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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156605
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】包装装置及び包装方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/00 20060101AFI20241029BHJP
   B65B 9/02 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B65B57/00 C
B65B9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024019758
(22)【出願日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2023071027
(32)【優先日】2023-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(72)【発明者】
【氏名】吉川 浩
(72)【発明者】
【氏名】干潟 誠司
(72)【発明者】
【氏名】西谷 大介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 行真
【テーマコード(参考)】
3E050
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB05
3E050AB08
3E050BA05
3E050BA14
3E050BA20
3E050CA01
3E050CA08
3E050CB03
3E050CB07
3E050DF01
3E050DF06
3E050FA01
3E050FB01
3E050FB07
3E050GB02
3E050HA04
3E050HB03
3E050HB06
3E050HB09
(57)【要約】
【課題】様々な種類の被包装物を包装できる包装装置を提供する。
【解決手段】二枚の包装材Fを重ねて搬送し、受入口2から二枚の包装材の間に受け入れた被包装物に対して、搬送方向の前側及び後側と、幅方向の両端側と、で二枚の包装材F同士を接合して被包装物を包装する包装装置1において、二枚の包装材Fを重ねて搬送する搬送手段(34、35)と、搬送手段(34、35)に対して搬送方向下流側に位置し、二枚の包装材Fにおける搬送方向の前側と後側とを接合する搬送方向前後接合手段5と、二枚の包装材Fにおける幅方向の両端側を接合するサイド接合手段1と、装置の各部の動作を制御する制御手段100と、を備え、制御手段100は、搬送方向前後接合手段5で二枚の包装材Fにおける搬送方向の前側を接合した後、二枚の包装材Fが所定量だけ搬送方向下流側に搬送されるように搬送手段(34、35)を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の二枚の包装材を重ねて搬送し、受入口から前記二枚の包装材の間に受け入れた被包装物に対して、搬送方向の前側及び後側と、幅方向の両端側と、で前記二枚の包装材同士を接合して前記被包装物を包装する包装装置において、
前記二枚の包装材を重ねて搬送する搬送手段と、
前記搬送手段に対して搬送方向下流側に位置し、前記二枚の包装材における搬送方向の前側と後側とを接合する搬送方向前後接合手段と、
前記二枚の包装材における幅方向の両端側を接合するサイド接合手段と、
装置の各部の動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記搬送方向前後接合手段で前記二枚の包装材における搬送方向の前側を接合した後、前記二枚の包装材が所定量だけ搬送方向下流側に搬送されるように前記搬送手段を制御することを特徴とする包装装置。
【請求項2】
請求項1の包装装置において、
使用者の操作に応じて、前記所定量が変更可能であることを特徴とする包装装置。
【請求項3】
請求項1または2の包装装置において、
前記搬送手段は、前記二枚の包装材を挟持して表面移動することで搬送力を付与する一対の表面移動体であり、
一対の前記表面移動体の少なくとも一方を他方から離間させることによって、受入口から受け入れた前記被包装物を前記表面移動体同士の間を通過可能とし、前記搬送方向前後接合手段で前記二枚の包装材における搬送方向の前側を接合した前側接合部と前記搬送方向前後接合手段との間の前記二枚の包装材同士に挟まれた領域に前記被包装物を受け入れ可能な状態とすることを特徴とする包装装置。
【請求項4】
請求項3の包装装置において、
一対の前記表面移動体の少なくとも一方を他方から離間させる表面移動体接離手段を備え、
前記制御手段は、前記被包装物を受け入れ可能な待機状態では、前記表面移動体同士を離間させるように前記表面移動体接離手段を制御し、
その後、前記被包装物を受け入れたときに入力される所定の包装開始信号が入力されると、二つの前記表面移動体で前記二枚の包装材を挟持するように前記表面移動体接離手段を制御し、
次に、前記二枚の包装材の搬送方向の後側の接合と切断とを行うように前記搬送方向前後接合手段を制御し、
次に、前記二枚の包装材の前記前側接合部が前記所定量だけ搬送方向下流側に搬送されるように前記搬送手段を制御し、
次に、前記表面移動体同士を離間させるように前記表面移動体接離手段を制御して前記待機状態とすることを特徴とする包装装置。
【請求項5】
請求項1または2の包装装置において、
前記搬送手段及び前記搬送方向前後接合手段が前記受入口の鉛直下方に位置することを特徴とする包装装置。
【請求項6】
請求項1または2の包装装置において、
前記制御手段は、前記サイド接合手段によって前記二枚の包装材における前記搬送方向前後接合手段によって搬送方向の前側を接合された前側接合部から、前記搬送方向前後接合手段が前記二枚の包装材に対して接合と切断とを行う包装材接合位置に位置する部分までの一部または全部の幅方向の両端側の前記二枚の包装材同士を接合した後、前記搬送方向前後接合手段で前記二枚の包装材における搬送方向の後側を接合及び切断する制御を行うことを特徴とする包装装置。
【請求項7】
帯状の二枚の包装材を搬送方向の所定の包装材接合位置で接合した前側接合部を形成する第一工程と、
前記二枚の包装材を重ねて、あらかじめ取得した所定量だけ搬送する第二工程と、
受入口から前記二枚の包装材の間の、前記前側接合部の後側に被包装物を受け入れる第三工程と、
前記二枚の包装材における前記被包装物に対して幅方向の両端を接合するとともに、前記搬送方向の後側で接合及び切断する第四工程と、を含む包装方法。
【請求項8】
請求項7に記載の包装方法において、
前記二枚の包装材を挟持して搬送力を付与する搬送手段が前記第二工程において前記二枚の包装材を搬送した後、前記搬送手段の挟持を解除し、前記被包装物を通過可能とする工程をさらに含む包装方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の包装方法において、
前記第二工程よりも前に、使用者の操作入力により前記所定量を取得する工程をさらに含む包装方法。
【請求項10】
請求項1または2の包装装置において、
前記被包装物を受け入れ可能な待機状態とする制御として、
前記サイド接合手段によって幅方向の両端を接合するサイド接合処理を実行して前記待機状態とする待機前サイド接合制御と、
前記サイド接合処理を実行せずに前記待機状態として、前記待機状態の後に前記サイド接合処理を実行する待機後サイド接合制御と、を選択可能であることを特徴とする包装装置。
【請求項11】
帯状の二枚の包装材を搬送方向の所定の包装材接合位置で接合した前側接合部を形成する前側接合部工程と、
前記二枚の包装材を重ねて、あらかじめ取得した所定量だけ搬送する包装材搬送工程と、
受入口から前記二枚の包装材の間の、前記前側接合部の後側に被包装物を受け入れる被包装物受入工程と、
前記二枚の包装材における前記被包装物に対して幅方向の両端を接合するサイド接合工程と、
前記搬送方向の後側で接合及び切断する後側接合切断工程と、を含み、
前記被包装物受入工程の後に前記サイド接合工程を実行する待機後サイド接合制御と、
前記被包装物受入工程の前に前記サイド接合工程を実行する待機前サイド接合制御と、を選択可能であることを特徴とする包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置及び包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状の二枚の包装材を重ねて搬送し、受入口から二枚の包装材の間に受け入れた被包装物に対して搬送方向の前側及び後側と、幅方向の両端側と、で二枚の包装材同士を接合して被包装物を包装する包装装置が知られている。
特許文献1及び2には、二枚の包装フィルムにおける搬送方向の先端側の接合部を、被包装物である文章や新聞等のシート束で押込むことで包装を行う包装装置が記載されている。これらの包装装置では、包装材の接合部をシート束で押し込むことによって包装フィルムで覆われながら搬送方向下流側に移動するシート束を、ローラ対またはベルト対等の挟持搬送体に挟持させる。そして、挟持搬送体によってシート束とともに包装フィルムを搬送した後、搬送方向の後側と、幅方向の両端側とで二枚の包装フィルムを接合して包装を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-17192号公報
【特許文献2】特開2021-181315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や特許文献2に記載の包装装置では、被包装物としては、シート束のように、包装フィルムを押込むことができ、さらに、挟持搬送体によって挟持搬送できる一定の形状と、ある程度の剛性が必要となる。このため、複雑な立体形状を有する被包装物や複数個の被包装物をまとめて包装する場合には適しておらず、包装可能な被包装物が限定されるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の一つの態様は、帯状の二枚の包装材を重ねて搬送し、受入口から前記二枚の包装材の間に受け入れた被包装物に対して、搬送方向の前側及び後側と、幅方向の両端側と、で前記二枚の包装材同士を接合して前記被包装物を包装する包装装置において、前記二枚の包装材を重ねて搬送する搬送手段と、前記搬送手段に対して搬送方向下流側に位置し、前記二枚の包装材における搬送方向の前側と後側とを接合する搬送方向前後接合手段と、前記二枚の包装材における幅方向の両端側を接合するサイド接合手段と、装置の各部の動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記搬送方向前後接合手段で前記二枚の包装材における搬送方向の前側を接合した後、前記二枚の包装材が所定量だけ搬送方向下流側に搬送されるように前記搬送手段を制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、様々な種類の被包装物を包装できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】包装機の外観斜視図。
図2】待機状態の包装機の概略を示す側方断面図。
図3】正面外装カバーの内側の説明図。
図4】包装機の制御ブロック図。
図5】サイドヒータユニットとサイドヒータ受台との斜視説明図。
図6】サイドヒータユニットの一方側のサイドヒータ保持部材とサイド押さえ保持部材との動作説明図。
図7】包装機で作成する包装成果物の一例の説明図。
図8】入口閉鎖を実行したときの包装機を示す断面図。
図9】サイド溶着でサイドヒータがサイド溶着位置に移動した状態の包装機を示す断面図。
図10】サイド溶着でサイドヒータがサイド溶着位置から離間位置に移動したときの包装機を示す断面図。
図11】カットヒータがカット溶着位置に移動した状態の包装機を示す断面図。
図12】フィルムを所定量だけ繰り出した状態の包装機を示す断面図。
図13】離間位置にあったサイド押さえが待機状態と同様の近接位置まで移動した状態の包装機を示す断面図。
図14】包装処理のフローチャート。
図15】待機前サイド溶着制御における包装処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0009】
以下、本発明に係る包装装置の一実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る包装機1の外観斜視図であり、図2は、図1に示す包装機1の概略を示す側方断面図である。
【0011】
包装機1は、被包装物である物品を二つのフィルムロールR(正面側フィルムロールR1、背面側フィルムロールR2)から供給される二枚のフィルムF(正面側フィルムF1、背面側フィルムF2)で挟んで、搬送方向の前後及び幅方向(搬送方向に直交し、図中のY軸方向に平行な方向)の左右で二枚のフィルムF同士を溶着することで包装成果物を作成するものである。
【0012】
包装機1は、投入口2から投入可能な様々な物品を包装するものであり、投入口2から投入可能であれば、厚みのある雑誌や複数個のネジなどを包装材であるフィルムFで包装することができる。投入口2は、投入口左壁2a、投入口右壁2b、投入口正面壁2c及び投入口背面壁2dによって形成された開口部である。
【0013】
包装機1は、各部材を支持する支持筐体として、筐体左側板50aと筐体右側板50bとを備える。筐体左側板50aと筐体右側板50bとの幅方向の内側には、上下方向に対して少し傾斜した搬送路形成板金部材53と、正面側ロール支持部材54Aと、背面側ロール支持部材54Bとを備える。筐体左側板50aと筐体右側板50bとの幅方向の外側には、筐体左側板50aの左外側に左外装カバー51aを備え、筐体右側板50bの右外側に右外装カバー51bを備える。筐体左側板50aと筐体右側板50bとの幅方向内側には、投入口2から投入された物品をフィルムFで挟んで包装処理を行い、排出口9から排出する搬送経路を形成する各部材が配置されている。また、筐体左側板50aと筐体右側板50bとの外側で、左外装カバー51aや右外装カバー51bで覆われた空間には不図示の駆動源や、この駆動源からの駆動力を各部材に伝達する駆動伝達機構が配置されている。
【0014】
包装機1の上面に幅方向左側である筐体左側板50aの上面には、操作パネル10とスタートボタン11とが設けられている。操作パネル10は包装機1を操作するためのユーザーの各種入力を受付ける入力部として機能し、かつ包装機1内の各種情報を表示する表示部として機能する。操作パネル10は後述する三つのヒータ部材(5、41a、41b)のそれぞれの温度を設定することができる。また、包装モードとして全シールモードと半シールモードとの切替設定が可能となっている。全シールモードは、包装成果物における両サイドの溶着部の上流側端部と搬送方向後側(上側)の溶着部とが重なる、または、近接するように溶着を行うモードである。半シールモードは、包装成果物における両サイドの溶着部の上流側端部と搬送方向後側(上側)の溶着部とが離れるように溶着を行うモードである。さらに、操作パネル10では、作成する包装成果物の搬送方向の長さを設定できる。二つのサイドヒータ41(41a、41b)同士の幅方向の距離が変更可能であれば、この幅方向の距離を操作パネル10で設定できるようにしてもよい。また、図2に示す状態(待機状態)で、近接位置にあるサイド押さえ43と搬送ガイド板20との隙間の距離も操作パネル10で設定可能となっている。
【0015】
包装機1の左外装カバー51aの正面には、包装機1に電源を投入する電源スイッチ46が設けられている。また、包装機1の正面側は、正面外装カバー52で覆われている。
【0016】
図3は、包装機1における正面外装カバー52によって覆われる部分を正面側から見た説明図である。図3は、正面側の水平方向よりも少し上方から見た図面であり、図2に示す搬送路形成板金部材53の正面側の面(少し上方を向いた傾斜面)の法線方向から見た図面である。
【0017】
図2及び図3に示すように、包装機1は、繰り出しローラ対(35、34)と、カットヒータ5と、サイド押さえ43(43a、43b)と、サイドヒータ41(41a、41b)と、制御部100とを備える。
【0018】
図4は、包装機1の制御ブロック図である。制御部100は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有する。制御部100には、各種センサの検知結果や操作パネル10での操作内容が入力される。また、制御部100は、各種モータの駆動制御や操作パネル10での表示内容の制御を行う。
【0019】
図4に示すように、包装機1は、通信部300を備え、制御部100がインターネット回線510を介して管理サーバ520とデータ通信が可能となっている。包装機1は、エラーが生じたときのエラー情報を操作パネル10の表示部に表示する。操作パネル10にタッチパネルを備える構成であれば、タッチパネルにエラー情報を表示することで、エラー情報の視認性が向上し、タッチパネルの操作によってエラーに関する詳細情報を表示できるようにすることで、エラー発生時の復旧作業が容易となる。
【0020】
包装機1は、その制御プログラムについての更新プログラムを、インターネット回線510を介して管理サーバ520からダウンロードできる構成となっている。
包装機1が有する装置情報は、制御部100から通信部300、Wi-Fiルーター301、モデム302及びインターネット回線510を介して、管理サーバ520に送信し、管理サーバ520は必要に応じて受信した装置情報を記憶する。記憶された装置情報は、保守管理者のサービスマン等が管理端末530(パーソナルコンピューター、タブレット端末、スマートフォン等)で確認できる。
【0021】
制御部100は、包装機1の電源投入時やエラー発生時、電源OFFの操作時に、包装機1の稼働情報やエラー情報等の装置情報を外部情報処理手段である管理サーバ520に送信可能となっている。
【0022】
また、制御部100は、上述したインターネット回線510等を介して管理サーバ520が有する包装機1に関する情報(制御プログラムの更新情報等)を取得でき、さらに、管理端末530からの入力情報を、上述したインターネット回線510等を介して制御部100に送信できる。管理サーバ520としては、管理者が所有するサーバ装置に限らず、公知のクラウドサービスプラットフォームを用いてもよい。
【0023】
包装機1が外部装置である管理サーバ520に送信する装置情報としては、包装機1の過去の稼働情報を管理サーバ520に送信できる。送信する稼働情報としては、フィルムFの使用長さ、残量、累計の包装回数である累計カウンタ、エラーの発生回数、エラーの種類ごとの発生回数等を挙げることができるが、これに限るものではない。稼働情報の送信により、保守管理者側が、エラー発生時の迅速な対応、エラー発生前の予防対応、消耗品が消耗し切る前の交換対応が可能となる。また、エラー発生時等に管理端末530からインターネット回線510を介して制御部100に装置の設定を変更する命令を入力できるようにしてもよい。例えば、不図示のジャムセンサが故障し、ジャムが生じていないに状態にも関わらず、ジャムセンサがジャムを検知している状態では、ジャムセンサの検知情報に基づいた制御を停止する設定変更を行うように管理端末530から制御部100に命令を入力する。このように管理端末530から設定変更可能とし、設定変更後の包装機1の稼働状況を使用者に確認してもらうことで、包装機1が設置された客先に保守管理者が訪問しなくてもエラーの原因を抽出することが可能となる。
【0024】
繰り出しローラ対は、正面側フィルムF1と背面側フィルムF2とを重ねて搬送する搬送手段であり、固定繰り出しローラ35と、可動繰り出しローラ34とから構成される。固定繰り出しローラ35は、装置本体に対する位置が固定であり、搬送ローラ駆動モータM3から駆動が伝達されることで回転駆動する。可動繰り出しローラ34は、ローラガイド長孔34hに沿って移動可能であり、搬送ローラ接離モータM4を駆動することで可動ローラ支持体がローラ接離回動軸341を中心に回動し、可動ローラ支持体に回転可能に支持された可動繰り出しローラ34が、固定繰り出しローラ35に接触して投入口2から内部に繋がる搬送路を閉鎖する閉鎖位置と、固定繰り出しローラ35から離間して搬送路を開放する開放位置と、の間で移動する。
【0025】
可動繰り出しローラ34の上方には正面側フィルム開口補助ガイド32が配置されている。正面側フィルム開口補助ガイド32は可動繰り出しローラ34と共通の可動ローラ支持体に回転可能に支持され、可動ローラ支持体が回動して、可動繰り出しローラ34がローラガイド長孔34hに沿って移動すると、正面側フィルム開口補助ガイド32がガイド軸ガイド長孔32hに沿って移動する。
【0026】
カットヒータ5は、幅方向に延在し、二枚のフィルムFにおける搬送方向の前側と後側とを溶着して接合する搬送方向前後接合手段である。カットヒータ接離モータM1を駆動することで、カットヒータ5を支持するカットヒータ支持部材5bがカットヒータ回動軸5aを中心に回動し、カットヒータ5がカットヒータ受台44に接触するカット溶着位置と、カットヒータ受台44から離間したカット退避位置との間をカットヒータガイド長孔5hに沿って移動する。カットヒータ5は、熱伝導率が良好で軽量のアルミニウムあるいはアルミニウム合金で形成され、カットヒータ受台44側の端部形状が鋭角に形成されている。カットヒータ5には不図示のラバーヒータが焼き付け固着されており、このラバーヒータに通電することによりカットヒータ5を加熱することができる。また、カットヒータ5の温度を計測するためのサーミスタが取り付けられている。
【0027】
カットヒータ支持部材5bは、スライド可能なカット押さえ部材501を有し、カットヒータ支持部材5bが回動したときのカット押さえ部材501の円弧状の軌跡の接線方向にスライド可能となっている。カット押さえ部材501は、カット押さえ付勢バネ502によってカットヒータ受台44の方向に付勢されている。カットヒータ支持部材5bが回動して、カット退避位置からカット溶着位置に向けてカットヒータ5が移動するときには、まず、カット押さえ部材501がフィルムFを挟んでカットヒータ受台44に当接する。そして、カットヒータ支持部材5bがさらに回動すると、カット押さえ付勢バネ502が縮んで、カットヒータ5がフィルムFを挟んでカットヒータ受台44に当接する。
【0028】
サイド押さえ43は、搬送方向に延在するように搬送路における幅方向の両端部に一個ずつ、計二個配置されている。サイド押さえ43は、フィルムFの搬送経路におけるカットヒータ5がフィルムFを溶着・切断するカット位置を通過した二枚のフィルムFの幅方向の端部を挟んでサイド押さえ対向部材である搬送ガイド板20と対向するサイド押さえ部材である。
【0029】
サイドヒータ41は、搬送方向に延在するように搬送路における幅方向の両端部に一個ずつ、計二個配置されている。そして、サイド接合対向部材であるサイドヒータ受台42と二枚のフィルムFを介して接触し、二枚のフィルムFにおける幅方向の両端側を溶着して接合するサイド接合手段である。サイドヒータ41もカットヒータ5と同様に、ラバーヒータが焼き付け固定された軽量のアルミニウムあるいはアルミニウム合金で形成され、サイドヒータ受台42側の端部は矩形の平面となっている。また、温度を計測するためのサーミスタも取り付けられている。二つのサイドヒータ41同士の幅方向間隔は、二枚のフィルムF(F1、F2)の幅よりも短くなるように構成されている。
【0030】
図2に示すように、投入口2の正面側には正面側フィルムロールR1が配置され、投入口2の背面側には背面側フィルムロールR2が配置されている。以下、正面側フィルムロールR1について説明するが、背面側フィルムロールR2の構成とその支持構造も正面側フィルムロールR1と同一である。
【0031】
正面側フィルムロールR1は正面側紙管R1aに長尺のフィルム(正面側フィルムF1)を巻回したものである。正面側紙管軸6Aは正面側紙管R1aを内面側から同軸に支持している。正面側フィルムF1は幅方向の長さ(幅)を有し、正面側紙管R1aも正面側フィルムF1と同一の幅を有する。その幅は、投入口2の幅よりも若干長く形成されている。
【0032】
正面側フィルムロールR1の端面に幅方向に隣接して、正面側フィルムロールR1の端面と平行な板状に形成された正面側紙管ガイド7Aが立設されている。正面側紙管ガイド7Aには上端から下方に向かって延びる正面側ガイドスリット71Aが形成され、この正面側ガイドスリット71Aに正面側紙管軸6Aが挿通されている。さらに正面側フィルムロールR1を下方から支持する正面側フィルム支持ローラ8Aが設けられている。
【0033】
正面側紙管ガイド7Aは正面側フィルムロールR1の幅方向の両サイドに同形状のものが立設している。正面側紙管軸6Aの支持輪が正面側紙管R1aの内周面を支持することにより、正面側紙管軸6Aと正面側フィルムロールR1とが同軸となるように支持している。正面側紙管軸6Aは、二枚の正面側紙管ガイド7Aの間隔よりも幅方向に長く形成され、その両端部が正面側ガイドスリット71Aに挿通されている。正面側フィルムF1の消費によって正面側フィルムロールR1の残量が減少してロール径が小さくなると、正面側紙管軸6Aの位置が下降するが、正面側フィルムロールR1の外周面が正面側フィルム支持ローラ8Aに接触した状態を維持する構成となっている。
【0034】
包装機1は、背面側フィルムロールR2においても正面側フィルムロールR1における正面側紙管軸6A、正面側紙管ガイド7A及び正面側フィルム支持ローラ8Aと同様の構成として、背面側紙管軸6B、背面側紙管ガイド7B及び背面側フィルム支持ローラ8Bを備える。
【0035】
正面側フィルムロールR1からは正面側フィルムF1が引き出され、正面側フィルムガイド31及び正面側フィルム開口補助ガイド32に掛けられる。正面側フィルムF1の先端側は、サイド押さえ43の搬送方向上流側端部からはサイド押さえ43と搬送ガイド板20との間に位置し、その先端がサイド押さえ43の搬送方向下流側端部よりも上流側に位置する(図2中の「Fx」の位置)。背面側フィルムロールR2からは背面側フィルムF2が引き出され、背面側フィルムガイド33に掛けられて、その先端側は、サイド押さえ43の搬送方向上流側端部からは、サイド押さえ43と搬送ガイド板20との間に位置し、その先端がサイド押さえ43の搬送方向下流側端部よりも上流側に位置する(図2中の「Fx」の位置)。正面側と背面側との二枚のフィルム(F1、F2)は先端同士が予め前回の包装処理で溶着されており、溶着ラインFxを形成した状態になっている。
【0036】
包装機1は、不図示のブレーキ機構を備え、このブレーキ機構は、二つのフィルムロールR(R1、R2)のそれぞれの外周に当接するフィルム支持ローラ8(8A,8B)の回転に対してブレーキをかける機構である。ブレーキ機構がブレーキを解除するタイミングはフィルムブレーキ制御部104が制御する。
【0037】
サイド押さえ43とサイドヒータ41とはサイドヒータユニット40に支持されており、サイドヒータユニット40は、サイドヒータ接離モータM2が駆動することで搬送路形成板金部材53に対して法線方向に接離するように移動する。
【0038】
図5は、サイドヒータユニット40と、サイドヒータ受台42との斜視説明図である。サイドヒータ受台42はサイド受台固定部21がねじ等の固定部材によって搬送路形成板金部材53に固定されている。サイドヒータユニット40は、二つのサイドヒータ41(41a、41b)をそれぞれ保持する二つのサイドヒータ保持部材47(47a、47b)と、二つのサイド押さえ43をそれぞれ保持する二つのサイド押さえ保持部材49(49a、49b)とを備える。
【0039】
二つのサイド押さえ保持部材49(49a、49b)は、三つのユニット接続部材410によって搬送方向の三箇所で接続されている。ユニット接続部材410は、搬送ガイド板20に向けて傾斜するように配置された可撓性板部材411が配置されている。可撓性板部材411は、搬送ガイド板20と対向する位置に到達した二枚のフィルムFに接触することで、二枚のフィルムFが厚み方向に離れることを抑制しつつ、その可撓性によって、厚みがある物品が進入したときに、二枚のフィルムFが厚み方向に離れることを許容する。
【0040】
また、可撓性板部材411は、物品を投入したときの落下の衝撃を抑制する機能を有する。重量が大きな物品や比重の大きな物品を投入口2から投入し、二枚のフィルムの間を通過して落下によって加速した状態のまま溶着ラインFxの内側に突き当たると、フィルムFが引きちぎられて破損するおそれがある。これに対して、包装機1では、投入された物品は可撓性板部材411を撓ませながら落下するため、落下の運動エネルギーが低減され、投入した物品が溶着ラインFxの内側に到達したときの落下の衝撃を抑制することができ、物品の投入によるフィルム破損を抑制することができる。
【0041】
可撓性板部材411としては、可撓性板部材411自身が撓むものに限らない。例えば、変形しにくい剛性を有する板材の上端をユニット接続部材410に対して回動可能に配置し、下端が搬送ガイド板20に向かうようにバネ等の付勢部材で付勢する構成でもよい。この構成では、投入された物品は付勢部材の付勢力に抗して板材を押し退けながら落下するため、落下の衝撃を抑制することができる。
【0042】
物品の投入によるフィルム破損を抑制する構成としては、投入時(待機時)に先端を支持し、カット後にフィルムの下部を支持しない退避位置に移動するフィルム下部支持部材でもよい。
【0043】
サイド押さえ保持部材49は、サイドヒータ保持部材47に対してサイドヒータユニット40の移動方向に平行な方向にスライド可能となるように、サイドヒータ保持部材47に保持されている。さらに、サイド押さえ保持部材49は押さえ付勢バネ48によって、サイドヒータ保持部材47に対して搬送路形成板金部材53に向かう方向に付勢されている。
【0044】
サイドヒータ保持部材47は、側板突出部401と、スライドガイドローラ402とを備える。筐体側板(50a、50b)の幅方向外側に配置され、サイドヒータ接離モータM2からの駆動を伝達する不図示の駆動伝達機構の移動部材が、側板突出部401を保持し、搬送路形成板金部材53の表面に直交する方向に移動することで、サイドヒータユニット40が搬送路形成板金部材53に対して接離する方向に移動する。スライドガイドローラ402は、サイドヒータユニット40に対して回転可能に支持され、その周面が筐体側板(50a、50b)の幅方向の内壁面に接触しており、サイドヒータユニット40が移動するときに、筐体側板(50a、50b)の壁面に沿って移動するように案内する。
【0045】
図6は、サイドヒータユニット40の一方側(左側)のサイドヒータ保持部材47とサイド押さえ保持部材49との動作説明図である。図6(a)は、サイドヒータ41がサイドヒータ受台42から離れたサイド退避位置にある状態を示し、図6(b)は、サイドヒータ41がサイドヒータ受台42に当接したサイド溶着位置にある状態を示している。
【0046】
図6(a)に示す退避状態では、押さえ付勢バネ48がサイド押さえ保持部材49を付勢することにより、サイド押さえ43がサイドヒータ41よりも搬送路形成板金部材53側に突き出している。離間状態からサイドヒータユニット40が搬送路形成板金部材53に向けて移動すると、サイド押さえ43が搬送ガイド板20に接触するまでは図6(a)に示す状態で搬送路形成板金部材53に向けて移動する。サイド押さえ43が搬送ガイド板20に接触した後、さらに、サイドヒータユニット40が搬送路形成板金部材53に向けて移動すると、押さえ付勢バネ48が縮み、サイド押さえ保持部材49は、サイド押さえ43が搬送ガイド板20に接触した位置で停止したままの状態で、サイドヒータ保持部材47が搬送路形成板金部材53に向けて移動する。その後、サイドヒータ41がサイドヒータ受台42に当接する位置まで移動し、図6(b)で示す溶着状態となる。
【0047】
なお、図2に示す断面のY軸方向の位置は、図1中のY軸方向における筐体左側板50aと装置左側の正面側紙管ガイド7A(図1中の「7Aa」)との間の位置である。
【0048】
図7は、包装機1で作成する包装成果物Pkの一例を示す。図7に示す包装成果物Pkは、被包装物である冊子Sを、正面側フィルムF1と背面側フィルムF2とで挟んだ状態で四辺を溶着することで形成する。四辺のうちの搬送方向の前側と後側との溶着部として、前回の包装処理の際にカットヒータ5によって形成された下流側溶着ラインFx1と、図7に示す冊子Sに対する包装処理の際にカットヒータ5によって形成された上流側溶着ラインFx2とがある。また、四辺のうちの幅方向両端の溶着部として、左側サイドヒータ41aによって形成された左側溶着ラインFwLと、右側サイドヒータ41bによって形成された右側溶着ラインFwRとがある。
【0049】
図7では、被包装物が冊子Sである一例について説明したが、後述のように、包装機1は、被包装物の投入時には、溶着ラインFxが、カット位置から所定量だけ下方に搬送された状態で待機している。このため、被包装物でフィルムFの溶着ラインFxを押し込む必要がない。このため、冊子SのようにフィルムFを押込むことができるような一定の形状やある程度の剛性を必要とせず、例えば、ぬいぐるみのような複雑な立体形状を有する被包装物や、ネジのような複数個をまとめて包装することが求められる被包装物など、様々な種類の被包装物を包装できる。
【0050】
次に、包装機1における投入口2から投入された物品を包装する包装動作の説明を行う。
電源投入前の包装機1の各ヒータは常温となっているので、電源投入後、電源投入後はあらかじめ定めた設定温度まで加熱する「予熱」を行う。各ヒータ制御部(101、102、103)は、ヒータ(5、41a、41b)の温度を測定する温度センサ(サーミスタ等)を備え、温度センサの測定結果に基づいて各ヒータが備えるラバーヒータに印加する電流を制御し、各ヒータの温度が設定した温度となるように制御する。
【0051】
「予熱」が完了すると、投入口2から物品が投入可能な「待機状態」となり、使用者が投入口2から物品を投入し、スタートボタン11を押下することで、包装機1は、投入口2から投入された物品に対して包装処理を行い、包装成果物Pkを排出口9から排出する。その後、待機状態となる。
詳しくは、「(1)待機状態」から「(2)物品投入」され、「(3)スタートボタン押下」されると、搬送路の投入口2側の「(4)入口閉鎖」して、「(5)サイド溶着」し、「(6)上部溶着及び切断」を行う。その後、「(7)フィルム繰り出し」、「(8)サイド押さえ近接」及び「(9)入口開放」を行い再び「(1)待機状態」となる。
以下、待機状態から包装処理を行い、再び待機状態となるまでの各部の動作について、図2及び図8図14を用いて説明する。上述した図2は待機状態の包装機1を示し、図8は入口閉鎖時、図9はサイド溶着時、図10はサイドヒータ41離間時、図11はカット溶着時、図12はフィルム繰り出し時、図13はサイド押さえ43の近接位置への移動時、をそれぞれ示す包装機1の断面図である。また、図14は、待機状態から包装処理を行い、再び待機状態となるまでの制御の流れを示すフローチャートである。
【0052】
<(1)待機状態>
図2は待機状態(図14中の「S1」)を示している。
図2に示すように待機状態では、開口部ローラ対である繰り出しローラ対は、二つのローラは開放位置にあり、ローラは回転停止の状態である。具体的には、繰り出しローラ対のうちの可動繰り出しローラ34は、固定繰り出しローラ35から離間した開放位置に位置し、固定繰り出しローラ35は、搬送ローラ駆動モータM3を停止して回転停止する。
【0053】
待機状態では、カットヒータ5はカット退避位置に位置し、サイドヒータユニット40は、サイド押さえ43が搬送ガイド板20に対して非接触で近接したサイド押さえ近接位置となる位置で停止する。近接位置での搬送ガイド板20に対するサイド押さえ43との距離は、投入する物品が搬送ガイド板20とサイド押さえ43との隙間から漏れ出ない程度となるように設定するものであり、この距離は、投入する物品の厚みや大きさ、形状に応じて調整可能となっている。
【0054】
待機状態では、フィルムブレーキ制御部104は、ブレーキ機構がブレーキをかけた状態となるように制御し、二つのフィルムロールR(R1、R2)からフィルムFが引き出されない状態としている。
【0055】
待機状態では、一つ前の包装処理の「(6)上部溶着及び切断」でカットヒータ5によって溶着・切断されたフィルムFの切断部が、二枚のフィルムFが溶着された先端側の溶着ラインFxとなっている。そして、この先端側の溶着ラインFxが予め設定された包装成果物Pkの搬送方向の長さの分だけカット位置(カットヒータ5によってフィルムFを切断する位置)よりも搬送方向下流側に移動した状態でフィルムFは停止している。そして、幅方向の端部である両サイドの厚み方向への移動が、サイド押さえ43と搬送ガイド板20とによって規制され、二枚のフィルムFの厚み方向への拡がりが規制された状態となる。
【0056】
<(2)物品投入>
図2に示す待機状態の包装機1の投入口2から被包装物の物品が投入されるのみでは、包装機1の各駆動部は駆動しないため、繰り出しローラ対(34、35)、カットヒータ5、サイドヒータユニット40及びブレーキ機構には変化はない。一方、フィルムFは、二枚のフィルムFの間に物品が進入し、先端側の溶着ラインFxで物品が突き当たり、溶着ラインFxよりも上方で物品を保持する。このとき、フィルムFの両サイドは溶着されておらずに隙間があるので物品の形状(厚み・数等)に応じてサイド押さえ43よりも幅方向外側のフィルムFが幅方向内側に移動し、サイド押さえ43よりも幅方向内側でフィルムFは厚み方向に広がることができる。また、近接位置での搬送ガイド板20に対するサイド押さえ43との距離は、投入する物品が搬送ガイド板20とサイド押さえ43との隙間から漏れ出ない程度となるように設定しているため、二枚のフィルムF同士の幅方向の両側が溶着されていなくても、投入した物品が幅方向の外側から漏れ出ることを防止できる。
【0057】
<(3)スタートボタン押下>
使用者によってスタートボタン11が押下される(図14中の「S2で「Yes」」)と、包装処理を行うための制御が開始される。
【0058】
<(4)入口閉鎖>
図8は、入口閉鎖を実行したときの包装機1を示す断面図である。
スタートボタン11が押下されると、繰り出しローラ対が開放位置から閉鎖位置へと変化する。詳しくは、搬送ローラ接離モータM4が駆動し、開放位置にあった可動繰り出しローラ34が、図8に示すように、固定繰り出しローラ35に接触する閉鎖位置に移動して搬送ローラ接離モータM4が停止する(図14中の「S3」)。このとき、正面側フィルム開口補助ガイド32は、図2に示すように投入口2の鉛直下方から正面側にずれた位置から図8に示すように投入口2の鉛直下方の位置に移動する。入口閉鎖の段階では、搬送ローラ駆動モータM3は駆動せず、回転が停止した状態の二つのローラで入口を閉鎖した状態となる。
【0059】
入口閉鎖の間は、カットヒータ5、サイドヒータユニット40及びブレーキ機構には変化はない。一方、フィルムFは、開口されていた上方が繰り出しローラ対によって閉じられた状態となる。
【0060】
<(5)サイド溶着>
図9は、サイド溶着でサイドヒータ41がサイド溶着位置に移動した状態の包装機1を示す断面図であり、図10は、サイド溶着でサイドヒータ41がサイド溶着位置から離間位置に移動したときの包装機1を示す断面図である。
【0061】
繰り出しローラ対による入口閉鎖がなされると、サイドヒータ接離モータM2を駆動し、サイドヒータ41がサイドヒータ受台42に当接するサイド溶着位置となるまでサイドヒータユニット40を搬送路形成板金部材53に向けて移動する(図14中の「S4」)。このとき、移動開始前に搬送ガイド板20に対して近接位置にあったサイド押さえ43が搬送ガイド板20に当接する。さらに、サイドヒータユニット40を搬送路形成板金部材53に向けて移動させると、押さえ付勢バネ48が縮み、サイド押さえ43が搬送ガイド板20に当接した位置で停止したまま、サイドヒータ41がサイドヒータ受台42に当接するサイド溶着位置まで移動し、図9で示す状態となる。
【0062】
サイドヒータ41がサイド溶着位置に到達してから設定された溶着に必要な所定時間が経過した後、サイドヒータ接離モータM2を逆転し、待機状態の近接位置よりもサイド押さえ43が搬送ガイド板20から離間する離間位置までサイドヒータユニット40を移動し、図10で示す状態となる(図14中の「S5」)。離間位置の一例として、スポンジからなるサイドヒータ受台42の表面からサイドヒータ41の先端までの距離を88[mm]とし、サイドヒータ受台42の表面とほぼ同一平面の搬送ガイド板20の表面からサイド押さえ43までの距離を60[mm]とすることが挙げられるがこれに限るものではない。
【0063】
上述したサイドヒータユニット40の接離動作により、二枚のフィルムFは、サイド押さえ43で両サイドを押さえられた後、サイドヒータ41で両サイドを溶着される(図7中の「FwL」、「FwR」で示す溶着部)。これにより、物品を覆う二枚のフィルムFが、上方の一辺(図7中の「Fx2」)以外の三辺(図7中の「Fx1」、「FwL」、「FwR」)が溶着された状態となる。また、上述した接触位置までの移動の際に、サイド押さえ43が二枚のフィルムFを挟んで搬送ガイド板20に接触した後、サイドヒータ41が二枚のフィルムFを挟んでサイドヒータ受台42に接触する。このため、投入された物品の厚みによって二枚のフィルムFが厚み方向に膨らむように離れて、その幅方向の端部でも背面側フィルムF2に対して正面側フィルムF1が浮き上がった状態となっていても、サイド押さえ43が正面側フィルムF1を押さえた後にサイドヒータ41を正面側フィルムF1に接触させることができる。これにより,二枚のフィルムFが接触して重なった部分にサイドヒータ41を正面側フィルムF1に接触させることができる。背面側フィルムF2に対して浮き上がった状態の正面側フィルムF1にサイドヒータ41が接触すると、正面側フィルムF1のみが溶融して穴が開くなどの不具合が生じる恐れがある。これに対して、二枚のフィルムFが接触して重なった部分にサイドヒータ41を接触させることで、二枚のフィルムFを同時に溶融させて接着することができ、一枚だけのフィルムFが溶融することに起因する不具合の発生を防止できる。
【0064】
サイド溶着の間は、カットヒータ5、繰り出しローラ対(34、35)及びブレーキ機構には変化はない。一方、フィルムFは、上述したように、上方以外の三辺が溶着された状態となる。
【0065】
<(6)上部溶着及び切断>
図11は、カットヒータ5がカット溶着位置に移動した状態の包装機1を示す断面図である。
サイド溶着後、サイドヒータ41が離間位置に移動する(図14中の「S5」)と、カットヒータ接離モータM1が駆動し、カットヒータ5がカットヒータ回動軸5aを中心に回動して、カット退避位置からカット溶着位置に移動して図11に示す状態となる(図14中の「S6」)。カットヒータ5がカット溶着位置に到達してから予め設定された所定時間が経過した後、カットヒータ接離モータM1を逆転してカットヒータ5をカット退避位置まで移動させて、図10に示す状態となる(図14中の「S8」)。
【0066】
上部溶着及び切断の間は、サイドヒータユニット40及びブレーキ機構には変化はない。一方、繰り出しローラ対(34、35)は、一時的にフィルム繰り出し時とは逆方向に回転する(図14中の「S7」)。具体的には、カットヒータ5がカット溶着位置にある切断中に、わずかな時間だけ搬送ローラ駆動モータM3をフィルム繰り出し時とは逆方向に駆動し、固定繰り出しローラ35を図11中の反時計回り方向に回転させて、繰り出しローラ対(34、35)に挟持された二枚のフィルムFの先端側を上方に引っ張る。
【0067】
フィルムFは、カット溶着位置に到達したカットヒータ5によって、上方の一辺(図7中の「Fx2」)が溶着されることで四辺が溶着された状態となる。さらに、カットヒータ5の鋭角に形成された端部が当接して溶着する状態で、繰り出しローラ対(34、35)がフィルム繰り出し時とは逆方向に回転することで、フィルムFにおけるカットヒータ5とカットヒータ受台44とに挟まれた部分が、繰り出しローラ対(34、35)の逆回転によって上方に引っ張られ、物品の自重によって下方に引っ張られる状態となる。これにより、カットヒータ5とカットヒータ受台44とに挟まれた部分を挟んで、フィルムFを上下に引っ張る力を作用させ、カットヒータ5による切断を促すことができる。
【0068】
繰り出しローラ対(34、35)を逆方向に回転させるわずかな時間(図14中の「S7」)は、逆回転開始前にカットヒータ5とカットヒータ受台44とに挟まれていた部分が、逆回転によって繰り出しローラ対(34、25)の挟持部に到達しない範囲の時間である。
【0069】
カットヒータ5による切断によって、フィルムFにおける物品の上方での切断が行われる。上方が切断されることで、二枚のフィルムFによって物品を包装した包装成果物Pkが自重で落下し、下方の排出口9から排出される。カットヒータ5による上部溶着及び切断によって、二枚のフィルムFにおける次の包装処理で物品を包装する部分の先端同士が溶着された状態となる。
【0070】
図2及び図9図11に示すように、回動するカットヒータ5の回動軸であるカットヒータ回動軸5aは、カットヒータ5がフィルムFをカットするカット位置よりも搬送方向上流側に位置する。これにより、カット溶着位置にあるカットヒータ5がカット退避位置に移動するように回動すると、カットヒータ5は、搬送方向に直交する退避方向に移動しつつ、搬送方向の上流側に向かう方向にも移動する。これにより、カット退避位置に移動するときに、搬送方向下流側に位置する部材との干渉を防止することができる。
【0071】
包装機1では、図9に示すサイド溶着位置と図10に示す離間位置との間を移動するサイドヒータ41と共に移動する部材(サイドヒータ41も含む)の移動経路と、図10に示すカット退避位置と図11に示すカット溶着位置との間を移動するカットヒータ5と共に移動する部材(カットヒータ5も含む)の移動経路とが部分的に重なる配置となっている。このように、移動経路が部分的に重なる配置であっても、カットヒータ回動軸5aが、カット位置よりも搬送方向上流側に位置することにより、カットヒータ5と共に移動する部材とサイドヒータ41と共に移動する部材との部材同士の干渉を防止することができる。
【0072】
このように移動経路が部分的に重なる配置が可能となることで、搬送方向におけるカットヒータ5によるカット位置と、サイドヒータ41の上流側端部の位置とを、重ねる、または、近接させることができる。さらに、配置によっては、サイドヒータ41の上流側端部の位置をカット位置よりも上流側に配置することができる。
【0073】
上述したように、サイド溶着の後に、フィルムFの搬送を行うことなく、上部溶着及び切断を行う制御は、全シールモードの制御である。半シールモードでは、サイド溶着の後、搬送ローラ駆動モータM3を所定時間駆動して、溶着部同士の間に所望の隙間ができる分だけフィルムFを搬送した後、上部溶着及び切断を行うことで、両サイドの溶着部の上流側端部と搬送方向後側(上側)の溶着部とが離れるように溶着を行うことができる。
【0074】
図7に示す包装成果物Pkは、全シールモードで包装処理を行ったものであり、包装成果物Pkにおける両サイドの溶着部(FwL、FwR)の上流側端部と搬送方向後側(上側)の溶着部(Fx2)とが重なっておらず、近接するように溶着が成されている。このような近接するように溶着することで、両サイドの溶着部(FwL、FwR)と上側の溶着部(Fx2)との隙間から空気を抜くことが可能となる。
【0075】
なお、上述したように、包装機1はカットヒータ5と共に移動する部材とサイドヒータ41と共に移動する部材との移動経路が部分的に重なる配置であっても部材同士の干渉を防止することができるため、両サイドの溶着部(FwL、FwR)と上側の溶着部(Fx2)とが重なるように、カットヒータ5とサイドヒータ41とを配置してもよい。さらに、カットヒータ5とサイドヒータ41との少なくとも一方の搬送方向の位置を調整可能な調整機構を設け、両サイドの溶着部(FwL、FwR)と上側の溶着部(Fx2)とが、重なる状態と、近接する状態とを変更できる構成としてもよい。
【0076】
<(7)フィルム繰り出し>
図12は、繰り出しローラ対(34、35)の駆動により、フィルムFを所定量だけ繰り出した状態の包装機1を示す断面図である。
上部溶着及び切断後、カットヒータ5がカット退避位置に戻り、図10に示す状態と同様の状態となると、フィルムブレーキ制御部104は、ブレーキ機構がブレーキを解除した状態となるように制御する(図14中の「S9」)。次に、搬送ローラ駆動モータM3が駆動することで、固定繰り出しローラ35が図12中の時計回り方向に回転し、繰り出しローラ対(34、35)に挟持された二枚のフィルムFが、先端側の溶着ラインFxが下方に進出するように搬送する(図14中の「S10」)。このとき、ブレーキが解除されているため、二枚のフィルムFが下方に向けて搬送された分だけ、二つのフィルムロールRのそれぞれからフィルムFが繰り出される。
【0077】
そして、二枚のフィルムFの先端側の溶着ラインFxが、包装成果物の搬送方向の長さの分だけカット位置よりも搬送方向下流側に移動するまで搬送すると、搬送ローラ駆動モータM3の駆動を停止する(図14中の「S11」)とともに、フィルムブレーキ制御部104は、ブレーキ機構がブレーキをかけた状態となる(図14中の「S12」)ように制御する。
【0078】
図12に示すように、フィルムFを繰り出すときに、サイドヒータ41及びサイド押さえ43が離間位置にあるため、下方に進出するフィルムFがサイドヒータ41やサイド押さえ43等のサイドヒータユニット40の構成部品に引っかかることを防止できる。
【0079】
フィルム繰り出しの間は、カットヒータ5及びサイドヒータユニット40には変化はない。一方、フィルムFは、上述したように、溶着ラインFxが、包装成果物Pkの搬送方向の長さの分だけカット位置よりも搬送方向下流側の位置に到達するまで搬送される。
【0080】
<(8)サイド押さえ近接>
図13は、離間位置にあったサイド押さえ43が待機状態と同様の近接位置まで移動した状態の包装機1を示す断面図である。
フィルム繰り出し後は、固定繰り出しローラ35の回転を停止し(図14中の「S11」)、ブレーキ機構がブレーキをかけた(図14中の「S12」)状態となると、サイドヒータ接離モータM2を駆動し、サイド押さえ43が待機状態と同様の近接位置となるまでサイドヒータユニット40を移動させる。サイド押さえ43が近接位置に到達したらサイドヒータ接離モータM2を停止する(図14中の「S13」)。
【0081】
サイド押さえ近接の間は、カットヒータ5、繰り出しローラ対(34、35)及びブレーキ機構には変化はない。一方、フィルムFは、先端が溶着された状態で両サイドがサイド押さえ43によって厚み方向への拡がりが規制された状態となる。
【0082】
<(9)入口開放>
サイド押さえ近接後は、繰り出しローラ対(34、35)が閉鎖位置から解放位置へと変化する。詳しくは、搬送ローラ接離モータM4が駆動し、図13に示す閉鎖位置にあった可動繰り出しローラ34が、図2に示す開放位置に移動して搬送ローラ接離モータM4が停止し(図14中の「S14」)、図2に示す待機状態となる(図14中の「S1」)。このとき、正面側フィルム開口補助ガイド32は、図13に示す投入口2の鉛直下方の位置から図2に示す鉛直下方から正面側にずれた位置に移動する。これにより、繰り出しローラ対と投入口2との間の正面側フィルムF1を正面側フィルム開口補助ガイド32によって正面側に押し広げて、投入口2から繰り出しローラ対までの物品の通過経路を形成することができる。
【0083】
入口開放の間は、カットヒータ5、サイドヒータユニット40及びブレーキ機構には変化はない。一方、フィルムFは、投入口2の近傍が正面側フィルム開口補助ガイド32によって正面側に押し広げられて、投入口2から物品を投入し易い状態となる。本実施形態の包装機1では、繰り出しローラ対(34、35)によって入口の開放及び閉鎖を行っているが、上述した制御で、繰り出しローラ対(34、35)を開閉動作に合わせて投入口2をシャッタ部材で開閉するシャッタ機構を設けてもよい。
【0084】
包装機1では、操作パネル10で包装成果物Pkの搬送方向の長さを設定することで、「(7)フィルム繰り出し」でのフィルムFの繰り出し量を変更し、包装成果物Pkの長さを使用者の所望の長さに設定することができる。
しかし、上述した制御では、上部溶着及び切断の後は、自動的にフィルムの繰り出しを行っているため、待機状態では、溶着ラインFxは先の包装処理と同じ長さに対応した位置まで搬送されている。このため、包装成果物Pkの長さが先の包装処理の包装成果物Pkの長さと異なる場合は、投入前の設定処理で、既に繰り出されているフィルムFをカットヒータ5でカットし、カットしたフィルムFを排出口9から排出する。その後、新たに設定された包装成果物Pkの長さに応じた長さの分だけ搬送ローラ駆動モータM3を駆動して、先端側の溶着ラインFxを新たな設定に対応した位置まで搬送し、待機状態とする。
【0085】
包装成果物Pkの長さが変更されたときの制御としては上述の制御に限らず、新たに設定された包装成果物Pkの長さに応じて、先端側の溶着ラインFxの位置を移動させる制御を行ってもよい。具体的には、新たに設定された包装成果物Pkの長さが先の包装処理よりも長い場合は、繰り出しローラ対(34、35)を接触させ、ブレーキ機構のブレーキを解除して、前回の包装処理時との包装成果物Pkの長さの差分だけ繰り出しローラ対を回転駆動させて、先端側の溶着ラインFxをより下方に移動させる。一方、新たに設定された包装成果物Pkの長さが先の包装処理よりも短い場合は、長さの差分だけフィルムFを巻き取る必要がある。この場合は、正面側フィルムロールR1及び背面側フィルムロールR2を回転駆動する駆動源を設け、繰り出し時とは逆方向にフィルムロールR(R1、R2)を回転させることで、フィルムFを巻き取ることができる。
【0086】
包装成果物Pkの長さを変更する構成としては、予め包装部数を設定し、設定された包装部数の最後の包装成果物Pkの上部溶着及び切断後は、「フィルムの繰り出し」以降の処理を行わず、長さ入力要求表示を行うようにしてもよい。そして、新たな包装成果物Pkの長さが入力されると、それに応じた分だけ繰り出しローラ対を回転させて、フィルムFを繰り出し、それ以降の待機状態までの処理を実行する。これにより、設定された包装部数までは投入された物品の連続的な包装処理ができ、設定された包装部数分の包装処理後、包装成果物Pkの長さを変更するときに、長さ変更のためにフィルムFの一部が破棄されることを防止できる。
【0087】
上述した包装機1では、サイドヒータ41がサイド押さえ43よりも幅方向外側に位置する。サイド押さえ43が近接位置にある状態では、サイド押さえ43によって物品がサイド押さえ43よりも外側に移動することを防止できるが、物品の一部がサイド押さえ43と搬送ガイド板20との間に挟まる可能性がある。この状態で、サイドヒータ41による溶着を行うと、サイド押さえ43と搬送ガイド板20との間に一部が挟まった物品よりも幅方向の外側が溶着部となる。このため、物品が溶着部の外側にはみ出したり、サイドヒータ41の溶着動作によって物品が損傷したりすることを防止できる。
【0088】
上述した実施形態では、包装機1は、使用者が被包装物である物品を投入口2から手動で投入する構成である。包装機1が被包装物を受け入れる構成としては手動投入に限るものではない。例えば、投入口2の上方に自動投入装置を配置し、包装機1から待機状態となったことを報知する報知信号を受信すると、自動投入装置が物品を自動投入する構成が挙げられる。この構成では、自動投入装置の投入が終わると、スタートボタン11を押下したときと同様の包装スタート信号を自動投入装置が包装機1に発信し、包装機1は包装スタート信号を受信すると、上述した制御でスタートボタン11が押下されたときと同様の処理を実行し、待機状態となったら自動投入装置にサイド報知信号を報知する。
【0089】
上述した包装機1では、各部材を移動させる駆動源をモータとしているが、駆動源はモータに限らずソレノイド等の他の駆動源でもよい。
【0090】
上述した包装機1は、包装材として樹脂フィルムからなるフィルムFを用いているが、被包装物を包装する包装材としては、樹脂フィルムに限るものではない。また、包装材同士を接合する方法も溶着に限るものではない。二枚の帯状の包装材を重ねて、搬送方向の前後と幅方向の両端を接合して被包装物を包装するものであればよい。
【0091】
例えば、連続した帯状の二枚のシート材の他方と対向する面に感圧接着剤を塗布し、上述した溶着部(Fx1、Fx2、FwL、FwR)に対応する部分を加圧し、上流側の溶着部(Fx1)に対応する部分を切断することで、被包装物を包装する構成としてもよい。また、他の構成として、帯状の包装材として、紙等の繊維によって形成されたシート材を重ねて、上述した溶着部(Fx1、Fx2、FwL、FwR)に対応する部分を針なしステープラーで用いられる圧着綴じと同様の接合手段で接合してもよい。この接合手段は、一対の歯型でシート材を挟み、加圧することでシート材を変形させ、二枚のシート材の繊維同士を潰して絡ませることでシートを接合するものである。さらに、溶着する場合も、上述したヒータを用いた熱溶着に限らず、超音波溶着等の他の溶着方式を用いてもよい。
【0092】
本発明の実施の形態は、上述した実施形態や構成例に限るものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれ得る。
【0093】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0094】
[態様1]
態様1は、正面側フィルムF1及び背面側フィルムF2等の帯状の二枚の包装材を重ねて搬送し、投入口2等の受入口から二枚の包装材の間に受け入れた物品等の被包装物に対して、搬送方向の前側(下流側溶着ラインFx1等)及び後側(上流側溶着ラインFx2等)と、幅方向の両端側(左側溶着ラインFwL及び右側溶着ラインFwR等)と、で二枚の包装材同士を接合(溶着等)して被包装物を包装する包装機1等の包装装置において、二枚の包装材を重ねて搬送する繰り出しローラ対(34、35)等の搬送手段と、搬送手段に対して搬送方向下流側に位置し、二枚の包装材における搬送方向の前側と後側とを接合するカットヒータ5等の搬送方向前後接合手段と、二枚の包装材における幅方向(搬送方向に直交する方向)の両端側を接合するサイドヒータ41等のサイド接合手段と、装置の各部の動作を制御する制御部100等の制御手段と、を備え、制御手段は、搬送方向前後接合手段で二枚の包装材における搬送方向の前側を接合した後、二枚の包装材が所定量(設定された繰り出し量等)だけ搬送方向下流側に搬送されるように搬送手段を制御することを特徴とする包装装置に係るものである。
【0095】
態様1によれば、前側を接合した後の二枚の包装材を所定量だけ搬送方向下流側に搬送でき、二枚の包装材における搬送方向前後接合手段によって接合された前側接合部(溶着ラインFx等)を、包装材接合位置(カット位置等)から所定量だけ搬送方向下流側に搬送できる。このため、包装材接合位置の下流側に二枚の包装材に挟まれた被包装物を受け入れる領域を形成することができる。これにより、被包装物によって包装材を押し込むことなく、受入口から受け入れた被包装物を包装材接合位置と前側接合部との間の二枚の包装材に挟まれた領域に受け入れることができる。被包装物によって包装材を押し込む必要がないため、複雑な立体形状を有する被包装物や複数個をまとめて包装することが求められる被包装物など、様々な種類の被包装物を包装できる。
【0096】
[態様2]
態様2は、態様1の包装装置において、作成する包装成果物Pkの搬送方向の長さを設定する等、操作パネル10等での使用者の操作に応じて、所定量が変更可能であることを特徴とする包装装置に係るものである。
【0097】
態様2によれば、包装成果物Pk等の包装成果物の長さを使用者の所望の長さに設定することができる。長さの設定としては、「短」、「中」、「長」の三段階のように、予め記憶された複数段階の長さに設定できるようにしてもよいし、「29[cm]」等の具体的な長さを使用者が入力できるようにしてもよい。
【0098】
[態様3]
態様3は、態様1または2の包装装置において、搬送手段は、二枚の包装材を挟持して表面移動することで搬送力を付与する繰り出しローラ対(34、35)等の一対の表面移動体であり、一対の前記表面移動体の少なくとも一方(可動繰り出しローラ34等)を他方(固定繰り出しローラ35等)から離間させることによって、受入口から受け入れた被包装物を表面移動体同士の間を通過可能とし、搬送方向前後接合手段で二枚の包装材における搬送方向の前側を接合した溶着ラインFx等の前側接合部と搬送方向前後接合手段との間の二枚の包装材同士に挟まれた領域に被包装物を受け入れ可能な状態とすることを特徴とする包装装置に係るものである。
これによれば、被包装物を受け入れるときには、一対の表面移動体同士が離間するため、シート束のように挟持搬送できるものに限らず、様々な種類の被包装物を包装可能な構成を実現できる。一対の表面移動体としては、繰り出しローラ対(34、35)のようなローラ対に限らず、無端移動する搬送ベルト対でもよい。
【0099】
[態様4]
態様4は、態様3の包装装置において、一対の表面移動体の少なくとも一方を他方から離間させる搬送ローラ接離モータM4等の表面移動体接離手段を備え、制御手段は、被包装物を受け入れ可能な待機状態では、表面移動体同士を離間させるように表面移動体接離手段を制御し、その後、被包装物を受け入れたときに入力される所定の包装開始信号(スタートボタン11が押下された信号等)が入力されると、二つの表面移動体で二枚の包装材を挟持するように表面移動体接離手段を制御し、次に、二枚の包装材の搬送方向の後側の接合と切断とを行うように搬送方向前後接合手段を制御し、次に、二枚の包装材の前側接合部が所定量だけ搬送方向下流側に搬送されるように搬送手段を制御し、次に、表面移動体同士を離間させるように表面移動体接離手段を制御して待機状態とすることを特徴とする包装装置に係るものである。
【0100】
態様4では、被包装物を受け入れた後、表面移動体同士を二枚の包装材を挟持する近接位置に移動し、表面移動体同士が近接位置にある状態で、二枚の包装材の搬送方向の後側の接合と切断とを実行し、所定量だけの搬送を行った後に表面移動体同士を近接位置から離間させる。これにより、二枚の包装材の切断時から所定量の繰り出しまでの間、二つの表面移動体で二枚の包装材を挟持した状態を維持する。このため、二枚の包装材の前側接合部が、搬送方向前後接合手段による接合と切断とを行う包装材接合位置よりも搬送方向上流側に移動して二枚の包装材が包装材接合位置から離脱すること防止できる。よって、従来の包装装置のように、被包装物を介して二枚の包装材を包装材接合位置に向けて押し込むことが不要となり、安定した包装処理を行うことが可能となる。
【0101】
また、搬送手段で包装材を搬送するときには、二枚の包装材の間には被包装物は存在していないため、被包装物の有無、被包装物の重量等に起因する搬送手段の搬送負荷の変動を防止できる。
【0102】
[態様5]
態様5は、1乃至4の何れかの態様に係る包装装置において、搬送手段及び搬送方向前後接合手段が受入口の鉛直下方に位置することを特徴とする包装装置に係るものである。
【0103】
態様5によれば、受入口から受け入れた被包装物の自重落下によって包装材接合位置と前側接合部との間の二枚の包装材に挟まれた領域に被包装物を受け入れることが可能となる。
【0104】
[態様6]
態様6は、態様1乃至5の何れかの態様に係る包装装置において、制御手段は、サイド接合手段によって二枚の包装材における搬送方向前後接合手段によって搬送方向の前側を接合された溶着ラインFx等の前側接合部から、搬送方向前後接合手段が二枚の包装材に対して接合と切断とを行う包装材接合位置に位置する部分までの一部または全部の幅方向の両端側の二枚の包装材同士を接合した後、搬送方向前後接合手段で二枚の包装材における搬送方向の後側を接合及び切断する制御を行うことを特徴とする包装装置に係るものである。
【0105】
態様6によれば、二枚の包装材同士の幅方向の両端側を接合後、搬送方向後側の接合及び切断を行うため、切断処理後、サイド接合手段による接合処理のための搬送制御が不要となり、そのまま排出することが可能となる。特に、態様5のように、搬送手段及び搬送方向前後接合手段が受入口の鉛直下方に位置する構成であれば、搬送方向後側の接合及び切断を行った二枚の包装材とこれらに包装された被包装物とを包装成果物として自重で落下させ排出することが可能となる。これにより、二枚の包装材を重ねて搬送する搬送手段以外に包装成果物を搬送する搬送機構が不要な構成を実現できる。
【0106】
[態様7]
態様7は、態様1乃至6の何れかの態様に係る包装装置において、二枚の包装材の幅方向の端部を挟んで搬送ガイド板20等のサイド押さえ対向部材と対向するサイド押さえ43等のサイド押さえ部材を備え、制御手段は、被包装物を受け入れるときには、搬送方向前後接合手段で二枚の包装材における搬送方向の前側を接合した溶着ラインFx等の前側接合部がカット位置等の包装材接合位置から所定量だけ搬送方向下流側に移動した状態で二枚の包装材の搬送を停止し、サイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが、被包装物が通過できない程度の近接位置、または、二枚の包装材を挟んで接触する接触位置となるように各部を制御し、被包装物を受け入れたときに入力される所定の包装開始信号(スタートボタン11が押下された信号等)が入力されると、サイド接合手段が二枚の包装材における幅方向の両端側(左側溶着ラインFwL及び右側溶着ラインFwR等)を接合し、搬送方向前後接合手段が二枚の包装材における搬送方向の後側(上流側溶着ラインFx2等)を接合するように各部を制御することを特徴とする包装装置に係るものである。
【0107】
上述した実施形態では、被包装物を受け入れるときには、二枚の包装材における幅方向の両端側を接合していない状態であるが、幅方向の両端側を接合した状態で被包装物を受け入れる構成としてもよい。
しかし、二枚の包装材の前側と、幅方向の両端側を接合した状態で、被包装物を供給すると、被包装物が厚い場合に、包装材が幅方向内側に引っ張られて、包装成果物の包装材に皺が発生じたり、包装成果物の搬送方向における被包装物が位置する部分が幅方向に狭まったりして、包装成果物の外観品質が低下することがあった。
【0108】
態様7によれば、被包装物を受け入れるときには、二枚の包装材における幅方向の両端側は接合されていないが、サイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが、近接位置または接触位置に位置するため、被包装物が幅方向の外側から外部に漏れ出ることを防止できる。そして、被包装物を受け入れるときには、二枚の包装材における幅方向の両端側は接合されていないため、被包装物を受け入れる前には、サイド接合手段よりも幅方向の外側にあった包装材における部分が、厚みのある被包装物を受け入れて包装材が厚み方向に引っ張られたときに、サイド接合手段よりも幅方向の内側に移動することが可能となる。そして、被包装物の厚みに応じて包装材が幅方向内側に引き寄せられた状態で、サイド接合手段が二枚の包装材における幅方向の両端側を接合するため、包装材の幅方向の両端側の接合部が幅方向内側に引っ張られることが防止できる。これにより、包装成果物の包装材に皺が発生じたり、包装成果物の搬送方向における被包装物が位置する部分が幅方向に狭まったりして、包装成果物の外観品質が低下することを防止できる。
【0109】
上述した包装機1では、搬送方向前後接合手段として、二枚の包装材における搬送方向の前側と後側の両方とを接合するカットヒータ5であるが、前側を接合する部材と、後側を接合する部材とが別部材でもよい。また、サイド押さえ部材とサイド接合手段とは別部材に限るものではなく、サイド接合手段がヒータのような加熱を用いるものではなく、圧着綴じの加圧部材や超音波溶着の振動子(超音波が印加されていない状態)のように、サイド接合手段が包装材と接触するだけでは包装材の特性が変化しないものであれば、サイド接合手段とサイド押さえ部材とを兼用する構成としてもよい。
【0110】
[態様8]
態様8は、態様7の包装装置において、制御部は、被包装物を受け入れるときには、サイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが近接位置に位置するように制御し、包装開始信号を入力されると、サイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが二枚の包装材を挟んで接触し、その後、サイド接合手段が二枚の包装材における幅方向の両端側を接合する制御を行うことを特徴とする包装装置に係るものである。
【0111】
態様8によれば、被包装物を受け入れるときにサイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが近接位置にあることで、サイド接合手段よりも幅方向の外側にあった包装材における部分がサイド接合手段よりも内側に移動するときの摺動負荷が接触位置にある場合よりも軽減できる。これにより、より物品の形状に応じた状態で包装材同士を接合することができる。また、接合前に、サイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが二枚の包装材を挟んで接触することで、包装材におけるサイド接合手段によって接合される部分に対応した一枚の包装材が他の包装材に対して浮き上がり、一枚だけの包装材がサイド接合手段に接触することを防止できる。
【0112】
[態様9]
態様9は、態様8の包装装置において、制御部は、サイド接合手段が二枚の包装材における幅方向の両端側を接合した後、サイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが近接位置よりも十分に離れた離間位置に位置するように制御し、その後、搬送方向前後接合手段が二枚の包装材における搬送方向の後側を接合するように制御することを特徴とする包装装置に係るものである。
【0113】
態様9によれば、サイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが離間位置に位置することで、二枚の包装材が搬送方向の後側を接合された包装成果物が、排出口9等の搬送方向下流側に移動することをサイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが阻害することを防止できる。
【0114】
[態様10]
態様10は、態様7乃至9の何れか一項に記載の包装装置において、搬送方向前後接合手段は、カット溶着位置等の接合位置とカット退避位置等の退避位置との間で移動可能で接合位置では包装材に接触して二枚の包装材同士を接合するカットヒータ5等の接合部材と、接合位置にある接合部材と二枚の包装材を挟んで接触するカットヒータ受台44等の受部材と、を有し、サイド接合手段は、サイド溶着位置等のサイド接合位置と離間位置等のサイド離間位置との間で移動可能であって、サイド接合位置では包装材に接触して二枚の包装材同士を接合するサイドヒータ41等のサイド接合部材と、サイド接合位置にあるサイド接合部材と二枚の包装材を挟んで接触するサイドヒータ受台42等のサイド受部材と、を有し、受部材はサイド受部材の搬送方向の上流側端部近傍に位置し、接合部材の退避位置は接合位置よりも搬送方向の上流側であり、接合部材が退避位置から接合位置に移動するときには、搬送方向の上流側から下流側に向けて移動することを特徴とする包装装置に係るものである。
【0115】
態様10によれば、接合部材と共に移動する部材の移動経路とサイド接合部材と共に移動する部材の移動経路とが部分的に重なる配置であっても、退避位置に移動する接合部材は、サイド接合部材から離れる方向である搬送方向の上流側に移動するため、部材同士の干渉を防止することができる。
【0116】
[態様11]
態様11は、態様10の包装装置において、接合部材は、接合位置に対して搬送方向の上流側に位置するカットヒータ回動軸5a等の回動軸を中心に回動することで、退避位置と接合位置との間を移動することを特徴とする包装装置に係るものである。
接合位置から退避位置に向かう接合部材が接合位置よりも搬送方向の上流側に向かう構成としては、回動するものに限らず、搬送方向に対して斜め上流側に直線的に移動する構成でもよい。しかし、この構成では、退避位置から接合位置に向かう接合部材がカット位置等の包装材接合位置にある包装材に対して斜め方向から近づくことになり、接合部材で包装材を切断するときに切断し難くなるという問題が生じる。これに対して、接合部材が接合位置よりも上流側の回動軸を中心に回動する構成であれば、退避位置から接合位置に向かう接合部材が包装材接合位置にある包装材に対して直角に近い方向から近づくことになり、接合部材で包装材を切断するときに切断し易くなる。
【0117】
態様11によれば、接合位置に対して搬送方向の上流側に位置する回動軸を中心に回動することで、接合位置から退避位置に移動する接合部材が、サイド接合部材から離れる方向である搬送方向の上流側に移動する構成を実現することができる。
【0118】
[態様12]
態様12は、正面側フィルムF1及び背面側フィルムF2等の帯状の二枚の包装材を重ねて搬送し、投入口2等の受入口から二枚の包装材の間に受け入れた物品等の被包装物に対して、搬送方向の前側及び後側と、幅方向の両端側と、で二枚の包装材同士を接合(溶着等)して被包装物を包装する包装機1等の包装装置において、二枚の包装材を重ねて搬送する繰り出しローラ対(34、35)等の搬送手段と、搬送手段に対して搬送方向下流側に配置され、二枚の包装材における搬送方向の前側と後側とを接合するカットヒータ5等の搬送方向前後接合手段と、搬送方向前後接合手段に対して搬送方向下流側に配置され、二枚の包装材の幅方向の端部を挟んで搬送ガイド板20等のサイド押さえ対向部材と対向するサイド押さえ43等のサイド押さえ部材と、搬送方向前後接合手段に対して搬送方向下流側に配置され、二枚の包装材における幅方向(搬送方向に直交する方向)の両端側を接合するサイドヒータ41等のサイド接合手段と、を備え、サイド押さえ部材は、サイド押さえ対向部材との間で、被包装物が通過できない程度の近接位置と、近接位置に対して前記サイド押さえ対向部材との間で十分に離間した離間位置との間で変位可能であることを特徴とする包装装置に係るものである。
【0119】
態様12によれば、サイド接合手段で接合しない状態で、且つ、サイド押さえ部材が近接位置にある状態で被包装物を受け入れることで、被包装物が幅方向の外側から外部に漏れ出ることを防止できる。そして、被包装物を受け入れるときには、二枚の包装材における幅方向の両端側はサイド接合手段で接合されていない状態であるため、被包装物を受け入れる前には、サイド接合手段よりも幅方向の外側にあった包装材における部分が、厚みのある被包装物を受け入れて包装材が厚み方向に引っ張られたときに、サイド接合手段よりも幅方向の内側に移動することが可能となる。そして、被包装物の厚みに応じて包装材が幅方向内側に引き寄せられた状態で、サイド接合手段が二枚の包装材における幅方向の両端側を接合することで、包装材の幅方向の両端側の接合部が幅方向内側に引っ張られることが防止できる。これにより、包装成果物の包装材に皺が発生じたり、包装成果物の搬送方向における被包装物が位置する部分が幅方向に狭まったりして、包装成果物の外観品質が低下することを防止できる。
【0120】
[態様13]
態様13は、正面側フィルムF1及び背面側フィルムF2等の帯状の二枚の包装材を搬送方向の所定の包装材接合位置(カット位置等)で接合した下流側溶着ラインFx1等の前側接合部を形成する第一工程(S6及びS7等)と、二枚の包装材を重ねて、あらかじめ取得した所定量だけ搬送する第二工程(S10等)と、投入口2等の受入口から二枚の包装材の間の、前側接合部の後側に物品等の被包装物を受け入れる第三工程(S1及びS2等)と、二枚の包装材における被包装物に対して幅方向の両端側を接合するとともに、前記搬送方向の後側で接合及び切断する第四工程(S4~S8等)と、を含む包装方法に関するものである。
【0121】
[態様14]
態様14は、態様13の包装方法において、二枚の包装材を挟持して搬送力を付与する繰り出しローラ対(34、35)等の搬送手段が第二工程において二枚の包装材を搬送した後、搬送手段の挟持を解除し、被包装物を通過可能する工程(S14等)をさらに含む包装方法に関するものである。
【0122】
[態様15]
態様15は、態様13または14の包装方法において、第二工程よりも前に、作成する包装成果物の搬送方向の長さを設定等の使用者の操作入力により所定量を取得する工程をさらに含む包装方法に関するものである。
【0123】
[変形例]
上述した実施形態では、二枚の包装材における幅方向の両端側を接合(溶着)していない状態で被包装物を受け入れる制御(以下、「待機後サイド溶着制御」という)について説明し、態様7では、他の構成として、二枚の包装材における幅方向の両端側を接合(溶着)した状態で被包装物を受け入れる制御(以下、「待機前サイド溶着制御」という)について説明した。
【0124】
変形例として、「待機後サイド溶着制御」と「待機前サイド溶着制御」とを切替え可能としてもよい。「待機後サイド溶着制御」は、上述したように、被包装物の厚みに応じて包装材が幅方向内側に引き寄せられた状態で、両サイドの溶着(接合)を行うことができる、このため、厚みのある被包装物を包装する際に、包装成果物の包装材に皺が発生じたり、包装成果物の搬送方向における被包装物が位置する部分が幅方向に狭まったりして、包装成果物の外観品質が低下することを防止できる。一方、「待機前サイド溶着制御」は、被包装物の投入時には両サイドが溶着(接合)されているため、被包装物がシート状の薄い物品や小さな物品であっても二枚のフィルムFの間から物品が漏れ出ることを防止できる。物品(被包装物)の形状によって、「待機後サイド溶着制御」と「待機前サイド溶着制御」とを切り替えることによって、様々な形状の物品を適切に包装することが可能となる。「待機後サイド溶着制御」と「待機前サイド溶着制御」とを切り替える構成としては、「待機後サイド溶着制御」か、「待機前サイド溶着制御」かを選択する選択ボタンがあってもよいし、投入する物品が「厚物」(「待機後サイド溶着制御」)か、「薄物」(「待機前サイド溶着制御」)か、を選択するボタンがあってもよい。さらに、物品の最小幅に関する情報を入力することで、制御部100が何れかの制御を選択する構成としてもよい。
【0125】
図14に示すフローチャート用いて説明した制御は、「待機後サイド溶着制御」である。
図15は、「待機前サイド溶着制御」のフローチャートである。
待機前サイド溶着制御では、「(1)待機状態(S101)」から「(2)物品投入」され、「(3)スタートボタン押下(S102)」されると、搬送路の投入口2側の「(4)入口閉鎖(S103)」して、「(5)サイド離間(S104)」し、「(6)上部溶着及び切断(S105~S107)」を行う。その後、「(7)フィルム繰り出し(S108~S111)」、「(8)サイド押さえとサイド溶着(S112)」、「(9)サイド押さえ近接位置移動(S113)」及び「(10)入口開放(S114)」を行い再び「(1)待機状態」となる。
【0126】
以下、待機状態から包装処理を行い、再び待機状態となるまでの各部の動作について、図2及び図8図14を用いて説明する。
【0127】
<(1)待機状態>
【0128】
待機前サイド溶着制御での待機状態での各部材に配置は、待機後サイド溶着制御と同じであり、二枚のフィルムFの溶着状態が異なる。詳しくは、二枚のフィルムFが先端だけでなく、両サイドも溶着されている状態であることが待機後サイド溶着制御と異なる。このため、待機前サイド溶着制御での待機状態は図2の状態となる。
【0129】
図2に示す待機状態(図15中の「S101」)では、開口部ローラ対である繰り出しローラ対(34、35)は、二つのローラは開放位置にあり、ローラは回転停止の状態である。具体的には、繰り出しローラ対(34、35)のうちの可動繰り出しローラ34は、固定繰り出しローラ35から離間した開放位置に位置し、固定繰り出しローラ35は、搬送ローラ駆動モータM3を停止して回転停止する。
【0130】
待機前サイド溶着制御での待機状態では、一つ前の包装処理の「(5)上部溶着及び切断」でカットヒータ5によって溶着・切断されたフィルムFの切断部が、二枚のフィルムFが溶着された先端側の溶着ラインFxとなっている。その後の「(6)フィルム繰り出し」によってこの先端側の溶着ラインFxが予め設定された包装成果物Pkの搬送方向の長さの分だけカット位置(カットヒータ5によってフィルムFを切断する位置)よりも搬送方向下流側に移動した状態でフィルムFは停止している。そして、さらにその後の、「(7)サイド押さえとサイド溶着」で、サイドヒータ41によって両サイドを溶着される(図7中の「FwL」、「FwR」で示す溶着部)。これにより、物品を覆う二枚のフィルムFが、上方の一辺(図7中の「Fx2」)以外の三辺(図7中の「Fx1」、「FwL」、「FwR」)が溶着された状態となる。
【0131】
<(2)物品投入>
図2に示す待機状態の包装機1の投入口2から被包装物の物品が投入されるのみでは、包装機1の各駆動部は駆動しないため、繰り出しローラ対(34、35)、カットヒータ5、サイドヒータユニット40及びブレーキ機構には変化はない。一方、フィルムFは、二枚のフィルムFの間に物品が進入し、先端側の溶着ラインFxで物品が突き当たり、溶着ラインFxよりも上方で物品を保持する。このとき、フィルムFの両サイドは溶着されているため、投入された物品がシート状の薄い物品や小さな物品であっても二枚のフィルムFの間から物品が漏れ出ることを防止できる。
【0132】
<(3)スタートボタン押下>
使用者によってスタートボタン11が押下される(図15中の「S102で「Yes」」)と、包装処理を行うための制御が開始される。
【0133】
<(4)入口閉鎖>
スタートボタン11が押下されると、繰り出しローラ対(34、35)が開放位置から閉鎖位置へと変化する。詳しくは、搬送ローラ接離モータM4が駆動し、開放位置にあった可動繰り出しローラ34が、図8に示すように、固定繰り出しローラ35に接触する閉鎖位置に移動して搬送ローラ接離モータM4が停止する(図15中の「S103」)。このとき、正面側フィルム開口補助ガイド32は、投入口2の鉛直下方から正面側にずれた位置(図2に示す位置)から図8に示すように投入口2の鉛直下方の位置に移動する。入口閉鎖の段階では、搬送ローラ駆動モータM3は駆動せず、回転が停止した状態の二つのローラで入口を閉鎖した状態となる。
【0134】
入口閉鎖の間は、カットヒータ5、サイドヒータユニット40及びブレーキ機構には変化はない。一方、フィルムFは、開口されていた上方が繰り出しローラ対(34、35)によって閉じられた状態となる。
<(5)サイド離間>
待機前サイド溶着制御では、繰り出しローラ対(34、35)による入口閉鎖がなされると、サイドヒータ接離モータM2を逆転駆動し、待機状態の近接位置よりもサイド押さえ43が搬送ガイド板20から離間する離間位置までサイドヒータユニット40を移動し、図10で示すサイド離間状態となる(図15中の「S104」)。
【0135】
<(6)上部溶着及び切断>
サイドヒータ41が離間位置に移動する(図15中の「S104」)と、カットヒータ接離モータM1が駆動し、カットヒータ5がカットヒータ回動軸5aを中心に回動して、カット退避位置からカット溶着位置に移動して図11に示す状態となる(図15中の「S105」)。カットヒータ5がカット溶着位置に到達してから予め設定された所定時間が経過した後、カットヒータ接離モータM1を逆転してカットヒータ5をカット退避位置まで移動させて、図10に示す状態となる(図15中の「S107」)。
【0136】
上部溶着及び切断の間は、サイドヒータユニット40及びブレーキ機構には変化はない。一方、繰り出しローラ対(34、35)は、一時的にフィルム繰り出し時とは逆方向に回転する(図15中の「S106」)。具体的には、カットヒータ5がカット溶着位置にある切断中に、わずかな時間だけ搬送ローラ駆動モータM3をフィルム繰り出し時とは逆方向に駆動し、固定繰り出しローラ35を図11中の反時計回り方向に回転させて、繰り出しローラ対(34、35)に挟持された二枚のフィルムFの先端側を上方に引っ張る。これにより、フィルムFにおけるカットヒータ5とカットヒータ受台44とに挟まれた部分は、繰り出しローラ対(34、35)の逆回転によって上方に引っ張られるともに、物品の自重によって下方に引っ張られる状態となる。これにより、カットヒータ5とカットヒータ受台44とに挟まれた部分を挟んで、フィルムFを上下に引っ張る力を作用させ、カットヒータ5による切断を促すことができる。
【0137】
繰り出しローラ対(34、35)を逆方向に回転させるわずかな時間(図15中の「S106」)は、逆回転開始前にカットヒータ5とカットヒータ受台44とに挟まれていたフィルムFの部分が、逆回転によって繰り出しローラ対(34、25)の挟持部に到達しない範囲の時間である。
【0138】
カットヒータ5による切断によって、フィルムFにおける物品の上方での切断が行われる。上方が切断されることで、二枚のフィルムFによって物品を包装した包装成果物Pkが自重で落下し、下方の排出口9から排出される。カットヒータ5による上部溶着及び切断によって、二枚のフィルムFにおける次の包装処理で物品を包装する部分の先端同士が溶着された状態となる。
【0139】
<(7)フィルム繰り出し>
上部溶着及び切断後、カットヒータ5がカット退避位置に戻ると、各部材の配置は、図12に示すように図10に示す状態と同様の状態となり、フィルムブレーキ制御部104は、ブレーキ機構がブレーキを解除した状態となるように制御する(図15中の「S108」)。次に、搬送ローラ駆動モータM3が駆動することで、固定繰り出しローラ35が図12中の時計回り方向に回転し、繰り出しローラ対(34、35)に挟持された二枚のフィルムFが、先端側の溶着ラインFxが下方に進出するように搬送する(図15中の「S109」)。このとき、ブレーキが解除されているため、二枚のフィルムFが下方に向けて搬送された分だけ、二つのフィルムロールRのそれぞれからフィルムFが繰り出される。
【0140】
そして、二枚のフィルムFの先端側の溶着ラインFxが、包装成果物の搬送方向の長さの分だけカット位置よりも搬送方向下流側に移動するまで搬送すると、搬送ローラ駆動モータM3の駆動を停止する(図15中の「S110」)とともに、フィルムブレーキ制御部104は、ブレーキ機構がブレーキをかけた状態となる(図14中の「S111」)ように制御する。
【0141】
待機前サイド溶着制御でも、フィルムFを繰り出すときには、図12に示すように、サイドヒータ41及びサイド押さえ43を離間位置とすることで、下方に進出するフィルムFがサイドヒータ41やサイド押さえ43等のサイドヒータユニット40の構成部品に引っかかることを防止できる。
【0142】
<(8)サイド押さえとサイド溶着>
フィルム繰り出し後は、固定繰り出しローラ35の回転を停止し(図15中の「S110」)、ブレーキ機構がブレーキをかけた(図15中の「S111」)状態となると、サイドヒータ接離モータM2を駆動し、サイドヒータ41がサイドヒータ受台42に当接するサイド溶着位置となるまでサイドヒータユニット40を搬送路形成板金部材53に向けて移動する(図15中の「S112」)。このとき、サイド押さえ43が搬送ガイド板20に当接し、さらに、サイドヒータユニット40を搬送路形成板金部材53に向けて移動させると、押さえ付勢バネ48が縮み、サイド押さえ43が搬送ガイド板20に当接した位置で停止したまま、サイドヒータ41がサイドヒータ受台42に当接するサイド溶着位置まで移動し、図9で示す状態となる。サイドヒータ41がサイド溶着位置に移動することで、二枚のフィルムFは、両サイドを溶着される(図7中の「FwL」、「FwR」で示す溶着部)。
【0143】
<(9)サイド押さえ近接位置移動>
サイドヒータ41がサイド溶着位置に到達してから設定された溶着に必要な所定時間が経過した後、サイドヒータ接離モータM2を逆転し、サイド押さえ43が待機状態の近接位置となるまでサイドヒータユニット40を移動させる。サイド押さえ43が近接位置に到達したらサイドヒータ接離モータM2を停止して(図15中の「S113」)、図13に示す状態となる。
【0144】
<(10)入口開放>
サイド押さえ近接後は、搬送ローラ接離モータM4が駆動し、図13に示す閉鎖位置にあった可動繰り出しローラ34が、図2に示す開放位置に移動して搬送ローラ接離モータM4が停止することで(図14中の「S114」)、図2に示すような投入口2が開放された待機状態となる(図15中の「S101」)。
【0145】
変形例の包装装置は、物品等の被包装物を受け入れ可能な待機状態とする制御として、サイドヒータ41等のサイド接合手段によって幅方向の両端を接合するサイド溶着等のサイド接合処理を実行して待機状態とする待機前サイド溶着制御等の待機前サイド接合制御と、サイド接合処理を実行せずに待機状態として、待機状態の後にサイド接合処理を実行する待機後サイド溶着制御等の待機後サイド接合制御と、を選択可能である。これによれば、厚みがある被包装物を包装するときには待機後サイド接合制御を選択することで、包装成果物の外観品質が低下することを防止でき、薄い被包装物や小さな被包装物を包装するときには待機前サイド接合制御を選択することで、投入した被包装物が漏れ出ることを防止できる。
【0146】
変形例の包装装置は、物品等の被包装物を受け入れ可能な待機状態とする制御として、サイドヒータ41等のサイド接合手段によって幅方向の両端を接合するサイド溶着等のサイド接合処理を実行して待機状態とする待機前サイド溶着制御等の待機前サイド接合制御と、サイド接合処理を実行せずに待機状態として、待機状態の後にサイド接合処理を実行する待機後サイド溶着制御等の待機後サイド接合制御と、を選択可能である。
【0147】
変形例の包装装置は、正面側フィルムF1及び背面側フィルムF2等の帯状の二枚の包装材を搬送方向の所定の包装材接合位置で接合した下流側溶着ラインFx1等の前側接合部を形成する前側接合部工程(S6及びS7等、または、S105及びS106等)と、二枚の包装材を重ねて、あらかじめ取得した所定量だけ搬送する包装材搬送工程(S10等、または、S109等)と、投入口2等の受入口から二枚の包装材の間の、前側接合部の後側に物品等の被包装物を受け入れる被包装物受入工程(S1及びS2等、または、S101及びS102等)と、二枚の包装材における被包装物に対して幅方向の両端側を接合するサイド接合工程(S4等、または、S112等)と、搬送方向の後側で接合及び切断する後側接合切断工程(S6及びS7等、または、S105及びS106等)と、を含み、被包装物受入工程の後にサイド接合工程を実行する待機後サイド溶着制御等の待機後サイド接合制御と、被包装物受入工程の前にサイド接合工程を実行する待機前サイド溶着制御等の待機前サイド接合制御と、を選択可能である。
【0148】
このような変形例によれば、厚みがある被包装物を包装するときには待機後サイド接合制御を選択することで、包装成果物の外観品質が低下することを防止でき、薄い被包装物や小さな被包装物を包装するときには待機前サイド接合制御を選択することで、投入した被包装物が漏れ出ることを防止できる。
【符号の説明】
【0149】
1 :包装機
2 :投入口
5 :カットヒータ
9 :排出口
10 :操作パネル
11 :スタートボタン
20 :搬送ガイド板
32 :正面側フィルム開口補助ガイド
34 :可動繰り出しローラ
35 :固定繰り出しローラ
40 :サイドヒータユニット
41 :サイドヒータ
41a :左側サイドヒータ
41b :右側サイドヒータ
42 :サイドヒータ受台
43 :サイド押さえ
44 :カットヒータ受台
100 :制御部
104 :フィルムブレーキ制御部
F :フィルム
F1 :正面側フィルム
F2 :背面側フィルム
M1 :カットヒータ接離モータ
M2 :サイドヒータ接離モータ
M3 :搬送ローラ駆動モータ
M4 :搬送ローラ接離モータ
Pk :包装成果物
R :フィルムロール
R1 :正面側フィルムロール
R2 :背面側フィルムロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15