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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156665
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】タンパク質をコードするRNA
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20241029BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20241029BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20241029BHJP
   C12N 15/53 20060101ALI20241029BHJP
   C12N 15/19 20060101ALI20241029BHJP
   C12N 15/16 20060101ALI20241029BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20241029BHJP
   C12N 15/57 20060101ALI20241029BHJP
   C12N 15/56 20060101ALI20241029BHJP
   C12N 15/61 20060101ALI20241029BHJP
   C12N 15/54 20060101ALI20241029BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 38/18 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20241029BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241029BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 38/30 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20241029BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/11 Z
C12N15/12
C12N15/53
C12N15/19
C12N15/16
C12N15/24
C12N15/57
C12N15/56
C12N15/61
C12N15/54
C12N15/85 Z
A61K38/19
A61K38/18
A61K38/22
A61P21/00
A61P43/00 105
A61K48/00
A61K31/7105
A61K38/30
A61K35/76
C12N15/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】42
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024106599
(22)【出願日】2024-07-02
(62)【分割の表示】P 2021535281の分割
【原出願日】2019-12-18
(31)【優先権主張番号】18214221.6
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19208066.1
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521265726
【氏名又は名称】ヴェルサメブ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】セルバライ, ジュスタン アントニー
(72)【発明者】
【氏名】シャフハウザー, エルベ
(72)【発明者】
【氏名】メッツガー, フリードリヒ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNA、ならびにタンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸を含む転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクターを提供する。
【解決手段】5’から3’方向に以下の順番で、i)シグナルペプチドおよびii)タンパク質をコードする核酸配列を含むmRNAであって、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2.2に等しいかまたはそれを超える平均疎水性スコアを有し、疎水性スコアは、カイト-デューリトルのスケールにより計算され、かつ、シグナルペプチドは、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであり、シグナルペプチドは、長さ16から40アミノ酸のアミノ酸配列からなり、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、mRNAが提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAであって、
シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される、mRNA。
【請求項2】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9が、6.1またはそれ未満の平均極性を有する、請求項1に記載のmRNA。
【請求項3】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の9つのアミノ酸の平均疎水性スコアが、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の平均疎水性スコアより少なくとも1.0単位低い、請求項1または2に記載のmRNA。
【請求項4】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9、アミノ酸2~10、アミノ酸3~11、アミノ酸4~12およびアミノ酸5~13が、それぞれ1.5を超える平均疎水性スコアを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項5】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸8~16の平均疎水性スコアが、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸3~11の平均疎水性スコアに等しいかまたはそれより低い、請求項1から4のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項6】
シグナルペプチドが、長さ18~40アミノ酸のアミノ酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸10~18の平均疎水性スコアは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸3~11の平均疎水性スコアより少なくとも0.5単位低い、請求項1から4のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項7】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の9つのアミノ酸の平均疎水性スコアが、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸3~11の平均疎水性スコアより少なくとも1.5単位低い、請求項1から6のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項8】
シグナルペプチドのアミノ酸配列の任意の9つの連続するアミノ酸の平均疎水性スコアが、4.1を超えない、請求項1から7のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項9】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の9つのアミノ酸が、負の疎水性スコアを有する少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項10】
負の疎水性スコアを有する少なくとも1つのアミノ酸が、G、Q、N、T、S、R、K、H、D、E、P、YおよびWからなる群から選択される、請求項9に記載のmRNA。
【請求項11】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の2番目のアミノ酸が、P、Y、W、S、T、G、A、M、C、F、L、VおよびIからなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項12】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の2番目のアミノ酸が、A、L、S、T、VおよびWからなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項13】
シグナルペプチドが、ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質に相同な修飾されたシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の平均疎水性スコアは、修飾を含まないシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の平均疎水性スコアより少なくとも1.0単位高い、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドである、請求項1から12のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項14】
疎水性スコアが、カイト-デューリトルのスケールに従って計算され、極性が、ジマーマンの極性インデックスに従って計算される、請求項1から13または2から13のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項15】
シグナルペプチドが、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、ニューロトロフィン-3(NTF-3)のシグナルペプチド、線維芽細胞増殖因子5(FGF5)のシグナルペプチド、インスリン様成長因子結合タンパク質5(IBP5)のシグナルペプチド、前立腺および精巣発現タンパク質2(PATE2)のシグナルペプチド、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(SOD3)のシグナルペプチド、および補体因子H関連タンパク質2(FHR2)のシグナルペプチドからなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである、請求項1から14のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項16】
シグナルペプチドが、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、C-X-Cモチーフケモカインリガンド12(CXCL12)のシグナルペプチド、インスリン増殖因子2(IGF2)のシグナルペプチド、インスリン(INS)のシグナルペプチド、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドからなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである、請求項1から14のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項17】
シグナルペプチドが、ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドおよび前記タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)のシグナルペプチドおよびIGF1、インスリンのシグナルペプチドおよびINS、エリスロポエチン(EPO)のシグナルペプチドおよびEPO、インターロイキン4(IL-4)のシグナルペプチドおよびIL-4、ならびにインターロイキン10(IL-10)のシグナルペプチドおよびIL-10からなる群から選択される、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドである、請求項1から14のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項18】
シグナルペプチドが、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、天然に存在するアミノ酸配列は、インスリン増殖因子1(IGF1)のプロペプチド、グルカゴン受容体(GL-R)のコード配列および腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)のプロペプチドからなる群から選択される、天然に存在するアミノ酸配列である、請求項1から14のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項19】
シグナルペプチドが、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドを使用した場合の分泌タンパク質の量は、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドを使用した場合の前記分泌タンパク質の量より多い、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである、請求項1から18のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項20】
シグナルペプチドが、ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質に相同な修飾されたシグナルペプチドを使用した場合の分泌タンパク質の量は、修飾を含まない前記タンパク質に相同なシグナルペプチドを使用した場合の前記分泌タンパク質の量より多い、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドである、請求項1から18のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項21】
シグナルペプチドが、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列を使用した場合の分泌タンパク質の量は、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドを使用した場合の前記分泌タンパク質の量より多い、天然に存在するアミノ酸配列である、請求項1から18のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項22】
シグナルペプチドが、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、必要に応じて、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドのアミノ酸配列のアミノ酸の数の50%未満の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである、請求項1から21のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項23】
シグナルペプチドが、ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドのアミノ酸配列のアミノ酸の数の50%未満の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドである、請求項1から21のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項24】
シグナルペプチドが、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて、天然に存在するアミノ酸配列のアミノ酸配列のアミノ酸の数の50%未満の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列である、請求項1から21のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項25】
タンパク質が、サイトカイン、増殖因子およびホルモンからなる群から選択される、請求項1から24のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項26】
シグナルペプチドが、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであり、前記タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)、インスリン(INS)、エリスロポエチン(EPO)、インターロイキン-4(IL-4)およびインターロイキン-10(IL-10)からなる群から選択される、請求項1から25のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項27】
シグナルペプチドが、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質は、IGF1である、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである、請求項1から25のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項28】
シグナルペプチドが、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質は、IGF1である、天然に存在するアミノ酸配列である、請求項1から27のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項29】
シグナルペプチドが、長さ16~40アミノ酸のアミノ酸配列を含む、請求項1から5および請求項7から28のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項30】
タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸を含む転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクターであって、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される、転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクター。
【請求項31】
請求項1から29のいずれか一項に記載のmRNAおよび/または請求項30に記載の転写単位、発現ベクターもしくは遺伝子治療用ベクターを含む治療用組成物。
【請求項32】
請求項1から29のいずれか一項に記載のmRNAおよび/もしくは請求項30に記載の転写単位、発現ベクターもしくは遺伝子治療用ベクター、ならびに/または請求項31に記載の治療用組成物および使用説明書、必要に応じてベクターマップ、必要に応じて宿主細胞、必要に応じて宿主細胞の培養のための培地、および/もしくは必要に応じてトランスフェクトされた宿主細胞を選択および培養するための選択培地を含むキット。
【請求項33】
i)タンパク質;および
ii)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド
をコードする核酸配列を含むmRNAであって、
前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、mRNA。
【請求項34】
i)タンパク質;および
ii)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド
をコードする核酸配列を含むmRNAであって、
前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、前記タンパク質は、カルボキシペプチダーゼ;サイトカイン;細胞外のリガンドおよび輸送体;細胞外マトリックスタンパク質;グルコシダーゼ;グリコシルトランスフェラーゼ;増殖因子;増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;ホルモン;ヒドロラーゼ;免疫グロブリン(immunoglobin);イソメラーゼ;キナーゼ;リアーゼ;金属酵素阻害剤;メタロプロテアーゼ;乳タンパク質;神経刺激性タンパク質;プロテアーゼ;プロテアーゼ阻害剤;タンパク質ホスファターゼ;エステラーゼ;トランスフェラーゼ;および血管作動性タンパク質からなる群から選択される、mRNA。
【請求項35】
タンパク質が、サイトカイン;増殖因子;増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;ホルモン;神経刺激性タンパク質;および血管作動性タンパク質からなる群から選択される、請求項33または34に記載のmRNA。
【請求項36】
タンパク質が、増殖因子である、請求項33または34に記載のmRNA。
【請求項37】
増殖因子が、AMH、ARTN、BTC、CDNF、CFC1、CFC1B、CHRDL1、CHRDL2、CLEC11A、CNMD、EFEMP1、EGFL6、EGFL7、EGFL8、EPGN、EREG、EYS、FGF1、FGF10、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF2、FGF20、FGF21、FGF22、FGF23、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FRZB、GDNF、GFER、GKN1、HBEGF、IGF1、IGF2、INHA、INHBA、INHBB、INHBC、INHBE、KITLG、MANF、MDK、MIA、NGF、NOV、NRG1、NRG2、NRG3、NRG4、NRTN、NTF3、NTF4、OGN、PDGFA、PDGFB、PDGFC、PDGFD、PGF、PROK1、PSPN、PTN、SDF1、SDF2、SFRP1、SFRP2、SFRP3、SFRP4、SFRP5、TDGF1、TFF1、TGFA、TGFB1、TGFB2、TGFB3、THBS4、TIMP1、VEGFA、VEGFB、VEGFC、VEGFD、およびWISP3からなる群から選択される、請求項36に記載のmRNA。
【請求項38】
タンパク質が、IGF1である、請求項33または34に記載のmRNA。
【請求項39】
脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドが、配列番号31で示されるアミノ酸配列を含む、請求項33から38のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項40】
タンパク質をコードする核酸配列、および前記タンパク質にとって異種の脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列が、作動可能に連結されている、請求項33から39のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項41】
5’から3’に以下の順番で、
i)脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド;
ii)必要に応じて、タンパク質のプロドメイン;および
iii)成熟タンパク質
をコードする核酸配列を含み、
脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列、必要に応じた
タンパク質のプロドメインをコードする核酸配列、および成熟タンパク質をコードする核酸配列は、作動可能に連結されている、請求項33から40のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項42】
IGF1のプロペプチドをコードする核酸配列、成熟IGF1をコードする核酸配列、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、IGF1のEペプチドをコードする核酸配列を含まない、請求項33から41のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項43】
脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドが、タンパク質の天然シグナルペプチドを置き換えている、請求項33から42のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項44】
タンパク質および前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクターであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクター。
【請求項45】
タンパク質および前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクターであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、前記タンパク質は、カルボキシペプチダーゼ;サイトカイン;細胞外のリガンドおよび輸送体;細胞外マトリックスタンパク質;グルコシダーゼ;グリコシルトランスフェラーゼ;増殖因子;増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;ホルモン;ヒドロラーゼ;免疫グロブリン(immunoglobin);イソメラーゼ;キナーゼ;リアーゼ;金属酵素阻害剤;メタロプロテアーゼ;乳タンパク質;神経刺激性タンパク質;プロテアーゼ;プロテアーゼ阻害剤;タンパク質ホスファターゼ;エステラーゼ;トランスフェラーゼ;および血管作動性タンパク質からなる群から選択される、転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクター。
【請求項46】
請求項33から43のいずれか一項に記載のmRNAおよび/または請求項44または45に記載の転写単位、発現ベクターもしくは遺伝子治療用ベクターを含む治療用組成物。
【請求項47】
請求項33から43のいずれか一項に記載のmRNAもしくは請求項44または45に記載の転写単位、発現ベクターもしくは遺伝子治療用ベクター、および/または請求項46に記載の治療用組成物および使用説明書、必要に応じてベクターマップ、必要に応じて宿主細胞、必要に応じて宿主細胞の培養のための培地、および/もしくは必要に応じてトランスフェクトされた宿主細胞を選択および培養するための選択培地を含むキット。
【請求項48】
医薬として使用するための、請求項1から28または33から43のいずれか一項に記載のmRNA、請求項30または44から45のいずれか一項に記載の転写単位、発現ベクターもしくは遺伝子治療用ベクター、請求項31または46に記載の治療用組成物、または請求項32または47に記載のキット。
【請求項49】
骨格筋損傷を処置するための方法での使用のための、請求項1から29または請求項38もしくは42のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項50】
骨格筋損傷を処置する方法での使用のためのmRNA。
【請求項51】
骨格筋損傷を処置する方法での使用のためのmRNAを含む治療用組成物。
【請求項52】
mRNAが、ヒトインスリン様成長因子1(IGF1)をコードするmRNAである、請求項50または51に記載の使用のためのmRNAまたは組成物。
【請求項53】
ヒトIGF1をコードするmRNAが、シグナルペプチドをコードする核酸配列、必要に応じてヒトIGF1のプロペプチドをコードする核酸配列、および成熟ヒトIGF1をコードする核酸配列を含む、請求項52に記載の使用のためのmRNAまたは組成物。
【請求項54】
シグナルペプチドをコードする核酸配列が、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする、請求項53に記載の使用のためのmRNAまたは組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAであって、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される、mRNAに関する。
【0002】
本発明はさらに、i)タンパク質;およびii)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、mRNAに関する。また本発明は、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む転写単位または発現ベクターであって、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される、転写単位または発現ベクターにも関する。また本発明は、前記タンパク質にとって異種のタンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む転写単位または発現ベクターであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドである、転写単位または発現ベクターにも関する。また本発明は、mRNA、および/または転写単位もしくは発現ベクターを含む、治療用組成物およびキットにも関する。また本発明は、医薬として使用するための、mRNA、転写単位または発現ベクター、治療用組成物および/またはキットにも関し、特に、医薬として使用するための、i)IGF1;およびii)脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAにも関する。また本発明は、骨格筋損傷を処置する方法での使用のためのmRNAおよびその治療用組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
これまでに、コードされたタンパク質の発現および分泌の収量を増加させるために、様々な試みが、特にインビトロおよび/またはインビボの両方での改善された発現系の使用によって、なされてきた。一般的に先行技術に記載された発現および分泌を増加させるための方法は、慣習的に、特異的なプロモーターおよび対応する調節エレメントを含有する発現ベクターまたはカセットの使用に基づく。これらの発現ベクターまたはカセットは、典型的には特定の細胞系に限定されるため、これらの発現系は、異なる細胞系で使用する場合、適合させる必要がある。次いでこのような適合させた発現ベクターまたはカセットは通常、細胞にトランスフェクトされ、典型的には特定の細胞株に応じて処置される。それ故に、主として、特定の細胞型に特異的なプロモーターおよび調節エレメントから独立した細胞に固有の系によって、標的細胞においてコードされたタンパク質を発現することができる、mRNAのような核酸分子が選ばれる。この状況において、mRNAを安定化するエレメントと、mRNAの翻訳効率を増加させるエレメントを区別することができる。例えば、WO02/098443は、一般的な形態で安定化され、そのコード化領域において翻訳に最適化されたmRNAを記載している。WO02/098443はさらに、配列修飾を決定するための方法を開示している。WO02/098443は、加えて、配列のグアニン/シトシン(G/C)含有量を増加させるためにmRNA配列中のアデニンおよびウラシルヌクレオチドを置換する可能性を記載している。この状況において、WO02/098443は、概して、このような修飾に関する塩基配列としての配列に言及しており、修飾されたmRNAは、処置しようとする患者で翻訳される少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドまたはポリペプチドを、例えば、間違いがまったくないか、または不十分に、または多少の間違いを含んでのいずれかでコードする。コードされたタンパク質の発現を増加させるためのさらなるアプローチにおいて、WO2007/036366号出願は、長いポリ(A)配列(特に120bpより長い)ならびにmRNA安定性および翻訳活性へのベータグロビン遺伝子の少なくとも2つの3’非翻訳領域の組合せのプラスの作用を記載している。当業界における全ての進歩にもかかわらず、無細胞の系、細胞または生物体(組換え発現)におけるコードされたタンパク質の効率的な発現、特に効率的な分泌は、それでもなお挑戦しがいのある課題である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAであって、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される、mRNAを提供する。
【0005】
本発明はさらに、
i)タンパク質;および
ii)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド
をコードする核酸配列を含むmRNAであって、
前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、mRNAを提供し、特に、本発明は、
i)タンパク質;および
ii)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド
をコードする核酸配列を含むmRNAであって、
前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、前記タンパク質は、カルボキシペプチダーゼ;サイトカイン;細胞外のリガンドおよび輸送体;細胞外マトリックスタンパク質;グルコシダーゼ;グリコシルトランスフェラーゼ;増殖因子;増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;ホルモン;ヒドロラーゼ;免疫グロブリン;イソメラーゼ;キナーゼ;リアーゼ;金属酵素阻害剤;メタロプロテアーゼ;乳タンパク質;神経刺激性タンパク質;プロテアーゼ;プロテアーゼ阻害剤;タンパク質ホスファターゼ;エステラーゼ;トランスフェラーゼ;および血管作動性タンパク質からなる群から選択される、mRNAを提供する。
【0006】
本発明はさらに、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む転写単位または発現ベクターであって、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される、転写単位または発現ベクターを提供する。
【0007】
本発明はさらに、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のタンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む転写単位または発現ベクターを提供する。本発明はさらに、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、タンパク質は、カルボキシペプチダーゼ;サイトカイン;細胞外のリガンドおよび輸送体;細胞外マトリックスタンパク質;グルコシダーゼ;グリコシルトランスフェラーゼ;増殖因子;増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;ホルモン;ヒドロラーゼ;免疫グロブリン;イソメラーゼ;キナーゼ;リアーゼ;金属酵素阻害剤;メタロプロテアーゼ;乳タンパク質;神経刺激性タンパク質;プロテアーゼ;プロテアーゼ阻害剤;タンパク質ホスファターゼ;エステラーゼ;トランスフェラーゼ;および血管作動性タンパク質からなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のタンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む転写単位または発現ベクターを提供する。本発明はさらに、上述のmRNAおよび/または転写単位もしくは発現ベクターを含む治療用組成物を提供する。本発明はさらに、上述のmRNA、転写単位または発現ベクターおよび/または治療用組成物、ならびに使用説明書、必要に応じてベクターマップ、必要に応じて宿主細胞、必要に応じて宿主細胞の培養のための培地、および/もしくは必要に応じてトランスフェクトされた宿主細胞を選択および培養するための選択培地を含むキットを提供する。本発明はさらに、医薬として使用するための、上述のmRNA、転写単位または発現ベクター、治療用組成物またはキットを提供する。本発明はさらに、医薬として使用するための、i)IGF1;およびii)脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAを提供する。本発明はさらに、骨格筋損傷を処置する方法での使用のための、mRNAまたはmRNAを含有する治療用組成物を提供する。
【0008】
本発明者らは、驚くべきことに、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAであって、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される、mRNAは、タンパク質およびその天然の相同なシグナルペプチドをコードするmRNAでトランスフェクトされた細胞によるタンパク質の分泌と比較して、このmRNAでトランスフェクトされた細胞によるタンパク質のより効率的な分泌を提供することを見出した。特に、本発明者らは、驚くべきことに、i)タンパク質;およびii)前記タンパク質にとって異種のBDNFシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAは、タンパク質の天然の相同なシグナルペプチドと比べて、このmRNAでトランスフェクトされた細胞によるタンパク質のより効率的な分泌を提供することを見出した。分泌タンパク質の量は、同じタンパク質およびタンパク質の天然の相同なシグナルペプチドを含むmRNAと比較して、最大で6倍多い。この予想外の発見は、所望のタンパク質をコードするmRNAを効果的に送達し、細胞中で発現させ、タンパク質の天然の相同なシグナルペプチドを有するものより多くの量の分泌タンパク質を得るのに非常に有用である。本発明によって提供される同じ量のmRNAを用いて得られた、より多くの量の分泌タンパク質は、治療用量を、組織に局所適用するのに必要な用量より少なくし、それによって起こり得るmRNA関連の副作用に対するその安全性の枠を増加させるために極めて有用である。さらにこれは、本出願を、制御放出のための製剤やデバイスのコーティングにより適したものにしている。さらにこれは、mRNA関連の免疫原性のリスクを低減し、本出願を、限られた体積しか注射できない組織に対して、またはこれまで処理しにくい組織により適したものにしている。本発明者らはまた、mRNA、特にヒトIGF-1をコードするmRNAを骨格筋に効果的に送達し、発現させることを可能にし、それによって骨格筋における所望のポリペプチドの発現を可能にし、意味のある機能的な利益が筋肉に提供されることも見出した。mRNAは、好ましくは液体組成物で、好ましくは裸の形態で存在する。この液体組成物は、例えば注射によって骨格筋に直接送達することができ、mRNAのための遺伝子移入ベクターまたは担体、またはエレクトロトランスファーまたは超音波のような組織への移入を強化するための方法をまったく必要としない。さらに、損傷を受けた骨格筋へのmRNAの注射は、回復プロセスを促進し、骨格筋の機能の増加をもたらすことが示された。驚くべきことに、IGF-1をコードするmRNAで処置した動物は、16日間の間に(by 16 days)健康な範囲の機能的なレベルに到達した。対照的に、ビヒクルで処置した対照動物は、28日目でさえも十分な機能的な回復を達成しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】Cpd.1のDNAおよびRNA配列を示す図である。(A)は、そのプレドメイン、プロドメインおよびコードドメインを含有するヒトコドン最適化IGF1のDNA配列(配列番号1)を示す。プレドメイン(シグナル伝達ペプチド)の配列はイタリック体で示され、プロドメインの配列は下線が引かれ、IGF-Iコードドメインは太字で示され、ストップコドンは太字で示されている。(B)は、ウリジンがN1-メチルシュードウリジンである、ヒトIGF1のプレドメイン、プロドメインおよびコードドメインのRNA配列を図示する(配列番号2)。プレドメインおよびプロドメインは分泌時に切断される。
図2】Cpd.2のDNAおよびRNA配列を示す図である。(A)は、IGF2プレドメインならびにIGF1プロドメインおよびコードドメインを含有するヒトコドン最適化IGF1のDNA配列(配列番号3)を示す。プレドメイン(シグナル伝達ペプチド)の配列はイタリック体で示され、プロドメインの配列は下線が引かれ、IGF1コードドメインは太字で示され、ストップコドンは太字で示されている。(B)は、ウリジンがN1-メチルシュードウリジンである、IGF2プレドメインならびにIGF1プロドメインおよびコードドメインのRNA配列を図示する(配列番号4)。プレドメインおよびプロドメインは分泌時に切断される。
図3】Cpd.3のDNAおよびRNA配列を示す図である。(A)は、ALBプレドメインならびにIGF1プロドメインおよびコードドメインを含有するヒトコドン最適化IGF1のDNA配列(配列番号5)を示す。プレドメイン(シグナル伝達ペプチド)の配列はイタリック体で示され、プロドメインの配列は下線が引かれ、IGF1コードドメインは太字で示され、ストップコドンは太字で示されている。(B)は、ウリジンがN1-メチルシュードウリジンである、ALBプレドメインおよびIGF1プロドメインおよびコードドメインのRNA配列を図示する(配列番号6)。プレドメインおよびプロドメインは分泌時に切断される。
図4】Cpd.4のDNAおよびRNA配列を示す図である。(A)は、BDNFプレドメインならびにIGF1プロドメインおよびコードドメインを含有するヒトコドン最適化IGF1のDNA配列(配列番号7)を示す。プレドメイン(シグナル伝達ペプチド)の配列はイタリック体で示され、プロドメインの配列は下線が引かれ、IGF1コードドメインは太字で示され、ストップコドンは太字で示されている。(B)は、ウリジンがN1-メチルシュードウリジンである、BDNFプレドメインならびにIGF1プロドメインおよびコードドメインのRNA配列を図示する(配列番号8)。プレドメインおよびプロドメインは分泌時に切断される。
図5】Cpd.5のDNAおよびRNA配列を示す図である。(A)は、CXCL12プレドメインならびにIGF1プロドメインおよびコードドメインを含有するヒトコドン最適化IGF1のDNA配列(配列番号9)を示す。プレドメイン(シグナル伝達ペプチド)の配列はイタリック体で示され、プロドメインの配列は下線が引かれ、IGF1コードドメインは太字で示され、ストップコドンは太字で示されている。(B)は、ウリジンがN1-メチルシュードウリジンである、CXCL12プレドメインならびにIGF1プロドメインおよびコードドメインのRNA配列を図示する(配列番号10)。プレドメインおよびプロドメインは分泌時に切断される。
図6】Cpd.6のDNAおよびRNA配列を示す図である。(A)は、合成シグナル伝達ペプチド1プレドメインならびにIGF1プロドメインおよびコードドメインを含有するヒトコドン最適化IGF1のDNA配列(配列番号11)を示す。プレドメイン(シグナル伝達ペプチド)の配列はイタリック体で示され、プロドメインの配列は下線が引かれ、IGF1コードドメインは太字で示され、ストップコドンは太字で示されている。(B)は、ウリジンがN1-メチルシュードウリジンである、合成シグナル伝達ペプチド1プレドメインならびにIGF1プロドメインおよびコードドメインのRNA配列を図示する(配列番号12)。プレドメインおよびプロドメインは分泌時に切断される。
図7】Cpd.7のDNAおよびRNA配列を示す図である。(A)は、合成シグナル伝達ペプチド2プレドメインならびにIGF1プロドメインおよびコードドメインを含有するヒトコドン最適化IGF1のDNA配列(配列番号13)を示す。プレドメイン(シグナル伝達ペプチド)の配列はイタリック体で示され、プロドメインの配列は下線が引かれ、IGF1コードドメインは太字で示され、ストップコドンは太字で示されている。(B)は、ウリジンがN1-メチルシュードウリジンである、合成シグナル伝達ペプチド2プレドメインならびにIGF1プロドメインおよびコードドメインのRNA配列を図示する(配列番号14)。プレドメインおよびプロドメインは分泌時に切断される。
図8太字でマークされたCpd.1インサートを含むベクターpVAX.A120のDNA配列を示す図である(配列番号15)。Cpd.1のORFは、その元のプラスミドから消化され、ベクターにサブクローニングされた。
図9太字でマークされたCpd.2インサートを含むベクターpMA-TのDNA配列を示す図である(配列番号16)。Cpd.2のORFは、その元のプラスミドから消化され、ベクターにサブクローニングされた。
図10太字でマークされたCpd.3インサートを含むベクターpMA-TのDNA配列を示す図である(配列番号17)。Cpd.3のORFは、その元のプラスミドから消化され、ベクターにサブクローニングされた。
図11太字でマークされたCpd.4インサートを含むベクターpMA-TのDNA配列を示す図である(配列番号18)。Cpd.4のORFは、その元のプラスミドから消化され、ベクターにサブクローニングされた。
図12太字でマークされたCpd.5インサートを含むベクターpMA-TのDNA配列を示す図である(配列番号19)。Cpd.5のORFは、その元のプラスミドから消化され、ベクターにサブクローニングされた。
図13太字でマークされたCpd.6を含むベクターpMA-RQのDNA配列を示す図である(配列番号20)。Cpd.6のORFは、その元のプラスミドから消化され、ベクターにサブクローニングされた。
図14太字でマークされたCpd.7を含むベクターpMA-RQのDNA配列を示す図である(配列番号21)。Cpd.7のORFは、その元のプラスミドから消化され、ベクターにサブクローニングされた。
図15】mRNAのIVT用pMA-TおよびpMA-RQプラスミドを増幅するのに使用されるフォワード(配列番号22)およびリバースプライマー(配列番号23)配列を示す図である。
図16】Cpd.1~Cpd.7のシグナルペプチドの遺伝子名、UniProt数、コドン最適化DNA配列およびアミノ酸配列ならびにベクター(配列番号24~37)を示す図である。Cpd.6およびCpd.7のシグナルペプチドは合成ペプチドであり、公開データベース中の一致する既知のタンパク質配列ではないことに注意。
図17】Cpd.1~Cpd.7のmRNAトランスフェクションによる、ヒト胎児性腎細胞(HEK293T)からのIGF1分泌の誘導を示す図である。HEK293T細胞は各2μg Cp.1~Cpd.7をトランスフェクトされ、分泌されたIGF1は、特異的ELISAを使用して24時間後に細胞培養上清で測定された。Cpd.4は、Cpd.1より有意に高いIGF1分泌を誘導した(3.3倍)。データは、4つの複製物の平均±平均の標準誤差を表す。有意性(***、<0.001)は、一方向ANOVAとその後のダネットの多重比較検定によって評価された。
図18】Cpd.1またはCpd.4のmRNAトランスフェクション後のHEK293T細胞でのIGF1分泌の誘導の濃度依存性を示す図である。細胞は、種々の濃度(0、0.02、0.06、0.2、0.6または2μg)でCpd.1またはCpd.4をトランスフェクトされ、分泌されたIGF1は、特異的ELISAを使用して24時間後に細胞培養上清で測定された。Cpd.4誘導IGF1分泌は、Cpd.1(EC50 0.889μg)より有意に強力であった(EC50 0.134μg)。データは、2つの複製物の平均±平均の標準誤差を表す。有意性(***、<0.001)は、2つの曲線の二方向ANOVAによって評価された。
図19】Cpd.1~Cpd.7のmRNAトランスフェクションによる、マウス骨格筋細胞(C2C12)からのIGF1分泌の誘導を示す図である。C2C12細胞は各2μg Cp.1~Cpd.7をトランスフェクトされ、分泌されたIGF1は、特異的ELISAを使用して24時間後に細胞培養上清で測定された。Cpd.4は、Cpd.1より有意に高いIGF1分泌を誘導した(6.1倍)。データは、4つの複製物の平均±平均の標準誤差を表す。有意性(***、<0.001)は、一方向ANOVAとその後のダネットの多重比較検定によって評価された。
図20】Cpd.1およびCpd.4のmRNAトランスフェクションによる、ヒト初代骨格筋細胞(HSkMC)からのIGF1分泌の誘導を示す図である。HSkMC細胞は各2μg Cp.1またはCpd.4をトランスフェクトされ、分泌されたIGF1は、特異的ELISAを使用して24時間後に細胞培養上清で測定された。Cpd.4は、Cpd.1より有意に高いIGF1分泌を誘導した(3.1倍)。データは、3つの複製物の平均±平均の標準誤差を表す。有意性(**、p<0.01)は、一方向ANOVAとその後のダネットの多重比較検定によって評価された。
図21】ノテキシン損傷後の前脛骨筋(TA)の機能回復を示す図である。筋肉内注射(0日目)によるノテキシン損傷後、2つのIGF-I mRNA処置(Cpd.4(1μg))が1日目および4日目の筋肉内注射によって適用された(矢印の頭を参照)。対照群はビヒクル溶液を受け取った。筋機能は、損傷後1、4、7、10、14、21および28日目に評価された。データは、1群および1時点あたり5マウスの平均±平均の標準誤差(SEM)を表す。アスタリスクは、スチューデントのt検定によって評価された場合のCpd.4処置群と対照群との有意差(p<0.05)を示す。
図22】対照としてのCpd.1およびCpd.8~Cpd.26のmRNAトランスフェクションによる、ヒト胎児性腎細胞(HEK293T)からのIGF1分泌の誘導を示す図である。HEK293T細胞は各0.3μg Cpd.1およびCpd.8~Cpd.26をトランスフェクトされ、分泌されたIGF1は、特異的ELISAを使用して24時間後に細胞培養上清で測定された。IGF1分泌はCpd.1 IGF1分泌に対して正規化された。Cpd.8、9、10、11、12および13はIGF1分泌の低下を示したのに対し、Cpd.14、15、16、17、18、19、20、21、23、24、25および26はCpd.1より高いIGF1分泌を誘導した(最大2.6倍)。データは、1Cpd.につき2~11の複製物の平均±平均の標準誤差を表す。有意性(、p<0.05;**、p<0.001;***、<0.001)は、Cpd.1と比較した個々のCpd.のスチューデントのt検定によって評価された。
図23】対照としてのCpd.1およびCpd.4~Cpd.26のmRNAトランスフェクションによる、ヒト肝細胞(HepG2)からのIGF1分泌の誘導を示す図である。HepG2細胞は各0.3μg Cp.1およびCpd.4~Cpd.26をトランスフェクトされ、分泌されたIGF1は、特異的ELISAを使用して24時間後に細胞培養上清で測定された。IGF1分泌はCpd.1に対して正規化された。Cpd.8、9および12はIGF1分泌の低下を示したのに対し、Cpd.4、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25および26はCpd.1より高いIGF1分泌を誘導した(最大8.3倍)。データは、1Cpd.につき2~4つの複製物の平均±平均の標準誤差を表す。有意性(**、p<0.01;***、<0.001)は、Cpd.1と比較した個々のCpd.のスチューデントのt検定によって評価された。
図24】対照としてのCpd.1およびCpd.4~Cpd.24のmRNAトランスフェクションによる、ヒト神経細胞(IMR32)からのIGF1分泌の誘導を示す図である。IMR32細胞は各0.3μg Cp.1およびCpd.4~Cpd.24をトランスフェクトされ、分泌されたIGF1は、特異的ELISAを使用して24時間後に細胞培養上清で測定された。IGF1分泌はCpd.1に対して正規化された。Cpd.4、14、15、16、17、20、22、23および24はCpd.1より高いIGF1分泌を誘導した(最大2.6倍)。データは、1Cpd.につき2~6つの複製物の平均±平均の標準誤差を表す。有意性(、p<0.05;***、<0.001)は、Cpd.1と比較した個々のCpd.のスチューデントのt検定によって評価された。
図25】対照としてのCpd.1およびCpd.4~Cpd.25のmRNAトランスフェクションによる、ヒト初代軟骨細胞からのIGF1分泌の誘導を示す図である。軟骨細胞は各0.6μg Cp.1およびCpd.4~Cpd.25をトランスフェクトされ、分泌されたIGF1は、特異的ELISAを使用して24時間後に細胞培養上清で測定された。IGF1分泌はCpd.1に対して正規化された。Cpd.4、14、15、16、20、21、22、24および25はCpd.1より高いIGF1分泌を誘導した(最大1.9倍)。データは、1Cpd.につき1~2つの複製物の平均±平均の標準誤差を表す。有意性(、p<0.05;***、<0.001)は、Cpd.1と比較した個々のCpd.のスチューデントのt検定によって評価された。
図26】対照としてのCpd.1およびCpd.4~Cpd.17のmRNAトランスフェクションによる、ラット野生型(A)またはSOD1GS93A(B)初代運動ニューロンからのIGF1分泌の誘導を示す図である。ラット野生型初代運動ニューロンは、各0.3μg Cp.1、Cpd.4、Cpd.14およびCpd.17をトランスフェクトされ、ラットSOD1GS93A初代運動ニューロンは、各0.3μg Cp.1、Cpd.14およびCpd.17をトランスフェクトされ、分泌されたIGF1は、特異的ELISAを使用して48時間後に細胞培養上清で測定された。IGF1分泌はCpd.1に対して正規化された。Cpd.4、14および17はCpd.1より高いIGF1分泌を誘導した(野生型で最大4.3倍またはSOD1S93Aで9.3倍)。データは、1Cpd.につき2つの複製物の平均±平均の標準誤差を表す。有意性は、Cpd.1と比較した個々のCpd.のスチューデントのt検定によって評価され、統計的差異がないことを明らかにした。
図27】Cpd.27、Cpd.28またはCpd.29のmRNAトランスフェクションによる、ヒト胎児性腎細胞(HEK293T、A)、ヒト肝細胞(HepG2、B)およびヒト肺癌細胞(A549、C)からのEPO分泌の誘導を示す図である。細胞は各0.3~0.9μg Cp.27、Cpd.28またはCpd.29をトランスフェクトされ、分泌されたEPOは、特異的ELISAを使用して24時間後に細胞培養上清で測定された。EPO分泌はCpd.27に対して正規化された。Cpd.28および29は、分析された3つの細胞型全てにおいてCpd.27より高いEPO分泌を誘導した(最大1.8倍)。データは、1Cpd.につき3~8つの複製物の平均±平均の標準誤差を表す。有意性(、p<0.05;***、<0.001)は、Cpd.27と比較した個々のCpd.のスチューデントのt検定によって評価された。
図28】Cpd.30、Cpd.31またはCpd.32のmRNAトランスフェクションによる、ヒト胎児性腎細胞(HEK293T)からのINS分泌の誘導を示す図である。細胞は各0.6μg Cp.30、Cpd.31またはCpd.32をトランスフェクトされ、分泌されたINSは、特異的ELISAを使用して24時間後に細胞培養上清で測定された。INS分泌はCpd.30に対して正規化された。Cpd.31および32はCpd.30より高いINS分泌を誘導した(最大3.9倍)。データは、1Cpd.につき3~5つの複製物の平均±平均の標準誤差を表す。有意性(、p<0.05;***、<0.001)は、Cpd.30と比較した個々のCpd.のスチューデントのt検定によって評価された。
図29】Cpd.33、Cpd.34またはCpd.35のmRNAトランスフェクションによる、ヒト胎児性腎細胞(HEK293T、A)、ヒト肝細胞(HepG2、B)、ヒト単球(THP-1、C)およびヒト肺癌細胞(A549、D)からのIL4分泌の誘導を示す図である。細胞は各0.5~0.6μg Cp.33、Cpd.34またはCpd.35をトランスフェクトされ、分泌されたIL4は、特異的ELISAを使用して24時間後に細胞培養上清で測定された。IL4分泌はCpd.33に対して正規化された。Cpd.34および35は、分析された3つの細胞型全てにおいてCpd.33より高いIL4分泌を誘導した。in(最大2.2倍)。データは、1Cpd.につき3~8つの複製物の平均±平均の標準誤差を表す。有意性(、p<0.05;***、<0.001)は、Cpd.33と比較した個々のCpd.のスチューデントのt検定によって評価された。
図30】Cpd.36、Cpd.37またはCpd.38のmRNAトランスフェクションによる、ヒト胎児性腎細胞(HEK293T、A)、ヒト肝細胞(HepG2、B)またはヒト単球(THP-1、C)からのIL10分泌の誘導を示す図である。細胞は各0.3~0.6μg Cp.36、Cpd.37またはCpd.38をトランスフェクトされ、分泌されたIL10は、特異的ELISAを使用して24時間後に細胞培養上清で測定された。IL10分泌はCpd.36に対して正規化された。Cpd.37および38は、分析された3つの細胞型全てにおいてCpd.36より高いIL10分泌を誘導した(最大2.2倍)。データは、1Cpd.につき4~8つの複製物の平均±平均の標準誤差を表す。有意性(**、p<0.01;***、<0.001)は、Cpd.36と比較した個々のCpd.のスチューデントのt検定によって評価された。
図31】Cpd.39のmRNAトランスフェクションによる、ヒト肝細胞(HepG2、A)およびヒト初代軟骨細胞(B)からのIGF-1分泌の誘導を示す図である。細胞は各0.3~0.6μg Cp.39をトランスフェクトされ、分泌IGF1は、特異的ELISAを使用して24時間後に細胞培養上清で測定された。IGF1分泌はCpd.1に対して正規化された。Cpd.39は、分析された2つの細胞型全てにおいてCpd.1より高いIGF1分泌を誘導した(最大1.4倍)。データは、4~7つの複製物の平均±平均の標準誤差を表す。有意性(**、p<0.01;***、<0.001)は、Cpd.39と比較した個々のCpd.1のスチューデントのt検定によって評価された。
【発明を実施するための形態】
【0010】
用語「RNA」は、本明細書で使用される場合、アミノ酸配列をコードするRNA、加えて、アミノ酸配列をコードしないRNAを含む。通常、本明細書で使用されるようなRNAは、コードRNAであり、すなわちアミノ酸配列をコードするRNAである。このようなRNA分子はまた、mRNA(メッセンジャーRNA)とも称され、一本鎖RNA分子である。したがって、用語「RNA」は、本明細書で使用される場合、好ましくはmRNAを指す。RNAは、当業者公知の化学的および酵素的な合成手法によって、または組換え技術の使用によって作製してもよいし、または天然源から単離してもよいし、またはそれらの組合せであってもよい。RNAは、必要に応じて、天然にはない、および天然に存在するヌクレオシド修飾、例えば、本明細書ではメチルプソイドウリジンとも称されるN-メチルプソイドウリジンなどを含んでいてもよい。
【0011】
用語「mRNA」(すなわちメッセンジャーRNA)は、本明細書で使用される場合、主としてヌクレオシドとしてアデノシン、シチジン、ウリジンおよびグアノシンを含むヌクレオシドリン酸ビルディングブロックから構築され、タンパク質をコードするコード化領域を含有するポリマーを指す。本発明の文脈において、mRNAは、細胞に入ると、タンパク質またはその断片の発現に好適であるか、またはタンパク質またはその断片に翻訳可能な、あらゆるポリリボヌクレオチド分子を意味することが理解されるものとする。タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む本発明のmRNAは、細胞に入ると、前記タンパク質またはその断片の発現および分泌を誘導するのに好適なポリリボヌクレオチド分子を意味することが理解されるものとする。本発明のmRNAは、人工核酸分子、すなわち人工mRNAである。人工核酸分子、例えば人工mRNAは、典型的には、組換えmRNAのように天然に存在しない核酸分子であると理解される場合がある。組換えmRNAは、本発明の好ましいmRNAである。mRNAは、特に骨格筋損傷の治癒の状況で、細胞中または細胞の近くでのその機能が一般的に必要であるかまたは有益であるタンパク質またはその断片をコードするリボヌクレオチド配列を含有する。mRNAは、完全なタンパク質またはその機能的な変異体の配列を含有していてもよい。したがって、完全なタンパク質のmRNAの核酸配列は通常、シグナルペプチドをコードする核酸配列およびタンパク質をコードする核酸配列を含む。本発明のmRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む。タンパク質をコードする核酸配列は、必要に応じて、タンパク質のプロドメインを含んでいてもよく、プロドメインは通常、タンパク質のN末端に配置される。タンパク質およびシグナルペプチドは、通常、本発明のmRNAの核酸配列によって、5’から3’にi)シグナルペプチドおよびii)タンパク質の順番でコードされ、すなわちシグナルペプチドのコード化領域の最後のヌクレオシドに続いて、タンパク質のコード化領域の第1のヌクレオシドが存在するか、またはプロドメインを含むタンパク質のケースでは、タンパク質の前駆タンパク質の形態のコード化領域の第1のヌクレオシドが存在する。リボヌクレオチド配列は、因子、誘導物質、調節因子、刺激因子または酵素として作用するタンパク質、またはそれらの機能的な断片をコードすることができ、その場合、このタンパク質は、通常、その機能が障害、特に骨格筋損傷を改善するために必要であるものである。ここで、機能的な変異体は、細胞中で、細胞におけるその機能が必要とされるタンパク質の機能を担う可能性がある断片を意味すると理解される。加えて、mRNAはまた、さらなる機能的な領域および/または3’または5’非コード化領域を有していてもよい。3’および/または5’非コード化領域は、例えば5’末端におけるcapおよび/または3’末端におけるポリAテールのような、タンパク質コード化配列または人工配列に天然に隣接する、RNAの安定化に寄与する領域であってもよい。当業者は、それぞれのケースにおいて慣例的な実験によって、これに好適な配列を決定することができる。mRNAを転写するのに使用されるmRNAまたはDNAは、コドン最適化されていてもよい。好ましくは、本発明のmRNAを転写するための本発明で使用されるDNAおよび本発明のmRNAは、コドン最適化されている。一般的に、コドン最適化は、ネイティブのアミノ酸配列を維持しながら、ネイティブの配列の少なくとも1つのコドン(例えば1つより多く、2つより多く、3つより多く、4つより多く、5つより多く、10個より多く、15個より多く、20個より多く、25個より多く、50個より多く、またはそれより多くのコドン)を、その宿主細胞の遺伝子においてより頻繁に、または最も高い頻度で使用されるコドンで置き換えることによって、目的の宿主細胞における発現のために核酸配列を修飾するプロセスを指す。コドン出現頻度表は、例えば、「コドン出現頻度データベース」で容易に入手可能であり、これらの表は、様々な方法で適合させることができる。特定の宿主細胞での発現のために特定の配列をコドン最適化するためのコンピューターアルゴリズム、例えばGene Forge(登録商標)(Aptagen、PA)およびGeneOptimizer(登録商標)(ThermoFischer、MA)も利用可能であり、これらは好ましい。
【0012】
用語「裸のRNA」は、本明細書で使用される場合、いずれの種類の他の化合物、特にタンパク質、ペプチド、カチオン性ポリマーのようなポリマー、脂質、リポソーム、ウイルスベクターなどに複合体化されていないRNAを指す。したがって、「裸のRNA」は、RNAが、例えば液体組成物中に、溶液中に分子として分散された遊離の複合体化されていない形態で存在することを意味する。例えば、「裸のRNA」が、脂質および/またはポリマー担体系(例えば、脂質ナノ粒子およびミセル)/トランスフェクション試薬、例えば、DreamFect(商標)Goldまたは(分岐)PEIなどと複合体化されていることは想定されない。したがって、本発明の治療用組成物のようなmRNAを含む組成物は、例えば、例えば、DreamFect(商標)Goldまたは(分岐)PEIなどの脂質および/またはポリマー担体系トランスフェクション試薬を含有しない。
【0013】
用語「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド酸(nucleotide acid)配列」は、本明細書において同義的に使用され、本明細書において同一な意味を有し、好ましくはDNAまたはRNAを指す。用語「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド酸配列」は、好ましくは、用語「ポリヌクレオチド配列」と同義として使用される。好ましくは、核酸配列は、糖/リン酸-骨格のリン酸のジエステル結合によって互いに共有結合で連結されたヌクレオチド単量体を含むかまたはそれからなるポリマーである。用語「核酸配列」はまた、修飾された核酸配列、例えば塩基が修飾された、糖が修飾された、または骨格が修飾された等のDNAまたはRNAも包含する。
【0014】
用語「オープンリーディングフレーム」は、本明細書で使用される場合、ペプチドまたはタンパク質に翻訳が可能な、数個のヌクレオチドの三つ組みの配列を指す。オープンリーディングフレーム(ORF)は、好ましくは、その5’末端に、開始コドン、すなわち通常アミノ酸のメチオニン(ATG)をコードする3つの連続するヌクレオチドの組合せと、それに続く、通常、複数の3つのヌクレオチドにあたる長さを示す領域を含有する。ORFは、好ましくは停止コドン(例えば、TAA、TAG、TGA)で終わる。これは、典型的には、オープンリーディングフレームの唯一の停止コドンである。したがって、オープンリーディングフレームは、本発明の文脈において、好ましくは、3で割ることができる数のヌクレオチドからなり、開始コドン(例えばATG)から始まり、好ましくは停止コドン(例えば、TAA、TGA、またはTAG)で終わる核酸配列である。オープンリーディングフレームは、単離されていてもよいし、またはより長い核酸配列に、例えばベクターまたはmRNAに取り込まれていてもよい。オープンリーディングフレームはまた、「(タンパク質)コード化領域」、または好ましくは「コード配列」と呼ばれることもある。
【0015】
用語「シグナルペプチド」はまた、本明細書において、シグナル伝達ペプチド、プレドメイン、シグナル配列、標的化シグナル、局在化シグナル、局在化配列、トランジットペプチド(transit peptide)、リーダー配列またはリーダーペプチドとも称され、これらは、分泌経路に向かうことが定められている新たに合成されたタンパク質のN末端に存在する短いペプチド(通常、長さ16~40アミノ酸)である。本発明のシグナルペプチドは、長さが、好ましくは10~50、より好ましくは11~45、さらにより好ましくは12~45、最も好ましくは13~45、特に14~45、より特に15~45、さらにより特に16~40アミノ酸である。本発明によるシグナルペプチドは、目的のタンパク質のN末端に、または目的のタンパク質の前駆タンパク質の形態のN末端に位置する。本発明によるシグナルペプチドを使用して、目的のタンパク質は、少なくとも、その天然の(相同な)シグナルペプチドを使用して分泌された前記タンパク質の量に等しい量で、好ましくはそれより多くの量で分泌され得る。本発明によるシグナルペプチドは、通常、真核生物起源であり、例えば真核生物タンパク質のシグナルペプチドであり、好ましくは哺乳類起源であり、例えば哺乳類タンパク質のシグナルペプチドであり、より好ましくはヒト起源であり、例えば哺乳類タンパク質のシグナルペプチドである。一部の実施形態において、修飾しようとする異種シグナルペプチドおよび/または相同なシグナルペプチドは、真核生物タンパク質の天然に存在するシグナルペプチド、好ましくは哺乳類タンパク質の天然に存在するシグナルペプチド、より好ましくはヒトタンパク質の天然に存在するシグナルペプチドである。
【0016】
用語「タンパク質」は、本明細書で使用される場合、典型的には1つまたは複数のペプチドまたはポリペプチドを含む分子を指す。ペプチドまたはポリペプチドは、典型的には、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸残基の鎖である。ペプチドは、通常、2~50アミノ酸残基を含む。ポリペプチドは、通常、50個より多くのアミノ酸残基を含む。タンパク質は、典型的には、3次元の形態に折り畳まれており、これは、タンパク質の生物学的機能を働かせるのに必要な場合がある。用語「タンパク質」は、本明細書で使用される場合、タンパク質および融合タンパク質の断片を含む。好ましくは、タンパク質は、哺乳類由来であり、より好ましくはヒト起源であり、すなわちヒトタンパク質である。好ましくは、タンパク質は、通常、細胞から分泌されるタンパク質であり、すなわち自然状態で細胞から分泌されるタンパク質である。本明細書で言及されるタンパク質は、通常、カルボキシペプチダーゼ;サイトカイン;細胞外のリガンドおよび輸送体;細胞外マトリックスタンパク質;グルコシダーゼ;グリコシルトランスフェラーゼ;増殖因子;増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;ホルモン;ヒドロラーゼ;免疫グロブリン;イソメラーゼ;キナーゼ;リアーゼ;金属酵素阻害剤;メタロプロテアーゼ;乳タンパク質;神経刺激性タンパク質;プロテアーゼ;プロテアーゼ阻害剤;タンパク質ホスファターゼ;エステラーゼ;トランスフェラーゼ;および血管作動性タンパク質からなる群から選択される。
【0017】
カルボキシペプチダーゼは、タンパク質のカルボキシ末端(C末端)でペプチド結合を加水分解する(切断する)プロテアーゼ酵素であるタンパク質である;サイトカインは、しばしば免疫学的な反応に関与するその表面上の受容体を介した標的細胞のシグナル伝達のモジュレーターとして、分泌され、局所的または全身的のいずれかで作用するタンパク質である;細胞外のリガンドおよび輸送体は、分泌され、他のタンパク質への結合を介して作用するか、または特定の生物学的機能を働かせるために他のタンパク質または他の分子を有するタンパク質である;細胞外マトリックスタンパク質は、周囲の細胞に構造的および生化学的な支持体を提供する支持細胞によって分泌されるタンパク質の一群である;グルコシダーゼは、デンプンやグリコーゲンなどの複合炭水化物をそれらの単量体に分解することに関与する酵素である;グリコシルトランスフェラーゼは、天然のグリコシド結合を生じさせる酵素である;増殖因子は、しばしば栄養性反応および生存または細胞ホメオスタシスのシグナル伝達に関与する、その表面上の受容体を介した標的細胞のシグナル伝達のモジュレーターとして局所的または全身的のいずれかで作用する、細胞成長、増殖、治癒、および細胞分化を刺激することが可能な分泌タンパク質である;増殖因子結合タンパク質は、増殖因子に結合し、それによってその生物学的活性をモジュレートする分泌タンパク質である;ヘパリン結合タンパク質は、ヘパリンと相互作用して、しばしば増殖因子またはホルモンへの別の結合と連携してその生物学的機能をモジュレートする分泌タンパク質である;ホルモンは、多細胞生物における腺によって生産されるシグナル伝達分子のクラスのメンバーであって、分泌され、循環系によって標的の遠隔臓器に輸送されて、その標的細胞上の特異的な受容体への結合を介して生理機能と挙動を制御するものである;ヒドロラーゼは、化学結合を破断するのに水を利用することによって分子切断を生化学的に触媒し、結果としてより大きい分子のより小さい分子への分裂を引き起こす酵素のクラスである;免疫グロブリンは、主として形質細胞によって生産された大きいY型の分泌タンパク質であり、病原菌やウイルスなどの病原体を中和するために免疫系によって使用される;イソメラーゼは、ある異性体から別のものに分子を変換する酵素の一般的なクラスであり、それによって結合が破壊および形成される分子内の再配列が容易になる;キナーゼは、高エネルギーのリン酸供与分子から特異的な基質へのリン酸基の移動を触媒する酵素である;リアーゼは、加水分解および酸化以外の手段によって様々な化学結合の破壊を触媒し、しばしば新しい二重結合または新しい環構造を形成する酵素である;金属酵素阻害剤は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の細胞阻害剤である;メタロプロテアーゼは、その触媒メカニズムが金属イオンを含むプロテアーゼ酵素である;乳タンパク質は、乳汁に分泌されるタンパク質である;神経刺激性タンパク質は、ニューロンの機能、生存および生理機能を維持するために、局所的かまたは距離を介するかのいずれかで作用する分泌タンパク質である;プロテアーゼ(ペプチダーゼまたはプロテイナーゼとも呼ばれる)は、ペプチド結合の加水分解によってタンパク質分解を実行する酵素である;プロテアーゼ阻害剤は、プロテアーゼの機能を阻害するタンパク質である;タンパク質ホスファターゼは、その基質タンパク質のリン酸化されたアミノ酸残基からリン酸基を除去する酵素である;エステラーゼは、アミノ酸残基での水との化学反応においてエステルを酸とアルコールに分ける酵素である;トランスフェラーゼは、一方の分子(ドナーと呼ばれる)から他方(アクセプターと呼ばれる)への特異的な官能基(例えばメチルまたはグリコシル基)の移動を触媒する酵素のクラスである;血管作動性タンパク質は、血管の機能に生物学的に影響を与える分泌タンパク質である。本明細書で言及される、カルボキシペプチダーゼ;サイトカイン;細胞外のリガンドおよび輸送体;細胞外マトリックスタンパク質;グルコシダーゼ;グリコシルトランスフェラーゼ;増殖因子;増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;ホルモン;ヒドロラーゼ;免疫グロブリン;イソメラーゼ;キナーゼ;リアーゼ;金属酵素阻害剤;メタロプロテアーゼ;乳タンパク質;神経刺激性タンパク質;プロテアーゼ;プロテアーゼ阻害剤;タンパク質ホスファターゼ;エステラーゼ;トランスフェラーゼ;および血管作動性タンパク質は、UniProtデータベースに見出すことができる。
【0018】
用語「断片」または「配列の断片」は、本明細書において同一な意味を有し、例えばDNAまたはRNAのような核酸分子またはタンパク質の全長配列のより短い部分である。したがって、断片は、典型的には、全長配列内の対応するストレッチに同一な配列を含むかまたはそれからなる。本発明の文脈における好ましい配列の断片は、断片の由来となる分子中の実体の連続的なストレッチに対応するヌクレオチドまたはアミノ酸などの実体の連続的なストレッチを含むかまたはそれからなり、断片の由来となる総(すなわち全長)分子の、少なくとも5%、通常少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%を表す。
【0019】
用語「前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、タンパク質の天然に存在するシグナルペプチドと異なる天然に存在するシグナルペプチドを指し、すなわちシグナルペプチドは、タンパク質の同じ遺伝子由来ではない。通常、所与のタンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、別のタンパク質由来のシグナルペプチドであり、所与のタンパク質に関連しない別のタンパク質由来のシグナルペプチド、すなわち、所与のタンパク質のシグナルペプチドとは異なるアミノ酸配列を有する、例えば、所与のタンパク質のシグナルペプチドとは、50%より多く、好ましくは60%より多く、より好ましくは70%より多く、さらにより好ましくは80%より多く、最も好ましくは90%より多く、特に95%より多くが異なるアミノ酸配列を有する、別のタンパク質由来のシグナルペプチドである。好ましくは、所与のタンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、95%未満、好ましくは90%未満、より好ましくは80%未満、さらにより好ましくは70%未満、最も好ましくは60%未満、特に50%未満の、所与のタンパク質の天然に存在する(相同な)シグナルペプチドのアミノ酸配列との配列同一性を有する。異種配列は、同じ生物体から得られる可能性があるが、これらは、天然に(自然状態で)、同じ核酸分子で、例えば同じmRNAで発生しない。タンパク質にとって異種のシグナルペプチドおよびタンパク質にとってシグナルペプチドが異種であるタンパク質は、同一または異なる起源由来であってもよく、通常、同じ起源由来であり、好ましくは真核生物起源、より好ましくは同じ真核生物の真核生物起源、さらにより好ましくは哺乳類起源、特に同じ哺乳類生物体の哺乳類起源、より一層特にヒト起源由来である。実施例1において、ヒトBDNFシグナルペプチドおよびヒトIGF1、すなわちタンパク質にとって異種のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAであって、シグナルペプチドおよびタンパク質が同じ起源由来である、すなわちヒト起源由来であるものが、開示されている。
【0020】
用語「前記タンパク質に相同なシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、タンパク質の天然に存在するシグナルペプチドを指す。タンパク質に相同なシグナルペプチドは、それが自然状態で存在する状態のままのタンパク質の遺伝子によってコードされるシグナルペプチドである。タンパク質に相同なシグナルペプチドは、通常、真核生物起源であり、例えば真核生物タンパク質の天然に存在するシグナルペプチドであり、好ましくは哺乳類起源であり、例えば哺乳類タンパク質の天然に存在するシグナルペプチドであり、より好ましくはヒト起源であり、例えばヒトタンパク質の天然に存在するシグナルペプチドである。
【0021】
用語「自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない、天然に存在するアミノ酸配列」は、本明細書で使用される場合、自然状態で存在し、自然状態で存在するいずれのシグナルペプチドのアミノ酸配列にも同一ではないアミノ酸配列を指す。本発明で言及される自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列は、長さが、好ましくは10~50、より好ましくは11~45、さらにより好ましくは12~45、最も好ましくは13~45、特に14~45、より特に15~45、さらにより特に16~40アミノ酸である。好ましくは、本発明の自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列は、真核生物起源由来であり、真核生物起源のいずれのシグナルペプチドにも同一ではなく、より好ましくは、哺乳類起源由来であり、哺乳類起源のいずれのシグナルペプチドにも同一ではなく、より好ましくは、ヒト起源由来であり、自然状態で存在するヒト起源のいずれのシグナルペプチドにも同一ではない。自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列は、通常、タンパク質のコード配列のアミノ酸配列である。本発明による自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列は、通常、真核生物起源由来であり、好ましくは哺乳類起源由来、より好ましくはヒト起源由来である。
【0022】
用語「天然に存在する」、「天然」および「自然状態で」は、本明細書で使用される場合、同等の意味を有する。
【0023】
用語「シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9」は、本明細書で使用される場合、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の、最初の9つのアミノ酸を指す。同じように、用語「シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7」は、本明細書で使用される場合、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の最初の7つのアミノ酸を指し、用語「シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5」は、本明細書で使用される場合、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の最初の5つのアミノ酸を指す。
【0024】
用語「少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されたアミノ酸配列」は、本明細書で使用される場合、アミノ酸配列内に少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を含むアミノ酸配列を指す。用語「前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている」は、本明細書で使用される場合、その天然に存在するアミノ酸配列内に少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を含むタンパク質にとって異種の天然に存在するシグナルペプチドのアミノ酸配列を指す。用語「前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている」は、本明細書で使用される場合、その天然に存在するアミノ酸配列内に少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を含むタンパク質に相同な天然に存在するシグナルペプチドを指す。用語「天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている」は、その天然に存在するアミノ酸配列内に少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を含む天然に存在するアミノ酸配列を指す。「アミノ酸置換」または「置換」は、本明細書において、親タンパク質配列の特定の位置におけるアミノ酸の別のアミノ酸での置き換えを意味する。例えば、置換R34Kは、34位のアルギニンがリシンで置き換えられているポリペプチドを指す。前述の例について、34Kは、34位のリシンでの置換を示す。本明細書に記載の目的のために、複数の置換は、典型的にはスラッシュで区切られる。例えば、R34K/L78Vは、置換R34KおよびL38Vを含む二重変異体を指す。「アミノ酸挿入」または「挿入」は、本明細書で使用される場合、親タンパク質配列中の特定の位置におけるアミノ酸の付加を意味する。例えば、挿入-34は、34位における挿入を表す。「アミノ酸欠失」または「欠失」は、本明細書で使用される場合、親タンパク質配列中の特定の位置におけるアミノ酸の除去を意味する。例えば、R34-は、34位のアルギニンの欠失を表す。
【0025】
好ましくは、欠失したアミノ酸は、-0.8未満、好ましくは1.9未満の疎水性スコアを有するアミノ酸である。好ましくは、置換アミノ酸は、置換されたアミノ酸の疎水性スコアより高い疎水性スコアを有するアミノ酸であり、より好ましくは、置換アミノ酸は、2.8以上の疎水性スコアを有し、より好ましくは3.8以上の疎水性スコアを有するアミノ酸である。好ましくは、挿入されたアミノ酸は、2.8以上の疎水性スコアを有する、より好ましくは3.8以上の疎水性スコアを有するアミノ酸である。
【0026】
所与のアミノ酸配列の、通常1~15、好ましくは1~11アミノ酸、より好ましくは1~10アミノ酸、さらにより好ましくは1~9アミノ酸、特に1~8アミノ酸、より特に1~7アミノ酸、さらにより特に1~6アミノ酸、特に好ましくは1~5アミノ酸、さらに特に好ましくは1~4アミノ酸、さらにさらに特に好ましくは1~2アミノ酸が、挿入、欠失および/または置換されている。所与のアミノ酸配列の、通常1~15、好ましくは1~11アミノ酸、より好ましくは1~10アミノ酸、さらにより好ましくは1~9アミノ酸、特に1~8アミノ酸、より特に1~7アミノ酸、さらにより特に1~6アミノ酸、特に好ましくは1~5アミノ酸、さらに特に好ましくは1~4アミノ酸、より一層特に好ましくは1~2アミノ酸が、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の、通常アミノ酸1~11の範囲内で、好ましくはアミノ酸1~10の範囲内で、より好ましくはアミノ酸1~9の範囲内で、さらにより好ましくはアミノ酸1~8の範囲内で、特にアミノ酸1~7の範囲内で、より特にアミノ酸1~6の範囲内で、さらにより特にアミノ酸1~5の範囲内で、特に好ましくはアミノ酸1~4の範囲内で、さらに特に好ましくはアミノ酸1~3の範囲内で、より一層特に好ましくはアミノ酸1~2の範囲内で、挿入、欠失しおよび/または置換されている。
【0027】
好ましくは、アミノ酸配列は、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の欠失および/または置換によって修飾されている。
【0028】
好ましくは、修飾されたシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の最初の9つのアミノ酸の平均疎水性スコアは、修飾を含まないシグナルペプチドと比較して1.0単位またはそれより多く増加している。
【0029】
用語「インスリン様成長因子1」、「インスリン様成長因子1(IGF1)」または「IGF1」は、本明細書で使用される場合、通常、シグナル伝達ペプチドを有さず、プロペプチドおよび/またはEペプチドを含んでいてもよいIGF1タンパク質の天然配列を指し、好ましくは、シグナル伝達ペプチドを有さず、Eペプチドを有さないIGF1タンパク質の天然配列を指す。用語「ヒトインスリン様成長因子1(IGF1)」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、UniProtKB-P05019およびGenbankデータベースでは、NM_000618.4、NM_001111285.2およびNM_001111283.2と称されるヒトIGF1の天然配列(プロIGF1)、またはそれらの断片を指す。ヒトインスリン様成長因子1をコードする天然DNA配列は、コドン最適化されていてもよい。ヒトIGF1の天然配列は、21アミノ酸(ヌクレオチド1~63)を有するヒトシグナル伝達ペプチド、27アミノ酸(ヌクレオチド64~144)を有するヒトプロペプチド(プロドメインとも呼ばれる)、70アミノ酸(ヌクレオチド145~354)を有する成熟ヒトIGF1およびいわゆるEペプチド(またはEドメイン)であるヒトIGF1のC末端ドメインを含むかまたはそれからなる。ヒトIGF1のC末端ドメイン(いわゆるEペプチドまたはEドメイン)は、オルタナティブスプライシング事象によって生成されるEa、EbまたはEcドメインを含む。Eaドメインは、35アミノ酸(105ヌクレオチド)を含むかまたはそれからなり、Ebドメインは、77アミノ酸(231ヌクレオチド)を含むかまたはそれからなる、Ecドメインは、40アミノ酸(120ヌクレオチド)を含むかまたはそれからなる(例えばWallis M(2009)New インスリン-like growth factor(IGF)-precursor sequences from mammalian genomes:the molecular evolution of IGFs and associated peptides in primates.Growth Horm IGF Res 19(1):12-23.doi:10.1016/j.ghir.2008.05.001を参照)。用語「ヒトインスリン様成長因子1(IGF)」は、本明細書で使用される場合、通常、シグナル伝達ペプチドを有さず、プロペプチドおよび/またはEペプチドを含んでいてもよいヒトIGF1タンパク質の天然配列を指し、好ましくは、シグナル伝達ペプチドを有さず、Eペプチドを有さないヒトIGF1タンパク質の天然配列を指す。用語「ヒトインスリン様成長因子1(IGF)」は、本明細書で使用される場合、通常、成熟ヒトIGF1を含む。用語「成熟タンパク質」は、タンパク質を発現および分泌する細胞において、小胞体で合成され、ゴルジ体を介して分泌されるタンパク質を指す。用語「成熟IGF1」は、IGF1を発現および分泌する細胞において、小胞体で合成され、ゴルジ体を介して分泌されるタンパク質を指す。用語「成熟ヒトIGFI」は、ヒトIGF1を発現および分泌するヒト細胞において、小胞体で合成され、ゴルジ体を介して分泌されるタンパク質を指し、通常、配列番号39で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸を含有する。
【0030】
用語「インスリン」または「INS」は、本明細書で使用される場合、通常、シグナル伝達ペプチドを有さないインスリンの天然配列を指す。用語「ヒトインスリン」または「ヒトINS」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、UniProtKB-P01308と称され、Genbankデータベースでは、NM_000207.2、NM_001185097.1、NM_001185098.1およびNM_001291897.1と称されるヒトインスリンの天然配列、またはそれらの断片を指す。ヒトインスリンをコードする天然DNA配列は、コドン最適化されていてもよい。ヒトインスリンの天然配列は、24アミノ酸(ヌクレオチド1~72)を有するヒトシグナル伝達ペプチド、30アミノ酸(ヌクレオチド73~163)を有するヒトインスリンB鎖、31アミノ酸(ヌクレオチド64~144)を有するヒトインスリンプロペプチド(結合ペプチド、すなわちCペプチドとも呼ばれる)、および21アミノ酸(ヌクレオチド64~144)を含むかまたはそれからなるヒトインスリンA鎖のC末端ドメインを含むかまたはそれからなる。用語「ヒトインスリン」は、本明細書で使用される場合、通常、シグナル伝達ペプチドを有さないヒトインスリンを含む。
【0031】
用語「エリスロポエチン」、「EPO」または「Epo」は、本明細書で使用される場合、通常、シグナル伝達ペプチドを有さないEPOの天然配列を指す。用語「ヒトエリスロポエチン」、「ヒトEPO」または「ヒトEpo」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、UniProtKB-P01588と称され、Genbankデータベースでは、NM_000799.2と称されるヒトエリスロポエチンの天然配列、またはそれらの断片を指す。ヒトエリスロポエチンをコードする天然DNA配列は、コドン最適化されていてもよい。ヒトエリスロポエチンの天然配列は、27アミノ酸(ヌクレオチド1~81)を有するヒトシグナル伝達ペプチド、166アミノ酸(ヌクレオチド82~579)を有するヒトEpoをコードする鎖を含むかまたはそれからなる。用語「ヒトエリスロポエチン」は、本明細書で使用される場合、通常、シグナル伝達ペプチドを有さないヒトEPOを含む。
【0032】
用語「インターロイキン-4」または「IL4」は、本明細書で使用される場合、通常、シグナル伝達ペプチドを有さないIL4の天然配列を指す。用語「ヒトインターロイキン-4」または「ヒトIL4」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、UniProtKB-P05112と称され、Genbankデータベースでは、NM_000589.3およびNM_172348.2と称されるヒトIL4の天然配列、またはそれらの断片を指す。ヒトIL4をコードする天然DNA配列は、コドン最適化されていてもよい。ヒトIL4の天然配列は、24アミノ酸(ヌクレオチド1~72)を有するヒトシグナル伝達ペプチド、129アミノ酸(ヌクレオチド73~387)を有するヒトIL4をコードする鎖を含むかまたはそれからなる。用語「ヒトIL4」は、本明細書で使用される場合、通常、シグナル伝達ペプチドを有さないヒトIL4を含む。
【0033】
用語「インターロイキン-10」または「IL10」は、本明細書で使用される場合、通常、シグナル伝達ペプチドを有さないIL10の天然配列を指す。用語「ヒトインターロイキン-10」または「ヒトIL10」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、UniProtKB-P22301と称され、Genbankデータベースでは、NM_000572.2と称されるヒトIL10の天然配列またはそれらの断片を指す。ヒトIL10をコードする天然DNA配列は、コドン最適化されていてもよい。ヒトIL10の天然配列は、18アミノ酸(ヌクレオチド1~54)を有するヒトシグナル伝達ペプチド、160アミノ酸(ヌクレオチド55~534)を有するヒトIL10をコードする鎖を含むかまたはそれからなる。用語「ヒトIL10」は、本明細書で使用される場合、通常、シグナル伝達ペプチドを有さないヒトIL10を含む。
【0034】
用語「インスリン増殖因子1(IGF1)のシグナルペプチド」または「IGF1のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P05019と称され、Genbankデータベースでは、NM_000618.4、NM_001111284.1およびNM_001111285.2と称され、好ましくは配列番号24で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号25で示されるDNA配列によってコードされる、IGF1の天然シグナルペプチドを指す。
【0035】
用語「インスリン増殖因子2(IGF2)のシグナルペプチド」または「IGF2のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P01344と称され、Genbankデータベースでは、NM_000612.5、NM_001007139.5、NM_001127598.2、NM_001291861.2およびNM_001291862.2と称され、好ましくは配列番号26で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号27で示されるDNA配列によってコードされる、IGF2の天然シグナルペプチドを指す。
【0036】
用語「血清アルブミン(ALB)のシグナルペプチド」または「ALBのシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P02768と称され、Genbankデータベースでは、NM_000477.6と称され、好ましくは配列番号28で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号29で示されるDNA配列によってコードされるALBの天然シグナルペプチドを指す。
【0037】
用語「脳由来神経栄養因子(BDNF)」または「BDNFのシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P23560と称され、Genbankデータベースでは、NM_001143805.1、NM_170731.4、NM_170734.3、NM_001143810.1およびNM_001143809.1と称され、好ましくは配列番号30で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号31で示されるDNA配列によってコードされるBDNFの天然シグナルペプチドを指す。
【0038】
用語「間質細胞由来因子-1(CXCL12)のシグナルペプチド」または「CXCL12のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P48061と称され、Genbankデータベースでは、NM_000609.6、NM_001033886.2、NM_001178134.1、NM_001277990.1およびNM_199168.3と称され、好ましくは配列番号32で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号33で示されるDNA配列によってコードされるCXCL12の天然シグナルペプチドを指す。
【0039】
用語「合成シグナル伝達ペプチド1(合成seq1)のシグナルペプチド」または「合成seq1のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、合成シグナルペプチド1であって、配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するか、および/または配列番号35で示されるDNA配列によってコードされるものを指す。
【0040】
用語「合成シグナル伝達ペプチド2(合成seq2)のシグナルペプチド」または「合成seq1のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、合成シグナルペプチド1であって、配列番号36で示されるアミノ酸配列を有するか、および/または配列番号37で示されるDNA配列によってコードされるものを指す。
【0041】
用語「潜在型トランスフォーミング増殖因子ベータ結合タンパク質2(LTBP2)のシグナルペプチド」または「LTBP2のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、Q14767と称され、Genbankデータベースでは、NM_000428.2と称され、好ましくは配列番号41で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号42で示されるDNA配列によってコードされるLTBP2の天然シグナルペプチドを指す。
【0042】
用語「インスリン様成長因子結合タンパク質複合体の酸不安定性サブユニット(IGFALS)のシグナルペプチド」または「IGFALSのシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P35858と称され、Genbankデータベースでは、NM_001146006.1およびNM_004970.2と称され、好ましくは配列番号46で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号47で示されるDNA配列によってコードされるIGFALSの天然シグナルペプチドを指す。
【0043】
用語「インスリン(INS)のシグナルペプチド」または「INSのシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P1308と称され、Genbankデータベースでは、NM_001185097.1、NM_000207.2、NM_001185098.1およびNM_001291897.1と称され、好ましくは配列番号51で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号52で示されるDNA配列によってコードされるINSの天然シグナルペプチドを指す。
【0044】
用語「エリスロポエチン(Epo)のシグナルペプチド」または「Epoのシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P01588と称され、Genbankデータベースでは、NM_000799.2と称され、好ましくは配列番号56で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号57で示されるDNA配列によってコードされるEpoの天然シグナルペプチドを指す。
【0045】
用語「顆粒球コロニー刺激因子(CSF3)のシグナルペプチド」または「CSF3のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P09919と称され、Genbankデータベースでは、NM_000759.3、NM_001178147.1、NM_172219.2およびNM_172220.2と称され、好ましくは配列番号61で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号62で示されるDNA配列によってコードされるCSF3の天然シグナルペプチドを指す。
【0046】
用語「ベータ-神経成長因子(NGF)のシグナルペプチド」または「NGFのシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P01138と称され、Genbankデータベースでは、NM_002506.2およびXM_006710663.3と称され、好ましくは配列番号66で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号67で示されるDNA配列によってコードされるNGFの天然シグナルペプチドを指す。
【0047】
用語「インターロイキン-4(IL4)のシグナルペプチド」または「IL4のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P05112と称され、Genbankデータベースでは、NM_000589.3およびNM_172348.2と称され、好ましくは配列番号77で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号78で示されるDNA配列によってコードされるIL4の天然シグナルペプチドを指す。
【0048】
用語「インターロイキン-10(IL10)のシグナルペプチド」または「IL10のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P22301と称され、Genbankデータベースでは、NM_000572.2と称され、好ましくは配列番号82で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号83で示されるDNA配列によってコードされるIL10の天然シグナルペプチドを指す。
【0049】
用語「線維芽細胞増殖因子5(FGF5)のシグナルペプチド」または「FGF5のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P12034と称され、Genbankデータベースでは、NM_004464.3およびNM_033143.2と称され、好ましくは配列番号87で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号88または配列番号183で示されるDNA配列によってコードされるFGF5の天然シグナルペプチドを指す。
【0050】
用語「補体因子H関連タンパク質2(FHR2)のシグナルペプチド」または「FHR2のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P36980と称され、Genbankデータベースでは、NM_001312672.1およびNM_005666.3と称され、好ましくは配列番号92で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号93で示されるDNA配列によってコードされるFHR2の天然シグナルペプチドを指す。
【0051】
用語「インスリン様成長因子結合タンパク質5(IBP5)のシグナルペプチド」または「IBP5のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P24593と称され、Genbankデータベースでは、NM_001312672.1およびNM_000599.3と称され、好ましくは配列番号97で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号98で示されるDNA配列によってコードされるIBP5の天然シグナルペプチドを指す。
【0052】
用語「ニューロトロフィン-3(NTF3)のシグナルペプチド」または「NTF3のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P20783と称され、Genbankデータベースでは、NM_002527.4、XM_011520963.2およびNM_001102654.1と称され、好ましくは配列番号102で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号103で示されるDNA配列によってコードされるNTF3の天然シグナルペプチドを指す。
【0053】
用語「前立腺および精巣発現タンパク質2(PATE2)のシグナルペプチド」または「PATE2のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、Q6UY27と称され、Genbankデータベースでは、NM_212555.2と称され、好ましくは配列番号107で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号108で示されるDNA配列によってコードされるPATE2の天然シグナルペプチドを指す。
【0054】
用語「細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(SOD3)のシグナルペプチド」または「SOD3のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、Uniprotデータベースでは、P08294と称され、Genbankデータベースでは、NM_003102.2と称され、好ましくは配列番号112で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号113で示されるDNA配列によってコードされるSOD3の天然シグナルペプチドを指す。
【0055】
用語「グルカゴン受容体(GL-R)のコード配列」または「GL-Rのコード配列」は、本明細書で使用される場合、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であり、Uniprotデータベースでは、P47871と称され、Genbankデータベースでは、NM_000160.4およびXM_006722277.1と称され、好ましくは配列番号117で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号118で示されるDNA配列によってコードされるGL-Rのコード鎖を指す。
【0056】
用語「インスリン増殖因子1(IGF1)のシグナルペプチドの修飾型」、「IGF1のシグナルペプチドの修飾型」または「修飾されたIGF1のシグナルペプチド」は、本明細書で使用される場合、IGF1の修飾されたシグナルペプチドであって、Uniprotデータベースでは、P05019と称され、Genbankデータベースでは、NM_000618.4、NM_001111284.1およびNM_001111285.2と称され、置換G2L/S5L/T9L/Q10Lおよび欠失K3-およびC15-によって修飾されており、好ましくは配列番号122で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号123で示されるDNA配列によってコードされる、IGF1の天然シグナルペプチドを指す。
【0057】
用語「インスリン増殖因子2(IGF2)のシグナルペプチドの修飾型」、「IGF2の修飾されたシグナルペプチド」または「IGF2のシグナルペプチドの修飾型」は、本明細書で使用される場合、IGF2の修飾されたシグナルペプチドであって、Uniprotデータベースでは、P01344と称され、Genbankデータベースでは、NM_000612.5、NM_001007139.5、NM_001127598.2、NM_001291861.2およびNM_001291862.2と称され、置換G2L/G6L/K7L/S8Lおよび欠失P4-、M5-、I23-およびA24-によって修飾されており、好ましくは配列番号127で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号128で示されるDNA配列によってコードされる、IGF2の天然シグナルペプチドは、を指す。
【0058】
用語「間質細胞由来因子-1(CXCL12)のシグナルペプチドの修飾型」、「CXCL12の修飾されたシグナルペプチド」または「CXCL12のシグナルペプチドの修飾型」は、本明細書で使用される場合、CXCL12の修飾されたシグナルペプチドであって、Uniprotデータベースでは、P48061と称され、Genbankデータベースでは、NM_000609.6、NM_001033886.2、NM_001178134.1、NM_001277990.1およびNM_199168.3と称され、欠失N3-およびK5-によって修飾されており、好ましくは配列番号132で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号133で示されるDNA配列によってコードされる、CXCL12の天然シグナルペプチドを指す。
【0059】
用語「インターロイキン-4(IL4)のシグナルペプチドの修飾型」、「IL4の修飾されたシグナルペプチド」または「IL4のシグナルペプチドの修飾型」は、本明細書で使用される場合、IL4の修飾されたシグナルペプチドであって、Uniprotデータベースでは、P05112と称され、Genbankデータベースでは、NM_000589.3およびNM_172348.2と称され、欠失G2-、T4-、S5-およびQ6-によって修飾されており、好ましくは配列番号166で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号167で示されるDNA配列によってコードされる、IL4の天然シグナルペプチドを指す。
【0060】
用語「インターロイキン-10(IL10)のシグナルペプチドの修飾型」、「IL10の修飾されたシグナルペプチド」または「IL10のシグナルペプチドの修飾型」は、本明細書で使用される場合、IL10の修飾されたシグナルペプチドであって、Uniprotデータベースでは、P22301と称され、Genbankデータベースでは、NM_000572.2と称され、置換H2V/S3L/S4LおよびS8Lによって修飾されており、好ましくは配列番号174で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号175で示されるDNA配列によってコードされる、IL10の天然シグナルペプチドを指す。
【0061】
用語「インスリン(INS)のシグナルペプチドの修飾型」、「INSの修飾されたシグナルペプチド」または「INSのシグナルペプチドの修飾型」は、本明細書で使用される場合、INSの修飾されたシグナルペプチドであって、Uniprotデータベースでは、P1308と称され、Genbankデータベースでは、NM_001185097.1、NM_000207.2、NM_001185098.1およびNM_001291897.1と称され、欠失M5-およびR6-によって修飾されており、好ましくは配列番号147で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号148または配列番号182で示されるDNA配列によってコードされる、INSの天然シグナルペプチドを指す。
【0062】
用語「脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドの修飾型」、「BDNFの修飾されたシグナルペプチド」または「BDNFのシグナルペプチドの修飾型」は、本明細書で使用される場合、BDNFの修飾されたシグナルペプチドであって、Uniprotデータベースでは、P23560と称され、Genbankデータベースでは、NM_001143805.1、NM_170731.4、NM_170734.3、NM_001143810.1およびNM_001143809.1と称され、置換T2L/T7LおよびS11Lによって修飾されており、好ましくは配列番号137で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号138で示されるDNA配列によってコードされる、BDNFの天然シグナルペプチドを指す。
【0063】
用語「エリスロポエチン(Epo)のシグナルペプチドの修飾型」、「Epoの修飾されたシグナルペプチド」または「Epoのシグナルペプチドの修飾型」は、本明細書で使用される場合、Epoの修飾されたシグナルペプチドであって、Uniprotデータベースでは、P01588と称され、Genbankデータベースでは、NM_000799.2と称され、置換G2L/P7L/W9Lおよび欠失H4-、E5-、およびW11-によって修飾されており、好ましくは配列番号152で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号153で示されるDNA配列によってコードされる、Epoの天然シグナルペプチドを指す。
【0064】
用語「インスリン増殖因子1(IGF1)プロドメインの修飾型」、「修飾されたIGF1プロドメイン」または「IGF1-Pro-修飾型」は、本明細書で使用される場合、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であり、Uniprotデータベースでは、P05019と称され、Genbankデータベースでは、NM_000618.4、NM_001111284.1およびNM_001111285.2と称され、プロペプチドのN末端における隣接する22~31の10個のアミノ酸残基(VKMHTMSSSH)の欠失によって修飾されており、好ましくは配列番号142で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号143で示されるDNA配列によってコードされるIGF1のプロペプチドを指す。
【0065】
用語「腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)プロドメインの修飾型」、「修飾されたALPIプロドメイン」、「ALPI-修飾型」または「ALPI-Pro-修飾型」は、本明細書で使用される場合、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であり、Uniprotデータベースでは、P09923と称され、Genbankデータベースでは、NM_001631.4と称され、置換A504L/A505L/S511L/G517L/T518Lおよび欠失H506-、P507-、A509-、A510-およびP513-によって修飾されており、好ましくは配列番号189で示されるアミノ酸配列を有し、および/または好ましくは配列番号190で示されるDNA配列によってコードされるALPIのプロペプチドを指す。
【0066】
用語「mRNAは、IGF1のプロペプチドをコードする核酸配列、および成熟IGF1をコードする核酸配列を含み、IGF1のEペプチドをコードする核酸配列を含まない」は、本明細書で使用される場合、通常、27アミノ酸を有するヒトIGF1のプロペプチド(プロドメインとも呼ばれる)をコードするヌクレオチド配列、および70アミノ酸を有する成熟ヒトIGF1をコードするヌクレオチド配列を含み、ヒトIGF1のEペプチド(Eドメインとも呼ばれる)をコードするヌクレオチド配列を含まない、すなわちEa、EbまたはEcドメインをコードするヌクレオチド配列を含まないmRNAを指す。27アミノ酸を有するヒトIGF1のプロペプチド(プロドメインとも呼ばれる)をコードするヌクレオチド配列、および70アミノ酸を有する成熟ヒトIGF1をコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化されていてもよい。
【0067】
用語「ベクター」または「発現ベクター」は、本明細書で使用される場合、細胞における核酸の取り込み、増殖、発現または伝達のための、天然に存在する、または合成的に生成したコンストラクト、例えばプラスミド、ミニサークル、ファージミド、コスミド、人工染色体/ミニ染色体、バクテリオファージ、ウイルス、例えばバキュロウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純疱疹ウイルス、バクテリオファージを指す。ベクターは、宿主細胞のゲノムに組み込まれるか、または自律複製型コンストラクトとして宿主細胞内に残るかのいずれであってもよい。ベクターを構築するのに使用される方法は、当業者に周知であり、様々な刊行物に記載されている。特に、好適なベクターを構築するための技術は、機能的および調節要素、例えばプロモーター、エンハンサー、終結およびポリアデニル化シグナル、選択マーカー、複製開始点、およびスプライシングシグナルの説明を含めて、当業者公知である。真核生物発現ベクターは、典型的には、真核細胞のトランスフェクションの前に除去可能な細菌における選択のための複製開始点や抗生物質耐性遺伝子などの、細菌におけるベクターの伝播を容易にする原核生物配列も含有すると予想される。ポリヌクレオチドを動作可能に連結することができるクローニング部位を含有する様々な真核生物の発現ベクターが当業界において周知であり、一部は、Agilent Technologies、Santa Clara、Calif.;Invitrogen、Carlsbad、Calif.;Promega、Madison、Wis.またはInvivogen、San Diego、Calif.などの会社から商業的に入手可能である。
【0068】
用語「遺伝子治療用ベクター」は、本明細書で使用される場合、細胞に、核酸配列、例えば遺伝子をコードする核酸配列を送達するのに使用されているあらゆるベクターを指す。遺伝子治療用ベクターおよび遺伝子送達方法は当業界において周知である。これらの方法の非限定的な例としては、細胞への送達後にエピソームであるか、または組み込まれるかのいずれかであるゲノムを有するDNAおよびRNAウイルスを含むウイルスベクター送達系、DNAプラスミド、裸の核酸、および送達媒体と複合体化した核酸、トランスポゾン系を含む非ウイルスベクター送達系(宿主ゲノムへの送達および組込みのため;Moriarityら(2013)Nucleic Acids Res 41(8)、e92、Aronovichら(2011)Hum.Mol.Genet.20(R1)、R14~R20)、レトロウイルス媒介DNA移入(例えば、モロニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、アデノウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳がんウイルスなどのレトロウイルス;例えば、Kayら(1993)Science 262、117~119、Anderson(1992)Science 256、808~813を参照)、ならびにアデノウイルス、ヘルペスウイルス、パルボウイルスおよびアデノ随伴ウイルスを含むDNAウイルス媒介DNA移入(例えば、Aliら(1994)Gene Therapy 1、367~384)が挙げられる。ウイルスベクターとしてはまた、これらに限定されないが、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルスウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、および単純疱疹ウイルスベクターも挙げられる。宿主ゲノムへの組込みが可能なベクターとしては、これらに限定されないが、レトロウイルスまたはレンチウイルスが挙げられる。
【0069】
用語「転写単位」、「発現単位」または「発現カセット」は、本明細書で使用される場合、転写しようとする1つまたは複数の遺伝子を含有するベクター、コンストラクトまたはポリヌクレオチド配列内の領域を指し、この場合、セグメント内に含有される遺伝子は互いに動作可能に連結されている。これらは、単一のプロモーターから転写され、転写は、少なくとも1つのポリアデニル化シグナルによって終結する。結果として、異なる遺伝子が、少なくとも転写により連結される。各転写単位(多シストロン性転写単位)から、1種より多くのタンパク質または生成物を転写および発現させることができる。各転写単位は、その単位内に含有される選択された配列のいずれかの転写および翻訳に必要な調節エレメントを含むと予想され、各転写単位は、同一または異なる調節エレメントを含有していてもよい。例えば、各転写単位は、同じターミネーターを含有していてもよい。IRESエレメントまたはイントロンは、転写単位内の遺伝子の機能的な連結のために使用することができる。ベクターまたはポリヌクレオチド配列は、1つより多くの転写単位を含有していてもよい。
【0070】
用語「骨格筋損傷」は、本明細書で使用される場合、骨格筋のあらゆる損傷および断裂、好ましくは、伸張性筋収縮、伸長および筋肉の過負荷により誘発された骨格筋の断裂を指す。原則的にあらゆる骨格筋が、このような損傷または断裂によって影響を受ける可能性がある。好ましくは、骨格筋損傷は、骨格筋の損傷および断裂であり、この場合、骨格筋は、頭、頸部、胸部、背中、腹部、骨盤、腕、脚および臀部の筋肉群から選択される。
【0071】
より好ましくは、骨格筋損傷は、骨格筋が、足底筋、側頭部、乳頭、大胸筋、後脛骨筋、前脛骨筋、腓腹筋、烏口腕筋、横隔膜、長掌筋、腹直筋、外肛門括約筋、内肛門括約筋、肩甲下筋、二頭筋、三頭筋、四頭筋、ふくらはぎ、鼠径部、膝窩腱、三角筋、大円筋、回旋腱板の棘上筋、回旋腱板の棘下筋、回旋腱板の小円筋、回旋腱板の肩甲下筋、大腿直筋(rectus femoralis)、腹直筋、腹部の外腹斜筋、咬筋、僧帽筋、広背筋、胸筋、脊柱起立筋、腸肋筋、最長筋、棘筋、広背筋、横突棘筋、背半棘筋、頚半棘筋、頭半棘筋、多裂筋、回旋筋、棘間筋(interspinales)、横突間筋、頭板状筋、頚板状筋(splenius cervices)、肋間筋、肋下筋(subcostales)、胸横筋、肋骨挙筋、下後鋸筋、上後鋸筋、腹横筋、腹直筋、錐体筋、精巣挙筋、腰方形筋、外腹斜筋、内腹斜筋からなる群から選択される損傷および断裂である。
【0072】
さらにより好ましくは、骨格筋損傷は、骨格筋が、足底筋、側頭部、乳頭、大胸筋、後脛骨筋、前脛骨筋、腓腹筋、烏口腕筋、横隔膜、長掌筋、腹直筋、外肛門括約筋、内肛門括約筋、肩甲下筋、二頭筋、三頭筋、四頭筋、ふくらはぎ、鼠径部、膝窩腱、三角筋、大円筋、回旋腱板の棘上筋、回旋腱板の棘下筋、回旋腱板の小円筋、回旋腱板の肩甲下筋、大腿直筋、腹直筋、腹部の外腹斜筋、咬筋、僧帽筋、広背筋、胸筋からなる群から選択される損傷および断裂である。
【0073】
好ましくは、あらゆる骨格筋の損傷および断裂、好ましくは、伸張性筋収縮、伸長または筋肉の過負荷により誘発された骨格筋の断裂が、本発明の方法によって処置される。
【0074】
第1の態様において、本発明は、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAであって、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される、mRNAを提供する。
【0075】
一実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、ただし前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド、または前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列、または少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0076】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0077】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0078】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0079】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;および
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド
からなる群から選択される。
【0080】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0081】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0082】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであり、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない。
【0083】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであり、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている。
【0084】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であり、天然に存在するアミノ酸配列は、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている。
【0085】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.5を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0086】
一実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.5を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、ただし前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド、または前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列、または少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0087】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.5を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0088】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.5を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0089】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.5を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0090】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.5を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;および
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド
からなる群から選択される。
【0091】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.5を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0092】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.5を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0093】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.5を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであり、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない。
【0094】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.5を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであり、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている。
【0095】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.5を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であり、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている。
【0096】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.3を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0097】
一実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.3を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、ただし前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド、または前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列、または少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0098】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.3を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0099】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.3を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0100】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.3を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0101】
一実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.3を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;および
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド
からなる群から選択される。
【0102】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.3を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0103】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.3を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0104】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.3を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであり、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない。
【0105】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.3を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであり、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている。
【0106】
さらなる実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.3を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であり、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている。
【0107】
好ましい実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドは、
長さ16~40アミノ酸のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、前記アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0108】
さらに好ましい実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドは、長さ16~40アミノ酸のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、前記アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;および
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド
からなる群から選択される。
【0109】
さらに好ましい実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドは、長さ16~40アミノ酸のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、前記アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0110】
さらに好ましい実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドは、長さ16~40アミノ酸のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、前記アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0111】
さらに好ましい実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドは、長さ16~40アミノ酸のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、前記アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであり、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない。
【0112】
さらに好ましい実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドは、長さ16~40アミノ酸のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、前記アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであり、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている。
【0113】
さらに好ましい実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドは、長さ16~40アミノ酸のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、前記アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であり、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている。
【0114】
一実施形態において、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択され、
少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換による修飾は、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の、アミノ酸1~11の範囲内で、好ましくはアミノ酸1~10の範囲内で、より好ましくはアミノ酸1~9の範囲内で、さらにより好ましくはアミノ酸1~8の範囲内で、特にアミノ酸1~7の範囲内で、より特にアミノ酸1~6の範囲内で、さらにより特にアミノ酸1~5の範囲内で、特に好ましくはアミノ酸1~4の範囲内で、さらに特に好ましくはアミノ酸1~3の範囲内で、より一層特に好ましくはアミノ酸1~2の範囲内でなされる。
【0115】
用語「疎水性スコア(hydrophobic score)」または「疎水性スコア(hydrophobicity score)」は、本明細書において用語「ハイドロパシースコア」と同意語として使用され、カイト-デューリトルのスケール(Kyte J.、Doolittle R.F.;J.Mol.Biol.157:105~132(1982))に従って計算されるアミノ酸の疎水性の程度を指す。カイト-デューリトルのスケールによるアミノ酸疎水性スコアは、以下の通りである。
【0116】
アミノ酸配列の「平均疎水性スコア」、例えばシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の平均疎水性スコアは、アミノ酸配列のアミノ酸のそれぞれのカイト-デューリトルのスケールによる疎水性スコア、例えば、N末端のアミノ酸1~9の9つのアミノ酸のそれぞれの疎水性スコアを足して、アミノ酸の数で割る、例えば9で割ることによって計算される。
【0117】
本発明の一実施形態において、アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2.05に等しいかまたはそれを超える、好ましくは2.1に等しいかまたはそれを超える、より好ましくは2.15に等しいかまたはそれを超える、さらにより好ましくは2.2に等しいかまたはそれを超える、特に2.25に等しいかまたはそれを超える、より特に2.3に等しいかまたはそれを超える、さらにより特に2.35に等しいかまたはそれを超える平均疎水性スコアを有する。さらなる実施形態において、アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2.05~4.5、好ましくは2.1~4.5、より好ましくは2.15~4.5、さらにより好ましくは2.2~4.5、特に2.25~4.5、より特に2.3~4.5、さらにより特に2.35~4.5の平均疎水性スコアを有する。さらなる実施形態において、アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2.05~4.0、好ましくは2.1~4.0、より好ましくは2.15~4.0、さらにより好ましくは2.2~4.0、特に2.25~4.0、より特に2.3~4.0、さらにより特に2.35~4.0の平均疎水性スコアを有する。
【0118】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の9つのアミノ酸の平均疎水性スコアは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の平均疎水性スコアより、少なくとも1.0単位低い、好ましくは少なくとも1.1単位低い、より好ましくは少なくとも1.2単位低い、さらにより好ましくは少なくとも1.3単位低い、特に1.0~4単位低い、より特に1.1~4単位低い、さらにより特に1.2~4単位低い、最も特に1.3~4単位低い。
【0119】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の、アミノ酸1~9、アミノ酸2~10、アミノ酸3~11、アミノ酸4~12およびアミノ酸5~13は、それぞれ1.5を超える平均疎水性スコア、好ましくは1.6を超える平均疎水性スコア、より好ましくは1.7を超える平均疎水性スコア、さらにより好ましくは1.8を超える平均疎水性スコア、より一層好ましくは1.9を超える平均疎水性スコア、特に1.5~4.5の平均疎水性スコア、より特に1.6~4.5の平均疎水性スコア、さらにより特に1.7~4.5の平均疎水性スコア、より一層特に1.8~4.5の平均疎水性スコア、最も特に1.9~4.5の平均疎水性スコアを有する。
【0120】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸8~16の平均疎水性スコアは、少なくとも、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸3~11の平均疎水性スコアに等しいかまたはそれより低い、好ましくはそれより少なくとも0.4単位低い、より好ましくはそれより0.4~2.0単位低い。
【0121】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、長さ18~40アミノ酸のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸10~18の平均疎水性スコアは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸3~11の平均疎水性スコアより、少なくとも0.5単位、好ましくは0.5~3.0単位低い。
【0122】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の9つのアミノ酸の平均疎水性スコアは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸3~11の平均疎水性スコアより、少なくとも1.5単位、好ましくは1.5~3.5単位低い。
【0123】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列の任意の9つの連続するアミノ酸の平均疎水性スコアが、4.1を超えない。
【0124】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の9つのアミノ酸は、負の疎水性スコアを有する少なくとも1つのアミノ酸を含み、好ましくはシグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の9つのアミノ酸は、G、Q、N、T、S、R、K、H、D、E、P、YおよびWからなる群から選択されるアミノ酸を含む。
【0125】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の2番目のアミノ酸は、P、Y、W、S、T、G、A、M、C、F、L、VおよびIからなる群から選択される。
【0126】
本発明の好ましい実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の2番目のアミノ酸は、A、L、S、T、VおよびWからなる群から選択される。
【0127】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、6.1またはそれ未満の平均極性、好ましくは6.1未満の平均極性、より好ましくは4未満の平均極性、さらにより好ましくは2未満の平均極性、特に6.1~0の平均極性、より特に4~0の平均極性、さらにより特に2~0の平均極性、最も特に1~0.2の平均極性を有する。
【0128】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、6.1またはそれ未満の平均極性、好ましくは6.1未満の平均極性、より好ましくは4未満の平均極性、さらにより好ましくは2未満の平均極性、特に6.1~0の平均極性、より特に4~0の平均極性、さらにより特に2~0の平均極性、最も特に1~0.2の平均極性を有する。
【0129】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、6.1またはそれ未満の平均極性、好ましくは6.1未満の平均極性、より好ましくは4未満の平均極性、さらにより好ましくは2未満の平均極性、特に6.1~0の平均極性、より特に4~0の平均極性、さらにより特に2~0の平均極性、最も特に1.1~0.2の平均極性を有する。
【0130】
極性は、ジマーマン(Zimmerman)の極性インデックス(Zimmerman J.M.、Eliezer N.、Simha R.;J.Theor.Biol.21:170~201(1968))に従って計算される。アミノ酸配列の「平均極性」、例えば、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の平均極性は、アミノ酸配列のアミノ酸のそれぞれのジマーマンの極性インデックスによる計算された極性値、例えば、N末端のアミノ酸1~9の9つのアミノ酸のそれぞれの平均極性を足して、アミノ酸の数で割ること、例えば9で割ることによって計算される。ジマーマンの極性インデックスによるアミノ酸の極性は、以下の通りである。
【0131】
上述した本発明のシグナルペプチドのアミノ酸配列の平均疎水性スコアまたは平均極性は、Gasteiger E.ら(Gasteiger E.、Hoogland C.、Gattiker A.、Duvaud S.、Wilkins M.R.、Appel R.D.、Bairoch A.;Protein Identification and Analysis Tools on the ExPASy Server;(In)John M. Walker(編):The Proteomics Protocols Handbook、Humana Press(2005).571~607頁)で言及されている公共的に利用可能なオンラインデータベースのProtScale(http://www.expasy.org/tools/protscale.html)を使用して、カイトおよびデューリトルのスケール(「疎水性/カイトおよびデューリトル」)またはジマーマンのスケールの極性(「極性/ジマーマン」)の疎水性の選択、およびシグナルペプチドの具体的なウィンドウサイズ(例えば9アミノ酸のウィンドウサイズ)に対応する設定を用いて、ウィンドウの端の相対的な重量値を100%に設定し、スケールの正規化をせずに、計算することができる。それぞれの数値データは、結果のページにおける「数値フォーマット(Numerical format)(冗長)」上のオープンリンクによって検索することができる。
【0132】
本発明の一実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.7を超える平均疎水性スコアを有する。一実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.7を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、14~40アミノ酸の長さのアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0133】
本発明の一実施形態において、アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.6に等しいかまたはそれを超える、好ましくは1.7に等しいかまたはそれを超える、より好ましくは1.75に等しいかまたはそれを超える、さらにより好ましくは1.8に等しいかまたはそれを超える、特に2.0に等しいかまたはそれを超える、より特に2.1に等しいかまたはそれを超える、さらにより特に2.2に等しいかまたはそれを超える平均疎水性スコアを有する。さらなる実施形態において、アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.6~4.5、好ましくは1.7~4.5、より好ましくは1.75~4.5、さらにより好ましくは1.8~4.5、特に2.0~4.5、より特に2.1~4.5、さらにより特に2.2~4.5の平均疎水性スコアを有する。さらなる実施形態において、アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7は、1.6~4.0、好ましくは1.7~4.0、より好ましくは1.75~4.0、さらにより好ましくは1.8~4.0、特に2.0~4.0、より特に2.1~4.0、さらにより特に2.2~4.0の平均疎水性スコアを有する。
【0134】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の7つのアミノ酸の平均疎水性スコアは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7の平均疎水性スコアに等しいかまたはそれ未満であり、好ましくは少なくとも0.06単位低い、より好ましくは少なくとも1.0単位低い、さらにより好ましくは少なくとも1.1単位低い、特に少なくとも1.2単位低い、より特に1.0~4単位低い、さらにより特に1.0~4単位低い、最も特に1.2~4単位低い。
【0135】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7、アミノ酸2~8、アミノ酸3~9、アミノ酸4~10およびアミノ酸5~11は、それぞれ、1.4を超える平均疎水性スコア、好ましくは1.5を超える平均疎水性スコア、より好ましくは1.6を超える平均疎水性スコア、さらにより好ましくは1.7を超える平均疎水性スコア、より一層好ましくは1.75を超える平均疎水性スコア、特に1.4~4.5の平均疎水性スコア、より特に1.5~4.5の平均疎水性スコア、さらにより特に1.6~4.5の平均疎水性スコア、より一層特に1.7~4.5の平均疎水性スコア、最も特に1.75~4.5の平均疎水性スコアを有する。
【0136】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の7つのアミノ酸の平均疎水性スコアは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸3~9の平均疎水性スコアより、少なくとも1.0単位、好ましくは1.0~3.6単位低い。
【0137】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列の任意の7つの連続するアミノ酸の平均疎水性スコアが、4.1を超えない。
【0138】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の7つのアミノ酸は、負の疎水性スコアを有する少なくとも1つのアミノ酸を含み、好ましくは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の7つのアミノ酸は、G、Q、N、T、S、R、K、H、D、E、P、YおよびWからなる群から選択されるアミノ酸を含む。
【0139】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7の2番目のアミノ酸は、P、Y、W、S、T、G、A、M、C、F、L、VおよびIからなる群から選択される。
【0140】
本発明の好ましい実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~7の2番目のアミノ酸は、A、L、S、T、VおよびWからなる群から選択される。
【0141】
本発明の一実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.3単位を超える平均疎水性スコアを有する。一実施形態において、mRNAは、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.3を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、12~40アミノ酸の長さのアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0142】
本発明の一実施形態において、アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.0に等しいかまたはそれを超える、好ましくは1.1に等しいかまたはそれを超える、より好ましくは1.2に等しいかまたはそれを超える、さらにより好ましくは1.25に等しいかまたはそれを超える、特に1.3に等しいかまたはそれを超える、より特に1.35に等しいかまたはそれを超える、さらにより特に1.38に等しいかまたはそれを超える平均疎水性スコアを有する。さらなる実施形態において、アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1~4.5、好ましくは1.1~4.5、より好ましくは1.2~4.5、さらにより好ましくは1.25~4.5、特に1.3~4.5、より特に1.35~4.5、さらにより特に1.38~4.5の平均疎水性スコアを有する。さらなる実施形態において、アミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5は、1.0~4.0、好ましくは1.1~4.0、より好ましくは1.2~4.0、さらにより好ましくは1.25~4.0、特に1.3~4.0、より特に1.35~4.0、さらにより特に1.38~4.0の平均疎水性スコアを有する。
【0143】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の5つのアミノ酸の平均疎水性スコアは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5の平均疎水性スコアより、少なくとも0.2単位低い、好ましくは少なくとも0.24単位低い、より好ましくは少なくとも1.0単位低い、さらにより好ましくは少なくとも1.2単位低い、特に0.2~4単位低い、より特に0.24~4単位低い、さらにより特に1.0~4単位低い、最も特に1.2~4単位低い。
【0144】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~5、アミノ酸2~6、アミノ酸3~7、アミノ酸4~8およびアミノ酸5~9は、それぞれ1.0を超える平均疎水性スコア、好ましくは1.15を超える平均疎水性スコア、より好ましくは1.2を超える平均疎水性スコア、さらにより好ましくは1.21を超える平均疎水性スコア、より一層好ましくは1.23を超える平均疎水性スコア、特に1.0~4.5の平均疎水性スコア、より特に1.15~4.5の平均疎水性スコア、さらにより特に1.2~4.5の平均疎水性スコア、より一層特に1.21~4.5の平均疎水性スコア、最も特に1.23~4.5の平均疎水性スコアを有する。
【0145】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の5つのアミノ酸の平均疎水性スコアは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸3~7の平均疎水性スコアより、少なくとも1.2単位、好ましくは1.2~3.0単位、より好ましくは1.2~4.3単位低い。
【0146】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列の任意の5つの連続するアミノ酸の平均疎水性スコアが、4.2を超えず、好ましくは4.3を超えない。
【0147】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の9つのアミノ酸のうち5つは、負の疎水性スコアを有する少なくとも1つのアミノ酸を含み、好ましくは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の5つのアミノ酸は、G、Q、N、T、S、R、K、H、D、E、P、YおよびWからなる群から選択されるアミノ酸を含む。
【0148】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の2番目のアミノ酸は、P、Y、W、S、T、G、A、M、C、F、L、VおよびIからなる群から選択される。
【0149】
本発明の好ましい実施形態において、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の2番目のアミノ酸は、A、L、S、T、VおよびWからなる群から選択される。
【0150】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドのアミノ酸配列のアミノ酸の数の50%未満の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである。
【0151】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、修飾されたシグナルペプチドは、前記タンパク質にとって異種の修飾を含まないシグナルペプチドのアミノ酸配列とは、1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ、さらにより好ましくは4つ、最も好ましくは5つ、特に6つ、より特に7つ、さらにより特に8つ、最も特に9または10個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列を有する、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである。
【0152】
一実施形態において、修飾されたシグナルペプチドは、前記タンパク質にとって異種の修飾を含まないシグナルペプチドのアミノ酸配列とは、1~2アミノ酸、好ましくは1~3アミノ酸、より好ましくは1~4アミノ酸、さらにより好ましくは1~5アミノ酸、最も好ましくは1~6アミノ酸、特に1~7アミノ酸、より特に1~10アミノ酸、さらにより特に1~12アミノ酸、最も特に1~15アミノ酸が異なるアミノ酸配列を有する。
【0153】
一実施形態において、修飾されたシグナルペプチドは、前記タンパク質にとって異種の修飾を含まないシグナルペプチドのアミノ酸配列との、95%~50%、好ましくは95%~60%、より好ましくは95%~70%、さらにより好ましくは95%~80%、最も好ましくは95%~90%の配列同一性を有する。
【0154】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし修飾されたシグナルペプチドは、前記タンパク質の天然に存在する(相同な)シグナルペプチドのアミノ酸配列とは、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、さらにより好ましくは少なくとも4つ、最も好ましくは少なくとも5つ、特に少なくとも6つ、より特に少なくとも7つ、さらにより特に少なくとも8つ、最も特に少なくとも9または10個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列を有する、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである。一実施形態において、前記タンパク質にとって異種の修飾されたシグナルペプチドは、95%未満、好ましくは90%未満、より好ましくは80%未満、さらにより好ましくは70%未満、最も好ましくは60%未満、特に50%未満の、前記タンパク質の天然に存在する(相同な)シグナルペプチドのアミノ酸配列との配列同一性を有する。
【0155】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質に相同な修飾を含まないシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2およびそれ未満、好ましくは2未満の平均疎水性スコアを有する、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドである。
【0156】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドのアミノ酸配列のアミノ酸の数の50%未満の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドである。
【0157】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質に相同な修飾されたシグナルペプチドは、前記タンパク質に相同な修飾を含まないシグナルペプチドのアミノ酸配列とは、1、好ましくは2、より好ましくは3、さらにより好ましくは4、最も好ましくは5、特に6、より特に7、さらにより特に8~12、最も特に9~15アミノ酸が異なる、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドである。一実施形態において、前記タンパク質に相同な修飾されたシグナルペプチドは、前記タンパク質に相同な修飾を含まないシグナルペプチドのアミノ酸配列とは、1~2アミノ酸、好ましくは1~3アミノ酸、より好ましくは1~4アミノ酸、さらにより好ましくは1~5アミノ酸、最も好ましくは1~6アミノ酸、特に1~7アミノ酸、より特に1~10アミノ酸、さらにより特に1~12アミノ酸、最も特に1~15アミノ酸が異なる。
【0158】
一実施形態において、前記タンパク質に相同な修飾されたシグナルペプチドは、前記タンパク質に相同な修飾を含まないシグナルペプチドのアミノ酸配列との、95%未満、好ましくは90%未満、より好ましくは80%未満、さらにより好ましくは70%未満、最も好ましくは60%未満、特に50%未満の配列同一性を有する。
【0159】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、必要に応じて、天然に存在するアミノ酸配列のアミノ酸配列のアミノ酸の数の50%未満の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0160】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、修飾を含まない天然に存在するアミノ酸配列のアミノ酸配列とは、1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ、さらにより好ましくは4つ、最も好ましくは5つ、特に6つ、より特に7つ、さらにより特に8~12、最も特に9~15アミノ酸が異なる、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0161】
一実施形態において、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、修飾を含まない天然に存在するアミノ酸配列のアミノ酸配列とは、1~2アミノ酸、好ましくは1~3アミノ酸、より好ましくは1~4アミノ酸、さらにより好ましくは1~5アミノ酸、最も好ましくは1~6アミノ酸、特に1~7アミノ酸、より特に1~10アミノ酸、さらにより特に1~12アミノ酸、最も特に1~15アミノ酸が異なる。
【0162】
一実施形態において、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、修飾を含まない天然に存在するアミノ酸配列のアミノ酸配列との、95%未満、好ましくは90%未満、より好ましくは80%未満、さらにより好ましくは70%未満、最も好ましくは60%未満、特に50%未満の配列同一性を有する。
【0163】
本発明の一実施形態において、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、天然に存在するシグナルペプチドのアミノ酸配列とは、50%より多く、好ましくは60%より多く、より好ましくは70%より多く、さらにより好ましくは80%より多く、最も好ましくは90%より多く、特に95%より多く異なるアミノ酸配列を有する。一実施形態において、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、100%未満、好ましくは95%未満、より好ましくは90%未満、さらにより好ましくは80%未満、最も好ましくは70%未満、特に60%未満、より特に50%未満の、天然に存在するシグナルのアミノ酸配列との配列同一性を有する。
【0164】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、ニューロトロフィン-3(NTF-3)のシグナルペプチド、線維芽細胞増殖因子5(FGF5)のシグナルペプチド、インスリン様成長因子結合タンパク質5(IBP5)のシグナルペプチド、前立腺および精巣発現タンパク質2(PATE2)のシグナルペプチド、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(SOD3)のシグナルペプチド、および補体因子H関連タンパク質2(FHR2)のシグナルペプチドからなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであるか、またはi)少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾された、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、C-X-Cモチーフケモカインリガンド12(CXCL12)のシグナルペプチド、インスリン増殖因子2(IGF2)のシグナルペプチド、インスリン(INS)のシグナルペプチド、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドからなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである。
【0165】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、配列番号30で示される脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、配列番号102で示されるニューロトロフィン-3(NTF-3)のシグナルペプチド、配列番号87で示される線維芽細胞増殖因子5(FGF5)のシグナルペプチド、配列番号97で示されるインスリン様成長因子結合タンパク質5(IBP5)のシグナルペプチド、配列番号107で示される前立腺および精巣発現タンパク質2(PATE2)のシグナルペプチド、配列番号112で示される細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(SOD3)のシグナルペプチド、および配列番号92で示される補体因子H関連タンパク質2(FHR2)のシグナルペプチドからなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであるか、またはi)少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾された、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種の修飾されたシグナルペプチドは、配列番号132で示される修飾されたC-X-Cモチーフケモカインリガンド12(CXCL12)のシグナルペプチド、配列番号127で示される修飾されたインスリン増殖因子2(IGF2)のシグナルペプチド、配列番号147で示される修飾されたインスリン(INS)のシグナルペプチド、および配列番号137で示される修飾された脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドからなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである。
【0166】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、i)脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、ニューロトロフィン-3(NTF-3)のシグナルペプチド、線維芽細胞増殖因子5(FGF5)のシグナルペプチド、インスリン様成長因子結合タンパク質5(IBP5)のシグナルペプチド、前立腺および精巣発現タンパク質2(PATE2)のシグナルペプチド、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(SOD3)のシグナルペプチド、および補体因子H関連タンパク質2(FHR2)のシグナルペプチドからなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである。好ましくは、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、配列番号30で示される脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、配列番号102で示されるニューロトロフィン-3(NTF-3)のシグナルペプチド、配列番号87で示される線維芽細胞増殖因子5(FGF5)のシグナルペプチド、配列番号97で示されるインスリン様成長因子結合タンパク質5(IBP5)のシグナルペプチド、配列番号107で示される前立腺および精巣発現タンパク質2(PATE2)のシグナルペプチド、配列番号112で示される細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(SOD3)のシグナルペプチド、および配列番号92で示される補体因子H関連タンパク質2(FHR2)のシグナルペプチドからなる群から選択される。
【0167】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、i)少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾された、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、C-X-Cモチーフケモカインリガンド12(CXCL12)のシグナルペプチド、インスリン増殖因子2(IGF2)のシグナルペプチド、インスリン(INS)のシグナルペプチド、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドからなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである。
【0168】
本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾された前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、配列番号132で示される修飾されたC-X-Cモチーフケモカインリガンド12(CXCL12)のシグナルペプチド、配列番号127で示される修飾されたインスリン増殖因子2(IGF2)のシグナルペプチド、配列番号147で示される修飾されたインスリン(INS)のシグナルペプチド、および配列番号137で示される修飾された脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドからなる群から選択される。
【0169】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドおよび前記タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)のシグナルペプチドおよびIGF1、インスリンのシグナルペプチドおよびINS、エリスロポエチン(EPO)のシグナルペプチドおよびEPO、インターロイキン4(IL-4)のシグナルペプチドおよびIL-4、ならびにインターロイキン10(IL-10)のシグナルペプチドおよびIL-10からなる群から選択される、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドである。本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾された、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、配列番号122で示されるインスリン増殖因子1(IGF1)の修飾されたシグナルペプチド、配列番号147で示されるインスリンの修飾されたシグナルペプチド、配列番号152で示されるエリスロポエチン(EPO)の修飾されたシグナルペプチド、配列番号166で示されるインターロイキン4(IL-4)の修飾されたシグナルペプチド、および配列番号174で示されるインターロイキン10(IL-10)の修飾されたシグナルペプチドからなる群から選択される。
【0170】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、天然に存在するアミノ酸配列は、インスリン増殖因子1(IGF1)のプロペプチド、グルカゴン受容体(GL-R)のコード配列および腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)のプロペプチドからなる群から選択される、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0171】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、グルカゴン受容体(GL-R)のコード配列である、天然に存在するアミノ酸配列、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、インスリン増殖因子1(IGF1)のプロペプチドである、天然に存在するアミノ酸配列、またはiii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)のプロペプチドである、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0172】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、グルカゴン受容体(GL-R)のコード配列である、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0173】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、天然に存在するアミノ酸配列は、インスリン増殖因子1(IGF1)のプロペプチドである、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0174】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、天然に存在するアミノ酸配列は、腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)のプロペプチドである、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0175】
本発明の好ましい実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、配列番号117で示されるグルカゴン受容体(GL-R)のコード配列である、天然に存在するアミノ酸配列、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、配列番号142で示されるインスリン増殖因子1(IGF1)の修飾されたプロペプチドである、天然に存在するアミノ酸配列、またはiii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、配列番号189で示される腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)の修飾されたプロペプチドである、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0176】
本発明の好ましい実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、配列番号117で示されるグルカゴン受容体(GL-R)のコード配列である、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0177】
本発明の好ましい実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、配列番号142で示されるインスリン増殖因子1(IGF1)の修飾されたプロペプチドである、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0178】
本発明の好ましい実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、配列番号189で示される腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)の修飾されたプロペプチドである、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0179】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドを使用した分泌タンパク質の量は、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドを使用した前記分泌タンパク質の量より多い、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである。好ましくは、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドを使用した分泌タンパク質の量は、好ましくは、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドを使用した前記分泌タンパク質の量より、少なくとも1.4倍多い。
【0180】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質に相同な修飾されたシグナルペプチドを使用した分泌タンパク質の量は、前記タンパク質に相同な修飾を含まないシグナルペプチドを使用した前記分泌タンパク質の量より多い、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドである。好ましくは、前記タンパク質に相同な修飾されたシグナルペプチドを使用した分泌タンパク質の量は、好ましくは、前記タンパク質に相同な修飾されていないシグナルペプチドを使用した前記分泌タンパク質の量より少なくとも1.4倍多い。
【0181】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、必要に応じて少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列を使用した分泌タンパク質の量は、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドを使用した前記分泌タンパク質の量より多い、天然に存在するアミノ酸配列である。好ましくは、必要に応じて修飾された天然に存在するアミノ酸配列を使用した分泌タンパク質の量は、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドを使用した前記分泌タンパク質の量より、好ましくは少なくとも1.4倍多い。
【0182】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、必要に応じて、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、ただし前記タンパク質は、チオレドキシンではなく、より特に、タンパク質は、桿体由来錐体生存因子(rod-derived cone viability factor)ではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである。
【0183】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)、インスリン(INS)、エリスロポエチン(EPO)、インターロイキン-4(IL-4)およびインターロイキン-10(IL-10)からなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質は、IGF1である、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド、
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)、インスリン(INS)、エリスロポエチン(EPO)、インターロイキン-4(IL-4)およびインターロイキン-10(IL-10)からなる群から選択される、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、グルカゴン受容体(GL-R)のコード配列であり、タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列;および
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、インスリン増殖因子1(IGF1)のプロペプチドであり、タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列
から選択される。
【0184】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであり、前記タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)、インスリン(INS)、エリスロポエチン(EPO)、インターロイキン-4(IL-4)およびインターロイキン-10(IL-10)からなる群から選択される。
【0185】
本発明の好ましい実施形態において、シグナルペプチドは、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであり、前記タンパク質は、配列番号188で示されるインスリン増殖因子1(IGF1)、配列番号185で示されるインスリン(INS)、配列番号184で示されるエリスロポエチン(EPO)、配列番号186で示されるインターロイキン-4(IL-4)および配列番号187で示されるインターロイキン-10(IL-10)からなる群から選択される。
【0186】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質は、IGF1である、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである。
【0187】
本発明の好ましい実施形態において、シグナルペプチドは、i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、前記タンパク質は、配列番号188で示されるIGF1である、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドである。
【0188】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)、インスリン(INS)、エリスロポエチン(EPO)、インターロイキン-4(IL-4)およびインターロイキン-10(IL-10)からなる群から選択される、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドである。
【0189】
本発明の好ましい実施形態において、シグナルペプチドは、ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、タンパク質は、配列番号188で示されるインスリン増殖因子1(IGF1)、配列番号185で示されるインスリン(INS)、配列番号184で示されるエリスロポエチン(EPO)、配列番号186で示されるインターロイキン-4(IL-4)および配列番号187で示されるインターロイキン-10(IL-10)からなる群から選択される、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドである。
【0190】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、グルカゴン受容体(GL-R)のコード配列であり、タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0191】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、インスリン増殖因子1(IGF1)のプロペプチドであり、タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0192】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)のプロペプチドであり、タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0193】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、グルカゴン受容体(GL-R)のコード配列であり、タンパク質は、配列番号188で示されるインスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0194】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、インスリン増殖因子1(IGF1)の修飾されたプロペプチドであり、タンパク質は、配列番号188で示されるインスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0195】
本発明の一実施形態において、シグナルペプチドは、iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)の修飾されたプロペプチドであり、タンパク質は、配列番号188で示されるインスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列である。
【0196】
本発明の好ましい実施形態では、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、ニューロトロフィン-3(NTF-3)のシグナルペプチド、線維芽細胞増殖因子5(FGF5)のシグナルペプチド、インスリン様成長因子結合タンパク質5(IBP5)のシグナルペプチド、前立腺および精巣発現タンパク質2(PATE2)のシグナルペプチド、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(SOD3)のシグナルペプチド、ならびに補体因子H関連タンパク質2(FHR2)のシグナルペプチドからなる群から選択され、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、C-X-Cモチーフケモカインリガンド12(CXCL12)のシグナルペプチド、インスリン増殖因子2(IGF2)のシグナルペプチド、インスリン(INS)のシグナルペプチド、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドからなる群から選択され、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、インスリン増殖因子1(IGF1)のシグナルペプチド、インスリン(INS)のシグナルペプチド、エリスロポエチン(EPO)のシグナルペプチド、インターロイキン4(IL-4)のシグナルペプチド、およびインターロイキン10(IL-10)のシグナルペプチドからなる群から選択される、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、グルカゴン受容体(GL-R)のコード配列である、天然に存在するアミノ酸配列;
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、天然に存在するアミノ酸配列は、インスリン増殖因子1(IGF1)のプロペプチドである、天然に存在するアミノ酸配列;ならびに
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、天然に存在するアミノ酸配列は、腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)のプロペプチドである、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0197】
本発明の好ましい実施形態では、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、ニューロトロフィン-3(NTF-3)のシグナルペプチド、線維芽細胞増殖因子5(FGF5)のシグナルペプチド、インスリン様成長因子結合タンパク質5(IBP5)のシグナルペプチド、前立腺および精巣発現タンパク質2(PATE2)のシグナルペプチド、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(SOD3)のシグナルペプチド、ならびに補体因子H関連タンパク質2(FHR2)のシグナルペプチドからなる群から選択され、前記タンパク質は、サイトカイン、増殖因子およびホルモンからなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、C-X-Cモチーフケモカインリガンド12(CXCL12)のシグナルペプチド、インスリン増殖因子2(IGF2)のシグナルペプチド、インスリン(INS)のシグナルペプチド、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドからなる群から選択され、前記タンパク質は、サイトカイン、増殖因子およびホルモンからなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドおよび前記タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)のシグナルペプチドおよびIGF1、インスリンのシグナルペプチドおよびINS、エリスロポエチン(EPO)のシグナルペプチドおよびEPO、インターロイキン4(IL-4)のシグナルペプチドおよびIL-4、インターロイキン10(IL-10)のシグナルペプチドおよびIL-10からなる群から選択される、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;
iii)シグナルペプチドが、グルカゴン受容体(GL-R)のコード配列であり、前記タンパク質が、サイトカイン;増殖因子;およびホルモンからなる群から選択され、好ましくは増殖因子である、自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列;
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、天然に存在するアミノ酸配列は、インスリン増殖因子1(IGF1)のプロペプチドであり、前記タンパク質は、サイトカイン、増殖因子およびホルモンからなる群から選択され、好ましくは増殖因子である、天然に存在するアミノ酸配列;ならびに
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、天然に存在するアミノ酸配列は、腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)のプロペプチドであり、前記タンパク質は、サイトカイン、増殖因子およびホルモンからなる群から選択され、好ましくは増殖因子である、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0198】
本発明の好ましい実施形態では、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、ニューロトロフィン-3(NTF-3)のシグナルペプチド、線維芽細胞増殖因子5(FGF5)のシグナルペプチド、インスリン様成長因子結合タンパク質5(IBP5)のシグナルペプチド、前立腺および精巣発現タンパク質2(PATE2)のシグナルペプチド、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(SOD3)のシグナルペプチド、ならびに補体因子H関連タンパク質2(FHR2)のシグナルペプチドからなる群から選択され、前記タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)、インスリン(INS)、エリスロポエチン(EPO)、インターロイキン4(IL-4)、およびインターロイキン10(IL-10)からなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、C-X-Cモチーフケモカインリガンド12(CXCL12)のシグナルペプチド、インスリン増殖因子2(IGF2)のシグナルペプチド、インスリン(INS)のシグナルペプチド、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドからなる群から選択され、前記タンパク質はインスリン増殖因子1(IGF1)である、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドおよび前記タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)のシグナルペプチドおよびIGF1、インスリンのシグナルペプチドおよびINS、エリスロポエチン(EPO)のシグナルペプチドおよびEPO、インターロイキン4(IL-4)のシグナルペプチドおよびIL-4、インターロイキン10(IL-10)のシグナルペプチドおよびIL-10からなる群から選択される、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、グルカゴン受容体(GL-R)のコード配列であり、前記タンパク質はインスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列;
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、天然に存在するアミノ酸配列はインスリン増殖因子1(IGF1)のプロペプチドであり、前記タンパク質はインスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列;ならびに
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、天然に存在するアミノ酸配列は腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)のプロペプチドであり、前記タンパク質はインスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0199】
本発明の好ましい実施形態では、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドおよび前記タンパク質が、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドおよびIGF1、インスリン、EPO、またはIL-10、ニューロトロフィン-3(NTF-3)のシグナルペプチドおよびIGF1、線維芽細胞増殖因子5(FGF5)のシグナルペプチドおよびIGF1またはIL4、インスリン様成長因子結合タンパク質5(IBP5)のシグナルペプチドおよびIGF1、前立腺および精巣発現タンパク質2(PATE2)のシグナルペプチドおよびIGF1、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(SOD3)のシグナルペプチドおよびIGF1、ならびに補体因子H関連タンパク質2(FHR2)のシグナルペプチドおよびIGF1からなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドおよび前記タンパク質は、C-X-Cモチーフケモカインリガンド12(CXCL12)のシグナルペプチドおよびIGF1、インスリン増殖因子2(IGF2)のシグナルペプチドおよびIGF1、インスリン(INS)のシグナルペプチドおよびIGF1、ならびに脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドおよびIGF1からなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドおよび前記タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)のシグナルペプチドおよびIGF1、インスリンのシグナルペプチドおよびINS、エリスロポエチン(EPO)のシグナルペプチドおよびEPO、インターロイキン4(IL-4)のシグナルペプチドおよびIL-4、インターロイキン10(IL-10)のシグナルペプチドおよびIL-10からなる群から選択される、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、グルカゴン受容体(GL-R)のコード配列であり、前記タンパク質はインスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列;
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、天然に存在するアミノ酸配列はインスリン増殖因子1(IGF1)のプロペプチドであり、前記タンパク質はインスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列;ならびに
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、天然に存在するアミノ酸配列は腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)のプロペプチドであり、前記タンパク質はインスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0200】
本発明の好ましい実施形態では、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、配列番号30に示される脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、配列番号102に示されるニューロトロフィン-3(NTF-3)のシグナルペプチド、配列番号87に示される線維芽細胞増殖因子5(FGF5)のシグナルペプチド、配列番号97に示されるインスリン様成長因子結合タンパク質5(IBP5)のシグナルペプチド、配列番号107に示される前立腺および精巣発現タンパク質2(PATE2)のシグナルペプチド、配列番号112に示される細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(SOD3)のシグナルペプチド、ならびに配列番号92に示される補体因子H関連タンパク質2(FHR2)のシグナルペプチドからなる群から選択され、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、配列番号132に示されるC-X-Cモチーフケモカインリガンド12(CXCL12)のシグナルペプチド、配列番号127に示されるインスリン増殖因子2(IGF2)のシグナルペプチド、配列番号147に示されるインスリン(INS)のシグナルペプチド、および配列番号137に示される脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドからなる群から選択され、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、配列番号122に示されるインスリン増殖因子1(IGF1)の修飾されたシグナルペプチド、配列番号147に示されるインスリン(INS)の修飾されたシグナルペプチド、配列番号152に示されるエリスロポエチン(EPO)の修飾されたシグナルペプチド、配列番号166に示されるインターロイキン4(IL-4)の修飾されたシグナルペプチド、および配列番号174に示されるインターロイキン10(IL-10)の修飾されたシグナルペプチドからなる群から選択される、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、配列番号117に示されるグルカゴン受容体(GL-R)のコード配列である、天然に存在するアミノ酸配列;
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、配列番号142に示されるインスリン増殖因子1(IGF1)の修飾されたプロペプチドである、天然に存在するアミノ酸配列;ならびに
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、配列番号189に示される腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)の修飾されたプロペプチドである、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0201】
本発明の好ましい実施形態では、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、配列番号30に示される脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、配列番号102に示されるニューロトロフィン-3(NTF-3)のシグナルペプチド、配列番号87に示される線維芽細胞増殖因子5(FGF5)のシグナルペプチド、配列番号97に示されるインスリン様成長因子結合タンパク質5(IBP5)のシグナルペプチド、配列番号107に示される前立腺および精巣発現タンパク質2(PATE2)のシグナルペプチド、配列番号112に示される細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(SOD3)のシグナルペプチド、ならびに配列番号92に示される補体因子H関連タンパク質2(FHR2)のシグナルペプチドからなる群から選択され、前記タンパク質は、サイトカイン、増殖因子およびホルモンからなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、前記タンパク質にとって異種の修飾されたシグナルペプチドは、配列番号132に示されるC-X-Cモチーフケモカインリガンド12(CXCL12)の修飾されたシグナルペプチド、配列番号127に示されるインスリン増殖因子2(IGF2)の修飾されたシグナルペプチド、配列番号147に示されるインスリン(INS)の修飾されたシグナルペプチド、および配列番号137に示される脳由来神経栄養因子(BDNF)の修飾されたシグナルペプチドからなる群から選択され、前記タンパク質は、サイトカイン増殖因子およびホルモンからなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、前記タンパク質に相同な修飾されたシグナルペプチドおよび前記タンパク質は、配列番号122に示されるインスリン増殖因子1(IGF1)の修飾されたシグナルペプチドおよび配列番号188に示されるIGF1、配列番号147に示されるインスリンの修飾されたシグナルペプチドおよび配列番号185に示されるインスリン(INS)、配列番号152に示されるエリスロポエチン(EPO)の修飾されたシグナルペプチドおよび配列番号184に示されるEPO、配列番号166に示されるインターロイキン4(IL-4)の修飾されたシグナルペプチドおよび配列番号186に示されるIL-4、配列番号174に示されるインターロイキン10(IL-10)の修飾されたシグナルペプチドおよび配列番号187に示されるIL-10からなる群から選択される、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、配列番号117に示されるグルカゴン受容体(GL-R)のコード配列であり、前記タンパク質は、サイトカイン;増殖因子;およびホルモンからなる群から選択され、好ましくは増殖因子である、天然に存在するアミノ酸配列;
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、配列番号142に示されるインスリン増殖因子1(IGF1)の修飾されたプロペプチドであり、前記タンパク質は、サイトカイン;増殖因子;およびホルモンからなる群から選択され、好ましくは増殖因子である、天然に存在するアミノ酸配列;ならびに
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、配列番号189に示される腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)の修飾されたプロペプチドであり、前記タンパク質は、サイトカイン;増殖因子;およびホルモンからなる群から選択され、好ましくは増殖因子である、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0202】
本発明の好ましい実施形態では、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、配列番号30に示される脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、配列番号102に示されるニューロトロフィン-3(NTF-3)のシグナルペプチド、配列番号87に示される線維芽細胞増殖因子5(FGF5)のシグナルペプチド、配列番号97に示されるインスリン様成長因子結合タンパク質5(IBP5)のシグナルペプチド、配列番号107に示される前立腺および精巣発現タンパク質2(PATE2)のシグナルペプチド、配列番号112に示される細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(SOD3)のシグナルペプチド、ならびに配列番号92に示される補体因子H関連タンパク質2(FHR2)のシグナルペプチドからなる群から選択され、前記タンパク質は、配列番号188に示されるインスリン増殖因子1(IGF1)、配列番号185に示されるインスリン、配列番号184に示されるエリスロポエチン(EPO)、配列番号186に示されるインターロイキン4(IL-4)、および配列番号187に示されるインターロイキン10(IL-10)からなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、前記タンパク質にとって異種の修飾されたシグナルペプチドは、配列番号132に示されるC-X-Cモチーフケモカインリガンド12(CXCL12)の修飾されたシグナルペプチド、配列番号127に示されるインスリン増殖因子2(IGF2)の修飾されたシグナルペプチド、配列番号147に示されるインスリン(INS)の修飾されたシグナルペプチド、および配列番号137に示される脳由来神経栄養因子(BDNF)の修飾されたシグナルペプチドからなる群から選択され、前記タンパク質は、配列番号188に示されるインスリン増殖因子1(IGF1)である、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、前記タンパク質に相同な修飾されたシグナルペプチドおよび前記タンパク質は、配列番号122に示されるインスリン増殖因子1(IGF1)の修飾されたシグナルペプチドおよび配列番号188に示されるIGF1、配列番号147に示されるインスリンの修飾されたシグナルペプチドおよび配列番号185に示されるインスリン(INS)、配列番号152に示されるエリスロポエチン(EPO)の修飾されたシグナルペプチドおよび配列番号184に示されるEPO、配列番号166に示されるインターロイキン4(IL-4)の修飾されたシグナルペプチドおよび配列番号186に示されるIL-4、配列番号174に示されるインターロイキン10(IL-10)の修飾されたシグナルペプチドおよび配列番号187に示されるIL-10からなる群から選択される、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、配列番号117に示されるグルカゴン受容体(GL-R)のコード配列であり、前記タンパク質は、配列番号188に示されるインスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列;
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、配列番号142に示されるインスリン増殖因子1(IGF1)の修飾されたプロペプチドであり、前記タンパク質は、配列番号188に示されるインスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列、ならびに
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾され、修飾された天然に存在するアミノ酸配列は、配列番号189に示される腸型アルカリホスファターゼ(ALPI)の修飾されたプロペプチドであり、前記タンパク質は、配列番号188に示されるインスリン増殖因子1(IGF1)である、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される。
【0203】
本発明の特定の好ましい実施形態では、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAは、配列番号8に示されるmRNA配列、配列番号105に示されるmRNA配列、配列番号90に示されるmRNA配列、配列番号100に示されるmRNA配列、配列番号110に示されるmRNA配列、配列番号115に示されるmRNA配列、配列番号95に示されるmRNA配列、配列番号135に示されるmRNA配列、配列番号130に示されるmRNA配列、配列番号150に示されるmRNA配列、配列番号140に示されるmRNA配列、配列番号125に示されるmRNA配列、配列番号161に示されるmRNA配列、配列番号155に示されるmRNA配列、配列番号169に示されるmRNA配列、配列番号177に示されるmRNA配列、配列番号120に示されるmRNA配列、配列番号145に示されるmRNA配列、および配列番号192に示されるmRNA配列からなる群から選択される。
【0204】
さらなる態様では本発明は、
i)タンパク質;および
ii)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、タンパク質がオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド
をコードする核酸配列を含むmRNA、
特に、
i)タンパク質;ならびに
ii)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、タンパク質は、カルボキシペプチダーゼ;サイトカイン;細胞外のリガンドおよび輸送体;細胞外マトリックスタンパク質;グルコシダーゼ;グリコシルトランスフェラーゼ;増殖因子;増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;ホルモン;ヒドロラーゼ;免疫グロブリン;イソメラーゼ;キナーゼ;リアーゼ;金属酵素阻害剤;メタロプロテアーゼ;乳タンパク質;神経刺激性タンパク質;プロテアーゼ;プロテアーゼ阻害剤;タンパク質ホスファターゼ;エステラーゼ;トランスフェラーゼ;および血管作動性タンパク質からなる群から選択される、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド
をコードする核酸配列を含むmRNAを提供する。
【0205】
本発明の1つの実施形態では、タンパク質は治療用タンパク質である。本発明の好ましい実施形態では、タンパク質はヒト由来であり、すなわち、ヒトタンパク質である。本発明のさらに好ましい実施形態では、タンパク質は、全てヒト由来のカルボキシペプチダーゼ;サイトカイン;細胞外のリガンドおよび輸送体;細胞外マトリックスタンパク質;グルコシダーゼ;グリコシルトランスフェラーゼ;増殖因子;増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;ホルモン;ヒドロラーゼ;免疫グロブリン;イソメラーゼ;キナーゼ;リアーゼ;金属酵素阻害剤;メタロプロテアーゼ;乳タンパク質;神経刺激性タンパク質;プロテアーゼ;プロテアーゼ阻害剤;タンパク質ホスファターゼ;エステラーゼ;トランスフェラーゼ;ならびに血管作動性タンパク質からなる群から選択される。本発明のより好ましい実施形態では、本発明のタンパク質は、ヒトカルボキシペプチダーゼ;ヒトサイトカイン;ヒト細胞外のリガンドおよび輸送体;ヒト細胞外マトリックスタンパク質;ヒトグルコシダーゼ;ヒトグリコシルトランスフェラーゼ;ヒト増殖因子;ヒト増殖因子結合タンパク質;ヒトヘパリン結合タンパク質;ヒトホルモン;ヒトヒドロラーゼ;ヒト免疫グロブリン;ヒトイソメラーゼ;ヒトキナーゼ;ヒトリアーゼ;ヒト金属酵素阻害剤;ヒトメタロプロテアーゼ;ヒト乳タンパク質;ヒト神経刺激性タンパク質;ヒトプロテアーゼ;ヒトプロテアーゼ阻害剤;ヒトタンパク質ホスファターゼ;ヒトエステラーゼ;ヒトトランスフェラーゼ;ならびにヒト血管作動性タンパク質からなる群から選択される。
【0206】
1つの実施形態では、タンパク質は、カルボキシペプチダーゼが、ACE、ACE2、CNDP1、CPA1、CPA2、CPA4、CPA5、CPA6、CPB1、CPB2、CPE、CPN1、CPQ、CPXM1、CPZ、およびSCPEP1からなる群から選択されるカルボキシペプチダーゼ;サイトカインが、BMP1、BMP10、BMP15、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8A、BMP8B、C1QTNF4、CCL1、CCL11、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL2、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CCL3、CCL3L1、CCL3L3、CCL4、CCL4L、CCL4L2、CCL5、CCL7、CCL8、CD40LG、CER1、CKLF、CLCF1、CNTF、CSF1、CSF2、CSF3、CTF1、CX3CL1、CXCL1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL16、CXCL17、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL8、CXCL9、DKK1、DKK2、DKK3、DKK4、EDA、EBI3、FAM3B、FAM3C、FASLG、FLT3LG、GDF1、GDF10、GDF11、GDF15、GDF2、GDF3、GDF5、GDF6、GDF7、GDF9、GPI、GREM1、GREM2、GRN、IFNA1、IFNA13、IFNA10、IFNA14、IFNA16、IFNA17、IFNA2、IFNA21、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNB1、IFNE、IFNG、IFNK、IFNL1、IFNL2、IFNL3、IFNL4、IFNW1、IL10、IL11、IL12A、IL12B、IL13、IL15、IL16、IL17A、IL17B、IL17C、IL17D、IL17F、IL18、IL19、IL1A、IL1B、IL1F10、IL2、IL20、IL21、IL22、IL23A、IL24、IL25、IL26、IL27、IL3、IL31、IL32、IL33、IL34、IL36A、IL36B、IL36G、IL36RN、IL37、IL4、IL5、IL6、IL7、IL9、LEFTY1、LEFTY2、LIF、LTA、MIF、MSTN、NAMPT、NODAL、OSM、PF4、PF4V1、SCGB3A1、SECTM1、SLURP1、SPP1、THNSL2、THPO、TNF、TNFSF10、TNFSF11、TNFSF12、TNFSF13、TNFSF13B、TNFSF14、TNFSF15、TSLP、VSTM1、WNT1、WNT10A、WNT10B、WNT11、WNT16、WNT2、WNT2B、WNT3、WNT3A、WNT4、WNT5A、WNT5B、WNT6、WNT7A、WNT7B、WNT8A、WNT8B、WNT9A、WNT9B、XCL1、およびXCL2からなる群から選択されるサイトカイン;細胞外のリガンドおよび輸送体が、APCS、CHI3L1、CHI3L2、CLEC3B、DMBT1、DMKN、EDDM3A、EDDM3B、EFNA4、EMC10、ENAM、EPYC、ERVH48-1、F13B、FCN1、FCN2、GLDN、GPLD1、HEG1、ITFG1、KAZALD1、KCP、LACRT、LEG1、METRN、NOTCH2NL、NPNT、OLFM1、OLFML3、PRB2、PSAP、PSAPL1、PSG1、PSG6、PSG9、PTX3、PTX4、RBP4、RNASE10、RNASE12、RNASE13、RNASE9、RSPRY1、RTBDN、S100A12、S100A13、S100A7、S100A8、SAA2、SAA4、SCG1、SCG2、SCG3、SCGB1C1、SCGB1C2、SCGB1D1、SCGB1D2、SCGB1D4、SCGB2B2、SCGB3A2、SCGN、SCRG1、SCUBE1、SCUBE2、SCUBE3、SDCBP、SELENOP、SFTA2、SFTA3、SFTPA1、SFTPA2、SFTPC、SFTPD、SHBG、SLURP2、SMOC1、SMOC2、SMR3A、SMR3B、SNCA、SPATA20、SPATA6、SOGA1、SPARC、SPARCL1、SPATA20、SPATA6、SRPX2、SSC4D、STX1A、SUSD4、SVBP、TCN1、TCN2、TCTN1、TF、TULP3、TFF2、TFF3、THSD7A、TINAG、TINAGL1、TMEFF2、TMEM25、およびVWC2Lからなる群から選択される細胞外のリガンドおよび輸送体;細胞外マトリックスタンパク質が、ABI3BP、AGRN、CCBE1、CHL1、COL15A1、COL19A1、COLEC11、DMBT1、DRAXIN、EDIL3、ELN、EMID1、EMILIN1、EMILIN2、EMILIN3、EPDR1、FBLN1、FBLN2、FBLN5、FLRT1、FLRT2、FLRT3、FREM1、GLDN、IBSP、KERA、KIAA0100、KIRREL3、KRT10、LAMB2、MGP、RPTN、SBSPON、SDC1、SDC4、SEMA3A、SEMA3B、SEMA3C、SEMA3D、SEMA3E、SEMA3F、SEMA3G、SIGLEC1、SIGLEC10、SIGLEC6、SLIT1、SLIT2、SLIT3、SLITRK1、SNED1、SNORC、SPACA3、SPACA7、SPON1、SPON2、STATH、SVEP1、TECTA、TECTB、TNC、TNN、TNR、およびTNXBからなる群から選択される細胞外マトリックスタンパク質;グルコシダーゼが、AMY1A、AMY1B、AMY1C、AMY2A、AMY2B、CEMIP、CHIA、CHIT1、FUCA2、GLB1L、GLB1L2、HPSE、HYAL1、HYAL3、KL、LYG1、LYG2、LYZL1、LYZL2、MAN2B2、SMPD1、SMPDL3B、SPACA5、およびSPACA5Bからなる群から選択されるグルコシダーゼ;グリコシルトランスフェラーゼが、ART5、B4GALT1、EXTL2、GALNT1、GALNT2、GLT1D1、MGAT4A、ST3GAL1、ST3GAL2、ST3GAL3、ST3GAL4、ST6GAL1、およびXYLT1からなる群から選択されるグリコシルトランスフェラーゼ;増殖因子が、AMH、ARTN、BTC、CDNF、CFC1、CFC1B、CHRDL1、CHRDL2、CLEC11A、CNMD、EFEMP1、EGF、EGFL6、EGFL7、EGFL8、EPGN、EREG、EYS、FGF1、FGF10、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF2、FGF20、FGF21、FGF22、FGF23、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FRZB、GDNF、GFER、GKN1、HBEGF、HGF、IGF1、IGF2、INHA、INHBA、INHBB、INHBC、INHBE、INS、KITLG、MANF、MDK、MIA、NGF、NOV、NRG1、NRG2、NRG3、NRG4、NRTN、NTF3、NTF4、OGN、PDGFA、PDGFB、PDGFC、PDGFD、PGF、PROK1、PSPN、PTN、SDF1、SDF2、SFRP1、SFRP2、SFRP3、SFRP4、SFRP5、TDGF1、TFF1、TGFA、TGFB1、TGFB2、TGFB3、THBS4、TIMP1、VEGFA、VEGFB、VEGFC、VEGFD、およびWISP3からなる群から選択される増殖因子;増殖因子結合タンパク質が、CHRD、CYR61、ESM1、FGFBP1、FGFBP2、FGFBP3、HTRA1、GHBP、IGFALS、IGFBP1、IGFBP2、IGFBP3、IGFBP4、IGFBP5、IGFBP6、IGFBP7、LTBP1、LTBP2、LTBP3、LTBP4、SOSTDC1、NOG、TWSG1、およびWIF1からなる群から選択される増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質が、ADA2、ADAMTSL5、ANGPTL3、APOB、APOE、APOH、COL5A1、COMP、CTGF、FBLN7、FN1、FSTL1、HRG、LAMC2、LIPC、LIPG、LIPH、LIPI、LPL、PCOLCE2、POSTN、RSPO1、RSPO2、RSPO3、RSPO4、SAA1、SLIT2、SOST、THBS1、およびVTNからなる群から選択されるヘパリン結合タンパク質;ホルモンが、ADCYAP1、ADIPOQ、ADM、ADM2、ANGPTL8、APELA、APLN、AVP、C1QTNF12、C1QTNF9、CALCA、CALCB、CCK、CGA、CGB1、CGB2、CGB3、CGB5、CGB8、COPA、CORT、CRH、CSH1、CSH2、CSHL1、ENHO、EPO、ERFE、FBN1、FNDC5、FSHB、GAL、GAST、GCG、GH、GH1、GH2、GHRH、GHRL、GIP、GNRH1、GNRH2、GPHA2、GPHB5、IAPP、INS、INSL3、INSL4、INSL5、INSL6、LHB、METRNL、MLN、NPPA、NPPB、NPPC、OSTN、OXT、PMCH、PPY、PRL、PRLH、PTH、PTHLH、PYY、RETN、RETNLB、RLN1、RLN2、RLN3、SCT、SPX、SST、STC1、STC2、TG、TOR2A、TRH、TSHB、TTR、UCN、UCN2、UCN3、UTS2、UTS2B、およびVIPからなる群から選択されるホルモン;ヒドロラーゼが、AADACL2、ABHD15、ACP7、ACPP、ADA2、ADAMTSL1、AOAH、ARSF、ARSI、ARSJ、ARSK、BTD、CHI3L2、ENPP1、ENPP2、ENPP3、ENPP5、ENTPD5、ENTPD6、GBP1、GGH、GPLD1、HPSE、LIPC、LIPF、LIPG、LIPH、LIPI、LIPK、LIPM、LIPN、LPL、PGLYRP2、PLA1A、PLA2G10、PLA2G12A、PLA2G1B、PLA2G2A、PLA2G2D、PLA2G2E、PLA2G2F、PLA2G3、PLA2G5、
PLA2G7、PNLIP、PNLIPRP2、PNLIPRP3、PON1、PON3、PPT1、SMPDL3A、THEM6、THSD1、およびTHSD4からなる群から選択されるヒドロラーゼ;免疫グロブリンが、IGSF10、IGKV1-12、IGKV1-16、IGKV1-33、IGKV1-6、IGKV1D-12、IGKV1D-39、IGKV1D-8、IGKV2-30、IGKV2D-30、IGKV3-11、IGKV3D-20、IGKV5-2、IGLC1、IGLC2、およびIGLC3からなる群から選択される免疫グロブリン;イソメラーゼが、NAXE、PPIA、およびPTGDSからなる群から選択されるイソメラーゼ;キナーゼが、ADCK1、ADPGK、FAM20C、ICOS、およびPKDCCからなる群から選択されるキナーゼ;リアーゼが、PM20D1、PAM、およびCA6からなる群から選択されるリアーゼ;金属酵素阻害剤が、FETUB、SPOCK3、TIMP2、TIMP3、TIMP4、WFIKKN1、およびWFIKKN2からなる群から選択される金属酵素阻害剤;メタロプロテアーゼが、ADAM12、ADAM28、ADAM9、ADAMDEC1、ADAMTS1、ADAMTS10、ADAMTS12、ADAMTS13、ADAMTS14、ADAMTS15、ADAMTS16、ADAMTS17、ADAMTS18、ADAMTS19、ADAMTS2、ADAMTS20、ADAMTS3、ADAMTS4、ADAMTS5、ADAMTS6、ADAMTS7、ADAMTS8、ADAMTS9、CLCA1、CLCA2、CLCA4、IDE、MEP1B、MMEL1、MMP1、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP16、MMP17、MMP19、MMP2、MMP20、MMP21、MMP24、MMP25、MMP26、MMP28、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、PAPPA、PAPPA2、TLL1、およびTLL2からなる群から選択されるメタロプロテアーゼ;乳タンパク質が、CSN1S1、CSN2、CSN3、およびLALBAからなる群から選択される乳タンパク質;神経刺激性タンパク質が、CARTPT、NMS、NMU、NPB、NPFF、NPS、NPVF、NPW、NPY、PCSK1N、PDYN、PENK、PNOC、POMC、PROK2、PTH2、PYY2、PYY3、QRFP、TAC1、およびTAC3からなる群から選択される神経刺激性タンパク質;プロテアーゼが、ADAMTS6、C1R、C1RL、C2、CASP4、CELA1、CELA2A、CELA2B、CFB、CFD、CFI、CMA1、CORIN、CTRB1、CTRB2、CTSB、CTSD、DHH、F10、F11、F12、F2、F3、F7、F8、F9、FAP、FURIN、GZMA、GZMK、GZMM、HABP2、HGFAC、HTRA3、HTRA4、IHH、KLK10、KLK11、KLK12、KLK13、KLK14、KLK15、KLK3、KLK4、KLK5、KLK6、KLK7、KLK8、KLK9、KLKB1、MASP1、MASP2、MST1L、NAPSA、OVCH1、OVCH2、PCSK2、PCSK5、PCSK6、PCSK9、PGA3、PGA4、PGA5、PGC、PLAT、PLAU、PLG、PROC、PRSS1、PRSS12、PRSS2、PRSS22、PRSS23、PRSS27、PRSS29P、PRSS3、PRSS33、PRSS36、PRSS38、PRSS3P2、PRSS42、PRSS44、PRSS47、PRSS48、PRSS53、PRSS57、PRSS58、PRSS8、PRTN3、RELN、REN、TMPRSS11D、TMPRSS11E、TMPRSS2、TPSAB1、TPSB2、およびTPSD1からなる群から選択されるプロテアーゼ;プロテアーゼ阻害剤が、A2M、A2ML1、AMBP、ANOS1、COL28A1、COL6A3、COL7A1、CPAMD8、CST1、CST2、CST3、CST4、CST5、CST6、CST7、CST8、CST9、CST9L、CST9LP1、CSTL1、EPPIN、GPC3、HMSD、ITIH1、ITIH2、ITIH3、ITIH4、ITIH5、ITIH6、KNG1、OPRPN、OVOS1、OVOS2、PAPLN、PI15、PI16、PI3、PZP、R3HDML、SERPINA1、SERPINA10、SERPINA11、SERPINA12、SERPINA13P、SERPINA3、SERPINA4、SERPINA5、SERPINA7、SERPINA9、SERPINB2、SERPINB5、SERPINC1、SERPINE1、SERPINE2、SERPINE3、SERPINF2、SERPING1、SERPINI1、SERPINI2、SPINK1、SPINK13、SPINK14、SPINK2、SPINK4、SPINK5、SPINK6、SPINK7、SPINK8、SPINK9、SPINT1、SPINT3、SPINT4、SPOCK1、SPOCK2、SPP2、SSPO、TFPI、TFPI2、WFDC1、WFDC10A、WFDC13、WFDC2、WFDC3、WFDC5、WFDC6、およびWFDC8からなる群から選択されるプロテアーゼ阻害剤;タンパク質ホスファターゼが、ACP7、ACPP、PTEN、およびPTPRZ1からなる群から選択されるタンパク質ホスファターゼ;エステラーゼが、BCHE、CEL、CES4A、CES5A、NOTUM、およびSIAEからなる群から選択されるエステラーゼ;トランスフェラーゼが、METTL24、FKRP、CHSY1、CHST9、およびB3GAT1からなる群から選択されるトランスフェラーゼ;ならびに血管作動性タンパク質が、AGGF1、AGT、ANGPT1、ANGPT2、ANGPTL4、ANGPTL6、EDN1、EDN2、EDN3、およびNTSからなる群から選択される血管作動性タンパク質からなる群から選択される。
【0207】
好ましい実施形態では、タンパク質は、サイトカイン;増殖因子;増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;ホルモン;神経刺激性タンパク質;および血管作動性タンパク質からなる群から選択される。
【0208】
より好ましい実施形態では、タンパク質は、サイトカインが、BMP1、BMP10、BMP15、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8A、BMP8B、C1QTNF4、CCL1、CCL11、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL2、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CCL3、CCL3L1、CCL3L3、CCL4、CCL4L、CCL4L2、CCL5、CCL7、CCL8、CD40LG、CER1、CKLF、CLCF1、CNTF、CSF1、CSF2、CSF3、CTF1、CX3CL1、CXCL1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL16、CXCL17、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL8、CXCL9、DKK1、DKK2、DKK3、DKK4、EDA、EBI3、FAM3B、FAM3C、FASLG、FLT3LG、GDF1、GDF10、GDF11、GDF15、GDF2、GDF3、GDF5、GDF6、GDF7、GDF9、GPI、GREM1、GREM2、GRN、IFNA1、IFNA13、IFNA10、IFNA14、IFNA16、IFNA17、IFNA2、IFNA21、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNB1、IFNE、IFNG、IFNK、IFNL1、IFNL2、IFNL3、IFNL4、IFNW1、IL10、IL11、IL12A、IL12B、IL13、IL15、IL16、IL17A、IL17B、IL17C、IL17D、IL17F、IL18、IL19、IL1A、IL1B、IL1F10、IL2、IL20、IL21、IL22、IL23A、IL24、IL25、IL26、IL27、IL3、IL31、IL32、IL33、IL34、IL36A、IL36B、IL36G、IL36RN、IL37、IL4、IL5、IL6、IL7、IL9、LEFTY1、LEFTY2、LIF、LTA、MIF、MSTN、NAMPT、NODAL、OSM、PF4、PF4V1、SCGB3A1、SECTM1、SLURP1、SPP1、THNSL2、THPO、TNF、TNFSF10、TNFSF11、TNFSF12、TNFSF13、TNFSF13B、TNFSF14、TNFSF15、TSLP、VSTM1、WNT1、WNT10A、WNT10B、WNT11、WNT16、WNT2、WNT2B、WNT3、WNT3A、WNT4、WNT5A、WNT5B、WNT6、WNT7A、WNT7B、WNT8A、WNT8B、WNT9A、WNT9B、XCL1、およびXCL2からなる群から選択されるサイトカイン;増殖因子が、AMH、ARTN、BTC、CDNF、CFC1、CFC1B、CHRDL1、CHRDL2、CLEC11A、CNMD、EFEMP1、EGF、EGFL6、EGFL7、EGFL8、EPGN、EREG、EYS、FGF1、FGF10、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF2、FGF20、FGF21、FGF22、FGF23、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FRZB、GDNF、GFER、GKN1、HBEGF、HGF、IGF1、IGF2、INHA、INHBA、INHBB、INHBC、INHBE、INS、KITLG、MANF、MDK、MIA、NGF、NOV、NRG1、NRG2、NRG3、NRG4、NRTN、NTF3、NTF4、OGN、PDGFA、PDGFB、PDGFC、PDGFD、PGF、PROK1、PSPN、PTN、SDF1、SDF2、SFRP1、SFRP2、SFRP3、SFRP4、SFRP5、TDGF1、TFF1、TGFA、TGFB1、TGFB2、TGFB3、THBS4、TIMP1、VEGFA、VEGFB、VEGFC、VEGFD、およびWISP3からなる群から選択される増殖因子;増殖因子結合タンパク質が、CHRD、CYR61、ESM1、FGFBP1、FGFBP2、FGFBP3、HTRA1、GHBP、IGFALS、IGFBP1、IGFBP2、IGFBP3、IGFBP4、IGFBP5、IGFBP6、IGFBP7、LTBP1、LTBP2、LTBP3、LTBP4、SOSTDC1、NOG、TWSG1、およびWIF1からなる群から選択される増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質が、ADA2、ADAMTSL5、ANGPTL3、APOB、APOE、APOH、COL5A1、COMP、CTGF、FBLN7、FN1、FSTL1、HRG、LAMC2、LIPC、LIPG、LIPH、LIPI、LPL、PCOLCE2、POSTN、RSPO1、RSPO2、RSPO3、RSPO4、SAA1、SLIT2、SOST、THBS1、およびVTNからなる群から選択されるヘパリン結合タンパク質;ホルモンが、ADCYAP1、ADIPOQ、ADM、ADM2、ANGPTL8、APELA、APLN、AVP、C1QTNF12、C1QTNF9、CALCA、CALCB、CCK、CGA、CGB1、CGB2、CGB3、CGB5、CGB8、COPA、CORT、CRH、CSH1、CSH2、CSHL1、ENHO、EPO、ERFE、FBN1、FNDC5、FSHB、GAL、GAST、GCG、GH、GH1、GH2、GHRH、GHRL、GIP、GNRH1、GNRH2、GPHA2、GPHB5、IAPP、INS、INSL3、INSL4、INSL5、INSL6、LHB、METRNL、MLN、NPPA、NPPB、NPPC、OSTN、OXT、PMCH、PPY、PRL、PRLH、PTH、PTHLH、PYY、RETN、RETNLB、RLN1、RLN2、RLN3、SCT、SPX、SST、STC1、STC2、TG、TOR2A、TRH、TSHB、TTR、UCN、UCN2、UCN3、UTS2、UTS2B、およびVIPからなる群から選択されるホルモン;神経刺激性タンパク質が、CARTPT、NMS、NMU、NPB、NPFF、NPS、NPVF、NPW、NPY、PCSK1N、PDYN、PENK、PNOC、POMC、PROK2、PTH2、PYY2、PYY3、QRFP、TAC1、およびTAC3からなる群から選択される神経刺激性タンパク質;ならびに血管作動性タンパク質が、AGGF1、AGT、ANGPT1、ANGPT2、ANGPTL4、ANGPTL6、EDN1、EDN2、EDN3、およびNTSからなる群から選択される血管作動性タンパク質からなる群から選択される。
【0209】
さらにより好ましい実施形態では、タンパク質は、サイトカイン;増殖因子;ホルモン;および神経刺激性タンパク質からなる群から選択される。
【0210】
本発明の特定の実施形態では、タンパク質は、サイトカインが、BMP1、BMP10、BMP15、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8A、BMP8B、C1QTNF4、CCL1、CCL11、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL2、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CCL3、CCL3L1、CCL3L3、CCL4、CCL4L、CCL4L2、CCL5、CCL7、CCL8、CD40LG、CER1、CKLF、CLCF1、CNTF、CSF1、CSF2、CSF3、CTF1、CX3CL1、CXCL1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL16、CXCL17、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL8、CXCL9、DKK1、DKK2、DKK3、DKK4、EDA、EBI3、FAM3B、FAM3C、FASLG、FLT3LG、GDF1、GDF10、GDF11、GDF15、GDF2、GDF3、GDF5、GDF6、GDF7、GDF9、GPI、GREM1、GREM2、GRN、IFNA1、IFNA13、IFNA10、IFNA14、IFNA16、IFNA17、IFNA2、IFNA21、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNB1、IFNE、IFNG、IFNK、IFNL1、IFNL2、IFNL3、IFNL4、IFNW1、IL10、IL11、IL12A、IL12B、IL13、IL15、IL16、IL17A、IL17B、IL17C、IL17D、IL17F、IL18、IL19、IL1A、IL1B、IL1F10、IL2、IL20、IL21、IL22、IL23A、IL24、IL25、IL26、IL27、IL3、IL31、IL32、IL33、IL34、IL36A、IL36B、IL36G、IL36RN、IL37、IL4、IL5、IL6、IL7、IL9、LEFTY1、LEFTY2、LIF、LTA、MIF、MSTN、NAMPT、NODAL、OSM、PF4、PF4V1、SCGB3A1、SECTM1、SLURP1、SPP1、THNSL2、THPO、TNF、TNFSF10、TNFSF11、TNFSF12、TNFSF13、TNFSF13B、TNFSF14、TNFSF15、TSLP、VSTM1、WNT1、WNT10A、WNT10B、WNT11、WNT16、WNT2、WNT2B、WNT3、WNT3A、WNT4、WNT5A、WNT5B、WNT6、WNT7A、WNT7B、WNT8A、WNT8B、WNT9A、WNT9B、XCL1、およびXCL2からなる群から選択されるサイトカイン;増殖因子が、AMH、ARTN、BTC、CDNF、CFC1、CFC1B、CHRDL1、CHRDL2、CLEC11A、CNMD、EFEMP1、EGF、EGFL6、EGFL7、EGFL8、EPGN、EREG、EYS、FGF1、FGF10、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF2、FGF20、FGF21、FGF22、FGF23、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FRZB、GDNF、GFER、GKN1、HBEGF、HGF、IGF1、IGF2、INHA、INHBA、INHBB、INHBC、INHBE、INS、KITLG、MANF、MDK、MIA、NGF、NOV、NRG1、NRG2、NRG3、NRG4、NRTN、NTF3、NTF4、OGN、PDGFA、PDGFB、PDGFC、PDGFD、PGF、PROK1、PSPN、PTN、SDF1、SDF2、SFRP1、SFRP2、SFRP3、SFRP4、SFRP5、TDGF1、TFF1、TGFA、TGFB1、TGFB2、TGFB3、THBS4、TIMP1、VEGFA、VEGFB、VEGFC、VEGFD、およびWISP3からなる群から選択される増殖因子;ホルモンが、ADCYAP1、ADIPOQ、ADM、ADM2、ANGPTL8、APELA、APLN、AVP、C1QTNF12、C1QTNF9、CALCA、CALCB、CCK、CGA、CGB1、CGB2、CGB3、CGB5、CGB8、COPA、CORT、CRH、CSH1、CSH2、CSHL1、ENHO、EPO、ERFE、FBN1、FNDC5、FSHB、GAL、GAST、GCG、GH、GH1、GH2、GHRH、GHRL、GIP、GNRH1、GNRH2、GPHA2、GPHB5、IAPP、INS、INSL3、INSL4、INSL5、INSL6、LHB、METRNL、MLN、NPPA、NPPB、NPPC、OSTN、OXT、PMCH、PPY、PRL、PRLH、PTH、PTHLH、PYY、RETN、RETNLB、RLN1、RLN2、RLN3、SCT、SPX、SST、STC1、STC2、TG、TOR2A、TRH、TSHB、TTR、UCN、UCN2、UCN3、UTS2、UTS2B、およびVIP;からなる群から選択されるホルモン;ならびに神経刺激性タンパク質が、CARTPT、NMS、NMU、NPB、NPFF、NPS、NPVF、NPW、NPY、PCSK1N、PDYN、PENK、PNOC、POMC、PROK2、PTH2、PYY2、PYY3、QRFP、TAC1、およびTAC3からなる群から選択される神経刺激性タンパク質からなる群から選択される。
【0211】
本発明の別の特定の実施形態では、タンパク質は、サイトカインが、BMP-2、BMP-4、CNTF、MSTN、IFNG、IL6、SPP1からなる群から選択されるサイトカイン;増殖因子が、EGF、FGF1、GDNF、IGF1、IGF2、NTF3、TGFB1からなる群から選択される増殖因子;ホルモンが、EPO、FBN1、GH、GHRH、OSTN、UCNからなる群から選択されるホルモン;および神経刺激性タンパク質が、NPFF、NPY、PNOC、POMCからなる群から選択される神経刺激性タンパク質からなる群から選択される。
【0212】
本発明の別の特定の実施形態では、タンパク質は、サイトカインが、BMP-2、BMP-4、CNTF、MSTN、IFNG、IL4、IL6、IL10、SPP1からなる群から選択されるサイトカイン;増殖因子が、EGF、FGF1、GDNF、IGF1、IGF2、NTF3、TGFB1からなる群から選択される増殖因子;ホルモンが、EPO、FBN1、GH、GHRH、OSTN、UCN、INSからなる群から選択されるホルモン;および神経刺激性タンパク質が、NPFF、NPY、PNOC、POMCからなる群から選択される神経刺激性タンパク質からなる群から選択される。
【0213】
本発明のより特定の実施形態では、タンパク質は、増殖因子からなる群から選択される。本発明のさらにより特定の実施形態では、タンパク質は増殖因子からなる群から選択され、増殖因子は、AMH、ARTN、BDNF、BTC、CDNF、CFC1、CFC1B、CHRDL1、CHRDL2、CLEC11A、CNMD、EFEMP1、EGF、EGFL6、EGFL7、EGFL8、EPGN、EREG、EYS、FGF1、FGF10、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF2、FGF20、FGF21、FGF22、FGF23、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FRZB、GDNF、GFER、GKN1、HBEGF、HGF、IGF1、IGF2、INHA、INHBA、INHBB、INHBC、INHBE、INS、KITLG、MANF、MDK、MIA、NGF、NOV、NRG1、NRG2、NRG3、NRG4、NRTN、NTF3、NTF4、OGN、PDGFA、PDGFB、PDGFC、PDGFD、PGF、PROK1、PSPN、PTN、SDF1、SDF2、SFRP1、SFRP2、SFRP3、SFRP4、SFRP5、TDGF1、TFF1、TGFA、TGFB1、TGFB2、TGFB3、THBS4、TIMP1、VEGFA、VEGFB、VEGFC、VEGFD、およびWISP3からなる群から選択される。
【0214】
本発明の別のさらにより特定の実施形態では、タンパク質は増殖因子からなる群から選択され、増殖因子は、EGF、FGF1、GDNF、IGF1、IGF2、NTF3、TGFB1からなる群から選択される。最も具体的には、タンパク質はIGF1、好ましくはヒトIGF1である。
【0215】
本発明のさらにより特定の実施形態では、タンパク質は、サイトカイン;増殖因子;およびホルモンからなる群から選択され、好ましくはサイトカインは、BMP-2、BMP-4、CNTF、MSTN、IFNG、IL4、IL6、IL10、SPP1からなる群から選択され;増殖因子は、EGF、FGF1、GDNF、IGF1、IGF2、NTF3、TGFB1からなる群から選択され;およびホルモンは、EPO、FBN1、GH、GHRH、OSTN、UCN、INSからなる群から選択される。最も具体的には、タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)、インスリン(INS)、エリスロポエチン(EPO)、インターロイキン-4(IL-4)およびインターロイキン-10(IL-10)からなる群から選択される。
【0216】
本発明の1つの実施形態では、mRNAは裸のmRNAである。好ましい実施形態では、mRNAは、特に翻訳を改善するためにm7G(5’)G、m7GpppGキャップなどのアンチリバースCAPアナログ、内部リボソーム進入部位(IRES)および/または3’末端のポリAテールを含む。mRNAは、当業者に公知の翻訳を促進するさらなる領域を有することができる。
【0217】
本発明の好ましい実施形態では、mRNAは、修飾および非修飾ヌクレオチドの組合せを含有する。より好ましい実施形態では、そのような修飾されたmRNAではウリジンヌクレオチドの1~100%、好ましくは10~100%、より好ましくは50~100%、さらにより好ましくは90~100%、最も好ましくは100%は修飾される。アデノシン、グアノシン、およびシチジン含有ヌクレオチドは、非修飾であってもまたは部分的に修飾されてもよく、それらは好ましくは非修飾型で存在する。好ましくは、mRNA中の修飾ウリジンヌクレオチドの含有量は5~25%の範囲にある。本発明の特に好ましい実施形態では、修飾ウリジンヌクレオチドはN-メチルシュードウリジンである。本発明のより特に好ましい実施形態では、mRNAは修飾および非修飾ヌクレオチドの組合せを含有し、そのような修飾されたmRNAではウリジンヌクレオチドの1~100%、好ましくは10~100%、より好ましくは50~100%、さらにより好ましくは90~100%、最も好ましくは100%はN-メチルシュードウリジンである。
【0218】
本発明のより好ましい実施形態では、mRNAは、コドン最適化され、修飾および非修飾ヌクレオチドの組合せを含有するmRNAである。より好ましい実施形態では、そのような修飾されたmRNAではウリジンヌクレオチドの1~100%、好ましくは10~100%、より好ましくは50~100%、さらにより好ましくは90~100%、最も好ましくは100%は修飾される。アデノシン、グアノシン、およびシチジン含有ヌクレオチドは、非修飾であってもまたは部分的に修飾されてもよく、それらは好ましくは非修飾型で存在する。好ましくは、mRNA中の修飾ウリジンヌクレオチドの含有量は5~25%の範囲にある。本発明の特に好ましい実施形態では、修飾ウリジンヌクレオチドはN-メチルシュードウリジンである。本発明のより特に好ましい実施形態では、RNAは修飾および非修飾ヌクレオチドの組合せを含有するmRNAであり、そのような修飾されたmRNAではウリジンヌクレオチドの1~100%、好ましくは10~100%、より好ましくは50~100%、さらにより好ましくは90~100%、最も好ましくは100%はN-メチルシュードウリジンである。
【0219】
本発明の好ましい実施形態では、mRNAは、タンパク質としてヒトインスリン様成長因子1(IGF1)をコードする核酸配列を含み、より好ましくはmRNAは、タンパク質としてヒトインスリン様成長因子1(IGF1)をコードする核酸配列を含む裸のmRNAである。本発明のこの好ましい実施形態では、mRNAは、成熟ヒトIGF-1をコードする核酸配列を含む。
本発明のより好ましい実施形態では、mRNAは、IGF1のプロペプチド、好ましくはヒトIGF1のプロペプチドをコードする核酸配列、およびIGF1の成熟タンパク質、好ましくはヒトIGF1の成熟タンパク質をコードする核酸配列を含み、IGF1のEペプチドをコードする核酸配列を含まず、好ましくはIGF1のヒトEペプチドをコードする核酸配列を含まない。
本発明のさらにより好ましい実施形態では、mRNAは、IGF1のプロペプチド、好ましくはヒトIGF1のプロペプチドをコードする核酸配列、IGF1の成熟タンパク質、好ましくはヒトIGF1の成熟タンパク質をコードする核酸配列を含む。好ましくはmRNAは、IGF1のEペプチドをコードする核酸配列を含まず、より好ましくはIGF1のヒトEペプチドをコードする核酸配列を含まない。本発明のさらにより好ましい実施形態では、mRNAは、IGF1のプロペプチド、好ましくはヒトIGF1のプロペプチドをコードする核酸配列、IGF1の成熟タンパク質、好ましくはヒトIGF1の成熟タンパク質をコードする核酸配列、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む。好ましくはmRNAは、IGF1のEペプチドをコードする核酸配列を含まず、より好ましくはIGF1のヒトEペプチドをコードする核酸配列を含まない。
【0220】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、mRNAは、IGF1の、好ましくは27個のアミノ酸を有するヒトIGF1のプロペプチド(プロドメインとも呼ばれる)をコードするヌクレオチド酸配列、および成熟IGF1、好ましくは70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF1をコードするヌクレオチド配列を含み、好ましくはIGF1のEペプチドをコードするヌクレオチド配列を含まず、好ましくはIGF1のヒトEペプチドをコードする核酸配列を含まない。
本発明のさらにより好ましい実施形態では、mRNAは、IGF1の、好ましくは27個のアミノ酸を有するヒトIGF1のプロペプチド(プロドメインとも呼ばれる)をコードするヌクレオチド酸配列、成熟IGF1、好ましくは70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF1をコードするヌクレオチド配列、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む。好ましくはmRNAは、IGF1のEペプチドをコードするヌクレオチド配列を含まず、より好ましくはIGF1のヒトEペプチドをコードする核酸配列を含まない。
【0221】
本発明の特定の好ましい実施形態では、mRNAは、27個のアミノ酸を有するヒトIGF1のプロペプチド(プロドメインとも呼ばれる)をコードする核酸配列、および70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF1をコードするヌクレオチド酸配列を含み、好ましくはヒトIGF1のEペプチド(Eドメインとも呼ばれる)をコードするヌクレオチド配列を含まず、27個のアミノ酸を有するヒトIGF1のプロペプチド(プロドメインとも呼ばれる)をコードするヌクレオチド配列、および70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF1をコードするヌクレオチド配列、およびEペプチドをコードするヌクレオチド配列は、UniprotデータベースではUniProtKB-P05019と呼ばれ、Genbankデータベースではそれぞれ、NM_000618.4、NM_001111285.2およびNM_001111283.2と呼ばれる。
【0222】
本発明のさらにより特定の好ましい実施形態では、mRNAは、配列番号38に示される27個のアミノ酸を有するヒトIGF1のプロペプチド(プロドメインとも呼ばれる)をコードする核酸配列、および配列番号39に示される70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF1をコードするヌクレオチド酸配列を含み、好ましくはヒトIGF1のEペプチド(Eドメインとも呼ばれる)をコードするヌクレオチド配列を含まない。
【0223】
本発明のさらにより特定の好ましい実施形態では、mRNAは、配列番号38に示される27個のアミノ酸を有するヒトIGF1のプロペプチド(プロドメインとも呼ばれる)をコードする核酸配列、配列番号39に示される70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF1をコードするヌクレオチド酸配列、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列、好ましくは、配列番号30に示される脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードするヌクレオチド酸配列を含む。好ましくはmRNAは、ヒトIGF1のEペプチド(Eドメインとも呼ばれる)をコードするヌクレオチド配列を含まない。
【0224】
本発明の特定の好ましい実施形態では、ヒトインスリン様成長因子1(IGF1)および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAは、配列番号8に示される核酸配列を含む。
【0225】
本発明のさらに特定の好ましい実施形態では、ヒトインスリン様成長因子1(IGF1)および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAは、配列番号7に示されるDNA配列から転写された核酸配列を含む。好ましくは核酸配列は、in vitroで配列番号7に示されるDNA配列から転写される。
【0226】
本発明のより特定の好ましい実施形態では、ヒトインスリン様成長因子1(IGF1)および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAは、ウリジンヌクレオチドの好ましくは1~100%、より好ましくは50~100%、さらにより好ましくは90~100%、最も好ましくは100%がN-メチルシュードウリジンである、配列番号8に示される核酸配列を含む。
【0227】
本発明のさらにより特定の好ましい実施形態では、ヒトインスリン様成長因子1(IGF1)および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAは、ウリジンヌクレオチドの好ましくは1~100%、より好ましくは50~100%、さらにより好ましくは90~100%、最も好ましくは100%がN-メチルシュードウリジンである、配列番号7に示されるDNA配列から転写された核酸配列を含む。この実施形態では、ヌクレオチド配列は、in vitroで配列番号7に示されるDNA配列から好ましくは転写されるのに対し、ウリジンヌクレオチドとしてはN-メチルシュードウリジン-5’-トリホスフェート(N-メチルシュード-UTP)、すなわち100% N-メチルシュード-UTPのみが、配列番号7に示されるDNA配列からの転写に使用される。
【0228】
本発明の好ましい実施形態では 脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドは、ヒトBDNFのシグナルペプチド、より好ましくは配列番号31に示されるシグナルペプチド、特に配列番号30に示される核酸配列によってコードされるヒトBDNFのシグナルペプチドである。
【0229】
本発明のより好ましい実施形態では、mRNAは、5’から3’に以下の順で:
i)脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド;
ii)必要に応じて、タンパク質のプロドメイン;および
iii)成熟タンパク質
をコードする核酸配列含む。
【0230】
本発明のさらにより好ましい実施形態では、mRNAは、5’から3’に以下の順で:
i)脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド;
ii)必要に応じて、ヒトIGFのプロドメイン;および
iii)成熟ヒトIGF
をコードする核酸配列を含む。
【0231】
本発明の好ましい実施形態では、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドは、タンパク質の天然のシグナルペプチドに置き換わる。
【0232】
さらなる態様では本発明は、タンパク質およびシグナルペプチドをコードする核酸を含む転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクターであって、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2を超える平均疎水性スコアを有し、シグナルペプチドは、
i)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって必要に応じて修飾されており、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド;
ii)前記タンパク質に相同なシグナルペプチドであって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾される、前記タンパク質に相同なシグナルペプチド;ならびに
iii)自然状態でシグナルペプチドの機能を有さない天然に存在するアミノ酸配列であって、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって必要に応じて修飾されている、天然に存在するアミノ酸配列
からなる群から選択される、転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクターを提供する。
【0233】
さらなる態様では本発明は、タンパク質および前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクターであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、タンパク質はオキシドレダクターゼではない、好ましくはチオレドキシンではない、より好ましくは桿体由来錐体生存因子ではない、タンパク質および前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクターを提供する。脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドおよびタンパク質に関して、本明細書の他の部分に記載されているのと同じことが当てはまる。
【0234】
さらなる態様では本発明は、タンパク質および前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクターであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、タンパク質は、カルボキシペプチダーゼ;サイトカイン;細胞外のリガンドおよび輸送体;細胞外マトリックスタンパク質;グルコシダーゼ;グリコシルトランスフェラーゼ;増殖因子;増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;ホルモン;ヒドロラーゼ;免疫グロブリン;イソメラーゼ;キナーゼ;リアーゼ;金属酵素阻害剤;メタロプロテアーゼ;乳タンパク質;神経刺激性タンパク質;プロテアーゼ;プロテアーゼ阻害剤;タンパク質ホスファターゼ;エステラーゼ;トランスフェラーゼ;および血管作動性タンパク質からなる群から選択される、タンパク質および前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクターを提供する。脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドおよびタンパク質に関して、本明細書の他の部分に記載されているのと同じことが当てはまる。
【0235】
さらなる態様では本発明は、上記に記載のmRNAおよび/または転写単位、発現ベクターもしくは遺伝子治療用ベクターを含む治療用組成物を提供する。脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドおよびタンパク質に関して、本明細書の他の部分に記載されているのと同じことが当てはまる。通常、本発明のmRNAは、好ましくは液体組成物である治療用組成物として提供される。液体組成物は、mRNAが液体の溶液中に存在する任意の組成物である。本発明の1つの実施形態では、mRNAは、水、または緩衝もしくは非緩衝水溶液に溶解される。溶液は、好ましくは水溶液である。故に、液体は、水、好ましくは滅菌水、より好ましくは「注射用水」(WFI)または任意の他の緩衝もしくは非緩衝水溶液であってもよい。本発明の1つの実施形態では、液体組成物は、非緩衝溶液、好ましくは塩類溶液、より好ましくは薬学的に許容される塩の塩類溶液、さらにより好ましくはNaCl溶液、すなわち、食塩水である。好ましくは、塩類溶液は等張性であり、さらにより好ましくは、塩類溶液は生理的pH値を示す。本発明の好ましい実施形態では、mRNAが含有される溶液は緩衝溶液である。好ましくは、そのような溶液は血液と等張である。原則として、生理的範囲、特にpH3.0~10.5、より好ましくはpH4.0~9.0の範囲で効果的に緩衝する任意のバッファーが使用され得る。好ましいバッファーは、酢酸塩バッファー、リン酸塩バッファー、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、炭酸塩バッファー、乳酸塩バッファーおよびクエン酸塩バッファーまたはリンゲル液、好ましくはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。故に、本発明のより好ましい実施形態では、mRNAが含有される溶液はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
【0236】
治療用組成物中のmRNAの濃度は特に重要ではなく、必要に応じて調整することができる。好ましくは、濃度は、0.05~20.0μg/μlの範囲、より好ましくは0.1~10.0μg/μlの範囲、さらにより好ましくは0.2~5μg/lの範囲、特に0.4~2.0μg/μlの範囲、より特に0.6~1.5μg/μlの範囲、さらにより特に0.80~1.20μg/μlの範囲にある。特に好ましいのは、0.01μg~0.1g、好ましくは0.1μg~0.01g、より好ましくは0.5μg~1mg、さらにより好ましくは0.5μg~10μgの範囲である。
【0237】
さらなる態様では本発明は、上記に記載のmRNAおよび/もしくは転写単位、発現ベクターもしくは遺伝子治療用ベクターまたは治療用組成物、ならびに使用説明書、必要に応じてベクターマップ、必要に応じて宿主細胞、必要に応じて、宿主細胞の培養のための培養培地、および/または必要に応じて、トランスフェクトされた宿主細胞を選択および培養するための選択培地を含むキットを提供する。本発明のキットは、キットオブコンテンツとして(または該キットの形態で)提供されてもよい。キットは、例えば1つまたは複数の別々の容器に、本発明の治療用組成物の成分の1つまたは複数をさらに含んでもよい。例えば、キットは、mRNA(例えば乾燥形態の)、可溶化剤および(緩衝または非緩衝)水溶液を、例えばそれぞれ1つ、2つまたは3つ(またはそれ以上)の別々の容器で含んでもよい。キットはまた、取扱説明書または指示リーフレットも含んでもよい。
【0238】
さらなる態様では本発明は、医薬として使用するための上記に記載のmRNA、転写単位、発現ベクターもしくは遺伝子治療用ベクター、治療用組成物またはキットを提供する。シグナルペプチド、例えば脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドおよびタンパク質に関して、本明細書の他の部分に記載されているのと同じことが当てはまる。
【0239】
さらなる態様では本発明は、骨格筋損傷を処置する方法での使用のための、mRNAまたはmRNAを含むもしくは含有する治療用組成物を提供する。本発明はまた、対象における骨格筋損傷を処置するための医薬の製造のための、mRNAまたはmRNAを含むもしくは含有する治療用組成物の使用も提供する。
本発明はまた、mRNAまたはmRNAを含むもしくは含有する治療用組成物を対象に投与することを含む、対象における骨格筋損傷を処置する方法も提供する。
【0240】
筋断裂などの骨格筋損傷は、スポーツで生じる最も一般的な損傷の1つであり、その頻度は全ての持続的損傷の10~55%まで様々である。筋損傷は、伸張性筋収縮、伸長および筋肉の過負荷によって引き起こされ得る。全てのスポーツ関連損傷の90%以上が、伸張性筋収縮、伸長または筋肉の過負荷のいずれかによって引き起こされる。骨格筋損傷は、筋肉が直接的な衝撃などの突然の大きな圧縮力を受けるときに生じる。
筋断裂では、筋肉が過剰で伸張性の張力を受け、筋線維の過度の緊張につながり、その結果、筋腱接合部(MTJ)付近の筋線維の断裂に至る。筋断裂は、医師によって処置される最も一般的な愁訴の1つであり、全てのスポーツ関連損傷の大部分を占める。ハムストリング筋複合体(HMC)の損傷は、走っている間の急速な加速および減速を余儀なくさせ、伸張性筋収縮を必要とするスポーツに関与するアスリートにしばしば影響を与える。軽度の損傷は保存的処置によって容易に対処することができ、よりひどい損傷はハムストリング筋の完全断裂である。ハムストリング筋断裂は、分類のされ方に応じて保存的または外科的に処置される。軽度、中程度、または重度の断裂がある。軽度から中程度の断裂は保存的に処置され得るが、重度の断裂は外科的処置の明らかな適応となる。保存的処置は臨床症状によって決定され、凍結療法、圧迫包帯、固定、および弾性包帯の前の非ステロイド薬、抗炎症薬により直ちに開始し、患者が安定したら理学療法を開始する。超音波治療は治療選択肢として広く論じられているが、再生の最終転帰に対する有意な効果は見出されなかった。2週間以内に、疼痛の明らかな減少があるはずであるため、理学療法を増やして上述したような積極的な運動を含めることができる。しかし、外科的処置はリスクがないわけではなく、候補は慎重に選択されなければならないことが現場では認識されている(Jarvinen TA、Jarvinen TL、Kaariainen M、Aarimaa V、Vaittinen S、Kalimo H、Jarvinen M(2007)Muscle injuries:optimising recovery. Best Pract Res Clin Rheumatol 21(2):317~331頁. DOI:10.1016/j.berh.2006.12.004;Horst K、Dienstknecht T、Sellei RM、Pape HC(2014) Partial rupture of the hamstring muscle complex:a literature review on treatment options. Eur J Orthop Surg Traumatol 24(3):285-9. DOI:10.1007/s00590-013-1315-x)。現在の治療選択肢は、身体自体の治癒過程以上のものはほとんど提供しておらず、実際に、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が治癒過程を損なうことはあり得る。今日、利用可能な有効な薬学的治療がないため、満たされていない医療ニーズは高い。特に、回復過程を加速させ、損傷した筋肉の機能の増加をもたらす骨格筋損傷を処置するための有効な方法を提供する必要がある。
【0241】
本発明の好ましい実施形態では、骨格筋損傷を処置する方法での使用のためのmRNAは、増殖因子をコードするmRNA、好ましくはヒトインスリン様成長因子1(IGF1)をコードするmRNAである。増殖因子をコードするmRNAは、通常、シグナル伝達ペプチドをコードする核配列、必要に応じて、増殖因子のプロペプチドをコードする核配列、および成熟増殖因子をコードする核配列を含む。ヒトIGF1をコードするmRNAは、好ましくはシグナル伝達ペプチドをコードする核配列、必要に応じて、ヒトIGF1のプロペプチドをコードする核配列、および成熟ヒトIGF1をコードする核配列、さらにより好ましくはシグナル伝達ペプチドをコードする核配列、ヒトIGF1のプロペプチドをコードする核配列、および成熟ヒトIGF1をコードする核配列を含み、ヒトIGF1のEペプチドをコードする核配列を含まない。増殖因子をコードするmRNAによって含まれるシグナル伝達ペプチドは、増殖因子に相同なシグナル伝達ペプチド、すなわち、増殖因子のシグナル伝達ペプチドであってもよく、または増殖因子にとって異種のシグナル伝達ペプチドであってもよく、好ましくは増殖因子にとって異種のシグナル伝達ペプチド、より好ましくは脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、特にヒトBDNFのシグナルペプチドである。ヒトIGF1をコードするmRNAによって含まれるシグナル伝達ペプチドは、ヒトIGF1に相同なシグナル伝達ペプチド、すなわち、ヒトIGF1のシグナル伝達ペプチドであってもよく、またはヒトIGF1にとって異種のシグナル伝達ペプチドであってもよく、好ましくはヒトIGF1にとって異種のシグナル伝達ペプチド、より好ましくは脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、特にヒトBDNFのシグナルペプチドである。
【0242】
故に本発明のより好ましい実施形態では、骨格筋損傷を処置する方法での使用のためのmRNAは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、特にヒトBDNFのシグナルペプチドをコードする核配列、必要に応じて、ヒトIGF1のプロペプチドをコードする核配列および成熟ヒトIGF-1をコードする核配列を含む、ヒトインスリン様成長因子1(IGF1)をコードするmRNAである。本発明のさらにより好ましい実施形態では、骨格筋損傷を処置する方法での使用のためのmRNAは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、特にヒトBDNFのシグナルペプチドをコードする核配列、必要に応じて、ヒトIGF1のプロペプチドをコードする核配列および成熟ヒトIGF-1をコードする配列を含み、ヒトIGF1のEペプチドをコードする核配列を含まない、ヒトインスリン様成長因子1(IGF1)をコードするmRNAである。
【0243】
故にさらなる態様では本発明は、骨格筋損傷を処置するための方法での使用のための、
i)IGF1、好ましくはヒトIGF1;および
ii)脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、好ましくはヒトBDNFのシグナルペプチド
をコードする核酸配列を含むmRNAを提供する。
本発明はまた、対象における骨格筋損傷を処置するための医薬の製造のための、
i)IGF1、好ましくはヒトIGF1;および
ii)脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、好ましくはヒトBDNFのシグナルペプチド
をコードする核酸配列を含むmRNAの使用も提供する。
【0244】
本発明はまた、
i)IGF1、好ましくはヒトIGF1;および
ii)脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、好ましくはヒトBDNFのシグナルペプチド
をコードする核酸配列を含むmRNAを対象に投与することを含む、対象における骨格筋損傷を処置する方法も提供する。
好ましくは本発明は、骨格筋損傷を処置するための方法での使用のための、
i)成熟IGF1、好ましくは成熟ヒトIGF1;
ii)必要に応じてIGF1の、好ましくはヒトIGF1のプロドメイン;
iii)脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、好ましくはヒトBDNFのシグナルペプチド
をコードする核酸配列を含むmRNAを提供する。
本発明はまた、対象における骨格筋損傷を処置するための医薬の製造のための、
i)成熟IGF1、好ましくは成熟ヒトIGF1;
ii)必要に応じてIGF1の、好ましくはヒトIGF1のプロドメイン;
iii)脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、好ましくはヒトBDNFのシグナルペプチド
をコードする核酸配列を含むmRNAの使用も提供する。
【0245】
本発明はまた、
i)成熟IGF1、好ましくは成熟ヒトIGF1;
ii)必要に応じてIGF1の、好ましくはヒトIGF1のプロドメイン;
iii)脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、好ましくはヒトBDNFのシグナルペプチド
をコードする核酸配列を含むmRNAを対象に投与することを含む、対象における骨格筋損傷を処置する方法も提供する。
【0246】
骨格筋損傷を処置するための方法での使用のための、ヒトインスリン様成長因子1(IGF1)および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAに関して、本明細書の他の部分に記載されているのと同じことが当てはまる。本発明の特定の好ましい実施形態では、ヒトインスリン様成長因子1(IGF1)および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAは、配列番号8に示される核酸配列を含む。本発明のさらに特定の好ましい実施形態では、ヒトインスリン様成長因子1(IGF1)および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含むmRNAは、配列番号7に示されるDNA配列から転写された核酸配列を含む。好ましくは核酸配列は、in vitroで配列番号7に示されるDNA配列から転写される。
【0247】
mRNAおよび/または治療用組成物は、当業者に公知の手段、好ましくは注射、より好ましくは筋肉内注射によって、典型的には針を備えたシリンジを使用して細胞および組織、例えば骨格筋に適用することができる。原則として、針と組み合わせた任意の市販のシリンジがこの目的のために使用され得る。好ましいのは皮下注射針である。針の直径は針ゲージによって示される(G;スタブの針ゲージによる)。典型的には、7G(最大)~33G(最小)の医療用範囲の針が使用され得る。
【0248】
いくつかの実施形態では、mRNAおよび/または治療用組成物は、直接DNA移入(Wolffら(1990)Science 247、1465~1468頁)により細胞に送達されてもよい。mRNAおよび/または治療用組成物は、細胞膜を穏やかに機械的に破壊し、細胞を一時的に透過処理した後で細胞に送達されてもよい。膜のそのような穏やかな機械的破壊は、細胞に小さな開口部を穏やかに通過させて達成することができる(Shareiら PLOS ONE(2015)10(4)、e0118803)。別の実施形態では、mRNAおよび/または治療用組成物は、リポソーム媒介DNA移入により細胞に送達されてもよい(例えば、GaoおよびHuang(1991)Biochem. Ciophys. Res. Comm. 179、280~285頁、Crystal(1995)Nature Med. 1、15~17頁、Caplenら(1995)Nature Med. 3、39~46頁)。用語「リポソーム」は、封入された脂質二重層または凝集体の生成によって形成される様々な単層および多層小胞脂質ビヒクルを包含し得る。mRNAは、リポソームの水性内部にカプセル化され、リポソームの脂質二重層内に分散され、リポソームおよびオリゴヌクレオチドの両方と会合される連結分子を介してリポソームに結合され、リポソームに封入され、またはリポソームと複合体化され得る。
【0249】
本発明の1つの実施形態では、RNAまたは治療用組成物は、RNAが裸のRNAとして含有される治療用組成物、すなわち、液体組成物の形態で骨格筋に直接投与される(好ましくは注射によって)。組成物およびその中に含有されるRNAの投与方法および特性に関して、本明細書の他の部分に記載されているのと同じことが当てはまる。好ましい実施形態では、本発明の液体組成物およびmRNAはそれぞれ、骨格筋に直接投与される。これに関連して、最も好ましい投与方法は、注射、すなわち、筋肉内注射である。
【0250】
原則として、できる限り早期に、すなわち、骨格筋損傷のできるだけ早い段階で、mRNAおよび治療用組成物をそれぞれ投与することが本発明の文脈において想定される。例えば、この段階は、初発症状(複数可)が観察された時点である(例えば疼痛)。しかし、診断後のあらゆる時点が可能性があり、有意義であり、それ故に、本発明により想定される。例えば、外科的処置(例えば筋断裂後の)がある場合、mRNAおよび治療用組成物は、それぞれ、外科的処置中、ただし、外科的処置の少なくとも直後に既に投与されてもよい。
【0251】
1つの実施形態では、mRNAおよび治療用組成物は、それぞれ、骨格筋再生の炎症期および早期増殖期それぞれの期間中またはその前でさえ投与される。例えば、投与は、損傷後0日目~10日目の間、好ましくは0日目~7日目の間であってもよい。より具体的には、投与は、損傷後0、1、2、3、4、5、6または7日目であってもよい。好ましくは投与は、損傷後1日目であり、さらにより好ましくは0日目である。好ましい実施形態では、治療用組成物は、前記骨格筋損傷の後の炎症期の前に投与される。特に好ましいのは、損傷後1日目に投与され、損傷後4日目に反復される投与である。
【0252】
本発明によるmRNAおよび治療用組成物それぞれの投与は、例えば治療される損傷の経過に応じて、少なくとも1回、ただし好ましくは数回(例えば3~5回)反復することができる。反復投与は、1、2、3、4、5、6、7、8、または9日後、好ましくは2、3、4、5、6、7日目後、より好ましくは3、4または5日目後であってもよい。反復投与は、数週間おき(例えば1、2、3、または4週間おき)、最大数日おき(例えば1、2、3、4、5または6日おき)、好ましくは2または3日おきであってもよい。
【0253】
本発明のmRNAまたは治療用組成物は、適切な用量で患者に投与することができる。投与レジメンは、主治医によって、例えば臨床的要因に基づき決定され得る。医学分野で周知の通り、任意の1人の患者に対する投与量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与のタイミングおよび経路、一般的健康、および同時に投与される他の薬物を含む多くの要因に依存する。しかし、当業者/主治医は、例えばin vivoまたはエクスビボで、投与される活性物質の(治療)有効濃度および/または投与量を容易に推定する立場にある。対応する試料は、例えば、骨格筋から(例えば適切なプローブによって)採取することができ、活性化合物(裸のRNA)は前記試料で検出することができ、その対応する濃度は、前記試料で例えばHPLCによって決定することができる。
【0254】
活性物質(例えばmRNA)の典型的な用量は、例えば、1ng~数グラムの範囲、好ましくは0.1μg~1gの範囲、好ましくは1μg~0.1gの範囲、より好ましくは10μg~1mgの範囲、さらにより好ましくは15μg~0.5mgの範囲、および最も好ましくは20μg~100μgの範囲であってもよい。特に好ましいのは、0.01μg~0.1g、好ましくは0.1μg~0.01g、より好ましくは0.5μg~1mg、さらにより好ましくは0.5μg~10μgの範囲である。これはヒト患者に特に当てはまる。(m)RNA治療に適用されるとき、発現のための(m)RNAの投与量は、この範囲に相当するべきである;しかし、この例示的範囲より下または上の用量もまた、原則として、特に上述の要因を考慮しながら想定される、一般に、治療用組成物の定期的投与としてのレジメンは、1日につき体重1キログラムあたり0.1μg~10mg単位の範囲、好ましくは1μg~1mg単位の範囲、より好ましくは10μg~0.1mg単位の範囲であるべきである。この場合も、これは特にヒト患者に当てはまる。進展は定期的な評価によって監視することができる。投与量は異なり得るが、本発明の液体組成物の構成素としての(m)RNAの注射による投与のための好ましい投与量は、1回の注射あたり(m)RNA分子約10~1015コピーである。この場合も、これは特にヒト患者に当てはまる。
【0255】
特に、本発明の治療用組成物は、患者、好ましくはヒト患者/ヒトに投与されることが想定される。しかし、本明細書に記載された骨格筋損傷は、例えば、ペット(例えばイヌ、ネコ、ウサギ、ネズミおよびマウス)、家畜(例えばウシ、ブタ、ヒツジ)、ウマ(例えば競走馬)もしくはポニー、ラクダ(例えばレース用ラクダ)、またはトリ(例えばニワトリ、シチメンチョウ、オウム)のようなヒト以外の動物対象/患者においても処置(または予防)され得る。
【0256】
特に、mRNAを含む治療用組成物は、例えば骨格筋損傷などの損傷、障害および/または疾患の治癒過程で治療的に活性である。
【0257】
本発明のより特定の好ましい実施形態では、医薬として使用するためのインスリン様成長因子1(IGF1)をコードするmRNAは、配列番号7のDNA配列から転写された核酸配列を含む。本発明のさらにより特定の好ましい実施形態では、医薬として使用するためのインスリン様成長因子1(IGF1)をコードするmRNAは、配列番号8の核酸配列を含む。
【0258】
本発明の治療用組成物のいずれも、取扱説明書または指示リーフレットと一緒に提供され得る。取扱説明書/リーフレットは、本明細書に記載の疾患または障害(骨格筋損傷)を本発明により処置(または予防)する方法の当業者/主治医向けの手引きを含んでもよい。特に、取扱説明書/リーフレットは、本明細書に記載された送達/投与の方法および送達/投与レジメン(例えば、送達/投与の経路、投与レジメン、送達/投与のタイミング、送達/投与の頻度)それぞれに関する手引きを含んでもよい。特に、取扱説明書/リーフレットは、mRNAが、それぞれ、骨格筋に注射されるおよび/または骨格筋への注射用に調製されるという使用説明書を含んでもよい。取扱説明書/リーフレットは、mRNAが、それぞれ、骨格筋損傷の後の炎症期中の投与用に調整されるという使用説明書をさらに含んでもよい。原則として、送達/投与の方法および送達/投与レジメンに関して本明細書の他の部分に述べられていることは、それぞれ、取扱説明書/リーフレットにそれぞれの使用説明書として含まれ得る。
【実施例0259】
実施例1
方法および材料
IGF1のクローニングおよびシグナル伝達ペプチドの交換
IGF1は、小胞体で合成され、ゴルジ装置を介して分泌されて細胞外増殖因子として自己分泌および傍分泌的に作用する70個のアミノ酸ポリペプチドである。トランスフェクトされた細胞からのmRNA誘導IGF1の適切な発現および分泌を確保するために、mRNA配列はヒトIGF1の天然のN末端プレ-プロ配列(プレ-プロ-IGF1)を含んだ。この配列は、21個のアミノ酸(ヌクレオチド1~63)を有するヒトIGF1のプレドメイン(シグナル伝達ペプチド)をコードする配列、および27個のアミノ酸(ヌクレオチド64~144)を有するヒトプロドメインをコードする配列からなった。さらに、コンストラクトは、70個のアミノ酸(ヌクレオチド145~354)を有する成熟ヒトIGF1の完全コード配列をコードする配列を含有した。Cpd.2~7では、プレドメイン(シグナル伝達ペプチド、ヌクレオチド1~63)を、IGF2、ALB、BDNF、CXCL12のそれぞれのプレドメイン、または合成シグナル伝達ペプチド1もしくは2に交換した。C末端Eドメインは、コンストラクトに加えなかった。要約すると、クローニングベクターは、ヒトプレ-プロ-IGF1 DNAのコピーをEペプチド情報なしで含有し、Cpd.1として定義されたのに対し、Cpd.2~7は代替プレドメイン(シグナル伝達ペプチド)を含有した。図1は、そのプレドメイン、プロドメインおよびコードドメインによってコードされるIGF1のDNAおよびRNA配列を図示する。図2は、IGF2プレドメインによってコードされるIGF1ならびにそのプロドメインおよびコードドメインのDNAおよびRNA配列を図示する。図3は、ALBプレドメインによってコードされるIGF1ならびにそのプロドメインおよびコードドメインのDNAおよびRNA配列を図示する。図4は、BDNFプレドメインによってコードされるIGF1ならびにそのプロドメインおよびコードドメインのDNAおよびRNA配列を図示する。図5 は、CXCL12プレドメインによってコードされるIGF1ならびにそのプロドメインおよびコードドメインのDNAおよびRNA配列を図示する。図6は、合成シグナル伝達ペプチド1プレドメインによってコードされるIGF1ならびにそのプロドメインおよびコードドメインのDNAおよびRNA配列を図示する。図7は、合成シグナル伝達ペプチド2プレドメインによってコードされるIGF1ならびにそのプロドメインおよびコードドメインのDNAおよびRNA配列を図示する。図8は、Cpd.1インサートを含むpVAX.A120ベクター(www.thermofisher.com)を図示する。図9は、Cpd.2インサートを含むpMA-Tベクター(www.thermofisher.com)を図示する。図10は、Cpd.3インサートを含むpMA-Tベクターを図示する。図11は、Cpd.4インサートを含むpMA-Tベクターを図示する。図12は、Cpd.5インサートを含むpMA-Tベクターを図示する。図13は、Cpd.6インサートを含むpMA-RQベクター(www.thermofisher.com)を図示する。図14は、Cpd.6インサートを含むpMA-RQベクター(www.thermofisher.com)を図示する。図15は、Cpd.2~7を増幅するのに利用されたプライマーを示す。図16は、遺伝子名、UniProt数、プレドメインのDNAおよびアミノ酸配列ならびにベクターを示して種々のプレドメインの識別をまとめている。Cpd.6およびCpd.7に関して、これらが人工プレドメインであったため遺伝子名は存在しない。Cpd.1~7のDNAおよびmRNA配列のコドン最適化は、GeneOptimizer(登録商標)(ThermoFischer、MA)を使用して行った。
【0260】
プレ-プロ-IGF1 DNA配列のオープンリーディングフレームは、BamHIおよびEcoRI制限酵素認識部位を含むGeneArt(www.thermofisher.com、ThermoFischer、MA)から合成し、同じ制限酵素を使用してpVAX1.A120ベクターにサブクローニングした。ベクター全体のDNA配列を図8に示す。クローニングしたインサートの配向および塩基配列を、いくつかのクローンのサンガー配列決定によって確認した。成功したクローンを、in vitro転写(IVT)mRNA生産の鋳型として選択した。代替プレドメイン変異体Cpd.2~Cpd.7については、pMA-T(図9~12)およびpMA-RQ(図13~14)ベクターをIVTの鋳型として使用した。全てのIVT反応が、同一のポリA120テールを含むmRNAをもたらした。
【0261】
Cpd.8~Cpd.39 mRNAにおけるシグナル伝達ペプチドの交換
Cpd.8~26およびCpd.39では、IGF1のプレドメイン(シグナル伝達ペプチド、ヌクレオチド 1~63)(すなわち、Cpd.1)を、LTBP2(Cpd.8;Uniprot ID:Q14767)、IGFALS(Cpd.9;Uniprot ID:P35858)、INS(Cpd.10;Uniprot ID:P01308)、)、Epo(Cpd.11;Uniprot ID:P01588)、CSF3(Cpd.12;Uniprot ID:P09919)、NGF(Cpd.13;Uniprot ID:P01138)、FGF5(Cpd.14;Uniprot ID:P12034)、FHR2(Cpd.15;Uniprot ID:P36980)、IBP5(Cpd.16;Uniprot ID:P24593)、NTF3(Cpd.17;Uniprot ID:P20783)、PATE2(Cpd.18;Uniprot ID:Q6UY27)、SOD3(Cpd.19;Uniprot ID:P08294)、GLRのコード配列の一部(Cpd.20;Uniprot ID:P47871)、IGF1の修飾プレドメイン配列(Cpd.21;Uniprot ID:P05019)、IGF2の修飾プレドメイン配列(Cpd.22;Uniprot ID:P01344)、CXCL12の修飾プレドメイン配列(Cpd.23;Uniprot ID:P48061)、BDNFの修飾プレドメイン配列(Cpd.24;Uniprot ID:P23560)、IGF1の修飾プロドメイン配列(Cpd.25;Uniprot ID:P05019)、ALPIの修飾プロドメイン配列(Cpd.39;Uniprot ID:P09923)およびINSの修飾プレドメイン配列(Cpd.26;Uniprot ID:P01308)のそれぞれのプレドメインに交換した。Cpd.1と同様に、全ての上記に指定した化合物はEペプチドがなかった。Cpd.8~26およびCpd.39のDNAおよびmRNA配列のコドン最適化は、GeneOptimizer(登録商標)(ThermoFischer、MA)を使用して行った。
【0262】
Cpd.27は、27個のアミノ酸(ヌクレオチド1~81)を有するヒトエリスロポエチンのプレドメイン(シグナル伝達ペプチド)をコードする配列(Epo;Uniprot ID:P01588)、および166個のアミノ酸(ヌクレオチド82~498)を有するヒトエリスロポエチンのコード鎖をコードする配列からなった。Cpd.28およびCpd.29では、Epoのプレドメイン(シグナル伝達ペプチド、ヌクレオチド1~81)を、Epoの修飾プレドメイン配列(Uniprot ID:P01588)およびBDNFのプレドメイン配列(Uniprot ID:P23560)に交換した。Cpd.27~29のDNAおよびmRNA配列のコドン最適化は、GeneOptimizer(登録商標)(ThermoFischer、MA)を使用して行った。
【0263】
Cpd.30は、24個のアミノ酸(ヌクレオチド1~72)を有するヒトインスリンのプレドメイン(シグナル伝達ペプチド)をコードする配列(INS;Uniprot ID:P01308)、および30個のアミノ酸(ヌクレオチド73~162を有する)B鎖ドメインをコードする配列、および31個のアミノ酸(ヌクレオチド163~255)を有する結合ペプチド(Cペプチド)ドメインをコードする配列、および21個のアミノ酸(ヌクレオチド256~330)を有するA鎖ドメインをコードする配列からなった。Cpd.31およびCpd.32では、INSのプレドメイン(シグナル伝達ペプチド、ヌクレオチド1~72)を、INSの修飾プレドメイン配列(Uniprot ID:P01308)およびBDNFのプレドメイン配列(Uniprot ID:P23560)に交換した。Cpd.30~32のDNAおよびmRNA配列のコドン最適化は、GeneOptimizer(登録商標)(ThermoFischer、MA)を使用して行った。
【0264】
Cpd.33は、24個のアミノ酸(ヌクレオチド1~72)を有するヒトインターロイキン4のプレドメイン(シグナル伝達ペプチド)をコードする配列(IL-4;Uniprot ID:P05112)、および129個のアミノ酸(ヌクレオチド73~387)を有するコード鎖ドメインをコードする配列からなった。Cpd.34およびCpd.35では、IL-4のプレドメイン(シグナル伝達ペプチド、ヌクレオチド1~72)を、IL-4の修飾プレドメイン配列(Uniprot ID:P05112)およびFGF5のプレドメイン配列(Uniprot ID:P01308)に交換した。Cpd.33~35のDNAおよびmRNA配列のコドン最適化は、GeneOptimizer(登録商標)(ThermoFischer、MA)を使用して行った。
【0265】
Cpd.36は、24個のアミノ酸(ヌクレオチド1~54)を有するヒトインターロイキン10のプレドメイン(シグナル伝達ペプチド)をコードする配列(IL-10;Uniprot ID:P22301)、および160個のアミノ酸(ヌクレオチド55~534)を有するコード鎖ドメインをコードする配列からなった。Cpd.37およびCpd.38では、IL-10のプレドメイン(シグナル伝達ペプチド、ヌクレオチド1~54)を、IL-10の修飾プレドメイン配列(Uniprot ID:P22301)およびBDNFのプレドメイン配列(Uniprot ID:P23560)に交換した。Cpd.36~38のDNAおよびmRNA配列のコドン最適化は、GeneOptimizer(登録商標)(ThermoFischer、MA)を使用して行った。
【0266】
Cpd.1~39のシグナルペプチドのアミノ酸配列およびDNA配列ならびにCpd.1~39それぞれのRNA配列およびDNA配列およびベクターを、以下の表1に示す。
【0267】
Cpd.1~Cpd.7 mRNAのin vitro転写(IVT)
Cpd.1を含有するpVAX.A120ベクター(配列番号15)は、T7プロモーターおよび120bp長のポリAテールも有し、in vitro転写(IVT)を使用したmRNA生産の前にポリAテールの下流でXhoI酵素を用いて該ベクターを直線状にした。pMA-TおよびpMA-RQベクターについては、相同なプライマー対(配列番号22および23)をPCRベースのIVT-mRNA生産に使用した(図15)。リバースプライマーは、ポリAテールを成熟mRNAに含めるために120bpポリAを含有した。直線状プラスミドおよびPCRアンプリコンの両方を、MEGAscript T7キットのT7 RNAポリメラーゼ(www.ambion.com)によって行われるIVTの鋳型として使用した。全てのmRNAは、5’末端のアンチリバースCAPアナログ(ARCA;[m7G(5’)G])を用いて生産し、100% N1-メチルシュード-UTP(www.trilink.com)を用いて化学的に修飾した。MEGAclearキット(www.ambion.com)を使用してin vitro転写mRNAを精製し、Agilent 2100 BioanalyzerのRNA 6000 Nanoキット(www.agilent.com)を使用して品質および濃度について分析した。
【0268】
Cpd.1およびCpd.8~Cpd.39 mRNAのin vitro転写(IVT)
Cpd.1(配列番号40; pVAX.A120ベクターへのサブクローニング前)およびCpd.8~Cpd.39をコードするpMA-TおよびpMA-RQベクターについては、相同なプライマー対(配列番号22および23)をPCRベースのIVT-mRNA生産に使用した(図15)。リバースプライマーは、ポリAテールを成熟mRNAに含めるために120bpポリAを含有した。PCRアンプリコンを、MEGAscript T7キットのT7 RNAポリメラーゼ(www.ambion.com)によって行われるIVTの鋳型として使用した。全てのmRNAは、5’末端のアンチリバースCAPアナログ(ARCA;[m7G(5’)G])を用いて生産し、100% N1-メチルシュード-UTP(www.trilink.com)を用いて化学的に修飾した。MEGAclearキット(www.ambion.com)を使用してin vitro転写mRNAを精製し、RNAアガロースゲル電気泳動を使用して品質および濃度について分析した。
【0269】
HEK293T、C2C12およびHepG2細胞のin vitroトランスフェクション
ヒト胎児性腎細胞293(HEK293T;ATCC、CRL-1573、ロックビル、MD、USA)は、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)、およびペニシリン-ストレプトマイシン-アンホテリシンB混合物(882087、Biozym、オルデンドルフ、ドイツ)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、www.biochrom.com)で維持した。細胞を96ウェル培養プレートに7,000~20,000細胞/ウェルで播種し、トランスフェクションの前に5% COを含有する加湿雰囲気中、37℃で24時間インキュベートした。トランスフェクションの前に培養密度<60%に達するように、抗生物質なしで10%のFBSを含有するDMEM増殖培地で細胞を増殖させた。
【0270】
ヒト肝がん細胞株HepG2(カタログ番号85011430、ECACC UK)は、10%ウシ胎児血清およびペニシリン-ストレプトマイシン-アンホテリシンB混合物(882087、Biozym、オルデンドルフ、ドイツ)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で、5% COを含有する加湿雰囲気中、37℃で増殖させた。HepG2細胞を、2日おきおよび5日おきにそれぞれ1:2および1:4の分割比で継代培養した。細胞を、トランスフェクションの24時間前に20,000~40,000細胞/ウェルの密度で96ウェルマイクロタイタープレートに播種した。トランスフェクションの前に30~40%培養密度に達するように、抗生物質なしで10%のFBSを含有するDMEM増殖培地で細胞を増殖させた。
【0271】
マウス筋芽細胞株C2C12(ATCC、CRL-1772、ロックビル、MD、USA)は、10%ウシ胎児血清およびペニシリン-ストレプトマイシン-アンホテリシンB混合物(882087、Biozym、オルデンドルフ、ドイツ)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で、5% COを含有する加湿雰囲気中、37℃で増殖させた。C2C12細胞を、2日おきおよび5日おきにそれぞれ1:2および1:4の分割比で継代培養した。細胞を、トランスフェクションの24時間前に20,000細胞/ウェルの密度で96ウェルマイクロタイタープレートにプレーティングした。トランスフェクションの前に80~90%培養密度に達するように、抗生物質なしで2%のFBSを含有するDMEM増殖培地で細胞を増殖させた。
【0272】
その後、リポフェクタミン2000(www.invitrogen.com)を使用して製造者の使用説明書に従って、種々のmRNA変異体を0.3μgで細胞にトランスフェクトした。DMEM 100μlを除去し、Opti-MEM 50μlならびにOpti-MEM中50μl mRNAおよびリポフェクタミン2000複合体(www.thermofisher.com)に置き換えた。5時間後、培地を新鮮な培地に置き換え、5% COを含有する加湿雰囲気中、37℃で24時間、プレートをインキュベートした。
【0273】
HSkMC細胞のin vitroトランスフェクション
HSkMC細胞を、マイクロタイタープレートの96ウェルあたり40.000細胞の密度でSkM増殖培地(PromoCell、ハイデルベルク、ドイツ)にプレーティングした。細胞を、加湿雰囲気中、37℃インキュベーターおよび5% COで>90%のコンフルエンスまで1日増殖させた。トランスフェクション当日、リポフェクタミン2000(www.invitrogen.com)を使用して、細胞を2μgの種々のmRNA変異体(Cpd.1または4)で処理した。したがって、100μl培地を除去し、1μlリポフェクタミン/ウェルを2μg mRNA/ウェルと一緒にOPTIMEM培地(www.thermofisher.com)に添加した。細胞を次いで加湿雰囲気中、37℃および5% COで24時間インキュベートした。
【0274】
IMR32細胞のin vitroトランスフェクション
トランスフェクションの24時間前に、ヒト白色人種神経芽細胞腫IMR32細胞(カタログ番号86041809、ECACC、UK)を、10%(v/v)加熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)、L-グルタミン(2mM)および非必須アミノ酸(NEAA、1×)を補充したイーグル最小必須培地(EMEM、Bioconcept カタログ番号1-31S01-I、www.bioconcept.ch)に、96プレコートBRANDマイクロタイタープレート(カタログ番号782082)の1ウェルあたり密度60,000細胞でプレーティングした。細胞を、5% COを含有する加湿雰囲気中、37℃で一晩増殖させた。JetMessenger(www.polyplus-transfection.com)を使用して製造者の使用説明書に従って、0.3μgのmRNAコンストラクトを細胞にトランスフェクトした。簡単には、0.1μg mRNAコンストラクトあたり0.25μl JetMessenger試薬を混合して、mRNA/JetMessenger複合体を形成した。室温で15分間インキュベート後、JetMessenger複合体を10μlとして添加し、トランスフェクション5時間後、培地/mRNA/JetMessengerをウェルから除去し、新鮮な100μl増殖培地と置き換え、プレートを5% COを含有する加湿雰囲気中、37℃で24時間インキュベートした。
【0275】
A549細胞のin vitroトランスフェクション
ヒト肺癌細胞株(Sigma-Aldrich、ブフス スイス カタログ番号6012804)を、10% FBS(Thermofischer、バーゼル、スイス カタログ番号10500-064)を補充したダルベッコ改変イーグル培地-高グルコース(DMEM、Sigma-Aldrich、ブフス スイス カタログ番号D0822)で維持した。トランスフェクションの24時間前に、A549細胞を通常の増殖培地に10,000細胞/ウェルの密度でプレーティングした。その後、リポフェクタミン2000(www.invitrogen.com)を使用して製造者の使用説明書に従って、種々のmRNA(0.3~0.6μg)を細胞にトランスフェクトした。DMEM 100μlを除去した。Opti-MEM(www.thermofisher.com)50μlを各ウェルに添加し、その後、Opti-MEM中50μl mRNAおよびリポフェクタミン2000複合体を添加した。インキュベーションの5時間後、培地を新鮮な増殖培地に置き換え、5% COを含有する加湿雰囲気中、37℃で24時間、プレートをインキュベートした。
【0276】
THP-1細胞のin vitroトランスフェクション
ヒト単球白血病細胞株THP-1(Sigma-Aldrich、ブフス スイス、カタログ番号88081201)を、増殖培地(10% FBSおよび2mMグルタミンを補充したRPMI 1640で維持した。トランスフェクションの72時間前に、細胞を96ウェル細胞培養物プレートに30,000 THP-1細胞で播種し、増殖培地に希釈したホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)(Sigma-Aldrich、ブフス スイス、カタログ番号P8139)50nMで活性化した。リポフェクタミン2000(www.thermofisher.com)を使用して、mRNA(300~600ng/ウェル)を細胞にトランスフェクトし、DMEM 100μlを除去した。Opti-MEM(www.thermofisher.com)50μlを各ウェルに添加し、その後、Opti-MEM中50μl mRNAおよびリポフェクタミン2000複合体を添加した。5時間後、培地を50nM PMAを補充した新鮮な増殖培地に置き換え、5% COを含有する加湿雰囲気中、37℃で24時間、プレートをインキュベートした。
【0277】
ラット初代脊髄ニューロン
妊娠したメスの野生型ウィスターラット(Janvier labs、フランス)または妊娠14日のSOD1G93A Sprague Dawleyラット(Taconic Bioscience)を、COによる深麻酔および頸椎脱臼を使用して屠殺した。胎児を子宮から取り出し、2%ペニシリン(10,000U/mL)およびストレプトマイシン(10mg/mL)溶液(PS)および1%ウシ血清アルブミン(BSA)を補充した氷冷Leibovitz培地に直ちに入れた。脊髄を切断し、0.05%トリプシン-0.02% EDTAで37℃、20分間処理した。グルコース4.5g/l、0.5mg/mL DNAase IおよびII、ならびに10%ウシ胎児血清(FCS)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)の添加によって解離を停止した。10mLピペットの先端を強制的に3回通過させて細胞を機械的に解離した。さらに、細胞を4℃、515gで10分間遠心分離した。得られたペレットを、B27サプリメントの2%溶液、グルタミン2mmol/l、2%のPS溶液、および脳由来神経栄養因子(BDNF)10ng/mlを含有するneurobasal培地からなる既知組成培地に再懸濁した。細胞を、96ウェルポリ-D-リジンプレコートプレートに1ウェルあたり20,000細胞で播種し、5% COを含有する加湿雰囲気中、37℃で培養した。培地を2日おきに置き換えた。培養下11~12日後、製造者の説明書に従ってJetMessenger(www.polyplus-transfection.com)を使用してmRNAコンストラクト(0.3μg)をトランスフェクトした。
【0278】
ヒト分化軟骨細胞のin vitroトランスフェクション
ヒト関節軟骨細胞(Sigma/Cell Applications、ブフス、スイス カタログ番号402~05A)を、Chondrocyte増殖培地(Sigma Aldrich、ブフス、スイス カタログ番号411~500)で維持した。細胞を、5% COを含有する加湿雰囲気中、37℃でインキュベートした。細胞を分化培地のアルギネートビーズ(Sigma Aldrich、ブフス、スイス カタログ番号A411D-250)で最低3週間増殖させて、細胞を分化させた。アルギネートビーズの調製については、4×10軟骨細胞あたり、1.2%滅菌アルギネート溶液(0.9% NaCl中1.2%アルギネート Sigma Aldrich、ブフス スイス カタログ番号 A-2033)1mlを使用した。細胞を相応の容量の1.2%アルギネート溶液に再懸濁し、22ゲージ針を通じて6ウェル未処理細胞培養物プレート中100mM CaCl溶液に液滴分注した。15分後、重合ビーズを0.9% NaClで5回、および分化培地で2回洗浄した。軟骨細胞/アルギネートビーズを分化のため、5% COを含有する加湿雰囲気中、37℃で最低3週間インキュベートし、培地は2日おきに交換した。トランスフェクションの24時間前に、分化軟骨細胞を0.9% NaClで2×洗浄し、アルギネート溶解バッファー(55mMクエン酸ナトリウム、150mM NaCl、30mM EDTA pH6.8)で約5分間インキュベートして、分化軟骨細胞をアルギネートビーズから放出した。細胞を0.9% NaClで2×洗浄した。1ウェルあたり30,000細胞を、96ウェルTPPプレート(Sigma Aldrich、ブフス、スイス カタログ番号 92096)の100μl増殖培地に播種し、一晩増殖させた。製造者の使用説明書に従ってJetMessenger(www.polyplus-transfection.com)を使用して、細胞にmRNAコンストラクト0.6μgをトランスフェクトした。mRNA/JetMessenger複合体を10μlとして4通りに添加した。mRNA/JetMessenger複合体は、0.1μg mRNAコンストラクトあたり0.25μl JetMessenger試薬を混合し、室温で15分間インキュベートして形成した。トランスフェクション後の5時間後、トランスフェクション複合体(培地/mRNA/JetMessenger)をウェルから除去し、100μl増殖培地と置き換えた。プレートを5% COを含有する加湿雰囲気中、37℃で24時間インキュベートした。
【0279】
細胞培養上清中のタンパク質レベルの分析
トランスフェクション後24時間時点で、トランスフェクトされた細胞からの上清を回収し、凍結し、IGF1(カタログ番号E20、Mediagnost、ロイトリンゲン、ドイツ)、エリスロポエチン(EPO;カタログ番号BMS2035、ThermoFisher、バーゼル、スイス)、インスリン(INS、カタログ番号RAB0327、Sigma-Aldrich、ブフス、スイス)、インターロイキン4(IL-4、カタログ番号88-7046-22、ThermoFisher、バーゼル、スイス)およびインターロイキン10(IL-10、カタログ番号キット10947 Sino Biological、中国)の、製造者の使用説明書に従ってELISAによる定量分析まで20℃で保管した。それぞれのELISAバッファーで希釈した後、細胞上清を分析した。
【0280】
データ分析
標準または試料中のタンパク質(IGF1、EPO、INS、IL-4、IL-10)レベルの推定のために、ブランクの平均吸光度値を、標準または試料の平均吸光度から減算した。検量線を生成し、製造者のプロトコールに従って4つのパラメータ非線形回帰を使用してプロットした。各試料中のタンパク質(IGF1、EPO、INS、IL-4、IL-10)の濃度を決定するために、種々のタンパク質の濃度を検量線から補間した。試料の最終タンパク質濃度を、希釈係数を乗算して算出した。全ての算出は、GraphPad Prism 8(サンディエゴ、USA)を使用して行った。内因性シグナル伝達ペプチドコンストラクトと比べた増加倍数の表示のために、個々のコンストラクトによって産生されるタンパク質のレベルを、同じ濃度で内因性シグナル伝達ペプチドコンストラクトによって生成されるタンパク質のレベルで除算した。
【0281】
結果
IGF1のクローニング
pVAX.A120への全てのインサートのクローニングの成功を、サンガー配列決定によって確認した。全てのテストしたクローンは、IGF1インサートの正しい配向を100%の配列精度でもたらした。IVT mRNA生産のために陽性クローンを選択した。
【0282】
Cpd.1~39の平均疎水性および極性
シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9、アミノ酸1~7およびアミノ酸1~5ならびにC末端の最後の9個のアミノ酸に対するCpd.1~39の平均疎水性、ならびにN末端のアミノ酸1~9に対するCpd.1~39の平均極性は、以下の表2~5に示されている通りである。
【0283】
mRNAのin vitro転写
IGF1_pVAX.A120プラスミドをXhoIで直線状にし、IVT系を使用してIGF1 mRNA(Cpd.1)を生産した。同様に、変化したプレドメイン(シグナル伝達ペプチドを有するIGF1 mRNAである、ベクターpMA-TおよびpMA-RQにコードされたCpd.2~Cpd.7(図16)を、PCRベースのIVTを使用するin vitroトランスフェクション実験用に50~200μg範囲で生産した。同様に、Cpd.1(配列番号40)ならびにpMA-TおよびpMA-RQベクターにコードされたCpd.8~26についても、変化したシグナル伝達ペプチドを有するIGF1 mRNAを、PCRベースのIVTを使用するin vitroトランスフェクション実験用に50~200μg範囲で生産した。IGF1 mRNAに加えて、内因性のまたは変化したシグナル伝達ペプチドを有する、エリスロポエチン(EPO、Cpd.27~29)、インスリン(INS、Cpd.30~32)、インターロイキン4(IL4、Cpd.33~35)およびインターロイキン10(IL10、Cpd.36~38)のためのmRNAを、in vitroトランスフェクション実験用に50~200μg範囲で生産した。
【0284】
IGF1分泌のテストに関するHEK293T細胞のin vitroトランスフェクション
HEK293T細胞をCpd.1~Cpd.7 mRNAと24時間インキュベーションした後、分泌されたIGF1レベルを細胞培養物の上清で評価した(図17)。Cpd.1は、IGF1分泌を最大50ng/ml誘導することができた。Cpd.4は、Cpd.1より有意に高いIGF1分泌を誘導した(3.3倍、0.001)。Cpd.1およびCpd.4の濃度依存性を評価するために、Cpd.1およびCpd.4両方の種々の濃度(0.02~2μg/ウェル)を、上清中へのIGF1分泌の誘導に関してテストした(図18)。Cpd.1は0.89μgのEC50を、Cpd.4については0.13μgのEC50を示し、HEK293T細胞からのIGF1分泌の誘導においてCpd.4は6.8倍効力があることを示した。まとめると、図17および18のデータは、Cpd.4がCpd.1より強くて効力があるHEK293T細胞でのIGF1分泌を誘導したことを立証しており、このシグナル伝達ペプチドが、この細胞型における産生されたIGF1の細胞排出を容易にすることを示唆している。
【0285】
IGF1分泌のテストに関するC2C12細胞のin vitroトランスフェクション
C2C12細胞をCpd.1~Cpd.7 mRNAと24時間インキュベーションした後、分泌されたIGF1レベルを細胞培養物の上清で評価した(図19)。Cpd.1は、IGF1分泌を最大60ng/ml誘導することができた。Cpd.4は、Cpd.1より有意に高いIGF1分泌を誘導した(6.1倍、0.001)。データは、Cpd.4がCpd.1より強いC2C12細胞でのIGF1分泌を誘導したことを立証しており、このシグナル伝達ペプチドが、この細胞型においても産生されたIGF1の細胞排出を容易にすることを示唆している。
【0286】
IGF1分泌のテストに関するHSkMC細胞のin vitroトランスフェクション
HSkMC細胞をCpd.1またはCpd.4 mRNAと24時間インキュベーションした後、分泌されたIGF1レベルを細胞培養物の上清で評価した(図20)。Cpd.1は、IGF1分泌を最大30ng/ml誘導することができた。Cpd.4は、Cpd.1より有意に高いIGF1分泌を誘導した(3.1倍、p<0.05)。データは、Cpd.4がCpd.1より強い初代HSkMC細胞でのIGF1分泌を誘導したことを立証しており、このシグナル伝達ペプチドが、この細胞型においても産生されたIGF1の細胞排出を容易にすることを示唆している。
【0287】
IGF1分泌のテストに関するHEK293T細胞への追加のmRNAのin vitroトランスフェクション
別のセットのテストでは、Cpd.8~Cpd.26を、HEK293T細胞からのIGF1分泌の調節に対するその可能性について分析した。対照としてのCpd.1およびテストmRNAとしてのCpd.8~Cpd.26と24時間インキュベーションした後、分泌されたIGF1レベルを細胞培養物の上清で評価した(図22)。Cpd.1応答を1に正規化し、データをCpd.1の倍数変化として表した。Cpd.8、Cpd.9、Cpd.10、Cpd.11、Cpd.12およびCpd13がIGF1分泌の低下を示したのに対し、Cpd.14、Cpd.15、Cpd.16、Cpd.17、Cpd.18、Cpd.19、Cpd.20、Cpd.21、Cpd.23、Cpd.24、Cpd.25およびCpd.26は、Cpd.1と比べて最大2.6倍有意に高いIGF1分泌を誘導することができた。それに関して、Cpd.15およびCpd.21は、Cpd.4と同じような誘導を示した(図17参照)。まとめると、データは、Cpd.14、Cpd.15、Cpd.16、Cpd.17、Cpd.18、Cpd.19、Cpd.20、Cpd.21、Cpd.23、Cpd.24、Cpd.25およびCpd.26が、Cpd.1より強くて効力があるHEK293T細胞でのIGF1分泌を誘導したことを立証しており、これらのシグナル伝達ペプチドが、この細胞型における産生されたIGF1の細胞排出を容易にすることを示唆している。
【0288】
IGF1分泌のテストに関するHepG2細胞のin vitroトランスフェクション
HepG2細胞を、対照としてのCpd.1およびテストmRNAとしてのCpd.4~Cpd.26と24時間インキュベーションした後、分泌されたIGF1レベルを細胞培養物の上清で評価した(図23)。Cpd.1応答を1に正規化し、データをCpd.1の倍数変化として表した。Cpd.8、Cpd.9、およびCpd.12がIGF1分泌の低下を示したのに対し、Cpd.4、Cpd.14、Cpd.15、Cpd.16、Cpd.17、Cpd.18、Cpd.19、Cpd.20、Cpd.21、Cpd.22、Cpd.23、Cpd.24、Cpd.25およびCpd.26は、Cpd.1と比べて最大8.3倍有意に高いIGF1分泌を誘導することができた。まとめると、データは、Cpd.4、Cpd.14、Cpd.15、Cpd.16、Cpd.17、Cpd.18、Cpd.19、Cpd.20、Cpd.21、Cpd.22、Cpd.23、Cpd.24、Cpd.25およびCpd.26が、Cpd.1より強いHepG2細胞でのIGF1分泌を誘導したことを立証しており、これらのシグナル伝達ペプチドが、この細胞型における産生されたIGF1の細胞排出を容易にすることを示唆している。
【0289】
IGF1分泌のテストに関するIMR32神経細胞のin vitroトランスフェクション
IMR324神経細胞を、対照としてのCpd.1およびテストmRNAとしてのCpd.4~Cpd.24と24時間インキュベーションした後、分泌されたIGF1レベルを細胞培養物の上清で評価した(図24)。Cpd.1応答を1に正規化し、データをCpd.1の倍数変化として表した。Cpd.4、Cpd.14、Cpd.15、Cpd.16、Cpd.17、Cpd.20、Cpd.22、Cpd.23およびCpd.24は、Cpd.1と比べて最大2.6倍有意に高いIGF1分泌を誘導することができた。まとめると、データは、Cpd.4、Cpd.14、Cpd.15、Cpd.16、Cpd.17、Cpd.20、Cpd.22、Cpd.23およびCpd.24が、Cpd.1より強いIMR32神経細胞でのIGF1分泌を誘導したことを立証しており、これらのシグナル伝達ペプチドが、この細胞型における産生されたIGF1の細胞排出を容易にすることを示唆している。
【0290】
IGF1分泌のテストに関するヒト軟骨細胞のin vitroトランスフェクション
軟骨細胞を、対照としてのCpd.1およびテストmRNAとしてのCpd.4~Cpd.25と24時間インキュベーションした後、分泌されたIGF1レベルを細胞培養物の上清で評価した(図25)。Cpd.1応答を1に正規化し、データをCpd.1の倍数変化として表した。Cpd.4、Cpd.14、Cpd.15、Cpd.16、Cpd.20、Cpd.21、Cpd.22、Cpd.24およびCpd.25は、Cpd.1と比べて最大1.9倍有意に高いIGF1分泌を誘導することができた。まとめると、データは、Cpd.4、Cpd.14、Cpd.15、Cpd.16、Cpd.20、Cpd.21、Cpd.22、Cpd.24およびCpd.25が、Cpd.1より強い軟骨細胞でのIGF1分泌を誘導したことを立証しており、これらのシグナル伝達ペプチドが、この細胞型における産生されたIGF1の細胞排出を容易にすることを示唆している。
【0291】
IGF1分泌のテストに関するラット運動ニューロンのin vitroトランスフェクション
ラット運動ニューロンまたはラットトランスジェニック/遺伝子組換えSOD1G93A図26B)を、対照としてのCpd.1ならびに、テストmRNAとしての、野生型に対するCpd.4、Cpd.14およびCpd.17(図26A)またはトランスジェニック/遺伝子組換えSOD1G93A図26B)に対するCpd.14およびCpd.17と48時間インキュベーションした後、分泌されたIGF1レベルを細胞培養物の上清で評価した(図26AおよびB)。Cpd.1応答を1に正規化し、データをCpd.1の倍数変化として表した。Cpd.4、Cpd.14およびCpd.17は、Cpd.1と比べてIGF1分泌を野生型で最大4.3倍、またはトランスジェニック/遺伝子組換えSOD1GS93Aで最大9.3倍誘導することができた。まとめると、データは、Cpd.4、Cpd.14およびCpd.17が、Cpd.1より強い運動ニューロンでのIGF1分泌を誘導したことを立証しており、これらのシグナル伝達ペプチドが、この細胞型における産生されたIGF1の細胞排出を容易にすることを示唆している。
【0292】
EPO分泌のテストに関するHEK293T、HepG2およびA549細胞のin vitroトランスフェクション
HEK293T、HepG2またはA549細胞を、対照としてのCpd.27およびテストmRNAとしてのCpd.28およびCpd.29と24時間インキュベーションした後、分泌されたエリスロポエチン(EPO)レベルを細胞培養物の上清で評価した(図27)。Cpd.27応答を1に正規化し、データをCpd.27の倍数変化として表した。Cpd.28は、HEK293T細胞(図27A)、HepG2細胞(図27B)およびA549細胞(図27C)においてCpd.27と比べてEPO分泌を最大1.8倍誘導することができ、Cpd.29は、HEK293T細胞(図27A)およびHepG2細胞(図27B)においてCpd.27と比べてEPO分泌を最大1.4倍誘導した。まとめると、データは、Cpd.28およびCpd.29が、Cpd.27より強いEPO分泌を誘導したことを立証しており、これらのシグナル伝達ペプチドが、これらの細胞型における産生されたEPOの細胞排出を容易にすることを示唆している。
【0293】
INS分泌のテストに関するHEK293T細胞のin vitroトランスフェクション
HEK293T細胞を、対照としてのCpd.30ならびにテストmRNAとしてのCpd.31およびCpd.32と24時間インキュベーションした後、分泌されたインスリン(INS)レベルを細胞培養物の上清で評価した(図28)。Cpd.30応答を1に正規化し、データをCpd.30の倍数変化として表した。Cpd.31およびCpd.32は、HEK293T細胞においてCpd.30と比べてINS分泌を最大3.9倍誘導することができた。まとめると、データは、Cpd.31およびCpd.32が、Cpd.30より強いINS分泌を誘導したことを立証しており、これらのシグナル伝達ペプチドが、この細胞型における産生されたINSの細胞排出を容易にすることを示唆している。
【0294】
IL4分泌のテストに関するHEK293T、HepG2、THP-1およびA549細胞のin vitroトランスフェクション
HEK293T、HepG2、THP-1またはA549細胞を、対照としてのCpd.33ならびにテストmRNAとしてのCpd.34およびCpd.35と24時間インキュベーションした後、分泌されたインターロイキン4(IL4)レベルを細胞培養物の上清で評価した(図29)。Cpd.33応答を1に正規化し、データをCpd.33の倍数変化として表した。Cpd.34は、HEK293T細胞(図29A)、HepG2細胞(図29B)、THP-1細胞(図29C)およびA549細胞(図29D)において、Cpd.33と比べてIL4分泌を最大2.2倍誘導することができ、Cpd.35は、HepG2細胞(図29B)およびTHP-1細胞(図29C)において、それぞれ、Cpd.33と比べてIL4分泌を最大1.3倍誘導した。まとめると、データは、Cpd.34およびCpd.35が、Cpd.33より強いIL4分泌を誘導したことを立証しており、これらのシグナル伝達ペプチドが、これらの細胞型における産生されたIL4の細胞排出を容易にすることを示唆している。
【0295】
IL10分泌のテストに関するHEK293T、HepG2およびTHP-1細胞のin vitroトランスフェクション
HEK293T、HepG2またはTHP-1細胞を、対照としてのCpd.36ならびにテストmRNAとしてのCpd.37およびCpd.38と24時間インキュベーションした後、分泌されたインターロイキン10(IL10)レベルを細胞培養物の上清で評価した(図30)。Cpd.36応答を1に正規化し、データをCpd.36の倍数変化として表した。Cpd.37は、HEK293T細胞(図30A)、HepG2細胞(図30B)およびTHP-1細胞(図30C)において、Cpd.36と比べてIL10分泌を最大2.2倍誘導することができ、Cpd.38は、THP-1細胞(図30C)においてCpd.36と比べてIL10分泌を1.4倍誘導した。まとめると、データは、Cpd.37およびCpd.38が、Cpd.36より強いIL10分泌を誘導したことを立証しており、これらのシグナル伝達ペプチドが、これらの細胞型における産生されたIL10の細胞排出を容易にすることを示唆している。
【0296】
IGF1分泌のテストに関するHepG2およびヒト初代軟骨細胞へのCpd.39のin vitroトランスフェクション
HepG2または軟骨細胞を、対照としてのCpd.1およびテストmRNAとしてのCpd.39と24時間インキュベーションした後、分泌されたIGF1レベルを細胞培養物の上清で評価した(図31)。Cpd.1応答を1に正規化し、データをCpd.1の倍数変化として表した。Cpd.39は、HepG2(図31A)およびヒト初代軟骨細胞(図31B)において、Cpd.1と比べて最大1.4倍有意に高いIGF1分泌を誘導することができた。まとめると、データは、Cpd.39がCpd.1より強いIGF1分泌を誘導したことを立証しており、このシグナル伝達ペプチドが、これらの細胞型における産生されたIGF1の細胞排出を容易にすることを示唆している。
【0297】
実施例2
骨格筋損傷のマウスモデルにおける局所適用IGF-I mRNAの有効性をテストするために、8~10週齢のオスのC57BL6/Jマウスに、0日目に前脛骨筋(TA)のノテキシン誘導筋毒性損傷を受けさせた。損傷後1日目に、ビヒクルまたは1μg mRNA(Cpd.4)を、損傷した筋肉への筋肉内注射により適用し、損傷後4日目に反復した。TAの筋機能を、損傷後1、4、7、10、14、21および28日目で測定した。対側TA筋のサブセットも試験全体を通して評価して、TA筋機能の健康な対照レベルを評価した。
【0298】
方法および材料
IGF-1のクローニングおよびIGF-1 mRNAのin vitro転写
IGF-1のクローニングおよびIGF-1 mRNAのin vitro転写は、実施例1に記載したように行った。pMA-TベクターにクローニングされるようにCpd.4のコドン最適化DNA(図4)を使用して、図11に示されているコンストラクトを得た。このコンストラクトを使用して、mRNA処置に使用されるin vitro転写mRNAを生産した。
【0299】
ノテキシン損傷
ノテキシン(Latoxan、バランス、フランス)は、マウスごとに40μl食塩水中0.4μgの濃度で調製した。マウスの麻酔はチャンバーで誘発し(約4~5%イソフルラン、効果を与えるまで)、ノーズコーン(約2~3%イソフルラン、効果を与えるまで)により維持した。マウスを次いで、加熱した(37℃)手術台で維持した。TA筋の中腹の皮膚を脱毛クリームで準備し(Nair Hair Remover45秒間、その後、水による3回のすすぎ)、ベータダインおよび70%アルコールで3回交互に洗ってさらに準備し、皮膚細菌の軟組織への播種を予防した。ツベルクリンシリンジを使用して、調製したノテキシン0.04mlを右TAの腹部へ筋肉内注射した。手順の間、動物は観察可能な疼痛に苦しまず、その後適切な抗疼痛処置を施された(注射後48時間、12時間おきにブプレノルフィン0.05~0.1mg/kg)。鎮痛剤の初回投与は麻酔薬誘発時点で行って、回復時の鎮痛剤の存在を確保した。最初の48時間後、動物を少なくとも週2回調べて正常歩行の適切な治癒および回復を確実にした。
【0300】
mRNA処置
マウスをmRNAまたはビヒクル処置に無作為に割り付けた。マウスを上記に記載のイソフルランを使用して麻酔し、損傷したTA筋に、筋肉の真ん中へmRNAまたはビヒクル処置の筋肉内注射1回を投与した。
【0301】
in vivo TA機能の評価
筋肉の性能を、損傷後1、4、7、10、14、21および28日目に305C筋肉レバーシステム(Aurora Scientific Inc.、オーロラ、カナダ)によりin vivoで測定した。マウスの麻酔は上記に記載したように達成し、マウスをサーモスタット制御台に置いた。脛骨頭に押し付けたピンを使用して膝を絶縁し、足をモーター軸のフットプレートにしっかり固定した。背屈筋群には、腓骨神経の経皮的電気刺激によって収縮を誘発した。最適な等尺性単収縮トルクを、疲労を避けるために収縮と収縮の間を最小30秒にし、電流を増加して決定した。次いで、一連の刺激を増加する刺激頻度で行った(0.2msパルス、500ms列持続時間):1、10、20、40、60、80、100、150Hz、その後、1Hzの最終刺激。最大ピーク等尺性筋力をプロットした。
【0302】
データ分析
データをグループ化し、平均および標準誤差を算出した。GraphPad Prism 8(サンディエゴ、USA)を使用して統計解析を行った。スチューデントのt検定を使用して比較を行った。
【0303】
結果
実施例2は、毒素(ノテキシン)によって誘発されたTA筋損傷のマウスモデルでは、筋損傷後早期の1日目および4日目のIGF-I mRNA筋肉内処置が、筋機能の回復の加速および完全な回復をもたらしたことを示している(図21)。1μg Cpd.4で処置した動物は、16日間の間に健康な範囲の機能レベルに達した。対照的に、ビヒクルで処置した対照動物および低用量処置マウスは、28日目まででも完全な機能回復を達成しなかった。データはそれ故に、IGF-I mRNA処置は筋損傷後の治癒を加速することができ、筋機能を完全に回復することによって慢性障害を予防できる可能性があることを示している。驚くべきことに、それには損傷後早期の2回の投与のみが必要である。
図1
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図10
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図30
図31
【配列表】
2024156665000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-07-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5’から3’方向に以下の順番で、i)シグナルペプチドおよびii)タンパク質をコードする核酸配列を含むmRNAであって、
シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2.2に等しいかまたはそれを超える平均疎水性スコアを有し、
疎水性スコアは、カイト-デューリトルのスケールにより計算され、かつ、
シグナルペプチドは前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであり、シグナルペプチドは、長さ16から40アミノ酸のアミノ酸配列からなり、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、mRNA。
【請求項2】
前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、通常、シグナルペプチドアミノ酸1から11内で、1から11アミノ酸が、挿入、欠失および/または置換されている、請求項1に記載のmRNA。
【請求項3】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9が、6.1またはそれ未満の平均極性を有する、請求項1または2に記載のmRNA。
【請求項4】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の9つのアミノ酸の平均疎水性スコアが、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の平均疎水性スコアより少なくとも1.0単位低い、請求項1または2に記載のmRNA。
【請求項5】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9、アミノ酸2~10、アミノ酸3~11、アミノ酸4~12およびアミノ酸5~13が、それぞれ1.5を超える平均疎水性スコアを有する、請求項1からのいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項6】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸8~16の平均疎水性スコアが、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸3~11の平均疎水性スコアに等しいかまたはそれより低い、請求項1からのいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項7】
シグナルペプチドが、長さ18~40アミノ酸のアミノ酸配列を含み、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸10~18の平均疎水性スコアは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸3~11の平均疎水性スコアより少なくとも0.5単位低い、請求項1からのいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項8】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の9つのアミノ酸の平均疎水性スコアが、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸3~11の平均疎水性スコアより少なくとも1.5単位低い、請求項1からのいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項9】
シグナルペプチドのアミノ酸配列の任意の9つの連続するアミノ酸の平均疎水性スコアが、4.1を超えない、請求項1からのいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項10】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のC末端の最後の9つのアミノ酸が、負の疎水性スコアを有する少なくとも1つのアミノ酸を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項11】
負の疎水性スコアを有する少なくとも1つのアミノ酸が、G、Q、N、T、S、R、K、H、D、E、P、YおよびWからなる群から選択される、請求項10に記載のmRNA。
【請求項12】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の2番目のアミノ酸が、P、Y、W、S、T、G、A、M、C、F、L、Vおよびからなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項13】
シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の2番目のアミノ酸が、A、L、S、T、VおよびWからなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項14】
極性が、ジマーマンの極性インデックスに従って計算される、請求項から13のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項15】
前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド、ニューロトロフィン-3(NTF-3)のシグナルペプチド、線維芽細胞増殖因子5(FGF5)のシグナルペプチド、インスリン様成長因子結合タンパク質5(IBP5)のシグナルペプチド、前立腺および精巣発現タンパク質2(PATE2)のシグナルペプチド、細胞外スーパーオキシドジスムターゼ(SOD3)のシグナルペプチド、および補体因子H関連タンパク質2(FHR2)のシグナルペプチドからなる群から選択される請求項1から14のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項16】
前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、C-X-Cモチーフケモカインリガンド12(CXCL12)のシグナルペプチド、インスリン増殖因子2(IGF2)のシグナルペプチド、インスリン(INS)のシグナルペプチド、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドからなる群から選択される請求項から14のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項17】
前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドを使用した場合の分泌タンパク質の量は、前記タンパク質に相同なシグナルペプチドを使用した場合の前記分泌タンパク質の量より多い、請求項1から16のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項18】
前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドのアミノ酸配列のアミノ酸の数の50%未満の挿入、欠失および/または置換によって修飾されている、請求項2から17のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項19】
タンパク質が、サイトカイン、増殖因子およびホルモンからなる群から選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項20】
前記タンパク質は、インスリン増殖因子1(IGF1)、インスリン(INS)、エリスロポエチン(EPO)、インターロイキン-4(IL-4)およびインターロイキン-10(IL-10)からなる群から選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項21】
前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており、かつ前記タンパク質は、IGF1である請求項1から18のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項22】
5’から3’方向に以下の順番で、i)シグナルペプチドおよびii)タンパク質をコードする核酸を含む、転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクターであって、
シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9は、2.2に等しいかまたはそれを超える平均疎水性スコアを有し、
疎水性スコアは、カイト-デューリトルのスケールにより計算され、かつ、
シグナルペプチドは、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドであり、ただし前記タンパク質はオキシドレダクターゼではない、転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクター。
【請求項23】
前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失および/または置換によって修飾されており
シグナルペプチドは、長さ16から40アミノ酸のアミノ酸配列からなり、かつ、通常、シグナルペプチドのアミノ酸1から11以内で、1から11アミノ酸が、挿入、欠失および/または置換されている、
請求項22に記載の転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクター。
【請求項24】
請求項1から21のいずれか一項に記載のmRNAおよび/または請求項22もしくは23に記載の転写単位、発現ベクターもしくは遺伝子治療用ベクターを含む治療用組成物。
【請求項25】
請求項1から21のいずれか一項に記載のmRNAおよび/または請求項22もしくは23に記載の転写単位、発現ベクターもしくは遺伝子治療用ベクター、および/または請求項24に記載の治療用組成物、ならびに使用説明書、必要に応じてベクターマップ、必要に応じて宿主細胞、必要に応じて宿主細胞の培養のための培地、および/または必要に応じてトランスフェクトされた宿主細胞を選択および培養するための選択培地を含むキット。
【請求項26】
i)タンパク質;および
ii)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド
をコードする核酸配列を含むmRNAであって、
前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、mRNA。
【請求項27】
i)タンパク質;および
ii)前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチド
をコードする核酸配列を含むmRNAであって、
前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、かつ前記タンパク質は、カルボキシペプチダーゼ;サイトカイン;細胞外のリガンドおよび輸送体;細胞外マトリックスタンパク質;グルコシダーゼ;グリコシルトランスフェラーゼ;増殖因子;増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;ホルモン;ヒドロラーゼ;免疫グロブリン(immunoglobin);イソメラーゼ;キナーゼ;リアーゼ;金属酵素阻害剤;メタロプロテアーゼ;乳タンパク質;神経刺激性タンパク質;プロテアーゼ;プロテアーゼ阻害剤;タンパク質ホスファターゼ;エステラーゼ;トランスフェラーゼ;および血管作動性タンパク質からなる群から選択される、mRNA。
【請求項28】
タンパク質が、サイトカイン;増殖因子;増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;ホルモン;神経刺激性タンパク質;および血管作動性タンパク質からなる群から選択される、請求項26または27に記載のmRNA。
【請求項29】
タンパク質が、増殖因子である、請求項26または27に記載のmRNA。
【請求項30】
増殖因子が、AMH、ARTN、BTC、CDNF、CFC1、CFC1B、CHRDL1、CHRDL2、CLEC11A、CNMD、EFEMP1、EGFL6、EGFL7、EGFL8、EPGN、EREG、EYS、FGF1、FGF10、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF2、FGF20、FGF21、FGF22、FGF23、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FRZB、GDNF、GFER、GKN1、HBEGF、IGF1、IGF2、INHA、INHBA、INHBB、INHBC、INHBE、KITLG、MANF、MDK、MIA、NGF、NOV、NRG1、NRG2、NRG3、NRG4、NRTN、NTF3、NTF4、OGN、PDGFA、PDGFB、PDGFC、PDGFD、PGF、PROK1、PSPN、PTN、SDF1、SDF2、SFRP1、SFRP2、SFRP3、SFRP4、SFRP5、TDGF1、TFF1、TGFA、TGFB1、TGFB2、TGFB3、THBS4、TIMP1、VEGFA、VEGFB、VEGFC、VEGFD、およびWISP3からなる群から選択される、請求項29に記載のmRNA。
【請求項31】
タンパク質が、IGF1である、請求項26または27に記載のmRNA。
【請求項32】
脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドが、配列番号31で示されるアミノ酸配列を含む、請求項26から31のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項33】
タンパク質をコードする核酸配列、および前記タンパク質にとって異種の脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列が、作動可能に連結されている、請求項26から32のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項34】
5’から3’に以下の順番で、
i)脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチド;
ii)必要に応じて、タンパク質のプロドメイン;および
iii)成熟タンパク質
をコードする核酸配列を含み、
脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列、必要に応じた
タンパク質のプロドメインをコードする核酸配列、および成熟タンパク質をコードする核酸配列は、作動可能に連結されている、請求項26から33のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項35】
IGF1のプロペプチドをコードする核酸配列、成熟IGF1をコードする核酸配列、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み、IGF1のEペプチドをコードする核酸配列を含まない、請求項26から34のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項36】
脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドが、タンパク質の天然シグナルペプチドを置き換えている、請求項26から35のいずれか一項に記載のmRNA。
【請求項37】
タンパク質および前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクターであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、前記タンパク質は、オキシドレダクターゼではない、転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクター。
【請求項38】
タンパク質および前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含む転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクターであって、前記タンパク質にとって異種のシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドであり、前記タンパク質は、カルボキシペプチダーゼ;サイトカイン;細胞外のリガンドおよび輸送体;細胞外マトリックスタンパク質;グルコシダーゼ;グリコシルトランスフェラーゼ;増殖因子;増殖因子結合タンパク質;ヘパリン結合タンパク質;ホルモン;ヒドロラーゼ;免疫グロブリン(immunoglobin);イソメラーゼ;キナーゼ;リアーゼ;金属酵素阻害剤;メタロプロテアーゼ;乳タンパク質;神経刺激性タンパク質;プロテアーゼ;プロテアーゼ阻害剤;タンパク質ホスファターゼ;エステラーゼ;トランスフェラーゼ;および血管作動性タンパク質からなる群から選択される、転写単位、発現ベクターまたは遺伝子治療用ベクター。
【請求項39】
請求項26から36のいずれか一項に記載のmRNAおよび/または請求項37もしくは38に記載の転写単位、発現ベクターもしくは遺伝子治療用ベクターを含む治療用組成物。
【請求項40】
請求項26から36のいずれか一項に記載のmRNA、または請求項37もしくは38に記載の転写単位、発現ベクターもしくは遺伝子治療用ベクター、および/または請求項39に記載の治療用組成物、ならびに使用説明書、必要に応じてベクターマップ、必要に応じて宿主細胞、必要に応じて宿主細胞の培養のための培地、および/または必要に応じてトランスフェクトされた宿主細胞を選択および培養するための選択培地を含むキット。
【請求項41】
医薬として使用するための、請求項1から21のいずれか一項に記載のmRNA、請求項22または23に記載の転写単位、発現ベクターもしくは遺伝子治療用ベクター、請求項24に記載の治療用組成物、または請求項25に記載のキット。
【請求項42】
骨格筋損傷を処置するための方法での使用のための、請求項1から21のいずれか一項に記載のmRNA。
【外国語明細書】