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特開2024-156708エンコーダ、デコーダ、および対応する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156708
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】エンコーダ、デコーダ、および対応する方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/70 20140101AFI20241029BHJP
   H04N 19/82 20140101ALI20241029BHJP
【FI】
H04N19/70
H04N19/82
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024113335
(22)【出願日】2024-07-16
(62)【分割の表示】P 2022540720の分割
【原出願日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/130581
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/070155
(32)【優先日】2020-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLU―RAY DISC
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】シアン・マ
(72)【発明者】
【氏名】ハイタオ・ヤン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コーディングされたビデオビットストリームを復号する方法を提供する。
【解決手段】復号方法は、現在のピクチャのピクチャヘッダに含まれる適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用されるピクチャレベルシンタックス要素を取得するステップと、ピクチャレベルシンタックス要素が適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、ピクチャヘッダに含まれるパラメータセット識別子を取得するステップと、を含む。パラメータセット識別子は、1組のALFパラメータを含む第1のパラメータセットを示すために使用され、第1のパラメータセットの時間識別子が、現在のピクチャの時間識別子以下である。方法はまた、第1のパラメータセットに基づいて、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスに対して適応ループフィルタを実行するステップを含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
復号デバイスによって実施されるビデオビットストリームの復号のための方法であって、前記ビデオビットストリームが、現在のピクチャを表すデータを含み、方法が、
前記ビデオビットストリームを解析することによって、前記現在のピクチャのピクチャヘッダに含まれるピクチャレベルシンタックス要素を取得するステップであって、前記ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が前記現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、ステップと、
前記ピクチャレベルシンタックス要素が前記適応ループフィルタが前記現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、前記ピクチャヘッダに含まれるパラメータセット識別子を取得するステップであって、前記パラメータセット識別子が、1組のALFパラメータを含む第1のパラメータセットを示すために使用され、前記第1のパラメータセットの時間識別子が、前記現在のピクチャの時間識別子以下である、ステップと、
前記第1のパラメータセットに基づいて、前記現在のピクチャの少なくとも1つのスライスに対して前記適応ループフィルタを実行するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記第1のパラメータセットに基づいて前記現在のピクチャの少なくとも1つのスライスに対して前記適応ループフィルタを実行するステップが、前記第1のパラメータセットに基づいて前記現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのルマ成分に対して適応ループフィルタを実行することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ピクチャレベルシンタックス要素が前記適応ループフィルタが前記現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、前記ピクチャヘッダに含まれる別のパラメータセット識別子を取得するステップであって、前記パラメータセット識別子が、1組のALFパラメータを含む第2のパラメータセットを示すために使用され、前記第2のパラメータセットの時間識別子が、前記現在のピクチャの時間識別子以下である、ステップと、
前記第2のパラメータセットに基づいて、前記現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのクロマ成分に対して適応ループフィルタを実行するステップとをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
符号化デバイスによって実施されるビデオビットストリームの符号化のための方法であって、前記ビデオビットストリームが、現在のピクチャを表すデータを含み、方法が、
適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを判定するステップと、
適応ループフィルタ(ALF)が前記現在のピクチャのために有効化されるかどうかを判定することに基づいて、ピクチャレベルシンタックス要素を前記現在のピクチャのピクチャヘッダに符号化するステップであって、前記ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が前記現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、ステップと、
適応ループフィルタが前記現在のピクチャのために有効化される場合、パラメータセット識別子を前記ピクチャヘッダに符号化するステップであって、前記パラメータセット識別子が、適応ループフィルタの1組のALFパラメータを含む第1のパラメータセットを示すために使用され、前記第1のパラメータセットの時間識別子が、前記現在のピクチャの時間識別子以下に設定される、ステップとを含む、方法。
【請求項5】
前記第1のパラメータセットの前記時間識別子および前記現在のピクチャの前記時間識別子を前記ビデオビットストリームに符号化するステップをさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のパラメータセットが、前記現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのルマ成分に対して実行される適応ループフィルタの1組のALFパラメータを含む請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記ピクチャレベルシンタックス要素が前記適応ループフィルタが前記現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、別のパラメータセット識別子を前記ピクチャヘッダに符号化するステップであって、前記パラメータセット識別子が、前記現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのクロマ成分に対して実行される適応ループフィルタの1組のALFパラメータを含む第2のパラメータセットを示すために使用され、前記第2のパラメータセットの時間識別子が、前記現在のピクチャの時間識別子以下に設定される、ステップをさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか一項に記載の方法を実行するための処理回路を含むエンコーダ。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法を実行するための処理回路を含むデコーダ。
【請求項10】
コンピュータまたはプロセッサ上で実行されるときに請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに結合され、前記プロセッサによる実行のためにプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、前記プログラミングが、前記プロセッサによって実行されるときに、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行するようにデコーダを構成する、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体とを含むデコーダ。
【請求項12】
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに結合され、前記プロセッサによる実行のためにプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、前記プログラミングが、前記プロセッサによって実行されるときに、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実行するようにエンコーダを構成する、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体とを含むエンコーダ。
【請求項13】
コンピュータデバイスによって実行されるとき、前記コンピュータデバイスに請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行させるプログラムコードを運ぶ非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
画像復号デバイスによって復号される符号化されたビットストリームを含む非一時的ストレージ媒体であって、前記ビットストリームが、ビデオ信号または画像信号の現在のピクチャを複数のブロックに分割することによって生成され、複数のシンタックス要素を含み、前記複数のシンタックス要素が、ビデオビットストリームを解析することによって前記現在のピクチャのピクチャヘッダに含まれるピクチャレベルシンタックス要素を含み、前記ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が前記現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用され、前記ピクチャレベルシンタックス要素が前記適応ループフィルタが前記現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、前記ビットストリームが、前記ピクチャヘッダに含まれるパラメータセット識別子をさらに含み、前記パラメータセット識別子が、1組のALFパラメータを含む第1のパラメータセットを示すために使用され、前記第1のパラメータセットの時間識別子が、前記現在のピクチャの時間識別子以下に設定される、非一時的ストレージ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月31日に出願した国際出願第PCT/CN2019/130581号の継続出願である2020年1月2日に出願した国際出願第PCT/CN2020/070155号の継続出願である。上述の出願の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願(開示)の実施形態は、概して、ピクチャ処理の分野に関し、より詳細には、高レベルシンタックス要素に関する。
【背景技術】
【0003】
ビデオコーディング(ビデオ符号化および復号)は、広範なデジタルビデオアプリケーション、たとえば、ブロードキャストデジタルTV、インターネットおよびモバイルネットワーク上のビデオ送信、ビデオチャットのようなリアルタイム会話アプリケーション、テレビ会議、DVDおよびブルーレイディスク、ビデオコンテンツ獲得および編集システム、ならびにセキュリティアプリケーションのカムコーダにおいて使用される。
【0004】
比較的短いビデオでさえも描くために必要とされるビデオデータの量はかなり多くなり得、それが、データが限られた帯域幅の容量を有する通信ネットワークを介してストリーミングされるかまたはそれ以外の方法で伝達されるべきであるときに困難をもたらす可能性がある。したがって、ビデオデータは、概して、現代の通信ネットワークを介して伝達される前に圧縮される。メモリリソースが限られている可能性があるので、ビデオがストレージデバイスに記憶されるとき、ビデオのサイズも問題となり得る。多くの場合、ビデオ圧縮デバイスは、送信または記憶の前にビデオデータをコーディングするために送信元においてソフトウェアおよび/またはハードウェアを使用し、それによって、デジタルビデオ画像を表現するために必要とされるデータの量を削減する。そして、圧縮されたデータが、ビデオデータを復号するビデオ解凍デバイスによって送信先において受信される。限られたネットワークリソースおよびより高いビデオ品質のますます増加する需要によって、ピクチャ品質をほとんどまたはまったく犠牲にせずに圧縮比を高める改善された圧縮および解凍技術が、望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の実施形態は、独立請求項による符号化および復号のための装置および方法を提供する。
【0006】
上述のおよびその他の目的は、独立請求項の主題により達成される。さらなる実装の形態は、従属請求項、明細書、および図面から明らかである。
【0007】
第1の態様によれば、本開示は、復号デバイスによって実施されるビデオビットストリームの復号のための方法であって、ビデオビットストリームが、現在のピクチャを表すデータを含み、復号方法が、ビデオビットストリームを解析することによって、現在のピクチャのピクチャヘッダに含まれるピクチャレベルシンタックス要素を取得するステップであって、ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF: adaptive loop filter)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、ステップと、ピクチャレベルシンタックス要素が適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、ピクチャヘッダに含まれるパラメータセット識別子を取得するステップであって、パラメータセット識別子が、1組のALFパラメータを含む第1のパラメータセットを示すために使用され、第1のパラメータセットの時間識別子(temporal identifier)が、現在のピクチャの時間識別子以下である、ステップと、第1のパラメータセットに基づいて、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスに対して適応ループフィルタを実行するステップを含む、方法に関する。
【0008】
ピクチャヘッダは、コーディングされたピクチャのすべてのスライスに当てはまるシンタックス要素を含むシンタックス構造である。シンタックス構造は、指定された順序でビットストリーム内に一緒に存在する0個以上のシンタックス要素であり、シンタックス要素は、ビットストリーム内に表現されるデータの要素である。
【0009】
第1のパラメータセットは、シンタックス構造である適応パラメータセット(APS: adaptation parameter set)である。
【0010】
現在のピクチャは、ピクチャユニット(PU: picture unit)に含まれるコーディングされたピクチャであり、PUは、指定された分類規則に従って互いに関連付けられ、復号順で連続している1組のNALユニットである。
【0011】
ネットワーク抽象化レイヤ(NAL: network abstraction layer)ユニットは、後に続くデータの種類のインジケーションと、現在のピクチャのデータもしくはデータの一部、ピクチャヘッダ、または1組のALFパラメータを含むパラメータセットを含むバイトとを含むシンタックス構造である。ここで、各NALユニットは、時間識別子を有する。
【0012】
第1のNALユニットの時間識別子が同じレイヤの第2のNALユニットの時間識別子未満である場合、第1のNALユニットによってカプセル化されたデータは、第2のNALユニットによってカプセル化されたデータを参照せずに復号されてよい。また、時間識別子は、目標最高時間識別子によって決定される目標セットに属さないビットストリーム内のNALユニットがビットストリームから削除され、出力サブビットストリームが目標セットに属するビットストリーム内のNALユニットからなるプロセスであるサブビットストリーム抽出プロセスにおいて使用される可能性がある。したがって、第1のパラメータセットの時間識別子が現在のピクチャの時間識別子以下であることは、現在のピクチャを復号するときに第1のパラメータセットを参照することを可能にし得るか、または現在のピクチャに関するサブビットストリーム抽出プロセスを可能にし得る。
【0013】
時間識別子は、復号順に関連する可能性がある。
【0014】
第1の態様自体による方法の可能な実装の形態において、第1のパラメータセットに基づいて現在のピクチャの少なくとも1つのスライスに対して適応ループフィルタを実行するステップは、第1のパラメータセットに基づいて現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのルマ(luma)成分に対して適応ループフィルタを実行することを含む。
【0015】
第1の態様のいずれかの上述の実装または第1の態様自体による方法の可能な実装の形態において、方法は、ピクチャレベルシンタックス要素が適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、ピクチャヘッダに含まれる別のパラメータセット識別子を取得するステップであって、パラメータセット識別子が、1組のALFパラメータを含む第2のパラメータセットを示すために使用され、第2のパラメータセットの時間識別子が、現在のピクチャの時間識別子以下である、ステップと、第2のパラメータセットに基づいて、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのクロマ(chroma)成分に対して適応ループフィルタを実行するステップとをさらに含む。
【0016】
第2のパラメータセットは、シンタックス構造である適応パラメータセット(APS)である。
【0017】
第2の態様によれば、本開示は、符号化デバイスによって実施されるビデオビットストリームの符号化のための方法であって、ビデオビットストリームが、現在のピクチャを表すデータを含み、符号化方法が、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを判定するステップと、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを判定することに基づいて、ピクチャレベルシンタックス要素を現在のピクチャのピクチャヘッダに符号化するステップであって、ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、ステップと、適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化される場合、パラメータセット識別子をピクチャヘッダに符号化するステップであって、パラメータセット識別子が、適応ループフィルタの1組のALFパラメータを含む第1のパラメータセットを示すために使用され、第1のパラメータセットの時間識別子が、現在のピクチャの時間識別子以下に設定される、ステップとを含む、方法に関する。
【0018】
適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを判定するステップは、現在のピクチャの少なくとも1つのブロックに対して適応ループフィルタ(ALF)を実行するコストを、現在のピクチャに対して適応ループフィルタ(ALF)を実行しないコストと比較することと、現在のピクチャの少なくとも1つのブロックに対して適応ループフィルタ(ALF)を実行するコストが、現在のピクチャの少なくとも1つのブロックに対して適応ループフィルタ(ALF)を実行するコスト以上である場合、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために無効化されると判定することと、そうでない場合、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されると判定することとを含んでよい。コストは、レート歪みコストであってよい。
【0019】
第2の態様自体による方法の可能な実装の形態において、方法は、第1のパラメータセットの時間識別子および現在のピクチャの時間識別子をビデオビットストリームに符号化するステップをさらに含む。
【0020】
第2の態様のいずれかの上述の実装または第2の態様自体による方法の可能な実装の形態において、第1のパラメータセットは、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのルマ成分に対して実行される適応ループフィルタの1組のALFパラメータを含む。
【0021】
第2の態様のいずれかの上述の実装または第2の態様自体による方法の可能な実装の形態において、方法は、ピクチャレベルシンタックス要素が適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、別のパラメータセット識別子をピクチャヘッダに符号化するステップであって、パラメータセット識別子が、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのクロマ成分に対して実行される適応ループフィルタの1組のALFパラメータを含む第2のパラメータセットを示すために使用され、第2のパラメータセットの時間識別子が、現在のピクチャの時間識別子以下に設定される、ステップをさらに含む。
【0022】
第3の態様によれば、本開示は、コーディングされたビデオビットストリームを復号するための装置に関する。装置は、ビデオビットストリームを解析することによって、現在のピクチャのピクチャヘッダに含まれるピクチャレベルシンタックス要素を取得するように構成された取得ユニットであって、ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、取得ユニットを含む。取得ユニットは、ピクチャレベルシンタックス要素が適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、ピクチャヘッダに含まれるパラメータセット識別子を取得するようにさらに構成され、パラメータセット識別子が、1組のALFパラメータを含む第1のパラメータセットを示すために使用され、第1のパラメータセットの時間識別子が、現在のピクチャの時間識別子以下であり、フィルタリングユニットが、第1のパラメータセットに基づいて、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスに対して適応ループフィルタを実行するように構成される。
【0023】
第3の態様自体による装置の可能な実装の形態において、フィルタリングユニットは、第1のパラメータセットに基づいて、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのルマ成分に対して適応ループフィルタを実行するように構成される。
【0024】
第3の態様のいずれかの上述の実装または第3の態様自体による装置の可能な実装の形態において、取得ユニットは、ピクチャレベルシンタックス要素が適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、ピクチャヘッダに含まれる別のパラメータセット識別子を取得するようにさらに構成され、パラメータセット識別子が、1組のALFパラメータを含む第2のパラメータセットを示すために使用され、第2のパラメータセットの時間識別子が、現在のピクチャの時間識別子以下であり、フィルタリングユニットは、第2のパラメータセットに基づいて、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのクロマ成分に対して適応ループフィルタを実行するように構成される。
【0025】
第4の態様によれば、本開示は、コーディングされたビデオビットストリームを符号化するための装置に関する。装置は、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを判定するように構成された判定ユニットと、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを判定することに基づいて、ピクチャレベルシンタックス要素を現在のピクチャのピクチャヘッダに符号化するように構成された符号化ユニットであって、ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、符号化ユニットとを含み、符号化ユニットは、適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化される場合、パラメータセット識別子をピクチャヘッダに符号化するようにさらに構成され、パラメータセット識別子が、適応ループフィルタの1組のALFパラメータを含む第1のパラメータセットを示すために使用され、第1のパラメータセットの時間識別子が、現在のピクチャの時間識別子以下に設定される。
【0026】
第4の態様自体による装置の可能な実装の形態において、符号化ユニットは、第1のパラメータセットの時間識別子および現在のピクチャの時間識別子をビデオビットストリームに符号化するようにさらに構成される。
【0027】
第4の態様のいずれかの上述の実装または第4の態様自体による装置の可能な実装の形態において、第1のパラメータセットは、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのルマ成分に対して実行される適応ループフィルタの1組のALFパラメータを含む。
【0028】
第4の態様のいずれかの上述の実装または第4の態様自体による装置の可能な実装の形態において、符号化ユニットは、ピクチャレベルシンタックス要素が適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、別のパラメータセット識別子をピクチャヘッダに符号化するようにさらに構成され、パラメータセット識別子が、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのクロマ成分に対して実行される適応ループフィルタの1組のALFパラメータを含む第2のパラメータセットを示すために使用され、第2のパラメータセットの時間識別子が、現在のピクチャの時間識別子以下に設定される。
【0029】
本開示の第1の態様による方法は、本開示の第3の態様による装置によって実行され得る。本開示の第1の態様による方法のさらなる特徴および実装の形態は、本開示の第3の態様による装置の特徴および実装の形態に対応する。
【0030】
本開示の第2の態様による方法は、本開示の第4の態様による装置によって実行され得る。本開示の第2の態様による方法のさらなる特徴および実装の形態は、本開示の第4の態様による装置の特徴および実装の形態に対応する。
【0031】
第2の態様による方法は、第1の態様による方法の実装の形態に対応する実装の形態に拡張され得る。したがって、方法の実装の形態は、第1の態様の対応する実装の形態の特徴を含む。
【0032】
第2の態様による方法の利点は、第1の態様による方法の対応する実装の形態に関する利点と同じである。
【0033】
第5の態様によれば、本開示は、プロセッサおよびメモリを含む、ビデオストリームを復号するための装置に関する。メモリは、第1の態様または第1の態様の任意の実装による方法をプロセッサに実行させる命令を記憶している。
【0034】
第6の態様によれば、本開示は、プロセッサおよびメモリを含む、ビデオストリームを符号化するための装置に関する。メモリは、第2の態様または第2の態様の任意の実装による方法をプロセッサに実行させる命令を記憶している。
【0035】
第7の態様によれば、実行されるときに1つまたは複数のプロセッサにビデオデータをコーディングさせる命令を記憶したコンピュータ可読ストレージ媒体が、提案される。命令は、1つまたは複数のプロセッサに第1のもしくは第2の態様または第1のもしくは第2の態様の任意の実装による方法を実行させる。
【0036】
第8の態様によれば、本開示は、コンピュータ上で実行されるときに第1のもしくは第2の態様または第1のもしくは第2の態様の任意の実装による方法を実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラムに関する。
【0037】
第9の態様によれば、本開示は、第1の態様または第1の態様の任意の実装による方法を実行するための処理回路を含むデコーダに関する。
【0038】
第10の態様によれば、本開示は、第2の態様または第2の態様の任意の実装による方法を実行するための処理回路を含むエンコーダに関する。
【0039】
第11の態様によれば、本開示は、画像復号デバイスによって復号される符号化されたビットストリームを含む非一時的ストレージ媒体であって、ビットストリームが、ビデオ信号または画像信号の現在のピクチャを複数のブロックに分割することによって生成され、複数のシンタックス要素を含み、複数のシンタックス要素が、ビデオビットストリームを解析することによって、現在のピクチャのピクチャヘッダに含まれるピクチャレベルシンタックス要素を含み、ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用され、ピクチャレベルシンタックス要素が適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、ビットストリームが、ピクチャヘッダに含まれるパラメータセット識別子をさらに含み、パラメータセット識別子が、1組のALFパラメータを含む第1のパラメータセットを示すために使用され、第1のパラメータセットの時間識別子が、現在のピクチャの時間識別子以下に設定される、非一時的ストレージ媒体に関する。
【0040】
特定の実施形態は、添付の独立請求項に要点を述べられ、その他の実施形態は、従属請求項に示される。
【0041】
1つまたは複数の実施形態の詳細が、添付の図面および以下の説明に記載されている。その他の特徴、目的、および利点は、明細書、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0042】
さらに、以下の実施形態が提供される。
【0043】
一実施形態においては、ビデオコーディングのためのビットストリームが提供され、DPSがビットストリーム内に最大1回存在する。
【0044】
一実施形態において、DPSは、ビットストリームに必須でない。
【0045】
一実施形態において、ビットストリームがDPSを含むとき、1つのDPSのみがビットストリーム内にある。
【0046】
一実施形態において、ビットストリーム内のdps_decoding_parameter_set_idの特定の値を有するすべてのDPS NALユニットは、同じ内容を有する。
【0047】
一実施形態において、1つのDPS IDは、2つ以上のDPSの内容にフックすることはできない。
【0048】
一実施形態においては、DPSでシグナリングされるレベルがSPSでシグナリングされるレベル以上であるように制約される、ビデオコーディングのためのビットストリームが提供される。
【0049】
一実施形態においては、上述の実施形態のいずれか1つよるビットストリームを解析するステップを含む、復号デバイスによって実施されるコーディングの方法が提供される。
【0050】
一実施形態においては、上述の実施形態のいずれか1つによるビットストリームを生成するステップを含む、符号化デバイスによって実施されるコーディングの方法が提供される。
【0051】
一実施形態においては、上述の実施形態のいずれか1つによる方法を実行するための処理回路を含むエンコーダ(20)が提供される。
【0052】
一実施形態においては、上述の実施形態のいずれか1つによる方法を実行するための処理回路を含むデコーダ(30)が提供される。
【0053】
一実施形態においては、コンピュータまたはプロセッサ上で実行されるときに上述の実施形態のいずれか1つによる方法を実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0054】
一実施形態においては、
1つまたは複数のプロセッサと、
プロセッサに結合され、プロセッサによる実行のためにプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、プログラミングが、プロセッサによって実行されるときに、上述の実施形態のいずれか1つによる方法を実行するようにデコーダを構成する、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体とを含むデコーダが提供される。
【0055】
一実施形態においては、
1つまたは複数のプロセッサと、
プロセッサに結合され、プロセッサによる実行のためにプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、プログラミングが、プロセッサによって実行されるときに、上述の実施形態のいずれか1つによる方法を実行するようにエンコーダを構成する、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体とを含むエンコーダが提供される。
【0056】
一実施形態においては、コンピュータデバイスによって実行されるとき、コンピュータデバイスに、上述の実施形態のいずれか1つによる方法を実行させるプログラムコードを運ぶ非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0057】
一実施形態においては、復号デバイスによって実施されるビデオビットストリームの復号のための方法であって、ビデオビットストリームが、タイル列を含むコーディングされたピクチャを表すデータを含み、復号方法が、
ビデオビットストリームを解析することによってシンタックス要素(たとえば、tile_column_width_minus1)を取得するステップであって、シンタックス要素が、タイル列の幅を導出するために使用され、タイル列の幅の総和が、コーディングされたピクチャの幅以下である、ステップと、
タイル列の幅によってコーディングされたピクチャを予測するステップとを含む、方法が提供される。
【0058】
一実施形態において、シンタックス要素の各シンタックス要素の値に1を加えた値は、タイル列のうちのタイル列の幅である。
【0059】
一実施形態において、タイル列の幅は、0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内のインデックスiを有する。
【0060】
一実施形態において、タイル列の幅は、0からnum_exp_tile_columns_minus1までの範囲内のインデックスiを有する。
【0061】
一実施形態においては、復号デバイスによって実施されるビデオビットストリームの復号のための方法であって、ビデオビットストリームが、タイル列を含むコーディングされたピクチャを表すデータを含み、復号方法が、
ビデオビットストリームを解析することによってシンタックス要素(たとえば、tile_column_width_minus1)を取得するステップであって、シンタックス要素が、タイル列の幅の値を導出するために使用され、タイル列の幅の値が、一様であり、タイル列の幅の値が、コーディングされたピクチャの幅以下である、ステップと、
タイル列の幅によってコーディングされたピクチャを予測するステップとを含む、方法が提供される。
【0062】
一実施形態において、シンタックス要素の値に1を加えた値は、タイル列の幅の値である。
【0063】
一実施形態において、タイル列の幅は、num_exp_tile_columns_minus1に等しいインデックスiを有する。
【0064】
一実施形態においては、復号デバイスによって実施されるビデオビットストリームの復号のための方法であって、ビデオビットストリームが、タイル行を含むコーディングされたピクチャを表すデータを含み、復号方法が、
ビデオビットストリームを解析することによってシンタックス要素(たとえば、tile_row_height_minus1)を取得するステップであって、シンタックス要素が、タイル行の高さを導出するために使用され、タイル行の高さの総和が、コーディングされたピクチャの高さ以下である、ステップと、
タイル行の高さによってコーディングされたピクチャを予測するステップを含む、方法が提供される。
【0065】
一実施形態において、シンタックス要素の各シンタックス要素の値に1を加えた値は、タイル行のうちのタイル行の高さである。
【0066】
一実施形態において、タイル行の高さは、0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内のインデックスiを有する。
【0067】
一実施形態において、タイル行の高さは、0からnum_exp_tile_rows_minus1までの範囲内のインデックスiを有する。
【0068】
一実施形態においては、復号デバイスによって実施されるビデオビットストリームの復号のための方法であって、ビデオビットストリームが、タイル行を含むコーディングされたピクチャを表すデータを含み、復号方法が、
ビデオビットストリームを解析することによってシンタックス要素、たとえば、tile_row_height_minus1)を取得するステップであって、シンタックス要素が、タイル行の高さの値を導出するために使用され、タイル行の高さの値が、一様であり、タイル行の高さの値が、コーディングされたピクチャの高さ以下である、ステップと、
タイル行の高さによってコーディングされたピクチャを予測するステップとを含む、方法が提供される。
【0069】
一実施形態において、シンタックス要素の値に1を加えた値は、タイル行の高さの値である。
【0070】
一実施形態において、タイル行の高さは、num_exp_tile_rows_minus1に等しいインデックスiを有する。
【0071】
一実施形態においては、上述の実施形態のいずれか1つによる方法を実行するための処理回路を含むエンコーダ(20)が提供される。
【0072】
一実施形態においては、上述の実施形態のいずれか1つによる方法を実行するための処理回路を含むデコーダ(30)が提供される。
【0073】
一実施形態においては、コンピュータまたはプロセッサ上で実行されるときに上述の実施形態のいずれか1つによる方法を実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0074】
一実施形態においては、
1つまたは複数のプロセッサと、
プロセッサに結合され、プロセッサによる実行のためにプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、プログラミングが、プロセッサによって実行されるときに、上述の実施形態のいずれか1つによる方法を実行するようにデコーダを構成する、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体とを含むデコーダが提供される。
【0075】
一実施形態においては、
1つまたは複数のプロセッサと、
プロセッサに結合され、プロセッサによる実行のためにプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、プログラミングが、プロセッサによって実行されるときに、上述の実施形態のいずれか1つによる方法を実行するようにエンコーダを構成する、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体とを含むエンコーダが提供される。
【0076】
一実施形態においては、コンピュータデバイスによって実行されるとき、コンピュータデバイスに、上述の実施形態のいずれか1つによる方法を実行させるプログラムコードを運ぶ非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0077】
以下で、発明の実施形態が、添付の図および図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1A】本発明の実施形態を実装するように構成されたビデオコーディングシステムの例を示すブロック図である。
図1B】本発明の実施形態を実装するように構成されたビデオコーディングシステムの別の例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態を実装するように構成されたビデオエンコーダの例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態を実装するように構成されたビデオデコーダの例示的な構造を示すブロック図である。
図4】符号化装置または復号装置の例を示すブロック図である。
図5】符号化装置または復号装置の別の例を示すブロック図である。
図6】コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システム3100の例示的な構造を示すブロック図である。
図7】端末デバイスの例の構造を示すブロック図である。
図8】一実施形態による復号方法の流れ図である。
図9】一実施形態による符号化方法の流れ図である。
図10】一実施形態によるエンコーダの概略図である。
図11】一実施形態によるデコーダの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下で、同一の参照符号は、別途明記されない場合、同一のまたは少なくとも機能的に等価な特徴を指す。
【0080】
以下の説明においては、本開示の一部を形成し、本発明の実施形態の特定の態様または本発明の実施形態が使用される可能性がある特定の態様を例として示す添付の図面が参照される。本発明の実施形態は、その他の態様において使用され、図面に示されない構造的または論理的変更を含む可能性があることが理解される。したがって、以下の詳細な説明は、限定的意味に理解されるべきでなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0081】
たとえば、説明される方法に関連する開示は、方法を実行するように構成された対応するデバイスまたはシステムにも当てはまる可能性があり、その逆の可能性もあることが理解される。たとえば、1つまたは複数の特定の方法のステップが説明される場合、対応するデバイスは、説明される1つまたは複数の方法のステップを実行するための1つまたは複数のユニット、たとえば、機能ユニット(たとえば、1つもしくは複数のステップを実行する1つのユニット、または複数のステップのうちの1つもしくは複数をそれぞれが実行する複数のユニット)を、たとえそのような1つまたは複数のユニットが明示的に説明されないかまたは図に示されないとしても含む可能性がある。一方、たとえば、特定の装置が1つまたは複数のユニット、たとえば、機能ユニットに基づいて説明される場合、対応する方法は、1つまたは複数のユニットの機能を実行するための1つのステップ(たとえば、1つもしくは複数のユニットの機能を実行する1つのステップ、または複数のユニットのうちの1つもしくは複数の機能をそれぞれが実行する複数のステップ)を、たとえそのような1つまたは複数のステップが明示的に説明されないかまたは図に示されないとしても含む可能性がある。さらに、本明細書において説明される様々な例示的な実施形態および/または態様の特徴は、そうでないことが明記されない限り互いに組み合わされる可能性があることが理解される。
【0082】
ビデオコーディングは、概して、ビデオまたはビデオシーケンスを形成するピクチャのシーケンスの処理を指す。用語「ピクチャ」の代わりに、用語「フレーム」または「画像」が、ビデオコーディングの分野において同義語として使用される可能性がある。ビデオコーディング(または概してコーディング)は、2つの部分、ビデオ符号化およびビデオ復号を含む。ビデオ符号化は、送信元の側で実行され、概して、(より効率的な記憶および/または送信のために)ビデオピクチャを表現するために必要とされるデータの量を減らすために元のビデオピクチャを(たとえば、圧縮によって)処理することを含む。ビデオ復号は、送信先の側で実行され、概して、ビデオピクチャを再構築するためにエンコーダと比べて逆の処理を含む。ビデオピクチャ(または概してピクチャ)の「コーディング」に言及する実施形態は、ビデオピクチャまたはそれぞれのビデオシーケンスの「符号化」または「復号」に関すると理解される。符号化部分と復号部分との組合せは、コーデック(コーディングおよびデコーディング)とも呼ばれる。
【0083】
可逆ビデオコーディングの場合、(記憶または送信中に送信損失またはその他のデータ損失がないと仮定して)元のビデオピクチャが再構築されることが可能であり、つまり、再構築されたビデオピクチャは元のビデオピクチャと同じ品質を有する。不可逆ビデオコーディングの場合、ビデオピクチャを表現するデータの量を減らすために、たとえば、量子化によるさらなる圧縮が実行され、これは、デコーダにおいて完全に再構築され得ず、つまり、再構築されたビデオピクチャの品質は、元のビデオピクチャの品質に比べてより低いまたはより悪い。
【0084】
いくつかのビデオコーディング規格は、「不可逆ハイブリッドビデオコーデック」のグループに属する(つまり、サンプル領域(sample domain)における空間および時間予測と変換領域(transform domain)において量子化を適用するための2D変換コーディングとを組み合わせる)。ビデオシーケンスの各ピクチャは、概して、1組の重なり合わないブロックに区分けされ、コーディングは、概して、ブロックレベルで実行される。言い換えると、エンコーダにおいて、ビデオは、概して、たとえば、空間(イントラピクチャ)予測および/または時間(インターピクチャ)予測を使用して予測ブロック(prediction block)を生成し、現在のブロック(現在処理されている/処理されるブロック)から予測ブロックを差し引いて残差ブロックを取得し、残差ブロックを変換し、変換領域において残差ブロックを量子化して送信されるデータの量を削減する(圧縮)ことによってブロック(ビデオブロック)レベルで処理され、つまり、符号化され、一方、デコーダにおいては、表現するために現在のブロックを再構築するために、エンコーダと比べて逆の処理が、符号化されたまたは圧縮されたブロックに適用される。さらに、エンコーダは、後続のブロックを処理する、つまり、コーディングするために両方が同一の予測(たとえば、イントラおよびインター予測)ならびに/または再構築を生成するようにデコーダの処理ループを複製する。
【0085】
以下で、ビデオコーディングシステム10、ビデオエンコーダ20およびビデオデコーダ30の実施形態が、図1から図3に基づいて説明される。
【0086】
図1Aは、本出願の技術を利用する可能性がある例示的なコーディングシステム10、たとえば、ビデオコーディングシステム10(または短くコーディングシステム10)を示す概略的なブロック図である。ビデオコーディングシステム10のビデオエンコーダ20(または短くエンコーダ20)およびビデオデコーダ30(または短くデコーダ30)は、本出願において説明される様々な例による技術を実行するように構成される可能性があるデバイスの例を示す。
【0087】
図1Aに示されるように、コーディングシステム10は、符号化されたピクチャデータ13を復号するために、たとえば、送信先デバイス14に符号化されたピクチャデータ21を提供するように構成された送信元デバイス12を含む。
【0088】
送信元デバイス12は、エンコーダ20を含み、追加的に、つまり、任意選択で、ピクチャソース16、プリプロセッサ(または前処理ユニット)18、たとえば、ピクチャプリプロセッサ18、および通信インターフェースまたは通信ユニット22を含む可能性がある。
【0089】
ピクチャソース16は、任意の種類のピクチャ撮影デバイス、たとえば、実世界のピクチャを撮影するためのカメラ、ならびに/または任意の種類のピクチャ生成デバイス、たとえば、コンピュータによってアニメーションされるピクチャを生成するためのコンピュータグラフィックスプロセッサ、または実世界のピクチャ、コンピュータによって生成されたピクチャ(たとえば、画面コンテンツ(screen content)、仮想現実(VR)ピクチャ)、および/もしくはそれらの任意の組合せ(たとえば、拡張現実(AR)ピクチャ)を取得および/もしくは提供するための任意の種類のその他のデバイスを含むかまたはそのようなデバイスである可能性がある。ピクチャソースは、上述のピクチャのいずれかを記憶するための任意の種類のメモリまたはストレージである可能性がある。
【0090】
プリプロセッサ18および前処理ユニット18によって実行される処理と区別して、ピクチャまたはピクチャデータ17は、生ピクチャまたは生ピクチャデータ17とも呼ばれる可能性がある。
【0091】
プリプロセッサ18は、(生)ピクチャデータ17を受け取り、ピクチャデータ17に対して前処理を実行して前処理されたピクチャ19または前処理されたピクチャデータ19を取得するように構成される。プリプロセッサ18によって実行される前処理は、たとえば、トリミング、(たとえば、RGBからYCbCrへの)カラーフォーマット変換、色補正、または雑音除去を含む可能性がある。前処理ユニット18は、任意の構成要素である可能性があることが理解され得る。
【0092】
ビデオエンコーダ20は、前処理されたピクチャデータ19を受け取り、符号化されたピクチャデータ21を提供するように構成される(さらなる詳細が、下で、たとえば、図2に基づいて説明される)。
【0093】
送信元デバイス12の通信インターフェース22は、符号化されたピクチャデータ21を受け取り、符号化されたピクチャデータ21(またはその任意のさらに処理されたバージョン)を、記憶するかまたは直接再構築するために別のデバイス、たとえば、送信先デバイス14または任意のその他のデバイスに通信チャネル13を介して送信するように構成される可能性がある。
【0094】
送信先デバイス14は、デコーダ30(たとえば、ビデオデコーダ30)を含み、追加的に、つまり、任意選択で、通信インターフェースまたは通信ユニット28、ポストプロセッサ32(または後処理ユニット32)、およびディスプレイデバイス34を含む可能性がある。
【0095】
送信先デバイス14の通信インターフェース28は、たとえば、送信元デバイス12から直接、または任意のその他のソース、たとえば、ストレージデバイス、たとえば、符号化されたピクチャデータのストレージデバイスから符号化されたピクチャデータ21(またはその任意のさらに処理されたバージョン)を受信し、符号化されたピクチャデータ21をデコーダ30に提供するように構成される。
【0096】
通信インターフェース22および通信インターフェース28は、送信元デバイス12と送信先デバイス14との間の直接通信リンク、たとえば、直接有線もしくはワイヤレス接続を介して、あるいは任意の種類のネットワーク、たとえば、有線もしくはワイヤレスネットワークもしくはそれらの任意の組合せ、または任意の種類のプライベートおよびパブリックネットワーク、またはそれらの任意の種類の組合せを介して符号化されたピクチャデータ21または符号化されたデータ13を送信または受信するように構成される可能性がある。
【0097】
通信インターフェース22は、たとえば、符号化されたピクチャデータ21を適切なフォーマット、たとえば、パケットにパッケージングする、および/または通信リンクもしくは通信ネットワークを介して送信するための任意の種類の送信の符号化もしくは処理を使用して符号化されたピクチャデータを処理するように構成される可能性がある。
【0098】
通信インターフェース22の相手先を形成する通信インターフェース28は、たとえば、送信されたデータを受信し、任意の種類の対応する送信の復号もしくは処理および/またはパッケージングの解除を使用して送信データを処理して符号化されたピクチャデータ21を取得するように構成される可能性がある。
【0099】
通信インターフェース22と通信インターフェース28との両方が、送信元デバイス12から送信先デバイス14の方を指す図1Aの通信チャネル13に関する矢印によって示される単方向通信インターフェース、または双方向通信インターフェースとして構成される可能性があり、たとえば、接続をセットアップし、通信リンクおよび/またはデータ送信、たとえば、符号化されたピクチャデータの送信に関連する任意のその他の情報を確認し、やりとりするために、たとえば、メッセージを送信および受信するように構成される可能性がある。
【0100】
デコーダ30は、符号化されたピクチャデータ21を受信し、復号されたピクチャデータ31または復号されたピクチャ31を提供するように構成される(さらなる詳細が、下で、たとえば、図3または図5に基づいて説明される)。
【0101】
送信先デバイス14のポストプロセッサ32は、復号されたピクチャデータ31(再構築されたピクチャデータとも呼ばれる)、たとえば、復号されたピクチャ31を後処理して後処理されたピクチャデータ33、たとえば、後処理されたピクチャ33を取得するように構成される。後処理ユニット32によって実行される後処理は、たとえば、(たとえば、YCbCrからRGBへの)カラーフォーマット変換、色補正、トリミング、またはリサンプリング、またはたとえばディスプレイデバイス34による表示のためにたとえば復号されたピクチャデータ31を準備するための任意のその他の処理を含む可能性がある。
【0102】
送信先デバイス14のディスプレイデバイス34は、たとえば、ユーザまたは視聴者に対してピクチャを表示するために後処理されたピクチャデータ33を受け取るように構成される。ディスプレイデバイス34は、再構築されたピクチャを示すための任意の種類のディスプレイ、たとえば、一体型または外部ディスプレイもしくはモニタであるかまたはそのようなディスプレイもしくはモニタを含む可能性がある。ディスプレイは、たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、プロジェクタ、マイクロLEDディスプレイ、液晶オンシリコン(LCoS: liquid crystal on silicon)、デジタル光プロセッサ(DLP: digital light processor)、または任意の種類のその他のディスプレイを含む可能性がある。
【0103】
図1Aは送信元デバイス12および送信先デバイス14を別々のデバイスとして示すが、デバイスの実施形態は、両方または両方の機能、送信元デバイス12または対応する機能および送信先デバイス14または対応する機能を含む可能性もある。そのような実施形態において、送信元デバイス12または対応する機能および送信先デバイス14または対応する機能は、同じハードウェアおよび/もしくはソフトウェアを使用してまたは別々のハードウェアおよび/もしくはソフトウェアまたはそれらの任意の組合せによって実装される可能性がある。
【0104】
説明に基づいて当業者に明らかになるように、異なるユニットの機能または図1Aに示される送信元デバイス12および/もしくは送信先デバイス14内の機能の存在および(厳密な)分割は、実際のデバイスおよびアプリケーションに応じて変わる可能性がある。
【0105】
エンコーダ20(たとえば、ビデオエンコーダ20)またはデコーダ30(たとえば、ビデオデコーダ30)またはエンコーダ20とデコーダ30との両方は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ディスクリート論理、ハードウェア、それらのビデオコーディングに専用のまたは任意の組合せなどの、図1Bに示された処理回路によって実装される可能性がある。エンコーダ20は、図2のエンコーダ20および/または本明細書において説明される任意のその他のエンコーダシステムもしくはサブシステムに関連して検討される様々なモジュールを具現化するために処理回路46によって実装される可能性がある。デコーダ30は、図3のデコーダ30および/または本明細書において説明される任意のその他のデコーダシステムもしくはサブシステムに関連して検討される様々なモジュールを具現化するために処理回路46によって実装される可能性がある。処理回路は、後で検討される様々な動作を実行するように構成される可能性がある。図5に示されるように、技術が部分的にソフトウェアで実装される場合、デバイスは、好適な非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体にソフトウェアのための命令を記憶する可能性があり、本開示の技術を実行するために1つまたは複数のプロセッサを使用するハードウェアにおいて命令を実行する可能性がある。ビデオエンコーダ20およびビデオデコーダ30のどちらかが、たとえば、図1Bに示されるように単一のデバイス内の組み合わされたエンコーダ/デコーダ(コーデック)の一部として組み込まれる可能性がある。
【0106】
送信元デバイス12および送信先デバイス14は、任意の種類のハンドヘルドまたは固定デバイス、たとえば、ノートブックまたはラップトップコンピュータ、モバイル電話、スマートフォン、タブレットまたはタブレットコンピュータ、カメラ、デスクトップコンピュータ、セットトップボックス、テレビ、ディスプレイデバイス、デジタルメディアプレーヤー、ビデオゲームコンソール、(コンテンツサービスサーバまたはコンテンツ配信サーバなどの)ビデオストリーミングデバイス、放送受信機デバイス、放送送信機デバイスなどを含む広範なデバイスのいずれかを含む可能性があり、オペレーティングシステムを使用しないかまたは任意の種類のオペレーティングシステムを使用する可能性がある。場合によっては、送信元デバイス12および送信先デバイス14は、ワイヤレス通信に対応している可能性がある。したがって、送信元デバイス12および送信先デバイス14は、ワイヤレス通信デバイスである可能性がある。
【0107】
場合によっては、図1Aに示されたビデオコーディングシステム10は、例であるに過ぎず、本開示の技術は、符号化デバイスと復号デバイスとの間のいかなるデータ通信も含むとは限らないビデオコーディングの状況(たとえば、ビデオの符号化またはビデオの復号)に適用される可能性がある。その他の例においては、データが、ローカルメモリから取り出される、またはネットワークを介してストリーミングされる、などである。ビデオ符号化デバイスが、データを符号化し、メモリに記憶する可能性があり、および/またはビデオ復号デバイスが、メモリからデータを取り出し、復号する可能性がある。いくつかの例において、符号化および復号が、互いに通信せず、単にメモリにデータを符号化し、および/またはメモリからデータを取り出し、復号するデバイスによって実行される。
【0108】
説明の便宜上、本発明の実施形態は、たとえば、高効率ビデオコーディング(HEVC: High-Efficiency Video Coding)、または多目的ビデオコーディング(VVC: Versatile Video coding)、ITU-Tビデオコーディング専門家グループ(VCEG: Video Coding Experts Group)およびISO/IEC動画専門家グループ(MPEG: Motion Picture Experts Group)のビデオコーディングに関する共同作業チーム(JCT-VC: Joint Collaboration Team on Video Coding)によって開発された次世代ビデオコーディング規格の参照ソフトウェアを参照することによって本明細書において説明される。当業者は、本発明の実施形態がHEVCまたはVVCに限定されないことを理解するであろう。
【0109】
エンコーダおよび符号化方法
図2は、本出願の技術を実装するように構成される例示的なビデオエンコーダ20の概略的なブロック図を示す。図2の例において、ビデオエンコーダ20は、入力201(または入力インターフェース201)、残差計算ユニット204、変換処理ユニット206、量子化ユニット208、逆量子化ユニット210、逆変換処理ユニット212、再構築ユニット214、ループフィルタユニット220、復号ピクチャバッファ(DPB: decoded picture buffer)230、モード選択ユニット260、エントロピー符号化ユニット270、および出力272(または出力インターフェース272)を含む。モード選択ユニット260は、インター予測ユニット244、イントラ予測ユニット254、および区分けユニット262を含む可能性がある。インター予測ユニット244は、動き推定ユニットおよび動き補償ユニット(図示せず)を含む可能性がある。図2に示されたビデオエンコーダ20は、ハイブリッドビデオエンコーダまたはハイブリッドビデオコーデックによるビデオエンコーダとも呼ばれる可能性がある。
【0110】
残差計算ユニット204、変換処理ユニット206、量子化ユニット208、モード選択ユニット260は、エンコーダ20の順方向信号経路を形成するとみなされる可能性があり、一方、逆量子化ユニット210、逆変換処理ユニット212、再構築ユニット214、バッファ216、ループフィルタ220、復号ピクチャバッファ(DPB)230、インター予測ユニット244、およびイントラ予測ユニット254は、ビデオエンコーダ20の逆方向信号経路を形成するとみなされる可能性があり、ビデオエンコーダ20の逆方向信号経路は、デコーダの信号経路(図3のビデオデコーダ30を参照されたい)に対応する。逆量子化ユニット210、逆変換処理ユニット212、再構築ユニット214、ループフィルタ220、復号ピクチャバッファ(DPB)230、インター予測ユニット244、およびイントラ予測ユニット254は、ビデオエンコーダ20の「内蔵デコーダ」を形成するともみなされる。
【0111】
ピクチャ&ピクチャの区分け(ピクチャ&ブロック)
エンコーダ20は、たとえば、入力201を介してピクチャ17(またはピクチャデータ17)、たとえば、ビデオまたはビデオシーケンスを形成するピクチャのシーケンスのピクチャを受け取るように構成される可能性がある。受け取られたピクチャまたはピクチャデータは、前処理されたピクチャ19(または前処理されたピクチャデータ19)である可能性もある。簡単にするために、以下の説明は、ピクチャ17に言及する。ピクチャ17は、(特に、ビデオコーディングにおいて、現在のピクチャをその他のピクチャ、たとえば、同じビデオシーケンス、つまり、現在のピクチャも含むビデオシーケンスの既に符号化されたおよび/または復号されたピクチャと区別するために)現在のピクチャまたはコーディングされるピクチャとも呼ばれる可能性がある。
【0112】
(デジタル)ピクチャは、強度(intensity)値を有するサンプルの2次元配列または行列とみなされるかまたはみなされ得る。配列のサンプルは、ピクセル(ピクチャエレメントの短縮形)またはペルとも呼ばれる可能性がある。配列またはピクチャの水平および垂直方向(または軸)のサンプル数は、ピクチャのサイズおよび/または解像度を定義する。色の表現のために、概して、3つの色成分が使用され、つまり、ピクチャが表現されるかまたは3つのサンプル配列を含む可能性がある。RBGフォーマットまたは色空間で、ピクチャは、対応する赤、緑、および青のサンプル配列を含む。しかし、ビデオコーディングにおいて、各ピクセルは、概して、輝度(luminance)およびクロミナンス(chrominance)フォーマットまたは色空間、たとえば、Y(代わりにLが使用されることもある)によって示される輝度成分ならびにCbおよびCrによって示される2つのクロミナンス成分を含むYCbCrで表される。輝度(または短くルマ(luma))成分Yは、明るさまたは(たとえば、グレースケールピクチャと同様の)グレーレベルの強度を表し、一方、2つのクロミナンス(または短くクロマ(chroma))成分CbおよびCrは、色度または色情報成分を表す。したがって、YCbCrフォーマットのピクチャは、輝度サンプル値(Y)の輝度サンプル配列およびクロミナンス値(CbおよびCr)の2つのクロミナンスサンプル配列を含む。RGBフォーマットのピクチャは、YCbCrフォーマットに変換される(converted)または変換される(transformed)可能性があり、その逆の可能性があり、プロセスは、色変換(transformation)または変換(conversion)としても知られる。ピクチャがモノクロである場合、ピクチャは、輝度サンプル配列のみを含む可能性がある。したがって、ピクチャは、たとえば、モノクロフォーマットにおいてはルマサンプルの配列であり、または4:2:0、4:2:2、および4:4:4カラーフォーマットにおいてはルマサンプルの配列およびクロマサンプルの2つの対応する配列である可能性がある。
【0113】
ビデオエンコーダ20の実施形態は、ピクチャ17を複数の(通常は重なり合わない)ピクチャブロック203に区分けするように構成されたピクチャ区分けユニット(図2に示さず)を含む可能性がある。これらのブロックは、ルートブロック、マクロブロック(H.264/AVC)、またはコーディングツリーブロック(CTB: coding tree block)もしくはコーディングツリーユニット(CTU: coding tree unit)(H.265/HEVCおよびVVC)とも呼ばれる可能性がある。ピクチャ区分けユニットは、ビデオシーケンスのすべてのピクチャおよびブロックサイズを定義する対応するグリッドに関して同じブロックサイズを使用するか、あるいはピクチャまたはピクチャのサブセットもしくはグループの間でブロックサイズを変更し、各ピクチャを対応するブロックに区分けするように構成される可能性がある。
【0114】
さらなる実施形態において、ビデオエンコーダは、ピクチャ17のブロック203、たとえば、ピクチャ17を形成する1つの、いくつかの、またはすべてのブロックを直接受け取るように構成される可能性がある。ピクチャブロック203は、現在のピクチャブロックまたはコーディングされるピクチャブロックとも呼ばれる可能性がある。
【0115】
ピクチャ17と同様に、ピクチャブロック203は、ピクチャ17よりも寸法が小さいが、強度値(サンプル値)を有するサンプルの2次元配列または行列とやはりみなされるかまたはみなされ得る。言い換えると、ブロック203は、適用されるカラーフォーマットに応じて、たとえば、1つのサンプル配列(たとえば、モノクロピクチャ17の場合はルマ配列、またはカラーピクチャの場合はルマもしくはクロマ配列)、あるいは3つのサンプル配列(たとえば、カラーピクチャ17の場合はルマおよび2つのクロマ配列)、あるいは任意のその他の数および/または種類の配列を含む可能性がある。ブロック203の水平および垂直方向(または軸)のサンプル数は、ブロック203のサイズを定義する。したがって、ブロックは、たとえば、サンプルのMxN(M列×N行)配列または変換係数のMxN配列である可能性がある。
【0116】
図2に示されたビデオエンコーダ20の実施形態は、ピクチャ17をブロック毎に符号化するように構成される可能性があり、たとえば、符号化および予測が、ブロック203毎に実行される。
【0117】
図2に示されるビデオエンコーダ20の実施形態は、スライス(ビデオスライスとも呼ばれる)を使用することによってピクチャを区分けするおよび/または符号化するようにさらに構成される可能性があり、ピクチャは、1つもしくは複数の(概して重なり合わない)スライスに区分けされるかまたは1つもしくは複数の(概して重なり合わない)スライスを使用して符号化される可能性があり、各スライスは、1つもしくは複数のブロック(たとえば、CTU)またはブロックの1つもしくは複数のグループ(たとえば、タイル(H.265/HEVCおよびVVC)もしくはブリック(brick)(VVC))を含む可能性がある。
【0118】
図2に示されるビデオエンコーダ20の実施形態は、スライス/タイルグループ(ビデオタイルグループとも呼ばれる)および/またはタイル(ビデオタイルとも呼ばれる)を使用することによってピクチャを区分けするおよび/または符号化するようにさらに構成される可能性があり、ピクチャは、1つもしくは複数の(概して重なり合わない)スライス/タイルグループに区分けされるかまたは1つもしくは複数の(概して重なり合わない)スライス/タイルグループを使用して符号化される可能性があり、各スライス/タイルグループは、たとえば、1つもしくは複数のブロック(たとえば、CTU)または1つもしくは複数のタイルを含む可能性があり、各タイルは、たとえば、長方形の形をしている可能性があり、1つまたは複数のブロック(たとえば、CTU)、たとえば、完全なまたは断片的なブロックを含む可能性がある。
【0119】
残差の計算
残差計算ユニット204は、たとえば、サンプル毎に(ピクセル毎に)ピクチャブロック203のサンプル値から予測ブロック265のサンプル値を差し引いてサンプル領域において残差ブロック205を取得することによって、ピクチャブロック203および予測ブロック265(予測ブロック265についてのさらなる詳細は後で与えられる)に基づいて残差ブロック205(残差205とも呼ばれる)を計算するように構成される可能性がある。
【0120】
変換
変換処理ユニット206は、残差ブロック205のサンプル値に対して変換、たとえば、離散コサイン変換(DCT)または離散サイン変換(DST)を適用して変換領域において変換係数207を取得するように構成される可能性がある。変換係数207は、変換残差係数とも呼ばれ、変換領域において残差ブロック205を表現する可能性がある。
【0121】
変換処理ユニット206は、H.265/HEVCのために規定された変換などのDCT/DSTの整数近似を適用するように構成される可能性がある。直交DCT変換と比較して、そのような整数近似は、概して、特定の率でスケーリングされる。順および逆変換によって処理される残差ブロックのノルム(norm)を維持するために、追加的な倍率(scaling factor)が、変換プロセスの一部として適用される。倍率は、概して、倍率がシフト演算のために2の累乗であること、変換係数のビット深度、正確さと実装コストとの間のトレードオフなどのような特定の制約に基づいて選択される。たとえば、特定の倍率が、たとえば、逆変換処理ユニット212による逆変換(およびたとえば、ビデオデコーダ30における逆変換処理ユニット312による対応する逆変換)のために指定され、たとえば、エンコーダ20の変換処理ユニット206による順変換のための対応する倍率が、それに応じて指定される可能性がある。
【0122】
ビデオエンコーダ20(それぞれ、変換処理ユニット206)の実施形態は、たとえば、ビデオデコーダ30が変換パラメータを受信し、復号のために使用する可能性があるように、たとえば、そのままであるかまたはエントロピー符号化ユニット270によって符号化されるかもしくは圧縮される変換パラメータ、たとえば、ある種の1つの変換または複数の変換を出力するように構成される可能性がある。
【0123】
量子化
量子化ユニット208は、たとえば、スカラー量子化またはベクトル量子化を適用することによって変換係数207を量子化して量子化された係数209を取得するように構成される可能性がある。量子化された係数209は、量子化された変換係数209または量子化された残差係数209とも呼ばれる可能性がある。
【0124】
量子化プロセスは、変換係数207の一部またはすべてに関連するビット深度を削減する可能性がある。たとえば、nビットの変換係数が、量子化中にmビットの変換係数に切り捨てられる可能性があり、nは、mよりも大きい。量子化の度合いは、量子化パラメータ(QP: quantization parameter)を調整することによって修正される可能性がある。たとえば、スカラー量子化に関して、より細かいまたはより粗い量子化を達成するために異なるスケーリングが適用される可能性がある。より小さな量子化ステップサイズは、より細かい量子化に対応し、一方、より大きな量子化ステップサイズは、より粗い量子化に対応する。適用可能な量子化ステップサイズが、量子化パラメータ(QP)によって示される可能性がある。量子化パラメータは、たとえば、適用可能な量子化ステップサイズの予め定義された組へのインデックスである可能性がある。たとえば、小さな量子化パラメータが、細かい量子化(小さな量子化ステップサイズ)に対応する可能性があり、大きな量子化パラメータが、粗い量子化(大きな量子化ステップサイズ)に対応する可能性があり、またはその逆である可能性がある。量子化は、量子化ステップサイズによる除算を含む可能性があり、たとえば、逆量子化ユニット210による対応するおよび/または逆量子化解除は、量子化ステップサイズによる乗算を含む可能性がある。一部の規格、たとえば、HEVCによる実施形態は、量子化パラメータを使用して量子化ステップサイズを決定するように構成される可能性がある。概して、量子化ステップサイズは、除算を含む等式の固定小数点近似(fixed point approximation)を使用して量子化パラメータに基づいて計算される可能性がある。量子化ステップサイズおよび量子化パラメータに関する等式の固定小数点近似において使用されるスケーリングが原因で修正される可能性がある残差ブロックのノルムを復元するために、量子化および量子化解除に関して追加的な倍率が導入される可能性がある。1つの例示的な実装においては、逆変換および量子化解除のスケーリングが、組み合わされる可能性がある。代替的に、カスタマイズされた量子化テーブルが使用され、たとえば、ビットストリーム内でエンコーダからデコーダにシグナリングされる可能性がある。量子化は、不可逆演算であり、損失は、量子化ステップサイズが大きくなるにつれて増加する。
【0125】
ビデオエンコーダ20(それぞれ、量子化ユニット208)の実施形態は、たとえば、ビデオデコーダ30が量子化パラメータを受信し、復号のために適用する可能性があるように、たとえば、そのままであるかまたはエントロピー符号化ユニット270によって符号化される量子化パラメータ(QP)を出力するように構成される可能性がある。
【0126】
逆量子化
逆量子化ユニット210は、たとえば、量子化ユニット208と同じ量子化ステップサイズに基づいてまたはそれを使用して、量子化ユニット208により適用された量子化方式の逆を適用することによって、量子化された係数に量子化ユニット208の逆量子化を適用して量子化解除された係数211を取得するように構成される。量子化解除された係数211は、量子化解除された残差係数211とも呼ばれ、--量子化による損失が原因で概して変換係数と同一ではないが--変換係数207に対応する可能性がある。
【0127】
逆変換
逆変換処理ユニット212は、変換処理ユニット206によって適用された変換の逆変換、たとえば、逆離散コサイン変換(DCT)または逆離散サイン変換(DST)またはその他の逆変換を適用してサンプル領域において再構築された残差ブロック213(または対応する量子化解除された係数213)を取得するように構成される。再構築された残差ブロック213は、変換ブロック(transform block)213とも呼ばれる可能性がある。
【0128】
再構築
再構築ユニット214(たとえば、加算器または合算器214)は、たとえば、再構築された残差ブロック213のサンプル値と予測ブロック265のサンプル値とを--サンプル毎に--足すことによって予測ブロック265に変換ブロック213(すなわち、再構築された残差ブロック213)を足してサンプル領域において再構築されたブロック215を取得するように構成される。
【0129】
フィルタリング
ループフィルタユニット220(または短く「ループフィルタ」220)は、再構築されたブロック215をフィルタリングしてフィルタリングされたブロック221を取得する、または概して、再構築されたサンプルをフィルタリングしてフィルタリングされたサンプル値を取得するように構成される。ループフィルタユニットは、たとえば、ピクセルの遷移を平滑化するかまたはそれ以外の方法でビデオの品質を改善するように構成される。ループフィルタユニット220は、デブロッキングフィルタ、サンプル適応オフセット(SAO: sample-adaptive offset)フィルタ、または1つもしくは複数のその他のフィルタ、たとえば、適応ループフィルタ(ALF: adaptive loop filter)、雑音抑制フィルタ(NSF: noise suppression filter)、もしくはこれらの任意の組合せなどの1つまたは複数のループフィルタを含む可能性がある。例において、ループフィルタユニット220は、デブロッキングフィルタ、SAOフィルタ、およびALFフィルタを含む可能性がある。フィルタリングプロセスの順序は、デブロッキングフィルタ、SAO、およびALFである可能性がある。別の例においては、クロマスケーリングをともなうルママッピング(LMCS: luma mapping with chroma scaling)(つまり、適応的なループ内再整形器(reshaper))と呼ばれるプロセスが、追加される。このプロセスは、デブロッキングの前に実行される。別の例において、デブロッキングフィルタプロセスは、内部の下位ブロックのエッジ、たとえば、アフィンの下位ブロックのエッジ、ATMVPの下位ブロックのエッジ、下位ブロック変換(SBT: sub-block transform)のエッジ、およびイントラ下位区画(ISP: intra sub-partition)のエッジに適用される可能性もある。ループフィルタユニット220は図2にループ内フィルタであるものとして示されるが、その他の構成において、ループフィルタユニット220は、ループ後フィルタとして実装される可能性がある。フィルタリングされたブロック221は、フィルタリングされた再構築されたブロック221とも呼ばれる可能性がある。
【0130】
ビデオエンコーダ20(それぞれ、ループフィルタユニット220)の実施形態は、たとえば、デコーダ30が同じループフィルタのパラメータまたはそれぞれのループフィルタを受信し、復号のために適用する可能性があるように、たとえば、そのままであるかまたはエントロピー符号化ユニット270によって符号化される(SAOフィルタのパラメータ、またはALFフィルタのパラメータ(ALFパラメータ)、またはLMCSのパラメータなどの)ループフィルタのパラメータを出力するように構成される可能性がある。ここで、エントロピー符号化ユニット270は、ピクチャレベルシンタックス要素を現在のピクチャのピクチャヘッダに符号化してもよく、ピクチャレベルシンタックス要素は、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される。
【0131】
復号ピクチャバッファ
復号ピクチャバッファ(DPB)230は、ビデオエンコーダ20によってビデオデータを符号化するための参照ピクチャまたは概して参照ピクチャデータを記憶するメモリである可能性がある。DPB230は、同期DRAM(SDRAM)を含むダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、磁気抵抗RAM(MRAM)、抵抗変化型RAM(RRAM: resistive RAM)、またはその他の種類のメモリデバイスなどの様々なメモリデバイスのいずれかによって形成される可能性がある。復号ピクチャバッファ(DPB)230は、1つまたは複数のフィルタリングされたブロック221を記憶するように構成される可能性がある。復号ピクチャバッファ230は、同じ現在のピクチャまたは異なるピクチャ、たとえば、既に再構築されたピクチャのその他の既にフィルタリングされたブロック、たとえば、既に再構築され、フィルタリングされたブロック221を記憶するようにさらに構成される可能性があり、たとえば、インター予測のために、完全な既に再構築された、つまり、復号されたピクチャ(および対応する参照ブロックおよびサンプル)ならびに/または部分的に再構築された現在のピクチャ(および対応する参照ブロックおよびサンプル)を提供する可能性がある。復号ピクチャバッファ(DPB)230は、たとえば、再構築されたブロック215がループフィルタユニット220によってフィルタリングされない場合、1つもしくは複数のフィルタリングされていない再構築されたブロック215もしくは概してフィルタリングされていない再構築されたサンプルを記憶し、または再構築されたブロックもしくはサンプルの任意のその他のさらに処理されたバージョンを記憶するようにも構成される可能性がある。
【0132】
モード選択(区分け&予測)
モード選択ユニット260は、区分けユニット262、インター予測ユニット244、およびイントラ予測ユニット254を含み、元のピクチャデータ、たとえば、元のブロック203(現在のピクチャ17の現在のブロック203)と、再構築されたピクチャデータ、たとえば、同じ(現在の)ピクチャの、および/またはたとえば復号ピクチャバッファ230もしくはその他のバッファ(たとえば、図示されていないラインバッファ)からの1つもしくは複数の既に復号されたピクチャからのフィルタリングされたおよび/またはフィルタリングされていない再構築されたサンプルまたはブロックとを受け取るかまたは取得するように構成される。再構築されたピクチャデータは、予測ブロック265または予測子(predictor)265を取得するための予測、たとえば、インター予測またはイントラ予測のための参照ピクチャデータとして使用される。
【0133】
モード選択ユニット260は、(区分けを含まない)現在のブロックの予測モードのための区分けおよび予測モード(たとえば、イントラまたはインター予測モード)を決定するかまたは選択し、残差ブロック205の計算および再構築されたブロック215の再構築のために使用される対応する予測ブロック265を生成するように構成される可能性がある。
【0134】
モード選択ユニット260の実施形態は、最良の一致もしくは言い換えると最小の残差(最小の残差は送信もしくは記憶のためのより優れた圧縮を意味する)または最小のシグナリングオーバーヘッド(最小のシグナリングオーバーヘッドは送信もしくは記憶のためのより優れた圧縮を意味する)を提供する、あるいはそれら両方を考慮するかまたは釣り合いを取る区分けおよび予測モードを(たとえば、モード選択ユニット260によってサポートされるかまたはモード選択ユニット260が利用可能な区分けおよび予測モードから)選択するように構成される可能性がある。モード選択ユニット260は、レート歪み最適化(RDO)に基づいて区分けおよび予測モードを決定する、つまり、最小のレート歪みを提供する予測モードを選択するように構成される可能性がある。この文脈の「最良の」、「最小の」、「最適な」などのような用語は、必ずしも全体の「最良の」、「最小の」、「最適な」などを指さず、値が閾値を超えることもしくは下回ることのような終了もしくは選択の基準、または潜在的に「準最適な選択」につながるが、複雑さおよび処理時間を削減するその他の制約を満たすことをも指す可能性もある。
【0135】
言い換えると、区分けユニット262は、ビデオシーケンスのピクチャをコーディングツリーユニット(CTU)のシーケンスに区分けするように構成される可能性があり、CTU 203は、たとえば、四分木区分け(QT)、二分区分け(BT)、または三分木区分け(TT)、またはこれらの任意の組合せを反復的に使用して、(再度ブロックを形成する)より小さなブロックの区画または下位ブロックにさらに区分けされる可能性があり、区分けユニット262は、たとえば、ブロックの区画または下位ブロックの各々に関して予測を実行するように構成される可能性があり、モード選択は、区分けされたブロック203の木構造の選択を含み、予測モードは、ブロックの区画または下位ブロックの各々に適用される。
【0136】
以下で、例示的なビデオエンコーダ20によって実行される(たとえば、区分けユニット260による)区分けならびに(インター予測ユニット244およびイントラ予測ユニット254による)予測処理が、より詳細に説明される。
【0137】
区分け
区分けユニット262は、ビデオシーケンスのピクチャをコーディングツリーユニット(CTU)のシーケンスに区分けするように構成される可能性があり、区分けユニット262は、コーディングツリーユニット(CTU)203をより小さな区画、たとえば、正方形または長方形のサイズのより小さなブロックに区分けする(または分割する)可能性がある。3つのサンプル配列を有するピクチャに関して、CTUは、ルマサンプルのN×Nのブロックと、クロマサンプルの2つの対応するブロックとからなる。CTUのルマブロックの最大の許容されるサイズは、開発中の多目的ビデオコーディング(VVC)においては128×128であるように規定されるが、将来は128×128よりも大きな値、たとえば、256×256であるように規定され得る。ピクチャのCTUは、スライス/タイルグループ、タイル、またはブリックとしてクラスタリングされる/グループ化される可能性がある。タイルは、ピクチャの長方形の領域を包含し、タイルは、1つまたは複数のブリックに分割され得る。ブリックは、タイル内のいくつかのCTUの行からなる。複数のブリックに区分けされないタイルは、ブリックと呼ばれ得る。しかし、ブリックは、タイルの純粋なサブセットであり、タイルとは呼ばれない。VVCにおいてサポートされるタイルグループの2つのモード、すなわち、ラスタスキャンスライス/タイルグループモードおよび長方形スライスモードが、存在する。ラスタ・スキャン・タイル・グループ・モードにおいて、スライス/タイルグループは、ピクチャのタイルのラスタスキャンのタイルのシーケンスを含む。長方形スライスモードにおいて、スライスは、ピクチャの長方形の領域を集合的に形成するピクチャのいくつかのブリックを含む。長方形スライス内のブリックは、スライスのブリックのラスタスキャンの順序になっている。これらのより小さなブロック(下位ブロックとも呼ばれる可能性がある)は、より一層小さな区画にさらに区分けされる可能性がある。これは、木区分けまたは階層的木区分けとも呼ばれ、たとえば、ルートツリーレベル0(階層レベル0、深さ0)のルートブロックが、再帰的に区分けされ、たとえば、次に低いツリーレベルの2つ以上のブロック、たとえば、ツリーレベル1(階層レベル1、深さ1)のノードに区分けされる可能性があり、これらのブロックが、次に低いレベル、たとえば、ツリーレベル2(階層レベル2、深さ2)の2つ以上のブロックに再び区分けされる可能性があり、たとえば、終了基準が満たされる、たとえば、最大のツリーの深さまたは最小のブロックサイズが達せられるので区分けが終了されるまで以下同様である。さらに区分けされないブロックは、木の葉ブロックまたは葉ノードとも呼ばれる。2つの区画への区分けを使用する木は、二分木(BT)と呼ばれ、3つの区画への区分けを使用する木は、三分木(TT)と呼ばれ、4つの区画への区分けを使用する木は、四分木(QT)と呼ばれる。
【0138】
たとえば、コーディングツリーユニット(CTU)は、ルマサンプルのCTB、3つのサンプル配列を有するピクチャのクロマサンプルの2つの対応するCTB、またはモノクロピクチャもしくはサンプルをコーディングするために使用される3つの別々の色平面(colour plane)およびシンタックス(syntax)構造を使用してコーディングされるピクチャのサンプルのCTBであるかまたはそれらを含む可能性がある。それに対応して、コーディングツリーブロック(CTB)は、構成要素のCTBへの分割が区分けであるようなNの何らかの値に関するサンプルのN×Nのブロックである可能性がある。コーディングユニット(CU)は、ルマサンプルのコーディングブロック、3つのサンプル配列を有するピクチャのクロマサンプルの2つの対応するコーディングブロック、またはモノクロピクチャもしくはサンプルをコーディングするために使用される3つの別々の色平面およびシンタックス構造を使用してコーディングされるピクチャのサンプルのコーディングブロックであるかまたはそれらを含む可能性がある。それに対応して、コーディングブロック(CB)は、CTBのコーディングブロックへの分割が区分けであるようなMおよびNの何らかの値に関するサンプルのM×Nのブロックである可能性がある。
【0139】
たとえば、HEVCによる実施形態において、コーディングツリーユニット(CTU)は、コーディングツリーとして表される四分木構造を使用することによってCUに分割される可能性がある。インターピクチャ(時間)予測を使用してピクチャエリアをコーディングすべきかまたはイントラピクチャ(空間)予測を使用してピクチャエリアをコーディングすべきかの判断は、葉CUレベルで行われる。各葉CUは、PU分割タイプに従って1つ、2つ、または4つのPUにさらに分割され得る。1つのPU内では、同じ予測プロセスが適用され、関連する情報がPUに基づいてデコーダに送信される。PU分割タイプに基づいて予測プロセスを適用することによって残差ブロックを取得した後、葉CUは、CUに関するコーディングツリーと同様の別の四分木構造によって変換ユニット(TU)に区分けされ得る。
【0140】
たとえば、多目的ビデオコーディング(VVC)と呼ばれる現在開発されている最新のビデオコーディング規格による実施形態においては、たとえば、二分割および三分割セグメンテーション構造を使用する組み合わされた四分木の入れ子にされたマルチタイプツリーが、コーディングツリーユニットを区分けするために使用される。コーディングツリーユニット内のコーディングツリー構造において、CUは、正方形かまたは長方形かのどちらかの形状を持ち得る。たとえば、コーディングツリーユニット(CTU)は、まず、四分木によって区分けされる。それから、四分木の葉ノードが、マルチタイプツリー構造によってさらに区分けされ得る。マルチタイプツリー構造に4つの分割タイプ、すなわち、垂直二分割(SPLIT_BT_VER)、水平二分割(SPLIT_BT_HOR)、垂直三分割(SPLIT_TT_VER)、および水平三分割(SPLIT_TT_HOR)が存在する。マルチタイプツリーの葉ノードは、コーディングユニット(CU: coding unit)と呼ばれ、CUが最大の変換長(transform length)に関して長すぎない限り、このセグメンテーションが、いかなるさらなる区分けもなしに予測および変換処理のために使用される。これは、ほとんどの場合、CU、PU、およびTUが入れ子にされたマルチタイプツリーコーディングブロック構造を有する四分木内で同じブロックサイズを有することを意味する。例外は、最大のサポートされる変換長がCUの色成分の幅または高さよりも小さいときに発生する。VVCは、入れ子にされたマルチタイプツリーコーディングツリー構造を有する四分木内の区画分割情報の独特なシグナリングメカニズムを開発する。シグナリングメカニズムにおいて、コーディングツリーユニット(CTU)は、四分木の根として扱われ、四分木構造によって最初に区分けされる。(それを許すのに十分なだけ大きいとき)それぞれの四分木の葉ノードは、マルチタイプツリー構造によってさらに区分けされる。マルチタイプツリー構造においては、第1のフラグ(mtt_split_cu_flag)が、ノードがさらに区分けされるかどうかを示すためにシグナリングされ、ノードがさらに区分けされるとき、第2のフラグ(mtt_split_cu_vertical_flag)が、分割方向を示すためにシグナリングされ、それから、第3のフラグ(mtt_split_cu_binary_flag)が、分割が二分割であるかまたは三分割であるかを示すためにシグナリングされる。mtt_split_cu_vertical_flagおよびmtt_split_cu_binary_flagの値に基づいて、CUのマルチタイプツリー分割モード(MttSplitMode)が、予め定義された規則またはテーブルに基づいてデコーダによって導出され得る。特定の設計、たとえば、VVCハードウェアデコーダの64×64ルマブロックおよび32×32クロマパイプライン設計に関しては、図6に示されるように、ルマコーディングブロックの幅かまたは高さかのどちらかが64よりも大きいとき、TT分割は禁止されることに留意されたい。TT分割は、クロマコーディングブロックの幅かまたは高さかのどちらかが32よりも大きいときも禁止される。パイプライン設計は、ピクチャを、ピクチャ内の重なり合わない単位として定義される仮想パイプラインデータユニット(VPDU: Virtual pipeline data unit)に分割する。ハードウェアデコーダにおいては、連続的なVPDUが、複数のパイプラインの段階によって同時に処理される。VPDUのサイズは、ほとんどのパイプラインの段階のバッファサイズにおおよそ比例し、したがって、VPDUのサイズを小さく保つことが重要である。ほとんどのハードウェアデコーダにおいて、VPDUのサイズは、最大変換ブロック(TB)サイズに設定され得る。しかし、VVCにおいては、三分木(TT)および二分木(BT)区分けが、VPDUのサイズの増加につながる可能性がある。
【0141】
さらに、ツリーノードブロックの一部が下または右のピクチャの境界を越えるとき、ツリーノードブロックは、あらゆるコーディングされたCUのすべてのサンプルがピクチャの境界の中に入るまで強制的に分割される。
【0142】
例として、イントラ下位区画(ISP)ツールは、ルマのイントラ予測されたブロックをブロックサイズに応じて2つまたは4つの下位区画に垂直にまたは水平に分割する可能性がある。
【0143】
一例において、ビデオエンコーダ20のモード選択ユニット260は、本明細書において説明される区分け技術の任意の組合せを実行するように構成される可能性がある。
【0144】
上述のように、ビデオエンコーダ20は、1組の(たとえば、予め決定された)予測モードから最良のまたは最適な予測モードを決定するまたは選択するように構成される。1組の予測モードは、たとえば、イントラ予測モードおよび/またはインター予測モードを含む可能性がある。
【0145】
イントラ予測
1組のイントラ予測モードは、たとえばHEVCにおいて定義された35個の異なるイントラ予測モード、たとえば、DC(もしくは平均)モードおよび平面モードのような非方向性モード、または方向性モードを含む可能性があり、あるいはたとえばVVCのために定義された67個の異なるイントラ予測モード、たとえば、DC(もしくは平均)モードおよび平面モードのような非方向性モード、または方向性モードを含む可能性がある。例として、いくつかの通常の方向性イントラ予測モード(angular intra prediction mode)が、たとえば、VVCにおいて定義される、非正方形ブロックのための広角イントラ予測モード(wide-angle intra prediction mode)によって適応的に置き換えられる。別の例として、DC予測のための分割動作を避けるために、長辺のみが、非正方形ブロックに関して平均を計算するために使用される。また、平面モードのイントラ予測の結果が、位置依存イントラ予測組合せ(PDPC: position dependent intra prediction combination)の方法によってさらに修正される可能性がある。
【0146】
イントラ予測ユニット254は、1組のイントラ予測モードのうちのイントラ予測モードによって、同じ現在のピクチャの近隣のブロックの再構築されたサンプルを使用してイントラ予測ブロック265を生成するように構成される。
【0147】
イントラ予測ユニット254(または概してモード選択ユニット260)は、たとえば、ビデオデコーダ30が予測パラメータを受信し、復号のために使用する可能性があるように、符号化されたピクチャデータ21に含めるためにシンタックス要素266の形態でエントロピー符号化ユニット270にイントラ予測パラメータ(または概してブロックに関する選択されたイントラ予測モードを示す情報)を出力するようにさらに構成される。
【0148】
インター予測
1組の(または可能な)インター予測モードは、利用可能な参照ピクチャ(つまり、たとえば、DBP230に記憶された前の少なくとも部分的に復号されたピクチャ)ならびにその他のインター予測パラメータ、たとえば、最もよく一致する参照ブロックを探索するために参照ピクチャ全体が使用されるのかもしくは参照ピクチャの一部のみ、たとえば、現在のブロックのエリアの周りの探索窓(search window)エリアのみが使用されるか、ならびに/またはたとえば、ピクセル補間、たとえば、半/セミペル(half/semi-pel)、4分の1ペルおよび/もしくは1/16ペル補間が適用されるか否かに依存する。
【0149】
上述の予測モードに加えて、スキップモード、ダイレクトモード、および/またはその他のインター予測モードが、適用される可能性がある。
【0150】
たとえば、拡張されたマージ予測において、そのようなモードのマージ候補リストは、以下の5種類の候補、すなわち、空間的な近隣のCUからの空間的MVP、同じ場所にあるCUからの時間的MVP、FIFOテーブルからの履歴に基づくMVP、ペアの平均MVP、およびゼロMVを順に含めることによって構築される。また、両方向マッチングに基づくデコーダ側動きベクトル精緻化(DMVR: decoder side motion vector refinement)が、マージモードのMVの正確性を高めるために適用される可能性がある。MVDを用いるマージモード(MMVD: merge mode with MVD)は、動きベクトルの差分を用いるマージモードに由来する。MMVDモードがCUのために使用されるかどうかを指定するために、スキップフラグおよびマージフラグを送信した直後にMMVDフラグがシグナリングされる。また、CUレベルの適応的動きベクトル解像度(AMVR: adaptive motion vector resolution)方式が、適用される可能性がある。AMVRは、CUのMVDが異なる精度でコーディングされることを可能にする。現在のCUのための予測モードに応じて、現在のCUのMVDが、適応的に選択され得る。CUがマージモードでコーディングされるとき、複合インター/イントラ予測(CIIP: combined inter/intra prediction)モードが、現在のCUに適用される可能性がある。インターおよびイントラ予測信号の加重平均が、CIIP予測を得るために実行される。アフィン動き補償予測においては、ブロックのアフィン動きフィールド(affine motion field)が、2つの制御点(4パラメータ)または3つの制御点動きベクトル(6パラメータ)の動き情報によって記述される。下位ブロックに基づく時間的動きベクトル予測(SbTMVP: subblock-based temporal motion vector prediction)は、HEVCの時間的動きベクトル予測(TMVP: temporal motion vector prediction)に似ているが、現在のCU内の下位CUの動きベクトルを予測する。以前はBIOと呼ばれていた双方向オプティカルフロー(BDOF)は、特に乗算の回数および乗算器のサイズの点でずっと少ない計算を必要とするより単純なバージョンである。三角形区分けモードに関して、そのようなモードにおいて、CUは、対角分割または反対角分割かのどちらかを使用して2つの三角形の区画に均等に分割される。さらに、双予測(bi-prediction)モードが、2つの予測信号の加重平均を可能にするように単純平均から拡張される。
【0151】
インター予測ユニット244は、動き推定(ME)ユニットおよび動き補償(MC)ユニット(どちらも図2に示さず)を含む可能性がある。動き推定ユニットは、動き推定のために、ピクチャブロック203(現在のピクチャ17の現在のピクチャブロック203)および復号されたピクチャ231、または少なくとも1つのもしくは複数の既に再構築されたブロック、たとえば、1つもしくは複数のその他の/異なる既に復号されたピクチャ231の再構築されたブロックを受信するかまたは取得するように構成される可能性がある。たとえば、ビデオシーケンスは、現在のピクチャおよび既に復号されたピクチャ231を含む可能性があり、または言い換えると、現在のピクチャおよび既に復号されたピクチャ231は、ビデオシーケンスを形成するピクチャのシーケンスの一部であるかもしくはそのようなピクチャのシーケンスを形成する可能性がある。
【0152】
エンコーダ20は、たとえば、複数のその他のピクチャのうちの同じまたは異なるピクチャの複数の参照ブロックから参照ブロックを選択し、参照ピクチャ(もしくは参照ピクチャインデックス)および/または参照ブロックの位置(x、y座標)と現在のブロックの位置との間のオフセット(空間オフセット)をインター予測パラメータとして動き推定ユニットに提供するように構成される可能性がある。このオフセットは、動きベクトル(MV)とも呼ばれる。
【0153】
動き補償ユニットは、インター予測パラメータを取得、たとえば、受信し、インター予測パラメータに基づいてまたはインター予測パラメータを使用してインター予測を実行してインター予測ブロック265を取得するように構成される。動き補償ユニットによって実行される動き補償は、おそらくはサブピクセルの精度の補間を実行する動き推定によって決定された動き/ブロックベクトルに基づく予測ブロックのフェッチまたは生成を含む可能性がある。補間フィルタリングが、知られているピクセルサンプルから追加的なピクセルサンプルを生成する可能性があり、したがって潜在的に、ピクチャブロックをコーディングするために使用される可能性がある候補予測ブロックの数を増やす。現在のピクチャブロックのPUに関する動きベクトルを受信すると、動き補償ユニットは、参照ピクチャリストのうちの1つにおいて動きベクトルが指す予測ブロックを見つける可能性がある。
【0154】
動き補償ユニットは、ビデオスライスのピクチャブロックを復号する際にビデオデコーダ30によって使用するためのブロックおよびビデオスライスに関連するシンタックス要素も生成する可能性がある。スライスおよびそれぞれのシンタックス要素に加えて、またはスライスおよびそれぞれのシンタックス要素の代替として、タイルグループおよび/またはタイルならびにそれぞれのシンタックス要素が、生成されるかまたは使用される可能性がある。
【0155】
エントロピーコーディング
エントロピー符号化ユニット270は、たとえば、ビデオデコーダ30がパラメータを受信し、復号のために使用する可能性があるように、たとえば、符号化されたビットストリーム21の形態で出力272を介して出力され得る符号化されたピクチャデータ21を得るために、量子化された係数209、インター予測パラメータ、イントラ予測パラメータ、(1組のALFパラメータなどの)ループフィルタパラメータ、および/またはその他のシンタックス要素に対して、たとえば、エントロピー符号化アルゴリズムもしくは方式(たとえば、可変長コーディング(VLC: variable length coding)方式、コンテキスト適応VLC方式(CAVLC: context adaptive VLC)、算術コーディング方式、2値化、コンテキスト適応2値算術コーディング(CABAC: context adaptive binary arithmetic coding)、シンタックスに基づくコンテキスト適応2値算術コーディング(SBAC: syntax-based context-adaptive binary arithmetic coding)、確率間隔区分エントロピー(PIPE: probability interval partitioning entropy)コーディング、もしくは別のエントロピー符号化方法もしくは技術)またはバイパス(bypass)(非圧縮)を適用するように構成される。符号化されたビットストリーム21は、ビデオデコーダ30に送信されるか、または後の送信またはビデオデコーダ30による取り出しのためにメモリに記憶される可能性がある。
【0156】
ビデオエンコーダ20その他の構造の変化形が、ビデオストリームを符号化するために使用され得る。たとえば、変換に基づかないエンコーダ20は、特定のブロックまたはフレームに関して変換処理ユニット206なしに残差信号を直接量子化し得る。別の実装において、エンコーダ20は、単一のユニットに組み合わされた量子化ユニット208および逆量子化ユニット210を持ち得る。
【0157】
デコーダおよび復号方法
図3は、本出願の技術を実装するように構成されるビデオデコーダ30の例を示す。ビデオデコーダ30は、復号されたピクチャ331を取得するために、たとえば、エンコーダ20によって符号化された符号化されたピクチャデータ21(たとえば、符号化されたビットストリーム21)を受信するように構成される。符号化されたピクチャデータまたはビットストリームは、符号化されたピクチャデータ、たとえば、符号化されたビデオスライス(および/またはタイルグループもしくはタイル)のピクチャブロックならびに関連するシンタックス要素を表すデータを復号するための情報を含む。
【0158】
図3の例において、デコーダ30は、エントロピー復号ユニット304、逆量子化ユニット310、逆変換処理ユニット312、再構築ユニット314(たとえば、合算器314)、ループフィルタ320、復号ピクチャバッファ(DBP)330、モード適用ユニット360、インター予測ユニット344、およびイントラ予測ユニット354を含む。インター予測ユニット344は、動き補償ユニットであるかまたは動き補償ユニットを含む可能性がある。ビデオデコーダ30は、いくつかの例において、図2のビデオエンコーダ100に関連して説明された符号化パスと概して逆である復号パスを実行する可能性がある。
【0159】
エンコーダ20に関連して説明されたように、逆量子化ユニット210、逆変換処理ユニット212、再構築ユニット214、ループフィルタ220、復号ピクチャバッファ(DPB)230、インター予測ユニット344、およびイントラ予測ユニット354は、ビデオエンコーダ20の「内蔵デコーダ」を形成するともみなされる。したがって、逆量子化ユニット310は、逆量子化ユニット110と機能的に同一である可能性があり、逆変換処理ユニット312は、逆変換処理ユニット212と機能的に同一である可能性があり、再構築ユニット314は、再構築ユニット214と機能的に同一である可能性があり、ループフィルタ320は、ループフィルタ220と機能的に同一である可能性があり、復号ピクチャバッファ330は、復号ピクチャバッファ230と機能的に同一である可能性がある。したがって、ビデオ20エンコーダのそれぞれのユニットおよび機能に関して与えられた説明が、ビデオデコーダ30のそれぞれのユニットおよび機能に準用される。
【0160】
エントロピー復号
エントロピー復号ユニット304は、ビットストリーム21(または概して符号化されたピクチャデータ21)を解析し、たとえば、符号化されたピクチャデータ21にエントロピー復号を実行して、たとえば、量子化された係数309ならびに/あるいは復号されたコーディングパラメータ(図3に示さず)、たとえば、インター予測パラメータ(たとえば、参照ピクチャインデックスおよび動きベクトル)、イントラ予測パラメータ(たとえば、イントラ予測モードもしくはインデックス)、変換パラメータ、量子化パラメータ、ループフィルタパラメータ、および/またはその他のシンタックス要素のいずれかまたはすべてを取得するように構成される。エントロピー復号ユニット304は、エンコーダ20のエントロピー符号化ユニット270に関連して説明された符号化方式に対応する復号アルゴリズムまたは方式を適用するように構成される可能性がある。エントロピー復号ユニット304は、インター予測パラメータ、イントラ予測パラメータ、および/またはその他のシンタックス要素をモード適用ユニット360に提供し、その他のパラメータをデコーダ30のその他のユニットに提供するようにさらに構成される可能性がある。ビデオデコーダ30は、ビデオスライスのレベルおよび/またはビデオブロックのレベルでシンタックス要素を受信する可能性がある。スライスおよびそれぞれのシンタックス要素に加えて、またはスライスおよびそれぞれのシンタックス要素の代替として、タイルグループおよび/またはタイルならびにそれぞれのシンタックス要素が、受信されるおよび/または使用される可能性がある。
【0161】
逆量子化
逆量子化ユニット310は、(たとえば、エントロピー復号ユニット304によって、たとえば、解析および/または復号することによって)符号化されたピクチャデータ21から量子化パラメータ(QP)(または概して逆量子化に関連する情報)および量子化された係数を受け取り、復号された量子化された係数309に対して量子化パラメータに基づいて逆量子化を適用して、変換係数311とも呼ばれる可能性がある量子化解除された係数311を取得するように構成される可能性がある。逆量子化プロセスは、量子化の度合いと、同様に、適用されるべき逆量子化の度合いとを決定するために、ビデオスライス(またはタイルまたはタイルグループ)内の各ビデオブロックに関してビデオエンコーダ20によって決定された量子化パラメータを使用することを含む可能性がある。
【0162】
逆変換
逆変換処理ユニット312は、変換係数311とも呼ばれる量子化解除された係数311を受け取り、サンプル領域において再構築された残差ブロック213を取得するために、量子化解除された係数311に変換を適用するように構成される可能性がある。再構築された残差ブロック213は、変換ブロック213とも呼ばれる可能性がある。変換は、逆変換、たとえば、逆DCT、逆DST、逆整数変換、または概念的に同様の逆変換プロセスである可能性がある。逆変換処理ユニット312は、量子化解除された係数311に適用される変換を決定するために、(たとえば、エントロピー復号ユニット304によって、たとえば、解析および/または復号することによって)符号化されたピクチャデータ21から変換パラメータまたは対応する情報を受け取るようにさらに構成される可能性がある。
【0163】
再構築
再構築ユニット314(たとえば、加算器または合算器314)は、たとえば、再構築された残差ブロック313のサンプル値と予測ブロック365のサンプル値とを足すことによって予測ブロック365に再構築された残差ブロック313を足してサンプル領域において再構築されたブロック315を取得するように構成される可能性がある。
【0164】
フィルタリング
(コーディングループ内かまたはコーディングループの後かのどちらかの)ループフィルタユニット320は、たとえば、ピクセルの遷移を平滑化するかまたはそれ以外の方法でビデオの品質を改善するために再構築されたブロック315をフィルタリングしてフィルタリングされたブロック321を取得するように構成される。ループフィルタユニット320は、デブロッキングフィルタ、サンプル適応オフセット(SAO)フィルタ、または1つもしくは複数のその他のフィルタ、たとえば、適応ループフィルタ(ALF)、雑音抑制フィルタ(NSF)、もしくはこれらの任意の組合せなどの1つまたは複数のループフィルタを含む可能性がある。例において、ループフィルタユニット220は、デブロッキングフィルタ、SAOフィルタ、およびALFフィルタを含む可能性がある。フィルタリングプロセスの順序は、デブロッキングフィルタ、SAO、およびALFである可能性がある。別の例においては、クロマスケーリングをともなうルママッピング(LMCS)(つまり、適応的なループ内再整形器)と呼ばれるプロセスが、追加される。このプロセスは、デブロッキングの前に実行される。別の例において、デブロッキングフィルタプロセスは、内部の下位ブロックのエッジ、たとえば、アフィンの下位ブロックのエッジ、ATMVPの下位ブロックのエッジ、下位ブロック変換(SBT)のエッジ、およびイントラ下位区画(ISP)のエッジに適用される可能性もある。ループフィルタユニット320は図3にループ内フィルタであるものとして示されるが、その他の構成において、ループフィルタユニット320は、ループ後フィルタとして実装される可能性がある。
【0165】
復号ピクチャバッファ
それから、ピクチャの復号されたビデオブロック321は、その他のピクチャに関するその後の動き補償のための参照ピクチャとしておよび/またはディスプレイ上にそれぞれ出力するために復号されたピクチャ331を記憶する復号ピクチャバッファ330に記憶される。
【0166】
デコーダ30は、復号されたピクチャ311を、ユーザへの提示または視聴のために、たとえば、出力312を介して出力するように構成される。
【0167】
予測
インター予測ユニット344は、インター予測ユニット244と(特に動き補償ユニットと)同一である可能性があり、イントラ予測ユニット354は、インター予測ユニット254と機能的に同一である可能性があり、(たとえば、エントロピー復号ユニット304によって、たとえば、解析および/または復号することによって)復号されたピクチャデータ21から受け取られた区分けおよび/または予測パラメータまたはそれぞれの情報に基づいて分割または区分けの判断および予測を実行する。モード適用ユニット360は、予測ブロック365を得るために、(フィルタリングされたまたはフィルタリングされていない)再構築されたピクチャ、ブロック、またはそれぞれのサンプルに基づいてブロック毎に予測(イントラまたはインター予測)を実行するように構成される可能性がある。
【0168】
ビデオスライスがイントラコーディングされた(I)スライスとしてコーディングされるとき、モード適用ユニット360のイントラ予測ユニット354は、シグナリングされたイントラ予測モードおよび現在のピクチャの既に復号されたブロックからのデータに基づいて現在のビデオスライスのピクチャブロックに関する予測ブロック365を生成するように構成される。ビデオピクチャがインターコーディングされた(つまり、BまたはP)スライスとしてコーディングされるとき、モード適用ユニット360のインター予測ユニット344(たとえば、動き補償ユニット)は、エントロピー復号ユニット304から受け取られたモーションベクトルおよびその他のシンタックス要素に基づいて現在のビデオスライスのビデオブロックに関する予測ブロック365を生成するように構成される。インター予測に関して、予測ブロックは、参照ピクチャリストのうちの1つの中の参照ピクチャのうちの1つから生成される可能性がある。ビデオデコーダ30は、DPB330に記憶された参照ピクチャに基づいてデフォルトの構築技術を使用して参照フレームリスト、List 0およびList 1を構築する可能性がある。同じまたは同様のことが、スライス(たとえば、ビデオスライス)に加えてまたはスライス(たとえば、ビデオスライス)の代替としてタイルグループ(たとえば、ビデオタイルグループ)および/またはタイル(たとえば、ビデオタイル)を使用する実施形態のためにまたはそのような実施形態によって適用される可能性があり、たとえば、ビデオは、I、P、またはBタイルグループおよび/またはタイルを使用してコーディングされる可能性がある。
【0169】
モード適用ユニット360は、動きベクトルまたは関連する情報およびその他のシンタックス要素を解析することによって現在のビデオスライスのビデオブロックに関する予測情報を決定し、予測情報を使用して、復号されている現在のビデオブロックに関する予測ブロックを生成するように構成される。たとえば、モード適用ユニット360は、受信されたシンタックス要素の一部を使用して、ビデオスライスのビデオブロックをコーディングするために使用された予測モード(たとえば、イントラまたはインター予測)、インター予測のスライスタイプ(たとえば、Bスライス、Pスライス、またはGPBスライス)、スライスのための参照ピクチャリストのうちの1つまたは複数に関する構築情報、スライスのそれぞれのインター符号化されたビデオブロックに関する動きベクトル、スライスのそれぞれのインターコーディングされたビデオブロックに関するインター予測のステータス、および現在のビデオスライス内のビデオブロックを復号するためのその他の情報を決定する。同じまたは同様のことが、スライス(たとえば、ビデオスライス)に加えてまたはスライス(たとえば、ビデオスライス)の代替としてタイルグループ(たとえば、ビデオタイルグループ)および/またはタイル(たとえば、ビデオタイル)を使用する実施形態のためにまたはそのような実施形態によって適用される可能性があり、たとえば、ビデオは、I、P、またはBタイルグループおよび/またはタイルを使用してコーディングされる可能性がある。
【0170】
図3に示されるビデオデコーダ30の実施形態は、スライス(ビデオスライスとも呼ばれる)を使用することによってピクチャを区分けするおよび/または復号するように構成される可能性があり、ピクチャは、1つもしくは複数の(概して重なり合わない)スライスに区分けされるかまたは1つもしくは複数の(概して重なり合わない)スライスを使用して復号される可能性があり、各スライスは、1つもしくは複数のブロック(たとえば、CTU)またはブロックの1つもしくは複数のグループ(たとえば、タイル(H.265/HEVCおよびVVC)もしくはブリック(VVC))を含む可能性がある。
【0171】
図3に示されるビデオデコーダ30の実施形態は、スライス/タイルグループ(ビデオタイルグループとも呼ばれる)および/またはタイル(ビデオタイルとも呼ばれる)を使用することによってピクチャを区分けするおよび/または復号するように構成される可能性があり、ピクチャは、1つもしくは複数の(概して重なり合わない)スライス/タイルグループに区分けされるかまたは1つもしくは複数の(概して重なり合わない)スライス/タイルグループを使用して復号される可能性があり、各スライス/タイルグループは、たとえば、1つもしくは複数のブロック(たとえば、CTU)または1つもしくは複数のタイルを含む可能性があり、各タイルは、たとえば、長方形の形をしている可能性があり、1つまたは複数のブロック(たとえば、CTU)、たとえば、完全なまたは断片的なブロックを含む可能性がある。
【0172】
ビデオデコーダ30のその他の変化形が、符号化されたピクチャデータ21を復号するために使用され得る。たとえば、デコーダ30は、ループフィルタリングユニット320なしで出力ビデオストリームを生成し得る。たとえば、変換に基づかないデコーダ30は、特定のブロックまたはフレームに関して逆変換処理ユニット312なしに残差信号を直接逆量子化し得る。別の実装において、ビデオデコーダ30は、単一のユニットに組み合わされた逆量子化ユニット310および逆変換処理ユニット312を持ち得る。
【0173】
エンコーダ20およびデコーダ30において、現在のステップの処理結果は、さらに処理され、それから次のステップに出力される可能性があることを理解されたい。たとえば、補間フィルタリング、動きベクトルの導出、またはループフィルタリングの後、Clipまたはシフトなどのさらなる演算が、補間フィルタリング、動きベクトルの導出、またはループフィルタリングの処理結果に対して実行される可能性がある。
【0174】
さらなる演算が、(アフィンモードの制御点動きベクトル(control point motion vector)、アフィン、平面、ATMVPモードの下位ブロック動きベクトル、時間動きベクトル(temporal motion vector)などを含むがこれらに限定されない)現在のブロックの導出された動きベクトルに適用される可能性があることに留意されたい。たとえば、動きベクトルの値は、その表現ビットに従って所定の範囲に制約される。動きベクトルの表現ビットがbitDepthである場合、範囲は、-2^(bitDepth-1)~2^(bitDepth-1)-1であり、「^」は、累乗を意味する。たとえば、bitDepthが16に等しいように設定される場合、範囲は、-32768~32767であり、bitDepthが18に等しいように設定される場合、範囲は、-131072~131071である。たとえば、導出された動きベクトル(たとえば、1つの8×8ブロック内の4つの4×4下位ブロックのMV)の値は、4つの4×4下位ブロックのMVの整数部分の間の最大の差が1ピクセル以下などNピクセル以下であるように制約される。ここでは、bitDepthに応じて動きベクトルを制約するための2つの方法を提供する。
【0175】
図4は、本開示の実施形態によるビデオコーディングデバイス400の概略図である。ビデオコーディングデバイス400は、本明細書において説明されるように開示される実施形態を実装するのに好適である。実施形態において、ビデオコーディングデバイス400は、図1Aのビデオデコーダ30などのデコーダまたは図1Aのビデオエンコーダ20などのエンコーダである可能性がある。
【0176】
ビデオコーディングデバイス400は、データを受信するための着信ポート410(または入力ポート410)および受信機ユニット(Rx)420、データを処理するためのプロセッサ、論理ユニット、または中央演算処理装置(CPU)430、データを送信するための送信機ユニット(Tx)440および発信ポート450(または出力ポート450)、ならびにデータを記憶するためのメモリ460を含む。ビデオコーディングデバイス400は、光または電気信号の発信または着信のために着信ポート410、受信機ユニット420、送信機ユニット440、および発信ポート450に結合された光-電気(OE)構成要素および電気-光(EO)構成要素も含む可能性がある。
【0177】
プロセッサ430は、ハードウェアおよびソフトウェアによって実装される。プロセッサ430は、1つまたは複数のCPUチップ、コア(たとえば、マルチコアプロセッサとして)、FPGA、ASIC、およびDSPとして実装される可能性がある。プロセッサ430は、着信ポート410、受信機ユニット420、送信機ユニット440、発信ポート450、およびメモリ460と通信する。プロセッサ430は、コーディングモジュール470を含む。コーディングモジュール470は、上述の開示された実施形態を実装する。たとえば、コーディングモジュール470は、様々なコーディング動作を実装するか、処理するか、準備するか、または提供する。したがって、コーディングモジュール470を含むことは、ビデオコーディングデバイス400の機能を大幅に改善し、ビデオコーディングデバイス400の異なる状態への転換をもたらす。代替的に、コーディングモジュール470は、メモリ460に記憶され、プロセッサ430によって実行される命令として実装される。
【0178】
メモリ460は、1つまたは複数のディスク、テープドライブ、およびソリッドステートドライブを含む可能性があり、プログラムが実行するために選択されるときにそのようなプログラムを記憶するためならびにプログラムの実行中に読まれる命令およびデータを記憶するためのオーバーフローデータストレージデバイス(over-flow data storage device)として使用される可能性がある。メモリ460は、たとえば、揮発性および/または不揮発性である可能性があり、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、3値連想メモリ(TCAM: ternary content-addressable memory)、および/またはスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)である可能性がある。
【0179】
図5は、例示的な実施形態による、図1の送信元デバイス12および送信先デバイス14のどちらかまたは両方として使用される可能性がある装置500の簡略化されたブロック図である。
【0180】
装置500のプロセッサ502は、中央演算処理装置であることが可能である。代替的に、プロセッサ502は、既存のまたは今後開発される、情報を操作または処理することができる任意のその他の種類の1つのデバイスまたは複数のデバイスであることが可能である。開示される実装は示されるように単一のプロセッサ、たとえば、プロセッサ502によって実施され得るが、2つ以上のプロセッサを使用することによって速度および効率面の利点が実現され得る。
【0181】
装置500のメモリ504は、実装において、読み出し専用メモリ(ROM)デバイスまたはランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスであることが可能である。任意のその他の好適な種類のストレージデバイスが、メモリ504として使用され得る。メモリ504は、バス512を使用してプロセッサ502によってアクセスされるコードおよびデータ506を含み得る。メモリ504は、オペレーティングシステム508およびアプリケーションプログラム510をさらに含むことが可能であり、アプリケーションプログラム510は、プロセッサ502が本明細書において説明される方法を実行すること可能にする少なくとも1つのプログラムを含む。たとえば、アプリケーションプログラム510は、本明細書において説明される方法を実行するビデオコーディングアプリケーションをさらに含むアプリケーション1からNを含み得る。
【0182】
装置500は、ディスプレイ518などの1つまたは複数の出力デバイスも含み得る。ディスプレイ518は、一例において、ディスプレイをタッチ入力を感知するように動作可能であるタッチ感知要素と組み合わせるタッチ式ディスプレイである可能性がある。ディスプレイ518は、バス512を介してプロセッサ502に結合され得る。
【0183】
ここでは単一のバスとして示されるが、装置500のバス512は、複数のバスから構成され得る。さらに、二次ストレージ514は、装置500のその他の構成要素に直接結合されることが可能であり、またはネットワークを介してアクセスされることが可能であり、メモリカードなどの単一の統合されたユニットもしくは複数のメモリカードなどの複数のユニットを含むことが可能である。したがって、装置500は、多種多様な構成で実装され得る。
【0184】
デコーダパラメータセット(DPS: Decoder Parameter Set)
(HEVCと同様に)サブレイヤの最大数と、ビットストリームを復号することができるデコーダのプロファイルおよびレベルを示し、ビットストリームに適用される制約を含むprofile_level( )シンタックス構造とを含むためのシンタックス構造が提案される。
【0185】
DPSのシンタックステーブルの例が、下に示される。
【0186】
【表1】
【0187】
DPS生バイトシーケンスペイロード(RBSP: raw byte sequence payload)は、参照される前に復号プロセスに利用可能になり、時間識別子(TemporalId)が0に等しい少なくとも1つのAUに含まれるか、または外部手段によって提供される。
注1--DPS NALユニットは、参照される前に復号プロセスに(ビットストリーム中でかまたは外部手段によるかのどちらかで)利用可能であることが必要とされる。しかし、DPS RBSPは、本明細書の第2項から第9項に規定される復号プロセスの動作に必要でない情報を含む。
【0188】
dps_decoding_parameter_set_idは、その他のシンタックス要素による参照のためにDPSを特定する。dps_decoding_parameter_set_idの値は、0より大きい。
【0189】
dps_max_sublayers_minus1に1を足した値は、DPSを参照する各CVSのレイヤ内に存在してよい時間サブレイヤ(temporal sublayer)の最大数を指定する。dps_max_sublayers_minus1の値は、0および6を含んで0から6までの範囲内にある。
【0190】
dps_reserved_zero_5bitsは、本明細書のこのバージョンに準拠するビットストリームにおいては0に等しい。dps_reserved_zero_5bitsのその他の値は、ITU-T | ISO/IECによって将来の使用のために予約されている。
【0191】
dps_num_ptls_minus1に1を足した値は、DPS内のprofile_tier_level( )シンタックス構造の数を指定する。
【0192】
DPS内に2つ以上のprofile_tier_level( )シンタックス構造が存在するときは、ビットストリーム内の各CVSがprofile_tier_level( )シンタックス構造のうちの少なくとも1つに準拠することが、ビットストリームの準拠(bitstream conformance)の要件である。
【0193】
0に等しいdps_extension_flagは、dps_extension_data_flagシンタックス要素がDPS RBSPシンタックス構造内に存在しないことを指定する。1に等しいdps_extension_flagは、dps_extension_data_flagシンタックス要素がDPS RBSPシンタックス構造内に存在することを指定する。
【0194】
dps_extension_data_flagは、任意の値を有してよい。dps_extension_data_flagの存在および値は、付録Aに規定されたプロファイルへのデコーダの準拠に影響を与えない。本明細書のこのバージョンに準拠するデコーダは、すべてのdps_extension_data_flagシンタックス要素を無視する。
【0195】
シーケンスパラメータセットのRBSPのシンタックス
【0196】
【表2】
【0197】
1に等しいsps_ptl_dpb_hrd_params_present_flagは、profile_tier_level( )シンタックス構造およびdpb_parameters( )シンタックス構造がSPS内に存在し、general_hrd_parameters( )シンタックス構造およびols_hrd_parameters( )シンタックス構造もSPS内に存在する場合があることを指定する。0に等しいsps_ptl_dpb_hrd_params_present_flagは、これら4つのシンタックス構造のいずれもSPS内に存在しないことを指定する。sps_ptl_dpb_hrd_params_present_flagの値は、vps_independent_layer_flag[ GeneralLayerIdx[ nuh_layer_id ] ]に等しくなる。
【0198】
vps_independent_layer_flag[ GeneralLayerIdx[ nuh_layer_id ] ]が1に等しい場合、変数MaxDecPicBuffMinus1は、SPS内のdpb_parameters( )シンタックス構造のmax_dec_pic_buffering_minus1[ sps_max_sublayers_minus1 ]に等しく設定される。それ以外の場合、MaxDecPicBuffMinus1は、VPS内のlayer_nonoutput_dpb_params_idx[ GeneralLayerIdx[ nuh_layer_id ] ]番目のdpb_parameters( )シンタックス構造のmax_dec_pic_buffering_minus1[ sps_max_sublayers_minus1 ]に等しく設定される。
【0199】
全般的プロファイル、ティア、およびレベルシンタックス
【0200】
【表3】
【0201】
全般的プロファイル、ティア、およびレベルセマンティクス
profile_tier_level( )シンタックス構造は、レベル情報と、任意で、プロファイル、ティア、サブプロファイル、および全般的な制約情報とを提供する。
【0202】
profile_tier_level( )シンタックス構造がDPSに含まれるとき、OlsInScopeは、DPSを参照するビットストリーム全体のすべてのレイヤを含むOLSである。[profile_tier_level( )シンタックス構造がVPSに含まれるとき、OlsInScopeは、VPSによって指定された1つまたは複数のOLSである。profile_tier_level( )シンタックス構造がSPSに含まれるとき、OlsInScopeは、SPSを参照するレイヤの中で最下位のレイヤであるレイヤのみを含むOLSであり、この最下位のレイヤは、独立レイヤである。
【0203】
general_profile_idcは、付録Aに規定されたようにOlsInScopeが準拠するプロファイルを示す。ビットストリームは、付録Aに規定された値以外のgeneral_profile_idcの値を含まない。general_profile_idcのその他の値は、ITU-T | ISO/IECによって将来の使用のために予約されている。
【0204】
general_tier_flagは、付録Aに規定されたようにgeneral_level_idcの解釈のためのティアコンテキスト(tier context)を指定する。
【0205】
general_level_idcは、付録Aに規定されたようにOlsInScopeが準拠するレベルを示す。ビットストリームは、付録Aに規定された値以外のgeneral_level_idcの値を含まない。general_level_idcのその他の値は、ITU-T | ISO/IECによって将来の使用のために予約されている。
注1--general_level_idcのより大きな値は、より高いレベルを示す。OlsInScopeに関してDPS内でシグナリングされる最大レベルは、OlsInScopeに含まれるCVSに関してSPS内でシグナリングされるレベルより高くてよい。
注2--OlsInScopeが複数のプロファイルに準拠するとき、general_profile_idcが、(本明細書において規定されない方法で)エンコーダによって決定されたように、好ましい復号された結果または好ましいビットストリーム識別情報を提供するプロファイルを示すべきである。
注3--profile_tier_level( )シンタックス構造がDPSに含まれ、OlsInScopeのCVSが異なるプロファイルに準拠するとき、general_profile_idcおよびlevel_idcが、OlsInScopeを復号することができるデコーダのプロファイルおよびレベルを示すべきである。
【0206】
num_sub_profilesは、general_sub_profile_idc[ i ]シンタックス要素の数を指定する。
【0207】
general_sub_profile_idc[ i ]は、Rec. ITU-T T.35によって規定されたように登録されたi番目の相互運用性メタデータを示し、その内容は、本仕様書において規定されない。
【0208】
1に等しいsublayer_level_present_flag[ i ]は、TemporalIdがiに等しいサブレイヤ表現のためのprofile_tier_level( )シンタックス構造内にレベル情報が存在することを指定する。0に等しいsublayer_level_present_flag[ i ]は、TemporalIdがiに等しいサブレイヤ表現のためのprofile_tier_level( )シンタックス構造内にレベル情報が存在しないことを指定する。
【0209】
ptl_alignment_zero_bitは、0に等しい。
【0210】
シンタックス要素sublayer_level_idc[ i ]のセマンティクスは、非現在値の推測の規定以外はシンタックス要素general_level_idcと同じであるが、TemporalIdがiに等しいサブレイヤ表現に適用される。
【0211】
存在しないとき、sublayer_level_idc[ i ]の値は、以下のように推測される。
- sublayer_level_idc[ maxNumSubLayersMinus1 ]が、同じprofile_tier_level( )構造のgeneral_level_idcに等しいと推測される。
- (iの値の降順で)maxNumSubLayersMinus1 - 1および0を含んでmaxNumSubLayersMinus1 - 1から0までのiに対して、sublayer_level_idc[ i ]が、sublayer_level_idc[ i + 1 ]に等しいと推測される。
【0212】
ピクチャヘッダのRBSPのシンタックス
【0213】
【表4】
【0214】
1に等しいpic_alf_enabled_present_flagは、pic_alf_enabled_flag、pic_num_alf_aps_ids_luma、pic_alf_aps_id_luma[ i ]、pic_alf_chroma_idc、およびpic_alf_aps_id_chromaがPH内に存在することを指定する。0に等しいpic_alf_enabled_present_flagは、pic_alf_enabled_flag、pic_num_alf_aps_ids_luma、pic_alf_aps_id_luma[ i ]、pic_alf_chroma_idc、およびpic_alf_aps_id_chromaがPH内に存在しないことを指定する。pic_alf_enabled_present_flagが存在しないとき、pic_alf_enabled_present_flagは0に等しいと推測される。
【0215】
1に等しいpic_alf_enabled_flagは、適応ループフィルタがPHに関連するすべてのスライスのために有効化され、スライス内のY、Cb、またはCr色成分に適用されてよいことを指定する。0に等しいpic_alf_enabled_flagは、適応ループフィルタがPHに関連する1つ、または複数、またはすべてのスライスのために無効化されてよいことを指定する。存在しないとき、pic_alf_enabled_flagは、0に等しいと推測される。
【0216】
pic_num_alf_aps_ids_lumaは、PHに関連するスライスが参照するALF APSの数を指定する。
【0217】
pic_alf_aps_id_luma[ i ]は、PHに関連するスライスのルマ成分が参照するi番目のALF APSのadaptation_parameter_set_idを指定する。
【0218】
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよびpic_alf_aps_id_luma[ i ]に等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPS NALユニットのalf_luma_filter_signal_flagの値は、1に等しい。
【0219】
0に等しいpic_alf_chroma_idcは、適応ループフィルタがCbおよびCr色成分に適用されないことを指定する。1に等しいpic_alf_chroma_idcは、適応ループフィルタがCb色成分に適用されることを示す。2に等しいpic_alf_chroma_idcは、適応ループフィルタがCr色成分に適用されることを示す。3に等しいpic_alf_chroma_idcは、適応ループフィルタがCbおよびCr色成分に適用されることを示す。pic_alf_chroma_idcが存在しないとき、pic_alf_chroma_idcは、0に等しいと推測される。
【0220】
pic_alf_aps_id_chromaは、PHに関連するスライスのクロマ成分が参照するALF APSのadaptation_parameter_set_idを指定する。
【0221】
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよびpic_alf_aps_id_chromaに等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPS NALユニットのalf_chroma_filter_signal_flagの値は、1に等しい。
【0222】
PPS
【0223】
【表5A】
【表5B】
【0224】
1に等しいpps_subpic_id_signalling_present_flagは、サブピクチャIDのマッピングがPPS内でシグナリングされることを指定する。0に等しいpps_subpic_id_signalling_present_flagは、サブピクチャIDのマッピングがPPS内でシグナリングされないことを指定する。sps_subpic_id_present_flagが0であるかまたはsps_subpic_id_signalling_present_flagが1に等しいとき、pps_subpic_id_signalling_present_flagは、0に等しい。
【0225】
pps_num_subpics_minus1に1を足した値は、PPSを参照するコーディングされたピクチャ内のサブピクチャの数を指定する。
【0226】
pps_num_subpic_minus1の値がsps_num_subpics_minus1に等しいことが、ビットストリームの準拠の要件である。
【0227】
pps_subpic_id_len_minus1に1を足した値は、シンタックス要素pps_subpic_id[ i ]を表すために使用されるビット数を指定する。pps_subpic_id_len_minus1の値は、0および15を含んで0から15までの範囲内にある。
【0228】
pps_subpic_id_len_minus1の値は、CLVS内のコーディングされたピクチャによって参照されるすべてのPPSに関して同じであることが、ビットストリームの準拠の要件である。
【0229】
pps_subpic_id[ i ]は、i番目のサブピクチャのサブピクチャIDを指定する。pps_subpic_id[ i ]シンタックス要素の長さは、pps_subpic_id_len_minus1 + 1ビットである。
【0230】
1に等しいno_pic_partition_flagは、PPSを参照する各ピクチャにピクチャの区分けが適用されないことを指定する。0に等しいno_pic_partition_flagは、PPSを参照する各ピクチャが、2つ以上のタイルまたはスライスに区分けされる場合があることを指定する。
【0231】
no_pic_partition_flagの値は、CLVS内のコーディングされたピクチャによって参照されるすべてのPPSに関して同じであることが、ビットストリームの準拠の要件である。
【0232】
sps_num_subpics_minus1 + 1の値が1より大きいとき、no_pic_partition_flagの値が1に等しくないことが、ビットストリームの準拠の要件である。
【0233】
pps_log2_ctu_size_minus5に5を足した値は、各CTUのルマコーディングツリーブロックサイズを指定する。pps_log2_ctu_size_minus5は、sps_log2_ctu_size_minus5に等しい。
【0234】
num_exp_tile_columns_minus1に1を足した値は、明示的に提供されるタイル列の幅の数を指定する。num_exp_tile_columns_minus1の値は、0およびPicWidthInCtbsY - 1を含んで0からPicWidthInCtbsY - 1までの範囲内にある。no_pic_partition_flagが1に等しいとき、num_exp_tile_columns_minus1の値は、0に等しいと推測される。
【0235】
num_exp_tile_rows_minus1に1を足した値は、明示的に提供されるタイル行の高さの数を指定する。num_exp_tile_rows_minus1の値は、0およびPicHeightInCtbsY - 1を含んで0からPicHeightInCtbsY - 1までの範囲内にある。no_pic_partition_flagが1に等しいとき、num_tile_rows_minus1の値は、0に等しいと推測される。
【0236】
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。
【0237】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。
【0238】
0に等しいrect_slice_flagは、各スライス内のタイルがラスタスキャン順になっており、スライス情報がPPS内でシグナリングされないことを指定する。1に等しいrect_slice_flagは、各スライス内のタイルがピクチャの長方形領域をカバーし、スライス情報がPPS内でシグナリングされることを指定する。存在しないとき、rect_slice_flagは、1に等しいと推測される。subpics_present_flagが1に等しいとき、rect_slice_flagの値は、1に等しい。
【0239】
1に等しいsingle_slice_per_subpic_flagは、各サブピクチャが1つの長方形スライスのみから成ることを指定する。0に等しいsingle_slice_per_subpic_flagは、各サブピクチャが1つまたは複数の長方形スライスから成る場合があることを指定する。subpics_present_flagが0に等しいとき、single_slice_per_subpic_flagは、0に等しい。single_slice_per_subpic_flagが1に等しいとき、num_slices_in_pic_minus1は、sps_num_subpics_minus1に等しいと推測される。
【0240】
num_slices_in_pic_minus1に1を足した値は、PPSを参照する各ピクチャ内の長方形スライスの数を指定する。num_slices_in_pic_minus1の値は、0およびMaxSlicesPerPicture - 1を含んで0からMaxSlicesPerPicture - 1までの範囲内にあり、MaxSlicesPerPictureは、付録Aに規定されている。no_pic_partition_flagが1に等しいとき、num_slices_in_pic_minus1の値は、0に等しいと推測される。
【0241】
0に等しいtile_idx_delta_present_flagは、tile_idx_delta値がPPS内に存在せず、PPSを参照するピクチャ内のすべての長方形スライスが6.5.1項に定義されたプロセスに従ってラスタ順に指定されることを指定する。1に等しいtile_idx_delta_present_flagは、tile_idx_delta値がPPS内に存在する場合があり、PPSを参照するピクチャ内のすべての長方形スライスがtile_idx_deltaの値によって示される順序で指定されることを指定する。
【0242】
slice_width_in_tiles_minus1[ i ]に1を足した値は、タイル列を単位としてi番目の長方形スライスの幅を指定する。slice_width_in_tiles_minus1[ i ]の値は、0およびNumTileColumns - 1を含んで0からNumTileColumns - 1までの範囲内にある。存在しないとき、slice_width_in_tiles_minus1[ i ]の値は、6.5.1項に規定されたように推測される。
【0243】
slice_height_in_tiles_minus1[ i ]に1を足した値は、タイル行を単位としてi番目の長方形スライスの高さを指定する。slice_height_in_tiles_minus1[ i ]の値は、0およびNumTileRows - 1を含んで0からNumTileRows - 1までの範囲内にある。存在しないとき、slice_height_in_tiles_minus1[ i ]の値は、6.5.1項に規定されたように推測される。
【0244】
num_slices_in_tile_minus1[ i ]に1を足した値は、i番目のスライスが単一のタイルからのCTU行のサブセットを含む場合、現在のタイル内のスライスの数を指定する。num_slices_in_tile_minus1[ i ]の値は、0およびRowHeight[ tileY ] - 1を含んで0からRowHeight[ tileY ] - 1までの範囲内にあり、tileYは、i番目のスライスを含むタイル行のインデックスである。存在しないとき、num_slices_in_tile_minus1[ i ]の値は、0に等しいと推測される。
【0245】
slice_height_in_ctu_minus1[ i ]に1を足した値は、i番目のスライスが単一のタイルからのCTU行のサブセットを含む場合、CTU行を単位としてi番目の長方形スライスの高さを指定する。slice_height_in_ctu_minus1[ i ]の値は、0およびRowHeight[ tileY ] - 1を含んで0からRowHeight[ tileY ] - 1までの範囲内にあり、tileYは、i番目のスライスを含むタイル行のインデックスである。
【0246】
tile_idx_delta[ i ]は、i番目の長方形スライスと(i + 1)番目の長方形スライスとの間のタイルインデックスの差を指定する。tile_idx_delta[ i ]の値は、-NumTilesInPic + 1およびNumTilesInPic - 1を含んで-NumTilesInPic + 1からNumTilesInPic - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しいと推測される。すべてのその他の場合、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しくない。
【0247】
6.5.1 CTBラスタスキャン、タイルスキャン、およびサブピクチャスキャンプロセス
タイル列の数を指定する変数NumTileColumnsと、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する、0およびNumTileColumn - 1を含んで0からNumTileColumn - 1までの範囲のiに対するリストColWidth[ i ]とが、以下のように導出される。
remainingWidthInCtbsY = PicWidthInCtbsY
for( i = 0; i < num_exp_tile_columns_minus1; i++ ) {
colWidth[ i ] = tile_column_width_minus1[ i ] + 1
remainingWidthInCtbsY -= colWidth[ i ]
}
uniformTileColWidth = tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ] + 1 (23)
while( remainingWidthInCtbsY >= uniformTileColWidth ) {
colWidth[ i++ ] = uniformTileColWidth
remainingWidthInCtbsY -= uniformTileColWidth
}
if( remainingWidthInCtbsY > 0 )
colWidth[ i++ ] = remainingWidthInCtbsY
NumTileColumns = i
【0248】
タイル行の数を指定する変数NumTileRowsと、CTBを単位としてj番目のタイル行の高さを指定する、0およびNumTileRows - 1を含んで0からNumTileRows - 1までの範囲のjに対するリストRowHeight[ j ]とが、以下のように導出される。
remainingHeightInCtbsY = PicHeightInCtbsY
for( j = 0; j < num_exp_tile_rows_minus1; j++ ) {
RowHeight[ j ] = tile_row_height_minus1[ j ] + 1
remainingHeightInCtbsY -= RowHeight[ j ]
}
uniformTileRowHeight = tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ] + 1 (24)
while( remainingHeightInCtbsY >= uniformTileRowHeight ) {
RowHeight[ j++ ] = uniformTileRowHeight
remainingHeightInCtbsY -= uniformTileRowHeight
}
if( remainingHeightInCtbsY > 0 )
RowHeight[ j++ ] = remainingHeightInCtbsY
NumTileRows = j
【0249】
変数NumTilesInPicは、NumTileColumns * NumTileRowsに等しいように設定される。
【0250】
CTBを単位としてi番目のタイル列の境界の位置を指定する、0およびNumTileColumnsを含んで0からNumTileColumnsまでの範囲のiに対するリストtileColBd[ i ]が、以下のように導出される。
for( tileColBd[ 0 ] = 0, i = 0; i < NumTileColumns; i++ )
tileColBd[ i + 1 ] = tileColBd[ i ] + colWidth[ i ] (25)
【0251】
CTBを単位としてj番目のタイル行の境界の位置を指定する、0およびNumTileRowsを含んで0からNumTileRowsまでの範囲のjに対するリストtileRowBd[ j ]が、以下のように導出される。
for( tileRowBd[ 0 ] = 0, j = 0; j < NumTileRows; j++ )
tileRowBd[ j + 1 ] = tileRowBd[ j ] + RowHeight[ j ] (26)
【0252】
水平CTBアドレスからCTBを単位とする左のタイル列の境界への変換を指定する、0およびPicWidthInCtbsYを含んで0からPicWidthInCtbsYまでの範囲のctbAddrXに対するリストCtbToTileColBd[ ctbAddrX ]が、以下のように導出される。
tileX = 0
for( ctbAddrX = 0; ctbAddrX <= PicWidthInCtbsY; ctbAddrX++ ) {
if( ctbAddrX == tileColBd[ tileX + 1 ] ) (27)
tileX++
CtbToTileColBd[ ctbAddrX ] = tileColBd[ tileX ]
}
【0253】
垂直CTBアドレスからCTBを単位とする上のタイル列の境界への変換を指定する、0およびPicHeightInCtbsYを含んで0からPicHeightInCtbsYまでの範囲のctbAddrYに対するリストCtbToTileRowBd[ ctbAddrY ]が、以下のように導出される。
tileY = 0
for( ctbAddrY = 0; ctbAddrY <= PicHeightInCtbsY; ctbAddrY++ ) {
if( ctbAddrY == tileRowBd[ tileY + 1 ] ) (28)
tileY++
CtbToTileRowBd[ ctbAddrY ] = tileRowBd[ tileY ]
}
長方形スライスに関して、i番目のスライス内のCTUの数を指定する、0およびnum_slices_in_pic_minus1を含んで0からnum_slices_in_pic_minus1までの範囲のiに対するリストNumCtuInSlice[ i ]と、i番目のスライス内のj番目のCTBのピクチャラスタスキャンアドレスを指定する、0およびnum_slices_in_pic_minus1を含んで0からnum_slices_in_pic_minus1までの範囲のi、ならびに0およびNumCtuInSlice[ i ] - 1を含んで0からNumCtuInSlice[ i ] - 1までの範囲のjに対する行列CtbAddrInSlice[ i ][ j ]とが、以下のように導出される。
if( subpics_present_flag && single_slice_per_subpic_flag ) {
for( i = 0; i <= sps_num_subpics_minus1; i++ )
NumCtuInSlice[ i ] = 0
for( i = 0; i < PicSizeInCtbsY; i ++ ) {
sliceIdx = CtbToSubPicIdx[ i ]
CtbAddrInSlice[ sliceIdx ][ NumCtuInSlice[ sliceIdx ] ] = i
NumCtuInSlice[ sliceIdx ]++
}
} else {
tileIdx = 0
for( i = 0; i <= num_slices_in_pic_minus1; i++ )
NumCtuInSlice[ i ] = 0
for( i = 0; i <= num_slices_in_pic_minus1; i++ ) {
tileX = tileIdx % NumTileColumns
tileY = tileIdx / NumTileColumns
if( i == num_slices_in_pic_minus1 ) {
slice_width_in_tiles_minus1[ i ] = NumTileColumns - 1 - tileX
slice_height_in_tiles_minus1[ i ] = NumTileRows - 1 - tileY
num_slices_in_tile_minus1[ i ] = 0
}
if( slice_width_in_tiles_minus1[ i ] == 0 && slice_height_in_tiles_minus1[ i ] == 0 ) { (29)
ctbY = tileRowBd[ tileY ]
for( j = 0; j < num_slices_in_tile_minus1[ i ]; j++ ) {
AddCtbsToSlice( i, tileColBd[ tileX ], tileColBd[ tileX + 1 ],
ctbY, ctbY + slice_height_in_ctu_minus1[ i ] + 1 )
ctbY += slice_height_in_ctu_minus1[ i ] + 1
i++
}
AddCtbsToSlice( i, tileColBd[ tileX ], tileColBd[ tileX + 1 ], ctbY, tileRowBd[ tileY + 1 ] )
} else
for( j = 0; j <= slice_height_in_tiles_minus1[ i ]; j++ )
for( k = 0; k <= slice_width_in_tiles_minus1[ i ]; k++ )
AddCtbsToSlice( i, tileColBd[ tileX + k ], tileColBd[ tileX + k + 1 ],
tileRowBd[ tileY + j ], tileRowBd[ tileY + j + 1 ] )
if( tile_idx_delta_present_flag )
tileIdx += tile_idx_delta[ i ]
else {
tileIdx += slice_width_in_tiles_minus1[ i ] + 1
if( tileIdx % NumTileColumns == 0 )
tileIdx += slice_height_in_tiles_minus1[ i ] * NumTileColumns
}
}
}
【0254】
関数AddCtbsToSlice( sliceIdx, startX, stopX, startY, stopY )は、以下のように規定される。
for( ctbY = startY; ctbY < stopY; ctbY++ )
for( ctbX = startX; ctbX < stopX; ctbX++ ) {
CtbAddrInSlice[ sliceIdx ][ NumCtuInSlice[ sliceIdx ] ] = ctbY * PicWidthInCtbsY + ctbX (30)
NumCtuInSlice[ sliceIdx ]++
}
【0255】
0およびnum_slices_in_pic_minus1を含んで0からnum_slices_in_pic_minus1までの範囲のiに対するNumCtuInSlice[ i ]の値が0より大きいことが、ビットストリームの準拠の要件である。さらに、0およびnum_slices_in_pic_minus1を含んで0からnum_slices_in_pic_minus1までの範囲のi、ならびに0およびNumCtuInSlice[ i ] - 1を含んで0からNumCtuInSlice[ i ] - 1までの範囲のjに対する行列CtbAddrInSlice[ i ][ j ]が0からPicSizeInCtbsY - 1までの範囲内のすべてのCTBアドレスを一度だけ含むことが、ビットストリームの準拠の要件である。
【0256】
ピクチャラスタスキャンにおけるCTBアドレスからサブピクチャインデックスへの変換を指定する、0およびPicSizeInCtbsY - 1を含んで0からPicSizeInCtbsY - 1までの範囲のctbAddrRsに対するリストCtbToSubPicIdx[ ctbAddrRs ]が、以下のように導出される。
for( ctbAddrRs = 0; ctbAddrRs < PicSizeInCtbsY; ctbAddrRs++ ) {
posX = ctbAddrRs % PicWidthInCtbsY
posY = ctbAddrRs / PicWidthInCtbsY
CtbToSubPicIdx[ ctbAddrRs ] = -1
for( i = 0; CtbToSubPicIdx[ ctbAddrRs ] < 0 && i <= sps_num_subpics_minus1; i++ ) { (31)
if( ( posX >= subpic_ctu_top_left_x[ i ] ) &&
( posX < subpic_ctu_top_left_x[ i ] + subpic_width_minus1[ i ] + 1 ) &&
( posY >= subpic_ctu_top_left_y[ i ] ) &&
( posY < subpic_ctu_top_left_y[ i ] + subpic_height_minus1[ i ] + 1 ) )
CtbToSubPicIdx[ ctbAddrRs ] = i
}
}
【0257】
i番目のサブピクチャ内の長方形スライスの数およびi番目のサブピクチャ内のk番目のスライスのピクチャレベルスライスインデックスを指定するリストNumSlicesInSubpic[ i ]およびSliceSubpicToPicIdx[ i ][ k ]が、次のように導出される。
for( j = 0; j <= sps_num_subpics_minus1; j++ )
NumSlicesInSubpic[ j ] = 0
for( i = 0; i <= num_slices_in_pic_minus1; i++ ) {
posX = CtbAddrInSlice[ i ][ 0 ] % PicWidthInCtbsY
posY = CtbAddrInSlice[ i ][ 0 ] / PicWidthInCtbsY
for( j = 0; j <= sps_num_subpics_minus1; j++ ) {
if( ( posX >= subpic_ctu_top_left_x[ j ] ) && (32)
( posX < subpic_ctu_top_left_x[ j ] + subpic_width_minus1[ j ] + 1 ) &&
( posY >= subpic_ctu_top_left_y[ j ] ) &&
( posY < subpic_ctu_top_left_y[ j ] + subpic_height_minus1[ j ] + 1 ) ) {
SliceSubpicToPicIdx[ j ][ NumSlicesInSubpic[ j ] ] = i
NumSlicesInSubpic[ j ]++
}
}
}
【0258】
現在、DPSはDPS IDを有し、DPS NALユニットの内容とID値との対応する関係に制約はない。
【0259】
また、DPSがビットストリーム内にある可能性がある回数に制約はない。ビットストリーム内に多くのDPSが存在し、それらのDPSが同じDPS IDを有する場合、デコーダは、どのDPSを選択すべきか分からない。
【0260】
DPS内でシグナリングされるレベルは、ビットストリーム全体の最悪な場合の能力であるべきであり、したがって、SPS内でシグナリングされるレベル未満であるべきでない。
【0261】
現在、APS NALユニットのTemporalIdおよびピクチャヘッダ(PH)に関連するピクチャのTemporalIdには制約がない。しかし、nal_unit_typeがPPS_NUT、PREFIX_APS_NUT、またはSUFFIX_APS_NUTに等しいとき、TemporalIdは、NALユニットを含むPUのTemporalId以上であり、ビットストリームの減算(bitstream subtraction)のシナリオでは、APS NALユニットのTemporalIdおよびPHに関連するピクチャのTemporalIdに制約があるべきである。
【0262】
タイル相対変数(tile relative variable)tile_column_width_minus1[ i ]、tile_row_height_minus1[ i ]、tile_idx_delta[ i ]は、いかなるタイルのこれらの変数もピクチャの範囲を超えることができないので、これらの変数の適切な値を保証するためにこれらの変数に適用されるいくつかの制約を有するべきである。また、タイル列およびタイルの高さは、0より大きいべきである。
【0263】
実施形態:
オプションA: DPSがビットストリーム内に最大1回だけ存在し得るという制約を追加する。つまり、DPSは、ビットストリームに必須ではなく、ビットストリームがDPSを含む場合、1つのDPSのみがビットストリーム内に存在し得る。
【0264】
DPS RBSPは、参照される前に復号プロセスに利用可能になり、TemporalIdが0に等しい少なくとも1つのAUに含まれるか、または外部手段によって提供される。
【0265】
注1--最大で1つのDPS NALユニットが、ビットストリーム内に存在する。
【0266】
注2--DPS NALユニットは、参照される前に復号プロセスに(ビットストリーム中でかまたは外部手段によるかのどちらかで)利用可能であることが必要とされる。しかし、DPS RBSPは、本明細書の第2項から第9項に規定される復号プロセスの動作に必要でない情報を含む。
【0267】
オプションB: ビットストリーム内のdps_decoding_parameter_set_idの特定の値を有するすべてのDPS NALユニットが同じ内容を有するという制約を追加する。この場合、1つのDPS IDは、2つ以上のDPSの内容にフック(対応)することはできない。
【0268】
たとえば、
DPS RBSPは、参照される前に復号プロセスに利用可能になり、TemporalIdが0に等しい少なくとも1つのAUに含まれるか、または外部手段によって提供される。
注1--DPS NALユニットは、参照される前に復号プロセスに(ビットストリーム中でかまたは外部手段によるかのどちらかで)利用可能であることが必要とされる。しかし、DPS RBSPは、本明細書の第2項から第9項に規定される復号プロセスの動作に必要でない情報を含む。
【0269】
ビットストリーム内のdps_decoding_parameter_set_idの特定の値を有するすべてのDPS NALユニットは、同じ内容を有する。
【0270】
DPS内でシグナリングされるレベルはSPS内でシグナリングされるレベル以上であるべきであるという制約を追加する。
【0271】
general_level_idcは、付録Aに規定されたようにOlsInScopeが準拠するレベルを示す。ビットストリームは、付録Aに規定された値以外のgeneral_level_idcの値を含まない。general_level_idcのその他の値は、ITU-T | ISO/IECによって将来の使用のために予約されている。
(1)注1--general_level_idcのより大きな値は、より高いレベルを示す。OlsInScopeに関してDPS内でシグナリングされる最大レベルは、OlsInScopeに含まれるCVSに関してSPS内でシグナリングされるレベル未満でない。
(2)注2--OlsInScopeが複数のプロファイルに準拠するとき、general_profile_idcが、(本明細書において規定されない方法で)エンコーダによって決定されたように、好ましい復号された結果または好ましいビットストリーム識別情報を提供するプロファイルを示すべきである。
(3)注3--profile_tier_level( )シンタックス構造がDPSに含まれ、OlsInScopeのCVSが異なるプロファイルに準拠するとき、general_profile_idcおよびlevel_idcが、OlsInScopeを復号することができるデコーダのプロファイルおよびレベルを示すべきである。
【0272】
ALF NALユニットに対する制約
pic_alf_aps_id_luma[ i ]は、PHに関連するスライスのルマ成分が参照するi番目のALF APSのadaptation_parameter_set_idを指定する。
【0273】
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよびpic_alf_aps_id_luma[ i ]に等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPS NALユニットのalf_luma_filter_signal_flagの値は、1に等しい。
【0274】
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよびpic_alf_aps_id_luma[ i ]に等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPS NALユニットのTemporalIdは、PHに関連するピクチャのTemporalId以下である。
【0275】
pic_alf_aps_id_chromaは、PHに関連するスライスのクロマ成分が参照するALF APSのadaptation_parameter_set_idを指定する。
【0276】
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよびpic_alf_aps_id_chromaに等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPS NALユニットのalf_chroma_filter_signal_flagの値は、1に等しい。
【0277】
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよびpic_alf_aps_id_chromaに等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPS NALユニットのTemporalIdは、PHに関連するピクチャのTemporalId以下である。
【0278】
タイル相対変数に対する制約
タイル相対変数tile_column_width_minus1[ i ]、tile_row_height_minus1[ i ]、tile_idx_delta[ i ]は、これらの変数の適切な値を保証するためにこれらの変数に課されるいくつかの制約を有するべきである。
【0279】
オプションA:
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。tile_column_width_minus1[ i ]の値は、0およびPicWidthInCtbsY - 1を含んで0からPicWidthInCtbsY - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。
【0280】
0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_column_width_minus1[ i ]の総和は、PicWidthInCtbsY未満である。
【0281】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。tile_row_height_minus1[ i ]の値は、0およびPicHeightInCtbsY - 1を含んで0からPicHeightInCtbsY - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_row_height_minus1[ i ]の総和は、PicHeightInCtbsY未満である。
【0282】
オプションA':
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。
【0283】
0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_column_width_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicWidthInCtbsY以下である。
【0284】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_row_height_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicHeightInCtbsY以下である。
【0285】
オプションB:
tile_idx_delta[ i ]は、i番目の長方形スライスと(i + 1)番目の長方形スライスとの間のタイルインデックスの差を指定する。tile_idx_delta[ i ]の値は、-NumTilesInPic + 1およびNumTilesInPic - 1を含んで-NumTilesInPic + 1からNumTilesInPic - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しいと推測される。すべてのその他の場合、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しくない。0およびnum_slices_in_pic_minus1 - 1を含んで0からnum_slices_in_pic_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_idx_delta[ i ]の総和は、NumTilesInPic未満である。
【0286】
オプションC: オプションA + オプションB
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。tile_column_width_minus1[ i ]の値は、0およびPicWidthInCtbsY - 1を含んで0からPicWidthInCtbsY - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。
【0287】
0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_column_width_minus1[ i ]の総和は、PicWidthInCtbsY未満である。
【0288】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。tile_row_height_minus1[ i ]の値は、0およびPicHeightInCtbsY - 1を含んで0からPicHeightInCtbsY - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_row_height_minus1[ i ]の総和は、PicHeightInCtbsY未満である。
【0289】
tile_idx_delta[ i ]は、i番目の長方形スライスと(i + 1)番目の長方形スライスとの間のタイルインデックスの差を指定する。tile_idx_delta[ i ]の値は、-NumTilesInPic + 1およびNumTilesInPic - 1を含んで-NumTilesInPic + 1からNumTilesInPic - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しいと推測される。すべてのその他の場合、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しくない。0からnum_slices_in_pic_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_idx_delta[ i ]の総和は、NumTilesInPic未満である。
【0290】
オプションC': オプションA' + オプションB
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。
【0291】
0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_column_width_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicWidthInCtbsY以下である。
【0292】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_row_height_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicHeightInCtbsY以下である。
【0293】
tile_idx_delta[ i ]は、i番目の長方形スライスと(i + 1)番目の長方形スライスとの間のタイルインデックスの差を指定する。tile_idx_delta[ i ]の値は、-NumTilesInPic + 1およびNumTilesInPic - 1を含んで-NumTilesInPic + 1からNumTilesInPic - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しいと推測される。すべてのその他の場合、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しくない。0およびnum_slices_in_pic_minus1 - 1を含んで0からnum_slices_in_pic_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_idx_delta[ i ]の総和は、NumTilesInPic未満である。
【0294】
オプションD: (オプションA'の代替的方法)
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。
【0295】
0およびnum_exp_tile_columns_minus1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1までの範囲内のiに対して、(tile_column_width_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicWidthInCtbsY以下である。
【0296】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0およびnum_exp_tile_rows_minus1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1までの範囲内のiに対して、(tile_row_height_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicHeightInCtbsY以下である。
【0297】
オプションE: オプションD + オプションB
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。
【0298】
0およびnum_exp_tile_columns_minus1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1までの範囲内のiに対して、(tile_column_width_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicWidthInCtbsY以下である。
【0299】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0およびnum_exp_tile_rows_minus1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1までの範囲内のiに対して、(tile_row_height_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicHeightInCtbsY以下である。
【0300】
tile_idx_delta[ i ]は、i番目の長方形スライスと(i + 1)番目の長方形スライスとの間のタイルインデックスの差を指定する。tile_idx_delta[ i ]の値は、-NumTilesInPic + 1およびNumTilesInPic - 1を含んで-NumTilesInPic + 1からNumTilesInPic - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しいと推測される。すべてのその他の場合、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しくない。0およびnum_slices_in_pic_minus1 - 1を含んで0からnum_slices_in_pic_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_idx_delta[ i ]の総和は、NumTilesInPic未満である。
【0301】
オプションF: (オプションA'の代替的方法)
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。
【0302】
0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_column_width_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicWidthInCtbsY以下である。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]の値は、PicWidthInCtbsY未満である。
【0303】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_row_height_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicHeightInCtbsY以下である。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]の値は、PicHeightInCtbsY未満である。
【0304】
オプションG: オプションF + オプションB
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。
【0305】
0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_column_width_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicWidthInCtbsY以下である。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]の値は、PicWidthInCtbsY未満である。
【0306】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_row_height_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicHeightInCtbsY以下である。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]の値は、PicHeightInCtbsY未満である。
【0307】
tile_idx_delta[ i ]は、i番目の長方形スライスと(i + 1)番目の長方形スライスとの間のタイルインデックスの差を指定する。tile_idx_delta[ i ]の値は、-NumTilesInPic + 1およびNumTilesInPic - 1を含んで-NumTilesInPic + 1からNumTilesInPic - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しいと推測される。すべてのその他の場合、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しくない。0およびnum_slices_in_pic_minus1 - 1を含んで0からnum_slices_in_pic_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_idx_delta[ i ]の総和は、NumTilesInPic未満である。
【0308】
上記において、「MはN以下である」という、2つの値MおよびNに関する説明は、「MはNを超えない」と説明されることも可能である。
【0309】
本出願の異なる実装は、以下である。
【0310】
第1の実施形態[DPS ID]
現在、DPSは、DPS IDを有し、DPS NALユニットの内容とID値との対応する関係に制約はない。
【0311】
また、DPSがビットストリーム内にある可能性がある回数に制約はない。ビットストリーム内に多くのDPSが存在し、それらのDPSが同じDPS IDを有する場合、デコーダは、どのDPSを選択すべきか分からない。
【0312】
この問題を処理するために、2つのオプションが提供される。
【0313】
オプションA: DPSがビットストリーム内に最大1回だけ存在し得るという制約を追加し、つまり、DPSは、ビットストリームに必須ではなく、ビットストリームがDPSを含む場合、1つのDPSのみがビットストリーム内に存在し得る。
【0314】
DPS RBSPは、参照される前に復号プロセスに利用可能になり、TemporalIdが0に等しい少なくとも1つのAUに含まれるか、または外部手段によって提供される。
【0315】
注1--最大で1つのDPS NALユニットが、ビットストリーム内に存在する。
【0316】
注2--DPS NALユニットは、参照される前に復号プロセスに(ビットストリーム中でかまたは外部手段によるかのどちらかで)利用可能であることが必要とされる。しかし、DPS RBSPは、本明細書の第2項から第9項に規定される復号プロセスの動作に必要でない情報を含む。
【0317】
オプションB: ビットストリーム内のdps_decoding_parameter_set_idの特定の値を有するすべてのDPS NALユニットが同じ内容を有するという制約を追加する。この場合、1つのDPS IDは、2つ以上のDPSの内容にフック(対応)することはできない。
【0318】
たとえば、
DPS RBSPは、参照される前に復号プロセスに利用可能になり、TemporalIdが0に等しい少なくとも1つのAUに含まれるか、または外部手段によって提供される。
注1--DPS NALユニットは、参照される前に復号プロセスに(ビットストリーム中でかまたは外部手段によるかのどちらかで)利用可能であることが必要とされる。しかし、DPS RBSPは、本明細書の第2項から第9項に規定される復号プロセスの動作に必要でない情報を含む。
【0319】
ビットストリーム内のdps_decoding_parameter_set_idの特定の値を有するすべてのDPS NALユニットは、同じ内容を有する。
【0320】
第2の実施形態[DPSレベル]
DPS内でシグナリングされるレベルは、ビットストリーム全体の最悪な場合の能力であるかまたは最悪な場合の能力を表すべきであり、したがって、SPS内でシグナリングされるレベル以上であるべきである。
DPS内でシグナリングされるレベルがSPS内でシグナリングされるレベル未満であるべきでないという制約が、課され得る。
【0321】
general_level_idcは、付録Aに規定されたようにOlsInScopeが準拠するレベルを示す。ビットストリームは、付録Aに規定された値以外のgeneral_level_idcの値を含まない。general_level_idcのその他の値は、ITU-T | ISO/IECによって将来の使用のために予約されている。
注1--general_level_idcのより大きな値は、より高いレベルを示す。OlsInScopeに関してDPS内でシグナリングされる最大レベルは、OlsInScopeに含まれるCVSに関してSPS内でシグナリングされるレベル未満でない。
注2--OlsInScopeが複数のプロファイルに準拠するとき、general_profile_idcが、(本明細書において規定されない方法で)エンコーダによって決定されたように、好ましい復号された結果または好ましいビットストリーム識別情報を提供するプロファイルを示すべきである。
注3--profile_tier_level( )シンタックス構造がDPSに含まれ、OlsInScopeのCVSが異なるプロファイルに準拠するとき、general_profile_idcおよびlevel_idcが、OlsInScopeを復号することができるデコーダのプロファイルおよびレベルを示すべきである。
【0322】
第3の実施形態[ALF naluのtid]
現在、APS NALユニットのTemporalIdおよびPHに関連するピクチャのTemporalIdには制約がない。しかし、nal_unit_typeがPPS_NUT、PREFIX_APS_NUT、またはSUFFIX_APS_NUTに等しいとき、TemporalIdは、NALユニットを含むPUのTemporalId以上であり、ビットストリームの減算シナリオであるとき、APS NALユニットのTemporalIdおよびPHに関連するピクチャのTemporalIdに制約があるべきである。
【0323】
ALF NALユニットに対する制約
pic_alf_aps_id_luma[ i ]は、PHに関連するスライスのルマ成分が参照するi番目のALF APSのadaptation_parameter_set_idを指定する。
【0324】
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよびpic_alf_aps_id_luma[ i ]に等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPS NALユニットのalf_luma_filter_signal_flagの値は、1に等しい。
【0325】
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよびpic_alf_aps_id_luma[ i ]に等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPS NALユニットのTemporalIdは、PHに関連するピクチャのTemporalId以下である。
【0326】
pic_alf_aps_id_chromaは、PHに関連するスライスのクロマ成分が参照するALF APSのadaptation_parameter_set_idを指定する。
【0327】
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよびpic_alf_aps_id_chromaに等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPS NALユニットのalf_chroma_filter_signal_flagの値は、1に等しい。
【0328】
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよびpic_alf_aps_id_chromaに等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPS NALユニットのTemporalIdは、PHに関連するピクチャのTemporalId以下である。
【0329】
第4の実施形態[タイル]
タイル相対変数tile_column_width_minus1[ i ]、tile_row_height_minus1[ i ]、tile_idx_delta[ i ]は、これらの変数の適切な値を保証するためにこれらの変数に課されるいくつかの制約を有するべきである。
【0330】
これは、いかなるタイルのこれらの変数もピクチャの範囲を超えることができないからである。また、タイル列およびタイルの高さは、0より大きいべきである。
【0331】
オプションA:
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。tile_column_width_minus1[ i ]の値は、0およびPicWidthInCtbsY - 1を含んで0からPicWidthInCtbsY - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_column_width_minus1[ i ]の総和は、PicWidthInCtbsY未満である。
【0332】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。tile_row_height_minus1[ i ]の値は、0およびPicHeightInCtbsY - 1を含んで0からPicHeightInCtbsY - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_row_height_minus1[ i ]の総和は、PicHeightInCtbsY未満である。
【0333】
オプションA':
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_column_width_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicWidthInCtbsY以下である。
【0334】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_row_height_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicHeightInCtbsY以下である。
【0335】
オプションB:
長方形スライスがピクチャに含まれるべきであることを確かめること。
【0336】
tile_idx_delta[ i ]は、i番目の長方形スライスと(i + 1)番目の長方形スライスとの間のタイルインデックスの差を指定する。tile_idx_delta[ i ]の値は、-NumTilesInPic + 1およびNumTilesInPic - 1を含んで-NumTilesInPic + 1からNumTilesInPic - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しいと推測される。すべてのその他の場合、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しくない。0およびnum_slices_in_pic_minus1 - 1を含んで0からnum_slices_in_pic_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_idx_delta[ i ]の総和は、NumTilesInPic未満である。
【0337】
オプションC: オプションA + オプションB
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。tile_column_width_minus1[ i ]の値は、0およびPicWidthInCtbsY - 1を含んで0からPicWidthInCtbsY - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_column_width_minus1[ i ]の総和は、PicWidthInCtbsY未満である。
【0338】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。tile_row_height_minus1[ i ]の値は、0およびPicHeightInCtbsY - 1を含んで0からPicHeightInCtbsY - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_row_height_minus1[ i ]の総和は、PicHeightInCtbsY未満である。
【0339】
tile_idx_delta[ i ]は、i番目の長方形スライスと(i + 1)番目の長方形スライスとの間のタイルインデックスの差を指定する。tile_idx_delta[ i ]の値は、-NumTilesInPic + 1およびNumTilesInPic - 1を含んで-NumTilesInPic + 1からNumTilesInPic - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しいと推測される。すべてのその他の場合、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しくない。0からnum_slices_in_pic_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_idx_delta[ i ]の総和は、NumTilesInPic未満である。
【0340】
オプションC': オプションA' + オプションB
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_column_width_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicWidthInCtbsY以下である。
【0341】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_row_height_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicHeightInCtbsY以下である。
【0342】
tile_idx_delta[ i ]は、i番目の長方形スライスと(i + 1)番目の長方形スライスとの間のタイルインデックスの差を指定する。tile_idx_delta[ i ]の値は、-NumTilesInPic + 1およびNumTilesInPic - 1を含んで-NumTilesInPic + 1からNumTilesInPic - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しいと推測される。すべてのその他の場合、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しくない。0およびnum_slices_in_pic_minus1 - 1を含んで0からnum_slices_in_pic_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_idx_delta[ i ]の総和は、NumTilesInPic未満である。
【0343】
オプションD: (オプションA'の代替的方法)
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。
【0344】
0およびnum_exp_tile_columns_minus1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1までの範囲内のiに対して、(tile_column_width_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicWidthInCtbsY以下である。
【0345】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0およびnum_exp_tile_rows_minus1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1までの範囲内のiに対して、(tile_row_height_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicHeightInCtbsY以下である。
【0346】
オプションE: オプションD + オプションB
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。
【0347】
0およびnum_exp_tile_columns_minus1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1までの範囲内のiに対して、(tile_column_width_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicWidthInCtbsY以下である。
【0348】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0およびnum_exp_tile_rows_minus1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1までの範囲内のiに対して、(tile_row_height_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicHeightInCtbsY以下である。
【0349】
tile_idx_delta[ i ]は、i番目の長方形スライスと(i + 1)番目の長方形スライスとの間のタイルインデックスの差を指定する。tile_idx_delta[ i ]の値は、-NumTilesInPic + 1およびNumTilesInPic - 1を含んで-NumTilesInPic + 1からNumTilesInPic - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しいと推測される。すべてのその他の場合、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しくない。0およびnum_slices_in_pic_minus1 - 1を含んで0からnum_slices_in_pic_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_idx_delta[ i ]の総和は、NumTilesInPic未満である。
【0350】
オプションF: (オプションA'の代替的方法)
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。
【0351】
0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_column_width_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicWidthInCtbsY以下である。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]の値は、PicWidthInCtbsY未満である。
【0352】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_row_height_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicHeightInCtbsY以下である。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]の値は、PicHeightInCtbsY未満である。
【0353】
オプションG: オプションF + オプションB
tile_column_width_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル列の幅を指定する。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_columns_minus1以上のインデックスを有するタイル列の幅を導出するために使用される。存在しないとき、tile_column_width_minus1[ 0 ]の値は、PicWidthInCtbsY - 1に等しいと推測される。
【0354】
0およびnum_exp_tile_columns_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_columns_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_column_width_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicWidthInCtbsY以下である。tile_column_width_minus1[ num_exp_tile_columns_minus1 ]の値は、PicWidthInCtbsY未満である。
【0355】
tile_row_height_minus1[ i ]に1を足した値は、0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内にあるiに対して、CTBを単位としてi番目のタイル行の高さを指定する。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]は、6.5.1項に規定されたようにnum_exp_tile_rows_minus1以上のインデックスを有するタイル行の高さを導出するために使用される。存在しないとき、tile_row_height_minus1[ 0 ]の値は、PicHeightInCtbsY - 1に等しいと推測される。0およびnum_exp_tile_rows_minus1 - 1を含んで0からnum_exp_tile_rows_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、(tile_row_height_minus1[ i ] + 1)の総和は、PicHeightInCtbsY以下である。tile_row_height_minus1[ num_exp_tile_rows_minus1 ]の値は、PicHeightInCtbsY未満である。
【0356】
tile_idx_delta[ i ]は、i番目の長方形スライスと(i + 1)番目の長方形スライスとの間のタイルインデックスの差を指定する。tile_idx_delta[ i ]の値は、-NumTilesInPic + 1およびNumTilesInPic - 1を含んで-NumTilesInPic + 1からNumTilesInPic - 1までの範囲内にある。存在しないとき、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しいと推測される。すべてのその他の場合、tile_idx_delta[ i ]の値は、0に等しくない。0およびnum_slices_in_pic_minus1 - 1を含んで0からnum_slices_in_pic_minus1 - 1までの範囲内のiに対して、tile_idx_delta[ i ]の総和は、NumTilesInPic未満である。
【0357】
上記において、「MはN以下である」という、2つの値MおよびNに関する説明は、「MはNを超えない」と説明されることも可能である。
【0358】
(1)DPSがビットストリーム内に最大1回存在し得るという制約と、ビットストリームが2つ以上のDPSを持ち得る場合に、ビットストリーム内のdps_decoding_parameter_set_idの特定の値を有するすべてのDPS NALユニットが同じ内容を持つ別の方法のメカニズムとが、デコーダにおける曖昧性を減らすかまたは除去する。
【0359】
(2)DPS内でシグナリングされるレベルは、ビットストリーム全体の最悪な場合の能力であるべきであり、したがって、SPS内でシグナリングされるレベル未満であるべきでない。そうでなければ、DPS内のパラメータは、意味をなさない。
【0360】
(3)NALUのTIDに応じて、ビットストリームの減算が適切に働くことを保証するために、ALF NALUのTIDに対する制約が追加される。
【0361】
(4)準拠の観点から、タイル相対変数は、各タイルが少なくとも1つのCTUを有することを保証するために有効範囲に制約されるべきであり、各タイルは、ピクチャによって含まれるべきである。また、長方形スライスがピクチャに含まれるべきであることを確かめること。
【0362】
以下は、上述の実施形態において示された符号化方法および復号方法の応用ならびにそれらを使用するシステムの説明である。
【0363】
図6は、コンテンツ配信サービスを実現するためのコンテンツ供給システムを示すブロック図である。このコンテンツ供給システム3100は、キャプチャデバイス3102、端末デバイス3106を含み、任意選択でディスプレイ3126を含む。キャプチャデバイス3102は、通信リンク3104を介して端末デバイス3106と通信する。通信リンクは、上述の通信チャネル13を含む可能性がある。通信リンク3104の例は、WIFI、イーサネット、ケーブル、ワイヤレス(3G/4G/5G)、USB、またはこれらの任意の種類の組合せなどを含むがこれらに限定されない。
【0364】
キャプチャデバイス3102は、データを生成し、上の実施形態に示された符号化方法によってデータを符号化する可能性がある。代替的に、キャプチャデバイス3102は、データをストリーミングサーバ(図示せず)に配信する可能性があり、サーバが、データを符号化し、符号化されたデータを端末デバイス3106に送信する。キャプチャデバイス3102の例は、カメラ、スマートフォンもしくはスマートパッド、コンピュータもしくはラップトップ、テレビ会議システム、PDA、車載デバイス、またはこれらのいずれかの組合せなどを含むがこれらに限定されない。たとえば、キャプチャデバイス3102は、上述の送信元デバイス12を含む可能性がある。データがビデオを含むとき、キャプチャデバイス3102に含まれるビデオエンコーダ20が、ビデオ符号化処理を実際に実行する可能性がある。データがオーディオ(つまり、声)を含むとき、キャプチャデバイス3102に含まれるオーディオエンコーダが、オーディオ符号化処理を実際に実行する可能性がある。いくつかの実際のシナリオに関して、キャプチャデバイス3102は、符号化されたビデオおよびオーディオデータを一緒に多重化することによってそれらのデータを配信する。その他の実際のシナリオに関して、たとえば、テレビ会議システムにおいて、符号化されたオーディオデータおよび符号化されたビデオデータは、多重化されない。キャプチャデバイス3102は、符号化されたオーディオデータおよび符号化されたビデオデータを端末デバイス3106に別々に配信する。
【0365】
コンテンツ供給システム3100において、端末デバイス3106は、符号化されたデータを受信し、再生する。端末デバイス3106は、上述の符号化されたデータを復号することができるスマートフォンもしくはスマートパッド3108、コンピュータもしくはラップトップ3110、ネットワークビデオレコーダ(NVR)/デジタルビデオレコーダ(DVR)3112、TV 3114、セットトップボックス(STB)3116、テレビ会議システム3118、ビデオ監視システム3120、携帯情報端末(PDA)3122、車載デバイス3124、またはこれらのいずれかの組合せなどの、データ受信および復元能力を有するデバイスであることが可能である。たとえば、端末デバイス3106は、上述の送信先デバイス14を含む可能性がある。符号化されたデータがビデオを含むとき、端末デバイスに含まれるビデオデコーダ30が、ビデオの復号を実行するために優先される。符号化されたデータがオーディオを含むとき、端末デバイスに含まれるオーディオデコーダが、オーディオ復号処理を実行するために優先される。
【0366】
ディスプレイを有する端末デバイス、たとえば、スマートフォンもしくはスマートパッド3108、コンピュータもしくはラップトップ3110、ネットワークビデオレコーダ(NVR)/デジタルビデオレコーダ(DVR)3112、TV 3114、携帯情報端末(PDA)、または車載デバイス3124に関して、端末デバイスは、復号されたデータをその端末デバイスのディスプレイに供給することができる。ディスプレイを備えていない端末デバイス、たとえば、STB 3116、テレビ会議システム3118、またはビデオ監視システム3120に関しては、外部ディスプレイ3126に連絡を取り、復号されたデータが受信され示される。
【0367】
このシステムの各デバイスが符号化または復号を実行するとき、上述の実施形態において示されたピクチャ符号化デバイスまたはピクチャ復号デバイスが、使用され得る。
【0368】
図7は、端末デバイス3106の例の構造を示す図である。端末デバイス3106がキャプチャデバイス3102からストリームを受信した後、プロトコル進行ユニット3202が、ストリームの送信プロトコルを分析する。プロトコルの例は、リアルタイムストリーミングプロトコル(RTSP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、HTTPライブストリーミングプロトコル(HLS)、MPEG-DASH、リアルタイムトランスポートプロトコル(RTP)、リアルタイムメッセージングプロトコル(RTMP)、またはこれらの任意の種類の組合せなどを含むがこれらに限定されない。
【0369】
プロトコル進行ユニット3202がストリームを処理した後、ストリームファイルが生成される。ファイルは、多重分離ユニット3204に出力される。多重分離ユニット3204は、多重化されたデータを符号化されたオーディオデータおよび符号化されたビデオデータに分離することができる。上述のように、いくつかのシナリオでは、たとえば、テレビ会議システムにおいて、符号化されたオーディオデータおよび符号化されたビデオデータは、多重化されない。この状況では、符号化されたデータは、多重分離ユニット3204を通さずにビデオデコーダ3206およびオーディオデコーダ3208に送信される。
【0370】
多重分離処理によって、ビデオエレメンタリストリーム(ES)、オーディオES、および任意選択で字幕が生成される。上述の実施形態において説明されたビデオデコーダ30を含むビデオデコーダ3206は、上述の実施形態において示された復号方法によってビデオESを復号してビデオフレームを生成し、このデータを同期ユニット3212に供給する。オーディオデコーダ3208は、オーディオESを復号してオーディオフレームを生成し、このデータを同期ユニット3212に供給する。代替的に、ビデオフレームは、同期ユニット3212に供給される前に、(図7に示されていない)バッファに記憶される可能性がある。同様に、オーディオフレームは、同期ユニット3212に供給される前に、(図7に示されていない)バッファに記憶される可能性がある。
【0371】
同期ユニット3212は、ビデオフレームとオーディオフレームとを同期し、ビデオ/オーディオをビデオ/オーディオディスプレイ3214に供給する。たとえば、同期ユニット3212は、ビデオ情報およびオーディオ情報の提示を同期する。情報は、コーディングされたオーディオデータおよびビジュアルデータの提示に関するタイムスタンプならびにデータストリームの配信自体に関するタイムスタンプを使用するシンタックスにおいてコーディングし得る。
【0372】
字幕がストリームに含まれる場合、字幕デコーダ3210が、字幕を復号し、その字幕をビデオフレームおよびオーディオフレームと同期し、ビデオ/オーディオ/字幕をビデオ/オーディオ/字幕ディスプレイ3216に供給する。
【0373】
本発明の実施形態は、上述のシステムに限定されず、上述の実施形態のピクチャ符号化デバイスかまたはピクチャ復号デバイスかのどちらかが、その他のシステム、たとえば、自動車のシステムに組み込まれ得る。
【0374】
数学演算子
本出願において使用される数学演算子は、Cプログラミング言語において使用される数学演算子に似ている。しかし、整数の除算および算術シフト演算の結果は、より厳密に定義され、累乗および実数値の除算などの追加の演算が、定義される。付番およびカウントの規則は、概して0から始まり、たとえば、「第1」は、0番と等価であり、「第2」は、1番と等価であり、以下同様である。
【0375】
算術演算子
以下の算術演算子が、以下の通り定義される。
+ 加算
- 減算(2引数の演算子として)または否定(単項前置演算子として)
* 行列の乗算を含む乗算
xy 累乗。xのy乗を規定する。その他の文脈で、そのような表記は、累乗として解釈されるように意図されない上付きの書き込みのために使用される。
/ 結果のゼロへの切り捨てを行う整数の除算。たとえば、7 / 4および-7 / -4は、1に切り捨てられ、-7 / 4および7 / -4は、-1に切り捨てられる。
÷ 切り捨てまたは丸めが意図されない数学的方程式の除算を表すために使用される。
【0376】
【数1】
【0377】
切り捨てまたは丸めが意図されない数学的方程式の除算を表すために使用される。
【0378】
【数2】
【0379】
iがxからyを含んでyまでのすべての整数値を取るf( i )の総和。
x % y 法。x >= 0およびy > 0である整数xおよびyに関してのみ定義されるx割るyの余り。
【0380】
論理演算子
以下の論理演算子が、以下の通り定義される。
x && y xおよびyのブール論理「積」
x || y xおよびyのブール論理「和」
! ブール論理「否定」
x ? y : z xが真であるかまたは0に等しくない場合、値yと評価され、そうでない場合、値zと評価される。
【0381】
関係演算子
以下の関係演算子が、以下の通り定義される。
> より大きい
>= 以上
< 未満
<= 以下
== 等しい
!= 等しくない
【0382】
関係演算子が値「na」(該当なし)を割り当てられたシンタックス要素または変数に適用されるとき、値「na」は、シンタックス要素または変数に関する異なる値として扱われる。値「na」は、いかなるその他の値とも等しくないとみなされる。
【0383】
ビット演算子
以下のビット演算子が、以下の通り定義される。
& ビット毎の「論理積」。整数引数に対する演算のとき、整数値の2の補数表現に対して作用する。別の引数よりも少ないビットを含む2進数引数に対する演算のとき、より短い引数が、0に等しいさらに上位桁のビットを追加することによって拡張される。
| ビット毎の「論理和」。整数引数に対する演算のとき、整数値の2の補数表現に対して作用する。別の引数よりも少ないビットを含む2進数引数に対する演算のとき、より短い引数が、0に等しいさらに上位桁のビットを追加することによって拡張される。
^ ビット毎の「排他的論理和」。整数引数に対する演算のとき、整数値の2の補数表現に対して作用する。別の引数よりも少ないビットを含む2進数引数に対する演算のとき、より短い引数が、0に等しいさらに上位桁のビットを追加することによって拡張される。
x>>y xの2の補数による整数の表現の、2進数のy桁分の算術右シフト。この関数は、yの非負の整数値に対してのみ定義される。右シフトの結果として最上位ビット(MSB)にシフトされるビットは、シフト演算の前のxのMSBに等しい値を有する。
x<<y xの2の補数による整数の表現の、2進数のy桁分の算術左シフト。この関数は、yの非負の整数値に対してのみ定義される。左シフトの結果として最下位ビット(LSB)にシフトされるビットは、0に等しい値を有する。
【0384】
代入演算子
以下の算術演算子が、以下の通り定義される。
= 代入演算子
++ インクリメント、つまり、x++は、x = x + 1と等価であり、配列のインデックスに使用されるとき、インクリメント演算の前に変数の値と評価される。
-- デクリメント、つまり、x--は、x = x - 1と等価であり、配列のインデックスに使用されるとき、デクリメント演算の前に変数の値と評価される。
+= 指定された量のインクリメント、つまり、x += 3は、x = x + 3と等価であり、x += (-3)は、x = x + (-3)と等価である。
-= 指定された量のデクリメント、つまり、x -= 3は、x = x - 3と等価であり、x -= (-3)は、x = x - (-3)と等価である。
【0385】
範囲の表記
以下の表記が、値の範囲を指定するために使用される。
x = y..z xは、x、y、およびzが整数値であり、zがyよりも大きいものとして、yおよびzを含んでyからzまでの整数値を取る。
【0386】
数学関数
以下の数学関数が、定義される。
【0387】
【数3】
【0388】
Asin( x ) -1.0および1.0を含んで-1.0から1.0までの範囲内の引数xに作用し、ラジアンを単位として-π÷2およびπ÷2を含んで-π÷2からπ÷2までの範囲の出力値を有する三角法の逆正弦関数
Atan( x ) 引数xに作用し、ラジアンを単位として-π÷2およびπ÷2を含んで-π÷2からπ÷2までの範囲の出力値を有する三角法の逆正接関数
【0389】
【数4】
【0390】
Ceil( x ) x以上の最小の整数。
Clip1Y( x ) = Clip3( 0, ( 1 << BitDepthY ) - 1, x )
Clip1C( x ) = Clip3( 0, ( 1 << BitDepthC ) - 1, x )
【0391】
【数5】
【0392】
Cos( x ) ラジアンを単位とする引数xに作用する三角法の余弦関数。
Floor(x) x以下の最大の整数。
【0393】
【数6】
【0394】
Ln( x ) xの自然対数(eを底とする対数であり、eは、自然対数の底の定数2.718281828...である)。
Log2( x ) xの2を底とする対数。
Log10( x ) xの10を底とする対数。
【0395】
【数7】
【0396】
【数8】
【0397】
Round( x ) = Sign( x ) * Floor( Abs( x ) + 0.5 )
【0398】
【数9】
【0399】
Sin( x ) ラジアンを単位とする引数xに作用する三角法の正弦関数
【0400】
【数10】
【0401】
Swap( x, y ) = ( y, x )
Tan( x ) ラジアンを単位とする引数xに作用する三角法の正接関数
【0402】
演算の優先順位
式中の優先順位が括弧を使用して明示されないとき、以下の規則が、適用される。
より高い優先度の演算は、より低い優先度のいかなる演算よりも前に評価される。
同じ優先度の演算は、左から右に順に評価される。
【0403】
下の表は、最も高い方から最も低い方へ演算の優先度を明示し、表のより上の位置は、より高い優先度を示す。
【0404】
Cプログラミング言語においても使用される演算子に関して、本明細書において使用される優先順位は、Cプログラミング言語において使用されるのと同じである。
【0405】
Table: (表の一番上の)最も高い方から(表の一番下の)最も低い方への演算の優先度
【0406】
【表6】
【0407】
論理演算のテキストの記述
本文中、以下の形態で、すなわち、
if( 条件0 )
ステートメント0
else if( 条件1 )
ステートメント1
...
else /* 残りの条件に関する情報を伝えるコメント */
ステートメントn
の形態で数学的に記述される論理演算のステートメントは、以下のように記述される可能性がある。
以下のように... / ...以下が適用される。
- 条件0の場合、ステートメント0
- そうではなく、条件1の場合、ステートメント1
- ...
- それ以外の場合(残りの条件に関する情報を伝えるコメント)、ステートメントn
【0408】
本文中のそれぞれの「...の場合、...、そうではなく...の場合、...、それ以外の場合、...」のステートメントは、「...の場合、...」が直後に続く「以下のように...」または「...以下が適用される」によって導入される。「...の場合、...、そうではなく...の場合、...、それ以外の場合、...」の最後の条件は、常に「それ以外の場合、...」である。交互に挿入された「...の場合、...、そうではなく...の場合、...、それ以外の場合、...」のステートメントは、「以下のように...」または「...以下が適用される」を終わりの「それ以外の場合、...」とマッチングすることによって特定され得る。
【0409】
本文中、以下の形態で、すなわち、
if( 条件0a && 条件0b )
ステートメント0
else if( 条件1a || 条件1b )
ステートメント1
...
else
ステートメントn
の形態で数学的に記述される論理演算のステートメントは、以下のようにして記述される可能性がある。
以下のように.../...以下が適用される。
- 以下の条件のすべてが真である場合、ステートメント0
- 条件0a
- 条件0b
- そうではなく、以下の条件のうちの1つまたは複数が真である場合、ステートメント1
- 条件1a
- 条件1b
- ...
- それ以外の場合、ステートメントn
【0410】
本文中、以下の形態で、すなわち、
if( 条件0 )
ステートメント0
if( 条件1 )
ステートメント1
の形態で数学的に記述される論理演算のステートメントは、以下のように記述される可能性がある。
条件0のとき、ステートメント0
条件1のとき、ステートメント1
【0411】
本発明の実施形態が主にビデオコーディングに基づいて説明されたが、コーディングシステム10、エンコーダ20、およびデコーダ30(およびそれに対応してシステム10)の実施形態、ならびに本明細書において説明されたその他の実施形態は、静止ピクチャの処理またはコーディング、つまり、ビデオコーディングと同様のいかなる先行するまたは連続するピクチャからも独立した個々のピクチャの処理またはコーディングのために構成されてもよいことに留意されたい。概して、ピクチャの処理のコーディングが単一のピクチャ17に制限される場合、インター予測ユニット244(エンコーダ)および344(デコーダ)のみが、利用可能でない場合がある。ビデオエンコーダ20およびビデオデコーダ30のすべてのその他の機能(ツールまたはテクノロジーとも呼ばれる)、たとえば、残差計算204/304、変換206、量子化208、逆量子化210/310、(逆)変換212/312、区分け262/362、イントラ予測254/354、および/またはループフィルタリング220、320、およびエントロピーコーディング270、およびエントロピー復号304が、静止ピクチャの処理のために等しく使用される場合がある。
【0412】
たとえば、エンコーダ20およびデコーダ30、ならびにたとえばエンコーダ20およびデコーダ30に関連して本明細書において説明された機能の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組合せで実装されてよい。ソフトウェアに実装される場合、機能は、1つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体上に記憶されるかまたは通信媒体上で送信され、ハードウェアに基づく処理ユニットによって実行されてよい。コンピュータ可読媒体は、データストレージ媒体などの有形の媒体に対応するコンピュータ可読ストレージ媒体、またはたとえば通信プロトコルによるある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体を含む可能性がある。このようにして、概して、コンピュータ可読媒体は、(1)非一時的である有形のコンピュータ可読ストレージ媒体または(2)信号もしくは搬送波などの通信媒体に対応する可能性がある。データストレージ媒体は、本開示において説明された技術の実装のための命令、コード、および/またはデータ構造を取り出すために1つもしくは複数のコンピュータまたは1つもしくは複数のプロセッサによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体である可能性がある。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読媒体を含む可能性がある。
【0413】
特に、図8に示されるようにデコーダにおいて実施される、コーディングされたビデオビットストリームを復号する方法が提供され、方法は、S801、ビデオビットストリームを解析することによって、現在のピクチャのピクチャヘッダに含まれるピクチャレベルシンタックス要素を取得するステップであって、ピクチャレベルシンタックス要素(たとえば、pic_alf_enabled_flag)が、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、ステップと、S802、ピクチャレベルシンタックス要素が適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、ピクチャヘッダに含まれるパラメータセット識別子(たとえば、pic_alf_aps_id_luma[i])を取得するステップであって、パラメータセット識別子が、1組のALFパラメータを含む第1のパラメータセット(たとえば、APS)を示すために使用され、第1のパラメータセットの時間識別子(たとえば、TemporalId)が、現在のピクチャの時間識別子以下である、ステップと、S803、第1のパラメータセットに基づいて、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスに対して適応ループフィルタを実行するステップとを含む。
【0414】
現在のピクチャは、ピクチャユニット(PU)に含まれるコーディングされたピクチャであり、PUは、指定された分類規則に従って互いに関連付けられ、復号順で連続している1組のNALユニットである。
【0415】
ネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ユニットは、後に続くデータの種類のインジケーションと、現在のピクチャの符号化されたデータのすべてもしくは一部、ピクチャヘッダ、または1組のALFパラメータを含むパラメータセットを含むバイトとを含むシンタックス構造である。ここで、各NALユニットは、時間識別子を有する。
【0416】
第1のパラメータセットの時間識別子(たとえば、TemporalId)は、ALF_APSに等しいaps_params_typeを有するAPS NALユニットのTemporalIdである。ALF_APSに等しいaps_params_typeは、ALFパラメータがAPS内で運ばれることを意味する。APS NALユニットは、APSを含むNALユニットである。
【0417】
第1のNALユニットの時間識別子が同じレイヤの第2のNALユニットの時間識別子未満である場合、第1のNALユニットによってカプセル化されたデータは、第2のNALユニットによってカプセル化されたデータを参照せずに復号されてよい。また、時間識別子は、目標最高時間識別子によって決定される目標セットに属さないビットストリーム内のNALユニットがビットストリームから削除され、出力サブビットストリームが目標セットに属するビットストリーム内のNALユニットからなるプロセスであるサブビットストリーム抽出プロセスにおいて使用される可能性がある。
【0418】
時間識別子は、復号順に関連する可能性がある。
【0419】
第1のパラメータセットに基づいて現在のピクチャの少なくとも1つのスライスに対して適応ループフィルタを実行するステップは、第1のパラメータセットに基づいて現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのルマ成分に対して適応ループフィルタを実行することを含む。
【0420】
ALFがCTBのために有効化されるとき、CU内の各サンプルR(i, j)は、下に示されるように、ALFを使用してフィルタリングされ、サンプル値R'(i, j)を生じ、
【0421】
【数11】
【0422】
f(k, l)は、復号されたフィルタ係数を示し、K(x, y)は、クリッピング関数であり、c(k, l)は、復号されたクリッピングパラメータを示す。変数kおよびlは、-L/2からL/2までの間で変化し、Lは、フィルタ長を示す。クリッピング関数K(x, y) = min(y, max(-y, x))であり、これは、関数Clip3(-y, y, x)に対応する。クリッピング演算は、現在のサンプル値と違いすぎる近隣のサンプル値の影響を減らすことによってALFをより効率的にするための非線形性を導入する。
【0423】
ALFフィルタパラメータ(またはALFパラメータ)は、適応パラメータセット(APS)内でシグナリングされる。1つのAPS内で、最大25組のルマフィルタ係数およびクリッピング値のインデックス、ならびに最大8組のクロマフィルタ係数およびクリッピング値のインデックスがシグナリングされる可能性がある。ビットのオーバーヘッドを減らすために、ルマ成分に関する異なる分類のフィルタ係数が、マージされ得る。ピクチャヘッダ内で、現在のピクチャに使用されるAPSのインデックスが、シグナリングされる。
【0424】
APSから復号されるクリッピング値のインデックスは、ルマ成分とクロマ成分との両方に関してクリッピング値のテーブルを使用してクリッピング値を決定することを可能にする。これらのクリッピング値は、内部ビット深度に依存する。より正確には、クリッピング値は、次の式、すなわち、
AlfClip = {round(2B-α*n)} for n ∈ [0..N - 1]}
によって取得され、Bは、内部ビット深度に等しく、αは、2.35に等しい予め定義された定数値であり、Nは、VVCにおける許容されるクリッピング値の数である4に等しい。そのとき、AlfClipは、2のべき乗の形式の最も近い値に丸められる。
【0425】
スライスヘッダ内で、最大7つのAPSインデックスが、現在のスライスのために使用されるルマフィルタセットを指定するためにシグナリングされ得る。フィルタリングプロセスは、CTBレベルでさらに制御され得る。ALFがルマCTBに適用されるかどうかを示すために、フラグが常にシグナリングされる。ルマCTBは、16個の固定のフィルタセットおよびAPSからのフィルタセットの中でフィルタセットを選択することができる。どのフィルタセットが適用されるかを示すために、ルマCTBに関して、フィルタセットインデックスがシグナリングされる。16個の固定のフィルタセットは、エンコーダとデコーダとの両方において予め定義され、ハードコーディングされる。
【0426】
クロマ成分に関して、APSインデックスが、現在のスライスのために使用されているクロマフィルタセットを示すためにスライスヘッダ内でシグナリングされる。CTBレベルでは、APS内に2つ以上のクロマフィルタセットが存在する場合、各クロマCTBに関してフィルタインデックスがシグナリングされる。
【0427】
フィルタ係数は、128に等しいノルムを用いて量子化される。乗算の複雑さを制限するために、中心でない位置の係数値が-27および27 - 1を含んで-27から27 - 1までの範囲内にあるように、ビットストリームの準拠が適用される。中心位置の係数は、ビットストリーム内でシグナリングされず、128に等しいとみなされる。
【0428】
方法は、ピクチャレベルシンタックス要素(たとえば、pic_alf_enabled_flag)が適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、ピクチャヘッダに含まれる別のパラメータセット識別子を取得するステップであって、パラメータセット識別子(たとえば、pic_alf_aps_id_chroma)が、1組のALFパラメータを含む第2のパラメータセット(たとえば、APS)を示すために使用され、第2のパラメータセットの時間識別子が、現在のピクチャの時間識別子以下である、ステップと、第2のパラメータセットに基づいて、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのクロマ成分に対して適応ループフィルタを実行するステップとをさらに含んでよい。
【0429】
同様に、図9に示されるようにエンコーダにおいて実施される、コーディングされたデータを含むビデオビットストリームを符号化する方法が提供される。方法は、S901、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを判定するステップと、S903、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを判定することに基づいて、ピクチャレベルシンタックス要素(たとえば、pic_alf_enabled_flag)を現在のピクチャのピクチャヘッダに符号化するステップであって、ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、ステップと、S905、適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化される場合、パラメータセット識別子(たとえば、pic_alf_aps_id_luma[i])をピクチャヘッダに符号化するステップであって、パラメータセット識別子が、適応ループフィルタの1組のALFパラメータを含む第1のパラメータセット(たとえば、APS)を示すために使用され、第1のパラメータセットの時間識別子(たとえば、TemporalId)が、現在のピクチャの時間識別子以下に設定される、ステップとを含む。
【0430】
方法は、第1のパラメータセットの時間識別子および現在のピクチャの時間識別子をビデオビットストリームに符号化するステップをさらに含んでよい。
【0431】
第1のパラメータセットは、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのルマ成分に対して実行される適応ループフィルタの1組のALFパラメータを含む。
【0432】
方法は、ピクチャレベルシンタックス要素が適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、別のパラメータセット識別子をピクチャヘッダに符号化するステップであって、パラメータセット識別子(たとえば、pic_alf_aps_id_chroma)が、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスのクロマ成分に対して実行される適応ループフィルタの1組のALFパラメータを含む第2のパラメータセット(たとえば、APS)を示すために使用され、第2のパラメータセットの時間識別子が、現在のピクチャの時間識別子以下に設定される、ステップをさらに含んでよい。
【0433】
図10は、複数のピクチャに関するコーディングされたデータを含むビデオビットストリームを復号するために構成されたデコーダ1000を示す。示された例によるデコーダ1000は、ビデオビットストリームを解析することによって、現在のピクチャのピクチャヘッダに含まれるピクチャレベルシンタックス要素を取得するように構成された取得ユニット1010であって、ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、取得ユニット1010を含む。取得ユニット1010は、ピクチャレベルシンタックス要素が適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化されることを指定する場合、ピクチャヘッダに含まれるパラメータセット識別子を取得するようにさらに構成され、パラメータセット識別子が、1組のALFパラメータを含む第1のパラメータセットを示すために使用され、第1のパラメータセットの時間識別子が、現在のピクチャの時間識別子以下であり、フィルタリングユニット1020が、第1のパラメータセットに基づいて、現在のピクチャの少なくとも1つのスライスに対して適応ループフィルタを実行するように構成される。
【0434】
取得ユニット1010は、エントロピー復号ユニット304であってよい。フィルタリングユニット1020は、ループフィルタ320であってよい。デコーダ1000は、送信先デバイス14、デコーダ30、装置500、ビデオデコーダ3206、または端末デバイス3106であってよい。
【0435】
同様に、図11に示される、複数のピクチャに関するコーディングされたデータを含むビデオビットストリームを符号化するために構成されたエンコーダ1100が提供される。エンコーダ1100は、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを判定するように構成された判定ユニット1110と、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを判定することに基づいて、ピクチャレベルシンタックス要素を現在のピクチャのピクチャヘッダに符号化するように構成された符号化ユニット1120であって、ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、符号化ユニット1120とを含む。符号化ユニット1120は、適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化される場合、パラメータセット識別子をピクチャヘッダに符号化するようにさらに構成され、パラメータセット識別子が、適応ループフィルタの1組のALFパラメータを含む第1のパラメータセットを示すために使用され、第1のパラメータセットの時間識別子が、現在のピクチャの時間識別子以下に設定される。
【0436】
符号化ユニット1120は、エントロピー符号化ユニット270であってよい。判定ユニット1110は、ループフィルタ220であってよい。エンコーダ1100は、送信元デバイス12、エンコーダ20、または装置500であってよい。
【0437】
限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読ストレージ媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくはその他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくはその他の磁気ストレージデバイス、フラッシュメモリ、または命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用されることが可能であり、コンピュータによってアクセスされることが可能である任意のその他の媒体を含み得る。また、任意の接続が、適切にコンピュータ可読媒体と呼ばれる。たとえば、命令が、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、ラジオ波、およびマイクロ波などのワイヤレステクノロジーを用いてウェブサイト、サーバ、またはその他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、ラジオ波、およびマイクロ波などのワイヤレステクノロジーは、媒体の定義に含まれる。しかし、コンピュータ可読ストレージ媒体およびデータストレージ媒体は、接続、搬送波、信号、またはその他の一時的媒体を含まず、その代わりに、非一時的な有形のストレージ媒体を対象とすることを理解されたい。本明細書において使用されるとき、ディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD: compact disc)、レーザディスク(laser disc)、光ディスク(optical disc)、デジタルバーサタイルディスク(DVD: digital versatile disc)、フロッピーディスク(floppy disk)、およびブルーレイディスク(Blu-ray disc)を含み、ディスク(disk)が、通常、磁気的にデータを再生する一方、ディスク(disc)は、レーザを用いて光学的にデータを再生する。上記のものの組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきである。
【0438】
命令は、1つまたは複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、またはその他の等価な集積もしくはディスクリート論理回路などの1つまたは複数のプロセッサによって実行される可能性がある。したがって、用語「プロセッサ」は、本明細書において使用されるとき、上述の構造または本明細書において説明された技術の実装に好適な任意のその他の構造のいずれかを指す可能性がある。加えて、一部の態様において、本明細書において説明された機能は、符号化および復号のために構成された専用のハードウェアおよび/もしくはソフトウェアモジュール内に提供されるか、または組み合わされたコーデックに組み込まれる可能性がある。また、技術は、1つまたは複数の回路または論理要素にすべて実装される可能性がある。
【0439】
本開示の技術は、ワイヤレスハンドセット、集積回路(IC)、または1組のIC(たとえば、チップセット)を含む多種多様なデバイスまたは装置に実装される可能性がある。様々な構成要素、モジュール、またはユニットが、開示された技術を実行するように構成されたデバイスの機能の態様を強調するために本開示において説明されているが、異なるハードウェアユニットによる実現を必ずしも必要としない。むしろ、上述のように、様々なユニットが、コーデックハードウェアユニットにおいて組み合わされるか、または好適なソフトウェアおよび/もしくはファームウェアと連携した、上述の1つもしくは複数のプロセッサを含む相互運用性のあるハードウェアユニットの集合によって提供される可能性がある。
【符号の説明】
【0440】
10 ビデオコーディングシステム、コーディングシステム
12 送信元デバイス
13 符号化されたピクチャデータ、通信チャネル
14 送信先デバイス
16 ピクチャソース
17 ピクチャ、ピクチャデータ、生ピクチャ、生ピクチャデータ、モノクロピクチャ、カラーピクチャ、現在のピクチャ
18 プリプロセッサ、前処理ユニット、ピクチャプリプロセッサ
19 前処理されたピクチャ、前処理されたピクチャデータ
20 ビデオエンコーダ、エンコーダ
21 符号化されたピクチャデータ、符号化されたビットストリーム
22 通信インターフェース、通信ユニット
28 通信インターフェース、通信ユニット
30 デコーダ、ビデオデコーダ
31 復号されたピクチャデータ、復号されたピクチャ
32 ポストプロセッサ、後処理ユニット
33 後処理されたピクチャデータ、後処理されたピクチャ
34 ディスプレイデバイス
46 処理回路
100 ビデオエンコーダ
201 入力、入力インターフェース
203 ピクチャブロック、元のブロック、現在のブロック、現在のピクチャブロック、CTU
204 残差計算ユニット、残差計算
205 残差ブロック、残差
206 変換処理ユニット、変換
207 変換係数
208 量子化ユニット、量子化
209 量子化された係数、量子化された変換係数、量子化された残差係数
210 逆量子化ユニット、逆量子化
211 逆量子化された係数、逆量子化された残差係数
212 逆変換処理ユニット、(逆)変換
213 再構築された残差ブロック、逆量子化された係数、変換ブロック
214 再構築ユニット、加算器、合算器
215 再構築されたブロック
216 バッファ
220 ループフィルタユニット、ループフィルタ
221 フィルタリングされたブロック、フィルタリングされた再構築されたブロック
230 復号ピクチャバッファ(DPB)
231 復号されたピクチャ
244 インター予測ユニット、(エンコーダ)
254 イントラ予測ユニット、インター予測ユニット、イントラ予測
260 モード選択ユニット
262 区分けユニット、区分け
265 予測ブロック、予測子
266 シンタックス要素
270 エントロピー符号化ユニット、エントロピーコーディング
272 出力、出力インターフェース
304 残差計算、エントロピー復号、エントロピー復号ユニット
309 量子化された係数
310 逆量子化ユニット、逆量子化
311 逆量子化された係数、変換係数
312 逆変換処理ユニット、出力、(逆)変換
313 再構築された残差ブロック
314 再構築ユニット、合算器、加算器
315 再構築されたブロック
320 ループフィルタ、ループフィルタユニット、ループフィルタリングユニット
321 フィルタリングされたブロック、復号されたビデオブロック
330 復号ピクチャバッファ(DPB)
331 復号されたピクチャ
344 インター予測ユニット(デコーダ)
354 イントラ予測ユニット、イントラ予測
360 モード適用ユニット
362 区分け
365 予測ブロック
400 ビデオコーディングデバイス
410 着信ポート、入力ポート
420 受信機ユニット(Rx)
430 プロセッサ、論理ユニット、中央演算処理装置(CPU)
440 送信機ユニット(Tx)
450 発信ポート、出力ポート
460 メモリ
470 コーディングモジュール
500 装置
502 プロセッサ
504 メモリ
506 データ
508 オペレーティングシステム
510 アプリケーションプログラム
512 バス
514 二次ストレージ
518 ディスプレイ
1000 デコーダ
1010 取得ユニット
1020 フィルタリングユニット
1100 エンコーダ
1110 判定ユニット
1120 符号化ユニット
3100 コンテンツ供給システム
3102 キャプチャデバイス
3104 通信リンク
3106 端末デバイス
3108 スマートフォン、スマートパッド
3110 コンピュータ、ラップトップ
3112 ネットワークビデオレコーダ(NVR)/デジタルビデオレコーダ(DVR)
3114 TV
3116 セットトップボックス(STB)
3118 テレビ会議システム
3120 ビデオ監視システム
3122 携帯情報端末(PDA)
3124 車載デバイス
3126 ディスプレイ
3202 プロトコル進行ユニット
3204 多重分離ユニット
3206 ビデオデコーダ
3208 オーディオデコーダ
3210 字幕デコーダ
3212 同期ユニット
3214 ビデオ/オーディオディスプレイ
3216 ビデオ/オーディオ/字幕ディスプレイ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
言い換えると、区分けユニット262は、ビデオシーケンスのピクチャをコーディングツリーユニット(CTU)のシーケンスに区分けするように構成される可能性があり、CTU 203は、たとえば、四分木区分け(QT)、二分区分け(BT)、または三分木区分け(TT)、またはこれらの任意の組合せを反復的に使用して、(再度ブロックを形成する)より小さなブロックの区画または下位ブロックにさらに区分けされる可能性があり、区分けユニット262は、たとえば、ブロックの区画または下位ブロックの各々に関して予測を実行するように構成される可能性があり、モード選択は、区分けされたブロック203の木構造の選択を含み、予測モードは、ブロックの区画または下位ブロックの各々に適用される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0140
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0140】
たとえば、多目的ビデオコーディング(VVC)と呼ばれる現在開発されている最新のビデオコーディング規格による実施形態においては、たとえば、二分割および三分割セグメンテーション構造を使用する組み合わされた四分木の入れ子にされたマルチタイプツリーが、コーディングツリーユニットを区分けするために使用される。コーディングツリーユニット内のコーディングツリー構造において、CUは、正方形かまたは長方形かのどちらかの形状を持ち得る。たとえば、コーディングツリーユニット(CTU)は、まず、四分木によって区分けされる。それから、四分木の葉ノードが、マルチタイプツリー構造によってさらに区分けされ得る。マルチタイプツリー構造に4つの分割タイプ、すなわち、垂直二分割(SPLIT_BT_VER)、水平二分割(SPLIT_BT_HOR)、垂直三分割(SPLIT_TT_VER)、および水平三分割(SPLIT_TT_HOR)が存在する。マルチタイプツリーの葉ノードは、コーディングユニット(CU: coding unit)と呼ばれ、CUが最大の変換長(transform length)に関して長すぎない限り、このセグメンテーションが、いかなるさらなる区分けもなしに予測および変換処理のために使用される。これは、ほとんどの場合、CU、PU、およびTUが入れ子にされたマルチタイプツリーコーディングブロック構造を有する四分木内で同じブロックサイズを有することを意味する。例外は、最大のサポートされる変換長がCUの色成分の幅または高さよりも小さいときに発生する。VVCは、入れ子にされたマルチタイプツリーコーディングツリー構造を有する四分木内の区画分割情報の独特なシグナリングメカニズムを開発する。シグナリングメカニズムにおいて、コーディングツリーユニット(CTU)は、四分木の根として扱われ、四分木構造によって最初に区分けされる。(それを許すのに十分なだけ大きいとき)それぞれの四分木の葉ノードは、マルチタイプツリー構造によってさらに区分けされる。マルチタイプツリー構造においては、第1のフラグ(mtt_split_cu_flag)が、ノードがさらに区分けされるかどうかを示すためにシグナリングされ、ノードがさらに区分けされるとき、第2のフラグ(mtt_split_cu_vertical_flag)が、分割方向を示すためにシグナリングされ、それから、第3のフラグ(mtt_split_cu_binary_flag)が、分割が二分割であるかまたは三分割であるかを示すためにシグナリングされる。mtt_split_cu_vertical_flagおよびmtt_split_cu_binary_flagの値に基づいて、CUのマルチタイプツリー分割モード(MttSplitMode)が、予め定義された規則またはテーブルに基づいてデコーダによって導出され得る。特定の設計、たとえば、VVCハードウェアデコーダの64×64ルマブロックおよび32×32クロマブロックパイプライン設計に関しては、図6に示されるように、ルマコーディングブロックの幅かまたは高さかのどちらかが64よりも大きいとき、TT分割は禁止されることに留意されたい。TT分割は、クロマコーディングブロックの幅かまたは高さかのどちらかが32よりも大きいときも禁止される。パイプライン設計は、ピクチャを、ピクチャ内の重なり合わない単位として定義される仮想パイプラインデータユニット(VPDU: Virtual pipeline data unit)に分割する。ハードウェアデコーダにおいては、連続的なVPDUが、複数のパイプラインの段階によって同時に処理される。VPDUのサイズは、ほとんどのパイプラインの段階のバッファサイズにおおよそ比例し、したがって、VPDUのサイズを小さく保つことが重要である。ほとんどのハードウェアデコーダにおいて、VPDUのサイズは、最大変換ブロック(TB)サイズに設定され得る。しかし、VVCにおいては、三分木(TT)および二分木(BT)区分けが、VPDUのサイズの増加につながる可能性がある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0159
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0159】
エンコーダ20に関連して説明されたように、逆量子化ユニット210、逆変換処理ユニット212、再構築ユニット214、ループフィルタ220、復号ピクチャバッファ(DPB)230、インター予測ユニット344、およびイントラ予測ユニット354は、ビデオエンコーダ20の「内蔵デコーダ」を形成するともみなされる。したがって、逆量子化ユニット310は、逆量子化ユニット210と機能的に同一である可能性があり、逆変換処理ユニット312は、逆変換処理ユニット212と機能的に同一である可能性があり、再構築ユニット314は、再構築ユニット214と機能的に同一である可能性があり、ループフィルタ320は、ループフィルタ220と機能的に同一である可能性があり、復号ピクチャバッファ330は、復号ピクチャバッファ230と機能的に同一である可能性がある。したがって、ビデオ20エンコーダのそれぞれのユニットおよび機能に関して与えられた説明が、ビデオデコーダ30のそれぞれのユニットおよび機能に準用される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0429
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0429】
同様に、図9に示されるようにエンコーダにおいて実施される、コーディングされたデータを含むビデオビットストリームを符号化する方法が提供される。方法は、S901、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを判定するステップと、S902、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを判定することに基づいて、ピクチャレベルシンタックス要素(たとえば、pic_alf_enabled_flag)を現在のピクチャのピクチャヘッダに符号化するステップであって、ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、ステップと、S903、適応ループフィルタが現在のピクチャのために有効化される場合、パラメータセット識別子(たとえば、pic_alf_aps_id_luma[i])をピクチャヘッダに符号化するステップであって、パラメータセット識別子が、適応ループフィルタの1組のALFパラメータを含む第1のパラメータセット(たとえば、APS)を示すために使用され、第1のパラメータセットの時間識別子(たとえば、TemporalId)が、現在のピクチャの時間識別子以下に設定される、ステップとを含む。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在のピクチャのピクチャヘッダからのピクチャレベルシンタックス要素を解析するステップであって、前記ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が前記現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、ステップと、
前記ピクチャレベルシンタックス要素が、前記ALFが前記現在のピクチャのために有効化されることを指定するとき、前記ピクチャヘッダからの第1のパラメータセット識別子を解析するステップであって、前記第1のパラメータセット識別子が、前記現在のピクチャ内のスライスのルマ成分が参照するALF適応パラメータセット(APS)のadaptation_parameter_set_idを指定し、ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第1のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPSネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ユニットの時間識別子が、前記現在のピクチャの時間識別子以下である、ステップとを含み、
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第1のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有する前記APS NALユニットのalf_luma_filter_signal_flagの値が、1に等しい復号方法。
【請求項2】
前記第1のパラメータセット識別子によって指定された前記ALF APSに基づいて、前記現在のピクチャの少なくとも1つのスライスの前記ルマ成分に対して適応ループフィルタを実行するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ピクチャレベルシンタックス要素が、前記ALFが前記現在のピクチャのために有効化されることを指定するとき、前記ピクチャヘッダから第2のパラメータセット識別子を取得するステップであって、前記第2のパラメータセット識別子が、前記現在のピクチャ内の前記スライスのクロマ成分が参照するALF APSのadaptation_parameter_set_idを指定し、ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第2のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPS NALユニットの時間識別子が、前記現在のピクチャの前記時間識別子以下である、ステップをさらに含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第2のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有する前記APS NALユニットのalf_chroma_filter_signal_flagの値が、1に等しい請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ピクチャレベルシンタックス要素が、pic_alf_enable_flagである請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のパラメータセット識別子が、pic_alf_aps_id_luma[i]である請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のパラメータセット識別子が、pic_alf_aps_id_chromaである請求項3または4に記載の方法。
【請求項8】
現在のピクチャのピクチャヘッダにピクチャレベルシンタックス要素を符号化するステップであって、前記ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が前記現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、ステップと、
前記ALFが前記現在のピクチャのために有効化されるとき、前記ピクチャヘッダに第1のパラメータセット識別子を符号化するステップであって、前記第1のパラメータセット識別子が、前記現在のピクチャ内のスライスのルマ成分が参照するALF適応パラメータセット(APS)のadaptation_parameter_set_idを指定し、ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第1のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPSネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ユニットの時間識別子が、前記現在のピクチャの時間識別子以下である、ステップとを含み、
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第1のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有する前記APS NALユニットのalf_luma_filter_signal_flagの値が、1に等しいように設定される符号化方法。
【請求項9】
前記第1のパラメータセット識別子によって指定された前記ALF APSの前記時間識別子および前記現在のピクチャの前記時間識別子をビデオビットストリームに符号化するステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ピクチャレベルシンタックス要素が、前記ALFが前記現在のピクチャのために有効化されることを指定するとき、前記ピクチャヘッダに第2のパラメータセット識別子を符号化するステップであって、前記第2のパラメータセット識別子が、前記現在のピクチャ内の前記スライスのクロマ成分が参照するALF APSのadaptation_parameter_set_idを指定し、ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第2のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPS NALユニットの時間識別子が、前記現在のピクチャの前記時間識別子以下である、ステップをさらに含む請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第2のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有する前記APS NALユニットのalf_chroma_filter_signal_flagの値が、1に等しいように設定される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ピクチャレベルシンタックス要素が、pic_alf_enable_flagである請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のパラメータセット識別子が、pic_alf_aps_id_luma[i]である請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のパラメータセット識別子が、pic_alf_aps_id_chromaである請求項10または11に記載の方法。
【請求項15】
請求項8から14のいずれか一項に記載の方法を実行するための処理回路を含むエンコーダ。
【請求項16】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法を実行するための処理回路を含むデコーダ。
【請求項17】
コンピュータまたはプロセッサに請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を実行させるためのプログラムコードを含むコンピュータプログラム。
【請求項18】
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに結合され、前記プロセッサによる実行のためにプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、前記プログラミングが、前記プロセッサによって実行されるときに、
現在のピクチャのピクチャヘッダからのピクチャレベルシンタックス要素を解析することであって、前記ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が前記現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、解析すること、ならびに
前記ピクチャレベルシンタックス要素が、前記ALFが前記現在のピクチャのために有効化されることを指定するとき、前記ピクチャヘッダからの第1のパラメータセット識別子を解析することであって、前記第1のパラメータセット識別子が、前記現在のピクチャ内のスライスのルマ成分が参照するALF適応パラメータセット(APS)のadaptation_parameter_set_idを指定し、ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第1のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPSネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ユニットの時間識別子が、前記現在のピクチャの時間識別子以下である、解析することを行うようにデコーダを構成する、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体とを含み、
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第1のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有する前記APS NALユニットのalf_luma_filter_signal_flagの値が、1に等しいデコーダ。
【請求項19】
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに結合され、前記プロセッサによる実行のためにプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、前記プログラミングが、前記プロセッサによって実行されるときに、
現在のピクチャのピクチャヘッダにピクチャレベルシンタックス要素を符号化することであって、前記ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が前記現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用される、符号化すること、ならびに
前記ALFが前記現在のピクチャのために有効化されるとき、前記ピクチャヘッダに第1のパラメータセット識別子を符号化することであって、前記第1のパラメータセット識別子が、前記現在のピクチャ内のスライスのルマ成分が参照するALF適応パラメータセット(APS)のadaptation_parameter_set_idを指定し、ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第1のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPSネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ユニットの時間識別子が、前記現在のピクチャの時間識別子以下である、符号化することを行うようにエンコーダを構成する、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体とを含み、
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第1のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有する前記APS NALユニットのalf_luma_filter_signal_flagの値が、1に等しいように設定されるエンコーダ。
【請求項20】
コンピュータデバイスによって実行されるとき、前記コンピュータデバイスに請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を実行させるプログラムコードを含む非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項21】
ビットストリームの形態でビデオデータを記憶するように構成された非一時的メモリストレージと、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法のいずれかを実行するように構成されたデコーダとを含むビデオデータ復号デバイス。
【請求項22】
ビットストリームの形態でビデオデータを記憶するように構成された非一時的メモリストレージと、
請求項8から14のいずれか一項に記載の方法のいずれかを実行するように構成されたエンコーダとを含むビデオデータ符号化デバイス。
【請求項23】
ビットストリームを記憶するためのデバイスであって、
前記ビットストリームを受信するように構成された少なくとも1つの受信機と、
前記ビットストリームを記憶するように構成された少なくとも1つのメモリであって、前記ビットストリームが、現在のピクチャのピクチャヘッダを含み、前記ピクチャヘッダが、ピクチャレベルシンタックス要素を含み、前記ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が前記現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用され、前記ALFが前記現在のピクチャのために有効化されるとき、前記ピクチャヘッダが、第1のパラメータセット識別子をさらに含み、前記第1のパラメータセット識別子が、前記現在のピクチャ内のスライスのルマ成分が参照するALF適応パラメータセット(APS)のadaptation_parameter_set_idを指定し、ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第1のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPSネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ユニットの時間識別子が、前記現在のピクチャの時間識別子以下である、少なくとも1つのメモリとを含み、
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第1のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有する前記APS NALユニットのalf_luma_filter_signal_flagの値が、1に等しい、デバイス。
【請求項24】
前記ALFが前記現在のピクチャのために有効化されるとき、前記ピクチャヘッダが、第2のパラメータセット識別子をさらに含み、前記第2のパラメータセット識別子が、前記現在のピクチャ内の前記スライスのクロマ成分が参照するALF APSのadaptation_parameter_set_idを指定し、ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第2のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPS NALユニットの時間識別子が、前記現在のピクチャの時間識別子以下である請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第2のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有する前記APS NALユニットのalf_chroma_filter_signal_flagの値が、1に等しい請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
ビットストリームを記憶するための方法であって、
1つまたは複数のビットストリームを受信するステップと、
1つまたは複数のメモリに前記1つまたは複数のビットストリームを記憶するステップであって、前記1つまたは複数のビットストリームのうちの少なくとも1つが、現在のピクチャのピクチャヘッダを含み、前記ピクチャヘッダが、ピクチャレベルシンタックス要素を含み、前記ピクチャレベルシンタックス要素が、適応ループフィルタ(ALF)が前記現在のピクチャのために有効化されるかどうかを指定するために使用され、前記ALFが前記現在のピクチャのために有効化されるとき、前記ピクチャヘッダが、第1のパラメータセット識別子をさらに含み、前記第1のパラメータセット識別子が、前記現在のピクチャ内のスライスのルマ成分が参照するALF適応パラメータセット(APS)のadaptation_parameter_set_idを指定し、ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第1のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有するAPSネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ユニットの時間識別子が、前記現在のピクチャの時間識別子以下である、ステップとを含み、
ALF_APSに等しいaps_params_typeおよび前記第1のパラメータセット識別子に等しいadaptation_parameter_set_idを有する前記APS NALユニットのalf_luma_filter_signal_flagの値が、1に等しい、方法。
【外国語明細書】