから15mmであることを特徴とする炭素繊維強化プラスチック板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄やステンレスと同等の曲げ強度が期待でき、鉄の五分の一の軽さを実現する炭素繊維強化プラスチック板(以下、CFRP板と略称する。)であり、品質安定生産の向上に関するものである。
【背景技術】
【背景技術】
【0002】
従来、一例として実用新案登録第3233300号(特許文献1)鉄製の手持ち工具とほぼ同等の引張荷重強度を有し、4分の1~7分の1の重さの手持ち工具の提供が可能となり、防爆や、高所作業の安全性確保など有益なものである。実測値として、リサイクルカーボンの炭素繊維とフェノール樹脂の3mm厚とSUS1mm厚の比較では曲げ強さは、502Mpaに対し578Mpaで、引張荷重強度は、6433Nに対して6400Mpaであった。ほぼ同等の強度が確認できたこととなる。本考案の実施例を説明すると、6mm長にカットされた炭素繊維とフェノール樹脂とを6対4の割合で大量の水の中で混錬した後、脱水して素形材を成型する。その後、乾燥させるため80℃で3時間乾燥させた後、加圧加熱成形するものである。上記乾燥は水分量が10%程度で、加熱温度は140℃で、5mm厚の成形品を得るため150トンプレスで5分間プレスして成形するものである。
さらに強度を最大限に高めるための発明として、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂と、10mm~15mmの範囲の繊維長さである一種類もしくは二種類以上の炭素繊維と、バインダであるアラミド繊維とを含む抄造体を素形材にして形成されている炭素繊維強化プラスチック板により、曲げ強度が最大値で672MPaを達成し、鉄の代替えとして利用できることを確認した。
然しながら、抄造法を利用しているため、実現できたものであるが、抄造法の難しさでもある均一分散をさらに高め品質の安定が求められている。
【0003】
また、炭素繊維の廃材は国内航空機メーカー1社で70t/年排出され、この利用方法の開発が喫緊の課題と成っている。
しかし、上記の安定生産と廃棄物のリサイクル利用という課題解決は未だなされていない。
【0004】
上記金属からの樹脂化による軽量化の課題は、その解決策として発明された実用新案登録第第3225768号考案(特許文献2)があるが、この考案は上記問題を解決するものとして有用なものである。その概要は、炭素繊維強化熱可塑性樹脂から成るものであり、極めて有用なるものであるが、成形上から熱可塑性樹脂を使用せざるを得ないこととなる。
また、ガラス繊維に熱硬化性樹脂によるものが特許番号第2907679号(特許文献3)として提案されている。またこの提案の従来例として炭素繊維エポキシ布地で工具表面を覆う方法も開示されているが、金属製の類似品の持つトルクの40%以下の強度しかないため利用が特定されてしまうとのことである。
【0005】
抄造法を利用した例として、炭素繊維と樹脂を利用し、湿式抄紙法(本発明の抄造法に該当)としての発明で特許出願公開番号2021-55717号公報(特許文献4)があるが、使用する炭素繊維の長さが湿式抄紙法で使用前の炭素繊維の長さが1mm~50mmで、抄紙の際には短繊維である1mm~3mmと記載されており、耐摩耗性を実現するものであり、本発明の曲げ強度は期待できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第第3233300号公報
【特許文献2】実用新案登録第第3225768号公報
【特許文献3】特許番号第2907679号公報
【特許文献4】特許出願公開番号2021-55717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記に鑑み案出されたCFRP板であり、成形型により強度と軽さを必要とする商品の提供が可能となるものである。その成分割合が40~60wt%の炭素繊維と60~40wt%の熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂から成り、定着材としてアラミド繊維を全体の中での濃度が5から8wt%のCFRP板であり、上記炭素繊維の繊維長を14mmから15mmであることを特徴とするCFRP板である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のCFRP板は、軽量かつ引張荷重強度が鋼材並みの強度を有するCFRP板を品質安定したものとして提供するため、樹脂による軽量化と、抄造法による強度の向上を達成するものである。また、量産を考慮すると炭素繊維の分散が重要であり、そのため、抄造法であるため炭素繊維の分散の目安として、曲げ強度の最大値と最小値との差が小さい事が重要であり、本発明は、分散で均一化できることが可能とする炭素繊維長の特定した発明である。
【0009】
本発明のCFRP板は、一例として図1に示す炭素板であり、図2のレンチやスパナなどの工具である。
【0010】
本発明の断熱部材部分は、抄造法を利用するものであるが、この方法は一般的に知られた方法であり、その目的は繊維への樹脂の定着を効率的に行うことができるようにしたものである。
【0011】
本発明のCFRP板の抄造法による2mm厚の板材の実施は、炭素繊維50wt%と熱硬化性のフェノール樹脂45wt%と、定着材を5wt%混錬し抄造法により成形するものであり、その厚さは素形材として50mmである。その後乾燥し、140℃で熱プレスにより成形し2mm厚の板材として成形するものである。形状については金型計上で行えるものである。
【0012】
上記実施に際して重要なことは炭素繊維の繊維長であり、均一な強度を得るためには繊維長が重要であり、分散性と強度の確保が生産上重要なものとなる。
図4から明らかなように繊維長を14mmと15mmにした場合のみ曲げ強度の最小値と最大値が大きくその差も小さいことから分散が好適に行えていることが分かった。実施例においては14mm長の場合の曲げ強度の最大値は609.37MPa、最小値は433.21MPaであり、15mm長のそれは、636MPa、450.11MPaであった。その最大最小の差は、繊維長が14mmの場合が176.16MPaであり、繊維長が15mmの場合の差が186.78MPaである。これは他の繊維長と比較して12mmの367.25MPa、繊維長が9mmの232.75MPaと比較してきわめて小さな値となり、最大値が14mmの場合の609.37MPaや15mmの場合の636.89MPaでほぼ金属並みの強度を維持しつつ最小値が大きいためその差が小さく強度のばらつきが小さく安定した品質が保てることとなる。
【0013】
上記実施例では、2mm厚の成形を例示したが手持ち工具の厚みを8mm~10mm厚のものとする場合は、素形材を100mm程度に成形し、上記同様にプレス成型後、8mm~10mm厚に成形するものである。
【発明の効果】
【0014】
鉄製の手持ち工具とほぼ同等の引張荷重強度を有し、4分の1~7分の1の重さの手持ち工具の提供が可能となり、防爆や、高所作業の安全性確保など有益なものである。
実測値として、リサイクルカーボンとフェノール樹脂の本考案炭素繊維強化プラスチック板はS55C鉄の曲げ強度換算値650MPa、SUS304の520MPaと比較してもほぼ同等といえる。
また、炭素繊維強化プラスチック板の比重は1.5であり、鉄の非常の7.9と比較して約五分の一の重量である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】 本発明のCFRP板の一例を示す図面代用写真の斜視図である。
図2】 本発明のCFRP板の他の実施例を示す図面代用写真である。
図3】 本発明を実施する抄造法のフローを示す図である。
図4】 本発明の繊維長を変えて曲げ強度試験を行った結果の表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例を説明すると、15mm長にカットされた炭素繊維とフェノール樹脂とを45wt%対50wt%、5重量wt%で定着材の割合で大量の水の中で混錬した後、脱水して素形材を成型する。その後、乾燥させるため80℃で3時間乾燥させた後、加圧加熱成形するものである。上記乾燥は水分量が10%程度で、加熱温度は140℃で、5mm厚の成形品を得るため150トンプレスで5分間プレスして成形するものである。
【0017】
実施例1のCFRP板は、図1に示すように、5mm厚で、縦横の寸法が180mmと60mmの厚板である。CFRP板の形状は、金型の形状を変更して図2スパナやラチェトレンチなどの工具等にすることができる。また、金型とプレス機を変更することにより大きな工具も製造可能である。CFRP板の製造方法は、図3に示すように、抄造法を利用する。
【0018】
この製造方法は、1.粉砕工程、2.混合工程、3.抄造工程、4.脱水プレス工程、5.乾燥工程、6.打ち抜き工程、及び7.プレス成形工程を有している。1.粉砕工程は、炭素繊維を所定の繊維長さにカットする。2.混合工5程は、水の入った容器内にこれら炭素繊維、フェノール樹脂、及びアラミド繊維を入れて分散混合する。3.抄造工程は、混合液を抄造枠内で抄造する。4.脱水プレス工程は、抄造枠内の抄造された混合液を脱水し、脱水プレスによる素形材を成形する。5.乾燥工程は、素形材を乾燥させる。6.打ち抜き工程は、乾燥後の素形材を所望形状、例えば板材や工具の形状のトムソン刃により打ち抜く。7.プレス成形工程は、打抜かれた素形材を水分調整し、プレス機によりプレスして成形を完了する。CFRP板の材料は、フェノール樹脂、炭素繊維、及びアラミド繊維である。
抄造工程における抄造方法は、一般的に知られた方法である。抄造工程の目的は繊維への樹脂の定着を効率的に行うことである。抄造方法の詳細は特開2001-123386号公報の通りである。この抄造方法は、開閉可能な多数の抜水孔が底面に形成された貯水槽に、耐熱性繊維を分散させた分散水を貯留し、貯水槽の抜水孔を同時に開放して分散水を放出し、貯水槽の下方に配備された抄造槽で貯水槽から落下した分散水を収受したのち、抄造槽から水抜きすることにより、抄造槽内に配備された抄網で耐熱性繊維を抄き取る。
【0019】
炭素繊維は、ロービング前であって、樹脂が含浸される前の炭素繊維作成時の不良品であるリサイクル炭素繊維である。実施例1のCFRP板の製造方法を詳しく説明する。1.粉砕工程において、リサイクル炭素繊維を10mmと15mmの繊維長さにカットする。2.混合工程において、容器内に5wt%のアラミド繊維と、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂50wt%と、22.5wt%ずつの10mmの繊維長である炭素繊維と15mmの繊維長である炭素繊維の各材料を、容器内の大量の水に分散混合させる。3.抄造工程において、混合液を抄造枠内で抄造する。4.脱水プレス工程において、抄造枠内の抄造された混合液を脱水して素形材を成形する。5.乾燥工程において、素形材を80℃で3時間乾燥させる。6.打ち抜き工程において、板材の形状のトムソン刃により撃ち抜く。7.プレス成形工程において、加圧加熱成形する。乾燥は、素形材の水分量を10%程度にする。加熱6温度は140℃であり、5mm厚の成形品を得るため150トンプレスで5分間プレスして成形する。
【0020】
上記実施例において、炭素繊維強化プラスチック板の平板とレンチの実施例を示したが、大きさによりプレス圧や時間は調整するものである。
【0021】
本発明は、抄造法と熱可塑性樹脂により、CFRP板材料の軽量化と防爆機能の実現を達成できた極めて有益なるものであるばかりでなくリサイクルカーボンを利用できるため、鉄製やステンレス製などの板材量や工具を得るための千数百度の温度の溶融作業がないため二酸化炭素削減に大きく貢献できる。
【0022】
また従来、高所での作業において、工具類を腰に保持するため、その重量から腰を痛めることもあったが、軽量のため緩和が期待でき工具の落下による重大災害の心配も軽減できる。またさらに極めて高い軽量化が実現できたため壁など他のものへの衝突による損傷も軽減できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は金属に代わる新素材としての機械産業や工具産業において、品質の安定したものが製造でき、環境を重視した対策として、また防爆による火災防止、軽量化による大きな効果を有する極めて優れたものである。
図1
図2
図3
図4