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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001567
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】熱交換器の誤組防止構造
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20231227BHJP
   F28F 3/02 20060101ALI20231227BHJP
   B23P 15/26 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
F28F3/08 301A
F28F3/02 A
B23P15/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100301
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(72)【発明者】
【氏名】松坂 周平
(57)【要約】
【課題】 側壁に回転対称性がある皿状のカッププレートの積層型の熱交換器の誤組防止構造を提供する。
【解決手段】 第1カッププレート1、第1フィン3、第2カッププレート2、第2フィン4の順に積層された第1部品群5aを備えたコア5を有し、各カッププレート1、2の側壁1d、2dが互いに重なる熱交換器において、第1カッププレート1に第1突起1aと第2突起1bを形成し、第2カッププレート2に第3突起2aと第4突起2bを形成する。第1フィン3に第1回避孔31aと第3回避孔32aを形成し、第2フィン4に第2回避孔41bと第4回避孔42bを形成する。そして、所定のカッププレートの種類の組み合わせと向きにおいて、積層方向から見て、4つの突起のすべてが互いに重ならない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面(1c、2c)とその外周に側壁(1d、2d)を有するカップ状の第1カッププレート(1)および第2カッププレート(2)と、
第1カッププレート(1)のカップ内に配置される第1フィン(3)と、第2カッププレート(2)のカップ内に配置される第2フィン(4)と、
第1カッププレート(1)、第1フィン(3)、第2カッププレート(2)、第2フィン(4)の順に積層された第1部品群(5a)を備えたコア(5)を有し、
第1カッププレート(1)のカップ内に、第1流体(6)が流通する第1流路(7)が形成され、第2カッププレート(2)のカップ内に、第2流体(8)が流通する第2流路(9)が形成され、
第1カッププレート(1)には、第1流体(6)を第1流路(7)内に導入、第1流路(7)内から導出する一対の第1連通孔(10)と、第2流体(8)を第2カッププレート(2)へ通過させる少なくとも一対の第1接続孔(11)と、が形成され、
第2カッププレート(2)には、第2流体(8)を第2流路(9)内に導入、第2流路(9)内から導出する一対の第2連通孔(12)と、第1流体(6)を第1カッププレート(1)へ通過させる少なくとも一対の第2接続孔(13)と、が形成され、
前記部品群における第1カッププレート(1)の第1連通孔(10)と、第2カッププレート(2)の第2接続孔(13)とが積層方向に接続され、
前記部品群における第1カッププレート(1)の第1接続孔(11)と、第2カッププレート(2)の第2連通孔(12)とが積層方向に接続され、
各カッププレート(1、2)の側壁(1d、2d)が互いに重なる熱交換器において、
各カッププレート(1、2)の側壁(1d、2d)の形状は回転対称性を持ち、
前記一対の第1連通孔(10)および前記一対の第1接続孔(11)と、前記一対の第2連通孔(12)および前記一対の第2接続孔(13)とは、各カッププレート(1、2)のうち、一方のカッププレートを平面(1c、2c)の中心で直交する中心軸の回りに所定の角度移動したときに、積層方向からみて互いに重なり、
第1カッププレート(1)には、第1流路(7)側に突出する第1突起(1a)と、前記第1流路(7)側とは反対側に突出する第2突起(1b)とを有し、
第2カッププレート(2)には、第1流路(7)側に突出する第3突起(2a)と、第2流路(9)側に突出する第4突起(2b)とを有し、
第1フィン(3)には、第1カッププレート(1)の第1突起(1a)と整合する位置に、第1突起(1a)を避ける第1回避孔(31a)を有するとともに、第2カッププレート(2)の第3突起(2a)と整合する位置に、第3突起(2a)を避ける第3回避孔(32a)を有し、
第2フィン(4)には、第2回避孔(41b)を有するとともに、第2カッププレート(2)の第4突起(2b)と整合する位置に、第4突起(2b)を避ける第4回避孔(42b)を有する誤組防止構造であって、
前記第1部品群(5a)に対し、カッププレートを平面(1c、2c)の中心で直交する中心軸の回りに前記所定の角度回転させた第1部品群(5a)と同じ構成の第2部品群(5b)を、前記積層方向から重ねた場合に、前記積層方向から見て、
第1部品群(5a)の第1突起(1a)、第2突起(1b)、第3突起(2a)、第4突起(2b)の4つの突起のすべてが互いに重ならず、且つ
第1部品群(5a)の第1、2突起(1a、1b)、第2部品群(5b)の第3、4突起(2a´、2b´)の4つの突起のすべてが互いに重ならず、且つ
第1部品群(5a)の第3、4突起(2a、2b)、第2部品群(5b)の第1、2突起(1a´、1b´)の4つの突起のすべてが互いに重ならず、且つ
第1部品群(5a)の第1、2突起(1a、1b)、第2部品群(5b)の第1、2突起(1a´、1b´)の4つの突起のすべてが互いに重ならず、且つ
第1部品群(5a)の第3、4突起(2a、2b)、第2部品群(5b)の第3、4突起(2a´、2b´)の4つの突起のすべてが互いに重ならないことを特徴とする熱交換器の誤組防止構造。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器の誤組防止構造において、
第1カッププレート(1)の一対の第1連通孔(10)及び一対の第1接続孔(11)の各孔(10、11)の中心を結ぶ四角形において、一方の対角の位置に一対の第1連通孔(10)が形成されるとともに、他方の対角の位置に一対の第1接続孔(11)が形成され、
第2カッププレート(2)の一対の第2連通孔(12)が前記第1接続孔(11)に整合する位置に形成されるとともに、一対の第2接続孔(13)が前記第1連通孔(10)に整合する位置に形成され、
前記所定の角度が90度または270度である熱交換器の誤組防止構造。
【請求項3】
請求項2に記載の熱交換器の誤組防止構造おいて、
第1カッププレート(1)および第2カッププレート(2)の側壁の周縁が、積層方向から見て、円または正方形である熱交換器の誤組防止構造。
【請求項4】
請求項1に記載の熱交換器の誤組防止構造において、
第1カッププレート(1)の一対の第1連通孔(10)及び一対の第1接続孔(11)の各孔の中心を結ぶ四角形において、対向する一対の辺のうち、一方の辺の端に一対の第1連通孔(10)が形成されるとともに、他方の辺の端に一対の第1接続孔(11)が形成され、
第2カッププレート(2)の一対の第2連通孔(12)が前記第1接続孔(11)に整合する位置に形成されるとともに、一対の第2接続孔(13)が前記第1連通孔(10)に整合する位置に形成され、
前記所定の角度が180度である熱交換器の誤組防止構造。
【請求項5】
請求項4に記載の熱交換器の誤組防止構造において、
第1カッププレート(1)および第2カッププレート(2)の側壁の周縁が、積層方向から見て、正方形または長方形である熱交換器の誤組防止構造。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれかに記載の熱交換器の誤組防止構造において、
前記積層方向で、第1フィン(3)の高さ(h1)と第2フィン(4)の高さ(h2)が同一であることを特徴とする熱交換器の誤組防止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皿状に形成された複数のカッププレートを積層した熱交換器の誤組防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
オイルクーラ等に用いられる従来型のカッププレートの積層型熱交換器の一例として、1種類のカッププレートを一枚置きに、カッププレートの中心の回りに90度または180度回転移動させて、積層し、カッププレートの一枚置きに、第1流体が流通する第1流路と、第2流体が流通する第2流路が交互に形成された構造のものがある。
各カッププレートのカップ内に、第1フィンと、第2フィンが配置される。第2フィンは第1フィンと類似形状、同一形状の場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなカッププレート積層型熱交換器の場合、誤って、隣接するカッププレートを90度または180度回転移動させずに、積み上げる誤組が起こるおそれがある。
また、第1フィンと第2フィンが同一でなく、フィンの種類が複数の場合、種類を間違えて積み上げる誤組が起こるおそれがある。積み上げた後、カップ内に配置されたフィンは外側から目視できないため、第1フィンと第2フィンの入れ間違いがあっても、外観での判別が難しい。特に、第1フィンの高さと第2フィンの高さが同じ場合においては、第1流路と第2流路の流路高さの寸法が同じとなり、外観での判別がさらに難しくなる。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するため、回転対称性があるカップ状のカッププレートの積層型の熱交換器の誤組防止構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明(第1の発明)は、平面1c、2cとその外周に側壁1d、2dを有するカップ状の第1カッププレート1および第2カッププレート2と、
第1カッププレート1のカップ内に配置される第1フィン3と、第2カッププレート2のカップ内に配置される第2フィン4と、
第1カッププレート1、第1フィン3、第2カッププレート2、第2フィン4の順に積層された第1部品群5aを備えたコア5を有し、
第1カッププレート1のカップ内に、第1流体6が流通する第1流路7が形成され、第2カッププレート2のカップ内に、第2流体8が流通する第2流路9が形成され、
第1カッププレート1には、第1流体6を第1流路7内に導入、第1流路7内から導出する一対の第1連通孔10と、第2流体8を第2カッププレート2へ通過させる少なくとも一対の第1接続孔11と、が形成され、
第2カッププレート2には、第2流体8を第2流路9内に導入、第2流路9内から導出する一対の第2連通孔12と、第1流体6を第1カッププレート1へ通過させる少なくとも一対の第2接続孔13と、が形成され、
前記部品群における第1カッププレート1の第1連通孔10と、第2カッププレート2の第2接続孔13とが積層方向に接続され、
前記部品群における第1カッププレート1の第1接続孔11と、第2カッププレート2の第2連通孔12とが積層方向に接続され、
各カッププレート1、2の側壁1d、2dが互いに重なる熱交換器において、
各カッププレート1、2の側壁1d、2dの形状は回転対称性を持ち、
前記一対の第1連通孔10および前記一対の第1接続孔11と、前記一対の第2連通孔12および前記一対の第2接続孔13とは、各カッププレート1、2のうち、一方のカッププレートを平面1c、2cの中心で直交する中心軸の回りに所定の角度移動したときに、積層方向からみて互いに重なり、
第1カッププレート1には、第1流路7側に突出する第1突起1aと、前記第1流路7側とは反対側に突出する第2突起1bとを有し、
第2カッププレート2には、第1流路7側に突出する第3突起2aと、第2流路9側に突出する第4突起2bとを有し、
第1フィン3には、第1カッププレート1の第1突起1aと整合する位置に、第1突起1aを避ける第1回避孔31aを有するとともに、第2カッププレート2の第3突起2aと整合する位置に、第3突起2aを避ける第3回避孔32aを有し、
第2フィン4には、第2回避孔41bを有するとともに、第2カッププレート2の第4突起2bと整合する位置に、第4突起2bを避ける第4回避孔42bを有する誤組防止構造であって、
前記第1部品群5aに対し、カッププレートを平面1c、2cの中心で直交する中心軸の回りに前記所定の角度回転させた第1部品群5aと同じ構成の第2部品群5bを、前記積層方向から重ねた場合に、前記積層方向から見て、
第1部品群5aの第1突起1a、第2突起1b、第3突起2a、第4突起2bの4つの突起のすべてが互いに重ならず、且つ
第1部品群5aの第1、2突起1a、1b、第2部品群5bの第3、4突起2a´、2b´の4つの突起のすべてが互いに重ならず、且つ
第1部品群5aの第3、4突起2a、2b、第2部品群5bの第1、2突起1a´、1b´の4つの突起のすべてが互いに重ならず、且つ
第1部品群5aの第1、2突起1a、1b、第2部品群5bの第1、2突起1a´、1b´の4つの突起のすべてが互いに重ならず、且つ
第1部品群5aの第3、4突起2a、2b、第2部品群5bの第3、4突起2a´、2b´の4つの突起のすべてが互いに重ならないことを特徴とする熱交換器の誤組防止構造である。
【0006】
本発明(第1の発明)の追加構成として、
第1カッププレート1の一対の第1連通孔10及び一対の第1接続孔11の各孔10、11の中心を結ぶ四角形において、一方の対角の位置に一対の第1連通孔10が形成されるとともに、他方の対角の位置に一対の第1接続孔11が形成され、
第2カッププレート2の一対の第2連通孔12が前記第1接続孔11に整合する位置に形成されるとともに、一対の第2接続孔13が前記第1連通孔10に整合する位置に形成され、前記所定の角度を90度または270度に設定することができる。(請求項2)
【0007】
本発明は、さらに、第1カッププレート1および第2カッププレート2の側壁の周縁が、積層方向から見て、円または正方形に形成することができる。(請求項3)
【0008】
本発明(第1の発明)の追加構成として、
第1カッププレート1の一対の第1連通孔10及び一対の第1接続孔11の各孔の中心を結ぶ四角形において、対向する一対の辺のうち、一方の辺の端に一対の第1連通孔10が形成されるとともに、他方の辺の端に一対の第1接続孔11が形成され、
第2カッププレート2の一対の第2連通孔12が前記第1接続孔11に整合する位置に形成されるとともに、一対の第2接続孔13が前記第1連通孔10に整合する位置に形成され、前記所定の角度を180度に設定することができる。(請求項4)
【0009】
本発明は、さらに、第1カッププレート1および第2カッププレート2の側壁の周縁が、積層方向から見て、正方形または長方形に形成することができる。(請求項5)
【0010】
上記各発明の構成は、さらに、前記積層方向で、第1フィン3の高さh1と第2フィン4の高さh2を同一に設定することができる。(請求項6)
【発明の効果】
【0011】
本発明は、課題を解決するための手段の第1の発明に記載された構成を有する。
【0012】
その構成により、第1フィン3を、第2カッププレート2のカップ内に配置したとき、または、第2フィン4を、第1カッププレート1のカップ内に配置したとき、カッププレート1、2の第1突起、第3突起が、フィン3、4の各回避孔31a、32a、42b以外の部分である干渉部14に干渉して、熱交換器を組み上げることができない。
また、各カッププレート1、2のうち、一方のカッププレート1、2を平面1c、2cの中心で且つ、その平面1c、2cに直交する中心軸の回りに所定の角度移動した状態(熱交換器の部品の誤組が生じている状態)で重ねると、各カッププレート1、2の各突起1a、2a、2bと各フィン3、4の各回避孔31a、32a、42b以外の部分である干渉部14とが積層方向に互いに干渉して、熱交換器を組み上げることができない。
本発明の構成をとることにより、カッププレート及びフィンの種類を間違えることはなく、確実に誤組が防止される。
【0013】
例えば、2流体で熱交換を行い、第1部品群5aを複数持ち、前記部品群が隣り合う熱交換器(この場合、突起1bが回避孔41bに整合する)において、第1カッププレート1と第2カッププレート2とを取り違えて積層した場合、各突起1a、1b、2a、2bが各フィン3、4の各回避孔31a、32a、41b、42b以外の部分である干渉部14と干渉し、組み上げることができない。
また、第1フィン3と第2フィン4とを取り違えて積層すると、各回避孔31a、32a、41b、42bが各カッププレート1,2の各突起1a、1b、2a、2b以外の部分である干渉部14と干渉して、組み上げることができない。
【0014】
本発明(第1の発明)の追加構成として、第1カッププレート1の一対の第1連通孔10及び一対の第1接続孔11の各孔10、11の中心を結ぶ四角形において、一方の対角の位置に一対の第1連通孔10が形成されるとともに、他方の対角の位置に一対の第1接続孔11が形成され、
第2カッププレート2の一対の第2連通孔12が前記第1接続孔11に整合する位置に形成されるとともに、一対の第2接続孔13が前記第1連通孔10に整合する位置に形成され、前記所定の角度を90度または270度に設定することができる。(請求項2)
そのため、誤って、各カッププレート1、2のうち、一方のカッププレートを平面の中心で直交する中心軸の回りに90度または270度に移動して積み重ねた場合にも、各突起1a、2a、2bが各フィン3、4の各回避孔31a、32a、42b以外の部分である干渉部14と干渉し、組み上げることができない。そのため、誤組を確実に防止できる。
この追加構成は、各カッププレートの側壁1d、2dの周縁の形状が八角形等の偶数の辺を有する多角形の場合も含む(各カッププレート1、2の側壁1d、2dの周縁の形状は、その角部が丸みを帯びている形状、面取りしている形状を含む)。
【0015】
本発明は、さらに、第1カッププレート1および第2カッププレート2の側壁1d、2dの周縁を、積層方向から見て、正方形または円形に形成することができる。(請求項3)
この構造においても、誤組を確実に防止できる。
各カッププレート1、2の側壁1d、2dの周縁の形状は、その角部が丸みを帯びている形状、面取りしている形状を含む。
【0016】
本発明(第1の発明)の追加構成として、第1カッププレート1の一対の第1連通孔10及び一対の第1接続孔11の各孔の中心を結ぶ四角形において、対向する一対の辺のうち、一方の辺の端に一対の第1連通孔10が形成されるとともに、他方の辺の端に一対の第1接続孔11が形成され、
第2カッププレート2の一対の第2連通孔12が前記第1接続孔11に整合する位置に形成されるとともに、一対の第2接続孔13が前記第1連通孔10に整合する位置に形成され、前記所定の角度を180度に設定することができる。(請求項4)
この構成においても、誤って、各カッププレート1、2のうち、一方のカッププレートを平面の中心で直交する中心軸の回りに180度に移動して積み重ねた場合にも、各突起1a、2a、2bが各フィン3、4の各回避孔31a、32a、42b以外の部分である干渉部14と干渉し、組み上げることができない。そのため、誤組を確実に防止できる。
【0017】
本発明は、さらに、第1カッププレート1および第2カッププレート2の側壁1d、2dの周縁を、積層方向から見て、正方形、長方形に形成することができる。(請求項5)
この構造においても、誤組を確実に防止できる。
各カッププレート1、2の側壁1d、2dの周縁の形状は、その角部が丸みを帯びている形状、面取りしている形状を含む。
【0018】
上記各発明の構成は、さらに、各部品の積層方向で、第1フィン3の高さh1と第2フィン4の高さh2を同一に設定することができる。(請求項6)
この場合、第1フィン3、第2フィン4を間違えて積層した場合、各カッププレート1,2の突起1a、2a、2bがフィン3、4の回避孔31a、32a、42b以外の部分と干渉して、組み上げることができなくなるため、外側から、目視できない内装されたフィンの誤組を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の誤組防止構造を有する熱交換器の一例を示す分解斜視図。
図2】同熱交換器の説明図であって、図1のII-II矢視図。
図3】本発明の第1の実施例の誤組防止構造を有する熱交換器を示す説明図であって、各フィン高さが異なる場合における正常に組み付けられた状態を示す断面図。
図4】本発明の第2の実施例の誤組防止構造を有する熱交換器を示す説明図であって、各フィン高さが同一となる場合における正常に組み付けられた状態を示す断面図。
図5】第1フィン3と第2フィン4が誤組された状態を説明する分解斜視図。
図6】同誤組された状態の説明図であって、図5のVI-VI矢視図。
図7】同誤組された状態を示す部分断面図。
図8】本発明の第3の実施例の誤組防止構造を有する熱交換器を示す分解斜視図。
図9】本発明の熱交換器を構成する第1部品群5aと第2部品群5bとの間で誤組が生じる様子を示す分解斜視図。
図10図9のX-X矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図面に基づいて本発明の各実施の形態につき説明する。
【実施例0021】
図1は本発明の誤組防止構造を有する熱交換器の一例を示す要部分解斜視図である。図2は同熱交換器の説明図であって、図1のII-II矢視図である。図3は本発明の第1の実施例の誤組防止構造を有する熱交換器を示す説明図であって、各フィン高さが異なる場合における正常に組み付けられた状態を示す断面図である。図4は、本発明の第2の実施例の誤組防止構造を有する熱交換器を示す説明図であって、各フィン高さが同一となる場合における正常に組み付けられた状態を示す断面図である。
本発明の熱交換器は、そのコア5が、第1カッププレート1、第1フィン3、第2カッププレート2、第2フィン4の順に積層された第1部品群5aを1単位とし、その部品群が複数含まれた構成となっている。
第1カッププレート1のカップ内には第1フィン3が配置され、第2カッププレート2のカップ内には第2フィン4が配置される。
第1カッププレート1のカップ内には第1流体6が流通する第1流路7が形成され、第2カッププレート2のカップ内には第2流体8が流通する第2流路9が形成されている。
【0022】
本実施例では、熱交換器のコア5は、第1カッププレート1の第1フィン3が配置された面の裏面側に第2フィン4が接している。同様に、第2カッププレート2の第2フィン4が配置された面の裏面側に第1フィン3が接している。
第1カッププレート1は、平面1cとその外周に側壁1dを有する皿状に形成されており、第2カッププレート2も、第1カッププレート1と同様に、平面2cとその外周に側壁2dを有するカップ状に形成されている。
本実施例では、第1カッププレート1の側壁1dの周縁、及び第2カッププレート2の側壁2dの周縁は、各部品の積層方向から見て長方形に形成されている。長方形の周縁は、長方形の角に丸みを帯びているもの、面取りしているものも含まれる。
【0023】
第1カッププレート1には、第1流体6を第1流路7内に導入、第1流路7内から導出する一対の第1連通孔10と、第2流体8を第2カッププレート2へ通過させる一対の第1接続孔11と、が形成されている。
第2カッププレート2には、第2流体8を第2流路9内に導入、第2流路9内から導出する一対の第2連通孔12と、第1流体6を第1カッププレート1へ通過させる一対の第2接続孔13と、が形成されている。
【0024】
本実施例では、第1カッププレート1の一対の第1連通孔10及び一対の第1接続孔11の各孔の中心を結ぶ四角形において、対向する一対の辺のうち、一方の辺の端に一対の第1連通孔10が形成されるとともに、他方の辺の端に一対の第1接続孔11が形成されている。
また、第2カッププレート2の一対の第2連通孔12が第1カッププレート1の第1接続孔11に整合する位置に形成されるとともに、一対の第2接続孔13が第1カッププレート1の第1連通孔10に整合する位置に形成されている。
【0025】
本実施例では、図1図2図3図4に示す通り、第1カッププレート1、第1フィン3、第2カッププレート2、第2フィン4に誤組が生じないようにするため、第1カッププレート1の平面1cに、第1流路7側に突出する第1突起1aと、第2流路9側に突出する第2突起1bとが形成されている。第2カッププレート2の平面2cに、第1流路7側に突出する第3突起2aと、第2流路9側に突出する第4突起2bとが形成されている。
また、第1フィン3には、第1カッププレート1の第1突起1aと整合する位置に、第1突起1aを避ける第1回避孔31aと、第2カッププレート2の第3突起2aと整合する位置に、第3突起2aを避ける第3回避孔32aが形成されている。第2フィン4には、第1カッププレート1の第2突起1bと整合する位置に、第2突起1bを避ける第2回避孔41bと、第2カッププレート2の第4突起2bと整合する位置に、第4突起2bを避ける第4回避孔42bが形成されている。
【0026】
コア5を構成する各部品が正常に組付けられた場合、図3図4に示す如く、各突起1a、1b、2a、2bは、各回避孔31a、32a、41b、42b内に収納された状態となる。各部品の積層方向から各突起1a、1b、2a、2bを投影すると、各第1突起1aの位置、各第2突起1bの位置、各第3突起2aの位置、各第4突起2bの位置が、重ならないように形成されている。
この場合、第1カッププレート1の第1連通孔10と、第2カッププレート2の第2接続孔13とは、それらの孔10、13の縁で積層方向に接続され、第1カッププレート1の第1接続孔11と、第2カッププレート2の第2連通孔12とは、それらの孔11、12の縁で積層方向に接続される。
また、各カッププレート1、2の側壁1d、2dが互いに重なる。
【0027】
第1の実施例では、図3に示す如く、第2フィン4の高さh2が第1フィン3の高さh1よりも高く形成されている。
各突起1a、1b、2a、2bは、各フィン3、4の各回避孔31a、32a、41b、42bに収納されていればよく、そのため、図3に示すように、第1カッププレート1の第2突起1bの頂部と、第2カッププレート2の第4突起2bの頂部は、それらの頂部が向かい合うプレートの平面から離間していてもよい。
この実施例のように、第1フィン3の高さh1と第2フィン4の高さh2が異なる時は、積層した後にフィンの取違いに気づけるかもしれないが、このように構成すると取違いを未然に防ぐことができる。
【実施例0028】
第2の実施例では、図4に示す如く、第1フィン3の高さh1と第2フィン4の高さh2が同一の高さとなっている。
正常に熱交換器のコア5を組んだ場合、各突起1a、1b、2a、2bは、各フィン3、4の各回避孔31a、32a、41b、42bに収納され、図4に示すように、各カッププレート1、2の各突起1a、1b、2a、2bの頂部は、それらの頂部が向かい合うプレートの平面に近接する。
第1フィン3の高さh1と第2フィン4の高さh2が異なる場合に対して、第2の実施例の場合、積層したあとで気づくのが難しいが、誤組が生じている場合、各部品の組み付けができないので、組付けの工程で、誤組に気づくことができる。
【0029】
本実施例に用いる各カッププレート1、2は、各突起1a、1b、2a、2bの位置を除き、回転対称性を有している。つまり、一対の第1連通孔10および一対の第1接続孔11と、一対の第2連通孔12および一対の第2接続孔13とが、各カッププレート1、2のうち、誤って、一方のカッププレートを平面の中心で直交する中心軸の回りに、この実施例では180度回転させたときに、積層方向からみて互いに重なる位置に形成され、さらに互いのプレートも回転対称性を有するため、誤組が生じやすい構造となっている。
この場合、誤って、各カッププレート1、2のうち、一方のカッププレートを平面の中心で直交する中心軸の回りに180度回転することにより、若しくは、各フィン3、4の取違により、コア5の構成部品を誤組する可能性がある。
図5図6図7は、誤組が生じる一例として、第1カッププレート1に収納すべき第1フィン3と、第2カッププレート2に収納すべき第2フィン4とを取り違えた場合を示している。
【0030】
図5に示す如く、誤って、第1カッププレート1のカップ内に第2フィン4を、第2カッププレート2のカップ内に第1フィン3を配置してしまった場合、第1カッププレート1の第1突起1aと第2カッププレート2の第3突起2aは、第2フィン4の各回避孔41b、42b以外の干渉部14(図5の×印参照)に接して、干渉する。
同様に、第1カッププレート1の第2突起1bと第2カッププレート2の第4突起2bは、第1フィン3の各回避孔31a、32a以外の干渉部14(図5の×印参照)に接し、干渉する。
各部品間で干渉する場合、図7に示す如く、各カッププレート1、2と各フィン3、4との間に隙間が生じ、コア5を組み上げることができない。そのため、容易に第1フィン3,第2フィン4の取り違えによる誤組を防止できる。
【0031】
本実施例では、各カッププレート1、2の各突起1a、1b、2a、2bが、各フィン3、4の各回避孔31a、32a、41b、42b内に収納された状態での各部品の積層方向から各突起1a、1b、2a、2bを投影した位置と、各カッププレート1、2のうち、一方のカッププレートを平面の中心で直交する中心軸の回りに所定の角度移動した状態での各突起1a、1b、2a、2bを投影した位置(図6参照)の、8つの位置が互いに重ならない位置に形成されている。
そのため、誤って、各カッププレート1、2のうち、一方のカッププレートを平面の中心で直交する中心軸の回りに180度、誤組が生じる方向に回転したとしても、コアを構成する各部品が干渉し、各部品を組み上げることができないので、容易に誤組を防止できる。
第1の実施例の各カッププレート1、2の側壁1d、2dの周縁は、長方形に形成されているが、それに替えて、正方形(正方形の角に丸みを帯びているものも含む)や円形とすることができる。
この例では、各カッププレート1,2の側壁1d、2dの周縁が、長方形に形成されているため、一方のカッププレートを平面の中心で直交する中心軸の回りに所定の角度移動する角度は180°になる。
しかしながら、この所定の角度の移動パターンは、各カッププレート1,2の側壁1d、2dの周縁の形状で、複数存在しうる。例えば、上述の正方形の場合は、90°、180°、270°の3パターンの所定の角度の移動がある。
【実施例0032】
次に、図8は本発明の第3の実施例を示す。
第1の実施例と異なり、第3の実施例では、第1カッププレート1の一対の第1連通孔10及び一対の第1接続孔11の各孔10、11の中心を結ぶ四角形において、一方の対角の位置に一対の第1連通孔10が形成されるとともに、他方の対角の位置に一対の第1接続孔11が形成されている。また、第2カッププレート2の一対の第2連通孔12が第1接続孔11に整合する位置に形成されるとともに、一対の第2接続孔13が第1連通孔10に整合する位置に形成されている。
また、この例の各カッププレート1、2の側壁1d、2dの周縁は、正方形(正方形の角に丸みを帯びている形状、面取りをされている形状も含む)に形成されている。
この場合、各カッププレート1、2のうち、一方のカッププレートを平面の中心で直交する中心軸の回りに90度または270度回転したときに、誤組が生じる。
この例の各カッププレート1、2の側壁1d、2dの周縁は正方形に形成されているが、それに替えて、側壁1d、2dの周縁を円形としてもよい。
【0033】
図9は、本発明の熱交換器を構成する第1部品群5aと第2部品群5bとの間で誤組が生じる様子を示す分解斜視図であり、図10図9のX-X矢視図である。
図9の第1部品群5aは、第1の実施例、又は第2の実施例の第1部品群5aと同一である。この例では、さらに第2部品群5bを積層している。
第2部品群5bは、第1カッププレート1、第1フィン3、第2カッププレート2、第2フィン4の全ての部品が、第1部品群5aの各プレート1、2の平面の中心で直交する中心軸の回りに180°回転している。
第2部品群5bの第1カッププレート1の第1突起1a´は第1フィン3の第1回避孔31a´内に入り、第2部品群5bの第2カッププレート2の第3突起2a´は第1フィン3の第3回避孔32a´内に入り、第2部品群5bの第2カッププレート2の第4突起2b´は第2フィン4の第4回避孔42b´内に入る。
図10のように、各突起は整合すべき回避孔とは他の回避孔に入ることはない。
よって、図9図10の例は、第2部品群5bの第1カッププレート1の第2突起1b´は第1部品群5aの第2フィン4の回避孔以外の部分である干渉部14(図9の×印参照)との間で、互いに干渉するため、熱交換器を組み上げることができない。
【0034】
図面に記載した各実施例は、各カッププレート1、2の側壁1d、2dの周縁が長方形又は正方形の例であるが、本発明はこれに限らず、その周縁が偶数の辺からなる多角形(一例として八角形)に形成されたものにも適用できる。
この場合、各カッププレート1、2のうち、一方のカッププレートを平面の中心で直交する中心軸の回りに、多角形の形状に合わせた所定の角度移動した状態で誤組が生じる。
第1部品群5aの外側に第3フィン、第3カッププレートを設け、第1、2フィン、第1、2プレートと同様に突起、回避孔を設け、第2突起1bが第3フィンの回避孔に、第2回避孔41bが第3カッププレートの突起に整合することで3以上の流体が熱交換器内に流通する場合も、本発明は適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
回転対称性を有するカッププレートを積層する熱交換器に、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 第1カッププレート
1a 第1突起
1a´ 第1突起(第2部品群)
1b 第2突起
1b´ 第2突起(第2部品群)
1c 平面
1d 側壁
2 第2カッププレート
2a 第3突起
2a´ 第3突起(第2部品群)
2b 第4突起
2b´ 第4突起(第2部品群)
2c 平面
2d 側壁
【0037】
3 第1フィン
31a 第1回避孔
31a´ 第1回避孔(第2部品群)
32a 第3回避孔
32a´ 第3回避孔(第2部品群)
4 第2フィン
41b 第2回避孔
41b´ 第2回避孔(第2部品群)
42b 第4回避孔
42b´ 第4回避孔(第2部品群)
5 コア
5a 第1部品群
5b 第2部品群
【0038】
6 第1流体
7 第1流路
8 第2流体
9 第2流路
10 第1連通孔
11 第1接続孔
12 第2連通孔
13 第2接続孔
14 干渉部
h1 第1フィンの高さ
h2 第2フィンの高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10