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  • 特開-衣類乾燥機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015669
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 37/42 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
D06F37/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117895
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】川村 祥彰
(72)【発明者】
【氏名】吉村 公博
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 徹
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA24
3B165AB24
3B165AB30
3B165AB34
3B165AE01
3B165AE02
3B165AE07
3B165BA08
3B165BA82
3B165CA01
3B165CA02
3B165CA03
3B165CA04
3B165CA06
3B165CA11
3B165CB31
3B165EW01
3B165EW02
3B165EW05
(57)【要約】
【課題】衣類の照明装置への接触や引っ掛かりを小として衣類や照明装置の損傷を抑制することができる衣類乾燥機を提供する。
【解決手段】本体ケース2の前面壁23に設けられた開閉ドア24と、本体ケースの内部に回転自在に設けられて回転軸線が前後方向に延びる姿勢とされ、前端が開放されて内部に衣類を収容する回転ドラム3と、回転ドラム3の内部を照明する照明装置5とを備える。本体ケース2の前面壁23は、外側に露出する外面パネル25と、回転ドラム3側に設けられた内面パネル26とを備え、内面パネル26は、照明装置5を、照明装置5の光源50が回転ドラム3の内部を臨む姿勢で取り付け収容するために、回転ドラム3から離間する方向に凹入形成された照明装置取付凹部27を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、前記本体ケースの前面壁に設けられた開閉ドアと、前記本体ケースの内部に回転自在に設けられて回転軸線が前後方向に延びる姿勢とされ、前端が開放されて内部に衣類を収容する回転ドラムと、前記回転ドラムの内部を照明する照明装置とを備える衣類乾燥機において、
前記本体ケースの前面壁は、外側に露出する外面パネルと、前記回転ドラム側に設けられた内面パネルとを備え、
前記内面パネルは、前記照明装置を、該照明装置の光源が前記回転ドラムの内部を臨む姿勢で取り付け収容するために、前記回転ドラムから離間する方向に凹入形成された照明装置取付凹部を備えることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項2】
請求項1記載の衣類乾燥機において、
前記回転ドラムは、衣類を攪拌するリフタが内周面に突設され、
前記照明装置取付凹部は、前記リフタが前記照明装置に対峙したとき、前記照明装置からの光によって形成される前記リフタの影が、前記回転ドラム内部の下半部を除く位置に形成されるように、前記照明装置を取り付け保持することを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項3】
請求項1記載の衣類乾燥機において、
前記回転ドラムは、衣類を攪拌するリフタが内周面に突設され、
前記リフタは、前記照明装置に対峙したときに前記照明装置に対して所定寸法の間隙を形成する位置に設けられていることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項記載の衣類乾燥機において、
前記本体ケースの前記内面パネルは、前記回転ドラムの内部を介して温風を流通させる温風通過口を備え、
前記照明装置取付凹部は、前記開閉ドアの上方側に配置され、前記温風通過口は、前記開閉ドアの下方側に配置されていることを特徴とする衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類を乾燥する衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類を収容する回転ドラムを備え、回転ドラムの内部を照明する照明装置を備えるドラム式洗濯乾燥機が知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
この種の回転ドラムは、開放された前端が横向きとなる姿勢(前面が斜め上方を向く姿勢)で本体ケースに収容されている。洗濯や乾燥を行う衣類は回転ドラムの開放された前端から回転ドラムの内部へ投入される。本体ケースの前面壁には、回転ドラムの開放された前面を塞ぐための透明の開閉扉が設けられている。
【0004】
照明装置は、回転ドラムの前端が対向する本体ケースの内側に設けられている。照明装置は、回転ドラムの内部を臨み、回転ドラムの下半部の内部を照明することにより、回転ドラムの内部確認が容易となる。
【0005】
また、回転ドラムの内部の乾燥(衣類の乾燥運転等)を行う際には、回転ドラムの内部に熱風が送り込まれる。このとき、熱風が直接当たらない位置に照明装置を設けることによって照明装置の劣化が抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-197963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、乾燥運転等に伴って回転ドラムが回転すると、回転ドラムの内部に収容された衣類も回転する。回転ドラムと共に回転する衣類は、回転ドラムの内周壁だけでなく、回転ドラムの前端を閉塞する開閉扉やその周囲の本体ケース内面に接触する。
【0008】
回転ドラムの内部で回転する衣類は、水分を含んだ状態では比較的重量があり、このような衣類が照明装置に接触すると、衣類の接触時の衝撃で照明装置が損傷するおそれがある。また、乾燥が進んだ衣類であっても、照明装置に接触することによって、衣類が照明装置に引っ掛かり、衣類が傷むおそれもある。
【0009】
上記の点に鑑み、本発明は、衣類の照明装置への接触や引っ掛かりを小として衣類や照明装置の損傷を抑制することができる衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、第1の発明は、本体ケースと、前記本体ケースの前面壁に設けられた開閉ドアと、前記本体ケースの内部に回転自在に設けられて回転軸線が前後方向に延びる姿勢とされ、前端が開放されて内部に衣類を収容する回転ドラムと、前記回転ドラムの内部を照明する照明装置とを備える衣類乾燥機において、前記本体ケースの前面壁は、外側に露出する外面パネルと、前記回転ドラム側に設けられた内面パネルとを備え、前記内面パネルは、前記照明装置を、該照明装置の光源が前記回転ドラムの内部を臨む姿勢で取り付け収容するために、前記回転ドラムから離間する方向に凹入形成された照明装置取付凹部を備えることを特徴とする。なお、本発明における衣類乾燥機は、衣類(タオル、毛布、シーツ等も含む)の乾燥のみを行うものだけでなく、洗濯乾燥機のように衣類の洗濯機能を有する乾燥機も含むものとする。
【0011】
上記の構成により、照明装置が照明装置取付凹部に収納された状態で取り付けられているので、照明装置による回転ドラム内の視認性を確保しながら、回転ドラムと共に回転する衣類が照明装置に衝突することや引っ掛かることが少なくなり、照明装置や衣類の損傷を抑制することができる。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記回転ドラムは、衣類を攪拌するリフタが内周面に突設され、前記照明装置取付凹部は、前記リフタが前記照明装置に対峙したとき、前記照明装置からの光によって形成される前記リフタの影が、前記回転ドラム内部の下半部を除く位置に形成されるように、前記照明装置を取り付け保持することを特徴とする。
【0013】
上記の構成によれば、回転ドラム内を照明装置で照明したとき、回転ドラム内の下半部にリフタの影による暗がりができてしまうことが防止できる。これにより、回転ドラム内の視認性を一層向上させることができる。
【0014】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、前記回転ドラムは、衣類を攪拌するリフタが内周面に突設され、前記リフタは、前記照明装置に対峙したときに前記照明装置に対して所定寸法の間隙を形成する位置に設けられていることを特徴とする。
【0015】
上記の構成により、回転ドラムと共に回転する衣類がリフタと照明装置との間を円滑に通過し、照明装置への衣類の接触が抑制されるので、照明装置や衣類の損傷を一層抑制することができる。
【0016】
第4の発明は、上記第1~第3の何れかの発明において、前記本体ケースの前記内面パネルは、前記回転ドラムの内部を介して温風を流通させる温風通過口を備え、前記照明装置取付凹部は、前記開閉ドアの上方側に配置され、前記温風通過口は、前記開閉ドアの下方側に配置されていることを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、照明装置から離間した位置を温風が通過するので、温風の照明装置への接触を小とし、熱を受けることによる照明装置の劣化や変形等を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態の衣類乾燥機の概略構成を示す説明的断面図。
図2】要部を拡大して示す説明的断面図。
図3】照明装置及び照明装置取付凹部の説明的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の衣類乾燥機1は、図1に示すように、本体ケース2と、回転ドラム3とを備えている。
【0020】
本体ケース2は、胴部20と、底部21と、天面部22とからなる箱形状であり、胴部20の前面壁23に開閉ドア24を備えている。本体ケース2の前面壁23は、外側に露出する外面パネル25と、回転ドラム側に設けられた内面パネル26とを備えている。
【0021】
回転ドラム3は、円筒状に形成されており、本体ケース2の内部に回転自在に収容されている。回転ドラム3は、図示しない駆動装置(モータ)により回転駆動される。駆動装置は、本体ケース2と回転ドラム3との間の下部角部に収容されている。
【0022】
回転ドラム3の回転軸30は、前後方向に延びる姿勢に設けられている。回転ドラム3は、本体ケース2の開閉ドア24を開くことにより前端が開放される。衣類(タオル、毛布、シーツ等も含む)は、開放された回転ドラム3の前端から回転ドラム3の内部へ投入される。
【0023】
回転ドラム3の前端は、本体ケース2の開閉ドア24と、開閉ドア24周辺の内面パネル26に対向する。回転ドラム3の背面側には温風入口41が形成されており、本体ケース2の内面パネル26の下方部分(開閉ドア24の下方側に位置する内面パネル26の一部)には温風出口42が形成されている。温風出口42は、本発明における温風通過口に相当する。
【0024】
温風入口41は、回転ドラム3に温風を供給する温風供給路43が連通している。温風供給路43の上流には、本体ケース2の外部から取り入れた空気を加熱して、乾燥空気である温風を生成する図示しない加熱装置が接続されている。加熱装置は、本体ケース2と回転ドラム3との間の上部角部に収容されている。加熱装置としてガスバーナが採用されるが、電気ヒータを採用してもよい。
【0025】
温風出口42には、フィルタ44が設けられている。フィルタ44は、乾燥中に衣類から発生する繊維屑等を捕捉する。温風出口42は、本体ケース2と回転ドラム3との間に形成される間隙内に設けられた排湿路45に連通する。排湿路45の下流端は、本体ケース2の天面部22に形成されたダクト接続口46となっている。ダクト接続口46には、図示しない排気ダクトが接続される。
【0026】
回転ドラム3の背面側に位置する排湿路45内には、ファン47が設けられている。ファン47は、図示しない駆動装置により回転駆動される。ファン47の駆動装置は、回転ドラム3を回転させる駆動装置と兼用されている。
【0027】
ファン47は、その回転により、排気ダクトに向かう気流を発生させる。これにより、温風入口41から回転ドラム3の内部を経て温風出口42へ至る温風の流れが強制的に形成される。
【0028】
回転ドラム3の内周面には、第1リフタ31と第2リフタ32とが設けられている。第1リフタ31と第2リフタ32とは、回転中心に向かって突出しており、回転ドラム3の回転に伴って衣類を攪拌するために設けられている。第1リフタ31は、回転ドラム3の前後方向の中心よりも前方側に設けられ、第2リフタ32は回転ドラム3の前後方向の中心よりも後方側に設けられている。
【0029】
また、衣類乾燥機1は、図1に示すように、回転ドラム3の内部を照明するためのライト5を備えている。ライト5を備えることにより、回転ドラム3の内部の目視による確認が容易に行える。
【0030】
ライト5は、本体ケース2の内面パネル26に設けられたライト取付凹部27に取り付けられている。ライト取付凹部27は、図2に示すように、回転ドラム3から離れる方向に凹入されており、取り付けられたライト5が、ライト取付凹部27の内部から回転ドラム3の方向へ突出しないように収容される。ライト5は、本発明における照明装置に相当し、ライト取付凹部27は、本発明における照明装置取付凹部に相当する。
【0031】
これにより、乾燥中に回転している回転ドラム3の内部の衣類が、ライト5に接触し難くなり、衣類とライト5との接触によるライト5の損傷や衣類の傷み(破れ、ほつれ、擦り切れ等)を抑制することができる。
【0032】
ライト5は、図3に示すように、光源となるLED素子50と、透明カバー51と、台座部52とで構成されている。LED素子50は台座部52に固定され、図示しないコントローラに電気的に接続される。透明カバー51は、LED素子50を覆って保護する。
【0033】
また、ライト取付凹部27は、奥側面がライト5の取付面28とされており、取付面28にライト5を取り付けることにより、ライト5の透明カバー51の外面がライト取付凹部27から突出しないようになっている。
【0034】
台座部52は、LED素子50を、斜め下方を向くような傾斜姿勢になるように保持する。これにより、ライト5は、図1に示すように、少なくとも回転ドラム3の内部の下半部(図中一点鎖線で示す中心線xの側面視下方側)を照明する。
【0035】
更に、図1に示すよう、ライト取付凹部27は、開閉ドア24の上方の内面パネル26に形成されていることにより、開閉ドア24の下方に位置する温風出口42から、比較的遠い位置に離れている。これによれば、温風によるライト5の加熱を小とすることができ、乾燥時の熱によるライト5の劣化や変形等を抑制してライト5の寿命を長期化することができる。
【0036】
また、回転ドラム3が回転を停止したとき、回転ドラム3の前方側に設けられている第1リフタ31が、ライト5の正面に対峙することがある(図1参照)。このとき、第1リフタ31の影が回転ドラム3の内部の下半部に生じないように、ライト5のLED素子50の傾斜姿勢が設定されている。これによれば、回転ドラム3内部の照明時に第1リフタ31の影による視認性の低下を抑えることができる。
【0037】
更に、図2に示すように、回転ドラム3の第1リフタ31は、回転ドラム3の前端側に位置する部分に切り欠き部33が形成されており、切り欠き部33によって、ライト5との間に所定寸法(例えば、衣類が円滑に通過できる大きさ)の間隙aが形成されている。
【0038】
これにより、回転ドラム3内部の照明時に第1リフタ31の影が、確実に回転ドラム3の内部の上半部に形成されて少なくとも下半部が照明され、照明時の視認性が向上する。しかも、ライト5と第1リフタ31の切り欠き部33により、ライト5と第1リフタ31との間を衣類が通過し易くなるので、衣類のライト5への接触を一層確実に抑制することができる。
【0039】
なお、本実施形態において照明装置として採用したライト5は、LED素子50を光源とするが、本発明はこれに限らず、他の光源(例えばクリプトン球等)による照明装置であっても好適に採用することができる。
【0040】
また、本実施形態の衣類乾燥機1は、専ら衣類を乾燥させるものであるが、本発明の衣類乾燥機1は、洗濯乾燥機のように乾燥機能を有する洗濯機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…衣類乾燥機、2…本体ケース、3…回転ドラム、5…ライト(照明装置)、23…前面壁、24…開閉ドア、25…外面パネル、26…内面パネル、27…ライト取付凹部(照明装置取付凹部)、31…第1リフタ(リフタ)、42…温風出口(温風通過口)、50…LED素子(光源)。
図1
図2
図3