(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015676
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】紙葉類検知装置及び検知光の光量調節方法
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
B65H7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117904
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺島 健太郎
【テーマコード(参考)】
3F048
【Fターム(参考)】
3F048AA06
3F048AB03
3F048BA05
3F048BB10
3F048CC03
3F048CC04
3F048DA06
3F048DB17
3F048DC13
(57)【要約】
【課題】受光部が受光する検知光の光量を容易に調節する。
【解決手段】紙葉類検知装置は、検知光を発する発光部と、発光部が発した検知光を受光する受光部と、を有し、紙葉類の搬送路に設けられ、搬送路を移動する紙葉類を検知する検知部と、発光部からの検知光が通る第1開口と、第1開口を通過した検知光が通る第2開口と、を有し、検知光の一部を遮る遮光部材と、検知部を遮光部材に対して回動可能に支持する支持機構と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知光を発する発光部と、前記発光部が発した前記検知光を受光する受光部と、を有し、紙葉類の搬送路に設けられ、前記搬送路を移動する前記紙葉類を検知する検知部と、
前記発光部からの前記検知光が通る第1開口と、前記第1開口を通過した前記検知光が通る第2開口と、を有し、前記検知光の一部を遮る遮光部材と、
前記検知部を前記遮光部材に対して回動可能に支持する支持機構と、
を備える紙葉類検知装置。
【請求項2】
前記第1開口及び前記第2開口は円形状に形成され、前記第1開口が前記第2開口よりも小さい、
請求項1に記載の紙葉類検知装置。
【請求項3】
前記支持機構は、前記発光部を支持する第1支持片と、前記第1支持片に対向して形成されて前記受光部を支持する第2支持片と、を有する支持部材を有する、
請求項1に記載の紙葉類検知装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記遮光部材に回動軸を介して回動可能に支持されている、
請求項3に記載の紙葉類検知装置。
【請求項5】
前記支持機構は、前記回動軸まわりに沿って弧状に形成されたガイド部と、前記支持部材の回動に伴って前記ガイド部を移動するガイドピンと、を有する、
請求項4に記載の紙葉類検知装置。
【請求項6】
前記支持部材は、前記検知光の光軸方向に対して前記第1支持片と前記第2支持片の間の距離を変化させる調節機構を有する、
請求項3ないし5のいずれか1項に記載の紙葉類検知装置。
【請求項7】
前記遮光部材は、前記搬送路に沿って前記紙葉類を案内する一組の上ガイド板及び下ガイド板を有し、
前記上ガイド板及び前記下ガイド板のうち、一方のガイド板に前記第1開口が設けられ、他方のガイド板に前記第2開口が設けられている、
請求項1に記載の紙葉類検知装置。
【請求項8】
前記搬送路の搬送方向における前記下ガイド板の一端は、前記紙葉類が前記搬送路から排出される排出口に隣り合う位置に配置され、当該一端が前記下ガイド板の他端よりも下方に位置するように前記下ガイド板が傾斜され、
前記発光部及び前記受光部は、前記排出口に隣り合う位置に配置され、前記発光部が前記搬送路の上方に配置され、前記受光部が前記搬送路の下方に配置されている、
請求項7に記載の紙葉類検知装置。
【請求項9】
前記搬送路の搬送方向における前記上ガイド板及び前記下ガイド板の各々の一端は、前記紙葉類が前記搬送路から排出される排出口に隣り合う位置にそれぞれ配置され、
前記上ガイド板の前記一端と前記下ガイド板の前記一端との間を通過する前記紙葉類の厚さに応じて、前記上ガイド板の前記一端が前記下ガイド板の前記一端に対して揺動可能に設けられている、
請求項7に記載の紙葉類検知装置。
【請求項10】
検知光を発する発光部と、前記発光部が発した前記検知光を受光する受光部と、を有し、紙葉類の搬送路に設けられ、前記搬送路を移動する前記紙葉類を検知する検知部と、
前記発光部からの前記検知光が通る第1開口と、前記第1開口を通過した前記検知光が通る第2開口と、を有し、前記検知光の一部を遮る遮光部材と、
前記検知部を前記遮光部材に対して回動可能に支持する支持機構と、を備える紙葉類検知装置を用いて、
前記支持機構によって前記遮光部材に対して前記検知部を回動し、前記発光部が発した前記検知光の一部を前記遮光部材によって遮ることで、前記受光部が受光する前記検知光の光量を調節する、検知光の光量調節方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類検知装置及び検知光の光量調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類取扱装置の一例としては、競馬、競輪、競艇、オートレース等の公営競技において、投票券を購入する際に用いられる投票カード、いわゆるマークカード(マークシート)を取り扱うマークカード取扱装置が知られている。
【0003】
この種のマークカード取扱装置は、マークカードの情報を読み取るマークカード読取部におけるマークカードの搬送路に、搬送路を移動するマークカードを検知するためのマークカード検知装置が設けられている。マークカード検知装置において、マークカードの搬送路の上方と下方のいずれか一方に、搬送路を移動するマークカードの紙面に交差するように検知光を発する発光部が設けられ、他方に発光部からの検知光を受光する受光部が設けられている。マークカード検知装置は、搬送路に沿って送られたマークカードが、発光部からの検知光の照射位置(検知位置)に移動したとき、マークカードによって受光部が受光する検知光が遮られることでマークカードを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したマークカード検知装置では、発光部が発する検知光の光量、検知対象であるマークカードの厚さ、発光部及び受光部の取付け構造における各部品の寸法公差等のバラツキや、経年変化に伴う発光部の光量の変動によって、検知精度が影響を受け、誤検知が発生する問題がある。
【0006】
このため、上述したバラツキを考慮し、検知光の光量を調節するために、発光部への印加電圧の大きさ、発光部と受光部との間の距離や、検知光の一部を遮光するための遮光部材の遮光状態を適宜調節することにより、受光部が受光する検知光の光量、すなわち、受光部の受光素子の受光領域に照射される検知光の直径(検知光のスポット径)を変化させている。このように受光部が受光する検知光の光量を調節しながら、発光部及び受光部を位置決めして固定する調節作業を行っており、調節作業が煩雑であった。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、受光部が受光する検知光の光量を容易に調節することができる紙葉類検知装置及び検知光の光量調節方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示する紙葉類検知装置の一態様は、検知光を発する発光部と、前記発光部が発した前記検知光を受光する受光部と、を有し、紙葉類の搬送路に設けられ、前記搬送路を移動する前記紙葉類を検知する検知部と、前記発光部からの前記検知光が通る第1開口と、前記第1開口を通過した前記検知光が通る第2開口と、を有し、前記検知光の一部を遮る遮光部材と、前記検知部を前記遮光部材に対して回動可能に支持する支持機構と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示する紙葉類検知装置の一態様によれば、受光部が受光する検知光の光量を容易に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例のマークカード検知装置を備えるマークカード取扱装置を示す正面図である。
【
図2】
図2は、実施例のマークカード検知装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施例のマークカード検知装置を示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、実施例における検知部が、
図2に示す位置から回動した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施例における検知部が、
図3に示す位置から回動した状態を示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、実施例において受光部が受光する検知光の光量が変化する挙動を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、実施例において受光部が受光する検知光の光量が変化する挙動を説明するための模式図である。
【
図8】
図8は、他の実施例の要部を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、他の実施例の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する紙葉類検知装置及び検知光の光量調節方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する紙葉類検知装置及び検知光の光量調節方法が限定されるものではない。
【実施例0012】
(マークカード取扱装置)
図1は、実施例のマークカード検知装置を備えるマークカード取扱装置を示す正面図である。
図1に示すように、実施例のマークカード取扱装置1は、いわゆる現金投票端末に適用されており、紙葉類としてのマークカード3の情報を読み取るマークカード読取部2が組み込まれている。現金投票端末では、現金を使用した投票が可能であり、利用者がマークカード3を用いて投票内容を指定して現金を入金することにより、投票内容が印刷された投票券を発行する。現金投票端末を用いて投票を行った利用者は、投票券をレース確定後に現金投票端末に挿入することで、配当金の払戻を受けられる。
【0013】
マークカード取扱装置1の正面には、運用状況表示窓4と、マークカード読取部2のマークカード挿入返却口5と、投票券挿入口6Aと、投票券返却口6Bと、紙幣挿入返却口7と、硬貨投入口8Aと、硬貨返却口8Bと、タッチパネル9Aと、コードリーダ9Bと、を備える。
【0014】
また、マークカード取扱装置1は、排出口としてのマークカード挿入返却口5へ送られる搬送路12上のマークカード3を検知するマークカード検知装置11を備える(
図2、3参照)。
【0015】
運用状況表示窓4は、投票券の発行受付中または発行停止中であるかを表示すると共に、的中券の払戻受付中または払戻停止中であるかを表示する。マークカード挿入返却口5には、利用者によってマークカード3が挿入される。また、マークカード挿入返却口5は、利用者へ返却されるマークカード3を搬送路12から排出する排出口を兼ねている。マークカード挿入返却口5の上部には、マークカード3が排出されるときに点灯する表示灯10が設けられている。
【0016】
投票券挿入口6Aには、投票内容の当たりか外れかが確定した投票券が挿入される。つまり、投票券挿入口6Aには、レース確定後の投票券が挿入される。投票券返却口6Bは、投票券を排出する。紙幣挿入返却口7には紙幣が挿入されると共に、返却される紙幣または釣銭とされる紙幣が紙幣挿入返却口7から排出される。硬貨投入口8Aには硬貨が投入されると共に、返却される硬貨または釣銭とされる硬貨が硬貨返却口8Bから排出される。タッチパネル9Aは、操作案内、レース案内、及び、マークカード3による投票内容等の各種の画面を表示し、各種の入力や投票内容の修正等のタッチ操作が行われる。コードリーダ9Bは、投票券に印刷されたコードを読み取る。
【0017】
説明の便宜上、
図1においてマークカード取扱装置1を正面側から見たときに、マークカード取扱装置1の幅方向をX方向、マークカード取扱装置1の前後方向をY方向、マークカード取扱装置1の上下方向をZ方向と称する。
図1以降の図面においても、
図1と同様にX、Y、Z方向をそれぞれ示す。なお、本実施例では、紙葉類の一例としてマークカード3が適用されたが、紙葉類をマークカード3に限定するものではない。紙葉類には、例えば、紙幣、手形、小切手、商品券、各種証券、株券等の有価証券も含まれる。
【0018】
(マークカード検知装置)
図2は、実施例のマークカード検知装置11を示す斜視図である。
図3は、実施例のマークカード検知装置11を示す縦断面図である。
図2及
図3に示すように、マークカード検知装置11は、マークカード読取部2の内部の搬送路12に設けられており、搬送路12からマークカード3を排出するマークカード挿入返却口5(以下、返却口5と称する。)に隣り合う位置に配置されている。
【0019】
マークカード検知装置11は、搬送路12における検知位置に到達したマークカード3を検知し、検知信号をマークカード取扱装置1の制御部15へ送る。制御部15は、マークカード検知装置11の検知結果に基づいて、返却口5へマークカード3を搬送する搬送ローラ13の駆動機構(図示せず)を制御し、返却口5からマークカード3の前端部3aだけを外部へ排出した状態(
図2)でマークカード3の排出を一時停止させる。利用者は、マークカード3の前端部3aを摘まんで返却口5から引き出すことで、マークカード3が返却口5から排出される。この排出動作により、返却口5からマークカード3が排出された勢いでマークカード3が飛び出すことを避けている。
【0020】
図4は、実施例における検知部が、
図2に示す位置から回動した状態を示す斜視図である。
図5は、実施例における検知部が、
図3に示す位置から回動した状態を示す縦断面図である。
図2、3及び
図4、5に示すように、マークカード検知装置11は、マークカード3の搬送路12に設けられて搬送路12を移動するマークカード3を検知する検知部16と、検知部16の検知光17の一部を遮る遮光部材18と、検知部16を遮光部材18に対して回動可能に支持する支持機構19と、を備える。
【0021】
検知部16は、検知光17を発する発光部16aと、発光部16aが発した検知光17を受光する受光部16bと、を有する。検知部16は、透過型光センサであり、発光部16aとして用いられる発光素子と、受光部16bとして用いられる受光素子が、搬送路12を挟んで対向して設けられる。また、検知部16は、制御部15と電気的に接続されている。受光部16bは、搬送路12の検知位置に送られたマークカード3によって検知光17が遮断されたとき、検知光17を受光しない状態になることで、マークカード3の検知信号を制御部15へ送る。
【0022】
実施例において、搬送路12を構成する一組の上ガイド板21及び下ガイド板22は、マークカード検知装置11の遮光部材18を兼ねている。言い換えると、遮光部材18は、一組の上ガイド板21及び下ガイド板22によって構成されており、搬送路12に沿ってマークカード3を案内する機能も有する。
【0023】
遮光部材18は、発光部16aからの検知光17が通る第1開口23と、第1開口23を通過した検知光17が通る第2開口24と、を有する。遮光部材18は、受光部16bが受光する検知光17の光量を絞るための絞り部材である。遮光部材18には、上ガイド板21に第1開口23が形成されており、下ガイド板22に第2開口24が形成されている。第1開口23と第2開口24は、上ガイド板21と下ガイド板22の対向する位置に設けられている。
【0024】
第1開口23及び第2開口24は円形状に形成されており、第1開口23の穴径D1が第2開口24の穴径D2よりも小さい。これにより、遮光部材18に対して発光部16a及び受光部16bを回動させたときに、受光部16bが受光する検知光17のスポット径、すなわち受光部16bが受光する検知光17の光量を、小さい回動量でスムーズに変化させることができる。加えて、第1開口23で光量が変化した検知光17が第2開口24をスムーズに通過し、受光部16bが検知光17を適正に受光することができる。
【0025】
一例として、第1開口23の穴径D1は、4.4[mm]程度に形成され、第2開口24の穴径D2は、8[mm]程度に形成されている。実施例では、発光部16a側の第1開口23の穴径D1が、受光部16b側の第2開口24の穴径D2よりも小さく、すなわち、第1開口23の開口面積が第2開口24の開口面積よりも小さくされたが、この大小関係に限定されず、実施例と逆の大小関係でもよい。また、第1開口23及び第2開口24の形状は、円形状に限定されない。
【0026】
また、遮光部材18は、必要に応じて、例えば、上ガイド板21と下ガイド板22の一方のガイド板を、第1開口23、第2開口24とは穴径や開口形状が異なる開口が形成された他のガイド板(図示せず)と交換することにより、支持部材26の回動に伴う検知光17の光量の変化量を容易に変更することができる。図示しないが、上ガイド板21及び下ガイド板22には、第1開口23及び第2開口24の各開口面積を調節する開口調節部材が着脱可能に設けられてもよい。
【0027】
また、
図3及び
図5に示すように、上ガイド板21と下ガイド板22は、搬送路12をなす間隙をあけて対向して配置されており、マークカード3を返却口5へ送る搬送ローラ13と、返却口5との間にわたって設けられている。搬送路12の搬送方向Aにおける上ガイド板21の一端21aは、返却口5に隣り合う位置に配置されている。同様に、搬送路12の搬送方向Aにおける下ガイド板22の一端22aは、返却口5に隣り合う位置に配置されている。また、搬送路12の搬送方向Aにおける上ガイド板21の他端21b及び下ガイド板22の他端22bは、搬送ローラ13に隣り合う位置に配置されている。
【0028】
また、下ガイド板22は、搬送路12の搬送方向Aに沿う両側が、上ガイド板21側へ折り曲げられて形成された一組のガイド壁22cを有する。各ガイド壁22cには、上ガイド板21を揺動可能に支持する支持穴22dが形成されている。
【0029】
上ガイド板21は、搬送路12の搬送方向Aにおける返却口5側の一端21aとは反対側の他端21bが上方へ折り曲げられており、搬送方向Aに沿う他端21bの両側に一組の引っ掛け片21cが形成されている。各引っ掛け片21cが下ガイド板22の支持穴22dに通されることで、上ガイド板21は下ガイド板22に対して揺動可能に下ガイド板22に支持されている。
【0030】
返却口5からマークカード3が排出されていない初期状態では、上ガイド板21の一端21aと下ガイド板22の一端22aが接して閉じられている。返却口5からマークカード3が排出されるとき、上ガイド板21の一端21aと下ガイド板22の一端22aとの間を通過するマークカード3の厚さに応じて、上ガイド板21の一端21aが下ガイド板22の一端22aに対して揺動される。
【0031】
これにより、返却口5からマークカード3を排出するときだけ上ガイド板21の一端21aと下ガイド板22の一端22aとの間を開くことで、返却口5へのマークカード3の誤挿入や返却口5への異物の挿入を防げる。
【0032】
下ガイド板22は、搬送路12の搬送方向Aにおける返却口5側の一端22aが、他端22bよりも下方に位置するように傾斜されている。このように搬送路12を傾斜させることにより、マークカード読取部2の全体サイズの小型化を図れると共に、上ガイド板21の一端21aに、返却口5からのマークカード3の逆差し込みを防ぐ折り返し部分を設けることが可能となる。また、発光部16a及び受光部16bは、返却口5に隣り合う位置に配置されている。このため、マークカード取扱装置1の外部における外光が、返却口5を通って搬送路12内へ差し込み、下ガイド板22で反射された外光が搬送路12の上方に照射されるおそれがある。外光が受光部16bに進入した場合には、マークカード3が検知光17を遮ったことを検知できないおそれがある。
【0033】
そこで、実施例では、発光部16aが搬送路12の上方に配置されており、受光部16bが搬送路12の下方に配置されている。これにより、受光部16bが搬送路12の上方に配置される構造と比較して、外光が受光部16bの受光領域に進入することが抑えられるので、外光の影響でマークカード3を検知できなくなることを防ぎ、検知精度の低下を抑えられる。
【0034】
なお、上ガイド板21、下ガイド板22等によって構成される搬送路12の構造により、返却口5から搬送路12に進入する外光によって受光部16bの受光状態が影響されない場合等には、発光部16aが搬送路12の下方に配置されて、受光部16bが搬送路12の上方に配置されてもよく、搬送路12における発光部16a及び受光部16bの配置が限定されるものではない。
【0035】
支持機構19は、発光部16a及び受光部16bを支持する支持部材26と、支持部材26を回動自在に支持する回動軸27と、を有しており、回動軸27が、遮光部材18の下ガイド板22に固定されている。したがって、支持部材26は、遮光部材18の下ガイド板22のガイド壁22cに回動軸27を介して回動可能に支持されている。支持部材26が遮光部材18に支持されることにより、支持機構19の構造の簡素化、支持機構19の小型化を図れる。
【0036】
支持部材26は、発光部16aを支持する第1支持片26aと、第1支持片26aに対向して形成されて受光部16bを支持する第2支持片26bと、第1支持片26aと第2支持片26bを連結する連結片26cと、を有する。支持部材26は、第1支持片26aと連結片26cと第2支持片26bが一体に形成された断面U字状のブラケットである。
【0037】
これにより、遮光部材18に対して支持部材26を回動させることで、第1開口23に対して発光部16aを移動させると共に第2開口24に対して受光部16bを移動させることできる。このため、発光部16aと受光部16bの相対位置(発光部からの検知光17の光軸に対する受光部16bの位置)を適正に維持したままで遮光部材18によって検知光17の光量を容易に調節できる。
【0038】
第1支持片26aと第2支持片26bは、互いに平行に形成されている。連結片26cには、回動軸27が通される軸穴28が形成されている。軸穴28を通された回動軸27は、下ガイド板22のガイド壁22cに固定されている。軸穴28は、連結片27cにおいて、第1支持片27aと第2支持片27bとの間の中間位置に形成されている。
【0039】
また、本実施例では、回動軸27として固定ねじが用いられており、下ガイド板22のガイド壁22cに形成されたねじ穴にねじ止めされた固定ねじを緩めることで支持部材26を容易に回動させると共に、固定ねじをガイド壁22cのねじ穴にねじ止めすることで支持部材26を所望の姿勢で容易に固定できる。なお、図示しないが、支持機構19は、回動軸27とは別に固定ねじを有すると共に、固定ねじによって支持部材26が回動された姿勢が固定されるように構成されてもよい。この場合、例えば、固定ねじが、後述するガイドピン32を兼ねてもよい。実施例では、回動軸27が固定ねじを兼ねることで、支持機構19の構造の簡素化が図られている。
【0040】
また、支持機構19は、回動軸27まわりに沿って弧状に形成されたガイド部31と、支持部材26の回動に伴ってガイド部31内を移動するガイドピン32と、を有する。実施例では、ガイド部31としての弧状のガイドスリット31aが、支持部材26の連結片26cに形成されている。ガイドピン32は、ガイドスリット31aを通されて下ガイド板22に固定されている。
【0041】
支持部材26は、回動軸27まわりに回動したときに、ガイドピン32がガイドスリット31aの両端の間を移動することで、遮光部材18に対する支持部材26の回動範囲が適正に規制される。ガイドスリット31aは、支持部材26を回動可能とする回動範囲内において、発光部16aからの検知光17を受光部16bが受光するように形成されている。これにより、支持部材26を回動したときに、検知光17が第1開口23及び第2開口24のいずれかを通過せず、受光部16bが検知光17を受光しない状態になることを防げる。
【0042】
なお、実施例では、支持部材26側にガイドスリット31aが設けられ、下ガイド板22側にガイドピン32が設けられたが、下ガイド板22または他の部材にガイドスリット31aが設けられ、支持部材26にガイドピン32が設けられてもよい。本実施例では、ガイドピン32が遮光部材18の下ガイド板22に設けられたが、遮光部材18を除く他の部材にガイドピン32が形成されてもよい。また、ガイド部31は、ガイドスリット31aに限定されず、例えば、溝(凹)状に形成されてもよい。
【0043】
(検知光の光量の変化)
図6及び
図7は、実施例において受光部16bが受光する検知光17の光量が変化する挙動を説明するための模式図である。
図6は、
図2及び
図3における検知光17の照射状態を示している。
図7は、
図4及び
図5における検知光17の照射状態を示している。
【0044】
図2、
図3及び
図6に示すように、受光部16bの受光素子の受光領域に照射される検知光17のスポット径を最大にし、受光部16bが受光する検知光17の光量を最大にする場合、発光部16aが発した検知光17が第1開口23で遮られることなく通過すると共に、第1開口23を通過した検知光17が第2開口24で遮られることなく第2開口24を通過する。このため、発光部16aが発した検知光17の全光量が受光部16bの受光素子の受光領域に照射される。
【0045】
言い換えると、
図3及び
図6に示すように、発光部16aから照射される検知光17のスポット径S1が、第1開口23及び第2開口24を通過した後も変化せずに、スポット径S1の検知光17が受光部16bに照射される。
【0046】
したがって、この調節状態は、受光部16bが受光する検知光17の光量が最大となり、発光部16aが発する検知光17の光量が所望の光量よりも少ない場合、マークカード3の厚さが厚い、つまり検知光17がマークカード3を透過するおそれがない場合に適用される。このとき、支持機構19では、ガイドピン32がガイドスリット31aの下端に接しており(
図3)、支持部材26の回動が規制されている。
【0047】
図4、
図5及び
図7に示すように、受光部16bの受光素子の受光領域に照射される検知光17のスポット径を最小にし、受光部16bが受光する検知光17の光量を最小にする場合、発光部16aが発した検知光17の一部が第1開口23の開口縁で遮られて第1開口23を通過すると共に、第1開口23を通過した検知光17が第2開口24で遮られることなく第2開口24を通過する。このため、発光部16aが発した検知光17が第1開口23を通過するときに検知光17の光量が減り、受光部16bの受光素子の受光領域に照射される。
【0048】
言い換えると、
図5及び
図7に示すように、発光部16aから照射される検知光17のスポット径S1が、第1開口23を通過するときにスポット径S1が小さく絞られ、第2開口24を通過したスポット径S2の検知光17が受光部16bに照射される。
【0049】
したがって、この調節状態は、受光部16bが受光する検知光17の光量が最小となり、発光部16aが発する検知光17の光量が所望の光量よりも多い場合、マークカード3の厚さが薄い、つまり検知光17がマークカード3を透過するおそれがある場合に適用される。このとき、支持機構19では、ガイドピン32がガイドスリット31aの上端に接しており(
図5)、支持部材26の回動が規制されている。
【0050】
なお、実施例では、検知光17の光量が最小にされるときに検知光17の一部が第2開口24の開口縁で遮られないが、検知光17の一部が第2開口24の開口縁で遮られることで検知光17のスポット径を小さし、受光部16bが受光する検知光17の光量が更に減らされてもよい。
【0051】
また、支持機構19は、上述した最大光量と最小光量との2つの調節状態に限らず、支持部材26を回動範囲内で回動させることで、検知光17の光量を連続的に変化させて、所望の光量になった状態で、遮光部材18に対して回動された支持部材26が、回動範囲内における任意の姿勢で固定されることによって調節される。
【0052】
(検知光の光量調節方法)
以上のように構成されたマークカード検知装置11を用いた検知光17の光量調節方法は、支持機構19によって遮光部材18に対して検知部16を回動し、発光部16aが発した検知光17の一部を遮光部材18によって遮ることで、受光部16bの受光素子の受光領域に照射される検知光17のスポット径を変化させ、受光部16bの受光素子が受光する検知光17の光量を調節する。
【0053】
また、本実施例では、支持部材26の回動軸27として固定ねじが用いられており、遮光部材18の下ガイド板22のねじ穴にねじ止めされた固定ねじを緩めることで遮光部材18に固定された支持部材26を回動可能にする。続いて、遮光部材18に対して支持部材26を回動し、その後、固定ねじを遮光部材18の下ガイド板22のねじ穴にねじ止めすることで、遮光部材18に対して回動された支持部材26を固定する。
【0054】
なお、本実施例では、遮光部材18に対して支持部材26を手動で回動させることで検知光17の光量の調節が行われるが、例えば、支持部材26を回動させる作動機構(図示せず)を更に備え、制御部15によって作動機構を制御することにより、検知光17の光量の調節が自動制御されてもよい。この場合、例えば、制御部15は、受光部16bが受光する検知光17の光量に基づいて、作動機構によって支持機構19を制御する。
【0055】
(実施例の効果)
上述したように実施例のマークカード検知装置11は、発光部16aと受光部16bを有して搬送路12を移動するマークカード3を検知する検知部16と、発光部16aからの検知光17が通る第1開口23と、第1開口23を通過した検知光17が通る第2開口24と、を有して検知光17の一部を遮る遮光部材18と、検知部16を遮光部材18に対して回動可能に支持する支持機構19と、を備える。これにより、遮光部材18に対して検知部16を支持機構19によって回動させて、遮光部材18の第1開口23、第2開口24によって検知光17の一部を遮光することによって受光部16bに照射される検知光17のスポット径を調節し、受光部16bが受光する検知光17の光量を容易に調節することができる。
【0056】
このため、本実施例は、例えば、マークカード3の厚さや搬送する紙葉類の種類(紙の密度)、使用する発光部16aが発する検知光17の光量等を含む搬送の仕様に応じて、受光部16bが受光する光量を適切に調節可能になることで、各種の仕様に適合するマークカード検知装置11を提供することができる。
【0057】
また、マークカード検知装置11によれば、例えば、経年変化に伴って発光部16aの発光素子が発する検知光17の光量が低下した場合にも、発光素子からの検知光17の光量の変化に合わせて、受光部16bが受光する検知光17の光量を調節するメンテナンス作業を行うことで、適正な受光状態に容易に調節可能になり、検知部16を利用できる寿命を容易に延ばすことができる。
【0058】
また、実施例のマークカード検知装置11の遮光部材18は、第1開口23及び第2開口24が円形状に形成されており、第1開口23が第2開口24よりも小さい。これにより、遮光部材18に対して発光部16a及び受光部16bを回動させたときに、受光部16bが受光する検知光17のスポット径、すなわち受光部16bが受光する検知光17の光量を、小さい回動量でスムーズに変化させることができる。加えて、第1開口23で光量が変化した検知光17が第2開口24をスムーズに通過し、受光部16bが検知光17を適正に受光することができる。
【0059】
また、実施例のマークカード検知装置11の支持機構19は、発光部16aを支持する第1支持片26aと、第1支持片26aに対向して形成されて受光部16bを支持する第2支持片26bと、を有する支持部材26を有する。これにより、遮光部材18に対して支持部材26を回動させることで、第1開口23に対して発光部16aを移動させると共に第2開口24に対して受光部16bを移動させることできる。このため、発光部16aと受光部16bの相対位置(発光部からの検知光17の光軸に対する受光部16bの位置)を適正に維持したままで遮光部材18によって検知光17の光量を容易に調節できる。
【0060】
また、実施例のマークカード検知装置11の支持機構19の支持部材26は、遮光部材18に回動軸27を介して回動可能に支持されている。このように支持部材26が遮光部材18に支持されることにより、支持機構19の構造の簡素化、支持機構19の小型化を図れる。
【0061】
また、実施例のマークカード検知装置11の支持機構19は、回動軸27まわりに沿って弧状に形成されたガイド部31と、支持部材26の回動に伴ってガイド部31を移動するガイドピン32と、を有する。これにより、遮光部材18に対する支持部材26の回動範囲を適正に規制できる。
【0062】
また、実施例のマークカード検知装置11の遮光部材18は、搬送路12に沿ってマークカード3を案内する一組の上ガイド板21及び下ガイド板22を有しており、上ガイド板21及び下ガイド板22のうち、一方のガイド板に第1開口23が設けられ、他方のガイド板に第2開口24が設けられている。これにより、搬送路12に沿ってマークカード3を案内する機能を遮光部材18が兼ねると共に、上ガイド板21及び下ガイド板22を利用した簡素な構造で検知部16の検知光17を遮光することができる。
【0063】
また、実施例のマークカード検知装置11の遮光部材18において、搬送路12の搬送方向Aにおける下ガイド板22の一端22aは、返却口5に隣り合う位置に配置され、この一端22aが下ガイド板22の他端22bよりも下方に位置するように下ガイド板22が傾斜されている。発光部16a及び受光部16bは、返却口5に隣り合う位置に配置され、発光部16aが搬送路12の上方に配置され、受光部16bが搬送路12の下方に配置されている。このように、マークカード取扱装置1の外部における外光が、返却口5を通って搬送路12内へ差し込み、下ガイド板22で反射された外光が搬送路12の上方に照射されるおそれがある場合、受光部16bが搬送路12の上方に配置される構造と比較して、外光が受光部16bの受光領域に進入することが抑えられるので、外光の影響でマークカード3を検知できなくなることを防ぎ、検知精度の低下を抑えられる。
【0064】
また、実施例のマークカード検知装置11の遮光部材18において、搬送路12の搬送方向Aにおける上ガイド板21及び下ガイド板22の各々の一端21a、22aは、返却口5に隣り合う位置にそれぞれ配置されており、上ガイド板21の一端21aと下ガイド板22の一端22aとの間を通過するマークカード3の厚さに応じて、上ガイド板21の一端21aが下ガイド板22の一端22aに対して揺動可能に設けられている。これにより、返却口5からマークカード3を排出するときだけ上ガイド板21の一端21aと下ガイド板22の一端22aとの間を開くことが可能になり、返却口5へのマークカード3の誤挿入や返却口5への異物の挿入を防げる。
【0065】
以下、他の実施例について図面を参照して説明する。他の実施例において、実施例と同一の構成部材には、実施例と同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
(他の実施例)
他の実施例は、支持部材の構造が、上述した実施例における支持部材26と異なる。
図8及び
図9は、他の実施例の要部を示す斜視図である。
【0067】
図8及び
図9に示すように、他の実施例のマークカード検知装置の支持機構は、発光部16a及び受光部16bを支持する支持部材36を有する。支持部材36は、発光部16aを支持する第1支持片36aと、第1支持片36aに対向して形成されて受光部16bを支持する第2支持片36bと、を有する。また、支持部材36は、検知光17の光軸方向に対して第1支持片36aと第2支持片36bの間の距離を変化させる調節機構37を有しており、調節機構37によって第1支持片36aに対して第2支持片36bがスライド可能に設けられている。
【0068】
第1支持片36aには、第2支持片36bと連結される連結片36cが形成されている。第2支持片36bには、連結片36cに対して、検知光17の光軸方向にスライド可能に取り付けられる調節片36dが形成されている。
【0069】
調節機構37は、第1支持片36aに配置された発光部16aからの検知光17の光軸方向に沿ってそれぞれ延びる第1長穴37a及び第2長穴37bと、第1長穴37aに差し込まれるスライドピン37cと、第2長穴37bに通された固定ねじ37dと、を有する。
【0070】
第1長穴37a及び第2長穴37bは、第2支持片36bの調節片36dに並んで形成されている。スライドピン37cは、第1支持片36aの連結片36cに形成されている。固定ねじ37dは、第2長穴37bに通されて連結片36cのねじ穴にねじ止めされる。第1支持片36aに対する第2支持片36bのスライド範囲は、第1長穴37aと、第1長穴37aの長手方向に移動するスライドピン37cによって規制される。また、連結片36cには、上述した実施例と同様に、軸穴28及びガイドスリット31aが形成されている。
【0071】
調節機構37は、連結片36cのねじ穴にねじ止めされた固定ねじ37dを緩め、第1長穴37aの長手方向にスライドピン37cが移動すると共に、第2長穴37bの長手方向に固定ねじ37dが移動することで、第1支持片36aに対して第2支持片36bが検知光17の光軸方向に沿って移動する。続いて、第1支持片36aと第2支持片36bとの間の距離を調節することで、発光部16aと受光部16bとの間の距離が調節される。第1支持片36aに対して所望の距離に調節された第2支持片36bは、固定ねじ37dが連結片36cのねじ穴にねじ止めされることで固定される。
【0072】
図8に示すように、発光部16aと受光部16bとの間の距離を最小の距離L1にする調節状態は、発光部16aが発する検知光17の光量が所望の光量よりも少ない場合、マークカード3の厚さが厚い、つまり検知光17がマークカード3を透過するおそれがない場合に、受光部16bが受光する検知光17の光量を増やすときに適用される。
【0073】
図9に示すように、発光部16aと受光部16bとの間の距離を最大の距離L2(L2>L1)にする調節状態は、発光部16aが発する検知光17の光量が所望の光量よりも多い場合、マークカード3の厚さが薄い、つまり検知光17がマークカード3を透過するおそれがある場合に、受光部16bが受光する検知光17の光量を減らすときに適用される。
【0074】
なお、実施例における調節機構37は、第1長穴37a及び第2長穴37bが第2支持片36bの調節片36dに形成され、スライドピン37cが第1支持片36aの連結片36cに形成されたが、これとは逆に、第1長穴37a及び第2長穴37bが第1支持片36aの連結片36cに形成され、スライドピン37cが第2支持片36bの調節片36dに形成されてもよい。
【0075】
(他の実施例の効果)
他の実施例によれば、支持部材36の調節機構37によって発光部16aと受光部16bとの間の距離を容易に調節することが可能になるので、上述した実施例と比較して、受光部16bが受光する検知光17の調節可能な範囲を広げ、かつ、光量の微細な調節を容易に行うことができる。