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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015659
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】送風装置および空調装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/62 20060101AFI20240130BHJP
   F04D 29/42 20060101ALI20240130BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
F04D29/62 D
F04D29/42 H
F04D29/60 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117878
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阿部 利浩
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 和幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 僚
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB02
3H130AB26
3H130AB45
3H130AC11
3H130BA13A
3H130BA73A
3H130CA22
3H130CA23
3H130CB09
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EA01A
3H130EA01G
3H130EA06A
3H130EA06G
3H130EA07A
3H130EA07G
(57)【要約】
【課題】風量の低下およびファン回転時の騒音や振動を低減できる送風装置、および送風装置を備える空調装置を提供すること。
【解決手段】ベース120と、一端をベース120に結合された複数の羽根130と、複数の羽根130の他端に結合されたリング状のシュラウド140とが一体形成されたファン110に、ファン110と別体として、ベース120の外径よりも直径が大きい円形の風受部材160が配置される。これにより、シュラウド140から吸い込まれた空気はファン110の回転による遠心力を受けて吹き出される。そのため、ファン110を一体形成しながらも、風量の低下を防ぐことができる。また、ファン110と風受部材160は別体であるため、ファン110に風受部材160がずれて取り付けられ、ファン110の重心が偏ることがない。これにより、ファン110回転時の騒音および振動を低減できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータの回転軸に結合されるベースと、
前記ベースの周方向に並び、一端を前記ベースに結合された複数の羽根と、
前記複数の羽根の他端に結合され、前記ベースの直径以上の内径を持つリング状のシュラウドと、
前記ベースと所定の間隔をあけて配置される円形の風受部材と、を備え、
前記ベースと前記複数の羽根と前記シュラウドは一体形成され、
前記風受部材の直径は前記ベースの外径よりも大きい送風装置。
【請求項2】
室内の空気を本体に取り入れる吸込口と、
前記本体から空気を放出する吹出口と、
前記吸込口から前記吹出口に至る送風経路と、
前記送風経路の少なくとも一部の外郭を形成するケーシングと、
前記ケーシング内に設けられる送風装置と、を備え、
前記送風装置は、駆動モータの回転軸に結合されるベースと、
前記ベースの周方向に並び、一端を前記ベースに結合された複数の羽根と、
前記複数の羽根の他端に結合され、前記ベースの直径以上の内径を持つリング状のシュラウドと、
前記ベースと所定の間隔をあけて配置され、前記駆動モータが取り付けられる円形の風受部材と、を備え、
前記ベースと前記複数の羽根と前記シュラウドは一体形成され、
前記風受部材は、前記ベースの外径よりも直径が大きく、前記ケーシングと前記送風装置とを連結させる連結部を有する空調装置。
【請求項3】
前記連結部は複数設けられ、前記風受部材の外周よりも外方に伸びており、
前記ケーシングの内壁には、内壁面からせり出し、前記連結部が取り付けられる被連結部が設けられる請求項2記載の空調装置。
【請求項4】
前記本体は、下部に前記吸込口が設けられ、上部に前記吹出口が設けられ、
前記送風装置は、前記ケーシング内に前記シュラウドが下となるように取り付けられ、
前記連結部は前記被連結部の上面に取り付けられる請求項3記載の空調装置。
【請求項5】
前記風受部材は、外周に向かって上方に傾斜するガイド面を有する請求項4記載の空調装置。
【請求項6】
前記シュラウドは、外周に向かって上方に傾斜する傾斜部を備え、
前記傾斜部は前記ガイド面と対向し、前記ガイド面と平行または前記傾斜部と前記ガイド面との間の距離が下流ほど大きくなる請求項5記載の空調装置。
【請求項7】
前記本体は、上面に前記吹出口が設けられており、
前記風受部材は、前記駆動モータのリード線を前記ケーシングの内壁に向かってガイドするリード線ガイド部を備え、
前記送風装置は、前記リード線ガイド部の上方を覆うカバー部を有し、
前記リード線ガイド部と前記カバー部の間に前記リード線が配置される請求項4から請求項6のいずれかに記載の空調装置。
【請求項8】
前記リード線ガイド部は、前記連結部である請求項7記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置および送風装置を備える空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動モータによって回転する回転板と、回転板前面の外周側に一端が連結される複数のブレードと、環状に形成されて複数のブレードの他端に一体に連結され、回転板の直径以上の内径を持つように形成されたシュラウドとが一体形成されたファンが知られている。
【0003】
このようなファンはシンプルな金型で一体形成が可能であるが、シュラウドから吸い込まれた空気がファンの回転軸方向へ吹き抜けてしまい、吹き出される空気はファンの回転による遠心力を受けることができないため、風量が低下してしまう。そこで、回転板の直径よりも大きな直径となるよう形成された回転補助板を回転板へ固定し、空気がファンの回転軸方向へ吹き抜けるのを防止した送風装置がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-128232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、回転補助板を回転板へ固定するときには、ファンと回転補助板の重心を合わせる必要があり、重心がずれるとファン全体としてのバランスが崩れ、ファンの回転時に騒音や振動の原因となる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、一体形成されたファンの風量低下を抑え、かつファン回転時の騒音や振動を低減できる送風装置、および送風装置を備える空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、駆動モータの回転軸に結合されるベースと、
前記ベースの周方向に並び、一端を前記ベースに結合された複数の羽根と、
前記複数の羽根の他端に結合され、前記ベースの直径以上の内径を持つリング状のシュラウドと、
前記ベースと所定の間隔をあけて配置される円形の風受部材と、を備え、
前記ベースと前記複数の羽根と前記シュラウドは一体形成され、
前記風受部材の直径は前記ベースの外径よりも大きい送風装置である。
【0008】
また、本発明は、室内の空気を本体に取り入れる吸込口と、
前記本体から空気を放出する吹出口と、
前記吸込口から前記吹出口に至る送風経路と、
前記送風経路の少なくとも一部の外郭を形成するケーシングと、
前記ケーシング内に設けられる送風装置と、を備え、
前記送風装置は、駆動モータの回転軸に結合されるベースと、
前記ベースの周方向に並び、一端を前記ベースに結合された複数の羽根と、
前記複数の羽根の他端に結合され、前記ベースの直径以上の内径を持つリング状のシュラウドと、
前記ベースと所定の間隔をあけて配置され、前記駆動モータが取り付けられる円形の風受部材と、を備え、
前記ベースと前記複数の羽根と前記シュラウドは一体形成され、
前記風受部材は、前記ベースの外径よりも直径が大きく、前記ケーシングと前記送風装置とを連結させる連結部を有する空調装置である。
【発明の効果】
【0009】
上述のように構成することにより、一体形成されたファンの風量低下を抑え、かつファン回転時の騒音や振動を低減できる送風装置、および送風装置を備える空調装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の送風装置の外観斜視図である。
図2】本実施形態の送風装置の断面構成図である。
図3】本実施形態の空調装置の一例である空気清浄機の外観図斜視である。
図4】本実施形態の空調装置の一例である空気清浄機の断面構成図である。
図5】本実施形態の空気浄化部の構成を示す図である。
図6図4における送風装置周辺の拡大図である。
図7】本実施形態の送風装置を備える空気清浄機の上面図である。
図8】連結部および被連結部の断面図である。
図9】リード線ガイド部を兼ねる連結部の上面図である。
図10】固定部を兼ねるカバー部の上面図である。
図11】垂直壁と引き出し孔の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0012】
本発明は、駆動モータの回転軸に結合されるベースと、ベースの周方向に並び、一端をベースに結合された複数の羽根と、複数の羽根の他端に結合され、ベースの直径以上の内径を持つリング状のシュラウドとが一体形成されたファンに、ベースと所定の間隔をあけて円形の風受部材を配置し、風受部材の直径はベースの外径よりも大きく構成した。これにより、シュラウドから吸い込まれた空気は風受部材によってファンの周方向に向きを変え、ファンの回転による遠心力を受けて吹き出されるので、風量および静圧の低下を防ぐことができる。また、風受部材はファンには固定されずに別体として配置されているため、ファンと風受部材の重心を合わせる必要がない。これにより、重心のズレに起因するファン回転時の騒音および振動を防ぐことができる。
【0013】
また、本発明は、本体に設けられる吸込口および吹出口と、吸込口から吹出口に至る送風経路と、送風経路の少なくとも一部の外郭を形成するケーシングと、ケーシング内に設けられる送風装置とを備えた空調装置であって、送風装置は、駆動モータの回転軸に結合されるベースと、ベースの周方向に並び、一端をベースに結合された複数の羽根と、複数の羽根の他端に結合され、ベースの直径以上の内径を持つリング状のシュラウドとが一体形成されたファンと、ベースと所定の間隔をあけて配置され、駆動モータが取り付けられる円形の風受部材とを備え、風受部材は、ベースの外径よりも直径が大きく、ケーシングと送風装置とを連結させる連結部を有する。これにより、シュラウドから吸い込まれた空気はファンの回転による遠心力を受けて吹き出されるため、風量および静圧の低下を防ぐことができる。また、風受部材はファンとは別体として配置されているため、ファンと風受部材の重心を合わせる必要がない。これにより、重心のずれに起因するファン回転時の騒音および振動を防ぐことができる。さらに、ケーシングへの送風装置の取り付けを風受部材に設けた連結部により行うことで、別途取り付け用の部品を設ける必要がなく、部品点数の増加およびコストアップを防ぐことができる。
【0014】
また、連結部は複数設けられ、風受部材の外周よりも外方に伸びている。対して、ケーシングの内壁には、内壁面からせり出し、連結部が取り付けられる被連結部が設けられる。これにより、連結部を被連結部に当接させて、送風装置の取り付け位置を合わせることができる。
【0015】
また、本体は、下部に吸込口が設けられ、上部に吹出口が設けられており、送風装置は、ケーシング内にシュラウドが下となるように取り付けられ、連結部は、被連結部の上面に取り付けられる。これにより、本体の上方から被連結部上に連結部を載置するため、送風装置の取り付け位置を容易に合わせられるうえに、送風装置をビスなどで取り付けるときに手で送風装置を支える必要がなく、取り付け作業がし易くなる。
【0016】
また、風受部材は、外周に向かって上方に傾斜するガイド面を有する。ファンの回転によりシュラウドから吸い込まれた空気は、ガイド面に沿うように流れてファンから吹き出される。このとき、ガイド面によって、ファンから吹き出される空気は、本体内を上に向かう空気の流れに対してその流れに沿うように吹き出されるので、送風経路内で空気をスムーズに流すことができる。
【0017】
また、シュラウドは外周に向かって上方に傾斜する傾斜部を備え、傾斜部はガイド面と対向しており、ガイド面と平行または傾斜部とガイド面との間の距離が下流ほど大きくなる。つまり、送風経路の一部をなす傾斜部とガイド面との間の距離が狭まることがないため、この部分における圧損を抑えることができる。
【0018】
また、本体は、上面に吹出口が設けられており、風受部材は、駆動モータのリード線をケーシングの内壁に向かってガイドするリード線ガイド部を備える。送風装置は、リード線ガイド部の上方を覆うカバー部を有し、リード線ガイド部とカバー部の間にリード線が配置される。つまり、リード線はリード線ガイド部上を沿うように取り付けられており、これにより、リード線がファン側に垂れ下がることがない。また、リード線の上方にはカバー部があるため、吹出口からリード線が見えず、意匠性を向上させることができる。
【0019】
また、連結部をリード線ガイド部とする。送風装置をケーシングに取り付けるための連結部をリード線ガイド部とすることで、別途リード線ガイド部を設ける必要がなく、部品点数の増加およびコストアップを防ぐことができる。
【実施例0020】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0021】
図1は本実施形態の送風装置の外観斜視図、図2は本実施形態の送風装置の断面構成図である。送風装置10は、ファン110と駆動モータ150と風受部材160とで構成される。
【0022】
本実施形態のファン110は、ファン110の回転軸方向から空気を吸い込み、周方向に吹き出すターボファンである。ファン110は、駆動モータ150の回転軸151に結合される円錐台形のベース120と、ベース120の周方向に並び、駆動モータ150の回転軸151に対して放射状に所定の間隔で配置され、一端をベース120に結合された複数の羽根130と、複数の羽根130の他端に結合されるリング状のシュラウド140とからなる。シュラウド140の内径はベース120の直径以上の径となっており、これにより、ベース120と複数の羽根130とシュラウド140とは、キャビ/コア金型で一体形成することが可能となっている。そのため、シュラウド140と、複数の羽根130およびベース120とを接合してファン110を形成する場合と異なり、接合工程が不要となるため接合部の強度不足を解消できるほか、接合時に部品の重心がずれることで、ファン110のバランスが崩れることがない。なお、ベース120の形状は円錐台形である必要はなく、円形であればよい。
【0023】
また、ベース120の中央には駆動モータ150の回転軸151が挿通される軸受121が設けられている。回転軸151は挿着されたピン(図示せず)を備えており、軸受121に設けられた溝部(図示せず)へピンがはめ込まれるように、軸受121へ回転軸151が挿通される。挿通された回転軸151には、順に、平ワッシャ、スプリングワッシャ、六角ナットが取り付けられてファン110と回転軸151が連結し、駆動モータ150への通電によりファン110が回転する。
【0024】
ベース120の空気流方向下流(駆動モータ150側)には風受部材160が設けられる。風受部材160は円形で、その直径はベース120の外径よりも大きい径となっている。これにより、シュラウド140から吸い込まれた空気は風受部材160に当たるためベース120の後方に吹き抜けることなく、ファン110の周方向に向きを変え、ファン110の回転による遠心力を受けて吹き出される。このように、吹き出される空気に遠心力がかかることで、ファン110を一体形成しながらも、風量および静圧の低下を防ぐことができる。
【0025】
また、風受部材160は、中央に駆動モータ150の回転軸151が挿通され、ベース120と駆動モータ150の間に、ベース120と所定の間隔Sをあけて配置されている。つまり、ファン110と風受部材160は別体となっている。ファン110に風受部材160を固定する場合には、ファン110の回転軸に対して風受部材160の重心を合わせて取り付けないと、ファン110の重心が偏り、回転時にファン110がぶれて騒音および振動の原因となる。これに対し、ファン110と風受部材160を別体とすることで、騒音および振動を防ぐことができる。なお、風受部材160はベース120と所定の間隔をあけてファン110の空気流方向下流に配置されていればよく、ベース120と駆動モータ150の間に限らず、たとえば、駆動モータ150の後方に設けることもできる。
【0026】
次に、本実施形態の送風装置を備える空調装置について図3図6を用いて説明する。なお、空調装置の一例として空気清浄機を例に説明するが、空調装置は空気清浄機に限らず、加湿器、除湿器、暖房機などであってもよい。
【0027】
図3は本実施形態の送風装置を備える空気清浄機の外観斜視図、図4は本実施形態の送風装置を備える空気清浄機の断面構成図である。空気清浄機100の本体1は、上面パネル11と、正面パネル12と、左右の側面パネル13と、背面パネル(図示せず)と、底枠15を備えている。また、上面パネル11には、格子状のグリル5aを有した吹出口5と、空気清浄機の動作を指示する各種ボタンを備えた操作部6が設けられている。
【0028】
空気清浄機100の本体1は、底枠15によって支持されている。本体1の正面側には、底枠15と正面パネル12との間に正面開口12aが形成されていて、背面側も同様に背面開口が形成されている。また、側面パネル13には下方に設けられた開口により側面開口13aが形成されている。そして、空気清浄機100の底部には、本体1に空気を導入する吸込口2が形成されており、正面開口12a、背面開口、側面開口13aを通じて流入した空気が吸込口2に取り入れられる。
【0029】
本体1の内部には、空気流方向上流から順に、吸込口2から取り入れられた空気から比較的大きな塵埃を捕集するメッシュ状のプレフィルタ3、プレフィルタ3を通過した塵埃を捕集する空気浄化部4、吸込口2から吹出口5に至る送風経路に送風する送風装置10が設けられており、空気が送風経路内を上に向かって流れるタワー型の空気清浄機100となっている。また、空気浄化部4の上には送風経路の外郭を形成するケーシング14が設けられ、ケーシング14の内側には送風装置10が配置されており、ケーシング14の外側には側面パネル13との間に基板16が配置されている。
【0030】
図5は、本実施形態の空気浄化部の構成を示す図である。本実施形態の空気浄化部4は、電気集塵部41と、集塵フィルタ42と、脱臭フィルタ43を備えている。空気浄化部4の最上流に設けられた電気集塵部41では、空気に含まれる物質を帯電させて捕集する。その下流に設けられた集塵フィルタ42は、電気集塵部41で捕集しきれなかった粒子や、ウィルスなどの微細な物質を捕集する。さらにその下流に設けられた脱臭フィルタ43で、臭いを吸着し、空気を浄化する。
【0031】
図6は、図4における送風装置周辺の拡大図である。送風装置10はケーシング14内にシュラウド140が下となるように取り付けられ、ファン110および風受部材160の外周とケーシング14の内壁との間が送風経路の一部をなしている。
【0032】
風受部材160は、下方ほど小径となる円錐台形状となっており、中央に駆動モータ150が配置される円形平面状の底面162を有する。底面162の外径はベース120の外径より小さくなっているが、ベース120の外径より大きくてもよく、底面162の外周からは、斜め上に向かって傾斜するガイド面163が伸びている。また、シュラウド140は、空気が吸い込まれる筒部141と、筒部141の上端から斜め上に向かって傾斜する傾斜部142を備えており、筒部141の直径がシュラウド140の内径となる。傾斜部142はガイド面163と対向しており、ガイド面163と平行または傾斜部142とガイド面163との間の距離が下流ほど大きくなっている。
【0033】
本実施形態の空気清浄機100において、運転開始が指示され、駆動モータ150の駆動によりファン110が回転すると、シュラウド140から流入した空気は風受部材160に当たりファン110の周方向に向きを変えた後、ガイド面163に沿って流れてファン110から吐き出される。このとき、ガイド面163が斜め上に向かって傾斜していることで、ファン110から吐き出される空気が送風経路内を上に向かう空気の流れを妨げることなく、スムーズに空気を流すことができる。さらに、傾斜部142とガイド面163との間の距離が、空気流方向下流に向かって狭まらない構造とすることで、傾斜部142とガイド面163との間における圧損を抑え、空気をよりスムーズに流すことができる。
【0034】
このように、ファン110の回転により生じる空気の流れにより吸込口2から吹出口5に至る送風経路に送風が行われ、吸込口2から取り込まれた室内の空気は空気浄化部4により粉塵を除去され、吹出口5から室内に放出されることで、室内空気は浄化される。
【0035】
続けて、図7および図8を用いて、ケーシング14への送風装置10の取り付けおよび駆動モータ150のリード線153の取り付けについて説明する。
【0036】
まず、ケーシング14への送風装置10の取り付けについて説明する。
【0037】
図7は本実施形態の送風装置を備える空気清浄機の上面図、図8は連結部および被連結部の断面図である。なお、図7では送風装置10が見えるよう上面パネル11を除いている。
【0038】
送風装置10は、さらに駆動モータ150を風受部材160に固定するモータ押え板170を備え、モータ押え板170により駆動モータ150が風受部材160に固定された状態でケーシング14に取り付けられる。
【0039】
モータ押え板170は、駆動モータ150に当接する円形の当接部171と、当接部171の外周よりも外方に伸び、風受部材160へビスにより止着される3か所の固定部172とからなり、駆動モータ150は当接部171と風受部材160の底面162との間に挟まれて風受部材160に固定される。
【0040】
風受部材160には連結部164が3か所形成されており、連結部164は風受部材160の外周よりも外方に向かって、ケーシング14の内壁面付近まで伸びている。これら連結部164と対応するように、ケーシング14には内壁面からせり出す被連結部7が3か所形成されている。また、被連結部7は、ケーシング14の内壁面から水平にせり出した水平面7aと、水平面7aの端部から上に向かって伸びる壁面を有する凸部7bを有している。水平面7aの上に連結部164を載置し、連結部164を凸部7bに当ててビス穴を合わせた後、被連結部7に連結部164をビスにより止着することで、送風装置10がケーシング14に取り付けられる。
【0041】
このように、被連結部7がケーシング14の内壁面からせり出していることで、連結部164を被連結部7(水平面7a)に当接させて、送風装置10の取り付け位置を容易に合わせることができる。また、連結部164は被連結部7(水平面7a)上に載置されるので、ビス止め作業時に送風装置10を支える必要がなく、送風装置10の取り付け作業が容易になる。さらに、本体1はタワー型であり、図6に示すように送風装置10をシュラウド140が下、つまり風受部材160よりもファン110が下方に位置するように取り付けるため、送風装置10のビス止め作業を行うときファン110が邪魔になることがなく、ビス止め作業がし易くなる。
【0042】
なお、送風装置10はシュラウド140を横に向けて配置してもよい。その場合であっても、連結部164を被連結部7に当接させることで、送風装置10の取り付け位置を容易に合わせることができる。
【0043】
次に、駆動モータ150のリード線153の取り付けについて説明する。
【0044】
図9は、リード線ガイド部を兼ねる連結部の上面図である。なお、図9では、図7の破線で囲まれた部分を拡大し、リード線153が見えるようモータ押え板170を除いている。連結部164は上面が開口した断面U字状となっており、U字部の内側には連結部164の長さ方向と直交するように延びるリブ164aが設けられている。本実施形態において、3か所に設けられた連結部164のうち1つがリード線ガイド部180となっており、駆動モータ150のリード線153をケーシング14の内壁に向かって案内している。リード線ガイド部180には、リブ164aおよびリード線ガイド部180の側壁にリード線153が通るスリット181が設けられており、リード線153はU字部の内側に収められ、ケーシング14の内壁へ案内される。これにより、リード線153がファン110側に垂れ下がることがなく、ファン110の回転にリード線153が巻き込まれるのを防止できる。また、リード線153は、リード線ガイド部180の端部からケーシング14の被連結部7付近の内壁に設けられた引き出し孔14aを通ってケーシング14外へと出され、基板16へ取り付けられている。
【0045】
さらに、送風装置10は、リード線ガイド部180の上方を覆うカバー部190を備えてもよい。図10は固定部を兼ねるカバー部の上面図であり、図7の破線で囲まれた部分を拡大している。本実施形態では、固定部172のうちの1箇所がカバー部190となっている。カバー部190はリード線ガイド部180の端部まで伸びており、リード線ガイド部180とカバー部190の間にリード線153が配置される。本体1の上面に吹出口5が設けられた空気清浄機100において、吹出口5から空気清浄機100内に物が落下してリード線153を傷つけるおそれがあるが、カバー部190を備えることでリード線153を保護することができる。加えて、カバー部190により吹出口5からリード線153が見えないため、意匠性を向上させることもできる。なお、カバー部190は少なくともリード線ガイド部180の上方を覆っていればよいが、本実施形態では、リード線ガイド部180外(駆動モータ150からリード線ガイド部180側壁のスリット181までの間)にリード線153が通っているため、補助カバー部190aによりリード線153全体を覆う形状となっている。
【0046】
また、カバー部190は、先端に引き出し孔14aと対向する部分を含む略L字状の垂直壁191を有する。図11は、垂直壁と引き出し孔の位置関係を示す図であり、垂直壁191の紙面奥方向に位置する引き出し孔14aを破線で図示している。垂直壁191は、ケーシング14の内壁面にクリアランスを取って配置され、その一部は、リード線153が通るスペースを除いて引き出し孔14aに対向している。これにより、吹出口5から本体1内を覗いたときに引き出し孔14aが見えないようにし、意匠性を向上させている。さらに、垂直壁191はカバー部190の先端から上に向かって垂直に伸びる部分を含む。これにより、本体1の上方から水がかかった場合、水がカバー部190を伝って流れるが、垂直壁191により堰き止められるのでリード線153までは伝わらず、水がリード線153を伝って基板16に達するのを防ぐことができる。
【0047】
なお、本実施形態においては、リード線ガイド部180およびカバー部190はそれぞれ連結部164および固定部172を兼ねることで、新たに部品を設ける必要がなく、部品点数の増加およびコストアップを防いでいるが、別の部品として設けてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 本体
2 吸込口
5 吹出口
10 送風装置
14 ケーシング
120 ベース
130 羽根
140 シュラウド
150 駆動モータ
160 風受部材
164 連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11