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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156618
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】医療ライン用バルブコネクタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20241029BHJP
   A61M 39/26 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A61M39/10 120
A61M39/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024063120
(22)【出願日】2024-04-10
(31)【優先権主張番号】102023000006996
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】507028619
【氏名又は名称】インドゥストリー・ボルラ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】Industrie Borla S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】グアラ,ジャンニ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、医療ライン用、例えば輸液物質用イントロデューサを介した輸液ライン用のバルブコネクタに関するものであり、典型的には例えば無針注射器のルアー又はルアーロックコネクタに関する。
【解決手段】輸液医療ライン用のバルブコネクタは、入口12と出口6とを画定するベース1および蓋2と、プレスリット26が設けられ、通常は入口に配置されており、非作動状態でコネクタを閉じる、ヘッド22を有する内部弾性要素3とを含む。ベースは、複数のラジアルスロット20を有する閉鎖末端17を有する中空ピン7で形成されており、弾性要素は、弾性要素がコネクタの作動した開状態に向かって変位する間に、ベース1の環状空間10内で牽引を受けて変形するコンボリュート28で形成された端部保持部24を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療輸液ライン用のバルブコネクタであって、前記バルブコネクタは、
互いに同軸に接合されるベース(1)と蓋(2)とからなっており、入口(12)と出口(6)とを画定する、軸方向に長尺の管状体(C)であって、前記ベースが、前記出口(6)と連通し、前記蓋の中に突出する閉鎖末端(17)を有し、前記入口(12)と連通して配置されるようになされた側方通路(20)を有する、中空内部ピン(7)と同軸に形成されている、前記長尺の管状体と、
前記蓋(2)に沿って同軸に挿入される弾性要素(3)であって、
ラジアルプレスリット(26)を有しており、前記プレスリットが閉じられている閉状態における前記入口(12)内に通常配置されている、弾性ヘッド(22)であって、前記弾性ヘッド(22)は、前記入口(12)への流体イントロデューサ(S)の挿入後、前記中空ピン(7)の前記閉鎖末端(17)に向かって軸方向に変位可能であり、前記プレスリット(26)を開状態とさせる、前記弾性ヘッドと、
前記ヘッド(22)に接合されており、前記中空ピン(7)と摺動接触して前記中空ピン(7)の前記閉鎖末端(17)の前記側方通路(20)と前記入口(12)との間の連通を制御する内部環状ガスケット(26)を有する、管状ステム(23)と、
前記ベース(1)と前記蓋(2)との間でロックされる端縁(29)を有しており、前記弾性ヘッド(22)が前記閉状態から前記開状態に向かって軸方向に変位する間に牽引を受けて弾性変形可能となる部分(28)を介して前記管状ステム(23)に接合される、端部保持部(24)と
を含む前記弾性要素と
を備えており、
前記弾性ヘッド(22)は、前記プレスリット(26)が開く状態において、前記ベース(1)の前記中空ピン(7)の前記閉鎖末端(17)から軸方向に間隔を空けたままであり、
前記閉鎖末端(17)の前記側方通路は、前記弾性要素(3)の前記管状ステム(23)の前記内部環状ガスケット(26)と協働する外部滑動部(21)によって互いに隔てられた複数のラジアルスロット(20)からなっており、前記弾性ヘッド(22)が前記開状態に移動したとき、前記コネクタの前記入口(12)と前記出口(6)との間の連通を開放しており、
前記弾性要素(3)の前記端部保持部(24)は、前記弾性ヘッド(22)が前記閉状態から前記開状態へ変位する間に、前記ベース(1)の環状空間(10)内で牽引を受けて変形するコンボリュート(28)で形成されている、ことを特徴とする、バルブコネクタ。
【請求項2】
前記閉鎖末端(17)は、縮径された直径を有しており、前記ラジアルスロット(20)は、互いに3つの等角度に離れていることを特徴とする、
請求項1に記載のバルブコネクタ。
【請求項3】
前記弾性要素(3)の前記管状ステム(23)は内部において、周方向に一連の軸方向溝(35)が形成されていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のバルブコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療ライン用、例えば輸液物質用イントロデューサを介した輸液ライン用のバルブコネクタに関するものであり、典型的には例えば無針注射器のルアー又はルアーロックコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人名義の文献EP-1834665A1には、請求項1の序文に係るバルブコネクタが開示されており、このバルブコネクタは、ベースと蓋とが同軸に接合されて形成され、入口と出口とを画定する、軸方向に長尺の管状体を有する。ベースは、出口と連通し、蓋に突出する閉鎖末端を有し、入口と連通して配置されるようになされた側方通路を有する、一体中空ピンと同軸に形成されている。弾性要素は、蓋に沿って同軸に挿入されており、ラジアルプレスリットを有し、前記プレスリットが閉じられている閉状態における入口に通常配置されている、弾性ヘッドを含む。弾性ヘッドは、入口への流体イントロデューサの挿入後、中空ピンの閉鎖末端に向かって軸方向に変位し得、プレスリットを開状態とさせる。弾性要素の中間部分は、ヘッドに接合されており、中空ピンと摺動接触して中空ピンの閉鎖末端の側方通路と入口との間の連通を制御する内部環状ガスケットを有する、管状ステムからなる。さらに、弾性要素は、ベースと蓋との間でロックされる端縁を有しており、弾性ヘッドが閉状態から開状態に向かって軸方向に変位する間に牽引を受けて弾性変形可能となる部分を介して管状ステムに接合される、端部保持部で形成されている。
【0003】
欧州特許出願EP-1834665A1に係るこのコネクタは、入口端側で容易に洗浄および消毒可能(「綿棒でのふき取り可能」)であり、医療産業での使用に関連するいくつかの重要な要件を十分に満たしている。
【0004】
第1に、弾性要素のヘッドによって行われる管状体の入口端の効果的な密閉閉鎖が適切に保証されており、したがって、バルブコネクタの開閉が繰り返された後でも、完全な抗菌バリアを確実にする。
【0005】
第2に、イントロデューサの挿入時および取り外し時それぞれにおけるコネクタの入口と出口との間の連通の開閉動作は、バルブコネクタに接続された患者に重大な危険をもたらし得る不具合の危険がなく、信頼性があり、繰り返しが可能である。これは、可動機械部材の数が可能な限り低減されるという事実にも起因している。
【0006】
第3に、この公知のコネクタは、使用中にそこに発生し得る過大でない過圧にも十分に耐えることができ、閉状態又は非作動状態において、正圧および負圧に対する効果的な密閉を保証する。
【0007】
より高い内部過圧、100psi以上のオーダーの過圧でも確実に作動するコネクタの能力を高めるために、本出願人は、EP-2123322A1において、弾性中空要素の管状ステムの領域を取り囲み、弾性ヘッドが前述の閉状態と開状態との間で変位する間に管状本体の蓋において軸方向に摺動可能である、実質的に非伸張性の環状部材を有するコネクタを提供することを想定している。
【0008】
コネクタの作動の観点からはまったく満足のいくものであるが、この解決策は、その構成部品、特に一体的に接合された中空ピンを有するベースの成形およびその組み立てに関する建設的な課題を伴う。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、前述の文献EP-1834665A1およびEP-2123322A1から知られているバルブコネクタの改良を示しており、特に、バルブコネクタの構造を簡素化し、したがって、バルブコネクタの製造を簡素化する一方で、追加の部品を使用することなく、100psiのオーダーの値を広く超える内部過圧が発生した場合でも気密封止を確実にする能力をそのまま維持し、さらに改善することを目的とする。
【0010】
本発明のさらなる目的は、特に小さな寸法を有し、使用の柔軟性が改善されたバルブコネクタを提供することである。
【0011】
これらの目的は、本質的に以下の特有な特性の組み合わせによって達成される。
弾性ヘッドが、前記プレスリットが開く状態において、ベースの中空ピンの前記閉鎖末端から軸方向に間隔を空けたままであること、
前記閉鎖末端の側方通路が、弾性要素の管状ステムの前記内部環状ガスケットと協働する外部滑動部によって互いに隔てられた複数のラジアルスロットからなっており、前記弾性ヘッドが前記開状態に移動したときに前記コネクタの入口と出口との間の連通を開放すること、
弾性要素の端部保持部が、前記弾性ヘッドが前記閉状態から前記開状態に変位する間に、前記ベースの環状空間内で牽引を受けて変形するコンボリュートで形成されること。
【0012】
この構成のおかげで、本発明に係るコネクタは、その製造が著しく簡略化される構造の観点から最適化されるだけでなく、100psi以上のオーダーの値を超える内部過圧までその気密封止を確実にする能力に関する作動と非作動との迅速性および信頼性の両方に関して、動作の観点からも最適化される。
【0013】
ベースの中空ピンの閉鎖末端から弾性ヘッドが離れていることによって、本発明に係るバルブコネクタは、標準の長さよりもさらに長いルアーコーンのイントロデューサや、ルアースリップ型シリンジでも作動することができ、コネクタの使用の柔軟性が広がる。
【0014】
弾性要素の端部保持部の特有の形態は、バルブコネクタを作動させるステップの間、「バックリング」の影響を受けることなく、その最も正確な弾性変形を確実にする。
【0015】
コネクタのベースの特定の構成、特に中空ピンに一体的に接合された側方スロットの配置は、複雑な側方キャリッジの使用を避け、その射出成形を簡素化する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
次に、本発明を、純粋に非限定的な例として、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1】本発明に係るバルブコネクタの概略斜視図である。
図2】バルブコネクタを拡大した側面図である。
図3図2の軸方向断面図であり、非作動状態すなわち閉状態にあるバルブコネクタを示している。
図4図2の上面図である。
図5図1の分解図である。
図6図2の分解図である。
図7図6の軸方向断面図である。
図8】バルブコネクタのベースの斜視図である。
図9】バルブコネクタのベースを拡大した軸方向断面図である。
図10図9の詳細を拡大して示す。
図11a】本発明に係る出願人によって得られたバルブコネクタの非作動状態(a)におけるX線写真を示す。
図11b】本発明に係る出願人によって得られたバルブコネクタの部分的な作動状態(b)におけるX線写真を示す。
図11c】本発明に係る出願人によって得られたバルブコネクタの完全な作動状態(c)におけるX線写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照すると、本発明に係る輸液医療ライン用のバルブコネクタは、ベース1、蓋2、および内部シール弾性要素3の3つの構成要素を含む軸方向に長尺の管状体Cからなっている。概して、ベース1と蓋2とは、成形された硬質プラスチック材料でできており、弾性要素3は、例えばシリコーンゴムである。
【0019】
図示された実施例の場合、ベース1は、内ネジアウタージャケット4と、コネクタの出口6を画定する外円錐面を有する内軸タング5とを有するルアーロックアウター構成を有する。出口6の反対側において、軸タング5は、図8~10においてよく見える中空ピン7と共に蓋2の中に延びている。中空ピン7の軸方向長さは、後述で明らかとなる理由により制限されており、中空ピン7は、出口6の反対側において、ラジアル壁18によって閉じられた縮径末端17を有する。図8図10でよく見えるように、縮径の末端17は、その基部において、互いに等角度に離れており、スライド状の外部中間突起21によって隔てられている、3つのラジアルスロット20を有する。
【0020】
ベース1のジャケット4は、出口6とは反対側に、中空ピン7の大部分を取り囲む部分9を伴って延びており、環状空間10を画定している。部分9の端縁は、蓋2をその広がった軸方向付属部11を介して固定し接合するために、直径方向に対向する一対の軸方向溝36によって横断される段差状形状19を有する。
【0021】
蓋2は、一般的な従来の方法で、例えば無針注射器からなる流体イントロデューサの雄型ルアーロック接続部材(図示せず)と係合するための雌型ルアーロック接続部材を形成する形状の入口端12を有する。中空ピン7の軸方向長さが短縮されているため、本発明に係るバルブコネクタは、内部で規定の最大公差を超える長さを有する流体イントロデューサ、およびルアースリップタイプの注射器にも有利に使用され得る。
【0022】
蓋2の入口端12は、ラジアルフランジ14を介して、広がった軸方向付属部11に接合された概して円筒形の中間管状部分13に接続されている。このようなラジアルフランジ14は、以下でその機能が明らかにされる保持環状座16を画定するように、ベース2の末端軸方向突出部15と軸方向に対向して配置される。
【0023】
弾性要素3は、単一のピースにおいて、中空弾性ヘッド22と、管状ステム23と、カップリングベース24とを有する。その概略的な形状、特に外側の形状は、蓋2の内側の形状に実質的に対応しており、その中に収容されている。したがって、弾性ヘッド22は、それをそこに収容するように、入口端12の内面と相補的な円筒外面を有しており、図3に示すように、実質的に径方向のクリアランスを伴わず、つまり干渉を伴って、このような端部22は、入口端12と面一の末端ラジアル壁25で終端する。
【0024】
末端壁25を貫通しており、入口端12における弾性ヘッド22の閉状態において閉鎖が維持される、プレスリット又はラジアル刻印26が形成される。このような状態では、バルブコネクタの内部と外部との間において防水の抗菌保護バリアが得られる一方で、消毒液で浸されたコットンを使って従来行われていた効果的な洗浄の実現性を確実にする。
【0025】
管状ステム23は内部において、周方向に一連の軸方向溝35が形成されており、軸方向に互いに間隔が空けられており中空ピン7の表面に対して摺動密封接触して配置された一対のリリーフ又は内部シールリング26、27が形成されている。詳細には、より小さな直径を有するシールリング26は、タング17の領域に位置しており、図3に示されるコネクタが閉じる状態である非作動状態において、入口12から出口6への流れ方向に関してスロット20の上流側に位置する。直径の小さい他方のシールリング27は、スロット20の下流側に位置する。
【0026】
弾性要素3のカップリングベース24は、低い厚さを有し、蓋2のラジアル部分14とベース1の末端軸方向突出部15との間に構成された環状座16に挿入されロックされた折り返し縁29で終端する、ラペル又はコンボリュート28を有する。
【0027】
使用中、管状コネクタが作動していないとき、弾性要素3のヘッド22は、入口端12を気密封止しており、リング26は、ヘッド22をスロット20から、すなわち出口6から密封的に隔離している。基本的にこの状態では、弾性リング26と弾性リング27とは、コネクタのさらなる二重の安全な気密封止として作用する。この状態はまた、図11bおよび図11cと同様に、本発明に係る本出願人によって製造されたバルブコネクタのX線写真を表す図11aのX線写真の表現に現実的に示されている。
【0028】
図11bのX線写真に示されるように、無針注射器又はルアーコーンイントロデューサ(図11bおよび図11cにおいてSで示される)の端部が弾性ヘッド22に対して前方に配置され、したがって入口端12に挿入されると、カップリングベース24のコンボリュート28が弾性的に延び始める牽引によって変形し、管状ステム23の下部をベース1の環状空間10に徐々に侵入させる。弾性ヘッド22はしたがって、コネクタの内部に向かって軸方向に変位し、入口端12から外れて、プレスリット26を拡張させ確実に開口させる。同時に起こる弾性要素3の管状ステム23の変形は、図11bに示すように、中空ピン7のタング17の滑動部21上をスライドし、スロット20の下流側に配置され、したがって入口端12と出口6との間の連通を開放する、シールリング26の出口6へ向かう対応する変位を引き起こす。
【0029】
イントロデューサSの挿入を続けると、コンボリュート28は、図11cに示されるように、環状空間10全体を管状ステム23の下部が実質的に占めるまで、伸び続ける。挿入が終わると、流れの開口は、入口端12から、完全に開いたプレスリット26と完全に空いたスロット20とを通る出口6まで最大となる。
【0030】
弾性要素3のカップリングベース24のコンボリュート28の特有の形状は、バルブコネクタを作動させるステップの間、「バックリング」の影響を受けることなく、その最も正確な弾性変形を確実にする。
【0031】
このような状態において、弾性ヘッド22は、中空ピン7のタング17の末端壁18から軸方向に間隔を空けたままであることが観察されるべきであり、このことは、上述したように、特に長いイントロデューサであっても本発明に係るバルブコネクタを使用することを有利に可能とする。
【0032】
イントロデューサSが入口端12から取り外されると、コンボリュート28の弾性復帰により、バルブコネクタの閉鎖構成が速やかに復元され、弾性ヘッド22が再び入口端12内に戻ってプレスリット26を閉じ、シーリングリング26が再びスロット20の上流側に配置される(図11a)。
【0033】
明らかに、構造の詳細および実施形態は、特許請求の範囲に定義された本発明の保護範囲から逸脱することなく、記載および図示されたものに関して広く変化し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
【外国語明細書】