(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156733
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】低電力時間デジタルコンバータアーキテクチャを備えた光検出器システム
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
A61B10/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024118454
(22)【出願日】2024-07-24
(62)【分割の表示】P 2021572008の分割
【原出願日】2020-05-21
(31)【優先権主張番号】62/858,029
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/906,620
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520449150
【氏名又は名称】エイチアイ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】HI LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217113
【弁理士】
【氏名又は名称】高坂 晶子
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ソルゲンフレイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ ダール
(72)【発明者】
【氏名】ライアン フィールド
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ ド ヴァーレ
(72)【発明者】
【氏名】ロン ジン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低電力化が可能な時間デジタルコンバータ(TDC)を備えた光検出器システムを提供する。
【解決手段】光検出器システムは、光検出器1024と、光検出器に接続されたTDCとを備える。TDCは、標的への光パルスの印加に応じて開始される所定のイベント検出時間窓中、光パルスが標的から反射された後に当該光パルスの光子を光検出器により検出するイベントによりトリガされた信号を受信するように構成されている。TDCは、信号の受信に応じて、TDCのゲーテッドリングオシレータ(GRO)をイネーブルし、GROを使用して、イベントの発生時と所定のイベント検出時間窓の終了時との間の時間間隔を測定し、時間間隔および所定のイベント検出時間窓に基づいて、光検出器への光子の到達時刻を判定するように更に構成されている。
【選択図】
図10B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出器と、
前記光検出器に接続された時間デジタルコンバータ(TDC)であって、
標的への光パルスの印加に応じて開始される所定のイベント検出時間窓中、前記光パ
ルスが前記標的から反射された後に当該光パルスの光子を前記光検出器により検出するイ
ベントによりトリガされた信号であって、前記TDCのゲーテッドリングオシレータ(G
RO)をイネーブルするように構成された信号を受信し、
前記GROを使用して、前記イベントの発生時と前記所定のイベント検出時間窓の終
了時との間の時間間隔を測定するように構成されたTDCと、
前記TDCに接続された制御回路であって、前記時間間隔および前記所定のイベント検
出時間窓に基づいて、前記光検出器への前記光子の到達時刻を判定するように構成された
制御回路と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記信号は、
前記信号が前記TDCにより受信されている間、前記TDCの前記GROをイネーブル
し、
前記信号が停止すると、前記TDCの前記GROをディセーブルするように更に構成さ
れている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記TDCは、前記TDCの前記GROをディセーブルするように構成された第2の信
号を、前記所定のイベント検出時間窓の後で、受信するように更に構成されている、請求
項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の信号は、前記所定のイベント検出時間窓が完了すると受信される、請求項3
に記載のシステム。
【請求項5】
前記GROは、前記GROがディセーブルされたときに前記GROの状態を記憶するよ
うに構成された1組または複数組の交差接続されたインバータを備え、
前記時間間隔は、記憶された前記GROの状態をデコードすることにより測定される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記TDCは、外部基準クロックを供給する位相ロックループ(PLL)または遅延ロ
ックループ(DLL)から電圧を受け取り、
前記GROをイネーブルすることおよび前記時間間隔を測定することの少なくとも一方
は、受け取られた電圧に更に基づいて行われる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記TDCは、前記時間間隔の後で、追加的な時間間隔を測定するように更に構成され
ており、
前記制御回路は、測定された追加的な時間間隔に基づいて前記TDCを較正するように
更に構成されており、
前記光子の前記到達時刻は、前記TDCを較正することに更に基づいて判定される、請
求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記追加的な時間間隔の長さは、前記所定のイベント検出時間窓の長さと同一または実
質的に同様である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記TDCを較正するための演算を実行するように構成された較正回路を更に備える、
請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記TDCを較正するための演算を可能にするように構成されたルックアップテーブル
を更に備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記TDCは、前記TDCの前記GROをディセーブルするように構成された第2の信
号を、前記追加的な時間間隔の後で、受信するように更に構成されている、請求項7に記
載のシステム。
【請求項12】
前記TDCは、前記所定のイベント検出時間窓の開始時刻を指定するイベント窓信号を
受信するように更に構成されており、
前記光子の前記到達時刻は、前記所定のイベント検出時間窓の前記開始時刻に更に基づ
いて判定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記光検出器は、
単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、
前記SPADを作動および解除するように構成された高速ゲート回路と
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
光検出器に接続された時間デジタルコンバータ(TDC)により、標的への光パルスの
印加に応じて開始される所定のイベント検出時間窓中、前記光パルスが前記標的から反射
された後に当該光パルスの光子を前記光検出器により検出するイベントによりトリガされ
た信号であって、前記TDCのゲーテッドリングオシレータ(GRO)をイネーブルする
ように構成された信号を受信することと、
前記TDCにより、および前記GROを使用して、前記イベントの発生時と前記所定の
イベント検出時間窓の終了時との間の時間間隔を測定することと、
前記TDCに接続された制御回路により、前記時間間隔および前記所定のイベント検出
時間窓に基づいて、前記光検出器への前記光子の到達時刻を判定することと
を含む方法。
【請求項15】
前記信号は、
前記信号が前記TDCにより受信されている間、前記TDCの前記GROをイネーブル
し、
前記信号が停止すると、前記TDCの前記GROをディセーブルするように更に構成さ
れている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記TDCにより、前記TDCの前記GROをディセーブルするように構成された第2
の信号を、前記所定のイベント検出時間窓の後で、受信することを更に備える、請求項1
4に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の信号は、前記所定のイベント検出時間窓が完了すると受信される、請求項1
6に記載の方法。
【請求項18】
前記GROは、前記GROがディセーブルされたときに前記GROの状態を記憶するよ
うに構成された1組または複数組の交差接続されたインバータを備え、
前記時間間隔を測定することは、記憶された前記GROの状態をデコードすることを含
む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記TDCにより、外部基準クロックを供給する位相ロックループ(PLL)または遅
延ロックループ(DLL)から電圧を受け取ることを更に含み、
前記GROをイネーブルすることおよび前記時間間隔を測定することの少なくとも一方
は、受け取られた電圧に更に基づいて行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記TDCにより、前記時間間隔の後で、追加的な時間間隔を測定することと、
前記制御回路により、測定された追加的な時間間隔に基づいて前記TDCを較正するこ
とと
を更に含み、
前記光子の前記到達時刻を判定することは、前記TDCを較正することに更に基づいて
行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記追加的な時間間隔の長さは、前記所定のイベント検出時間窓の長さと同一または実
質的に同様である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記TDCを較正することは、演算を可能にするように構成された較正回路を使用する
ことを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記TDCを較正することは、演算を可能にするように構成されたルックアップテーブ
ルを使用することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記TDCの前記GROをディセーブルするように構成された第2の信号を、前記TD
Cにより、かつ前記追加的な時間間隔の後で、受信することを更に含む、請求項20に記
載の方法。
【請求項25】
前記TDCにより、前記所定のイベント検出時間窓の開始時刻を指定するイベント窓信
号を受信することを更に含み、
前記光子の前記到達時刻を判定することは、前記所定のイベント検出時間窓の前記開始
時刻に更に基づいて行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
ユーザの頭部に装着されるように構成されたヘッドマウンタブルコンポーネントであっ
て、光検出器を含むヘッドマウンタブルコンポーネントと、
前記光検出器に接続された時間デジタルコンバータ(TDC)であって、
標的への光パルスの印加に応じて開始される所定のイベント検出時間窓中、前記光パ
ルスが前記標的から反射された後に当該光パルスの光子を前記光検出器により検出するイ
ベントによりトリガされた信号であって、前記TDCのGROをイネーブルするように構
成された信号を受信し、
前記GROを使用して、前記イベントの発生時と前記所定のイベント検出時間窓の終
了時との間の時間間隔を測定するように構成された、TDCと、
前記TDCに接続された制御回路であって、前記時間間隔および前記所定のイベント検
出時間窓に基づいて、前記光検出器への前記光子の到達時刻を判定するように構成された
制御回路と
を備える、前記ユーザが使用するためのウェアラブルシステム。
【請求項27】
前記信号は、
前記信号が前記TDCにより受信されている間、前記TDCの前記GROをイネーブル
し、
前記信号が停止すると、前記TDCの前記GROをディセーブルするように更に構成さ
れている、請求項26に記載のウェアラブルシステム。
【請求項28】
前記TDCは、前記TDCの前記GROをディセーブルするように構成された第2の信
号を、前記所定のイベント検出時間窓の後で、受信するように更に構成されている、請求
項26に記載のウェアラブルシステム。
【請求項29】
前記第2の信号は、前記所定のイベント検出時間窓が完了すると受信される、請求項2
8に記載のウェアラブルシステム。
【請求項30】
前記GROは、前記GROがディセーブルされたときに前記GROの状態を記憶するよ
うに構成された1組または複数組の交差接続されたインバータを備え、
前記時間間隔は、記憶された前記GROの状態をデコードすることにより測定される、
請求項26に記載のウェアラブルシステム。
【請求項31】
前記TDCは、外部基準クロックを供給する位相ロックループ(PLL)または遅延ロ
ックループ(DLL)から電圧を受け取り、
前記GROをイネーブルすることおよび前記時間間隔を測定することの少なくとも一方は
、前記受け取られた電圧に更に基づいて行われる、請求項30に記載のウェアラブルシス
テム。
【請求項32】
前記TDCは、前記時間間隔の後で、追加的な時間間隔を測定するように更に構成され
ており、
前記制御回路は、測定された追加的な時間間隔に基づいて前記TDCを較正するように
更に構成されており、
前記光子の前記到達時刻は、前記TDCを較正することに更に基づいて判定される、請
求項26に記載のウェアラブルシステム。
【請求項33】
前記追加的な時間間隔の長さは、前記所定のイベント検出時間窓の長さと同一または実
質的に同様である、請求項32に記載のウェアラブルシステム。
【請求項34】
前記TDCを較正するための演算を可能にするように構成された較正回路を更に備える
、請求項32に記載のウェアラブルシステム。
【請求項35】
前記TDCを較正するための演算を可能にするように構成されたルックアップテーブル
を更に備える、請求項32に記載のウェアラブルシステム。
【請求項36】
前記TDCは、前記TDCの前記GROをディセーブルするように構成された第2の信
号を、前記追加的な時間間隔の後で、受信するように更に構成されている、請求項32に
記載のウェアラブルシステム。
【請求項37】
前記TDCは、前記所定のイベント検出時間窓の開始時刻を指定するイベント窓信号を
受信するように更に構成されており、
前記光子の前記到達時刻は、前記所定のイベント検出時間窓の前記開始時刻に更に基づ
いて判定される、請求項26に記載のウェアラブルシステム。
【請求項38】
前記光検出器は、
単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、
前記SPADを作動および解除するように構成された高速ゲート回路と
を備える、請求項26に記載のウェアラブルシステム。
【請求項39】
前記ヘッドマウンタブルコンポーネントは、非侵襲的ウェアラブル・ブレイン・インタ
フェース・システムにより実装される、請求項26に記載のウェアラブルシステム。
【請求項40】
前記ヘッドマウンタブルコンポーネントに電力を供給するように構成されたウェアラブ
ルバッテリを更に備える、請求項26に記載のウェアラブルシステム。
【請求項41】
前記制御回路と通信するように構成されたプロセッサを更に備える、請求項26に記載
のウェアラブルシステム。
【請求項42】
前記プロセッサと前記制御回路とを収容するように構成された単一の筐体を更に備える
、請求項41に記載のウェアラブルシステム。
【請求項43】
前記制御回路を収容するように構成された第1の筐体と、
前記プロセッサを収容するように構成された第2の筐体と
を更に備える、請求項41に記載のウェアラブルシステム。
【請求項44】
前記第1の筐体は、前記ヘッドマウンタブルコンポーネントを備え、
前記第2の筐体は、前記ユーザの、前記頭部以外の部位に取り付けられるように構成さ
れている、請求項43に記載のウェアラブルシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2019年9月26日に出願された米国仮特許出願第62/906,620
号および2019年6月6日に出願された米国仮特許出願第62/858,029号の優
先権を主張するものである。これらの出願は、参照により、その全体を本明細書に援用す
る。
【背景技術】
【0002】
脳内の神経活動を検知することは、医療診断、撮像、神経工学、ブレイン・コンピュー
タ・インターフェース連携、および他の様々な診断およびコンシューマ関連用途に有用で
ある。例えば、血液灌流の減少、出血、または任意の他の種類の損傷により脳の特定の領
域が影響を受けたかどうかを判定する際に、患者の脳内の神経活動を検出することが望ま
れる場合がある。別の例として、ユーザの脳内の神経活動を検出し、検出された神経活動
をコンピュータ的にデコードして、(例えば、コンピュータ画面上のカーソルを制御し、
テレビのチャンネルを変更し、またはライトを点灯する等による)様々な種類の家電製品
の制御に使用可能なコマンドとすることが望まれる場合がある。
【0003】
単一光子(すなわち、光エネルギーの単一粒子)を検出可能な光検出器は、脳内の神経
活動を検出するために使用可能な非侵襲的な検出器の1つの例である。例えば、これらの
高感度光検出器の多くは、1つまたは複数の光パルスの印加に応じて、脳内の組織で反射
される光子を記録できる。脳の神経活動その他の特性は、光検出器が光子の検出に要する
時間に基づいて判定または推測することができる。
【0004】
時間デジタルコンバータ(time-to-digital converter(TDC))を光検出器と併用し
て、タイミングイベントまたはタイミング間隔(例えば、光のパルスが標的に印加された
後に当該光パルスの光子を光検出器により検出するのに要する時間)をデジタル表現に変
換する。従来、位相ロックループまたは遅延ロックループを使用して、位相および遅延情
報を提供し、デジタル化された値を特定のタイミング分解能で捕捉してきた。しかしなが
ら、TDCおよび/またはTDCのコンポーネントの同期の際には、比較的多くの電力が
消費されうる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本明細書に記載の原理による低電力TDCアーキテクチャを備えた光検出器の例を示す図である。
【
図2】本明細書に記載の原理による低電力TDCアーキテクチャを備えた光検出器システムの例を示す図である。
【
図3】本明細書に記載の原理による低電力TDCアーキテクチャを備えた光検出器についての例示的なタイミング図である。
【
図4】本明細書に記載の原理による低電力TDCアーキテクチャのコンポーネント向けの例示的な回路を示す図である。
【
図5】本明細書に記載の原理による低電力TDCアーキテクチャのコンポーネント向けの例示的な回路を示す図である。
【
図6】本明細書に記載の原理による低電力TDCアーキテクチャのコンポーネント向けの例示的な回路を示す図である。
【
図7】本明細書に記載の原理による低電力TDCアーキテクチャのコンポーネント向けの例示的な回路を示す図である。
【
図8】本明細書に記載の原理による低電力TDCアーキテクチャのコンポーネント向けの例示的な回路を示す図である。
【
図9】
図9A及び
図9Bは、本明細書に記載の原理による低電力TDCアーキテクチャを備えた光検出器システムの例を示す図である。
【
図10A】本明細書に記載の原理による低電力TDCアーキテクチャを備えたな光検出器システムの例を示す図である。
【
図10B】本明細書に記載の原理による低電力TDCアーキテクチャを備えた光検出器システムを備えた例示的なウェアラブルデバイスを示す図である。
【
図11】本明細書に記載の原理による例示的な方法を示す図である。
【
図12】本明細書に記載の原理による例示的なコンピュータデバイスを示す図である。
【0006】
添付の図面は、様々な実施形態を示しており、本明細書の一部である。図示された実施
形態は単なる例示であり、本開示の範囲を限定するものではない。図面全体を通して、同
一または類似の参照番号は、同一または類似の要素を指定している。
【詳細な説明】
【0007】
本明細書には、低電力TDCアーキテクチャを備えた光検出器システムが記載される。
本明細書に記載のシステムは、光検出器と、光検出器に接続されたTDCと、TDCに接
続された制御回路とを備える。TDCは、標的への光パルスの印加に応じて開始される所
定のイベント検出時間窓中、光パルスが標的から反射された後に当該光パルスの光子を光
検出器により検出するイベントによりトリガされた信号であって、TDCのゲーテッドリ
ングオシレータ(gated ring oscillator(GRO))をイネーブルするように構成され
た信号を受信するように構成されている。TDCは、GROを使用して、イベントの発生
時と所定のイベント検出時間窓の終了時との間の時間間隔を測定するように更に構成され
ている。制御回路は、時間間隔および所定のイベント検出時間窓に基づいて、光検出器へ
の光子の到達時刻を判定するように構成されている。
【0008】
本明細書に記載のTDCアーキテクチャは、光子が検出されるイベントに応じてGRO
および/またはTDCの他のコンポーネントをイネーブルする。よって、TDCアーキテ
クチャは、そのようなイベントが発生するまで節電できる。複数の光検出器を備えた光検
出器システムでは、光検出器の多くが比較的低頻度で光子を検出するため、そのようなイ
ベント駆動型のTDCアーキテクチャによれば、従来の光検出器システムと比較して、結
果的に電力消費を大幅に削減できる。さらに、TDCがディセーブルおよびイネーブルさ
れるため、複数のTDCを同期させるために従来使用されてきたコンポーネントが不要と
なり、その結果、システム面積が減少するだけでなく、電力使用量が更に削減される。本
明細書に記載のシステムおよび方法により提供されうる上述した利点および/または優位
点及びその他の利点および/または優位点は、以下の詳細な説明により明らかになるであ
ろう。
【0009】
図1に、低電力TDCアーキテクチャを備えた光検出器システム102の例を示す。図
示されるように、光検出器システム102は、光検出器104と、制御回路106と、T
DC108とを備える。いくつかの例において、光検出器システム102は、より多いコ
ンポーネント、より少ないコンポーネント、および/または異なるコンポーネントを備え
てよい。例えば、光検出器システム102は、複数の光検出器と、光検出器に対応する複
数のTDCと、光検出器およびTDCに対する1つまたは複数の制御回路を備えてよい。
【0010】
光検出器104は、光検出器104に入射する光の各光子を個別に検出するように構成
された任意の好適な回路により実装することができる。例えば、光検出器104は、単一
光子アバランシェダイオード(SPAD)と、共に動作して、SPADに入射する光子を
検出するように構成された高速ゲート回路とを備えたSPAD回路により実装することが
できる。光検出器104は、SPADが光子を検出したときに、出力を生成してもよい。
【0011】
TDC108は、ある光パルスが発生したこと、およびこの光パルスが標的から反射さ
れた後に当該光パルスからの光子がSPAD回路104により検出されたことを示す光検
出器104により生成された出力信号の発生との間の時差を測定するように構成されてい
る。本明細書に、TDC108の実装例を記載する。
【0012】
制御回路106は、特定用途向け集積回路(ASIC)または光検出器104(例えば
、SPAD回路)およびTDC108内の様々なコンポーネントの動作を制御するように
構成された任意の他の好適な回路により実装することができる。
【0013】
例えば、制御回路106は、SPAD回路内の1つまたは複数のスイッチの動作を制御
する制御論理を出力して、(例えば、SPAD回路内のコンデンサを選択的に充電するこ
とにより)光検出器104が備えるSPADを選択的に作動状態(armed state)または
解除状態(disarmed state)のいずれに設定してもよい。いくつかの例において、制御回
路106は、光パルス(例えば、レーザパルス)の発生後に制御回路106が待機する所
定の時間を指定してSPADを作動状態にするゲート遅延を制御してもよい。この目的の
ため、制御回路106は、光パルスが発生する時刻(例えば、光パルスが脳内の組織など
の標的に印加される時刻など)を示す光パルスタイミング情報を受信してもよい。制御回
路106は、また、プログラム可能なゲート幅を制御してもよい。ゲート幅により、SP
ADが解除される前に維持されるべき作動状態の期間が指定される。例えば、制御回路1
06は、特定のイベント検出時間窓中、SPADを作動状態に維持してもよい。
【0014】
制御回路106は、また、TDC108の動作を制御するように構成されてもよい。例
えば、本明細書に記載されるように、制御回路106は、TDC108内のGROおよび
/または他のコンポーネントをイネーブルおよび/またはディセーブルするために使用さ
れる1つまたは複数の信号を生成してもよい。
【0015】
制御回路106は、TDC108により出力されたデータに対して1つまたは複数の信
号処理動作を実行するように更に構成されてもよい。例えば、信号処理回路110は、T
DC108により出力されたデータに基づいて、および制御回路106によりアクセスさ
れたヒストグラムパラメータ(例えば、タイムビン、光パルスの数、ヒストグラムの種類
等)に従って、ヒストグラムデータを生成してもよい。例を挙げると、制御回路106は
、TDC108により出力されたデータに基づいて、ヒストグラムの生成、保存、送信、
圧縮、分析、デコード、および/またはその他の処理を行ってもよい。いくつかの例にお
いて、信号処理動作は、別の追加コンポーネントにより実行されてもよい。
【0016】
図2に、低電力TDCアーキテクチャを備えた光検出器システム200の例を示す。光
検出器システム200は、光検出器ピクセル202(例えば、光検出器ピクセル1 20
2-1から光検出器ピクセルN 202-N)を備える。光検出器ピクセル202-1な
どの光検出器ピクセル202は、それぞれ、SPAD回路204と、TDC206とを備
える。TDC206は、GRO208と、カウンタ210と、バイアス発生器212とを
備える。バイアス発生器212は、位相ロックループ(PLL)214から信号を受信す
ることができる。光検出器システム200は、(例えば、制御回路106の実装例である
)制御回路216およびメモリ218を更に備える。制御回路216は1つまたは複数の
光検出器ピクセル202に対応している。
【0017】
(例えば、光検出器104の実装例である)SPAD回路204は、SPADと、SP
ADを作動(arm)および解除(disarm)するように構成された高速ゲート回路とを備え
てもよい。高速ゲート回路は、また、SPADが光子を検出するイベントによりトリガさ
れた信号を出力するように構成されてもよい。信号は、TDC206により受信されたと
きに、TDC206のGROをイネーブルするように構成されている。例えば、GRO2
08は、SPAD回路204からの信号の受信に基づいて、イネーブルされてもよい。T
DC206は、GRO208を(カウンタ210および/またはバイアス発生器212な
どの他のコンポーネントと共に)使用して、SPADへの光子の到達時刻を判定してもよ
い。例えば、TDC206は、
図3に示す例示的なタイミング
図300に基づいて光子の
到達時刻を判定してもよい。
【0018】
タイミング
図300は、第1の所定のイベント検出時間窓304-1(長さ「c」)お
よび第2の所定のイベント検出時間窓304-2などの所定のイベント検出時間窓304
を示すイベント窓パルス波302を表す。所定のイベント検出時間窓304は、標的に印
加されている光パルスに応じて制御回路216により生成することができる。所定のイベ
ント検出時間窓304は、SPADが作動およびイネーブルされて光パルスの光子を検出
する時間の長さのそれぞれに対応してもよい。所定のイベント検出時間窓304は、個々
の光パルスに続いて開始されてもよい。上述のように、いくつかの例において、所定のイ
ベント検出時間窓304は、個々の光パルスの後の特定の遅延後に開始されてもよい。他
の例において、所定のイベント検出時間窓304は、個々の光パルスの実質的に直後に開
始されてもよい。
【0019】
イベントパルス波306は、SPAD回路204が光子を検出するイベント308を示
す。図示されるように、イベント308は、第1の所定のイベント検出時間窓304-1
中に発生する。イベント308は、SPAD回路204により出力されてTDC206に
より受信される信号をトリガにしてもよい。信号の受信に基づいてGRO208がイネー
ブルされ、イベント308の発生時と第1の所定のイベント検出時間窓304-1の終了
時との間の時間間隔を測定してもよい。時間間隔は、イベント測定パルス波310のイベ
ント測定312(長さ「a」)により示される。タイミング
図300は、GRO208に
より判定された測定に対応するカウンタ210の値を示すカウンタパルス波318を更に
含む。例えば、第1のカウント320は、イベント測定312に対応し、時間間隔「a」
に比例するデジタル値C
aを提供する。よって、TDC206は、C
aおよび第1の所定
のイベント検出時間窓304-1の既知の長さ「c」に基づいて、イベント308での光
子の到達時刻を判定することができ、判定された到達時刻は(c-a)に対応する。
【0020】
加えて、タイミング
図300は、長さ「b」の較正測定316を示す較正測定パルス波
314を含む。較正測定値316をGRO208を使用して測定して、イベント308で
の光子の到達時刻を判定するための較正要素を得てもよい。例えば、TDC206は、G
RO208を使用して、制御回路216により生成され得る較正窓を測定してもよい。カ
ウンタパルス波318は、較正測定316に対応するカウンタ210の第2のカウント3
22を示す。第2のカウント322は、時間間隔「b」に比例するデジタル値C
bを提供
する。TDC206は、C
bを使用して、GRO208を較正し、更にC
bに基づいてイ
ベント308での光子の到達時刻を判定してもよい。例えば、TDC206は、以下のよ
うな数式1に基づいて到達時刻を判定してもよい。
【0021】
【数1】
(数式1)
式中、T
c-aは、イベント308での光子の到達時刻であり、T
cは、第1の所定のイ
ベント検出時間窓(例えば、イベント検出時間窓304-1)の時間である。所定のイベ
ント検出時間窓および較正窓を制御回路216により生成することができるが、そのよう
な窓の長さは、既知の量でもよく、b=cとなるように同一の長さに設定されてもよい。
【0022】
そのような信号のタイミングの例をタイミング
図300に示すように使用して、TDC
206をイベント系TDCとして実装することができ、および/またはTDC206はイ
ベント系コンポーネントを備えてもよい。例えば、光検出器システム200(例えば、制
御回路216、TDC206)は、イベント308が発生するまでGRO208をディセ
ーブルに維持してもよく(および/またはTDC206がGRO208でディセーブルさ
れてもよく)、これにより、特にイベントの発生頻度が比較的少ないアプリケーションに
ついての節電が可能である。光検出器システム200は、イベント308によりトリガさ
れたSPAD回路204から信号を受信したときにGRO208をイネーブルし、イベン
ト308での光子の到達時刻をGRO208を使用して判定してもよい。その判定に続い
て、光検出器システム200は、光子の検出および/または較正測定によりトリガされた
別のイベントまで、GRO208をディセーブルしてもよい。追加でまたは代案として、
光検出器システム200は、GRO208をイネーブルに維持して、GRO208の較正
を行ってもよい。そのような較正測定は、各イベント測定の後、一定回数のイベント測定
の後、前回の較正から一定の時間が経過した後等の、任意の好適な頻度で実施されてもよ
い。
【0023】
いくつかの例において、コースカウントを提供するバイアス発生器212にPLL21
4が信号を提供する間、GRO208を使用してイベント308のタイミングに対する微
小(fine)カウントを判定してもよい。PLL214は外部基準クロックにロックされて
、バイアス発生器212にアナログ電圧を提供してもよい。他の例において、光検出器シ
ステム200は、PLL214および/またはバイアス発生器212を使用せずに実装さ
れてもよい。そのような例において、GRO208は自走していてもよく、デジタルイネ
ーブル信号により開始および終了を定めてもよい。本明細書に、GRO208の例を記載
する。
【0024】
図4に、バイアス発生器(例えば、バイアス発生器212)の実装例として回路400
を示す。回路400は、PLL214から受信した基準値などの、基準電流源402を備
える。回路400は、イネーブル信号404によりゲートされる電流ミラーを示す。イネ
ーブル信号404は、SPAD回路204が光子を検出するイベントであるイベント30
8に応じて提供されるアナログ信号であってもよい。イネーブル信号404が受信される
間、回路400は、GRO208に提供される第1の出力PBIAS406および第2の
出力NBIAS408を経由してアナログバイアスを生成してもよい。反対に、イネーブ
ル信号404が停止している間、回路400は、GRO208へのアナログバイアスの提
供を停止してもよい。
【0025】
図5に、バイアス発生器(例えば、バイアス発生器212)と共に動作するように構成
されたGRO(例えば、GRO208)のインバータの実装例として回路500を示す。
回路500は、入力502において信号を受信し、出力504において反転信号を生成す
るように構成されたインバータを示す。GRO208は、1つのインバータの出力504
が次のインバータの入力502に接続されてインバータの環を形成するように接続された
複数のインバータを備えてもよい。回路500は、第1の入力PBIAS506および第
2の入力NBIAS508を経由してバイアス発生器212からアナログバイアスを受信
するように構成されたカレントスターブドインバータを示す。回路500は、また、プル
ダウントランジスタ510を備え、インバータ用のトライステート出力(例えば、高イン
ピーダンス状態)を実装する。さらに、プルダウントランジスタ510は、また、回路5
00の状態を初期化して、GRO208が毎回同一の初期化状態で開始可能となるように
構成されてもよい。
【0026】
アナログバイアスが受信されている間、GRO208が発振して、カウンタ(例えば、
カウンタ210)に信号を提供させ、カウンタを、光子の到達時刻などの時刻のデジタル
表現を判定するために使用してよい。アナログバイアスが停止すると、GRO208がデ
ィセーブルされて、GRO208のインバータが高インピーダンス状態になる。GRO2
08は、
図6に示すように、GRO208の値を記憶するように構成されたコンポーネン
トを更に備えてもよい。
【0027】
図6に、GRO(例えば、GRO208)の実装例として回路600を示す。回路60
0は、複数のステージ602(例えば、ステージ602-1からステージ602-N)を
示す。図示のステージ602は、それぞれが1つずつ次のステージに接続されているが、
ステージ602-Nは、ステージ602-1にも接続されてステージ602の環を形成し
てもよい。
【0028】
ステージ602-1などの各ステージ602は、それぞれ、1組のカレントスターブド
インバータ604(例えば、カレントスターブドインバータ604-1および604-2
)を備える。カレントスターブドインバータ604は、
図5の回路500により実装され
てもよい。上述したように、カレントスターブドインバータ604は、ある値を入力とし
て受信し、その反転値(例えば、低から高または高から低)を出力として提供することが
できる。さらに、カレントスターブドインバータ604は、トライステートインバータで
あってもよく、GRO208がディセーブルされたときに、高インピーダンス状態を出力
するように構成されてもよい。ステージ602-1は、GRO208がディセーブルされ
たときに、ステージ602-1の値を記憶するように構成された1組の交差接続インバー
タ606を更に備える。このように、各ステージ602、ひいてはGRO208の状態は
、交差接続インバータ606により内部でラッチされてもよい。ラッチされた値をデコー
ドすることによりTDC206の微小カウンタ値を判定してもよい。GRO208が発振
を停止するようにGRO208をディセーブルすることにより、コースカウンタ(例えば
、PLL214)は、何らの追加回路なしにゲートすることができる。
【0029】
図7に、GRO(例えば、GRO208)の別のインバータを実装する回路700の例
を示す。回路700は、回路600に対するカレントスターブドインバータ604の実装
例とすることもできる。回路500と同様に、回路700は、入力702において信号を
受信し、出力704において反転信号を生成するように構成されたインバータを示す。イ
ンバータは、また、環状に接続されてGRO208を実装する複数のインバータの1つで
あってもよい。ただし、回路700は、インバータ、ひいてはGRO208のオン/オフ
を切り替えるデジタルイネーブル信号を受信するように構成された第1の入力706と、
第2の入力708とを備える。回路700は、また、プルダウントランジスタ710を備
え、GRO208がディセーブルされたときのために、トライステート出力(例えば、高
インピーダンス状態)を実装する。
【0030】
回路700は、外部PLLおよび/またはバイアス発生器がなくても、自走状態で動作
するように構成されているGRO208を実装してもよい。そのようなコンポーネントを
有さないGROアーキテクチャは、そのようなコンポーネントを備えたアーキテクチャと
比較して、レイアウト面積および消費電力を低減することが可能である。しかしながら、
外部PLLにより提供されるフィードバックメカニズムがないと、GRO208(および
複数のGROにわたる)のインバータ間での処理、電圧、および温度(PVT)の差異が
顕著になり、GRO208により得られる測定値に影響を及ぼす場合がある。しかし、本
明細書に記載されるような各較正処理を行うことにより、そのような差異の影響を最小化
またはオフセットすることが可能である。
【0031】
図8に、低電力TDCアーキテクチャ用の回路800の例を示す。回路800は、光検
出器による光子の検出などのイベントの到来時刻を判定するための実装を示す。回路80
0は、GRO208を備える。GRO208は、イベント測定値(C
a)に対応する測定
出力および較正測定値(C
b)に対応する較正出力を提供する。較正測定値は、ルックア
ップテーブル(LUT)コンポーネント802により受信される。LUTコンポーネント
802は、C
bに対する値を受信し、1/C
bに対応する値を検索(look up)し、乗算
コンポーネント804への出力として1/C
bを提供する。乗算コンポーネント804は
、LUTコンポーネント802から1/C
bを受信、GRO208からCaを受信し、そ
れら2つの入力値を乗算する。C
a/C
bに対応する積はビット単位反転コンポーネント
806に提供され、ビット単位反転コンポーネント806は1つのマイナスC
a/C
bを
演算して最終結果を得る。最終結果は、上記の数式1により定義されたように、イベント
の時刻に対応する。
【0032】
回路800は数式1を演算する実装の一例を示すが、任意の好適なコンポーネントの組
み合わせを使用して、同一の結果を判定してもよい。例えば、本明細書に記載の演算のそ
れぞれおよび/または全てが、ルックアップテーブルを使用して実行されてもよい。代案
として、または加えて、演算はルックアップテーブルを使用せずに実行されてもよく、乗
算を実行するように構成されたコンポーネントおよび減算を実行するように構成されたコ
ンポーネントと共に除算を実行するように構成されたコンポーネントを使用して演算が実
行されてもよい。さらに、入力の処理を行って、コース・ロッキングに対してPLLを使
用してPVT変動の影響を低減し、較正測定値およびイベント測定値の潜在的範囲を減少
させるといった演算の複雑性を低減してもよい。加えて、または代案として、各GRO2
08に対して初期トリミングを実行して、GRO208の動作周波数を設定し、GRO間
の差異を低減してもよい。加えて、または代案として、LUTコンポーネント802を、
読出専用メモリ(ROM)を使用して実装して、電力および面積を削減してもよい。
【0033】
図9Aに、低電力TDCアーキテクチャを有する光検出器システム900の例を示す。
光検出器システム900は、ピクセル配列902を備え、ピクセル配列902は、ピクセ
ル部分配列904(例えば、ピクセル部分配列904-1および904-2)を含む。ピ
クセル部分配列904は、イベント(例えば、部分配列内のピクセルによる光子の検出)
およびイベント窓(例えば、所定のイベント検出時間窓)に対応する信号を、複数のGR
O906に出力する。例えば、ピクセル部分配列904-1は、第1のイベントおよび第
1のイベント窓に対応する信号を、複数のGRO906の第1のGRO(および/または
第1のGROのサブセット)に出力してもよい。ピクセル部分配列904-2は、第2の
イベントおよび第2のイベント窓に対応する信号を、複数のGRO906の第2のGRO
(および/または第2のGROのサブセット)に出力してもよい。しかしながら、光検出
器システム900内の部分配列と対応するGROとの間の距離によっては、レイアウト遅
延が生じる場合がある。そのようなレイアウト遅延により、イベントのタイミングの判定
が不正確になる場合がある。イベントに対応する信号と共にイベント窓に対応する信号を
出力することにより、光検出器システム900を、レイアウト遅延を補正するように構成
することができる。
【0034】
例えば、
図9Bに、レイアウト遅延の補正を示す光検出器システム900用のタイミン
グ
図920を示す。本例において、第1のイベントおよび第2のイベントは、相互に比較
的近い時刻に到来しうるため、これら2つの時刻は同一のタイムビンにグループ化される
べきである。しかしながら、レイアウト遅延のため、第2のイベントパルス波924およ
び第1のイベントパルス波928により図示されるように、第2のイベントは、第1のイ
ベントよりも早く、GRO906により受信される場合がある。対応するイベント窓に信
号を提供することにより、光検出器システム900は、イベント窓に対するイベントのタ
イミングを判定して、レイアウト遅延を相殺してもよい。タイミング
図920に示すよう
に、第2のイベント窓パルス波922は、第1のイベント窓パルス波926における第1
のイベント窓より早く到来する第2のイベント窓を示す。イベント窓の到来時刻の差分を
とることにより、またはイベント窓に対するイベントのタイミングを判定することにより
、そのようなレイアウト遅延を補正することができる。
【0035】
さらに、本明細書に記載の光検出器システムは、各SPAD回路またはSPAD回路の
サブセットに対するTDCを備えているので、そのような光検出器システムに対する機能
テストプロセスが改良されてもよい。複数のTDCにより、SPAD回路のいくつかまた
は全てについてのテストを同時および/または並行して行うことが可能となり、システム
の起動中および/または大量生産の歩留まりテスト中の暗計数率を光検出器システムによ
りテストすることが可能となる。
【0036】
図10Aに、本明細書に記載のシステムおよび方法に従って使用可能な光検出器システ
ム1000の例を示す。光検出器システム1000は、本明細書に記載の光検出器システ
ムのいずれを実装してもよい。図示されるように、光検出器システム1000は、プリン
ト配線板(PCB)1006上に配置された光源1002と複数のSPAD回路1004
(すなわち、SPAD回路1004-1から1004-16)とを備える。あるいは、S
PAD回路1004(および光検出器システム1000の他のコンポーネント)は、AS
ICに配置されてもよい。光検出器システム1000は、SPAD1004に共通する制
御回路1008と、各SPAD1004に共通する信号処理回路1010と、SPAD回
路1004のうちの1つにそれぞれ対応する(本明細書に記載されるような)複数のTD
Cを含むTDC配列1012とを更に備える。制御回路1008、信号処理回路1010
、およびTDC配列1012は、それぞれ、
図10Aに示すように、PCB1006に配
置されてもよいし、光検出器システム1000内の他の場所に設置されてもよい。各SP
AD回路1004は、TDC配列1012に設けられたTDC、制御回路1008、およ
び信号処理回路1004と組み合わせて、特定の光検出器を実装してもよい。よって、光
検出器システム1000は、光検出器の配列を備えると言うことができる。
【0037】
光源1002は、所望の標的(例えば、脳内の標的)に適用可能な1つまたは複数の波
長において1つまたは複数の光パルスを生成するように構成されてよい。光源1002は
、コンポーネントの任意の好適な組み合わせにより実装されてもよい。例えば、光源10
02は、レーザパルスを生成するレーザ源により実装されてもよい。光源は、PCB10
06に実装されてもよく、またはPCB1006の外部に実装されてもよい。
【0038】
SPAD回路1004は、光源1002により生成された光パルスの光子を、当該光子
が標的(例えば、脳組織のような、ユーザの内部の標的)で反射または散乱した後に検出
するように構成されてもよい。SPAD回路1004を使用して、撮像アプリケーション
に対する環境光に起因して任意の物体から反射される光子を検出してもよい。この場合、
光子は環境光または別の光源のいずれかにより生成されるため、光源1002は不要であ
る。
【0039】
図示されるように、SPAD回路1004は、PCB1006に4×4配列で配置され
る。各SPAD回路1004の位置決めは、例えば、ピクセル配列内のピクセルに対応し
て行われてよい。SPAD回路1004は、あるいは、任意の好適な方法で配置されても
よい。
図10Aには16個のSPAD回路1004が示されているが、光検出器システム
1000には任意の数のSPAD回路1004が設けられてもよいことを理解されたい。
【0040】
制御回路1008は、制御回路106と機能的に類似してもよく、SPAD回路100
8のそれぞれを制御するように構成されてもよい。信号処理回路1010は、信号処理回
路110と機能的に類似してもよく、SPAD回路1004のそれぞれにより出力される
信号を処理するように構成されてもよい。TDC配列1012は、それぞれがTDC10
8に類似する複数のTDCを備えて、光パルス1002の発生と、SPAD回路1004
のそれぞれにより生成された出力パルスのそれぞれとの間の時差を測定するように構成さ
れてもよい。
【0041】
光検出器システム1000は、任意の好適なデバイスにより実装されてもよく、または
任意の好適なデバイスに設けられてもよい。例えば、光検出器システム1000を、ユー
ザの身体に装着可能な非侵襲的ウェアラブルデバイスに設けて、1つまたは複数の診断、
撮像、および/またはコンシューマ関連動作を実行させてもよい。
【0042】
具体的には、
図10Bに、光検出器システム1000と同様の光検出器システムを実装
する非侵襲的ウェアラブルブレインインタフェースシステム1020(「ブレインインタ
フェースシステム1020」)の例を示す。図示されるように、ブレインインタフェース
システム1020は、ユーザの頭部に装着可能に構成されたヘッドマウンタブルコンポー
ネント1022を備える。ヘッドマウンタブルコンポーネント1022は、ユーザの頭部
に装着されるキャップ形状により実装することができる。ヘッドマウンタブルコンポーネ
ント1022の代替的な実装は、ヘルメット、ビーニー帽、ヘッドバンド、他の帽子形状
、またはユーザの頭部等に装着するのに適した他の形状を含む。ヘッドマウンタブルコン
ポーネント1022は、任意の好適な布、軟質ポリマー、プラスチック、ハードシェル、
および/または特定の実装に対応可能な任意の他の好適な材料から作成されてもよい。ウ
ェアラブルブレインインタフェースシステムに使用されるヘッドギアの例は、参照により
その全体を本明細書に援用する米国特許第10,340,408号において更に詳細に記
載されている。
【0043】
ヘッドマウンタブルコンポーネント1022は、複数の光検出器1024と、光パルス
を生成するように構成された複数の光源1026とを備える。いくつかの代替的な実施形
態においては、ヘッドマウンタブルコンポーネント1022は、単一の光検出器1024
および/または単一の光源1026を備えてもよいことを理解されたい。例えば、ブレイ
ンインタフェースシステム1020を使用して、光路を制御し、および光検出器ピクセル
測定値を脳組織領域の光学的特性を表す強度値に変換してもよい。ブレインインタフェー
スシステム1020は、光源1026からユーザの脳内の標的の位置までに生じる光子か
らのデータを抽出することにより、皮膚および骨を透過した深部の解剖学的部位の光学検
出を可能にする点で、表面組織構造または完全に光学的に透明な構造を単に撮像するにす
ぎない従来の撮像システムおよび方法(例えば、光干渉断層撮影(OCT))と異なる。
【0044】
ブレインインタフェースシステム1020は、通信リンク1030を経由して光検出器
1024および光源1026と通信(例えば、光検出器1024および光源1026から
の信号を制御および/または受信)するように構成されたプロセッサ1028を更に備え
てもよい。通信リンク1030は、任意の好適な有線および/または無線の通信リンクを
含んでもよい。プロセッサ1028は、任意の好適な筐体を備えてもよく、所望により、
ユーザの頭皮、首、肩、胸、または腕に設置されてもよい。いくつかの変形例において、
プロセッサ1028は、光検出器1024および光源1026と同一のアセンブリハウジ
ングに統合されてもよい。
【0045】
図示されるように、ブレインインタフェースシステム1020は、プロセッサ1028
と通信するリモートプロセッサ1032を任意で備えてもよい。例えば、リモートプロセ
ッサ1032は、前回の検出セッションからの、および/または多数のブレインインタフ
ェースシステム(図示せず)からの、光検出器1024および/またはプロセッサ102
8から測定されたデータを記憶してもよい。光検出器1024、光源1026、および/
またはプロセッサ1028用の電力は、ウェアラブルバッテリ(図示せず)経由で供給さ
れてもよい。いくつかの例において、プロセッサ1028およびバッテリは、単一の筐体
に収納してもよく、プロセッサ1028およびバッテリからの電力信号を伝えるワイヤは
、光検出器1024および光源1026まで延在していてもよい。あるいは、電力は、(
例えば、誘導により)無線で提供されてもよい。
【0046】
いくつかの別の実施形態においては、ヘッドマウンタブルコンポーネント1022は、
個別の光源を備えない。代わりに、光検出器1024により検知される光を生成するよう
に構成された光源が、ブレインインタフェースシステム1020内の別の場所に設けられ
ていてもよい。例えば、光源は、プロセッサ1028に設けられていてもよく、電気的接
続を通して光検出器ユニット1024に接続されていてもよい。
【0047】
本明細書に記載の光源は、それぞれ、任意の好適なデバイスにより実装されてもよい。
例えば、本明細書で使用される光源は、例えば、分布帰還型(DFB)レーザ、スーパー
ルミネッセントダイオード(SLD)、発光ダイオード(LED)、ダイオード励起固体
(DPSS)レーザ、半導体レーザ(LD)、スーパールミネッセント発光ダイオード(
sLED)、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、チタンサファイアレーザ、マイク
ロ発光ダイオード(mLED)、および/または任意の他の好適なレーザまたは光源であ
ってもよい。
【0048】
図10Aに示す光検出器システム1000は、あるいは、ノンウェアラブルデバイス(
例えば、ユーザの頭部または他の身体部位の近くに設置され、1つまたは複数の診断、撮
像、および/またはコンシューマ関連動作を行う医療機器および/またはコンシューマデ
バイス)に備えられてもよい。光検出器システム1000は、あるいは、ウェアラブル侵
襲デバイス(例えば、脳の記録および撮像用の埋め込み型医療機器)のサブアセンブリ筐
体に設けられてもよい。
【0049】
任意の好適なSPAD回路が、本明細書に記載の光検出器アーキテクチャ内で使用され
てもよい。本明細書に記載のSPAD回路のいくつかは、SPADを作動させるコマンド
が提供される前にバイアス電圧で事前に充電されるコンデンサで(または、場合によって
は、SPAD自体の寄生容量で)ゲートされる。これは、参照により、その全体を先に援
用した米国特許第10,158,038号において更に詳細に記載されている。
【0050】
図11に、低電力TDCアーキテクチャを備えた光検出器システム(例えば、本明細書
に記載の光検出器システムのいずれか)を使用して時間間隔を測定するための方法110
0の例を示す。
図11は一実施形態にかかる動作の例を示すが、他の実施形態では、
図1
1に示す動作のいずれを省略、追加、並び替え、および/または改変してもよい。
【0051】
動作1102において、TDCは、標的への光パルスの印加に応じて開始される所定の
イベント検出時間窓中、光パルスが標的から反射された後に当該光パルスの光子を光検出
器により検出するイベントによりトリガされた信号であって、TDCのGROをイネーブ
ルするように構成された信号を受信する。動作1102は、本明細書に記載の方法のいず
れで実行されてもよい。
【0052】
動作1104において、TDCは、GROを使用して、イベントの発生時と所定のイベ
ント検出時間窓の終了時との間の時間間隔を測定する。動作1104は、本明細書に記載
の方法のいずれで実行されてもよい。
【0053】
動作1106において、TDCに接続された制御回路は、時間間隔および所定のイベン
ト検出時間窓に基づいて、光検出器への光子の到達時刻を判定する。動作1106は、本
明細書に記載の方法のいずれで実行されてもよい。
【0054】
図12に、本明細書に記載の処理の1つまたは複数の処理を実行するように具体的に構
成可能なコンピュータデバイス1200の例を示す。
図12に示すように、コンピュータ
デバイス1200は、通信基盤1210を介して相互に通信可能に接続された、通信イン
タフェース1202、プロセッサ1204、記憶装置1206、および入出力(「I/O
」)モジュール1208を備えてよい。
図12にはコンピュータデバイス1200の例が
示されているが、
図12に示すコンポーネントは、限定を意図したものではない。他の実
施形態においては、追加的なコンポーネントまたは代替的なコンポーネントが使用されて
もよい。以下、
図12に示すコンピュータデバイス1200のコンポーネントについて、
更に詳述する。
【0055】
通信インタフェース1202は、1つまたは複数のコンピュータデバイスと通信するよ
うに構成されてもよい。通信インタフェース1202の例としては、限定はしないが、(
ネットワーク・インタフェース・カード等の)有線ネットワークインタフェース、(無線
ネットワーク・インタフェース・カード等の)無線ネットワークインタフェース、モデム
、オーディオ/ビデオ接続、および任意の他の好適なインタフェースを挙げることができ
る。
【0056】
プロセッサ1204は、一般に、データ処理、および/または本明細書に記載の指示、
処理、および/または動作の1つまたは複数についての実施の解釈、実行、および/また
は指示が可能な任意の種類または形式の処理装置を表す。プロセッサ1204は、記憶装
置1206に記憶された、コンピュータにより実行可能な指示1212(例えば、アプリ
ケーション、ソフトウェア、コード、および/または他の実行可能なデータインスタンス
)を実行することにより、動作を実行してもよい。
【0057】
記憶装置1206は、1つまたは複数のデータ記憶媒体、デバイス、または構成を備え
てよく、任意のタイプ、形式、および組み合わせのデータ記憶媒体および/またはデバイ
スを採用してもよい。例えば、記憶装置1206は、本明細書に記載の任意の組み合わせ
の不揮発性媒体および/または揮発性媒体を備えてもよいが、これらに限定されない。本
明細書に記載のデータを含む電子データは、一時的に、および/または恒久的に記憶装置
1206に記憶されてもよい。例えば、本明細書に記載の動作のいずれを実行するように
プロセッサ1204に指示するように構成されたコンピュータが実行可能な指示1212
を表すデータは、記憶装置1206内に記憶されてもよい。いくつかの例において、デー
タは、記憶装置1206内に存在する1つまたは複数のデータベースに配置されてもよい
。
【0058】
I/Oモジュール1208は、ユーザ入力を受信し、ユーザ出力を提供するように構成
された1つまたは複数のI/Oモジュールを含んでもよい。I/Oモジュール1208は
、入出力機能を支援する、任意のハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、または
それらの組み合わせを含んでもよい。例えば、I/Oモジュール1208は、限定はしな
いが、キーボード、キーパッド、タッチスクリーンコンポーネント(例えば、タッチスク
リーンディスプレイ)、受信機(例えば、RFまたは赤外線受信機)、モーションセンサ
、および/または1つまたは複数の入力ボタンを含む、ユーザ入力を受け付けるためのハ
ードウェアおよび/またはソフトウェアを含んでもよい。
【0059】
I/Oモジュール1208は、グラフィックスエンジン、ディスプレイ(例えば、ディ
スプレイ画面)、1つまたは複数の出力ドライバ(例えば、ディスプレイドライバ)、1
つまたは複数の音声スピーカ、および1つまたは複数の音声ドライバを備えるが、それら
に限定されない、ユーザへの出力を提示するための1つまたは複数のデバイスを備えても
よい。実施形態によっては、I/Oモジュール1208は、ユーザに提示するための画面
にグラフィカルデータを提供するように構成されている。グラフィカルデータは、1つま
たは複数のグラフィカル・ユーザ・インタフェースおよび/または特定の実装に対応可能
な任意の他のグラフィカルコンテンツを表してもよい。
【0060】
いくつかの例において、本明細書に記載のシステム、コンピュータデバイス、プロセッ
サ、制御ユニット、および/または他のコンポーネントは、いずれも、コンピュータデバ
イス1200により実装されてよい。例えば、制御回路106、信号処理回路110、お
よび/または制御回路216は、プロセッサ1204により実装されてよい。
【0061】
これまでの説明では、様々な例示的な実施形態を、添付の図面を参照しながら説明して
きた。しかしながら、以下の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく
、これに様々な修正または変更を加えたり、追加の実施形態を実施したりすることができ
ることは明らかであろう。例えば、本明細書に記載の一実施形態の特定の特徴は、本明細
書に記載の別の実施形態の特徴と組み合わせたり、代用したりしてもよい。したがって、
本記載と図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で捉えられるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの頭部に装着されるように構成されたヘッドマウンタブルコンポーネントであって、光検出器を含むヘッドマウンタブルコンポーネントと、
前記光検出器に接続された時間デジタルコンバータ(TDC)であって、
標的への光パルスの印加に応じて開始される所定のイベント検出時間窓中、前記光パルスが前記標的から反射された後に当該光パルスの光子を前記光検出器により検出するイベントによりトリガされた信号であって、前記TDCのGROをイネーブルするように構成された信号を受信し、
前記GROを使用して、前記イベントの発生時と前記所定のイベント検出時間窓の終了時との間の時間間隔を測定するように構成された、TDCと、
前記TDCに接続された制御回路であって、前記時間間隔および前記所定のイベント検出時間窓に基づいて、前記光検出器への前記光子の到達時刻を判定するように構成された制御回路と
を備える、前記ユーザが使用するためのウェアラブルシステム。
【請求項2】
前記信号は、
前記信号が前記TDCにより受信されている間、前記TDCの前記GROをイネーブルし、
前記信号が停止すると、前記TDCの前記GROをディセーブルするように更に構成されている、請求項1に記載のウェアラブルシステム。
【請求項3】
前記TDCは、前記TDCの前記GROをディセーブルするように構成された第2の信号を、前記所定のイベント検出時間窓の後で、受信するように更に構成されている、請求項1に記載のウェアラブルシステム。
【請求項4】
前記第2の信号は、前記所定のイベント検出時間窓が完了すると受信される、請求項3に記載のウェアラブルシステム。
【請求項5】
前記GROは、前記GROがディセーブルされたときに前記GROの状態を記憶するように構成された1組または複数組の交差接続されたインバータを備え、
前記時間間隔は、記憶された前記GROの状態をデコードすることにより測定される、請求項1に記載のウェアラブルシステム。
【請求項6】
前記TDCは、外部基準クロックを供給する位相ロックループ(PLL)または遅延ロックループ(DLL)から電圧を受け取り、
前記GROをイネーブルすることおよび前記時間間隔を測定することの少なくとも一方は、前記受け取られた電圧に更に基づいて行われる、請求項5に記載のウェアラブルシステム。
【請求項7】
前記TDCは、前記時間間隔の後で、追加的な時間間隔を測定するように更に構成されており、
前記制御回路は、測定された追加的な時間間隔に基づいて前記TDCを較正するように更に構成されており、
前記光子の前記到達時刻は、前記TDCを較正することに更に基づいて判定される、請求項1に記載のウェアラブルシステム。
【請求項8】
前記追加的な時間間隔の長さは、前記所定のイベント検出時間窓の長さと同一または実質的に同様である、請求項7に記載のウェアラブルシステム。
【請求項9】
前記TDCを較正するための演算を可能にするように構成された較正回路を更に備える、請求項7に記載のウェアラブルシステム。
【請求項10】
前記TDCを較正するための演算を可能にするように構成されたルックアップテーブルを更に備える、請求項7に記載のウェアラブルシステム。
【請求項11】
前記TDCは、前記TDCの前記GROをディセーブルするように構成された第2の信号を、前記追加的な時間間隔の後で、受信するように更に構成されている、請求項7に記載のウェアラブルシステム。
【請求項12】
前記TDCは、前記所定のイベント検出時間窓の開始時刻を指定するイベント窓信号を受信するように更に構成されており、
前記光子の前記到達時刻は、前記所定のイベント検出時間窓の前記開始時刻に更に基づいて判定される、請求項1に記載のウェアラブルシステム。
【請求項13】
前記光検出器は、
単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、
前記SPADを作動および解除するように構成された高速ゲート回路と
を備える、請求項1に記載のウェアラブルシステム。
【請求項14】
前記ヘッドマウンタブルコンポーネントは、非侵襲的ウェアラブル・ブレイン・インタフェース・システムにより実装される、請求項1に記載のウェアラブルシステム。
【請求項15】
前記ヘッドマウンタブルコンポーネントに電力を供給するように構成されたウェアラブルバッテリを更に備える、請求項1に記載のウェアラブルシステム。
【請求項16】
前記制御回路と通信するように構成されたプロセッサを更に備える、請求項1に記載のウェアラブルシステム。
【請求項17】
前記プロセッサと前記制御回路とを収容するように構成された単一の筐体を更に備える、請求項16に記載のウェアラブルシステム。
【請求項18】
前記制御回路を収容するように構成された第1の筐体と、
前記プロセッサを収容するように構成された第2の筐体と
を更に備える、請求項16に記載のウェアラブルシステム。
【請求項19】
前記第1の筐体は、前記ヘッドマウンタブルコンポーネントを備え、
前記第2の筐体は、前記ユーザの、前記頭部以外の部位に取り付けられるように構成されている、請求項18に記載のウェアラブルシステム。
【外国語明細書】