(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156614
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】消費者製品の製造または包装のための自動機械の少なくとも一部の動作のシミュレート方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4068 20060101AFI20241029BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20241029BHJP
【FI】
G05B19/4068
G06F30/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024056590
(22)【出願日】2024-03-29
(31)【優先権主張番号】102023000006141
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】392003937
【氏名又は名称】ジー.デー ソチエタ ペル アツィオニ
【氏名又は名称原語表記】G.D SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ デッリ エスポスティ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ カルボーニ
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、消費者製品を製造または包装するための自動機械の少なくとも一部の動作をシミュレートするための方法を提供することにある。
【解決手段】消費者製品を製造または包装するための自動機械の少なくとも一部の動作をシミュレートするための方法であって、コンピューター支援設計環境において、動作がシミュレートされる一部の3次元モデルを定義するステップと、自動機械の一部の1つ以上の可動動作要素の動作制御用ソフトウェアをプログラミングするステップと、時点において、1つ以上の可動動作要素に対して、確立された指令された位置に関するデータセットを抽出するステップと、指令された位置に関するデータセットを支援設計環境において伝達するステップと、指令された位置に関するデータセットに従って、1つ以上の可動動作要素の位置を変更することにより、1つ以上の可動動作要素の移動をシミュレートするステップと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費者製品(3)を製造または包装するための自動機械(1)の少なくとも一部(5)の動作をシミュレートするためのコンピューター実装方法であって、
コンピューター支援設計環境(14)において、動作がシミュレートされる前記自動機械(1)の一部(5)の3次元モデル(13)を定義するステップであって、前記自動機械(1)の一部(5)が1つまたは複数の可動動作要素(2)を含む、ステップと、
前記自動機械(1)の前記一部(5)の前記1つまたは複数の可動動作要素(2)の動作制御用ソフトウェア(SW)をプログラミングするステップであって、前記動作制御用ソフトウェア(SW)は、使用時に、前記自動機械(1)の前記一部(5)の実際の動作を指令するように設計されている、ステップと、
を含み、
前記方法は、
前記動作制御用ソフトウェア(SW)の実行中に、所定の時点(t1,t2,...,tn)における指令された位置(P)に関するデータセット(DS)を、前記1つまたは複数の可動動作要素(2)またはそれらに接続された要素に抽出するステップと、
指令された位置(P)に関する前記データセット(DS)を支援設計環境(14)において伝達するステップと、
指令された位置(P)に関する前記データセット(DS)に従って、前記1つまたは複数の可動動作要素(2)の位置を変更することにより、前記支援設計環境(14)において、前記1つまたは複数の可動動作要素(2)の動きをシミュレートするステップと、
を連続する時点において、周期的に繰り返す、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記支援設計環境(14)と実行中の前記動作制御用ソフトウェア(SW)との間の伝達がリアルタイムで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記支援設計環境(14)において、各可動動作要素(2)が、前記動作制御用ソフトウェア(SW)によって動作されるように構成された少なくとも1つのシャフト(20)に拘束された態様で接続され、前記データセット(DS)が、各可動動作要素(2)のそれぞれの前記シャフト(20)の前記指令された位置(P)、好ましくは絶対値、好ましくは角度を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
それぞれの前記シャフト(20)が、アクチュエーター(6)のフォロワー/出力要素(20)である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
抽出、伝達、シミュレーションの各ステップが、10ミリ秒以上、特に20ミリ秒以上の間隔をあけて連続する時点で周期的に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記支援設計環境(14)を介して、同じ可動動作要素(2)の連続する位置を補間するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記支援設計環境(14)によって、視覚的または機器的に、可動動作要素(2)間および/または前記自動機械(1)の固定部品との距離、および/または、共有ワークスペースにおける前記可動動作要素(2)の動作のフェージング、および/または、前記位置の計算を開始する前記可動動作要素(2)のゼロ点、を確認するステップであって、特に前記動作制御用ソフトウェア(SW)の実行を一時停止してシミュレーションするステップを中断するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記データセット(DS)は、実機(1)での前記動作制御用プログラムの前記実行中に抽出され、シミュレーションステップによってその遠隔動作を分析する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記動作制御用ソフトウェア(SW)の前記実行中に、所定の時点(t1,t2,...,tn)のそれぞれにおける、1つまたは複数の製品(3)の有無に関するデータセット(DP)を抽出するステップと、
有無に関する前記データセット(DP)を前記支援設計環境(14)に伝達するステップと、
有無に関する前記データセット(DP)に従って、それぞれの与えられた位置における前記1つまたは複数の製品(3)の前記有無を視覚的にシミュレートするステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
消費者製品(3)を製造または包装するための自動機械(1)の少なくとも一部(5)の動作をシミュレートするための装置であって、
コンピューター支援設計環境(14)において、動作がシミュレートされる自動機械(1)の前記一部(5)の3次元モデル(13)を定義するように構成された第1プロセッサー(12)であって、自動機械(1)の前記一部(5)が1つまたは複数の可動動作要素(2)を含む、第1プロセッサー(12)と、
前記自動機械の一部(5)の前記1つまたは複数の可動動作要素(2)の動作制御用ソフトウェア(SW)を実行するように構成された第2プロセッサー(15)であって、前記動作制御用ソフトウェア(SW)は、使用時に、前記自動機械の一部(5)の実際の動作を制御するように構成されている、第2プロセッサー(15)と、
前記第1プロセッサー(12)を前記第2プロセッサー(15)に接続し、所定の時点(t1,t2,...,tn)において、前記1つまたは複数の可動動作要素(2)またはそれらに接続された要素に、指令された位置(P)に関するデータセット(DS)を、前記動作制御用ソフトウェア(SW)から前記支援設計環境(14)に交換するように構成された制御ユニット(16)と、
を備え、
前記制御ユニット(16)は、指令された位置(P)の前記データセット(DS)に従って、前記1つまたは複数の可動動作要素(2)の前記位置を変更することにより、前記支援設計環境(14)において前記1つまたは複数の可動動作要素(2)の前記動作をシミュレートするように構成されている、
装置。
【請求項11】
前記第1プロセッサー(12)、前記第2プロセッサー(15)、および前記制御ユニット(16)が、同一のコンピューターに含まれる、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本特許出願は、2023年3月29日に出願されたイタリア特許出願第102023000006141号からの優先権を主張するものであり、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、消費者製品を製造または包装するための自動機械の少なくとも一部の動作をシミュレートする方法に関する。本発明は、限定するものではないが、パック製造用自動機械の動作シミュレーションに有利に適用することが可能であり、これについては、一般性を失うことなく、以下の説明で明示的に説明する。
【背景技術】
【0003】
自動製造機械は、通常、複数のアクチュエーターを備え、これらのアクチュエーターは、消費者製品(例えば、シガレットパック、食品、衛生吸収性物品等)に作用して、それらの形状、構造または位置を変化させる。一般的に、上記アクチュエーターは、電気モーターまたは空気圧シリンダーであり、消費者製品を加工するように設計された、様々な形状および寸法を有する機械部品に一体的に接続されている。生産量の継続的な増加のため、自動機械は、より小型でより複雑な動作を行わなければならない機械部品であるという点でも、モーターまたはセンサーなどの自動機械の能動部品が増加しているという点でも、ますます複雑になっている。このような複雑化により、メーカーは設計上の問題やエラーをシミュレーションによって特定し、解決することが難しくなる。シミュレーションは通常、モーションコントローラーを用いて行われるが、このコントローラーはシミュレーションの出力として、必ずしも読みやすいとは言えないグラフを提供する。換言すれば、自動機械のアクチュエーターの動作のデバッグは、現在、そのロジックを示す(直感的とは言い難い)オシロスコープのグラフによって行われている。
【0004】
しかしながら、このようなグラフでは、ユーザーがラストフォロア(last followers)の動作を詳細に理解することは困難であり、ラストフォロアは、減速ユニットやクランク機構によってモーターに接続されていることが多い。その結果、衝突が起こりうる共有スペースのラストフォロアの動作モードを正確に理解することも難しくなる。
【0005】
この問題は、複数のマシンが連結して接続されている場合に明らかに悪化する。
【0006】
ここ数年、衝突の有無を確認するために、モーションコントローラーのシミュレーション環境(例えば、TwinCAT(登録商標))において、単純化されたグラフィックスの仮想ビジュアルモデルが開発された。
【0007】
しかしながら、これらのグラフィックの生成には、設計時間に加えて追加の時間が必要であり、その結果、マシンの納期が大幅に増加する。
【0008】
同時に、CAD(コンピューター支援設計)としても知られる3次元モデリングプログラムによって、自動機械の複数の部品を互いにリンクさせ、そのうちの1つが動くと他の部品も動くようにすることができる。これにより、設計者は、互いにリンクされた部品の正しい動きをテストすることができるが、異なるモーターで動作する部品(設計者は、例えば、マウスを使って手動で部品を動作させる)はテストすることができない。
【0009】
ここ数年、3次元モデリングプログラムによるシミュレーションがさらに進化し、設計者は、1つまたは複数の部品の位置が事前に定義された方法で更新される、固定視点からのビデオを録画し、部品の動きをシミュレートできるようになった。しかしながら、この解決策は理論的な動作のテストに使用され、実際の動作、つまり自動機械の電気モーターを実際に制御するモーションコントローラーのプログラムに存在する動作のテストには使用されない。
【0010】
そのため、モーションコントローラー、PLC、産業用PCのロジックレベルで、動作の法則とそのプログラミング方法を同時に視覚的にデバッグできるシミュレーションを得ることは、多大な労力をかけなければ不可能である。
【0011】
そのため、3Dモデルの簡素化やモーションコントローラーの内部モデルの実装に何日もかけなくても、メーカーがコードの正しい実行/記述や設計された動作法則をチェックできるようなビジュアルシミュレーションの使い勝手を向上させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、消費者製品を製造または包装するための自動機械の少なくとも一部の動作をシミュレートするための方法を提供することにあり、本方法は、上述の欠点を少なくとも部分的に解消し、同時に、実施が容易かつ経済的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載の消費者製品を製造または包装するための自動機械の少なくとも一部の動作をシミュレートするための方法が提供される。また、上記方法を実施するための、消費者製品を製造または包装するための自動機械の少なくとも一部の動作をシミュレートするための装置が提供される。
【0014】
添付の特許請求の範囲には、本発明の好ましい実施形態が記載されており、本明細書の不可欠な部分を形成している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、本発明について、そのいくつかの非限定的な実施形態を示す添付図面を参照して説明する。
【
図1】
図1は、パックを製造するための自動製造機械の概略透視図である。
【
図2】
図2は、
図1の自動製造機の一部の仮想3次元モデルの概略透視図である。
【
図3】
図3は、より明瞭にするために細部を除去した、本発明による装置の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、消費者製品の製造のための自動機械1、特にシガレットパックの製造のための自動製造機械1を概略的に示している。
【0017】
図中、同じ番号および同じ参照文字は、同じ機能を持つ同じ要素または部品を示す。
【0018】
本発明の目的上、「第2」成分という用語は、「第1」成分の存在を意味するものではない。実際のところ、これらの用語は、明確性を向上させるためのラベルとして使用されているだけであり、限定的に解釈されるべきではない。
【0019】
図面を含む様々な好ましい実施形態に含まれる要素および特徴は、以下に説明するように、この理由のために本特許出願の保護範囲を超えることなく、互いに組み合わせることができる。
【0020】
自動機械1は、消費者製品3(
図1に示す実施形態では、シガレットパック4)を処理するように設計された複数の可動動作要素2を備える。特に、自動機械1は、一組のアクチュエーター6を備えた部品5(例えば、包装またはパック形成ユニット)を備え、各アクチュエーター6は、1つまたは複数の製品3に対して1つまたは複数の処理操作を実行するために、少なくとも1つのそれぞれの可動動作要素2に機械的に接続されている。
【0021】
添付の図に示すような、非限定的ではあるがいくつかの好ましい実施形態によれば、アクチュエーター6は電気モーター(特にブラシレス型)を備える。他の非限定的な実施形態によれば、アクチュエーター6は、電気モーター以外の動作要素空気圧シリンダーまたは油圧シリンダー、電気作動シリンダーなど)も備える。
【0022】
本発明の一態様によれば、消費者製品3を製造または包装するための自動機械1の第1部品5の動作をシミュレートするための装置7が提供される。特に、装置7は、自動機械1の回路内(例えば、産業用PCを備える制御パネル9のようなインターフェースデバイス8内)に備えられてもよいし、タブレット11や設計者用PCのようなモバイルシステム10内に配置することもできる。
【0023】
図2の非限定的な実施形態に示すように、装置7は、コンピューター支援設計環境14(公知の種類のCADプログラムとしても知られ、詳細には説明しないが、例えばInventor(登録商標)、Creo(登録商標)、Solid Edge(登録商標)など)において、動作をシミュレートする必要がある自動機械1の部品5の(仮想)3次元モデル13を定義するように構成された第1プロセッサー12を備える。
【0024】
例えば、第1プロセッサー12は、モバイルシステム10またはインターフェースデバイス8のプロセッサーまたはプロセッサーの1つ(特に、部品5の設計者のPCのプロセッサーの1つ)とすることができる。
【0025】
さらに、装置7は、好ましくは第2プロセッサー15を備え、この第2プロセッサー15は、自動機械1の部品5の1つまたは複数の可動動作要素2の動作を制御するためのソフトウェアSWを実行するように構成されている。
【0026】
特に、制御ソフトウェアSWは、使用時に、機械1の部品5の実際の動作を制御するように構成されている。換言すれば、動作制御ソフトウェアSWは、部品5が製造されると、部品5の可動動作要素2を動作させる電気モーター、あるいはアクチュエーター6を制御するプログラムである。
【0027】
ソフトウェアSWは、アクチュエーター6を直接制御するためと、機械1が組み立てられる前にアクチュエーター6、ひいては要素2の挙動をシミュレーションするために、第2プロセッサー15によって実行される。換言すれば、ソフトウェアSWは、実質的に、自動機械1の部品5(または自動機械1全体)の動作を制御するソフトウェアであり、設計段階では、通常、本明細書の冒頭で述べたオシロスコープグラフを得るために使用される。
【0028】
例えば、第2プロセッサー15は、モバイルシステム10またはインターフェースデバイス8のプロセッサーまたはプロセッサーの1つ(特に、部品5の設計者のPCのプロセッサーの1つ)とすることができる。
【0029】
さらに、装置7は制御ユニット16を備え、この制御ユニット16は、インターフェース17、好ましくはソフトウェアインターフェース(例えば、API)によって第1プロセッサー12を第2プロセッサー15に接続し、動作制御ソフトウェアSWから支援設計環境14にデータセットDS(所定の時点t1,t2,...,tnにおいて、1つまたは複数の可動動作要素2またはそれらに接続された要素のために、確立された指令された位置Pについて)を交換するように構成されている。
【0030】
いくつかの非限定的なケースでは、制御ユニット16は、好ましくは、第1プロセッサー12、第2プロセッサー15、およびインターフェース17を監視および制御する。
【0031】
好ましくは、限定するものではないが、第1プロセッサー12、第2プロセッサー15、および制御ユニット16は、例えば、タブレット11や設計者のPCなど、同じコンピューターに備えられる(あるいは、同じコンピューターとすることもできる)。
【0032】
特に、制御ユニット16は、指令された位置Pに関するデータセットDSに従って、1つまたは複数の可動動作要素2の(仮想3次元空間内の)位置を変更することによって、支援設計環境14における1つまたは複数の可動動作要素2の動作をシミュレートするように構成される。
【0033】
本発明のさらなる一態様によれば、消費者製品3を製造または包装するための自動機械1の少なくとも一部5の動作をシミュレートするためのコンピューター実装方法が提供される。
【0034】
この方法は、まず、コンピューター支援設計環境14において3次元モデル13を定義するステップを含む。この定義は、互いに接続および/またはリンクされた1つまたは複数のコンポーネントのインポート、環境14内でのコンポーネントの直接設計、またはこれらの活動の組み合わせによって実施することができる。これにより、特に、動作をシミュレートする必要があり、それぞれの1つまたは複数の可動動作要素2を含む自動機械の部品5の3次元モデル13が作成される。
【0035】
さらに、本方法は、自動機械1の部品5の1つまたは複数の可動動作要素2の動作を制御するためのソフトウェアSWをプログラミングまたはエクスポートするステップを含む。特に、上述したように、制御ソフトウェアSWは、使用時に、機械1の部品5の実際の動作を制御するように設計されている。
【0036】
この方法は、好ましくは、(
図2の非限定的な実施形態に示すように)連続する時点t1,t2,...,tnにおいて、
- 動作制御ソフトウェアSWの実行中に、1つまたは複数の可動動作要素2またはそれらに接続された要素18の所定の時点t1,t2,...,tnにおける、指令された位置Pに関するデータセットDSを抽出するステップと、
- 指令された位置Pに関するデータセットDSを支援設計環境14に伝達するステップと、
- 指令された位置Pに関するデータセットDSに従って1つまたは複数の可動動作要素2の位置を変更することにより、支援設計環境における1つまたは複数の可動動作要素2の移動をシミュレートするステップと、
を周期的に繰り返すことを含み、
特に、抽出ステップの間、第2プロセッサー15は、特定の時点t1,t2,...,tnにおいてソフトウェアSWによって、確立された位置Pに関するデータDSを含むソフトウェアインターフェーステーブル19を表示する。
【0037】
その後、インターフェース17は、好ましくは、ソフトウェアインターフェーステーブル19を取得し(必要であれば、所定のプロトコルに従ってそれを処理/翻訳し)、それを第1プロセッサー12に送信し、第1プロセッサー12は(制御ユニット16によって制御され)、テーブル19に含まれるデータDSに基づいて要素2の位置を変更し、その結果、環境14の3次元モデル13内の可動動作要素2の連続的な位置を瞬時にシミュレートする。このようにして、既知の方法に従って可動動作要素2および/またはそれに接続された他の仮想オブジェクトがソフトウェアインターフェーステーブル19に従って移動する間に、環境14の内部を移動することが可能になる。
【0038】
好ましくは、限定的な方法ではないが、支援設計環境14と実行中の動作制御ソフトウェアSWとの間の通信は、(インターフェース17を介して)リアルタイムで行われる。
【0039】
好ましくは、限定的な態様ではなく、
図3の非限定的な実施形態におけるように、支援設計環境14において、3次元モデル13の各可動動作要素2は、拘束された態様で、動作制御ソフトウェアSWによって(例えば、電動アクチュエーターの介在によって)動作されるように構成された少なくとも1つのシャフト20に接続されている。換言すれば、
図3の場合、可動動作要素2に接続された要素18は、それぞれのシャフト20である。
【0040】
好ましくは、いくつかの好ましい実施形態によれば、データセットDS、すなわちソフトウェアインターフェーステーブル19は、各可動動作要素2のそれぞれのシャフト20の指令された位置P、好ましくは絶対位置、好ましくは角度を含む。
【0041】
好ましくは、限定するものではないが、シャフト20は、アクチュエーター6のフォロワー/出力素子であり、したがって、例えば、電気モーターのローターに連結された減速ユニットの出力シャフトである。
【0042】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、支援設計環境14におけるシミュレーションの表示を軽くするために、抽出、伝達、およびシミュレーションの各ステップは、10ミリ秒以上の間隔、特に20ミリ秒以上の間隔で連続する時点で周期的に実行される。換言すれば、ソフトウェアインターフェーステーブル19におけるデータセットDSのサンプリング/リフレッシュ時間は、少なくとも10ミリ秒、特に20ミリ秒以上である。
【0043】
好ましくは、限定的な態様ではないが、この場合、シミュレーションの円滑な表示を可能にするために、この方法は、好ましくは、支援設計環境14を介して、同じ可動動作要素2の連続する位置Pを補間する(公知の技術による。したがって、詳細には説明しない)ステップをさらに含む。
【0044】
いくつかの好ましい非限定的な態様において、本方法は、(例えば、距離および/または干渉を計算するための、詳細には説明しない既知のツールを用いて)支援設計環境を用いて視覚的または機器的に検証するステップ、特に、動作制御ソフトウェアSWの動作を一時停止することによってシミュレートするステップを中断して、可動動作要素2間の距離および/または自動機械1の固定部品からの距離、および/または、共有ワークスペースの場合の可動動作要素2の動きの位相合わせ、および/または、位置の計算(特に、絶対位置の場合)において開始する可動動作要素2のゼロ点を検証するステップをさらに含む。実際に、仮想3次元モデル13のシャフト20に所定の絶対位置を仮定することにより、要素2とシャフト20(実際には、その後、ソフトウェアSWによって制御される)の間の環境13を通して設定できる機械的制約により、上述したことを視覚的に確認することができる。このようにして、電子カムの設計、ソフトウェア、あるいは単なるゼロ点の決定において起こり得るエラーを強調し、検出することができる。
【0045】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、自動機械1は、可動動作要素2(したがって、アクチュエーターも)の状態、位置およびダイナミクスを制御するように設計された制御ユニットと、トラックを記録する(即ち、自動機械1の動作を特徴付ける一連の動作変数を記録する)ように構成された、特にリアルタイムの記録システム(図示せず)と、を備える。例えば、記録システムは、コンピューター、プロセッサー、プリント回路基板等とすることができる。特に、自動機械1は、記録システムに接続された書き込み可能なメモリ(特に、不揮発性のもの)を備え、記録システムは、記録されるべき動作変数の値(即ち、トラック)をその上に書き込むことができる。
【0046】
好ましくは、限定的な方法ではないが、データセットDSは、実機1上での動作制御プログラムの実行中に抽出され、シミュレーションステップによってその動作を遠隔分析することができる。
【0047】
いくつかの非限定的なケースでは、記録された操作変数の値を含む記録されたトラックは、可動動作要素(または、換言すれば、シャフト20)の位置Pを含むソフトウェアインターフェーステーブル19(「中間テーブル」とも呼ばれる)を生成するために使用される。
【0048】
他の非限定的な例では、実機1がソフトウェアインターフェーステーブル19のためのデータを直接生成するように、実機1と装置7が(帯域制限がないと仮定して、インターネットを介して)直接接続されている。このようにして、自動機械1から離れた場所に立っているオペレータは、かなり離れた場所からでも、自動機械1で何が起きているか、何が起こったかを正確に見ることができ、自動機械製造業者のサービスコストや出張コストを削減することができる。
【0049】
好ましくは、限定するものではないが、これまでに開示したことに加えて、本方法は、動作制御ソフトウェアSWの実行中に、時点t1,t2,...,tnにおけるそれぞれの所定の位置における1つまたは複数の消費者製品3の存在または不在に関するデータセットDPを抽出するステップをさらに含む。換言すれば、本方法は、上記で開示されたソフトウェアインターフェーステーブル19のために使用されたものと同じ原理で、機械1の部品5の所与の位置にある物品に関連する論理的存在情報(存在/不在)を含む更なるソフトウェアインターフェーステーブル21(またはテーブル19の補強)を生成することを伴う。例えば、テーブル21の一行には、(
図3に示すように)ドラム23のシート22内のパック4の、時点t1における存在に関する正のデータ項目がある。
【0050】
結果として、限定的な態様ではないが、本方法は、存在または不在に関するデータセットDPを支援設計環境14に伝達するステップと、存在または不在に関するデータセットDPに基づいて、それぞれの所与の位置(例えば、シート22)における1つまたは複数の製品3の存在または不在を視覚的にシミュレートするステップと、をさらに含む。
【0051】
したがって、一般的に言えば、製品の有無に関する情報は、動作制御ソフトウェアSWの一部(自動機1の実際の取り扱いには役に立たないため、シミュレーション後は無効にされる)によって、いずれにせよ架空の方法で生成される。
【0052】
使用中、各設計者はそれぞれの開発環境で作業する(ソフトウェア設計者はソフトウェア開発環境で作業し、機械設計者は既知のCADプログラムによって環境14で作業する)。ソフトウェアSWは環境14とは無関係にアクチュエーター6を動かし、環境14は仮想アクチュエーター6に設定されるべき位置をリアルタイムで受け取る(インターフェース17およびソフトウェアインターフェーステーブル19を通して)。テーブル19の更新時間が長い場合、シミュレーション環境14の負荷を軽減するために、連続する時点t1,t2,...,tnにおける位置は互いに補間され、設計者は、ソフトウェアSWが実際の自動機械1をどのように動作させるかを正確に確認することができる。
【0053】
図2の非限定的な実施形態は、例示的に、3つの連続する時点t1,t2,...,tnを示しており、この3つの連続する時点t1,t2,...,tnにおいて、第1プロセッサー15は、それぞれ連続する時点1,2,...,nにおける軸M1,M2,...,Mnの位置X,Y,...,Nを含む3つのそれぞれのソフトウェアインターフェーステーブル19をインターフェースに提供する。これらの位置は、各軸(即ち、アクチュエーター6)について、好ましくは、必ずしも角度単位ではないが、第1プロセッサー12に送られ、第1プロセッサー12は、仮想モデル13のアクチュエーター6の連続位置として設定する。
【0054】
図3の非限定的な実施形態は、複数の可動動作要素2(特に、2つの押し要素(pushing element)24と2つのドラム23)がシート22の領域で作業領域を共有する自動機械1の部品5を示している。特に、フォロワーシャフト20の位置が設定され、フォロワーシャフト20は、環境14において、ドラム23の場合のように直接的に、またはシャフト20を押し要素に接続するピニオンとラックの場合のように三点支持機構を介して、可動動作要素2に接続される。
【0055】
装置7は、上述の方法を実行するように構成されている(したがって、プログラムされている)。
【0056】
上述した本発明が特に正確な実施形態に関するものであるとしても、その保護範囲は、例えば、さらなるステップの追加、ソフトウェアインターフェーステーブルの異なる種類の生成の追加、アクチュエーターの位置を求めるための異なる種類の計算の追加、または異なる種類のシミュレーションの追加、上述した以外のモデルまたはアルゴリズムの使用など、当業者にとって明らかであろう全ての変形、変更または簡略化を含むものであるため、例示的な実施形態に限定されるものと考えられるべきではない。
【0057】
本発明には多くの利点がある。
【0058】
第一に、ソフトウェア設計環境と機械設計環境(CAD)との通信を可能にし、特に設計者がソフトウェアSWの正しさをチェックできるようにする。
【0059】
さらに、機械のゼロ点が正しいか否かは、機械を組み立てる前にテストすることができ、電動アクチュエーターの制御は、自動機械を組み立てる前に検証することができる。
【0060】
さらに、本発明は、起こり得る故障、特に散発的な故障の解決効率を向上させるため、技術者がアクチュエーターに影響する問題を解決するために出張する必要がなくなる。
【0061】
特に、上記に開示された方法により、予期せぬ望ましくない事象をリアルタイムで、あるいは実際に発生した後で、いずれにせよ遠隔操作でチェックすることができる。
【0062】
さらに、本発明は、機械が稼動している間に、稼動変数の記録または伝送がオンラインで行われるため、必ずしも生産を停止することなく、散発的な問題を解決することができる。
【0063】
最終的に、本発明はソフトウェアの構造を強化し、自動機械の設計中に予期せぬ事態が発生した場合、おそらくは異なる部門間のコミュニケーションの誤りや失敗による予期せぬ動作状態をメーカーが特定できるようにする。このような予期せぬ事態を発見し解決することは、他の方法では非常に難しい。なぜなら、これらの不具合は、組み立てられた自動機械のテスト中にしか発見できず、その結果、納品が遅くなってしまうからである。
【符号の説明】
【0064】
1 自動機械
2 動作要素
3 消費者製品
4 パック
5 部品
6 アクチュエーター
7 装置
8 インターフェースデバイス
9 制御パネル
10 モバイルシステム
11 タブレット
12 第1プロセッサー
13 3次元モデル
14 設計環境
15 第2プロセッサー
16 制御ユニット
17 インターフェース
18 接続された要素
19 ソフトウェアインターフェーステーブル
20 シャフト
21 ソフトウェアインターフェーステーブル
22 シート
23 ドラム
24 押し要素
DP 存在データセット
DS 位置データセット
P 指令された位置
SW 動作制御ソフトウェア
t1 時点
t2 時点
tn 時点
【外国語明細書】