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特開2024-156589お墓の納骨室およびお墓の納骨室の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156589
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】お墓の納骨室およびお墓の納骨室の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 13/00 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
E04H13/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122114
(22)【出願日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2023070975
(32)【優先日】2023-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523155010
【氏名又は名称】株式会社保科石材店
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】保科 英明
(57)【要約】
【課題】納骨室の底部を構成する土台板と、土台板の上面に固定され納骨室の側壁を構成する石製の側壁板とを備えるお墓の納骨室において、少なくとも土台板と側壁板とからなる納骨室部を工場で組み立てた後、墓地に搬送して、クレーンを用いて墓地に設置する場合であっても、納骨室部の底部の破損を防止しつつ、クレーンで納骨室部を吊り上げる前の作業を簡素化することが可能なお墓の納骨室を提供する。
【解決手段】お墓の納骨室1は、平板状の1枚の石で形成され納骨室1の底部を構成する土台板9と、土台板9の上面に固定され納骨室1の側壁を構成する石製の側壁板11、12と、納骨室1の上部を構成するとともに上側に石碑が載置される石製の天板13とを備えている。土台板9の底面には、土台板9の底面から上側に向かって窪むとともに土台板9の水平方向の端面から端面まで通じる凹部9bが形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
お墓の納骨室において、
平板状の1枚の石で形成され前記納骨室の底部を構成する土台板と、前記土台板の上面に固定され前記納骨室の側壁を構成する石製の側壁板と、前記納骨室の上部を構成するとともに上側に石碑が載置される石製の天板とを備え、
前記土台板の底面には、前記土台板の底面から上側に向かって窪むとともに前記土台板の水平方向の端面から端面まで通じる凹部、または、前記土台板の底面から下側に突出する凸部が形成されていることを特徴とするお墓の納骨室。
【請求項2】
前記土台板の底面には、少なくとも2個の直線状の前記凹部が形成されているか、または、上下方向から見たときに前記土台板の中心を挟むように配置される一対の前記凸部が少なくとも2組形成されていることを特徴とする請求項1記載のお墓の納骨室。
【請求項3】
前記土台板は、長方形状または正方形状に形成され、
前記土台板の底面には、2個の前記凹部が形成され、
2個の前記凹部は、互いに平行になっているとともに長方形状または正方形状の前記土台板の1辺と平行になっていることを特徴とする請求項2記載のお墓の納骨室。
【請求項4】
前記土台板は、長方形状または正方形状に形成され、
前記土台板の底面には、4個の前記凸部が形成され、
4個の前記凸部のそれぞれは、長方形状または正方形状の前記土台板の四隅のそれぞれに対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項2記載のお墓の納骨室。
【請求項5】
平板状の1枚の石で形成されお墓の納骨室の底部を構成する土台板と、前記土台板の上面に固定され前記納骨室の側壁を構成する石製の側壁板と、前記納骨室の上部を構成するとともに上側に石碑が載置される石製の天板とを備えるお墓の納骨室の施工方法であって、
少なくとも前記土台板と前記側壁板とからなる納骨室部を工場で組み立てる組立工程と、前記納骨室部を墓地まで搬送する搬送工程と、クレーンを用いて前記墓地に前記納骨室部を設置する設置工程とを備え、
前記設置工程では、前記土台板の下側にベルト、ロープまたはワイヤーを通した後、前記クレーンが、前記土台板の下側に一部が配置される前記ベルト、前記ロープまたは前記ワイヤーを用いて前記納骨室部を吊り上げて運ぶことを特徴とするお墓の納骨室の施工方法。
【請求項6】
前記土台板の中央部には、1辺の長さが12cm以上となる長方形状または正方形状の貫通穴が形成されていることを特徴とする請求項5記載のお墓の納骨室の施工方法。
【請求項7】
前記土台板の底面には、前記土台板の下側に前記ベルト、前記ロープまたは前記ワイヤーを通すための凹部または凸部が形成され、
前記凹部は、前記土台板の底面から上側に向かって窪むとともに前記土台板の水平方向の端面から端面まで通じ、
前記凸部は、前記土台板の底面から下側に突出していることを特徴とする請求項5または6記載のお墓の納骨室の施工方法。
【請求項8】
前記土台板の底面には、少なくとも2個の直線状の前記凹部が形成されているか、または、上下方向から見たときに前記土台板の中心を挟むように配置される一対の前記凸部が少なくとも2組形成されていることを特徴とする請求項7記載のお墓の納骨室の施工方法。
【請求項9】
前記搬送工程では、前記納骨室部と前記天板とを分離した状態で搬送し、
前記納骨室部および前記天板のいずれか一方には、前記納骨室部に対して水平方向で前記天板を位置決めするための複数の位置決め穴が形成され、
前記搬送工程が行われるときの前記納骨室部および前記天板のいずれか他方には、複数の前記位置決め穴のそれぞれに挿入される位置決めピンを有する複数の位置決め部材が固定され、
前記お墓の納骨室の施工方法は、前記組立工程の後に、複数の前記位置決め穴のそれぞれに前記位置決めピンのそれぞれを挿入するとともに前記納骨室部および前記天板のいずれか他方に前記位置決め部材を固定するための接着剤を複数の前記位置決め部材に塗布した状態で前記納骨室部に前記天板を載置して前記納骨室部および前記天板のいずれか他方に前記位置決め部材を固定する位置決め部材固定工程と、前記位置決め部材固定工程の後に、前記納骨室部と前記天板とを分離する天板取外し工程と、前記設置工程の後に、前記納骨室部と別体になっている前記天板を前記納骨室部に固定する天板固定工程とを備え、
前記搬送工程は、前記天板取外し工程の後に行われ、
前記天板固定工程では、複数の前記位置決め穴のそれぞれに複数の前記位置決めピンのそれぞれを挿入して前記納骨室部に対して前記天板を位置決めすることを特徴とする請求項5または6記載のお墓の納骨室の施工方法。
【請求項10】
前記位置決め穴は、円錐状または円錐台状に形成され、
前記位置決めピンは、円錐状または円錐台状に形成されていることを特徴とする請求項9記載のお墓の納骨室の施工方法。
【請求項11】
前記位置決め部材は、前記位置決めピンの基端が固定される平板状のピン固定板を備え、
前記ピン固定板の外形は、前記位置決めピンの外径よりも大きくなっており、
前記位置決めピンは、前記ピン固定板の一方の面から突出し、
前記位置決め部材固定工程では、前記ピン固定板の他方の面に前記接着剤を塗布することを特徴とする請求項9記載のお墓の納骨室の施工方法。
【請求項12】
お墓の納骨室において、
前記納骨室の側壁を構成する側壁板と、前記側壁板に固定されるガラスと、前記側壁板に固定される筒状のスリーブとを備え、
前記側壁板には、前記納骨室の中に明かりを取り入れるための貫通穴が形成され、
前記ガラスおよび前記スリーブは、前記貫通穴の中に配置されて固定され、
前記貫通穴の一端部には、前記貫通穴の径方向における前記ガラスの端部が接触する接触部が形成され、
前記スリーブは、前記側壁板の厚さ方向となる前記貫通穴の形成方向において前記接触部が形成される側の反対側から前記径方向における前記ガラスの端部に接触していることを特徴とするお墓の納骨室。
【請求項13】
前記貫通穴の形成方向から見たときの前記ガラスおよび前記貫通穴の形状は、円形状となっており、
前記接触部は、円環状に形成され、
前記スリーブは、円筒状に形成されていることを特徴とする請求項12記載のお墓の納骨室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、お墓の納骨室、および、お墓の納骨室の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場で組み立てられた後に墓地に運搬されて設置される納骨堂部が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の納骨堂部は、クレーンを使って墓地に設置される。この納骨堂部は、コンクリート座板と、コンクリート座板に立設される石製の玉垣と、コンクリート座板に立設される石製の4本の角柱と、角柱の間に配置される石製の腰壁とを備えている。コンクリート座板は、納骨堂部の底部を構成している。
【0003】
また、従来、墓本体の下側に設置される納骨室が知られている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2の納骨室では、納骨室の中に明かりを取り入れるための開口部が納骨室の側壁に形成されている。開口部は、納骨室の側壁を貫通している。開口部には、ガラスブロックが嵌め込まれている。ガラスブロックの厚さは、納骨室の側壁の厚さよりも薄くなっている。ガラスブロックは、ガラス専用弾性シーリングによって開口部に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-126937号公報
【特許文献2】特開2002-106209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の納骨堂部は、石製の玉垣、角柱および腰壁等を備えており、納骨堂部の重量は重くなっている。一方で、特許文献1に記載の納骨堂部では、コンクリート製のコンクリート座板が納骨堂部の底部を構成している。そのため、特許文献1に記載の納骨堂部を墓地で設置するときに、たとえば、コンクリート座板の下側にベルトを通した後、コンクリート座板の下側に一部が配置されるベルトによって納骨堂部を吊り上げて運ぶと、納骨堂部の重さでコンクリート座板が破損するおそれがある。
【0006】
特許文献1に記載の納骨堂部において、コンクリート座板の破損を防止するためには、納骨堂部を墓地で設置するときに、たとえば、玉垣等の一部をクランプする吊金具を用いて納骨堂部を吊り上げて運べば良い。しかしながら、この場合には、納骨堂部を吊り上げる前に、玉垣等の一部を吊金具によってクランプする作業が必要になるため、納骨堂部を吊り上げる前の作業が煩雑になる。
【0007】
そこで、本発明の第1の課題は、納骨室の底部を構成する土台板と、土台板の上面に固定され納骨室の側壁を構成する石製の側壁板と、納骨室の上部を構成するとともに上側に石碑が載置される石製の天板とを備えるお墓の納骨室において、少なくとも土台板と側壁板とからなる納骨室部を工場で組み立てた後、墓地に搬送して、クレーンを用いて墓地に設置する場合であっても、納骨室部の底部の破損を防止しつつ、クレーンで納骨室部を吊り上げる前の作業を簡素化することが可能なお墓の納骨室を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第1の課題は、納骨室の底部を構成する土台板と、土台板の上面に固定され納骨室の側壁を構成する石製の側壁板と、納骨室の上部を構成するとともに上側に石碑が載置される石製の天板とを備えるお墓の納骨室の施工方法において、少なくとも土台板と側壁板とからなる納骨室部を工場で組み立てた後、墓地に搬送して、クレーンを用いて墓地に設置する場合であっても、納骨室部の底部の破損を防止しつつ、クレーンで納骨室部を吊り上げる前の作業を簡素化することが可能となるお墓の納骨室の施工方法を提供することにある。
【0009】
また、特許文献2に記載の納骨室の場合、開口部に嵌め込まれるガラスブロックを、開口部が貫通している方向である納骨室の側壁の厚さ方向において位置決めすることができないため、ガラスブロックの厚さが薄くなると、納骨室の側壁の厚さ方向におけるガラスブロックの固定位置がばらつくおそれがある。
【0010】
そこで、本発明の第2の課題は、納骨室の側壁を構成する側壁板に納骨室の中に明かりを取り入れるための貫通穴が形成されているお墓の納骨室において、納骨室の貫通穴の中に配置されるガラスの厚さが薄くなっても、納骨室の側壁板の厚さ方向におけるガラスの固定位置のばらつきを抑制することが可能なお墓の納骨室を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の第1の課題を解決するため、本発明のお墓の納骨室は、お墓の納骨室において、平板状の1枚の石で形成され納骨室の底部を構成する土台板と、土台板の上面に固定され納骨室の側壁を構成する石製の側壁板と、納骨室の上部を構成するとともに上側に石碑が載置される石製の天板とを備え、土台板の底面には、土台板の底面から上側に向かって窪むとともに土台板の水平方向の端面から端面まで通じる凹部、または、土台板の底面から下側に突出する凸部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のお墓の納骨室では、納骨室の底部を構成する土台板は、平板状の1枚の石で形成されている。そのため、本発明では、土台板の強度を高めることが可能になる。したがって、本発明では、少なくとも土台板と側壁板とからなる納骨室部を墓地で設置するときに、土台板の下側にベルト等を通した後、土台板の下側に一部が配置されるベルト等を用いて重量の重い納骨室部をクレーンで吊り上げて運んでも、納骨室部の底部を構成する土台板の破損を防止することが可能になる。
【0013】
すなわち、本発明では、納骨室部を墓地で設置するときに、たとえば、側壁板の一部をクランプする吊金具を使用しなくても、土台板の破損を防止しつつ、納骨室部を吊り上げて運ぶことが可能になる。その結果、本発明では、納骨室部を工場で組み立てた後、墓地に搬送して、クレーンを用いて墓地に設置する場合であっても、納骨室部の底部の破損を防止しつつ、クレーンで納骨室部を吊り上げる前の作業を簡素化することが可能になる。
【0014】
また、本発明では、土台板の底面に、土台板の底面から上側に向かって窪むとともに土台板の水平方向の端面から端面まで通じる凹部、または、土台板の底面から下側に突出する凸部が形成されているため、凹部または凸部を利用して、土台板の下側にベルト等を容易に通すことが可能になる。したがって、本発明では、クレーンで納骨室部を吊り上げる前の作業をより簡素化することが可能になる。
【0015】
さらに、本発明では、土台板の底面に凹部が形成されている場合には、凹部の中にベルト等の一部を配置することで、凹部の中に一部が配置されるベルト等の水平方向のずれを防止することが可能になる。また、本発明では、土台板の底面に凸部が形成されている場合には、凸部を利用してベルト等の水平方向のずれを防止することが可能になる。したがって、本発明では、クレーンで吊り上げられた納骨室部の状態を安定させることが可能になる。
【0016】
本発明において、土台板の底面には、少なくとも2個の直線状の凹部が形成されているか、または、上下方向から見たときに土台板の中心を挟むように配置される一対の凸部が少なくとも2組形成されていることが好ましい。このように構成すると、土台板の底面に、少なくとも2個の直線状の凹部が形成されている場合には、直線状に形成される凹部に沿って、土台板の下側にベルト等をより容易に通すことが可能になる。また、このように構成すると、土台板の底面に、上下方向から見たときに土台板の中心を挟むように配置される一対の凸部が少なくとも2組形成されている場合には、クレーンで納骨室部を吊り上げる前に、たとえば、地面から土台板の底面の全体を浮かせることが可能になる。したがって、土台板の下側にベルト等をより容易に通すことが可能になる。
【0017】
本発明において、たとえば、土台板は、長方形状または正方形状に形成され、土台板の底面には、2個の凹部が形成され、2個の凹部は、互いに平行になっているとともに長方形状または正方形状の土台板の1辺と平行になっている。また、本発明において、たとえば、土台板は、長方形状または正方形状に形成され、土台板の底面には、4個の凸部が形成され、4個の凸部のそれぞれは、長方形状または正方形状の土台板の四隅のそれぞれに対応する位置に形成されている。
【0018】
また、上記の第1の課題を解決するため、本発明のお墓の納骨室の施工方法は、平板状の1枚の石で形成されお墓の納骨室の底部を構成する土台板と、土台板の上面に固定され納骨室の側壁を構成する石製の側壁板と、納骨室の上部を構成するとともに上側に石碑が載置される石製の天板とを備えるお墓の納骨室の施工方法であって、少なくとも土台板と側壁板とからなる納骨室部を工場で組み立てる組立工程と、納骨室部を墓地まで搬送する搬送工程と、クレーンを用いて墓地に納骨室部を設置する設置工程とを備え、設置工程では、土台板の下側にベルト、ロープまたはワイヤーを通した後、クレーンが、土台板の下側に一部が配置されるベルト、ロープまたはワイヤーを用いて納骨室部を吊り上げて運ぶことを特徴とする。
【0019】
本発明のお墓の納骨室の施工方法では、設置工程において、平板状の1枚の石で形成されていて強度が高くなっている土台板の下側にベルト、ロープまたはワイヤーを通した後、クレーンが、土台板の底面の下側に一部が配置されるベルト、ロープまたはワイヤーによって納骨室部を吊り上げて運んでいる。そのため、本発明では、少なくとも土台板と側壁板とからなる納骨室部を墓地で設置するときに、土台板の下側に一部が配置されるベルト等を用いて重量の重い納骨室部をクレーンで吊り上げて運んでも、納骨室部の底部を構成する土台板の破損を防止することが可能になる。
【0020】
すなわち、本発明では、納骨室部を墓地で設置するときに、たとえば、側壁板の一部をクランプする吊金具を使用しなくても、土台板の破損を防止しつつ、納骨室部を吊り上げて運ぶことが可能になる。したがって、本発明の施工方法でお墓の納骨室を施工すれば、納骨室部を工場で組み立てた後、墓地に搬送して、クレーンを用いて墓地に設置する場合であっても、納骨室部の底部の破損を防止しつつ、クレーンで納骨室部を吊り上げる前の作業を簡素化することが可能になる。
【0021】
本発明において、たとえば、土台板の中央部には、1辺の長さが12cm以上となる長方形状または正方形状の貫通穴が形成されている。この場合には、納骨室の中に収容される骨壺を傾けることで、骨壺内の遺骨を貫通穴から土に還すことが可能になる。なお、本発明では、平板状の1枚の石で土台板が形成されており、土台板の強度が高くなっているため、土台板の中央部に貫通穴が形成されていても、クレーンで納骨室部を吊り上げるときの土台板の破損を防止することが可能になっている。
【0022】
本発明において、土台板の底面には、土台板の下側にベルト、ロープまたはワイヤーを通すための凹部または凸部が形成され、凹部は、土台板の底面から上側に向かって窪むとともに土台板の水平方向の端面から端面まで通じ、凸部は、土台板の底面から下側に突出していることが好ましい。このように構成すると、凹部または凸部を利用して、土台板の下側にベルト等の一部を容易に通すことが可能になる。したがって、クレーンで納骨室部を吊り上げる前の作業をより簡素化することが可能になる。
【0023】
また、このように構成すると、土台板の底面に凹部が形成されている場合には、凹部の中にベルト等の一部を配置することで、凹部の中に一部が配置されるベルト等の水平方向のずれを防止することが可能になる。また、このように構成すると、土台板の底面に凸部が形成されている場合には、凸部を利用してベルト等の水平方向のずれを防止することが可能になる。したがって、クレーンで吊り上げられた納骨室部の状態を安定させることが可能になる。
【0024】
本発明において、土台板の底面には、少なくとも2個の直線状の凹部が形成されているか、または、上下方向から見たときに土台板の中心を挟むように配置される一対の凸部が少なくとも2組形成されていることが好ましい。このように構成すると、土台板の底面に、少なくとも2個の直線状の凹部が形成されている場合には、直線状に形成される凹部に沿って、土台板の下側にベルト等をより容易に通すことが可能になる。また、このように構成すると、土台板の底面に、上下方向から見たときに土台板の中心を挟むように配置される一対の凸部が少なくとも2組形成されている場合には、クレーンで納骨室部を吊り上げる前に、たとえば、地面から土台板の底面の全体を浮かせることが可能になる。したがって、土台板の下側にベルト等の一部をより容易に通すことが可能になる。
【0025】
本発明において、搬送工程では、納骨室部と天板とを分離した状態で搬送し、納骨室部および天板のいずれか一方には、納骨室部に対して水平方向で天板を位置決めするための複数の位置決め穴が形成され、搬送工程が行われるときの納骨室部および天板のいずれか他方には、複数の位置決め穴のそれぞれに挿入される位置決めピンを有する複数の位置決め部材が固定され、お墓の納骨室の施工方法は、組立工程の後に、複数の位置決め穴のそれぞれに位置決めピンのそれぞれを挿入するとともに納骨室部および天板のいずれか他方に位置決め部材を固定するための接着剤を複数の位置決め部材に塗布した状態で納骨室部に天板を載置して納骨室部および天板のいずれか他方に位置決め部材を固定する位置決め部材固定工程と、位置決め部材固定工程の後に、納骨室部と天板とを分離する天板取外し工程と、設置工程の後に、納骨室部と別体になっている天板を納骨室部に固定する天板固定工程とを備え、搬送工程は、天板取外し工程の後に行われ、天板固定工程では、複数の位置決め穴のそれぞれに複数の位置決めピンのそれぞれを挿入して納骨室部に対して天板を位置決めすることが好ましい。
【0026】
このように構成すると、納骨室部および天板のいずれか一方に形成される複数の位置決め穴の相互間の寸法精度が低くても、搬送工程において分離した状態で搬送される納骨室部と天板とを天板固定工程において容易かつ適切に位置決めすることが可能になる。したがって、納骨室部および天板のいずれか一方に複数の位置決め穴を容易に形成することが可能になるとともに、搬送工程において納骨室部と天板とを分離した状態で搬送しても、天板固定工程において納骨室部に対して天板を容易かつ適切に位置決めすることが可能になる。
【0027】
本発明において、位置決め穴は、円錐状または円錐台状に形成され、位置決めピンは、円錐状または円錐台状に形成されていることが好ましい。このように構成すると、天板固定工程において、複数の位置決め穴のそれぞれに複数の位置決めピンのそれぞれを容易に挿入することが可能になる。したがって、天板固定工程において納骨室部に対して天板をより容易に位置決めすることが可能になる。
【0028】
本発明において、位置決め部材は、位置決めピンの基端が固定される平板状のピン固定板を備え、ピン固定板の外形は、位置決めピンの外径よりも大きくなっており、位置決めピンは、ピン固定板の一方の面から突出し、位置決め部材固定工程では、ピン固定板の他方の面に接着剤を塗布することが好ましい。このように構成すると、納骨室部および天板のいずれか他方に対する位置決め部材の接着面積を大きくすることが可能になる。したがって、搬送工程において納骨室部と天板とを分離した状態で搬送しても、搬送工程が行われるときの、納骨室部および天板のいずれか他方に対する位置決め部材の固定状態を安定させることが可能になる。
【0029】
また、上記の第2の課題を解決するため、本発明のお墓の納骨室は、お墓の納骨室において、納骨室の側壁を構成する側壁板と、側壁板に固定されるガラスと、側壁板に固定される筒状のスリーブとを備え、側壁板には、納骨室の中に明かりを取り入れるための貫通穴が形成され、ガラスおよびスリーブは、貫通穴の中に配置されて固定され、貫通穴の一端部には、貫通穴の径方向におけるガラスの端部が接触する接触部が形成され、スリーブは、側壁板の厚さ方向となる貫通穴の形成方向において接触部が形成される側の反対側から径方向におけるガラスの端部に接触していることを特徴とする。
【0030】
本発明のお墓の納骨室では、貫通穴の一端部に、貫通穴の径方向におけるガラスの端部が接触する接触部が形成されている。また、本発明では、スリーブは、側壁板の厚さ方向となる貫通穴の形成方向において接触部が形成される側の反対側から径方向におけるガラスの端部に接触している。そのため、本発明では、貫通穴の中に配置されるガラスの厚さが薄くなっても、接触部とスリーブとを利用して、納骨室の側壁板の厚さ方向においてガラスを位置決めすることが可能になる。したがって、本発明では、貫通穴の中に配置されるガラスの厚さが薄くなっても、納骨室の側壁板の厚さ方向におけるガラスの固定位置のばらつきを抑制することが可能になる。また、本発明では、ガラスの厚さに応じてスリーブの長さ(貫通穴の形成方向における長さ)を変えることで、ガラスの厚さが変わっても貫通穴の中で固定されるガラスの固定状態を安定させることが可能になる。
【0031】
本発明において、たとえば、貫通穴の形成方向から見たときのガラスおよび貫通穴の形状は、円形状となっており、接触部は、円環状に形成され、スリーブは、円筒状に形成されている。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明では、少なくとも土台板と側壁板とからなる納骨室部を工場で組み立てた後、墓地に搬送して、クレーンを用いて墓地に設置する場合であっても、納骨室部の底部の破損を防止しつつ、クレーンで納骨室部を吊り上げる前の作業を簡素化することが可能になる。また、本発明では、納骨室の貫通穴の中に配置されるガラスの厚さが薄くなっても、納骨室の側壁板の厚さ方向におけるガラスの固定位置のばらつきを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施の形態にかかるお墓の納骨室が使用されるお墓の正面図である。
図2図1に示すお墓の納骨室の斜視図である。
図3図2に示すお墓の納骨室の分解斜視図である。
図4図2に示すお墓の納骨室を底面側から示す斜視図である。
図5図2のEの構成を説明するための断面図である。
図6図2に示す側壁板および蓋板の構成を説明するための断面図である。
図7図2に示すお墓の納骨室の施工方法を説明するための斜視図である。
図8】本発明の他の実施の形態にかかる凹部の構成を説明するための底面図である。
図9】本発明の他の実施の形態にかかる土台板の構成を説明するための斜視図である。
図10】本発明の他の実施の形態にかかる土台板の構成を説明するための底面図である。
図11】本発明の他の実施の形態にかかる納骨室部の斜視図である。
図12】搬送工程において図11に示す納骨室部と分離した状態で搬送される天板の斜視図である。
図13】本発明の他の実施の形態にかかるお墓の納骨室の施工方法を説明するための斜視図である。
図14】本発明の他の実施の形態にかかるお墓の納骨室の施工方法を説明するための斜視図である。
図15】本発明の他の実施の形態にかかるお墓の納骨室の施工方法を説明するための拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
(お墓の納骨室の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるお墓の納骨室1が使用されるお墓2の正面図である。図2は、図1に示すお墓の納骨室1の斜視図である。図3は、図2に示すお墓の納骨室1の分解斜視図である。図4は、図2に示すお墓の納骨室1を底面側から示す斜視図である。図5は、図2のEの構成を説明するための断面図である。図6は、図2に示す側壁板12および蓋板15の構成を説明するための断面図である。
【0036】
本形態のお墓の納骨室1(以下、「納骨室1」とする。)は、図1に示すように、お墓2において、石碑3の下側に配置されて使用される。石碑3は、たとえば、竿石4と上台5と下台6とを備えている。以下の説明では、便宜上、上下方向(鉛直方向)に直交する図2等のX方向を前後方向とし、上下方向と前後方向とに直交する図2等のY方向を左右方向とする。また、前後方向の一方側である図2等のX1方向側を「前」側とし、前側の反対側である図2等のX2方向側を「後ろ」側とし、左右方向の一方側である図2等のY1方向側を「右」側とし、右側の反対側である図2等のY2方向側を「左」側とする。
【0037】
納骨室1は、直方体の箱状に形成されている。納骨室1の中には、骨壺を収容することが可能になっている。上下方向から見たときの納骨室1の形状は、左右方向を長辺の方向とする長方形状となっている。納骨室1は、納骨室1の底部を構成する石製の土台板9と、納骨室1の側壁を構成する石製の側壁板10~12と、納骨室1の上部を構成する石製の天板13と、納骨室1の四隅に配置される石製の角柱14とを備えている。本形態の納骨室1は、1枚の土台板9と1枚の側壁板10と2枚の側壁板11と2枚の側壁板12と1枚の天板13と4本の角柱14とを備えている。
【0038】
側壁板10~12および角柱14は、土台板9の上面に固定されている。天板13は、側壁板10~12および角柱14の上端面に固定されている。土台板9と側壁板10~12と天板13と角柱14とは、接着剤によって互いに固定されている。また、納骨室1は、納骨室1の前面側の開口部を塞ぐ石製の蓋板15と、土台板9に形成される後述の貫通穴9aを塞ぐ石製の蓋板16と、側壁板10に固定されるガラス17と、側壁板10に固定される筒状のスリーブ18とを備えている。本形態の納骨室1の大半部分は、工場で組み立てられ、墓地まで搬送された後、クレーンを用いて墓地に設置される。納骨室1は、コンクリート上に設置されている。納骨室1が設置されるコンクリートには、納骨室1の中に収容される骨壺の中の遺骨を土に還すための貫通穴が形成されている。
【0039】
土台板9は、平板状の1枚の石(一枚石)で形成されている。土台板9は、土台板9の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。土台板9は、長方形状に形成されており、上下方向から見たときの土台石9の形状は、左右方向を長辺の方向とする長方形状となっている。土台板9の中央部には、1辺の長さが12cm以上となる長方形状または正方形状の貫通穴9aが形成されている。貫通穴9aは、上下方向で土台板9を貫通している。
【0040】
貫通穴9aは、納骨室1が設置されるコンクリートの貫通穴と上下方向で重なっている。貫通穴9aは、平板状の一枚石で形成される蓋板16によって塞がれている。蓋板16は、土台板9の上に載っている。本形態では、蓋板16を取り外した後、納骨室1の中に収容される骨壺を傾けることで、コンクリートの貫通穴および貫通穴9aから骨壺内の遺骨を土に還すことが可能になっている。
【0041】
土台板9の底面(下面)には、工場で組み立てられた納骨室1の大半部分をクレーンによって墓地に設置するときに、土台板9の下側にベルトB(図7参照)を通すための凹部9bが形成されている。本形態では、直線状の2個の凹部9bが土台板9の底面に形成されている。凹部9bは、土台板9の底面から上側に向かって窪んでいる。凹部9bの深さ(土台板9の底面からの窪み量)は、ベルトBの厚さよりも若干深くなっている。
【0042】
2個の凹部9bは、互いに平行になっている。また、凹部9bは、前後方向と平行になっている。すなわち、凹部9bは、長方形状の土台板9の1辺と平行になっている。具体的には、凹部9bは、長方形状の土台板9の短辺と平行になっている。凹部9bは、土台板9の底面の左右方向の両端部に形成されている。凹部9bは、土台板9の前端面から後端面まで通じている。すなわち、凹部9bは、土台板9の水平方向の端面から端面まで通じている。
【0043】
角柱14は、土台板9の四隅のそれぞれに固定されている。角柱14の下端には、土台板9に対して角柱14を位置決めするためのピンが固定されている。土台板9には、このピンが挿入される位置決め用の穴が形成されている。角柱14の上端には、角柱14に対して天板13を位置決めするためのピン21が固定されている(図3参照)。天板13には、ピン21が挿入される位置決め用の穴が形成されている。
【0044】
天板13は、平板状の一枚石で形成されている。天板13は、天板13の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。天板13は、長方形状に形成されており、上下方向から見たときの天板13の形状は、左右方向を長辺の方向とする長方形状となっている。天板13には、上下方向で天板13を貫通する貫通穴13aが形成されている。天板13の上側には、石碑3が載置されて固定される。石碑3は、たとえば、接着剤によって天板13の上面に固定される。
【0045】
側壁板10は、納骨室1の後ろ側の側壁を構成している。側壁板11は、納骨室1の左右方向の両側の側壁を構成している。側壁板12は、納骨室1の前側の側壁の左右方向の両端部を構成している。蓋板15は、2枚の側壁板12の間に配置されている。側壁板10~12は、平板状の一枚石で形成されている。側壁板10、12は、側壁板10、12の厚さ方向と前後方向とが一致するように配置され、側壁板11は、側壁板11の厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。側壁板10~12は、長方形状に形成されている。
【0046】
側壁板10は、土台板9の右後端部に固定される角柱14と土台板9の左後端部に固定される角柱14との間に配置されている。側壁板10には、納骨室1の中に明かりを取り入れるための貫通穴10aが形成されている。貫通穴10aは、側壁板10を前後方向で貫通している。すなわち、側壁板10の厚さ方向である前後方向は、貫通穴10aの形成方向となっている。前後方向から見たときの貫通穴10aの形状は、円形状となっている。すなわち、貫通穴10aは、丸穴である。貫通穴10aは、左右方向における側壁板10の中心部に形成されている。また、貫通穴10aは、側壁板10の上端側に形成されている。
【0047】
ガラス17およびスリーブ18は、貫通穴10aの中に配置されて固定されている。ガラス17は、たとえば、ガラス17の厚さ方向の両面が凸曲面状となる凸レンズ状に形成されている。ガラス17は、ガラス17の厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。前後方向から見たときのガラス17の形状は、円形状となっている。ガラス17の外径は、貫通穴10aの内径よりも若干小さくなっている。ガラス17の厚さは、側壁板10の厚さよりも薄くなっている。ガラス17には、たとえば、様々な着色が施されている。なお、ガラス17は、凸レンズ状以外の形状に形成されていても良い。
【0048】
スリーブ18は、たとえば、金属で形成されている。スリーブ18は、円筒状に形成されている。スリーブ18は、スリーブ18の軸方向と前後方向とが一致するように配置されている。スリーブ18の外径は、貫通穴10aの内径よりも若干小さくなっている。スリーブ18の長さは、側壁板10の厚さよりも短くなっている。図5に示すように、貫通穴10aの後端部には、貫通穴10aの径方向におけるガラス17の端部が接触する接触部10bが形成されている。接触部10bは、貫通穴10aの径方向の内側に向かって突出している。接触部10bは、円環状に形成されている。接触部10bの内径は、ガラス17の外径よりも小さくなっている。
【0049】
貫通穴10aの中に配置されるガラス17の後面の一部は、接触部10bに接触している。スリーブ18は、ガラス17の前側に配置されている。スリーブ18は、貫通穴10aの径方向におけるガラス17の端部に前側から接触している。すなわち、スリーブ18の後端は、ガラス17の前面の一部に接触している。貫通穴10aの中には、ガラス17およびスリーブ18の全体が収容されている。ガラス17は、ガラス17と接触部10bとの間に塗布されるコーキング剤によって貫通穴10aの中に固定されている。スリーブ18は、スリーブ18の前側から塗布されるコーキング剤によって貫通穴10aの中に固定されている。
【0050】
右側に配置される側壁板11は、土台板9の右前端部に固定される角柱14と土台板9の右後端部に固定される角柱14との間に配置されている。左側に配置される側壁板11は、土台板9の左前端部に固定される角柱14と土台板9の左後端部に固定される角柱14との間に配置されている。側壁板11には、通気用の貫通穴11aが形成されている。貫通穴11aは、側壁板11を左右方向で貫通している。左右方向から見たときの貫通穴11aの形状は、円形状となっている。貫通穴11aは、前後方向における側壁板11の中心部に形成されている。また、貫通穴11aは、側壁板11の上端側に形成されている。貫通穴11aからも納骨室1の中に明かりが入る。
【0051】
なお、貫通穴11aの中に、ガラス17およびスリーブ18が配置されて固定されていても良い。この場合には、右側に配置される側壁板11の貫通穴11aの右端部に、接触部10bに相当する接触部が形成され、左側に配置される側壁板11の貫通穴11aの左端部に、接触部10bに相当する接触部が形成されている。
【0052】
2枚の側壁板12は、左右方向に間隔をあけた状態で配置されている。右側に配置される側壁板12は、土台板9の右前端部に固定される角柱14に接触し、左側に配置される側壁板12は、土台板9の左前端部に固定される角柱14に接触している。側壁板12には、蓋板15に固定される後述の抜止めピン22、23が挿入されるピン係合穴12aが形成されている。ピン係合穴12aは、左右方向の外側に向かって窪む丸穴である。ピン係合穴12aは、右側に配置される側壁板12では、側壁板12の左側面から右側に向かって窪み、左側に配置される側壁板12では、側壁板12の右側面から左側に向かって窪んでいる。ピン係合穴12aは、上下方向に間隔をあけた状態で2箇所に形成されている。
【0053】
蓋板15は、平板状の一枚石で形成されている。蓋板15は、蓋板15の厚さ方向と前後方向とが一致するように配置されている。蓋板15は、2枚の側壁板12の間に形成される開口部を塞いでいる。蓋板15は、2枚の側壁板12に対して着脱可能となっている。蓋板15は、蓋板15の後ろ側部分を構成するとともに2枚の側壁板12の間に配置される第1蓋板部15aと、蓋板15の前側部分を構成する第2蓋板部15bとによって構成されている。第2蓋板部15bの左右方向の幅は、第1蓋板部15aの左右方向の幅よりも広くなっている。また、第2蓋板部15bの左右方向の幅は、2枚の側壁板12の左右方向の間隔よりも広くなっている。
【0054】
蓋板15には、2枚の側壁板12からの蓋板15の外れを防止するための抜止めピン22、23が固定されている。抜止めピン22、23は、円柱状に形成されている。抜止めピン22、23は、第1蓋板部15aから左右方向の外側に向かって突出している。具体的には、抜止めピン22が第1蓋板部15aの右側面から右側に向かって突出し、抜止めピン23が第1蓋板部15aの左側面から左側に向かって突出している。抜止めピン22、23は、上下方向に間隔をあけた状態で2箇所に配置されている。抜止めピン23の長さは、抜止めピン22の長さよりも長くなっている。第1蓋板部15aの左側面と抜止めピン22の右端との左右方向の距離は、2枚の側壁板12の左右方向の間隔よりも短くなっている。
【0055】
蓋板15が2枚の側壁板12に対して取り付けられた状態では、抜止めピン22、23は、側壁板12のピン係合穴12aの中に配置されている(図6参照)。本形態では、2枚の側壁板12に取り付けられた蓋板15を左側にスライドさせて傾けることで、2枚の側壁板12から蓋板15を取り外すことが可能となっている。また、抜止めピン23をピン係合穴12aに挿入した後に、蓋板15を右側にスライドさせて抜止めピン22をピン係合穴12aに挿入することで、2枚の側壁板12から取り外された蓋板15を2枚の側壁板12に取り付けることが可能となっている。
【0056】
(お墓の納骨室の施工方法)
図7は、図2に示す納骨室1の施工方法を説明するための斜視図である。
【0057】
納骨室1を墓地に設置する前には、まず、納骨室1の、蓋板16を除いた部分(蓋板16以外の部分)を工場で組み立てる(組立工程)。本形態では、納骨室1の、蓋板16を除いた部分が、少なくとも土台板9と側壁板10~12とからなる納骨室部25となっている。すなわち、組立工程では、納骨室部25を組み立てる。その後、納骨室部25を墓地まで搬送する(搬送工程)。その後、クレーンを用いて墓地に納骨室部25を設置する(設置工程)。
【0058】
設置工程では、作業者が土台板9の下側にベルトBを通した後、クレーンが、土台板9の下側に一部が配置されるベルトBを用いて納骨室部25を吊り上げて所定位置まで運ぶ。本形態の設置工程では、2本のベルトBが使用される(図7参照)。ベルトBは、たとえば、ナイロン製の平らなベルトである。2本のベルトBのうちの一方のベルトBの一部は、2個の凹部9bのうちの一方の凹部9bの中に配置され、他方のベルトBの一部は、他方の凹部9bの中に配置されている。2本のベルトBの両端部は、納骨室部25の上方で1箇所にまとめられて、クレーンによって吊り上げられる。設置工程後には、石碑3が天板13に載置されて固定される。
【0059】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、納骨室1の底部を構成する土台板9は、一枚石で形成されている。そのため、本形態では、土台板9の強度を高めることが可能になる。したがって、本形態では、納骨室部25を墓地で設置するときに、土台板9の下側にベルトBを通した後、土台板9の下側に一部が配置されるベルトBを用いて重量の重い納骨室部25をクレーンで吊り上げて運んでも、納骨室部25の底部を構成する土台板9の破損を防止することが可能になる。
【0060】
すなわち、本形態では、納骨室部25を墓地で設置するときに、たとえば、土台板9または天板13の一部をクランプする吊金具を使用しなくても、土台板9の破損を防止しつつ、納骨室部25を吊り上げて運ぶことが可能になる。その結果、本形態では、納骨室部25を工場で組み立てた後、墓地に搬送して、クレーンを用いて墓地に設置する場合であっても、納骨室部25の底部の破損を防止しつつ、クレーンで納骨室部25を吊り上げる前の作業を簡素化することが可能になる。なお、本形態では、土台板9の中央部に貫通穴9aが形成されているが、土台板9が一枚石で形成されており、土台板9の強度が高くなっているため、土台板9に貫通穴9aが形成されていても、クレーンで納骨室部25を吊り上げるときの土台板9の破損を防止することは可能である。
【0061】
本形態では、土台板9の底面に、土台板9の底面から上側に向かって窪むとともに土台板9の前端面から後端面まで通じる凹部9bが形成されている。そのため、本形態では、設置工程において、凹部9bを利用して、土台板9の下側にベルトBを容易に通すことが可能になる。特に本形態では、凹部9bが直線状に形成されているため、直線状に形成される凹部9bに沿って、土台板9の下側にベルトBをより容易に通すことが可能になる。したがって、本形態では、クレーンで納骨室部25を吊り上げる前の作業をより簡素化することが可能になる。また、本形態では、凹部9bの中にベルトBの一部が配置されているため、ベルトBの水平方向のずれを防止することが可能になる。したがって、本形態では、クレーンで吊り上げられた納骨室部25の状態を安定させることが可能になる。
【0062】
本形態では、側壁部10の貫通穴10aの後端部に、貫通穴10aの径方向におけるガラス17の端部が接触する接触部10bが形成されている。また、本形態では、スリーブ18は、貫通穴10aの径方向におけるガラス17の端部に前側から接触している。そのため、本形態では、貫通穴10aの中に配置されるガラス17の厚さが薄くなっても、接触部10bとスリーブ18とを利用して、前後方向においてガラス17を位置決めすることが可能になる。したがって、本形態では、ガラス17の厚さが薄くなっても、前後方向におけるガラス17の固定位置のばらつきを抑制することが可能になる。また、本形態では、ガラス17の厚さに応じてスリーブ18の長さを変えることで、ガラス17の厚さが変わっても貫通穴10aの中で固定されるガラス17の固定状態を安定させることが可能になる。
【0063】
(凹部の変更例)
図8は、本発明の他の実施の形態にかかる凹部9bの構成を説明するための底面図である。
【0064】
上述した形態において、土台板9の底面に、左右方向の幅が広い1個の凹部9bが形成されていても良い。この場合には、設置工程において、2本のベルトBの一部が1個の凹部9bの中に配置される。また、上述した形態において、図8(A)に示すように、凹部9bは、左右方向と平行になっていても良い。この場合には、凹部9bは、土台板9の右端面から左端面まで通じている。この場合であっても、設置工程において、2本のベルトBのうちの一方のベルトBの一部は、2個の凹部9bのうちの一方の凹部9bの中に配置され、他方のベルトBの一部は、他方の凹部9bの中に配置される。
【0065】
上述した形態において、図8(B)に示すように、土台板9の底面の四隅に直線状の凹部9bが形成されていても良い。この場合には、土台板9の右前端部に形成される凹部9bは、土台板9の右端面から前端面まで通じ、土台板9の右後端部に形成される凹部9bは、土台板9の右端面から後端面まで通じ、土台板9の左前端部に形成される凹部9bは、土台板9の左端面から前端面まで通じ、土台板9の左後端部に形成される凹部9bは、土台板9の左端面から後端面まで通じている。また、この場合には、設置工程において、4個の凹部9bのそれぞれに一部が配置される4本のベルトBが使用される。4本のベルトBの両端部は、納骨室部25の上方で1箇所にまとめられる。
【0066】
上述した形態において、図8(C)に示すように、土台板9の底面に、前後方向と平行な直線状の1個の凹部9bと、左右方向に平行な直線状の1個の凹部9bとが形成されていても良い。前後方向と平行な凹部9bは、土台板9の底面の左右方向の中心に形成され、左右方向と平行な凹部9bは、土台板9の底面の前後方向の中心に形成されている。2個の凹部9bは、貫通穴9aで分断されている。また、前後方向と平行な凹部9bは、土台板9の前端面から後端面まで通じ、左右方向と平行な凹部9bは、土台板9の右端面から左端面まで通じている。この場合であっても、設置工程において、2本のベルトBのうちの一方のベルトBの一部は、2個の凹部9bのうちの一方の凹部9bの中に配置され、他方のベルトBの一部は、他方の凹部9bの中に配置されている。
【0067】
上述した形態において、図8(D)に示すように、土台板9の底面に、互いに平行な一対の凹部9bが2組形成されていても良い。具体的には、土台板9の底面の右前端の角部と左後端の角部との間に形成される一対の凹部9bと、土台板9の底面の左前端の角部と右後端の角部との間に形成される一対の凹部9bとが土台板9の底面に形成されていても良い。すなわち、土台板9の前端面から左端面まで通じる凹部9bと土台板9の右端面から後端面まで通じる凹部9bとからなる一対の凹部9bと、土台板9の前端面から右端面まで通じる凹部9bと土台板9の左端面から後端面まで通じる凹部9bとからなる一対の凹部9bとが形成されていても良い。4個の凹部9bは、貫通穴9a等で分断されている。この場合には、設置工程において、4個の凹部9bのそれぞれに一部が配置される4本のベルトBが使用される。4本のベルトBの両端部は、納骨室部25の上方で1箇所にまとめられる。
【0068】
(土台板の変更例1)
図9は、本発明の他の実施の形態にかかる土台板9の構成を説明するための斜視図である。
【0069】
上述した形態において、土台板9の底面に、凹部9bに代えて、土台板9の下側にベルトBを通すための凸部9cが形成されていても良い。図9に示すように、凸部9cは、土台板9の底面から下側に向かって突出している。また、土台板9の底面には、たとえば、4個の凸部9cが形成されている。図9に示す例では、凸部9cは、土台板9の右前端の角部の近くと、土台板9の左前端の角部の近くと、土台板9の右後端の角部の近くと、土台板9の左後端の角部の近くとに形成されている。
【0070】
すなわち、4個の凸部9cのそれぞれは、長方形状の土台板9の四隅のそれぞれに対応する位置に形成されている。この変更例では、土台板9の右前端の角部の近くに形成される凸部9cと土台板9の左後端の角部の近くに形成される凸部9cとによって、上下方向から見たときに土台板9の中心を挟むように配置される一対の凸部9cが構成され、土台板9の左前端の角部の近くに形成される凸部9cと土台板9の右後端の角部の近くに形成される凸部9cとによって、上下方向から見たときに土台板9の中心を挟むように配置される一対の凸部9cが構成されている。すなわち、土台板9には、上下方向から見たときに土台板9の中心を挟むように配置される一対の凸部9cが2組形成されている。
【0071】
4個の凸部9cは、前後方向に細長い直方体状に形成されている。この変更例では、設置工程において、土台板9の下側に配置される2本のベルトBの一部は、左右方向において4個の凸部9cの外側に配置されている。2本のベルトBの両端部は、納骨室部25の上方で1箇所にまとめられている。
【0072】
この変更例では、設置工程において、凸部9cを利用して、土台板9の下側にベルトBを容易に通すことが可能になる。また、この変更例では、土台板9の底面に、上下方向から見たときに土台板9の中心を挟むように配置される一対の凸部9cが2組形成されているため、クレーンで納骨室部25を吊り上げる前に、たとえば、地面から土台板9の底面の全体を浮かせることが可能になる。したがって、土台板9の下側にベルトBをより容易に通すことが可能になる。その結果、クレーンで納骨室部25を吊り上げる前の作業をより簡素化することが可能になる。また、この変更例では、凸部9cを利用してベルトBの水平方向のずれを防止することが可能になるため、クレーンで吊り上げられた納骨室部25の状態を安定させることが可能になる。
【0073】
(土台板の変更例2)
図10は、本発明の他の実施の形態にかかる土台板9の構成を説明するための底面図である。
【0074】
図9に示す変更例において、4個の凸部9cは、左右方向に細長い直方体状に形成されていても良い。この場合には、設置工程において、土台板9の下側に配置される2本のベルトBの一部は、前後方向において4個の凸部9cの外側に配置されている。また、図10(A)に示すように、設置工程において、図8(B)に示すベルトBの一部と同様にベルトBの一部が配置されるように、土台板9の底面に凸部9cが形成されていても良い。図10(A)に示す変更例では、4個の凸部9cが、長方形状の土台板9の四隅のそれぞれに対応する位置に形成されている。また、この変更例では、土台板9の底面に、上下方向から見たときに土台板9の中心を挟むように配置される一対の凸部9cが2組形成されている。
【0075】
また、図10(B)に示すように、設置工程において、図8(C)に示すベルトBの一部と同様にベルトBの一部が配置されるように、土台板9の底面に凸部9cが形成されていても良い。図10(B)に示す変更例では、土台板9の底面に8個の凸部9cが形成されている。また、この変更例では、土台板9の底面に、上下方向から見たときに土台板9の中心を挟むように配置される一対の凸部9cが4組形成されている。
【0076】
さらに、図10(C)に示すように、設置工程において、図8(D)に示すベルトBの一部と同様にベルトBの一部が配置されるように、土台板9の底面に凸部9cが形成されていても良い。図10(B)に示す変更例では、長方形状の土台板9の四隅のそれぞれに対応する位置に凸部9cが2個ずつ形成されている。また、この変更例では、土台板9の底面に、上下方向から見たときに土台板9の中心を挟むように配置される一対の凸部9cが4組形成されている。なお、図9図10に示す変更例において、土台板9の底面に形成される凸部9cの数は、3個以下であっても良い。
【0077】
(納骨室部および納骨室の施工方法の変更例)
図11は、本発明の他の実施の形態にかかる納骨室部25の斜視図である。図12は、搬送工程において図11に示す納骨室部25と分離した状態で搬送される天板13の斜視図である。図13図14は、本発明の他の実施の形態にかかるお墓の納骨室の施工方法を説明するための斜視図である。図15は、本発明の他の実施の形態にかかるお墓の納骨室の施工方法を説明するための拡大断面図である。
【0078】
上述した形態において、組立工程で組み立てられる納骨室部25に、天板13が含まれていなくても良い。この場合には、搬送工程において、納骨室部25と天板13とを分離した状態で搬送する。また、この場合には、クレーンを用いて墓地に納骨室部25を設置する設置工程の後に、納骨室部25と別体になっている天板13を納骨室部25に固定し(天板固定工程)、その後、石碑3を天板13に載置して固定する。
【0079】
この変更例では、納骨室部25に、納骨室部25に対して水平方向で天板13を位置決めするための複数の位置決め穴25aが形成されている(図11参照)。図11に示す例では、4個の位置決め穴25aが納骨室部25に形成されている。位置決め穴25aは、4本の角柱14のそれぞれに形成されている。位置決め穴25aは、角柱14の上端面から下側に向かって窪んでいる。位置決め穴25aは、下側に向かうにしたがって内径が次第に小さくなる円錐状または円錐台状に形成されている。たとえば、図15に示すように、位置決め穴25aは、円錐台状に形成されている。
【0080】
また、搬送工程が行われるときの天板13には、4個の位置決め穴25aのそれぞれに挿入される位置決めピン28aを有する4個の位置決め部材28が固定されている(図12参照)。位置決め部材28は、天板13の下面の四隅の近傍のそれぞれに固定されている。また、位置決め部材28は、天板13に位置決め部材28を固定するための接着剤30によって天板13の下面に固定されている。位置決めピン28aは、位置決め穴25aの形状に応じた円錐状または円錐台状に形成されている。たとえば、位置決めピン28aは、円錐台状に形成されている。位置決めピン28aの外径は、下側に向かうにしたがって次第に小さくなっている。なお、位置決めピン28aは、筒状(中空状)に形成されていても良い。
【0081】
位置決め部材28は、たとえば、金属によって形成されている。位置決め部材28は、位置決めピン28aの基端が固定される平板状のピン固定板28bを備えている。本形態の位置決め部材28は、位置決めピン28aとピン固定板28bとによって構成されている。ピン固定板28bは、厚さの薄い円板状に形成されている。ピン固定板28bの外形は、位置決めピン28aの外径よりも大きくなっている。天板13の下面には、ピン固定板28bの上面が固定されている。位置決めピン28aは、ピン固定板28bの下面から突出している。
【0082】
この変更例では、組立工程の後に、接着剤30によって天板13に位置決め部材28を固定する(位置決め部材固定工程)。位置決め部材固定工程では、まず、4個の位置決め穴25aのそれぞれに位置決めピン28aのそれぞれを挿入するとともに4個の位置決め部材28に接着剤30を塗布する(図13図15(A)参照。)。具体的には、ピン固定板28bの上面に接着剤30を塗布する。なお、位置決め部材固定工程では、ピン固定板28bの上面以外の部分に接着剤30が付着しないように予めマスキングを行う。
【0083】
また、位置決め部材固定工程では、その状態で、納骨室部25に天板13を載置して天板13に位置決め部材28を固定する(図14図15(B)参照)。このときには、納骨室部25の正規の位置に天板13を載置する。納骨室部25の正規の位置に天板13が載置されるように、天板13に対して予めマーキングが行われている。
【0084】
位置決め部材固定工程の後には、納骨室部25と天板13とを分離する(天板取外し工程、図15(C))。天板取外し工程は、作業者が位置決め部材28に触れても天板13に対する位置決め部材28の位置が変わらない程度まで接着剤30が乾いた後に行われる。搬送工程は、天板取外し工程の後に行われる。搬送工程では、上述のように、納骨室部25と天板13とを分離した状態で搬送する。天板固定工程では、クレーンを用いて納骨室部25に天板13を載置する。このときには、4個の位置決め穴25aのそれぞれに4個の位置決めピン28aのそれぞれを挿入して納骨室部25に対して天板13を位置決めする。また、天板固定工程では、接着剤によって側壁板10~12および角柱14の上端面に天板13を固定する。
【0085】
この変更例では、納骨室部25に形成される4個の位置決め穴25aの相互間の寸法精度が低くても、搬送工程において分離した状態で搬送される納骨室部25と天板13とを天板固定工程において容易かつ適切に位置決めすることが可能になる。したがって、納骨室部25に4個の位置決め穴25aを容易に形成することが可能になるとともに、搬送工程において納骨室部25と天板13とを分離した状態で搬送しても、天板固定工程において納骨室部25に対して天板13を容易かつ適切に位置決めすることが可能になる。
【0086】
また、この変更例では、位置決め穴25aおよび位置決めピン28aが円錐状または円錐台状に形成されているため、天板固定工程において、4個の位置決め穴25aのそれぞれに4本の位置決めピン28aのそれぞれを容易に挿入することが可能になる。したがって、天板固定工程において納骨室部25に対して天板13をより容易に位置決めすることが可能になる。また、この変更例では、円板状に形成されるピン固定板28bが天板13に固定されており、天板13に対する位置決め部材28の接着面積が大きくなっている。そのため、搬送工程において納骨室部25と天板13とを分離した状態で搬送しても、搬送工程が行われるときの、天板13に対する位置決め部材28の固定状態を安定させることが可能になる。
【0087】
なお、この変更例において、位置決めピン28aは、三角錐状等の多角錐状に形成されていても良い。また、位置決めピン28aは、円柱状に形成されていても良いし、多角柱状に形成されていても良い。これらの場合には、位置決め穴25aの形状は、位置決めピン28aの形状に応じた形状となっている。また、この変更例において、位置決め部材28は、ピン固定板28bを備えていなくても良い。さらに、この変更例において、位置決め穴25aは、側板10~12に形成されていても良い。
【0088】
また、この変更例において、天板13の下面に、位置決め穴25aに相当する位置決め穴が形成されるとともに、搬送工程が行われるときの納骨室部25の上端面に位置決め部材28が固定されていても良い。この場合には、位置決め部材固定工程において、天板13の位置決め穴に位置決めピン28aを挿入するとともに、ピン固定板28bの下面に接着剤30を塗布する。また、その状態で、納骨室部25に天板13を載置して納骨室部25に位置決め部材28を固定する。なお、納骨室部25に天板13を載置する際には、天板13の位置決め穴の側面と位置決めピン28aの側面との間の摩擦力によって位置決め部材28が天板13に保持されている。
【0089】
(他の実施の形態)
上述した形態において、組立工程で組み立てられる納骨室部25に、蓋板15が含まれていなくても良い。この場合には、納骨室部25が墓地に設置される設置工程の後に、蓋板15が取り付けられる。また、上述した形態において、石碑3の高さが低い場合には、組立工程において、天板13の上面に石碑3が固定されても良い。この場合には、納骨室部25に石碑3が含まれている。
【0090】
上述した形態において、納骨室1は、角柱14を備えていなくても良い。この場合には、側壁板10と側壁板11とが接触するとともに、側壁板11と側壁板12とが接触している。また、この場合には、側壁板10と側壁板11と側壁板12とが一体で形成されていても良い。また、上述した形態において、土台板9は、正方形状に形成されていても良い。さらに、上述した形態において、納骨室部25を墓地に設置するときに、ベルトBの代わりに、ロープまたはワイヤーが土台板9の下側に通されても良い。この場合には、設置工程において、クレーンが、土台板9の下側に一部が配置されるロープまたはワイヤーを用いて納骨室部25を吊り上げて所定位置まで運ぶ。
【0091】
上述した形態において、前後方向から見たときのガラス17の形状は、四角形状等の多角形状となっていても良い。この場合には、前後方向から見たときの貫通穴10aの形状は、ガラス17の形状に応じた多角形状となっている。また、接触部10bは、ガラス17の形状に応じた多角環状に形成され、スリーブ18は、ガラス17の形状に応じた多角筒状に形成されている。また、上述した形態において、接触部10bは、環状に形成されていなくても良い。
【0092】
上述した形態において、土台板9に貫通穴9aが形成されていなくても良い。また、上述した形態において、凹部9bは、直線状に形成されていなくても良い。また、上述した形態において、土台板9の底面に凹部9bが形成されていなくても良い。さらに、上述した形態において、側壁板11に貫通穴11aが形成されていなくても良い。また、上述した形態において、納骨室1は、スリーブ18を備えていなくても良い。また、納骨室1は、ガラス17およびスリーブ18を備えていなくても良い。この場合には、側壁板10に貫通穴10aが形成されていなくても良い。
【符号の説明】
【0093】
1 納骨室(お墓の納骨室)
9 土台板
9a 貫通穴
9b 凹部
9c 凸部
10~12 側壁板
10a 貫通穴
10b 接触部
13 天板
17 ガラス
18 スリーブ
25 納骨室部
25a 位置決め穴
28 位置決め部材
28a 位置決めピン
28b ピン固定板
30 接着剤
B ベルト
X 側壁板の厚さ方向、貫通穴の形成方向
図1
図2
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図5
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図10
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図12
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図15